説明

作業機械の位置計測システム

【課題】作業機械の位置計測システムにおいて、作業機械の3次元空間での位置と姿勢及びモニタポイントの絶対位置を演算、表示する際に、車体が静止した状態にあるときは表示のふらつきを低減し、車体が静止した状態にないときは表示の追従性の低下を抑え、ひいては作業効率を向上させる。
【解決手段】GPSアンテナ31,32の3次元位置に基づいて上部旋回体3の位置及び姿勢をグローバル座標系の値で求め、この値のローパスフィルタリング処理を行う。このとき、油圧ショベル1が旋回又は走行をしている場合は、ノイズ成分除去のための高いカットオフ周波数で、そうでない場合は、表示の変動を抑えるための低いカットオフ周波数でローパスフィルタリング処理を行う。この演算値を元に、モニタに地形に対する油圧ショベル1の位置関係を重ね合わせて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械の3次元空間における絶対位置と姿勢及び、当該作業機械に設定されたモニタポイントの3次元空間での絶対位置を演算する作業機械の位置計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建設施工現場においてGPS等の3次元位置計測装置を用いて走行式作業機械のモニタポイントの位置を計測し、作業管理を行うことがなされている。
【0003】
モニタポイントの代表例としては作業機械の作業装置の位置、例えば油圧ショベルのバケット先端位置がある。このバケットの先端位置を計測できれば、その計測データを予め設定した地形データや目標形状データと照合することにより施工中の作業進行状況を把握でき、施工中の管理が行える。また、施工後も、計測データから出来形データ(例えば掘削地形データ)を生成することで、施工管理が行える。このような位置計測システムの従来技術として、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0004】
特許文献1に記載の技術は、油圧ショベルの上部旋回体上に2個のGPSアンテナを設置し、このGPSアンテナの位置情報と、ブーム、アーム及びバケットの回転角度を検出する回転角センサの角度情報とからバケットの3次元空間での絶対位置を演算するものである。
【0005】
特許文献1では、油圧ショベル等の作業機械の3次元位置及び作業機の方向と3次元の目標地形とを比較し、作業機の向いている方向を通過する縦断面の平面と3次元の目標地形との3次元上の交線を演算し、その交線を運転室内に設置した表示装置に車体と作業機とを同一画面上に表示することにより、目標の掘削面をガイダンスする装置を提案している。
【0006】
【特許文献1】特開2001−98585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1記載の従来技術では、バケットの3次元空間での位置を演算するために、2個のGPSアンテナが受信した信号に基づいてそれぞれのGPS受信機により2個のGPSアンテナが位置する上部旋回体上の2点の位置をRTK(Real Time Kinematic)計測し、この計測された上部旋回体上の2点の位置から、油圧ショベルの位置と姿勢を表す車体座標系を求め、ブーム、アーム及びバケットに取り付けられた回転角センサの角度情報などを組み合わせて、バケットの3次元空間での絶対位置を演算している。
【0008】
ところで、3次元位置計測装置であるGPSを用いて行うRTK計測では、天候や地形等の影響により計測状態が変化する。この計測状態には、FIX(約±1〜2cmの精度)、FLOAT(〜約±10cmの精度)、DGPS(〜±mの精度)等がある。FIXは正規の計測状態であり、FLOAT、DGPS等は正規の計測状態が得られない場合である。しかし、正規の計測状態(FIX)であっても、捕捉しているGPS衛星の配置や電離層の影響等によって、±1〜2cmの範囲で計測結果にバラツキが生じる。このため、当然、このGPSの計測結果に基づいて演算される車体座標系の値にもバラツキが生じることになるが、上記従来技術のように、複数のGPSを用いて演算する場合は、演算結果に与える影響がより大きく、操作レバーを操作せず車体が静止した状態においても、画面上に表示される油圧ショベルがふらついて表示されてしまうことになる。
【0009】
例えば、特許文献1記載のように油圧ショベルの上部旋回体上に2個のGPSアンテナを設置して油圧ショベルの車体座標系を求める場合、2個のGPSアンテナの位置の計測値は、それぞれ、±1〜2cmの範囲で変動するため、2個のGPSアンテナの位置を結ぶ直線の方向(姿勢)は、それらの計測値の変動とともに変動する。この場合、その直線の方向(姿勢)の変動は、2個のGPSアンテナの位置の計測値が車体前後方向の反対方向にそれぞれ±2cm変動したときに最も大きい。2個のGPSアンテナの位置の計測値に基づいて演算された車体座標系の姿勢(方向)の変動は2個のGPSアンテナの位置を結ぶ直線の方向(姿勢)の変動に対応しており、2個のGPSアンテナの位置の計測値が車体前後方向の反対方向にそれぞれ±2cm変動したときに車体座標系の姿勢(方向)も最も大きく変動し、表示装置に表示される車体と作業機が最も大きくふらつくことになる。この場合、特に作業機のバケットは作業機先端に位置し、2個のGPSアンテナから遠い位置にあるため、バケットの位置及び姿勢の計測値の変動は拡大し、それに応じてバケットは大きくふらついて表示される。
【0010】
その結果、バケットと目標地形との位置合わせに時間が掛かったり、計画とは違う場所を掘削してしまう等、作業効率の低下を招くといった問題が生じてしまう。
【0011】
この不具合を解決する方法として、位置と姿勢の演算値を時間軸上で移動平均処理したり、ローパスフィルタリング処理を行って、数値の変動を抑えるような処理を行うことが考えられる。しかし、この場合は、走行中或いは旋回中など、車体の位置又は姿勢を変化させた状態で行う作業では、位置と姿勢に関する演算結果及び表示の追従性が低下するため、周囲の地形に対する作業機械(車体)の位置関係の把握に遅れが生じ、作業効率が低下してしまう。
【0012】
本発明の目的は、作業機械の3次元空間での位置と姿勢及び当該作業機械に設定されたモニタポイントの絶対位置を演算し、この演算結果に基づいて作業機械の画像を表示する際に、作業機械の車体が静止した状態にあるときは表示のふらつきを低減し、作業機械の車体が静止した状態にないときは表示の追従性の低下を抑え、ひいては作業効率を向上させることができる作業機械の位置計測システムを提供することにある。
【0013】
なお、本願明細書中において、「3次元空間の絶対位置」とは、作業機械の外部に設定された座標系により表現した位置のことであり、例えば3次元位置計測装置としてGPSを用いる場合は、GPSで高さの基準として用いる準拠楕円体に固定した座標系により表現した位置のことである。また、本願明細書では、この準拠楕円体に設定した座標系をグローバル座標系と呼ぶ。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、作業機械の車体に設置され、それぞれ3次元空間での絶対位置を計測する複数の3次元位置計測装置と、前記複数の3次元位置計測装置の計測値を用いて、前記3次元空間での作業機械の位置と姿勢及び当該作業機械に設定されたモニタポイントの絶対位置を演算する位置姿勢演算手段と、前記位置姿勢演算手段の演算結果に基づいて前記作業機械の画像や目標地形等の地形情報とを表示するモニタ表示装置とを有する作業機械の位置計測システムにおいて、前記作業機械の動作状態を判定する判定手段と、前記判定手段の検出結果に応じて前記位置姿勢演算手段で演算される作業機械の位置と姿勢の演算値を平滑処理する平滑処理手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記判定手段は、前記作業機械における車体の作動検出する検出器からの信号を取り込み、前記作業機械の車体の静止を判定し、前記平滑処理手段は、前記判定手段から静止判定に基づいて前記位置姿勢演算手段で演算される作業機械の位置と姿勢の演算値を平滑処理することを特徴とする。
【0016】
更に、第3の発明は、第1の発明において、前記判定手段は、前記作業機械の車体及びこの車体上の旋回体の作動検出する検出器からの信号を取り込み、前記作業機械の車体及び旋回体の静止を判定し、前記平滑処理手段は、前記判定手段から静止判定に基づいて前記位置姿勢演算手段で演算される作業機械の位置と姿勢の演算値を平滑処理することを特徴とする。
【0017】
また、第4の発明は、第1の発明において、前記判定手段は、前記複数の3次元位置計測装置によって計測した前回の計測値と現在の計測値に基づいて、前記作業機械の車体及び旋回体の静止を判定し、前記平滑処理手段は、前記判定手段から静止判定に基づいて前記位置姿勢演算手段で演算される作業機械の位置と姿勢の演算値を平滑処理することを特徴とする。
【0018】
更に、第5の発明は、第1の発明において、前記判定手段は、前記作業機械における車速を検出する検出器からの信号を取り込み、前記作業機械の動作状態を判定し、前記平滑処理手段は、前記判定手段から動作状態に基づいて前記位置姿勢演算手段で演算される作業機械の位置と姿勢の演算値を平滑処理することを特徴とする。
【0019】
また、第6の発明は、第1乃至第5の発明のいずれかにおいて、前記平滑処理手段は、時間軸上でローパスフィルタリング処理を行うフィルタ処理演算手段であることを特徴とする。
【0020】
更に、第7の発明は、第1乃至第5の発明のいずれかにおいて、前記平滑処理手段は、時間軸上でローパスフィルタリング処理を行うフィルタ処理演算手段であり、前記フィルタ処理演算手段は、前記判定手段の判定結果に基づいて前記作業機械の車体が静止した状態にあるときは、第1カットオフ周波数を用いてローパスフィルタリング処理を行い、前記作業機械の車体が静止した状態にないときは、前記第1カットオフ周波数より高い第2カットオフ周波数を用いてローパスフィルタリング処理を行うことを特徴とする。
【0021】
また、第8の発明は、第1乃至第5の発明のいずれかにおいて、前記平滑処理手段は、サンプリングを行う度に、その回のサンプリングデータを含めた過去の予め決められたサンプル数分のデータを平均し、これを現在のデータとして使用することにより演算値の平滑化を行う移動平均処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、作業機械の3次元空間での位置と姿勢及び当該作業機械に設定されたモニタポイントの絶対位置を演算し、この演算結果に基づいて作業機械の画像を表示する際に、作業機械の車体が静止した状態にあるときは表示のふらつきを低減し、作業機械の車体が静止した状態にないときは表示の追従性の低下を抑え、ひいては作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の作業機械の位置計測システムの実施の形態を、図面を用いて説明する。本実施の形態は、作業機械としてクローラ式の油圧ショベルに本発明を適用し、油圧ショベルのバケット先端にモニタポイントを設定した場合のものである。
【0024】
図1は、本発明の作業機械の位置計測システムの一実施の形態を搭載した油圧ショベルの外観を示す図である。
【0025】
図1において、1は油圧ショベルであり、油圧ショベル1は下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に設けられ、下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、上部旋回体3に設けられたフロント作業機4とからなり、フロント作業機4は上部旋回体3に上下方向に回転可能に設けられたブーム5と、ブーム5の先端に上下方向に回転可能に設けられたアーム6と、アーム6の先端に上下方向に回転可能に設けられたバケット7とで構成され、それぞれ、ブームシリンダ8、アームシリンダ9、バケットシリンダ10を伸縮することにより駆動される。上部旋回体3には運転室11が設けられている。
【0026】
また、油圧ショベル1には、上部旋回体3とブーム5との回転角(ブーム角度)を検出する角度センサ21、ブーム5とアーム6との回転角(アーム角度)を検出する角度センサ22、アーム6とバケット7との回転角(バケット角度)を検出する角度センサ23、上部旋回体3の前後方向の傾斜角(ピッチ角度)を検出する傾斜センサ24、上部旋回体3と下部走行体2との回転角(旋回角度)を検出する角度センサ26が設けられている。
【0027】
また、図1には示していないが、上部旋回体3の旋回操作時に生じるパイロット圧力(旋回パイロット圧力)を検出する圧力センサ27(図2参照)、下部走行体2の走行操作時に生じるパイロット圧力(走行パイロット圧力)を検出する圧力センサ28(図2参照)が設けられている。
【0028】
更に、油圧ショベル1には、GPS衛星からの信号を受信する2個のGPSアンテナ31,32、基準局からの補正データ(後述)を受信するための無線アンテナ33、位置データを送信する無線アンテナ34が設けられている。2個のGPSアンテナ31,32は上部旋回体3の旋回中心から外れた旋回体後部の左右に設置されている。
【0029】
図2は、本発明の作業機械の位置計測システムの一実施の形態の全体構成を示すブロック図である。
【0030】
図2において、200は本発明の位置計測システムの一実施の形態を示し、基準局からの補正データ(後述)をアンテナ33を介して受信する無線機41、この無線機41で受信した補正データを分配する分配機42、分配機42からの補正データとGPSアンテナ31,32により受信されるGPS衛星からの信号とに基づいてGPSアンテナ31,32の3次元位置をリアルタイムに計測するGPS受信機43,44、このGPS受信機43,44からの位置データと上記フロント作業機4の角度センサ21〜23、傾斜センサ24、旋回角度センサ26からの角度データ、パイロット圧力センサ27,28からの圧力データを入力し、集約するコントローラ45、これらの集約された各種データに基づき、油圧ショベル1の位置及び姿勢やバケット7の先端(モニタポイント)の位置を演算し、表示するモニタ画面46aを備えた車載コンピュータ46、車載コンピュータ46により演算された位置データをアンテナ34を介して送信するための無線機47を備えている。GPSアンテナ31とGPS受信機43、GPSアンテナ32とGPS受信機44はそれぞれ1セットのGPS(Global Positioning System)受信部を構成している。
【0031】
ここで、48はICカードであり、後述するサーバコンピュータで計画された作業範囲の原地形データや目標地形データなどが記憶されており、オペレータはシステム起動時にICカード48を車載コンピュータ46に接続してデータを入力する。そして、作業終了時には計測データをICカード48に記録し、サーバコンピュータに接続して計測データを入力し、施工管理に使用する。
【0032】
図3は、本発明の作業機械の位置計測システムに関連するGPS基準局としての役割を持つ事務所側システムの装置構成を示すブロック図である。
【0033】
図3において、51は油圧ショベル1及びバケット7等の位置や作業の管理を行う事務所であり、事務所51には、GPS衛星からの信号を受信するGPSアンテナ52、補正データを油圧ショベル1に送信する無線アンテナ53、油圧ショベル1から上述した油圧ショベル1やバケット7等の位置データを受信する無線アンテナ54、予め計測された3次元位置データとGPSアンテナ52により受信されるGPS衛星からの信号とに基づき、上述した油圧ショベル1のGPS受信機43,44でRTK(リアルタイムキネマティック)計測を行うための補正データを生成するGPS基準局としてのGPS受信機55、GPS受信機55で生成された補正データをアンテナ53を介して送信するための無線機56、アンテナ54を介して位置データを受信する無線機57、無線機57により受信した位置データに基づき油圧ショベル1やバケット7の位置を表示・管理するための演算及び表示を行うサーバコンピュータ58が設置されている。GPSアンテナ52とGPS受信機55は1セットのGPS受信部を構成する。
【0034】
また、サーバコンピュータ58にはICカード48が接続可能になっており、原地形データや目標地形データさらに、計測データ等の入出力を行う。
【0035】
次に、本発明の位置計測システムの一実施の形態の動作の概要を説明する。
本実施の形態では、高精度での位置計測を行うため、図2に示したGPS受信機43,44でそれぞれRTK計測を行う。このためには先ず、図3に示した補正データを生成するGPS基準局55が必要となる。GPS基準局55は、上記のように予め3次元計測されたGPSアンテナ52の位置データとGPSアンテナ52により受信されるGPS衛星からの信号とに基づいて、RTK計測のための補正データを生成し、生成された補正データは、無線機56によりアンテナ53を介して一定周期で送信される。
【0036】
一方、図2に示した車載側のGPS受信機43,44は、アンテナ33を介して無線機41により受信される補正データと、アンテナ31,32により受信されるGPS衛星からの信号に基づき、アンテナ31,32の3次元位置をRTK計測する。このRTK計測によって、アンテナ31,32の3次元位置が約±1〜2cmの精度で計測される。そして、計測された3次元位置データはコントローラ45に入力される。
【0037】
また、角度センサ21〜23によってそれぞれブーム5、アーム6及びバケット7の回転角度、傾斜センサ24によって油圧ショベル1のピッチ角度、旋回角度センサ26によって下部走行体2の回転角度、パイロット圧力センサ27,28によって旋回及び走行パイロット圧がそれぞれ計測され、同様にコントローラ45に入力される。
【0038】
車載コンピュータ46は、記憶部と演算部とを備え、コントローラ45に入力された各種データに基づき、一般的なベクトル演算と座標変換を行って、油圧ショベル1の位置及び姿勢とバケット7の先端の3次元位置を演算する。また、求めた3次元位置と、ICカード48から入力した地形データとに基づき、車載コンピュータ46のモニタ画面46a上に表示してオペレータに作業状況を知らせるとともに、無線機47によりアンテナ34を介して送信する。
【0039】
送信された油圧ショベル1の位置及び姿勢と、バケット7の先端の位置データは、アンテナ54を介して無線機57により受信され、サーバコンピュータ58に入力される。サーバコンピュータ58は入力された油圧ショベル1の位置及び姿勢と、バケット7の先端の位置データを保存するとともに、サーバコンピュータ58のモニタ画面上に表示する。これにより事務所51において油圧ショベル1の作業状態を管理することができる。
【0040】
次に、図4〜図8を用いて本発明の位置計測システムの一実施の形態を構成する車載コンピュータ46における演算処理について説明する。
図4は、本発明の位置計測システムの一実施の形態に用いる油圧ショベル1の位置及び姿勢と、バケット7の先端の3次元空間での絶対位置を演算するために使用する座標系を示す図である。図4において、Σ0はGPSの準拠楕円体の中心に原点O0を持つグローバル座標系、Σ3は油圧ショベル1の上部旋回体3に固定され、旋回体べースフレームと旋回中心との交点に原点O3を持つ上部旋回体座標系、Σ7はバケット7に固定され、バケット7の先端に中心O7を持つバケット先端座標系である。OCは下部走行体2の地面との接地面と旋回中心との交点である。
【0041】
上部旋回体座標系Σ3の原点(旋回べースフレームと旋回中心との交点)O3に対するGPSアンテナ31,32の位置関係Xga,Xgb,Yga,Ygb,Zga,Zgbは既知であるので、グローバル座標系Σ0でのGPSアンテナ31,32の3次元位置と油圧ショベル1のピッチ角度θ2が分かれば、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の位置及び姿勢(上部旋回体3の方向)を求めることができる。
【0042】
また、上部旋回体座標系Σ3の原点O3とブーム5の基端との位置関係α3,α4,β4及びブーム5、アーム6、バケット7の寸法α5,α6,α7が既知であるので、ブーム角度θ5、アーム角度θ6、バケット角度θ7が分かれば、上部旋回体座標系Σ3でのバケット先端座標系Σ7の位置及び姿勢を求めることができる。
【0043】
また、当然ながら上部旋回体座標系Σ3の原点O3とOCとの位置関係αCは既知であるので、旋回角度θSWが分かれば、上部旋回体座標系Σ3での下部走行体2の位置及び姿勢を求めることができる。
【0044】
従って、車載側のGPS受信機43,44で求めたGPSアンテナ31,32の3次元位置をグローバル座標系Σ0での値として求め、角度センサ24で油圧ショベル1のピッチ角度θ2を求め、角度センサ21〜23でブーム角度θ5、アーム角度θ6、バケット角度θ7を求め、旋回角度センサ26で旋回角度θSWを求め、座標変換演算を行うことにより、油圧ショベル1の位置及び姿勢(上部旋回体3の位置及び姿勢と、下部走行体2の位置及び姿勢)と、バケット7の先端位置をグローバル座標系Σ0の値で求めることができる。
【0045】
図5は、本発明の位置計測システムの一実施の形態に用いるグローバル座標系の概念を説明する図である。
図5において、GはGPSで用いる準拠楕円体であり、グローバル座標系Σ0の原点O0は準拠楕円体Gの中心に設定されている。また、グローバル座標系Σ0のx0軸方向は赤道Aと子午線Bの交点Cと準拠楕円体Gの中心とを通る線上に位置し、z0軸方向は準拠楕円体Gの中心から南北に延ばした線上に位置し、y0軸方向はx0軸とz0軸に直交する線上に位置している。GPSでは、地球上の位置を緯度及び経度と、準拠楕円体Gに対する高さ(深さ)で表現するので、このようにグローバル座標系Σ0を設定することで、GPSの位置情報をグローバル座標系Σ0の値に容易に変換することができる。
【0046】
図6は、本発明の位置計測システムの一実施の形態を構成する車載コンピュータ46の演算処理手順を示すフローチャート図である。
図6において、まず、車載側のGPS受信機43で求めたGPSアンテナ31の3次元位置(緯度、経度、高さ)を上記の考えに基づきグローバル座標系Σ0の値0P1に変換する(ステップS10)。このための演算式は一般的によく知られているものなので、ここでは省略する。同様に、車載側のGPS受信機44で求めたGPSアンテナ32の3次元位置をグローバル座標系Σ0の値0P2に変換する(ステップS20)。
【0047】
次いで、傾斜センサ24で計測したピッチ角度θ2を入力し(ステップS30)、ステップS10,20で求めたGPSアンテナ31,32のグローバル座標系Σ0での3次元位置0P1,0P2と、そのピッチ角度θ2と、記憶装置に記憶した上部旋回体座標系Σ3の原点(旋回べースフレームと旋回中心との交点)O3に対するGPSアンテナ31,32の位置関係Xga,Xgb,Yga,Ygb,Zga,Zgbとから上部旋回体座標系Σ3の位置及び姿勢をグローバル座標系Σ0の値0Σ3で求める(ステップS40)。この演算は座標変換であり、一般的な数学的手法により行うことができる。
【0048】
次いで、ステップS40で求めた、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の位置及び姿勢0Σ3をローパスフィルタリング処理する(ステップS50)。この処理の詳細については後述する。
【0049】
次いで、旋回角度センサ26の計測値から求めた旋回角度θSWを入力し、上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢3P4を求める(ステップS60)。次いで、角度センサ21〜23で検出したブーム角度θ5、アーム角度θ6、バケット角度θ7を入力し、これらの値と記憶装置に記憶した上部旋回体座標系Σ3の原点O3とブーム5の基端との位置関係α3,α4,β4及びアーム5、アーム6、バケット7の寸法α5,α6,α7とから上部旋回体座標系Σ3でバケット先端位置3P7を求める(ステップS70)。この演算も座標変換であり、一般的な数学的手法により行うことができる。
【0050】
次いで、ステップS50でフィルタリング処理したグローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の値0Σ3と、ステップS70で求めた上部旋回体座標系Σ3でのバケット先端位置3P7とからグローバル座標系Σ0でのバケット先端位置0P7を求める(ステップS80)。
【0051】
次いで、以上のようにして求めた上部旋回体3の位置及び姿勢0Σ3と上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢3P4(以下0Σ3と3P4を合わせて適宜油圧ショベルの位置と姿勢という)と、バケット先端位置0P7の各データと、ICカード48から入力した地形データとに基づき表示データを作成し、車載コンピュータ46のモニタ画面46aに地形に対する上部旋回体3及びバケット7と下部走行体2を含む油圧ショベル1との位置関係を重ね合わせて表示する(ステップS90)。また、油圧ショベルの位置と姿勢とバケット先端位置データは無線機47によりアンテナ34を介して送信され、サーバコンピュータ58のモニタ画面にも同様な画像が表示される。
【0052】
図7は、本発明の位置計測システムの一実施の形態を構成する車載コンピュータ46のモニタ画面46a及びサーバコンピュータ58のモニタ画面に表示される画像の一例を示す。
図7において、100は原地形や目標地形等の地形であり、この地形100に油圧ショベル1が重ね合わせて表示されている。これにより、オペレータは地形とバケット7を含む油圧ショベル1の位置関係を正確に把握でき、安全に効率良く作業を行うことができる。
【0053】
図8は、図6に示すフローチャートのステップS50におけるローパスフィルタリング処理の詳細を示すフローチャート図である。
【0054】
図8において、まず、圧力センサ27,28で計測される旋回パイロット圧力及び走行パイロット圧力を読み込む(ステップS51,S52)。
【0055】
次いで、旋回パイロット圧力及び走行パイロット圧力がそれぞれ閾値以上か否かを比較し油圧ショベル1が旋回動作しているか否か、或いは油圧ショベル1が走行動作をしているか否かを判定する(ステップS53)。ここで、それぞれの閾値は、上部旋回体3が動き出す値と、下部走行体2が動き出す値である。このような閾値を用いてステップS53の判定を行うことにより、油圧ショベル1が旋回動作しているか否か、或いは油圧ショベル1が走行動作をしているか否かを判定することができる。
【0056】
ステップS53の判定結果が真(油圧ショベル1が旋回動作ないしは走行動作をしている)の場合は、ステップS54へ移行し、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の値0Σ3に対して、ノイズ成分の除去を目的とした、比較的高いカットオフ周波数(例えば5Hz)のローパスフィルタリング処理を行う。これにより、旋回中ないし走行中の演算結果及び表示の追従性を向上することができる。
【0057】
また、ステップS53の判定結果が偽(油圧ショベル1が旋回、走行のどちらの動作もしていない)の場合は、ステップS55へ移行し、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の値0Σ3に対して、モニタ表示における変動を抑えることを目的とした、比較的低いカットオフ周波数(例えば1Hz)のローパスフィルタリング処理を行う。これにより、作業機械が停止もしくはフロント作業機4のみ動作している場合の演算結果のバラツキが低減し、表示のふらつきを低減させることができる。
【0058】
以上において、GPSアンテナ31,32及びGPS受信機43,44と、無線アンテナ33及び無線機41は、作業機械である油圧ショベル1の車体(下部走行体2及び上部旋回体3)に設置され、それぞれ3次元空間での絶対位置を計測する複数の3次元位置計測装置を構成し、車載コンピュータ46の図6に示すフローチャートのステップS10〜S40及びステップS60〜S80の処理機能は、前記複数の3次元位置計測装置の計測値を用いて、3次元空間での作業機械の位置と姿勢及び当該作業機械に設定されたモニタポイント(バケット先端)の絶対位置を演算する位置姿勢演算手段を構成し、車載コンピュータ46の図6に示すフローチャートのステップS90の処理機能及びモニタ画面46aは、その位置姿勢演算手段の演算結果に基づいて作業機械や目標地形等の地形情報とを表示するモニタ表示装置を構成する。また、旋回パイロット圧力を検出する圧力センサ27及び走行パイロット圧力を検出する圧力センサ28は、作業機械の動作状況を検出する動作検出手段を構成し、車載コンピュータ46の図6に示すフローチャートのステップS50(図8のステップS51〜S55)の処理機能は、その動作検出手段の検出結果に応じて上記位置姿勢演算手段で演算される作業機械の位置と姿勢の演算値を平滑処理する平滑処理手段を構成する。
【0059】
次に、上述した本発明の業機械の位置計測システムの一実施の形態の作用効果を説明する。
本発明が係わる油圧ショベル等の作業機械の位置計測システムでは、バケット7の3次元空間での位置を演算するために、2個のGPSアンテナ31,32が受信した信号に基づいてそれぞれのGPS受信機43,44により2個のGPSアンテナ31,32の位置(2個のGPSアンテナ31,32が位置する上部旋回体3上の2点の位置)をRTK計測し、この計測された上部旋回体3上の2点の位置から、油圧ショベル1の位置と姿勢を表す車体座標系(上部旋回体座標系0Σ3)を求め、ブーム5、アーム6及びバケット7に取り付けられた角度センサ21,22,23の角度情報などを組み合わせて、バケット7の3次元空間での絶対位置(バケット先端位置0P7)を演算している。
【0060】
ところで、3次元位置計測装置であるGPSを用いて行うRTK計測では、正規の計測状態(FIX)であっても、捕捉しているGPS衛星の配置や電離層の影響等によって、±1〜2cmの範囲で計測結果にバラツキが生じるため、当然、このGPSの計測結果に基づいて演算される車体座標系の値にもバラツキが生じる。本発明が係わる位置計測システムのように複数(2個)のGPSを用いて演算する場合は、計測結果のバラツキが演算結果に与える影響がより大きく、操作レバーを操作せず車体(下部走行体2及び上部旋回体3)が静止した状態においても、車載コンピュータ46のモニタ画面46a上に表示される油圧ショベル1がふらついて表示されてしまうことになる。
【0061】
油圧ショベル等の作業機械は、掘削等の実作業においては車体(下部走行体2及び上部旋回体3)を静止させ、フロント作業機4のみの動作で作業する場合が多い。この場合、旋回操作ないしは走行操作をしていないにも係わらず、GPS計測値のバラツキによってモニタ画面46a上に表示される油圧ショベル1の画像がふらつくと、位置合わせをするのが難しくなり、位置関係の誤認をする等の作業効率の低下を招くことになる。
【0062】
例えば、法面掘削作業では、モニタ画面46aに表示された目標地形(目標法面)とバケットシンボルを見ながら目標地形に対するバケットの位置関係を確認し、目標地形(目標法面)を形成するようバケット7を操作して掘削を行う。このような作業において、モニタ画面46a上に油圧ショベル1の画像がふらついて表示されると、位置合わせに時間が掛かったり、目標地形とは違う箇所を掘削してしまう可能性がある。
【0063】
また、油圧ショベル移動後の現在位置の確認作業では、油圧ショベルを走行移動させた後の停止時に、現在の油圧ショベルの周囲地形に対する位置関係をモニタ画面46aに表示された地形データと油圧ショベルシンボルとにより確認し把握する。この場合も、モニタ画面46a上に油圧ショベル1の画像がふらついて表示されると、周囲地形に対する位置関係の確認に時間が掛かったり、目標とは違う場所で停止してしまう可能性がある。
【0064】
本実施の形態では、上記のように、油圧ショベル1が旋回動作しているか否か、或いは油圧ショベル1が走行動作をしているか否かを判定し(ステップS53)、油圧ショベル1が旋回、走行のどちらの動作もしていない場合は、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の値0Σ3に対して、モニタ表示における変動を抑えることを目的とした、比較的低いカットオフ周波数(例えば1Hz)を用いたローパスフィルタリング処理を行う(ステップS55)。これにより油圧ショベル1が停止もしくはフロント作業機4のみ動作している場合の油圧ショベル1の位置及び姿勢の演算結果のバラツキが低減し、表示のふらつきを低減させることができるため、上記のような法面掘削作業や油圧ショベル移動後の現在位置の確認作業において、モニタ画面46aにおける視認性が向上し、バケット刃先の位置合わせや周囲地形との位置関係の確認・把握が容易となり、作業効率を向上させることができる。
【0065】
ここで、ローパスフィルタリング処理において、カットオフ周波数を低く設定した場合は演算結果及び表示の追従性が低下する。しかし、車体(下部走行体2及び上部旋回体3)が静止させて行う作業では、演算結果及び表示の追従性の低下に伴う悪影響は生じにくく、表示のふらつきが低減することによる視認性の向上によるメリットの方が大きい。
【0066】
一方、走行中或いは旋回中など、車体(下部走行体2及び上部旋回体3)を動かした状態で行う作業では、車体(下部走行体2及び上部旋回体3)が静止した状態で行う作業と同様に低いカットオフ周波数(例えば1Hz)を用いてローパスフィルタリング処理を行うと、位置と姿勢に関する演算結果及び表示の追従性が低下し、モニタ画面46a上の表示に遅れが生じるため、周囲の地形に対する作業機械(車体)の位置関係の把握に遅れが生じ、作業効率が低下してしまう。
【0067】
例えば、走行中の位置確認作業は、油圧ショベル1の走行中に、油圧ショベル1と周囲地形の位置関係をモニタ画面46aに表示された地形データと油圧ショベルシンボルとにより確認し把握する。また、旋回作業では、上部旋回体3の旋回中に、フロント作業機4と周囲地形との位置関係をモニタ画面46aに表示された地形データと油圧ショベルシンボルとにより確認し把握する。この場合、モニタ画面46a上の表示に遅れが生じると、周囲地形に対する実際の油圧ショベル1或いはフロント作業機4の位置関係と表示上の位置関係とにずれが生じてしまい、走行中或いは旋回中における目標地形(周囲地形)との位置合わせ性が低下する。
【0068】
本実施の形態では、上記のように、油圧ショベル1が旋回動作しているか否か、或いは油圧ショベル1が走行動作をしているか否かを判定し(ステップS53)、油圧ショベル1が旋回動作ないしは走行動作をしている場合は、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の値0Σ3に対して、ノイズ成分の除去を目的とした、比較的高いカットオフ周波数(例えば5Hz)のローパスフィルタリング処理を行う(ステップS54)。これにより旋回中ないし走行中の演算結果及び表示の追従性が向上するため、上記のような走行中の位置確認作業や旋回作業において、油圧ショベル1と周囲地形との位置関係を遅れなく把握でき、油圧ショベル1と目標地形との位置合わせ性が向上し、ひいては作業効率を向上させることができる。
【0069】
また、走行中、旋回中の作業でも表示のふらつきが問題となる場合がある。例えば、細い一本道を移動するような走行中は、表示がふらつくと作業機械が道の外にはみ出して表示されてしまう。本実施の形態では、走行中或いは旋回中であっても、ノイズ成分の除去を目的とした、比較的高いカットオフ周波数(例えば5Hz)のローパスフィルタリング処理を行うので、表示の追従性を確保しつつ、表示のふらつきもある程度低減し、作業機械が目標地形(道)に対する表示性も向上させることができる。
【0070】
以上のように本実施の形態によれば、作業機械の3次元空間での位置と姿勢及び当該作業機械に設定されたモニタポイントの絶対位置を演算し、その演算結果に基づいて作業機械の画像を表示する際に、作業機械の車体が静止した状態にあるときは表示のふらつきを低減し、作業機械の車体が静止した状態にないときは表示の追従性の低下を抑え、ひいては作業効率を向上させることができる。
【0071】
図9は、本発明の位置計測システムの他の実施の形態におけるローパスフィルタリング処理の詳細を示すフローチャート図である。この図9において、図8のステップの符号と同符号のものは同一のステップである。
【0072】
この実施の形態は、本発明の位置計測システムの一実施の形態を構成する車載コンピュータ46の演算処理手順中のローパスフィルタリング処理における作業機械の移動(車体の走行若しくは上部旋回体の旋回)の有無の判定処理を、2個のGPSアンテナ31,32の位置の移動量に基づいて行うようにしたものである。即ち、図9において、車載コンピュータ46において、GPSアンテナ31のグローバル座標系での位置(OP1)の1サイクル前の値と現在の値とからその移動距離L1を求める(ステップS51)。
【0073】
次に、GPSアンテナ32のグローバル座標系での位置(OP2)の1サイクル前の値と現在の値とからその移動距離L2を求める(ステップS52)。
【0074】
次に、移動距離L1,L2が、それぞれ閾値以上か否かを比較し油圧ショベル1が旋回動作しているか否か、或いは油圧ショベル1が走行動作をしているか否かを判定する(ステップS53)。ここで、それぞれの閾値は、RTK−GPSのFIX状態での計測精度(例えば、2cm)を設定する。ここで、この閾値は、上部旋回体3が動き出す値と、下部走行体2が動き出す値である。このような閾値を用いてステップS53の判定を行うことにより、油圧ショベル1が旋回動作しているか否か、或いは油圧ショベル1が走行動作をしているか否かを判定することができる。
【0075】
その後は、前述した図8に示す処理と同様に、ステップS53の判定結果が真(油圧ショベル1が旋回動作ないしは走行動作をしている)の場合は、ステップS54へ移行し、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の値0Σ3に対して、ノイズ成分の除去を目的とした、比較的高いカットオフ周波数(例えば5Hz)のローパスフィルタリング処理を行う。これにより、旋回中ないし走行中の演算結果及び表示の追従性を向上することができる。
【0076】
また、ステップS53の判定結果が偽(油圧ショベル1が旋回、走行のどちらの動作もしていない)の場合は、ステップS55へ移行し、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の値0Σ3に対して、モニタ表示における変動を抑えることを目的とした、比較的低いカットオフ周波数(例えば1Hz)のローパスフィルタリング処理を行う。これにより、作業機械が停止もしくはフロント作業機4のみ動作している場合の演算結果のバラツキが低減し、表示のふらつきを低減させることができる。
【0077】
この実施の形態によれば、前述した実施の形態と同様に作業機械の車体が静止した状態にあるときは表示のふらつきを低減し、作業機械の車体が静止した状態にないときは表示の追従性の低下を抑え、ひいては作業効率を向上させることができる。また、作業機械の動作状態を検出する検出器からの信号を取り込む必要がないので、そのための配線附設を省略することができる。
【0078】
なお、以上述べた実施の形態は、本発明の精神の範囲内で種々の変形が可能である。以下に変形例の幾つかを説明する。
【0079】
<変形例1>
上記実施の形態では、図6に示した車載コンピュータ46の演算処理手順のうち、ステップS50のローパスフィルタリング処理では、図8及び図9に示すように、油圧ショベル1が旋回動作しているか否か、或いは油圧ショベル1が走行動作をしているか否かを判定し(ステップS53)、その判定結果が真(油圧ショベル1が旋回動作ないしは走行動作をしている)の場合は、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の値0Σ3に対して、ノイズ成分の除去を目的とした、比較的高いカットオフ周波数(例えば5Hz)のローパスフィルタリング処理を行った(ステップS54)。
【0080】
しかし、このステップS54の処理では、ローパスフィルタリング処理を行わず、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の値0Σ3をそのまま図6のステップS80において用い、グローバル座標系Σ0でのバケット先端位置0P7を求めてもよい。
【0081】
本発明においてローパスフィルタリング処理(平滑処理)を行う主たる目的は、車体(下部走行体2及び上部旋回体3)を静止させ、フロント作業機4のみの動作で作業する場合など、車体が静止した状態あるときの車載コンピュータ46のモニタ画面46a上に表示される油圧ショベルの画像のふらつきの防止である。本変形例においても、図8のステップS55において、油圧ショベル1が旋回、走行のどちらの動作もしていない(車体が静止した状態ある)場合に、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の値0Σ3に対して、モニタ表示における変動を抑えることを目的とした、比較的低いカットオフ周波数(例えば1Hz)のローパスフィルタリング処理を行うことにより、演算結果及び表示のバラツキを低減することができ、当該目的を果たすことができる。また、油圧ショベル1が旋回動作ないしは走行動作をしている(車体が静止した状態にない)場合は、ローパスフィルタリング処理を行わないことにより、演算結果及び表示の追従性を向上することができる。
【0082】
<変形例2>
上記実施の形態では、図6に示した車載コンピュータ46の演算処理手順のうちステップS50において、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の値0Σ3に対してローパスフィルタリング処理を行った(ステップS54,S55)。しかし、ローパスフィルタリング処理は平滑処理の一例であり、他の平滑処理を行ってもよい。他の平滑処理としては、例えば移動平均処理がある。移動平均処理は、サンプリングを行う度に、その回のサンプリングデータを含めた過去の予め決められたサンプル数分のデータを平均し、現在のデータとして使用することにより演算値の平滑化を行う処理であり、平均するサンプリング数を増減することにより、平滑度を変えることができる。
【0083】
例えば、高い平滑度を必要としない旋回中或いは走行中(車体が静止状態にないとき)は、サンプル数を少なくし(例えば2個程度)、高い平滑度を必要とする旋回中又は走行中以外の場合(車体が静止状態にあるとき)は、サンプル数を多くし(例えば10個程度)、それぞれ、サンプル数分のデータを平均し、現在のデータとして使用する。これにより油圧ショベル1の車体が静止した状態にないときよりも静止した状態にあるときの方が、平滑度が高くなるよう平滑処理を行うことができ、車体が静止した状態あるときは、車載コンピュータ46のモニタ画面46a上に表示される油圧ショベルの画像のふらつきを防止し、車体が静止した状態にないときは、演算結果及び表示の追従性を向上することができる。
【0084】
なお、この場合も、車体が静止した状態にないときは、平滑処理(移動平均処理)を行わなくてもよい。
【0085】
<変形例3>
上記の実施の形態では、本発明を油圧ショベルの位置計測システムに適用したが、車体を備えたものであれば他の作業機械にも適用することができる。車体を備えた他の作業機械としては例えばホイール式ショベル、クレーン車両、ホイールローダ、ブルドーザ、テレハンドラー、地雷処理機等がある。ホイール式ショベル、クレーン車両等は油圧ショベルと同様に車体に旋回台を備えており、油圧ショベルに適用した場合と同等の効果が得られる。ホイールローダ、ブルドーザ、テレハンドラー等は旋回台を備えていないが、非走行作業時に平滑度の高い平滑処理を行うことにより表示のふらつきを防止することができ、作業効率を向上させることができる。地雷処理機としては、例えば特開2004−239566号公報に記載のような油圧ショベルを改造したものが知られており、このような地雷処理機の位置計測システムに本発明を適用することにより、モニタ画面の表示のふらつきが防止され、表示を見ながら車体静止時の地雷撤去作業を適切かつ安全に行うことができる。
【0086】
図10乃至図13は、本発明の作業機械の位置計測システムの一実施の形態をホイルローダに適用した例を示すもので、図10は、本実施の形態に係わる位置計測システムを搭載したホイールローダの外観を示す図である。この図10において、101はホイールローダであり、ホイールローダ101は、車体102と、この車体12に設けた運転室103と、車体102の側部に設けたタイヤ104(104FL:前左、104FR:前右、104RL:後左、104RR:後右)と、車体101の後部側に設けたフロント作業機105とから構成されている。
【0087】
フロント作業機105は、フロント作業機の先端に設けられたアーム106と、アーム106の先端に回動可能に設けられたバケット107と、アーム106とバケット107をそれぞれ回動動作するためのシリンダ108、109とから構成され、フロント作業機105は車体102に対してシリンダ110(図示せず)により回動可能になっている。
【0088】
ここで、アーム106は、左右一対のアーム106L(左側)と106R(右側)からなり、アーム106を回動動作させるシリンダ18もそれぞれ108L(左側)と108R(右側)で構成される。また、バケット107は、シリンダ109によりベルクランク110を介して回動動作される。
【0089】
また、ホイールローダ101には、トランスミッションに組み込まれた車速を計測する車速センサ111(図示せず、後述する)と、車体102とフロント作業機105との回動角(ステアリング角度)を検出する角度センサ112(図示せず)と、フロント作業機105とアーム106との回動角(アーム角度)を検出する角度センサ113と、アーム106とバケット107との回動角(バケット角度)を検出する角度センサ114と、車体102の前後方向の傾斜角(ピッチ角度)を検出する傾斜センサ115(図示せず)とが設けられている。
【0090】
更に、ホイールローダ101には、GPS衛星からの信号を受信する2個のGPSアンテナ31,32と、基準局からの補正データを受信するための無線アンテナ33と、位置データを送信する無線アンテナ34が設けられている。
【0091】
図11は、ホイールローダ101に搭載した本発明の作業機械の位置計測システムの一実施の形態の全体構成を示すブロック図である。この図11において、図10及び図2の符号と同符号のものは、同一または相当する部分である。
図11において、200は本発明に係わる位置計測システムであり、基準局からの補正データをアンテナ33を介して受信する無線機41、この無線機41で受信した補正データを分配する分配機42、分配機42からの補正データとGPSアンテナ1025,1026により受信されるGPS衛星からの信号とに基づいてGPSアンテナ1025,1026の3次元位置をリアルタイムに計測するGPS受信機31,32、このGPS受信機31,32からの位置データとフロント作業機105の角度センサ112〜114、傾斜センサ115からの角度データを入力し、集約するコントローラ45、これらの集約された各種データに基づき、ホイールローダ101の位置及び姿勢やバケット107の先端(モニタポイント)の位置を演算し、表示するモニタ画面46aを備えた車載コンピュータ46、車載コンピュータ46により演算された位置データをアンテナ34を介して送信するための無線機47を備えている。
【0092】
ここで、48はICカードであり、サーバコンピュータで計画された作業範囲の原地形データや目標地形データなどが記憶されており、オペレータはシステム起動時にICカード48を車載コンピュータ46に接続してデータを入力する。そして、作業終了時には計測データをICカード48に記録し、サーバコンピュータに接続して計測データを入力し、施工管理に使用する。
【0093】
なお、この実施の形態におけるホイールローダ101の位置及び姿勢やバケット107の先端(モニタポイント)の位置の座標系や演算手順に関しては、車体102部分までを考えればよく、図4における下部走行体をタイヤ、上部旋回体を車体、上部旋回体座標系Σ3を車体座標系Σ3と言葉を置き換えれば、同様に演算可能であるので、その説明は省略する。
【0094】
図12は、ローパスフィルタリング処理の詳細を示すフローチャートである。
この図12において、図8と同符号のものは同一のステップである。まず、車速センサ111で計測される車体速度BDvを読み込む(ステップS121)。
【0095】
次いで、車体速度BDvが第1閾値以上かどうかが判定される(ステップS122)。
【0096】
ここで、第1閾値は例えば10km/hを設定する。このような閾値を用いてステップS122の判定を行うことにより、ホイールローダ1001が高速で走行をしているか否かを判定することができる。
【0097】
ステップS122の判定結果が真(ホイールローダ101が高速で走行をしている)の場合は、ステップS121へ移行し、グローバル座標系Σ0での車体座標系Σ3の値0Σ3に対して、ノイズ成分の除去を目的とした、比較的高いカットオフ周波数(例えば5Hz)のローパスフィルタリング処理を行う。これにより、高速走行中の演算結果及び表示の追従性を向上することができる。
【0098】
また、ステップS122の判定結果が偽(ホイールローダ101が高速走行していない)の場合は、ステップS123へ移行し、車体速度BDvが第2閾値以上かどうかが判定される。
【0099】
ここで、第2閾値は例えば0.1km/hを設定する。このような閾値を用いてステップS1304の判定を行うことにより、ホイールローダ1が低速で走行しているか否かを判定することができる。
【0100】
ステップS123の判定結果が真(ホイールローダ101が低速で走行をしている)の場合は、ステップS124へ移行し、グローバル座標系Σ0での車体座標系Σ3の値0Σ3に対して、ノイズ成分の除去を目的とした、中程度のカットオフ周波数(例えば3Hz)のローパスフィルタリング処理を行う。これにより、低速走行中の演算結果及び表示の追従性を向上することができる。
【0101】
また、ステップS123の判定結果が偽(ホイールローダ101が走行していないもしくは走行していても極低速)の場合は、ステップS125へ移行し、グローバル座標系Σ0での車体座標系Σ3の値0Σ3に対して、モニタ表示における変動を抑えることを目的とした、比較的低いカットオフ周波数(例えば1Hz)のローパスフィルタリング処理を行う。これにより、作業機械が走行していない場合の演算結果のバラツキが低減し、表示のふらつきを低減させることができる。
【0102】
図13は、ローパスフィルタリング処理の詳細を示すフローチャートである。
この図13において、図8と同符号のものは同一のステップである。まず、GPSアンテナ31とGPSアンテナ32の移動距離L1およびL2をそれぞれ、グローバル座標系での位置0P1の1サイクル前の値と現在の値、グローバル座標系での位置0P2の1サイクル前の値と現在の値とから求める(ステップS51,S52)。
【0103】
次いで、移動距離L1およびL2がそれぞれ第1閾値以上かどうかが判定される(ステップS131)。
【0104】
ここで、第1閾値は例えば数10cmを設定する。このような閾値を用いてステップS131の判定を行うことにより、ホイールローダ101が高速で走行をしているか否かを判定することができる。
【0105】
ステップS131の判定結果が真(ホイールローダ101が高速で走行をしている)の場合は、ステップS54へ移行し、グローバル座標系Σ0での車体座標系Σ3の値0Σ3に対して、ノイズ成分の除去を目的とした、比較的高いカットオフ周波数(例えば5Hz)のローパスフィルタリング処理を行う。これにより、高速走行中の演算結果及び表示の追従性を向上することができる。
【0106】
また、ステップS131の判定結果が偽(ホイールローダ101が高速走行していない)の場合は、ステップS132へ移行し、移動距離L1およびL2がそれぞれ第2閾値以上かどうかが判定される。
【0107】
ここで、第2閾値は、RTK−GPSのFIX状態での計測精度(例えば2cm)を設定する。このような閾値を用いてステップS132の判定を行うことにより、ホイールローダ1が低速で走行しているか否かを判定することができる。
【0108】
ステップS132の判定結果が真(ホイールローダ101が低速で走行をしている)の場合は、ステップS133へ移行し、グローバル座標系Σ0での車体座標系Σ3の値0Σ3に対して、ノイズ成分の除去を目的とした、中程度のカットオフ周波数(例えば3Hz)のローパスフィルタリング処理を行う。これにより、低速走行中の演算結果及び表示の追従性を向上することができる。
【0109】
また、ステップS132の判定結果が偽(ホイールローダ101が走行していないもしくは走行していても極低速)の場合は、ステップS134へ移行し、グローバル座標系Σ0での車体座標系Σ3の値0Σ3に対して、モニタ表示における変動を抑えることを目的とした、比較的低いカットオフ周波数(例えば1Hz)のローパスフィルタリング処理を行う。これにより、作業機械が走行していない場合の演算結果のバラツキが低減し、表示のふらつきを低減させることができる。
【0110】
この実施の形態によれば、上記のように、ホイールローダ101が走行(低速。高速判定含む)しているか否かを判定し、ホイールローダ101が走行していない場合は、グローバル座標系Σ0での車体座標系Σ3の値0Σ3に対して、モニタ表示における変動を抑えることを目的とした、比較的低いカットオフ周波数(例えば1Hz)を用いたローパスフィルタリング処理を行う。これによりホイールローダ101が走行していない場合のホイールローダ101の位置及び姿勢の演算結果のバラツキが低減し、表示のふらつきを低減させることができるため、モニタ画面46aにおける視認性が向上し、バケット刃先の位置合わせや周囲地形およびダンプトラックなどの周辺機械との位置関係の確認・把握が容易となり、作業効率を向上させることができる。
【0111】
また、ホイールローダ101が低速で走行している場合は、グローバル座標系Σ0での車体座標系Σ3の値0Σ3に対して、ノイズ成分の除去を目的としながらもモニタ表示における変動もある程度抑えることを目的とした、中程度のカットオフ周波数(例えば3Hz)を用いたローパスフィルタリング処理を行う。これによりホイールローダ1001が低速で走行している場合のホイールローダ101の位置及び姿勢の演算結果のバラツキや表示のふらつきをある程度低減させるとともに、演算や表示の追従性もある程度確保できるため、例えばダンプトラックへの接近時などの位置関係の確認・把握が容易となり、作業効率を向上させることができる。
【0112】
また、ホイールローダ101が走行をしている場合は、グローバル座標系Σ0での車体座標系Σ3の値0Σ3に対して、ノイズ成分の除去を目的とした、比較的高いカットオフ周波数(例えば5Hz)のローパスフィルタリング処理を行う。これにより走行中の演算結果及び表示の追従性が向上するため、走行中の位置確認作業において、ホイールローダ101と周囲地形との位置関係を遅れなく把握でき、ホイールローダ101と目標地形との位置合わせ性が向上し、ひいては作業効率を向上させることができる。
【0113】
なお、この実施の形態においても、前述した変形例1,2を適用し得ることは、勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の位置計測システムの一実施の形態を搭載した油圧ショベルの外観を示す図である。
【図2】本発明の位置計測システムの一実施の形態の装置構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の位置計測システムの一実施の形態に関連する基準局としての役割も持つ事務所側システムの装置構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の位置計測システムの一実施の形態に用いる油圧ショベルの位置及び姿勢と、バケット先端の3次元空間での絶対位置を演算するために使用する座標系を示す図である。
【図5】本発明の位置計測システムの一実施の形態に用いるグローバル座標系の概要を説明する図である。
【図6】本発明の位置計測システムの一実施の形態を構成する車載コンピュータの演算処理手順を示すフローチャート図である。
【図7】本発明の位置計測システムの一実施の形態を構成する車載コンピュータ及びサーバコンピュータのモニタ画面に表示される画像の一例を示す図である。
【図8】本発明の位置計測システムの一実施の形態におけるローパスフィルタリング処理の詳細を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の位置計測システムの他の実施の形態におけるローパスフィルタリング処理の詳細を示すフローチャート図である。
【図10】本発明の位置計測システム一実施の形態を搭載したホイールローダの外観を示す図である。
【図11】図10に示すホイールローダに搭載した本発明の作業機械の位置計測システムの一実施の形態の全体構成を示すブロック図である。
【図12】図10に示す本発明の位置計測システムの一実施の形態におけるローパスフィルタリング処理の詳細を示すフローチャート図である。
【図13】図10に示す本発明の位置計測システムの他の実施の形態におけるローパスフィルタリング処理の詳細を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0115】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 フロント作業機
5 ブーム
6 アーム
7 バケット
21〜23 角度センサ
24 傾斜センサ
26 旋回角度センサ
27 旋回パイロット圧力センサ
28 走行パイロット圧力センサ
31,32 GPSアンテナ
33,34 無線アンテナ
41 無線機
43,44 GPS受信機
45 コントローラ
46 車載コンピュータ
46a モニタ画面(表示画面)
47 無線機
48 ICカード
51 事務所
52 GPSアンテナ
53,54 無線アンテナ
55 GPS受信機
56,57 無線機
58 サーバコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の車体に設置され、それぞれ3次元空間での絶対位置を計測する複数の3次元位置計測装置と、前記複数の3次元位置計測装置の計測値を用いて、前記3次元空間での作業機械の位置と姿勢及び当該作業機械に設定されたモニタポイントの絶対位置を演算する位置姿勢演算手段と、前記位置姿勢演算手段の演算結果に基づいて前記作業機械の画像や目標地形等の地形情報とを表示するモニタ表示装置とを有する作業機械の位置計測システムにおいて、前記作業機械の動作状態を判定する判定手段と、前記判定手段の検出結果に応じて前記位置姿勢演算手段で演算される作業機械の位置と姿勢の演算値を平滑処理する平滑処理手段とを備えることを特徴とする作業機械の位置計測システム。
【請求項2】
請求項1記載の作業機械の位置計測システムにおいて、前記判定手段は、前記作業機械における車体の作動検出する検出器からの信号を取り込み、前記作業機械の車体の静止を判定し、前記平滑処理手段は、前記判定手段から静止判定に基づいて前記位置姿勢演算手段で演算される作業機械の位置と姿勢の演算値を平滑処理することを特徴とする作業機械の位置計測システム。
【請求項3】
請求項1記載の作業機械の位置計測システムにおいて、前記判定手段は、前記作業機械の車体及びこの車体上の旋回体の作動検出する検出器からの信号を取り込み、前記作業機械の車体及び旋回体の静止を判定し、前記平滑処理手段は、前記判定手段から静止判定に基づいて前記位置姿勢演算手段で演算される作業機械の位置と姿勢の演算値を平滑処理することを特徴とする作業機械の位置計測システム。
【請求項4】
請求項1記載の作業機械の位置計測システムにおいて、前記判定手段は、前記複数の3次元位置計測装置によって計測した前回の計測値と現在の計測値に基づいて、前記作業機械の車体及び旋回体の静止を判定し、前記平滑処理手段は、前記判定手段から静止判定に基づいて前記位置姿勢演算手段で演算される作業機械の位置と姿勢の演算値を平滑処理することを特徴とする作業機械の位置計測システム。
【請求項5】
請求項1記載の作業機械の位置計測システムにおいて、前記判定手段は、前記作業機械における車速を検出する検出器からの信号を取り込み、前記作業機械の動作状態を判定し、前記平滑処理手段は、前記判定手段から動作状態に基づいて前記位置姿勢演算手段で演算される作業機械の位置と姿勢の演算値を平滑処理することを特徴とする作業機械の位置計測システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の作業機械の位置計測システムにおいて、前記平滑処理手段は、時間軸上でローパスフィルタリング処理を行うフィルタ処理演算手段であることを特徴とする作業機械の位置計測システム。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項記載の作業機械の位置計測システムにおいて、前記平滑処理手段は、時間軸上でローパスフィルタリング処理を行うフィルタ処理演算手段であり、前記フィルタ処理演算手段は、前記判定手段の判定結果に基づいて前記作業機械の車体が静止した状態にあるときは、第1カットオフ周波数を用いてローパスフィルタリング処理を行い、前記作業機械の車体が静止した状態にないときは、前記第1カットオフ周波数より高い第2カットオフ周波数を用いてローパスフィルタリング処理を行うことを特徴とする作業機械の位置計測システム。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項記載の作業機械の位置計測システムにおいて、前記平滑処理手段は、サンプリングを行う度に、その回のサンプリングデータを含めた過去の予め決められたサンプル数分のデータを平均し、これを現在のデータとして使用することにより演算値の平滑化を行う移動平均処理を行うことを特徴とする作業機械の位置計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−147588(P2007−147588A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210263(P2006−210263)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】