作像装置の調整器具
【課題】工場での製造工程において作像装置の現像ギャップを調整する場合等に、作像装置の重量によって現像ギャップが高精度に調整できないという不具合が生じることのない、作像装置の調整器具を提供する。
【解決手段】複数の現像ローラを内包する現像ケース23rと、現像ギャップを調整できるように複数の現像ローラが保持されるとともに現像ケース23rと像担持体とが保持される保持部材80と、が具備されている作像装置20の現像ギャップを調整する調整器具100には、作像装置20の保持部材80を吊持する吊持部130a、130bと、作像装置20の現像ケース23rを所定方向にスライド可能に支持する支持部材120と、が設置されている。
【解決手段】複数の現像ローラを内包する現像ケース23rと、現像ギャップを調整できるように複数の現像ローラが保持されるとともに現像ケース23rと像担持体とが保持される保持部材80と、が具備されている作像装置20の現像ギャップを調整する調整器具100には、作像装置20の保持部材80を吊持する吊持部130a、130bと、作像装置20の現像ケース23rを所定方向にスライド可能に支持する支持部材120と、が設置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置に設置される作像装置を画像形成装置から取り出した状態で調整するための作像装置の調整器具に関し、特に、工場での製造工程において作像装置を組み付ける際に用いられる作像装置の調整器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、良好な画質の画像を安定的に出力することを目的として、作像装置における現像ローラと像担持体(感光体ドラム)とのギャップ(現像ギャップ)を製造工程にて高精度に調整する技術が知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
一方、特許文献2等には、2つの現像ローラが設置された作像装置(画像形成装置)において、現像装置の重量によって2つの現像ローラと像担持体(感光体)との間の現像ギャップが変化しないように、現像装置の下方に弾性材からなる支持部材を設置する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、工場での製造工程において作像装置の現像ギャップを調整する場合に、作像装置の重量によって現像ギャップが高精度に調整できないという不具合が生じていた。特に、複数の現像ローラが設置された作像装置や高速機用の大型の作像装置等では、このような不具合が顕著になっていた。
詳しくは、複数の現像ローラや搬送部材等を保持する現像ケースの重量は、主基準(又は、従基準)となる現像ローラの軸部にかかってくる。そして、現像装置の重心における鉛直方向の力は、モーメント力により各現像ローラの軸部に対して負荷を与える。この負荷により、現像ローラの軸部のたわみが発生する不具合や、2つの現像ローラの位置調整をおこなう場合に狙いの位置に対して上方の現像ローラについては現像ギャップが広がる方向にズレが生じて下方の現像ローラについては現像ギャップが狭くなる方向にズレが生じて双方の現像ギャップの偏差が大きくなるという不具合が生じていた。したがって、作像装置の製造工程において、微小な現像ギャップを高精度に小さな偏差で調整する作業が難しくなっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、工場での製造工程において作像装置の現像ギャップを調整する場合等に、作像装置の重量によって現像ギャップが高精度に調整できないという不具合が生じることのない、作像装置の調整器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の請求項1記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、像担持体と、前記像担持体に対向して前記像担持体上に形成される潜像を現像する複数の現像ローラと、を具備することになる作像装置の一部又は全部が設置されるとともに、前記像担持体と前記現像ローラとのギャップを調整するための作像装置の調整器具であって、前記作像装置は、前記複数の現像ローラを内包する現像ケースと、前記ギャップを調整できるように前記複数の現像ローラが保持されるとともに、前記現像ケースと前記像担持体とが保持される保持部材と、を具備し、前記作像装置の前記保持部材を吊持する吊持部と、前記作像装置の前記現像ケースを所定方向にスライド可能に支持する支持部材と、を備えたものである。
【0007】
また、請求項2記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1に記載の発明において、前記複数の現像ローラは、2つの現像ローラであって、前記2つの現像ローラ及び前記像担持体の回転軸に直交する平面でみたときに、前記2つの現像ローラの回転中心同士を結ぶ仮想線分の中点と前記支持部材の支持面の中心とを通る仮想直線が、前記支持部材上を前記現像ケースがスライドする前記所定方向に引かれた仮想直線に対してなす角度が45±15度になるように形成されたものである。
【0008】
また、請求項3記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記支持部材上を前記現像ケースがスライドする前記所定方向が水平方向になるように形成されたものである。
【0009】
また、請求項4記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記支持部材は、その支持面が低摩擦材料で形成されたものである。
【0010】
また、請求項5記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記支持部材は、前記現像ケースに接触するコロ部材を具備したものである。
【0011】
また、請求項6記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記支持部材と前記作像装置の前記現像ケースとの摺動抵抗が低くなるように形成されたものである。
【0012】
また、請求項7記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記支持部材は、前記複数の現像ローラ及び前記像担持体の回転軸方向に対応する前記現像ケースの幅方向の端部に接触するように配設されたものである。
【0013】
また、請求項8記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発明において、前記支持部材は、前記現像ケースに対して接離可能に構成されたものである。
【0014】
また、請求項9記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1〜請求項8のいずれかに記載の発明において、前記作像装置の前記保持部材を、前記複数の現像ローラ及び前記像担持体の回転軸方向端部と、前記現像ケースの幅方向端部と、を保持する面板としたものである。
【0015】
また、請求項10記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記作像装置の前記現像ケースは、前記像担持体と前記現像ローラとの前記ギャップが調整された後に前記保持部材に固定保持されるものである。
【0016】
なお、本願において、「作像装置」とは、少なくとも、像担持体と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像部(現像装置)と、を具備した装置(必ずしも、それらが一体化されていて画像形成装置本体に対して着脱自在に設置されるユニットである必要はない。)であるもの定義する。したがって、「作像装置」としては、像担持体を帯電する帯電部と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像部(現像装置)と、像担持体上をクリーニングするクリーニング部とのうち、少なくとも1つと、像担持体とが、一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱自在に設置される「プロセスカートリッジ」も含まれることになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、作像装置の調整器具に、作像装置の現像ケースを所定方向にスライド可能に支持する支持部材を設けている。これにより、工場での製造工程において作像装置の現像ギャップを調整する場合等に、作像装置の重量によって現像ギャップが高精度に調整できないという不具合が生じることのない、作像装置の調整器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の画像形成装置に設置されたプロセスカートリッジを示す拡大図である。
【図3】現像装置を示す拡大図である。
【図4】この発明の実施の形態における調整器具に作像装置が設置される状態を示す斜視図である。
【図5】図4の調整器具に作像装置が設置された状態を示す斜視図である。
【図6】調整器具に作像装置が設置された状態を示す正面図である。
【図7】調整器具に設置された作像装置の現像ギャップを測定する状態を示す正面図である。
【図8】調整器具の支持部材の位置が最適化されていない状態を示す正面図である。
【図9】別の形態の調整器具及び作像装置を示す正面図である。
【図10】別の形態の調整器具の支持部材を示す図である。
【図11】さらに別の形態の調整器具及び作像装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0020】
まず、図1にて、実施の形態における調整器具(調整装置)にて調整される作像装置が設置される画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
書込み部2A〜2Dは、画像情報に基いて帯電工程後の感光体ドラム21(像担持体)に静電潜像を書き込むための装置である。書込み部2A〜2Dは、ポリゴンミラー3A〜3Dや光学素子4A〜4D等を用いた光走査装置である。なお、書込み部として、光走査装置の替わりにLEDアレイを用いることもできる。
給紙部61は、記録紙、OHP等の記録媒体Pを格納して、画像形成時には記録媒体Pを転写ベルト30に向けて給送する。
【0021】
転写ベルト30は、記録媒体Pをその表面に静電的に吸着させて搬送して感光体ドラム21上に形成されたトナー像を記録媒体P上に転写するための無端状ベルトであって、その外周面上に吸着ローラ64とベルトクリーナ65とを設けている。
転写ベルト30を介して感光体ドラム21に対向する転写ローラ24は、芯金と芯金を被覆する導電性弾性層とを有する。転写ローラ24の導電性弾性層は、ポリウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)等の弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ等の導電性付与剤を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を中抵抗に調整した弾性体である。
【0022】
定着部66は、加熱ローラ68および加圧ローラ67を有し、記録媒体P上のトナー像を圧力と熱とによって記録媒体Pに定着させる。
転写ベルト30に沿って縦方向に配設された4つのプロセスカートリッジ20Y、20C、20M、20BK(作像装置)は、それぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのトナー像を形成するためのものである。
【0023】
各プロセスカートリッジ20Y、20C、20M、20BK上には、キャリア(磁性キャリア)と各色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のトナー(トナー粒子)とを現像装置23に供給する剤カートリッジ28Y、28C、28M、28BKが設置されている。
プロセスカートリッジ20Y、20C、20M、20BK、及び、剤カートリッジ28Y、28C、28M、28BKは、転写ベルト30を回転支軸を中心に開放して装置本体1から着脱することができる。
【0024】
本実施の形態における画像形成装置は、複写機及びプリンタとして機能する複合型の画像形成装置である。複写機として機能する場合には、スキャナから読み込まれた画像情報に対してA/D変換、MTF補正、階調処理等の種々の画像処理が施されて書込みデータに変換される。プリンタとして機能する場合には、コンピュータ等から送信されるページ記述言語やビットマップ等の形式の画像情報に対して画像処理が施されて書込みデータに変換される。
【0025】
画像形成時には、書込み部2A〜2Dから作像装置としてのプロセスカートリッジ20BK、20M、20C、20Yに対して、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの画像情報に応じた露光光がそれぞれ照射される。すなわち、各光源から発せられた露光光(レーザ光)がポリゴンミラー3A〜3D、光学素子4A〜4D等を通過して、各感光体ドラム21上に照射される。これによって、各プロセスカートリッジ20BK、20M、20C、20Yの感光体ドラム21(像担持体)上に、露光光に応じたトナー像が形成される。そして、このトナー像が、記録媒体Pに転写されることになる。
【0026】
給紙部61から給送された記録媒体Pは、レジストローラ63の位置で一旦タイミングを合わせて、転写ベルト30の位置に搬送される。転写ベルト30の送入位置に配設された吸着ローラ64は、電圧の印加によって送入された記録媒体Pを転写ベルト30に吸着させる。転写ベルト30の矢印方向の走行にともない移動する記録媒体Pは、各プロセスカートリッジ20Y、20C、20M、20BKの位置を順次通過して各色のトナー像が重ねて転写される。
【0027】
カラーのトナー像が転写された記録媒体Pは、転写ベルト30から分離して定着部66に達する。記録媒体P上のトナー像は、加熱ローラ68及び加圧ローラ67に挟まれつつ加熱されることで記録媒体P上に定着される。一方、記録媒体Pが分離した後の転写ベルト30表面は、その後にベルトクリーナ65の位置に達して、その表面に付着したトナー等の汚れがクリーニングされる。
【0028】
次に、画像形成装置におけるプロセスカートリッジ及び剤カートリッジについて詳述する。
なお、作像装置としての4つのプロセスカートリッジ20Y、20C、20M、20BKはそれぞれほぼ同一構造であって、それぞれの剤カートリッジ28Y、28C、28M、28BKもほぼ同一構造であるために、図2等にてプロセスカートリッジ及び剤カートリッジは符号のアルファベット(Y、C、M、BK)を除して図示する。また、書込み部は符号のアルファベット(A〜D)を除して図示する。
【0029】
図2は、画像形成装置本体1に設置されたプロセスカートリッジ20及び剤カートリッジ28を示す拡大図である。図3は、プロセスカートリッジ20に設置された現像装置23を示す拡大図である。
【0030】
図2に示すように、プロセスカートリッジ20は、像担持体としての感光体ドラム21、帯電部22、現像装置23(現像部)、クリーニング部25が一体化されたものであって、プレミックス現像方式(キャリアの補給・排出を適宜におこなう現像方式である。)が採用されている。
像担持体としての感光体ドラム21は、略円筒体の概観を有する負帯電の有機感光体であって、不図示の回転駆動機構によって反時計方向に回転駆動される。
【0031】
帯電部22は、芯金上に、ウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成した弾性を有する帯電ローラである。帯電部22の中抵抗層の材質としては、ウレタン、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものを用いることもできる。
クリーニング部25は、感光体ドラム21に摺接するクリーニングブラシ(又は、クリーニングブレード)が設置されていて、感光体ドラム21上の未転写トナーを機械的に除去・回収する。
【0032】
現像装置23は、2つの現像ローラ23a1、23a2(現像剤担持体)が感光体ドラム21に近接するように配置されていて、双方の対向部分には感光体ドラム21と磁気ブラシとが接触する現像領域が形成される。現像装置23内には、トナーTとキャリアCとからなる現像剤G(2成分現像剤)が収容されている。そして、現像装置23は、感光体ドラム21上に形成される静電潜像を現像する(トナー像を形成する。)。なお、現像装置23の構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0033】
ここで、本実施の形態における現像装置23は、プレミックス現像方式のものであって、現像装置23内に適宜に新品のキャリアC(現像剤G)が剤カートリッジ28から供給されるとともに、劣化した現像剤Gが現像装置23の外部に設置された剤貯留容器70に向けて排出される。
図2を参照して、剤カートリッジ28は、その内部に現像装置23内に供給するための現像剤G(トナーT及びキャリアC)を収容している。そして、剤カートリッジ28は、現像装置23に新品のトナーTを供給するトナーカートリッジとして機能するとともに、現像装置23に新品のキャリアCを供給する供給手段として機能する。具体的に、現像装置23に設置された磁気センサ(不図示である。)によって検知されるトナー濃度(現像剤G中のトナーの割合である。)の情報に基いて、シャッタ機構80の開閉動作をおこなって、剤カートリッジ28から現像装置23内に向けて現像剤Gを適宜に供給する。
供給管29は、剤カートリッジ28から供給される現像剤G(トナーT及びキャリアC)を現像装置23内に確実に導くためのものである。すなわち、剤カートリッジ28から排出された現像剤Gは、供給管29を介して、現像装置23内に供給される。
【0034】
次に、感光体ドラム21上でおこなわれる作像プロセスについて説明する。
図2を参照して、感光体ドラム21が反時計方向に回転駆動されると、まず、帯電部22の位置で感光体ドラム21の表面が一様に帯電される。その後、帯電された感光体ドラム21表面は、露光光Lの照射位置に達して、書込み部2による露光工程がおこなわれる。すなわち、露光光Lの照射によって感光体ドラム21上を画像情報に応じて選択的に除電することで、照射されなかった非画像部の電位との差(電位コントラスト)を発生させて静電潜像を形成する。なお、この露光工程は、感光体ドラム21の感光層中で電荷発生物質が光を受けて電荷を発生して、このうち正孔が感光体ドラム21表面の帯電電荷と打ち消しあうものである。
【0035】
その後、潜像が形成された感光体ドラム21表面は、現像装置23との対向位置に達する。感光体ドラム21上の静電潜像は、現像ローラ23a1、23a2上の磁気ブラシと接触して、磁気ブラシ中の負帯電されたトナーTが付着されて可視化される。
詳しくは、上方の現像ローラ23a1の磁極による磁力で汲み上げられた現像剤Gは、ドクターブレード23c(現像剤規制部材)によって適量化された後に、感光体ドラム21との対向部である現像領域(2つの現像ローラ23a1、23a2と感光体ドラム21との対向領域である。)に搬送される。現像領域において穂立ちされたキャリアCが感光体ドラム21を摺擦する。このとき、キャリアCに混合されているトナーTは、キャリアCとの摩擦によって負帯電されている。これに対して、キャリアCは正帯電されている。不図示の電源部から現像ローラ23a1、23a2に対して、所定の現像バイアスが印加される。これによって、現像ローラ23a1、23a2と感光体ドラム21との間(図3に示す現像ギャップPG1、PG2である。)に電界が形成されて、負帯電されたトナーTが電界によって感光体ドラム21上の画像部にのみ選択的に付着してトナー像を形成する。
【0036】
その後、トナー像が形成された感光体ドラム21表面は、転写ベルト30及び転写ローラ24との対向位置に達する。そして、このタイミングに合わせてその対向位置に搬送された記録媒体P上に、感光体ドラム21上のトナー像が転写される。このとき、転写ローラ24には、所定の電圧が印加されている。
その後、トナー像が転写された記録媒体Pは、定着部66を通過して、排出ローラ69から装置外部に排出される。
【0037】
一方、転写工程時に記録媒体Pに転写されずに感光体ドラム21上に残留したトナーT(未転写トナー)は、感光体ドラム21上に付着したままクリーニング部25との対向部に達する。そして、感光体ドラム21上の未転写トナーは、クリーニング部25で除去・回収される。
その後、感光体ドラム21表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム21における一連の作像プロセスが終了する。
【0038】
以下、現像装置23の構成・動作について詳述する。
図3を参照して、現像装置23は、現像ローラ23a1、23a2、搬送スクリュ23b1〜23b3(オーガスクリュ)、ドクターブレード23c、キャリア捕集ローラ23k、スクレーパ23m、排出スクリュ23n、現像ケース23r(ケース部材)、等で構成されている。また、現像装置23内には、現像剤Gを搬送して循環経路を形成する3つの現像剤搬送部B1〜B3が形成されている。
【0039】
現像ローラ23a1、23a2は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂等の非磁性体を円筒形に形成してなるスリーブが不図示の回転駆動機構によって時計方向に回転されるように構成されている。現像ローラ23a1、23a2のスリーブ内には、スリーブの周面に現像剤Gの穂立ちを生じるように磁界を形成するマグネットが固設されている。マグネットから発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤G中のキャリアCがスリーブ上にチェーン状に穂立ちする。このチェーン状に穂立ちしたキャリアCに帯電したトナーTが付着されて、磁気ブラシが形成される。磁気ブラシは、スリーブの回転によってスリーブと同方向(時計方向)に移送される。
【0040】
ここで、現像ローラ23a1、23a2と感光体ドラム21とのギャップ(現像ギャップ)PG1、PG2は、感光体ドラム21上に形成される画像の品質を決定する重要な特性の1つであって、後に詳しく説明するように、製造工程にて調整器具100(図4等を参照できる。)によって調整・検査されるものである。
なお、2つの現像ローラ23a1、23a2は、現像ギャップPG1、PG2をそれぞれ調整できるように、保持部材としての面板80(図4等を参照できる。)によって保持されている。
具体的に、図4等を参照して、プロセスカートリッジ20(作像装置)における保持部材としての面板80は、プロセスカートリッジ20の幅方向(感光体ドラム21や現像ローラ23a1、23a2の回転軸方向に対応する方向であって、図3の紙面垂直方向である。)の両端部にそれぞれ設置されていて、感光体ドラム21や現像ローラ23a1、23a2の回転軸方向端部や、現像ケースの幅方向端部と、を保持する。感光体ドラム21の軸部は、面板80上に固定された軸受部81を介して面板80に回転自在に保持される。現像ローラ23a1、23a2の軸部は、面板80上において所定方向(図7の両矢印方向であって、現像ギャップPG1、PG2が可変する方向である。)に移動可能に設置された軸受90a、90bを介して面板80上に回転自在に保持される。すなわち、製造工程(組み立て工程)において、プロセスカートリッジ20(作像装置)の一部(装置を構成する部品の全部が組み立てられていない半完成品の状態である。)が調整器具100にセットされた状態で、第1の現像ローラ23a1と感光体ドラム21との現像ギャップPG1と、第2の現像ローラ23a2と感光体ドラム21との現像ギャップPG2と、が軸受90a、90bを面板80上で移動させながら最適な位置に調整された後に、それぞれの軸受90a、90bを面板80上にネジにて固定(締結)する。
【0041】
また、図4等を参照して、保持部材としての面板80は、現像ケース23rも保持するように構成されている。具体的に、現像ケース23rは、調整器具100にて現像ギャップPG1、PG2が調整された後に、面板80にネジ86にて固定(締結)される。
ここで、現像ケース23rは、2つの現像ローラ23a1、23a2、3つの搬送スクリュ23b1〜23b3、ドクターブレード23c、キャリア捕集ローラ23k等の現像装置23を構成する部品を内包するものである。なお、本実施の形態において、現像ケース23rは、現像装置23の下方を覆う下ケースと、現像装置23の上方を覆う上ケースと、現像装置23の両端をそれぞれ覆う前ケース及び後ケースと、が分割可能に構成されたものであって、各ケースはネジにて締結されて1つの現像ケース23rとして一体化されている。上ケース及び下ケースはアルミニウム等で形成されていて、前ケース及び後ケースは樹脂材料で形成されている。また、製造工程時に現像装置23が調整器具100にセットされた状態で、現像ケース23rの前ケース(又は後ケース)に後述する支持部材120が当接することになる(図5を参照できる。)。なお、現像ケース23rは、上ケース、下ケース、前ケース、後ケースに分割可能に構成することなく、それらの一部又は全部を分割できないように一体的に形成することもできるし、現像ケース23rをさらに多く分割できるように構成することもできる。
【0042】
図3を参照して、ドクターブレード23cは、現像領域の上流側に設置されていて、第1の現像ローラ23a1上に担持された現像剤を適量に規制する。本実施の形態におけるドクターブレード23cは、SUS316やXM7等の非磁性金属材料で形成された板厚が2mm程度の板状部材である。なお、ドクターブレード23cの対向面23c側に、SUS430等の磁性金属材料で形成された板厚が0.3mm程度の薄板を設置することもできる。
【0043】
3つの搬送スクリュ23b1〜23b3は、軸部上に螺旋状にスクリュ部が形成されたものであって、現像装置23内に収容された現像剤Gを長手方向(図2の紙面垂直方向である。)に循環しながら撹拌・混合する。
第1搬送スクリュ23b1は、第1現像剤搬送部B1であって現像ローラ23a1に対向する位置に配設されていて、現像剤Gを水平方向に搬送する(図3の紙面垂直方向の搬送である。)とともに、現像ローラ23a1上に現像剤Gを供給する。換言すると、第1搬送スクリュ23b1は、現像ローラ23a1に対向するとともに、現像ローラ23a1に現像剤Gを長手方向(現像ローラ23a1の回転軸方向である。)に搬送しながら供給する。
【0044】
第2搬送スクリュ23b2は、第2現像剤搬送部B2に設置されている。第2搬送スクリュ23b2は、第1搬送スクリュ23b1の下方であって現像ローラ23a2に対向する位置に配設されている。そして、現像ローラ23a2から離脱した現像剤G(現像工程後に剤離れ極によって現像ローラ23a2上から強制的に離脱された現像剤Gある。)を水平方向に搬送する。換言すると、第2搬送スクリュ23b2は、第1現像剤搬送部B1の下方であって現像ローラ23a2に対向する位置に配設されるとともに、現像ローラ23a2から離脱された現像剤Gを長手方向に搬送する。
第1搬送スクリュ23b1及び第2搬送スクリュ23b2は、現像ローラ23a1、23a2や感光体ドラム21と同様に、回転軸がほぼ水平になるように配設されている。
【0045】
第3搬送スクリュ23b3は、第3現像剤搬送部B3に設置されている。第3搬送スクリュ23b3は、第2搬送スクリュ23b2による搬送経路の下流側と、第1搬送スクリュ23b1による搬送経路の上流側と、を直線的に結ぶように、水平方向に対して斜めに配設されている。そして、第3搬送スクリュ23b3は、第2搬送スクリュ23b2によって搬送された現像剤Gを第1搬送スクリュ23b1による搬送経路の上流側に搬送するとともに、第1搬送スクリュ23b1による搬送経路の下流側から落下経路23fを介して循環される現像剤Gを第1搬送スクリュ23b1による搬送経路の上流側に搬送する。換言すると、第3搬送スクリュ23b3は、第2現像剤搬送部B2によって搬送された現像剤Gを第1現像剤搬送部B1の上流側に搬送するとともに、第1現像剤搬送部B1の下流側に達した現像剤Gを第1現像剤搬送部B1の上流側に搬送する。
【0046】
なお、第1搬送スクリュ23b1による搬送経路(第1現像剤搬送部B1)と、第2搬送スクリュ23b2による搬送経路(第2現像剤搬送部B2)と、第3搬送スクリュ23b3による搬送経路(第3現像剤搬送部B3)と、は壁部によって隔絶されている。
図示は省略するが、第2現像剤搬送部B2の下流側と、第3現像剤搬送部B3の上流側と、は第1中継部を介して連通している。また、第3現像剤搬送部B3の下流側と、第1現像剤搬送部B1の上流側と、は第2中継部を介して連通している。また、第1現像剤搬送部B1の下流側と、第3現像剤搬送部B3の上流側と、は落下経路を介して連通している。
【0047】
このような構成により、3つの現像剤搬送部B1〜B3(搬送スクリュ23b1〜23b3)によって、現像装置23において現像剤Gを長手方向に循環させる循環経路が形成されることになる。
なお、図示は省略するが、第3現像剤搬送部B3には磁気センサ(トナー濃度センサ)が設置されている。そして、磁気センサによって検知されるトナー濃度の情報に基いて、剤カートリッジ28から現像装置23内に向けて所定のトナー濃度の現像剤Gが供給される。本実施の形態では、現像装置23内の現像剤Gのトナー濃度が4〜7重量%になるように制御されている。
また、図2を参照して、第1現像剤搬送部B1の壁部には、現像装置23内に収容された現像剤Gの一部を外部(剤貯溜容器70)に排出するための排出口23d(排出手段)が設けられている。詳しくは、排出口23dは、剤カートリッジ28から現像装置23内に現像剤Gが供給されて装置内の現像剤量が増加してその位置に搬送される現像剤の剤面(上面)が所定高さを超えたときに、その余剰分の現像剤Gを剤貯留容器70に向けて排出するためのものである。すなわち、余剰分の現像剤Gは、排出口23dの下部の高さを超えて、排出口23dから排出されて排出経路71を経由して剤貯留容器70に向けて重力落下していく。このように、トナーTの母体樹脂や外添剤によって汚染されて劣化したキャリアが自動的に現像部の外部に排出されるので、経時においても画像品質の劣化を抑止することができる。
なお、図2では図示を省略しているが、排出経路71中には、排出口23dから排出された現像剤を水平方向に搬送するための排出スクリュ23nが設置されている(図3を参照できる。)。
【0048】
また、図3を参照して、本実施の形態では、第2の現像ローラ23a2の下方(回転方向下流側)であって、感光体ドラム21に対向する位置に、キャリア捕集ローラ23kが設置されている。さらに、キャリア捕集ローラ23kに当接する位置に、スクレーパ23mが設置されている。
キャリア捕集ローラ23kは、ステンレス等からなる円筒体内に所定の磁界を形成するマグネットが固設されたものであって、現像装置23内から移動(飛翔)して感光体ドラム21に付着したキャリアを捕集するためのものである。キャリア捕集ローラ23kは、図3の反時計方向に回転駆動される。キャリア捕集ローラ23kによって捕集されて担持されたキャリアは、そのほとんどが第2の現像ローラ23a2との対向位置で現像ローラ23a2上に移行して、現像ローラ23a2の剤離れ極の位置で現像ローラ23a2から離脱して第2現像剤搬送部B2内に回収される。一方、現像ローラ23a2上に移行せずにキャリア捕集ローラ23k上に残留・担持されたキャリアは、スクレーパ23mによって機械的に掻き取られて、第2現像剤搬送部B2内に回収される。このように、キャリア捕集ローラ23kを設置することで、感光体ドラム21上に付着したキャリアを現像装置23内に回収できるために、異常画像(ホタル画像、白抜け画像)の発生が抑止されるとともに、現像装置23内のキャリアが不足する不具合が抑止される。
【0049】
なお、本実施の形態では、現像ローラ23a1、23a2の外径が30mm、現像ローラ23a1、23a2の外周面上の線速が748mm/秒、キャリア捕集ローラ23kの外径が16mm、キャリア捕集ローラ23kの外周面上の線速が10.6mm/秒、プロセス線速(感光体ドラム21の外周面上の線速、及び、記録媒体Pの搬送速度である。)が440mm/秒、程度に設定されている。
また、本実施の形態において用いられるキャリアCは、粒径が55μm、飽和磁化が96emu/g、程度のものである。さらに、本実施の形態において用いられるトナーTは、粒径が6.8μm程度のものである。
【0050】
以下、図4〜図7にて、本実施の形態において特徴的な、作像装置の調整器具100の構成・動作について詳述する。
調整器具100は、先に図1〜図3にて説明した画像形成装置1のプロセスカートリッジ20(作像装置)を工場にて組み付ける際に、現像ローラ23a1、23a2と感光体ドラム21との現像ギャップPG1、PG2を調整したり検査(測定)したりするためのものである。
図4等を参照して、調整器具100は、ベース板110、ベース板110上に起立する2つの側板111、112、2つの側板111、112の間に架設された2つの軸部材115、116、プロセスカートリッジ20(感光体ドラム21)の軸受部81に係合する支軸117、プロセスカートリッジ20の面板80(保持部材)を吊持する吊持部としてのピン130a、130b、現像ケース23rを所定方向にスライド可能に支持する支持部材120、等で構成される。
【0051】
ここで、吊持部としてのピン130a、130bは、側板111に固設されていて、面板80に形成された穴部82、83に係合する。
また、支持部材120は、現像ケース23rの幅方向(現像ローラ23a1、23a2や感光体ドラム21の回転軸方向に対応する方向である。)の端部(前ケース又は後ケースの下方である。)に接触するように、ベース板110上に配設されている。支持部材120は、エアシリンダ123が内設された本体や、エアシリンダに連結されていて上下動することで調整器具100に設置された現像ケース23rに対して接離(支持・不支持)するガイド部121、ガイド部121の上下動の範囲を規制する位置決め部材122、等で構成されている(図6及び図7等を参照できる。)。このように構成された支持部材120は、現像装置20の下方から現像ケース23rに当接して現像装置23(プロセスカートリッジ20)を支持する。ここで、支持部材120のガイド部121は、現像ケース23rの底面の形状に合わせて面接触するように平面状に形成されているために、現像ケース23rは所定方向(水平方向であって、図6の左右方向である。)にスライド可能に支持されることになる。
なお、図4及び図5において、他方の側板112に固設されたピン(吊持部)や、他方の側板112の近傍に設置された支持部材、の図示は省略している。
【0052】
図4及び図5を参照して、調整器具100には、感光体ドラム21や帯電部22、クリーニング部25等が組み付けられておらず現像装置23の主要な部品のみが組み付けられた状態のプロセスカートリッジ20がセットされる(図4の状態から図5の状態へのプロセスカートリッジ20の装着である。)。このとき、面板80に対して現像ケース23rや軸受90a、90bは、ネジ86等によって仮止めされている。また、調整器具100にプロセスカートリッジ20がセットされると、ネジ85が面板80に形成された穴部を介して側板111の雌ネジ部に螺合されて、調整器具100からのプロセスカートリッジ20の幅方向の脱落が防止される。
また、図4に示すように、調整器具100へのプロセスカートリッジ20のセットと同時に、調整器具100の支軸117には現像ギャップ測定器具150がセットされる。すなわち、プロセスカートリッジ20の感光体ドラム21の位置に現像ギャップ測定器具150がセットされる(図6等をも参照できる。図5では図示を省略している。)。現像ギャップ測定器具150には、3つの位置(幅方向両端部と幅方向中央部とである。)に接触式変位センサ151aが設置されていて、この接触式変位センサ151aを用いて現像ギャップPG1、PG2が測定・検査される(図7を参照できる。)。
【0053】
このように、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ20(作像装置)の調整器具100は、現像ケース23rを水平方向にスライド可能に支持する支持部材120が設けられている。これにより、工場での製造工程においてプロセスカートリッジ20の現像ギャップPG1、PG2を調整する場合に、プロセスカートリッジ20の重量によって現像ギャップPG1、PG2が高精度に調整できないという不具合が生じるのを軽減することができる。
【0054】
ここで、本実施の形態における調整器具100は、図6を参照して、2つの現像ローラ23a1、23a2及び感光体ドラム21の回転軸に直交する平面でみたときに、2つの現像ローラ23a1、23a2の回転中心同士を結ぶ仮想線分の中点と支持部材120の支持面(ガイド部材121と現像ケース23rとの当接面である。)の中心とを通る仮想直線S1が、支持部材120上を現像ケース23rがスライドする水平方向(図6の左右方向である。)に引かれた仮想直線に対してなす角度θが45±15度になるように形成されている。換言すると、支持部材120は、角度θが45±15度になる位置に配設されている。なお、図6や図7において面板80は破線で示しており、図6において位置Zは現像装置23の重心の位置を示している。
また、本実施の形態においては、2つの現像ローラ23a1、23a2及び感光体ドラム21の回転軸に直交する平面でみたときに、感光体ドラム21の回転軸と、2つの現像ローラ23a1、23a2の回転中心同士を結ぶ仮想線分の中点と、を通る仮想直線S0と、上述した仮想直線S1と、がなす角度αも45±15度になるように設定されている。
なお、上述した角度θは、図6に示すように現像ローラ23a1、23a2や支持部材120が感光体ドラム21に対して左方にあるような断面でみたときに、支持部材120上を現像ケース23rがスライドする水平方向(図6の左右方向である。)に引かれた仮想直線に対して仮想直線S1が反時計方向になす角度である。
【0055】
このように角度θ(又は角度α)が45±15度になる位置に、支持部材120を配設することで、調整器具100に設置されたプロセスカートリッジ20の現像ギャップPG1、PG2の調整・検査を高精度に効率よくおこなうことができる。
以下、その理由について詳述する。
図8(A)及び図8(B)に示す調整器具100は、それぞれ、角度θ(又は角度α)が45±15度にならない位置に、支持部材120が配設されている。
具体的に、図8(A)の調整器具100は、仮想直線S0(感光体ドラム21の回転軸と、2つの現像ローラ23a1、23a2の回転中心同士を結ぶ仮想線分の中点と、を通る仮想直線である。)の線上に近い位置に支持部材120が配設されている。支持部材120のガイド部121は、現像ケース23rの前ケース(又は後ケース)に設けられた凸部に当接している。したがって、現像ケース23rは水平方向に位置決め自由度をもつことになり(水平方向にスライド可能に構成されていることになり)、上下の現像ローラ23a1、23a2の回転軸位置の調整方向にほぼ近い方向に対して現像ケース23rの自由度が確保されることになる。しかし、このような支持部材120の位置では、一方の現像ローラの軸位置(現像ギャップ)が調整作業によって固定されて、他方の現像ローラの軸位置(現像ギャップ)をさらに調整させるという作業がおこなわれる場合に、その調整方向は、固定された側の軸位置を中心として現像ケース23rが回転する方向の変位となる。この変位の方向は、現像ケース23rと支持部材120との当接において拘束される方向に近い方向になってしまうことがあるために、現像ギャップの調整作業が阻害される要因となってしまう。例えば、第1の現像ローラ23a1の位置を基準にして第2の現像ローラ23a2を感光体ドラム21の中心軸側に近づける方向に調整する場合等には、このような不具合が無視できないものになる。
【0056】
図8(B)の調整器具100は、現像装置23の重心Zのほぼ下方の位置に支持部材120が配設されている。このような支持部材120の位置では、現像ケース23rが回転方向のバランスにおいて支持部材120との当接点を中心として時計方向・反時計方向に微妙なバランスで釣り合うことになる。このような状態では微小な外力が加わることにより簡単に現像ケース23rの傾き方向が変化してしまうために、現像ギャップの調整・測定(主として、調整→測定→再調整→締結→再測定の手順で作業がおこなわれる。)をおこなう際に、軸受90a、90bと面板80との間に生じるガタや、現像ローラ23a1、23a2の軸部と軸受90a、90bとの間に生じるガタ、の寄り方向が一定しないという現象が生じて、現像ギャップの調整作業が安定的にできなくなってしまう。
【0057】
これに対して、本実施の形態における調整器具100は、角度θ(又は角度α)が45±15度になる位置に支持部材120を配設しているために、上述した不具合が軽減されることになる。具体的に、一方の現像ローラの軸位置(現像ギャップ)が調整作業によって固定されて、他方の現像ローラの軸位置(現像ギャップ)をさらに調整させるという作業がおこなわれる場合に、現像ケース23rの回転方向の変位が生じても、現像ケース23rが支持部材120との支持面(当接面)において拘束されることなく現像ケース23rが水平方向にスライド移動することになって、現像ギャップの調整作業が安定的におこなわれる。また、支持部材120は現像装置23の重心Zの下方の位置から離れた位置に配設されているため、調整中のプロセスカートリッジ20に微小な外力が加わっても現像ケース23rの傾き方向が変化してしまうことがなく、軸受90a、90bと面板80との間に生じるガタや、現像ローラ23a1、23a2の軸部と軸受90a、90bとの間に生じるガタ、の寄り方向が一定して、現像ギャップの調整作業が安定的におこなわれる。
【0058】
ここで、本実施の形態における調整器具100において、上述したように現像ギャップの調整時に現像ケース23rが水平方向にスライド移動する場合がある。このような場合には、支持部材120の支持面において、現像ケース23rの重量とともに、現像ケース23rの回転方向の変位によるモーメント力がかかることになる。このように、現像ケース23rの重量やモーメントによりかかる力は支持部材120の支持面の面圧を増加させて摺動抵抗になる。したがって、現像ギャップの微小な調整を高精度におこなうためには、支持部材120の支持面において現像ケース23rがスムーズにスライド移動するように構成することが望ましい。
したがって、本実施の形態では、支持部材120(ガイド部121)の支持面を低摩擦材料で形成している。具体的には、ガイド部121の支持面にフッ素樹脂をコーティングしている。また、現像装置23の現像ケース23rの当接面(支持部材120との当接面である。)を低摩擦材料で形成することも望ましい。
【0059】
図9及び図10は、支持部材120の支持面において現像ケース23rがスムーズにスライド移動するように、本実施の形態における調整器具100(又はプロセスカートリッジ20)をさらに改良したものである。
図9におけるプロセスカートリッジ20は、現像ケース23rの当接部(支持部材と120の当接部である。)を半球状に形成している。これにより、支持部材120と現像ケース23rとは面接触ではなく点接触することになり、支持部材120と現像ケース23rとの摺動抵抗が低くなる。
図10(A)及び図10(B)における調整器具100の支持部材120には、現像ケース23r(前ケース又は後ケース)に接触するコロ部材122が設けられている。すなわち、支持部材120のガイド部に、現像ケース23rのスライド方向に直交する方向に回転軸をもつコロ部材122(例えば、ラジアル玉軸受である。)が設置されている。これにより、現像ケース23rは、コロ部材122の回転によってスムーズにスライド移動することになる。
【0060】
繰り返しになるが、本実施の形態における調整器具100は、上述したように、2つの現像ローラ23a1、23a2及び感光体ドラム21の回転軸に直交する平面でみたときに、2つの現像ローラ23a1、23a2の回転中心同士を結ぶ仮想線分の中点と支持部材120の支持面の中心とを通る仮想直線S1が、支持部材120上を現像ケース23rがスライドする方向に引かれた仮想直線に対してなす角度θが45±15度になるように形成されている。そして、このように角度θが45±15度になる位置に支持部材120を配設することで、2つの現像ギャップPG1、PG2の調整を効率的に高精度におこなうことができる。
ここで、このような角度θの範囲が限定されることによる効果は、本実施の形態における感光体ドラム21と現像ローラ23a1、23a2との位置関係を有するプロセスカートリッジ20に対してのみ限定して発揮されることなく、例えば、図11(A)や図11(B)に示すような感光体ドラム21と現像ローラ23a1、23a2との位置関係を有するプロセスカートリッジ20のように、種々の形態のプロセスカートリッジに対しても発揮されるものである。すなわち、2つの現像ローラ23a1、23a2及び感光体ドラム21の回転軸に直交する平面でみたときに、2つの現像ローラ23a1、23a2の回転中心同士を結ぶ仮想線分の中点と支持部材120の支持面の中心とを通る仮想直線S1が、支持部材120上を現像ケース23rがスライドする方向に引かれた仮想直線に対してなす角度θが45±15度になるように支持部材120を配設することで、2つの現像ギャップPG1、PG2の調整を効率的に高精度におこなうことができる。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ20(作像装置)の調整器具100は、プロセスカートリッジ20の現像ケース23rを水平方向(所定方向)にスライド可能に支持する支持部材120が設けられている。これにより、工場での製造工程においてプロセスカートリッジ20の現像ギャップPG1、PG2を調整する場合等に、プロセスカートリッジ20の重量によって現像ギャップPG1、PG2が高精度に調整できないという不具合が生じるのを軽減することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、作像装置としてのプロセスカートリッジ20の一部が調整器具100にセットされて現像ギャップの調整・検査をおこなうように構成したが、作像装置としてのプロセスカートリッジ20の全部が調整器具100にセットされて現像ギャップの調整・検査をおこなうように構成することもできる。
また、本実施の形態では、現像ケース23rが支持部材120上を水平方向にスライド移動するように構成したが、現像ケース23rが支持部材120上を水平方向に対してある程度傾斜した方向にスライド移動するように構成することもできる。
そして、それらの場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、本実施の形態では、調整器具100を工場における製造工程時に現像ギャップを調整・検査する器具として用いたが、調整器具100を市場におけるメンテナンス時に現像ギャップを調整・検査する器具として用いることもできる。
【0064】
また、本実施の形態では、現像ローラが2つ設置されたプロセスカートリッジ20の現像ギャップを調整する調整器具に対して本発明を適用したが、現像ローラが3つ以上設置された作像装置の現像ギャップを調整する調整器具に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、剤カートリッジ28から現像装置23に向けて現像剤G(トナーT及びキャリアC)を供給したが、カートリッジからキャリアCのみを現像装置23に向けて供給することもできる。その場合、トナーのみが収容されたトナーカートリッジを剤カートリッジ(キャリアカートリッジ)とは別に設置して、磁気センサ26の検知結果に基いてトナーカートリッジに収容されたトナーを現像装置23に向けて適宜に補給することになる。さらに、キャリアの補給をおこなわずにカートリッジからトナーのみを供給する、プレミックス現像方式ではない現像装置に対しても本発明を適用することができる。
さらには、1成分現像剤方式(キャリアを用いずにトナーのみを用いる現像方式である。)の現像装置を有する作像装置であって、複数の現像ローラを感光体ドラムに対して所定の現像ギャップをあけて配設する作像装置が、セットされる調整器具に対しても本発明を適用することができる。
【0065】
また、本実施の形態では、上下方向に搬送スクリュ23b1、23b2が設置された現像装置に対して本発明を適用したが、複数の搬送スクリュが水平方向に設置された現像装置(特許文献2等参照)や、現像剤を長手方向に搬送する第1搬送スクリュ23b1の代わりに現像剤を短手方向に搬送するパドル状の現像剤搬送部材が設置された現像装置、等に対しても本発明を適用することができる。
【0066】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置(装置本体)、
20、20Y、20C、20M、20BK プロセスカートリッジ(作像装置)、
21 感光体ドラム(像担持体)、
23 現像装置、
23a1、23a2 現像ローラ、
23r 現像ケース、
80 面板(保持部材)、
100 調整器具(作像装置の調整器具)、
120 支持部材、
121 ガイド部、
122 コロ部材、
130a、130b ピン(吊持部)、
150 現像ギャップ測定器具、
PG1、PG2 現像ギャップ(ギャップ)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特開平11−38722号公報
【特許文献2】特開平8−152781号公報
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置に設置される作像装置を画像形成装置から取り出した状態で調整するための作像装置の調整器具に関し、特に、工場での製造工程において作像装置を組み付ける際に用いられる作像装置の調整器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、良好な画質の画像を安定的に出力することを目的として、作像装置における現像ローラと像担持体(感光体ドラム)とのギャップ(現像ギャップ)を製造工程にて高精度に調整する技術が知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
一方、特許文献2等には、2つの現像ローラが設置された作像装置(画像形成装置)において、現像装置の重量によって2つの現像ローラと像担持体(感光体)との間の現像ギャップが変化しないように、現像装置の下方に弾性材からなる支持部材を設置する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、工場での製造工程において作像装置の現像ギャップを調整する場合に、作像装置の重量によって現像ギャップが高精度に調整できないという不具合が生じていた。特に、複数の現像ローラが設置された作像装置や高速機用の大型の作像装置等では、このような不具合が顕著になっていた。
詳しくは、複数の現像ローラや搬送部材等を保持する現像ケースの重量は、主基準(又は、従基準)となる現像ローラの軸部にかかってくる。そして、現像装置の重心における鉛直方向の力は、モーメント力により各現像ローラの軸部に対して負荷を与える。この負荷により、現像ローラの軸部のたわみが発生する不具合や、2つの現像ローラの位置調整をおこなう場合に狙いの位置に対して上方の現像ローラについては現像ギャップが広がる方向にズレが生じて下方の現像ローラについては現像ギャップが狭くなる方向にズレが生じて双方の現像ギャップの偏差が大きくなるという不具合が生じていた。したがって、作像装置の製造工程において、微小な現像ギャップを高精度に小さな偏差で調整する作業が難しくなっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、工場での製造工程において作像装置の現像ギャップを調整する場合等に、作像装置の重量によって現像ギャップが高精度に調整できないという不具合が生じることのない、作像装置の調整器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の請求項1記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、像担持体と、前記像担持体に対向して前記像担持体上に形成される潜像を現像する複数の現像ローラと、を具備することになる作像装置の一部又は全部が設置されるとともに、前記像担持体と前記現像ローラとのギャップを調整するための作像装置の調整器具であって、前記作像装置は、前記複数の現像ローラを内包する現像ケースと、前記ギャップを調整できるように前記複数の現像ローラが保持されるとともに、前記現像ケースと前記像担持体とが保持される保持部材と、を具備し、前記作像装置の前記保持部材を吊持する吊持部と、前記作像装置の前記現像ケースを所定方向にスライド可能に支持する支持部材と、を備えたものである。
【0007】
また、請求項2記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1に記載の発明において、前記複数の現像ローラは、2つの現像ローラであって、前記2つの現像ローラ及び前記像担持体の回転軸に直交する平面でみたときに、前記2つの現像ローラの回転中心同士を結ぶ仮想線分の中点と前記支持部材の支持面の中心とを通る仮想直線が、前記支持部材上を前記現像ケースがスライドする前記所定方向に引かれた仮想直線に対してなす角度が45±15度になるように形成されたものである。
【0008】
また、請求項3記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記支持部材上を前記現像ケースがスライドする前記所定方向が水平方向になるように形成されたものである。
【0009】
また、請求項4記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記支持部材は、その支持面が低摩擦材料で形成されたものである。
【0010】
また、請求項5記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記支持部材は、前記現像ケースに接触するコロ部材を具備したものである。
【0011】
また、請求項6記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記支持部材と前記作像装置の前記現像ケースとの摺動抵抗が低くなるように形成されたものである。
【0012】
また、請求項7記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記支持部材は、前記複数の現像ローラ及び前記像担持体の回転軸方向に対応する前記現像ケースの幅方向の端部に接触するように配設されたものである。
【0013】
また、請求項8記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発明において、前記支持部材は、前記現像ケースに対して接離可能に構成されたものである。
【0014】
また、請求項9記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1〜請求項8のいずれかに記載の発明において、前記作像装置の前記保持部材を、前記複数の現像ローラ及び前記像担持体の回転軸方向端部と、前記現像ケースの幅方向端部と、を保持する面板としたものである。
【0015】
また、請求項10記載の発明にかかる作像装置の調整器具は、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記作像装置の前記現像ケースは、前記像担持体と前記現像ローラとの前記ギャップが調整された後に前記保持部材に固定保持されるものである。
【0016】
なお、本願において、「作像装置」とは、少なくとも、像担持体と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像部(現像装置)と、を具備した装置(必ずしも、それらが一体化されていて画像形成装置本体に対して着脱自在に設置されるユニットである必要はない。)であるもの定義する。したがって、「作像装置」としては、像担持体を帯電する帯電部と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像部(現像装置)と、像担持体上をクリーニングするクリーニング部とのうち、少なくとも1つと、像担持体とが、一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱自在に設置される「プロセスカートリッジ」も含まれることになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、作像装置の調整器具に、作像装置の現像ケースを所定方向にスライド可能に支持する支持部材を設けている。これにより、工場での製造工程において作像装置の現像ギャップを調整する場合等に、作像装置の重量によって現像ギャップが高精度に調整できないという不具合が生じることのない、作像装置の調整器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の画像形成装置に設置されたプロセスカートリッジを示す拡大図である。
【図3】現像装置を示す拡大図である。
【図4】この発明の実施の形態における調整器具に作像装置が設置される状態を示す斜視図である。
【図5】図4の調整器具に作像装置が設置された状態を示す斜視図である。
【図6】調整器具に作像装置が設置された状態を示す正面図である。
【図7】調整器具に設置された作像装置の現像ギャップを測定する状態を示す正面図である。
【図8】調整器具の支持部材の位置が最適化されていない状態を示す正面図である。
【図9】別の形態の調整器具及び作像装置を示す正面図である。
【図10】別の形態の調整器具の支持部材を示す図である。
【図11】さらに別の形態の調整器具及び作像装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0020】
まず、図1にて、実施の形態における調整器具(調整装置)にて調整される作像装置が設置される画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
書込み部2A〜2Dは、画像情報に基いて帯電工程後の感光体ドラム21(像担持体)に静電潜像を書き込むための装置である。書込み部2A〜2Dは、ポリゴンミラー3A〜3Dや光学素子4A〜4D等を用いた光走査装置である。なお、書込み部として、光走査装置の替わりにLEDアレイを用いることもできる。
給紙部61は、記録紙、OHP等の記録媒体Pを格納して、画像形成時には記録媒体Pを転写ベルト30に向けて給送する。
【0021】
転写ベルト30は、記録媒体Pをその表面に静電的に吸着させて搬送して感光体ドラム21上に形成されたトナー像を記録媒体P上に転写するための無端状ベルトであって、その外周面上に吸着ローラ64とベルトクリーナ65とを設けている。
転写ベルト30を介して感光体ドラム21に対向する転写ローラ24は、芯金と芯金を被覆する導電性弾性層とを有する。転写ローラ24の導電性弾性層は、ポリウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)等の弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ等の導電性付与剤を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を中抵抗に調整した弾性体である。
【0022】
定着部66は、加熱ローラ68および加圧ローラ67を有し、記録媒体P上のトナー像を圧力と熱とによって記録媒体Pに定着させる。
転写ベルト30に沿って縦方向に配設された4つのプロセスカートリッジ20Y、20C、20M、20BK(作像装置)は、それぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのトナー像を形成するためのものである。
【0023】
各プロセスカートリッジ20Y、20C、20M、20BK上には、キャリア(磁性キャリア)と各色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のトナー(トナー粒子)とを現像装置23に供給する剤カートリッジ28Y、28C、28M、28BKが設置されている。
プロセスカートリッジ20Y、20C、20M、20BK、及び、剤カートリッジ28Y、28C、28M、28BKは、転写ベルト30を回転支軸を中心に開放して装置本体1から着脱することができる。
【0024】
本実施の形態における画像形成装置は、複写機及びプリンタとして機能する複合型の画像形成装置である。複写機として機能する場合には、スキャナから読み込まれた画像情報に対してA/D変換、MTF補正、階調処理等の種々の画像処理が施されて書込みデータに変換される。プリンタとして機能する場合には、コンピュータ等から送信されるページ記述言語やビットマップ等の形式の画像情報に対して画像処理が施されて書込みデータに変換される。
【0025】
画像形成時には、書込み部2A〜2Dから作像装置としてのプロセスカートリッジ20BK、20M、20C、20Yに対して、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの画像情報に応じた露光光がそれぞれ照射される。すなわち、各光源から発せられた露光光(レーザ光)がポリゴンミラー3A〜3D、光学素子4A〜4D等を通過して、各感光体ドラム21上に照射される。これによって、各プロセスカートリッジ20BK、20M、20C、20Yの感光体ドラム21(像担持体)上に、露光光に応じたトナー像が形成される。そして、このトナー像が、記録媒体Pに転写されることになる。
【0026】
給紙部61から給送された記録媒体Pは、レジストローラ63の位置で一旦タイミングを合わせて、転写ベルト30の位置に搬送される。転写ベルト30の送入位置に配設された吸着ローラ64は、電圧の印加によって送入された記録媒体Pを転写ベルト30に吸着させる。転写ベルト30の矢印方向の走行にともない移動する記録媒体Pは、各プロセスカートリッジ20Y、20C、20M、20BKの位置を順次通過して各色のトナー像が重ねて転写される。
【0027】
カラーのトナー像が転写された記録媒体Pは、転写ベルト30から分離して定着部66に達する。記録媒体P上のトナー像は、加熱ローラ68及び加圧ローラ67に挟まれつつ加熱されることで記録媒体P上に定着される。一方、記録媒体Pが分離した後の転写ベルト30表面は、その後にベルトクリーナ65の位置に達して、その表面に付着したトナー等の汚れがクリーニングされる。
【0028】
次に、画像形成装置におけるプロセスカートリッジ及び剤カートリッジについて詳述する。
なお、作像装置としての4つのプロセスカートリッジ20Y、20C、20M、20BKはそれぞれほぼ同一構造であって、それぞれの剤カートリッジ28Y、28C、28M、28BKもほぼ同一構造であるために、図2等にてプロセスカートリッジ及び剤カートリッジは符号のアルファベット(Y、C、M、BK)を除して図示する。また、書込み部は符号のアルファベット(A〜D)を除して図示する。
【0029】
図2は、画像形成装置本体1に設置されたプロセスカートリッジ20及び剤カートリッジ28を示す拡大図である。図3は、プロセスカートリッジ20に設置された現像装置23を示す拡大図である。
【0030】
図2に示すように、プロセスカートリッジ20は、像担持体としての感光体ドラム21、帯電部22、現像装置23(現像部)、クリーニング部25が一体化されたものであって、プレミックス現像方式(キャリアの補給・排出を適宜におこなう現像方式である。)が採用されている。
像担持体としての感光体ドラム21は、略円筒体の概観を有する負帯電の有機感光体であって、不図示の回転駆動機構によって反時計方向に回転駆動される。
【0031】
帯電部22は、芯金上に、ウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成した弾性を有する帯電ローラである。帯電部22の中抵抗層の材質としては、ウレタン、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものを用いることもできる。
クリーニング部25は、感光体ドラム21に摺接するクリーニングブラシ(又は、クリーニングブレード)が設置されていて、感光体ドラム21上の未転写トナーを機械的に除去・回収する。
【0032】
現像装置23は、2つの現像ローラ23a1、23a2(現像剤担持体)が感光体ドラム21に近接するように配置されていて、双方の対向部分には感光体ドラム21と磁気ブラシとが接触する現像領域が形成される。現像装置23内には、トナーTとキャリアCとからなる現像剤G(2成分現像剤)が収容されている。そして、現像装置23は、感光体ドラム21上に形成される静電潜像を現像する(トナー像を形成する。)。なお、現像装置23の構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0033】
ここで、本実施の形態における現像装置23は、プレミックス現像方式のものであって、現像装置23内に適宜に新品のキャリアC(現像剤G)が剤カートリッジ28から供給されるとともに、劣化した現像剤Gが現像装置23の外部に設置された剤貯留容器70に向けて排出される。
図2を参照して、剤カートリッジ28は、その内部に現像装置23内に供給するための現像剤G(トナーT及びキャリアC)を収容している。そして、剤カートリッジ28は、現像装置23に新品のトナーTを供給するトナーカートリッジとして機能するとともに、現像装置23に新品のキャリアCを供給する供給手段として機能する。具体的に、現像装置23に設置された磁気センサ(不図示である。)によって検知されるトナー濃度(現像剤G中のトナーの割合である。)の情報に基いて、シャッタ機構80の開閉動作をおこなって、剤カートリッジ28から現像装置23内に向けて現像剤Gを適宜に供給する。
供給管29は、剤カートリッジ28から供給される現像剤G(トナーT及びキャリアC)を現像装置23内に確実に導くためのものである。すなわち、剤カートリッジ28から排出された現像剤Gは、供給管29を介して、現像装置23内に供給される。
【0034】
次に、感光体ドラム21上でおこなわれる作像プロセスについて説明する。
図2を参照して、感光体ドラム21が反時計方向に回転駆動されると、まず、帯電部22の位置で感光体ドラム21の表面が一様に帯電される。その後、帯電された感光体ドラム21表面は、露光光Lの照射位置に達して、書込み部2による露光工程がおこなわれる。すなわち、露光光Lの照射によって感光体ドラム21上を画像情報に応じて選択的に除電することで、照射されなかった非画像部の電位との差(電位コントラスト)を発生させて静電潜像を形成する。なお、この露光工程は、感光体ドラム21の感光層中で電荷発生物質が光を受けて電荷を発生して、このうち正孔が感光体ドラム21表面の帯電電荷と打ち消しあうものである。
【0035】
その後、潜像が形成された感光体ドラム21表面は、現像装置23との対向位置に達する。感光体ドラム21上の静電潜像は、現像ローラ23a1、23a2上の磁気ブラシと接触して、磁気ブラシ中の負帯電されたトナーTが付着されて可視化される。
詳しくは、上方の現像ローラ23a1の磁極による磁力で汲み上げられた現像剤Gは、ドクターブレード23c(現像剤規制部材)によって適量化された後に、感光体ドラム21との対向部である現像領域(2つの現像ローラ23a1、23a2と感光体ドラム21との対向領域である。)に搬送される。現像領域において穂立ちされたキャリアCが感光体ドラム21を摺擦する。このとき、キャリアCに混合されているトナーTは、キャリアCとの摩擦によって負帯電されている。これに対して、キャリアCは正帯電されている。不図示の電源部から現像ローラ23a1、23a2に対して、所定の現像バイアスが印加される。これによって、現像ローラ23a1、23a2と感光体ドラム21との間(図3に示す現像ギャップPG1、PG2である。)に電界が形成されて、負帯電されたトナーTが電界によって感光体ドラム21上の画像部にのみ選択的に付着してトナー像を形成する。
【0036】
その後、トナー像が形成された感光体ドラム21表面は、転写ベルト30及び転写ローラ24との対向位置に達する。そして、このタイミングに合わせてその対向位置に搬送された記録媒体P上に、感光体ドラム21上のトナー像が転写される。このとき、転写ローラ24には、所定の電圧が印加されている。
その後、トナー像が転写された記録媒体Pは、定着部66を通過して、排出ローラ69から装置外部に排出される。
【0037】
一方、転写工程時に記録媒体Pに転写されずに感光体ドラム21上に残留したトナーT(未転写トナー)は、感光体ドラム21上に付着したままクリーニング部25との対向部に達する。そして、感光体ドラム21上の未転写トナーは、クリーニング部25で除去・回収される。
その後、感光体ドラム21表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム21における一連の作像プロセスが終了する。
【0038】
以下、現像装置23の構成・動作について詳述する。
図3を参照して、現像装置23は、現像ローラ23a1、23a2、搬送スクリュ23b1〜23b3(オーガスクリュ)、ドクターブレード23c、キャリア捕集ローラ23k、スクレーパ23m、排出スクリュ23n、現像ケース23r(ケース部材)、等で構成されている。また、現像装置23内には、現像剤Gを搬送して循環経路を形成する3つの現像剤搬送部B1〜B3が形成されている。
【0039】
現像ローラ23a1、23a2は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂等の非磁性体を円筒形に形成してなるスリーブが不図示の回転駆動機構によって時計方向に回転されるように構成されている。現像ローラ23a1、23a2のスリーブ内には、スリーブの周面に現像剤Gの穂立ちを生じるように磁界を形成するマグネットが固設されている。マグネットから発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤G中のキャリアCがスリーブ上にチェーン状に穂立ちする。このチェーン状に穂立ちしたキャリアCに帯電したトナーTが付着されて、磁気ブラシが形成される。磁気ブラシは、スリーブの回転によってスリーブと同方向(時計方向)に移送される。
【0040】
ここで、現像ローラ23a1、23a2と感光体ドラム21とのギャップ(現像ギャップ)PG1、PG2は、感光体ドラム21上に形成される画像の品質を決定する重要な特性の1つであって、後に詳しく説明するように、製造工程にて調整器具100(図4等を参照できる。)によって調整・検査されるものである。
なお、2つの現像ローラ23a1、23a2は、現像ギャップPG1、PG2をそれぞれ調整できるように、保持部材としての面板80(図4等を参照できる。)によって保持されている。
具体的に、図4等を参照して、プロセスカートリッジ20(作像装置)における保持部材としての面板80は、プロセスカートリッジ20の幅方向(感光体ドラム21や現像ローラ23a1、23a2の回転軸方向に対応する方向であって、図3の紙面垂直方向である。)の両端部にそれぞれ設置されていて、感光体ドラム21や現像ローラ23a1、23a2の回転軸方向端部や、現像ケースの幅方向端部と、を保持する。感光体ドラム21の軸部は、面板80上に固定された軸受部81を介して面板80に回転自在に保持される。現像ローラ23a1、23a2の軸部は、面板80上において所定方向(図7の両矢印方向であって、現像ギャップPG1、PG2が可変する方向である。)に移動可能に設置された軸受90a、90bを介して面板80上に回転自在に保持される。すなわち、製造工程(組み立て工程)において、プロセスカートリッジ20(作像装置)の一部(装置を構成する部品の全部が組み立てられていない半完成品の状態である。)が調整器具100にセットされた状態で、第1の現像ローラ23a1と感光体ドラム21との現像ギャップPG1と、第2の現像ローラ23a2と感光体ドラム21との現像ギャップPG2と、が軸受90a、90bを面板80上で移動させながら最適な位置に調整された後に、それぞれの軸受90a、90bを面板80上にネジにて固定(締結)する。
【0041】
また、図4等を参照して、保持部材としての面板80は、現像ケース23rも保持するように構成されている。具体的に、現像ケース23rは、調整器具100にて現像ギャップPG1、PG2が調整された後に、面板80にネジ86にて固定(締結)される。
ここで、現像ケース23rは、2つの現像ローラ23a1、23a2、3つの搬送スクリュ23b1〜23b3、ドクターブレード23c、キャリア捕集ローラ23k等の現像装置23を構成する部品を内包するものである。なお、本実施の形態において、現像ケース23rは、現像装置23の下方を覆う下ケースと、現像装置23の上方を覆う上ケースと、現像装置23の両端をそれぞれ覆う前ケース及び後ケースと、が分割可能に構成されたものであって、各ケースはネジにて締結されて1つの現像ケース23rとして一体化されている。上ケース及び下ケースはアルミニウム等で形成されていて、前ケース及び後ケースは樹脂材料で形成されている。また、製造工程時に現像装置23が調整器具100にセットされた状態で、現像ケース23rの前ケース(又は後ケース)に後述する支持部材120が当接することになる(図5を参照できる。)。なお、現像ケース23rは、上ケース、下ケース、前ケース、後ケースに分割可能に構成することなく、それらの一部又は全部を分割できないように一体的に形成することもできるし、現像ケース23rをさらに多く分割できるように構成することもできる。
【0042】
図3を参照して、ドクターブレード23cは、現像領域の上流側に設置されていて、第1の現像ローラ23a1上に担持された現像剤を適量に規制する。本実施の形態におけるドクターブレード23cは、SUS316やXM7等の非磁性金属材料で形成された板厚が2mm程度の板状部材である。なお、ドクターブレード23cの対向面23c側に、SUS430等の磁性金属材料で形成された板厚が0.3mm程度の薄板を設置することもできる。
【0043】
3つの搬送スクリュ23b1〜23b3は、軸部上に螺旋状にスクリュ部が形成されたものであって、現像装置23内に収容された現像剤Gを長手方向(図2の紙面垂直方向である。)に循環しながら撹拌・混合する。
第1搬送スクリュ23b1は、第1現像剤搬送部B1であって現像ローラ23a1に対向する位置に配設されていて、現像剤Gを水平方向に搬送する(図3の紙面垂直方向の搬送である。)とともに、現像ローラ23a1上に現像剤Gを供給する。換言すると、第1搬送スクリュ23b1は、現像ローラ23a1に対向するとともに、現像ローラ23a1に現像剤Gを長手方向(現像ローラ23a1の回転軸方向である。)に搬送しながら供給する。
【0044】
第2搬送スクリュ23b2は、第2現像剤搬送部B2に設置されている。第2搬送スクリュ23b2は、第1搬送スクリュ23b1の下方であって現像ローラ23a2に対向する位置に配設されている。そして、現像ローラ23a2から離脱した現像剤G(現像工程後に剤離れ極によって現像ローラ23a2上から強制的に離脱された現像剤Gある。)を水平方向に搬送する。換言すると、第2搬送スクリュ23b2は、第1現像剤搬送部B1の下方であって現像ローラ23a2に対向する位置に配設されるとともに、現像ローラ23a2から離脱された現像剤Gを長手方向に搬送する。
第1搬送スクリュ23b1及び第2搬送スクリュ23b2は、現像ローラ23a1、23a2や感光体ドラム21と同様に、回転軸がほぼ水平になるように配設されている。
【0045】
第3搬送スクリュ23b3は、第3現像剤搬送部B3に設置されている。第3搬送スクリュ23b3は、第2搬送スクリュ23b2による搬送経路の下流側と、第1搬送スクリュ23b1による搬送経路の上流側と、を直線的に結ぶように、水平方向に対して斜めに配設されている。そして、第3搬送スクリュ23b3は、第2搬送スクリュ23b2によって搬送された現像剤Gを第1搬送スクリュ23b1による搬送経路の上流側に搬送するとともに、第1搬送スクリュ23b1による搬送経路の下流側から落下経路23fを介して循環される現像剤Gを第1搬送スクリュ23b1による搬送経路の上流側に搬送する。換言すると、第3搬送スクリュ23b3は、第2現像剤搬送部B2によって搬送された現像剤Gを第1現像剤搬送部B1の上流側に搬送するとともに、第1現像剤搬送部B1の下流側に達した現像剤Gを第1現像剤搬送部B1の上流側に搬送する。
【0046】
なお、第1搬送スクリュ23b1による搬送経路(第1現像剤搬送部B1)と、第2搬送スクリュ23b2による搬送経路(第2現像剤搬送部B2)と、第3搬送スクリュ23b3による搬送経路(第3現像剤搬送部B3)と、は壁部によって隔絶されている。
図示は省略するが、第2現像剤搬送部B2の下流側と、第3現像剤搬送部B3の上流側と、は第1中継部を介して連通している。また、第3現像剤搬送部B3の下流側と、第1現像剤搬送部B1の上流側と、は第2中継部を介して連通している。また、第1現像剤搬送部B1の下流側と、第3現像剤搬送部B3の上流側と、は落下経路を介して連通している。
【0047】
このような構成により、3つの現像剤搬送部B1〜B3(搬送スクリュ23b1〜23b3)によって、現像装置23において現像剤Gを長手方向に循環させる循環経路が形成されることになる。
なお、図示は省略するが、第3現像剤搬送部B3には磁気センサ(トナー濃度センサ)が設置されている。そして、磁気センサによって検知されるトナー濃度の情報に基いて、剤カートリッジ28から現像装置23内に向けて所定のトナー濃度の現像剤Gが供給される。本実施の形態では、現像装置23内の現像剤Gのトナー濃度が4〜7重量%になるように制御されている。
また、図2を参照して、第1現像剤搬送部B1の壁部には、現像装置23内に収容された現像剤Gの一部を外部(剤貯溜容器70)に排出するための排出口23d(排出手段)が設けられている。詳しくは、排出口23dは、剤カートリッジ28から現像装置23内に現像剤Gが供給されて装置内の現像剤量が増加してその位置に搬送される現像剤の剤面(上面)が所定高さを超えたときに、その余剰分の現像剤Gを剤貯留容器70に向けて排出するためのものである。すなわち、余剰分の現像剤Gは、排出口23dの下部の高さを超えて、排出口23dから排出されて排出経路71を経由して剤貯留容器70に向けて重力落下していく。このように、トナーTの母体樹脂や外添剤によって汚染されて劣化したキャリアが自動的に現像部の外部に排出されるので、経時においても画像品質の劣化を抑止することができる。
なお、図2では図示を省略しているが、排出経路71中には、排出口23dから排出された現像剤を水平方向に搬送するための排出スクリュ23nが設置されている(図3を参照できる。)。
【0048】
また、図3を参照して、本実施の形態では、第2の現像ローラ23a2の下方(回転方向下流側)であって、感光体ドラム21に対向する位置に、キャリア捕集ローラ23kが設置されている。さらに、キャリア捕集ローラ23kに当接する位置に、スクレーパ23mが設置されている。
キャリア捕集ローラ23kは、ステンレス等からなる円筒体内に所定の磁界を形成するマグネットが固設されたものであって、現像装置23内から移動(飛翔)して感光体ドラム21に付着したキャリアを捕集するためのものである。キャリア捕集ローラ23kは、図3の反時計方向に回転駆動される。キャリア捕集ローラ23kによって捕集されて担持されたキャリアは、そのほとんどが第2の現像ローラ23a2との対向位置で現像ローラ23a2上に移行して、現像ローラ23a2の剤離れ極の位置で現像ローラ23a2から離脱して第2現像剤搬送部B2内に回収される。一方、現像ローラ23a2上に移行せずにキャリア捕集ローラ23k上に残留・担持されたキャリアは、スクレーパ23mによって機械的に掻き取られて、第2現像剤搬送部B2内に回収される。このように、キャリア捕集ローラ23kを設置することで、感光体ドラム21上に付着したキャリアを現像装置23内に回収できるために、異常画像(ホタル画像、白抜け画像)の発生が抑止されるとともに、現像装置23内のキャリアが不足する不具合が抑止される。
【0049】
なお、本実施の形態では、現像ローラ23a1、23a2の外径が30mm、現像ローラ23a1、23a2の外周面上の線速が748mm/秒、キャリア捕集ローラ23kの外径が16mm、キャリア捕集ローラ23kの外周面上の線速が10.6mm/秒、プロセス線速(感光体ドラム21の外周面上の線速、及び、記録媒体Pの搬送速度である。)が440mm/秒、程度に設定されている。
また、本実施の形態において用いられるキャリアCは、粒径が55μm、飽和磁化が96emu/g、程度のものである。さらに、本実施の形態において用いられるトナーTは、粒径が6.8μm程度のものである。
【0050】
以下、図4〜図7にて、本実施の形態において特徴的な、作像装置の調整器具100の構成・動作について詳述する。
調整器具100は、先に図1〜図3にて説明した画像形成装置1のプロセスカートリッジ20(作像装置)を工場にて組み付ける際に、現像ローラ23a1、23a2と感光体ドラム21との現像ギャップPG1、PG2を調整したり検査(測定)したりするためのものである。
図4等を参照して、調整器具100は、ベース板110、ベース板110上に起立する2つの側板111、112、2つの側板111、112の間に架設された2つの軸部材115、116、プロセスカートリッジ20(感光体ドラム21)の軸受部81に係合する支軸117、プロセスカートリッジ20の面板80(保持部材)を吊持する吊持部としてのピン130a、130b、現像ケース23rを所定方向にスライド可能に支持する支持部材120、等で構成される。
【0051】
ここで、吊持部としてのピン130a、130bは、側板111に固設されていて、面板80に形成された穴部82、83に係合する。
また、支持部材120は、現像ケース23rの幅方向(現像ローラ23a1、23a2や感光体ドラム21の回転軸方向に対応する方向である。)の端部(前ケース又は後ケースの下方である。)に接触するように、ベース板110上に配設されている。支持部材120は、エアシリンダ123が内設された本体や、エアシリンダに連結されていて上下動することで調整器具100に設置された現像ケース23rに対して接離(支持・不支持)するガイド部121、ガイド部121の上下動の範囲を規制する位置決め部材122、等で構成されている(図6及び図7等を参照できる。)。このように構成された支持部材120は、現像装置20の下方から現像ケース23rに当接して現像装置23(プロセスカートリッジ20)を支持する。ここで、支持部材120のガイド部121は、現像ケース23rの底面の形状に合わせて面接触するように平面状に形成されているために、現像ケース23rは所定方向(水平方向であって、図6の左右方向である。)にスライド可能に支持されることになる。
なお、図4及び図5において、他方の側板112に固設されたピン(吊持部)や、他方の側板112の近傍に設置された支持部材、の図示は省略している。
【0052】
図4及び図5を参照して、調整器具100には、感光体ドラム21や帯電部22、クリーニング部25等が組み付けられておらず現像装置23の主要な部品のみが組み付けられた状態のプロセスカートリッジ20がセットされる(図4の状態から図5の状態へのプロセスカートリッジ20の装着である。)。このとき、面板80に対して現像ケース23rや軸受90a、90bは、ネジ86等によって仮止めされている。また、調整器具100にプロセスカートリッジ20がセットされると、ネジ85が面板80に形成された穴部を介して側板111の雌ネジ部に螺合されて、調整器具100からのプロセスカートリッジ20の幅方向の脱落が防止される。
また、図4に示すように、調整器具100へのプロセスカートリッジ20のセットと同時に、調整器具100の支軸117には現像ギャップ測定器具150がセットされる。すなわち、プロセスカートリッジ20の感光体ドラム21の位置に現像ギャップ測定器具150がセットされる(図6等をも参照できる。図5では図示を省略している。)。現像ギャップ測定器具150には、3つの位置(幅方向両端部と幅方向中央部とである。)に接触式変位センサ151aが設置されていて、この接触式変位センサ151aを用いて現像ギャップPG1、PG2が測定・検査される(図7を参照できる。)。
【0053】
このように、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ20(作像装置)の調整器具100は、現像ケース23rを水平方向にスライド可能に支持する支持部材120が設けられている。これにより、工場での製造工程においてプロセスカートリッジ20の現像ギャップPG1、PG2を調整する場合に、プロセスカートリッジ20の重量によって現像ギャップPG1、PG2が高精度に調整できないという不具合が生じるのを軽減することができる。
【0054】
ここで、本実施の形態における調整器具100は、図6を参照して、2つの現像ローラ23a1、23a2及び感光体ドラム21の回転軸に直交する平面でみたときに、2つの現像ローラ23a1、23a2の回転中心同士を結ぶ仮想線分の中点と支持部材120の支持面(ガイド部材121と現像ケース23rとの当接面である。)の中心とを通る仮想直線S1が、支持部材120上を現像ケース23rがスライドする水平方向(図6の左右方向である。)に引かれた仮想直線に対してなす角度θが45±15度になるように形成されている。換言すると、支持部材120は、角度θが45±15度になる位置に配設されている。なお、図6や図7において面板80は破線で示しており、図6において位置Zは現像装置23の重心の位置を示している。
また、本実施の形態においては、2つの現像ローラ23a1、23a2及び感光体ドラム21の回転軸に直交する平面でみたときに、感光体ドラム21の回転軸と、2つの現像ローラ23a1、23a2の回転中心同士を結ぶ仮想線分の中点と、を通る仮想直線S0と、上述した仮想直線S1と、がなす角度αも45±15度になるように設定されている。
なお、上述した角度θは、図6に示すように現像ローラ23a1、23a2や支持部材120が感光体ドラム21に対して左方にあるような断面でみたときに、支持部材120上を現像ケース23rがスライドする水平方向(図6の左右方向である。)に引かれた仮想直線に対して仮想直線S1が反時計方向になす角度である。
【0055】
このように角度θ(又は角度α)が45±15度になる位置に、支持部材120を配設することで、調整器具100に設置されたプロセスカートリッジ20の現像ギャップPG1、PG2の調整・検査を高精度に効率よくおこなうことができる。
以下、その理由について詳述する。
図8(A)及び図8(B)に示す調整器具100は、それぞれ、角度θ(又は角度α)が45±15度にならない位置に、支持部材120が配設されている。
具体的に、図8(A)の調整器具100は、仮想直線S0(感光体ドラム21の回転軸と、2つの現像ローラ23a1、23a2の回転中心同士を結ぶ仮想線分の中点と、を通る仮想直線である。)の線上に近い位置に支持部材120が配設されている。支持部材120のガイド部121は、現像ケース23rの前ケース(又は後ケース)に設けられた凸部に当接している。したがって、現像ケース23rは水平方向に位置決め自由度をもつことになり(水平方向にスライド可能に構成されていることになり)、上下の現像ローラ23a1、23a2の回転軸位置の調整方向にほぼ近い方向に対して現像ケース23rの自由度が確保されることになる。しかし、このような支持部材120の位置では、一方の現像ローラの軸位置(現像ギャップ)が調整作業によって固定されて、他方の現像ローラの軸位置(現像ギャップ)をさらに調整させるという作業がおこなわれる場合に、その調整方向は、固定された側の軸位置を中心として現像ケース23rが回転する方向の変位となる。この変位の方向は、現像ケース23rと支持部材120との当接において拘束される方向に近い方向になってしまうことがあるために、現像ギャップの調整作業が阻害される要因となってしまう。例えば、第1の現像ローラ23a1の位置を基準にして第2の現像ローラ23a2を感光体ドラム21の中心軸側に近づける方向に調整する場合等には、このような不具合が無視できないものになる。
【0056】
図8(B)の調整器具100は、現像装置23の重心Zのほぼ下方の位置に支持部材120が配設されている。このような支持部材120の位置では、現像ケース23rが回転方向のバランスにおいて支持部材120との当接点を中心として時計方向・反時計方向に微妙なバランスで釣り合うことになる。このような状態では微小な外力が加わることにより簡単に現像ケース23rの傾き方向が変化してしまうために、現像ギャップの調整・測定(主として、調整→測定→再調整→締結→再測定の手順で作業がおこなわれる。)をおこなう際に、軸受90a、90bと面板80との間に生じるガタや、現像ローラ23a1、23a2の軸部と軸受90a、90bとの間に生じるガタ、の寄り方向が一定しないという現象が生じて、現像ギャップの調整作業が安定的にできなくなってしまう。
【0057】
これに対して、本実施の形態における調整器具100は、角度θ(又は角度α)が45±15度になる位置に支持部材120を配設しているために、上述した不具合が軽減されることになる。具体的に、一方の現像ローラの軸位置(現像ギャップ)が調整作業によって固定されて、他方の現像ローラの軸位置(現像ギャップ)をさらに調整させるという作業がおこなわれる場合に、現像ケース23rの回転方向の変位が生じても、現像ケース23rが支持部材120との支持面(当接面)において拘束されることなく現像ケース23rが水平方向にスライド移動することになって、現像ギャップの調整作業が安定的におこなわれる。また、支持部材120は現像装置23の重心Zの下方の位置から離れた位置に配設されているため、調整中のプロセスカートリッジ20に微小な外力が加わっても現像ケース23rの傾き方向が変化してしまうことがなく、軸受90a、90bと面板80との間に生じるガタや、現像ローラ23a1、23a2の軸部と軸受90a、90bとの間に生じるガタ、の寄り方向が一定して、現像ギャップの調整作業が安定的におこなわれる。
【0058】
ここで、本実施の形態における調整器具100において、上述したように現像ギャップの調整時に現像ケース23rが水平方向にスライド移動する場合がある。このような場合には、支持部材120の支持面において、現像ケース23rの重量とともに、現像ケース23rの回転方向の変位によるモーメント力がかかることになる。このように、現像ケース23rの重量やモーメントによりかかる力は支持部材120の支持面の面圧を増加させて摺動抵抗になる。したがって、現像ギャップの微小な調整を高精度におこなうためには、支持部材120の支持面において現像ケース23rがスムーズにスライド移動するように構成することが望ましい。
したがって、本実施の形態では、支持部材120(ガイド部121)の支持面を低摩擦材料で形成している。具体的には、ガイド部121の支持面にフッ素樹脂をコーティングしている。また、現像装置23の現像ケース23rの当接面(支持部材120との当接面である。)を低摩擦材料で形成することも望ましい。
【0059】
図9及び図10は、支持部材120の支持面において現像ケース23rがスムーズにスライド移動するように、本実施の形態における調整器具100(又はプロセスカートリッジ20)をさらに改良したものである。
図9におけるプロセスカートリッジ20は、現像ケース23rの当接部(支持部材と120の当接部である。)を半球状に形成している。これにより、支持部材120と現像ケース23rとは面接触ではなく点接触することになり、支持部材120と現像ケース23rとの摺動抵抗が低くなる。
図10(A)及び図10(B)における調整器具100の支持部材120には、現像ケース23r(前ケース又は後ケース)に接触するコロ部材122が設けられている。すなわち、支持部材120のガイド部に、現像ケース23rのスライド方向に直交する方向に回転軸をもつコロ部材122(例えば、ラジアル玉軸受である。)が設置されている。これにより、現像ケース23rは、コロ部材122の回転によってスムーズにスライド移動することになる。
【0060】
繰り返しになるが、本実施の形態における調整器具100は、上述したように、2つの現像ローラ23a1、23a2及び感光体ドラム21の回転軸に直交する平面でみたときに、2つの現像ローラ23a1、23a2の回転中心同士を結ぶ仮想線分の中点と支持部材120の支持面の中心とを通る仮想直線S1が、支持部材120上を現像ケース23rがスライドする方向に引かれた仮想直線に対してなす角度θが45±15度になるように形成されている。そして、このように角度θが45±15度になる位置に支持部材120を配設することで、2つの現像ギャップPG1、PG2の調整を効率的に高精度におこなうことができる。
ここで、このような角度θの範囲が限定されることによる効果は、本実施の形態における感光体ドラム21と現像ローラ23a1、23a2との位置関係を有するプロセスカートリッジ20に対してのみ限定して発揮されることなく、例えば、図11(A)や図11(B)に示すような感光体ドラム21と現像ローラ23a1、23a2との位置関係を有するプロセスカートリッジ20のように、種々の形態のプロセスカートリッジに対しても発揮されるものである。すなわち、2つの現像ローラ23a1、23a2及び感光体ドラム21の回転軸に直交する平面でみたときに、2つの現像ローラ23a1、23a2の回転中心同士を結ぶ仮想線分の中点と支持部材120の支持面の中心とを通る仮想直線S1が、支持部材120上を現像ケース23rがスライドする方向に引かれた仮想直線に対してなす角度θが45±15度になるように支持部材120を配設することで、2つの現像ギャップPG1、PG2の調整を効率的に高精度におこなうことができる。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ20(作像装置)の調整器具100は、プロセスカートリッジ20の現像ケース23rを水平方向(所定方向)にスライド可能に支持する支持部材120が設けられている。これにより、工場での製造工程においてプロセスカートリッジ20の現像ギャップPG1、PG2を調整する場合等に、プロセスカートリッジ20の重量によって現像ギャップPG1、PG2が高精度に調整できないという不具合が生じるのを軽減することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、作像装置としてのプロセスカートリッジ20の一部が調整器具100にセットされて現像ギャップの調整・検査をおこなうように構成したが、作像装置としてのプロセスカートリッジ20の全部が調整器具100にセットされて現像ギャップの調整・検査をおこなうように構成することもできる。
また、本実施の形態では、現像ケース23rが支持部材120上を水平方向にスライド移動するように構成したが、現像ケース23rが支持部材120上を水平方向に対してある程度傾斜した方向にスライド移動するように構成することもできる。
そして、それらの場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、本実施の形態では、調整器具100を工場における製造工程時に現像ギャップを調整・検査する器具として用いたが、調整器具100を市場におけるメンテナンス時に現像ギャップを調整・検査する器具として用いることもできる。
【0064】
また、本実施の形態では、現像ローラが2つ設置されたプロセスカートリッジ20の現像ギャップを調整する調整器具に対して本発明を適用したが、現像ローラが3つ以上設置された作像装置の現像ギャップを調整する調整器具に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、剤カートリッジ28から現像装置23に向けて現像剤G(トナーT及びキャリアC)を供給したが、カートリッジからキャリアCのみを現像装置23に向けて供給することもできる。その場合、トナーのみが収容されたトナーカートリッジを剤カートリッジ(キャリアカートリッジ)とは別に設置して、磁気センサ26の検知結果に基いてトナーカートリッジに収容されたトナーを現像装置23に向けて適宜に補給することになる。さらに、キャリアの補給をおこなわずにカートリッジからトナーのみを供給する、プレミックス現像方式ではない現像装置に対しても本発明を適用することができる。
さらには、1成分現像剤方式(キャリアを用いずにトナーのみを用いる現像方式である。)の現像装置を有する作像装置であって、複数の現像ローラを感光体ドラムに対して所定の現像ギャップをあけて配設する作像装置が、セットされる調整器具に対しても本発明を適用することができる。
【0065】
また、本実施の形態では、上下方向に搬送スクリュ23b1、23b2が設置された現像装置に対して本発明を適用したが、複数の搬送スクリュが水平方向に設置された現像装置(特許文献2等参照)や、現像剤を長手方向に搬送する第1搬送スクリュ23b1の代わりに現像剤を短手方向に搬送するパドル状の現像剤搬送部材が設置された現像装置、等に対しても本発明を適用することができる。
【0066】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置(装置本体)、
20、20Y、20C、20M、20BK プロセスカートリッジ(作像装置)、
21 感光体ドラム(像担持体)、
23 現像装置、
23a1、23a2 現像ローラ、
23r 現像ケース、
80 面板(保持部材)、
100 調整器具(作像装置の調整器具)、
120 支持部材、
121 ガイド部、
122 コロ部材、
130a、130b ピン(吊持部)、
150 現像ギャップ測定器具、
PG1、PG2 現像ギャップ(ギャップ)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特開平11−38722号公報
【特許文献2】特開平8−152781号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体に対向して前記像担持体上に形成される潜像を現像する複数の現像ローラと、を具備することになる作像装置の一部又は全部が設置されるとともに、前記像担持体と前記現像ローラとのギャップを調整するための作像装置の調整器具であって、
前記作像装置は、
前記複数の現像ローラを内包する現像ケースと、
前記ギャップを調整できるように前記複数の現像ローラが保持されるとともに、前記現像ケースと前記像担持体とが保持される保持部材と、
を具備し、
前記作像装置の前記保持部材を吊持する吊持部と、
前記作像装置の前記現像ケースを所定方向にスライド可能に支持する支持部材と、
を備えたことを特徴とする作像装置の調整器具。
【請求項2】
前記複数の現像ローラは、2つの現像ローラであって、
前記2つの現像ローラ及び前記像担持体の回転軸に直交する平面でみたときに、前記2つの現像ローラの回転中心同士を結ぶ仮想線分の中点と前記支持部材の支持面の中心とを通る仮想直線が、前記支持部材上を前記現像ケースがスライドする前記所定方向に引かれた仮想直線に対してなす角度が45±15度になるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の作像装置の調整器具。
【請求項3】
前記支持部材上を前記現像ケースがスライドする前記所定方向が水平方向になるように形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作像装置の調整器具。
【請求項4】
前記支持部材は、その支持面が低摩擦材料で形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の作像装置の調整器具。
【請求項5】
前記支持部材は、前記現像ケースに接触するコロ部材を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の作像装置の調整器具。
【請求項6】
前記支持部材と前記作像装置の前記現像ケースとの摺動抵抗が低くなるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の作像装置の調整器具。
【請求項7】
前記支持部材は、前記複数の現像ローラ及び前記像担持体の回転軸方向に対応する前記現像ケースの幅方向の端部に接触するように配設されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の作像装置の調整器具。
【請求項8】
前記支持部材は、前記現像ケースに対して接離可能に構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の作像装置の調整器具。
【請求項9】
前記作像装置の前記保持部材は、前記複数の現像ローラ及び前記像担持体の回転軸方向端部と、前記現像ケースの幅方向端部と、を保持する面板であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の作像装置の調整器具。
【請求項10】
前記作像装置の前記現像ケースは、前記像担持体と前記現像ローラとの前記ギャップが調整された後に前記保持部材に固定保持されることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の作像装置の調整器具。
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体に対向して前記像担持体上に形成される潜像を現像する複数の現像ローラと、を具備することになる作像装置の一部又は全部が設置されるとともに、前記像担持体と前記現像ローラとのギャップを調整するための作像装置の調整器具であって、
前記作像装置は、
前記複数の現像ローラを内包する現像ケースと、
前記ギャップを調整できるように前記複数の現像ローラが保持されるとともに、前記現像ケースと前記像担持体とが保持される保持部材と、
を具備し、
前記作像装置の前記保持部材を吊持する吊持部と、
前記作像装置の前記現像ケースを所定方向にスライド可能に支持する支持部材と、
を備えたことを特徴とする作像装置の調整器具。
【請求項2】
前記複数の現像ローラは、2つの現像ローラであって、
前記2つの現像ローラ及び前記像担持体の回転軸に直交する平面でみたときに、前記2つの現像ローラの回転中心同士を結ぶ仮想線分の中点と前記支持部材の支持面の中心とを通る仮想直線が、前記支持部材上を前記現像ケースがスライドする前記所定方向に引かれた仮想直線に対してなす角度が45±15度になるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の作像装置の調整器具。
【請求項3】
前記支持部材上を前記現像ケースがスライドする前記所定方向が水平方向になるように形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作像装置の調整器具。
【請求項4】
前記支持部材は、その支持面が低摩擦材料で形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の作像装置の調整器具。
【請求項5】
前記支持部材は、前記現像ケースに接触するコロ部材を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の作像装置の調整器具。
【請求項6】
前記支持部材と前記作像装置の前記現像ケースとの摺動抵抗が低くなるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の作像装置の調整器具。
【請求項7】
前記支持部材は、前記複数の現像ローラ及び前記像担持体の回転軸方向に対応する前記現像ケースの幅方向の端部に接触するように配設されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の作像装置の調整器具。
【請求項8】
前記支持部材は、前記現像ケースに対して接離可能に構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の作像装置の調整器具。
【請求項9】
前記作像装置の前記保持部材は、前記複数の現像ローラ及び前記像担持体の回転軸方向端部と、前記現像ケースの幅方向端部と、を保持する面板であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の作像装置の調整器具。
【請求項10】
前記作像装置の前記現像ケースは、前記像担持体と前記現像ローラとの前記ギャップが調整された後に前記保持部材に固定保持されることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の作像装置の調整器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−169717(P2010−169717A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9558(P2009−9558)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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