説明

作業車の制御装置

【課題】エンジンを起動させたときの油圧アクチュエータの作動速度変化を抑えることで操作性を向上させた作業車の制御装置を提供する。
【解決手段】穴掘建柱車に備えられたコントローラ80は、操作レバー64の操作量が第1の所定操作量未満であるときにはアクセルペダル66の操作量に拘わらず電動モータ71を最小回転速度で回転させ、操作レバー64の操作量が第1の所定操作量以上である状態でアクセルペダル66が操作されたときにはアクセルペダル66の操作量に応じて電動モータ71の回転を制御し、操作レバー64の操作量が第1の所定操作量以上である状態でアクセルペダル66が第2の所定操作量を越えて操作されたときにはエンジンEを追加して駆動させるとともに、電動モータ71の回転速度をアクセルペダル66の操作量に応じた回転速度よりも低くなるように低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体上に油圧駆動式の作業装置を備えた作業車の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車は、一般にキャブオーバ型トラック等のシャシをベース車両として用い、車体上に油圧駆動式の作業装置と、この作業装置を作動させるための動力源が設けられている。このような作業車において、車体に設けられた作業装置を作動させる方法としては、この作業車の走行用のエンジンを駆動して、変速機に取り付けられたPTO(パワーテイクオフ機構)から取り出した動力を用いて油圧ポンプを駆動し、この油圧ポンプから吐出された作動油により作業装置を作動するように構成されたものが一般に知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
上記のような作業車としては、例えば、電気・通信・土木工事等に使用される穴掘建柱車がある(例えば、特許文献2を参照)。この穴掘建柱車は、走行可能な車体上に起伏動、伸縮動及び旋回動自在なブームが設けられ、このブームの先端にアースオーガ装置とも称される穴掘装置が取り付けられており、ブームを起伏動、伸縮動あるいは旋回動させてアースオーガ装置を掘削位置の上方に移動させ、アースオーガ装置の下部に取り付けられたオーガスクリューを回転作動させることにより、地面に電柱等を建て入れるための建柱穴を掘削することができるようになっている。
【0004】
このような穴掘建柱車においては、ブームの起伏動、伸縮動、旋回動の各作動、ウィンチ装置の巻き上げ・巻き下げ作動、及びアースオーガ装置の回転作動は、車体上の操作席に設けられた各操作レバーを作業者が操作することによって行われる。各操作レバーには、ブーム等の作業装置の各油圧アクチュエータに対応して配設された制御バルブが連結され、作業者によって操作レバーが操作されると、油圧ポンプから吐出される作動油がその操作量に応じた制御バルブのバルブ開度で給排制御され、これにより各油圧アクチュエータが作動するようになっている。
【0005】
これとは別に、作業者が踏み込み操作するアクセルペダルを操作席に設けて、このアクセルペダルの操作量に応じて油圧ポンプの動力源としてのエンジンの回転数を制御して、当該エンジン回転数に応じた吐出流量の作動油を油圧ポンプから油圧アクチュエータに供給する構成も知られている(例えば、特許文献3を参照)。最近において、動力源としての電動モータを追加的に搭載し、PTOから取り出された動力により駆動される油圧ポンプとは別の油圧ポンプを、電動モータにより駆動させる作業車(いわゆるハイブリッド駆動型の作業車)も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−12297号公報
【特許文献2】特開2009−227390号公報
【特許文献3】特許第3330908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば上記穴掘建柱車を用いて工事を行う際、工事に伴う交通渋滞を考慮して比較的交通量の少ない夜間に建柱作業が行われる場合があるが、このような夜間作業においては特に騒音への配慮が求められる。このような作業環境にも対応させるため本出願人は従来、ハイブリッド駆動型の作業車について、作動油の要求量が少ない作業状態ではエンジンを停止させたまま電動モータのみを駆動させて騒音を低減し、電動モータの駆動のみでは作動油が不足する場合にエンジンを追加して駆動させることで十分な作動油を油圧アクチュエータに供給させる制御装置を開発している。この制御装置では、電動モータをアクセルペダルの操作量に応じた回転数(例えば最大回転数)で回転駆動させたままでエンジンを追加して起動させる制御が行われるため、エンジン起動時に、エンジン側の油圧ポンプから吐出される作動油に対応する分だけ油圧アクチュエータの作動速度が一気に増加して、操作性が低下するという課題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、エンジンを起動させたときの油圧アクチュエータの作動速度変化を抑えることで操作性を向上させた作業車の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明に係る作業車(例えば、実施形態における穴掘建柱車1)の制御装置は、油圧アクチュエータ(例えば、実施形態における旋回モータ23、起伏シリンダ24、伸縮シリンダ31、ウィンチモータ43、オーガモータ54)により作動する作業装置(例えば、実施形態における旋回台20、ブーム30、ウィンチ装置40、アースオーガ装置50)と、第1(例えば、実施形態における電動モータ71)および第2動力源(例えば、実施形態におけるエンジンE)と、前記第1動力源からの回転駆動力を受けて駆動され、前記油圧アクチュエータに作動油を吐出供給する第1油圧ポンプと、前記第2動力源からの回転駆動力を受けて駆動され、前記油圧アクチュエータに作動油を吐出供給する第2油圧ポンプと、前記作業装置を作動させるための操作が行われる第1操作手段(例えば、実施形態における操作レバー64)と、前記第1操作手段に行われる操作に応じてバルブ開度を変化させて前記第1および第2油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへの作動油の給排制御を行う制御バルブと、前記第1操作手段の操作量を検出する第1操作量検出手段(例えば、実施形態におけるレバー操作位置検出器101)と、前記第1および第2動力源の回転速度を設定するための操作が行われる第2操作手段(例えば、実施形態におけるアクセルペダル66)と、前記第2操作手段の操作量を検出する第2操作量検出手段(例えば、実施形態におけるペダル踏込位置検出器67)と、前記第1および第2操作量検出手段における検出結果に基づいて、前記第1および第2動力源の駆動を制御する動力源制御手段(例えば、実施形態におけるコントローラ80)とを備え、前記動力源制御手段は、前記第1操作手段の操作量が第1の所定操作量(例えば、実施形態における第5操作位置L5)未満であるときには前記第2操作手段の操作量に拘わらず前記第1動力源を第1の所定回転速度(例えば、実施形態における最小回転数m1)で回転させ、前記第1操作手段の操作量が前記第1の所定操作量以上である状態で前記第2操作手段が操作されたときには前記第2操作手段の操作量に応じて前記第1動力源の回転を制御し、前記第1操作手段の操作量が前記第1の所定操作量以上である状態で前記第2操作手段が第2の所定操作量(例えば、実施形態における第5操作位置A5)を越えて操作されたときには前記第2動力源を追加して駆動させるとともに前記第1動力源の回転速度を前記第2操作手段の操作量に応じた回転速度よりも低くなるように低下させることを特徴とする。
【0010】
なお、前記動力源制御手段は、前記第2動力源が駆動される前において前記第2操作手段の操作量に応じて前記第1油圧ポンプから吐出される単位時間あたりの作動油量と、前記第2動力源が駆動されたときに前記第1油圧ポンプおよび前記第2油圧ポンプから吐出される単位時間あたりの作動油量とが略同一となるように、前記第1動力源の回転速度を前記第2操作手段の操作量に応じた回転速度よりも低くなるように低下させることが好ましい。
【0011】
また、上述の発明において、前記動力源制御手段は、前記第2動力源が駆動された状態で前記第2操作手段が操作されたとき、前記第2操作手段の操作量に拘わらず前記第2動力源を第2の所定回転速度(例えば、実施形態における低速回転数e1)で回転させるとともに、前記第2操作手段の操作量に応じて前記第1動力源の回転速度を制御することが好ましい。
【0012】
さらに、前記第1動力源が電力の供給を受けて回転駆動する電動モータであり、前記第2動力源がエンジンであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る作業車の制御装置は、第1操作手段の操作量が第1の所定操作量以上である状態で第2操作手段が第2の所定操作量を越えて操作されたとき、第2動力源を追加して駆動させるとともに第1動力源の回転速度を第2操作手段の操作量に応じた回転速度よりも低くなるように低下させるように構成される。この構成により、第2動力源としての例えばエンジンを起動させることで、第1油圧ポンプからの作動油に加えて第2油圧ポンプから作動油を油圧アクチュエータに供給させるときに、第2動力源の起動に応じて第1油圧ポンプから供給される作動油を減少させることができる。よって、第2動力源の起動前後において、油圧アクチュエータに供給される作動油量の変化を抑えることで油圧アクチュエータの作動速度変化を抑えて、作業車の操作性を向上させることが可能になる。
【0014】
なお、動力源制御手段は、第2動力源が起動される前後において、第1および第2油圧ポンプから吐出される作動油量が略同一となるように、第1動力源の回転速度を第2操作手段の操作量に応じた回転速度よりも低くなるように低下させることが好ましい。このように構成した場合、第2動力源が起動される前後において、油圧アクチュエータの作動速度がほとんど変化しないため、作業車の操作性を一層向上させることができる。
【0015】
また、動力源制御手段は、第2動力源が駆動された状態で第2操作手段が操作されたとき、第2動力源を第2の所定回転速度で回転させるとともに、第2操作手段の操作量に応じて第1動力源の回転を制御することが好ましい。この構成の場合、第2動力源から発生する騒音を抑えつつ、要求に応じた量の作動油を第1および第2油圧ポンプから油圧アクチュエータに供給することで、油圧アクチュエータの作動速度を確保することができる。
【0016】
さらに、第1動力源が電力の供給を受けて回転駆動する電動モータであり、第2動力源がエンジンであることが好ましい。この構成の場合には、作動油の要求量が比較的少ないときには電動モータを駆動させて作動油を供給させ、一方で、作動油の要求量が増大して電動モータのみの駆動では対応できない場合に限ってエンジンを駆動させる制御が可能になる。そのため、作業に伴う騒音を抑えつつ、十分な量の作動油を油圧アクチュエータに供給して油圧アクチュエータの作動速度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記制御装置を備えた一例としての穴掘建柱車を示す側面図である。
【図3】上記穴掘建柱車の平面図である。
【図4】上記穴掘建柱車の背面図である。
【図5】操作レバーの傾動操作位置を説明するための模式図である。
【図6】アクセルペダルの踏込操作位置を説明するための模式図である。
【図7】(a)はレバー操作量と電動モータ回転数との関係を示したグラフで、(b)はペダル踏込量と電動モータ回転数との関係を、(c)はペダル踏込量とエンジン回転数との関係を示したグラフである。
【図8】上記制御装置に設定されたモードを示したブロック図である。
【図9】静かモードを選択した際の電動モータおよびエンジンの制御例を示すグラフである。
【図10】静かモードを選択した際の電動モータの別の制御例を示すグラフである。
【図11】静かモードを選択した際の電動モータの別の制御例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図2〜図4に、本発明に係る制御装置を備えた作業車の一例としてのハイブリッド駆動型の穴掘建柱車1を示しており、先ず、これらの図を用いて穴掘建柱車1の全体構成について概要説明する。なお、本実施形態における回転数は、単位時間あたりの回転数を意味している。
【0019】
穴掘建柱車1は、タイヤ車輪11,11,…を備えて運転キャブ12から走行運転操作が可能なトラック式車両の車体10と、車体10上に設けられた旋回台20と、この旋回台20に基端部が枢結されて上下揺動自在に取り付けられた伸縮ブーム(以下、単に「ブーム」と称する)30と、ブーム30の基端側に取り付けられてワイヤロープ42の巻き上げ・巻き下げを行うウィンチ装置40と、ブーム30の側部に取り付けられて建柱穴の掘削を行うアースオーガ装置50とを有して構成される。
【0020】
旋回台20は、車体10の後部に上下軸まわり360度回動自在に取り付けられており、車体10に内蔵された旋回モータ23を油圧駆動することにより図示しないギヤを介して水平旋回作動させることができる。ブーム30は、基端ブーム30a、中間ブーム30b、及び先端ブーム30cが入れ子式に組み立てられた構成を有しており、その内部に設けられた伸縮シリンダ31を油圧駆動することにより各ブーム30a,30b,30cを相対的に移動させて、ブーム30全体を軸方向に伸縮作動させることができる。
【0021】
また、基端ブーム30aと旋回台20との間には起伏シリンダ24が跨設されており、この起伏シリンダ24を油圧駆動することによりブーム30全体を上下面内で起伏作動させることができる。車体10上において運転キャブ12の後方には、全縮状態に倒伏したブーム30の下面に当接してブーム30を格納保持するブームレスト39が上方に突出して配設されている。なお、ここでは、ブーム30を三段伸縮構成としているが、二段若しくは四段以上の多段伸縮構成としてもよい。
【0022】
ウィンチ装置40は、基端ブーム30aの基端部上面に取り付けられており、ウィンチドラム41から繰り出されたワイヤロープ42が回転自在なシーブ(図示せず)に掛け回されて先端ブーム30cの下方に垂れ下がり、その先端にフック(図示せず)が取り付けられている。このウィンチ装置40の側部にはウィンチモータ43が設けられており、このウィンチモータ43を油圧駆動することによりワイヤロープ42の巻き上げ・巻き下げ作動を行って、ワイヤロープ42先端のフックの引き上げ・引き下げができるようになっている。なお、ブーム30の上端部には、このブーム30の軸方向に沿ってワイヤロープ42を保護するためのワイヤガード44が配設されている。
【0023】
アースオーガ装置50は、基端ブーム30a及び先端ブーム30cに選択的に連結可能なオーガ支持枠51を介してブーム30に取り付けられている。このアースオーガ装置50は、オーガ支持枠51に枢結されたオーガ支持アーム52と、オーガ支持アーム52に取り付けられた基枠53と、基枠53の先端に取り付けられた減速機付きのオーガモータ54と、オーガモータ54を油圧駆動することにより回転駆動されるオーガスクリュー55とを有して構成される。また、基端ブーム30aの側面には、アースオーガ装置50を格納状態で固定保持するオーガ支持装置56が配設されている。アースオーガ装置50はオーガ支持アーム52を中心として垂直面内で上下に揺動可能であり、より詳細には、アースオーガ装置50をオーガ格納装置56により基端ブーム30aの側方に沿って格納した格納位置と、アースオーガ装置50をオーガ格納装置56から外してオーガスクリュー55を地面に対して略垂直姿勢にした作業位置との間で揺動することが可能である。
【0024】
アースオーガ装置50を使用するとき(すなわち、建柱穴の掘削を行うとき)には、アースオーガ装置50を下方の作業位置まで揺動させて、オーガ支持枠51を先端ブーム30aに連結固縛させる。これにより、アースオーガ装置50は先端ブーム30cとともに所望の位置まで移動し得るようになる。そして、オーガモータ54を駆動させてオーガスクリュー55を回転させながらブーム30の倒伏動と縮小動とを連動させてオーガスクリュー55(ブーム先端部)を直線的に下方に移動させることで、建柱穴の掘削作業が行われる。
【0025】
一方、アースオーガ装置50を使用しないときには、ブーム30を全縮にした状態でアースオーガ装置50を基端ブーム30aの側方に沿った格納位置まで揺動させてオーガ支持装置56により格納保持するとともに、オーガ支持枠51を基端ブーム30aに連結させる。このようにアースオーガ装置50を格納させた状態では、ウィンチ装置40によるワイヤロープ42の巻き上げ・巻き下げ作業が可能である。なお、以降の説明において、旋回台20、ブーム30、ウィンチ装置40及びアースオーガ装置50を総称して「作業装置」とも称する。
【0026】
また、車体10には、旋回モータ23、起伏シリンダ24、伸縮シリンダ31、ウィンチモータ43及びオーガモータ54(以下、これらを総称して「油圧アクチュエータ」とも称する)に作動油を供給する油圧供給ユニット90が設けられるとともに、作業装置の作動を制御するコントローラ80が設けられている。
【0027】
車体10の前後左右4箇所にはアウトリガジャッキ13が設けられており、これらアウトリガジャッキ13を下方に張り出して接地させることにより、作業時において車体10を持ち上げ状態に支持させることができる。また、各アウトリガジャッキ13は車体10の側方(車幅方向)に張り出すことも可能であり、これにより車体10をより安定した姿勢とすることができる。このアウトリガジャッキ13の作動操作は、車体10の後方に設けられたアウトリガ操作装置14の操作により行われる。
【0028】
車体10における旋回台20の側部には、作業装置(旋回台20、ブーム30、ウィンチ装置40及びアースオーガ装置50)の作動を操作する操作席60が設けられている。操作席60は、旋回台20の側部に取り付けられて旋回台20とともに旋回動するベース基板61と、ベース基板61の上部に配設されて作業者がブーム30の先端側へ向いた姿勢で座る椅子62と、椅子62の前方に位置する操作装置63とからなり、作業者は椅子62に座った姿勢で操作装置63にアクセス可能になっている。
【0029】
操作装置63には、旋回台20の旋回操作を行うための旋回操作レバー64a、ブーム30の起伏操作を行うための起伏操作レバー64b、ブーム30の伸縮操作を行うための伸縮操作レバー64c、ウィンチ装置40の巻き上げ・巻き下げ操作を行うためのウィンチ操作レバー64d、アースオーガ装置50の回転操作を行うためのオーガ操作レバー64eが設けられており、これらの5本の操作レバー64は操作席60の幅方向に所定の間隔を有して並設されている。
【0030】
なお、旋回操作レバー64aに隣接して、抜柱機(図示せず)による電柱の引き抜き操作や、オプションとして装着されるアタッチメントの作動操作を行うためのアタッチメント操作レバー65が設けられている(以下では、この操作レバー65の説明を省略し、図1においても図示を省略するが、この操作レバー65についても請求の範囲に規定する第1操作手段として適用することができる)。
【0031】
各操作レバー64は、作業者から見てやや後方に傾倒した中立位置から前方(ブーム先端側)及び後方(作業者側)へ向けて傾動操作することが可能である。例えば、旋回操作レバー64aを前方に傾動操作することで旋回モータ23を一方向へ回転駆動させて旋回台20を左回り方向へ旋回作動させ、後方に傾動操作することで旋回モータ23を他方向へ回転駆動させて旋回台20を右回り方向へ旋回作動させる。また、起伏操作レバー64bを作業者から見て前方に傾動操作することで起伏シリンダ24を縮小作動させてブーム30の倒伏作動を行わせ、後方に傾動操作することで起伏シリンダ24を伸長作動させてブーム30の起仰作動を行わせる。
【0032】
また、伸縮操作レバー64cを前方に傾動操作することで伸縮シリンダ31を伸長作動させてブーム30の伸長作動を行わせ、後方に傾動操作することで伸縮シリンダ31を縮小作動させてブーム30の縮小作動を行わせる。また、ウィンチ操作レバー64dを前方に傾動操作することによりウィンチモータ43を一方向に回転駆動させてワイヤロープ42の巻き下げを行わせ、後方に傾動操作することでウィンチモータ43を他方向に回転駆動させてワイヤロープ42の巻き上げを行わせる。また、オーガ操作レバー64eを前方に傾動操作することによりオーガモータ54を一方向に回転駆動させてオーガスクリュー55を逆回転させ、オーガ操作レバー64eを後方に傾動操作することによりオーガモータ54を他方向に回転駆動させてオーガスクリュー55を正回転させる。
【0033】
図1に示すように、旋回モータ23には第1制御バルブV1経由で、起伏シリンダ24には第2制御バルブV2経由で、伸縮シリンダ31には第3制御バルブV3経由で、ウィンチモータ43には第4制御バルブV4経由で、オーガモータ54には第5制御バルブV5経由で、油圧供給ユニット90(図2参照)の第1油圧ポンプP1又は第2油圧ポンプP2により選択的に吐出された作動油(圧油)が供給されるようになっている。また、作業車に搭載される電動モータ71の駆動力はエンジンEの駆動力よりも一般的に小さいため、電動モータ71により駆動される第1油圧ポンプP1として、エンジンEにより駆動される第2油圧ポンプP2よりも吐出容量の小さい油圧ポンプ(例えば、吐出容量が半分程度のもの)が用いられる。
【0034】
各制御バルブV1〜V5は、各操作レバー64に機械的に連結連動するマニュアルバルブであり、作業者が直接的にバルブ開度を調節し得るようになっている。各制御バルブV1〜V5は、各操作レバー64の中立位置からの操作方向及び傾動操作量に応じた駆動方向及び駆動量でスプールを駆動させてバルブ開度を変化させる。制御バルブV1〜V5の各スプールの駆動方向は対応する油圧アクチュエータの駆動方向(伸縮方向又は回転方向)に関係し、各スプールの駆動量(バルブ開度)は対応する油圧アクチュエータに供給される作動油の流量(単位時間当たりの流量)、すなわち油圧アクチュエータの作動速度に関係する。
【0035】
操作席60におけるベース基板61の床面には、椅子62に座った作業者が足で踏込操作可能なアクセルペダル66が設けられている。このアクセルペダル66の踏込操作位置は、ペダル踏込位置検出器67により検出されてアクセル信号としてコントローラ80に出力される。コントローラ80は、ペダル踏込位置検出器67からのアクセル信号を受けて、アクセルペダル66が踏込操作されていない(アクセルペダル66に足を載せていない)中立位置からの踏込操作量に応じて、電動モータ71およびエンジンEの作動を制御する(詳細は後述)。
【0036】
この穴掘建柱作業車1では、第1油圧ポンプP1の動力源として車体10上に備えられたバッテリユニット70を利用し、第2油圧ポンプP2の動力源として車体10の下部に備えられた走行用のエンジンEを利用し得るようになっており、ブーム30等の作業装置(油圧アクチュエータ)の作動機構として、エンジンE、バッテリユニット70、コントローラ80、油圧供給ユニット90などを備えている。
【0037】
エンジンEの動力は、図1に示すように、トランスミッションTMにより変速されて、図示省略するプロペラシャフトを介してタイヤ車輪11に伝達される。トランスミッションTMには、パワーテイクオフ機構PTOが組み込まれており、運転キャブ12内にあるPTO操作レバー15をオフ位置からオン位置に変位させる操作(オン操作)がなされたときに、パワーテイクオフ機構PTOの機構部が作動されることにより、エンジンEによる駆動先をタイヤ車輪11から第2油圧ポンプP2に切り換えることができる。なお、PTO操作レバー15の近傍には、PTOスイッチ16が設けられており、PTO操作レバー15がオン操作されると、このPTOスイッチ16がオン作動してエンジンEの動力の取り出し状態が検出される。
【0038】
また、エンジンEにはエンジン各部を制御する電子制御ユニットECUが接続されている。この電子制御ユニットECUは、エンジンEのスロットル開度制御や燃料噴射制御などを行ってエンジンEの回転数(すなわち、これに繋がる第2油圧ポンプP2の回転数)を制御し、結果的に第2油圧ポンプP2から吐出される作動油の吐出流量(及び吐出圧)を制御する。
【0039】
バッテリユニット70は、第1油圧ポンプP1に接続される電動モータ71と、電動モータ71を駆動するための電力を蓄電する架装部バッテリ72と、架装部バッテリ72から供給される電力を受けて電動モータ71の作動を制御するモータ制御装置73とを備えて構成される。
【0040】
架装部バッテリ72は、複数の電源バッテリからなり、各電源バッテリが相互に直列に接続されて、例えば48[V]の所定の電圧で、且つ、1日の作業を行うのに十分な電気容量280[Ahr]を充電保持可能な直流電源である。この架装部バッテリ72は、車体10の下部に備えられた充電器(図示せず)に接続されており、この充電器の電源プラグが営業所等の電源コンセントに接続されることで、電源プラグから供給される三相交流電力を所定電圧の直流電流に変換して架装部バッテリ72に供給し、架装部バッテリ72の各電源バッテリを充電するようになっている。
【0041】
モータ制御装置73は、例えばインバータ制御方式による制御回路などから構成される。架装部バッテリ72から供給される直流電力をコントローラ80からの指令信号に応じた電圧値の交流電力(インバータ出力)に変換して電動モータ71に供給することで、電動モータ71の回転数(すなわち、これに接続される第1油圧ポンプP1の回転数)をインバータ出力に対応した回転数に制御して、結果として第1油圧ポンプP1から吐出される作動油の吐出流量(及び吐出圧)を制御する。
【0042】
コントローラ80は、車体10上に設けられた電源回路81を介して電源がオンオフ制御されるようになっている。この電源回路81は、PTO操作レバー15の操作に基づいてスイッチ接点を閉とする(オン作動する)上記のPTOスイッチ16等を有して構成され、PTO操作レバー15がオン操作されてPTOスイッチ16のスイッチ接点が閉状態となったときに、コントローラ80と、エンジンEをはじめとする車体側電気装置に電力を供給する走行制御用のシャーシバッテリ17とを繋いで、コントローラ80の電源をオンにする構成になっている。
【0043】
なお、シャーシバッテリ17は、エンジンEの回転駆動によって発電する発電機G(例えば、オルタネータ)に接続され、その発電電力が供給されることで充電されるようになっている。また、発電機Gからコントローラ80にはエンジンEの駆動状態に基づいた電位信号が出力されており、コントローラ80では発電機Gからの電位信号に基づいてエンジンEの駆動および停止を判別可能となっている。
【0044】
また、モータ制御装置73は、操作席60に設けられたオンオフ操作可能な電源スイッチ68を介してシャーシバッテリ17に電気的に接続されており、この電源スイッチ68がオン操作されることにより、シャーシバッテリ17からモータ制御装置73へ電力が供給されて、モータ制御装置73の電源がオンになる。
【0045】
油圧供給ユニット90は、所定量の作動油を貯留するオイルタンクTと、バッテリユニット70における電動モータ71の動力により駆動される機械式の第1油圧ポンプP1と、パワーテイクオフ機構PTOにより取り出されたエンジンEの動力により駆動される機械式の第2油圧ポンプP2と、各操作レバー64に機械的に接続された前述の制御バルブ(マニュアルバルブ)V1〜V5とを備えて構成される。このように油圧供給ユニット90には、作業装置(油圧アクチュエータ)を作動させるための二つの油圧ポンプP1,P2が備えられている。
【0046】
コントローラ80には、図8に示すように、電動モータ71およびエンジンEの駆動制御に関する複数のモードが予め設定されている。これらのモードは、操作装置63に設けられた動力源選択スイッチ69を操作することで選択可能となっている。電動モードDMは、エンジンEを停止させたままの状態で電動モータ71を駆動させることで、第1油圧ポンプP1のみから作動油を吐出させるモードである。そのため、電動モードDMが選択された場合には、駆動時の騒音が比較的大きいエンジンを停止させておくことで、作業に伴う騒音を低減させることができる。エンジンモードEMは、電動モータ71を停止させたままの状態でエンジンEを駆動させることで、第2油圧ポンプP2のみから作動油を吐出させるモードである。そのため、エンジンモードEMが選択された場合には、第2油圧ポンプP2から多量の作動油を吐出させて作業装置を十分な作動速度で作動させることができる。
【0047】
ハイブリッドモードHMは、電動モータ71およびエンジンEを組み合わせて駆動させることで、第1油圧ポンプP1および第2油圧ポンプP2の両方から作動油を吐出させるモードである。このハイブリッドモードHMは、比較的低い一定回転数でエンジンEを駆動させる静かモードSMと、この静かモードよりも高い回転数でエンジンEを駆動させるパワーモードPMとに分類される。さらに、上記パワーモードPMは、静かモードSMよりも高い一定回転数でエンジンEを駆動させるエンジン回転一定モードCMと、アクセルペダル66の踏込操作量に応じて電動モータ71およびエンジンEの回転数を可変制御するエンジン回転可変モードVMとに分類される。
【0048】
ハイブリッドモードHMのうちの静かモードSMが選択された場合には、後述するように、基本的には電動モータ71を駆動させることで第1油圧ポンプP1から作動油を吐出させ、多量の作動油が要求される場合に限って追加的にエンジンEを起動させて比較的低い一定回転数で回転させる制御が行われる。このように、静かモードSMでは、作動油の要求量が比較的少ない場合には電動モータ71のみを駆動させて騒音を低減させるとともに、多量の作動油が要求される場合にのみエンジンEを追加的に駆動させることで、騒音の発生を抑えつつ作動油の供給量を確保する制御が行われる。
【0049】
エンジン回転一定モードCMは、多量の作動油が要求される場合にのみエンジンEを駆動させる点で上記静かモードと共通するものの、静かモードSMよりも高い一定回転数でエンジンEを駆動させる点が静かモードSMと異なっている。そのため、エンジン回転一定モードCMが選択された場合には、エンジンEを駆動させることで多量の作動油を油圧アクチュエータに供給して作業効率を向上させることができる。
【0050】
エンジン回転可変モードVMにおいては、エンジンEを常時駆動させておき、アクセルペダル66の踏込操作量に応じて電動モータ71およびエンジンEの回転数が制御される。そのため、エンジン回転可変モードVMが選択された場合には、アクセルペダル66の踏込操作量に対応した作動油を第1油圧ポンプP1および第2油圧ポンプP2の両方から供給させることで、作業装置の作動速度を確保することができる。
【0051】
上述したように、電動モードDM、エンジンモードEMおよびハイブリッドモードHMの選択(ハイブリッドモードHMを選択する場合には、静かモードSM、エンジン回転一定モードCMおよびエンジン回転可変モードVMの選択)は、操作装置63に設けられた動力源選択スイッチ69の操作することで行われる。選択されたモードに対応した油圧ポンプにより、オイルタンクTから作動油が吸上げられて各制御バルブV1〜V5を介して各油圧アクチュエータへ吐出供給される。なお、各油圧ポンプP1,P2と制御バルブV1〜V5との間の油路上には不図示のリリーフバルブやチェックバルブがそれぞれ介装されている。
【0052】
動力源選択スイッチ69としては、例えば傾動操作可能なトグルスイッチや、回動操作可能なダイヤル式スイッチ等を用いることが可能であり、所望のモードに対応した傾動操作位置または回動操作位置にスイッチを操作することで、所望のモードを選択することができるようになっている。この動力源選択スイッチ69は、前述のPTOスイッチ16及び電源スイッチ68が共にオン作動されている場合、すなわち、第1油圧ポンプP1及び第2油圧ポンプP2の両方が駆動可能な状態となった場合に限りその選択が有効になる。
【0053】
このように構成される穴掘建柱車1には、上記二つの動力源を制御して、各操作レバー64の傾動操作量及びアクセルペダル66の踏込操作量に基づいて油圧ポンプP1,P2の吐出流量を可変調節する制御装置が備えられている。それでは、この制御装置の構成について、図5〜図6を追加参照しながら以下に説明する。
【0054】
本実施形態に係る制御装置は、前述した油圧アクチュエータ、操作レバー64、アクセルペダル66、ペダル踏込位置検出器67、エンジンE、バッテリユニット70、コントローラ80、油圧供給ユニット90、動力源選択スイッチ69のほか、レバー操作位置検出器101を備えて構成されている。制御装置を構成する部材のうちで、ペダル踏込位置検出器67およびレバー操作位置検出器101の構成ついて、以下に詳しく説明する。
【0055】
レバー操作位置検出器101は、例えばポテンショメータ、エンコーダまたはリミットスイッチ等から構成され、図5に示すように操作レバー64が中立位置LNおよび第1操作位置L1〜第5操作位置L5に位置することを検出可能に構成されている。中立位置LNは、操作レバー64への操作がされていない(操作レバー64に手を触れていない)ときの位置であり、操作レバー64がこの位置にあるときには制御バルブV1〜V5は全閉状態である。第1操作位置L1は、中立位置LNから僅かに傾動操作された位置、すなわち、操作レバー64に触れて操作が開始されたことを検出できる位置に設定されている。第2操作位置L2〜第5操作位置L5は、操作レバー64が第1操作位置L1よりも大きく傾動操作されたことを段階的に検出できる位置に設定されている。第5操作位置L5は、操作レバー64が最大傾動位置(フルレバー位置)近傍まで操作されたことを検出できる位置に設定されている。このレバー操作位置検出器101における検出結果は、当該レバー操作位置検出器101と電気的に接続されたコントローラ80に出力される。
【0056】
ここで、第1操作位置L1としては、例えば中立位置LNと、操作レバー64が所定角度操作されて機械式の制御バルブV1〜V5の作動が開始される作動開始位置との間の遊びの範囲内で設定される。なお、前述したように各操作レバー64は前後各方向に傾動操作が可能であり、各操作レバー64には前方操作検出用のレバー操作位置検出器101と、後方操作検出用のレバー操作位置検出器101とが一組となって設けられているが、図1では各操作レバー64に対してレバー操作位置検出器101をそれぞれ1個ずつ図示している。
【0057】
ペダル踏込位置検出器67は、例えばポテンショメータ、エンコーダまたはリミットスイッチ等から構成され、図6に示すようにアクセルペダル66が中立位置ANおよび第1操作位置A1〜第6操作位置A6に位置することを検出可能に構成されている。中立位置ANは、アクセルペダル66への踏込操作がされていない(アクセルペダル66に足を載せていない)ときの位置である。第1操作位置A1は、中立位置ANから僅かに踏込操作された位置、すなわち、アクセルペダル66に足を載せて踏込操作が開始されたことを検出できる位置に設定されている。第2操作位置A2〜第5操作位置A5は、アクセルペダル66が第1操作位置A1よりも大きく踏込操作されたことを段階的に検出できる位置に設定されている。第5操作位置A5は、アクセルペダル66が最大踏込位置の若干手前まで踏込操作されたことを検出できる位置に設定されている。第6操作位置A6は、アクセルペダル66が第5操作位置A5よりもさらに大きく踏込操作されて最大踏込位置(ベタ踏み位置)まで踏込操作されたことを検出できる位置に設定されている。このペダル踏込位置検出器67における検出結果は、当該ペダル踏込位置検出器67と電気的に接続されたコントローラ80に出力される。
【0058】
この穴掘建柱車1に搭載された制御装置は、ハイブリッドモードHMのうちの静かモードSMが選択されたときの制御に特徴を有しており、以下においてはこの特徴について説明する。静かモードSMが選択されたときの制御例について説明する前に、まず、操作手段と動力源との一対一の関係について図7を参照しながら説明する。
【0059】
図7(a)には、操作レバー64の操作量と電動モータ71の回転数との関係を示している。この図7(a)から分かるように、操作レバー64が第1操作位置L1に傾動操作された時点で電動モータ71は最小回転数m1で起動され、第1操作位置L1を上回る操作がされた場合には操作レバー64の操作量に拘わらず電動モータ71は最小回転数m1で回転駆動される。なお、図7には、操作レバー64の操作量とエンジンEの回転数との関係を示していないが、これは操作レバー64の操作量がエンジンEの回転数の制御に直接関連しないためである。
【0060】
図7(b)中の2点鎖線で示す直線Aは、操作レバー64の操作量がL5を下回る状態(図7(a)参照)でのアクセルペダル66の踏込量と電動モータ71の回転数との関係を示している。直線Aを見ると分かるように、操作レバー64の操作量がL5を下回る状態では、アクセルペダル66の踏込量に拘わらず電動モータ71の回転数は最小回転数m1に維持される。図7(b)中の折れ線Bは、操作レバー64の操作量がL5を上回る状態(図7(a)参照)でのアクセルペダル66の踏込量と電動モータ71の回転数との関係を示している。この折れ線Bから分かるように、操作レバー64の操作量がL5を上回る状態では、アクセルペダル66の踏込操作量に応じて電動モータ71の回転数が例えば5段階にわたってに制御される。この図7(b)に示す制御が、上記電動モードDMが選択された場合の制御である。
【0061】
図7(c)には、アクセルペダル66の踏込量とエンジンEの回転数との関係を示している。この図7(c)に示す制御は上記エンジンモードEMが選択された場合の制御であって、この場合には電動モータ71を停止させたままで、アクセルペダル66の踏込操作量に応じてエンジンEの回転数が例えば4段階にわたって制御される。なお、エンジンモードEMが選択された場合、操作レバー64の操作量はエンジンEの回転数制御に直接関連しない。
【0062】
それでは、動力源選択スイッチ69が操作されてハイブリッドモードHMのうちの静かモードSMが選択された場合の制御について、図9に示した制御例を参照しながら説明する。このモードが選択された上で、操作レバー64およびアクセルペダル66が操作されたときには、図7(a)〜(c)のグラフを組み合わせるようにして電動モータ71およびエンジンEの回転数が制御される。図9には、椅子62に座った作業者が、作動させようとする油圧アクチュエータに対応する操作レバー64を傾動操作した後で、その油圧アクチュエータの作動速度を調節するためにアクセルペダル66を踏込操作する場合を例示している。
【0063】
図9に示す制御が行われる前段階として、所望の作業(例えば、電柱の建柱作業)を行うため、この作業車を運転して目的とする作業現場に到着した作業者は、エンジンEの作動状態において先ずPTO操作レバー15を操作する。これにより、第2油圧ポンプP2がパワーテイクオフ機構PTOにより取り出されたエンジンEの動力を受けて回転駆動し得る状態になるとともに、PTOスイッチ16がオン状態となることでシャーシバッテリ17からコントローラ80へ電力が供給されて、コントローラ80の電源がオンになる。
【0064】
また、オペレータが操作席60の電源スイッチ68をオン操作することで、シャーシバッテリ17からバッテリユニット70のモータ制御装置73へ電力が供給されてモータ制御装置73の電源がオンになり、これにより第1油圧ポンプP1がバッテリユニット70から電力供給を受けて駆動する電動モータ71により回転駆動し得る状態となる。こうして第1油圧ポンプP1及び第2油圧ポンプP2の双方が回転駆動可能な状態となった上で、動力源選択スイッチ69を操作して静かモードSMが選択される。
【0065】
まず、図9に示す時間t1において、操作レバー64が中立位置LNから僅かに傾動されて第1操作位置L1にまで傾動操作されたことが検出されると、この検出結果がレバー操作位置検出器101からコントローラ80へ出力される。この検出結果が入力されるとコントローラ80は、モータ制御装置73を介して電動モータ71を一定の最小回転数m1に制御し、第1油圧ポンプP1から油圧アクチュエータの作動に必要な最小流量Q1の作動油を吐出させる。
【0066】
時間t1〜t2においては、操作レバー64が第1操作位置L1から徐々に大きく傾動されて第5操作位置L5(最大傾動位置)近傍に位置するまで傾動操作されるが、このように操作レバー64が第5操作位置L5に達するまでの間は、操作レバー64の傾動操作位置に拘わらず時間t1で設定された最小回転数m1で電動モータ71を回転させる制御が行われる。また、図9には図示されていないが、仮に時間t1〜t2においてアクセルペダル66が踏込操作された場合も同様に、操作レバー64が第5操作位置L5に達していない状態においては最小回転数m1で電動モータ71を回転させる制御が行われる。すなわち、操作レバー64が第5操作位置L5に達するまでの間は、操作レバー64の傾動操作量およびアクセルペダル66が踏込操作量に拘わらず最小回転数m1で電動モータ71を回転させる制御が行われる。この制御により、制御バルブV1〜V5に対してバルブ開度を越える作動油が供給されることを防止して、制御バルブV1〜V5でリリーフされる作動油を減らしてエネルギーロスの低減が図られる。
【0067】
時間t2において、操作レバー64が第5操作位置L5に位置するまで傾動操作されると、この検出結果がレバー操作位置検出器101からコントローラ80へ出力される。また、例えばこの時間t2において、アクセルペダル66が中立位置ANから第1操作位置A1にまで踏込操作されると、この検出結果がペダル踏込位置検出器67からコントローラ80へ出力される。コントローラ80は、この2つの検出結果(操作レバー64が第5操作位置L5にまで傾動操作されたという検出結果と、アクセルペダル66が第1操作位置A1にまで踏込操作されたという検出結果)を受けて、作業者が最小流量Q1を上回る流量の作動油を要求しているものと判断する。この判断に基づきコントローラ80は、電動モータ71の回転制御を、操作レバー64の傾動操作量およびアクセルペダル66の踏込操作量に拘わらず最小回転数m1のままに維持する制御から、アクセルペダル66の踏込操作量に応じて回転数を段階的に変化させる制御に切り替える。
【0068】
なお、図9では時間t2において、操作レバー64が第5操作位置L5にまで傾動操作されたという検出結果と、アクセルペダル66が第1操作位置A1にまで踏込操作されたという検出結果とが同時に検出される場合を例示しているが、この2つの検出結果が異なったタイミングで検出される場合には、2つの検出結果が揃った時点でアクセルペダル66の踏込操作量に応じて電動モータ71の回転数を段階的に変化させる制御に切り替えられる。
【0069】
時間t2〜t3においては、操作レバー64が第5操作位置L5に傾動操作された状態のまま、アクセルペダル66が第1操作位置A1から徐々に踏み込まれて第5操作位置A5近傍にまで踏込操作される。この踏込操作がされる間、アクセルペダル66の踏込操作位置に対応した検出結果がペダル踏込位置検出器67からコントローラ80へ出力され、コントローラ80は上述したようにアクセルペダル66の踏込操作量に対応させて電動モータ71の回転数を段階的に変化させる制御を行う。これにより、穴掘建柱車1から発生する騒音を抑えつつ、アクセルペダル66の踏込操作量に対応させて油圧アクチュエータの作動速度を制御することができる。また、このときの電動モータ71の回転制御は、操作レバー64が第5操作位置L5に達している(バルブ開度が全開となっている)ことを前提条件に行われるため、制御バルブV1〜V5でリリーフされる作動油が削減されてエネルギーロスの低減が図られる。
【0070】
時間t3において、アクセルペダル66が第5操作位置A5にまで踏込操作されたことが検出されると、コントローラ80により、第5操作位置A5に対応した最大回転数m2で電動モータ71を回転させる制御が行われる。そうすることで、第1油圧ポンプP1から吐出される作動油が増加されて、最大回転数m2に対応する最大流量Q2(>最小流量Q1)の作動油が吐出される。
【0071】
時間t4において、上述のように電動モータ71を最大回転数m2で回転させた場合であっても、油圧アクチュエータの作動速度が意図した速度よりも低い(作動油の供給量が不足している)場合には、作業者により操作レバー64が第5操作位置L5に傾動操作された状態のままアクセルペダル66がさらに踏み込まれて、第5操作位置A5を越えて第6操作位置A6に達する踏込操作が行われる。ここで、アクセルペダル66を第5操作位置A5から第6操作位置A6まで踏込操作する場合には、中立位置AN〜第5操作位置A5の間を踏込操作する場合と比較して大きな踏込力を要するように構成されており、うかつに第5操作位置A5から第6操作位置A6へ踏込操作されないようになっている。
【0072】
このようにして、操作レバー64が第5操作位置L5に傾動操作された状態で、アクセルペダル66が第6操作位置A6にまで踏込操作されると、コントローラ80では電動モータ71を最大回転数m2で回転させたときの流量以上の作動油が要求されていると判断される。コントローラ80は、このときの操作レバー64の傾動操作量とアクセルペダル66の踏込操作量とに基づいてエンジンEを起動させて、例えばアイドリング時の低速回転数e1で回転させる制御を行う。このエンジンEの起動に対応してコントローラ80からモータ制御装置73へ指令信号が出力されることで、電動モータ71の回転数をアクセルペダル66の踏込操作量に対応した最大回転数m2よりも低い回転数に低下させる交流電力(インバータ出力)が、モータ制御装置73から電動モータ71に供給される。ここで、例えばエンジンEの起動に伴う第2油圧ポンプP2からの吐出量分だけ、第1油圧ポンプP1からの吐出量が減少するように、電動モータ71の回転数を低下させる制御が行われる。このように、エンジンEの起動に対応させて電動モータ71の回転数を低下させる制御が行われることにより、エンジンEを起動させたときに、エンジンEが起動される前(時間t3〜時間t4)において油圧アクチュエータに供給されていた作動油と略同量の作動油を油圧アクチュエータに供給することができる。そのため、エンジンEの起動前後において、油圧アクチュエータの作動速度が変化することを防止して操作性を向上させることが可能になり、作業者に違和感を与えることがない。
【0073】
なお、時間t4において、電動モータ71の回転数を低下させるインバータ出力がモータ制御装置73から電動モータ71に出力されると、実際には図9に2点鎖線で示すライン91のように、時間t4から例えば50msec(ミリ秒)程度遅れて電動モータ71の回転数が目標回転数にまで低下する。一方、時間t4において、エンジンEを起動させて低速回転数e1で回転させる制御がコントローラ80により行われると、実際には図9に2点鎖線で示すライン92のように、時間t4から例えば数msec程度遅れてエンジンEの回転数が低速回転数e1(目標回転数)に達する。このように、電動モータ71およびエンジンEは、時間t4で制御されてから僅かなタイムラグを有して目標回転数に達するのであるが、互いのタイムラグが油圧アクチュエータの作動速度変化を抑える(油圧アクチュエータに供給される作動油量の変化を抑える)ように作用するため、操作性は確保される。
【0074】
時間t5においては、アクセルペダル66が第6操作位置A6から中立位置AN近傍にまで戻す操作がされている。この操作は、アクセルペダル66の踏込操作量と電動モータ71の回転数との対応付けのために行われるものであり、この対応付けにより時間t5以降においてアクセルペダル66の踏込操作量に応じた電動モータ71の回転制御が可能となる。
【0075】
時間t5〜t6においては、油圧アクチュエータが所望の作動速度となるように、操作レバー64が第5操作位置L5に傾動操作された状態のままでアクセルペダル66が踏込操作される。このとき、コントローラ80は、アクセルペダル66の踏込操作量に拘わらずエンジンEの回転数を起動時の低速回転数e1に維持するとともに、アクセルペダル66の踏込操作量に対応した回転数となるように電動モータ71の回転数を段階的に制御する。この制御により、比較的容量の大きい第2油圧ポンプP2から低速回転数e1に対応した作動油を吐出させるとともに、アクセルペダル66の踏込操作量に対応した量の作動油を第1油圧ポンプP1から吐出させることで、油圧アクチュエータを所望の作動速度で作動させるのに必要な量の作動油を油圧アクチュエータに供給できる。よって、エンジンEを低速回転数e1で回転させることでエンジンEの駆動に伴う騒音を低減しつつ、例えばオーガスクリュー55を回転させながらブーム30の倒伏動と縮小動とを連動させて建柱穴の掘削作業を行う場合であっても作動油が不足することがなく、作業者が意図した速度で油圧アクチュエータを作動させることが可能になる。
【0076】
時間t6において、アクセルペダル66から足が離されることでアクセルペダル66が中立位置ANに戻されたことが検出され、その後時間t7において、操作レバー64から手が離されることで操作レバー64が中立位置LNに戻されたことが検出される。このように、アクセルペダル66および操作レバー64の両方が中立位置に戻されたことが検出された時間7から所定時間(例えば数秒)だけ経過した後、時間t8においてエンジンEを停止させる制御が行われる。
【0077】
このように、時間t7から所定時間だけ経過した後でエンジンEを停止させる制御を行うことにより、例えば目標とする作業が完了したと考えて一旦はアクセルペダル66および操作レバー64への操作をやめたものの考え直して追加作業を行おうとした場合に、エンジンEが駆動状態のままになっているので、再度エンジンEを起動させることなく作業を再開することができる。これにより、頻繁にエンジンEが起動および停止されることを防止して、エンジンEのスタータへの負担を低減できるとともに、起動および停止の際に発生する騒音を低減できる。
【0078】
また、作業者はアクセルペダル66に足を載せておく(アクセルペダル66が第1操作位置A1に位置している)、もしくは操作レバー64に触れておく(操作レバー64が第1操作位置L1に位置している)ことで、エンジンEが自動的に停止されることを防止できる。そのため、作業者はエンジンEを一旦起動させた後で、作業を一時的に中断した後すぐに再開する予定があるためにエンジンEを停止させたくない場合、アクセルペダル66に足を載せておくか、または操作レバー64に触れておくことで、エンジンEが自動的に停止されることを防止でき、次の作業をスムーズに行うことができる。
【0079】
図9では、エンジンEが起動された後の時間t5〜t6において、アクセルペダル66の踏込操作量に対応した回転数となるように、電動モータ71の回転数が段階的に制御される例を示したが、この制御例の他に、例えば図10に示す制御も可能である。この図10に示す制御例は、時間t4〜時間t5における制御のみ図9と異なっており、その他の制御は図9に示す制御と同様である。図10では、時間t4において、図9の場合と同様にアクセルペダル66が第6操作位置A6にまで踏込操作されたことに基づいて、エンジンEが起動されるとともに電動モータ71の回転数を最大回転数m2から低下させる制御が行われる。その後、例えば油圧アクチュエータの作動速度をこの静かモードにおける最大速度にまで上昇させようとして、アクセルペダル66が第6操作位置A6に踏込操作されたままの状態が検出されると、コントローラ80はこの検出結果に基づいて電動モータ71の回転数を段階的に上昇させる制御を行う(図10における時間t4〜時間t5)。このように電動モータ71の回転数を上昇させる制御が行われるので、エンジンEが起動された後、作業者はアクセルペダル66を一旦中立位置ANに戻すことなく油圧アクチュエータの作動速度を上昇させることができる。
【0080】
また、図9とは別の制御例として、例えば図11に示す制御も可能である。図11では、操作レバー64が第5操作位置L5に操作された状態で、アクセルペダル66が例えば第3操作位置A3にまで踏込操作されたことに基づいて(時間t3)、エンジンEを起動させるとともに、電動モータ71の回転数をこのときのアクセルペダル66の踏込操作量に対応した中間回転数m3から低下させる制御が行われる。その後、時間t3〜時間t4において、第3操作位置A3〜第6操作位置A6の範囲でアクセルペダル66が踏込操作されたときには、アクセルペダル66の踏込操作量に応じて電動モータ71の回転数が最小回転数m1から最大回転数m2の範囲で段階的に制御される。
【0081】
この図11に示す制御は、アクセルペダル66の踏込位置のうち中間付近まで踏込操作されたことに基づいてエンジンEを起動させ、その後さらにアクセルペダル66が踏込操作されたときには、エンジンEの回転数を低速回転数e1に維持したままで、踏込操作量に応じて電動モータ71の回転数を制御するようになっている。そのため、時間t2〜時間t5において、アクセルペダル66の踏込操作量に対応した量の作動油を、第1油圧ポンプP1のみから(時間t2〜時間t3)、若しくは第1油圧ポンプP1および第2油圧ポンプP2から(時間t3〜時間t5)油圧アクチュエータに供給でき、作業者が意図した作動速度で油圧アクチュエータを作動させることができる。この図11に示す制御は、アクセルペダル66の踏込位置をさらに細かく(例えば11段階に)検出可能なペダル踏込位置検出器67を用いることで、アクセルペダル66の踏込操作量に対応させて油圧アクチュエータに供給される作動油量を細かく制御可能になる。
【0082】
なお、図11には、アクセルペダル66および操作レバー64の両方が中立位置に戻されたことが検出された時間t6から所定時間だけ経過した後、時間t7においてエンジンEを停止させる制御を例示しているが、以下のような制御も可能である。すなわち、時間t4において、エンジンEが駆動されている状態でアクセルペダル66が第3操作位置A3にまで戻されたことが検出されたときに、エンジンEを停止させるとともに電動モータ71の回転数を第3操作位置A3に対応した中間回転数m3に上昇させる制御も可能である。そして、続く時間t4〜時間t5においては、アクセルペダル66の踏込操作量に応じて、電動モータ71の回転数を中間回転数m3から最小回転数m1の範囲で段階的に変化させる制御が行われる。この制御によれば、エンジンEを追加して駆動させる構成でありながら、アクセルペダル66の踏込操作量と油圧アクチュエータへ供給される作動油量とを対応させて、使い勝手を向上させることができる。
【0083】
上述の実施形態では、エンジンEの起動に対応させて電動モータ71の回転数を最小回転数m1近傍に低下させる制御を例示して説明したが、本発明はこの制御に限定されるものではない。エンジンEが起動されたときに、油圧アクチュエータの作動速度変化を抑えるように第1油圧ポンプP1から吐出される作動油を減少させれば良く、例えば最小回転数m1以上で且つ最大回転数m2未満の間の任意の回転数に低下させる制御が可能である。
【0084】
上述の実施形態において、レバー操作位置検出器101により操作レバー64の傾動操作位置を検出する構成を例示したが、これに代えて操作レバー64の傾動操作量を検出する検出器を用いた構成でも良い。同様に、ペダル踏込位置検出器67によりアクセルペダル66の踏込操作位置を検出する構成に代えて、アクセルペダル66の踏込操作量を検出する検出器を用いた構成でも良い。また、検出器としては、光学式(非接触動作型)のものや機械式(接触動作型)のものを利用することができる。
【0085】
また、上述の実施形態では、アクセルペダル66の踏込操作量に応じて電動モータ71の回転数を段階的に制御する構成を例示して説明したが、この制御に代えて回転数を連続的に制御する構成でも良い。
【0086】
上述の実施形態では、アクセルペダル66および操作レバー64への操作を止めた後、所定時間をおいてエンジンEを自動的に停止させる制御方法を例示して説明したが、本発明はこの制御方法に限定されるものではない。例えばアクセルペダル66および操作レバー64への操作を止めた後、直ちにエンジンEを停止させる制御を行っても良い。この制御を行う場合には、エンジンEにおける無駄な燃料消費を抑えることができる。
【0087】
また、上述の実施形態では、制御バルブV1〜V5を操作レバー64に機械的に連結連動するマニュアルバルブで構成した場合を例示して説明したが、これに限定されるものではない。例えば、制御バルブV1〜V5を電磁弁(比例電磁式の方向流量制御バルブ)で構成し、操作レバーの操作により出力される操作信号に基づいてコントローラにより制御弁のスプールを駆動させるものでもよい。さらに、上述の実施形態では、制御バルブV1〜V5のバルブ開度は連続的(リニア)に変化するものを例示したが、バルブ開度は段階的(少なくとも2段階)に変化するものでもよい。
【0088】
また、上述の実施形態では、前後方向へ傾動操作可能な操作レバー64を搭載した例を示したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば左右方向へ傾動操作可能な操作レバーであってもよく、その他にも、複数の方向への傾動操作及び軸回りに捩じり操作可能なジョイスティック式の操作レバーや、予め設定された複数のポジション位置に選択操作可能なポジションレバー、回動操作可能なボリュームスイッチなどで構成してもよい。
【0089】
上述の実施形態では、電動モータ71の回転数を設定する設定手段として、踏込操作可能なアクセルペダル66を採用した例について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば操作用のつまみをスライド操作するタイプ、または操作用のつまみを回転操作するタイプの設定手段を採用することも可能である。
【0090】
図9〜図11では、操作レバー64が第5操作位置L5(フルレバー位置)に達するまで(時間t1〜t2)は、操作レバー64の傾動操作量およびアクセルペダル66が踏込操作量に拘わらず、最小回転数m1で電動モータ71を回転させる制御を行う構成を例示して説明した。このときに判断基準となる操作レバー64の傾動操作位置は、第5操作位置L5(フルレバー位置)に限定されず、例えば第3操作位置L3(ハーフレバー位置)に設定することも可能である。
【0091】
また、図9〜図11に示す実施形態では、操作レバー64が第5操作位置L5に達するまで(時間t1〜t2)は、操作レバー64の傾動操作量およびアクセルペダル66が踏込操作量に拘わらず、比較的低速の最小回転数m1で電動モータ71を回転させる制御を行う構成を例示して説明した。このときの電動モータ71の回転数は、必ずしも比較的低速の最小回転数m1に設定される必要はなく、さらに高速の回転数(例えば、最小回転数m1と最大回転数m2との間の回転数)に設定することも可能である。
【0092】
上述の実施形態において、本発明が適用される対象は車体がタイヤ車輪式である作業車であったが、車体は必ずしもタイヤ車輪式に限定されるものではなく、クローラ装置等により走行するものであってもよい。或いは軌道走行用車輪を備えて軌道上を走行する軌道走行用の作業車、さらにはタイヤ車輪と軌道走行用車輪との両方を備えた軌陸両用の作業車等であってもよい。
【0093】
上述の実施形態において、本発明に係る作業車として穴掘建柱車を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、高所作業車、軌陸車、クレーン車等の他の作業車にも同様に本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 穴掘建柱車(作業車)
20 旋回台(作業装置)
23 旋回モータ(油圧アクチュエータ)
24 起伏シリンダ(油圧アクチュエータ)
30 ブーム(作業装置)
31 伸縮シリンダ(油圧アクチュエータ)
40 ウィンチ装置(作業装置)
43 ウィンチモータ(油圧アクチュエータ)
50 アースオーガ装置(作業装置)
54 オーガモータ(油圧アクチュエータ)
64 操作レバー(第1操作手段)
66 アクセルペダル(第2操作手段)
67 ペダル踏込位置検出器(第2操作量検出手段)
71 電動モータ(第1動力源)
80 コントローラ(動力源制御手段)
101 レバー操作位置検出器(第1操作量検出手段)
A5 第5操作位置(第2の所定操作量)
E エンジン(第2動力源)
L5 第5操作位置(第1の所定操作量)
m1 最小回転数(第1の所定回転速度)
e1 低速回転数(第2の所定回転速度)
V1〜V5 制御バルブ
P1 第1油圧ポンプ
P2 第2油圧ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧アクチュエータにより作動する作業装置と、
第1および第2動力源と、
前記第1動力源からの回転駆動力を受けて駆動され、前記油圧アクチュエータに作動油を吐出供給する第1油圧ポンプと、
前記第2動力源からの回転駆動力を受けて駆動され、前記油圧アクチュエータに作動油を吐出供給する第2油圧ポンプと、
前記作業装置を作動させるための操作が行われる第1操作手段と、
前記第1操作手段に行われる操作に応じてバルブ開度を変化させて前記第1および第2油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへの作動油の給排制御を行う制御バルブと、
前記第1操作手段の操作量を検出する第1操作量検出手段と、
前記第1および第2動力源の回転速度を設定するための操作が行われる第2操作手段と、
前記第2操作手段の操作量を検出する第2操作量検出手段と、
前記第1および第2操作量検出手段における検出結果に基づいて、前記第1および第2動力源の駆動を制御する動力源制御手段とを備え、
前記動力源制御手段は、前記第1操作手段の操作量が第1の所定操作量未満であるときには前記第2操作手段の操作量に拘わらず前記第1動力源を第1の所定回転速度で回転させ、前記第1操作手段の操作量が前記第1の所定操作量以上である状態で前記第2操作手段が操作されたときには前記第2操作手段の操作量に応じて前記第1動力源の回転を制御し、前記第1操作手段の操作量が前記第1の所定操作量以上である状態で前記第2操作手段が第2の所定操作量を越えて操作されたときには前記第2動力源を追加して駆動させるとともに前記第1動力源の回転速度を前記第2操作手段の操作量に応じた回転速度よりも低くなるように低下させることを特徴とする作業車の制御装置。
【請求項2】
前記動力源制御手段は、前記第2動力源が駆動される前において前記第2操作手段の操作量に応じて前記第1油圧ポンプから吐出される単位時間あたりの作動油量と、前記第2動力源が駆動されたときに前記第1油圧ポンプおよび前記第2油圧ポンプから吐出される単位時間あたりの作動油量とが略同一となるように、前記第1動力源の回転速度を前記第2操作手段の操作量に応じた回転速度よりも低くなるように低下させることを特徴とする請求項1に記載の作業車の制御装置。
【請求項3】
前記動力源制御手段は、前記第2動力源が駆動された状態で前記第2操作手段が操作されたとき、前記第2操作手段の操作量に拘わらず前記第2動力源を第2の所定回転速度で回転させるとともに、前記第2操作手段の操作量に応じて前記第1動力源の回転を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の作業車の制御装置。
【請求項4】
前記第1動力源が電力の供給を受けて回転駆動する電動モータであり、
前記第2動力源がエンジンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業車の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−79670(P2013−79670A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219597(P2011−219597)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000116644)株式会社アイチコーポレーション (168)
【Fターム(参考)】