説明

信号処理回路、電子機器、信号処理方法及びプログラム

【課題】IF信号からベースバンド信号をより正確に再生するための新たな手法を提案すること。
【解決手段】フィルタ部のフィルタの遮断周波数に応じて周期波形の形状を変更して再生用発振信号を生成し、生成した再生用発振信号を用いてベースバンド信号を再生する。具体的には、フィルタの遮断周波数が低いほど、正の振幅から負の振幅までの正負振幅間長が長い周期波形の再生用発振信号を用いてベースバンド信号を再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理回路、電子機器、信号処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるスーパーヘテロダイン方式による信号受信を行うシステムでは、受信したRF信号を中間周波数の信号(以下、「IF(Intermediate Frequency)信号」と称す。)にダウンコンバージョンした後、IF信号からベースバンド信号を再生するために、キャリア周波数の信号(再生用信号)を乗算する構成が採られている(例えば、特許文献1)。このIF信号に乗算する再生用信号は、固定の波形制御データに従って生成される周期的な信号であり、波形形状は正弦波等が一般的である。
【特許文献1】特開平10−288658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、受信信号には様々なノイズ成分が含まれているため、受信信号(或いは、中間周波信号に変換された後の信号)にフィルタをかけて不要な周波数成分を除去して、受信感度を上げる工夫がなされる。
【0004】
しかし、フィルタの応答特性により、受信信号がフィルタを通過することで、信号波形がなまったり、信号が時間的に遅延する群遅延と呼ばれる現象が発生したりすることが知られている。このため、正弦波等の波形形状をなす再生用信号をIF信号に乗算する従来の構成では、波形形状を含め、ベースバンド信号を正しく再生できていないという問題が生じていることが分かった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みて為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するための第1の発明は、フィルタ特性を変更可能なフィルタ部と、所与の波形制御データに従って周期波形の形状を変更して再生用発振信号を生成する再生用信号発振部と、前記フィルタ部のフィルタ特性に応じて前記波形制御データを可変する波形制御データ設定部と、前記再生用信号発振部により生成された再生用発振信号を用いて、前記フィルタ部を通過した信号からベースバンド信号を再生する再生部と、を備えた信号処理回路である。
【0007】
また、他の発明として、フィルタ特性を変更可能なフィルタ部と、所与の波形制御データに従って周期波形の形状を変更して再生用発振信号を生成する再生用信号発振部とを備えた信号処理回路の信号処理方法であって、前記フィルタ部のフィルタ特性に応じて前記波形制御データを可変することと、前記再生用信号発振部により生成された再生用発振信号を用いて、前記フィルタ部を通過した信号からベースバンド信号を再生することと、を含む信号処理方法を構成してもよい。
【0008】
さらに、他の発明として、フィルタ特性を変更可能なフィルタ部と、所与の波形制御データに従って周期波形の形状を変更して再生用発振信号を生成する再生用信号発振部と、前記再生用信号発振部により生成された再生用発振信号を用いて、前記フィルタ部を通過した信号からベースバンド信号を再生する再生部と、プロセッサとを備えた信号処理回路の前記プロセッサを、前記フィルタ部のフィルタ特性に応じて前記波形制御データを可変する波形制御データ設定部として機能させるためのプログラムを構成してもよい。
【0009】
フィルタを通過した後の信号の波形のなまりや群遅延の程度は、フィルタの特性によって異なる。第1の発明等によれば、フィルタの特性に応じて周期波形の形状を変更して再生用発振信号を生成するため、波形のなまりや群遅延を考慮した再生用発振信号の生成が可能となり、これによりベースバンド信号をより正確に再生することが可能となる。
【0010】
また、第2の発明として、第1の発明の信号処理回路であって、前記フィルタ部は、遮断周波数を変更可能に構成されており、前記波形制御データ設定部は、前記フィルタ部の遮断周波数が低いほど、正の振幅から負の振幅までの正負振幅間長が長い周期波形を前記再生用信号発振部に生成させる波形制御データに設定する信号処理回路を構成してもよい。
【0011】
本願発明者は、フィルタを通過した後の信号の群遅延が小さい場合ほど、正の振幅から負の振幅までの正負振幅間長が長い周期波形の再生用発振信号を用いることで、ベースバンド信号をより正確に再生できることを発見した。また、フィルタの遮断周波数が低いほど、フィルタを通過した後の信号の群遅延が小さくなることが知られている。従って、フィルタの遮断周波数が低いほど、正負振幅間長が長い周期波形の再生用発振信号を用いれば、ベースバンド信号を正しく再生することができると言える。第2の発明によれば、以上の原理に立脚する信号処理回路を実現することができる。
【0012】
また、第3の発明として、第1又は第2の発明の信号処理回路であって、前記フィルタ部は、フィルタ次数を変更可能に構成されており、前記波形制御データ設定部は、前記フィルタ部のフィルタ次数が低いほど、正の振幅から負の振幅までの正負振幅間長が長い周期波形を前記再生用信号発振部に生成させる波形制御データに設定する信号処理回路を構成してもよい。
【0013】
フィルタ次数が低いほど、フィルタを通過した後の信号の群遅延が小さくなることが知られている。従って、フィルタ次数が低いほど、正負振幅間長が長い周期波形の再生用発振信号を用いれば、ベースバンド信号を正しく再生することができると言える。第3の発明によれば、以上の原理に立脚する信号処理回路を実現することができる。
【0014】
また、第4の発明として、第1〜第3の発明の信号処理回路であって、前記フィルタ部の通過信号の信号強度に応じて前記フィルタ部のフィルタ特性を可変するフィルタ特性可変部を更に備える信号処理回路を構成してもよい。
【0015】
より具体的には、例えば第5の発明として、第4の発明の信号処理回路であって、前記フィルタ特性可変部は、前記通過信号の信号強度が強いほど遮断周波数を高くするように前記フィルタ部のフィルタ特性を変更する信号処理回路を構成することも可能である。
【0016】
この第5の発明によれば、通信信号の信号強度が強いほど、フィルタ部の遮断周波数を高くするようにフィルタ部のフィルタ特性が変更される。
【0017】
また、第6の発明として、第1〜第5の何れかの発明の信号処理回路を備えた電子機器を構成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に好適な実施形態の一例を説明する。尚、以下では、信号処理回路を備えた電子機器として携帯型電話機を例に挙げ、測位システムとしてGPSを用いた場合について説明するが、本発明を適用可能な実施形態がこれに限定されるわけではない。
【0019】
1.機能構成
図1は、本実施形態における携帯型電話機1の機能構成を示すブロック図である。携帯型電話機1は、GPSアンテナ5と、GPS受信部10と、ホストCPU(Central Processing Unit)40と、操作部50と、表示部60と、携帯電話用アンテナ70と、携帯電話用無線通信回路部80と、ROM(Read Only Memory)90と、RAM(Random Access Memory)100とを備えて構成される。
【0020】
GPSアンテナ5は、GPS衛星から発信されているGPS衛星信号を含むRF(Radio Frequency)信号を受信するアンテナであり、受信した信号をGPS受信部10に出力する。尚、GPS衛星信号は、衛星毎に異なる拡散符号の一種であるPRN(Pseudo Random Noise)コードで直接スペクトラム拡散方式により変調された1.57542[GHz]の通信信号である。PRNコードは、コード長1023チップを1PNフレームとする繰返し周期1msの擬似ランダム雑音である。
【0021】
GPS受信部10は、GPSアンテナ5から出力された信号に基づいて携帯型電話機1の現在位置を測位する測位回路であり、いわゆるGPS受信機に相当する機能ブロックである。GPS受信部10は、RF受信回路部20と、ベースバンド処理回路部30とを備えて構成される。尚、RF受信回路部20と、ベースバンド処理回路部30とは、それぞれ別のLSI(Large Scale Integration)として製造することも、1チップとして製造することも可能である。
【0022】
RF受信回路部20は、高周波信号(RF信号)を処理する回路ブロックであり、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ21と、LNA(Low Noise Amplifier)23と、乗算部25と、A/D(Analog Digital)変換部27とを備えて構成される。
【0023】
RF受信回路部20は、入力段にバンドパスフィルタとしてのSAWフィルタ21を備え、いわゆるスーパーヘテロダイン方式によって信号受信を行う受信システムである。尚、本実施形態では、受信信号を同相成分(I成分)及び直交成分(Q成分)の信号(I信号及びQ信号)に分離して処理を行うが、IQ信号への分離方法は公知の方法であるため詳細な説明を省略し、図1のRF受信回路部20では包括的に図示する。
【0024】
SAWフィルタ21は、GPSアンテナ5で受信された信号から所定の周波数帯域成分を通過させるバンドパスフィルタであり、通過させた信号をLNA23に出力する。
【0025】
LNA23は、SAWフィルタ21を通過した信号を増幅するローノイズアンプであり、増幅した信号を乗算部25に出力する。
【0026】
乗算部25は、LNA23で増幅された信号に、所定の局部発振信号を乗算する乗算器を有して構成され、RF信号をIF信号にダウンコンバージョンした後、A/D変換部27に出力する。本実施形態では、IF信号の周波数を132[kHz]とする。尚、詳細図示していないが、この乗算部25は、局部発振信号及び該局部発振信号の位相を90度ずらした信号それぞれと、受信信号とを乗算することによって、受信信号をIF信号へダウンコンバージョンするとともに、受信信号をI信号及びQ信号に分離する。
【0027】
A/D変換部27は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器を有して構成され、乗算部25から出力された信号をデジタル信号に変換した後、ベースバンド処理回路部30に出力する。従って、RF受信回路部20からは、デジタル化されたIF信号のI信号及びQ信号が出力される。
【0028】
ベースバンド処理回路部30は、RF受信回路部20から出力されたIF信号からベースバンド信号を再生するとともに、再生したベースバンド信号とレプリカコードとの相関演算を行ってGPS衛星信号を捕捉・抽出し、データを復号して航法メッセージや時刻情報等を取り出して測位演算を行う信号処理回路である。
【0029】
図2は、ベースバンド処理回路部30の回路構成の一例を示す図である。ベースバンド処理回路部30は、フィルタ部31と、メモリ部32と、ベースバンド信号再生部33と、再生用信号発振部34と、相関演算部35と、レプリカコード生成部36と、CPU37と、ROM38と、RAM39とを備えて構成される。
【0030】
フィルタ部31は、遮断周波数を可変に設定することで通過帯域を広狭変更可能な低域通過フィルタを有して構成され、RF受信回路部20から出力されたIF信号のうち、通過帯域に含まれる周波数成分の信号を通過させる。そして、通過させた信号をメモリ部32に出力する。フィルタ部31を構成するフィルタとしては、例えばバタワース(Butterworth)フィルタを適用することができる。また、本実施形態では、フィルタ部31の遮断周波数として、300、450及び600[kHz]の何れかが設定可能であるものとして説明する。
【0031】
メモリ部32は、フィルタ部31を通過した信号を、CPU37からの制御信号に従って所定時間間隔でサンプリングして格納するメモリを有して構成される。
【0032】
ベースバンド信号再生部33は、メモリ部32に格納された信号に対して、再生用信号発振部34で生成された再生用発振信号を乗算することでベースバンド信号を再生し、再生したベースバンド信号を相関演算部35に出力する。
【0033】
再生用信号発振部34は、CPU37から出力される再生用発振信号の制御信号に従って、IF信号からベースバンド信号を再生するための再生用発振信号を生成し、生成した再生用発振信号をベースバンド信号再生部33に出力する。再生用信号発振部34は、例えばNCO(Numerical Controlled Oscillator)等の発振器を有して構成される。
【0034】
ここで、IF信号のI,Q信号について、ベースバンド信号の再生式は、以下の式(1)及び式(2)でそれぞれ与えられる。
BB(t)=IIF(t)×cos(ωIFt)−QIF(t)×sin(ωIFt)・・・(1)
BB(t)=QIF(t)×cos(ωIFt)−IIF(t)×sin(ωIFt)・・・(2)
但し、「IBB」は再生されたベースバンド信号のI信号、「QBB」は再生されたベースバンド信号のQ信号、「IIF」はIF信号のI信号、「QIF」はIF信号のQ信号、「ωIF」はIF信号の角周波数(再生用発振信号の発振角周波数)、「t」は時間をそれぞれ示している。
【0035】
RF受信回路部20から出力されたIF信号は、フィルタ部31を通過することで、その波形がなまったり、群遅延が発生したりする。従って、従来のように、固定的な波形制御データに従って生成した再生用発振信号を用いてベースバンド信号を再生しようとすると、正確なベースバンド信号を再生できない場合がある。
【0036】
図3は、その一例を説明するための図である。同図において、細線の波形で表される信号S1は、フィルタ部31を通過する前のIF信号を示しており、太線の波形で表される信号S2は、フィルタ部31を通過した後のIF信号を示している。これを見ると、信号S2は信号S1に対して全体的に遅延しており、群遅延が発生していることがわかる。また、例えば破線で示した部分P1及びP2においては、信号S2の波形がなまっていることがわかる。
【0037】
これらの信号の下方に、P2部分の信号S1,S2それぞれを再生した場合のベースバンド信号の波形を示した。細線の波形で表される信号S3は、フィルタ部31を通過する前のIF信号(信号S1)から再生したベースバンド信号を示しており、太線の波形で表される信号S4は、フィルタ部31を通過した後のIF信号(信号S2)から再生したベースバンド信号を示している。P2部分がP3部分に対応している。これを見ると、ベースバンド信号が正しく再生されていないことがわかる。尚、変調方式は位相変調方式であり、図3の信号波形はI,Q信号の何れかを示している。
【0038】
この問題を解決するため、本実施形態では、波形制御データを固定して再生用発振信号を生成するのではなく、フィルタ部31の遮断周波数毎に、そのフィルタ特性に応じた特殊な周期波形の形状の再生用発振信号を生成すべく、遮断周波数それぞれに応じた波形制御データを用意して、適切な波形をなす再生用発振信号を生成する。
【0039】
図4は、本実施形態における再生用発振信号の波形の一例を示す図である。同図において、横軸は位相「θ」、縦軸は信号の大きさ「C」を示している。再生用発振信号の波形は、フィルタ部31の遮断周波数が低いほど、正の振幅「A」に対する位相と負の振幅「−A」に対する位相との位相差が大きい。すなわち、正の振幅から負の振幅までの正負振幅間長が長い周期波形の形状で表される。また、1周期分の波形は、θ=「180°」を中心として点対称である。
【0040】
本願発明者は、フィルタ部31を通過した信号の群遅延が小さい場合ほど、正の振幅から負の振幅までの正負振幅間長が長い周期波形の再生用発振信号を用いることで、ベースバンド信号をより正確に再生できることを発見した。また、フィルタ部31の遮断周波数が低いほど、フィルタ部31を通過した後の信号の群遅延が小さくなることが知られている。従い、図4に示した波形の再生用発振信号を用いることで、ベースバンド信号を正しく再生することが可能となる。
【0041】
相関演算部35は、ベースバンド信号再生部33により再生されたベースバンド信号と、レプリカコード生成部36により生成されたレプリカコードとの相関演算を行う回路部である。具体的には、レプリカコードの位相(コード位相)をずらしつつ、ベースバンド信号との相関演算を行い、各コード位相における相関値をCPU37に出力する。
【0042】
レプリカコード生成部36は、CPU37からの制御信号に従って、捕捉対象のGPS衛星(以下、「捕捉対象衛星」と称す。)のPRNコードを模擬したレプリカコードを生成し、生成したレプリカコードを相関演算部35に出力する。
【0043】
CPU37は、所定の測位演算を行って携帯型電話機1の現在位置を測位するプロセッサである。具体的には、相関演算部35から出力された相関値を基に、GPS衛星信号に含まれるPRNコード及びコード位相を検出してGPS衛星信号を捕捉・追尾する。そして、捕捉・追尾したGPS衛星信号のデータを復号し、GPS衛星の軌道情報や時刻情報等を基に擬似距離の演算や測位演算等を行って、携帯型電話機1の現在位置を測位する。
【0044】
図5は、ROM38に格納されたデータの一例を示す図である。ROM38には、CPU37により読み出され、ベースバンド処理(図9参照)として実行されるベースバンド処理プログラム381と、遮断周波数別波形制御データ383とが記憶されている。
【0045】
ベースバンド処理とは、CPU37が、所定の測位演算を行って携帯型電話機1の現在位置を測位する処理である。より具体的には、捕捉に成功したGPS衛星(以下、「捕捉衛星」と称す。)のGPS衛星信号の信号強度の平均値に基づいて、フィルタ部31の遮断周波数を可変に設定することで通過帯域を変更するとともに、設定した遮断周波数に応じた波形の再生用発振信号を再生用信号発振部34に生成させる。そして、相関演算部35による相関演算結果に基づいて、各捕捉対象衛星の捕捉の成否を判定するとともに、複数の捕捉衛星の擬似距離の情報を用いた所定の測位演算を行うことで、携帯型電話機1の現在位置を測位する。ベースバンド処理については、フローチャートを用いて詳細に後述する。
【0046】
図7は、遮断周波数別波形制御データ383のデータ構成例を示す図である。遮断周波数別波形制御データ383には、フィルタ部31の各遮断周波数3831と対応付けて、再生用発振信号の波形を制御するためのデータである波形制御データ3833が記憶されている。波形制御データ3833は、生成させる再生用発振信号の大きさ「C」の時系列データ(波形パターン)として定められており、再生用信号発振部34への制御データとして用いられる。
【0047】
図6は、RAM39に格納されるデータの一例を示す図である。RAM39には、捕捉衛星別メジャメントデータ391と、信号強度平均値データ393と、測位データ395と、再生用発振信号制御データ397とが記憶される。
【0048】
図8は、捕捉衛星別メジャメントデータ391のデータ構成例を示す図である。捕捉衛星別メジャメントデータ391には、各捕捉衛星の番号3911と対応付けて、メジャメント情報3913が記憶されている。メジャメント情報3913は、当該捕捉衛星のGPS衛星信号に関する情報であり、GPS衛星信号の受信周波数、コード位相及び信号強度がこれに含まれる。例えば、捕捉衛星「S1」についてのメジャメント情報は、受信周波数が「F1」、コード位相が「CP1」、信号強度が「P1」である。捕捉衛星別メジャメントデータ391は、ベースバンド処理においてCPU37により更新される。
【0049】
信号強度平均値データ393は、全ての捕捉衛星についての受信したGPS衛星信号の信号強度の平均値が記憶されたデータであり、ベースバンド処理においてCPU37により更新される。
【0050】
測位データ395は、測位演算により算出された測位位置が記憶されたデータであり、ベースバンド処理においてCPU37により更新される。
【0051】
再生用発振信号制御データ397は、CPU37が、再生用信号発振部34に再生用発振信号を生成させるためのデータであり、波形の制御データと発振周波数の制御データとがある。具体的には、ROM38の遮断周波数別波形制御データ383の中から選択・設定した波形制御データである設定波形制御データ3971と、再生用発振信号の発振周波数の設定データである設定発振周波数データ3973とが記憶される。これらのデータは、ベースバンド処理において、CPU37が再生用発振信号制御処理を行う際に更新される。
【0052】
ホストCPU40は、ROM90に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従って携帯型電話機1の各部を統括的に制御するプロセッサである。ホストCPU40は、CPU37から入力した測位位置をプロットしたナビゲーション画面を、表示部60に表示させる。
【0053】
操作部50は、例えばタッチパネルやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、押下されたキーやボタンの信号をホストCPU40に出力する。この操作部50の操作により、通話要求やメールの送受信要求等の各種指示入力がなされる。
【0054】
表示部60は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、ホストCPU40から入力される表示信号に基づいた各種表示を行う表示装置である。表示部60には、ナビゲーション画面や時刻情報等が表示される。
【0055】
携帯電話用アンテナ70は、携帯型電話機1の通信サービス事業者が設置した無線基地局との間で携帯電話用無線信号の送受信を行うアンテナである。
【0056】
携帯電話用無線通信回路部80は、RF変換回路、ベースバンド処理回路等によって構成される携帯電話の通信回路部であり、携帯電話用無線信号の変調・復調等を行うことで、通話やメールの送受信等を実現する。
【0057】
ROM90は、ホストCPU40が携帯型電話機1を制御するためのシステムプログラムや、ナビゲーション機能を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。
【0058】
RAM100は、ホストCPU40により実行されるシステムプログラム、各種処理プログラム、各種処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを形成している。
【0059】
2.処理の流れ
図9は、CPU37によりROM38に記憶されているベースバンド処理プログラム381が読み出されて実行されることで、携帯型電話機1において実行されるベースバンド処理の流れを示すフローチャートである。
【0060】
ベースバンド処理は、RF受信回路部20によるRF信号の受信と併せて、CPU37が、操作部50に測位開始指示の操作がなされたことを検出した場合に実行を開始する処理であり、各種アプリケーションの実行といった各種の処理と並行して行われる処理である。尚、携帯型電話機1の電源のON/OFFとRF受信回路部20を含むGPS受信部10の起動/停止とを連動させ、携帯型電話機1の電源投入操作を検出した場合にベースバンド処理の実行を開始させることにしてもよい。
【0061】
また、特に説明しないが、以下のベースバンド処理の実行中は、GPSアンテナ5によるRF信号の受信や、RF受信回路部20によるIF信号へのダウンコンバージョン及び信号のIQ分離が行われ、IF信号のI,Q信号がベースバンド処理回路部30に随時出力される状態にあるものとする。
【0062】
先ず、CPU37は、RAM39の信号強度平均値データ393に記憶されている信号強度の平均値に基づいて、フィルタ部31の通過帯域を変更する処理であるフィルタ通過帯域変更処理を行う(ステップA1)。具体的には、信号強度の平均値が大きいほど(信号強度が強いほど)、フィルタ部31の遮断周波数を高く設定することで、通過帯域が広くなるようにする。尚、初回の測位では、RAM39に信号強度の平均値が記憶されていないため、例えば遮断周波数を最も高い600[kHz]に設定することで、通過帯域を最広帯域とする。
【0063】
次いで、CPU37は、取得済みの航法データのアルマナック等のデータに基づいて、捕捉対象衛星を選定する(ステップA3)。そして、各捕捉対象衛星について、ループAの処理を実行する(ステップA5〜A19)。ループAでは、CPU37は、再生用発振信号制御処理を行う(ステップA7)。
【0064】
具体的には、ROM38の遮断周波数別波形制御データ383を参照し、ステップA1で設定したフィルタ部31の遮断周波数3831に対応する波形制御データ3833を、生成させる再生用発振信号の波形制御データに設定し、RAM39に設定波形制御データ3971として記憶させる。また、生成させる再生用発振信号の発振周波数を設定して、RAM39に設定発振周波数データ3973として記憶させる。そして、これらのデータ内容に応じた再生用発振信号を生成させるための制御信号を、再生用信号発振部34に出力する。
【0065】
その後、CPU37は、当該捕捉対象衛星のPRNコードのレプリカコードの生成指示を、レプリカコード生成部36に与える(ステップA9)。そして、相関演算部35から出力された相関値のうち最大の相関値である最大相関値が、所定の閾値を超えたか否かを判定し(ステップA11)、閾値以下であると判定した場合は(ステップA11;No)、当該捕捉対象衛星の捕捉に失敗したものと判定して、次の捕捉対象衛星へと処理を移行する。
【0066】
また、最大相関値が閾値を超えたと判定した場合は(ステップA11;Yes)、CPU37は、当該最大相関値に対応するコード位相を特定する(ステップA13)。また、当該捕捉対象衛星のGPS衛星信号の信号強度を算出する(ステップA15)。そして、当該捕捉対象衛星を捕捉衛星と判定し、当該GPS衛星信号の受信周波数と、ステップA13で特定したコード位相と、ステップA15で算出した信号強度とを対応付けてメジャメント情報3913とし、当該捕捉衛星の番号3911と対応付けて、RAM39の捕捉衛星別メジャメントデータ391に記憶させる(ステップA17)。
【0067】
全ての捕捉対象衛星についてステップA7〜A17の処理を行った後、CPU37は、ループAの処理を終了する。その後、CPU37は、RAM39の捕捉衛星別メジャメントデータ391に記憶されている全ての捕捉衛星についての信号強度の平均値を算出し(ステップA21)、算出した値をRAM39の信号強度平均値データ393に記憶させる(ステップA23)。
【0068】
次いで、CPU37は、捕捉衛星別メジャメントデータ391に記憶されている各捕捉衛星についてのコード位相を用いて、当該捕捉衛星から携帯型電話機1までの擬似距離を算出する(ステップA25)。そして、CPU37は、複数の捕捉衛星について算出した擬似距離を用いて、例えば最小二乗法やカルマンフィルタを用いた測位演算を実行して携帯型電話機1の現在位置を測位し(ステップA27)、その測位位置をRAM39の測位データ395に記憶させる。尚、最小二乗法やカルマンフィルタを用いた測位演算については公知の手法を適用してよいため、詳細な説明を省略する。
【0069】
その後、CPU37は、RAM39の測位データ395に記憶されている測位位置をホストCPU40に出力する(ステップA29)。そして、操作部50に対してユーザにより測位終了指示がなされたか否かを判定し(ステップA31)、なされなかったと判定した場合は(ステップA31;No)、ステップA1に戻る。また、測位終了指示がなされたと判定した場合は(ステップA31;Yes)、ベースバンド処理を終了する。
【0070】
3.作用効果
本実施形態によれば、フィルタ部31のフィルタの遮断周波数に応じて周期波形の形状を変更して再生用発振信号を生成し、生成した再生用発振信号を用いてベースバンド信号を再生する。具体的には、フィルタ部31の遮断周波数が低いほど、正の振幅から負の振幅までの正負振幅間長が長い周期波形の再生用発振信号を用いてベースバンド信号を再生する。
【0071】
本願発明者は、フィルタ部31を通過した信号の群遅延が小さい場合ほど、正の振幅から負の振幅までの正負振幅間長が長い周期波形の再生用発振信号を用いることで、ベースバンド信号をより正確に再生できることを発見した。また、フィルタ部31の遮断周波数が低いほど、フィルタ部31を通過した信号の群遅延は小さくなることが一般に知られている。従って、フィルタ部31の遮断周波数が低いほど、正負振幅間長が長い周期波形の再生用発振信号を用いることで、信号波形を含め、ベースバンド信号をより正確に再生することが可能となる。
【0072】
4.変形例
4−1.電子機器
本発明は、信号処理回路を備えた電子機器であれば何れの電子機器にも適用可能である。例えば、ノート型パソコンやPDA(Personal Digital Assistant)、カーナビゲーション装置等についても同様に適用可能である。
【0073】
4−2.衛星測位システム
上述した実施形態では、衛星測位システムとしてGPSを例に挙げて説明したが、WAAS(Wide Area Augmentation System)、QZSS(Quasi Zenith Satellite System)、GLONASS(GLObal NAvigation Satellite System)、GALILEO等の他の衛星測位システムであってもよい。
【0074】
4−3.処理の分化
CPU37が実行する処理の一部又は全部を、ホストCPU40が実行することにしてもよい。例えば、ホストCPU40がフィルタ通過帯域変更処理や再生用発振信号制御処理を行い、CPU37は、相関演算部35による相関演算結果に基づいて測位演算を行うようにする。また、測位演算も含めて、CPU37が実行する処理全てをホストCPU40が実行することにしてもよい。
【0075】
4−4.相関演算処理
上述した実施形態では、ベースバンド処理回路部30に相関演算部35を独立して設け、ベースバンド信号とレプリカコードとの相関演算をハードウェア的に実現するものとして説明したが、CPU37が相関演算処理を行う構成とすることで、ソフトウェア的に実現することとしてもよい。
【0076】
4−5.フィルタ通過帯域変更処理
上述した実施形態では、全捕捉衛星のGPS衛星信号の信号強度の平均値に基づいてフィルタ部31の通過帯域を変更するものとして説明したが、次のようにしてもよい。すなわち、複数の信号受信用のチャンネル(以下、「受信チャンネル」と称す。)を設け、各受信チャンネルのフィルタ部31の通過帯域を、当該受信チャンネルで捕捉対象としている衛星のGPS衛星信号の信号強度に基づいて変更することで、受信チャンネル毎にフィルタ部31の通過帯域を変更可能としてもよい。
【0077】
図10は、この場合にCPU37が行う第2ベースバンド処理の流れを示すフローチャートである。尚、図9のベースバンド処理と同一のステップについては同一の符号を付し、ベースバンド処理とは異なる部分を中心に説明する。第2ベースバンド処理では、CPU37は、各捕捉対象衛星について行うループAの処理において、ステップA7の処理の前に、当該捕捉対象衛星について、RAM39の捕捉衛星別メジャメントデータ391に記憶されている信号強度に基づいて、当該捕捉対象衛星の受信チャンネルのフィルタ部31の通過帯域を変更する(ステップB1)。
【0078】
尚、当該捕捉対象衛星が1時刻前に捕捉されておらず、当該捕捉対象衛星についての信号強度がRAM39の捕捉衛星別メジャメントデータ391に記憶されていない場合は、例えば当該捕捉対象衛星の受信チャンネルのフィルタ部31の遮断周波数を最も高い600[kHz]に設定し、通過帯域を最広帯域とする。
【0079】
4−6.遮断周波数
上述した実施形態では、フィルタ部31の遮断周波数が300、450及び600[kHz]の何れかに設定可能であるものとして説明したが、遮断周波数をさらに細かく設定可能としてもよいことは勿論である。この場合は、ROM38の遮断周波数別波形制御データ383に、各遮断周波数3831に対応する波形制御データ3833を記憶させておく必要がある。
【0080】
4−7.フィルタ次数
上述した実施形態では、再生用発振信号の波形制御データを、フィルタ部31の遮断周波数に応じて可変に設定するものとして説明したが、他のフィルタ特性に応じて可変にしてもよい。例えば、フィルタ部31の次数(以下、「フィルタ次数」と称す。)に応じて可変に設定することとしてもよい。
【0081】
図11は、フィルタ部31の遮断周波数が350[kHz]である場合に、2次、4次及び6次の各フィルタ次数に対する再生用発振信号の波形の一例を示す図である。一般に、フィルタ次数が低くなるほど、フィルタを通過した後の信号の群遅延は小さくなることが知られている。このため、フィルタ部31のフィルタ次数が低いほど、正の振幅「A」に対する位相と負の振幅「−A」に対する位相との位相差が大きい波形とする。すなわち、正の振幅から負の振幅までの正負振幅間長が長い周期波形の形状の再生用発振信号を、再生用信号発振部34に生成させるようにする。
【0082】
4−8.RFフィルタ部
上述した実施形態では、ベースバンド処理回路部30の前段部分にフィルタ部31を設け、RF受信回路部20においてデジタル信号に変換された後のIF信号をフィルタ部31に入力するものとして説明した。このような構成を採るのではなく、RF受信回路部20にアナログ信号用のフィルタ部を設け、デジタル信号に変換される前のIF信号を当該フィルタ部に入力することとしてもよい。
【0083】
図12は、この場合における携帯型電話機2の機能構成を示すブロック図である。尚、図1の携帯型電話機1と同一の構成要素について同一の符号を付して、説明を省略する。携帯型電話機2が携帯型電話機1と異なるのは、RF受信回路部20の乗算部25とA/D変換部27との間に、RFフィルタ部26が設けられている点である。
【0084】
図13は、RFフィルタ部26の回路構成の一例を示す図である。RFフィルタ部26は、第1スイッチ264と、第1フィルタ261と、第2フィルタ262と、第3フィルタ263と、第2スイッチ265とを備えて構成される。第1フィルタ261、第2フィルタ262及び第3フィルタ263は、遮断周波数をそれぞれ300、450及び600[kHz]とする低域通過フィルタである。また、第1スイッチ264及び第2スイッチ265は、CPU37から出力されるスイッチ制御信号に従って、第1フィルタ261〜第3フィルタ263を切り替えるスイッチである。
【0085】
CPU37は、算出した全捕捉衛星についての信号強度の平均値に基づいて、RFフィルタ部26のフィルタを、何れの通過帯域のフィルタに切り替えるかを決定する。そして、決定したフィルタに切り替えるためのスイッチ制御信号を、第1スイッチ264及び第2スイッチ265に出力する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】携帯型電話機の機能構成を示すブロック図。
【図2】ベースバンド処理回路部の回路構成の一例を示す図。
【図3】ベースバンド信号の再生の一例を示す図。
【図4】遮断周波数に応じた再生用発振信号の波形の一例を示す図。
【図5】ROMに格納されたデータの一例を示す図。
【図6】RAMに格納されたデータの一例を示す図。
【図7】遮断周波数別波形制御データのデータ構成の一例を示す図。
【図8】捕捉衛星別メジャメントデータのデータ構成の一例を示す図。
【図9】ベースバンド処理の流れを示すフローチャート。
【図10】第2ベースバンド処理の流れを示すフローチャート。
【図11】フィルタ次数に応じた再生用発振信号の波形の一例を示す図。
【図12】変形例における携帯型電話機の機能構成を示すブロック図。
【図13】RFフィルタ部の回路構成の一例を示す図。
【符号の説明】
【0087】
1、2 携帯型電話機 、 5 GPSアンテナ、 10 GPS受信部、
20 RF受信回路部、 21 SAWフィルタ、 23 LNA、 25 乗算部、
26 RFフィルタ部、 27 A/D変換部、 30 ベースバンド処理回路部、
31 フィルタ部、 32 メモリ部、 33 ベースバンド信号再生部、
34 再生用信号発振部、 35 相関演算部、 36 レプリカコード生成部、
37 CPU、 38 ROM、 39 RAM、 40 ホストCPU、
50 操作部、 60 表示部、 70 携帯電話用アンテナ、
80 携帯電話用無線通信回路部、 90 ROM、 100 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ特性を変更可能なフィルタ部と、
所与の波形制御データに従って周期波形の形状を変更して再生用発振信号を生成する再生用信号発振部と、
前記フィルタ部のフィルタ特性に応じて前記波形制御データを可変する波形制御データ設定部と、
前記再生用信号発振部により生成された再生用発振信号を用いて、前記フィルタ部を通過した信号からベースバンド信号を再生する再生部と、
を備えた信号処理回路。
【請求項2】
前記フィルタ部は、遮断周波数を変更可能に構成されており、
前記波形制御データ設定部は、前記フィルタ部の遮断周波数が低いほど、正の振幅から負の振幅までの正負振幅間長が長い周期波形を前記再生用信号発振部に生成させる波形制御データに設定する、
請求項1に記載の信号処理回路。
【請求項3】
前記フィルタ部は、フィルタ次数を変更可能に構成されており、
前記波形制御データ設定部は、前記フィルタ部のフィルタ次数が低いほど、正の振幅から負の振幅までの正負振幅間長が長い周期波形を前記再生用信号発振部に生成させる波形制御データに設定する、
請求項1又は2に記載の信号処理回路。
【請求項4】
前記フィルタ部の通過信号の信号強度に応じて前記フィルタ部のフィルタ特性を可変するフィルタ特性可変部を更に備える請求項1〜3の何れか一項に記載の信号処理回路。
【請求項5】
前記フィルタ特性可変部は、前記通過信号の信号強度が強いほど遮断周波数を高くするように前記フィルタ部のフィルタ特性を変更する請求項4に記載の信号処理回路。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の信号処理回路を備えた電子機器。
【請求項7】
フィルタ特性を変更可能なフィルタ部と、所与の波形制御データに従って周期波形の形状を変更して再生用発振信号を生成する再生用信号発振部とを備えた信号処理回路の信号処理方法であって、
前記フィルタ部のフィルタ特性に応じて前記波形制御データを可変することと、
前記再生用信号発振部により生成された再生用発振信号を用いて、前記フィルタ部を通過した信号からベースバンド信号を再生することと、
を含む信号処理方法。
【請求項8】
フィルタ特性を変更可能なフィルタ部と、所与の波形制御データに従って周期波形の形状を変更して再生用発振信号を生成する再生用信号発振部と、前記再生用信号発振部により生成された再生用発振信号を用いて、前記フィルタ部を通過した信号からベースバンド信号を再生する再生部と、プロセッサとを備えた信号処理回路の前記プロセッサを、
前記フィルタ部のフィルタ特性に応じて前記波形制御データを可変する波形制御データ設定部として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−168481(P2009−168481A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3840(P2008−3840)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】