説明

中空成形品の成形方法および成形装置

【課題】半中空成形品のインサートの問題、中空成形品の寸法精度の問題、接合部の強度の問題等から解放された、内部にリブ、仕切壁等の付属物を有する中空成形品の成形方法を提供する。
【解決手段】固定型(2)と可動型(20)とを使用して、一対の半中空成形品(T1、T2)を、その本体部(H、H)の開口部には射出成形用の接合部(S、S)を、その付属物(W)の突合部には融着用の接合部(M、M)を有するように射出成形する(1次成形)。一対の半中空成形品がそれぞれの金型に残っている状態で整合させ、附属物(W、W)の接合部の間に加熱体(31)を挿入して溶融する。加熱体(31)を待避させて、型締めして附属物(W、W)の接合部を融着すると共に、本体部(H、H)の接合部に溶融樹脂を射出して接合する(2次成形)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の半中空成形品の本体部の開口部を接合すると共に、前記本体部に一体的に成形されているリブ、突起物、仕切壁等の一対の付属物の突合部を接合して、内部に前記付属物を有する中空成形品を成形する成形方法および成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製の中空成形品の成形方法の一つとして射出成形機による成形方法が知られている。この射出成形方法の実施に使用される金型は、本出願人が例えば特許文献1〜3等により提案しているように、固定金型とスライド金型あるいは可動金型とから構成されている。固定金型では一方の1次半中空体が成形され、そしてスライド金型では、他方の1次半中空体が成形されるようになっている。したがって、1次成形において、スライド金型を1次成形位置に駆動して、一対の1次半中空体を開口部の周囲に突合部あるいは接合部を有するように成形し、そしてある程度固化した後にスライド金型を2次成形位置へスライドさせると、一対の1次半中空体は、突合部において突き合わされるようになる。そこで、型締めして2次成形用の溶融樹脂を接合部に射出すると、一対の1次半中空体は突合部において接合され、合成樹脂製の中空成形品が成形される。
【0003】
【特許文献1】特公平2−38377号公報
【特許文献2】特開平6ー23789号公報
【特許文献3】特開平6ー246781号公報
【0004】
上記のような射出成形方法によると、1次成形で成形された一対の1次半中空成形品を突き合わせ、そして2次成形により突合部あるいは接合部に溶融樹脂を射出充填することにより、中空成形品を得ることができるので、各工程を自動化することができ中空成形品を量産できるという利点がある。また、一対の1次半中空体が射出成形により成形されるので、複雑な形状の中空成形品も製造できる等の特徴も有し、現在も有効に実施されている。しかしながら、内部にリブ、突起物、仕切壁等の付属物を有する中空成形品は上記のような射出成形方法では成形することができない。なぜならば、2次成形用の溶融樹脂は、一対の半中空成形品の開口部の接合部には比較的簡単に充填することができるが、リブ、突起物、仕切壁等の突合部までは形状的あるいは構造的な理由により充填できないからである。
【0005】
そこで、2次成形する上で障害になるリブ、仕切壁等を内部に有する中空成形品は、次の手順により成形されている。すなわち、一対の半中空成形品を射出成形により成形するとき、本体部の開口部に融着用の接合部を成形すると共に、リブ、仕切壁等にも融着用の接合部を一体的に成形して保管する。その後、一対の半中空成形品を別途用意されたそれぞれの融着用の金型にインサートする。インサートされた半中空成形品の開口部の接合部と、リブ等の接合部が所定の間隔になるように保持して、これらの接合部の間に加熱体を挿入して、接合部を溶融する。そして、加熱体を待避させて、一対の融着用の金型を型締めして接合部を圧接融着する。これにより、一対の半中空成形品の本体部は本体部同志が一体化され、一対のリブ、仕切壁等も一体化され、内部にリブ、仕切壁等の付属物を有する中空成形品が得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、一対の融着用の金型と加熱体とを使用すると、内部に付属物を有する中空成形品を成形することはできるが、色々問題もある。例えば、半中空成形品は予め射出成形され保管されているので、温度等により経時変化している。したがって、融着用の金型にそのままインサートすることは困難である。そこで、形状変化すなわち収縮変化を見越して半中空成形品を成形する必要があり、成形用金型の設計にコストがかかる。あるいは、形状変化をしている半中空成形品をインサートするために、融着用の金型の寸法を調整する必要がある。このように射出成形用の金型あるいは融着用の金型の寸法を調整すると、中空成形品の形状精度が落ちることになる。また、金型寸法を調整してインサートすることはできても、接合部の面が均一な平面になるようにインサートされる保証はない。接合面の平面度あるいは平行度が保たれていないと、接合部を圧接するとき押しつけ圧力にアンバランスが生じ「融着強度のバラツキ」という、中空成形品にとって致命的な欠点が発生する。さらには、常温まで冷えている半中空成形品を、接合部の近傍部分のみとはいえ融着温度まで加熱しなければならないので、消費エネルギが増すという問題もある。
【0007】
本発明は、上記したような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、高精度の中空成形品を安価に成形することができる合成樹脂製の中空成形品の成形方法および成形装置を提供することを目的としている。さらに詳細には、半中空成形品のインサートの問題、中空成形品の寸法精度の問題、接合部の強度の問題、エネルギコストの問題等の諸問題から解放された合成樹脂製の中空成形品の成形方法およびこの方法の実施に使用される成形装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特許文献1〜3に記載の成形方法あるいは成形装置によると、前述したような色々な効果が得られ、前記成形方法には、特に加熱体を使用した従来の成形方法の上記したような欠点はない。そこで、本発明は、特許文献1〜3に記載されているよう固定型と可動型とを使用した成形方法あるいは成形装置と、加熱体を使用した成形方法とを組み合わせて上記目的を達成しようとするものである。すなわち、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、一対の半中空成形品の本体部の開口部を接合すると共に、前記本体部に一体的に成形されているリブ、突起物、仕切壁等の一対の附属物の突合部を接合して、内部に前記付属物を有する中空成形品を成形する成形方法であって、該成形方法は、固定型と可動型とで構成されるキャビティに溶融樹脂を射出充填し、一対の半中空成形品を、その本体部の開口部には射出成形用の接合部を、その付属物の突合部には融着用の接合部を有するように射出成形する1次成形工程と、前記1次成形工程により成形された一方の半中空成形品が金型に残っている状態で他の金型に残っている他方の半中空成形品に所定の間隔をおいて対向させて、前記附属物の接合部の間に加熱体を挿入して前記接合部を溶融する加熱溶融工程と、前記加熱溶融工程後に前記加熱体を待避させて、前記可動型を前記固定型に対して型締めして前記附属物の接合部を融着すると共に、前記本体部の接合部に溶融樹脂を射出して接合する2次成形工程とから構成される。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の成形方法において、前記1次成形工程時に、前記附属物の融着用の接合部は、前記本体部の射出成形用の接合部よりも所定量だけ高くなるように、そして請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の成形方法において、前記加熱溶融工程時に、ハロゲンランプまたはカーボンヒータからなる加熱体を使用するように構成される。
【0009】
請求項4に記載の発明は、固定型と可動型とからなる型装置と、加熱体との組み合わせからなる中空成形品の成形装置であって、前記可動型は、前記固定型に対して型開閉されると共に、スライド的に駆動されるように構成され、これらの金型のパーティングラインの間には一対の半中空成形品を、その本体部の開口部には射出成形用の接合部を、そのリブ、突起物、仕切壁等の付属物の突合部には融着用の接合部を有するように成形するためのキャビティが形成され、前記キャビティには1次成形用の溶融樹脂が、そして前記本体部の開口部の接合部には2次成形用の溶融樹脂が射出・充填されるように構成され、前記加熱体は、前記可動型が前記固定型に対して所定の位置を採るとき、前記固体型と可動型との間に挿入されて、前記付属物の突合部の融着用の接合部を加熱し、そして前記固定型と可動型との間から待避させるように構成される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によると、1次成形工程により成形された一方の半中空成形品が金型に残っている状態で他の金型に残っている他方の半中空成形品に所定の間隔をおいて対向させて、附属物の接合部の間に加熱体を挿入して前記接合部を溶融する加熱溶融工程と、前記加熱溶融工程後に前記加熱体を待避させて、前記可動型を前記固定型に対して型締めして前記附属物の接合部を融着すると共に、前記本体部の接合部に溶融樹脂を射出して接合する2次成形工程とから構成されているので、すなわち内部に付属品を有する中空成形品も、1次成形した同じ金型内で2次成形もするので、専用の溶着用の金型を必要としない。したがって、本発明によると、半中空成形品のインサートの問題も、中空成形品の寸法精度の問題も、さらには接合部の強度の問題もなく、高品質の、内部に付属品を有する中空成形品を安価に成形できるという、本発明に特有の効果が得られる。また、本体部の接合は2次射出成形により接合されるので、接合強度と共に外観形状に優れた中空成形品が得られる。他の発明によると、附属物の融着用の接合部は、本体部の射出成形用の接合部よりも所定量だけ高くなるように成形されているので、上記のような効果に加えて、溶融後に可動型を固定型に対して型締めすると、確実に融着されるという効果が得られる。ハロゲンランプまたはカーボンヒータからなる加熱体を使用する発明によると、これらのヒータは熱応答性に優れているので、成形サイクルを短縮することができ、また固定型と可動型の間に挿入してから通電を開始することもできる。すなわち、待避させている間はオフにし、挿入と共に通電を開始しても、瞬時に溶融することができ、成形サイクルが長くなることなく、省エネ成形もできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、説明を簡単にするために、同じ形状で、同じ大きさの一対の半中空成形品から、内部に付属物として仕切壁を有する中空成形品の成形例について説明する。本実施の形態に係る成形装置1は、図1の(ア)に示されているように、固定型2と、この固定型2に対して型開閉されると共にスライド的に上下方向に駆動される可動型20と、図2に示されている加熱装置30とから構成されている。固定型2のパーティングラインP側の上方位置には、一方の半中空成形品を成形するための、所定大きさの固定側凹部3が形成されている。この固定側凹部3の下方の、パーティングラインP側には他方の半中空成形品を成形するための固定側コア5が形成されている。
【0012】
固定側コア5は、可動型20の方へ突き出た比較的大きな2つの第1、2のコア6、7と、小さな小コア8とからなっている。第1、2のコア6、7は、1次成形位置では、後述する所定大きさの可動型凹部の中心部に位置し、これらの第1、2のコア6、7と可動型凹部と共働して、2個の凹部を有する半中空成形品が成形されることになる。第1、2のコア6、7は、所定間隔だけ離れている。これにより、所定厚さの仕切壁が本体部分と一体的に成形されることになる。小コア8は、第1、2のコア6、7と所定の間隔をおいて、その外側に形成されている。この小コア8により、本体部の接合部に2次成形用の溶融樹脂が充填される充填空間部が成形される。
【0013】
図1の(ア)は、1次成形位置において、可動型20が固定型2に対して型閉じされた状態を示す断面図であるが、同図に示されているように、可動型20のパーティングラインP側には、固定側凹部3に対応した可動側コア25が設けられている。可動側コア25は、前述した固定側コア5と向きが逆になっているだけで、同じ形状および同じ大きさに形成されている。すなわち、比較的大きな2つの第1、2のコア26、27と、小さな小コア28とからなっている。第1、2のコア26、27は、固定側凹部3の中心部に位置し、これらのコア26、27の外周面は固定側凹部3の内周面よりも、中空成形品の肉厚分だけ小さくなっている。これらの第1、2のコア26、27と固定側凹部3とにより2個の凹部を有する一方の半中空成形品が成形されることになる。第1、2のコア26、27は、所定間隔だけ離れている。これにより、所定厚さの仕切壁が成形されることになる。小コア28は、第1、2のコア26、27と所定の間隔をおいて、その外側に形成され、小コア28の外周面は固定側凹部の3の内周面に密接している。この小コア28により、本体部の接合部に2次成形用の溶融樹脂が充填される充填空間部が成形される。
【0014】
可動型20のパーティングラインP側の下方位置には、固定側コア5に対応して可動側凹部23が設けられている。可動側凹部23と固定側コア5との間の大きさ、形状等の関係は、固定側凹部3と可動側コア25との関係と同じであるので、重複説明はしない。可動型20のパーティングラインP側の下方位置には、2次成形時に固定側コア5を逃すための比較的大きな逃げ凹部24が形成されている。
【0015】
このように構成されている固定型2には、該型2に平行に1次成形用のランナ10が設けられ、このランナ10から固定型2を横切るように延びている第1のスプル11はゲートを介して固定側凹部3に開口し、第2のスプル12は同様にゲートを介して第1のコア6の頂部に開口している。また、固定型2には2次成形用のスプル13が設けられ、このスプル13はパーティングラインPに形成されているランナ14およびゲートを介して固定側凹部3の側部に開口している。
【0016】
図2に、加熱装置30の実施の形態が示されている。本実施の形態に係る加熱装置30は、熱応答性に優れたカーボンヒータ、ハロゲンヒータ等からなる加熱体31を備えている。加熱体31を構成しているカーボンヒータあるいはハロゲンヒータからなる発熱源32は、仕切壁の融着部の形状に合った形状に配置され、全体としては平板状に構成されている。したがって、固定型2と可動型20の間隔が狭くても挿入することができ、仕切壁の融着部を効率的に加熱溶融することができる。このように構成されている加熱体31は、電力供給ライン33、33により加熱制御装置34に接続され、制御された電力が供給されるようになっている。例えば、加熱体31が固定型2と可動型20との間に挿入されると、所定の電力が供給され、待避されるとオフするように、あるいは供給電力を減らすように制御される。加熱体31を固定型2と可動型20との間に挿入および待避させるために、加熱体駆動装置が設けられている。加熱体駆動装置は、ピストンシリンダユニット35と、このピストンシリンダユニット35に作動油を給排する油圧装置36と、ピストンシリンダユニット35から出ているピストンロッド37とから構成され、ピストンロッド37により往復動的に駆動される支持体38に加熱体31が取り付けられている。油圧装置36は、油圧ポンプ、弁等から構成され、図示されない制御装置からの信号によりピストンシリンダユニット35に作動油が給排され、加熱体31が往復的に駆動されるようになっている。
【0017】
次に、上記実施の形態の作用について説明する。図1の(ア)に示されているように可動型20を、下方の1次成形位置へスライド的に駆動して固定型2に対して型締めする。1次成形位置で型締めされた状態が図1の(ア)に示されている。このようにして型締めすると、固定側凹部3と可動側コア25とにより、一方の本体部を成形するためのキャビティChと、仕切壁を成形するためのキャビティCsとが構成される。これらのキャビティCh、Csは、連通したキャビティを構成している。また、小コア28により、本体部の開口部の近傍のキャビティChの外周部は一部切り欠かれる。同様に、固定側コア5と可動側凹部23とにより、他方の本体部を成形するためのキャビティChと仕切壁を成形するためのキャビティCsとが構成される。小コア8により本体部の開口部の近傍のキャビティChの外周部は一部切り欠かれる。
【0018】
1次成形用の溶融樹脂を、ランナ10から第1、2のスプル11、12を介してキャビティCh、Csに射出充填する。図1の(イ)に示されているように、本体部Hと仕切壁Wとからなる一対の半中空成形品T1、T2が実質的に同時に成形される。このようにして成形すると、半中空成形品Hの開口部は接合部Sになっているが、本実施の形態によると、接合部の外周部の一部は切り落とされた形になっている。また、仕切壁Wの頂部あるいはパーティングラインP側は融着部Mになっている。ある程度の固化を待って、可動型20を開いて、図1の(イ)に示されている2次成形位置へ駆動する。この2次成形位置は一対の半中空成形品T1、T2は整合する。固定型2と可動型20との間隔を所定間隔に保持して、仕切壁W、Wの融着部M、M間に加熱体31を挿入し、融着部M、Mを溶融する。加熱体31を待避する。そうして、図1の(ウ)に示されているように、型締めする。そうすると、一対の仕切壁W、Wは、融着部M、Mにおいて融着される。
【0019】
上記のようにして成形するとき、加熱体31は待避しているときは加熱制御装置34により低温状態あるいはオフ状態に保持されているが、ピストンシリンダユニット35により固定型2と可動型20との間に挿入されると同時に所定の電力が供給される。本実施の形態によると、加熱体31はハロゲンランプまたはカーボンヒータからなるので、瞬時に所定の温度になり、融着部M、Mは溶融される。
【0020】
上記のように型締めすると、一対の仕切壁W、Wは、融着部M、Mにおいて融着される。型締めの完了と略同時に2次成形用の溶融樹脂をスプル13から射出する。2次成形用の溶融樹脂は、本体部H、Hの接合部S、Sの充填空間部JKに充填される。これにより、本体部H、Hは射出成形により接合される。冷却固化を待って可動型20を開くと、内部の仕切壁W、Wは熱融着され、本体部H、Hは射出成形により接合され、内部に仕切壁を有する中空成形品が得られる。
【0021】
上記実施の形態では、仕切壁W、Wの突合部あるいは融着部M、Mの頂部は、パーティング面Pと略同じ高さになっているが、あるいは本端部の接合部と同じ高さになっているが、所定量だけ高くして圧縮状態で融着するように実施することもできる。また、仕切壁と同様にしてリブ、突起物等を成形できることは明らかである。さらには、一対の半中空成形品を複数組成形して、複数個の中空成形品を同時に成形できることも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る成形装置の金型を示す断面図で、その(ア)は1次成形位置で金型を閉じた状態で、その(イ)は2次成形位置へ移動した金型を開いた状態で、そしてその(ウ)は2次成形位置で金型を閉じた状態でそれぞれ模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る加熱装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
2 固定型 3 固定側凹部
5 固定側コア 20 可動型
23 可動側凹部 25 可動側コア
31 加熱体
Ch、Cs キャビティ T1、T2 半中空成形品
H、H 本体部 W、W 半仕切壁
M、M 融着部 S、S 接合部
JK 接合空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の半中空成形品の本体部の開口部を接合すると共に、前記本体部に一体的に成形されているリブ、突起物、仕切壁等の一対の附属物の突合部を接合して、内部に前記付属物を有する中空成形品を成形する成形方法であって、 該成形方法は、
固定型と可動型とで構成されるキャビティに溶融樹脂を射出充填し、一対の半中空成形品を、その本体部の開口部には射出成形用の接合部を、その付属物の突合部には融着用の接合部を有するように射出成形する1次成形工程と、
前記1次成形工程により成形された一方の半中空成形品が金型に残っている状態で他の金型に残っている他方の半中空成形品に所定の間隔をおいて対向させて、前記附属物の接合部の間に加熱体を挿入して前記接合部を溶融する加熱溶融工程と、
前記加熱溶融工程後に前記加熱体を待避させて、前記可動型を前記固定型に対して型締めして前記附属物の接合部を融着すると共に、前記本体部の接合部に溶融樹脂を射出して接合する2次成形工程とからなることを特徴とする、中空成形品の成形方法。
【請求項2】
請求項1に記載の成形方法において、前記1次成形工程時に、前記附属物の融着用の接合部は、前記本体部の射出成形用の接合部よりも所定量だけ高くなるように成形する、中空成形品の成形方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の成形方法において、前記加熱溶融工程時に、ハロゲンランプまたはカーボンヒータからなる加熱体を使用する、中空成形品の成形方法。
【請求項4】
固定型と可動型とからなる型装置と、加熱体との組み合わせからなる中空成形品の成形装置であって、
前記可動型は、前記固定型に対して型開閉されると共に、スライド的に駆動されるように構成され、これらの金型のパーティングラインの間には一対の半中空成形品を、その本体部の開口部には射出成形用の接合部を、そのリブ、突起物、仕切壁等の付属物の突合部には融着用の接合部を有するように成形するためのキャビティが形成され、
前記キャビティには1次成形用の溶融樹脂が、そして前記本体部の開口部の接合部には2次成形用の溶融樹脂が射出・充填されるように構成され、
前記加熱体は、前記可動型が前記固定型に対して所定の位置を採るとき、前記固体型と可動型との間に挿入されて、前記付属物の突合部の融着用の接合部を加熱し、そして前記固定型と可動型との間から待避させるようになっている、中空成形品の成形装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−64267(P2010−64267A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230033(P2008−230033)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】