位置情報取得システム、位置情報取得装置、位置情報取得方法
【課題】機器に表示された地図をユーザが見ることなく、GPS装置によって取得された位置情報をユーザが補正することができる位置情報取得装置を提供する。
【解決手段】音声によって入力された情報を解析し、情報に含まれる目標物を特定する音声認識サーバ装置1と、特定された前記目標物に基づいて、移動通信装置によって測位された測位情報を補正する位置補正サーバ装置202とを含む位置情報取得装置を構成する。そして、位置補正サーバ装置202に、測位情報に関する誤差に基づいてユーザが存在し得る特定範囲を特定する誤差判定部301、ユーザ存在範囲特定部302と、特定範囲のうち、目標物が視認可能な範囲と重複する視認可能エリアを特定し、測位情報が示す移動通信装置の現在位置を、視認可能エリアの重心を含む範囲に補正するユーザ位置補正処理部303とを設ける。
【解決手段】音声によって入力された情報を解析し、情報に含まれる目標物を特定する音声認識サーバ装置1と、特定された前記目標物に基づいて、移動通信装置によって測位された測位情報を補正する位置補正サーバ装置202とを含む位置情報取得装置を構成する。そして、位置補正サーバ装置202に、測位情報に関する誤差に基づいてユーザが存在し得る特定範囲を特定する誤差判定部301、ユーザ存在範囲特定部302と、特定範囲のうち、目標物が視認可能な範囲と重複する視認可能エリアを特定し、測位情報が示す移動通信装置の現在位置を、視認可能エリアの重心を含む範囲に補正するユーザ位置補正処理部303とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報取得システム、位置情報取得装置、位置情報取得方法に係り、特に、ユーザが音声によって情報を入力し、入力された情報に対して音声で応答する位置情報取得システム、位置情報取得装置、位置情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話機等の移動通信装置から入力されたユーザの音声を自動的に解析し、ユーザが要求する情報を検索して取得するサービスがある。このようなサービスでは、移動通信装置の測位機能を使って移動通信装置の位置を特定し、特定された位置からユーザに提供すべき情報を取捨選択することも行われている。なお、このような技術では、一般的に、移動通信装置の位置がユーザの位置とみなされる。
【0003】
上記したサービスの従来技術として、例えば、特許文献1が挙げられる。特許文献1には、ユーザが移動通信装置から「これからコンサートにでも行きたいのだけど何処かでやっていない?何か情報があったら教えて」と音声入力すると、エージェントコンピュータが、現在時刻と共にGPS(Global Positioning System)装置を使ってユーザの現在位置を特定することが記載されている。
【0004】
さらに、特許文献1には、現在時刻、現在位置からユーザが向かって開演時刻に間に合うコンサートの情報を抽出し、抽出された情報を音声によってユーザに提供することが記載されている。
ところで、GPS装置は、位置の測定が行われる場所(測位場所)の電波状況等により、測定誤差が変化する。測定誤差が大きい場合、ユーザの位置が正確に取得できないことになる。このため、GPS装置によって取得された位置情報を、ユーザ自身によって補正する従来技術がある。
【0005】
GPS装置によって取得された移動通信装置の現在位置を補正する従来技術として、例えば、特許文献2、特許文献3に記載された発明がある。特許文献2に記載された測位装置では、測位によって得られた位置情報の誤差の範囲に含まれる地図要素を地図上に表示する。そして、表示された地図要素のうち、ユーザによって指定された地図要素を他の地図要素と異なる表示形態で表示する。特許文献2によれば、ユーザは、表示された地図要素に基づいて移動通信装置の位置を補正することができる。
【0006】
また、特許文献3に記載されたナビゲーション装置では、ユーザが地図を参照し、地図上に表示されている移動通信装置の現在位置を確認する。そして、表示されている地図上の現在位置と実際の現在位置とが異なる場合、ユーザが、「上の道」、あるいは「右の道」といった情報をナビゲーション装置に音声入力する。ナビゲーション装置は、音声入力された情報にしたがって移動通信装置の現在位置を補正し、地図上の現在位置と実際の現在位置とを一致させる。
このような従来技術によれば、ユーザは、GPS装置によって取得された移動通信装置の現在位置を補正し、補正後の正確な位置情報に基づく適正な情報を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−283362号公報
【特許文献2】特開2002−357448号公報
【特許文献3】特開2002−350158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した従来技術の移動通信装置位置の補正は、いずれもユーザが機器の画面に表示された地図を見て補正に必要な情報を入力しなければならない。このため、特許文献2、特許文献3では、音声入力してサービスの提供を受ける一連の処理において移動通信装置の位置を補正する場合、携帯電話機等のディスプレイ画面を見る必要がある。
移動中にディスプレイ画面を見ることは、ユーザの注意力を散漫にする可能性が生じるために望ましいことではない。
【0009】
また、特許文献1に記載されたサービスは、ユーザが音声によって情報提供のサービスを受けながら周囲の情報を目視して移動することができるからこそ高い利便性を得るものである。したがって、サービスの提供を受ける過程で移動通信装置の画面を見ることは、サービスの利便性を損なうことになる。
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、移動通信装置に表示された地図をユーザが見ることなく、GPS装置等の測位装置によって取得された位置情報をユーザが補正することができる位置情報取得システム、位置情報取得装置、位置情報取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の位置情報取得システムは、音声によって情報を入力する移動通信装置(例えば図2に示した携帯電話機201)と、前記移動通信装置によって音声入力された情報を解析し、前記情報に含まれる目標物を特定する音声解析部(例えば図2に示した音声認識サーバ装置1)を備えた位置情報取得装置(例えば図2に示したサーバ装置群4)と、を含む位置情報取得システムであって、前記移動通信装置は、自装置の現在位置を測位する測位手段を備え、当該測位によって得られた測位情報を前記位置情報取得装置に送信し、前記位置情報取得装置は、前記音声解析部によって特定された前記目標物に基づいて、前記移動通信装置によって測位された測位情報を補正する補正処理手段(例えば図2に示した位置補正サーバ装置202)を備え、前記補正処理手段は、前記測位情報に関する誤差に基づいて、前記移動通信装置が存在し得る存在範囲を特定する存在範囲特定手段(例えば図3に示した誤差判定部301、ユーザ存在範囲特定部302)と、前記存在範囲のうち、前記音声解析部によって取得された目標物が視認可能な範囲と重複する視認可能エリアを特定する視認可能エリア特定手段(例えば図3に示したユーザ位置補正処理部303)と、前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアに含なれる位置に補正する補正手段(例えば図3に示したユーザ位置補正処理部303)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
このような請求項1によれば、位置情報取得装置が、測位された位置を含む誤差に応じた範囲内であって、かつ入力された目標物が視認可能な範囲を特定し、この重心を含む範囲によって測位情報を補正することができる。このため、GPS等の測位手段の測位誤差を、ユーザが実際に視認できる情報によって補正することができる。また、この補正にあたり、ユーザは発話して視認できる目標物を音声入力するだけでよいので、ユーザが補正処理中に移動通信装置のディスプレイ画面等を見る必要がない。したがって、請求項1の発明は、機器に表示された地図をユーザが見ることなく、GPS装置等によって取得された位置情報をユーザが補正することができる位置情報取得システムを提供することができる。
【0012】
本発明の請求項2に記載された位置情報取得装置(例えば図2に示したサーバ装置群4)は、移動通信装置の位置を測位して得られる測位情報を補正する補正処理手段(例えば図2に示した位置補正サーバ装置202)を含む位置情報取得装置であって、移動通信装置によって音声入力された情報を解析し、前記情報に含まれる目標物を特定する音声解析部(例えば図2に示した音声認識サーバ装置1)を備え、前記補正処理手段は、前記測位情報に関する誤差に基づいて、前記移動通信装置が存在し得る存在範囲を特定する存在範囲特定手段(例えば図3に示した誤差判定部301、ユーザ存在範囲特定部302)と、前記存在範囲のうち、前記音声解析部によって取得された目標物が視認可能な範囲と重複する視認可能エリアを特定する視認可能エリア特定手段(例えば図3に示したユーザ位置補正処理部303)と、を備え、前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアに含まれる位置に補正することを特徴とする。
【0013】
このような請求項2によれば、位置情報取得装置が、測位された位置を含む誤差に応じた範囲内であって、かつ入力された目標物が視認可能な範囲を特定し、この重心を含む範囲によって測位情報を補正することができる。このため、GPS等の測位手段の測位誤差を、ユーザが実際に視認できる情報によって補正することができる。また、この補正にあたり、ユーザは発話して視認できる目標物を音声入力するだけでよいので、ユーザが補正処理中に移動通信装置のディスプレイ画面等を見る必要がない。したがって、請求項1の発明は、機器に表示された地図をユーザが見ることなく、GPS装置等によって取得された位置情報をユーザが補正することができる位置情報取得装置を提供することができる。
【0014】
本発明の請求項3に記載された位置情報取得装置は、請求項2において、前記音声解析部によって特定された前記目標物が複数ある場合、前記視認可能エリア特定手段は、前記存在範囲のうち、前記音声解析部によって取得された複数の目標物についての複数の視認可能な範囲と重複するエリアを視認可能エリアに特定することを特徴とする。このような請求項3によれば、複数の目標物を使ってユーザの現在位置を補正することができるので、補正によって決定されるユーザの位置の精度を高めることができる。
【0015】
本発明の請求項4に記載の位置情報取得装置は、請求項2または3において、前記音声解析部は、音声によって入力された情報を解析して前記目標物が見える方向をも特定し、前記視認可能エリア特定手段は、前記目標物が見える方向に基づいて、特定された視認可能エリアの一部を視認可能エリアから除外することを特徴とする。このような請求項4によれば、目標物が見える方向によっていったん特定された視認可能エリアをさらに狭めることができる。このため、補正によって決定されるユーザの位置の精度を高めることができる。
【0016】
本発明の請求項5に記載の位置情報取得装置は、請求項2または3において、前記補正処理手段が、前記測位情報に関する誤差が所定の値よりも小さい場合、前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置の補正をしないことを特徴とする。このような請求項5によれば、補正の必要がない場合には補正の処理を省き、本発明の処理効率を高めることができる。
【0017】
本発明の請求項6に記載の位置情報取得装置は、請求項2、3、5のいずれか1項において、前記補正処理手段が、前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアの重心に補正することを特徴とする。このような請求項6によれば、視認可能エリアにおける、正確な移動通信装置の現在位置と推定される現在位置との相違を抑えることができる。
【0018】
本発明の請求項7に記載の位置情報取得方法は、移動通信装置によって音声入力された情報に含まれる目標物に基づいて、移動通信装置の位置を測位して得られる測位情報を補正する補正手段を備えた位置情報取得装置によって実行される位置情報取得方法であって、前記測位情報に関する誤差に基づいて、前記移動通信装置が存在し得る存在範囲を特定する存在範囲特定ステップ(例えば図7に示したステップS3)と、前記存在範囲のうち、前記目標物が視認可能な範囲と重複する視認可能エリアを特定する視認可能エリア特定ステップ(例えば図7に示したステップS6)と、前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアに含まれる位置に補正する位置補正ステップ(例えば図7に示したステップS8)と、を含むことを特徴とする。
請求項7の発明によれば、機器に表示された地図をユーザが見ることなく、GPS装置等によって取得された位置情報をユーザが補正することができる位置情報取得方法を提供することができる。
【0019】
本発明の請求項8に記載の位置情報取得システムは、移動通信装置(例えば図2に示した携帯電話機201)と、当該移動通信装置の現在位置を取得する位置情報取得装置(例えば図2に示したサーバ装置群4)と、を含む位置情報取得システムであって、目標物と、当該目標物が視認できる視認範囲とを対応付けた視認情報データベース(例えば図3に示したデータベース304)を含み、前記前記位置情報取得装置は、前記移動通信装置から音声入力された情報に基づいて、ユーザが視認できる目標物を特定する目標物特定手段(例えば図2に示した音声認識サーバ装置1)と、前記視認情報データベースを検索し、前記目標物が視認できる視認範囲を前記視認情報データベースから抽出する視認範囲抽出手段(例えば図3に示したユーザ位置補正処理部303)と、前記視認範囲抽出手段により抽出された視認範囲に含まれる位置を、前記移動通信装置の現在位置とする位置取得手段(例えば図3に示したユーザ位置補正処理部303)と、を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明によれば、移動通信装置を介してユーザから音声入力される目標物の情報に基づいて、移動通信装置の位置を取得することができる。このため、GPS機能等を用いることなく、ユーザが周囲を視認できる状態であれば移動通信装置、ひいてはユーザの現在位置を取得することができる。また、現在位置の取得において、ユーザが移動通信装置の画面等を見る必要がないので、利便性が高い位置情報取得システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、ユーザが周囲の状況を見ながら発話して自身の現在位置を示す測位情報を補正することができる。このため、測位情報の補正に当たってユーザは機器のディスプレイ画面等を見る必要がなく、位置情報取得システム、位置情報取得装置、位置情報取得方法の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態が適用されるサービスの一例を説明するための図である。
【図2】本発明の一実施形態の位置情報取得システムの概要を説明するための図である。
【図3】図1に示した位置補正サーバ装置202の構成を説明するための機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態の視認可能エリアを絞り込む処理を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態の測位情報を補正することが可能か否かを判断する処理を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態の測位情報の補正を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態の位置情報取得システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の具体例1の、測位情報に基づくユーザの現在位置と、ユーザ存在範囲とを、地図上に示した図である。
【図9】本発明の具体例1の、ユーザ存在範囲と重なるユーザ視認範囲を示した図である。
【図10】本発明の具体例1の、ユーザ視認可能エリアを特定する処理を説明するための図である。
【図11】本発明の具体例1の、他の目標物の視認可能エリアを示す図である。
【図12】本発明の具体例1の、2つの目標物の視認可能エリアが重なった状態を示す図である。
【図13】本発明の具体例1の、視認可能エリアからユーザの現在位置とその誤差とを決定する処理を説明するための図である。
【図14】本発明の具体例1によって得られる効果を説明するための図である。
【図15】本発明の具体例2を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図を参照して本発明に係る位置情報取得システム、位置情報取得装置、位置情報取得方法の一実施形態を説明する。
(前提技術)
以下、本発明の実施形態の説明に先立って、本実施形態が適用されるサービスについて説明する。
図1は、本実施形態が適用されるサービスの一例を説明するための図である。図1に示したサービスは、携帯電話機を利用して入力された音声にしたがって新幹線のチケットを予約するものである。このようなサービスでは、ユーザは自己が保有する携帯電話機を使って所定の電話番号に発呼し、例えば、現在東京にいるユーザが、「今から仙台に行きたい」と音声入力をする。入力された音声は、サービスを提供する業者が管理するサーバ装置に送信される。
【0024】
また、携帯電話機に内蔵されているGPS装置の受信器がGPS衛星から受信した信号に基づいて携帯電話機の位置を測位する。特定された位置を示す測位情報は、上記したサーバ装置に送信される。
図1に示した例では、位置情報取得システムが、音声認識サーバ装置1、シナリオサーバ装置2、Webサーバ装置3の3つのサーバ装置を備えている。入力された音声は音声認識サーバ装置1によって解析される。シナリオサーバ装置2は、音声認識サーバ装置1の解析によって得られた情報に基づいて、ユーザとの会話に用いられるデータ(シナリオ)を読み出し、合成音声によってユーザに応答する。
【0025】
Webサーバ装置3は、音声認識サーバ装置1の解析によって得られた情報に基づいて、ユーザが必要とする情報を、例えばインターネット回線を通じて取得する。また、Webサーバ装置3は、ユーザの希望に沿って、例えばインターネット回線を通じて新幹線チケットの予約をする。
この際、Webサーバ装置3は、測位情報に基づいて携帯電話機の位置に対する最寄り駅を特定する。そして、最寄り駅から新幹線の乗車可能な駅まで向かう時間や路線を考慮して予約可能な新幹線の便を検索する。このため、図1に例示したサービスにおいて、GPS装置によって得られる測位情報が不正確な場合、ユーザの希望に沿った新幹線の便の情報を提供することができなくなることがある。
【0026】
例えば、ユーザの最寄り駅が、現実の最寄り駅よりも遠い他の駅であると誤判定された場合、本来予約できた新幹線のチケットよりも出発が遅い新幹線のチケットが予約されてしまうことが起こり得る。したがって、このようなシステムにおいて、測位情報の精度を高めることは、ユーザに正確な情報を提供する上で重要度が高いものといえる。
【0027】
(システムの概要)
図2は、本実施形態の位置情報取得システムの概要を説明するための図である。図示したように、本実施形態の位置情報取得システムは、ユーザによって携帯される移動通信装置と、位置補正サーバ装置202を含むサーバ装置群4とによって構成される。本実施形態では、移動通信装置を、携帯電話機201とする。なお、本実施形態の移動通信装置としては、携帯電話機に限定されるものでなく、通信機能を持った携帯可能な機器であればどのような装置であっても適用することができる。
【0028】
携帯電話機201とサーバ装置群4とは、公衆電話交換回線網(PSTN:Public Switched Telephone Networks)PS、インターネット(Internet)I、3G(3rd Generation)ネットワークGによって接続されている。
また、携帯電話機201には、GPS衛星204から電波を受信して自機の位置を測定するGPS受信器が設けられている。なお、このような携帯電話機201の受信器については、GPS機能を持った携帯電話機が周知であることから、GPS受信器の図示及びこれ以上の説明を省く。本実施形態では、GPS衛星204とGPS受信器とを合わせて以降GPS機能と記す。
【0029】
サーバ装置群4は、図1に示した音声認識サーバ装置1、シナリオサーバ装置2、Webサーバ装置3の他、位置補正サーバ装置202を含んでいる。位置補正サーバ装置202は、本実施形態のGPS装置によって測位された携帯電話機の位置を補正するサーバ装置である。
以上の構成において、携帯電話機201には、ユーザが通話することによって音声による情報が入力される。また、サーバ装置群4に含まれる音声認識サーバ装置1は、携帯電話機201によって音声入力された情報を解析し、情報に含まれる目標物を特定することができる。
【0030】
(携帯電話機)
携帯電話機201は、GPS機能によって測位された位置に関する情報(以降、測位情報と記す)を一定の時間間隔で位置補正サーバ装置202に送信する。また、このとき、携帯電話機201は、測位情報と共に、この測位情報の測位誤差を示す測位レベル情報を位置補正サーバ装置202に送信する。
1.測位レベル情報
表1は、測位レベル情報を説明するためのテーブルである。測位レベル情報は、図示したように、測位レベル「1」、「2」、「3」のいずれかを示している。「1」から「3」の測位レベルには、それぞれ誤差が対応付けられていて、測位レベルが示す数値が大きいほど誤差が大きいことを示している。
【0031】
【表1】
【0032】
なお、上記した測位レベルは、例えば、携帯電話機が一般的に備えている位置測位エンジンと呼ばれる機能によって実現できる。位置測位エンジンとは、予め設定されている判定基準にしたがって緯度、経度の測位レベルを判定する機能である。位置測位エンジンは公知の構成であるから、これ以上の説明を省くものとする。
【0033】
(サーバ装置)
図3は、図1に示した位置補正サーバ装置202の構成を説明するための機能ブロック図である。位置補正サーバ装置202は、測位レベル情報から位置情報の誤差を判定する誤差判定部301、誤差判定部301により判定された誤差が、所定の値よりも大きい場合、携帯電話機が存在する範囲を特定するユーザ存在範囲特定部302、ユーザ存在範囲特定部302によって特定された範囲(以降、ユーザ存在範囲と記す)を補正し、携帯電話機の位置を求めるユーザ位置補正処理部303を備えている。なお、本実施形態では、以降、携帯電話機のユーザ存在範囲をユーザのユーザ存在範囲、携帯電話機の位置をユーザの位置とみなすものとする。
【0034】
また、位置補正サーバ装置202は、データベース304を備えている。データベース304には、地図データ304aと、視認情報データ304bとが蓄積されている。視認情報データ304bは、地図データによって表される地図に記された目標物となり得る建物や標識、看板、橋等の構造物を視認することが可能な範囲を、地図上で定義した情報である。なお、視認情報データ304bについては、後に図示して説明する。
【0035】
1.誤差判定部
誤差判定部301は、携帯電話機201から送信された測位レベルから、測位情報の誤差を判定する。なお、誤差判定部301には、予め表1に示した測位レベルに対応する特定範囲が設定されている。また、送信された測位レベルが所定の測位レベル以下であった場合には誤差が小、送信された測位レベルが所定の測位レベルよりも大きい場合には誤差が大と判定するものとする。
【0036】
2.ユーザ存在範囲特定部
ユーザ存在範囲特定部302は、測位レベルに対応する誤差に基づいてユーザ存在範囲を特定する。本実施形態では、例えば、測位レベルが「2」であって、水平誤差が50m以上、300m未満である場合、測位情報が示す携帯電話機の位置を中心とする半径300mの円を特定範囲とする。また、水平誤差が300m以上である場合、特定範囲を、予めユーザ存在範囲特定部302において設定された上限範囲とする。上限範囲は、例えば、測位情報が示す携帯電話機の現在位置を中心とし、設定された上限値を半径とする円として設定される。
【0037】
3.ユーザ位置補正処理部
ユーザ位置補正処理部303は、シナリオサーバ装置2に対し、音声ガイダンスを携帯電話機に流すように指示する。この音声ガイダンスは、ユーザから見える建物や標識、看板、ポスト、橋等の建造物(以降、目標物と記す)の名称と、ユーザの進行方向に対する目標物が見える方向とを音声入力するように促すものである。音声ガイダンスの具体例としては、例えば、「そちらから見える目標物を教えて下さい、また、その目標物は進行方向からどちらの方向から見えますか」等がある。
【0038】
このような音声ガイダンスに対し、ユーザは、例えば、「右側にコンビニエンスストアLが見える」、あるいは「郵便ポストが見える」といった音声による回答をする。ユーザの回答は、音声認識サーバ装置1によって解析され、「コンビニエンスストアL」、「右側」といった情報に変換される。ユーザ位置補正処理部303は、変換後の「コンビニエンスストアL」、「右側」といった位置に関する情報を取得する。なお、本実施形態において、目標物が見える方向についての情報は、「上」、「下」、「右」、「左」のいずれか1つを入力すればよい。
【0039】
次に、ユーザ位置補正処理部303は、データベース304の地図データ304aを検索し、ユーザ存在範囲特定部302によって特定されたユーザ存在範囲内に目標物が含まれているか否か判断する。そして、ユーザ存在範囲内に目標物が含まれている場合、視認情報データ304bを検索し、目標物が視認可能なユーザ視認範囲を抽出する。なお、ユーザ視認範囲とは、目標物が視認可能な範囲を地図上で規定したエリアである。
【0040】
さらに、ユーザ位置補正処理部303は、ユーザ存在範囲と、抽出されたユーザ視認範囲とが重なったエリアがあるか否か判断する。ユーザ存在範囲とユーザ視認範囲とが重なったエリアがある場合、ユーザ位置補正処理部303は、ユーザ視認範囲とユーザ存在範囲とが重なったエリアを視認可能エリアとする。なお、ユーザが目標物を複数回答した場合、複数の目標物のユーザ視認範囲とユーザ存在範囲とが重なったエリアを視認可能エリアとする。
また、ユーザが音声ガイダンスに応じて目標物の見える方向についても回答した場合、ユーザ位置補正処理部303は、方向に基づいて視認可能エリアをさらに絞り込む。なお、ユーザ位置補正処理部303は、送信された測位情報を受信し、時系列に蓄積することにより、携帯電話機の移動方向を把握している。
【0041】
図4(a)〜(d)は、目標物が見える方向に基づいて視認可能エリアAを絞り込み、より精度が高い視認可能エリアを求める処理を説明するための図である。図4(a)〜(d)のいずれにおいても、視認可能エリアA内に示したMは目標物を示している。また、各図上の矢線は、ユーザの進行方向を示している。
図4(a)は、ユーザが、音声ガイダンスに「後に目標物が見える」と応答した場合の視認可能エリアを示している。図4(a)に示した例によれば、視認可能エリアAは、ユーザの進行方向を前方とした場合の、目標物Mよりも前方のエリアに制限される。この結果、視認可能エリアAのエリアABが視認可能エリアAから除外される。
【0042】
図4(b)は、ユーザが、音声ガイダンスに「前に目標物が見える」と応答した場合の視認可能エリアを示している。図4(b)に示した例によれば、視認可能エリアAは、ユーザの進行方向を前方とした場合の、目標物Mよりも後方のエリアに制限される。この結果、視認可能エリアAのエリアAFが視認可能エリアAから除外される。図4(c)は、ユーザが、音声ガイダンスに「左に目標物が見える」と応答した場合の視認可能エリアを示している。図4(c)に示した例によれば、視認可能エリアAは、ユーザの進行方向を前方とした場合の、目標物Mよりも左方のエリアに制限される。この結果、視認可能エリアAのエリアALが視認可能エリアAから除外される。
【0043】
図4(d)は、ユーザが、音声ガイダンスに「右に目標物が見える」と応答した場合の視認可能エリアを示している。図4(d)に示した例によれば、視認可能エリアAは、ユーザの進行方向を前方とした場合の、目標物よりも右方のエリアに制限される。この結果、視認可能エリアAのエリアARが視認可能エリアAから除外される。なお、視認可能エリアが複数ある場合、各々の視認可能エリアを以上のように絞り込み、絞り込まれた後の視認可能エリア同士が重なったエリアが視認可能エリアとなる。
【0044】
さらに、ユーザ位置補正処理部303は、以上のようにして得た視認可能エリアから、携帯電話機の位置を求め、携帯電話機から送信された測位情報を補正する。以下、携帯電話機の位置を求める処理について説明する。
図5は、ユーザ位置補正処理部303が測位情報の補正に先立って、測位情報を補正することが可能か否かを判断する処理を説明するための図である。ユーザ位置補正処理部303は、視認可能エリアAが特定されたとき、視認可能エリアAの重心oを求める。そして、重心oを中心に、視認可能エリアAを包含する最小半径の円c1を想定する。
【0045】
なお、本明細書において、視認可能エリアAの重心oとは、視認可能エリアに対応する地図上の、視認可能エリアを示す平面図形の重心を意味している。以降、本明細書でいう「重心」は、このように、所定のエリアに対応する地図上において規定された平面図形の重心を指すものとする。
また、ユーザ位置補正処理部303には、所定の半径の円c2が予め設定されている。ユーザ位置補正処理部303は、円c1を予め設定された半径の円c2と比較し、円c1の半径が円c2の半径以下である場合、GPSによって測位された測位情報が補正可能であると判断する。
測位情報が補正可能である場合、ユーザ位置補正処理部303は、視認可能エリアAの重心oがユーザの位置となるように、測位情報を補正する。また、補正後のユーザの位置の誤差範囲を、円c1とする。このとき、図6に示すように、円c1の半径zが、ユーザの位置の水平誤差となる。
【0046】
(位置情報取得システムの動作)
次に、上記した位置情報取得システムの動作を説明する。
図7は、本実施形態の位置情報取得システムの動作を説明するためのフローチャートである。図示したフローチャートは、図2、図3に示した位置補正サーバ装置202が測位情報を補正する処理を表している。
本実施形態の位置情報取得システムにおいて、位置補正サーバ装置は、携帯電話機から測位情報の通知を受ける(ステップS1)。このとき、位置補正サーバ装置は、測位情報と共に送信されてきた測位レベルにより、通知された測位情報の誤差を取得する。そして、取得された誤差により、ユーザ存在範囲を特定する処理を実施するか否か判断する(ステップS2)。
【0047】
ステップS2の判断は、測位レベルに対応する誤差が所定の値よりも大きいか否かによって行われる。ユーザ存在範囲特定部は、測位レベルが例えば図2に示した測位レベル1であった場合、誤差が小さいとし、位置情報が示す位置をそのまま携帯電話機の現在位置とする(ステップS2:誤差小)。また、測位レベルが、例えば図2に示した測位レベル2または測位レベル3であった場合、ユーザ存在範囲特定部は、誤差が大きいとして、ユーザ存在範囲を特定する処理を実施する(ステップS2:誤差大、ステップS3)。
【0048】
ステップS3においてユーザ存在範囲が特定されると、ユーザ位置補正処理部は、音声認識サーバ装置1を介してユーザに音声ガイダンスを流す。ユーザは、音声ガイダンスに応答し、目標物の名称、目標物の名称とその見える方向について音声入力する(目標物のヒアリング:ステップS4)。図3に示したユーザ位置補正処理部303は、入力された目標物がユーザ存在範囲に含まれるか否かを、地図データを検索して判断する(ステップS5)。
【0049】
ここで、本実施形態は、目標物がユーザ存在範囲内に含まれていない場合、ユーザに繰返し音声ガイダンスを流し、他の目標物の音声入力を促す。音声ガイダンスを繰り返して流す回数はx回とする。x回のヒアリングによってもユーザ存在範囲内にある目標物が入力されない場合、ユーザの現在位置を補正することができないと判断し(ステップS9)、処理を終了する。
目標物がユーザ存在範囲に含まれている場合、ユーザ位置補正処理部は、視認情報データ検索し(ステップS5)、目標物のユーザ視認範囲を抽出する。そして、ユーザ存在範囲とユーザ視認範囲とが重なった範囲を視認可能エリアとする(ステップS6)。
【0050】
次に、ユーザ位置補正処理部は、視認可能エリアの重心を中心にし、視認可能エリアを包含する円を想定し、この円と予め設定されている所定の円とを比較する(ステップS7)。この判断において、視認可能エリアを包含する円の半径が所定の円の半径以下であれば、測位情報が示す位置の補正が可能であると判断する(ステップS7:補正可能)。また、視認可能エリアを包含する円の半径が所定の円の半径より大きければ、測位情報が示す位置の補正が不可能であると判断する(ステップS7:補正不可能)。
【0051】
ステップS7の判断は繰返しy回行われる。そして、y回の判断の後、現在位置の補正が不可能であると判断された場合、ユーザ位置補正処理部は、測位情報を補正することができないと判断し(ステップS9)、処理を終了する。
現在位置の補正が可能であると判断された場合、ユーザ位置補正処理部は、視認可能エリアの重心がユーザの位置となるように測位情報を補正する(ステップS8)。また、視認可能エリアを包含する最小の円を、補正された位置の誤差範囲とする。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の位置情報取得装置は、ユーザが携帯電話機を使って通話しながら目標物に関する情報を入力し、入力された情報により自動的に携帯電話機の測位情報を補正することができる。このため、ユーザは、携帯電話機のディスプレイに表示される地図等を見ることなく携帯電話機のGPS機能によって測位された測位情報を補正することができる。
【0053】
このことから、本実施形態は、ユーザが移動中にディスプレイを見ることをなくし、音声入力を使ったサービスの使い勝手を向上することができる。また、暗い場所等、ディスプレイ画面を見難い環境によっても測位情報を補正することができる。さらに、地図等が読めない子供や地図の記号や文字が小さいために地図が見難い老齢のユーザも、簡易に測位情報を補正することができる。
【0054】
(具体例)
以下、以上述べた実施形態1の具体例1、具体例2について説明する。なお、この具体例1、具体例2では、携帯電話機を、より上位概念の移動通信装置と記すものとする。
1 具体例1
具体例1では、以上説明した本実施形態の位置情報取得システムを使ったユーザの現在位置の補正の処理を具体的に説明する。
図8は、移動通信装置から送信された測位情報に基づくユーザの現在位置pと現在位置pに対するユーザ存在範囲qとを、地図上に示した図である。ユーザ存在範囲qは、水平誤差100m時のものであって、現在位置pを中心にした半径100mの円として表される。また、図中に示す矢線dは、ユーザの進行方向を示している。
【0055】
図3に示したユーザ位置補正処理部303は、シナリオサーバを介して音声ガイダンスを流し、目標物及び目標物が見える方向についてユーザにヒアリングする。この結果、具体例1では、ユーザから、「右側にコンビニエンスストアKが見える」との応答が得られた。ユーザ位置補正処理部は、データベースの地図データを検索し、ユーザ存在範囲に「コンビニエンスストアK」が含まれるか否か判断する。
そして、ユーザ存在範囲に「コンビニエンスストアK」が含まれている場合、ユーザ位置補正処理部は、視認情報データを検索する。そして、コンビニエンスストアKのユーザ視認範囲を抽出する。
【0056】
図9は、ユーザ存在範囲qと重なるコンビニエンスストアKのユーザ視認範囲を示した図である。具体例1では、ユーザ存在範囲qにコンビニエンスストアK601、602がある。エリア701aはユーザ存在範囲qと重なるコンビニエンスストアK601のユーザ視認範囲であって、コンビニエンスストアK601の視認可能エリアとなる。エリア702a、702bは、ユーザ存在範囲qと重なるコンビニエンスストアK602のユーザ視認範囲であって、コンビニエンスストアK602の視認可能エリアとなる。エリア701aと、エリア702a、702bとは互いに重ならない。
【0057】
図10は、ユーザ視認可能エリアを特定する処理を説明するための図である。図10の例では、図9に示したエリア701a、702a、702bを、「右側に」の情報に基づいて絞り込む。絞り込みの結果、図示したように、コンビニエンスストアK601のユーザ視認可能エリアはエリア701bとなる。また、コンビニエンスストアK602のユーザ視認可能エリアはエリア702aとなる。
以上の処理では、視認可能エリアを1つに特定できなかったため、サーバ装置群は、移動通信装置に再度音声ガイダンスを流し、目標物の音声入力をユーザに促す。具体例1では、音声ガイダンスに応じ、ユーザにより、「左側に赤坂Vビルが見える」と音声入力されている。
【0058】
図11は、赤坂Vビル603の視認可能エリアを示す図である。図中に示したエリア703a、703bは、ユーザ存在範囲qと重なる赤坂Vビル603のユーザ視認範囲である。ただし、エリア703a、703bのうち、エリア703aは、「左側に」の情報に基づいて視認可能エリアから除外されている。
図12は、エリア702a、703bが重なった範囲を示す図である。具体例1では、コンビニエンスストアK602と赤坂Vビル603とが同時に視認できる範囲にユーザがいると考えられるから、視認可能エリア702a、703bが重なったエリア704がコンビニエンスストアK602と赤坂Vビル603との視認可能エリアとなる。
【0059】
図13は、エリア704から、ユーザの現在位置とその誤差とを決定する処理を説明するための図である。図示したように、ユーザ位置補正処理部は、エリア704の重心oがユーザの現在位置となるように、測位情報を補正する。また、エリア704を包含する円c3を想定する。具体例1では、円c3の半径である10mであることから、補正されたユーザの現在位置の誤差は、エリア704の重心oを中心にした半径10mの円によって表される。
【0060】
図14は、以上説明した具体例によって補正されたユーザの現在位置と、その誤差を測位情報と比較して示した図である。図14において、重心oは補正後のユーザの現在位置であり、円tは現在位置の誤差の範囲を示している。また、点pはGPS装置によって測位されたユーザの現在位置であり、ユーザ存在範囲qは、測位されたユーザの現在位置の誤差の範囲を示している。具体例1の処理によれば、ユーザの現在位置が測位されたユーザの現在位置と相違していること、その誤差範囲が格段に小さくなっていることが明らかである。
【0061】
(具体例2)
また、本発明の実施形態は、具体例1のように、測位情報に基づくユーザ存在範囲を補正することばかりでなく、ユーザ視認範囲のみを使って移動通信装置の位置を取得することも可能である。このような例として、具体例2を説明する。
図15は、具体例2を説明するための図である。具体例2では、ユーザから、音声ガイダンスに対して「右側にフランス料理店Fが見える」、との応答がされたものとする。このような場合、フランス料理店Fのユーザ視認範囲のうち、ユーザに進行方向に対して右側にあるフランス料理店F605のユーザ視認範囲から直ちに移動通信装置の位置を含むエリア705が特定できる。
【0062】
このような具体例では、移動通信装置がエリア705に含まれる範囲に位置していることがわかる。したがって、本実施形態は、具体例2から明らかなように、測位情報を用いることなく移動通信装置の位置を特定することも可能である。
このような具体例2は、GPS機能を用いないので、地下街等においても適用することができる。なお、具体例2は、「右側にフランス料理店Fが見える」の応答のみからエリア705を特定したが、さらに多くの目標物についての情報を音声入力するようユーザに促せば、より高い精度で移動通信装置の位置を特定することができることはもちろんである。
【0063】
具体例2のように、GPS機能等の測位装置によって得られる測位情報を使わずに移動通信装置の位置を特定する場合、本発明は、移動通信装置(例えば携帯電話機201)と、当該移動通信装置の現在位置を取得する位置情報取得装置(例えばサーバ装置群4)と、を含む位置情報取得システムであって、目標物と、当該目標物が視認できる視認範囲とを対応付けた視認情報データベース(例えばデータベース304)を含み、前記位置情報取得装置は、前記移動通信装置から音声入力された情報に基づいて、ユーザが視認できる目標物を特定する目標物特定手段(例えば音声認識サーバ装置1)と、前記視認情報データベースを検索し、前記目標物が視認できる視認範囲を前記視認情報データベースから抽出する視認範囲抽出手段(例えばユーザ位置補正処理部303)と、前記視認範囲抽出手段により抽出された視認範囲に含まれる位置を、前記移動通信装置の現在位置とする位置取得手段(例えばユーザ位置補正処理部303)と、を備える。
また、測位情報と併用して移動通信装置の位置を特定するようにすれば、より高い精度で移動通信装置の位置を特定することができる。さらに、目標物の数が多いほどより高い精度で移動通信装置の位置を特定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、移動通信装置を有するユーザの位置情報及びユーザが音声入力した情報に基づいてユーザにサービスを提供するシステムであれば、どのようなシステムにでも適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 音声認識サーバ装置
2 シナリオサーバ装置
3 Webサーバ装置
4 サーバ装置群
201 携帯電話機
202 位置補正サーバ装置
301 誤差判定部
302 ユーザ存在範囲特定部
303 ユーザ位置補正処理部
304 データベース
304a 地図データ
304b 視認情報データ
601、602 コンビニエンスストアK
603 赤坂Vビル
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報取得システム、位置情報取得装置、位置情報取得方法に係り、特に、ユーザが音声によって情報を入力し、入力された情報に対して音声で応答する位置情報取得システム、位置情報取得装置、位置情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話機等の移動通信装置から入力されたユーザの音声を自動的に解析し、ユーザが要求する情報を検索して取得するサービスがある。このようなサービスでは、移動通信装置の測位機能を使って移動通信装置の位置を特定し、特定された位置からユーザに提供すべき情報を取捨選択することも行われている。なお、このような技術では、一般的に、移動通信装置の位置がユーザの位置とみなされる。
【0003】
上記したサービスの従来技術として、例えば、特許文献1が挙げられる。特許文献1には、ユーザが移動通信装置から「これからコンサートにでも行きたいのだけど何処かでやっていない?何か情報があったら教えて」と音声入力すると、エージェントコンピュータが、現在時刻と共にGPS(Global Positioning System)装置を使ってユーザの現在位置を特定することが記載されている。
【0004】
さらに、特許文献1には、現在時刻、現在位置からユーザが向かって開演時刻に間に合うコンサートの情報を抽出し、抽出された情報を音声によってユーザに提供することが記載されている。
ところで、GPS装置は、位置の測定が行われる場所(測位場所)の電波状況等により、測定誤差が変化する。測定誤差が大きい場合、ユーザの位置が正確に取得できないことになる。このため、GPS装置によって取得された位置情報を、ユーザ自身によって補正する従来技術がある。
【0005】
GPS装置によって取得された移動通信装置の現在位置を補正する従来技術として、例えば、特許文献2、特許文献3に記載された発明がある。特許文献2に記載された測位装置では、測位によって得られた位置情報の誤差の範囲に含まれる地図要素を地図上に表示する。そして、表示された地図要素のうち、ユーザによって指定された地図要素を他の地図要素と異なる表示形態で表示する。特許文献2によれば、ユーザは、表示された地図要素に基づいて移動通信装置の位置を補正することができる。
【0006】
また、特許文献3に記載されたナビゲーション装置では、ユーザが地図を参照し、地図上に表示されている移動通信装置の現在位置を確認する。そして、表示されている地図上の現在位置と実際の現在位置とが異なる場合、ユーザが、「上の道」、あるいは「右の道」といった情報をナビゲーション装置に音声入力する。ナビゲーション装置は、音声入力された情報にしたがって移動通信装置の現在位置を補正し、地図上の現在位置と実際の現在位置とを一致させる。
このような従来技術によれば、ユーザは、GPS装置によって取得された移動通信装置の現在位置を補正し、補正後の正確な位置情報に基づく適正な情報を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−283362号公報
【特許文献2】特開2002−357448号公報
【特許文献3】特開2002−350158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した従来技術の移動通信装置位置の補正は、いずれもユーザが機器の画面に表示された地図を見て補正に必要な情報を入力しなければならない。このため、特許文献2、特許文献3では、音声入力してサービスの提供を受ける一連の処理において移動通信装置の位置を補正する場合、携帯電話機等のディスプレイ画面を見る必要がある。
移動中にディスプレイ画面を見ることは、ユーザの注意力を散漫にする可能性が生じるために望ましいことではない。
【0009】
また、特許文献1に記載されたサービスは、ユーザが音声によって情報提供のサービスを受けながら周囲の情報を目視して移動することができるからこそ高い利便性を得るものである。したがって、サービスの提供を受ける過程で移動通信装置の画面を見ることは、サービスの利便性を損なうことになる。
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、移動通信装置に表示された地図をユーザが見ることなく、GPS装置等の測位装置によって取得された位置情報をユーザが補正することができる位置情報取得システム、位置情報取得装置、位置情報取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の位置情報取得システムは、音声によって情報を入力する移動通信装置(例えば図2に示した携帯電話機201)と、前記移動通信装置によって音声入力された情報を解析し、前記情報に含まれる目標物を特定する音声解析部(例えば図2に示した音声認識サーバ装置1)を備えた位置情報取得装置(例えば図2に示したサーバ装置群4)と、を含む位置情報取得システムであって、前記移動通信装置は、自装置の現在位置を測位する測位手段を備え、当該測位によって得られた測位情報を前記位置情報取得装置に送信し、前記位置情報取得装置は、前記音声解析部によって特定された前記目標物に基づいて、前記移動通信装置によって測位された測位情報を補正する補正処理手段(例えば図2に示した位置補正サーバ装置202)を備え、前記補正処理手段は、前記測位情報に関する誤差に基づいて、前記移動通信装置が存在し得る存在範囲を特定する存在範囲特定手段(例えば図3に示した誤差判定部301、ユーザ存在範囲特定部302)と、前記存在範囲のうち、前記音声解析部によって取得された目標物が視認可能な範囲と重複する視認可能エリアを特定する視認可能エリア特定手段(例えば図3に示したユーザ位置補正処理部303)と、前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアに含なれる位置に補正する補正手段(例えば図3に示したユーザ位置補正処理部303)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
このような請求項1によれば、位置情報取得装置が、測位された位置を含む誤差に応じた範囲内であって、かつ入力された目標物が視認可能な範囲を特定し、この重心を含む範囲によって測位情報を補正することができる。このため、GPS等の測位手段の測位誤差を、ユーザが実際に視認できる情報によって補正することができる。また、この補正にあたり、ユーザは発話して視認できる目標物を音声入力するだけでよいので、ユーザが補正処理中に移動通信装置のディスプレイ画面等を見る必要がない。したがって、請求項1の発明は、機器に表示された地図をユーザが見ることなく、GPS装置等によって取得された位置情報をユーザが補正することができる位置情報取得システムを提供することができる。
【0012】
本発明の請求項2に記載された位置情報取得装置(例えば図2に示したサーバ装置群4)は、移動通信装置の位置を測位して得られる測位情報を補正する補正処理手段(例えば図2に示した位置補正サーバ装置202)を含む位置情報取得装置であって、移動通信装置によって音声入力された情報を解析し、前記情報に含まれる目標物を特定する音声解析部(例えば図2に示した音声認識サーバ装置1)を備え、前記補正処理手段は、前記測位情報に関する誤差に基づいて、前記移動通信装置が存在し得る存在範囲を特定する存在範囲特定手段(例えば図3に示した誤差判定部301、ユーザ存在範囲特定部302)と、前記存在範囲のうち、前記音声解析部によって取得された目標物が視認可能な範囲と重複する視認可能エリアを特定する視認可能エリア特定手段(例えば図3に示したユーザ位置補正処理部303)と、を備え、前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアに含まれる位置に補正することを特徴とする。
【0013】
このような請求項2によれば、位置情報取得装置が、測位された位置を含む誤差に応じた範囲内であって、かつ入力された目標物が視認可能な範囲を特定し、この重心を含む範囲によって測位情報を補正することができる。このため、GPS等の測位手段の測位誤差を、ユーザが実際に視認できる情報によって補正することができる。また、この補正にあたり、ユーザは発話して視認できる目標物を音声入力するだけでよいので、ユーザが補正処理中に移動通信装置のディスプレイ画面等を見る必要がない。したがって、請求項1の発明は、機器に表示された地図をユーザが見ることなく、GPS装置等によって取得された位置情報をユーザが補正することができる位置情報取得装置を提供することができる。
【0014】
本発明の請求項3に記載された位置情報取得装置は、請求項2において、前記音声解析部によって特定された前記目標物が複数ある場合、前記視認可能エリア特定手段は、前記存在範囲のうち、前記音声解析部によって取得された複数の目標物についての複数の視認可能な範囲と重複するエリアを視認可能エリアに特定することを特徴とする。このような請求項3によれば、複数の目標物を使ってユーザの現在位置を補正することができるので、補正によって決定されるユーザの位置の精度を高めることができる。
【0015】
本発明の請求項4に記載の位置情報取得装置は、請求項2または3において、前記音声解析部は、音声によって入力された情報を解析して前記目標物が見える方向をも特定し、前記視認可能エリア特定手段は、前記目標物が見える方向に基づいて、特定された視認可能エリアの一部を視認可能エリアから除外することを特徴とする。このような請求項4によれば、目標物が見える方向によっていったん特定された視認可能エリアをさらに狭めることができる。このため、補正によって決定されるユーザの位置の精度を高めることができる。
【0016】
本発明の請求項5に記載の位置情報取得装置は、請求項2または3において、前記補正処理手段が、前記測位情報に関する誤差が所定の値よりも小さい場合、前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置の補正をしないことを特徴とする。このような請求項5によれば、補正の必要がない場合には補正の処理を省き、本発明の処理効率を高めることができる。
【0017】
本発明の請求項6に記載の位置情報取得装置は、請求項2、3、5のいずれか1項において、前記補正処理手段が、前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアの重心に補正することを特徴とする。このような請求項6によれば、視認可能エリアにおける、正確な移動通信装置の現在位置と推定される現在位置との相違を抑えることができる。
【0018】
本発明の請求項7に記載の位置情報取得方法は、移動通信装置によって音声入力された情報に含まれる目標物に基づいて、移動通信装置の位置を測位して得られる測位情報を補正する補正手段を備えた位置情報取得装置によって実行される位置情報取得方法であって、前記測位情報に関する誤差に基づいて、前記移動通信装置が存在し得る存在範囲を特定する存在範囲特定ステップ(例えば図7に示したステップS3)と、前記存在範囲のうち、前記目標物が視認可能な範囲と重複する視認可能エリアを特定する視認可能エリア特定ステップ(例えば図7に示したステップS6)と、前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアに含まれる位置に補正する位置補正ステップ(例えば図7に示したステップS8)と、を含むことを特徴とする。
請求項7の発明によれば、機器に表示された地図をユーザが見ることなく、GPS装置等によって取得された位置情報をユーザが補正することができる位置情報取得方法を提供することができる。
【0019】
本発明の請求項8に記載の位置情報取得システムは、移動通信装置(例えば図2に示した携帯電話機201)と、当該移動通信装置の現在位置を取得する位置情報取得装置(例えば図2に示したサーバ装置群4)と、を含む位置情報取得システムであって、目標物と、当該目標物が視認できる視認範囲とを対応付けた視認情報データベース(例えば図3に示したデータベース304)を含み、前記前記位置情報取得装置は、前記移動通信装置から音声入力された情報に基づいて、ユーザが視認できる目標物を特定する目標物特定手段(例えば図2に示した音声認識サーバ装置1)と、前記視認情報データベースを検索し、前記目標物が視認できる視認範囲を前記視認情報データベースから抽出する視認範囲抽出手段(例えば図3に示したユーザ位置補正処理部303)と、前記視認範囲抽出手段により抽出された視認範囲に含まれる位置を、前記移動通信装置の現在位置とする位置取得手段(例えば図3に示したユーザ位置補正処理部303)と、を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明によれば、移動通信装置を介してユーザから音声入力される目標物の情報に基づいて、移動通信装置の位置を取得することができる。このため、GPS機能等を用いることなく、ユーザが周囲を視認できる状態であれば移動通信装置、ひいてはユーザの現在位置を取得することができる。また、現在位置の取得において、ユーザが移動通信装置の画面等を見る必要がないので、利便性が高い位置情報取得システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、ユーザが周囲の状況を見ながら発話して自身の現在位置を示す測位情報を補正することができる。このため、測位情報の補正に当たってユーザは機器のディスプレイ画面等を見る必要がなく、位置情報取得システム、位置情報取得装置、位置情報取得方法の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態が適用されるサービスの一例を説明するための図である。
【図2】本発明の一実施形態の位置情報取得システムの概要を説明するための図である。
【図3】図1に示した位置補正サーバ装置202の構成を説明するための機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態の視認可能エリアを絞り込む処理を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態の測位情報を補正することが可能か否かを判断する処理を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態の測位情報の補正を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態の位置情報取得システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の具体例1の、測位情報に基づくユーザの現在位置と、ユーザ存在範囲とを、地図上に示した図である。
【図9】本発明の具体例1の、ユーザ存在範囲と重なるユーザ視認範囲を示した図である。
【図10】本発明の具体例1の、ユーザ視認可能エリアを特定する処理を説明するための図である。
【図11】本発明の具体例1の、他の目標物の視認可能エリアを示す図である。
【図12】本発明の具体例1の、2つの目標物の視認可能エリアが重なった状態を示す図である。
【図13】本発明の具体例1の、視認可能エリアからユーザの現在位置とその誤差とを決定する処理を説明するための図である。
【図14】本発明の具体例1によって得られる効果を説明するための図である。
【図15】本発明の具体例2を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図を参照して本発明に係る位置情報取得システム、位置情報取得装置、位置情報取得方法の一実施形態を説明する。
(前提技術)
以下、本発明の実施形態の説明に先立って、本実施形態が適用されるサービスについて説明する。
図1は、本実施形態が適用されるサービスの一例を説明するための図である。図1に示したサービスは、携帯電話機を利用して入力された音声にしたがって新幹線のチケットを予約するものである。このようなサービスでは、ユーザは自己が保有する携帯電話機を使って所定の電話番号に発呼し、例えば、現在東京にいるユーザが、「今から仙台に行きたい」と音声入力をする。入力された音声は、サービスを提供する業者が管理するサーバ装置に送信される。
【0024】
また、携帯電話機に内蔵されているGPS装置の受信器がGPS衛星から受信した信号に基づいて携帯電話機の位置を測位する。特定された位置を示す測位情報は、上記したサーバ装置に送信される。
図1に示した例では、位置情報取得システムが、音声認識サーバ装置1、シナリオサーバ装置2、Webサーバ装置3の3つのサーバ装置を備えている。入力された音声は音声認識サーバ装置1によって解析される。シナリオサーバ装置2は、音声認識サーバ装置1の解析によって得られた情報に基づいて、ユーザとの会話に用いられるデータ(シナリオ)を読み出し、合成音声によってユーザに応答する。
【0025】
Webサーバ装置3は、音声認識サーバ装置1の解析によって得られた情報に基づいて、ユーザが必要とする情報を、例えばインターネット回線を通じて取得する。また、Webサーバ装置3は、ユーザの希望に沿って、例えばインターネット回線を通じて新幹線チケットの予約をする。
この際、Webサーバ装置3は、測位情報に基づいて携帯電話機の位置に対する最寄り駅を特定する。そして、最寄り駅から新幹線の乗車可能な駅まで向かう時間や路線を考慮して予約可能な新幹線の便を検索する。このため、図1に例示したサービスにおいて、GPS装置によって得られる測位情報が不正確な場合、ユーザの希望に沿った新幹線の便の情報を提供することができなくなることがある。
【0026】
例えば、ユーザの最寄り駅が、現実の最寄り駅よりも遠い他の駅であると誤判定された場合、本来予約できた新幹線のチケットよりも出発が遅い新幹線のチケットが予約されてしまうことが起こり得る。したがって、このようなシステムにおいて、測位情報の精度を高めることは、ユーザに正確な情報を提供する上で重要度が高いものといえる。
【0027】
(システムの概要)
図2は、本実施形態の位置情報取得システムの概要を説明するための図である。図示したように、本実施形態の位置情報取得システムは、ユーザによって携帯される移動通信装置と、位置補正サーバ装置202を含むサーバ装置群4とによって構成される。本実施形態では、移動通信装置を、携帯電話機201とする。なお、本実施形態の移動通信装置としては、携帯電話機に限定されるものでなく、通信機能を持った携帯可能な機器であればどのような装置であっても適用することができる。
【0028】
携帯電話機201とサーバ装置群4とは、公衆電話交換回線網(PSTN:Public Switched Telephone Networks)PS、インターネット(Internet)I、3G(3rd Generation)ネットワークGによって接続されている。
また、携帯電話機201には、GPS衛星204から電波を受信して自機の位置を測定するGPS受信器が設けられている。なお、このような携帯電話機201の受信器については、GPS機能を持った携帯電話機が周知であることから、GPS受信器の図示及びこれ以上の説明を省く。本実施形態では、GPS衛星204とGPS受信器とを合わせて以降GPS機能と記す。
【0029】
サーバ装置群4は、図1に示した音声認識サーバ装置1、シナリオサーバ装置2、Webサーバ装置3の他、位置補正サーバ装置202を含んでいる。位置補正サーバ装置202は、本実施形態のGPS装置によって測位された携帯電話機の位置を補正するサーバ装置である。
以上の構成において、携帯電話機201には、ユーザが通話することによって音声による情報が入力される。また、サーバ装置群4に含まれる音声認識サーバ装置1は、携帯電話機201によって音声入力された情報を解析し、情報に含まれる目標物を特定することができる。
【0030】
(携帯電話機)
携帯電話機201は、GPS機能によって測位された位置に関する情報(以降、測位情報と記す)を一定の時間間隔で位置補正サーバ装置202に送信する。また、このとき、携帯電話機201は、測位情報と共に、この測位情報の測位誤差を示す測位レベル情報を位置補正サーバ装置202に送信する。
1.測位レベル情報
表1は、測位レベル情報を説明するためのテーブルである。測位レベル情報は、図示したように、測位レベル「1」、「2」、「3」のいずれかを示している。「1」から「3」の測位レベルには、それぞれ誤差が対応付けられていて、測位レベルが示す数値が大きいほど誤差が大きいことを示している。
【0031】
【表1】
【0032】
なお、上記した測位レベルは、例えば、携帯電話機が一般的に備えている位置測位エンジンと呼ばれる機能によって実現できる。位置測位エンジンとは、予め設定されている判定基準にしたがって緯度、経度の測位レベルを判定する機能である。位置測位エンジンは公知の構成であるから、これ以上の説明を省くものとする。
【0033】
(サーバ装置)
図3は、図1に示した位置補正サーバ装置202の構成を説明するための機能ブロック図である。位置補正サーバ装置202は、測位レベル情報から位置情報の誤差を判定する誤差判定部301、誤差判定部301により判定された誤差が、所定の値よりも大きい場合、携帯電話機が存在する範囲を特定するユーザ存在範囲特定部302、ユーザ存在範囲特定部302によって特定された範囲(以降、ユーザ存在範囲と記す)を補正し、携帯電話機の位置を求めるユーザ位置補正処理部303を備えている。なお、本実施形態では、以降、携帯電話機のユーザ存在範囲をユーザのユーザ存在範囲、携帯電話機の位置をユーザの位置とみなすものとする。
【0034】
また、位置補正サーバ装置202は、データベース304を備えている。データベース304には、地図データ304aと、視認情報データ304bとが蓄積されている。視認情報データ304bは、地図データによって表される地図に記された目標物となり得る建物や標識、看板、橋等の構造物を視認することが可能な範囲を、地図上で定義した情報である。なお、視認情報データ304bについては、後に図示して説明する。
【0035】
1.誤差判定部
誤差判定部301は、携帯電話機201から送信された測位レベルから、測位情報の誤差を判定する。なお、誤差判定部301には、予め表1に示した測位レベルに対応する特定範囲が設定されている。また、送信された測位レベルが所定の測位レベル以下であった場合には誤差が小、送信された測位レベルが所定の測位レベルよりも大きい場合には誤差が大と判定するものとする。
【0036】
2.ユーザ存在範囲特定部
ユーザ存在範囲特定部302は、測位レベルに対応する誤差に基づいてユーザ存在範囲を特定する。本実施形態では、例えば、測位レベルが「2」であって、水平誤差が50m以上、300m未満である場合、測位情報が示す携帯電話機の位置を中心とする半径300mの円を特定範囲とする。また、水平誤差が300m以上である場合、特定範囲を、予めユーザ存在範囲特定部302において設定された上限範囲とする。上限範囲は、例えば、測位情報が示す携帯電話機の現在位置を中心とし、設定された上限値を半径とする円として設定される。
【0037】
3.ユーザ位置補正処理部
ユーザ位置補正処理部303は、シナリオサーバ装置2に対し、音声ガイダンスを携帯電話機に流すように指示する。この音声ガイダンスは、ユーザから見える建物や標識、看板、ポスト、橋等の建造物(以降、目標物と記す)の名称と、ユーザの進行方向に対する目標物が見える方向とを音声入力するように促すものである。音声ガイダンスの具体例としては、例えば、「そちらから見える目標物を教えて下さい、また、その目標物は進行方向からどちらの方向から見えますか」等がある。
【0038】
このような音声ガイダンスに対し、ユーザは、例えば、「右側にコンビニエンスストアLが見える」、あるいは「郵便ポストが見える」といった音声による回答をする。ユーザの回答は、音声認識サーバ装置1によって解析され、「コンビニエンスストアL」、「右側」といった情報に変換される。ユーザ位置補正処理部303は、変換後の「コンビニエンスストアL」、「右側」といった位置に関する情報を取得する。なお、本実施形態において、目標物が見える方向についての情報は、「上」、「下」、「右」、「左」のいずれか1つを入力すればよい。
【0039】
次に、ユーザ位置補正処理部303は、データベース304の地図データ304aを検索し、ユーザ存在範囲特定部302によって特定されたユーザ存在範囲内に目標物が含まれているか否か判断する。そして、ユーザ存在範囲内に目標物が含まれている場合、視認情報データ304bを検索し、目標物が視認可能なユーザ視認範囲を抽出する。なお、ユーザ視認範囲とは、目標物が視認可能な範囲を地図上で規定したエリアである。
【0040】
さらに、ユーザ位置補正処理部303は、ユーザ存在範囲と、抽出されたユーザ視認範囲とが重なったエリアがあるか否か判断する。ユーザ存在範囲とユーザ視認範囲とが重なったエリアがある場合、ユーザ位置補正処理部303は、ユーザ視認範囲とユーザ存在範囲とが重なったエリアを視認可能エリアとする。なお、ユーザが目標物を複数回答した場合、複数の目標物のユーザ視認範囲とユーザ存在範囲とが重なったエリアを視認可能エリアとする。
また、ユーザが音声ガイダンスに応じて目標物の見える方向についても回答した場合、ユーザ位置補正処理部303は、方向に基づいて視認可能エリアをさらに絞り込む。なお、ユーザ位置補正処理部303は、送信された測位情報を受信し、時系列に蓄積することにより、携帯電話機の移動方向を把握している。
【0041】
図4(a)〜(d)は、目標物が見える方向に基づいて視認可能エリアAを絞り込み、より精度が高い視認可能エリアを求める処理を説明するための図である。図4(a)〜(d)のいずれにおいても、視認可能エリアA内に示したMは目標物を示している。また、各図上の矢線は、ユーザの進行方向を示している。
図4(a)は、ユーザが、音声ガイダンスに「後に目標物が見える」と応答した場合の視認可能エリアを示している。図4(a)に示した例によれば、視認可能エリアAは、ユーザの進行方向を前方とした場合の、目標物Mよりも前方のエリアに制限される。この結果、視認可能エリアAのエリアABが視認可能エリアAから除外される。
【0042】
図4(b)は、ユーザが、音声ガイダンスに「前に目標物が見える」と応答した場合の視認可能エリアを示している。図4(b)に示した例によれば、視認可能エリアAは、ユーザの進行方向を前方とした場合の、目標物Mよりも後方のエリアに制限される。この結果、視認可能エリアAのエリアAFが視認可能エリアAから除外される。図4(c)は、ユーザが、音声ガイダンスに「左に目標物が見える」と応答した場合の視認可能エリアを示している。図4(c)に示した例によれば、視認可能エリアAは、ユーザの進行方向を前方とした場合の、目標物Mよりも左方のエリアに制限される。この結果、視認可能エリアAのエリアALが視認可能エリアAから除外される。
【0043】
図4(d)は、ユーザが、音声ガイダンスに「右に目標物が見える」と応答した場合の視認可能エリアを示している。図4(d)に示した例によれば、視認可能エリアAは、ユーザの進行方向を前方とした場合の、目標物よりも右方のエリアに制限される。この結果、視認可能エリアAのエリアARが視認可能エリアAから除外される。なお、視認可能エリアが複数ある場合、各々の視認可能エリアを以上のように絞り込み、絞り込まれた後の視認可能エリア同士が重なったエリアが視認可能エリアとなる。
【0044】
さらに、ユーザ位置補正処理部303は、以上のようにして得た視認可能エリアから、携帯電話機の位置を求め、携帯電話機から送信された測位情報を補正する。以下、携帯電話機の位置を求める処理について説明する。
図5は、ユーザ位置補正処理部303が測位情報の補正に先立って、測位情報を補正することが可能か否かを判断する処理を説明するための図である。ユーザ位置補正処理部303は、視認可能エリアAが特定されたとき、視認可能エリアAの重心oを求める。そして、重心oを中心に、視認可能エリアAを包含する最小半径の円c1を想定する。
【0045】
なお、本明細書において、視認可能エリアAの重心oとは、視認可能エリアに対応する地図上の、視認可能エリアを示す平面図形の重心を意味している。以降、本明細書でいう「重心」は、このように、所定のエリアに対応する地図上において規定された平面図形の重心を指すものとする。
また、ユーザ位置補正処理部303には、所定の半径の円c2が予め設定されている。ユーザ位置補正処理部303は、円c1を予め設定された半径の円c2と比較し、円c1の半径が円c2の半径以下である場合、GPSによって測位された測位情報が補正可能であると判断する。
測位情報が補正可能である場合、ユーザ位置補正処理部303は、視認可能エリアAの重心oがユーザの位置となるように、測位情報を補正する。また、補正後のユーザの位置の誤差範囲を、円c1とする。このとき、図6に示すように、円c1の半径zが、ユーザの位置の水平誤差となる。
【0046】
(位置情報取得システムの動作)
次に、上記した位置情報取得システムの動作を説明する。
図7は、本実施形態の位置情報取得システムの動作を説明するためのフローチャートである。図示したフローチャートは、図2、図3に示した位置補正サーバ装置202が測位情報を補正する処理を表している。
本実施形態の位置情報取得システムにおいて、位置補正サーバ装置は、携帯電話機から測位情報の通知を受ける(ステップS1)。このとき、位置補正サーバ装置は、測位情報と共に送信されてきた測位レベルにより、通知された測位情報の誤差を取得する。そして、取得された誤差により、ユーザ存在範囲を特定する処理を実施するか否か判断する(ステップS2)。
【0047】
ステップS2の判断は、測位レベルに対応する誤差が所定の値よりも大きいか否かによって行われる。ユーザ存在範囲特定部は、測位レベルが例えば図2に示した測位レベル1であった場合、誤差が小さいとし、位置情報が示す位置をそのまま携帯電話機の現在位置とする(ステップS2:誤差小)。また、測位レベルが、例えば図2に示した測位レベル2または測位レベル3であった場合、ユーザ存在範囲特定部は、誤差が大きいとして、ユーザ存在範囲を特定する処理を実施する(ステップS2:誤差大、ステップS3)。
【0048】
ステップS3においてユーザ存在範囲が特定されると、ユーザ位置補正処理部は、音声認識サーバ装置1を介してユーザに音声ガイダンスを流す。ユーザは、音声ガイダンスに応答し、目標物の名称、目標物の名称とその見える方向について音声入力する(目標物のヒアリング:ステップS4)。図3に示したユーザ位置補正処理部303は、入力された目標物がユーザ存在範囲に含まれるか否かを、地図データを検索して判断する(ステップS5)。
【0049】
ここで、本実施形態は、目標物がユーザ存在範囲内に含まれていない場合、ユーザに繰返し音声ガイダンスを流し、他の目標物の音声入力を促す。音声ガイダンスを繰り返して流す回数はx回とする。x回のヒアリングによってもユーザ存在範囲内にある目標物が入力されない場合、ユーザの現在位置を補正することができないと判断し(ステップS9)、処理を終了する。
目標物がユーザ存在範囲に含まれている場合、ユーザ位置補正処理部は、視認情報データ検索し(ステップS5)、目標物のユーザ視認範囲を抽出する。そして、ユーザ存在範囲とユーザ視認範囲とが重なった範囲を視認可能エリアとする(ステップS6)。
【0050】
次に、ユーザ位置補正処理部は、視認可能エリアの重心を中心にし、視認可能エリアを包含する円を想定し、この円と予め設定されている所定の円とを比較する(ステップS7)。この判断において、視認可能エリアを包含する円の半径が所定の円の半径以下であれば、測位情報が示す位置の補正が可能であると判断する(ステップS7:補正可能)。また、視認可能エリアを包含する円の半径が所定の円の半径より大きければ、測位情報が示す位置の補正が不可能であると判断する(ステップS7:補正不可能)。
【0051】
ステップS7の判断は繰返しy回行われる。そして、y回の判断の後、現在位置の補正が不可能であると判断された場合、ユーザ位置補正処理部は、測位情報を補正することができないと判断し(ステップS9)、処理を終了する。
現在位置の補正が可能であると判断された場合、ユーザ位置補正処理部は、視認可能エリアの重心がユーザの位置となるように測位情報を補正する(ステップS8)。また、視認可能エリアを包含する最小の円を、補正された位置の誤差範囲とする。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の位置情報取得装置は、ユーザが携帯電話機を使って通話しながら目標物に関する情報を入力し、入力された情報により自動的に携帯電話機の測位情報を補正することができる。このため、ユーザは、携帯電話機のディスプレイに表示される地図等を見ることなく携帯電話機のGPS機能によって測位された測位情報を補正することができる。
【0053】
このことから、本実施形態は、ユーザが移動中にディスプレイを見ることをなくし、音声入力を使ったサービスの使い勝手を向上することができる。また、暗い場所等、ディスプレイ画面を見難い環境によっても測位情報を補正することができる。さらに、地図等が読めない子供や地図の記号や文字が小さいために地図が見難い老齢のユーザも、簡易に測位情報を補正することができる。
【0054】
(具体例)
以下、以上述べた実施形態1の具体例1、具体例2について説明する。なお、この具体例1、具体例2では、携帯電話機を、より上位概念の移動通信装置と記すものとする。
1 具体例1
具体例1では、以上説明した本実施形態の位置情報取得システムを使ったユーザの現在位置の補正の処理を具体的に説明する。
図8は、移動通信装置から送信された測位情報に基づくユーザの現在位置pと現在位置pに対するユーザ存在範囲qとを、地図上に示した図である。ユーザ存在範囲qは、水平誤差100m時のものであって、現在位置pを中心にした半径100mの円として表される。また、図中に示す矢線dは、ユーザの進行方向を示している。
【0055】
図3に示したユーザ位置補正処理部303は、シナリオサーバを介して音声ガイダンスを流し、目標物及び目標物が見える方向についてユーザにヒアリングする。この結果、具体例1では、ユーザから、「右側にコンビニエンスストアKが見える」との応答が得られた。ユーザ位置補正処理部は、データベースの地図データを検索し、ユーザ存在範囲に「コンビニエンスストアK」が含まれるか否か判断する。
そして、ユーザ存在範囲に「コンビニエンスストアK」が含まれている場合、ユーザ位置補正処理部は、視認情報データを検索する。そして、コンビニエンスストアKのユーザ視認範囲を抽出する。
【0056】
図9は、ユーザ存在範囲qと重なるコンビニエンスストアKのユーザ視認範囲を示した図である。具体例1では、ユーザ存在範囲qにコンビニエンスストアK601、602がある。エリア701aはユーザ存在範囲qと重なるコンビニエンスストアK601のユーザ視認範囲であって、コンビニエンスストアK601の視認可能エリアとなる。エリア702a、702bは、ユーザ存在範囲qと重なるコンビニエンスストアK602のユーザ視認範囲であって、コンビニエンスストアK602の視認可能エリアとなる。エリア701aと、エリア702a、702bとは互いに重ならない。
【0057】
図10は、ユーザ視認可能エリアを特定する処理を説明するための図である。図10の例では、図9に示したエリア701a、702a、702bを、「右側に」の情報に基づいて絞り込む。絞り込みの結果、図示したように、コンビニエンスストアK601のユーザ視認可能エリアはエリア701bとなる。また、コンビニエンスストアK602のユーザ視認可能エリアはエリア702aとなる。
以上の処理では、視認可能エリアを1つに特定できなかったため、サーバ装置群は、移動通信装置に再度音声ガイダンスを流し、目標物の音声入力をユーザに促す。具体例1では、音声ガイダンスに応じ、ユーザにより、「左側に赤坂Vビルが見える」と音声入力されている。
【0058】
図11は、赤坂Vビル603の視認可能エリアを示す図である。図中に示したエリア703a、703bは、ユーザ存在範囲qと重なる赤坂Vビル603のユーザ視認範囲である。ただし、エリア703a、703bのうち、エリア703aは、「左側に」の情報に基づいて視認可能エリアから除外されている。
図12は、エリア702a、703bが重なった範囲を示す図である。具体例1では、コンビニエンスストアK602と赤坂Vビル603とが同時に視認できる範囲にユーザがいると考えられるから、視認可能エリア702a、703bが重なったエリア704がコンビニエンスストアK602と赤坂Vビル603との視認可能エリアとなる。
【0059】
図13は、エリア704から、ユーザの現在位置とその誤差とを決定する処理を説明するための図である。図示したように、ユーザ位置補正処理部は、エリア704の重心oがユーザの現在位置となるように、測位情報を補正する。また、エリア704を包含する円c3を想定する。具体例1では、円c3の半径である10mであることから、補正されたユーザの現在位置の誤差は、エリア704の重心oを中心にした半径10mの円によって表される。
【0060】
図14は、以上説明した具体例によって補正されたユーザの現在位置と、その誤差を測位情報と比較して示した図である。図14において、重心oは補正後のユーザの現在位置であり、円tは現在位置の誤差の範囲を示している。また、点pはGPS装置によって測位されたユーザの現在位置であり、ユーザ存在範囲qは、測位されたユーザの現在位置の誤差の範囲を示している。具体例1の処理によれば、ユーザの現在位置が測位されたユーザの現在位置と相違していること、その誤差範囲が格段に小さくなっていることが明らかである。
【0061】
(具体例2)
また、本発明の実施形態は、具体例1のように、測位情報に基づくユーザ存在範囲を補正することばかりでなく、ユーザ視認範囲のみを使って移動通信装置の位置を取得することも可能である。このような例として、具体例2を説明する。
図15は、具体例2を説明するための図である。具体例2では、ユーザから、音声ガイダンスに対して「右側にフランス料理店Fが見える」、との応答がされたものとする。このような場合、フランス料理店Fのユーザ視認範囲のうち、ユーザに進行方向に対して右側にあるフランス料理店F605のユーザ視認範囲から直ちに移動通信装置の位置を含むエリア705が特定できる。
【0062】
このような具体例では、移動通信装置がエリア705に含まれる範囲に位置していることがわかる。したがって、本実施形態は、具体例2から明らかなように、測位情報を用いることなく移動通信装置の位置を特定することも可能である。
このような具体例2は、GPS機能を用いないので、地下街等においても適用することができる。なお、具体例2は、「右側にフランス料理店Fが見える」の応答のみからエリア705を特定したが、さらに多くの目標物についての情報を音声入力するようユーザに促せば、より高い精度で移動通信装置の位置を特定することができることはもちろんである。
【0063】
具体例2のように、GPS機能等の測位装置によって得られる測位情報を使わずに移動通信装置の位置を特定する場合、本発明は、移動通信装置(例えば携帯電話機201)と、当該移動通信装置の現在位置を取得する位置情報取得装置(例えばサーバ装置群4)と、を含む位置情報取得システムであって、目標物と、当該目標物が視認できる視認範囲とを対応付けた視認情報データベース(例えばデータベース304)を含み、前記位置情報取得装置は、前記移動通信装置から音声入力された情報に基づいて、ユーザが視認できる目標物を特定する目標物特定手段(例えば音声認識サーバ装置1)と、前記視認情報データベースを検索し、前記目標物が視認できる視認範囲を前記視認情報データベースから抽出する視認範囲抽出手段(例えばユーザ位置補正処理部303)と、前記視認範囲抽出手段により抽出された視認範囲に含まれる位置を、前記移動通信装置の現在位置とする位置取得手段(例えばユーザ位置補正処理部303)と、を備える。
また、測位情報と併用して移動通信装置の位置を特定するようにすれば、より高い精度で移動通信装置の位置を特定することができる。さらに、目標物の数が多いほどより高い精度で移動通信装置の位置を特定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、移動通信装置を有するユーザの位置情報及びユーザが音声入力した情報に基づいてユーザにサービスを提供するシステムであれば、どのようなシステムにでも適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 音声認識サーバ装置
2 シナリオサーバ装置
3 Webサーバ装置
4 サーバ装置群
201 携帯電話機
202 位置補正サーバ装置
301 誤差判定部
302 ユーザ存在範囲特定部
303 ユーザ位置補正処理部
304 データベース
304a 地図データ
304b 視認情報データ
601、602 コンビニエンスストアK
603 赤坂Vビル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声によって情報を入力する移動通信装置と、
前記移動通信装置によって入力された情報を解析し、前記情報に含まれる目標物を特定する音声解析部を備えた位置情報取得装置と、を含む位置情報取得システムであって、
前記移動通信装置は、自装置の現在位置を測位する測位手段を備え、当該測位によって得られた測位情報を前記位置情報取得装置に送信し、
前記位置情報取得装置は、
前記音声解析部によって取得された前記目標物に基づいて、前記移動通信装置によって測位された測位情報を補正する補正処理手段を含み、
前記補正処理手段は、
前記測位情報に関する誤差に基づいて、前記移動通信装置が存在し得る存在範囲を特定する存在範囲特定手段と、
前記存在範囲のうち、前記音声解析部によって取得された目標物が視認可能な範囲と重複する視認可能エリアを特定する視認可能エリア特定手段と、
前記測位情報に含まれる前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアに含まれる位置に補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする位置情報取得システム。
【請求項2】
移動通信装置の位置を測位して得られる測位情報を補正する補正処理手段を含む位置情報取得装置であって、
移動通信装置によって音声入力された情報を解析し、当該情報に含まれる目標物を特定する音声解析部を備え、
前記補正処理手段は、
前記測位情報に関する誤差に基づいて、前記移動通信装置が存在し得る存在範囲を特定する存在範囲特定手段と、
前記存在範囲のうち、前記音声解析部によって取得された目標物が視認可能な範囲と重複する視認可能エリアを特定する視認可能エリア特定手段と、を備え、
前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアに含まれる位置に補正することを特徴とする位置情報取得装置。
【請求項3】
前記音声解析部によって特定された前記目標物が複数ある場合、
前記視認可能エリア特定手段は、前記存在範囲のうち、前記音声解析部によって取得された複数の目標物に対応する複数の視認可能な範囲と重複するエリアを視認可能エリアに特定することを特徴とする請求項2に記載の位置情報取得装置。
【請求項4】
前記音声解析部は、音声によって入力された情報を解析して前記目標物が見える方向をも特定し、
前記視認可能エリア特定手段は、前記目標物が見える方向に基づいて、特定された視認可能エリアの一部を視認可能エリアから除外することを特徴とする請求項2または3に記載の位置情報取得装置。
【請求項5】
前記補正処理手段は、
前記測位情報に関する誤差が所定の値よりも小さい場合、前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置の補正をしないことを特徴とする請求項2または3に記載の位置情報取得装置。
【請求項6】
前記補正処理手段は、
前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアの重心に補正することを特徴とする請求項2、3、5のいずれか1項に記載の位置情報取得装置。
【請求項7】
移動通信装置によって音声入力された情報に含まれる目標物に基づいて、移動通信装置の位置を測位して得られる測位情報を補正する補正手段を備えた位置情報取得装置によって実行される位置情報取得方法であって、
前記測位情報に関する誤差に基づいて、前記移動通信装置が存在し得る存在範囲を特定する存在範囲特定ステップと、
前記存在範囲のうち、前記目標物が視認可能な範囲と重複する視認可能エリアを特定する視認可能エリア特定ステップと、
前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアに含まれる位置に補正する位置補正ステップと、
を含むことを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項8】
移動通信装置と、当該移動通信装置の現在位置を取得する位置情報取得装置と、を含む位置情報取得システムであって、
目標物と、当該目標物が視認できる視認範囲とを対応付けた視認情報データベースを含み、
前記位置情報取得装置は、
前記移動通信装置から音声入力された情報に基づいて、ユーザが視認できる目標物を特定する目標物特定手段と、
前記視認情報データベースを検索し、前記目標物が視認できる視認範囲を前記視認情報データベースから抽出する視認範囲抽出手段と、
前記視認範囲抽出手段により抽出された視認範囲に含まれる位置を、前記移動通信装置の現在位置とする位置取得手段と、
を備えることを特徴とする位置情報取得システム。
【請求項1】
音声によって情報を入力する移動通信装置と、
前記移動通信装置によって入力された情報を解析し、前記情報に含まれる目標物を特定する音声解析部を備えた位置情報取得装置と、を含む位置情報取得システムであって、
前記移動通信装置は、自装置の現在位置を測位する測位手段を備え、当該測位によって得られた測位情報を前記位置情報取得装置に送信し、
前記位置情報取得装置は、
前記音声解析部によって取得された前記目標物に基づいて、前記移動通信装置によって測位された測位情報を補正する補正処理手段を含み、
前記補正処理手段は、
前記測位情報に関する誤差に基づいて、前記移動通信装置が存在し得る存在範囲を特定する存在範囲特定手段と、
前記存在範囲のうち、前記音声解析部によって取得された目標物が視認可能な範囲と重複する視認可能エリアを特定する視認可能エリア特定手段と、
前記測位情報に含まれる前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアに含まれる位置に補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする位置情報取得システム。
【請求項2】
移動通信装置の位置を測位して得られる測位情報を補正する補正処理手段を含む位置情報取得装置であって、
移動通信装置によって音声入力された情報を解析し、当該情報に含まれる目標物を特定する音声解析部を備え、
前記補正処理手段は、
前記測位情報に関する誤差に基づいて、前記移動通信装置が存在し得る存在範囲を特定する存在範囲特定手段と、
前記存在範囲のうち、前記音声解析部によって取得された目標物が視認可能な範囲と重複する視認可能エリアを特定する視認可能エリア特定手段と、を備え、
前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアに含まれる位置に補正することを特徴とする位置情報取得装置。
【請求項3】
前記音声解析部によって特定された前記目標物が複数ある場合、
前記視認可能エリア特定手段は、前記存在範囲のうち、前記音声解析部によって取得された複数の目標物に対応する複数の視認可能な範囲と重複するエリアを視認可能エリアに特定することを特徴とする請求項2に記載の位置情報取得装置。
【請求項4】
前記音声解析部は、音声によって入力された情報を解析して前記目標物が見える方向をも特定し、
前記視認可能エリア特定手段は、前記目標物が見える方向に基づいて、特定された視認可能エリアの一部を視認可能エリアから除外することを特徴とする請求項2または3に記載の位置情報取得装置。
【請求項5】
前記補正処理手段は、
前記測位情報に関する誤差が所定の値よりも小さい場合、前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置の補正をしないことを特徴とする請求項2または3に記載の位置情報取得装置。
【請求項6】
前記補正処理手段は、
前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアの重心に補正することを特徴とする請求項2、3、5のいずれか1項に記載の位置情報取得装置。
【請求項7】
移動通信装置によって音声入力された情報に含まれる目標物に基づいて、移動通信装置の位置を測位して得られる測位情報を補正する補正手段を備えた位置情報取得装置によって実行される位置情報取得方法であって、
前記測位情報に関する誤差に基づいて、前記移動通信装置が存在し得る存在範囲を特定する存在範囲特定ステップと、
前記存在範囲のうち、前記目標物が視認可能な範囲と重複する視認可能エリアを特定する視認可能エリア特定ステップと、
前記測位情報が示す前記移動通信装置の現在位置を、前記視認可能エリアに含まれる位置に補正する位置補正ステップと、
を含むことを特徴とする位置情報取得方法。
【請求項8】
移動通信装置と、当該移動通信装置の現在位置を取得する位置情報取得装置と、を含む位置情報取得システムであって、
目標物と、当該目標物が視認できる視認範囲とを対応付けた視認情報データベースを含み、
前記位置情報取得装置は、
前記移動通信装置から音声入力された情報に基づいて、ユーザが視認できる目標物を特定する目標物特定手段と、
前記視認情報データベースを検索し、前記目標物が視認できる視認範囲を前記視認情報データベースから抽出する視認範囲抽出手段と、
前記視認範囲抽出手段により抽出された視認範囲に含まれる位置を、前記移動通信装置の現在位置とする位置取得手段と、
を備えることを特徴とする位置情報取得システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−114679(P2011−114679A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270315(P2009−270315)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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