説明

二元遅延作用触媒を使用するポリウレタンカーペット裏地システムの熱間加工

ポリウレタンカーペット裏地を調製するプロセスは、特定の金属アセチルアセトナートおよび硫黄含有有機スズ触媒の混合物を含有する充填ポリウレタン形成組成物を使用する。該触媒の混合物は、長いポットライフと迅速な熱誘発型硬化とが共に提供されることから、組成物が30℃超〜約500℃の温度で処理される場合に特に有益である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンカーペット裏地製品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのカーペット製品が付着したポリウレタン裏地を有する。これらは長年にわたって市販されている。これらのカーペットの製造方法は例えば米国特許第3,849,156号、同第4,296,159号、同第4,336,089号、同第4,405,393号、同第4,483,894号、同第4,611,044号、同第4,696,849号、同第4,853,054号、同第4,853,280号、同第5,104,693号、同第5,646,195号、同第6,140,381号、同第6,372,810号および同第6,790,872号に記載されている。
【発明の開示】
【0003】
これらのカーペット製品のデザインおよび構造は、具体的な最終用途および市場区分に応じて著しく変化し得る。このため、ポリウレタン裏地はこれらの多様な種類の製品において各種の機能を果たす。各種ポリウレタンカーペット裏地には、プレコート、単一コーティング、積層(タイ)コーティング、フォームコーティングおよびハードバックキャップコーティングが含まれる。
【0004】
ポリウレタンプレコートは、カーペットに塗布される第1のコーティングである。その機能は、表面繊維強度特性、液体バリア特性および難燃特性を提供することである。積層コーティングは、カーペットに第2のファブリックまたはガラスファブリック補強材を付着するように作用する。接着剤として作用することに加えて、積層コーティングはカーペットに剥離強度耐性、液体バリア特性および寸法安定性も提供する。
【0005】
一部のカーペット製品では、ポリウレタンフォームコーティングがプレコートに塗布されて、積層コーティングに取って代わる。その機能はクッション性および快適な足元を提供することである。タイコートおよびハードバックキャップコーティングは、カーペットタイル(モジュラー)製品で使用される。タイコートはガラス繊維ファブリックをプレコートタイルに接合させる役割を果たす。カーペットタイルでのハードバックキャップコートは、カーペットタイルの摩耗層として作用して、モジュラー製品に重量を与える。
【0006】
付着したポリウレタンは通常、ポリウレタン形成組成物をカーペットの裏側に塗布して、組成物を所定の場所で硬化させることによって調製される。フォーム裏地は通常、塗布される前に混合物を発泡させることによって調製される。これらの組成物の硬化特性は、プロセスの操作にとって非常に重要である。組成物の粘度は組成物が反応するにつれ、最終的に組成物が硬化して多孔性プラスチックを形成するまで上昇する。ポリウレタン形成調合物は混合され、カーペット上に分配され、組成物の粘度がまだ比較的低い間にカーペット裏側に塗布されて、計量されねばならない。系が反応して、粘度があまりに迅速に上昇する場合、組成物を適正に塗布および計量することができず、得られた製品は、美観上(不規則な表面外観、不十分な多孔性構造)から構造上(基材への接着不足、不均一なコーティング厚など)にまで及ぶ欠陥を有するであろう。これに対して、組成物が一度塗布および計量されたら、迅速な硬化が要求される。硬化はほとんどの場合、コーティングされた基材を、テンターチェーン上のオーブン、またはベルトコンベヤを使用して加熱プラテン上を通過させることによって実施される。より低速な硬化は、より長く、より高価なオーブンあるいは追加のまたはより大型のプラテンが必要であること、より低いライン速度を使用する必要があること、あるいはこれらのいくつかの組み合せが必要とされることを意味する。従って遅い硬化速度は、資本コストまたは運転コスト、あるいは両方を上昇させる。
【0007】
初期の粘度上昇の遅延に対する要求は、ポリウレタン組成物が一度塗布および計量されたときの高速な硬化速度に対する要求と矛盾する傾向にある。高速硬化速度に有利である条件は、硬化開始の遅延に反して作用する傾向にある。例えば触媒レベルを低下させることによって反応開始を遅延させることが試みられてきたが、これは後の硬化速度も低下させる傾向にある。現在までの最良の手法は、特定の熱活性化触媒の使用と組み合せた特定の加熱計画を使用することであった。ポリウレタン組成物は、それが塗布および計量されるまで比較的低温で、典型的には約30℃またはそれ以下で維持される。その時点で、組成物は硬化を促進するためにはるかに高温まで、典型的に120〜150℃まで加熱される。触媒は、より低い温度にて不活性または非効率的である遅延活性型である。ジブチルスズスルフィドおよび(米国特許第6,140,381号に記載されているような)特定のジチアスタンネタンなどの硫黄架橋型有機スズ触媒は、30℃では(不活性であるよりはむしろ)非効率的であるが、より高い硬化温度では非常に効率的になる触媒の例である。ジチアスタンネタンは直ちに入手できず、その理由であまり多くの市場での受け入れが見出されていない。ニッケルアセチルアセトナートは、カーペット裏地用途で使用されている熱活性化触媒である。ニッケルアセチルアセトナートは、それが50℃超に加熱されるまで不活性のままである。この類の触媒は非常に長いポットライフを与えるが、それらはあまり良好な硬化触媒ではない。
【0008】
上記の触媒的手法は、ポリウレタン組成物の開始粘度があまり高すぎない場合に良好に作用する。しかしながらポリウレタン組成物は大半の場合、著しい量の充填材料を含有する。本材料は通常、調合物のコストを低下させるために含まれるが、フォームの物理的特性を通常の方法で改良することもでき、難燃性などの属性も提供できる。充填材の存在は、組成物の粘度を極めて実質的に上昇させる。上昇した粘度はより高い背圧を生成して、その温度を30℃またはそれ以下に維持しながら組成物を混合および/または発泡(フォーム裏地の場合)、分配、塗布および計量することも困難にする。一部の場合では、これらの処理ステップが効率的に実施され得るように粘度を十分に低下させるために、多少より高い温度が必要とされる。35〜50℃の範囲内の比較的小規模な温度上昇さえ、系の粘度に対して著しい影響を有し得る。他の場合では、混合物はより低い温度で処理されることが可能であるが、(高い系粘度のために)発泡、分配、塗布および/または計量ステップを実施するのに必要とされるエネルギーの増加が大量の廃熱を生成する。廃熱は組成物の温度を上昇させる。
【0009】
不都合なことに、温度上昇もポットライフを著しく短縮する。本効果は、約5℃の比較的小規模な温度上昇でも見られる。組成物はあまりに直ちに、迅速に粘性となるために塗布および計量ができず、美観上または構造上の欠陥が生じる。従前の通り、触媒レベルの低下はこれを解決し得るが、より長い硬化時間という犠牲を伴う。
【0010】
30〜50℃の温度で長いポットライフを示し、より高い硬化温度にさらされたときに迅速に反応するポリウレタン組成物を提供することが望ましい。
【0011】
本発明は、
a)少なくとも300の当量を有するポリオールまたは少なくとも1種の他のイソシアネート反応性物質とのその混合物、85〜130のイソシアネート指数を与えるのに十分な量の少なくとも1種のポリイソシアネート、微粒子無機充填材、イソシアネート反応性物質100重量部当たり0.05〜0.5重量部のニッケル、カドミウムまたは銅アセチルアセトナート触媒、およびイソシアネート反応性物質100重量部当たり0.001〜0.1重量部の、各スズ原子が少なくとも1個の硫黄原子に結合している有機スズ触媒を含む、ポリウレタン形成組成物を形成するステップと;
b)前記組成物の層を基材上に形成するステップと;
(ここで、前記組成物の温度は前記ステップa)およびb)の間に50℃またはそれ未満に維持される)
c)前記組成物を80〜180℃の温度に加熱して前記組成物を硬化させて、前記基材に接合したポリウレタン層を形成するステップと;
を含むプロセスである。
【0012】
別の態様において、本発明は、少なくとも300の当量を有する少なくとも1種のポリオールまたは少なくとも1種の他のイソシアネート反応性物質とのその混合物、微粒子無機充填材、イソシアネート反応性物質100重量部当たり0.05〜0.5重量部のニッケル、カドミウムまたは銅アセチルアセトナート触媒、およびイソシアネート反応性物質100重量部当たり0.001〜0.1重量部の各スズ原子が少なくとも1個の硫黄原子に結合している有機スズ触媒を含む、調合ポリオール混合物である。
【0013】
ポリオール調合物は、カーペット裏地プロセスおよび組成物が基材上で層に形成されて、次に硬化される他のプロセスでのその使用を促進するポットライフおよび硬化時間を有することを特徴とする。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種の微粒子有機充填材を含有し、7.0〜9.25のpHを有する調合ポリオールを形成するステップと、前記調合ポリオールを少なくとも1種のポリイソシアネートおよび各スズ原子が少なくとも1個の硫黄原子に結合している少なくとも1種の有機スズ触媒と混合することによってポリウレタン形成組成物を形成するステップと、前記組成物を基材上の層に形成するステップと、次いで、前記組成物を硬化させて、前記基材に接合したポリウレタン層を形成するステップとを含むプロセスである。
【0015】
ポリウレタン形成調合物は、少なくとも300のヒドロキシル当量を有する少なくとも1種のポリオールを含有する。ポリオールのヒドロキシ当量は、好ましくは約500〜約3000、特に約500〜約1500である。ポリオールは有利には、約1.8〜約4の、特に約2〜約3のヒドロキシル基/分子の平均公称官能性を有する。このようなポリオールの混合物が使用され得る。適切なポリオールは、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールを含む。ポリエーテルポリオールは一般により好ましい。特に適切なポリエーテルポリオールは、最大20重量%の末端ポリ(エチレンオキシド)ブロックを有していてもよいプロピレンオキシドのポリマー、プロピレンオキシドおよび最大約15重量%のエチレンオキシドのランダムコポリマー、ポリ(テトラメチレンオキシド)ポリマーおよびポリ(ブチレンオキシド)ポリマーである。適切なポリエステルポリオールは、WO 04/096882およびWO 04/096883に記載された種類のヒドロキシメチル基含有ポリエステルポリオールを含む。他の有用なポリオールとしては、米国公開特許出願第2002/0121328号、同第2002/0119321号および同第2002/0090488号に記載されているような「吹き込み」植物油ベースポリオールを含む。好ましいポリオールは主に第2級ヒドロキシル基を有し、例えばそのヒドロキシル基の少なくとも70%、80%、90%または98%が第2級ヒドロキシル基である。第2級基は、第1級基よりも低速でポリイソシアネートと反応する傾向があり、組成物が混合、発泡および塗布されるときに反応開始を遅延させるのにさらに役立つように選択され得る。
【0016】
「ポリオール混合物」という用語は本明細書では、前記したような少なくとも1種のポリオール、および少なくとも2個のイソシアネート反応性基を有する少なくとも1種の他の物質を含有する混合物を指すために使用される。他の物質は例えば、2個またはそれ以上のヒドロキシル基/分子を有する別の化合物、1分子当たり2個またはそれ以上の第1級または第2級アミノ基を有する化合物、あるいは少なくとも1個のヒドロキシルおよび少なくとも1個の第1級または第2級アミノ基/分子を有する化合物であり得る。
【0017】
ポリオール混合物の特に適切な成分は、上記のポリオールに加えて、鎖延長剤および架橋剤を含む。本発明の目的では、鎖延長剤は2個のイソシアネート反応性基/分子および約30〜150のイソシアネート反応性基当たりの当量を有する物質である。架橋剤は、本発明の目的では、3個またはそれ以上のイソシアネート反応性基および150またはそれ以下のイソシアネート反応性基当たりの当量を有する化合物である。イソシアネート反応性基はヒドロキシル基、第1級アミン基または第2級アミン基であり得る。ヒドロキシル基を有する鎖延長剤および架橋剤は、ヒドロキシル基がより低速で反応して、従ってポリウレタン形成層を塗布および計量するためにより長い時間を与えるために好ましい。適切な鎖延長剤の例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールシクロへキサン、ジエチルトルエンジアミン、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、アミン末端ポリエーテル、例えばHuntsman Chemical CompanyによるJeffamine D−400、アミノエチルピペラジン、2−メチルピペラジン、1,5−ジアミノ−3−メチル−ペンタン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、その混合物などを含む。調合物の反応性を低下させて、フォーム層を塗布および計量する作業時間をさらに提供するために、アミン鎖延長剤は遮断、カプセル化、またはそうでなければ反応性を低くすることができる。鎖延長剤は有利には、ポリオール混合物の総重量の最大約30%、特に最大約20%を構成する。
【0018】
ポリウレタン形成組成物は、芳香族、脂環式、または脂肪族イソシアネートであり得る、少なくとも1種の有機ポリイソシアネートも含む。適切なポリイソシアネートの例は、m−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4−4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、a−ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMDI)、トリレン−2,4,6−トリイソシアネートおよび4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートを含む。好ましくは、ポリイソシアネートはジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、PMDI、トリレン−2−4−ジイソシアネート、トリレン−2−6−ジイソシアネートおよびその混合物である。ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネートおよびその混合物は一般にMDIと呼ばれ、すべて使用され得る。トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネートおよびその混合物は一般にTDIと呼ばれ、すべて使用され得る。平均して約1.8〜約2.5個のイソシアネート基/分子を有するポリイソシアネート化合物またはその混合物が好ましく、特に約1.9〜約2.3個のイソシアネート基/分子の平均を有するものが好ましい。上述のポリイソシアネートのいずれかの化学量論的過剰量を、後述するものなどのイソシアネート反応性化合物と反応させることによって作製したプレポリマーも同様に使用され得る。適切なプレポリマーは、米国特許第5,104,693号に記載されているようなソフトセグメントプレポリマーおよび米国特許第6,372,810号に記載されているようなハードセグメントプレポリマーを含む。
【0019】
ポリウレタン裏地がプレコート、単一層または積層でのように実質的に非多孔性であるときには、米国特許第4,296,159号および同第4,737,455号に記載されているように、それは好ましくは成分の官能価の慎重な制御をもって調合される。2.0に非常に近い実際の平均官能価を有する成分を選択することによって、さらに寸法的に安定な製品を得ることができる。ポリウレタンフォームクッションが付着されるときには、官能価の制御はそれほど厳密である必要はない。
【0020】
組成物は2つの特定の種類の触媒を含有する。第1の種類はニッケルアセチルアセトナート、カドミウムアセチルアセトナート、銅アセチルアセトナート、またはその2つまたはそれ以上の混合物である。この種の触媒はポリオールまたはポリオール混合物100重量部当たり0.05〜0.5部の量で存在する。好ましい量は再びポリオールまたはポリオール混合物100重量部に基づいて、0.1〜0.3部であり、さらに好ましい量は0.1〜0.25部である。これらの触媒のうち、ニッケルアセチルアセトナートがより好ましい。
【0021】
触媒パッケージの第2の成分は、硫黄含有有機スズ触媒である。触媒中の各スズ原子は、1個またはそれ以上の硫黄原子に結合している。従って硫黄原子は、スズ原子と別の原子、例えば炭素原子または別のスズ原子との間に「橋」を形成する。適切な硫黄含有有機スズ触媒の例は、アルキル基がそれぞれ1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を含有して、直鎖または分岐であり得る、ジアルキルスズスルフィドを含む。これらの物質は少なくとも部分的に、交互の硫黄原子およびスズ原子を有する4または6員環を含有するダイマーおよび/またはトリマーの形で存在し得る。ジ−n−ブチルスズスルフィドは、この種の触媒の好ましい例である。硫黄含有有機スズ触媒の他の例は、アルキル基が1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を再び含有する、ジアルキルスズメルカプチドおよびジアルキルスズメルカプトアセテートを含む。メルカプチド基は一般構造−S−Rを有し、式中、Rは1〜12個の、特に1〜8個の炭素原子を適切に含有する直鎖または分岐アルキルである。メルカプトアセテート基は一般構造−S−CH2−C(O)−O−R1を有し、式中、R1は1〜12個の炭素原子を有するアルキルである。好ましいR1基は、メチル、n−ブチル、イソブチル、n−オクチルおよびイソオクチルである。特に興味のあるジアルキルスズメルカプトアセテート触媒は、GE Silicone−OSi Specialtiesからそれぞれ名称Fomrex(商標)UL−24、UL−6およびUL−29で市販されている、ジメチルスズジイソオクチルメルカプトアセテート、ジ−n−ジブチルスズジイソオクチルメルカプトアセテートおよびジオクチルスズジイソオクチルメルカプトアセテートを含む。硫黄含有有機スズ触媒の別の有用な種類は、米国特許第6,140,381号に記載されているジチアスタンネタン触媒である。
【0022】
硫黄含有有機スズ触媒は、ポリオールまたはポリオール混合物100重量部当たり0.001〜約0.1部の量で適切に使用される。好ましい範囲は再びポリオールまたはポリオール混合物100重量部に基づいて、0.002〜0.05部であり、さらに好ましい範囲は0.005〜0.025部である。
【0023】
より遅延された反応を与えるために、触媒がワックスまたは他の低融点物質中にカプセル化され得る。
【0024】
ポリウレタン形成組成物は、全体のコストを低下させて、難燃性、堅固さおよび他の物理特性を改善し得る充填材を含有する。充填材は、イソシアネート反応性物質100重量部当たり約5〜約1000重量部の量で存在し得る。適切な充填材は、タルク、雲母、モンモリロナイト、大理石、バリウムサルフェート(バライト)、粉砕ガラス、花崗岩、粉砕ガラス、カルシウムカーボネート、アルミニウムトリハイドレート、炭素、アラミド、シリカ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、タルク、ベントナイト、アンチモントリオキシド、カオリン、石炭ベースフライアッシュおよびボロンニトリドを含む。充填材は細粒の形で存在する。粒径は小さくは10nm〜大きくは250ミクロンの幅広い範囲に及び得る。
【0025】
本発明の詳細な利点は、より高い温度が発泡、分配および計量ステップの間に使用され得るために、より粘性のポリウレタン形成組成物が直ちに処理され得ることである。充填材レベルは、特により高い装填量で粘度に著しく影響することが見出されている。従って充填材レベルが比較的高い本発明の実施形態は、特に興味深い。好ましい充填材レベルは、イソシアネート反応性材料100重量部当たり130〜600、特に250〜400重量部である。
【0026】
調合ポリオール/充填材混合物のpHが組成物のポットライフおよび硬化に著しく影響し得ることが見出されている。本発明はいずれの理論にも限定されないが、ある充填材が化合物のpHを低下または上昇させ得る酸性種または塩基性種のどちらかを含有するものと考えられる。例えば、一部の石炭ベースフライアッシュ充填材は例えばpHを低下させるが、エネルギーに変換される石炭源に応じて、その他はpHを上昇させる。このことは、ヒドロキシドに変換されてpHを上昇させ得る、MgOおよびCaOなどの種の存在によることがある。9.25を超えるpHの化合物は、ポットライフおよび硬化を著しく低下させることが見出されている。反対に、7.0未満のpHの化合物は、長い硬化時間という犠牲の下でポットライフを延長する傾向がある。
【0027】
この理由で、調合ポリオール/充填材混合物のpHを7.0〜9.25、さらに好ましくは7.5〜9.0、特に7.5〜8.5の範囲に調整することが好ましい。pH調整は、酸(pHを低下させるために)または塩基(pHを上昇させるために)を添加することによって実施され得る。適切な酸は、リン酸、硫酸、ホウ酸、または塩酸などの無機酸を含む。酢酸、ギ酸、安息香酸、クエン酸および乳酸などの有機酸も有用である。リン酸が好ましい。pHを上方へ調整するために使用され得る塩基は、NaOH、KOH、CaOH、NaBO3、トリナトリウムホスフェート、ナトリウムシリケートなどを含む。CaOHは好ましい塩基である。
【0028】
化合物のpHは、メタノール10部に対して水1部の溶液60ミリリットルに化合物10グラムを溶解することによって決定される。不溶性充填材は析出させる。液相を約10分間静置して、次にいずれかの適切なプローブを使用してpHを計量する。
【0029】
付着したクッションが基材に塗布される場合、ポリウレタン形成組成物は、組成物が硬化するまでフォーム気泡を安定化させる役割を果たす、少なくとも1種の界面活性剤を含むことができる。米国特許第4,483,894号に記載されているものなどの有機シリコーン界面活性剤が好ましい。典型的に、ポリオールまたはポリオール混合物100重量部当たり界面活性剤約0.5〜3部が使用される。
【0030】
同様にポリウレタン形成組成物は、付着したクッションが付着される場合に、多少の補助的な発泡および追加の膨張を与えるために、水または物理発泡剤を含み得る。水が好ましく、使用される場合、適切にはポリオール100重量部当たり少なくとも0.25重量部の量で存在する。適切な量は、ポリオール100重量部当たり水0.5〜約3.0部、特に、ポリオール100重量部当たり水0.6〜2.5重量部である。
【0031】
難燃剤、顔料、静電気防止剤、補強繊維、抗酸化剤、保存料、水浄化剤、チキソトロープ剤などを含む、他の添加剤が使用され得る。
【0032】
ポリウレタン形成組成物は、それが150秒未満の硬化時間を示すように有利に調合される。硬化時間は、すべての成分を37.7℃にすること、それらをその温度で混合すること、および反応混合物を硬化させるのに必要な時間を測定することによって、本発明の目的のために測定される。非多孔性材料の場合、混合物の一部がTeflon(商標)シートに被着されて1/8インチの層を形成する。これがオーブンに入れられて、129℃で硬化される。硬化時間は、その温度において非粘着性ポリマーを生成するのに必要な時間である。ポリマーは、舌圧子と接触させたときにポリマーが該プローブからきれいに離れた場合に、非粘着性と見なされる。多孔性ポリマーの場合、1/8インチ(3mm)の層が前と同様にTeflon(商標)シート上に形成され、121℃の強制換気オーブンに入れられる。硬化時間は、その温度にて印加された押し下げ力からの全フォーム回復を達成するのに必要な時間である。全フォーム回復は、フォームを舌圧子によって調べた後に、プローブによって行われた押し下げからフォームが完全に回復したときに示される。好ましい組成物は、150秒未満の硬化時間を有する。好ましくは、混合物は75〜135秒、特に75〜120秒の硬化時間を示す。
【0033】
組成物はまた有利に、38℃にて少なくとも8分間のポットライフを示す。ポットライフは本発明の目的では、すべてのポリオール、イソシアネートおよび触媒すべてが一緒にされた後に、組成物が十分に反応して100,000cpsの粘度を生じるまでの所要時間である。ポットライフは、触媒を除くすべての成分を一緒にして、38℃まで加熱することによって評価される。次いで、触媒は撹拌しながら添加される。30秒後、混合物は38℃の浴中の試験管に入れられる。混合物の粘度は次に、#7スピンドルによって20rpmにてBrookfield粘度計を使用して測定され、組成物が100,000cpsの粘度を達成するまでの所要時間が測定される。所要時間は、8分超、さらに好ましくは10分超、最も好ましくは12分超である。
【0034】
基材へポリウレタン組成物を塗布する一般的な方法は周知であり、例えば米国特許第3,849,156号、同第4,296,159号、同第4,336,089号、同第4,405,393号、同第4,483,894号、同第4,611,044号、同第4,696,849号、同第4,853,054号、同第4,853,280号、同第5,104,693号、同第5,646,195号、同第6,140,381号、同第6,372,810号および同第6,790,872号に記載されている。そこに記載されている一般的な方法は、本発明に利用できる。主な処理ステップは、界面活性剤(使用する場合)および触媒を含むすべての成分のブレンド;発泡、分配、および計量である。
【0035】
通常、部分的に調合されたポリオール成分を事前に形成することが好都合である。成分は、ポリオール混合物、充填材、典型的に、界面活性剤(使用するとき)を含む。調合ポリオール成分は、分配(または組成物が発泡される場合には発泡)の直前にポリイソシアネートとブレンドされる。触媒パッケージは、調合ポリオールに添加、ポリイソシアネートと同時に添加、あるいは発泡ステップの間にまたは後に添加され得る。残りの処理ステップを完了するために利用できる時間を最大限にするために、触媒の添加をできるだけ長く遅延することが一般に望ましい。発泡ステップ後に触媒が添加されたときに、成分をより均一にブレンドするために発泡および触媒をスタティック混合機器(例えばChemineer−Kenicsミキサー、TAHミキサーまたは他の固定混合機器)に有利に通過させる。スタティックまたは固定ミキサーは、発泡または発泡中の発泡ガスの分布を著しく劣化させない傾向がある。
【0036】
ポリウレタン形成組成物は、実質的に非多孔性の裏地が塗布されるときでも、それが分配および計量される前に発泡させることが好ましい。発泡は組成物の体積を増大させて、従って正確に分配および計量することを容易にする。これらの場合で、組成物は好ましくは、発泡ステップ中に形成される気泡を安定させ得る界面活性剤をほとんどまたは全く含有しない。このことは計量ステップの間または後に気泡が壊れて発泡ガスを逃がすので、非多孔性ポリウレタンが生成される。
【0037】
多孔性付着クッションが形成される場合、ポリウレタン形成組成物は吹き込みまたは発泡される必要がある。発泡は、吹き込まれた系があまりに反応性でありがちなために、はるかに好ましい方法である。吹き込みおよび発泡技法の組み合せを使用することが可能である。
【0038】
組成物は、それが分配および塗布される前に空気、窒素、アルゴンまたは他のガスを、Oakesミキサー、LesscoミキサーまたはHansa発泡装置などのいずれかの好都合な装置を使用してその中へ泡立てることによって発泡される。このような機械的に発泡された混合物を調製する方法は、参照により本明細書にすべて組み込まれる、米国特許第4,853,054号、同第5,104,693号、同第5,908,701号、同第6,040,381号、同第6,096,401号および同第6,555,199号に記載されている。ポリウレタン形成組成物は一般に、塗布前に約300〜600、特に400〜500グラム/リットルの発泡密度まで発泡される。
【0039】
得られたポリウレタン形成組成物は、発泡されていてもいなくても、分配されて基材の片面に液体たまりを形成する。液体たまりは所望の厚さまたはコーティング重量の層に形成され、次に硬化を完了させるためにアセンブリが加熱される。ポリウレタン形成組成物を分配して、それを層に形成するためには、各種の機器が適切である。組成物を分配する好ましい方法は、基材を前後に移動して基材表面にわたって組成物を多かれ少なかれ均一に分配する、移動式分配ノズル、ホースまたはヘッドによってである。組成物は、組成物を所望の厚さまで計量して、組成物を基材の表面へ押し進めるのに役立つドクターブレードの上流で適切に分配される。ポリウレタン形成組成物を層へと形成して、それを計量するための別の適切な装置は、エアナイフである。
【0040】
組成物は約10〜約70オンス/平方ヤード(0.33〜2.31kg/m2)、特に約15〜約30オンス/平方ヤード(0.49〜0.99kg/m2)のコーティング重量で適切に塗布される。塗布層の厚さは、発泡として塗布されるときに、一般に約0.05〜約0.5インチ(0.13〜1.3cm)、好ましくは約0.1〜0.25インチ(0.26〜0.65cm)である。発泡の孔が安定していない場合、塗布層は通常、より薄い層を形成するためにドクターブレードまたはエアナイフの下を通過させるときにまたは通過した後に壊れる。組成物が界面活性剤を含有するとき、計量後の層の厚さは、塗布および計量されたときの層の厚さに近いか、その厚さと同じである。
【0041】
ポリウレタン形成組成物は50℃もの高い温度にて粘度を非常に低速で発生するので、混合、発泡、分配および計量ステップ中の温度に対する制御は、他の触媒パッケージが使用されるときに必要なほど厳密である必要はない。結果として、これらのいずれかまたはすべてのステップが実施されるときに、組成物は、ポリオール、ポリイソシアネートおよび触媒の存在下で50℃もの高い温度を達成し得る。好ましい温度は45℃までであり、さらに好ましい温度は38℃までである。処理温度のより大きな自由度により、組成物をより容易に発泡、分配および計量するために、これらの高い温度を使用して組成物の粘度を低下させることができる。それは暖かい環境または夏月間に必要であり得るような、系から廃熱を除去する必要、または成分を冷却する必要も減少または消滅させる。
【0042】
より低い処理(混合発泡、分配および計量)温度はもちろん、所望であれば本発明によって使用され得る。処理温度は、組成物が流体であるいずれのより低い温度でもよいが、18℃以下の温度は組成物の粘度上昇のために好ましくない。好ましい温度は少なくとも24℃である。混合、発泡、分配および計量ステップの間の十分に調合された組成物の典型的な最高処理温度は、31〜50℃、特に31〜45℃、そして特に31〜38℃である。
【0043】
高レベルの充填材(上述のような)が使用されるとき、組成物は、32〜45℃、特に35〜42℃の温度範囲内にある間により好ましく発泡、分配および計量される。組成物は、発泡、分配および計量の前に上記の温度範囲まで加熱され得る。これらの処理ステップ(特に発泡ステップ)からの廃熱を使用して、組成物がこれらの範囲内に加熱され得る。
【0044】
ポリウレタン形成組成物は計量ステップ後に硬化される。硬化は好ましくは、ポリウレタン形成組成物の塗布層の昇温によって実施される。硬化温度は、組成物のいずれの成分または基材を劣化させることなく迅速な硬化を与えるために選択される。80〜180℃、特に120〜150℃の温度範囲が適切である。組成物は好ましくは3分以内に、さらに好ましくは2.5分以内に、特に2.0分以内に硬化されるようになる。
【0045】
ポリウレタンが十分に硬化された後に、製品は有利には、(例えば巻き付けること、またはアキュムレータ機器内へそれをカスケードすることによって)屈曲または湾曲される前に40℃以下、特に35℃以下に冷却される。屈曲または湾曲前のこの冷却は、製品がカーペットタイルの場合のように、ダイカットされる、または独立モジュールとして機能するように設計されることになっている場合に特に好ましい。
【0046】
例えば数ある中でもポリマーフィルムまたはシート、カーペット(パイルヤーンカーペットを含む)、テキスタイルファブリック、紙シート、剛性材料、例えば木材、ベニヤ、金属箔またはシート、あるいは複合材料を含む、多種多様の材料が基材として機能し得る。
【0047】
特に興味深い基材は、房状または製織カーペット材料である。該カーペットは、カーペット表面を作製するために仕上げ繊維がそれを通じて房付けまたは製織される複数の開口を画成する主裏地を含む。主裏地は一般に、製織または不織スクリムの形であり、いずれかの好都合な材料、例えばジュート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリレート、綿、羊毛、または他の材料などから作り得る。仕上げ繊維も、いずれかの好都合な材料、例えば羊毛、綿、ナイロン、ポリエステル、アクリル繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン、これらのいずれか2つまたはそれ以上のブレンドなどからなり得る。仕上げ繊維は典型的に、カーペット表面および対向する下側を作製するために主裏地を通じて房付けまたは製織される繊維束の形である。一実施形態において、非多孔性ポリウレタンは、非多孔性裏地、例えばプレコート、積層、単一、タイコートまたはハードバックキャップコーティングを形成するために、本発明に従って塗布される。代替的にまたは加えて、多孔性ポリウレタンクッションは本発明に従ってカーペットに付着され得る。
【0048】
本発明のカーペット裏地は、住居および商業用カーペット業界はもちろんのこと、娯楽用、例えばボート、自動車、中庭、人工タフトなどのための敷物にも特別な適用性を有する。
【0049】
次の実施例は本発明を例証するが、その範囲を制限するものではない。すべての部およびパーセンテージは、特に明記しない限り重量による。特に明記しない限り、ここで示すすべての分子量は重量平均分子量である。
【実施例】
【0050】
実施例1および比較サンプルA〜C
ポリオール混合物を、8重量% EOおよび92重量% POの、3000分子量の公称3官能性ランダムコポリマー46部、2000分子量の公称2官能性12重量% EO−キャップポリ(プロピレンオキシド)46部およびジエチレングリコール8.0部をブレンドすることによって形成する。このポリオール混合物、カルシウムカーボネート粒子190部、粘度低下剤0.5部および10% ニッケルアセチルアセトナート溶液1.0部(General ElectricよりNiax LC5615触媒として入手可能)を、Cowlesブレード回転を2000rpmで使用して、配合物の温度が廃熱の発生によって49℃に達するまで混合する。混合物を室温になるまで放置する。配合物をポリマーMDI/MDIハードセグメントプレポリマーブレンド39.4部(ISONATE(登録商標)7594イソシアネート)とイソシアネート指数105までブレンドし、該ブレンドをCowlesブレードによって配合物温度が38℃に達するまで混合する。ジ−n−ブチルスズスルフィドの0.5%溶液1部をその温度にて添加し、30秒間混合し、実施例1の調合物を生成する。
【0051】
得られたポリウレタン形成組成物の一部は、38℃の浴中に浸漬されている試験管に移す。Brookfield粘度は#7スピンドルを20rpmで使用して定期的に決定される。ポットライフ(100,000cpsの粘度に達するまでの時間)は30分である。
【0052】
得られたポリウレタン形成組成物の別の一部を121℃のオーブンに入れ、上記のように硬化時間を評価する。この組成物の硬化時間は2分であり、高速で経済的な処理速度の達成には理想的である。
【0053】
比較サンプルAは、それが唯一の触媒としてジ−n−ブチルスズスルフィド0.01部を含有することを除いて、同じ様式で作製および試験される(すなわち配合物中にニッケルアセチルアセトナート触媒が含まれない)。この調合物のポットライフは15分であり、これは許容される。しかしながら本系の硬化時間は2.5分であり、これは最適処理速度としては低速である。
【0054】
比較サンプルBは、触媒がポリオール混合物100部当たり0.005部の濃度のジ−n−ブチルスズスルフィドであり、ニッケルアセチルアセトナートが存在しないということを除いて、実施例1と同じ様式で作製される。本系のポットライフは20分であったが、系は硬化するまで3分を必要とする。
【0055】
比較サンプルAおよびBは、ジ−n−ブチルスズスルフィド触媒を単独で使用して、ポットライフと硬化時間の間のトレードオフを例示する。
【0056】
比較サンプルCは、ジブチルスズスルフィド触媒が存在しないことを除いて、実施例1と同じ様式で作製される。本系のポットライフは58分であるが、硬化時間は3.5分であり、経済的なプロセスにとっては低速すぎる。
【0057】
実施例2および比較サンプルD
ポリオール混合物を、2000分子量の公称2官能性ポリ(プロピレンオキシド)ポリオール67部、8重量% エチレンオキシドおよび92重量% プロピレンの3000分子量の公称3官能性ランダムコポリマー15部、ジプロピレングリコール13部ならびにアニリンおよび2モルプロピレンオキシドの付加体5部をブレンドすることによって形成する。ポリオール混合物、85% H3PO4 0.05部、5Aモルシーブ(UPOより入手可能)5部、Code5027粘度低下剤(Fibro Chem Inc.より入手可能)1.5部、粒子コートフライアッシュ(BoralよりCelceram(商標)PV20A充填材として入手可能)400部およびLC5615触媒溶液1.0部は、Cowlesブレード回転を2000rpmで使用して、配合物の温度が廃熱の発生によって49℃に達するまで混合する。配合物を室温まで低下させ、液化MDI/MDIハードセグメントプレポリマーブレンド60部(Dow ChemicalよりISONATE(登録商標)7560イソシアネートして入手可能)とイソシアネート指数117までブレンドされる。該ブレンドをCowles bladeによって配合物の温度が廃熱の発生によって38℃に達するまで混合する。ジ−n−ブチルスズスルフィド(0.015部)を添加し、30秒間混合して実施例2の調合物を生成する。
【0058】
調合ポリオールのpHは8.3である。
【0059】
得られたポリウレタン形成組成物の一部を、38℃の浴中に浸漬されている試験管に移す。Brookfield粘度は#7スピンドルを20rpmで使用して定期的に決定する。ポットライフは12.5分である。
【0060】
得られたポリウレタン形成組成物の別の一部を129℃のオーブンに入れ、上記のように硬化時間を評価する。この組成物の硬化時間は2分であり、これは組成物が工業規模で経済的な処理速度にて処理されることを可能にする。
【0061】
比較サンプルDは、リン酸を含まず、ジブチルスズスルフィドのレベルを0.005部に低下させることを除いて同じ様式で作製される。調合ポリオールはpH9.43を有し、このpHにおいて組成物のポットライフは、ジ−n−ブチルスズスルフィドのレベルが低下したにも拘わらず、わずか8.33分である。低下した触媒レベルのために、本系の硬化時間は2.75分であり、これは商業規模プロセスを経済的に運営するためには長すぎる。
【0062】
実施例3および比較サンプルE
ポリオール混合物を、13% エチレンオキシドによってキャップした4800分子量の3官能性ポリ(プロピレンオキシド)ポリマー88部をジエチレングリコール12部とブレンドすることによって調製する。ポリオール混合物、85% H3PO4 0.05部、5Aモルシーブ5部、Code5027粘度低下剤1.5部、Celceram(商標)PV20A充填材300部およびLC5615触媒溶液1.0部を、Cowlesブレード回転を2000rpmで使用して、配合物の温度が廃熱の発生によって49℃に達するまで混合する。配合物を室温になるまで放置し、ポリマーMDI/MDIソフトセグメントプレポリマー46.8部(Dow ChemicalよりISONATE(登録商標)7045イソシアネートして入手可能)とイソシアネート指数105までブレンドする。該ブレンドをCowlesブレードによって系温度が38℃に達するまで混合する。ジ−n−ブチルスズスルフィド(0.005部)を添加し、30秒間混合して実施例3の調合物を生成する。
【0063】
調合ポリオールのpHは8.3である。組成物のポットライフは8.75分である。その硬化時間は121℃にて2分である。
【0064】
比較サンプルEは、リン酸を含まず、ジ−n−ブチルスズスルフィドのレベルを0.005部に低下させることを除いて同じ様式で作製される。調合ポリオールはpH9.43を有し、このpHにおいて組成物のポットライフは、ジブチルスズスルフィドのレベルが低下したにも拘わらず、わずか3.6分である。本系の硬化時間は121℃にて2.0分である。
【0065】
上記より、本発明の新規な概念の真の精神および範囲から逸脱することなく多数の変更形態および修飾形態が実施され得ることが認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも300の当量を有するポリオールまたは少なくとも1つ種の他のイソシアネート反応性物質とのその混合物、85〜130のイソシアネート指数を与えるのに十分な量の少なくとも1種のポリイソシアネート、微粒子無機充填材、イソシアネート反応性物質100重量部当たり0.05〜0.5重量部のニッケル、カドミウムまたは銅アセチルアセトナート触媒、およびイソシアネート反応性物質100重量部当たり0.001〜0.1重量部の各スズ原子が少なくとも1個の硫黄原子に結合している有機スズ触媒を含む、ポリウレタン形成組成物を形成するステップと;
b)前記組成物の層を基材上に形成するステップと;
(ここで、前記組成物の温度は前記ステップa)およびb)の間に50℃またはそれ未満に維持される)
c)前記組成物を80〜180℃の温度に加熱して前記組成物を硬化させて、前記基材に接合したポリウレタン層を形成するステップと;
を含むプロセス。
【請求項2】
前記ポリウレタン形成組成物がニッケルアセチルアセトナート触媒を含有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記有機スズ触媒がジブチルスズスルフィドである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記組成物が前記ステップa)および前記ステップb)の間に曝露される最高温度が31〜50℃である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ポリウレタン形成組成物がイソシアネート反応性物質100重量部当たり約250〜約400部の充填剤を含有する、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ポリウレタン形成組成物のポットライフが少なくとも8分である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ポリウレタン形成組成物の硬化時間が75〜135秒である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記ポリウレタン形成組成物がイソシアネート反応性物質100重量部当たり0.1〜0.3重量部のニッケルアセチルアセトナートを含有する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記ポリウレタン形成組成物がイソシアネート反応性物質100重量部当たり0.005〜0.025部のジブチルスズスルフィドを含有する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記基材がカーペットである、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記組成物が前記ステップa)および前記ステップb)の間に曝露される最高温度が31〜50℃である、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記ポリウレタン形成組成物が少なくとも1種の界面活性剤を含有する、請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ポリウレタン形成組成物が前記ステップb)の前に発泡される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記ポリウレタン層が多孔性である、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記ポリウレタン層が非多孔性である、請求項10に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ステップb)の間または後にガラス繊維または第2のファブリックが前記ポリウレタン形成組成物の層に接触して、前記ステップc)が、前記ポリウレタン層に接触した前記ガラス繊維または前記第2のファブリックと共に実施されて、前記ガラス繊維または前記第2のファブリックが前記ポリウレタン層に付着した積層体を形成する、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
少なくとも300の当量を有する少なくとも1種のポリオールまたは少なくとも1種の他のイソシアネート反応性物質とのその混合物と、微粒子無機充填材と、イソシアネート反応性物質100重量部当たり0.05〜0.5重量部のニッケル、カドミウムまたは銅アセチルアセトナート触媒、およびイソシアネート反応性物質100重量部当たり0.001〜0.1重量部の各スズ原子が少なくとも1個の硫黄原子に結合している有機スズ触媒を含む、調合ポリオール混合物。
【請求項18】
7.0〜9.25のpHを有する、請求項17に記載のポリオール混合物。
【請求項19】
前記ポリウレタン形成組成物がニッケルアセチルアセトナート触媒を含有する、請求項18に記載のポリオール混合物。
【請求項20】
前記有機スズ触媒がジブチルスズスルフィドである、請求項19に記載のポリオール混合物。
【請求項21】
前記イソシアネート反応性物質100重量部当たり約250〜約400部の微粒子無機充填材を含有する、請求項20に記載のポリオール混合物。
【請求項22】
前記ポリウレタン形成組成物がイソシアネート反応性物質100重量部当たり0.1〜0.3重量部のニッケルアセチルアセトナートを含有する、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記ポリウレタン形成組成物が0.005〜0.025部のジブチルスズスルフィドを含有する、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種の微粒子有機充填材を含有し、7.0〜9.25のpHを有する調合ポリオールを形成するステップと、前記調合ポリオールを少なくとも1種のポリイソシアネートおよび各スズ原子が少なくとも1個の硫黄原子に結合している少なくとも1種の有機スズ触媒と混合することによってポリウレタン形成組成物を形成するステップと、前記組成物を基材上の層に形成するステップと、次いで、前記組成物を硬化させて、前記基材に接合したポリウレタン層を形成するステップとを含むプロセス。
【請求項25】
前記調合ポリオールが7.5〜9.0のpHを有する、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記調合ポリオールが7.5〜8.5のpHを有する、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記調合ポリオールが、イソシアネート反応性物質100重量部当たり0.05〜0.5重量部のニッケル、カドミウムまたは銅アセチルアセトナート触媒をさらに含有する、請求項24に記載のプロセス。

【公表番号】特表2009−533489(P2009−533489A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504192(P2009−504192)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/006768
【国際公開番号】WO2007/126613
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】