説明

作業機械のエンジンルーム構造

【課題】エンジン等の冷却効率の向上を図りつつ騒音をより低減することのできる作業機械のエンジンルーム構造を提供する。
【解決手段】熱交換器1、冷却ファン2およびエンジン3を収納してなるエンジンルーム4を備える作業機械のエンジンルーム構造であって、エンジンルーム4を、熱交換器1を隔壁として箱状の二室4a,4bに分割し、この分割された二室4a,4bのそれぞれに、エンジンルーム4の内側と外側とを繋ぐ空気口8b,8c,8d,30b;8a,10a,30aを設け、前記二室4a,4bのうち冷却ファン2とエンジン3とが配される一室側4aに、熱交換器1と当該一室側4aの空気口8b,8c,8d,30bとを結ぶ方向に沿って、板材16,22,25,36の両面あるいは片面に吸音材17,23,26,37を装着してなる吸音ブレード15,20,24,35を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の作業機械のエンジンルーム構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン等の冷却効率の向上を図りつつ騒音低減を図るようにされた建設機械が、例えば特許文献1にて提案されている。この特許文献1に係る建設機械においては、エンジンやラジエータ冷却用のファンなどが収容されるエンジンルームの上面部を構成するボンネット(エンジンフード)の内面に吸音材を貼り付けるとともに、この吸音材と前記エンジンとの間に空気流路を形成することにより、エンジン音やファン音、風切り音等の騒音をその吸音材で吸収するようにされている。また、前記空気流路を通過した空気を放出させるための開口を前記ボンネットにおけるエンジンの反ファン側よりも後方位置に設けることにより、エンジンルーム内の熱気を効率良く排出するようにされている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−201720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に係る建設機械では、エンジン音やファン音、風切り音等の騒音をボンネットの内面に貼り付けられた吸音材の下側一面のみで吸収する構成とされているために、吸音量が少なく、騒音低減を十分に図ることができないという問題点がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、エンジン等の冷却効率の向上を図りつつ騒音をより低減することのできる作業機械のエンジンルーム構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明による作業機械のエンジンルーム構造は、
熱交換器、冷却ファンおよびエンジンを収納してなるエンジンルームを備える作業機械のエンジンルーム構造であって、
前記エンジンルームを、前記熱交換器を隔壁として箱状の二室に分割し、
この分割された二室のそれぞれに、前記エンジンルームの内側と外側とを繋ぐ空気口を設け、
前記二室のうち前記冷却ファンとエンジンとが配される一室側に、前記熱交換器と当該一室側の前記空気口とを結ぶ方向に沿って、板材の両面あるいは片面に吸音材を装着してなる吸音ブレードを設けることを特徴とするものである(第1発明)。
【0007】
本発明において、前記エンジンルームの上部にエンジンフードを設け、前記吸音ブレードは、前記エンジンフードまたはそのエンジンフードを支える上部フレームに支持されているのが好ましい(第2発明)。
【0008】
また、本発明において、前記エンジンルームの下部に、前記エンジンが載置される主フレームと、当該エンジンルームの下側を覆うアンダカバーとを有し、前記吸音ブレードは、前記主フレームまたはアンダカバーに取着されているのが好ましい(第3発明)。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、冷却ファンの駆動により生じるエンジンルーム内の空気の流れに沿って配置される板材とその板材の両面あるいは片面に装着される吸音材とを備えてなる吸音ブレードがエンジンの周囲に配置されるので、この吸音ブレードが整流効果を生み、エンジンルーム内の熱気を効率よく排出することができて冷却効率の向上を図ることができ、また吸音材による吸音面を従来よりも増加することができて騒音をより低減することができる。ここで、エンジンルームの上部に設けられるエンジンフードまたはそのエンジンフードを支える上部フレームに吸音ブレードが吊り下げ支持される構成を採用することにより、エンジンの透過音を効果的に抑制することができる。また、例えば、油圧ショベルにおいて、エンジン下方のオイルパン近傍には、エンジンの整備性確保のために、エンジンにアクセスし易いよう所要の空間が設けられている。さらに、エンジン下方の空間は主フレーム(作業機フレーム)を構成する縦板に挟まれた空間であり、またオイルパン形状もエンジンオイルを効率よく蓄える略直方体形状であって、当該空間では空気の流れを非常に乱している。したがって、エンジン下方に空気の流れる方向に沿って吸音ブレードを配置することによって、より高い吸音効果が得られるとともに、通気抵抗の大幅な削減を図ることができる。なお、エンジン下方に吸音ブレードを配置するにあたっては、エンジン整備時の作業性を損なわないようにするために、主フレームまたはアンダカバーに吸音ブレードを着脱可能な構造とするのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明による作業機械のエンジンルーム構造の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態は、作業機械として油圧ショベルに本発明が適用された例であるが、それ以外の作業機械のエンジンルーム構造に適用できるものである。
【0011】
図1には、本発明の一実施形態に係るエンジンルームの概略構造説明図で、上部旋回体の後方よりその内部を見た図(a)および(a)におけるA−A視断面図(b)がそれぞれ示されている。また、図2には、上部旋回体の左方より見たエンジンルーム内の構造の要部を表わす図が示されている。
【0012】
本実施形態において、熱交換器1や冷却ファン2、エンジン3等が収容されるエンジンルーム4は、油圧ショベルにおける上部旋回体の後部寄りに設けられており、上部旋回体の略中心部に配される主操作弁5とエンジン3とを仕切る隔壁6と、上部旋回体の後端部に取着されるカウンタウエイト7の内側壁面と、上部旋回体の上部に配される外装パネル30と、上部旋回体の下面側に配されるアンダカバー9と、上部旋回体の左側部および右側部にそれぞれ配される左サイドカバー10および右サイドカバー11とに取り囲まれて概略箱体形状に形成されている。
【0013】
ところで、前記外装パネル30は、その上部に開閉可能なエンジンフード8を取り付けるために、一部が開口された構造となっており、その開口部の周囲に上部フレーム31が設けられている。この上部フレーム31は、エンジンフード8の重量を支えるとともに、外装パネル30の変形を防止する役割を持っている。この上部フレーム31には、エンジンフード8の開閉のためのヒンジ部38が設けられている。なお、エンジンフード8は、前記エンジン3の上方部に、平面視において、ほぼエンジン3を囲うように取り付けられている。
【0014】
前記エンジンルーム4内には、上部旋回体の主要構成部材であって作業機(図示省略)を支持する作業機フレーム12を構成する一対の縦板12a,12a(本発明の「主フレーム」に対応する。)が、前記隔壁6を貫くように設けられている。また、前記縦板12a,12aから図1の左右に前記アンダカバー9等が設けられている。なお、本発明における「主フレーム」は、後述するようにエンジン3を支持する構造部材であればよく、本実施形態の作業機フレーム12に限定されるものではない。
【0015】
前記エンジン3は、図1(a)に示されるように、前記一対の縦板12a,12aの上方位置でその前部を上部旋回体の左側に向けて配置され、エンジンマウント(図示省略)を介してその一対の縦板12a,12aに支持されている。このエンジン3の前部側には前記冷却ファン2が回転可能に取り付けられ、後部側には油圧ポンプ13が取り付けられ、これら冷却ファン2および油圧ポンプ13はいずれもエンジン3により回転駆動されるようになっている。このエンジン3の下部には、エンジン3の後方に向けて傾斜する傾斜面を有する船底形状のオイル溜め部が形成されてなるオイルパン3aが取り付けられている。ここで、このオイルパン3aは、そのオイル溜め部が前記一対の縦板12a,12aの間に挟まれる位置関係となっている。
【0016】
前記熱交換器1は、ラジエータやオイルクーラ、アフタークーラ、燃料クーラ、エアコンディショナ用コンデンサ等を総称するものであって、前記冷却ファン2の前方にファンシュラウド14を介して配置されている。この熱交換器1は、図1の左側に偏った位置において、アンダカバー9やエンジンルーム4の側壁側に設けられた取付金具32等により固設されている。この熱交換器1の取付金具32等は、熱交換器1の図1において右側および左側の空気の流れを阻止する目的で、隙間が生じない構造をとっている。また、熱交換器1の上部においては、前記エンジンフード8が開閉自在に設けられているため、ゴム等の弾性体33を熱交換器1に直接または熱交換器1の取付金具の周囲に設けることにより、エンジンルーム4内での図1において左右間の空気の流れを阻止している。このような構成とすることで、熱交換器1がエンジンルーム4内で隔壁の役割を果たし、エンジンルーム4内で図1において左右の空気の流れを効率良く受けることから、熱交換器1の冷却効率を高めることができる。
【0017】
本実施形態において前記エンジンルーム4は、熱交換器1を隔壁として箱状の二室4a,4bに分割されており、この分割された二室4a,4bのうち、冷却ファン2とエンジン3とが配される一室側4aには、エンジンルーム4の内側と外側とを繋ぐ空気口としての排気口8b,8c,8d,30bが設けられ、他室側4bには、エンジンルーム4の内側と外側とを繋ぐ空気口としての吸気口8a,10a,30aが設けられる。
【0018】
ここで、前記空気口の配置について、より詳細に説明する。前記エンジンフード8の一端部(エンジン3の前方向側端部)には所要の小孔が穿設されて吸気口8aが形成され、前記左サイドカバー10にはルーバ状の吸気口10aが形成され、外装パネル30の一側(エンジン3の前方側)には所要の小孔が穿設されて吸気口30aが形成され、これら吸気口8a,10a,30aからエンジンルーム4内に外気が取り込まれるようになっている。また、前記エンジンフード8の中間部および他端部にもそれぞれ所要の小孔が穿設されており、熱交換器1による熱交換が行われた後の空気をエンジンルーム4内からそのエンジンフード8の上方に向けて排出するための排気口8b,8c,8dがそれぞれ形成されている。さらに、外装パネル30の他側(エンジン3の後方側)にも所要の小孔が穿設されて排気口30bが形成され、この排気口30bからも熱交換後の空気が排出されるようになっている。
【0019】
前記エンジン3のオイルパン3aの近傍には、図2に示されるように、そのオイルパン3aを挟み込むように配される一対の吸音ブレード15,15と、オイルパン3aの直下においてその一対の吸音ブレード15,15に挟まれるように配される同様の吸音ブレード15とが設けられている。各吸音ブレード15は、図1(a)に示されるように、オイルパン3aに干渉しないようにそのオイルパン3aの形状に沿わせた形状とされており、同図(b)に示されるように、冷却ファン2の回転により生じるエンジンルーム4の下部における空気の流れを整流する板材16と、この板材16の少なくとも片側一面に装着される吸音材17とを備えて構成されている。
【0020】
前記板材16は、その長さ方向をエンジン3の前後方向に一致させるとともに、その幅方向をオイルパン3aに向けた状態で、前記一対の縦板12a,12aの間に架設されている。こうして、熱交換器1を通過後にエンジン3の下方に流れ込んできた空気を整流して後流側へと案内するようにされている。また、この板材16は、吸音ブレード15全体がアンダカバー9のやや上方に浮かせた状態で配置されるように、前記一対の縦板12a,12aの間に架設されている。こうして、吸音材17とアンダカバー9との間に所要の隙間t(図1(b)参照)を設けることにより、万一、オイルパン3aからのオイル漏れや雨水によってアンダカバー9上にオイルや水が溜まったとしても、吸音材17がそのアンダカバー9上のオイルや水に浸ることがないようにされている。さらに、この板材16の両端部は一対の縦板12a,12aの内側面に固定される一対のL字状金具18,18′にボルト19によって締着されており、そのボルト19の着脱によって吸音ブレード15の着脱が行えるようになっている。こうして、エンジン3の整備時には吸音ブレード15を容易に取り外すことができて、作業性が損なわれることがないようにされている。なお、図示による説明は省略するが、アンダカバー9において、エンジン3に対応する部位は着脱可能な構造となっており、かかる部位を取り外すことによって、エンジン3の下部(オイルパン3a)に容易にアクセスすることができる。
【0021】
前記吸音材17は、PET(ポリエチレンテレフタレート)不織布を主材として構成されるものであって(後述の吸音材23,26,37についても同様)、前記板材16の右側面または左側面あるいは左右両側面にそれぞれ接着剤等の固着手段によって固着されている。
【0022】
このように、本実施形態では、空気の流れが非常に乱れているオイルパン3a近傍の空間に整流機能と吸音機能とを兼備する吸音ブレード15が配置されているので、より高い吸音効果が得られるとともに、通気抵抗の大幅な削減を図ることができ、低騒音化とヒードバランス温度の低減とをより効果的に図ることができる。
【0023】
なお、本実施形態においては、前記吸音ブレード15が一対の縦板12a,12aに取着されているが、前記吸音ブレード15をアンダカバー9に取着する態様もあり得る。この場合、前記板材16はアンダカバー9に取り付けられ、前記吸音材17はアンダカバー9との間に前述と同様に所要の隙間t(図1(b)参照)を設けてその板材16に装着される。
【0024】
前記エンジン3とエンジンフード8との間には、図2に示されるように、そのエンジンフード8に吊り下げ支持される吸音ブレード20が配されている。この吸音ブレード20は、エンジンフード8の内面から垂設される一対の脚部材21,21に固定されて水平に配置され、冷却ファン2の回転により生じるエンジンルーム4の上部における空気の流れを整流する板材22と、この板材22の少なくとも片側一面に装着される吸音材23とを備えて構成されている。ここで、前記吸音材23は、板材22の上面および下面にそれぞれ接着剤と結合ピン(図示省略)とを組み合わせた固着手段により固着されている。したがって、万一、接着剤が劣化して接着力が著しく低下したとしても、結合ピンによって吸音材23を保持することができ、吸音材23のエンジン3上への落下が防止される。
【0025】
前記カウンタウエイト7の内側には、エンジン3の左側面に対応するように所要の大きさの凹部7aが形成され、この凹部7a内には吸音ブレード24が上下方向に所要の間隔を存して所要の段数(本実施形態では3段)をもって配置されている。各吸音ブレード24は、エンジン3の前後方向に延びて冷却ファン2の回転により生じるエンジンルーム4の左側部における空気の流れを整流する板材25と、この板材25の両面(上下両面)に装着される吸音材26とを備えて構成されている。前記板材25は、その長さ方向をエンジン3の前後方向に一致させるとともに、その幅方向を水平方向に一致させた状態で、その一側辺部が前記凹部7aの内面に溶接等によって固着されている。また、前記吸音材26は、前記板材25の上面または下面あるいは上下両面にそれぞれ接着剤等の固着手段によって固着されている。
【0026】
このように、本実施形態においては、前記一室側4aに、熱交換器1と当該一室側4aの空気口(排気口8b,8c,8d,30b)とを結ぶ方向に沿って、吸音ブレード15,20,24が設けられている。つまり、吸音ブレード15,20,24の長手方向はエンジン3の前後方向(クランクシャフトの軸線方向)に沿って設けられることになり、冷却ファン2からエンジン3に向かい、エンジン3の周囲に流れる空気の流れをエンジン後部付近まで整えることができる。
【0027】
なお、本実施形態において、エンジンルーム4を構成する部材、すなわち隔壁6やカウンタウエイト7、エンジンフード8、アンダカバー9、左サイドカバー10、右サイドカバー11、外装パネル30等の部材の内側面には、図示されない吸音材が可能な限り貼り付けられている。
【0028】
以上に述べたように構成されるエンジンルーム4においては、冷却ファン2の回転により、吸気口8a,10a,30aから吸い込まれた空気が熱交換器1に導かれてその熱交換器1を通過する際に熱交換が行われる。熱交換が行われてファンシュラウド14を通過した空気は、主に、エンジン3の下方を流れる空気と、エンジン3の上方を流れる空気と、エンジン3の左側方を流れる空気とに分散される。
【0029】
エンジン3の下方を流れる空気は、オイルパン3a近傍に配置された吸音ブレード15,15,15によって整流されてエンジン3の後部位置にまで案内され、その後、上昇されて排気口8c,30bから排出される。ここで、エンジン3の下方を流れる空気が吸音ブレード15,15,15によって整流される際に、エンジン音やファン音、風切り音等の騒音が各吸音ブレード15における吸音材17,17にて吸収される。
【0030】
また、エンジン3の上方を流れる空気は、その一部が排気口8bから排出され、その残部は、エンジン3の上方において吊り下げ支持される吸音ブレード20の上側を流れる空気と下側を流れる空気とに分散されてその吸音ブレード20による整流作用を受けて後に、排気口8c,8dから排出される。ここで、吸音ブレード20による整流時に、エンジン音やファン音、風切り音等の騒音が、吸音ブレード20における吸音材23,23にて吸収される。
【0031】
なお、エンジン3からエンジンフード8に向けて直接的に発せられるエンジン音は、吸音ブレード20における下側の吸音材23にて吸収・遮断される。
【0032】
さらに、エンジン3の左側方を流れる空気は、カウンタウエイト7の凹部7a内に3段配置される吸音ブレード24によって整流されてエンジン3の後部位置にまで案内され、その後、上昇されて排気口8c,30bから排出される。ここで、エンジン3の左側方を流れる空気が3段配置の吸音ブレード24によって整流される際に、エンジン音やファン音、風切り音等の騒音が各吸音ブレード24における吸音材26,26にて吸収される。
【0033】
本実施形態によれば、整流機能を有するとともに、その両面に吸音面を有してなる吸音ブレード15,20,24がエンジン3の周囲に配置されるので、エンジンルーム4内の熱気を効率よく排出することができて冷却効率の向上を図ることができ、また吸音面を従来よりも増加することができて騒音をより低減することができる。
【0034】
なお、本実施形態において、前記吸音ブレード20に代えて、またはその吸音ブレード20と組み合わせて、図3に示されるような、エンジンフード8を支える上部フレーム31に支持される複数列(本例では3列)の吸音ブレード35を用いてもよい。この吸音ブレード35は、上部フレーム31にエンジン3の上方開口部を跨ぐように取着されたブラケット39に垂設され、冷却ファン2の回転により生じるエンジンルーム4の上部における空気の流れを整流する板材36と、この板材36の少なくとも片側一面に装着される吸音材37とを備えて構成され、熱交換器1と排気口8b,8c,8d,30bとを結ぶ方向に沿って配置されている。さらに、図示による説明は省略するが、前記吸音ブレード35を前記吸音ブレード20と同様に前記エンジンフード8に直接支持させる態様もあり得る。
【0035】
また、本実施形態において、前記吸音ブレード15は、エンジン3下部のオイルパン3aの形状に沿わせた形状とされているが、この形状に限定されるものではなく、かかる形状とは異なる形状であっても、空気の流れに逆らわないように配置することで、前述した効果と同様の効果を達成することができる。また、前記吸音材17,23,26,37の材質はPET材に限定されるものではなく、ウレタンフォーム等によっても吸音効果を奏することは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンジンルームの概略構造説明図で、上部旋回体の後方よりその内部を見た図(a)および(a)におけるA−A視断面図(b)
【図2】上部旋回体の左方より見たエンジンルーム内の構造の要部を表わす図
【図3】吸音ブレードの他の配置例を表わす図
【符号の説明】
【0037】
1 熱交換器
2 冷却ファン
3 エンジン
3a オイルパン
4 エンジンルーム
8 エンジンフード
8a,10a,30a 吸気口
8b,8c,8d,30b 排気口
9 アンダカバー
12 作業機フレーム(主フレーム)
15,20,24,35 吸音ブレード
16,22,25,36 板材
17,23,26,37 吸音材
31 上部フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器、冷却ファンおよびエンジンを収納してなるエンジンルームを備える作業機械のエンジンルーム構造であって、
前記エンジンルームを、前記熱交換器を隔壁として箱状の二室に分割し、
この分割された二室のそれぞれに、前記エンジンルームの内側と外側とを繋ぐ空気口を設け、
前記二室のうち前記冷却ファンとエンジンとが配される一室側に、前記熱交換器と当該一室側の前記空気口とを結ぶ方向に沿って、板材の両面あるいは片面に吸音材を装着してなる吸音ブレードを設けることを特徴とする作業機械のエンジンルーム構造。
【請求項2】
前記エンジンルームの上部にエンジンフードを設け、
前記吸音ブレードは、前記エンジンフードまたはそのエンジンフードを支える上部フレームに支持されている請求項1に記載の作業機械のエンジンルーム構造。
【請求項3】
前記エンジンルームの下部に、前記エンジンが載置される主フレームと、当該エンジンルームの下側を覆うアンダカバーとを有し、
前記吸音ブレードは、前記主フレームまたはアンダカバーに取着されている請求項1に記載の作業機械のエンジンルーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−85010(P2007−85010A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271580(P2005−271580)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】