個人認証装置および個人認証方法
【課題】生体認証に爪を用い例えば数週間程度の更新に向く個人認証技術を提供する。
【解決手段】自動扉開閉システムは、既存の登録者を認証するための個人認証情報として登録者のユーザID、暗証番号、爪模様の画像(登録画像)、その登録時刻が対応して登録された認証情報データベース13と、認証時に、被認証者のユーザIDと暗証番号と認証情報データベース13の登録情報とを比較し個人認証するユーザ認証ユニット12と、認証後、撮像ユニット4により撮像された爪の画像から爪模様を抽出する爪模様抽出ユニット14と、認証されたユーザの爪模様の画像の登録時刻を読出し、登録時から現時点までの経過時間に基づいて認証情報データベース13の登録画像を変化させる爪模様予測ユニット15と、変化された登録画像と実模様とを照合し被認証者を認証する爪模様認証ユニット16とを備える。
【解決手段】自動扉開閉システムは、既存の登録者を認証するための個人認証情報として登録者のユーザID、暗証番号、爪模様の画像(登録画像)、その登録時刻が対応して登録された認証情報データベース13と、認証時に、被認証者のユーザIDと暗証番号と認証情報データベース13の登録情報とを比較し個人認証するユーザ認証ユニット12と、認証後、撮像ユニット4により撮像された爪の画像から爪模様を抽出する爪模様抽出ユニット14と、認証されたユーザの爪模様の画像の登録時刻を読出し、登録時から現時点までの経過時間に基づいて認証情報データベース13の登録画像を変化させる爪模様予測ユニット15と、変化された登録画像と実模様とを照合し被認証者を認証する爪模様認証ユニット16とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の指の爪(生体)を用いて個人認証を行う個人認証装置および個人認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザID、パスワードなどの個人認証情報を不正に取得して利用者に成りすまし、社内に不正に進入したり、金融機関の個人口座から金銭を取得する手口の犯罪が多いことから、既存の上記個人認証情報の他に、盗難され難い生体情報を組み合わせた個人認証技術が開発されている。
【0003】
例えば指紋や虹彩や顔、静脈形状等を用いたユーザ認証システム、指紋や顔などを用いたPCログイン管理システム、自動扉開閉システムなどが実用化されている。
【0004】
ところで、指紋や虹彩などの生体情報は、その多くが生涯に渡り変化しないため、万一、情報が盗難された場合に変更することができないという問題がある。
【0005】
従って、生体情報を利用する場合には、例えば顔などの経年により変化が発生する情報を一定期間で更新しつつ利用することが望ましい場合も多い。
【0006】
ただし、顔の撮影はプライバシー保護の観点から問題があるのではないかという懸念も存在する。また、顔形状は経年により変化する生体情報ではあるが、露出していることから、カメラなどで遠方より容易に盗撮でき、比較的盗難に遭いやすい生体情報である。
【0007】
また、顔は、変化が現れるまでの期間が比較的長いため無効化し難い。さらに、顔の形状は、通常個人に対して1つしかないため、例えば盗難にあったなどの緊急時でも例えば指紋のように他の指の情報に変えるといった対応策が取れない。
【0008】
そこで、近年では、生体認証に指の爪を用いる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−256840公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1の技術の場合、指の爪の特徴量として、爪の根元の爪半月に近い爪甲と上爪皮の境界部の円弧形状や爪甲の幅、爪甲の立体形状等をあげ、爪の中でもほぼ変化しない部分を認証するため、数カ月から1年程度の周期で定期更新を行うことを想定している。
【0010】
しかしながら、爪のように、削ったり切ったりすることが容易な生体部分では偽造がし易いことや、登録者本人が登録したことを忘れてうっかり爪を切ってしまうことなどがあるため、爪を用いる生体認証では、例えば数日から数週間程度といった短期間での更新が望ましい。
【0011】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、生体認証に指の爪を用いる上でその変化を考慮し、例えば数日から数週間程度といった短期間での更新に向く個人認証技術を提供することのできる個人認証装置および個人認証方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために本発明の個人認証装置は、既存の登録者個人を認証するための個人認証情報として、経時的な変化が伴わない第1個人情報、経時的な変化が伴う第2個人情報、前記第2個人情報の登録時刻が対応して登録されたデータベースと、被認証者から入力された第1個人情報を受け付ける受付ユニットと、前記受付ユニットにより受け付けられた前記第1個人情報と前記データベースに登録されている登録者の前記第1個人情報とを比較し、前記第1個人情報の一致により認証する第1認証ユニットと、前記第1認証ユニットにより認証された場合、被認証者の爪表面を含む画像を撮像する撮像ユニットと、前記撮像ユニットより撮像された前記爪表面を含む画像から前記爪模様の画像またはその画像を正規化したデータを抽出する爪模様抽出ユニットと、前記第1認証ユニットにより認証された第1個人情報に対応する第2個人情報の登録時刻を前記データベースから読み出し、前記登録時から現時点までの経過時間に基づいて前記データベースに登録された登録者の爪模様の画像またはその正規化データを変化させる爪模様予測ユニットと、前記爪模様予測ユニットにより変化された爪模様の画像またはその正規化データと前記爪模様抽出ユニットにより抽出された爪模様の画像またはその正規化データとを照合し互いの一致率によって前記被認証者を前記登録者本人として認証する第2認証ユニットとを具備することを特徴とする。
【0013】
本発明では、比較的高速に変化する生体である爪の表面に現れる傷や縞模様などの爪模様を用いて個人認証を行う。爪の表面は、人体の中でも経時変化が発生しやすい部位である。このため、仮に情報が盗難にあった場合でも例えば顔などと比べて比較的早い期間で無効化されることになり、比較的短期に更新しつつ利用する生体情報として適する。また、指紋や指静脈と同様に指の本数だけの情報が利用できるため、盗難時に情報の差し替えも比較的容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、生体認証に爪を用いる上でその変化を考慮し、例えば数日から数週間程度といった短期間での更新に向く個人認証技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は第1実施形態の自動扉開閉システムの構成を示すブロック図である。
【0016】
この自動扉開閉システムは、経時的な変化が伴わない第1個人情報(ユーザID、パスワード)と、経時的な変化が伴う第2個人情報(人の生体情報の一つである爪の模様)とを用いて出入口を出入りする利用者を認証して扉の開閉動作を行う個人認証装置の一つである。
【0017】
図1に示すように、第1実施形態の自動扉開閉システムは、制御装置1、カードリーダ2、撮像ユニット4、扉開閉ユニット5、表示器およびスピーカなどの報知ユニット6等を備えている。
【0018】
カードリーダ2は、カード読取部とテンキーを備えており、被認証者がカード読取部に通した電子社員証などのICカード3から情報(ユーザID)を読み取り、テンキーで指示されたパスワードとしての暗証番号と共に制御装置1へ送る。
【0019】
なお、ICカード3を用いずにユーザIDと暗証番号をテンキーで入力してもよく、またICカード3に予めユーザIDと暗証番号の両者を記憶しておき、ICカード3の情報を読み取るだけにしてもよい。
【0020】
撮像ユニット4は、図2に示すように、照明装置21、CCDカメラ22、指設置台25等を有している。指設置台25は、撮像対象の指23の位置決めを行うための台である。指設置台25には、指23の腹を下に向けて置かれる。
【0021】
CCDカメラ22は、指設置台25の上方数cm程度の位置に配置されており、指設置台25に置かれた指23の画像を撮像する。照明装置21は、CCDカメラ22の側方より指設置台25へ向けて照明するように配置されており、指設置台25に置かれた指23に照明をあてるものである。
【0022】
この例では、図2に示すように指設置台25に置かれた指23に対して前方上方から照明を照射し、指23のほぼ真上からCCDカメラ22によりVGA(640×480)ピクセルサイズのカラー画像またはモノクロ画像が撮影される。この他にも、例えば赤外線カメラや紫外線カメラなどを用いてもよい。
【0023】
この場合、照明としては、これらのカメラに対応するものを用いる。また、カメラの撮影方向や照明の方向は、この例のみに限らず、例えば上方や指の下側または側方などから照明を行ってもよい。
【0024】
また、本実施例では、照明装置21から直接照明を行っているが、透過光を用いてもよく、反射板を介した反射照明を行ってもよく、またある程度の照度があれば、照明しなくてもよい。
【0025】
さらに、複数方向から撮影した画像によって指の立体的な情報を取得してもよい。また、本実施例では爪の表面の模様を取得しているが、例えば透過光を用いるなどして表面ではなく爪の裏側や内部の爪模様を取得してもよい。
【0026】
扉開閉ユニット5は、制御装置1により制御されて、建物の入口に配置された扉を開放または閉鎖する。つまり扉開閉ユニット5は、制御装置1により個人認証された結果に従って、被認証者が次に行う作業(入口から建物内に入る)を許可または拒否する。
なお、この例は一例にしか過ぎず、制御装置1の制御対象が扉開閉ユニット5ではなく、例えばコンピュータ(以下「PC」と称す)などの場合、被認証者がPCにログインする際に、ログインを許可または拒否してもよい。
【0027】
報知ユニット6は、制御装置1が行った個人認証処理の結果、登録者本人として認証されなかった旨を被認証者に音声または表示で報知する。
【0028】
制御装置1は、指23を撮像する際に照明装置21、CCDカメラ22を制御して、露出の適正化およびピント調整を行い指設置台25に置かれた指23の爪の表面部分を含む画像を撮像する。
【0029】
制御装置1は、カードリーダ2により読み取られたICカード3の情報と、CCDカメラ22により撮像された指23の画像とを受け付けて、それぞれについて認証処理を行い、両方の認証処理の結果に応じて扉開閉機構5を制御して入口の扉を開閉する。
【0030】
制御装置1は、認証情報データベース13、受付ユニット11、第1認証ユニットとしてのユーザ認証ユニット12、爪模様抽出ユニット14、爪模様予測ユニット15、第2認証ユニットとしての爪模様認証ユニット16、爪模様登録ユニット17、メモリ18などを有している。
【0031】
認証情報データベース13には、既存の登録者個人を認証するための個人認証情報として、経時的な変化が伴わない第1個人情報(ユーザID、暗証番号)、経時的な変化が伴う第2個人情報(爪の模様の画像またはその正規化データ)、第2個人情報の登録時刻とが対応付けられて登録されている。
【0032】
なお、認証情報データベース13には、爪模様の画像以外に、爪の画像そのものを保持してもよい。また、各爪模様に対し、例えば氏名など該爪模様に対応する既登録者の情報を関連付けて登録しておいてもよい。
【0033】
受付ユニット11は、カードリーダ2により読み取られた被認証者や被登録者のICカード3の情報を受け付ける。受付ユニット11は、被認証者や被登録者から入力された第1個人情報(ユーザID、暗証番号)を受け付ける。
【0034】
ユーザ認証ユニット12は、受付ユニット11により受け付けられた第1個人情報(ユーザID、暗証番号)と認証情報データベース13に登録されている登録者の第1個人情報(ユーザID、暗証番号)とを比較し、互いの情報の一致により被認証者を登録者本人と認証する。ここでの認証は一次認証(仮の認証)である。
【0035】
撮像ユニット4は、ユーザ認証ユニット12により一次認証された場合、被認証者の爪表面を含む画像を撮像する。
【0036】
爪模様抽出ユニット14は、撮像ユニット4より撮像された爪表面を含む画像から爪模様の画像またはその画像を正規化したデータを抽出する。すなわち、爪模様抽出ユニット14は、撮像された指の画像に対して所定の画像処理(爪部分の検出、模様の切り出し処理、正規化処理など)を行い、爪部分を特定し、爪部分から模様を抽出する。
【0037】
爪模様予測ユニット15は、ユーザ認証ユニット12により仮認証(一次認証)された第1個人情報(ユーザID、暗証番号)に対応する第2個人情報(爪の模様の画像またはその正規化データ)の登録時刻を認証情報データベース13から読み出し、登録時刻から現在までの経過時間に基づいて認証情報データベース13に登録された登録者の爪模様の画像またはその正規化データを変化させる。
【0038】
爪模様認証ユニット16は、爪模様予測ユニット15により変化された爪模様の画像またはその正規化データと、爪模様抽出ユニット14により抽出された爪模様の画像またはその正規化データとを照合し互いの類似度(一致率)によって、登録者本人であるか否かを認証する。
【0039】
例えば画像どうしの比較では、画像どうしの重なり具合を類似度とし、類似度が例えば90%以上であれば、被認証者を登録者であるものと認証する。なお、この例の90%以上という類似度の値は一例であり、他の値でもあってもよい。
【0040】
爪模様登録ユニット17は、爪模様抽出ユニット14によって抽出された爪模様を認証情報データベース13に登録する。なお、認証情報データベース13には、爪の画像そのものを登録する以外に、例えば撮像ユニット4によって撮像された画像そのもの、あるいは例えば位置合わせや大きさなどの正規化処理を施した画像やベクトルデータなどを保存しておいてもよい。
【0041】
爪模様登録ユニット17は、爪模様認証ユニット16により正規の社員(登録者)として認証された場合、爪模様抽出ユニット14により抽出された爪模様の画像またはその正規化データと現在の時刻とを認証情報データベース13の該当登録者の個人認証情報として登録または上書きする生体情報更新ユニット(爪模様更新ユニット)として機能する。
【0042】
メモリ18は、個人認証処理のための作業領域(画像の比較照合や画像切り出し、期間に応じた変化率で爪模様の画像またはその正規化データを変化させるための演算領域)として機能する。メモリ18には、撮像された画像や変化させた画像などが記憶される。
【0043】
メモリ18には、予め期間に応じて爪模様またはその正規化データを変化させるための変化率と画像のx,y座標の移動計算式が記憶されており、爪模様予測ユニット15が、登録日から認証日までの期間を演算により求め上記計算式に代入することで、登録画像の画素の位置を移動させて予測画像を生成できる。
【0044】
以下、図3のフローチャートを参照してこの第1実施形態の自動扉開閉システムの動作を説明する。まず、爪模様の登録動作についして説明する。
【0045】
なお、認証情報データベース13には、予め被登録者の第1個人情報であるユーザID,暗証番号などが登録されており、被登録者が所持するICカード3にも予めユーザIDが登録されているものとする。
【0046】
この場合、まず、被登録者がICカード3をカードリーダ2にかけると、カードリーダ2は、ICカード3からユーザIDを読み取る。そして、被登録者によりテンキーが押されて、暗証番号が入力されると、カードリーダ2は、これら第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を制御装置1へ送る。
【0047】
制御装置1では、受付ユニット11がこれら第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を受け付けてユーザ認証ユニット12へ渡す。
【0048】
ユーザ認証ユニット12は、受付ユニット11から第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を受け取ると(図3のステップS101)、第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を基に一次認証処理を行う(ステップS102)。
【0049】
具体的には、ユーザ認証ユニット12は、受け付けた第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)をキーに認証情報データベース13の登録情報を一つずつ検索し、認証情報データベース13の登録情報と一致するか否かをチェックする。
【0050】
受け付けた第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)と認証情報データベース13の登録情報とが一致した場合(ステップS103のYes)、ユーザ認証ユニット12は、撮像ユニット4に指23の撮像を開始させる。
【0051】
撮像ユニット4は、指設置台25に置かれた指23の指撮像を撮像し(ステップS104)、爪模様抽出ユニット14に渡す。この際、撮像ユニット4は、被登録者の指23の指画像を少なくとも1枚撮影する。
【0052】
爪模様抽出ユニット14は、撮像ユニット4から渡された指画像I(図4参照)に対して画像処理を行って爪24の表面の模様を含む画像F(以下「爪模様F」と称す)を取得する。
【0053】
具体的には、爪模様抽出ユニット14は、撮像ユニット4から渡された指画像Iから、爪24の輪郭を検出して、爪24の表面の爪模様Fを抽出し(ステップS105)、メモリ18に記憶する。爪の部分を抽出する手法には、例えばテンプレートマッチングなどの手法を用いる。
【0054】
続いて、爪模様抽出ユニット14は、縦、横、斜め、それぞれの方向のエッジ抽出フィルタを用いてメモリ18に記憶した爪模様Fの画像中から縦模様、横模様、斜め下がり模様、斜め上がり模様等の4方向の模様や傷跡等を抽出する。
【0055】
すなわち、爪模様抽出ユニット14は、抽出した爪模様Fをフィルタリングして縦模様の画像R、横模様の画像S、斜め下がり模様の画像T、斜め上がり模様の画像Uなどの複数の画像を抽出する。
【0056】
その後、爪模様抽出ユニット14は、それぞれの爪部分の画像の大きさを正規化する。この例では各画像R,S,T,Uを縦、横、各々50ピクセルの正方形に正規化し、各画素の値として正規化前の画像における対応範囲の値の合計を用いる。
【0057】
これらをベクトルとして並べたものを正規化データXとする。この場合、正規化データXは10000次元のベクトルによって表される。つまり、上記正規化データXは、爪模様抽出ユニット14によって抽出される爪模様Fといえる。
【0058】
すなわち、正規化データXは、各画像R,S,T,Uをそれぞれ50×50ピクセルのサイズに縮小して縦方向に整列しこれを1つのパターン)としたものである。
【0059】
なお、上記爪画像の処理は一例であり、爪模様の特徴に、例えば色の情報など、他の情報を加えてもよく、正規化データXに対して特徴選択を行うなどして爪模様Fの次元数を正規化データXよりも落としてもよい。
【0060】
また、複数枚の爪の画像が撮影された場合には、それらの爪画像に対して主成分分析を行って作成した部分空間を爪模様Fとしてもよい。
【0061】
そして、爪模様抽出ユニット14は、正規化データXを本日の時刻(登録時刻)とともに、認証情報データベース13の該当登録者の第1個人情報に対応させて認証情報データベース13に登録する(ステップS106)。
【0062】
なお、認証情報データベース13に保存される被登録者の情報は、例えば社員番号などのユーザIDの他に、社員の名前、権限情報、認証の有効期限、扉開閉機構5に対する動作命令などである。
【0063】
また、本例では、認証情報データベース13は、制御装置1に内蔵されたハードディスクドライブ装置に保存されていることを想定しているが、例えばインターネット上に配置された、制御装置1に直接接続されていないサーバ上のデータベースを利用してもよく、持ち運び可能なメディアに認証情報データベース13を保存して必要に応じて接続するなどにしてもよい。
【0064】
また、本例では、認証情報データベース13は、単一であり全ての既登録者を一つの同じデータベースに登録しているが、これを各認証情報データベースが一人以上の既登録者を含むよう任意に複数のデータベースに分割してもよい。
【0065】
例えば一例として、ICチップ内蔵カードなどに既登録者一人分のデータを保存しておき、既登録者と被認証者一対一の認証を行うことが想定される。
【0066】
また、複数の制御装置1が一台の同じ認証情報データベース13を利用しても良い。この例としては、複数の部屋に設置された制御装置1のユーザが共通である場合に、これらをオンラインで接続し、集中管理された認証情報データベース13を利用することが考えられる。
【0067】
次に、図5,図6のフローチャートを参照して爪模様登録後、ある期間が経過した後の被認証者に対する認証動作を説明する。前提条件として、認証情報データベース13には少なくとも一人以上の登録者の情報が既に登録されているものとする。
【0068】
この場合、第1個人情報の受け付け処理から爪模様抽出処理(ステップS111〜ステップS115)は、図3に示した登録処理のときとほぼ同じ動作であるため個々の処理の説明は省略する。なお、一次認証で第1個人情報が一致しなかった場合(ステップS113のNo)、ユーザ認証ユニット12は、表示器およびスピーカなどからエラーを報知する(ステップS118)。
【0069】
この場合、既に一次認証で被認証者が認証情報データベース13に登録された中の一人であるものと判定されている。ステップS115の爪模様抽出処理の後、爪模様予測ユニット15は、認証情報データベース13の一次認証該当者の登録情報から爪模様の登録日時を読み出して、登録時から現時点までの時間経過で変化する登録済みの爪模様を予測し(ステップS116)、その変化させた模様(以下「予測模様」と称す)をメモリ18に記憶する。
【0070】
具体的には、爪模様予測ユニット15は、認証情報データベース13の該当登録者の登録情報から爪模様の登録日時を読み出して現在の日時までの経過時間を算出する。例えば前回登録日時が7月4日の13時、現在の日時が7月9日の13時であれば、5日経過しており、5日×24時間で120時間が経過していることになる。
【0071】
経過時間を算出した後、爪模様予測ユニット15は、認証情報データベース13から登録画像を読み出して、その登録画像を経過時間(120時間)分だけ成長させるよう演算し、登録画像の5日分の伸び(変化)を予測する。
【0072】
一例として、予め設定された成長関数に120時間を入力し、変化した画像を予測する。例えば縦模様の画像Rの縦模様を120時間分だけY軸方向へ伸張し、横模様の画像Sの横模様を120時間分だけY軸方向へ移動し、斜め模様の画像T,Uについては移動と伸張を所定の割合で混合して行う。
【0073】
なお、1日毎に登録者の爪24が成長する長さを保持しておき、登録画像の模様を5日分だけ伸張してもよい。
【0074】
続いて、爪模様認証ユニット16は、メモリ18に記憶された予測模様と、被認証者の指から読み取って模様を抽出した実際の爪模様F(以下「実模様」と称す)とを比較照合して一致率(類似度)に応じた判定を行う。
【0075】
本実施例では、爪模様認証ユニット16は、実模様と予測模様との間のユークリッド距離を計算し、その距離が閾値以下であれば一致と判定し、閾値より大きければ不一致と判定する。なお、爪模様の比較照合の方法については、上記の方法に限らず、例えば実模様と予測模様との内積値を類似度として用いる等してもよい。
【0076】
爪模様認証ユニット16は、爪模様どうしの比較照合の結果、不一致と判定した場合(ステップS117のNo)、表示器およびスピーカなどからエラーを報知し(ステップS118)、再認証を促す。
【0077】
また、爪模様認証ユニット16は、爪模様どうしの比較照合の結果、一致と判定した場合(ステップS117のYes)、扉開閉機構5を制御して扉を開放し(ステップS119)、被認証者の入場(通行)を許可する。そして、爪模様認証ユニット16は、所定時間経過後(1〜2秒後など)に扉を閉鎖するよう扉開閉機構5を制御し、扉を閉鎖する(ステップS119)。
【0078】
このようにこの第1実施形態の自動扉開閉システムによれば、ICカード3によるユーザ認証と、爪模様の生体認証を併用することで、例えば数日から数週間程度といった短期間での更新に向く個人認証技術を提供することができる。また盗難に対して頑健な認証システムを構築することができる。
【0079】
続いて、第2実施形態の自動扉開閉システムについて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付しその説明は省略する。
【0080】
図7に示すように、第2実施形態の自動扉開閉システムの制御装置1は、特徴検出ユニット19をさらに備えている。
【0081】
特徴検出ユニット19は、被登録者の爪24に対して付与(赤外線インクで印字または塗布)された特徴情報を検出する。爪24に付与される特徴情報としては、例えばマーカ、IDや名前などの被登録者情報乃至それを暗号化したもの、扉開閉機構5に対する動作命令などである。
【0082】
すなわち、特徴検出ユニット19は、爪模様抽出ユニット14により抽出された爪模様から特徴情報を検出し、爪模様認証ユニット16へ渡す。
【0083】
爪24に特徴情報を付与する装置としては、例えば通常のカラーやモノクロのインクの他、赤外線または紫外線のインクなどの特殊インクで爪24に文字や記号などの特殊情報を印字する印字装置または筆記用具、造影剤などの特定光線を吸収または反射する素材により爪24に印刷を行う印刷装置、爪表面を削るレーザー加工装置などである。
【0084】
造影剤を利用して印刷を行う印刷装置を用いる場合、例えばマニキュアの塗布などによって表面が隠された場合にも特徴情報の抽出が行えるという利点がある。
【0085】
撮像ユニット4は、この場合、爪24に赤外線インクなどの不可視インク(特殊インク)で印字または描かれた特徴情報を撮像するために赤外線カメラを使用する。
【0086】
特徴情報としては、赤外線カメラで撮像可能な不可視インクで爪24に塗布された文字、記号、マークなどである。また赤外線カメラだけでなく、第1実施形態で用いたCCDカメラも併用し、例えば爪24に塗布されたマーカや通常インクを撮像し、複数の情報を組み合わせてもよい。
【0087】
次に、図7乃至図9のフローチャートを参照して第2実施形態の自動扉開閉システムの動作を説明する。まず、図7を用いて爪模様の登録動作を説明する。
【0088】
なお、認証情報データベース13には、予め被登録者の第1個人情報であるユーザID,暗証番号などが登録されており、被登録者が所持するICカード3にも予めユーザIDが登録されているものとする。
【0089】
この場合、まず、被登録者がICカード3をカードリーダ2にかけると、カードリーダ2は、ICカード3からユーザIDを読み取る。そして、被登録者によりテンキーが押されて、暗証番号が入力されると、カードリーダ2は、これら第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を制御装置1へ送る。
【0090】
制御装置1では、受付ユニット11がこれら第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を受け付けてユーザ認証ユニット12へ渡す。
【0091】
ユーザ認証ユニット12は、受付ユニット11から第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を受け取ると(図7のステップS201)、第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を基に一次認証処理を行う(ステップS202)。
【0092】
具体的には、ユーザ認証ユニット12は、受け付けた第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)をキーに認証情報データベース13の登録情報を一つずつ検索し、認証情報データベース13の登録情報と一致するか否かをチェックする。
【0093】
受け付けた第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)と認証情報データベース13の登録情報とが一致した場合(ステップS203のYes)、ユーザ認証ユニット12は、撮像ユニット4に指23の撮像を開始(始動)させる。
【0094】
ここで、被登録者は、赤外線インクを充填したペンなどで爪24に特徴情報として、例えば「花子」などという文字を描いたものとする。なお、この例は一例にしか過ぎず、特徴情報は何を描いてもよい。
【0095】
その後、被登録者が指設置台25に指23を置くと、撮像ユニット4は、指設置台25に置かれた指23の赤外線撮像を撮像し(ステップS204)、爪模様抽出ユニット14に渡す。この際、撮像ユニット4は、被登録者の指23の赤外線画像を少なくとも1枚撮影する。
【0096】
爪模様抽出ユニット14は、撮像ユニット4から渡された指の赤外線画像に対して画像処理を行って爪24の表面の模様(爪の輪郭と「花子」の文字)を含む画像F(以下「爪模様F」と称す)を取得する。
【0097】
具体的には、爪模様抽出ユニット14は、撮像ユニット4から渡された指23の画像から、爪24の輪郭を検出して、その内側の爪模様Fの部分(図の点線内の部分)を抽出し(ステップS205)、メモリ18に記憶する。爪の一部分の画像を抽出する手法には、例えばテンプレートマッチングなどの手法を用いる。
【0098】
続いて、特徴検出ユニット19は、メモリ18に記憶された爪模様Fの画像中から輪郭を除いた特徴情報である「花子」を検出し(ステップS206)、切り出す。
【0099】
すなわち、特徴検出ユニット19は、メモリ18に記憶された爪模様Fの画像中から「花子」という文字の画像を切り出し、爪模様登録ユニット17に渡す。
【0100】
爪模様登録ユニット17は、渡された「花子」という画像を本日の現在時刻(登録時刻)とともに、認証情報データベース13の該当登録者の第1個人情報に対応させて認証情報データベース13に登録する(ステップS207)。
【0101】
なお、認証情報データベース13に保存される被登録者の情報は、例えば社員番号などのユーザIDの他に、社員の名前、権限情報、認証の有効期限、扉開閉機構5に対する動作命令などもある。被登録者の情報は、これらすべてである必要はなく、このうちのいくつかがあればよい。
【0102】
また、本例では、認証情報データベース13は、制御装置1に内蔵されたハードディスクドライブ装置に保存されていることを想定しているが、例えばインターネット上に配置された、制御装置1に直接接続されていないサーバ上のデータベースであってもよく、また持ち運び可能なメディアに認証情報データベース13を保存しておき、必要に応じて接続し利用するようにしてもよい。
【0103】
また、本例では、認証情報データベース13は、単一であり全ての既登録者を一つの同じデータベースに登録しているが、これを各認証情報データベースが一人以上の既登録者を含むよう任意に複数のデータベースに分割してもよい。
【0104】
例えば一例として、ICチップ内蔵カードなどに既登録者一人分のデータを保存しておき、既登録者と被認証者一対一の認証を行うことが想定される。
【0105】
また、複数の制御装置1が一台の同じ認証情報データベース13を利用しても良い。この例としては、複数の部屋に設置された制御装置1のユーザが共通である場合に、これらをオンラインで接続し、集中管理された認証情報データベース13を利用することが考えられる。
【0106】
本例では、認証情報データベース13には、被登録者に付与した第1個人情報としてユーザIDを用いたが、例えば社員の名前を用いてもよく、本例はあくまで一例にしか過ぎず、必ずしも全ての情報が必要ではない。
【0107】
次に、図8,9を参照して爪模様を認証情報データベース13に登録した後、ある期間が経過したときの被認証者に対する認証動作を説明する。前提条件として、認証情報データベース13には少なくとも一人以上の登録者の情報が既に登録されているものとする。
【0108】
この場合、第1個人情報の受け付け処理から爪模様抽出処理(ステップS211〜ステップS215)は、図7に示した登録処理のときとほぼ同じ動作であるため個々の処理の説明は省略する。なお、一次認証で第1個人情報が一致しなかった場合(ステップS213のNo)、ユーザ認証ユニット12は、表示器およびスピーカなどからエラーを報知する(ステップS219)。
【0109】
既にステップS212の一次認証処理(ユーザIDおよび暗証番号による認証)で被認証者が認証情報データベース13に登録された中の一人であるものと判定されている。
【0110】
また、ステップS215の爪模様抽出処理では、実際に撮像された指23の赤外線画像から、「花子」という文字の画像を含む爪24の画像である爪模様F(図9では実模様51)が抽出され、メモリ18に記憶されている。
【0111】
特徴検出ユニット19は、メモリ18に記憶された実模様51から爪24の輪郭を除いた特徴情報である「花子」を検出する(ステップS216)。
【0112】
すなわち、特徴検出ユニット19は、メモリ18に記憶された爪模様Fの画像中から「花子」という文字の画像を特徴情報として検出し、爪模様認証ユニット16に渡す。
【0113】
一方、爪模様予測ユニット15は、認証情報データベース13の一次認証該当者の登録情報から爪模様の登録日時を読み出して、登録時から現時点までの時間経過で変化する登録済みの爪模様を予測し(ステップS217)、その変化させた予測模様42をメモリ18に記憶する。
【0114】
具体的には、爪模様予測ユニット15は、認証情報データベース13の該当登録者の登録情報から爪模様の登録日時を読み出して現在の日時までの経過時間を算出する。例えば前回登録日時が7月4日の13時、現在の日時が7月9日の13時であれば、5日経過しており、5日×24時間で120時間が経過していることになる。
【0115】
経過時間を算出した後、爪模様予測ユニット15は、図9に示すように、認証情報データベース13から登録画像41(この場合「花子」を含む爪画像)を読み出して、その登録画像41の「花子」の位置を経過時間(120時間)分だけ移動させるよう演算し、登録画像の5日分の変化を予測する。
【0116】
一例として、予め設定された移動関数に120時間を入力し、変化した画像を予測する。例えば「花子」という画像は、爪24の上に塗布されているだけの画像のため、爪24の伸びに応じて縦方向、つまりY軸方向へ120時間分だけ移動される。
【0117】
この他、変化する「花子」の位置を予測する方法としては、経過時間毎に爪24の伸びる平均的な長さ(1日にY軸方向に1ピクセルだけ変化等)を記憶しておき、経過時間から「花子」という文字の位置の変化を予測してもよい。
【0118】
続いて、爪模様認証ユニット16は、メモリ18に記憶された予測模様42と、被認証者の指23から読み取って模様を抽出した実模様51とを比較照合して(ステップS218)、一致率(類似度)に応じて一致または不一致の判定(変化した爪模様の正否判定)を行う。
【0119】
本実施例では、爪模様認証ユニット16は、実模様51と予測模様42との間のユークリッド距離を計算し、その距離が閾値以下であれば一致と判定し、閾値より大きければ不一致と判定する。なお、爪模様の比較照合の方法については、上記の方法に限らず、例えば実模様と予測模様との内積値を類似度として用いてもよい。
【0120】
爪模様認証ユニット16は、爪模様どうしの比較照合の結果、不一致と判定した場合(ステップS218のNo)、表示器およびスピーカなどからエラーを報知し(ステップS219)、再認証を促す。
【0121】
また、爪模様認証ユニット16は、爪模様どうしの比較照合の結果、一致と判定した場合(ステップS218のYes)、扉開閉機構5を制御して扉を開放し(ステップS220)、被認証者の入場(通行)を許可する。そして、爪模様認証ユニット16は、所定時間経過後(1〜2秒後など)に扉を閉鎖するよう扉開閉機構5を制御し、扉を閉鎖する(ステップS221)。
【0122】
ここで、図9を参照して、爪模様予測ユニット15と爪模様認証ユニット16の処理を画像の変化を追って説明する。
【0123】
この場合、まず、爪模様予測ユニット15は、認証情報データベース13に登録されている一次認証で仮認証された既登録者の登録情報から爪模様の登録時刻を読み出して現在時刻との差である経過時間を算出する。
【0124】
次に、爪模様予測ユニット15は、既登録者の登録画像41を読み出し、算出した経過時間分だけ変化させて(図9のステップS301)、「花子」という特徴情報の位置が変化(移動)した爪画像の予測模様42を生成する。
【0125】
一方、爪模様認証ユニット16は、メモリ18に記憶された実模様51を読み出して、予測模様42のY軸方向の位置と実模様51のY軸方向の位置との誤差を求める。つまり互いの位置ずれを計測する(ステップS302)。
【0126】
計測後、爪模様認証ユニット16は、互いの誤差と予めメモリ18に設定されている第1閾値Th2とを比較し、誤差が第1閾値Th2以下か第1閾値Th2を超えているかを判定する。
【0127】
この比較の結果、誤差が第1閾値Th2以下であれば、爪模様認証ユニット16は、経過時間に対して位置の変化状況が正しいものとする。
【0128】
次に、爪模様認証ユニット16は、それぞれの画像から抽出した実模様51の「花子」の部分の特徴画像52と、予測模様42から抽出した「花子」の部分の特徴画像43とを重ね合わせて(ステップS304)、互いの画像の一致率(類似度)を計算する(ステップS305)。
【0129】
この計算の結果、一致率(類似度)が予めメモリ18に設定されている第2閾値Th3以上、第3閾値Th4未満である場合、爪模様認証ユニット16は、互いの画像を一致と判定する(ステップS306)。なお、第3閾値Th4は、経過時間に応じてその値が変化する(下がっていく)ものとしてもよい。
【0130】
これは、爪表面に付与(塗布、印字、傷付けなど)した特徴情報は、日常生活により磨耗などを起こすことを利用し、磨耗などの発生しない偽造物を検出することを目的としているためであり、爪模様認証ユニット16は、これ以外の場合に不一致と判定する。
【0131】
本例では、時間経過に伴う実模様51(特徴画像52)の磨耗状況や移動量を検出しているが、これ以外に片方のみを用いる、つまり特徴情報として爪24に傷を付けた場合であれば、例えば自然治癒の進行度を調べるなど、他の手段をとってもよい。
【0132】
また、例えばOCRやバーコードスキャナなどを用いて特徴画像52の内容を検証してもよい。また、爪模様F自体やその一部などを特徴画像52として扱ってもよく、これらを任意に組み合わせてもよい。
【0133】
認証情報データベース13の登録情報の更新を行う場合に、認証の度に爪24に新たな特徴情報を付与する必要はなく、既に付与されている状態の特徴情報で認証情報データベース13の登録情報を上書き更新し、継続して利用してもよい。
【0134】
また、登録情報の更新の際には、新たに追加する代わりに認証情報データベース13の中から被登録者と一致する既登録者を指定し、既登録者の登録情報を被登録者の情報に書き換えてもよい。
【0135】
既登録者の指定方法としては、例えばキー入力などによる指定や、被登録者を被認証者として指定することがあげられる。
【0136】
また、登録情報の更新を行う際には、被登録者乃至本システムの管理者などに対し更新確認を行うようにしてもよい。
【0137】
また、爪模様どうしの比較照合の結果、認証が成功した場合に、被認証者の情報によって一致と判定された認証情報データベース13の既登録者の登録情報を今回読み取った爪模様Fで更新する。
【0138】
この場合、撮像ユニット4による撮像、爪模様抽出ユニット14による爪模様抽出、特徴検出ユニット19による特徴情報の検出などは必ずしも行う必要はない。
【0139】
このようにこの第2実施形態の自動扉開閉システムによれば、ICカード3によるユーザ認証と、爪に不可視インクで描いた特殊情報(「花子」という文字)の変化予測とを併用することで、例えば数日から数週間程度といった短期間での更新に向く個人認証技術を提供することができる。また盗難に対して頑健な認証システムを構築することができる。
【0140】
なお、本願発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形してもよい。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の発明を構成できる。
【0141】
例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0142】
上記実施形態では、カードリーダ2を制御装置1に接続し、ICカード3に予め記憶されていたユーザIDとテンキーから入力された暗証番号とを第1個人情報として用いたが、これ以外に、例えば図10に示すように、指紋読取ユニット7を制御装置1に接続し、第1個人情報の認証を被認証者の指紋で行ってもよい。
【0143】
この場合、ハードウェアとしては、撮像ユニット4と指紋読取ユニット7とを組み合わせて、例えば図11に示すように、照明装置21、CCDカメラ22および指紋センサ26で構成し、指紋センサ26で指紋を読み取るのと指23の爪24を含む画像の撮像とを一度で済ませるようにする。
【0144】
本願の具体的な用途としては、例えば滞在型遊園地のパスポート、数日から数週間程度会社へ出入りする臨時社員への適用、交通機関の期間限定切符の発行、金庫の扉の開閉キーなどに有効である。
上記実施形態では、特徴情報が文字の場合について説明したが、文字と記号、文字とマークなどのように異なる情報を組み合わせてもよく、単なる図形でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】第1実施形態の自動扉開閉システムの構成を示す図である。
【図2】図1の自動扉開閉システムの撮像ユニットを示す図である。
【図3】図1の自動扉開閉システムの個人認証処理を示すフローチャートである。
【図4】図1の自動扉開閉システムの画像処理の様子を示す図である。
【図5】自動扉開閉システムにおいて、経時変化する爪の画像の認証処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態の自動扉開閉システムの構成を示す図である。
【図7】図6の自動扉開閉システムにおける生体情報の登録処理を示すフローチャートである。
【図8】図6の自動扉開閉システムの個人認証処理を示すフローチャートである。
【図9】図6の自動扉開閉システムの画像処理の様子を示す図である。
【図10】応用例の自動扉開閉システムの構成を示す図である。
【図11】応用例の自動扉開閉システムの撮像ユニットを示す図である。
【符号の説明】
【0146】
1…制御装置、2…カードリーダ、3…ICカード、4…撮像ユニット、5…扉開閉ユニット、5…扉開閉機構、6…報知ユニット、7…指紋読取ユニット、11…受付ユニット、12…ユーザ認証ユニット、13…認証情報データベース、14…爪模様抽出ユニット、15…爪模様予測ユニット、16…爪模様認証ユニット、17…爪模様登録ユニット、18…メモリ、19…特徴検出ユニット、21…照明装置、22…CCDカメラ、23…指、24…爪、25…指設置台、26…指紋センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の指の爪(生体)を用いて個人認証を行う個人認証装置および個人認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザID、パスワードなどの個人認証情報を不正に取得して利用者に成りすまし、社内に不正に進入したり、金融機関の個人口座から金銭を取得する手口の犯罪が多いことから、既存の上記個人認証情報の他に、盗難され難い生体情報を組み合わせた個人認証技術が開発されている。
【0003】
例えば指紋や虹彩や顔、静脈形状等を用いたユーザ認証システム、指紋や顔などを用いたPCログイン管理システム、自動扉開閉システムなどが実用化されている。
【0004】
ところで、指紋や虹彩などの生体情報は、その多くが生涯に渡り変化しないため、万一、情報が盗難された場合に変更することができないという問題がある。
【0005】
従って、生体情報を利用する場合には、例えば顔などの経年により変化が発生する情報を一定期間で更新しつつ利用することが望ましい場合も多い。
【0006】
ただし、顔の撮影はプライバシー保護の観点から問題があるのではないかという懸念も存在する。また、顔形状は経年により変化する生体情報ではあるが、露出していることから、カメラなどで遠方より容易に盗撮でき、比較的盗難に遭いやすい生体情報である。
【0007】
また、顔は、変化が現れるまでの期間が比較的長いため無効化し難い。さらに、顔の形状は、通常個人に対して1つしかないため、例えば盗難にあったなどの緊急時でも例えば指紋のように他の指の情報に変えるといった対応策が取れない。
【0008】
そこで、近年では、生体認証に指の爪を用いる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−256840公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1の技術の場合、指の爪の特徴量として、爪の根元の爪半月に近い爪甲と上爪皮の境界部の円弧形状や爪甲の幅、爪甲の立体形状等をあげ、爪の中でもほぼ変化しない部分を認証するため、数カ月から1年程度の周期で定期更新を行うことを想定している。
【0010】
しかしながら、爪のように、削ったり切ったりすることが容易な生体部分では偽造がし易いことや、登録者本人が登録したことを忘れてうっかり爪を切ってしまうことなどがあるため、爪を用いる生体認証では、例えば数日から数週間程度といった短期間での更新が望ましい。
【0011】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、生体認証に指の爪を用いる上でその変化を考慮し、例えば数日から数週間程度といった短期間での更新に向く個人認証技術を提供することのできる個人認証装置および個人認証方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために本発明の個人認証装置は、既存の登録者個人を認証するための個人認証情報として、経時的な変化が伴わない第1個人情報、経時的な変化が伴う第2個人情報、前記第2個人情報の登録時刻が対応して登録されたデータベースと、被認証者から入力された第1個人情報を受け付ける受付ユニットと、前記受付ユニットにより受け付けられた前記第1個人情報と前記データベースに登録されている登録者の前記第1個人情報とを比較し、前記第1個人情報の一致により認証する第1認証ユニットと、前記第1認証ユニットにより認証された場合、被認証者の爪表面を含む画像を撮像する撮像ユニットと、前記撮像ユニットより撮像された前記爪表面を含む画像から前記爪模様の画像またはその画像を正規化したデータを抽出する爪模様抽出ユニットと、前記第1認証ユニットにより認証された第1個人情報に対応する第2個人情報の登録時刻を前記データベースから読み出し、前記登録時から現時点までの経過時間に基づいて前記データベースに登録された登録者の爪模様の画像またはその正規化データを変化させる爪模様予測ユニットと、前記爪模様予測ユニットにより変化された爪模様の画像またはその正規化データと前記爪模様抽出ユニットにより抽出された爪模様の画像またはその正規化データとを照合し互いの一致率によって前記被認証者を前記登録者本人として認証する第2認証ユニットとを具備することを特徴とする。
【0013】
本発明では、比較的高速に変化する生体である爪の表面に現れる傷や縞模様などの爪模様を用いて個人認証を行う。爪の表面は、人体の中でも経時変化が発生しやすい部位である。このため、仮に情報が盗難にあった場合でも例えば顔などと比べて比較的早い期間で無効化されることになり、比較的短期に更新しつつ利用する生体情報として適する。また、指紋や指静脈と同様に指の本数だけの情報が利用できるため、盗難時に情報の差し替えも比較的容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、生体認証に爪を用いる上でその変化を考慮し、例えば数日から数週間程度といった短期間での更新に向く個人認証技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は第1実施形態の自動扉開閉システムの構成を示すブロック図である。
【0016】
この自動扉開閉システムは、経時的な変化が伴わない第1個人情報(ユーザID、パスワード)と、経時的な変化が伴う第2個人情報(人の生体情報の一つである爪の模様)とを用いて出入口を出入りする利用者を認証して扉の開閉動作を行う個人認証装置の一つである。
【0017】
図1に示すように、第1実施形態の自動扉開閉システムは、制御装置1、カードリーダ2、撮像ユニット4、扉開閉ユニット5、表示器およびスピーカなどの報知ユニット6等を備えている。
【0018】
カードリーダ2は、カード読取部とテンキーを備えており、被認証者がカード読取部に通した電子社員証などのICカード3から情報(ユーザID)を読み取り、テンキーで指示されたパスワードとしての暗証番号と共に制御装置1へ送る。
【0019】
なお、ICカード3を用いずにユーザIDと暗証番号をテンキーで入力してもよく、またICカード3に予めユーザIDと暗証番号の両者を記憶しておき、ICカード3の情報を読み取るだけにしてもよい。
【0020】
撮像ユニット4は、図2に示すように、照明装置21、CCDカメラ22、指設置台25等を有している。指設置台25は、撮像対象の指23の位置決めを行うための台である。指設置台25には、指23の腹を下に向けて置かれる。
【0021】
CCDカメラ22は、指設置台25の上方数cm程度の位置に配置されており、指設置台25に置かれた指23の画像を撮像する。照明装置21は、CCDカメラ22の側方より指設置台25へ向けて照明するように配置されており、指設置台25に置かれた指23に照明をあてるものである。
【0022】
この例では、図2に示すように指設置台25に置かれた指23に対して前方上方から照明を照射し、指23のほぼ真上からCCDカメラ22によりVGA(640×480)ピクセルサイズのカラー画像またはモノクロ画像が撮影される。この他にも、例えば赤外線カメラや紫外線カメラなどを用いてもよい。
【0023】
この場合、照明としては、これらのカメラに対応するものを用いる。また、カメラの撮影方向や照明の方向は、この例のみに限らず、例えば上方や指の下側または側方などから照明を行ってもよい。
【0024】
また、本実施例では、照明装置21から直接照明を行っているが、透過光を用いてもよく、反射板を介した反射照明を行ってもよく、またある程度の照度があれば、照明しなくてもよい。
【0025】
さらに、複数方向から撮影した画像によって指の立体的な情報を取得してもよい。また、本実施例では爪の表面の模様を取得しているが、例えば透過光を用いるなどして表面ではなく爪の裏側や内部の爪模様を取得してもよい。
【0026】
扉開閉ユニット5は、制御装置1により制御されて、建物の入口に配置された扉を開放または閉鎖する。つまり扉開閉ユニット5は、制御装置1により個人認証された結果に従って、被認証者が次に行う作業(入口から建物内に入る)を許可または拒否する。
なお、この例は一例にしか過ぎず、制御装置1の制御対象が扉開閉ユニット5ではなく、例えばコンピュータ(以下「PC」と称す)などの場合、被認証者がPCにログインする際に、ログインを許可または拒否してもよい。
【0027】
報知ユニット6は、制御装置1が行った個人認証処理の結果、登録者本人として認証されなかった旨を被認証者に音声または表示で報知する。
【0028】
制御装置1は、指23を撮像する際に照明装置21、CCDカメラ22を制御して、露出の適正化およびピント調整を行い指設置台25に置かれた指23の爪の表面部分を含む画像を撮像する。
【0029】
制御装置1は、カードリーダ2により読み取られたICカード3の情報と、CCDカメラ22により撮像された指23の画像とを受け付けて、それぞれについて認証処理を行い、両方の認証処理の結果に応じて扉開閉機構5を制御して入口の扉を開閉する。
【0030】
制御装置1は、認証情報データベース13、受付ユニット11、第1認証ユニットとしてのユーザ認証ユニット12、爪模様抽出ユニット14、爪模様予測ユニット15、第2認証ユニットとしての爪模様認証ユニット16、爪模様登録ユニット17、メモリ18などを有している。
【0031】
認証情報データベース13には、既存の登録者個人を認証するための個人認証情報として、経時的な変化が伴わない第1個人情報(ユーザID、暗証番号)、経時的な変化が伴う第2個人情報(爪の模様の画像またはその正規化データ)、第2個人情報の登録時刻とが対応付けられて登録されている。
【0032】
なお、認証情報データベース13には、爪模様の画像以外に、爪の画像そのものを保持してもよい。また、各爪模様に対し、例えば氏名など該爪模様に対応する既登録者の情報を関連付けて登録しておいてもよい。
【0033】
受付ユニット11は、カードリーダ2により読み取られた被認証者や被登録者のICカード3の情報を受け付ける。受付ユニット11は、被認証者や被登録者から入力された第1個人情報(ユーザID、暗証番号)を受け付ける。
【0034】
ユーザ認証ユニット12は、受付ユニット11により受け付けられた第1個人情報(ユーザID、暗証番号)と認証情報データベース13に登録されている登録者の第1個人情報(ユーザID、暗証番号)とを比較し、互いの情報の一致により被認証者を登録者本人と認証する。ここでの認証は一次認証(仮の認証)である。
【0035】
撮像ユニット4は、ユーザ認証ユニット12により一次認証された場合、被認証者の爪表面を含む画像を撮像する。
【0036】
爪模様抽出ユニット14は、撮像ユニット4より撮像された爪表面を含む画像から爪模様の画像またはその画像を正規化したデータを抽出する。すなわち、爪模様抽出ユニット14は、撮像された指の画像に対して所定の画像処理(爪部分の検出、模様の切り出し処理、正規化処理など)を行い、爪部分を特定し、爪部分から模様を抽出する。
【0037】
爪模様予測ユニット15は、ユーザ認証ユニット12により仮認証(一次認証)された第1個人情報(ユーザID、暗証番号)に対応する第2個人情報(爪の模様の画像またはその正規化データ)の登録時刻を認証情報データベース13から読み出し、登録時刻から現在までの経過時間に基づいて認証情報データベース13に登録された登録者の爪模様の画像またはその正規化データを変化させる。
【0038】
爪模様認証ユニット16は、爪模様予測ユニット15により変化された爪模様の画像またはその正規化データと、爪模様抽出ユニット14により抽出された爪模様の画像またはその正規化データとを照合し互いの類似度(一致率)によって、登録者本人であるか否かを認証する。
【0039】
例えば画像どうしの比較では、画像どうしの重なり具合を類似度とし、類似度が例えば90%以上であれば、被認証者を登録者であるものと認証する。なお、この例の90%以上という類似度の値は一例であり、他の値でもあってもよい。
【0040】
爪模様登録ユニット17は、爪模様抽出ユニット14によって抽出された爪模様を認証情報データベース13に登録する。なお、認証情報データベース13には、爪の画像そのものを登録する以外に、例えば撮像ユニット4によって撮像された画像そのもの、あるいは例えば位置合わせや大きさなどの正規化処理を施した画像やベクトルデータなどを保存しておいてもよい。
【0041】
爪模様登録ユニット17は、爪模様認証ユニット16により正規の社員(登録者)として認証された場合、爪模様抽出ユニット14により抽出された爪模様の画像またはその正規化データと現在の時刻とを認証情報データベース13の該当登録者の個人認証情報として登録または上書きする生体情報更新ユニット(爪模様更新ユニット)として機能する。
【0042】
メモリ18は、個人認証処理のための作業領域(画像の比較照合や画像切り出し、期間に応じた変化率で爪模様の画像またはその正規化データを変化させるための演算領域)として機能する。メモリ18には、撮像された画像や変化させた画像などが記憶される。
【0043】
メモリ18には、予め期間に応じて爪模様またはその正規化データを変化させるための変化率と画像のx,y座標の移動計算式が記憶されており、爪模様予測ユニット15が、登録日から認証日までの期間を演算により求め上記計算式に代入することで、登録画像の画素の位置を移動させて予測画像を生成できる。
【0044】
以下、図3のフローチャートを参照してこの第1実施形態の自動扉開閉システムの動作を説明する。まず、爪模様の登録動作についして説明する。
【0045】
なお、認証情報データベース13には、予め被登録者の第1個人情報であるユーザID,暗証番号などが登録されており、被登録者が所持するICカード3にも予めユーザIDが登録されているものとする。
【0046】
この場合、まず、被登録者がICカード3をカードリーダ2にかけると、カードリーダ2は、ICカード3からユーザIDを読み取る。そして、被登録者によりテンキーが押されて、暗証番号が入力されると、カードリーダ2は、これら第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を制御装置1へ送る。
【0047】
制御装置1では、受付ユニット11がこれら第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を受け付けてユーザ認証ユニット12へ渡す。
【0048】
ユーザ認証ユニット12は、受付ユニット11から第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を受け取ると(図3のステップS101)、第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を基に一次認証処理を行う(ステップS102)。
【0049】
具体的には、ユーザ認証ユニット12は、受け付けた第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)をキーに認証情報データベース13の登録情報を一つずつ検索し、認証情報データベース13の登録情報と一致するか否かをチェックする。
【0050】
受け付けた第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)と認証情報データベース13の登録情報とが一致した場合(ステップS103のYes)、ユーザ認証ユニット12は、撮像ユニット4に指23の撮像を開始させる。
【0051】
撮像ユニット4は、指設置台25に置かれた指23の指撮像を撮像し(ステップS104)、爪模様抽出ユニット14に渡す。この際、撮像ユニット4は、被登録者の指23の指画像を少なくとも1枚撮影する。
【0052】
爪模様抽出ユニット14は、撮像ユニット4から渡された指画像I(図4参照)に対して画像処理を行って爪24の表面の模様を含む画像F(以下「爪模様F」と称す)を取得する。
【0053】
具体的には、爪模様抽出ユニット14は、撮像ユニット4から渡された指画像Iから、爪24の輪郭を検出して、爪24の表面の爪模様Fを抽出し(ステップS105)、メモリ18に記憶する。爪の部分を抽出する手法には、例えばテンプレートマッチングなどの手法を用いる。
【0054】
続いて、爪模様抽出ユニット14は、縦、横、斜め、それぞれの方向のエッジ抽出フィルタを用いてメモリ18に記憶した爪模様Fの画像中から縦模様、横模様、斜め下がり模様、斜め上がり模様等の4方向の模様や傷跡等を抽出する。
【0055】
すなわち、爪模様抽出ユニット14は、抽出した爪模様Fをフィルタリングして縦模様の画像R、横模様の画像S、斜め下がり模様の画像T、斜め上がり模様の画像Uなどの複数の画像を抽出する。
【0056】
その後、爪模様抽出ユニット14は、それぞれの爪部分の画像の大きさを正規化する。この例では各画像R,S,T,Uを縦、横、各々50ピクセルの正方形に正規化し、各画素の値として正規化前の画像における対応範囲の値の合計を用いる。
【0057】
これらをベクトルとして並べたものを正規化データXとする。この場合、正規化データXは10000次元のベクトルによって表される。つまり、上記正規化データXは、爪模様抽出ユニット14によって抽出される爪模様Fといえる。
【0058】
すなわち、正規化データXは、各画像R,S,T,Uをそれぞれ50×50ピクセルのサイズに縮小して縦方向に整列しこれを1つのパターン)としたものである。
【0059】
なお、上記爪画像の処理は一例であり、爪模様の特徴に、例えば色の情報など、他の情報を加えてもよく、正規化データXに対して特徴選択を行うなどして爪模様Fの次元数を正規化データXよりも落としてもよい。
【0060】
また、複数枚の爪の画像が撮影された場合には、それらの爪画像に対して主成分分析を行って作成した部分空間を爪模様Fとしてもよい。
【0061】
そして、爪模様抽出ユニット14は、正規化データXを本日の時刻(登録時刻)とともに、認証情報データベース13の該当登録者の第1個人情報に対応させて認証情報データベース13に登録する(ステップS106)。
【0062】
なお、認証情報データベース13に保存される被登録者の情報は、例えば社員番号などのユーザIDの他に、社員の名前、権限情報、認証の有効期限、扉開閉機構5に対する動作命令などである。
【0063】
また、本例では、認証情報データベース13は、制御装置1に内蔵されたハードディスクドライブ装置に保存されていることを想定しているが、例えばインターネット上に配置された、制御装置1に直接接続されていないサーバ上のデータベースを利用してもよく、持ち運び可能なメディアに認証情報データベース13を保存して必要に応じて接続するなどにしてもよい。
【0064】
また、本例では、認証情報データベース13は、単一であり全ての既登録者を一つの同じデータベースに登録しているが、これを各認証情報データベースが一人以上の既登録者を含むよう任意に複数のデータベースに分割してもよい。
【0065】
例えば一例として、ICチップ内蔵カードなどに既登録者一人分のデータを保存しておき、既登録者と被認証者一対一の認証を行うことが想定される。
【0066】
また、複数の制御装置1が一台の同じ認証情報データベース13を利用しても良い。この例としては、複数の部屋に設置された制御装置1のユーザが共通である場合に、これらをオンラインで接続し、集中管理された認証情報データベース13を利用することが考えられる。
【0067】
次に、図5,図6のフローチャートを参照して爪模様登録後、ある期間が経過した後の被認証者に対する認証動作を説明する。前提条件として、認証情報データベース13には少なくとも一人以上の登録者の情報が既に登録されているものとする。
【0068】
この場合、第1個人情報の受け付け処理から爪模様抽出処理(ステップS111〜ステップS115)は、図3に示した登録処理のときとほぼ同じ動作であるため個々の処理の説明は省略する。なお、一次認証で第1個人情報が一致しなかった場合(ステップS113のNo)、ユーザ認証ユニット12は、表示器およびスピーカなどからエラーを報知する(ステップS118)。
【0069】
この場合、既に一次認証で被認証者が認証情報データベース13に登録された中の一人であるものと判定されている。ステップS115の爪模様抽出処理の後、爪模様予測ユニット15は、認証情報データベース13の一次認証該当者の登録情報から爪模様の登録日時を読み出して、登録時から現時点までの時間経過で変化する登録済みの爪模様を予測し(ステップS116)、その変化させた模様(以下「予測模様」と称す)をメモリ18に記憶する。
【0070】
具体的には、爪模様予測ユニット15は、認証情報データベース13の該当登録者の登録情報から爪模様の登録日時を読み出して現在の日時までの経過時間を算出する。例えば前回登録日時が7月4日の13時、現在の日時が7月9日の13時であれば、5日経過しており、5日×24時間で120時間が経過していることになる。
【0071】
経過時間を算出した後、爪模様予測ユニット15は、認証情報データベース13から登録画像を読み出して、その登録画像を経過時間(120時間)分だけ成長させるよう演算し、登録画像の5日分の伸び(変化)を予測する。
【0072】
一例として、予め設定された成長関数に120時間を入力し、変化した画像を予測する。例えば縦模様の画像Rの縦模様を120時間分だけY軸方向へ伸張し、横模様の画像Sの横模様を120時間分だけY軸方向へ移動し、斜め模様の画像T,Uについては移動と伸張を所定の割合で混合して行う。
【0073】
なお、1日毎に登録者の爪24が成長する長さを保持しておき、登録画像の模様を5日分だけ伸張してもよい。
【0074】
続いて、爪模様認証ユニット16は、メモリ18に記憶された予測模様と、被認証者の指から読み取って模様を抽出した実際の爪模様F(以下「実模様」と称す)とを比較照合して一致率(類似度)に応じた判定を行う。
【0075】
本実施例では、爪模様認証ユニット16は、実模様と予測模様との間のユークリッド距離を計算し、その距離が閾値以下であれば一致と判定し、閾値より大きければ不一致と判定する。なお、爪模様の比較照合の方法については、上記の方法に限らず、例えば実模様と予測模様との内積値を類似度として用いる等してもよい。
【0076】
爪模様認証ユニット16は、爪模様どうしの比較照合の結果、不一致と判定した場合(ステップS117のNo)、表示器およびスピーカなどからエラーを報知し(ステップS118)、再認証を促す。
【0077】
また、爪模様認証ユニット16は、爪模様どうしの比較照合の結果、一致と判定した場合(ステップS117のYes)、扉開閉機構5を制御して扉を開放し(ステップS119)、被認証者の入場(通行)を許可する。そして、爪模様認証ユニット16は、所定時間経過後(1〜2秒後など)に扉を閉鎖するよう扉開閉機構5を制御し、扉を閉鎖する(ステップS119)。
【0078】
このようにこの第1実施形態の自動扉開閉システムによれば、ICカード3によるユーザ認証と、爪模様の生体認証を併用することで、例えば数日から数週間程度といった短期間での更新に向く個人認証技術を提供することができる。また盗難に対して頑健な認証システムを構築することができる。
【0079】
続いて、第2実施形態の自動扉開閉システムについて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付しその説明は省略する。
【0080】
図7に示すように、第2実施形態の自動扉開閉システムの制御装置1は、特徴検出ユニット19をさらに備えている。
【0081】
特徴検出ユニット19は、被登録者の爪24に対して付与(赤外線インクで印字または塗布)された特徴情報を検出する。爪24に付与される特徴情報としては、例えばマーカ、IDや名前などの被登録者情報乃至それを暗号化したもの、扉開閉機構5に対する動作命令などである。
【0082】
すなわち、特徴検出ユニット19は、爪模様抽出ユニット14により抽出された爪模様から特徴情報を検出し、爪模様認証ユニット16へ渡す。
【0083】
爪24に特徴情報を付与する装置としては、例えば通常のカラーやモノクロのインクの他、赤外線または紫外線のインクなどの特殊インクで爪24に文字や記号などの特殊情報を印字する印字装置または筆記用具、造影剤などの特定光線を吸収または反射する素材により爪24に印刷を行う印刷装置、爪表面を削るレーザー加工装置などである。
【0084】
造影剤を利用して印刷を行う印刷装置を用いる場合、例えばマニキュアの塗布などによって表面が隠された場合にも特徴情報の抽出が行えるという利点がある。
【0085】
撮像ユニット4は、この場合、爪24に赤外線インクなどの不可視インク(特殊インク)で印字または描かれた特徴情報を撮像するために赤外線カメラを使用する。
【0086】
特徴情報としては、赤外線カメラで撮像可能な不可視インクで爪24に塗布された文字、記号、マークなどである。また赤外線カメラだけでなく、第1実施形態で用いたCCDカメラも併用し、例えば爪24に塗布されたマーカや通常インクを撮像し、複数の情報を組み合わせてもよい。
【0087】
次に、図7乃至図9のフローチャートを参照して第2実施形態の自動扉開閉システムの動作を説明する。まず、図7を用いて爪模様の登録動作を説明する。
【0088】
なお、認証情報データベース13には、予め被登録者の第1個人情報であるユーザID,暗証番号などが登録されており、被登録者が所持するICカード3にも予めユーザIDが登録されているものとする。
【0089】
この場合、まず、被登録者がICカード3をカードリーダ2にかけると、カードリーダ2は、ICカード3からユーザIDを読み取る。そして、被登録者によりテンキーが押されて、暗証番号が入力されると、カードリーダ2は、これら第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を制御装置1へ送る。
【0090】
制御装置1では、受付ユニット11がこれら第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を受け付けてユーザ認証ユニット12へ渡す。
【0091】
ユーザ認証ユニット12は、受付ユニット11から第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を受け取ると(図7のステップS201)、第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)を基に一次認証処理を行う(ステップS202)。
【0092】
具体的には、ユーザ認証ユニット12は、受け付けた第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)をキーに認証情報データベース13の登録情報を一つずつ検索し、認証情報データベース13の登録情報と一致するか否かをチェックする。
【0093】
受け付けた第1個人情報(ユーザIDと暗証番号)と認証情報データベース13の登録情報とが一致した場合(ステップS203のYes)、ユーザ認証ユニット12は、撮像ユニット4に指23の撮像を開始(始動)させる。
【0094】
ここで、被登録者は、赤外線インクを充填したペンなどで爪24に特徴情報として、例えば「花子」などという文字を描いたものとする。なお、この例は一例にしか過ぎず、特徴情報は何を描いてもよい。
【0095】
その後、被登録者が指設置台25に指23を置くと、撮像ユニット4は、指設置台25に置かれた指23の赤外線撮像を撮像し(ステップS204)、爪模様抽出ユニット14に渡す。この際、撮像ユニット4は、被登録者の指23の赤外線画像を少なくとも1枚撮影する。
【0096】
爪模様抽出ユニット14は、撮像ユニット4から渡された指の赤外線画像に対して画像処理を行って爪24の表面の模様(爪の輪郭と「花子」の文字)を含む画像F(以下「爪模様F」と称す)を取得する。
【0097】
具体的には、爪模様抽出ユニット14は、撮像ユニット4から渡された指23の画像から、爪24の輪郭を検出して、その内側の爪模様Fの部分(図の点線内の部分)を抽出し(ステップS205)、メモリ18に記憶する。爪の一部分の画像を抽出する手法には、例えばテンプレートマッチングなどの手法を用いる。
【0098】
続いて、特徴検出ユニット19は、メモリ18に記憶された爪模様Fの画像中から輪郭を除いた特徴情報である「花子」を検出し(ステップS206)、切り出す。
【0099】
すなわち、特徴検出ユニット19は、メモリ18に記憶された爪模様Fの画像中から「花子」という文字の画像を切り出し、爪模様登録ユニット17に渡す。
【0100】
爪模様登録ユニット17は、渡された「花子」という画像を本日の現在時刻(登録時刻)とともに、認証情報データベース13の該当登録者の第1個人情報に対応させて認証情報データベース13に登録する(ステップS207)。
【0101】
なお、認証情報データベース13に保存される被登録者の情報は、例えば社員番号などのユーザIDの他に、社員の名前、権限情報、認証の有効期限、扉開閉機構5に対する動作命令などもある。被登録者の情報は、これらすべてである必要はなく、このうちのいくつかがあればよい。
【0102】
また、本例では、認証情報データベース13は、制御装置1に内蔵されたハードディスクドライブ装置に保存されていることを想定しているが、例えばインターネット上に配置された、制御装置1に直接接続されていないサーバ上のデータベースであってもよく、また持ち運び可能なメディアに認証情報データベース13を保存しておき、必要に応じて接続し利用するようにしてもよい。
【0103】
また、本例では、認証情報データベース13は、単一であり全ての既登録者を一つの同じデータベースに登録しているが、これを各認証情報データベースが一人以上の既登録者を含むよう任意に複数のデータベースに分割してもよい。
【0104】
例えば一例として、ICチップ内蔵カードなどに既登録者一人分のデータを保存しておき、既登録者と被認証者一対一の認証を行うことが想定される。
【0105】
また、複数の制御装置1が一台の同じ認証情報データベース13を利用しても良い。この例としては、複数の部屋に設置された制御装置1のユーザが共通である場合に、これらをオンラインで接続し、集中管理された認証情報データベース13を利用することが考えられる。
【0106】
本例では、認証情報データベース13には、被登録者に付与した第1個人情報としてユーザIDを用いたが、例えば社員の名前を用いてもよく、本例はあくまで一例にしか過ぎず、必ずしも全ての情報が必要ではない。
【0107】
次に、図8,9を参照して爪模様を認証情報データベース13に登録した後、ある期間が経過したときの被認証者に対する認証動作を説明する。前提条件として、認証情報データベース13には少なくとも一人以上の登録者の情報が既に登録されているものとする。
【0108】
この場合、第1個人情報の受け付け処理から爪模様抽出処理(ステップS211〜ステップS215)は、図7に示した登録処理のときとほぼ同じ動作であるため個々の処理の説明は省略する。なお、一次認証で第1個人情報が一致しなかった場合(ステップS213のNo)、ユーザ認証ユニット12は、表示器およびスピーカなどからエラーを報知する(ステップS219)。
【0109】
既にステップS212の一次認証処理(ユーザIDおよび暗証番号による認証)で被認証者が認証情報データベース13に登録された中の一人であるものと判定されている。
【0110】
また、ステップS215の爪模様抽出処理では、実際に撮像された指23の赤外線画像から、「花子」という文字の画像を含む爪24の画像である爪模様F(図9では実模様51)が抽出され、メモリ18に記憶されている。
【0111】
特徴検出ユニット19は、メモリ18に記憶された実模様51から爪24の輪郭を除いた特徴情報である「花子」を検出する(ステップS216)。
【0112】
すなわち、特徴検出ユニット19は、メモリ18に記憶された爪模様Fの画像中から「花子」という文字の画像を特徴情報として検出し、爪模様認証ユニット16に渡す。
【0113】
一方、爪模様予測ユニット15は、認証情報データベース13の一次認証該当者の登録情報から爪模様の登録日時を読み出して、登録時から現時点までの時間経過で変化する登録済みの爪模様を予測し(ステップS217)、その変化させた予測模様42をメモリ18に記憶する。
【0114】
具体的には、爪模様予測ユニット15は、認証情報データベース13の該当登録者の登録情報から爪模様の登録日時を読み出して現在の日時までの経過時間を算出する。例えば前回登録日時が7月4日の13時、現在の日時が7月9日の13時であれば、5日経過しており、5日×24時間で120時間が経過していることになる。
【0115】
経過時間を算出した後、爪模様予測ユニット15は、図9に示すように、認証情報データベース13から登録画像41(この場合「花子」を含む爪画像)を読み出して、その登録画像41の「花子」の位置を経過時間(120時間)分だけ移動させるよう演算し、登録画像の5日分の変化を予測する。
【0116】
一例として、予め設定された移動関数に120時間を入力し、変化した画像を予測する。例えば「花子」という画像は、爪24の上に塗布されているだけの画像のため、爪24の伸びに応じて縦方向、つまりY軸方向へ120時間分だけ移動される。
【0117】
この他、変化する「花子」の位置を予測する方法としては、経過時間毎に爪24の伸びる平均的な長さ(1日にY軸方向に1ピクセルだけ変化等)を記憶しておき、経過時間から「花子」という文字の位置の変化を予測してもよい。
【0118】
続いて、爪模様認証ユニット16は、メモリ18に記憶された予測模様42と、被認証者の指23から読み取って模様を抽出した実模様51とを比較照合して(ステップS218)、一致率(類似度)に応じて一致または不一致の判定(変化した爪模様の正否判定)を行う。
【0119】
本実施例では、爪模様認証ユニット16は、実模様51と予測模様42との間のユークリッド距離を計算し、その距離が閾値以下であれば一致と判定し、閾値より大きければ不一致と判定する。なお、爪模様の比較照合の方法については、上記の方法に限らず、例えば実模様と予測模様との内積値を類似度として用いてもよい。
【0120】
爪模様認証ユニット16は、爪模様どうしの比較照合の結果、不一致と判定した場合(ステップS218のNo)、表示器およびスピーカなどからエラーを報知し(ステップS219)、再認証を促す。
【0121】
また、爪模様認証ユニット16は、爪模様どうしの比較照合の結果、一致と判定した場合(ステップS218のYes)、扉開閉機構5を制御して扉を開放し(ステップS220)、被認証者の入場(通行)を許可する。そして、爪模様認証ユニット16は、所定時間経過後(1〜2秒後など)に扉を閉鎖するよう扉開閉機構5を制御し、扉を閉鎖する(ステップS221)。
【0122】
ここで、図9を参照して、爪模様予測ユニット15と爪模様認証ユニット16の処理を画像の変化を追って説明する。
【0123】
この場合、まず、爪模様予測ユニット15は、認証情報データベース13に登録されている一次認証で仮認証された既登録者の登録情報から爪模様の登録時刻を読み出して現在時刻との差である経過時間を算出する。
【0124】
次に、爪模様予測ユニット15は、既登録者の登録画像41を読み出し、算出した経過時間分だけ変化させて(図9のステップS301)、「花子」という特徴情報の位置が変化(移動)した爪画像の予測模様42を生成する。
【0125】
一方、爪模様認証ユニット16は、メモリ18に記憶された実模様51を読み出して、予測模様42のY軸方向の位置と実模様51のY軸方向の位置との誤差を求める。つまり互いの位置ずれを計測する(ステップS302)。
【0126】
計測後、爪模様認証ユニット16は、互いの誤差と予めメモリ18に設定されている第1閾値Th2とを比較し、誤差が第1閾値Th2以下か第1閾値Th2を超えているかを判定する。
【0127】
この比較の結果、誤差が第1閾値Th2以下であれば、爪模様認証ユニット16は、経過時間に対して位置の変化状況が正しいものとする。
【0128】
次に、爪模様認証ユニット16は、それぞれの画像から抽出した実模様51の「花子」の部分の特徴画像52と、予測模様42から抽出した「花子」の部分の特徴画像43とを重ね合わせて(ステップS304)、互いの画像の一致率(類似度)を計算する(ステップS305)。
【0129】
この計算の結果、一致率(類似度)が予めメモリ18に設定されている第2閾値Th3以上、第3閾値Th4未満である場合、爪模様認証ユニット16は、互いの画像を一致と判定する(ステップS306)。なお、第3閾値Th4は、経過時間に応じてその値が変化する(下がっていく)ものとしてもよい。
【0130】
これは、爪表面に付与(塗布、印字、傷付けなど)した特徴情報は、日常生活により磨耗などを起こすことを利用し、磨耗などの発生しない偽造物を検出することを目的としているためであり、爪模様認証ユニット16は、これ以外の場合に不一致と判定する。
【0131】
本例では、時間経過に伴う実模様51(特徴画像52)の磨耗状況や移動量を検出しているが、これ以外に片方のみを用いる、つまり特徴情報として爪24に傷を付けた場合であれば、例えば自然治癒の進行度を調べるなど、他の手段をとってもよい。
【0132】
また、例えばOCRやバーコードスキャナなどを用いて特徴画像52の内容を検証してもよい。また、爪模様F自体やその一部などを特徴画像52として扱ってもよく、これらを任意に組み合わせてもよい。
【0133】
認証情報データベース13の登録情報の更新を行う場合に、認証の度に爪24に新たな特徴情報を付与する必要はなく、既に付与されている状態の特徴情報で認証情報データベース13の登録情報を上書き更新し、継続して利用してもよい。
【0134】
また、登録情報の更新の際には、新たに追加する代わりに認証情報データベース13の中から被登録者と一致する既登録者を指定し、既登録者の登録情報を被登録者の情報に書き換えてもよい。
【0135】
既登録者の指定方法としては、例えばキー入力などによる指定や、被登録者を被認証者として指定することがあげられる。
【0136】
また、登録情報の更新を行う際には、被登録者乃至本システムの管理者などに対し更新確認を行うようにしてもよい。
【0137】
また、爪模様どうしの比較照合の結果、認証が成功した場合に、被認証者の情報によって一致と判定された認証情報データベース13の既登録者の登録情報を今回読み取った爪模様Fで更新する。
【0138】
この場合、撮像ユニット4による撮像、爪模様抽出ユニット14による爪模様抽出、特徴検出ユニット19による特徴情報の検出などは必ずしも行う必要はない。
【0139】
このようにこの第2実施形態の自動扉開閉システムによれば、ICカード3によるユーザ認証と、爪に不可視インクで描いた特殊情報(「花子」という文字)の変化予測とを併用することで、例えば数日から数週間程度といった短期間での更新に向く個人認証技術を提供することができる。また盗難に対して頑健な認証システムを構築することができる。
【0140】
なお、本願発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形してもよい。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の発明を構成できる。
【0141】
例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0142】
上記実施形態では、カードリーダ2を制御装置1に接続し、ICカード3に予め記憶されていたユーザIDとテンキーから入力された暗証番号とを第1個人情報として用いたが、これ以外に、例えば図10に示すように、指紋読取ユニット7を制御装置1に接続し、第1個人情報の認証を被認証者の指紋で行ってもよい。
【0143】
この場合、ハードウェアとしては、撮像ユニット4と指紋読取ユニット7とを組み合わせて、例えば図11に示すように、照明装置21、CCDカメラ22および指紋センサ26で構成し、指紋センサ26で指紋を読み取るのと指23の爪24を含む画像の撮像とを一度で済ませるようにする。
【0144】
本願の具体的な用途としては、例えば滞在型遊園地のパスポート、数日から数週間程度会社へ出入りする臨時社員への適用、交通機関の期間限定切符の発行、金庫の扉の開閉キーなどに有効である。
上記実施形態では、特徴情報が文字の場合について説明したが、文字と記号、文字とマークなどのように異なる情報を組み合わせてもよく、単なる図形でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】第1実施形態の自動扉開閉システムの構成を示す図である。
【図2】図1の自動扉開閉システムの撮像ユニットを示す図である。
【図3】図1の自動扉開閉システムの個人認証処理を示すフローチャートである。
【図4】図1の自動扉開閉システムの画像処理の様子を示す図である。
【図5】自動扉開閉システムにおいて、経時変化する爪の画像の認証処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態の自動扉開閉システムの構成を示す図である。
【図7】図6の自動扉開閉システムにおける生体情報の登録処理を示すフローチャートである。
【図8】図6の自動扉開閉システムの個人認証処理を示すフローチャートである。
【図9】図6の自動扉開閉システムの画像処理の様子を示す図である。
【図10】応用例の自動扉開閉システムの構成を示す図である。
【図11】応用例の自動扉開閉システムの撮像ユニットを示す図である。
【符号の説明】
【0146】
1…制御装置、2…カードリーダ、3…ICカード、4…撮像ユニット、5…扉開閉ユニット、5…扉開閉機構、6…報知ユニット、7…指紋読取ユニット、11…受付ユニット、12…ユーザ認証ユニット、13…認証情報データベース、14…爪模様抽出ユニット、15…爪模様予測ユニット、16…爪模様認証ユニット、17…爪模様登録ユニット、18…メモリ、19…特徴検出ユニット、21…照明装置、22…CCDカメラ、23…指、24…爪、25…指設置台、26…指紋センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の登録者個人を認証するための個人認証情報として、経時的な変化が伴わない第1個人情報、経時的な変化が伴う第2個人情報、前記第2個人情報の登録時刻が対応して登録されたデータベースと、
被認証者から入力された第1個人情報を受け付ける受付ユニットと、
前記受付ユニットにより受け付けられた前記第1個人情報と前記データベースに登録されている登録者の前記第1個人情報とを比較し、前記第1個人情報の一致により認証する第1認証ユニットと、
前記第1認証ユニットにより認証された場合、被認証者の爪表面を含む画像を撮像する撮像ユニットと、
前記撮像ユニットより撮像された前記爪表面を含む画像から前記爪模様の画像またはその画像を正規化したデータを抽出する爪模様抽出ユニットと、
前記第1認証ユニットにより認証された第1個人情報に対応する第2個人情報の登録時刻を前記データベースから読み出し、前記登録時から現時点までの経過時間に基づいて前記データベースに登録された登録者の爪模様の画像またはその正規化データを変化させる爪模様予測ユニットと、
前記爪模様予測ユニットにより変化された爪模様の画像またはその正規化データと前記爪模様抽出ユニットにより抽出された爪模様の画像またはその正規化データとを照合し互いの一致率によって前記被認証者を前記登録者本人として認証する第2認証ユニットと
を具備することを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】
前記第2認証ユニットにより前記被認証者が前記登録者本人として認証された場合、前記爪模様抽出ユニットにより抽出された爪模様の画像またはその正規化データと現在の時刻とを前記データベースの該当登録者の個人認証情報として上書き登録する生体情報更新ユニットを具備することを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項3】
前記爪模様が、爪自体の模様または登録時に爪に付与された特徴情報であることを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項4】
前記特徴情報が、赤外線カメラで撮像可能な不可視インクで前記爪に塗布された文字、記号、マークの中のいずれかを含むことを特徴とする請求項3記載の個人認証装置。
【請求項5】
前記第2認証ユニットにより認証された結果に従って、前記被認証者が次に行う作業を許可または拒否することを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項6】
既存の登録者個人を認証するための個人認証情報として、経時的な変化が伴わない第1個人情報、経時的な変化が伴う第2個人情報、前記第2個人情報の登録時刻を対応させてデータベースに登録するステップと、
被認証者から入力された第1個人情報を受付ユニットが受け付けるステップと、
前記受付ユニットにより受け付けられた前記第1個人情報と前記データベースに登録されている登録者の前記第1個人情報とを第1認証ユニットが比較し、前記第1個人情報の一致により認証するステップと、
前記認証された前記被認証者の爪表面を含む画像を撮像ユニットが撮像するステップと、
前記撮像ユニットより撮像された前記爪表面を含む画像から前記爪模様の画像またはその画像を正規化したデータを爪模様抽出ユニットが抽出するステップと、
前記第1認証ユニットにより認証された第1個人情報に対応する第2個人情報の登録時刻を前記データベースから読み出し、前記登録時から現時点までの経過時間に基づいて爪模様予測ユニットが前記データベースに登録された登録者の爪模様の画像またはその正規化データを変化させるステップと、
前記爪模様予測ユニットにより変化された爪模様の画像またはその正規化データと前記爪模様抽出ユニットにより抽出された爪模様の画像またはその正規化データとを第2認証ユニットが照合し互いの一致率によって前記被認証者を認証するステップと
を有することを特徴とする個人認証方法。
【請求項1】
既存の登録者個人を認証するための個人認証情報として、経時的な変化が伴わない第1個人情報、経時的な変化が伴う第2個人情報、前記第2個人情報の登録時刻が対応して登録されたデータベースと、
被認証者から入力された第1個人情報を受け付ける受付ユニットと、
前記受付ユニットにより受け付けられた前記第1個人情報と前記データベースに登録されている登録者の前記第1個人情報とを比較し、前記第1個人情報の一致により認証する第1認証ユニットと、
前記第1認証ユニットにより認証された場合、被認証者の爪表面を含む画像を撮像する撮像ユニットと、
前記撮像ユニットより撮像された前記爪表面を含む画像から前記爪模様の画像またはその画像を正規化したデータを抽出する爪模様抽出ユニットと、
前記第1認証ユニットにより認証された第1個人情報に対応する第2個人情報の登録時刻を前記データベースから読み出し、前記登録時から現時点までの経過時間に基づいて前記データベースに登録された登録者の爪模様の画像またはその正規化データを変化させる爪模様予測ユニットと、
前記爪模様予測ユニットにより変化された爪模様の画像またはその正規化データと前記爪模様抽出ユニットにより抽出された爪模様の画像またはその正規化データとを照合し互いの一致率によって前記被認証者を前記登録者本人として認証する第2認証ユニットと
を具備することを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】
前記第2認証ユニットにより前記被認証者が前記登録者本人として認証された場合、前記爪模様抽出ユニットにより抽出された爪模様の画像またはその正規化データと現在の時刻とを前記データベースの該当登録者の個人認証情報として上書き登録する生体情報更新ユニットを具備することを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項3】
前記爪模様が、爪自体の模様または登録時に爪に付与された特徴情報であることを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項4】
前記特徴情報が、赤外線カメラで撮像可能な不可視インクで前記爪に塗布された文字、記号、マークの中のいずれかを含むことを特徴とする請求項3記載の個人認証装置。
【請求項5】
前記第2認証ユニットにより認証された結果に従って、前記被認証者が次に行う作業を許可または拒否することを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項6】
既存の登録者個人を認証するための個人認証情報として、経時的な変化が伴わない第1個人情報、経時的な変化が伴う第2個人情報、前記第2個人情報の登録時刻を対応させてデータベースに登録するステップと、
被認証者から入力された第1個人情報を受付ユニットが受け付けるステップと、
前記受付ユニットにより受け付けられた前記第1個人情報と前記データベースに登録されている登録者の前記第1個人情報とを第1認証ユニットが比較し、前記第1個人情報の一致により認証するステップと、
前記認証された前記被認証者の爪表面を含む画像を撮像ユニットが撮像するステップと、
前記撮像ユニットより撮像された前記爪表面を含む画像から前記爪模様の画像またはその画像を正規化したデータを爪模様抽出ユニットが抽出するステップと、
前記第1認証ユニットにより認証された第1個人情報に対応する第2個人情報の登録時刻を前記データベースから読み出し、前記登録時から現時点までの経過時間に基づいて爪模様予測ユニットが前記データベースに登録された登録者の爪模様の画像またはその正規化データを変化させるステップと、
前記爪模様予測ユニットにより変化された爪模様の画像またはその正規化データと前記爪模様抽出ユニットにより抽出された爪模様の画像またはその正規化データとを第2認証ユニットが照合し互いの一致率によって前記被認証者を認証するステップと
を有することを特徴とする個人認証方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−37463(P2009−37463A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201893(P2007−201893)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
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