説明

低誘電材料、低誘電板及び低誘電基板

【課題】 誘電率が低く、力学的物性、寸法安定性及び耐熱性に優れ、特に高温物性に優れるため、多層プリント配線基板等に好適に用いることのできる低誘電材料、低誘電板、及び、低誘電基板を提供する。
【解決手段】 単孔構造を有する中空微粒子が絶縁性樹脂中に分散された低誘電基板であって、前記中空微粒子は、エポキシ樹脂からなる中空エポキシ樹脂微粒子、並びに/又は、有機骨格及び無機骨格を有する中空有機・無機ハイブリッド微粒子である低誘電材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電率が低く、力学的物性、寸法安定性及び耐熱性に優れ、特に高温物性に優れる低誘電材料、低誘電板、及び、低誘電基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器、特にPHS(Personal Handyphone System)や携帯電話等の通信機器、及び、コンピューターの分野での情報処理の高速化が要求されている。こうした要求に応えるために、通信機器及びコンピューター内におけるプリント配線板の多層化、配線パターンの高密度化、電気信号の高周波数化が進んでいる。
しかしながら、配線パターンの高密度化、電気信号の高周波数化は、電気信号の誘電損失を増大させ信号の信頼性を損なうため、これを抑制するために配線板材料の低誘電率化、低誘電正接化が求められるようになってきている。
【0003】
このような誘電率、誘電正接の低いプリント配線板を得る方法として、プリント配線板の基板材料となる樹脂中に低誘電率の気体を存在させる方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、プリント配線板の基板として使用するために、ガラス繊維織布基材に熱硬化性樹脂を含浸乾燥して得たプリプレグを積層形成する際に、熱硬化性樹脂中に中空ガラス粒子を充填する方法が提案されている。この中空ガラス粒子の内部には窒素、空気といった気体が存在し、この気体が低誘電率であることから、積層板全体を低誘電率化することができる。
しかしながら、特許文献1に開示の方法は、中空ガラス粒子と樹脂との親和性が悪く樹脂中に均一分散することが難しく、製造された積層板の気体の分布が不均一となりやすく、また、内部にボイドが発生しやすいといった絶縁特性上の問題があり、更に、強度特性にも劣るため実用的ではなかった。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、架橋性の熱可塑性樹脂からなる中空ポリマー微粒子と熱硬化性樹脂とを含有することにより低誘電率の絶縁材料を得る方法が提案されている。特許文献2に開示された絶縁材料は、中空ポリマー微粒子を用いることで樹脂への分散性を改善することができる。
しかしながら、特許文献2に開示された中空ポリマー微粒子は、3次元的な架橋が充分に発達しているとは言い難く、耐熱物性に劣り、特にガラス転移点前後での熱物性の変化が大きく、ガラス転移温度以上において粒子の中空部が消失・収縮したり、積層材料や貼り合わせ材料とした時に、ガラス転移温度前後でしわや反りが発生したり、膜自体の熱膨張係数が高くなり積層材料とした時に回路を形成する金属配線との剥離が起こりショートや断線を起こす等の問題があり実用化には至っていない。
【特許文献1】特開平08−46309号公報
【特許文献2】特開平11−145572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の現状に鑑み、誘電率が低く、力学的物性、寸法安定性及び耐熱性に優れ、特に高温物性に優れる低誘電材料、低誘電板及び低誘電基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、単孔構造を有する中空微粒子が絶縁性樹脂中に分散された低誘電材料であって、前記中空微粒子は、エポキシ樹脂からなる中空エポキシ樹脂微粒子、並びに/又は、有機骨格及び無機骨格を有する中空有機・無機ハイブリッド微粒子である低誘電材料である。
以下に本発明を詳述する。
【0007】
本発明者らは、鋭意検討の結果、単孔構造を有するエポキシ樹脂からなる中空エポキシ樹脂微粒子、並びに/又は、有機骨格及び無機骨格を有する中空有機・無機ハイブリッド微粒子は、絶縁性樹脂中に均一に分散可能であるとともに低誘電率であり、更に、力学的物性、寸法安定性、耐熱性、なかでも高温物性に優れた微粒子であり、このような中空微粒子を絶縁性樹脂に分散させた低誘電材料は、低誘電率、力学的物性、寸法安定性、耐熱性に優れ、特に高温物性に優れたものとなることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明は、単孔構造を有する中空微粒子が絶縁性樹脂に分散された低誘電材料である。
本発明の低誘電材料において、上記中空微粒子は、エポキシ樹脂からなる中空エポキシ樹脂微粒子、並びに/又は、有機骨格及び有機骨格を有する中空有機・無機ハイブリッド微粒子である。
このような中空エポキシ樹脂微粒子や中空有機・無機ハイブリッド微粒子は、その構造を充分に発達した3次元架橋構造とすることができ、優れた力学的物性、寸法安定性及び耐熱性、特に優れた高温物性を有するものとすることができる。従って、上記中空微粒子が絶縁性樹脂に分散された本発明の低誘電材料は、熱線膨張性が低く耐ハンダリフロー性に優れる等の耐熱物性等に優れたものとすることができる。
また、上記中空微粒子は、絶縁性樹脂中での分散性に優れるとともに、単孔構造を有するため、粒子内部に絶縁性樹脂が侵入することがなく、マトリックス樹脂である絶縁性樹脂中に低誘電率の気体を導入することができ、本発明の低誘電材料は、低誘電率、低誘電正接に優れたものとなる。
なお、本明細書において、「単孔構造」とは、多孔質状等のように複数の空隙を有する場合は含まず、ただ1つの閉じた空隙を有する構造のことをいう。また、以下の説明において、中空微粒子の空隙以外の部分を「シェル部」ともいうこととする。
【0009】
上記中空微粒子のガラス転移温度としては特に限定されないが、好ましい下限は120℃である。120℃未満であると、本発明の低誘電材料の耐熱性が劣るものとなり、製造する際の加熱、加圧等により上記中空微粒子の変形、損傷等が発生することがある。より好ましい下限は150℃、更に好ましい下限は200℃である。
【0010】
上記中空微粒子の線膨張係数としては特に限定されないが、ガラス転移温度よりも50℃低い温度からガラス転移温度よりも10℃低い温度までの平均線膨張係数(α)の好ましい上限が7×10−5/℃、より好ましい上限が5×10−5/℃であり、ガラス転移温度より10℃高い温度からガラス転移温度より50℃高い温度までの平均線膨張係数(α)の好ましい上限が20×10−5/℃、より好ましい上限が15×10−5/℃である。
【0011】
また、上記中空微粒子は、上記αをαで除した平均線膨張比の上限が3であることが好ましい。このような平均線膨張係数の中空微粒子を用いることで得られる本発明の低誘電材料は、ガラス転移温度以上においても中空微粒子の中空部の消失・収縮が起こらず、ガラス転移温度付近での寸法変化が小さいため、積層体としたときや貼り合わせたときに、ガラス転移温度付近でのしわや反りが発生することがなく、また、本発明の低誘電材料自体も低い熱線膨張係数を示すため金属配線との剥離が起こりにくい。より好ましい上限は2、更に好ましい上限は1.5である。
【0012】
上記中空微粒子の粒子径としては特に限定されないが、好ましい下限は0.01μm、好ましい上限は1μmである。0.01μm未満であると、上記中空微粒子の二次凝集等の面で取り扱いが困難になり、1μmを超えると、本発明の低誘電材料の強度が低下する等の問題が生じることがある。より好ましい上限は0.8μmである。
また、例えば、LSI等の特に微細な配線構造に対応させる必要がある場合、上記中空微粒子の粒子径の好ましい上限は100nm、より好ましい上限は50nmである。
【0013】
本発明の低誘電材料において、上記中空微粒子の空隙率の好ましい下限は30%である。30%未満であると、本発明の低誘電材料内部へ充分に空隙を導入することができず、目的とする誘電物性が得られないことがある。より好ましい下限は50%であり、更に好ましい下限は70%である。
【0014】
本発明の低誘電材料において、上記中空微粒子は、表面が疎水性を有することが好ましい。上記中空微粒子の表面が疎水性を有していない場合、中空微粒子内部の空隙への吸水が起こることがあり、このような中空微粒子の空隙内部への吸水が起こると、中空微粒子内部の低誘電率の気体を高誘電率の水へ置換することとなるため、本発明の低誘電材料の誘電物性の著しい低下が生じたり、ハンダリフロー等の高温処理時に爆ぜてしまったりすることがある。
【0015】
上記中空微粒子の表面が疎水性を有するものとする方法としては、例えば、上記中空微粒子の表面を疎水化する方法や、中空微粒子を構成する樹脂として疎水性のものを用いる方法等が挙げられる。具体的には、例えば、中空微粒子表面の官能基を利用して中空微粒子表面に芳香族化合物、炭素数6以上の長鎖アルキル、フッ素化合物、シリコン化合物等を導入する方法;粒子骨格自体をノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、芳香族骨格、フッ素骨格等の低吸水性骨格で構成する方法等が挙げられる。
【0016】
本発明の低誘電材料における上記中空微粒子の添加量としては特に限定されないが、好ましい下限は10体積%、好ましい上限は70体積%である。10体積%未満であると、所望の比誘電率、誘電正接が得られないことがあり、70体積%を超えると、例えば、シート形成した際の強度が著しく低下することがある。
【0017】
本発明の低誘電材料を構成する上記中空微粒子がエポキシ樹脂からなる中空エポキシ樹脂微粒子である場合、該中空エポキシ樹脂微粒子を構成するエポキシ樹脂としては特に限定されず、例えば、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、脂肪族型、脂環式型、ノボラック型、アミノフェノール型、ヒダトイン型、イソシアヌレート型、ビフェノール型、ナフタレン型及びこれらの水添化物、フッ素化物等いずれのエポキシ樹脂であってもよい。これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
このようなエポキシ樹脂よりなる中空エポキシ樹脂微粒子の合成方法としては特に限定されないが、エポキシ樹脂、硬化剤及び非重合性有機溶剤を含む油成分を、サスペンジョン重合、ミニエマルジョン重合、マイクロサスペンジョン重合、シード重合する方法;エポキシ樹脂を含む油成分と硬化剤、分散剤及び非重合性有機溶剤を含む水成分の油中水エマルジョン(以下、重合性液滴ともいう)を作製し、油水界面において反応を進行する界面重合法等が好適に用いられる。なかでも、単孔構造の中空微粒子の作製が容易であり、空隙率の制御がしやすいという観点から、界面重合法が好適である。
【0019】
上記中空エポキシ樹脂微粒子を合成する際に用いるエポキシ樹脂としては、エポキシ当量が500以下のエポキシモノマーが好ましく、より好ましくはエポキシ当量200以下のエポキシモノマーである。耐熱性に優れた高架橋の樹脂骨格を形成する中空エポキシ樹脂微粒子を得ることができるからである。これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
上記エポキシ当量が200以下のエポキシモノマーとしては特に限定されず、例えば、エポトートYD115、エポトートYD127、エポトートYD128(商品名 東都化成社製)、エピコート825、エピコート827、エピコート828(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON 840、EPICLON 850(商品名 大日本インキ化学社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;エポトートYDF−170、エポトートYDF−175S(商品名 東都化成社製)、エピコート806、エピコート807(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON 830、EPICLON 835(商品名 大日本インキ化学社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;エポトートYDPN−638、エポトートYDCN−701、エポトートYDCN−702、エポトートYDCN−703、エポトートYDCN−704、エポトートYDCN−500(商品名 東都化成社製)、エピコート152、エピコート154(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON N−655、EPICLON N−740、EPICLONN−770、EPICLON N−775、EPICLON N−865(商品名 大日本インキ化学社製)等のノボラック型エポキシ樹脂;エポトートYH−434、エポトートYH434−L(商品名 東都化成社製)、エピコート1031S、エピコート1032H60、エピコート604、エピコート630(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON 430(商品名 大日本インキ化学社製)、TETRAD−X、TETRAD−C(商品名 三菱ガス化学社製)等の特殊多官能タイプ;エピコートYX4000、エピコートYL6121H、エピコートYL6640、エピコートYL6677(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)等のビフェニル型エポキシ樹脂;エポトートYH−300、エポトート−YH301、エポトートYH−315、エポトートYH−324、エポトートYH−325(商品名 東都化成社製)等の脂肪族ポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;エポトートYDC−1312、エポトートYSLV−80XY(商品名 東都化成社製)等の結晶性エポキシ樹脂;EPICLON HP−4032、EPICLON EXA−4700(商品名 大日本インキ化学社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂;エピコート191P、エピコートYX310(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON HP−820(商品名 大日本インキ化学社製)等の特殊機能型エポキシ樹脂;EPICLON 725(商品名 大日本インキ化学社製)等の反応性希釈剤等が挙げられる。
【0021】
上記エポキシ当量が200を超え、500未満のエポキシモノマーとしては特に限定されず、例えば、エポトートYD134、エポトートYD011(商品名 東都化成社製)、エピコート801、エピコート1001(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1055(商品名 大日本インキ化学社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;エポトートYDF−2001(商品名 東都化成社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;EPICLON N−660、EPICLON N−665、EPICLON N−670、EPICLON N−673、EPICLON N−680、EPICLON N−695(商品名 大日本インキ化学社製)等のノボラック型エポキシ樹脂;エピコート157S70(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON5500(商品名 大日本インキ化学社製)等の特殊多官能タイプ;エポトートYDB−360、エポトートYDB−400、エポトートYDB−405(商品名 東都化成社製)、EPICLON152、EPICLON153(商品名 大日本インキ化学社製)等の臭素化エポキシ樹脂;エポトートYD−171(商品名 東都化成社製)、エピコート871(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON TSR−960、EPICLON TSR−601(商品名 大日本インキ化学社製)等の可とう性エポキシ樹脂;エポトートST−3000(商品名 東都化成社製)、エピコートYX8000、エピコートYX8034(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)等の水添型エポキシ樹脂;EPICLON HP−7200(商品名 大日本インキ化学社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0022】
また、エポキシ当量が500を超えるエポキシモノマーを用いてもよく、エポキシ当量が500を超えるエポキシモノマーとしては、例えば、エポトートYD−012、エポトートYD−013、エポトートYD−014、エポトートYD−017、エポトートYD−019(商品名、いずれも東都化成社製)、エピコート1002、エピコート1003、エピコート1055、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009、エピコート1010(商品名、いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON3050、EPICLON4050、EPICLON AM−020−P、EPICLON AM−030−P、EPICLON AM−040−P、EPICLON 7050、EPICLON HM−091、EPICLON HM−101(商品名、いずれも大日本インキ化学社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;エポトートYDF−2004(商品名、東都化成社製)、エピコート4004P、エピコート4007P、エピコート4010P、エピコート4110、エピコート4210(商品名、いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;エポトートYDB−405(商品名、東都化成社製)、EPICLON1123P−75M(商品名、大日本インキ化学社製)等の臭素化エポキシ樹脂;エポトートYD−172(商品名、東都化成社製)、エピコート872(商品名、ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON1600−75X(商品名、大日本インキ化学社製)等の可とう性エポキシ樹脂;エポトートST−4000D(商品名、東都化成社製)等の水添型エポキシ樹脂;EPICLON5800(商品名、大日本インキ化学社製)等の多官能型エポキシ樹脂等、又は、これらのフッ素化物等が挙げられる。なかでも、フッ素化物であることが好ましい。フッ素化物を用いることで、上記中空エポキシ樹脂微粒子の空隙内部への非重合性有機溶剤等の浸入を抑制することが可能である。
【0023】
上記硬化剤としては、水相中にある程度溶解可能でありかつ上記エポキシ樹脂と反応するものであれば特に限定されないが、例えば、アミン系硬化剤、チオール系硬化剤又はカルボン酸系硬化剤が好適に用いられる。
【0024】
上記アミン系硬化剤としては特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、テトラエチレンペンタミン、ノルボルナンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン等のポリアミン;2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物等のイミダゾール;ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン等のピペラジン系化合物;エポキシ樹脂のアミノ付加物等のアミノ基含有プレポリマー等が挙げられる。
【0025】
上記チオール系硬化剤としては特に限定されず、例えば、1,2−エチルジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオール等が挙げられる。
【0026】
上記カルボン酸系硬化剤としては特に限定されないが、例えば、シュウ酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、(o−、m−、p−)ベンゼンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、及び、メチルメタクリル酸等からなる群より選択されるいずれか一種を10重量%以上含有するポリマー共重合体等が好適である。
【0027】
上記非重合性有機溶剤としては、上記エポキシ樹脂と混和し、かつ、重合温度において液状であるものであれば特に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の有機溶剤等が好適である。これらの非重合性有機溶剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0028】
界面重合により上記中空エポキシ樹脂微粒子を合成する場合、上記非重合性有機溶剤の配合量としては特に限定されないが、上記エポキシ樹脂等を含む油成分30重量部に対して好ましい下限は70重量部、好ましい上限は1000重量部である。30重量部未満であると、製造する中空エポキシ樹脂微粒子の空隙率が低くなることがあり、1000重量部を超えると、非重合性有機溶剤を除いたときに粒子形状が保てず中空エポキシ樹脂微粒子が得られなかったり、得られた中空エポキシ樹脂微粒子の強度が極端に劣ったりすることがある。
【0029】
また、上記非重合性有機溶剤として炭素数8〜20程度の高級アルカンや長鎖状の疎水性化合物を配合してもよい。このような化合物は、水成分中で重合性液滴が合一することを効果的に抑制する役割を有する。特に、粒子径が1μm以下の液滴は合一しやすい性質を有するため、このような液滴を安定して形成する際には、上記高級アルカンや長鎖状の疎水性化合物が配合されていることが好ましい。
【0030】
上記炭素数8〜20程度の高級アルカンや長鎖状の疎水性化合物としては特に限定されず、例えば、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサンやステアリルメタクリレート等が挙げられる。
【0031】
上記炭素数8〜20程度の高級アルカンや長鎖状の疎水性化合物を用いる場合、油成分全量に対する配合量としては特に限定されないが、好ましい下限は0.1重量%である。0.1重量%未満であると、重合性液滴の合一を効果的に抑制することができない場合がある。
【0032】
上記分散剤としては特に限定されず、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸カリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート等のノニオン性乳化剤、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性乳化剤、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性乳化剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、マリアリム、ポリスチレンスルホン酸等の高分子分散剤や、セチルアルコール等の分散助剤が挙げられる。
【0033】
上記分散剤の配合量としては特に限定されないが、上記非重合性有機溶剤100重量部に対して好ましい下限は0.01重量部、好ましい上限は10重量%である。
【0034】
また、上記中空エポキシ樹脂微粒子を合成する際には、本発明の目的とする熱物性及び誘電物性を損なわない範囲であれば、上記エポキシ樹脂以外の任意の熱硬化性又は熱可塑性重合性モノマーを併用してもよい。
【0035】
上記エポキシ樹脂以外の重合性モノマーを構成する単官能性モノマーとしては特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の極性基含有(メタ)アクリル系モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー、ビニルピリジン、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、イタコン酸、フマル酸、エチレン、プロピレン、ポリジメチルシロキサンマクロモノマー等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0036】
上記エポキシ樹脂以外の重合性モノマーを構成する多官能性モノマーは、上記中空微粒子のガラス転移温度を高める、耐熱性・耐溶剤性を改善する目的で添加される。上記多官能性モノマーとしては特に限定されず、例えば、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、ジ若しくはトリアリル化合物、ビニル化合物、ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられる。これらの多官能性モノマーは、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0037】
上記ジ(メタ)アクリレートとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1.6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0038】
上記トリ(メタ)アクリレートとしては特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0039】
上記ジ若しくはトリアリル化合物としては特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレート、ビスアリルナジイミド等が挙げられる。
【0040】
上記ジビニル化合物としては特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン、ブタジエン等が挙げられる。
【0041】
上記中空エポキシ樹脂微粒子を界面重合により合成する場合、上述したエポキシ樹脂等を含む油成分を、上記硬化剤、分散剤及び非重合性有機溶剤を含む水成分中に分散させて作製した油中水エマルジョン(重合性液滴)分散液を、油水界面において反応させることで、上記中空エポキシ樹脂微粒子を合成することができる。
【0042】
上記重合性液滴を反応させる方法としては、例えば、上記分散液を加熱して上述したエポキシモノマーと硬化剤との反応温度とし、上記エポキシモノマーと硬化剤とを反応させてエポキシ樹脂を生じさせる方法が挙げられる。このとき、油成分を含む重合性液滴と上記分散剤を含む水成分とは相分離していることから、反応は上記重合性液滴と水成分との界面付近においてのみ起こり、生成したエポキシ樹脂からなるシェル部を有し、未反応の油成分(及び、上記非重合性有機溶剤等)を内包する樹脂微粒子が形成される。
【0043】
その後、上記樹脂微粒子の内包する未反応の油成分等を除去することで、高空隙率の中空エポキシ樹脂微粒子を合成することができる。
上記樹脂微粒子の内包する未反応の油成分等を除去する方法としては特に限定されず、例えば、得られた樹脂微粒子の分散液に窒素、空気等の気体を吹き込む方法;系全体を減圧する方法;内包する油成分と混合可能な溶媒中において上記油成分を抽出除去する方法等が挙げられる。
更に、温度条件を樹脂微粒子内部の未反応の油成分の沸点以上とすることで、内包する未反応の油成分を樹脂微粒子から除くこともできる。
【0044】
このような界面重合によると、単孔構造を有し、非常に高い空隙率の中空エポキシ樹脂微粒子を合成することができる。
また、合成に際して、エポキシ樹脂として、エポキシ当量が500以下のエポキシモノマーを用いた場合、合成する中空エポキシ樹脂微粒子のシェル部を、高い架橋密度を有するものとすることができ、高強度、耐熱性、耐溶剤性に特に優れたものとすることができる。
【0045】
また、本発明の低誘電材料を構成する中空微粒子が、上記有機及び無機骨格を有する中空有機・無機ハイブリッド微粒子である場合、該有機・無機ハイブリッド微粒子の合成方法としては特に限定はされず、例えば、構造内部にビニル基、アクリル基、メタクリル基、スチリル基等を有する重合性シランカップリング剤と非重合性有機溶剤とを用いた乳化重合、滴下型の乳化重合、ソープフリー重合、マイクロエマルジョン重合、ミニエマルジョン重合、マイクロサスペンジョン重合;構造内部にエポキシ基やイソシアネート基、ウレイド基、アミノ基、メルカプト基、ハロゲン基を有するシランカップリング剤を用いた界面重合;予め作製した中空微粒子表面を、シランカップリング剤を用いてシリカ被覆する方法等、適宜の重合方法が挙げられる。
【0046】
上記構造内部にビニル基、アクリル基、メタクリル基、スチリル基等を有する重合性シランカップリング剤としては特に限定されず、例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等任意のシランカップリング剤が挙げられる。これらの重合性シランカップリング剤は単独で使用してもよく、任意の重合性モノマーと2種以上混合して使用してもよい。
【0047】
上記重合性モノマーを構成する単官能性モノマーとしては、特に限定されず、上述のエポキシ樹脂からなる中空エポキシ樹脂微粒子の合成に用いられる単官能性モノマーと同様のものを用いることができる。
【0048】
また、上記重合性モノマー成分を構成する多官能性モノマーは、上記中空樹脂微粒子のガラス転移温度を高める、耐熱性・耐溶剤性を改善する目的で添加される。このような多官能性モノマーとしては特に限定されず、上述のエポキシ樹脂からなる中空エポキシ樹脂微粒子の合成に用いられる多官能性モノマーと同様のものを用いることができる。
【0049】
上記非重合性有機溶剤としては、上記構造内部にビニル基、アクリル基、メタクリル基、スチリル基等を有する重合性シランカップリング剤及び重合性モノマーと混和し、かつ、重合温度において液状であるものであれば特に限定されず、上述のエポキシ樹脂からなる中空エポキシ樹脂微粒子の合成に用いられる非重合性有機溶剤と同様のものを用いることができる。
【0050】
界面重合により上記中空有機・無機ハイブリッド微粒子を合成する場合において、上記構造内部にエポキシ基を有するシランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0051】
上記イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0052】
上記ウレイド基を有するシランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0053】
上記アミノ基を有するシランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、特殊アミノシラン等が挙げられる。
【0054】
上記メルカプト基を有するシランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0055】
上記ハロゲン基を有するシランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0056】
これらの界面重合可能なシランカップリング剤は単独で用いられてもよく、任意の界面重合反応性物質であるエポキシ樹脂、イソシアネート、アミン、メルカプタン、酸ハロゲン化物等と2種以上混合して用いられてもよい。
【0057】
上記界面重合により中空有機・無機ハイブリッド微粒子を合成する場合において、反応成分としてイソシアネートを用いる場合には、反応相手成分としては、水、アミン、ウレイド、ポリオール、及び、ポリカルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
この場合、イソシアネートと水及び/又はアミンとが反応することによりポリウレアが生成され、イソシアネートとポリオールとが反応することによりポリウレタンが生成され、イソシアネートとポリカルボン酸とが反応することによりポリアミドが生成される。
【0058】
上記イソシアネートとしては特に限定されず、例えば、ビュレット型、アダクト型、イソシアヌレート型のいずれも用いることができる。
【0059】
上記ポリオールとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、o−ジヒドロキシメチルベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン;ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシメタクリレート等のヒドロキシル基含有ポリマー等が挙げられる。
【0060】
上記ポリカルボン酸としては特に限定されず、例えば、シュウ酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、(o−、m−、p−)ベンゼンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メチルメタクリル酸等のいずれかを10重量%以上含むポリマー共重合体等が挙げられる。
【0061】
また、上記界面重合により中空有機・無機ハイブリッド微粒子を合成する場合において、反応成分としてエポキシ樹脂を用いる場合には、反応相手成分としては、アミン及び/又はポリカルボン酸が好適に用いられる。
この場合、エポキシ樹脂とアミン及び/又はポリカルボン酸とが反応することによりエポキシ重合体が生成される。
【0062】
上記エポキシ樹脂としては特に限定されず、上述のエポキシ樹脂からなる中空エポキシ樹脂微粒子の合成に用いられるエポキシ樹脂と同様のものを用いることができる。
【0063】
更に、上記界面重合により中空有機・無機ハイブリッド微粒子を合成する場合において、反応成分として酸ハロゲン化物を用いる場合には、上記反応相手成分としては、アミン、ポリオールが好適に用いられる。この場合、酸ハロゲン化物とアミン、ポリオールとが反応することによりナイロン、ポリエステルが生成される。
【0064】
上記酸ハロゲン化物としては特に限定されず、例えば、アジポイルジクロライド、フタロイルジクロライド、テレフタロイルジクロライド、1,4−シクロヘキサンジカルボニルクロライド等の二塩基酸ハロゲン化物が挙げられる。
【0065】
上記アミンとしては特に限定されず、上述のエポキシ樹脂よりなる骨格を有する中空微粒子の合成に用いられる非重合性化合物と同様のものを用いることができる。
【0066】
本発明の低誘電材料のマトリックスを構成する絶縁性樹脂としては特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アニリン樹脂等が挙げられる。なかでも、エポキシ樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、及び、メラミン樹脂等が好適である。これらの絶縁性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0067】
上記絶縁性樹脂がエポキシ樹脂である場合、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができ特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4 −エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル等の脂環族エポキシ樹脂、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、炭素数が2〜9(好ましくは2〜4)のアルキレン基を含むポリオキシアルキレングリコールやポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ポリオールのポリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸、サリチル酸のグリシジルエーテル−グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂及びこれらの、トリグリシジルイソシアヌレート、環状アルキレン尿素のN,N’−ジグリシジル誘導体、p−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、m−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂及びこれらの水添化物、グリシジル(メタ)アクリレートと、エチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等のラジカル重合性モノマーとの共重合体、エポキシ化ポリブタジエン等の共役ジエン化合物を主体とする重合体又はその部分水添物の重合体における不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの、エポキシ化SBS等のような、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック又はその部分水添物の重合体ブロックとを同一分子内にもつブロック共重合体における、共役ジエン化合物の不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの、1分子当たり1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有するポリエステル樹脂、上記エポキシ樹脂の構造中にウレタン結合やポリカプロラクトン結合を導入した、ウレタン変成エポキシ樹脂やポリカプロラクトン変成エポキシ樹脂、上記エポキシ樹脂にNBR、CTBN、ポリブタジエン、アクリルゴム等のゴム成分を含有させたゴム変成エポキシ樹脂等が挙げられる。また、エポキシ樹脂以外に、少なくとも1つのオキシラン環を有する樹脂又はオリゴマーが添加されていてもよい。
【0068】
上記エポキシ樹脂の硬化反応に用いる硬化剤としては特に限定されず、従来公知のエポキシ樹脂用の硬化剤を用いることができ、例えば、アミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物等の化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、光潜在性カチオン重合開始剤、ジシアンアミド及びその誘導体等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0069】
上記アミン化合物としては特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン等の鎖状脂肪族アミン及びその誘導体;メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の環状脂肪族アミン及びその誘導体;m−キシレンジアミン、α−(m/pアミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等の芳香族アミン及びその誘導体等が挙げられる。
【0070】
上記アミン化合物から合成される化合物としては特に限定されず、例えば、上記アミン化合物と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジヒドロイソフタル酸、テトラヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等のカルボン酸化合物とから合成されるポリアミノアミド化合物及びその誘導体;上記アミン化合物と、ジアミノジフェニルメタンビスマレイミド等のマレイミド化合物とから合成されるポリアミノイミド化合物及びその誘導体;上記アミン化合物とケトン化合物とから合成されるケチミン化合物及びその誘導体;上記アミン化合物と、エポキシ化合物、尿素、チオ尿素、アルデヒド化合物、フェノール化合物、アクリル化合物等の化合物とから合成されるポリアミノ化合物及びその誘導体等が挙げられる。
【0071】
上記3級アミン化合物としては特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−1及びその誘導体等が挙げられる。
【0072】
上記イミダゾール化合物としては特に限定されず、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。
【0073】
上記ヒドラジド化合物としては特に限定されず、例えば、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド及びその誘導体等が挙げられる。
【0074】
上記メラミン化合物としては特に限定されず、例えば、2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジン及びその誘導体等が挙げられる。
【0075】
上記酸無水物としては特に限定されず、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ポリドデカン二酸無水物、クロレンド酸無水物及びその誘導体等が挙げられる。
【0076】
上記フェノール化合物としては特に限定されず、例えば、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール及びその誘導体等が挙げられる。
【0077】
上記熱潜在性カチオン重合触媒としては特に限定されず、例えば、6フッ化アンチモン、6フッ化リン、4フッ化ホウ素等を対アニオンとした、ベンジルスルホニウム塩、ベンジルアンモニウム塩、ベンジルピリジニウム塩、ベンジルホスホニウム塩等のイオン性熱潜在性カチオン重合触媒;N−ベンジルフタルイミド、芳香族スルホン酸エステル等の非イオン性熱潜在性カチオン重合触媒が挙げられる。
【0078】
上記光潜在性カチオン重合開始剤としては特に限定されず、例えば、6フッ化アンチモン、6フッ化リン、4フッ化ホウ素等を対アニオンとした、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩及び芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩類、並びに、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体及びアリールシラノール−アルミニウム錯体等の有機金属錯体類等のイオン性光潜在性カチオン重合開始剤;ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナート等の非イオン性光潜在性カチオン重合開始剤が挙げられる。
【0079】
上記熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば、上記ポリフェニレンエーテル樹脂をグリシジル基、イソシアネート基、アミノ基等の熱硬化性を有する官能基で変性した樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0080】
上記熱硬化性ポリイミド樹脂としては、分子主鎖中にイミド結合を有する樹脂であり、具体的には、例えば、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸との縮合重合体、芳香族ジアミンとビスマレイミドとの付加重合体であるビスマレイミド樹脂、アミノ安息香酸ヒドラジドとビスマレイミドとの付加重合体であるポリアミノビスマレイミド樹脂、ジシアネート化合物とビスマレイミド樹脂とからなるビスマレイミドトリアジン樹脂等が挙げられる。なかでもビスマレイミドトリアジン樹脂が好適に用いられる。これらの熱硬化性ポリイミド樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0081】
上記ケイ素樹脂としては、分子鎖中にケイ素−ケイ素結合、ケイ素−炭素結合、シロキサン結合又はケイ素−窒素結合を含むものであり、具体的には、例えば、ポリシロキサン、ポリカルボシラン、ポリシラザン等が挙げられる。
【0082】
上記ベンゾオキサジン樹脂としては、例えば、ベンゾオキサジンモノマーのオキサジン環の開環重合によって得られるものが挙げられる。また、上記ベンゾオキサジンモノマーとしては特に限定されず、例えば、オキサジン環の窒素にフェニル基、メチル基、シクロヘキシル基等の官能基が結合したもの等が挙げられる。
【0083】
上記ユリア樹脂としては、例えば、尿素とホルムアルデヒドとの付加縮合反応で得られる熱硬化性樹脂が挙げられる。上記ユリア樹脂の硬化反応に用いられる硬化剤としては特に限定されず、例えば、無機酸、有機酸、酸性硫酸ナトリウムのような酸性塩からなる顕在性硬化剤;カルボン酸エステル、酸無水物、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の塩類のような潜在性硬化剤が挙げられる。なかでも、貯蔵寿命等から潜在性硬化剤が好ましい。
【0084】
上記アリル樹脂としては、例えば、ジアリルフタレートモノマーの重合及び硬化反応によって得られるものが挙げられる。上記ジアリルフタレートモノマーとしては、例えば、オルソ体、イソ体、テレ体が挙げられる。硬化反応の触媒としては特に限定されないが、例えば、t−ブチルパーベンゾエートとジ−t−ブチルパーオキシドとの併用が好適である。
【0085】
本発明の低誘電材料において、上記絶縁性樹脂のガラス転移温度の好ましい下限は100℃であり、かつ、1MHzでの誘電率の好ましい上限が4.5である。ガラス転移温度の下限が100℃であり、かつ、1MHzでの誘電率の上限が4.5であると、本発明の低誘電材料は、高温物性、特に、鉛フリーハンダ耐熱性や加熱に対する寸法安定性が改善され、電子材料として必要な高い信頼性を得ることができ、かつ、高周波領域における信号の伝達速度においても、電子材料として必要な伝達速度が得られる。ガラス転移温度のより好ましい下限は140℃、更に好ましい下限は200℃である。1MHzの誘電率のより好ましい上限は4.0であり、更に好ましい上限は3.6である。
【0086】
また、上記絶縁性樹脂は、窒素雰囲気中での熱重量測定を行った場合に、10%重量減少温度の好ましい下限は400℃である。下限が400℃であることにより、本発明の低誘電材料は、鉛フリーハンダのリフロー工程等の高温処理工程において、アウトガスを発生することがなく、電子材料として好適なものとなる。より好ましい下限は450℃であり、更に好ましい下限は500℃である。
上記窒素雰囲気中での熱重量測定における10%重量減少温度の下限が400℃である樹脂としては、例えば、熱硬化性ポリイミド樹脂、液晶樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリオキサジアゾール樹脂、ポリカーボネイト樹脂等が挙げられる。
【0087】
本発明の低誘電材料は、機械的強度、力学物性、低吸水性及び線膨張率等の高温物性を更に改良するために無機化合物を含有してもよい。
【0088】
上記無機化合物としては、例えば、層状珪酸塩、タルク、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ等が挙げられ、なかでも、高温物性を向上させるためには層状珪酸塩が好適に用いられる。なお、本明細書において、層状珪酸塩とは、層間に交換性金属カチオンを有する層状の珪酸塩鉱物を意味し、天然物であってもよく、合成物であってもよい。
【0089】
また、特に高い引張弾性率が必要な場合には、無機化合物として層状珪酸塩及びウィスカを含有することが好ましい。なお、樹脂にウィスカを配合すると弾性率が向上することは知られているが、高い引張弾性率を達成できるほどにウィスカを配合した樹脂組成物は成形性が悪くなるという問題があった。しかしながら、本発明の低誘電材料では、無機化合物として層状珪酸塩とウィスカとを併用することにより、少量のウィスカの配合でも充分な弾性率の向上が得られる。
【0090】
上記層状珪酸塩としては、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、スティブンサイト及びノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、膨潤性マイカ、バーミキュライト、ハロイサイト等が挙げられる。なかでも、モンモリロナイト、ヘクトライト、膨潤性マイカ、及び、バーミキュライトからなる群より選択される少なくとも1種が好適に用いられる。これらの層状珪酸塩は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0091】
また、本発明の低誘電材料は、本発明の課題達成を阻害しない範囲で特性を改質することを目的に、必要に応じて、熱可塑性エラストマー類、架橋ゴム、オリゴマー類、造核類、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃助剤、帯電防止剤、防曇剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、着色剤等の添加剤が配合されてもよい。これらはそれぞれ単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0092】
上記熱可塑性エラストマー類としては特に限定されず、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。樹脂との相溶性を高めるために、これらの熱可塑性エラストマーを官能基変性したものであってもよい。これらの熱可塑性エラストマー類は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0093】
上記架橋ゴムとしては特に限定されず、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。樹脂との相溶性を高めるために、これらの架橋ゴムを官能基変性したものであってもよい。
上記官能基変性した架橋ゴムとしては特に限定されず、例えば、エポキシ変性ブタジエンゴムやエポキシ変性ニトリルゴム等が挙げられる。これらの架橋ゴムは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0094】
上記オリゴマー類としては特に限定されず、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレンオリゴマー等が挙げられる。これらのオリゴマー類は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0095】
本発明の低誘電材料の吸水率としては特に限定されないが、好ましい上限は2.0wt%である。2.0wt%を超えると、本発明の低誘電材料の使用条件下において、中空微粒子内部に徐々に吸水し、低誘電率の気体が高誘電率の水に置き換わることで本発明の低誘電材料の誘電率が高くなることがある。より好ましい上限は1.0wt%、更に好ましい上限は0.5wt%である。
なお、本明細書において、上記吸水率は、厚さ50〜100μmにフィルム化した本発明の低誘電材料を、3×5cmの短冊状にした試験片について、150℃で5時間乾燥させたときの重さWと、100℃の沸騰水中に1時間放置した後に表面をよくふき取ったときの重さWを測定し、下記式(1)により求めた値である。
【0096】
吸水率(%)=(W−W)/W×100 (1)
【0097】
このような吸水率を有する本発明の低誘電材料は、例えば、上述した中空微粒子の表面を疎水化することが好適に実現することができる。
【0098】
また、本発明の低誘電材料の誘電率としては特に限定されないが、1MHz及び1GHzのいずれにおいてもともに3以下であることが好ましい。このような誘電率を有することで、信号の高速化を容易に達成することができる。より好ましい上限は2.0である。
【0099】
また、本発明の低誘電材料の誘電正接としては特に限定はされないが、1MHz及び1GHzのいずれにおいてもともに好ましい上限は0.1である。このような誘電正接を有することで、信号の高速化を容易に達成することができる。より好ましい上限は0.05、更に好ましい上限は0.01である。
【0100】
また、本発明の低誘電材料の半田耐熱性としては特に限定されないが、260℃半田浴上におけるふくれ発生までの時間が100秒以上であることが好ましい。このような半田耐熱性を有することにより半田工程時における本発明の低誘電材料の反りやふくれを防止することができ、更により高温の半田温度が必要となる鉛フリー半田工程へ好適に対応することができる。より好ましくは、270℃、100秒以上である。
【0101】
本発明の低誘電材料を製造する方法としては特に限定されず、例えば、マトリックスを構成する上記絶縁性樹脂と上記中空微粒子と必要に応じて配合される1種又は2種以上の添加剤の各所定量とを、常温下又は加熱下で、直接配合して混練する直接混練法、及び、溶剤中で混合した後、溶媒を除去する方法;予めマトリックスを構成する絶縁性樹脂又はそれ以外の樹脂に所定量の中空微粒子を配合して混練したマスターバッチを作製しておき、このマスターバッチ、絶縁性樹脂の残部、及び、必要に応じて配合される1種又は2種以上の添加剤の各所定量を、常温下又は加熱下で、混練又は溶媒中で混合するマスターバッチ法等が挙げられる。
【0102】
上記マスターバッチ法において、マトリックスを構成する絶縁性樹脂又はマトリックスを構成する絶縁性樹脂以外の樹脂に中空微粒子を配合したマスターバッチと、マスターバッチを希釈して所定の中空微粒子濃度とする際に用いるマトリックスを構成する絶縁性樹脂を含有するマスターバッチ希釈用樹脂組成は同一の組成であっても、異なる組成であってもよい。
【0103】
上記低誘電材料を製造する方法における混練物を混練する方法としては特に限定されず、例えば、押出機、2本ロール、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練する方法等が挙げられる。
【0104】
このようにして調製した本発明の低誘電材料を適当な溶媒に溶解したり、シート状に成形したりすることにより、上記中空微粒子を含む低誘電板を製造することができる。このような本発明の低誘電材料からなる低誘電板もまた、本発明の1つである。
【0105】
本発明の低誘電板の形態としては特に限定されず、例えば、プリント配線板の基板として用いられる板状のほか、TAB(Tape Automated Bonding)テープのようなテープ状、接着シートのようなシート状等任意の形態が挙げられる。
【0106】
本発明の低誘電板の成形方法としては特に限定されず、例えば、本発明の低誘電材料を押出機にて、溶融混練した後に押出し、Tダイやサーキュラーダイ等を用いてシート状に成形する押出成形法、本発明の低誘電材料を有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させた後、キャスティングしてシート状に成形するキャスティング成形法、本発明の低誘電材料を有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散して得たワニス中に、ガラス等の無機材料や有機ポリマーからなるクロス状又は不織布状の基材をディッピングしてシート状に成形するディッピング成形法等が挙げられる。なかでも、本発明の低誘電板を用いて積層体を作製する場合において、作製する積層体の薄型化を図るためには、押出成形法やキャスティング成形法が好適である。
【0107】
上記ディッピング成形法において用いる基材としては特に限定されず、例えば、Hガラス、NEガラス、Dガラス等のガラスクロスやアラミド不織布、LPC不織布等の各種不織布やフィルム材、セラミック基板、ガラス基板、エポキシ等の汎用樹脂板等挙げられる。なかでも、各種不織布が好適に用いられる。
【0108】
上記含浸又は塗布後の乾燥条件としては特に限定されず、樹脂種や厚みにより異なるが、乾燥膜厚50μmの本発明の低誘電板を製造する場合には、80〜180℃で3〜90分程度乾燥することが好ましい。
【0109】
上記乾燥後の本発明の低誘電板の厚みとしては特に限定されず、本発明の低誘電板の使用目的、方法等に合わせて適宜決定され、例えば、本発明の低誘電板を用いてプリント配線板を製造する場合、所望の配線パターンサイズや直流抵抗により異なるが、50〜300μmが好ましい。
【0110】
また、本発明の低誘電板を金属箔と積層形成することで低誘電基板を得ることができる。このような本発明の低誘電板と金属箔とが積層されている低誘電基板もまた、本発明の1つである。
【0111】
上記金属箔としては特に限定はされないが、金、銀、銅、アルミニウム等導電率の良好な物の中から任意に選択できる。
上記金属箔は、本発明の低誘電板との密着性を高くする場合には表面凹凸の大きなものを、高周波特性を一層向上する場合には平滑な表面を有するものを用いることが好ましい。
【0112】
本発明の低誘電基板の形成方法としては特に限定はされないが、本発明の低誘電板と金属箔を圧着しながら加熱するプレス加工が好ましい。
【0113】
上記プレス加工条件は特に限定されないが、100〜250℃、1.0〜5.0MPa条件で1〜3時間行うことが好ましい。
【0114】
上記金属箔をパターニングすることで導体配線が形成される。
また、上記パターニング後の低誘電基板に、更に低誘電板と金属箔とを重ね合わせることで多層プリント配線基板を得ることができる。
【発明の効果】
【0115】
本発明の低誘電材料は、力学的物性、寸法安定性及び耐熱性に優れ、特に高温物性に優れる中空微粒子が絶縁性樹脂に均一に分散しているため、該絶縁性樹脂中に低誘電率の気体が均一かつ安定的に存在させることができる。従って、本発明の低誘電材料は、低誘電率を有するとともに、力学的物性、寸法安定性及び耐熱性に優れ、特に高温物性に優れたものとなり、プリント配線板、特に、近年の高周波数のプリント配線板や多層プリント配線板の製造に好適に用いることができる。
本発明によると、誘電率が低く、力学的物性、寸法安定性及び耐熱性に優れ、特に高温物性に優れる低誘電材料、低誘電板、及び、低誘電基板を提供することができる。
【実施例】
【0116】
以下、本発明の実施例について説明するが、下記の例に限定されるものではない。
【0117】
(中空微粒子(A)の作製)
エポキシ骨格成分としてエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)50重量部と非重合性有機溶剤としてトルエン50重量部を混合・攪拌した混合溶液の全量を、アミン成分としてジエチレントリアミン15重量部、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部に添加し、超音波ホモジナイザーにて60分間強制乳化して、平均粒子径180nmの重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0118】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内の脱酸素を行った後、窒素置換して内部を窒素雰囲気とした後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合し、その後1時間の熟成期間をおいた後、重合器を室温まで冷却した。
【0119】
得られたスラリーを脱水装置により脱水した後、真空乾燥し、単孔性のエポキシ骨格を有する中空粒子(A)を得た。
【0120】
(中空微粒子(B)の作製)
エポキシ成分としてエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)50重量部と非重合性有機溶剤としてトルエン50重量部を混合・攪拌した混合溶液の全量を、アミン成分としてジエチレントリアミン10重量部、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部に添加し、超音波ホモジナイザーにて60分間強制乳化して、平均粒径320nmの重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0121】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内の脱酸素を行った後、窒素置換して内部を窒素雰囲気とした後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合し、無機架橋のためのアミン成分としてN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランを5重量部加え更に4時間重合した。その後1時間の熟成期間をおいた後、重合器を室温まで冷却した。
【0122】
得られたスラリーを脱水装置により脱水した後、真空乾燥し、単孔性の有機/無機ハイブリッド骨格を有する中空粒子(B)を得た。
【0123】
(中空微粒子(C)の作製)
エポキシ骨格成分としてエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)50重量部と非重合性有機溶剤としてトルエン50重量部を混合・攪拌した混合溶液の全量を、アミン成分としてジエチレントリアミン15重量部、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部に添加し、超音波ホモジナイザーにて60分間強制乳化して、平均粒子径220nmの重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0124】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内の脱酸素を行った後、窒素置換して内部を窒素雰囲気とした後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合し、その後1時間の熟成期間をおいた後、重合器を室温まで冷却した。
【0125】
得られたスラリーを脱水装置により脱水した後、メチルエチルケトン390重量部に添加し中空樹脂粒子のメチルエチルケトン分散液を作製した。
【0126】
得られたメチルエチルケトン分散液中に、粒子表面疎水化剤としてドデシルグリシジルエーテル100重量部を添加し、80℃で4時間加熱し粒子の疎水化反応を行った。得られたスラリーを濾過装置により脱溶剤した後、真空乾燥し、単孔性の疎水化されたエポキシ骨格を有する中空微粒子(C)を得た。
【0127】
(中空微粒子(D)の作製)
疎水性エポキシ骨格成分としてジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP−7200(大日本インキ化学社製)50重量部と非重合性有機溶剤としてトルエン50重量部を混合・攪拌した混合溶液の全量を、アミン成分としてジエチレントリアミン15重量部、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部に添加し、超音波ホモジナイザーにて60分間強制乳化して、平均粒子径420nmの重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0128】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内の脱酸素を行った後、窒素置換して内部を窒素雰囲気とした後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合し、その後1時間の熟成期間をおいた後、重合器を室温まで冷却した。
【0129】
得られたスラリーを脱水装置により脱水した後、真空乾燥し、単孔性の疎水性エポキシ骨格を有する中空微粒子(D)を得た。
【0130】
(中空微粒子(E)の作製)
エポキシ骨格成分としてエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)30重量部と非重合性有機溶剤としてトルエン70重量部を混合・攪拌した混合溶液の全量を、アミン成分としてジエチレントリアミン10重量部、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部に添加し、超音波ホモジナイザーにて60分間強制乳化して、平均粒子径320nmの重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0131】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内の脱酸素を行った後、窒素置換して内部を窒素雰囲気とした後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合し、その後1時間の熟成期間をおいた後、重合器を室温まで冷却した。
【0132】
得られたスラリーを脱水装置により脱水した後、真空乾燥し、単孔性のエポキシ骨格を有する中空微粒子(E)を得た。
【0133】
(中空微粒子(F)の作製)
エポキシ骨格成分としてエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)50重量部と非重合性有機溶剤としてトルエン40重量部、ヘキサデカン10重量部を混合・攪拌した混合溶液の全量を、アミン成分としてジエチレントリアミン10重量部、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を含有するイオン交換水390重量部に添加し、超音波ホモジナイザーにて60分間強制乳化して、平均粒子径52nmの重合性液滴が分散した分散液を調製した。
【0134】
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内の脱酸素を行った後、窒素置換して内部を窒素雰囲気とした後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合し、その後1時間の熟成期間をおいた後、重合器を室温まで冷却した。
【0135】
得られたスラリーを脱水装置により脱水した後、真空乾燥し、単孔性のエポキシ骨格を有する中空微粒子(F)を得た。
【0136】
(中空微粒子(G))
熱可塑性の中空微粒子(G)として、架橋スチレン−アクリル中空粒子SX866(JSR社製)を用いた。
【0137】
中空微粒子(A)〜(G)について、それぞれの内部構造、平均粒子径、空隙率を下記に従って調べた。結果を表1に示した。
【0138】
(粒子形状の観察)
走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、「S−3500N」)にて粒子の形状を観察した。
【0139】
(粒子の内部構造の観察)
透過型電子顕微鏡(日本電子社製、「JEM―1200EX II」)にて粒子の透過像を観察して内部構造を調べた。
【0140】
(平均粒子径・CV値)
動的光散乱式粒度分布計(Particle Sizing Systems社製、「Nicomp 380ZLS−S」)にて体積平均粒径及びCV値を測定した。重合後のエマルジョンから任意に3ヶ所サンプリングし、3回測定して得られた平均値を用いた。
【0141】
(粒子中空度の測定)
透過型電子顕微鏡を用いて観察した粒子の外径D及び中空部内径Dを測定し、下記式(2)より算出した。透過型電子顕微鏡において任意の粒子500個を観察し、その平均値を用いた。
【0142】
中空度(%)=(D/D)×100 (2)
【0143】
(粒子のガラス転移温度の測定)
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、「DSC220C」)を用いて、窒素雰囲気200mL/min条件下、昇温速度10℃/minで昇温し、粒子のガラス転移温度を測定した。
【0144】
(粒子の線膨張係数の測定)
熱機械分析装置(セイコー電子社製、TMA/SS120C)を用いて、昇温速度5℃/minで昇温し、平均線膨張率の測定を行い、以下の項目について評価を行った。
粒子のガラス転移温度よりも10〜50℃低い温度での平均線膨張率(α)(℃−1
粒子のガラス転移温度よりも10〜50℃高い温度での平均線膨張率(α)(℃−1
平均線膨張率αをαで除した平均線膨張率比(α/α
【0145】
【表1】

【0146】
(実施例1)
マトリックスを構成する絶縁性樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:エピコート1001(ジャパンエポキシレジン社製)100重量部に、ジシアンアジド(アデカハードナーEH−3636、アデカ社製)3重量部、触媒として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成社製)0.2重量部及び溶媒としてエチルカルビトールを200重量部添加し、樹脂ワニスを作製した。
得られた樹脂ワニスに作製した中空微粒子(A)を100重量部配合し、このワニスをガラス繊維織布に含浸乾燥して樹脂量50重量%のプリプレグを得た。
更に、作製したプリプレグの両外側に銅箔(厚さ18μm)を重ね、温度170℃、圧力40kg/cmで60分間加熱加圧成形し、板厚200μmの低誘電基板を得た。
【0147】
(実施例2〜6)
実施例1における低誘電基板の作製において、中空微粒子(A)に代えて、それぞれ中空微粒子(B)〜(F)を用いた以外は、実施例1と同様にして低誘電基板を作製した。
【0148】
(比較例1)
実施例1における絶縁シートの作製において、中空微粒子(A)に代えて中空微粒子(G)を用いた以外は、実施例1と同様にして低誘電基板を作製した。
【0149】
実施例1〜6及び比較例1で作製した低誘電基板の評価を、以下の方法で行った。その結果を表2に示した。
【0150】
(吸水率の測定)
実施例1〜6及び比較例1で作製した低誘電基板を3×5cmの短冊状にして試験片を作製し、150℃で5時間乾燥させたときの重さWと、100℃の沸騰水中に1時間放置した後に表面をよくふき取ったときの重さWを測定し、下記式(1)により各試験片の吸水率を求めた。
【0151】
吸水率(%)=(W−W)/W×100 (1)
【0152】
(誘電率及び誘電正接の測定)
実施例1〜6及び比較例1で作製した低誘電基板をインピーダンス測定器(ヒューレットパッカード社製「HP4291B」)を用いて周波数1MHz及び1GHz付近における誘電率及び誘電正接を測定した。
【0153】
(半田耐熱性)
実施例1〜6及び比較例1で作製した低誘電基板を260℃の半田浴上に100秒浮かべ目視にて基板のふくれ、反りの有無を下記の判断基準にて判定した。
○:ふくれ、反り無く良好
△:ふくれ、反りやや有るも概ね良好
×:ふくれ、反り有り問題あり
【0154】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明によれば、低誘電率を有するとともに、力学的物性、寸法安定性及び耐熱性に優れ、特に高温物性に優れる低誘電材料、低誘電板、及び、低誘電基板を提供することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
単孔構造を有する中空微粒子が絶縁性樹脂中に分散された低誘電材料であって、
前記中空微粒子は、エポキシ樹脂からなる中空エポキシ樹脂微粒子、並びに/又は、有機骨格及び無機骨格を有する中空有機・無機ハイブリッド微粒子である
ことを特徴とする低誘電材料。
【請求項2】
中空微粒子の表面が疎水性を有することを特徴とする請求項1記載の低誘電材料。
【請求項3】
中空微粒子の空隙率が30%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の低誘電材料。
【請求項4】
誘電率が3以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の低誘電材料。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載の低誘電材料からなることを特徴とする低誘電板。
【請求項6】
請求項5記載の低誘電板と金属箔とが積層されていることを特徴とする低誘電基板。


【公開番号】特開2007−48615(P2007−48615A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232266(P2005−232266)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】