説明

位置決め制御装置、位置決め制御方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、画像形成装置、および記録媒体

【課題】位置決め制御を安定的かつ迅速に行う。
【解決手段】位置決め制御装置は、搬送ベルト301の移動距離を測定する移動距離検出器500、検出される移動距離から搬送ベルト301の現在の速度を算出する現在速度算出部102、移動距離から搬送ベルト301が停止位置を決める位置決め領域にあるか否かを判定する位置判定部100、複数のゲインを有して切り替えて出力するゲイン切替部106、切り替えられたゲインを入力して搬送ベルト301の目標速度を算出する目標速度算出部101、算出された目標速度と現在速度との誤差を算出する速度誤差算出部103、および速度誤差を使用して駆動モータ200を制御する調節計部104を備え、搬送ベルト301が位置決め領域にあると判定した場合、ゲイン切替部106は複数のゲインを切り替えながら出力して位置決めを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め制御装置、位置決め制御方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、画像形成装置、および記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンタ等の画像形成装置においては、特にインクジェット式の印字機構をもつ画像形成装置においては、紙搬送系を所望の距離分正確に移動および停止させることが、画像品質の面から重要な課題となって来ている。
【0003】
近年、アナログ制御回路の代わりに安価な汎用のCPU(中央演算装置)や、DSP(ディジタル信号処理プロセッサ)を用いてソフトウェア処理するディジタル制御によって、回路生成のコストを低減し、制御設計の変更を容易にする技術が開発されてきている。
【0004】
これら画像形成装置において記録紙を搬送する紙搬送ローラ系の移動量の把握には、搬送ローラにロータリエンコーダをとりつけ、ローラの回転角に相当する情報を得ることで、比較的安価に紙搬送ローラ系の移動量を把握することができる。エンコーダは、配設されたエッジによって、パルスを発生する。エンコーダにはアナログ方式およびディジタル方式があるが、ディジタル方式はセンサによって安定的に回転角情報を得ることができる。ここで、得られる回転角情報の精度はエンコーダの解像度に依存する。
【0005】
図6は、従来の位置決め制御装置による紙搬送系のモータ制御を説明する図である。紙搬送ベルト装置7においては、モータ270からタイミングベルト470で接続された駆動ローラ372が回転することによって、搬送ベルト371が移動する。ロータリエンコーダ571は、駆動ローラ上372に設置されている。
【0006】
ロータリエンコーダ571からの出力をセンサ572が検出し、位置決め制御装置17は取得するセンサ572が検出する位置情報に基づいてモータ270に制御指令値を出力し、モータ270にトルクをかける。制御指令値は、モータドライバによって形式が異なり、電流指令値、電圧指令値などがある。
【0007】
このようなモータ制御の制御アルゴリズムとしては、目標値付近までは速度フィードバック制御を行い、停止位置付近では位置フィードバック制御を行うものである。また、速度フィードバック制御では、現在の速度を測定し、目標速度との差分がゼロになるように制御を行うものである。
【0008】
また、位置フィードバック制御では、現在位置の目標位置からの差分に所定のゲインを乗じたものを目標速度として、速度フィードバックを行うことにより、速度と位置の差分を同時にゼロにするように制御を行うものである。
【0009】
しかしながら、停止位置付近では、モータ軸、駆動ローラ軸、および各ベルトにかかっているプーリなどの回転軸の捩れ具合によって、同じ指令値に対する系の挙動が変わってくることがある。これは、捩れが大きくなればなるほど影響が大きくなる。特に、系の回転方向によって、挙動が異なる。
【0010】
系には捩れから戻る方向にトルクがかかるため、その方向にはそれほど大きなトルクをかけるように指令値を出力する必要はなく、また、必要以上のトルクをかけると発振するおそれもある。また、捩れから戻る方向の逆方向には、比較的大きなトルクをかける必要があり、このトルクが小さいと、目標位置に収束する時間が遅くなるおそれがある。
【0011】
しかしながら、従来例においては、この種の精細な副走査方向への制御に対して適用する必要はなかった。それは、副走査方向の位置決め精度よりも画像形成時にインクなどの形成材のにじみによる“ぼやけ”によって、位置決めのズレによる画像劣化が隠されてしまっていたからである。しかしながら、今日、画質向上の要請に応えて、例えばインクジェットプリンタの場合用いるインクの高精度化がなされてきた結果、副走査方向への紙送りの精度も高精度なものが要求されるようになってきた。
【0012】
インクジェットプリンタなど画像形成装置における位置ずれ補正についての従来例は、上述のようにそれ程高精度の位置決めの必要がなかった事情から、非常に少ないものである。他の技術分野については、例えば、工作機械の送り軸を駆動するサーボ制御方法の技術における位置決め制御技術が考案されている(特許文献1)。この技術によると、工作機械の送り軸を駆動するサーボ制御方法であって、バックラッシュから生じる位置決め誤差を補正するために、位置指令と位置出力の遅れを考慮して象現の切り替わり時期を予測し、積分時定数を切り替えて制御する。
【0013】
【特許文献1】特許第3271440号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1の技術においては、工作機械において金属など硬度の高いものを切削するために、巨大なトルクの発生を前提とした技術における同様の課題に対する解決手段であったため、金属切削ほどのトルクが生じない一般的な画像形成装置のような回転軸に対する位置ずれ補正としては、適切なものではなかったという問題があった。
【0015】
本発明は上記の問題に鑑みてなされ、その目的は、記録紙を搬送する際に、目標位置へ安定かつ迅速にして収束して停止させることができる位置決め制御装置、位置決め制御方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、画像形成装置、および記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、回転軸を駆動させる駆動手段、および前記駆動手段による回転軸の駆動によって被搬送物を搬送する搬送体を備えた搬送装置の前記搬送体が移動する停止位置の位置決め制御を行う位置決め制御装置であって、前記搬送体の移動距離を測定する移動距離検出手段と、前記移動距離検出手段によって検出される移動距離から、前記搬送体の現在の速度を算出する現在速度算出手段と、前記移動距離検出手段によって検出される移動距離から、前記搬送体が移動する停止位置を決める位置決め領域にあるか否かを判定する位置判定手段と、前記現在速度算出手段によって算出される現在の速度に乗じるゲインを入力して、前記搬送体の目標速度を算出する目標速度算出手段と、前記目標速度算出手段の使用する前記ゲインを複数有し、前記位置判定手段が前記搬送体は前記位置決め領域にあると判定した場合、前記ゲインを切り替えながら前記目標速度算出手段に出力するゲイン切替手段と、前記目標速度算出手段の算出する目標速度と、前記現在速度算出手段が算出する現在速度との誤差を算出する速度誤差算出手段と、前記速度誤差算出手段が算出する速度誤差を使用して、前記駆動手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の位置決め制御装置において、前記ゲイン切替手段は、前記現在速度算出手段によって算出された現在速度にしたがって前記ゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする。
【0018】
請求項3にかかる発明は、請求項1に記載の位置決め制御装置において、前記位置判定手段が前記搬送体は位置決め領域にあると判定した場合、前記搬送体の移動方向を判定する移動方向判定手段を、さらに備え、前記ゲイン切替手段は、前記移動方向判定手段の判定した移動方向に従って、対応するゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする。
【0019】
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の位置決め制御装置において、前記移動方向判定手段は、前記現在速度算出手段によって算出された現在速度によって前記移動方向を判定するものであることを特徴とする。
【0020】
請求項5にかかる発明は、請求項4に記載の位置決め制御装置において、前記ゲイン切替手段は、前記現在速度算出手段が算出する前記搬送体の現在速度により被搬送物の設定された移動方向と同じ移動方向であると算出した場合のゲインを、逆の移動方向であると算出した場合のゲインよりも小さな値に設定して、切り替えながら出力するものであることを特徴とする。
【0021】
請求項6にかかる発明は、請求項1に記載の位置決め制御装置において、前記移動距離検出手段が検出する前記搬送体の移動距離によって、目標位置と現在位置との差分を判定する差分判定手段を、さらに備え、前記ゲイン切替手段は、前記差分判定手段によって判定された差分に従って前記ゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする。
【0022】
請求項7にかかる発明は、請求項6に記載の位置決め制御装置において、前記差分判定手段は、前記被搬送物の設定された移動方向と同じ移動方向か逆の移動方向かを判定するものであり、前記ゲイン切替手段は、前記差分判定手段によって判定された移動方向に従って前記ゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする。
【0023】
請求項8にかかる発明は、請求項7に記載の位置決め制御装置において、前記ゲイン切替手段は、前記差分判定手段が判定する前記搬送体の現在速度が前記設定された被搬送物の移動方向と同じ移動方向であると判定した場合のゲインを、逆の移動方向であると判定した場合のゲインよりも小さな値に設定して、切り替えながら出力するものであることを特徴とする。
【0024】
請求項9にかかる発明は、回転軸を駆動させる駆動手段、および前記駆動手段による回転軸の駆動によって被搬送物を搬送する搬送体を備えた搬送装置の前記搬送体が移動する停止位置の位置決め制御を行う位置決め制御装置における位置決め制御方法であって、移動距離検出手段によって、前記搬送体の移動距離を測定する移動距離検出工程と、現在速度算出手段によって、前記移動距離検出工程で検出される移動距離から、前記搬送体の現在の速度を算出する現在速度算出工程と、位置判定手段によって、前記移動距離検出工程で検出される移動距離から、前記搬送体が移動する停止位置を決める位置決め領域にあるか否かを判定する位置判定工程と、目標速度算出手段によって、前記現在速度算出工程で算出される現在の速度に乗じるゲインを入力して、前記搬送体の目標速度を算出する目標速度算出工程と、前記目標速度算出工程で使用する前記ゲインを複数有するゲイン切替手段によって、前記位置判定工程で前記搬送体は前記位置決め領域にあると判定された場合、前記ゲインを切り替えながら前記目標速度算出手段に出力するゲイン切替工程と、速度誤差算出手段によって、前記目標速度算出工程で算出する目標速度と、前記現在速度算出工程で算出する現在速度との誤差を算出する速度誤差算出工程と、制御手段によって、前記速度誤差算出工程で算出する速度誤差を使用して、前記駆動手段を制御する制御工程と、を含むことを特徴とする。
【0025】
請求項10にかかる発明は、請求項9に記載の位置決め制御方法において、前記ゲイン切替工程は、前記現在速度算出工程で算出された現在速度にしたがって前記ゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする。
【0026】
請求項11にかかる発明は、請求項9に記載の位置決め制御方法において、前記位置判定工程で前記搬送体は位置決め領域にあると判定した場合、移動方向判定手段によって、前記搬送体の移動方向を判定する移動方向判定工程を、さらに含み、前記ゲイン切替工程は、前記移動方向判定工程で判定した移動方向に従って、対応するゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする。
【0027】
請求項12にかかる発明は、請求項11に記載の位置決め制御方法において、前記移動方向判定工程は、前記現在速度算出工程で算出された現在速度によって前記移動方向を判定するものであることを特徴とする。
【0028】
請求項13にかかる発明は、請求項12に記載の位置決め制御方法において、前記ゲイン切替工程は、前記現在速度算出工程で算出する前記搬送体の現在速度により被搬送物の設定された移動方向と同じ移動方向であると算出した場合のゲインを、逆の移動方向であると算出した場合のゲインよりも小さな値に設定して、切り替えながら出力するものであることを特徴とする。
【0029】
請求項14にかかる発明は、請求項9に記載の位置決め制御方法において、差分判定手段によって、前記移動距離検出工程が検出する前記搬送体の移動距離により、目標位置と現在位置との差分を判定する差分判定工程を、さらに含み、前記ゲイン切替工程は、前記差分判定工程で判定された差分に従って前記ゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする。
【0030】
請求項15にかかる発明は、請求項14に記載の位置決め制御方法において、前記差分判定工程は、前記被搬送物の設定された移動方向と同じ移動方向か逆の移動方向かを判定するものであり、前記ゲイン切替工程は、前記差分判定工程で判定された移動方向に従って前記ゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする。
【0031】
請求項16にかかる発明は、請求項15に記載の位置決め制御方法において、前記ゲイン切替工程は、前記差分判定工程が判定する前記搬送体の現在速度が前記設定された被搬送物の移動方向と同じ移動方向であると判定した場合のゲインを、逆の移動方向であると判定した場合のゲインよりも小さな値に設定して、切り替えながら出力するものであることを特徴とする。
【0032】
請求項17にかかる発明は、プログラムにおいて、請求項9〜16のいずれか一つに記載の位置決め制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0033】
請求項18にかかる発明は、画像情報を入力して画像処理を施す画像処理装置、前記画像処理装置が画像処理した画像情報に従って記録紙に画像出力する画像出力装置、回転軸を駆動させる駆動手段、および前記駆動手段による回転軸の駆動によって前記記録紙を搬送する搬送体を有する搬送装置、および前記画像出力装置が前記記録紙に画像出力する位置に前記搬送装置が前記記録紙を搬送するように位置決めを行う位置決め制御装置を備える画像形成装置であって、前記位置決め制御装置は、前記搬送体の移動距離を測定する移動距離検出手段と、前記移動距離検出手段によって検出される移動距離から、前記搬送体の現在の速度を算出する現在速度算出手段と、前記移動距離検出手段によって検出される移動距離から、前記搬送体が移動する停止位置を決める位置決め領域にあるか否かを判定する位置判定手段と、前記現在速度算出手段によって算出される現在の速度に乗じるゲインを入力して、前記搬送体の目標速度を算出する目標速度算出手段と、前記目標速度算出手段の使用する前記ゲインを複数有し、前記位置判定手段が前記搬送体は前記位置決め領域にあると判定した場合、前記ゲインを切り替えながら前記目標速度算出手段に出力するゲイン切替手段と、前記目標速度算出手段の算出する目標速度と、前記現在速度算出手段が算出する現在速度との誤差を算出する速度誤差算出手段と、前記速度誤差算出手段が算出する速度誤差を使用して、前記駆動手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0034】
請求項19にかかる発明は、請求項18に記載の画像形成装置において、前記ゲイン切替手段は、前記現在速度算出手段によって算出された現在速度にしたがって前記ゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする。
【0035】
請求項20にかかる発明は、請求項18に記載の画像形成装置において、前記位置判定手段が前記搬送体は位置決め領域にあると判定した場合、前記搬送体の移動方向を判定する移動方向判定手段を、さらに備え、前記ゲイン切替手段は、前記移動方向判定手段の判定した移動方向に従って、対応するゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする。
【0036】
請求項21にかかる発明は、記録媒体において、請求項17に記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に格納したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
請求項1にかかる発明によれば、回転軸を有して回転軸を駆動させる駆動手段、および回転軸の駆動によって被搬送物を搬送する搬送体を備えた搬送装置の搬送体が移動する停止位置の位置決め制御を行う位置決め制御装置であって、搬送体の移動距離を測定し、移動距離から、搬送体の現在の速度を算出し、移動距離から、位置決め領域にあるか否かを判定し、搬送体は位置決め領域にあると判定した場合、目標速度算出に使用するゲインを切り替え、切り替えられたゲインで搬送体の目標速度を算出し、目標速度と、現在速度との誤差を算出し、速度誤差を使用して、駆動手段を制御する。この構成によって、位置決め領域において、搬送体の移動する速度に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0038】
請求項2にかかる発明によれば、算出された現在速度にしたがってゲインを切り替える。この構成によって、位置決め領域において、算出された搬送体の移動する速度に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0039】
請求項3にかかる発明によれば、搬送体は位置決め領域にあると判定した場合、搬送体の移動方向を判定し、判定した移動方向に従って、対応するゲインを切り替える。この構成によって、位置決め領域において、移動方向を判定して判定された移動方向に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0040】
請求項4にかかる発明によれば、算出された現在速度によって移動方向を判定する。この構成によって、位置決め領域において、算出された搬送体の移動する現在速度に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0041】
請求項5にかかる発明によれば、搬送体の現在速度が被搬送物の設定された移動方向と同じ移動方向である場合のゲインを、逆の移動方向である場合のゲインよりも小さな値に設定して、切り替える。この構成によって、位置決め領域において、トルクの捩れと同方向の移動方向である場合はトルクの捩れを利用でき、逆方向の場合は捩れに抗してゲインを高めるようゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、正確に、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0042】
請求項6にかかる発明によれば、搬送体の移動距離によって、目標位置と現在位置との差分を判定し、判定された差分に従ってゲインを切り替える。この構成によって、位置決め領域において、搬送体の目標位置と現在位置との差分に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0043】
請求項7にかかる発明によれば、被搬送物の設定された移動方向と同方向か逆方向かを判定し、判定された移動方向に従ってゲインを切り替える。この構成によって、位置決め領域において、搬送体の移動する方向に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0044】
請求項8にかかる発明によれば、搬送体の速度が設定された被搬送物の移動方向と同じ移動方向であると判定した場合のゲインを、逆の移動方向であると判定した場合のゲインよりも小さな値に設定して、切り替えながら出力する。この構成によって、位置決め領域において、トルクの捩れと同方向の移動方向である場合はトルクの捩れを利用でき、逆方向の場合は捩れに抗してゲインを高めるようゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、正確に、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0045】
請求項9にかかる発明によれば、回転軸を有して回転軸を駆動させる駆動手段、および回転軸の駆動によって被搬送物を搬送する搬送体を備えた搬送装置の搬送体が移動する停止位置の位置決め制御を行う位置決め制御装置であって、搬送体の移動距離を測定し、移動距離から、搬送体の現在の速度を算出し、移動距離から、位置決め領域にあるか否かを判定し、搬送体は位置決め領域にあると判定した場合、目標速度算出に使用するゲインを切り替え、切り替えられたゲインで搬送体の目標速度を算出し、目標速度と、現在速度との誤差を算出し、速度誤差を使用して、駆動手段を制御する。この構成によって、位置決め領域において、搬送体の移動する速度に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0046】
請求項10にかかる発明によれば、算出された現在速度にしたがってゲインを切り替える。この構成によって、位置決め領域において、算出された搬送体の移動する速度に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0047】
請求項11にかかる発明によれば、搬送体は位置決め領域にあると判定した場合、搬送体の移動方向を判定し、判定した移動方向に従って、対応するゲインを切り替える。この構成によって、位置決め領域において、移動方向を判定して判定された移動方向に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0048】
請求項12にかかる発明によれば、算出された現在速度によって移動方向を判定する。この構成によって、位置決め領域において、算出された搬送体の移動する現在速度に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0049】
請求項13にかかる発明によれば、搬送体の現在速度が被搬送物の設定された移動方向と同じ移動方向である場合のゲインを、逆の移動方向である場合のゲインよりも小さな値に設定して、切り替える。この構成によって、位置決め領域において、トルクの捩れと同方向の移動方向である場合はトルクの捩れを利用でき、逆方向の場合は捩れに抗してゲインを高めるようゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、正確に、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0050】
請求項14にかかる発明によれば、搬送体の移動距離によって、目標位置と現在位置との差分を判定し、判定された差分に従ってゲインを切り替える。この構成によって、位置決め領域において、搬送体の目標位置と現在位置との差分に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0051】
請求項15にかかる発明によれば、被搬送物の設定された移動方向と同方向か逆方向かを判定し、判定された移動方向に従ってゲインを切り替える。この構成によって、位置決め領域において、搬送体の移動する方向に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0052】
請求項16にかかる発明によれば、搬送体の速度が設定された被搬送物の移動方向と同じ移動方向であると判定した場合のゲインを、逆の移動方向であると判定した場合のゲインよりも小さな値に設定して、切り替える。この構成によって、位置決め領域において、トルクの捩れと同方向の移動方向である場合はトルクの捩れを利用でき、逆方向の場合は捩れに抗してゲインを高めるようゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、正確に、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0053】
請求項17にかかる発明によれば、請求項9〜16のいずれか一つに記載の位置決め制御方法をコンピュータに実行させることができるプログラムを提供できる。
【0054】
請求項18にかかる発明によれば、位置決め制御装置は、回転軸を有して回転軸を駆動させる駆動手段、および回転軸の駆動によって被搬送物を搬送する搬送体を備えた搬送装置の搬送体が移動する停止位置の位置決め制御を行う位置決め制御装置であって、搬送体の移動距離を測定し、移動距離から、搬送体の現在の速度を算出し、移動距離から、位置決め領域にあるか否かを判定し、搬送体は位置決め領域にあると判定した場合、目標速度算出に使用するゲインを切り替え、切り替えられたゲインで搬送体の目標速度を算出し、目標速度と、現在速度との誤差を算出し、速度誤差を使用して、駆動手段を制御する。この構成によって、位置決め領域において、搬送体の移動する速度に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にし、画質に優れ処理が高速な画像形成装置が提供できる。
【0055】
請求項19にかかる発明によれば、算出された現在速度にしたがってゲインを切り替える。この構成によって、位置決め領域において、算出された搬送体の移動する速度に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にし、画質に優れ処理が高速な画像形成装置が提供できる。
【0056】
請求項20にかかる発明によれば、搬送体は位置決め領域にあると判定した場合、搬送体の移動方向を判定し、判定した移動方向に従って、対応するゲインを切り替える。この構成によって、位置決め領域において、移動方向を判定して判定された移動方向に基づいてゲインを切り替えながら位置決め制御を行うので、安定的かつ迅速な目標位置への収束を可能にし、画質に優れ処理が高速な画像形成装置が提供できる。
【0057】
請求項21にかかる発明によれば、請求項17に記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に格納した記録媒体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる位置決め制御装置、位置決め制御方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、画像形成装置、および記録媒体の最良な実施の形態を、実施の形態1、実施の形態2、および複数の変形例に沿って詳細に説明する。
【0059】
(1.実施の形態1)
以下に、実施の形態1による位置決め制御装置、およびその位置決め制御装置を用いた紙搬送装置について詳細な説明を行う。この紙搬送装置は、インクジェット式の画像形成装置において、搬送ベルトを所定の距離分だけ副走査方向に移動させる位置決め制御装置を有して紙を搬送する装置である。
【0060】
(1.1.全体構成)
図1は、実施の形態1による紙搬送装置の機能的ブロック図である。実施の形態1による紙搬送装置1は、位置決め制御装置10、紙搬送ベルト装置300、および移動距離検出器500を備える。
【0061】
紙搬送ベルト装置300は、駆動モータ200、駆動ローラ302、従動ローラ303、およびタイミングベルト400を有する。駆動モータ200はタイミングベルト400を介して駆動ローラ302を回転させる。駆動ローラ302は駆動ローラ302と従動ローラ303とによって回転可能に搬送ベルト301を支持し、搬送ベルト301を回転させる。駆動モータ200は、例えば、直流モータを使用する。
【0062】
移動距離検出器500は、ロータリーエンコーダ501およびセンサ502を有する。移動距離検出器500は、搬送ベルト301の現在の移動距離を検出する。移動距離検出器500は、たとえは、ディジタル式の回転型エンコーダを駆動モータ200に取り付けたもの、回転型エンコーダを駆動ローラ302に取り付けたもの、リニアエンコーダを搬送ベルト301表面に取り付けたもの等が適用可能である。これらのエンコーダは、移動距離が所定の最小単位の整数倍でのみ得ることができる。ロータリエンコーダ501からは、移動距離が、エンコーダパルス単位の整数値で出力される。ここでは、ロータリエンコーダ501を駆動ローラ302に取り付けたものについて説明を行うが、この形式に限られるものではない。
【0063】
ロータリエンコーダ501は、移動距離をエンコーダパルス単位の整数値として出力する。センサ502は、ロータリエンコーダ501が出力したエンコーダパルスを検出して、位置決め制御装置10に出力する。
【0064】
(1.2.位置決め制御装置)
位置決め制御装置10は、位置判定部100、目標速度算出部101、現在速度算出部102、速度誤差算出部103、調節計部104、速度判定部105、およびゲイン切替部106を有する。
【0065】
位置判定部100は、移動距離検出器500によって検出された移動距離を目標位置と比較して、位置決め制御装置10が搬送ベルト301を停止するために位置決め制御動作を行う位置決め制御区域にあるか否かを判定する。ここで、位置決め制御区域が設定されているのは、この位置決め制御装置10は、最初、停止位置にいわば大まかに近づけて、停止位置に近づいてから正確な停止位置に向けて精細な制御処理を施すために、この精細な制御処理を施す区域として位置決め制御区域が設定されている。位置決め制御区域は、例えば、停止位置から数十ミクロンの区域である。
【0066】
現在速度算出部102は、移動距離検出器500から移動距離を入力し、入力した移動距離に基づいて現在速度を算出し、算出した現在速度を速度誤差算出部103および速度判定部105に対して出力する。
【0067】
速度判定部105は、現在速度算出部102から現在速度を入力し、入力した現在速度が正か負かを判定し、正負の判定結果をゲイン切替部106に対して出力する。
【0068】
ゲイン切替部106は、速度判定部105から判定結果を入力し、判定された現在速度の正負に従って対応するゲインを、複数のゲインの中から選択し、目標速度算出部101に対して出力する。
【0069】
目標速度算出部101は、移動距離検出器500から移動距離情報を入力して搬送ベルト301の移動速度を算出し、またゲイン切替部106から切り換えられるゲインを入力する。目標速度算出部101は、算出した搬送ベルト301の移動速度に対して入力したゲインをかけて目標速度を生成し、生成した目標速度を速度誤差算出部103に対して出力する。
【0070】
速度誤差算出部103は、目標速度算出部101から目標速度を入力し、現在速度算出部102から現在速度を入力する。速度誤差算出部103は、入力した現在速度と目標速度との差分である速度誤差を生成し、調節計部104に対して出力する。
【0071】
調節計部104は、速度誤差算出部103から速度誤差を入力し、モータ駆動出力を計算し、駆動モータ200に対して駆動の指令値であるモータ駆動量を出力する。
【0072】
この位置決め制御装置10を構成する各部は、汎用のコンピュータ、あるいは汎用のディジタル信号処理プロセッサ(DSP)に対するプログラミングによって構成することができる。
【0073】
次に、位置決め制御装置10を用いた紙搬送装置1の動作について説明する。目標速度算出部101は、制御開始を基準とする時刻、現在のベルト移動距離、および現在速度を用いて、各時刻における目標速度を算出する。
【0074】
図2は、目標速度算出部101が使用する目標速度生成アルゴリズムの1例を示す模式図である。目標速度算出部101は、目標速度生成手法として、このような略台形型の目標速度生成アルゴリズムを使用する。図2に示された目標速度生成アルゴリズムでは、ディジタル制御であるのでサンプル時刻を採る。目標速度算出部101は、目標速度を、制御開始時刻から所定の時刻t1までの間は等加速度で加速を行い、所定の速度v2に達した時点で、等速制御に切り替える。その後、移動距離が所定量(p3)に達した時点から、目標速度が移動距離の関数によって表される減速に入る。次に、現在速度がv4に達した時点から、再度等速制御に入る。
【0075】
さらに、移動距離が所定量p5に達した時点から、再度目標速度が移動距離の関数によって表される減速制御に入る。さらに、移動距離がp6に達した時点以降は、位置制御モードに入る。目標位置から近い所定の近傍領域を、位置決め制御区域に設定してある。位置決め制御区域では、位置決め制御装置10は、搬送ベルト301が停止位置目標に収束しながら近づいていくように制御する。
【0076】
ここで、位置判定部100は、上述のように移動距離検出器500のセンサ502によって検出された移動距離によって、移動距離が位置決め制御区域に達したか否かを判定する。現在速度算出部102では、移動距離検出器500から入力された移動距離の隣接するサンプル時刻間の差分によって現在速度を求める。
【0077】
目標速度算出部101は、位置判定部100が位置決め制御区域以外であると判定した場合、図2で求められる目標速度によって、目標速度を算出する。速度誤差算出部103は、目標速度算出部101による目標速度と現在速度算出部102による現在速度の誤差を算出する。
【0078】
一方、目標速度算出部101は、位置判定部100が位置決め制御区域であると判定した場合、目標位置と現在位置との差分に対して、ゲイン切替部106から入力されたゲインを乗じた値を目標速度として算出する。そして、速度判定部105は、現在速度算出部102から入力された現在速度が駆動モータ200の回転方向と同方向である正か、駆動モータ200の逆回転方向である負かを判定し、正負の判定結果をゲイン切替部106に出力する。
【0079】
ゲイン切替部106では、複数の異なるゲインを保持し、入力された判定結果に従って、対応するゲインを選択し、目標速度算出部101に出力する。たとえば、g1、g2(g1<g2)と2個のゲインを保持し、入力された判定結果が正の場合は、捩れから戻るトルクがかかるため、比較的値の小さいg1を選択し、判定結果が負の場合は、捩れから戻るトルクに相当するトルクをかける必要があるため比較的値の大きなg2を選択する。
【0080】
速度誤差算出部103では、目標速度と、現在速度算出部102により算出された現在速度との差分を計算し、調節計部104に出力する。調節計部104は、入力した速度誤差に基づいて駆動モータ200を制御する。
【0081】
ここで、調節計部104は、入力された速度誤差に従い所定の調節計演算を用いてモータ出力を算出する。調節計演算としては、P制御、PI制御、PID制御、および状態フィードバック制御が挙げられる。この中でもPI制御は安定的な制御結果を得ることができるが、これに限定するものではない。
【0082】
このように、位置決め制御区域ではゲインを切り替えながら算出された速度誤差を使用して駆動モータ200を駆動することによって、目標位置に安定的かつ迅速に位置決めすることができる。
【0083】
(1.3.位置決め制御手順)
図3は、実施の形態1による位置決め制御手順を示すフローチャートである。位置判定部100は、搬送ベルト301の移動位置が位置決め制御区域か否かを判定しており(ステップS101)、位置決め制御区域ではないと判定した場合(ステップS101のNo)、目標速度算出部101は、図2に示したアルゴリズムによって、位置決め制御区域外での目標速度を算出する(ステップS102)。ここで、制御区間ではない状態とは、図2において位置p6よりも前の時間における状態である。
【0084】
また、現在速度算出部102が現在速度を算出すると(ステップS103)、速度誤差算出部103は、算出された目標速度と現在速度との誤差を算出する(ステップS104)。この場合は、位置決め区間ではないので、ゲインを切り替えることなく、図2に示されたアルゴリズムに従って単純な速度誤差を算出すればよい。
【0085】
そして、調節計部104は、速度誤差算出部103によって算出された速度誤差に従って駆動ローラ200を制御して駆動させ、コントローラ処理を施す(ステップS105)。このように、位置決め制御区域外においては、経過時間を変数として定まる速度の特性であるアルゴリズムを使用して求まる目標速度から速度誤差を算出し、駆動ローラを制御する。この位置決め制御区域以外では、搬送ベルト301を、いわば微調整することなく迅速に停止位置近くの位置決め制御区域に急接近させればよいのである。
【0086】
一方、位置判定部100が、搬送ベルト301の移動位置が位置決め制御区域にあると判定した場合(ステップS101のYes)、即ち、図2において位置p6に搬送ベルト301が移動したと判定した以後においては、精細な位置決め処理を開始することになる。先ず、現在速度算出部102が搬送ベルト301の現在速度を算出する(ステップS106)。ここでの速度は、移動距離検出器500による移動距離の時間的な経過から検出することができる。
【0087】
速度判定部105は、駆動ローラ302の回転の方向が正か否かを判定し(ステップS107)、正であると判定した場合(ステップS107のYes)、即ち、搬送ベルト301が副走査方向として設定されている方向と同じ方向であると判定した場合、ゲイン切替部106は、正用のゲインに切り替える(ステップS108)。そして、目標速度算出部101は、正用のゲインを現在速度にかけて計算し、目標速度として算出する。ここで、現在速度は位置差分として検出できるので、正用のゲインを現在の位置差分にかけて算出することができる(ステップS109)。速度誤差算出部103は、現在速度と目標速度との誤差を算出し(ステップS104)、調節計部104が速度差分に従って駆動ローラ200を制御して駆動させ、搬送ベルト301に対してコントローラ処理を施す(ステップS105)。
【0088】
一方、速度判定部105は、駆動ローラ302の回転の方向が正ではないと判定した場合(ステップS107のNo)、即ち、搬送ベルト301が副走査方向として設定されている方向と逆の方向であると判定した場合、ゲイン切替部106は、負用のゲインに切り替える(ステップS110)。そして、目標速度算出部101は、負用のゲインを現在速度にかけて計算し、目標速度として残す。
【0089】
ここで、現在速度は位置差分として検出できるので、負用のゲインを現在の位置差分にかけて算出することができる(ステップS111)。速度誤差算出部103は、現在速度と目標速度との誤差を算出し(ステップS104)、調節計部104が速度差分に従って駆動ローラ200を制御して駆動させ、コントローラ処理を施す(ステップS105)。
【0090】
(1.4.変形例)
ここで、差分の正負によってのみならず、その絶対値によっても規定されるゲインとすることができる。より細やかなゲイン切替が可能となるからである。
【0091】
(1.5.効果)
このように、実施の形態1による位置決め制御装置は、搬送ベルト301を駆動する駆動ローラ302に加わるトルク変動による誤差を、駆動ローラの回転方向に従って異なるゲインを切り替えることにより、安定的にかつ迅速に目標位置へ収束することを可能にする。
【0092】
(2.実施の形態2)
(2.1.全体構成)
実施の形態2による位置決め制御装置、およびこの位置決め制御装置を用いた紙搬送装置について説明する。紙搬送装置2は、インクジェット式の画像形成装置において、搬送ベルトを所定の距離分だけ副走査方向に移動させる位置決め制御装置を有して紙を搬送する装置である。
【0093】
図4は、実施の形態2による位置決め制御装置を適用した紙搬送装置の機能的ブロック図である。紙搬送装置2は、位置決め制御装置12、紙搬送ベルト装置300、および移動距離検出器500を備える。ここで、実施の形態1における構成と同符号のものは、それら構成と動作も同様であるので、説明を省略し、あるいは簡略な説明とし、実施の形態1と異なる点について主に説明する。
【0094】
ここで、駆動モータ200、紙搬送ベルト装置300、タイミングベルト400、および移動距離検出器500は、実施の形態1による構成と同様であるので説明を省略する。
【0095】
(2.2.実施の形態2による位置決め制御装置)
位置決め制御装置12は、位置判定部100、目標速度算出部121、現在速度算出部102、速度誤差算出部123、調節計部124、位置差分判定部125、およびゲイン切替部126を有する。
【0096】
位置判定部100は、移動距離検出器500によって検出された移動距離を目標位置と比較して、位置決め制御装置12が搬送ベルト301を停止するために位置決め制御動作を行う位置決め制御区域にあるか否かを判定する。
【0097】
現在速度算出部102は、移動距離検出器500から移動距離を入力し、入力した移動距離に基づいて現在速度を算出し、速度誤差算出部123に対して出力する。
【0098】
位置差分判定部125は、移動距離検出器500から移動距離を入力し、入力した現在位置と目標位置との差分を計算し、計算された差分が正か負かを判定して、正負の判定結果をゲイン切替部126に対して出力する。
【0099】
ゲイン切替部126は、位置差分判定部125からの差分の正負の判定結果を入力し、正負の判定結果に対応するゲインを目標速度算出部121に対して出力する。
【0100】
目標速度算出部121は、移動距離検出器500から移動距離を入力し、またゲイン切替部126からゲインを入力する。目標速度算出部121は、入力した移動距離およびゲインに基づいて目標速度を生成し、生成した目標速度を速度誤差算出部123に出力する。
【0101】
速度誤差算出部123は、目標速度算出部121から目標速度を入力し、現在速度算出部102から現在速度を入力して、これら両速度の差分である速度誤差を生成し、調節計部124に対して出力する。
【0102】
調節計部124は、速度誤差算出部123から速度誤差を入力して駆動モータ200の駆動出力を計算し、駆動モータ200に対して出力する。
【0103】
当業者には自明であるが、実施の形態2による位置決め制御装置は、位置差分判定部125、および速度誤差算出部123を除けば、一般的な閉ループ型の速度制御装置を構成している。
【0104】
この位置決め制御装置12を構成する各部は、汎用のコンピュータ、あるいは汎用のディジタル信号処理プロセッサ(DSP)に対するプログラミングによって構成することができる。
【0105】
ここで、実施の形態2による位置決め制御装置12を用いた紙搬送装置2の動作について説明する。目標速度算出部121は、制御開始を基準とする時刻、現在のベルト移動量である移動距離、および現在速度を用いて、各時刻における目標速度を算出する。搬送ベルト301が位置決め制御区域以外にある場合は、目標速度算出部121が算出する目標速度算出手法としては、実施の形態1の場合と同様に、図2に示すような略台形型の目標速度生成アルゴリズムを使用して算出する。
【0106】
図2の目標速度生成アルゴリズムで横軸の時間は、ディジタル制御であるためサンプル時刻である。この目標速度生成アルゴリズムは、制御開始時刻から所定の時刻t1までの間は、等加速度で加速を行う。所定の速度v2に達した時点で、等速制御に切り替わる。その後、移動距離が所定量(p3)に達した時点から、目標速度が移動距離の関数によって表される減速に入る。次に、現在速度がv4に達した時点から、再度等速制御に入る。さらに、移動距離が所定量p5に達した時点から、再度目標速度が移動距離の関数によって表される減速制御に入る。さらに、移動距離がp6に達した時点から、位置制御モードに入る。位置p6以後の時間で示された区域は、位置決め制御区域である。位置決め制御区域についての説明は実施の形態1の場合と同様であるので省略する。
【0107】
ここで、位置判定部100は、移動距離検出器500によって検出された移動距離によって、移動距離が位置決め制御区域に達したか否かを判定する。
【0108】
この位置決め制御区域においては、目標位置と現在位置との差分に、ゲイン切替部126から入力されたゲインを乗じた値を目標速度とし、速度制御を行う。また、現在速度算出部102は、移動距離検出器500から入力された移動距離のサンプル時刻間の差分によって現在速度を求める。
【0109】
速度誤差算出部123は、目標速度算出部121によって生成された目標速度と、現在速度算出部102により生成された現在速度との差分を計算し、速度誤差を出力する。
【0110】
位置差分判定部125は、入力された現在位置と目標位置との差分がオーバーシュート状態である場合を正とし、オーバーシュートしていない状態を負とし、該正負を判定し、判定結果をゲイン切替部126に出力する。
【0111】
ゲイン切替部126は、複数の異なるゲインを保持し、入力された判定結果に従って対応するゲインを複数の異なるゲインの中から選択する。そして、ゲイン切替部126は、選択したゲインを、目標速度算出部121に出力する。たとえば、g1、g2(g1<g2)と2個のゲインを保持し、入力された判定結果が負の場合、即ちオーバーシュートしていない状態では、捩れから戻るトルクがかかるため、比較的値の小さいg1を選択し、判定結果が正の場合はオーバーシュートした状態であり、捩れから戻るトルクに相当するトルクをかける必要があるため、比較的値の大きなg2を選択する。
【0112】
調節計部124は、位置決め制御区域内であっても、外であっても、速度誤差算出部123から入力する速度誤差に従って、所定の調節計演算を用いて駆動モータ200の出力を算出する。調節計演算としては、例えばP制御、PI制御、PID制御、および状態フィードバック制御などを使用する。特に、PI制御は安定的な制御結果を得ることができるのであるが、これに限られるものではない。
【0113】
(2.3.位置決め制御手順)
図5は、実施の形態2による位置決め制御手順を示すフローチャートである。位置判定部100は、搬送ベルト301の移動位置が位置決め制御区域か否かを判定しており(ステップS201)、位置決め制御区域ではないと判定した場合(ステップS201のNo)、目標速度算出部121は、図2に示したアルゴリズムによって、位置決め制御区域外での目標速度を算出する(ステップS202)。ここで、制御区間ではない状態とは、図2において位置p6よりも前の時間における状態である。
【0114】
また、現在速度算出部102が現在速度を算出すると(ステップS203)、速度誤差算出部123は、算出された目標速度と現在速度との誤差を算出する(ステップS204)。この場合は、位置決め区間ではないので、ゲインを切り替えることなく、図2のアルゴリズムに従って単純な速度誤差を算出すればよい。
【0115】
そして、調節計部124は、速度誤差算出部123によって算出された速度誤差に従って駆動ローラ200を制御して駆動させ、コントローラ処理を施す(ステップS205)。このように、位置決め制御区域外においては、経過時間を変数として定まる速度の特性であるアルゴリズムを使用して求まる目標速度から速度誤差を算出し、駆動ローラを制御する。この位置決め制御区域以外では、搬送ベルト301を、いわば微調整することなく迅速に停止位置近くの位置決め制御区域に急接近させればよいのである。
【0116】
一方、位置判定部が、搬送ベルト301の移動位置が位置決め制御区域にあると判定した場合(ステップS201のYes)、即ち、図2において位置p6に搬送ベルト301が移動したと判定した以後においては、精細な位置決め処理を開始することになる。先ず、位置差分判定部125が搬送ベルト301の目標位置からの現在位置の差分を算出する(ステップS206)。ここでの位置差分は、移動距離検出器500による移動距離から算出する。
【0117】
位置差分判定部125は、算出した差分値が駆動ローラ302の回転の方向と対応する正の値であるか否かを判定し(ステップS207)、正であると判定した場合(ステップS207のYes)、即ち、搬送ベルト301が副走査方向として設定されている方向と同じ方向であると判定した場合は、ゲイン切替部126は、正用のゲインに切り替える(ステップS208)。そして、目標速度算出部121は、正用のゲインを算出した位置差分にかけて計算し、目標速度として算出する(ステップS209)。
【0118】
そして、現在速度算出部102が現在速度を算出し(ステップS203)、速度誤差算出部123が現在速度と目標速度との誤差を算出し(ステップS204)、調節計部124が速度差分に従って駆動ローラ200を制御して駆動させ、搬送ベルト301に対してコントローラ処理を施す(ステップS205)。
【0119】
一方、位置差分判定部125は、駆動ローラ302の回転の方向と対応する正の値ではないと判定した場合(ステップS207のNo)、即ち、搬送ベルト301が副走査方向として設定されている方向と逆の方向であると判定した場合、ゲイン切替部126は、負用のゲインに切り替える(ステップS210)。そして、目標速度算出部121は、負用のゲインを算出した差分値にかけて計算し、目標速度として残す(ステップS211)。
【0120】
そして、現在速度算出部102が現在速度を算出し(ステップS203)、速度誤差算出部123が現在速度と目標速度との誤差を算出し(ステップS204)、調節計部124が速度差分に従って駆動ローラ200を制御して駆動させ、コントローラ処理を施す(ステップS205)。
【0121】
(2.4.変形例)
以上説明した構成では、位置差分判定部125によって、搬送ベルト301の移動方向を判定したが、ここで、現在速度算出部102の算出する移動速度の正負の符号情報を入力して移動方向を判定する構成とすることができる。これにより、位置差分判定部125の機能を現在速度算出部102に分担させることができる。
【0122】
またここで、差分の正負によってのみならず、その絶対値によっても規定されるゲインとすることができる。より細やかなゲイン切替が可能となるからである。
【0123】
(2.5.効果)
以上説明したように、実施の形態2による位置決め制御装置は、現在位置と目標位置との差分によってゲインを切り替えるゲイン切替部を備えることにより、安定かつ迅速な目標位置への収束を可能にする。
【0124】
(3.ハードウェア構成など)
図7は、かかるインクジェットプリンタのハードウェア構成を示すブロック図である。このインクジェットプリンタは、ファックスやスキャナなどの複合的機能を備える複合機として構成されている。図に示すように、このインクジェットプリンタは、コントローラ1210とエンジン部1260とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ1210は、インクジェットプリンタ全体の制御と表示ユニットによる表示処理、制御ユニットによる各種制御、画像形成ユニットによる画像形成など、FCUI/F1230、操作部1220からの入力を制御するコントローラである。エンジン部1260は、PCIバスに接続可能な画像処理エンジンなどであり、例えば取得した画像データに対して誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0125】
コントローラ1210は、CPU1211と、ノースブリッジ(NB)1213と、システムメモリ(MEM−P)1212と、サウスブリッジ(SB)1214と、ローカルメモリ(MEM−C)1217と、ASIC(Application Specific Integrated Cercuit)1216と、ハードディスクドライブ1218とを有し、ノースブリッジ1213とASIC1216との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス1215で接続した構成となる。また、MEM−P1212は、ROM(Read Only Memory)1212aと、RAM(Random Access Memory)1212bとをさらに有する。
【0126】
CPU1211は、インクジェットプリンタの全体制御を行うものであり、NB1213、MEM−P1212およびSB1214からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0127】
NB1213は、CPU1211とMEM−P1212、SB1214、AGP1215とを接続するためのブリッジであり、MEM−P1212に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0128】
MEM−P1212は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM1212aとRAM1212bとからなる。ROM1212aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM1212bは、プログラムやデータの展開用メモリ、画像処理時の画像描画メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0129】
SB1214は、NB1213とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB1214は、PCIバスを介してNB1213と接続されており、このPCIバスには、通信I/F1230なども接続される。
【0130】
ASIC1216は、マルチメディア情報処理用のハードウェア要素を有するマルチメディア情報処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP1215、PCIバス、HDD1218およびMEM−C1217をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。
【0131】
このASIC1216は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC1216の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C1217を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジック等により画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部1260との間でPCIバスを介してUSB(Universal Serial Bus)1240、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers)インタフェース1250が接続される。
【0132】
MEM−C1217は、送信用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD1218は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストーレジである。
【0133】
AGP1215は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM−P1212に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィクスアクセラレータカードを高速にするものである。
【0134】
ASIC1216に接続するキーボード1220は、操作者からの操作入力を受け付けて、ASIC1216に受け付けられた操作入力情報を送信する。
【0135】
なお、実施形態のインクジェットプリンタで実行される位置決め制御プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0136】
実施形態のインクジェットプリンタで実行される位置決め制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0137】
さらに、実施形態のインクジェットプリンタで実行される位置決め制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、実施形態のインクジェットプリンタで実行される位置決め制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0138】
実施の形態のインクジェットプリンタで実行される位置決め制御プログラムは、上述した各部(位置判定部100、目標速度算出部101、現在速度算出部102、速度誤差算出部103、調節計部104、速度判定部105、およびゲイン切替部106)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから位置決め制御プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、位置判定部100、目標速度算出部101、現在速度算出部102、速度誤差算出部103、調節計部104、速度判定部105、およびゲイン切替部106が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0139】
以上説明した本発明の実施の形態あるいは変形例は、説明のための一例であって、本発明はここに説明したこれらの具体例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0140】
以上のように、本発明にかかる位置決め制御装置、位置決め制御方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム、画像形成装置、および記録媒体は、画像形成装置の紙搬送技術に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】実施の形態1による紙搬送装置の機能的ブロック図である。
【図2】目標速度算出部101が使用する目標速度生成アルゴリズムの1例を示す模式図である。
【図3】実施の形態1による位置決め制御手順を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態2による位置決め制御装置を適用した紙搬送装置の機能的ブロック図である。
【図5】実施の形態2による位置決め制御手順を示すフローチャートである。
【図6】従来の位置決め制御装置による紙搬送系のモータ制御を説明する図である。
【図7】かかるインクジェットプリンタのハードウェア構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0142】
1、2、7 紙搬送装置
10、12、17 位置決め制御装置
100 位置判定部
101、121 目標速度算出部
102 現在速度算出部
103、123 速度誤差算出部
104、124 調節計部
105 速度判定部
106、126 ゲイン切替部
125 位置差分判定部
200 駆動モータ
300 紙搬送ベルト装置
302 駆動ローラ
303 従動ローラ
400 タイミングベルト
500 移動距離検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を駆動させる駆動手段、および前記駆動手段による回転軸の駆動によって被搬送物を搬送する搬送体を備えた搬送装置の前記搬送体が移動する停止位置の位置決め制御を行う位置決め制御装置であって、
前記搬送体の移動距離を測定する移動距離検出手段と、
前記移動距離検出手段によって検出される移動距離から、前記搬送体の現在の速度を算出する現在速度算出手段と、
前記移動距離検出手段によって検出される移動距離から、前記搬送体が前記停止位置を決める位置決め領域にあるか否かを判定する位置判定手段と、
前記現在速度算出手段によって算出される現在の速度に乗じるゲインを入力して、前記搬送体の目標速度を算出する目標速度算出手段と、
前記目標速度算出手段の使用する前記ゲインを複数有し、前記位置判定手段が前記搬送体は前記位置決め領域にあると判定した場合、前記ゲインを切り替えながら前記目標速度算出手段に出力するゲイン切替手段と、
前記目標速度算出手段の算出する目標速度と、前記現在速度算出手段が算出する現在速度との誤差を算出する速度誤差算出手段と、
前記速度誤差算出手段が算出する速度誤差を使用して、前記駆動手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする位置決め制御装置。
【請求項2】
前記ゲイン切替手段は、前記現在速度算出手段によって算出された現在速度にしたがって前記ゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする請求項1に記載の位置決め制御装置。
【請求項3】
前記位置判定手段が前記搬送体は位置決め領域にあると判定した場合、前記搬送体の移動方向を判定する移動方向判定手段を、さらに備え、
前記ゲイン切替手段は、前記移動方向判定手段の判定した移動方向に従って、対応するゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする請求項1に記載の位置決め制御装置。
【請求項4】
前記移動方向判定手段は、前記現在速度算出手段によって算出された現在速度によって前記移動方向を判定するものであることを特徴とする請求項3に記載の位置決め制御装置。
【請求項5】
前記ゲイン切替手段は、前記現在速度算出手段が算出する前記搬送体の現在速度により被搬送物の設定された移動方向と同じ移動方向であると算出した場合のゲインを、逆の移動方向であると算出した場合のゲインよりも小さな値に設定して、切り替えながら出力するものであることを特徴とする請求項4に記載の位置決め制御装置。
【請求項6】
前記移動距離検出手段が検出する前記搬送体の移動距離によって、目標位置と現在位置との差分を判定する差分判定手段を、さらに備え、
前記ゲイン切替手段は、前記差分判定手段によって判定された差分に従って前記ゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする請求項1に記載の位置決め制御装置。
【請求項7】
前記差分判定手段は、前記被搬送物の設定された移動方向と同じ移動方向か逆の移動方向かを判定するものであり、
前記ゲイン切替手段は、前記差分判定手段によって判定された移動方向に従って前記ゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする請求項6に記載の位置決め制御装置。
【請求項8】
前記ゲイン切替手段は、前記差分判定手段が判定する前記搬送体の現在速度が前記設定された被搬送物の移動方向と同じ移動方向であると判定した場合のゲインを、逆の移動方向であると判定した場合のゲインよりも小さな値に設定して、切り替えながら出力するものであることを特徴とする請求項7に記載の位置決め制御装置。
【請求項9】
回転軸を駆動させる駆動手段、および前記駆動手段による回転軸の駆動によって被搬送物を搬送する搬送体を備えた搬送装置の前記搬送体が移動する停止位置の位置決め制御を行う位置決め制御装置における位置決め制御方法であって、
移動距離検出手段によって、前記搬送体の移動距離を測定する移動距離検出工程と、
現在速度算出手段によって、前記移動距離検出工程で検出される移動距離から、前記搬送体の現在の速度を算出する現在速度算出工程と、
位置判定手段によって、前記移動距離検出工程で検出される移動距離から、前記搬送体が前記停止位置を決める位置決め領域にあるか否かを判定する位置判定工程と、
目標速度算出手段によって、前記現在速度算出工程で算出される現在の速度に乗じるゲインを入力して、前記搬送体の目標速度を算出する目標速度算出工程と、
前記目標速度算出工程で使用する前記ゲインを複数有するゲイン切替手段によって、前記位置判定工程で前記搬送体は前記位置決め領域にあると判定された場合、前記ゲインを切り替えながら前記目標速度算出手段に出力するゲイン切替工程と、
速度誤差算出手段によって、前記目標速度算出工程で算出する目標速度と、前記現在速度算出工程で算出する現在速度との誤差を算出する速度誤差算出工程と、
制御手段によって、前記速度誤差算出工程で算出する速度誤差を使用して、前記駆動手段を制御する制御工程と、
を含むことを特徴とする位置決め制御方法。
【請求項10】
前記ゲイン切替工程は、前記現在速度算出工程で算出された現在速度にしたがって前記ゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする請求項9に記載の位置決め制御方法。
【請求項11】
前記位置判定工程で前記搬送体は位置決め領域にあると判定した場合、移動方向判定手段によって、前記搬送体の移動方向を判定する移動方向判定工程を、さらに含み、
前記ゲイン切替工程は、前記移動方向判定工程で判定した移動方向に従って、対応するゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする請求項9に記載の位置決め制御方法。
【請求項12】
前記移動方向判定工程は、前記現在速度算出工程で算出された現在速度によって前記移動方向を判定するものであることを特徴とする請求項11に記載の位置決め制御方法。
【請求項13】
前記ゲイン切替工程は、前記現在速度算出工程で算出する前記搬送体の現在速度により被搬送物の設定された移動方向と同じ移動方向であると算出した場合のゲインを、逆の移動方向であると算出した場合のゲインよりも小さな値に設定して、切り替えながら出力するものであることを特徴とする請求項12に記載の位置決め制御方法。
【請求項14】
差分判定手段によって、前記移動距離検出工程が検出する前記搬送体の移動距離により、目標位置と現在位置との差分を判定する差分判定工程を、さらに含み、
前記ゲイン切替工程は、前記差分判定工程で判定された差分に従って前記ゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする請求項9に記載の位置決め制御方法。
【請求項15】
前記差分判定工程は、前記被搬送物の設定された移動方向と同じ移動方向か逆の移動方向かを判定するものであり、
前記ゲイン切替工程は、前記差分判定工程で判定された移動方向に従って前記ゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする請求項14に記載の位置決め制御方法。
【請求項16】
前記ゲイン切替工程は、前記差分判定工程が判定する前記搬送体の現在速度が前記設定された被搬送物の移動方向と同じ移動方向であると判定した場合のゲインを、逆の移動方向であると判定した場合のゲインよりも小さな値に設定して、切り替えながら出力するものであることを特徴とする請求項15に記載の位置決め制御方法。
【請求項17】
請求項9〜16のいずれか一つに記載の位置決め制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項18】
画像情報を入力して画像処理を施す画像処理装置、前記画像処理装置が画像処理した画像情報に従って記録紙に画像出力する画像出力装置、回転軸を駆動させる駆動手段、および前記駆動手段による回転軸の駆動によって前記記録紙を搬送する搬送体を有する搬送装置、および前記画像出力装置が前記記録紙に画像出力する位置に前記搬送装置が前記記録紙を搬送するように位置決めを行う位置決め制御装置を備える画像形成装置であって、
前記位置決め制御装置は、
前記搬送体の移動距離を測定する移動距離検出手段と、
前記移動距離検出手段によって検出される移動距離から、前記搬送体の現在の速度を算出する現在速度算出手段と、
前記移動距離検出手段によって検出される移動距離から、前記搬送体が移動する停止位置を決める位置決め領域にあるか否かを判定する位置判定手段と、
前記現在速度算出手段によって算出される現在の速度に乗じるゲインを入力して、前記搬送体の目標速度を算出する目標速度算出手段と、
前記目標速度算出手段の使用する前記ゲインを複数有し、前記位置判定手段が前記搬送体は前記位置決め領域にあると判定した場合、前記ゲインを切り替えながら前記目標速度算出手段に出力するゲイン切替手段と、
前記目標速度算出手段の算出する目標速度と、前記現在速度算出手段が算出する現在速度との誤差を算出する速度誤差算出手段と、
前記速度誤差算出手段が算出する速度誤差を使用して、前記駆動手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
前記ゲイン切替手段は、前記現在速度算出手段によって算出された現在速度にしたがって前記ゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記位置判定手段が前記搬送体は位置決め領域にあると判定した場合、前記搬送体の移動方向を判定する移動方向判定手段を、さらに備え、
前記ゲイン切替手段は、前記移動方向判定手段の判定した移動方向に従って、対応するゲインを切り替えながら出力するものであることを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
【請求項21】
請求項17に記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に格納したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−11611(P2007−11611A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−190491(P2005−190491)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】