説明

作業車両の走行装置

【課題】エンジンに取り付けた発電機によるエネルギー変換ロスを発生させず、エンジンへの発電機の取り付けによるコストや重量の増加を生じさせず、エンジンに発電機を取り付けた場合に比べて構成を簡素にする。
【解決手段】車両減速時は、モータジェネレータ41の発電機動作により、車軸装置11の動力が電力に変換されるとともに、この電力がバッテリ45(蓄電装置)に充電されるように、コントローラ51が制御する。車両加速時または定速走行時、かつ、バッテリ45の蓄電量が放電用設定値V1以上の場合は、バッテリ45からの供給電力のみによりモータジェネレータ41が電動機動作を行うように、コントローラ51が制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気および油圧により動作する作業車両の走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ホイールローダ、ホイールショベル、ホイールクレーンなどの作業車両がある。これらの作業用車両には油圧式走行装置が広く用いられる。油圧式走行装置では、エンジンの動力により油圧ポンプを駆動させ、油圧ポンプより吐出された圧油により油圧モータを駆動させ、油圧モータの動力を車軸装置に伝達して車軸装置を駆動させる。
【0003】
油圧により動力伝達を行う技術には、エネルギー効率が低く燃費が悪いという問題がある。具体的には、油圧ポンプや油圧モータのエネルギー効率が低く、配管の圧損等の損失もあるので、エンジンから車軸装置への動力伝達効率が低い。また、車両減速時の運動エネルギーはブレーキにより消費されるのみで回生されない。
【0004】
特許文献1には、電気および油圧により動作する作業車両の走行装置が記載されている。この走行装置では、油圧式動力伝達装置と電動モータとにエンジンの動力を分配する。また、車速の増加に伴い、油圧式動力伝達装置に分配するエンジン出力の割合を小さくするとともに、電動モータに分配するエンジン出力の割合を大きくする。これにより、特に高速時における燃費の改善を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−137524号公報(図2等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の走行装置では、エンジンの動力が電動モータに分配される。すなわち、エンジンに発電機を取り付け、エンジンの駆動により発生した電力を用いて電動モータが駆動される。
【0007】
このようにエンジンに発電機を取り付けると、走行装置の構成が複雑になり、コストや重量が増大する。
【0008】
また、エンジンに取り付けられた発電機によりエネルギー変換ロスが生じる。すなわち、エンジンの動力(回転力)を発電機により電力に一旦変換し、この電力を再び電動モータにより動力(回転力)に変換する。これらの動力と電力とのエネルギー変換の際にエネルギー変換ロスが発生する。このようにエンジンの動力の一部がエネルギー変換ロスにより失われるため燃費が悪化する。
【0009】
本発明の目的は、エンジンに取り付けた発電機によるエネルギー変換ロスが発生せず、エンジンへの発電機の取り付けによるコストや重量の増加が生じず、エンジンに発電機を取り付けた場合に比べて構成が簡素な走行装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0010】
第1の発明に係る作業車両の走行装置は、エンジンに接続された油圧式動力伝達装置と、前記油圧式動力伝達装置と電気式動力装置とで動作される車軸装置と、前記電気式動力装置を制御するコントローラと、を備える。前記油圧式動力伝達装置は、前記車軸装置を駆動させる油圧モータと、前記油圧モータに接続されるとともに、前記エンジンにより駆動されることで当該油圧モータを回転駆動させる油圧ポンプと、を備える。前記電気式動力装置は、前記車軸装置を動作させるとともに発電機動作および電動機動作が可能なモータジェネレータと、前記モータジェネレータに接続される蓄電装置と、を備える。前記コントローラは、前記モータジェネレータと前記蓄電装置との間の電力供給および充電を制御する装置である。前記コントローラは、車両減速時は、前記モータジェネレータの発電機動作により、前記車軸装置の動力が電力に変換されるとともに当該電力が前記蓄電装置に充電されるように制御する。前記コントローラは、車両加速時または定速走行時、かつ、前記蓄電装置の蓄電量が放電用設定値未満の場合は、前記モータジェネレータの発電機動作および電動機動作を停止させるように制御する。前記コントローラは、車両加速時または定速走行時、かつ、前記蓄電装置の蓄電量が放電用設定値以上の場合は、当該蓄電装置からの供給電力のみにより前記モータジェネレータが電動機動作を行うように制御する。
【0011】
この作業車両の走行装置では、車両減速時は、モータジェネレータの発電機動作により、車軸装置の動力が電力に変換されるとともに、この電力が蓄電装置に充電されるように、コントローラが制御する。すなわち、(a)車両減速時に回生された電力が蓄電装置に充電される。
また、この作業車両の走行装置では、車両加速時または定速走行時、かつ、蓄電装置の蓄電量が放電用設定値以上の場合は、(b)蓄電装置からの供給電力のみによりモータジェネレータが電動機動作を行うように、コントローラが制御する。
上記(a)及び(b)より、車両減速時に回生された電力によりモータジェネレータは電動機動作できる。よって、エンジンに発電機を取り付け、この発電機から供給される電力を用いてモータジェネレータを電動機動作させる必要がない。エンジンに発電機を取り付けない場合は、この発電機によるエネルギー変換ロスが発生せず、その結果、エネルギー変換ロスによる燃費低下を抑制できる。また、エンジンに発電機を取り付けない場合は、エンジンへの発電機の取り付けによるコストや重量の増加が生じず、エンジンに発電機を取り付けた場合に比べて走行装置の構成が簡素である。
【0012】
第2の発明に係る作業車両の走行装置では、前記モータジェネレータの電動機動作による前記車軸装置への出力動力を増加させた場合、前記油圧式動力伝達装置の当該車軸装置への伝達動力が当該増加に応じて減少するように前記コントローラは制御する。前記制御は、前記油圧ポンプの容量を減少させることで、または、前記エンジンの回転数を減少させることで行われる。
【0013】
この作業車両の走行装置では、モータジェネレータの出力動力の増加に応じて、油圧式動力伝達装置の伝達動力を減少するようにコントローラが制御する。上述したように、油圧式動力伝達装置はエネルギー効率が低いところ、この油圧式動力伝達装置の伝達動力を減少させるので、エネルギー効率の低下を抑制でき、燃費を向上できる。
また、油圧ポンプの容量を減少させることで、または、エンジンの回転数を減少させることで、油圧式動力伝達装置の伝達動力の減少を具体的に実現できる。
【0014】
第3の発明に係る作業車両の走行装置では、前記車両減速時、かつ、前記蓄電装置の蓄電量が充電用設定値以上の場合、前記モータジェネレータの発電機動作により生じた電力を当該蓄電装置へ充電させることに替えて当該充電を停止させるように前記コントローラは制御する。前記制御は、当該モータジェネレータの前記発電機動作を停止させることで、または、当該発電機動作で生じた電力を抵抗により消費させることで行われる。
【0015】
この作業車両の走行装置では、上記のように充電を停止させるので、蓄電装置の過充電を防止できる。
また、モータジェネレータの発電機動作を停止させることで、または、発電機動作で生じた電力を抵抗により消費させることで、蓄電装置への充電の停止を具体的に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】走行装置の全体図である。
【図2】図1に示すコントローラによる制御のフローチャートである。
【図3】図2に示すステップS14における油圧ポンプ容量の減少量Δqp等を示すグラフである。
【図4】図1に示す走行装置の動作の具体例を示すタイムチャートである。
【図5】変形例2の図1相当図である。
【図6】変形例3の図1相当図である。
【図7】変形例4の図1相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る作業車両の走行装置の実施形態について図面を参照して説明する。走行装置の構成、走行装置の制御、及び走行装置の動作の具体例の順で説明する。
【0018】
(走行装置の構成)
走行装置1は、図1に示すように、作業車両(図示なし)を走行させるための装置であり、電気と油圧とのハイブリッド式走行装置である。作業車両は、具体的にはホイールローダ、ホイールショベル、ホイールクレーン等である(クローラ走行式の作業車両でも良い)。走行装置1は主に、エンジン21に接続された油圧式動力伝達装置30と、電気式動力装置40と、油圧式動力伝達装置30と電気式動力装置40とで動作される車軸装置11と、電気式動力装置40等を制御するコントローラ51とを備える。
【0019】
(車軸装置およびその周辺)
車軸装置11は、油圧式動力伝達装置30と電気式動力装置40とで動作される装置であり、具体的にはホイールを回動させるための装置である。1つの車軸装置11は、油圧式動力伝達装置30および電気式動力装置40に動力伝達装置13を介して連結される。なお、車軸装置11の数は2以上でも良い(後述)。また、車軸装置11はブレーキ装置12を備える。
【0020】
ブレーキ装置12は、作業車両を減速させるための装置であり、ブレーキペダル53を踏むと動作する。
【0021】
動力伝達装置13は、油圧式動力伝達装置30の油圧モータ31と、電気式動力装置40のモータジェネレータ41と、車軸装置11とに接続されるとともに、これらの間で動力を伝達する装置である。
【0022】
(油圧式動力伝達装置およびエンジン)
エンジン21は、油圧ポンプ32を駆動させる装置である。エンジン21の動力は、油圧式動力伝達装置30には伝達されるが、電気式動力装置40の動作には直接は用いられない。すなわち、エンジン21には、モータジェネレータ41の電動機動作やバッテリ45(蓄電装置)の充電に用いるための発電機は取り付けられない。なお、電気式動力装置40がエンジン21の動力を間接的に用いる場合はある。具体的には、後述するように、車両減速時に回生した電力を電気式動力装置40が用いる場合はある。また、エンジン21は、作業車両の走行以外の動作の動力源として用いても良い。例えば、作業車両の上部旋回体(図示なし)の旋回や、ブーム(図示なし)の起伏等の動力源として用いても良い。また、エンジン21にはエンジンガバナ22が取り付けられる。
【0023】
エンジンガバナ22は、エンジン21の回転数を制御する装置であり、コントローラ51に接続されるとともに制御される。
【0024】
油圧式動力伝達装置30は、エンジン21に接続されるとともに、エンジン21の動力を車軸装置11に伝達する装置である。油圧式動力伝達装置30は、油圧ポンプ32と油圧モータ31とを閉回路接続する、いわゆるHST(Hydro Static Transmission、静油圧式無段変速機)と呼ばれる構成である(いわゆるオープン回路型でも良い(後述する変形例2))。油圧式動力伝達装置30は、車軸装置11に接続された油圧モータ31と、エンジン21に接続された油圧ポンプ32と、油圧モータ31と油圧ポンプ32とを閉回路を構成するようにつなぐ連通配管33とを備える。
【0025】
油圧モータ31は、2ポートを備えたモータであり、油圧ポンプ32の吐出圧油により回転駆動され、車軸装置11を駆動させる装置である。さらに詳しくは、油圧モータ31は、動力伝達装置13に接続されるとともに、動力伝達装置13を介して車軸装置11を駆動させる。
【0026】
油圧ポンプ32は、油圧モータ31に接続されるとともに、エンジン21により駆動されることで油圧モータ31を回転駆動させる。油圧ポンプ32は、2ポートを備えた可変容量型ポンプであり、傾転角制御装置32cが取り付けられる。
【0027】
傾転角制御装置32cは、油圧ポンプ32の傾転角を制御することで油圧ポンプ32の吐出方向や容量を制御する装置(具体的にはシリンダ等)であり、コントローラ51に接続されるとともに制御される。
【0028】
連通配管33は、油圧モータ31と油圧ポンプ32とを連通する配管であり、閉回路を構成するようにこれらをつなぐ。連通配管33には、油圧ポンプ32の2つのポートのうち一方のポートと、油圧モータ31の2つのポートのうち一方のポートとを接続する連通配管33aと、油圧ポンプ32および油圧モータ31のそれぞれ他方のポートを接続する連通配管33bとを備える。
【0029】
連通配管33aおよび連通配管33bには、圧力センサ34aおよび圧力センサ34bが設けられる。圧力センサ34aは、連通配管33aの圧力P1を検出し、圧力センサ34bは連通配管33bの圧力P2を検出する。圧力センサ34a及び34bはそれぞれコントローラ51に接続される。
【0030】
なお、連通配管33内に(HST閉回路内に)作動油を供給するチャージングポンプ36がエンジン21に取り付けられる。また、連通配管33内の圧力が上がりすぎないようにするリリーフ弁38と、連通配管33へのチャージ圧を補償する低圧リリーフ弁39が連通配管33に接続される。
【0031】
(電気式動力装置)
電気式動力装置40は、電気(電力)により車軸装置11を動作させる装置である。電気式動力装置40は、車軸装置11に接続されたモータジェネレータ41と、モータジェネレータ41に接続された電力変換装置42と、電力変換装置42に接続されたバッテリ45とを備える。
【0032】
モータジェネレータ41は、車軸装置11を動作(駆動および制動)させるとともに発電機動作および電動機動作が可能な回転電機である。モータジェネレータ41は、電力変換装置42を介してバッテリ45に接続されるとともに、動力伝達装置13を介して車軸装置11に接続される。発電機動作では、モータジェネレータ41は車軸装置11の動力を電力に変換して、この電力がバッテリ45に充電される。電動機動作では、モータジェネレータ41はバッテリ45からの供給電力により車軸装置11を駆動させる。
【0033】
電力変換装置42は、モータジェネレータ41とバッテリ45との間に接続されるとともに、これらの間で直流と交流とを変換する回路を備えた装置である。電力変換装置42は具体的にはインバータ43およびコンバータ44である。電力変換装置42は、コントローラ51に接続されるとともに制御(後述)される。
【0034】
バッテリ45(蓄電装置)は電力を蓄える装置であり、電力変換装置42を介してモータジェネレータ41に接続される。なお、バッテリ45をキャパシタ(図示なし)に変更しても良く、また、バッテリ45とキャパシタとを併用しても良い。
【0035】
コントローラ51は、主に電気式動力装置40を制御する装置である。コントローラ51は、電力変換装置42に接続されるとともに、モータジェネレータ41とバッテリ45との間の電力供給および充電を制御する。
【0036】
また、コントローラ51は次のように接続され、機能(制御)する。アクセルペダル52に接続され、アクセル量が入力される。ブレーキペダル53に接続され、ブレーキ量が入力される。エンジンガバナ22に接続され、アクセルペダル52によるアクセル量に応じてエンジンガバナ22を制御してエンジン21の回転数を制御する。傾転角制御装置32cに接続され、傾転角制御装置32cを制御することで油圧ポンプ32の吐出方向や容量を制御する。前後進切り替えスイッチ54に接続され、前後進切り替えスイッチ54からの入力信号に応じて傾転角制御装置32cを介して油圧ポンプ32の吐出方向を切り換える。なお、モータジェネレータ41に接続され(図示なし)、モータジェネレータ41の動作および停止を切り替えても良い。また、動力伝達装置13に接続され(図示なし)、モータジェネレータ41の発電機トルク等を制御しても良い。
【0037】
(コントローラによる制御)
コントローラ51による制御は、(1)車両減速時と、(2)車両加速時または定速走行時、かつ、バッテリ45の蓄電量が放電用設定値V1未満の場合と、(3)車両加速時または定速走行時、かつ、バッテリ45の蓄電量が放電用設定値V1以上の場合とで異なる。以下、図1及び図2(上述した各構成要素については図1、各ステップについては図2)を参照して順に説明する。
【0038】
(車両減速時)
作業車両の車両減速時(ステップS1及びS2参照)の制御の概略は以下の通りである。車両減速時は通常(ステップS3でYesの場合)、モータジェネレータ41の発電機動作により、車軸装置11の動力が電力に変換されるとともに、この電力がバッテリ45に充電される(ステップS5〜S8参照)。また、車両減速時、かつ、バッテリ45の蓄電量が充電用設定値V2以上の場合(ステップS3でNoの場合)は、モータジェネレータ41の発電機動作により生じた電力をバッテリ45へ充電させない(充電を停止させる)(ステップS9参照)。以下、各ステップを説明する。
【0039】
ステップS1及びステップS2では、車両減速状態か否かが判断される。
アクセルペダル52のアクセル量が設定値以下(ステップS1でNoの場合)、かつ、アクセルオフの場合(ステップS2でYesの場合)、コントローラ51は車両減速状態と判断し、ステップS3へすすむ。
アクセルペダル52のアクセル量が設定値以下(ステップS1でNoの場合)、かつ、アクセルオンの場合(ステップS2でNoの場合)の場合、モータジェネレータ41の動作を停止する(ステップS9)。
なお、アクセルペダル52のアクセル量が設定値より大きい場合(ステップS1でYesの場合)は後述する。
【0040】
ステップS3では、バッテリ45の蓄電量が充電用設定値V2未満か否かが判断される。
バッテリ45の蓄電量が充電用設定値V2以上の場合(Noの場合)、モータジェネレータ41の動作(発電機動作)を停止させる(ステップS9)。これにより、バッテリ45への充電が停止され、バッテリ45の過充電を防げる。なお、モータジェネレータ41を発電機動作させて生じた電力を抵抗(図示なし。例えば電力変換装置42に設ける)により消費させてバッテリ45への充電を停止しても良い。
バッテリ45の蓄電量が充電用設定値V2未満の場合(Yesの場合)、ステップS4へすすむ。
【0041】
ステップS4では、ブレーキオン(例えばブレーキペダル53のブレーキ量が所定値以上など)かオフ(同所定値未満など)かが判断される。
ブレーキオフの場合(Noの場合)、モータジェネレータ41の発電機目標トルク設定値を(ブレーキオンの場合に比べ)低く設定し(ステップS5)、モータジェネレータ41を発電機動作させる(ステップS6)。
ブレーキオンの場合(Yesの場合)、モータジェネレータ41の発電機目標トルク設定値を(ブレーキオフの場合に比べ)高く設定(ステップS7)し、モータジェネレータ41を発電機動作させる(ステップS8)。このとき、ブレーキペダル53を強く(大きく)踏み込むほど、モータジェネレータ41の発電機目標トルク設定値を大きく設定しても良い。この設定により、ブレーキを強くするほど電力をより多く回生できるので、燃費をより向上できる。
【0042】
(車両加速時または定速走行時)
作業車両の車両加速時または定速走行時の制御の概略は以下の通りである。車両加速時または定速走行時(ステップS1でYesの場合)、かつ、バッテリ45の蓄電量が放電用設定値V1未満の場合(ステップS10でNoの場合)は、モータジェネレータ41の発電機動作および電動機動作を停止させる(ステップS9)。
車両加速時または定速走行時(ステップS1でYesの場合)、かつ、バッテリ45の蓄電量が放電用設定値V1以上の場合(ステップS10でYesの場合)は、バッテリ45からの供給電力のみによりモータジェネレータ41が電動機動作を行う(ステップS11及びS12)。以下、各ステップを説明する。
【0043】
ステップS1では、上述したように、アクセルペダル52のアクセル量が設定値より大きいか否かが判断され、設定値より大きい場合(Yesの場合)はコントローラ51は「車両加速時または定速走行時」と判断する。そしてステップS10へすすむ。
【0044】
ステップS10では、バッテリ45の蓄電量が放電用設定値V1以上か否かが判断される。
バッテリ45の蓄電量が放電用設定値V1未満の場合(Noの場合)、モータジェネレータ41の発電機動作および電動機動作を停止させる(ステップS9)。
バッテリ45の蓄電量が放電用設定値V1以上の場合(Yesの場合)、モータジェネレータ41の電動機目標トルクを設定し(ステップS11)、ステップS12へすすむ。
【0045】
ステップS12では、バッテリ45からの供給電力のみによりモータジェネレータ41が電動機動作を行う(エンジン21に発電機を取り付けないので、エンジン21に取り付けた発電機からの供給電力は用いない)。
このとき、バッテリ45の蓄電量に応じて電動機目標トルクを設定しても良い。例えば、蓄電量が低い場合に比べ、蓄電量が高い場合の電動機目標トルクを高くしても良い。
また、アクセルペダル52のアクセル量に応じて電動機目標トルクを設定しても良い。例えば、アクセル量が小さい場合に比べ、アクセル量が大きい場合の電動機目標トルクを高く設定しても良い。
次にステップS13およびS14へすすむ。
【0046】
ステップS13およびS14では、モータジェネレータ41の電動機動作による車軸装置11への出力動力を増加(増加Aとする)させた場合、油圧式動力伝達装置30の車軸装置11への伝達動力を増加Aに応じて減少させる。すなわち、モータジェネレータ41を電動機動作させると、そのままでは車軸装置11の駆動力が増加するため、この駆動力の増加に見合った分(ステップS13)、油圧式動力伝達装置30の伝達動力を減少させる(ステップS14)。なお、上記とは逆に、モータジェネレータ41の出力動力を減少(減少Bとする)させた場合は、油圧式動力伝達装置30の伝達動力を減少Bに応じて増加させる。
【0047】
ステップS14では、油圧式動力伝達装置30の伝達動力を減少させる。具体的には、エンジンガバナ22を制御してエンジン21の回転数を減少させる。または、傾転角制御装置32cを制御して油圧ポンプ32の容量を減少させる。
【0048】
(油圧ポンプの容量減少)
次に、油圧ポンプ32の容量を減少させる制御についてさらに説明する。モータジェネレータ41を電動機動作させた場合の電動機動力をΔWemとする。このΔWemに見合った分、油圧ポンプ32の容量をΔqp減じることでポンプ吸収馬力を(電動機動作させる前の状態から)ΔWp減少させる。言い換えれば、ΔWem=ΔWpとなるように油圧ポンプ32の容量をΔqp減らす。以下、油圧ポンプ32の容量の減少量Δqpの説明をした後、油圧ポンプ32の容量qp(電動機動作させない場合の油圧ポンプの容量)等の説明をする。
【0049】
油圧ポンプ32の容量の減少量Δqpについて説明する。油圧ポンプの吸収馬力Wpは次式のように表される。
Wp=qp×ωp×Pp
ここで、qpは油圧ポンプ32の容量である。Ppは油圧ポンプ32の差圧(2つのポートの差圧)であり、コントローラ51に接続された2つの圧力センサ34a及び34bで検出する。ωpは油圧ポンプ32の回転数であり、エンジン21の回転数を検出することで求まる。具体的には、油圧ポンプ32をエンジン21に直結した場合はエンジン21の回転数とωpとは同一である。油圧ポンプ32を減速機を介してエンジン21に結合した場合はエンジン21の回転数に減速比を乗じればωpが求まる。
そして、モータジェネレータ41の電動機動力ΔWemに見合った分、油圧ポンプ吸収馬力をΔWp減少させるので(すなわちΔWp=ΔWemなので)、油圧ポンプ32の容量の減少量Δqpは次式で表される。
Δqp=ΔWem/(ωp×Pp)
【0050】
次に、油圧ポンプ32の容量qp(モータジェネレータ41を電動機動作させない場合の容量)等について説明する。図3に示すグラフは、油圧ポンプ32の容量qpの目標値(目標ポンプ容量qp)と、油圧ポンプ32の差圧Ppとの関係を表す。また、モータジェネレータ41を電動機動作させない場合の目標ポンプ容量を実線で、モータジェネレータ41を電動機動作させた場合の目標ポンプ容量を一点鎖線で示す。
【0051】
モータジェネレータ41を電動機動作させない場合は、圧力センサ34a及び34bで検出した油圧ポンプ32の差圧Ppに基づき、図3で実線で示した目標ポンプ容量qpとなるように油圧ポンプ32の容量を制御する。さらに詳しくは、目標ポンプ容量qpは次の値である。
(1)差圧PpがPp0以下の場合の目標ポンプ容量qpは、油圧ポンプ32の最大容量qpmaxである(油圧ポンプ32の構造により物理的に制限される)。
(2)差圧PpがPp0〜Ppmaxでの目標ポンプ容量qpは、次式で表される関係となり、差圧Ppが増加するにしたがって目標ポンプ容量qpは減少する。
qp=Wp1/(ωp1×Pp)
ここで、上述したように油圧ポンプ32の回転数ωp1はエンジン21の回転数から求まる。Wp1は油圧ポンプ32の回転数がωp1のときのポンプ吸収馬力設定値である。このWp1は、エンジン21が過負荷によりエンストすることを防止するため、次式のように所定値以下に設定される。
Wp1<We1=f(ωp1)
ここで、We1は、油圧ポンプ32の回転数ωp1の関数であるとともに、エンジン21が過負荷によりエンストしないエンジン21の出力である。
(3)なお、Ppの最大値Ppmaxはリリーフ弁38により制限される。
【0052】
モータジェネレータ41を電動機動作させる場合は、電動機動作させない場合の目標ポンプ容量qp(図3で実線で示す)よりもΔqp減少させた値(図3で一点鎖線で示す値)を目標として、油圧ポンプ32の容量を制御する。
【0053】
(走行装置の動作の具体例)
次に、図4に示すタイムチャート及び図1を参照して、走行装置1の動作を具体例に基づいて説明する。以下、加速(T0〜T2)、定常走行(T2〜T3)、アクセルオフ(T3〜T4)、ブレーキによる減速(T4〜T6)を作業車両が行う場合について順に説明する。図4(a)〜(g)では、(a)アクセル量、(b)ブレーキ量、(c)速度、(d)電動機動力および発電機動力、(e)エンジン動力、(f)油圧ポンプ容量、及び(g)蓄電量それぞれと時間との関係を示す。
【0054】
(T0〜T1)
アクセルペダル52を踏み込んで車両を加速させるとき、バッテリ45の蓄電量(図4(g)の参照)が放電用設定値V1以上であれば、モータジェネレータ41は電動機動作を行う(図4(d)参照)(図2に示すステップS1、S10〜S12参照)。この結果、バッテリ45は放電により蓄電量が減少する(図4(g)参照)。
【0055】
このとき、油圧ポンプ32の容量(図4(f)参照)は、モータジェネレータ41の電動機動作による動力に見合った分だけ減少させる(後述するT1〜T2に比べて減少させる。図2に示すステップS14参照)。この結果、油圧ポンプ32のポンプ吸収馬力が減少し、その結果エンジン21動力(馬力)(図4(e)参照)がモータジェネレータ41の動力(図4(d)参照)に見合った分だけ減少する(後述するT1〜T2に比べて減少する)。
【0056】
このとき、バッテリ45の蓄電量(図4(g)参照)が低い場合は(図4(d)〜(g)に示す破線参照)、同高い場合(同図に示す実線参照)に比べ、モータジェネレータ41の電動機動力(図4(d)参照)を減少させても良い。この場合、油圧ポンプ32容量(図4(f)参照)を大きくする。その結果、モータジェネレータ41の電動機動力の減少に見合った分だけエンジン21動力(図4(e)参照)が大きくなる。
【0057】
(T1〜T2)
車両加速中に、バッテリ45の蓄電量(図4(g)参照)が放電用設定値V1未満となった場合、モータジェネレータ41の電動機動作を停止させる(図2に示すステップS10及びS9参照)。この結果モータジェネレータ41の電動機動力(図4(d)参照)がなくなる。そして、なくなった電動機動力の分、油圧ポンプ32のポンプ容量(図4(f)参照)を増加させる(T0〜T1に比べて増加させる)。この結果エンジン21の動力(図4(e)参照)が増加する。
【0058】
(T2〜T3)
作業車両の加速を終了し、アクセルペダル52を戻して(少し踏んで)定速走行した場合、モータジェネレータ41は動作を停止したままである(図4(d)参照。図2に示すステップS2及びS9参照)。
なお、上記の例では時刻T1で、バッテリ45の蓄電量(図4(g)参照)が放電用設定値V1未満に低下しているため、定速走行となった場合(T2〜T3)にモータジェネレータ41の電動機動作によるアシストは行っていない。しかしながら、バッテリ45の蓄電量が高ければ(例えば放電用設定値V1以上など所定値以上であれば)上記アシストを行っても良い。具体的には例えば、車両減速後(バッテリ45へ充電後)車両を停止させず、減速後の速度で定速走行する場合などでは、定速走行時でもバッテリ45の蓄電量は高い状態が維持されているため、上記アシストを行っても良い。
【0059】
(T3〜T4)
アクセルペダル52を完全に戻す(アクセルオフとする)と作業車両は緩やかに減速する(図4(c)参照)。この場合、モータジェネレータ41を発電機動作させ(図4(d)参照)減速エネルギー(運動エネルギー)を回生しバッテリ45に電力を蓄電する(図2に示すステップS5及びS6参照)。この結果、バッテリ45の蓄電量(図4(g)参照)は次第に増加する。このとき、モータジェネレータ41の発電トルクを大きくしすぎると、必要以上に作業車両が減速し走行フィーリングを損なうため、車両の減速度が適切となるよう発電トルクを設定する。具体的にはブレーキオンの場合(T4〜T5)よりも発電トルクを小さくする(図4(d)参照)。
【0060】
(T4〜T5)
ブレーキペダル53を踏んで作業車両を減速させるときは、アクセルオフのみの場合よりもモータジェネレータ41の発電トルクを大きく設定する(図4(d)参照。図2に示すステップS7及びS8参照)。これにより、ブレーキ操作時に大きな減速度が得られるとともに、電力の回生量を増加させることができる。したがって、バッテリ45の蓄電量の増加はアクセルオフのみの場合よりも大きくなる(図4(g)参照)。
【0061】
(T5〜T6)
車両減速中にバッテリ45の蓄電量が充電用設定値V2以上になると、バッテリ45の過充電を防止するために充電を停止させる(図4(g)参照。図2に示すステップS3及びS9参照)。
【0062】
(本実施形態の作業車両の走行装置の特徴)
本実施形態の作業車両の走行装置1には以下の特徴がある(以下、走行装置1の各構成要素については図1を、各ステップについては図2を参照)。
【0063】
(特徴1)
この走行装置1では、車両減速時は、モータジェネレータ41の発電機動作により、車軸装置11の動力が電力に変換されるとともに、この電力がバッテリ45(蓄電装置)に充電されるように、コントローラ51が制御する(ステップS4〜S8)。すなわち、(a’)車両減速時に回生された電力がバッテリ45に充電される。
また、この走行装置1では、車両加速時または定速走行時、かつ、バッテリ45の蓄電量が放電用設定値V1以上の場合は、(b’)バッテリ45からの供給電力のみによりモータジェネレータ41が電動機動作を行うように、コントローラ51が制御する(ステップS10〜S12)。
上記(a’)及び(b’)より、車両減速時に回生された電力によりモータジェネレータ41は電動機動作できる。よって、エンジン21に発電機を取り付け、この発電機から供給される電力を用いてモータジェネレータ41を電動機動作させる必要がない。走行装置1ではエンジン21に発電機を取り付けないので、エンジン21に取り付けた発電機によるエネルギー変換ロスが発生せず、その結果、エネルギー変換ロスによる燃費低下を抑制できる。また、エンジン21に発電機を取り付けないので、エンジン21への発電機の取り付けによるコストや重量の増加が生じず、エンジン21に発電機を取り付けた場合に比べて走行装置1の構成が簡素である。
【0064】
(特徴2)
この走行装置1では、モータジェネレータ41の電動機動作による車軸装置11への出力動力を増加(増加Aとする)させた場合、油圧式動力伝達装置30の車軸装置11への伝達動力が増加Aに応じて減少するようにコントローラ51は制御する(ステップS13及びS14)。具体的には、油圧ポンプ32の容量を減少させることで、または、エンジン21の回転数を減少させることで、油圧式動力伝達装置30の伝達動力を減少する。上述したように、油圧式動力伝達装置30はエネルギー効率が低いところ、この油圧式動力伝達装置30の伝達動力を減少させるので、エネルギー効率の低下を抑制でき、燃費を向上できる。
【0065】
(特徴3)
この走行装置1では、車両減速時、かつ、バッテリ45の蓄電量が充電用設定値V2以上の場合、モータジェネレータ41の発電機動作により生じた電力をバッテリ45への充電を停止させるようにコントローラ51は制御する(ステップS3及びS9)。具体的には、モータジェネレータ41の発電機動作を停止させることで、または、発電機動作で生じた電力を抵抗(例えば電力変換装置42内に設けた抵抗)により消費させることで、バッテリ45への充電を停止する。このように充電を停止させるので、バッテリ45の過充電を防止できる。
【0066】
(変形例1)
図1に示すモータジェネレータ41の回転数が油圧モータ31の回転数よりも高くなるようにしても良い。これにより、小型のモータジェネレータ41でも高い出力が得られる。モータジェネレータ41の回転数を高くする構成としては例えば、油圧モータ31と車軸装置11との間の減速比に対し、モータジェネレータ41と車軸装置11との間の減速比が高くなるように、動力伝達装置13のギア比を設定する。また例えば、モータジェネレータ41と動力伝達装置13との間に別途減速機(図示なし)を設置する。
【0067】
(変形例2)
図5に変形例2の走行装置201を示す。いわゆるHST(閉回路)の油圧式動力伝達装置30(図1参照)は、いわゆるオープン回路型の油圧式動力伝達装置230に変更しても良い。油圧式動力伝達装置230は、タンクTとつながれた油圧ポンプ232を備える。また、油圧式動力伝達装置230は、油圧ポンプ32と油圧モータ31とを連通する連通配管33上に方向切替弁234を備える。
【0068】
油圧式動力伝達装置230は次のように動作する。油圧ポンプ232は、タンクTから作動油を吸入するとともに、連通配管33へ作動油を吐出する。吐出された作動油は、方向切替弁234を介して油圧モータ31へ供給されて油圧モータ31が動作する。油圧モータ31から吐出された作動油は方向切替弁234を介してタンクTへ戻る。また、前後進切り替えスイッチ54からの信号に基づいて、コントローラ51は方向切替弁234を切り替える。この切り替えにより、車両前進時には油圧モータ31を正転、車両後進時には油圧モータ31を反転させる。なお、油圧式動力伝達装置230では、タンクTの圧力(大気圧)に対する連通配管33aの圧力P1を圧力センサ34aで計測することで油圧ポンプ232の差圧Pp(図3参照)を計測する。
【0069】
(変形例3)
図6に変形例3の走行装置301を示す。走行装置301では、モータジェネレータ41と油圧モータ31とを同軸に配置するとともに、これらを動力伝達装置13を介さずに車軸装置に接続する。この場合、動力伝達装置13を備える場合に比べ構成が簡素である。
【0070】
(変形例4)
図7に変形例4の走行装置401を示す。上記実施形態では、1つの車軸装置11を油圧式動力伝達装置30と電気式動力装置40とで動作させたが、走行装置401では車軸装置11は2つある。具体的には、油圧式動力伝達装置30(の油圧モータ31)に第1車軸装置411aを接続するとともに駆動させる。電気式動力装置40(のモータジェネレータ41)に第2車軸装置411bを接続するとともに駆動させる。なお、図7は模式図であり、図7に示すように油圧モータ31と第1車軸装置411aとを90度に曲げた軸で接続する必要はない(モータジェネレータ41と第2車軸装置411bとの接続も同様)。
【0071】
(その他の変形例)
図1に示す油圧式動力伝達装置30及び電気式動力装置40から、車軸装置11(または、図7に示す第1車軸装置411a及び第2車軸装置411b)への動力の分配は様々に変形できる。例えば、油圧式動力伝達装置30及び電気式動力装置40の動力を混合するとともに、混合した動力を第1車軸装置411a及び第2車軸装置411bへ分配しても本発明を適用できる。
【0072】
図1ではコントローラ51を1つ図示しているが、コントローラ51は複数としても良い。例えば機能別にコントローラ51を分けても良い。具体的には例えば、エンジン21及び油圧式動力伝達装置30を制御するためのコントローラ51と、電気式動力装置40を制御するためのコントローラ51とを別体としても本発明を適用できる。
【0073】
上記実施形態では、車両加速時または定速走行時や車両減速時か否かの判断を、アクセルペダル52のアクセル量やブレーキペダル53のブレーキ量で判断した(図2のステップS1、S2及びS4)が、他の方法を用いても良い。具体的には例えば、速度計(図示なし)を用いても良い。この場合、車軸装置11に速度計を取り付け、速度計とコントローラ51とを接続し、速度計からの速度信号がコントローラ51に入力されるように構成することで、コントローラ51は車両の状態を判断する。
【符号の説明】
【0074】
1 走行装置
11 車軸装置
21 エンジン
30、230 油圧式動力伝達装置
31 油圧モータ
32 油圧ポンプ
40 電気式動力装置
41 モータジェネレータ
45 バッテリ(蓄電装置)
51 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに接続された油圧式動力伝達装置と、
前記油圧式動力伝達装置と電気式動力装置とで動作される車軸装置と、
前記電気式動力装置を制御するコントローラと、を備え、
前記油圧式動力伝達装置は、
前記車軸装置を駆動させる油圧モータと、
前記油圧モータに接続されるとともに、前記エンジンにより駆動されることで当該油圧モータを回転駆動させる油圧ポンプと、を備え、
前記電気式動力装置は、
前記車軸装置を動作させるとともに発電機動作および電動機動作が可能なモータジェネレータと、
前記モータジェネレータに接続される蓄電装置と、を備え、
前記コントローラは、前記モータジェネレータと前記蓄電装置との間の電力供給および充電を制御する装置であって、
車両減速時は、前記モータジェネレータの発電機動作により、前記車軸装置の動力が電力に変換されるとともに当該電力が前記蓄電装置に充電されるように制御し、
車両加速時または定速走行時、かつ、前記蓄電装置の蓄電量が放電用設定値未満の場合は、前記モータジェネレータの発電機動作および電動機動作を停止させるように制御し、
車両加速時または定速走行時、かつ、前記蓄電装置の蓄電量が放電用設定値以上の場合は、当該蓄電装置からの供給電力のみにより前記モータジェネレータが電動機動作を行うように制御する、作業車両の走行装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記モータジェネレータの電動機動作による前記車軸装置への出力動力を増加させた場合、前記油圧式動力伝達装置の当該車軸装置への伝達動力が当該増加に応じて減少するように制御し、当該制御は、前記油圧ポンプの容量を減少させることで、または、前記エンジンの回転数を減少させることで行われる、請求項1に記載の作業車両の走行装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記車両減速時、かつ、前記蓄電装置の蓄電量が充電用設定値以上の場合、前記モータジェネレータの発電機動作により生じた電力を当該蓄電装置へ充電させることに替えて当該充電を停止させるように制御し、当該制御は、当該モータジェネレータの前記発電機動作を停止させることで、または、当該発電機動作で生じた電力を抵抗により消費させることで行われる、請求項1または2に記載の作業車両の走行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−11936(P2012−11936A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151888(P2010−151888)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】