乗用型耕耘機
【課題】耕耘用のローターの昇降に伴って各部が動いたり各部の間隔が変化したときに、動力伝達装置がそれらに素早く追従して動くことができるようにしてローターの迅速な昇降操作を可能とした乗用型耕耘機を提供する。
【解決手段】乗用型耕耘機(A)は、前輪と後輪の間に設けられ昇降動可能な耕耘用のローターと、ローターを昇降動させる昇降操作装置(8)と、ローターを駆動する耕耘駆動系(7)と、前輪を駆動する走行駆動系(5)とを有し、走行駆動系(5)と耕耘駆動系(7)には動力伝達装置(4)で原動機(E)の動力が伝えられ、走行駆動系(5)と耕耘駆動系(7)は一体となって回動軸(56)を中心として回動可能で、動力伝達装置(4)は基端がユニバーサルジョイント(41)を介し動力取出軸(13)に接続されている伸縮可能なドライブシャフト(42)と、ドライブシャフト(42)から伝えられる動力を走行駆動系(5)と耕耘駆動系(7)に分配する動力分配軸とを備えている。
【解決手段】乗用型耕耘機(A)は、前輪と後輪の間に設けられ昇降動可能な耕耘用のローターと、ローターを昇降動させる昇降操作装置(8)と、ローターを駆動する耕耘駆動系(7)と、前輪を駆動する走行駆動系(5)とを有し、走行駆動系(5)と耕耘駆動系(7)には動力伝達装置(4)で原動機(E)の動力が伝えられ、走行駆動系(5)と耕耘駆動系(7)は一体となって回動軸(56)を中心として回動可能で、動力伝達装置(4)は基端がユニバーサルジョイント(41)を介し動力取出軸(13)に接続されている伸縮可能なドライブシャフト(42)と、ドライブシャフト(42)から伝えられる動力を走行駆動系(5)と耕耘駆動系(7)に分配する動力分配軸とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型耕耘機に関するものである。更に詳しくは、小型でありながら、耕耘用のローターの昇降に伴って各部が動いたり、各部の間隔が変化したときに、動力伝達装置がそれらに素早く追従して動くことができる構造を有することにより、ローターの迅速な昇降操作を可能とし、走行や耕耘作業の際のローターの高さの調節を簡単に行うことができるようにすると共に、例えばローターが異物を噛み込んだり乗り上げる等、緊急の事態が起こったときにも、ローターを素早く上昇させる等の迅速かつ適切な対応が可能で安全性も高い乗用型耕耘機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば家の庭で行うような小さな規模の家庭菜園ばかりでなく、やや規模の大きな家庭菜園にも人気がある。このような家庭菜園では、小型の耕耘機が多く使用されている。使用される耕耘機は、簡易な構造で価格も安い手押し型のものが一般的であるが、運転する際に身体にあまり負担がかからない乗用型のものも好まれている。乗用型の耕耘機には、小型化を図るために、耕耘用のローターが前後の走行輪、つまり駆動輪と従動輪との間に設けられているものがある(特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1の乗用型耕耘機は、エンジン付きの駆動部フレームに駆動車輪とスパイラルローターを前後方向に並設し、運転席を載せた操向部フレームに操向車輪を架設し、これら駆動部フレームと操向部フレームを横方向の連結ピンにより屈伸自在に連結して駆動車輪と操向車輪の間にスパイラルローターを配置し、操向部フレームにハンドルを取付けて運転席正面にのぞませると共に、このハンドルを操向車輪に連絡してなるもので、スパイラルローターを装着する際に、取付調整に特に熟練を必要とせず、また運転席で監視しながら、簡単にスパイラルローターの高さを調整することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平8−149901
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の乗用型耕耘機には、次のような課題があった。
スパイラルローター、すなわち耕耘用のローターの昇降操作は、ネジ昇降器を回して行う構造であるので、スパイラルローターの昇降の速度があまりにも遅い。これにより、耕耘作業の際のスパイラルローターの高さの調節に手間取るばかりでなく、例えば耕耘作業中にスパイラルローターが異物を噛み込んだり乗り上げる等、緊急の事態が起こったときに、スパイラルローターを素早く上昇させる等の適切な操作を迅速に行うことができないおそれがあり、安全性にも問題がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、乗用型耕耘機において、小型でありながら、耕耘用のローターの昇降に伴って各部が動いたり、各部の間隔が変化したときに、動力伝達装置がそれらに素早く追従して動くことができる構造を有することにより、ローターの迅速な昇降操作を可能とし、走行や耕耘作業の際のローターの高さの調節を簡単に行うことができるようにすると共に、例えばローターが異物を噛み込んだり乗り上げる等、緊急の事態が起こったときにも、ローターを素早く上昇させる等の迅速かつ適切な対応が可能で安全性も高い乗用型耕耘機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
本発明は、
前輪及び後輪と、
前輪と後輪の間に設けられ、昇降動可能な耕耘用のローターと、
ローターを昇降動させる昇降操作装置と、
ローターを駆動する耕耘駆動系と、
前輪と後輪のうち駆動輪となる側を駆動する走行駆動系と、
を有する乗用型耕耘機であって、
走行駆動系と耕耘駆動系には、
動力伝達装置を介し原動機の動力が伝えられ、
動力伝達装置は、
所要のストロークで伸縮が可能であり、基端側がユニバーサルジョイントを介して動力取出軸に接続されているドライブシャフトと、
ドライブシャフトから伝えられる動力を走行駆動系と耕耘駆動系に分配する動力分配軸と、
ローターの昇降に伴いドライブシャフトの角度が変化したときにドライブシャフトの動力を動力分配軸に伝える手段と、
を有している、
乗用型耕耘機である。
【0008】
本発明は、
駆動輪である前輪と、
後輪と、
前輪と後輪の間に設けられ、昇降動可能な耕耘用のローターと、
ローターを昇降動させる昇降操作装置と、
ローターを駆動する耕耘駆動系と、
前輪と後輪のうち駆動輪となる側を駆動する走行駆動系と、
を有する乗用型耕耘機であって、
走行駆動系と耕耘駆動系には、
動力伝達装置を介し原動機の動力が伝えられ、
動力伝達装置は、
所要のストロークで伸縮が可能であり、基端側がユニバーサルジョイントを介して動力取出軸に接続されているドライブシャフトと、
ドライブシャフトから伝えられる動力を走行駆動系と耕耘駆動系に分配する動力分配軸と、
ローターの昇降に伴いドライブシャフト)の角度が変化したときにドライブシャフトの動力を動力分配軸に伝える手段と、
を有しており、
運転席は前輪の後ろ側の上方に配され、足操作のデフロックペダルとブレーキ連動クラッチペダルは前輪の前側に配されたステップに設けられており、操舵用ハンドルのハンドル軸はデフロックペダルとブレーキ連動クラッチペダルの間から上方へ延ばされており、原動機は後輪の上方に配されている、乗用型耕耘機である。
【0009】
本発明の乗用型耕耘機は、
ローターの昇降に伴いドライブシャフトの角度が変化したときにドライブシャフトの動力を動力分配軸に伝える手段が、ドライブシャフトによって駆動され、その動力が動力分配軸に伝えられる中継軸を有しており、
ドライブシャフトと中継軸は軸方向が交わっており、ドライブシャフトと中継軸は両軸間で動力伝達をするためのベベルギヤを有し、中継軸は、ドライブシャフトがローターの昇降動に伴って回動し角度が変化するときの回動中心となる構造であるのが好ましい。
【0010】
本発明の乗用型耕耘機は、
ローターを昇降動させる昇降操作装置が昇降操作ハンドルを有しており、昇降操作ハンドルは、ローターの高さを保った状態で、昇降操作ハンドルを運転席への乗り降りの邪魔にならない位置へ回避させることができる可動手段を有しているのが好ましい。
【0011】
(作用)
本発明に係る乗用型耕耘機の作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0012】
本発明の乗用型耕耘機は、前輪と後輪の間に耕耘用のローターを備えており、全体にコンパクトな作りとすることができる。また、前輪と後輪のうち、どちらが駆動輪でもよい。
乗用型耕耘機は、動力伝達装置によって原動機の動力が走行駆動系と耕耘駆動系に伝達され、走行駆動系と駆動側の車輪及び耕耘駆動系とローターが駆動される。そして、走行中または停止中のローターの昇降操作は、運転者が昇降操作装置を操作して行うことができる。
【0013】
ローターは、耕耘駆動系と共に例えば軸を中心として昇降回動する構造とすることができる。この場合は、例えば動力分配軸とローター軸との距離を変化させないで両軸間で動力を伝達できる状態を維持することができる。また、仮にローターをチェーンやベルトを介し駆動する場合、それらのテンションを調節するための機構(テンションスプロケット、テンションプーリー等)が不要である。
【0014】
さらに、原動機の動力を外部へ取り出すための動力取出軸に接続されたドライブシャフトは、ローターが昇降することによって、基端側がユニバーサルジョイントによって所要の角度範囲で回動し角度が変化する。ドライブシャフトは、このように角度が変わっても中継軸等の手段を介して分配軸へ動力を伝達できるようになっている。
【0015】
これにより、耕耘用のローターの昇降に伴って各部が動いたり、各部の間隔が変化したときに、動力伝達装置を構成するドライブシャフト、中継軸あるいはその接続部分等が素早く追従して動くことができる。これにより、ローターの迅速な昇降操作が可能であり、耕耘作業の際のローターの高さの調節を簡単に行うことができる。
【0016】
また、運転席は前輪の後ろ側に配され、足操作のデフロックペダルとブレーキ連動クラッチペダルは前輪の前側に配されたステップに設けられており、操舵用ハンドルのハンドル軸はデフロックペダルとブレーキ連動クラッチペダルの間から上方へ延ばされており、原動機は後輪の上方に配されているものは、乗用型耕耘機のさらなるコンパクト化を図ることができる。
【0017】
すなわち、運転席が前記位置にあるため、運転者が操作する操作系を構成する操舵用ハンドル、デフロックペダル、ブレーキ連動クラッチペダル等が前輪の周りに集約される。また、重量の重い原動機は後輪側に配されているが、運転席が車体前部の前輪のすぐ後ろ側にあるので、運転者の体重により駆動輪である前輪に十分な荷重をかけることができる。この構造によれば、乗用型耕耘機は走行に必要な良好な荷重バランスを有しており、しかも操作系を前輪の周りに集約することにより、耕耘機のコンパクト化を図ることができる。
【0018】
ローターの昇降に伴いドライブシャフトの角度が変化したときにドライブシャフトの動力を動力分配軸に伝える手段が、ドライブシャフトによって駆動され、その動力が動力分配軸に伝えられる中継軸を有しており、ドライブシャフトと中継軸は軸方向が交わっており、ドライブシャフトと中継軸は両軸間で動力伝達をするためのベベルギヤを有し、中継軸は、ドライブシャフトがローターの昇降動に伴って回動し角度が変化するときの回動中心となる乗用型耕耘機は、その構造に、ドライブシャフトと中継軸間で動力を伝達する機能及び動力伝達装置を構成するドライブシャフトが中継軸を回動中心として回動できるようにする機能の両方の機能を持たせることができる。
【0019】
ローターを昇降動させる昇降操作装置が昇降操作ハンドルを有しており、昇降操作ハンドルは、ローターの高さを保った状態で、昇降操作ハンドルを運転席への乗り降りの邪魔にならない位置へ回避させることができる可動手段を有している乗用型耕耘機は、昇降操作ハンドルを回避させることによって、運転者は運転席への乗り降りが素早く容易にできる。また、例えば乗り降りの際に過って昇降操作ハンドルと接触し、ローターを下降させてしまうなどの危険も避けることができる。
【発明の効果】
【0020】
(a)本発明の乗用型耕耘機は、耕耘用のローターの昇降に伴って各部が動いたり、各部の間隔が変化したときに、動力伝達装置がそれらに素早く追従して動くことができる構造を有している。これにより、ローターの迅速な昇降操作が可能であり、耕耘作業の際のローターの高さの調節を簡単に行うことができる。したがって、例えばローターが異物を噛み込んだり乗り上げる等、緊急の事態が起こったときにも、ローターを素早く上昇させる等の迅速かつ適切な対応が可能であり安全性が高い。
【0021】
(b)運転席は前輪の後ろ側に配され、足操作のデフロックペダルとブレーキ連動クラッチペダルは前輪の前側に配されたステップに設けられており、操舵用ハンドルのハンドル軸はデフロックペダルとブレーキ連動クラッチペダルの間から上方へ延ばされており、原動機は後輪の上方に配されているものは、操作系を前輪の周りに集約することによって、乗用型耕耘機のコンパクト化を図ることができる。
【0022】
(c)請求項3の乗用型耕耘機は、動力伝達装置を構成するドライブシャフトと中継軸間で動力を伝達する構造に、ドライブシャフトが中継軸を回動中心として回動できるようにする機能を持たせることができる。これにより、動力伝達装置の簡略化及びコンパクト化を図ることができる。
【0023】
(d)請求項4の乗用型耕耘機は、昇降操作ハンドルを回避させることによって、運転者は運転席への乗り降りが素早く容易にできる。また、例えば乗り降りの際に過って昇降操作ハンドルと接触し、ローターを下降させてしまうなどの危険も避けることができ、安全性にもすぐれている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を図に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
図1は本発明に係る乗用型耕耘機の実施の形態を示す前方斜視図、
図2は乗用型耕耘機の後方斜視図、
図3は乗用型耕耘機の正面図、
図4は乗用型耕耘機の背面図、
図5は乗用型耕耘機の右側面図、
図6は乗用型耕耘機の左側面図、
図7は乗用型耕耘機の平面図、
図8は乗用型耕耘機の底面図である。
【0025】
乗用型耕耘機Aは、車体フレーム1を有し、車体フレーム1の後部の後述する後輪3の上方(詳しくは、各後輪3の間の上方)には原動機Eが搭載されている。乗用型耕耘機Aは、四輪で走行する構造であり、二輪で構成される前輪2は、駆動輪であり、かつ操舵輪である。また、二輪で構成される後輪3は、従動輪である。
前輪2の駆動は、原動機Eの動力を駆動力伝達装置4及び走行駆動系5(後述、図9、図10等参照)により伝えて行われる。また、前輪2の操舵は、操舵装置9を操作することにより行われる。
【0026】
各前輪2と各後輪3の間、かつ運転席10の真下には、耕耘用のローター6が昇降可能に設けられている。ローター6の駆動は、原動機Eの動力を駆動力伝達装置4及び耕耘駆動系7(後述、図9、図11等参照)により伝えて行われる。ローター6の昇降は、昇降操作装置8を操作することにより行われる。なお、符号10は運転席である。以下、前記各部のそれぞれについて詳細に説明する。
【0027】
図9は乗用型耕耘機の駆動伝達装置、走行駆動系及び耕耘駆動系の構造を示し、ローター上昇時の説明図、
図10は図9に示す構造の平面視説明図、
図11は図9に示す構造の背面視説明図である。
【0028】
図12は乗用型耕耘機の駆動伝達装置、走行駆動系及び耕耘駆動系の構造を示し、ローター下降時の説明図、
図13は乗用型耕耘機のローターを上昇させた状態を示す説明図、
図14はローターを上昇させた状態で昇降操作ハンドルを逃がし操作した状態を示す説明図、
図15は乗用型耕耘機のローターを下降させた状態を示す説明図、
図16は昇降操作ハンドルの構造を示す説明図、
図17は操舵用ハンドルを前方側へ傾斜させた状態を示す説明図、
図18は操舵装置の構造を示す説明図である。
【0029】
図9ないし図12を主に参照して、駆動力伝達装置4、走行駆動系5、耕耘駆動系7及び昇降操作装置8の構造を説明する。
原動機Eの動力取出軸(PTO軸)13には、駆動力伝達装置4が接続されている。駆動力伝達装置4は、ユニバーサルジョイント41、ドライブシャフト42、中継軸43(図11、図12参照)、ギヤボックス44を備えている。
【0030】
ドライブシャフト42は、動力取出軸13にユニバーサルジョイント41を介在させて基端部が接続されている。ドライブシャフト42は、先端側を車体の前方へ向けて設けられている。ドライブシャフト42は、中間部分がスプライン構造となっており、所要のストロークで伸縮が可能である。ドライブシャフト42の先端部は、後述する中継軸43が通されているギヤボックス44に導入されている。
【0031】
一方、車体フレーム1には、ドライブシャフト42より前方側に走行駆動系5と耕耘駆動系7が設けられている。走行駆動系5は、幅方向中央にチェーンケース50を有し、その左右両側(図10で上下側)にチェーンケース51、52を備えている。また、耕耘駆動系7は、チェーンケース70を有している。
【0032】
チェーンケース70は後述するようにチェーンケース50に固定され、一体となって昇降回動ができるようになっている。チェーンケース50とチェーンケース70が相互に成す角度は、所要角度(本実施の形態では鋭角)で固定されている。なお、各チェーンケース50、51、52、70は、走行時や耕耘時にかかる力や荷重に耐える十分な強度を有している。
【0033】
チェーンケース51、52は、車体フレーム1の前部の左右両側に、それぞれブラケット11を介して固定されている(図2を参照)。チェーンケース51、52は、長手方向が走行面(または地面)に対し前方へ45°で下り傾斜するように角度が設定されている。
チェーンケース51、52の下部には、チェーン駆動される車軸54がそれぞれ設けられており、各車軸54には前輪2が取り付けられている。なお、前輪2の方向を変える操舵装置9については後述する。
【0034】
前記チェーンケース51、52を車体フレーム1に固定した構造を採用することで、比較的小さな車輪でも最低地上高(本実施の形態では165mm)を確保することができる。なお、チェーンケース51、52の間には、補強用のバー58(図3参照)が両端部をチェーンケース51、52に固着して設けられている。
【0035】
中央のチェーンケース50先部の左右両側には、幅方向へ水平に突出させて軸受55が設けられている。軸受55には回動軸56が回動可能に通されており、回動軸56の両端部は、チェーンケース51、52の上部に固着されている。この構造により、チェーンケース50は、前記チェーンケース70と一体となって、回動軸56を中心として上下方向(縦方向)へ所要の角度範囲で回動が可能であり、これによりチェーンケース70先部のローター6が昇降する。
【0036】
なお、チェーンケース50には、乗用型耕耘機Aの前進、後進及び変速比を操作するための走行操作装置57(図1〜図7参照)が一体に設けられている。走行操作装置57は、操作レバー570を有しており、前記ローター6の昇降操作に伴ってチェーンケース50と共に前後方向へ動くようになっている(図13、図15等参照)。
【0037】
チェーンケース50の上部には、動力分配軸53が幅方向へ水平に軸支されている。動力分配軸53の一端部(図10で上端部)には、プーリー530が取り付けられている。
また、チェーンケース50には、軸取付具45が固定されている。軸取付具45には、前記動力分配軸53と平行に、やや長尺に形成された軸受46が基端部を固定して取り付けられている。軸受46には、前記中継軸43が軸支されている。
【0038】
また、軸受46の先端部には、前記ギヤボックス44が軸受46の軸周方向に回動できるようにして取り付けられている。ギヤボックス44の内部においては、前記ドライブシャフト42の先端軸(図示省略)と中継軸43の先部が、それらの軸方向が直角に交わるようにして収められている。
【0039】
ドライブシャフト42の先端軸の回転力は、ギヤボックス44内部に配され両軸に固定されているベベルギヤ(図示省略)を介して中継軸43に伝わるようになっている。
この構造によれば、ドライブシャフト42は中継軸43を回動中心として上下方向(縦方向)に所要の角度範囲で回動可能である。また、ドライブシャフト42は、前記したように基端部がユニバーサルジョイント41を介して動力取出軸13に接続されているので、上下方向(縦方向)に所要の角度で傾斜することができ、傾斜した状態でも中継軸43に回転力(動力)を伝えることができる。
【0040】
さらに、この構造によれば、ドライブシャフト42と中継軸43間で動力を伝達する機能及びドライブシャフト42が中継軸43を回動中心として回動できるようにする機能の両方の機能を持たせることができる。これにより、例えば各機能にそれぞれ専用の機構部を有する場合と比較して、動力伝達装置4のコンパクト化及びメンテナンスフリー化を図ることができる。
【0041】
中継軸43の一端部(図10で上端部)には、プーリー430が取り付けられている。プーリー430と、前記動力分配軸53のプーリー530には、ベルト47が回し掛けられており、ベルト47はテンションプーリー48によって動力の入・切に必要な動作が可能となっている。
【0042】
耕耘駆動系7のチェーンケース70は、前記したように走行駆動系5のチェーンケース50に所要の角度で固定されている。チェーンケース70の先部には、ローター6が設けられている。ローター6はローター軸60を有している。ローター軸60は、チェーンケース70に幅方向へかつ水平に貫通させてあり、チェーンケース70に中間部が軸支されている。ローター軸60には、多数の耕耘刃61が取り付けられている。なお、ローター6は同軸正逆型で、内側(中心寄り)の耕耘刃は逆転し、外側の耕耘刃は正転する構造となっている。これにより、比較的軽い乗用型でもダッシングすることなく安定した作業ができる。また、符号62は、耕耘刃61の回転範囲の上部側を覆うカバーである。
【0043】
なお、前記走行駆動系5のチェーンケース51、52の下部に設けられている各車軸54及び前記耕耘駆動系7のチェーンケース70の先部に設けられているローター軸60の各軸は、動力分配軸53に伝えられる動力(回転力)が、各チェーンケース内の回転軸、ギヤ、スプロケット、チェーン(いずれも図示省略)からなるギヤ・チェーン駆動構造を介して伝えられ駆動される。この際、動力分配軸53の回転は適宜減速され、各車軸54とローター軸60は大きな駆動力が得られる。
【0044】
ローター6の昇降操作は、昇降操作装置8を操作することにより行われる。
昇降操作装置8は、車体フレーム1に軸受具80(図2に図示)によって取り付けられた操作軸81を有している。操作軸81は、車体の幅方向へ水平に軸支されている。操作軸81には、長手方向に所要の間隔をおいて、アーム板83(図16参照)及び操作アーム板84が取り付けられている。アーム板83及び操作アーム板84は、操作軸81に対し、軸周方向へ所要の角度をもって設けられ、それぞれ基部が操作軸81の軸周方向へ動かないように取り付けられている。
【0045】
操作軸81の一端部(図10で上端部)には、昇降操作ハンドル82が基端の管体部(符号省略)を操作軸81に嵌めて操作軸81に沿って移動可能かつ軸周方向へ回動可能に取り付けられている。昇降操作ハンドル82は、基部寄りで運転席10から離れるように外側へ曲げられている(図7、図10参照)。昇降操作ハンドル82の先部には、ロックレバー85が設けられている。
【0046】
なお、後述するガスダンパ86(図13参照)は、ロックレバー85を握って閉じ操作することによりロッド部の伸縮ができる状態になり、握りを解除して開いた状態に戻ることによりロッド部が固定され、ロック状態となる構造である。ロッド部は、流体の移動抵抗を利用することにより、縮む方向へはストロークに関わらず大きな力で付勢されるようになっている。
【0047】
昇降操作ハンドル82は、ガスダンパ86の機能を利用して所要角度で固定でき、これによって、後述するようにローター6の高さを適宜調節または設定することができる。上昇しているローター6は、ガスダンパ86のガス圧による反発方向のバネ作用で支えられている。なお、ガスダンパ86の代わりに、同様の機能を有する他の代替機器を採用することもできる。
【0048】
また、操作軸81に対する昇降操作ハンドル82の取付構造は、昇降操作ハンドル82を外側にスライド操作することによって操作軸81に対する固定が解除され、操作軸81の軸周方向へ回動させることができるものである。また、前記と逆の操作をすることによって、昇降操作ハンドル82を元のように操作軸81に対し固定することができる。
【0049】
詳しい構造は次のとおりである(図16参照)。昇降操作ハンドル82は、前記したように基端の管体部を操作軸81に嵌め、操作軸81に対し軸周方向へ回動可能に取り付けられ、かつ軸線方向にスライド可能に取り付けられている。なお、昇降操作ハンドル82は、コイルバネ812によって操作軸81中間方向(図16において右方向)へ付勢されている。
【0050】
昇降操作ハンドル82の基部には係止板820が固定されており、操作軸81には係止板820と隣接するように係止板810が固定されている。昇降操作ハンドル82の係止板820には等間隔で二箇所に係止突起821が設けられ、操作軸81の係止板810には等間隔で三箇所に係止孔811が設けられている。
【0051】
そして、昇降操作ハンドル82は、係止突起821と係止孔811を適宜位置(前後二箇所)で係止することにより、操作軸81と一体となって軸周方向へ回動する。
この構造によれば、ローター6を上昇させた状態、すなわち昇降操作ハンドル82を上方へ引き上げた状態で、昇降操作ハンドル82をコイルバネ812の付勢力に抗して外側にスライドさせて係止突起821と係止孔811の係止を解除し、さらに後方へ回して移動させる(逃がす)ことができる。
【0052】
このようにすれば、昇降操作ハンドル82は、昇降操作ハンドル82が設けられている側から作業者が運転席10に乗り降りする際の動作の邪魔にならない(図14参照)。なお、昇降操作ハンドル82を後方へ回して移動させるときは、昇降操作ハンドル82がふらつかないように係止突起821と係止孔811を前記とは別の位置(後方へ係止孔811を一つずらした位置)で係止してもよい。
【0053】
アーム板83は、係止板810に隣接して設けられている。アーム板83の先端部には、ガスダンパ(ガスシリンダー)86のシリンダー基端部が、相互に上下方向(縦方向)へ回動できるように軸着されている。ガスダンパ86は、車体の前後方向に平行に取り付けられている。ガスダンパ86のロッド先端部は、原動機E横の車体フレーム1に、取付具12を介し上下方向へ回動できるように軸着されている(図13、図14、図15等参照)。
【0054】
この構造によれば、ローター6を下降させるときには、作業者がロックレバー85を握り操作すればよい。昇降操作ハンドル82を手で持ちながらこの操作を行うことにより、ガスダンパ86のロッド部が縮むときの抵抗が作用し、重量のあるローター6をゆっくり下降させることができる。これにより、ローター6が急激に下降し地面と衝突して破損する等の不都合が起こることを防止できる。また、ローター6を上昇させるときには、昇降操作ハンドル82を引き上げ操作する。このときは、ガスダンパ86のロッド部が伸びるので大きな抵抗は作用せず、ローター6を楽に早く動かすことができる。
【0055】
操作アーム板84は、操作軸81の他端部(外側端部)に設けられている。操作アーム板84は、図11等に示すように二箇所で下回りに(下方へ向けて)曲げられて形成されている。操作アーム板84の先端部には、リンク板87の一端部が上下方向(縦方向)へ回動できるようにして軸着されている。リンク板87は、下回りに湾曲させて形成されており、他端部は前記中継軸43が設けられている軸取付具45に相互に上下方向(縦方向)へ回動できるように軸着されている。なお、ローター6が最下部まで降りたときは、図12、図15に示すように、リンク板87は中継軸43を避けて回り込むように収まる。
【0056】
乗用型耕耘機Aの操舵は、操舵装置9を操作することにより行われる。
図18を主に参照して、操舵装置9の構造を説明する。
チェーンケース51、52の下部に設けられている各車軸54には、ユニバーサルジョイント(図示省略)がダブルで(二重に)組み込んである。各車軸54のうち先端軸540は、支持具541によって水平方向に回動可能に支えられており、この先端軸540に前輪2が取り付けられている。これにより、先端軸540の水平方向における回動可能な範囲は、軸線を挟み車体の前後側へそれぞれ約60°となり、各前輪2の切れ角が大きい操舵が可能になる。
【0057】
操舵装置9は、操舵用ハンドル90を有している。操舵用ハンドル90のハンドル軸91(図14参照)は、前輪2のすぐ前側に配されたステップ16に設けられている足操作のデフロックペダル14(運転者にとって左側)とブレーキ連動クラッチペダル15(運転者にとって右側)の間から斜め後ろ上方へやや傾斜させて延ばされている。ステップ16は、車体フレーム1の前部に設けられた床板で構成されている。なお、運転席10は前輪2のすぐ後ろ側の上方に配されている。この構造により、運転席10に座った運転者は、前輪2の前方側へ足を伸ばして座る形となる。
【0058】
ハンドル軸91の回転はピニオン92と扇形ギヤ93によって両リンク棒94に伝えられ、両リンク棒94によって前記支持具541の回動部を動かして各前輪2の角度を変えるようになっている。また、操舵用ハンドル90及びハンドル軸91は、走行時または作業時の状態(図13、図15の状態)から、前方へ回動させて傾斜させることができ、運転者が乗用型耕耘機Aから降りて操舵用ハンドル90の操作をすることが可能である(図17参照)。操舵装置9の構造は、公知構造であるので、前記のような簡単な説明に止めている。
【0059】
なお、後輪3は車体フレーム1の後部に脚部材30によって取り付けられている。脚部材30は、図4に示すように、その中間部を車体フレーム1に対し取付軸31を介して上下方向に揺動可能(スイング可能)に取り付けられている。この構造によれば、乗用型耕耘機Aは、地面(耕耘される面)に多少凹凸があっても、両後輪3が常に地面に接地した状態で走行することができる。
【0060】
(作用)
図1ないし図18を参照して、本実施の形態に係る乗用型耕耘機Aの作用を説明する。
乗用型耕耘機Aは、動力伝達装置4によって原動機Eの動力が走行駆動系5と耕耘駆動系7に伝達され、走行駆動系5と駆動輪である各前輪2及び耕耘駆動系7とローター6が駆動される。
乗用型耕耘機Aを単に走行させるときは、あらかじめ昇降操作装置8の昇降操作ハンドル82を上方へ操作してローター6を上昇させて停止させておき、走行に支障のないようにローター6と走行面との距離を一定に保つようにする。
【0061】
なお、運転者が運転席10に乗り降りするときは、昇降操作ハンドル82を後方へ逃がして邪魔にならないようにする。これにより、運転者は運転席への乗り降りが素早く容易にでき、例えば乗り降りの際に過って昇降操作ハンドル82のロックレバー85と接触し、ローター6を下降させてしまうなどの危険も避けることができる。
【0062】
農地で耕耘作業を行う場合は、昇降操作ハンドル82を下方へ操作してローター6を耕耘できる所定の高さまで下降させる。ローター6は、回動軸56を中心として昇降回動する走行駆動系5と耕耘駆動系7と共に昇降する。走行駆動系5と耕耘駆動系7が昇降動することによって、ドライブシャフト42の角度が変わるが、ドライブシャフト42や中継軸43あるいはその接続部分等が素早く追従して動くことができる。
そして、動力取出軸13から取り出される動力は、中継軸43との前記動力伝達構造及び動力取出軸13との間に設けられているユニバーサルジョイント41の作用によって動力分配軸53に伝達される。
【0063】
また、前記のようにドライブシャフト42や中継軸43あるいはその接続部分等が素早く追従して動くことができることにより、ローター6の迅速な昇降操作が可能であり、走行や耕耘作業の際のローター6の高さの調節を簡単に行うことができる。
したがって、例えば耕耘作業中にローター6が異物を噛み込んだり、異物に乗り上げる等、緊急の事態が起こったときにも、ローター6を素早く上昇させる等の迅速かつ適切な対応が可能であり、安全性が高い。
【0064】
また、運転席10が前記位置にあるため、運転者が操作する操作系を構成する操舵用ハンドル90、デフロックペダル14、ブレーキ連動クラッチペダル15等が前輪2の周りに集約される。また、前記したように重量の重い原動機Eは後輪3側に配されているが、運転席10が車体前部の前輪2のすぐ後ろ側にあるので、運転者の体重により駆動輪である前輪2に十分な荷重をかけることができる。この構造によれば、乗用型耕耘機Aは走行に必要な良好な荷重バランスを有している。しかも前記操作系を前輪2の周りに集約することにより、乗用型耕耘機Aのさらなるコンパクト化を図ることができる。
【0065】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る乗用型耕耘機の実施の形態を示す前方斜視図。
【図2】乗用型耕耘機の後方斜視図。
【図3】乗用型耕耘機の正面図。
【図4】乗用型耕耘機の背面図。
【図5】乗用型耕耘機の右側面図。
【図6】乗用型耕耘機の左側面図。
【図7】乗用型耕耘機の平面図。
【図8】乗用型耕耘機の底面図。
【図9】乗用型耕耘機の駆動伝達装置、走行駆動系及び耕耘駆動系の構造を示し、ローター上昇時の説明図。
【図10】図9に示す構造の平面視説明図。
【図11】図9に示す構造の背面視説明図。
【図12】乗用型耕耘機の駆動伝達装置、走行駆動系及び耕耘駆動系の構造を示し、ローター下降時の説明図。
【図13】乗用型耕耘機のローターを上昇させた状態を示す説明図。
【図14】ローターを上昇させた状態で昇降操作ハンドルを逃がし操作した状態を示す説明図。
【図15】乗用型耕耘機のローターを下降させた状態を示す説明図。
【図16】昇降操作ハンドルの構造を示す説明図。
【図17】操舵用ハンドルを前方側へ傾斜させた状態を示す説明図。
【図18】操舵装置の構造を示す説明図。
【符号の説明】
【0067】
A 乗用型耕耘機
E 原動機
1 車体フレーム
10 運転席
11 ブラケット
12 取付具
13 動力取出軸
14 デフロックペダル
15 ブレーキ連動クラッチペダル
16 ステップ
2 前輪
3 後輪
30 脚部材
31 取付軸
4 駆動力伝達装置
41 ユニバーサルジョイント
42 ドライブシャフト
43 中継軸
430 プーリー
44 ギヤボックス
45 軸取付具
46 軸受
47 ベルト
48 テンションプーリー
5 走行駆動系
50 チェーンケース
51、52 チェーンケース
53 動力分配軸
530 プーリー
54 車軸
540 先端軸
541 支持具
55 軸受
56 回動軸
57 走行操作装置
570 操作レバー
58 バー
6 ローター
60 ローター軸
61 耕耘刃
62 カバー
7 耕耘駆動系
70 チェーンケース
8 昇降操作装置
80 軸受具
81 操作軸
810 係止板
811 係止孔
812 コイルバネ
82 昇降操作ハンドル
820 係止板
821 係止突起
83 アーム板
84 操作アーム板
85 ロックレバー
86 ガスダンパ
87 リンク板
9 操舵装置
90 操舵用ハンドル
91 ハンドル軸
92 ピニオン
93 扇形ギヤ
94 リンク棒
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型耕耘機に関するものである。更に詳しくは、小型でありながら、耕耘用のローターの昇降に伴って各部が動いたり、各部の間隔が変化したときに、動力伝達装置がそれらに素早く追従して動くことができる構造を有することにより、ローターの迅速な昇降操作を可能とし、走行や耕耘作業の際のローターの高さの調節を簡単に行うことができるようにすると共に、例えばローターが異物を噛み込んだり乗り上げる等、緊急の事態が起こったときにも、ローターを素早く上昇させる等の迅速かつ適切な対応が可能で安全性も高い乗用型耕耘機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば家の庭で行うような小さな規模の家庭菜園ばかりでなく、やや規模の大きな家庭菜園にも人気がある。このような家庭菜園では、小型の耕耘機が多く使用されている。使用される耕耘機は、簡易な構造で価格も安い手押し型のものが一般的であるが、運転する際に身体にあまり負担がかからない乗用型のものも好まれている。乗用型の耕耘機には、小型化を図るために、耕耘用のローターが前後の走行輪、つまり駆動輪と従動輪との間に設けられているものがある(特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1の乗用型耕耘機は、エンジン付きの駆動部フレームに駆動車輪とスパイラルローターを前後方向に並設し、運転席を載せた操向部フレームに操向車輪を架設し、これら駆動部フレームと操向部フレームを横方向の連結ピンにより屈伸自在に連結して駆動車輪と操向車輪の間にスパイラルローターを配置し、操向部フレームにハンドルを取付けて運転席正面にのぞませると共に、このハンドルを操向車輪に連絡してなるもので、スパイラルローターを装着する際に、取付調整に特に熟練を必要とせず、また運転席で監視しながら、簡単にスパイラルローターの高さを調整することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平8−149901
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の乗用型耕耘機には、次のような課題があった。
スパイラルローター、すなわち耕耘用のローターの昇降操作は、ネジ昇降器を回して行う構造であるので、スパイラルローターの昇降の速度があまりにも遅い。これにより、耕耘作業の際のスパイラルローターの高さの調節に手間取るばかりでなく、例えば耕耘作業中にスパイラルローターが異物を噛み込んだり乗り上げる等、緊急の事態が起こったときに、スパイラルローターを素早く上昇させる等の適切な操作を迅速に行うことができないおそれがあり、安全性にも問題がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、乗用型耕耘機において、小型でありながら、耕耘用のローターの昇降に伴って各部が動いたり、各部の間隔が変化したときに、動力伝達装置がそれらに素早く追従して動くことができる構造を有することにより、ローターの迅速な昇降操作を可能とし、走行や耕耘作業の際のローターの高さの調節を簡単に行うことができるようにすると共に、例えばローターが異物を噛み込んだり乗り上げる等、緊急の事態が起こったときにも、ローターを素早く上昇させる等の迅速かつ適切な対応が可能で安全性も高い乗用型耕耘機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
本発明は、
前輪及び後輪と、
前輪と後輪の間に設けられ、昇降動可能な耕耘用のローターと、
ローターを昇降動させる昇降操作装置と、
ローターを駆動する耕耘駆動系と、
前輪と後輪のうち駆動輪となる側を駆動する走行駆動系と、
を有する乗用型耕耘機であって、
走行駆動系と耕耘駆動系には、
動力伝達装置を介し原動機の動力が伝えられ、
動力伝達装置は、
所要のストロークで伸縮が可能であり、基端側がユニバーサルジョイントを介して動力取出軸に接続されているドライブシャフトと、
ドライブシャフトから伝えられる動力を走行駆動系と耕耘駆動系に分配する動力分配軸と、
ローターの昇降に伴いドライブシャフトの角度が変化したときにドライブシャフトの動力を動力分配軸に伝える手段と、
を有している、
乗用型耕耘機である。
【0008】
本発明は、
駆動輪である前輪と、
後輪と、
前輪と後輪の間に設けられ、昇降動可能な耕耘用のローターと、
ローターを昇降動させる昇降操作装置と、
ローターを駆動する耕耘駆動系と、
前輪と後輪のうち駆動輪となる側を駆動する走行駆動系と、
を有する乗用型耕耘機であって、
走行駆動系と耕耘駆動系には、
動力伝達装置を介し原動機の動力が伝えられ、
動力伝達装置は、
所要のストロークで伸縮が可能であり、基端側がユニバーサルジョイントを介して動力取出軸に接続されているドライブシャフトと、
ドライブシャフトから伝えられる動力を走行駆動系と耕耘駆動系に分配する動力分配軸と、
ローターの昇降に伴いドライブシャフト)の角度が変化したときにドライブシャフトの動力を動力分配軸に伝える手段と、
を有しており、
運転席は前輪の後ろ側の上方に配され、足操作のデフロックペダルとブレーキ連動クラッチペダルは前輪の前側に配されたステップに設けられており、操舵用ハンドルのハンドル軸はデフロックペダルとブレーキ連動クラッチペダルの間から上方へ延ばされており、原動機は後輪の上方に配されている、乗用型耕耘機である。
【0009】
本発明の乗用型耕耘機は、
ローターの昇降に伴いドライブシャフトの角度が変化したときにドライブシャフトの動力を動力分配軸に伝える手段が、ドライブシャフトによって駆動され、その動力が動力分配軸に伝えられる中継軸を有しており、
ドライブシャフトと中継軸は軸方向が交わっており、ドライブシャフトと中継軸は両軸間で動力伝達をするためのベベルギヤを有し、中継軸は、ドライブシャフトがローターの昇降動に伴って回動し角度が変化するときの回動中心となる構造であるのが好ましい。
【0010】
本発明の乗用型耕耘機は、
ローターを昇降動させる昇降操作装置が昇降操作ハンドルを有しており、昇降操作ハンドルは、ローターの高さを保った状態で、昇降操作ハンドルを運転席への乗り降りの邪魔にならない位置へ回避させることができる可動手段を有しているのが好ましい。
【0011】
(作用)
本発明に係る乗用型耕耘機の作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0012】
本発明の乗用型耕耘機は、前輪と後輪の間に耕耘用のローターを備えており、全体にコンパクトな作りとすることができる。また、前輪と後輪のうち、どちらが駆動輪でもよい。
乗用型耕耘機は、動力伝達装置によって原動機の動力が走行駆動系と耕耘駆動系に伝達され、走行駆動系と駆動側の車輪及び耕耘駆動系とローターが駆動される。そして、走行中または停止中のローターの昇降操作は、運転者が昇降操作装置を操作して行うことができる。
【0013】
ローターは、耕耘駆動系と共に例えば軸を中心として昇降回動する構造とすることができる。この場合は、例えば動力分配軸とローター軸との距離を変化させないで両軸間で動力を伝達できる状態を維持することができる。また、仮にローターをチェーンやベルトを介し駆動する場合、それらのテンションを調節するための機構(テンションスプロケット、テンションプーリー等)が不要である。
【0014】
さらに、原動機の動力を外部へ取り出すための動力取出軸に接続されたドライブシャフトは、ローターが昇降することによって、基端側がユニバーサルジョイントによって所要の角度範囲で回動し角度が変化する。ドライブシャフトは、このように角度が変わっても中継軸等の手段を介して分配軸へ動力を伝達できるようになっている。
【0015】
これにより、耕耘用のローターの昇降に伴って各部が動いたり、各部の間隔が変化したときに、動力伝達装置を構成するドライブシャフト、中継軸あるいはその接続部分等が素早く追従して動くことができる。これにより、ローターの迅速な昇降操作が可能であり、耕耘作業の際のローターの高さの調節を簡単に行うことができる。
【0016】
また、運転席は前輪の後ろ側に配され、足操作のデフロックペダルとブレーキ連動クラッチペダルは前輪の前側に配されたステップに設けられており、操舵用ハンドルのハンドル軸はデフロックペダルとブレーキ連動クラッチペダルの間から上方へ延ばされており、原動機は後輪の上方に配されているものは、乗用型耕耘機のさらなるコンパクト化を図ることができる。
【0017】
すなわち、運転席が前記位置にあるため、運転者が操作する操作系を構成する操舵用ハンドル、デフロックペダル、ブレーキ連動クラッチペダル等が前輪の周りに集約される。また、重量の重い原動機は後輪側に配されているが、運転席が車体前部の前輪のすぐ後ろ側にあるので、運転者の体重により駆動輪である前輪に十分な荷重をかけることができる。この構造によれば、乗用型耕耘機は走行に必要な良好な荷重バランスを有しており、しかも操作系を前輪の周りに集約することにより、耕耘機のコンパクト化を図ることができる。
【0018】
ローターの昇降に伴いドライブシャフトの角度が変化したときにドライブシャフトの動力を動力分配軸に伝える手段が、ドライブシャフトによって駆動され、その動力が動力分配軸に伝えられる中継軸を有しており、ドライブシャフトと中継軸は軸方向が交わっており、ドライブシャフトと中継軸は両軸間で動力伝達をするためのベベルギヤを有し、中継軸は、ドライブシャフトがローターの昇降動に伴って回動し角度が変化するときの回動中心となる乗用型耕耘機は、その構造に、ドライブシャフトと中継軸間で動力を伝達する機能及び動力伝達装置を構成するドライブシャフトが中継軸を回動中心として回動できるようにする機能の両方の機能を持たせることができる。
【0019】
ローターを昇降動させる昇降操作装置が昇降操作ハンドルを有しており、昇降操作ハンドルは、ローターの高さを保った状態で、昇降操作ハンドルを運転席への乗り降りの邪魔にならない位置へ回避させることができる可動手段を有している乗用型耕耘機は、昇降操作ハンドルを回避させることによって、運転者は運転席への乗り降りが素早く容易にできる。また、例えば乗り降りの際に過って昇降操作ハンドルと接触し、ローターを下降させてしまうなどの危険も避けることができる。
【発明の効果】
【0020】
(a)本発明の乗用型耕耘機は、耕耘用のローターの昇降に伴って各部が動いたり、各部の間隔が変化したときに、動力伝達装置がそれらに素早く追従して動くことができる構造を有している。これにより、ローターの迅速な昇降操作が可能であり、耕耘作業の際のローターの高さの調節を簡単に行うことができる。したがって、例えばローターが異物を噛み込んだり乗り上げる等、緊急の事態が起こったときにも、ローターを素早く上昇させる等の迅速かつ適切な対応が可能であり安全性が高い。
【0021】
(b)運転席は前輪の後ろ側に配され、足操作のデフロックペダルとブレーキ連動クラッチペダルは前輪の前側に配されたステップに設けられており、操舵用ハンドルのハンドル軸はデフロックペダルとブレーキ連動クラッチペダルの間から上方へ延ばされており、原動機は後輪の上方に配されているものは、操作系を前輪の周りに集約することによって、乗用型耕耘機のコンパクト化を図ることができる。
【0022】
(c)請求項3の乗用型耕耘機は、動力伝達装置を構成するドライブシャフトと中継軸間で動力を伝達する構造に、ドライブシャフトが中継軸を回動中心として回動できるようにする機能を持たせることができる。これにより、動力伝達装置の簡略化及びコンパクト化を図ることができる。
【0023】
(d)請求項4の乗用型耕耘機は、昇降操作ハンドルを回避させることによって、運転者は運転席への乗り降りが素早く容易にできる。また、例えば乗り降りの際に過って昇降操作ハンドルと接触し、ローターを下降させてしまうなどの危険も避けることができ、安全性にもすぐれている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を図に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
図1は本発明に係る乗用型耕耘機の実施の形態を示す前方斜視図、
図2は乗用型耕耘機の後方斜視図、
図3は乗用型耕耘機の正面図、
図4は乗用型耕耘機の背面図、
図5は乗用型耕耘機の右側面図、
図6は乗用型耕耘機の左側面図、
図7は乗用型耕耘機の平面図、
図8は乗用型耕耘機の底面図である。
【0025】
乗用型耕耘機Aは、車体フレーム1を有し、車体フレーム1の後部の後述する後輪3の上方(詳しくは、各後輪3の間の上方)には原動機Eが搭載されている。乗用型耕耘機Aは、四輪で走行する構造であり、二輪で構成される前輪2は、駆動輪であり、かつ操舵輪である。また、二輪で構成される後輪3は、従動輪である。
前輪2の駆動は、原動機Eの動力を駆動力伝達装置4及び走行駆動系5(後述、図9、図10等参照)により伝えて行われる。また、前輪2の操舵は、操舵装置9を操作することにより行われる。
【0026】
各前輪2と各後輪3の間、かつ運転席10の真下には、耕耘用のローター6が昇降可能に設けられている。ローター6の駆動は、原動機Eの動力を駆動力伝達装置4及び耕耘駆動系7(後述、図9、図11等参照)により伝えて行われる。ローター6の昇降は、昇降操作装置8を操作することにより行われる。なお、符号10は運転席である。以下、前記各部のそれぞれについて詳細に説明する。
【0027】
図9は乗用型耕耘機の駆動伝達装置、走行駆動系及び耕耘駆動系の構造を示し、ローター上昇時の説明図、
図10は図9に示す構造の平面視説明図、
図11は図9に示す構造の背面視説明図である。
【0028】
図12は乗用型耕耘機の駆動伝達装置、走行駆動系及び耕耘駆動系の構造を示し、ローター下降時の説明図、
図13は乗用型耕耘機のローターを上昇させた状態を示す説明図、
図14はローターを上昇させた状態で昇降操作ハンドルを逃がし操作した状態を示す説明図、
図15は乗用型耕耘機のローターを下降させた状態を示す説明図、
図16は昇降操作ハンドルの構造を示す説明図、
図17は操舵用ハンドルを前方側へ傾斜させた状態を示す説明図、
図18は操舵装置の構造を示す説明図である。
【0029】
図9ないし図12を主に参照して、駆動力伝達装置4、走行駆動系5、耕耘駆動系7及び昇降操作装置8の構造を説明する。
原動機Eの動力取出軸(PTO軸)13には、駆動力伝達装置4が接続されている。駆動力伝達装置4は、ユニバーサルジョイント41、ドライブシャフト42、中継軸43(図11、図12参照)、ギヤボックス44を備えている。
【0030】
ドライブシャフト42は、動力取出軸13にユニバーサルジョイント41を介在させて基端部が接続されている。ドライブシャフト42は、先端側を車体の前方へ向けて設けられている。ドライブシャフト42は、中間部分がスプライン構造となっており、所要のストロークで伸縮が可能である。ドライブシャフト42の先端部は、後述する中継軸43が通されているギヤボックス44に導入されている。
【0031】
一方、車体フレーム1には、ドライブシャフト42より前方側に走行駆動系5と耕耘駆動系7が設けられている。走行駆動系5は、幅方向中央にチェーンケース50を有し、その左右両側(図10で上下側)にチェーンケース51、52を備えている。また、耕耘駆動系7は、チェーンケース70を有している。
【0032】
チェーンケース70は後述するようにチェーンケース50に固定され、一体となって昇降回動ができるようになっている。チェーンケース50とチェーンケース70が相互に成す角度は、所要角度(本実施の形態では鋭角)で固定されている。なお、各チェーンケース50、51、52、70は、走行時や耕耘時にかかる力や荷重に耐える十分な強度を有している。
【0033】
チェーンケース51、52は、車体フレーム1の前部の左右両側に、それぞれブラケット11を介して固定されている(図2を参照)。チェーンケース51、52は、長手方向が走行面(または地面)に対し前方へ45°で下り傾斜するように角度が設定されている。
チェーンケース51、52の下部には、チェーン駆動される車軸54がそれぞれ設けられており、各車軸54には前輪2が取り付けられている。なお、前輪2の方向を変える操舵装置9については後述する。
【0034】
前記チェーンケース51、52を車体フレーム1に固定した構造を採用することで、比較的小さな車輪でも最低地上高(本実施の形態では165mm)を確保することができる。なお、チェーンケース51、52の間には、補強用のバー58(図3参照)が両端部をチェーンケース51、52に固着して設けられている。
【0035】
中央のチェーンケース50先部の左右両側には、幅方向へ水平に突出させて軸受55が設けられている。軸受55には回動軸56が回動可能に通されており、回動軸56の両端部は、チェーンケース51、52の上部に固着されている。この構造により、チェーンケース50は、前記チェーンケース70と一体となって、回動軸56を中心として上下方向(縦方向)へ所要の角度範囲で回動が可能であり、これによりチェーンケース70先部のローター6が昇降する。
【0036】
なお、チェーンケース50には、乗用型耕耘機Aの前進、後進及び変速比を操作するための走行操作装置57(図1〜図7参照)が一体に設けられている。走行操作装置57は、操作レバー570を有しており、前記ローター6の昇降操作に伴ってチェーンケース50と共に前後方向へ動くようになっている(図13、図15等参照)。
【0037】
チェーンケース50の上部には、動力分配軸53が幅方向へ水平に軸支されている。動力分配軸53の一端部(図10で上端部)には、プーリー530が取り付けられている。
また、チェーンケース50には、軸取付具45が固定されている。軸取付具45には、前記動力分配軸53と平行に、やや長尺に形成された軸受46が基端部を固定して取り付けられている。軸受46には、前記中継軸43が軸支されている。
【0038】
また、軸受46の先端部には、前記ギヤボックス44が軸受46の軸周方向に回動できるようにして取り付けられている。ギヤボックス44の内部においては、前記ドライブシャフト42の先端軸(図示省略)と中継軸43の先部が、それらの軸方向が直角に交わるようにして収められている。
【0039】
ドライブシャフト42の先端軸の回転力は、ギヤボックス44内部に配され両軸に固定されているベベルギヤ(図示省略)を介して中継軸43に伝わるようになっている。
この構造によれば、ドライブシャフト42は中継軸43を回動中心として上下方向(縦方向)に所要の角度範囲で回動可能である。また、ドライブシャフト42は、前記したように基端部がユニバーサルジョイント41を介して動力取出軸13に接続されているので、上下方向(縦方向)に所要の角度で傾斜することができ、傾斜した状態でも中継軸43に回転力(動力)を伝えることができる。
【0040】
さらに、この構造によれば、ドライブシャフト42と中継軸43間で動力を伝達する機能及びドライブシャフト42が中継軸43を回動中心として回動できるようにする機能の両方の機能を持たせることができる。これにより、例えば各機能にそれぞれ専用の機構部を有する場合と比較して、動力伝達装置4のコンパクト化及びメンテナンスフリー化を図ることができる。
【0041】
中継軸43の一端部(図10で上端部)には、プーリー430が取り付けられている。プーリー430と、前記動力分配軸53のプーリー530には、ベルト47が回し掛けられており、ベルト47はテンションプーリー48によって動力の入・切に必要な動作が可能となっている。
【0042】
耕耘駆動系7のチェーンケース70は、前記したように走行駆動系5のチェーンケース50に所要の角度で固定されている。チェーンケース70の先部には、ローター6が設けられている。ローター6はローター軸60を有している。ローター軸60は、チェーンケース70に幅方向へかつ水平に貫通させてあり、チェーンケース70に中間部が軸支されている。ローター軸60には、多数の耕耘刃61が取り付けられている。なお、ローター6は同軸正逆型で、内側(中心寄り)の耕耘刃は逆転し、外側の耕耘刃は正転する構造となっている。これにより、比較的軽い乗用型でもダッシングすることなく安定した作業ができる。また、符号62は、耕耘刃61の回転範囲の上部側を覆うカバーである。
【0043】
なお、前記走行駆動系5のチェーンケース51、52の下部に設けられている各車軸54及び前記耕耘駆動系7のチェーンケース70の先部に設けられているローター軸60の各軸は、動力分配軸53に伝えられる動力(回転力)が、各チェーンケース内の回転軸、ギヤ、スプロケット、チェーン(いずれも図示省略)からなるギヤ・チェーン駆動構造を介して伝えられ駆動される。この際、動力分配軸53の回転は適宜減速され、各車軸54とローター軸60は大きな駆動力が得られる。
【0044】
ローター6の昇降操作は、昇降操作装置8を操作することにより行われる。
昇降操作装置8は、車体フレーム1に軸受具80(図2に図示)によって取り付けられた操作軸81を有している。操作軸81は、車体の幅方向へ水平に軸支されている。操作軸81には、長手方向に所要の間隔をおいて、アーム板83(図16参照)及び操作アーム板84が取り付けられている。アーム板83及び操作アーム板84は、操作軸81に対し、軸周方向へ所要の角度をもって設けられ、それぞれ基部が操作軸81の軸周方向へ動かないように取り付けられている。
【0045】
操作軸81の一端部(図10で上端部)には、昇降操作ハンドル82が基端の管体部(符号省略)を操作軸81に嵌めて操作軸81に沿って移動可能かつ軸周方向へ回動可能に取り付けられている。昇降操作ハンドル82は、基部寄りで運転席10から離れるように外側へ曲げられている(図7、図10参照)。昇降操作ハンドル82の先部には、ロックレバー85が設けられている。
【0046】
なお、後述するガスダンパ86(図13参照)は、ロックレバー85を握って閉じ操作することによりロッド部の伸縮ができる状態になり、握りを解除して開いた状態に戻ることによりロッド部が固定され、ロック状態となる構造である。ロッド部は、流体の移動抵抗を利用することにより、縮む方向へはストロークに関わらず大きな力で付勢されるようになっている。
【0047】
昇降操作ハンドル82は、ガスダンパ86の機能を利用して所要角度で固定でき、これによって、後述するようにローター6の高さを適宜調節または設定することができる。上昇しているローター6は、ガスダンパ86のガス圧による反発方向のバネ作用で支えられている。なお、ガスダンパ86の代わりに、同様の機能を有する他の代替機器を採用することもできる。
【0048】
また、操作軸81に対する昇降操作ハンドル82の取付構造は、昇降操作ハンドル82を外側にスライド操作することによって操作軸81に対する固定が解除され、操作軸81の軸周方向へ回動させることができるものである。また、前記と逆の操作をすることによって、昇降操作ハンドル82を元のように操作軸81に対し固定することができる。
【0049】
詳しい構造は次のとおりである(図16参照)。昇降操作ハンドル82は、前記したように基端の管体部を操作軸81に嵌め、操作軸81に対し軸周方向へ回動可能に取り付けられ、かつ軸線方向にスライド可能に取り付けられている。なお、昇降操作ハンドル82は、コイルバネ812によって操作軸81中間方向(図16において右方向)へ付勢されている。
【0050】
昇降操作ハンドル82の基部には係止板820が固定されており、操作軸81には係止板820と隣接するように係止板810が固定されている。昇降操作ハンドル82の係止板820には等間隔で二箇所に係止突起821が設けられ、操作軸81の係止板810には等間隔で三箇所に係止孔811が設けられている。
【0051】
そして、昇降操作ハンドル82は、係止突起821と係止孔811を適宜位置(前後二箇所)で係止することにより、操作軸81と一体となって軸周方向へ回動する。
この構造によれば、ローター6を上昇させた状態、すなわち昇降操作ハンドル82を上方へ引き上げた状態で、昇降操作ハンドル82をコイルバネ812の付勢力に抗して外側にスライドさせて係止突起821と係止孔811の係止を解除し、さらに後方へ回して移動させる(逃がす)ことができる。
【0052】
このようにすれば、昇降操作ハンドル82は、昇降操作ハンドル82が設けられている側から作業者が運転席10に乗り降りする際の動作の邪魔にならない(図14参照)。なお、昇降操作ハンドル82を後方へ回して移動させるときは、昇降操作ハンドル82がふらつかないように係止突起821と係止孔811を前記とは別の位置(後方へ係止孔811を一つずらした位置)で係止してもよい。
【0053】
アーム板83は、係止板810に隣接して設けられている。アーム板83の先端部には、ガスダンパ(ガスシリンダー)86のシリンダー基端部が、相互に上下方向(縦方向)へ回動できるように軸着されている。ガスダンパ86は、車体の前後方向に平行に取り付けられている。ガスダンパ86のロッド先端部は、原動機E横の車体フレーム1に、取付具12を介し上下方向へ回動できるように軸着されている(図13、図14、図15等参照)。
【0054】
この構造によれば、ローター6を下降させるときには、作業者がロックレバー85を握り操作すればよい。昇降操作ハンドル82を手で持ちながらこの操作を行うことにより、ガスダンパ86のロッド部が縮むときの抵抗が作用し、重量のあるローター6をゆっくり下降させることができる。これにより、ローター6が急激に下降し地面と衝突して破損する等の不都合が起こることを防止できる。また、ローター6を上昇させるときには、昇降操作ハンドル82を引き上げ操作する。このときは、ガスダンパ86のロッド部が伸びるので大きな抵抗は作用せず、ローター6を楽に早く動かすことができる。
【0055】
操作アーム板84は、操作軸81の他端部(外側端部)に設けられている。操作アーム板84は、図11等に示すように二箇所で下回りに(下方へ向けて)曲げられて形成されている。操作アーム板84の先端部には、リンク板87の一端部が上下方向(縦方向)へ回動できるようにして軸着されている。リンク板87は、下回りに湾曲させて形成されており、他端部は前記中継軸43が設けられている軸取付具45に相互に上下方向(縦方向)へ回動できるように軸着されている。なお、ローター6が最下部まで降りたときは、図12、図15に示すように、リンク板87は中継軸43を避けて回り込むように収まる。
【0056】
乗用型耕耘機Aの操舵は、操舵装置9を操作することにより行われる。
図18を主に参照して、操舵装置9の構造を説明する。
チェーンケース51、52の下部に設けられている各車軸54には、ユニバーサルジョイント(図示省略)がダブルで(二重に)組み込んである。各車軸54のうち先端軸540は、支持具541によって水平方向に回動可能に支えられており、この先端軸540に前輪2が取り付けられている。これにより、先端軸540の水平方向における回動可能な範囲は、軸線を挟み車体の前後側へそれぞれ約60°となり、各前輪2の切れ角が大きい操舵が可能になる。
【0057】
操舵装置9は、操舵用ハンドル90を有している。操舵用ハンドル90のハンドル軸91(図14参照)は、前輪2のすぐ前側に配されたステップ16に設けられている足操作のデフロックペダル14(運転者にとって左側)とブレーキ連動クラッチペダル15(運転者にとって右側)の間から斜め後ろ上方へやや傾斜させて延ばされている。ステップ16は、車体フレーム1の前部に設けられた床板で構成されている。なお、運転席10は前輪2のすぐ後ろ側の上方に配されている。この構造により、運転席10に座った運転者は、前輪2の前方側へ足を伸ばして座る形となる。
【0058】
ハンドル軸91の回転はピニオン92と扇形ギヤ93によって両リンク棒94に伝えられ、両リンク棒94によって前記支持具541の回動部を動かして各前輪2の角度を変えるようになっている。また、操舵用ハンドル90及びハンドル軸91は、走行時または作業時の状態(図13、図15の状態)から、前方へ回動させて傾斜させることができ、運転者が乗用型耕耘機Aから降りて操舵用ハンドル90の操作をすることが可能である(図17参照)。操舵装置9の構造は、公知構造であるので、前記のような簡単な説明に止めている。
【0059】
なお、後輪3は車体フレーム1の後部に脚部材30によって取り付けられている。脚部材30は、図4に示すように、その中間部を車体フレーム1に対し取付軸31を介して上下方向に揺動可能(スイング可能)に取り付けられている。この構造によれば、乗用型耕耘機Aは、地面(耕耘される面)に多少凹凸があっても、両後輪3が常に地面に接地した状態で走行することができる。
【0060】
(作用)
図1ないし図18を参照して、本実施の形態に係る乗用型耕耘機Aの作用を説明する。
乗用型耕耘機Aは、動力伝達装置4によって原動機Eの動力が走行駆動系5と耕耘駆動系7に伝達され、走行駆動系5と駆動輪である各前輪2及び耕耘駆動系7とローター6が駆動される。
乗用型耕耘機Aを単に走行させるときは、あらかじめ昇降操作装置8の昇降操作ハンドル82を上方へ操作してローター6を上昇させて停止させておき、走行に支障のないようにローター6と走行面との距離を一定に保つようにする。
【0061】
なお、運転者が運転席10に乗り降りするときは、昇降操作ハンドル82を後方へ逃がして邪魔にならないようにする。これにより、運転者は運転席への乗り降りが素早く容易にでき、例えば乗り降りの際に過って昇降操作ハンドル82のロックレバー85と接触し、ローター6を下降させてしまうなどの危険も避けることができる。
【0062】
農地で耕耘作業を行う場合は、昇降操作ハンドル82を下方へ操作してローター6を耕耘できる所定の高さまで下降させる。ローター6は、回動軸56を中心として昇降回動する走行駆動系5と耕耘駆動系7と共に昇降する。走行駆動系5と耕耘駆動系7が昇降動することによって、ドライブシャフト42の角度が変わるが、ドライブシャフト42や中継軸43あるいはその接続部分等が素早く追従して動くことができる。
そして、動力取出軸13から取り出される動力は、中継軸43との前記動力伝達構造及び動力取出軸13との間に設けられているユニバーサルジョイント41の作用によって動力分配軸53に伝達される。
【0063】
また、前記のようにドライブシャフト42や中継軸43あるいはその接続部分等が素早く追従して動くことができることにより、ローター6の迅速な昇降操作が可能であり、走行や耕耘作業の際のローター6の高さの調節を簡単に行うことができる。
したがって、例えば耕耘作業中にローター6が異物を噛み込んだり、異物に乗り上げる等、緊急の事態が起こったときにも、ローター6を素早く上昇させる等の迅速かつ適切な対応が可能であり、安全性が高い。
【0064】
また、運転席10が前記位置にあるため、運転者が操作する操作系を構成する操舵用ハンドル90、デフロックペダル14、ブレーキ連動クラッチペダル15等が前輪2の周りに集約される。また、前記したように重量の重い原動機Eは後輪3側に配されているが、運転席10が車体前部の前輪2のすぐ後ろ側にあるので、運転者の体重により駆動輪である前輪2に十分な荷重をかけることができる。この構造によれば、乗用型耕耘機Aは走行に必要な良好な荷重バランスを有している。しかも前記操作系を前輪2の周りに集約することにより、乗用型耕耘機Aのさらなるコンパクト化を図ることができる。
【0065】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る乗用型耕耘機の実施の形態を示す前方斜視図。
【図2】乗用型耕耘機の後方斜視図。
【図3】乗用型耕耘機の正面図。
【図4】乗用型耕耘機の背面図。
【図5】乗用型耕耘機の右側面図。
【図6】乗用型耕耘機の左側面図。
【図7】乗用型耕耘機の平面図。
【図8】乗用型耕耘機の底面図。
【図9】乗用型耕耘機の駆動伝達装置、走行駆動系及び耕耘駆動系の構造を示し、ローター上昇時の説明図。
【図10】図9に示す構造の平面視説明図。
【図11】図9に示す構造の背面視説明図。
【図12】乗用型耕耘機の駆動伝達装置、走行駆動系及び耕耘駆動系の構造を示し、ローター下降時の説明図。
【図13】乗用型耕耘機のローターを上昇させた状態を示す説明図。
【図14】ローターを上昇させた状態で昇降操作ハンドルを逃がし操作した状態を示す説明図。
【図15】乗用型耕耘機のローターを下降させた状態を示す説明図。
【図16】昇降操作ハンドルの構造を示す説明図。
【図17】操舵用ハンドルを前方側へ傾斜させた状態を示す説明図。
【図18】操舵装置の構造を示す説明図。
【符号の説明】
【0067】
A 乗用型耕耘機
E 原動機
1 車体フレーム
10 運転席
11 ブラケット
12 取付具
13 動力取出軸
14 デフロックペダル
15 ブレーキ連動クラッチペダル
16 ステップ
2 前輪
3 後輪
30 脚部材
31 取付軸
4 駆動力伝達装置
41 ユニバーサルジョイント
42 ドライブシャフト
43 中継軸
430 プーリー
44 ギヤボックス
45 軸取付具
46 軸受
47 ベルト
48 テンションプーリー
5 走行駆動系
50 チェーンケース
51、52 チェーンケース
53 動力分配軸
530 プーリー
54 車軸
540 先端軸
541 支持具
55 軸受
56 回動軸
57 走行操作装置
570 操作レバー
58 バー
6 ローター
60 ローター軸
61 耕耘刃
62 カバー
7 耕耘駆動系
70 チェーンケース
8 昇降操作装置
80 軸受具
81 操作軸
810 係止板
811 係止孔
812 コイルバネ
82 昇降操作ハンドル
820 係止板
821 係止突起
83 アーム板
84 操作アーム板
85 ロックレバー
86 ガスダンパ
87 リンク板
9 操舵装置
90 操舵用ハンドル
91 ハンドル軸
92 ピニオン
93 扇形ギヤ
94 リンク棒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(2)及び後輪(3)と、
前輪(2)と後輪(3)の間に設けられ、昇降動可能な耕耘用のローター(6)と、
ローター(6)を昇降動させる昇降操作装置(8)と、
ローター(6)を駆動する耕耘駆動系(7)と、
前輪(2)と後輪(3)のうち駆動輪となる側を駆動する走行駆動系(5)と、
を有する乗用型耕耘機であって、
走行駆動系(5)と耕耘駆動系(7)には、
動力伝達装置(4)を介し原動機(E)の動力が伝えられ、
動力伝達装置(4)は、
所要のストロークで伸縮が可能であり、基端側がユニバーサルジョイント(41)を介して動力取出軸(13)に接続されているドライブシャフト(42)と、
ドライブシャフト(42)から伝えられる動力を走行駆動系(5)と耕耘駆動系(7)に分配する動力分配軸(53)と、
ローター(6)の昇降に伴いドライブシャフト(42)の角度が変化したときにドライブシャフト(42)の動力を動力分配軸(53)に伝える手段と、
を有している、
乗用型耕耘機。
【請求項2】
駆動輪である前輪(2)と、
後輪(3)と、
前輪(2)と後輪(3)の間に設けられ、昇降動可能な耕耘用のローター(6)と、
ローター(6)を昇降動させる昇降操作装置(8)と、
ローター(6)を駆動する耕耘駆動系(7)と、
前輪(2)と後輪(3)のうち駆動輪となる側を駆動する走行駆動系(5)と、
を有する乗用型耕耘機であって、
走行駆動系(5)と耕耘駆動系(7)には、
動力伝達装置(4)を介し原動機(E)の動力が伝えられ、
動力伝達装置(4)は、
所要のストロークで伸縮が可能であり、基端側がユニバーサルジョイント(41)を介して動力取出軸(13)に接続されているドライブシャフト(42)と、
ドライブシャフト(42)から伝えられる動力を走行駆動系(5)と耕耘駆動系(7)に分配する動力分配軸(53)と、
ローター(6)の昇降に伴いドライブシャフト(42)の角度が変化したときにドライブシャフト(42)の動力を動力分配軸(53)に伝える手段と、
を有しており、
運転席(10)は前輪(2)の後ろ側の上方に配され、足操作のデフロックペダル(14)とブレーキ連動クラッチペダル(15)は前輪(2)の前側に配されたステップ(16)に設けられており、操舵用ハンドル(90)のハンドル軸(91)はデフロックペダル(14)とブレーキ連動クラッチペダル(15)の間から上方へ延ばされており、原動機(E)は後輪(3)の上方に配されている、
乗用型耕耘機。
【請求項3】
ローター(6)の昇降に伴いドライブシャフト(42)の角度が変化したときにドライブシャフト(42)の動力を動力分配軸(53)に伝える手段が、ドライブシャフト(42)によって駆動され、その動力が動力分配軸(53)に伝えられる中継軸(43)を有しており、
ドライブシャフト(42)と中継軸(43)は軸方向が交わっており、ドライブシャフト(42)と中継軸(43)は両軸間で動力伝達をするためのベベルギヤを有し、中継軸(43)は、ドライブシャフト(42)がローター(6)の昇降動に伴って回動し角度が変化するときの回動中心となる、
請求項1または2記載の乗用型耕耘機。
【請求項4】
ローター(6)を昇降動させる昇降操作装置(8)が昇降操作ハンドル(82)を有しており、昇降操作ハンドル(82)は、ローター(6)の高さを保った状態で、昇降操作ハンドル(82)を運転席(10)への乗り降りの邪魔にならない位置へ回避させることができる手段(820,821)(810,811,812)を有している、
請求項1または2記載の乗用型耕耘機。
【請求項1】
前輪(2)及び後輪(3)と、
前輪(2)と後輪(3)の間に設けられ、昇降動可能な耕耘用のローター(6)と、
ローター(6)を昇降動させる昇降操作装置(8)と、
ローター(6)を駆動する耕耘駆動系(7)と、
前輪(2)と後輪(3)のうち駆動輪となる側を駆動する走行駆動系(5)と、
を有する乗用型耕耘機であって、
走行駆動系(5)と耕耘駆動系(7)には、
動力伝達装置(4)を介し原動機(E)の動力が伝えられ、
動力伝達装置(4)は、
所要のストロークで伸縮が可能であり、基端側がユニバーサルジョイント(41)を介して動力取出軸(13)に接続されているドライブシャフト(42)と、
ドライブシャフト(42)から伝えられる動力を走行駆動系(5)と耕耘駆動系(7)に分配する動力分配軸(53)と、
ローター(6)の昇降に伴いドライブシャフト(42)の角度が変化したときにドライブシャフト(42)の動力を動力分配軸(53)に伝える手段と、
を有している、
乗用型耕耘機。
【請求項2】
駆動輪である前輪(2)と、
後輪(3)と、
前輪(2)と後輪(3)の間に設けられ、昇降動可能な耕耘用のローター(6)と、
ローター(6)を昇降動させる昇降操作装置(8)と、
ローター(6)を駆動する耕耘駆動系(7)と、
前輪(2)と後輪(3)のうち駆動輪となる側を駆動する走行駆動系(5)と、
を有する乗用型耕耘機であって、
走行駆動系(5)と耕耘駆動系(7)には、
動力伝達装置(4)を介し原動機(E)の動力が伝えられ、
動力伝達装置(4)は、
所要のストロークで伸縮が可能であり、基端側がユニバーサルジョイント(41)を介して動力取出軸(13)に接続されているドライブシャフト(42)と、
ドライブシャフト(42)から伝えられる動力を走行駆動系(5)と耕耘駆動系(7)に分配する動力分配軸(53)と、
ローター(6)の昇降に伴いドライブシャフト(42)の角度が変化したときにドライブシャフト(42)の動力を動力分配軸(53)に伝える手段と、
を有しており、
運転席(10)は前輪(2)の後ろ側の上方に配され、足操作のデフロックペダル(14)とブレーキ連動クラッチペダル(15)は前輪(2)の前側に配されたステップ(16)に設けられており、操舵用ハンドル(90)のハンドル軸(91)はデフロックペダル(14)とブレーキ連動クラッチペダル(15)の間から上方へ延ばされており、原動機(E)は後輪(3)の上方に配されている、
乗用型耕耘機。
【請求項3】
ローター(6)の昇降に伴いドライブシャフト(42)の角度が変化したときにドライブシャフト(42)の動力を動力分配軸(53)に伝える手段が、ドライブシャフト(42)によって駆動され、その動力が動力分配軸(53)に伝えられる中継軸(43)を有しており、
ドライブシャフト(42)と中継軸(43)は軸方向が交わっており、ドライブシャフト(42)と中継軸(43)は両軸間で動力伝達をするためのベベルギヤを有し、中継軸(43)は、ドライブシャフト(42)がローター(6)の昇降動に伴って回動し角度が変化するときの回動中心となる、
請求項1または2記載の乗用型耕耘機。
【請求項4】
ローター(6)を昇降動させる昇降操作装置(8)が昇降操作ハンドル(82)を有しており、昇降操作ハンドル(82)は、ローター(6)の高さを保った状態で、昇降操作ハンドル(82)を運転席(10)への乗り降りの邪魔にならない位置へ回避させることができる手段(820,821)(810,811,812)を有している、
請求項1または2記載の乗用型耕耘機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−72115(P2009−72115A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244136(P2007−244136)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(393000984)株式会社オーレック (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(393000984)株式会社オーレック (19)
【Fターム(参考)】
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