説明

光トランシーバ

共通な光軸に沿って入射光ビームを検出し、出射光ビームを送信する光トランシーバを提供する。かかる光トランシーバは、多種多様な用途に適したコンパクトな光トランシーバを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電デバイスの分野に関し、更に特定すれば、光トランシーバおよび遠隔光センサに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2002年6月4日に出願し、「光トランシーバ」と題する、同時係属中の米国特許出願第10/163,057号の一部係属出願であり、その内容はここで引用したことにより本願にも含まれるものとする。
【0003】
多くの用途において、センサのような遠隔デバイスに電力を送出するため、さらにそこから信号を取り込むために電線が用いられている。例えば、航空機の用途では、フラップ位置センサ、温度センサ、圧力センサ等というように、遠隔配置されたセンサに電力を送出し、そこから信号を取り込むために電線が一般的に用いられている。工業的用途では、位置、圧力、温度およびその他のセンサというような、遠隔配置された多種多様なセンサに電力を送出し、それらからの信号を取り込むために、電線が一般的に用いられている。医療用途では、センサおよび/またはその他のデバイスに電力を送出し、それらからの信号を取り込むために電線が用いられている。場合によっては、センサまたはその他の電気デバイスは、カテーテル内に配され、身体内に挿入されることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの用途およびその他の用途の各々では、電線の使用が難題を招くことがあり得る。例えば、用途によっては、雷のために長い電線の敷設が危険であったり、少なくとも信頼性が低下したりする。他の環境的電気ノイズも、かかるシステムの信頼性を損なわせたり、低下させたりする可能性がある。加えて、長い電線を張ると、かなりの容量、インダクタンス、および抵抗が発生する可能性があり、用途によっては、センサ信号を歪ませる可能性、および/またはセンサ信号を取り込む速度を低下させる可能性がある。カテーテルの使用というような医療用途では、身体内に挿入されているカテーテルを介して電線を張ることは、特に、カテーテルを患者の心臓または脳の近くに挿入するときには、望ましくない場合が多い。電線を通過する電流は、場合によっては、患者に対して脅威を与える虞れがある。加えて、特定の医療処置の間は、強い電磁場またはその他の厳しい環境条件に電線が晒される可能性があり、このため電線の使用が危険であったり、少なくとも信頼性が低下する虞れがあったりする。
【0005】
これらの難題の一部を解決するための1つの手法は、遠隔配置されたセンサに給電するために、遠隔配置されたバッテリを用いることである。しかしながら、バッテリの使用には多数の欠点がある。例えば、バッテリは高価であることが多く、限られた時間しかもたない。バッテリが適切であっても、センサの出力信号をセンサから取り込まなければならず、多くの場合、なおも電線の使用が必要となる可能性がある。
【0006】
電線によって生ずる前述の難題の一部を解決するための別の手法は、光ファイバを用いて、遠隔センサまたはその他のデバイスにパワーを送出すること、および/またはそこから信号を取り込むことである。第1光ファイバを用いて、遠隔センサに光パワーを送出することができる。光パワーは、遠隔配置されたフォトダイオード等によって電力に変換され得る。次いで、この電力を用いて、レーザまたは発光ダイオード等に給電することができ、センサ出力信号を表す光信号を、第2光ファイバを通じて返送する。この手法には、電磁干渉に対する耐性が高まることを含む、いくつかの利点がある。しかしながら、多くの場合、2本の別個の光ファイバを用いなければならない。1本は遠隔センサにパワーを供給するためであり、別の1本は遠隔センサからセンサ出力信号を取り込むためである。場合によっては単一のファイバを用いることができるが、光パワー信号を受信するために用いられる発光ダイオード、およびセンサ出力信号を供給するために用いられるレーザまたは発光ダイオードは、横方向に互いにずらされている場合が多いので(即ち、共通の光軸に沿っていない)、複雑な光スプリッタ/コンバイナも用いなければならない。かかる光スプリッタ/コンバイナは高価であり、大型であり、かつ多くの場合適正な光整合位置に維持することが難しい可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、共通の光軸に沿って、入射光ビームを検出し、出射光ビームを送信することができる光トランシーバを提供することによって、従来技術の欠点の多くを克服する。これによって、例えば、単一の光軸に沿って、1つ以上の光信号を光トランシーバに送出し、1つ以上の戻り信号をこの光トランシーバから供給することが可能となる。また、これは、更にコンパクトな光トランシーバも設けることができ、デバイスの密度や歩留まりを高めるのに供することができる。実施形態によっては、光トランシーバが光検出器および光放出体を含むものもあり、この場合、光検出器が入射光ビームを検出し、電力をその光放出体に供給する。これによって、例えば、光トランシーバ内のバッテリのような別個の電源を不要とすることができる。
【0008】
例示の一つの実施形態では、光電デバイスは、第1波長および/または波長範囲を有する入射光ビームを受信し、その光の第1波長および/または波長範囲の少なくとも一部を吸収することによって入射光ビームを検出する光検出器を含む。光送信器は、好ましくは、光検出器と同じ光ビーム軸に沿って配置された光送信器も含む。好ましくは、光送信器は、第2波長および/または波長範囲を有することができる出射光ビームを送信する。第1波長および/または波長範囲は、好ましくは、第2波長および/または波長範囲とは異なる。実施形態によっては、光検出器および光送信器を共通基板上に形成するものもあるが、これは全ての実施形態において求められる訳ではない。
【0009】
例示の一つの実施形態では、光検出器は、光送信器の上に位置する。使用中、第1波長および/または波長範囲を有する入射光ビームは、少なくとも部分的に光検出器によって吸収される。光送信器は、光検出器を介して、出射光ビームを送信することができ、出射光ビームは、第2波長および/または波長範囲を含む。この例示の実施形態では、光検出器は、好ましくは、第2波長および/または波長範囲の光の少なくとも一部を通過させ、出射光ビームに光検出器を通過させる。これは、多数の方法のいずれの方法によっても遂行することができ、例えば、第1波長および/または波長範囲の光を吸収し、第2波長および/または波長範囲の光を通過させる材料および/または材料系で光検出器を形成することを含む。例示の実施形態では、入射光ビームおよび出射光ビームの双方は、光トランシーバの共通面を通過する。
【0010】
別の例示の実施形態では、光送信器は、光検出器から遠ざかる方向に光を送信することができる。即ち、入射光ビームおよび出射光ビームは、光トランシーバの共通面を通過しなくてもよい。そのように設ける場合、光検出器を、前述のように、第2波長および/または波長範囲を通過させる材料および/または材料系で形成する必要をなくすことができる。これによって、光トランシーバの設計自由度を高めることができる。
【0011】
更に別の例示の実施形態では、光送信器を光検出器の上に配置しなくてもよい。この場合は、入射光ビームおよび出射光ビームは、光トランシーバの共通面を通過することができる。この実施形態では、光送信器は、第1波長および/または波長範囲の入射光ビームの少なくとも一部を光検出器に通過させる材料および/または材料系から形成され得る。光検出器は、第2波長および/または波長範囲の出射光ビームを通過させる材料および/または材料系で形成される必要はない。むしろ、光送信器は、単に、出射光信号を光検出器から遠ざかる方向に送信すればよい。
【0012】
実施形態によっては、光検出器が1つ以上のフォトダイオードを含み、これらを用いて、入射光ビームの少なくとも一部を電力に変換できるものもある。次いで、この電力を、直接または間接的に、光送信器および/またはその他の制御ロジックまたはセンサに給電するために用いることができる。例示の一つの実施形態では、光検出器は、多数のフォトダイオードを含み、直列に接続されている。フォトダイオードを直列に接続することによって、各フォトダイオードの光誘発電圧を合計することができ、その結果更に高い光誘発電圧が得られる。これは、光検出器および/またはその他の制御ロジックが、単一のフォトダイオードにより生成可能な光誘発電圧よりも大きな、ある最小電圧を必要とする場合に望ましいと言える。実施形態によっては、直列接続されたフォトダイオードを光送信器とも直列に接続するものもある。
【0013】
トランジスタを、直列接続されたフォトダイオードおよび/または光送信器と直列に接続することができる。トランジスタは、ドレインおよび/または2つ以上の光ダイオードおよび/または光送信器と直列に接続されたソースを有することができる。そのFETのゲートを、センサ信号またはその他の制御回路によって、直接または間接的に制御することができる。そのFETデバイスにより、光送信器に供給される電流および/または電圧を制御することができる。
【0014】
本発明の光トランシーバは遠隔位置に配置されてもよいと考えられる。ローカル光送信器およびローカル光検出器を用いて、遠隔光トランシーバと通信することができる。好ましくは、ローカル光送信器およびローカル光検出器は電源を有する。遠隔光トランシーバも電源を有するとよいが、実施形態によっては、これは不要である。ローカル光源は、好ましくは、入射光信号を遠隔光トランシーバの光検出器に供給し、ローカル光検出器は、好ましくは、遠隔光送信器が供給した出射光信号を検出する。ローカル光送信器およびローカル光検出器は、自由空間、1本以上の光ファイバ、またはその他の任意の光伝送媒体のような、光伝送媒体を通じて、遠隔光トランシーバと通信することができる。
【0015】
実施形態によっては、ローカル光送信器が光パワー信号を遠隔光検出器に供給できるものもある。遠隔光検出器は、ローカル光送信器が供給した光パワー信号の少なくとも一部を吸収し、光パワー信号を電力信号に変換することができる。電力信号からの電力の少なくとも一部を、遠隔光送信器を駆動するために用いることができる。この実施形態では、遠隔光トランシーバは、遠隔配置された電源を有する必要はない。
【0016】
遠隔光トランシーバは、制御装置も含むことができ、更に実施形態によっては、1つ以上のセンサ等も含むものもある。制御装置および/センサに対しても、遠隔光検出器が供給する電力信号によって給電することができる。制御装置は、1つ以上の信号をローカル光検出器に返信するために、選択的に遠隔光送信器を活性化することができる。
【0017】
用途によっては、制御信号またはその他の信号を遠隔トランシーバに供給することが望ましいものもあり得る。一つの実施形態では、ローカル送信器は、光パワー信号、および1つ以上の制御信号またはその他の信号を遠隔光トランシーバに供給することができる。1つ以上の制御信号またはその他の信号は、例えば、光パワー信号の上で変調されてもよければ、あるいは多少異なる波長で供給されてもよい。いずれの場合であっても、遠隔光検出器は、光パワー信号および1つ以上の制御信号またはその他の信号を、必要に応じて検出することができる。
【0018】
用途によっては、遠隔光トランシーバはそれ自体の電源を有するとよい場合もある。その際、遠隔光トランシーバは、ローカル・トランシーバから1つ以上の信号を受信することができ、1つ以上の信号をローカル検出器に返信することができる。この実施形態では、遠隔光トランシーバを一層効率的に設けることができる。何故なら、遠隔光トランシーバの光検出器および光送信器が共通の光軸に沿って位置するからである。
【0019】
先に注記したように、本発明の実施形態の一部は、1つ以上の環境特性を検知するための遠隔センサを含む。しかしながら、別個の遠隔センサを設ける代わりに、光放出体自体がセンサとして機能すればよいこと、または検知機能を提供するのに役立つことも考えられる。例えば、例示の一つの実施形態では、光放出体の選択された性能パラメータは、1つ以上の環境特性と共に変動し得る。光放出体の放出出力を監視することによって、1つ以上の環境特性の大きさ(measure) を判定することができる。
【0020】
別の実施形態では、遠隔光放出体とローカル光検出器との間にフィルタを設けることもできる。フィルタ特性は、1つ以上の環境特性と共に変動し得る。従って、光放出体の放出出力をフィルタを介して監視することによって、1つ以上の環境特性の大きさを判定することができる。実施形態によっては、フィルタを光ファイバとするとよい場合もある。
【0021】
検知機能を提供するのに役立つ場合、光放出体は、例えば、戻り光信号、およびセンサ光信号を放出するとよい。センサ光信号を、1つ以上の環境特性を検知するために用いることができ、一方、戻り光信号は、1つ以上の環境特性の大きさをローカル検出器に中継することができる。例示の一つの実施形態では、センサ光信号は、光放出体から所定の距離だけ離間した反射面に方向付けられる。光放出体と反射面との間の分離距離は、圧力のような、1つ以上の環境特性に依存するようになっている。また、分離距離は、反射光ビームの位相にも影響を及ぼす。動作の間、反射光ビームは、反射して光放出体に戻り、信号のレベル、または戻り光信号におけるノイズのレベルのような、戻り光信号の1つ以上の特性に作用する。戻り光信号を監視することによって、1つ以上の環境特性の大きさを判定することができる。吸収および/または蛍光も、光放出体内およびその周囲における1つ以上の環境特性の大きさを与えるために用いることができる。
【0022】
実施形態によっては、光検出器および光送信器を第1基板上に配置するとよく、制御装置を第2基板上に配置するとよいものもある。第1基板の光検出器および/または光送信器は、1つ以上のパッドを含めばよく、第2基板の制御装置も1つ以上のパッドを含めばよい。第1基板および第2基板は、実質的に互いに平行に配置すればよく、第1基板の光検出器および/または光送信器の選択されたパッドを、第2基板の制御装置の選択されたパッドに電気的に接続することができる。これは、例えば、フリップ・チップはんだ接合、ワイヤ・ボンディング、および/またはその他の任意の適切な技法によって遂行され得る。
【0023】
実施形態によっては、制御装置を含む第2基板を、入射光ビームおよび/または出射光ビームが第2基板を必然的に通過するように配置するとよいものもある。これらの実施形態では、第2基板は、少なくとも光ビーム軸周囲の領域において、入射光ビームおよび/または出射光ビームに対して透過的または実質的に透過的な材料で形成されればよい。実施形態によっては、第2基板はシリコン・オン・サファイア基板を含み、制御装置は、シリコン・オン・サファイア基板のシリコン層内に形成されている制御回路を含む。場合によっては、入射光ビームおよび/または出射光ビームは、制御回路の少なくとも一部を通過すればよい。他の場合では、制御回路が、入射光ビームおよび/または出射光ビームが制御回路を通過しないように配置されているものもある。シリコン層は、光ビーム軸に対応する領域から除去または実質的に除去され得るが、これは全ての実施形態において必要という訳ではない。
【0024】
実施形態によっては、第2基板が、1つ以上の屈折または回折光学素子のような1つ以上の光学素子を含むとよいものもある。1つ以上の光学素子は、入射および出射光信号と光検出器および/または光送信器との間の光結合を容易にするのに役立つことができる。
【0025】
1つ以上のセンサを第1基板および/または第2基板、あるいは第1および/第2基板とは別個に設けるとよいことも考えられる。1つ以上のセンサは、制御装置と(例えば、電気的および/または光学的に)通信することができる。制御装置は、1つ以上のセンサから1つ以上の信号を受信し、光送信器に、必要に応じて、適切な信号を送信するように指令することができる。
【0026】
実施形態によっては、光検出器、光送信器、および制御回路を、共通基板上に一体に形成するとよいものもある。1つ以上のセンサを、共通基板上に設けても、あるいは必要に応じて別個に設けてもよい。実施形態によっては、制御回路を基板と光検出器および光送信器との間に配置したものもある。他の実施形態では、光検出器および光送信器は、基板と制御回路との間に配置されている。1つ以上のセンサを共通基板上に一体に形成する場合、上位の介在層があれば、これらを貫通するようにチャネルまたは孔を設けて、1つ以上のセンサを、検知する環境に晒すようにするとよい。これは、特に、センサが圧力センサ、PHセンサ、湿度センサ、化学または生物センサ、あるいは環境への直接的な接触が望ましいその他の任意のセンサの場合に、特に有効となり得る。
【0027】
本発明のその他の目的、および本発明の付随する利点の多くは、以下の詳細な説明を参照し、添付図面に関連付けて検討することによって、これらが一層理解できるようになるに連れて、容易に認められるようになろう。図面においては、同一の参照番号は、図面全体を通じて、同一の部分を示すこととする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、本発明による通信システムの一例の模式図である。この通信システムの一例は、例えば、航空機用途、自動車用途、工業用途、電気通信用途、医療用途、更にそれ以外にも多くの用途を含む、多種多様な用途において用いられ、多大な利点をもたらすことができる。
【0029】
図示のシステムは、全体として10で示されており、ローカル・トランシーバ12および遠隔トランシーバ14を含む。遠隔トランシーバは、遠隔光送信器22および遠隔光検出器24を含む。以下で更に詳細に説明するが、遠隔光送信器22および遠隔光検出器24は、好ましくは、遠隔光検出器24が入射光ビーム26を検出することができ、遠隔光送信器は共通の光軸に沿って出射光ビーム28を送信できるように構成されている。この構成により、光トランシーバ14のコンパクト化が容易になる。また、この構成により、単一の光ファイバに沿って、光トランシーバ14に1つ以上の光信号を送出し、光トランシーバ14から1つ以上の戻り信号を供給することができ、複雑な光スプリッタ/コンバイナやその他の光誘導機構を必要としない。
【0030】
ローカル・トランシーバ12は、好ましくは、ローカル光送信器およびローカル光検出器20含む。これらは双方共18で示されている。実施形態によっては、共通の光軸に沿って、ローカル光検出器が入射光ビームを検出することができ、ローカル光送信器が出射光ビームを送信することができるようにローカル光送信器およびローカル光検出器が構成されたものもあるが、これは必須ではない。図示の実施形態では、ローカル光トランシーバ12は、ローカル電源20を含み、一方遠隔光トランシーバ14は電源を含まない。実施形態よっては、遠隔光トランシーバ14も、電源15のような電源を有する場合もある。
【0031】
ローカル光源18は、好ましくは、入射光ビーム26を遠隔光検出器24に供給し、ローカル光検出器は、好ましくは、遠隔光送信器22が供給する出射光信号28を検出する。ローカル光送信器は、好ましくは、第1波長および/または波長範囲で送信し、遠隔光検出器24は、好ましくは、第1波長および/または波長範囲を検出する。一方、遠隔光送信器22は、好ましくは、第2波長および/または波長範囲で送信し、ローカル光検出器は、好ましくは、第2波長および/または波長範囲を検出する。ローカル光トランシーバは、自由空間、1本以上の光ファイバ、またはその他のいずれかの光伝送媒体のような光伝送媒体16を通じて、遠隔光トランシーバ14と通信することができる。
【0032】
実施形態によっては、ローカル光送信器が光パワー信号26を遠隔光検出器24に供給するものもある。遠隔光検出器24は、ローカル光送信器18が供給した光パワー信号26の少なくとも一部を吸収し、光パワー信号26を電力信号に変換することができる。その電力信号からの電力の少なくとも一部は、遠隔光送信器22を駆動するために用いることができる。この実施形態では、遠隔光トランシーバ14は、独立した電源を必要としなくてもよい。
【0033】
実施形態によっては、遠隔光トランシーバ14が制御装置30および/または1つ以上のセンサ等を含むものがあってもよい。実施形態によっては、制御装置30が遠隔光検出器24によって供給される電力信号による給電を受けられるものもある。制御装置30を、例えば、遠隔光送信器22を選択的に活性化し、1つ以上の信号28をローカル光検出器18に返送するために用いることができる。
【0034】
実施形態によっては、制御信号またはその他の信号を遠隔トランシーバ14に供給することが望ましい場合もある。一つの実施形態では、ローカル送信器18は、光パワー信号、および1つ以上の制御信号またはその他の信号(これらをまとめて26で表す)を遠隔光トランシーバ14に供給することもできる。1つ以上の制御信号またはその他の信号は、例えば、光パワー信号上で変調されてもよいし、あるいは必要に応じて異なる波長で供給されてもよい。いずれの場合であっても、遠隔光検出器24は、光パワー信号および、必要に応じて、1つ以上の制御信号またはその他の信号の双方を検出することができる。制御装置30は、ローカル光送信器によって供給される制御信号またはその他の信号をデコードする際、あるいは受信する際に補助することができる。ローカル制御装置32も、遠隔光送信器22によって供給される信号をデコードする際、あるいは受信する際に補助することができる。
【0035】
用途によっては、遠隔光トランシーバ14がそれ自体の電源15を有する場合もある。これらの実施形態では、ローカル光送信器18は、光パワー信号を遠隔光トランシーバ14に供給しなくてもよい。しかしながら、遠隔光トランシーバ14はなおもローカル送信器18から1つ以上の信号26を受信することができ、1つ以上の信号28を逆にローカル検出器18に供給することができる。この実施形態は、従来の光トランシーバよりも効率的である。何故なら、遠隔光検出器24および遠隔光送信器22は、共通の光軸に沿って配置され得るからである。
【0036】
図1に示した光通信システムの一例は、多種多様の用途において用いられ多大な利点をもたらす。例えば、航空機用途および工業用途では、光通信システムは、長い電線の敷設の必要性を削減または解消するのを促進し、これによって信頼性や速度を高め、通信システム全体を軽量化するのを促進することができる。
【0037】
医療用途では、かかる光通信システムは、カテーテルのような選択医療デバイスを介して電線を引く必要性を削減または解消するのを促進することができ、遠隔電源の必要性を削減または排除するのを促進することができる。これによって、通信システムの小型化を促進することができ、電線の敷設や遠隔電源に伴う潜在的な危険性を低減することができる。
【0038】
具体的にカテーテルに関しては、光ファイバはルーメンを通じてカテーテル内に挿入することができる。ルーメンは、例えば、カテーテル軸の近端から、近端から離れた地点まで達することができる。別の実施形態では、必要に応じて、ルーメンは、カテーテル軸の近端からは離れた位置から引くことができる。光ファイバは、カテーテル軸の近端から、場合によってはカテーテル軸のルーメンを通じて、カテーテル軸の近端から離れた位置まで達することが好ましい。別の場合には、必要に応じて、光ファイバは、カテーテル軸の壁またはその他の部分において作成される、あるいはここから作成される光誘導部とすることができる。
【0039】
ローカル・トランシーバ12は、光ファイバの近端に隣接して(体外に)配置することが好ましく、遠隔トランシーバ14は、光ファイバの遠端に隣接して(体内に)配置することが好ましい。パワーは、前述のように、光パワー信号を通じて遠隔トランシーバ14に供給され得る。1つ以上のセンサを遠隔トランシーバ14に接続することができ、遠隔トランシーバ14は、1つ以上のセンサ信号を供給することができる。次に、1つ以上のセンサ信号を、遠隔光送信器22を介して、ローカル光トランシーバ12に返送することができる。制御装置30は、1つ以上のセンサ出力信号を受信し、それに応じて遠隔光送信器22を制御することによって、この動作を補助することができる。1つ以上のセンサは、例えば、RFコイル、化学センサ、温度センサ、圧力センサ、または所望の用途に相応しいその他のいずれかのセンサを含む、あらゆる種類のセンサとすることができる。
【0040】
図2は、本発明による光トランシーバの一例の側断面図である。図示の光トランシーバは、全体として40で示されており、光送信器44の上に位置する光検出器42を含み、双方とも共通光軸46に沿って位置合わせされている。光検出器42は、好ましくは、第1波長および/または波長範囲の光を吸収し、一方、第2波長および/または波長範囲の光を通過させる。光送信器44は、好ましくは、第2波長および/または波長範囲の光を送信し、その光は光検出器42を通過して、光トランシーバ50の上面に抜ける。図示の実施形態では、入射光ビームおよび出射光ビーム双方共、光トランシーバ40の上面側を通過する。
【0041】
多数の半導体材料のうちの任意の材料により製造された、任意の適切な光送信器44を使用してもよいが、図2に示す光送信器44は、平面電流誘導GaAs/AlGaAs上面放出垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)である。図示のVCSEL44は、n−ドープ・ガリウム砒素(GaAs)基板48上に形成されている。基板48の底面にはn−コンタクト層50が設けられている。n−型ミラー・スタック52が基板48上に形成されている。n−型ミラー・スタック52は、好ましくは、分布ブラッグ反射器(DBR:Distributed Bragg Reflector)であり、ドープしたAlGaAsのアルミニウムの留分が高いものと低いものを交互に配した周期的な層を含む。
【0042】
n−型ミラー・スタック52の上に、活性領域54が示されている。活性領域54は、好ましくは、多数の量子井戸を有するが、必要に応じて、適切な活性領域であれば任意のものであってもよい。また、活性領域54は、下位閉じ込め層と上位閉じ込め層とを含むことができる、p−型ミラー・スタック60が、活性領域54の上に設けられ、VCSEL構造が完成する。p−型ミラー・スタック60は、好ましくは、分布ブラッグ反射器(DBR)であり、ドープしたAlGaAsのアルミニウムの留分が高いものと低いものを交互に配した周期的な層を含む。n−型ミラー・スタック52、活性領域54、およびp−型ミラー・スタック60は、好ましくは、前述の第2波長および/または波長範囲を有する出射光ビームを生成するように構成されている。
【0043】
光検出器42が、VCSEL44の上に設けられている。図示の光検出器42は、3つの直列接続されたフォトダイオードを含み、これらはVCSEL44とも直列に接続されている。図示のように、上位のミラー60の上に、高濃度p−ドープ・バッファ層64を配してもよい。
【0044】
第1フォトダイオードを形成するために、高濃度p−ドープ・バッファ層64の上に、p−ドープ層66を配し、次いでn−ドープ層68を配する。p−ドープ層66およびn−ドープ層68は、双方共AlGaAsとすることができる。Alの留分を調節して、層のバンドギャップを操作し、所望の吸収カットオフ波長を得ることが好ましい。図示の実施形態では、そのカットオフ波長は、VCSEL44の発光波長未満である。
【0045】
逆バイアス・トンネル接合部70を、第1フォトダイオード上に配する。トンネル接合部70は、高濃度であるが逆にドープした2つの隣接する層を含み、急峻な接合部を形成して狭い空乏層を生成し、比較的低い逆バイアス電流であっても十分なトンネリング電流を可能にしている。図示の実施形態では、トンネル接合部70の最下層はn−型であり、最上層はp−型である。n−型の最下層は、第1フォトダイオードのn−ドープ層68と良好な電気的接触を行い、p−型最上層は、第2フォトダイオードのp−ドープ層72と良好な電気的接触を行う。
【0046】
一旦トンネル接合部70が形成されると、p−ドープ層72が配され、次いでn−ドープ層74が配されて、第2フォトダイオードを形成する。トンネル接合部70は、第1フォトダイオードと第2フォトダイオードとの間に直列接続を形成する。第1フォトダイオードと同様に、p−ドープ層72およびn−ドープ層74の双方は、AlGaAsとすることができる。Alの留分を調節して、層のバンドギャップを操作し、第1フォトダイオードと同じカットオフ波長を得ることが好ましいが、これは全ての実施形態において必須ではない。次いで、更に別のトンネル接合部76を形成し、次いでp−ドープ層78およびn−ドープ層80を形成して、第3フォトダイオードを形成する。
【0047】
使用中では、第1波長および/または波長範囲を有する入射光ビーム84が、光トランシーバ40の上面に供給される。第1、第2、および第3フォトダイオードの各々を操作して、入射光ビーム84の第1波長および/または波長範囲の少なくとも一部を吸収するようにすることが好ましい。VCSELのp−型ミラー・スタック60は、第1波長および/または波長範囲について少なくとも部分反射性を有することが好ましい。従って、第1、第2、および第3フォトダイオードによって吸収されない光の少なくとも一部は反射され、86に示すようにフォトダイオードを介して戻っていく。第1、第2、および第3フォトダイオードの厚さを調節して、各フォトダイオードが入射光ビーム84および86からほぼ同じエネルギーを吸収するようにすることが好ましい。一つの実施形態では、第1、第2、および第3フォトダイオードの厚さは、808ミクロンの吸収波長に対して、それぞれ、約0.30、0.27、および0.23ミクロンである。上位コンタクト層82を配して、第3フォトダイオードのn−型層に対する電気接続を形成する。構造40の上に1つ以上の1/4波長酸化物または窒化物層(図示せず)を配して、反射を減らし、光トランシーバ40を保護するのに役立てることができる。
【0048】
例示の一つの実施形態では、VCSEL44の電流アパーチャを規定し易くするために、1つ以上のトレンチ96a〜96dをエッチングし、第1、第2、および第3フォトダイオードを貫通させて、実施形態によっては、それらのトレンチをVCSEL44の上位ミラー内まで到達させてもよい。これは、反応性イオン・エッチング(RIE:Reactive Ion Etch )によって行うことができるが、適切なパターニング方法であればいかなるものであっても用いることができる。選択的な横方向酸化を容易にするために、VCSEL44の上位DBRミラーの1つ以上の周期的な層には、他の周期的な層に対して、高いAl濃度を与える。このような1つの層90を図2に示す。1つ以上のトレンチ96a〜96dを通じて酸化環境に晒された場合、層90が横方向に選択的に酸化され、VCSEL44の電流アパーチャ92が形成される。横方向酸化の範囲は、層90の酸化環境への露出時間を制御することによって制御することができる。見てわかるように、露出時間は、所望の電流アパーチャ92が残留するように制御することが好ましい。一つの実施形態では、VCSEL44の電流アパーチャ92は、約5から10ミクロンの直径を有する。
【0049】
図示の実施形態では、第1、第2、および第3フォトダイオードの横方向寸法は、VCSEL44の光キャビティ92の横方向寸法よりも大きい。図示の実施形態では、第1、第2、および第3フォトダイオードの横方向寸法は、100から200ミクロン程度とすればよく、一方VCSEL44の光キャビティの横方向寸法は、5から10ミクロン程度とすればよい。例えば、100ミクロンの直径を有する光ファイバを光トランシーバ40の上に配置すると、第1、第2、および第3フォトダイオードの横方向寸法は、レンズまたはその他の光集中素子を必要とせずに、入射光ビームの多くを吸収するには十分な広さとなる。更に、光ファイバの第1、第2、および第3フォトダイオードに対する位置合わせは、難しくもなければ、重要でもない。同様に、VCSEL44の光キャビティ92は、光ファイバの直径に対して比較的小さいので、VCSEL44が生成する出射光ビーム93の多くは、レンズやその他の光集中素子を必要とせずに、光ファイバによって捕獲される。つまり、効率的かつ費用効果的な光トランシーバ40を提供することができる。
【0050】
実施形態によっては、トレンチ96a〜96dの深さが約1から2ミクロンに過ぎない場合もある。次いで、構造40上に金属層を堆積して、トレンチ96aおよび96dのようなトレンチの少なくとも一部を充填し、VCSEL44の上位ミラー60に対する電気的接続を形成する。金属層が光検出器42の種々の中間層と電気的に接触するのを防止するために、金属層を充填したトレンチを最初に、95aおよび95bに示すように、誘電体層でライニングするとよい。以下で更に説明するが、これらの電気接続は、直列接続した第1、第2、および第3フォトダイオードによって生成される電位全てを他のデバイスまたは構造に供給することが望ましい場合に有用となり得る。
【0051】
図3は、図2の光トランシーバの一例の上面図である。図3は、トレンチ96a〜96dを含む光検出器42の上面、およびVCSEL44の層90の横方向酸化の横方向の広がりを示す。また、光検出器42の上面に電気接続を形成するために用いた金属コンタクトも示す。
【0052】
図示の光検出器42の外側境界は、96aおよび96dで纏めて示す、外側トレンチによって規定されている。外側トレンチは、光検出器42を、同じ基板上に形成されている他の光検出器またはデバイスから電気的に絶縁するのに役立つ。また、外側トレンチは、検出器の総容量を低く抑えるのにも役立つ。図示の外側トレンチの形状は円形であるが、他の形状も使用可能である。96bおよび96cで纏めて示す内側トレンチの形状も円形であり、外側トレンチから内側に向かって離間されている。内側トレンチには、必要に応じて、酸化物またはその他の誘電体を充填してもよい。
【0053】
図3に図示の実施形態では、内側トレンチ96bおよび96cは、ブリッジ110a〜110dのように、1つ以上のブリッジを含む。ブリッジ110a〜110dは、内側トレンチの内側に位置する光検出器の部分と、内側トレンチと外側トレンチとの間に位置する光検出器の部分との間に電気接続を設ける。このように設けられると、金属コンタクト104は、内側トレンチと外側トレンチとの間に位置する光検出器の部分のみに広がって、これと電気接続を形成することができる。ブリッジ110a〜110dが設けられない場合は、必要に応じて、内側トレンチを横切って金属トレースを配することにより、内側トレンチの内側に位置する光検出器の部分への電気接続を形成することができる。見てわかるように、光検出器42は、VCSEL44の光キャビティ92よりも比較的大きな面積を覆うことができる。
【0054】
外側トレンチおよび内側トレンチを酸化環境に晒すと、VCSEL44の層90(図2参照)が横方向に選択的に酸化され、電流または光アパーチャ92を形成する。横方向酸化の範囲を破線102および108で示す。図示の実施形態では、VCSEL44の層90は、外側トレンチから破線102まで外方に酸化され、外側トレンチから内側トレンチに向かって内方に酸化されている。同様に、VCSEL44の層90は、内側トレンチから外側トレンチに向かって外方に酸化され、内側トレンチから破線108に向かって内方に酸化されている。破線108は、VCSEL44の電流アパーチャ92の輪郭を示す。一つの実施形態では、電流アパーチャ92は、約5から10ミクロンの直径を有し、低パワーVCSEL送信器となる。
【0055】
実施形態によっては、内側および外側トレンチに酸化物またはその他の絶縁材料を充填するものもある。他の実施形態では、内側および/または外側トレンチのように、いくつかのトレンチのうちの少なくとも一部の中に、金属層(図3には示されていない)を堆積し、VCSEL44の上位ミラー60に対する電気接続を形成することもできる。金属層を配する場合、最初に誘電体層を配すれば、金属層が光検出器42の種々の中間層と電気的に接触するのを防止することができる。以下で更に説明するが、この電気接続は、第1、第2、および第3フォトダイオードの直列接続によって発生する電位全体を、他のデバイスまたは構造に使用可能にすることが望ましいときには有用となり得る。同様に、実施形態によっては、3つの電気コンタクト全てが、上面上で別個に利用可能となるように、適切なトレンチおよび金属コンタクトを配することができ、例えば、不透明または透明基板のいずれかに対するフリップ・チップ接合を可能にする。
【0056】
図4は、光トランシーバの上面において3つの電気コンタクト全てを使用可能とするのに適切なトレンチおよび金属パッドの一例を含む、光トランシーバの一例の側断面図である。図示の光トランシーバは、全体として112で示されており、図2を参照しながら先に示し説明したものと同様である。図示の光トランシーバは、光送信器44の上に位置する光検出器42を含み、双方とも共通の光軸46に沿って位置合わせされている。図示の実施形態では、光検出器42は第1波長および/または波長範囲の光を吸収し、一方、第2波長および/または波長範囲の光を通過させる。光送信器44は、第2波長および/または第2波長範囲の光を送信し、その光は光検出器42を通過して、光トランシーバ40の上面から出射する。図示の実施形態では、入射光ビームおよび出射光ビームの双方は、光トランシーバ40の上側を通過する。
【0057】
図2における場合と同様、1つ以上のトレンチ114a〜114fをエッチングし、光検出器を貫通させて、実施形態によっては、それらのトレンチを光送信器44の上位ミラーの中まで到達させてもよい。これは、反応性イオン・エッチング(RIE)で行うことができるが、適切なパターニング方法であればいかなるものであっても使用可能である。実施形態によっては、選択的な横方向酸化を促進するために、光送信器(例えば、VCSEL)44の上位DBRミラーの周期的な層の1つ以上には、他の周期的な層よりも高いAl濃度を与える。このような1つの層90を図4に示す。1つ以上のトレンチ114a〜114fを通じて酸化環境に晒されると、層90は、横方向に選択的に酸化され、VCSEL44の電流アパーチャ92が形成される。横方向酸化の範囲は、層90の酸化環境への露出時間を制御することによって、制御することができる。見てわかるように、露出時間は、所望の電流アパーチャ92が残留するように制御することが好ましい。一つの実施形態では、VCSEL44の電流アパーチャ92は、約5から10ミクロンの直径を有する。
【0058】
図示の実施形態では、光検出器42の横方向寸法は、VCSEL44の光キャビティ92の横方向寸法よりも大きい。例えば、光検出器の横方向寸法は、100から200ミクロン程度とすることができ、一方、VCSEL44の光キャビティの横方向寸法は5から10ミクロン程度とすることができる。例えば、100ミクロンの直径を有する光ファイバを光トランシーバ112の上に配置すると、光検出器42の横方向寸法は、場合によってはレンズやその他の光集中素子を必要とすることなく、入射光ビームの多くを吸収するのに十分な広さとすることができる。更に、光ファイバの光検出器42に対する位置決めは、難しくもなければ、重要でもない。同様に、光送信器44の光キャビティ92が光ファイバの直径に対して比較的小さいので、光送信器44が生成する出射光ビームの多くは、光ファイバによって捕獲することができ、場合によっては、レンズやその他の光集中素子を必要としない。つまり、効率的かつ費用効果的な光トランシーバ112を提供することができる。
【0059】
実施形態によっては、トレンチ114a〜114fの深さがわずか1から2ミクロン程度でよいものもある。更に具体的には、トレンチ114cおよび114dを配するとき、その深さを、層90を超えて延びるように十分深くすることによって、層90を横方向に選択的に酸化して、光送信器44の電流アパーチャ92を形成できるようにしてもよい。トレンチ114bおよび114eを配するとき、その深さを、金属層またはプラグ116bおよび116cをそれぞれ介して光送信器44の上位ミラー60に電気的に接続するように、十分深くまで達するようにしてもよい。トレンチ114bおよび114eを配するとき、その深さを、前述のような横方向への層90の選択的な酸化を促進するように、層90を超えて十分深くまで達するようにしてもよい。実施形態によっては、トレンチ114bおよび114eがトレンチ114cおよび114dの機能を実行することができ、従って、トレンチ114cおよび114dは不要、あるいは望ましくないとも言えることが考えられる。また、実施形態によっては、光送信器44の上位ミラー60との電気接続を形成するために、トレンチ114bおよび114eのうちの一方のみが必要であると考えられる。
【0060】
トレンチ114aおよび/または114fを、金属層またはプラグ116aおよび/または116fをそれぞれ介して光送信器44の下位ミラー52と電気接続を形成するために設けることができる。見てわかるように、金属層またはプラグ116a〜116dは、デバイス112の上から到達可能な、光送信器44の下位ミラー52および上位ミラー60に電気接続を設けることができる。また、金属層またはプラグ116bおよび116cも、デバイス112の上から到達可能な光検出器42の底面への電気接続を設けることができる。金属層が光検出器42の種々の中間層と電気接続を形成するのを防止するために、115a、115b、115cおよび115fで示すように、金属層が充填されているトレンチには最初に誘電体層でライニングするとよい。
【0061】
金属パッド118a〜118dを、金属層またはプラグ116a〜116dそれぞれへの容易な到達を促進するために設けることができる。金属パッド118eも、光検出器42の上面への電気接続を容易にするために設けることができる。尚、パッド118a〜118cの1つ以上を1つ以上の離れた場所に配置し、1つ以上の金属トレース等を通じて対応する金属パッド118a〜118eに電気的に接続してもよいことが考えられる。見てわかるように、図示の実施形態では、光検出器42および光送信器44の電気的接続の全てが、デバイス112の上面上で別個に使用可能であり、例えば、必要に応じて、他の基板またはデバイスへのフリップ・チップ接合を可能にする。
【0062】
図5は、図2に示した光トランシーバの一例について、吸収率対波長の関係のシミュレーション結果を示すグラフである。光検出器を備えたVCSEL44の吸収率を線119で示す。先に示したように、光検出器は、好ましくは、第1波長および/または波長範囲を有する光を吸収するように構成されている。図5に示すグラフでは、線120で示すように、予測第1波長は約808nmに対応する。見てわかるように、光トランシーバの吸収率は、約750nmから約815nmではかなり高く、約795nmにピークがある。最適な設計の場合は、ピークは、正に予測した第1波長に位置していてもよいが、温度ずれを補償するために、オフセットが望ましい場合もある。吸収率は、約820nmにおいて急峻なカットオフを有する。カットオフ波長は、前述のように、光検出器42の種々の層において用いられているAlの留分を調節することによって制御可能である。光検出器のないVCSEL44の吸収率は、線122で示されている。見てわかるように、光検出器は、約775nmから815nmの範囲において吸収率が大幅に増加する。この範囲には、約808nmの予測第1波長が含まれる。
【0063】
図6は、図2に示した光トランシーバの一例について、反射率対波長の関係のシミュレーション結果を示すグラフである。図6からわかるように、光トランシーバ(例えば、光検出器を有するVCSEL44)の反射率131は、約750nmから約815nmではかなり低く、約795nmにおいて谷がある。反射率には、約820nmにおいて急激な増加がある。先に注記したように、カットオフ波長は、光検出器42の種々の層におけるAl留分を調節することによって制御可能である。光検出器がないVCSEL44の反射率を線126で示す。見て分かるように、光検出器は、約775nmから815nmの範囲において、反射率が大幅に低下している。この範囲には、約808nmの予測第1波長120が含まれる。また、光検出器は、約820nmよりも上の波長では、光トランシーバの反射率にさほど影響を及ぼさない。
【0064】
VCSELの共振波長は、反射率曲線における瘤(bump) 130に対応する。見て分かるように、VCSEL44の発光波長は約830nmであり、これは光検出器の吸収における急峻なカットオフよりも上である。このように、VCSELの発光波長は、異なる(例えば、第2)波長または波長範囲である。これは先に説明した通りである。
【0065】
図7は、図3に示した光トランシーバの一例について、反射率および吸収率の和に対する波長の関係を示すグラフである。検出器を有するVCSELの反射率および吸収率の和を線137で示し、検出器がないVCSELの反射率および吸収率の和を線139で示す。見て分かるように、反射率は、関連する波長範囲全域にわたって、ほぼ排他的に吸収率と入れ替わり、これによって効率的な光トランシーバ・デバイスが得られる。また、図7は、実質的に全ての入射光が、関連する波長範囲にわたって反射されるかまたは吸収されるかのいずれかであることも示す。このため、この構造の深い位置では、殆どの光または全ての光が透過せず、失われない。
【0066】
図8は、本発明による光トランシーバ140の別の一例の側断面図である。この実施形態の一例では、光送信器142は、光検出器144から遠ざかる方向に(例えば、基板を通って)光ビーム146を送信する。即ち、入射光ビーム148および出射光ビーム146は、光トランシーバ140の共通面を通過しない。この実施形態では、光送信器142の発光波長は、基板150を通過できることが好ましい。そのように設けると、光検出器144を、前述のような第2波長および/または波長範囲の光を通過させる材料および/または材料系で形成する必要はない。代わりに、光検出器144によって検出する第1波長および/または波長範囲は、光送信器142によって送信する第2波長および/または波長範囲に対して、独立して制御することができる。
【0067】
図9は、本発明による光トランシーバ160の更に別の一例の側断面図である。この実施形態の一例では、光送信器162が光検出器164の上に配置されている。この実施形態では、光送信器162を、第1波長および/または波長範囲の入射光ビーム166の少なくとも一部を光検出器164まで通過させる材料および/または材料系で形成すればよい。しかしながら、光検出器164は、第2波長および/または波長範囲の出射光ビーム168を通過させる材料および/または材料系で形成する必要はない。むしろ、光送信器162は、直接に出射光ビームを上に向けて、光検出器164から遠ざかるように送信する。この実施形態の一例は、入射光ビーム166が、高パワーの980nmレーザのような、高パワー・レーザによって供給されるときに特に有用であると考えられる。980nmの光ビームは、光送信器162を通過し、光検出器164によって吸収される。実施形態によっては、980nmミラーを光検出器164の下に設けて、吸収されず光検出器164を通過した光の少なくとも一部を反射するようにするとよい場合もある。
【0068】
また、図9には、VCSEL162の電流アパーチャを規定するための別の方法も示されている。この実施形態では、深いH+インプラントを用いて絶縁領域170を作成する。絶縁領域170は、VCSEL162の活性領域を通過する電流のエリアを制限する。図9の実施形態の一例では深いH+インプラントを用いたが、本明細書に記載する種々の実施形態では、例えば、利得誘導、酸化物閉じ込め、メサ閉じ込め、またはその他のいずれかの手段を含む任意の種類の電流および/または電界閉じ込めを用いてもよいと考えられる。
【0069】
図10は、本発明による光トランシーバおよびセンサの一例を示す回路図である。図示の光トランシーバは、第1フォトダイオード200、第2フォトダイオード202、第3フォトダイオード204、および光送信器206を含む。第1フォトダイオード200、第2フォトダイオード202、および第3フォトダイオード204は、図示のように、直列に接続されている。光送信器206も、第3フォトダイオード204に直列に接続されている。
【0070】
図示の実施形態では、トランジスタ208が光送信器206に直列に接続されている。トランジスタは、エンハンスメント型またはデプレッション型の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor )であり、ドレイン210、ソース212、およびゲート214を有することができる。図示の実施形態では、FET208のゲートはセンサ216によって制御される。センサ216は、例えば、RFコイル、化学センサ、温度センサ、圧力センサ、または所望の用途に相応しいその他の任意のセンサとすることができる。
【0071】
使用中、第1波長および/または波長範囲を有する入射光ビームは、少なくとも部分的に、第1フォトダイオード200、第2フォトダイオード202、および第3フォトダイオード204によって吸収され得る。これによって、ノード220とノード222との間に電圧が生成され得る。この電圧は、光送信器206およびFET208に供給され得る。FET208がオフになると、第1フォトダイオード200、第2フォトダイオード202、および第3フォトダイオード204により生成された電圧の殆どまたは全てが、FET208では低下するが、光送信器206では低下しない。言い換えると、FET208は第1フォトダイオード200、第2フォトダイオード202、および第3フォトダイオード204により生成された光電流が光送信器206を通過するのを防止することができる。
【0072】
しかしながら、センサ216がFET208をオンにすると、第1フォトダイオード200、第2フォトダイオード202、および第3フォトダイオード204により生成された電圧の少なくとも一部は、光送信器206に供給される。言い換えると、FET208がオンになると、FET208は、第1フォトダイオード200、第2フォトダイオード202、および第3フォトダイオード204により生成された光電流の少なくとも一部が光送信器206を通過することを可能にする。これにより、光送信器206は出射光ビームを供給することができ、好ましくは、出射光ビームは、第2波長および/または波長範囲を有する。
【0073】
見てわかるように、第1フォトダイオード200、第2フォトダイオード202、および第3フォトダイオード204は、入射光ビームの光パワーの少なくとも一部を電力に変換するために用いられ、その電力の少なくとも一部は、光送信器206が出射光ビームを送信するために用いられ得る。図示した実施形態の一例では、センサは、第1フォトダイオード200、第2フォトダイオード202、および第3フォトダイオード204により生成された電力の使用を全く必要としなくてもよい。3つの直列接続したフォトダイオードを示したが、適切であれば、任意の数のフォトダイオードでも用いてもよいと考えられる。
【0074】
図11は、本発明の別の実施形態による、光トランシーバ、制御装置、および1つ以上のセンサの一例を示す回路図である。図示の光トランシーバは、第1フォトダイオード230、第2フォトダイオード232、第3フォトダイオード234、および光送信器236を含む。第1フォトダイオード230、第2フォトダイオード232、および第3フォトダイオード234は、図示のように、直列に接続されている。また、光送信器236も第3フォトダイオード234に直列に接続されている。
【0075】
図10に示した実施形態と同様、トランジスタ238は、光送信器236に直列に接続され得る。トランジスタは、ドレイン240、ソース242、およびゲート244を有することができる。図示の実施形態では、FET238のゲートは、センサ/制御ブロック246によって制御される。センサ/制御ブロック246は、制御回路、および1つ以上のセンサを含むことができる。例示のセンサには、例えば、RFコイル、化学センサ、温度センサ、圧力センサ、または所望の用途に相応しいその他の任意のセンサが含まれる。
【0076】
使用中、第1波長および/または波長範囲を有する入射光ビームは、第1フォトダイオード230、第2フォトダイオード232、および第3フォトダイオード234によって少なくとも部分的に吸収され得る。これによって、ノード250とノード252との間に電圧を発生し得る。この電圧は、光送信器236およびFET238に供給される。FET238がオフになると、第1フォトダイオード230、第2フォトダイオード232、および第3フォトダイオード234により生成された電圧は、FET238では低下するが、電流が流れていなければ電圧降下を有さない光送信器236では低下しない。言い換えると、FET238は、第1フォトダイオード230、第2フォトダイオード232、および第3フォトダイオード234により生成された光電流が光送信器236を通過するのを防止しようとする。しかしながら、センサ/制御ブロック246がFET238をオンにすると、第1フォトダイオード230、第2フォトダイオード232、および第3フォトダイオード234により生成された電圧の少なくとも一部が光送信器236に供給される。言い換えると、FET238がオンになると、FET238は、第1フォトダイオード230、第2フォトダイオード232、および第3フォトダイオード234により生成された光電流の少なくとも一部が光送信器236を通過することを可能にする。これにより、光送信器236は出射光ビームを供給することができ、好ましくは、出射光ビームは第2波長および/または波長範囲を有する。
【0077】
センサ/制御ブロック246は、破線で示すように、ノード250および252に接続され得る。こうして、センサ/制御ブロック246は、ノード250とノード252との間の電圧の差を受けることができ、この電圧を用いて、センサ/制御ブロック246に給電することができる。センサ/制御ブロック246に供給された電力を用いて、センサ/制御ブロック246は、FET238のゲート244を選択的に制御することが可能な回路またはその他のロジックを含むことができる。
【0078】
図12は、本発明による光トランシーバ、制御装置、および1つ以上のセンサの更に別の一例を示す回路図である。図示の光トランシーバは、第1フォトダイオード260、第2フォトダイオード262、第3フォトダイオード264、および光送信器266を含む。第1フォトダイオード260、第2フォトダイオード262、および第3フォトダイオード264は、図示のように、直列に接続されている。光送信器266は、第3フォトダイオード264に直列に接続されている。
【0079】
図10および図11に示した実施形態と同様に、トランジスタ268が光送信器266と直列に接続されている。そのトランジスタは、ドレイン270、ソース272、およびゲート274を有し得る。図示の実施形態では、FET268のゲート274は、センサ/制御ブロック276によって制御される。センサ/制御ブロック276は、制御回路および1つ以上のセンサを含み得る。例示のセンサには、例えば、RFコイル、化学センサ、温度センサ、圧力センサ、または所望の用途に相応しいその他の任意のセンサが含まれる。
【0080】
使用中、第1波長および/または波長範囲を有する入射光ビームは、第1フォトダイオード260、第2フォトダイオード262、および第3フォトダイオード264によって少なくとも部分的に吸収され得る。これによって、ノード280とノード282間に電圧が生成され得る。この電圧は、光送信器266およびFET268に供給される。FET268がオフになると、第1フォトダイオード260、第2フォトダイオード262、および第3フォトダイオード264により生成された電圧の殆どまたは全てがFET268では降下するが、光送信器266では降下しない。言い換えると、FET268は、第1フォトダイオード260、第2フォトダイオード262、および第3フォトダイオード264により生成された光電流が、光送信器266を通過するのを防止しようとする。しかしながら、センサ/制御ブロック276がFET268をオンにすると、第1フォトダイオード260、第2フォトダイオード262、および第3フォトダイオード264により生成された電圧の少なくとも一部は、光送信器266に供給される。言い換えると、FET268がオンになると、FET268は、第1フォトダイオード260、第2フォトダイオード262、および第3フォトダイオード264により生成された光電流の少なくとも一部が、光送信器266を通過することを可能にする。これにより、光送信器266は、出射光ビームを供給することができ、好ましくは、出射光ビームは第2波長および/または波長範囲を有する。
【0081】
この実施形態では、センサ/制御ブロック276はノード280および284に接続されている。この電気接続は、直列接続された第1、第2、および第3フォトダイオードにより生成された電位の全てを、センサ/制御ブロック276に利用可能にすることが好ましいときには有用であると考えられる。センサ/制御ブロック276は、センサ/制御ブロック276の給電にこの電圧を用いる。センサ/制御ブロック276に供給された電力を用いて、センサ/制御ブロック276は、FET268のゲート274を選択的に制御するために用いることが可能な回路またはその他のロジックを含むことができる。
【0082】
実施形態によっては、センサ/制御ブロック276は、コンデンサ290のような、エネルギー蓄積デバイスを含んでいてもよい。センサ/制御ブロック276は、第1フォトダイオード260、第2フォトダイオード262、および第3フォトダイオード264により生成された光電流の少なくとも一部をコンデンサ290に導くことができ、コンデンサ290間の電圧を上昇させる。センサ/制御ブロック276が、光送信器266をオンにする時刻であると判断した場合、センサ/制御ブロック276はコンデンサ290をFET268のゲート274に接続することができる。必要に応じて、コンデンサ290に蓄積されたエネルギーを用いて、FET268は駆動され得る。また、これを用いれば、それ以外で得られるよりも高いピーク電力をセンサに供給することができる。
【0083】
実施形態によっては、制御信号またはその他の信号をセンサ/制御ブロック276に供給することが望ましい場合もある。一つの実施形態では、1つ以上の制御信号またはその他の信号は、入射光ビーム内で供給され得る。1つ以上の制御信号またはその他の信号は、例えば、光パワー信号上での変調であってもよければ、あるいは多少異なる波長で供給されてもよい。いずれの場合であっても、第1フォトダイオード260、第2フォトダイオード262、および第3フォトダイオード264は、必要に応じて、光パワー信号および1つ以上の制御信号または他の信号の双方を、検出することができる。センサ/制御ブロック276は、入射光ビームから、必要に応じて、1つ以上の制御信号またはその他の信号を抽出する回路を含むことができる。
【0084】
図13は、本発明による光トランシーバおよび制御装置の一例を示す回路図である。図示の光トランシーバは、第1フォトダイオード290、第2フォトダイオード292、第3フォトダイオード294、および光送信器296を含む。第1フォトダイオード290、第2フォトダイオード292、および第3フォトダイオード294は、図示のように、直列に接続されている。
【0085】
この実施形態では、制御ブロック298がノード300および302に接続されている。制御ブロック298は、それ自体の電源を有しても、あるいは有していなくてもよい。制御ブロック298がそれ自体の電源を有していない場合、直列接続された第1、第2、および第3フォトダイオードにより生成された電位を用いて、制御ブロック298に給電することができる。いずれの場合であっても、制御ブロック298は、入射光ビームから1つ以上の制御信号またはその他の信号を抽出する回路を有し得る。1つ以上の制御信号またはその他の信号は、1つ以上のセンサまたはその他の宛先に線304を通じて供給され得る。
【0086】
制御ブロック298はまた、線306を通じて1つ以上の外部信号を受信することができる。その外部信号は、1つ以上のセンサ、またはコンピュータ、電気通信機器の1つ等のようなその他の何らかの信号源によって供給され得る。制御ブロック298は、しかるべき電流/電圧を光送信器296に印加することにより、1つ以上の外部信号を出射光ビームに変換することができる。好ましくは、第1フォトダイオード290、第2フォトダイオード292、および第3フォトダイオード294は、前述のように、光送信器296と共通の光軸に沿って配置される。
【0087】
図14は、本発明による光トランシーバおよび制御装置の別の一例を示す回路図である。この実施形態は、制御信号により電流が光送信器から回避するように導かれることを除いて、図11を参照して先に示し説明したものと同様である。図示の光トランシーバは、第1フォトダイオード254a、第2フォトダイオード254b、第3フォトダイオード254c、および光送信器256を含む。第1フォトダイオード254a、第2フォトダイオード254b、および第3フォトダイオード254cは、図示のように、直列に接続されている。VCSELのような光送信器256もまた、第3フォトダイオード254cに直列に接続されている。
【0088】
図11に示した実施形態と同様に、トランジスタ258のドレインおよびソースは、図示のように、光送信器256の間に接続され得る。図示の実施形態では、トランジスタ256のゲートは、センサ/制御ブロック259によって制御される。センサ/制御ブロック259は、制御回路、および1つ以上のセンサを含み得る。例示のセンサには、例えば、RFコイル、化学センサ、温度センサ、圧力センサ、または所望の用途に相応しいその他の任意のセンサが含まれる。
【0089】
使用中、第1波長および/または波長範囲を有する入射光ビームが、少なくとも部分的にフォトダイオード254a〜254cに吸収され、図示の実施形態では、センサ/制御ブロック259に電圧を供給して、給電することができる。センサ/制御ブロック259は、選択的にトランジスタ258をオンにして、電流が光送信器256を回避するように導き、出射光ビームを低減または禁止することができる。好ましくは、出射光ビームは、第2波長および/または波長範囲を有する。
【0090】
尚、図10から図14におけるフォトダイオードおよびVCSELの順序は、必要に応じて、逆にしてもよいと考えられる。即ち、フォトダイオードは、回路図において、VCSELの下に描いてもよい、即ち、配置してもよい。加えて、トランジスタはFETである必要はなく、むしろ、必要に応じて、バイポーラ接合型トランジスタ(BJT:Bipolar Junction Transistor )またはその他の任意の適切なスイッチング機構であってもよい。
【0091】
図15は、本発明による光トランシーバを動作させる方法の一例を示すタイミング図である。この例示の方法では、第1ビーム強度を有する入射光ビームが、ローカル・トランシーバから光媒体を通じて遠隔トランシーバに供給される。入射光ビームは、好ましくは、第1波長または波長範囲を有する。遠隔光トランシーバは、入射光ビームを受信し、入射光ビームからのパワーの少なくとも一部を用いて、第2ビーム強度を有する出射光ビームをローカル・トランシーバに返送する。出射光ビームは、好ましくは、第2波長および/または波長範囲を有する。
【0092】
遠隔光送信器を閾値またはその付近に維持するために、ローカル・トランシーバは、入射光ビームのビーム強度を、出射光ビームの検出ビーム強度が所定レベルに達するまで増大させることができる。一旦これを達成したなら、出射光ビームを遠隔トランシーバによって変調し、光信号を出射光ビームに含ませて供給することができる。
【0093】
具体的に図15を参照すると、ローカル・トランシーバは、330に示すように、入射光ビームのビーム強度を増大することから開始することができる。遠隔光検出器は、入射光ビームを検出し、最終的に、遠隔光送信器を、閾値332のような閾値またはその付近に到達させるために十分な電圧/電流を供給する。次いで、ローカル・トランシーバは、出射光ビームのビーム強度を検出し、遠隔送信器が閾値またはその付近にあるときを判定する。遠隔送信器が閾値またはその付近にあるときは、334に示すように、入射光ビームのビーム強度を比較的一定に保持すればよい。
【0094】
一旦遠隔光送信器が閾値またはその付近になると、遠隔トランシーバは、出射光ビームを変調して、336、338、および340に示すように、光信号を出射光ビームに含ませて供給する。出射光ビームを変調するには、例えば、周波数変調、振幅変調、ディジタル変調、または必要に応じてその他の任意の種類の変調を用いてもよい。
【0095】
図16は、本発明による光トランシーバを動作させる方法の別の一例を示すタイミング図である。この例示の方法では、ローカル送信器が、比較的一定のビーム強度350を有する入射光ビームを供給する。強度350は、遠隔光トランシーバを給電するのに十分であることが好ましい。その場合、遠隔光トランシーバは、信号をローカル・トランシーバに返送するときに、遠隔光送信器にパワーを供給するのみである。遠隔光トランシーバは、出射光ビームを変調し、352、354、および356に示すように、1つ以上の光信号を出射光ビームに含ませて供給する。前述の場合と同様に、出射光ビームを変調するには、例えば、周波数変調、振幅変調、ディジタル変調、または必要に応じてその他の任意の種類の変調を用いてもよい。
【0096】
図17は、本発明による光トランシーバを動作させる方法の更に別の一例を示すタイミング図である。この方法は、図16に示す方法と同様である。即ち、ローカル送信器は、比較的一定なビーム強度を有する入射光ビーム内に光パワー信号を供給する。この強度は、遠隔光トランシーバに給電するには十分であることが好ましい。しかしながら、360、362、および364に示すように、ローカル送信機は、更に、光パワー信号上に1つ以上の制御信号を変調する。遠隔光トランシーバは、光パワー信号および1つ以上の制御信号の双方を検出し、必要に応じて、1つ以上の制御信号を抽出することができる。遠隔光トランシーバもまた、出射光ビームを変調し、370、372、および374に示すように、1つ以上の光信号を出射光ビームに含ませて供給することができる。入射光ビームおよび出射光ビームを変調するには、例えば、周波数変調、振幅変調、ディジタル変調、または必要に応じてその他の任意の種類の変調を用いてもよい。
【0097】
図18は、別の光トランシーバの一例を示す模式図であり、この場合、光トランシーバおよび/または光伝送媒体(例えば、ファイバ)の選択されたパラメータまたは特性が検知素子として用いられる。遠隔光トランシーバは、全体として400で示されている。図示の実施形態では、遠隔光トランシーバ400は、光検出器および光放出体を含む。これらを纏めて402で示す。光ファイバ404またはその他の光伝送媒体を設けて、光パワー信号408をローカル光トランシーバ(図示せず)から遠隔光トランシーバ400に送出することができる。光ファイバ404は、前述のように、遠隔光トランシーバ400が供給する光戻り信号412を受け入れることもできる。
【0098】
図示の実施形態では、フィルタ406等を、光ファイバ404と遠隔光トランシーバ402との間に設ける。フィルタ406は、1つ以上の環境特性に応じて、光ファイバ404と遠隔光トランシーバ402との間の光結合を変化させるように構成されていることが好ましい。例えば、温度、圧力、振動、応力、またはその他の何らかの環境特性に応じて、フィルタ406の光学的効率が低くなるようであってもよい。例えば、フィルタ406は、ある長さの光ファイバ、またはその他の任意の適切な材料でもよく、変化する環境特性を受けたときに光効率に変化を生じさせる。圧力センサとしては、フィルタ406をダイアフラム等とすればよい。ダイアフラム等は、圧力変化に晒されたときに、光ファイバ404と遠隔光トランシーバ402との間の距離、配置、角度、またはその他のパラメータを変化させるように構成されている。距離、配置、および/または角度の変化によって、光ファイバ404と遠隔光トランシーバ402との間の光結合に変化を生じさせることができる。
【0099】
使用中、ローカル光トランシーバは、光パワー信号408を遠隔光トランシーバ402の光検出器に供給することができる。光パワー信号408は、実施形態によっては、第1波長である場合もあり得る。前述の場合と同様に、光検出器は、光パワー信号408を検出し、電力信号に変換し、これを遠隔光トランシーバ402の光放出体に供給することができる。次いで、光放出体は、光戻り信号410をローカル光トランシーバに返送することができる。光戻り信号410は、第2波長とすることができる。
【0100】
フィルタ406は、1つ以上の環境特性が変化したときに、光ファイバ404と遠隔光トランシーバ402との間の光結合を変化させることができる。例えば、フィルタ406は、温度、圧力、またはその他の何らかの環境特性の変化に応じて、光学的効率を低下させることができる。従って、例えば、温度、圧力、またはその他の環境特性が変化したときに、光戻り信号410の一部をフィルタ406によって遮断するか、あるいは濾過することができる。光戻り信号412の残りの部分は、ファイバ404を通じてローカル光トランシーバまで達することができ、その量は所望の環境特性の値によって異なる。この例示の実施形態では、所望の環境特性の大きさは、光戻り信号412を検査することによって判定され得ることが分かる。代替として、あるいは追加として、フィルタ406は、温度、圧力、振動、またはその他の何らかの環境特性に応じて、光戻り信号410の波長および/または位相に変化を起こすこともできる。例えば、所望の環境特性の大きさは、光戻り信号412の波長および/または位相を調べることによって判定され得る。光フィルタ406は、レーザ波長を高める役割も担うことができ、従って光トランシーバ402からの戻り信号に影響を及ぼすことができる。
【0101】
別の例示の実施形態では、フィルタ406は設けられない。代わりに、遠隔光トランシーバ402および/またはファイバ404の選択された性能パラメータの変化を用いて、所望の環境特性の大きさを得ることができる。例えば、VCSELのような光放出体は、起動時閾値、放出波長、放出効率、および/または温度と共に変化するその他のパラメータのように、多数の性能パラメータを有し得る。従って、この例では、遠隔光放出体内およびその周囲における温度の大きさは、光放出体の1つ以上の性能パラメータを監視することによって判定され得る。
【0102】
例示の一つの実施形態では、これは、光パワー信号408を遠隔光トランシーバ402の光検出器に供給することによって遂行され得る。光検出器は、光パワー信号408を検出し電力信号に変換することができ、次いで、その電力信号を遠隔光トランシーバ402の光放出体に供給することができる。次に、光放出体は、光戻り信号410をローカル光トランシーバに返送することができる。遠隔光トランシーバ402は、制御回路を含むことができ、この制御回路は、光検出器が供給する電力信号を受け、一定電流を光放出体に供給する。制御回路は、例えば、定電流源を含み得る。定電流源は、光放出体を一定レベルで駆動することができる。遠隔光放出体の放出効率の変化は、温度変化によって生じ、例えば、光戻り信号410の出力パワーを変化させる。光戻り信号410の出力パワーを監視することによって、遠隔光放出体内およびその周囲の温度を判定することができる。別の実施形態では、遠隔光放出体の波長は温度と共に変化することができる。この実施形態では、光戻り信号410の波長を監視すれば、遠隔光放出体内およびその周囲の温度を判定することができる。
【0103】
別の例示の実施形態では、遠隔光放出体の起動時閾値は温度またはその他の何らかの環境特性と共に変化し得る。この実施形態では、ローカル光トランシーバは、光パワー信号408のパワーを変化させて、遠隔光放出体の起動時閾値を識別することができる。遠隔光放出体の閾値は、例えば、遠隔光放出体が光戻り信号410を供給し始めるときの光パワー信号408のパワー・レベルに注目することによって判定することができる。遠隔光放出体の閾値を監視することによって、遠隔光放出体内またはその周囲の温度またはその他の環境特性を判定することができる。
【0104】
別の例示の実施形態では、遠隔光検出器は、例えば、温度のような所望の環境特性と共に変化する吸収カットオフ波長を提供するように構成され得る。このように構成された場合、温度変化によって、遠隔光検出器が、ローカル光トランシーバによって供給される光パワー信号408の減少を検出することができる。次いで、これによって、遠隔光放出体に送出される電力の減少が引き起こされ、光戻り信号410のパワー・レベルは低下し得る。このように、光戻り信号410の電力レベルを監視することによって、遠隔光検出器内およびその周囲の温度の大きさを判定することができる。
【0105】
別の例示の実施形態では、ファイバ404の伝送特性を用いて特定の環境特性を検出することもできる。多くの場合、光ファイバの伝送特性は、温度、圧力、応力、屈曲等によって変化する。実施形態によっては、光放出体の放出出力が相対的に一定となるように、光放出体を一定レベルで駆動する。その場合、光戻り信号412における変化は、それがいかなるものであれ、ファイバ404の伝送特性における変動が原因で発生したと考えられる。実施形態によっては、ファイバ404をコイル状にしたり、あるいは測定の感度を高めるために、検知される場所に構成したりする場合もある。次いで、光戻り信号412を監視することによって、検知した環境特性の大きさを判定することができる。これらは、単に、遠隔光トランシーバ402および/またはファイバ404の選択された性能パラメータにおける変化を利用して、遠隔光トランシーバ402内またはその周囲における所望の環境特性の大きさを得る方法についての代表例に過ぎない。
【0106】
図19は、光トランシーバの別の一例を示す模式図であり、この場合、蛍光材料420が検知素子として用いられている。一つの実施形態では、気体または液体の流れ(flow stream) 418を、蛍光材料420を通過するように送出する。蛍光材料420は、1つ以上の成分が流れの中にある場合、および蛍光材料420に所定の波長の光が照射された場合に、蛍光するように構成され得る。遠隔光放出体を用いて、蛍光材料420に所定の波長の光422を照射することができる。その場合、蛍光材料420は、検知する環境特性のレベルに応じて蛍光することができ、次いで、光戻り信号424をローカル光トランシーバに戻すことができる。光戻り信号424の大きさは、例えば、流れ418における1つ以上の成分の濃度の指標を与え得る。遠隔光放出体が供給する所定の波長の光422および光戻り信号424は、異なる波長とすることができる。成分濃度を測定する場合、例えば、化学評価分析および/またはその他の化学分析を、遠隔光トランシーバ内またはその周囲で行うとよい。
【0107】
図20は、光トランシーバの別の一例を示す模式図であり、この場合、光トランシーバの光放出を用いて1つ以上の環境パラメータを検知する。この例示の実施形態では、遠隔光トランシーバは、2つ以上の方向に光を供給する光放出体を含む。一方の方向では、光426を供給して、遠隔光トランシーバ430内およびその周囲における1つ以上の環境特性を検知する。他方の方向では、光428を光戻り信号として、ファイバ432を通じてローカル光トランシーバに供給する。
【0108】
使用中、前述の場合と同様、ローカル光トランシーバは、光パワー信号434を遠隔光トランシーバに供給することができる。遠隔光トランシーバ430の遠隔光検出器は、光パワー信号434を検出し、電力信号に変換することができる。その電力信号は、遠隔光トランシーバ430の遠隔光放出体に供給され得る。次いで、遠隔光放出体は、上述のように、両方向に光を供給することができる。
【0109】
図示の実施形態では、遠隔光トランシーバ430の遠隔光放出体はVCSELである。VCSELは、通常、2つの対向するミラーを有し、これらがファブリ−ペロー(Fabry-Perot )キャビティを形成する。この実施形態では、2つの対向するミラーの反射率を、対向するミラーの一方を介して第1光ビームを放出し、他方の対向するミラーを介して第2光ビームを放出するように構成することができる。
【0110】
光ビーム426のような、第1および第2光ビームのうちの一方は、場合によってはレンズ438を通って、反射面436に向けて出射される。用途に応じて、任意の適切なレンズまたはレンズ系を用いることもあれば、あるいは全くレンズを用いないこともある。光ビーム426は、反射面436において反射し、VCSELに戻って来る。反射光の一部はVSCELに入射し、反射光の相対位相に応じて、VCSEL内に特定のレベルのノイズ(例えば、干渉)を生じさせる。VCSEL内におけるノイズ・レベルを、光戻り信号428に含めて、ローカル光トランシーバに返送することができる。反射光の相対位相は、VCSELと反射面436との間の距離「d」440に関係する。光戻り信号428におけるノイズ・レベルを監視することによって、距離「d」440の大きさを判定することができる。ノイズ・レベルを一例として示したが、例えば、閾値パワー、波長、効率等を含む、多くのその他の機構も、外部反射器によって操作することができる。
【0111】
例示の一つの実施形態では、反射面436を圧力検知ダイアフラムに固定することができ、この場合、ダイアフラムは、当該ダイアフラム内およびその周囲の圧力に応じて、VCSELに向かってまたはこれから遠ざかるように移動する。ダイアフラム内およびその周囲の圧力が変化すると、距離「d」440、従って反射光の相対位相も変化する。前述のように、この変化はVCSEL内におけるノイズ・レベルの変化を引き起こし得るものであり、この変化は光戻り信号428内に含まれる。光戻り信号428におけるノイズ・レベルを監視することによって、距離「d」440の大きさ、従ってダイアフラム内およびその周囲の圧力を判定することができる。
【0112】
図21は、光トランシーバの更に別の一例を示す模式図であり、この場合、光トランシーバの光放出を用いて1つ以上のパラメータを検知する。この実施形態は、図20に関連して示し説明した実施形態と類似しているが、流れ450における1つ以上の成分の光学的吸収を利用して、反射光448の強度を減衰させるか、あるいはそれ以外の変化を生じさせる。この実施形態では、反射面452は移動しても、しなくてもよい。前述の場合と同様、反射光448の一部は、遠隔光トランシーバ454のVCSELに入射する。VCSELと反射面452との間の距離は、反射光448がVCSELにより放出される光とは少なくとも部分的に位相が異なり、従ってVCSEL内に特定のレベルのノイズ(例えば、干渉)を生じさせることができるようにするとよい。次いで、そのノイズ・レベルを、光戻り信号456を通じて、ローカル光トランシーバに返送する。この場合も、ノイズ・レベルを一例として示したが、例えば、閾値パワー、波長、効率等を含む、多くのその他の機構を外部反射器によって操作することができる。
【0113】
流れ450が高濃度の1つ以上の成分を含む場合、反射光448が更に多く流れによって吸収され、VCSELに入射する反射光448の強度を低下させることができる。次いで、これによって、VCSELにおけるノイズ・レベルを低下させることができる。場合によっては、高濃度の1つ以上の成分が、吸収される反射光448を減少させることもあり、VCSELに入射する反射光448の強度を高めることができる。次いで、これによって、VCSELにおけるノイズ・レベルを高めることができる。いずれの場合であっても、ノイズ・レベルの変化、従って1つ以上の成分の濃度を、光戻り信号456におけるノイズ・レベルを監視することによって検出することができる。
【0114】
VCSEL自体を用いて反射光における変化を検出する代わりに、別個の遠隔検出器449を設けてもよいことも考えられる。別個の遠隔検出器は、反射光448の強度、位相、またはその他の何らかの特性の変化を検出することができる。次いで、その検出された変化を光戻り信号456に含ませて、ローカル光トランシーバに返送することができる。別個の遠隔検出器は、例えば、図20および21に関連して示し説明した実施形態、ならびにその他の実施形態と併せて用いられてもよい。
【0115】
図22は、光トランシーバの別の一例を示す模式図であり、この場合、光トランシーバの光放出を、蛍光材料と共に用いて1つ以上の環境特性を検知する。この実施形態は、図20および図21に示した実施形態と類似するが、反射面の代わりに、あるいはこれに加えて、蛍光材料460を含む。一つの実施形態では、気体または液体の流れ462を、蛍光材料460を通過するように送出する。蛍光材料460は、1つ以上の成分が流れ462の中にある場合、および蛍光材料460に所定の波長の光が照射された場合に、蛍光するように構成され得る。遠隔光放出体(例えば、VCSEL)を用いて、蛍光材料460に所定の波長の光464を照射することができる。その後、蛍光材料460は蛍光し、蛍光光信号を遠隔光トランシーバ466に供給することができる。蛍光光信号の大きさは、流れ462における1つ以上の成分の濃度の指標を与えることができる。図示の実施形態では、VCSELが供給する光464の所定の波長、および蛍光光信号の波長は、異なるが、これは必須ではない。
【0116】
光464の所定の波長および蛍光光信号の波長が同一の場合、前述のように、VCSEL自体が検出器として機能することができる。光464の所定の波長と蛍光光信号の波長が異なる場合、別個の遠隔検出器468を用いて、蛍光光信号を検出すればよい。いずれの場合であっても、蛍光光信号の大きさを、光戻り信号470を通じて、ローカル光トランシーバに供給することができる。この実施形態は、例えば、化学評価分析またはその他の化学分析を遠隔光トランシーバ内またはその周囲で行う場合に用いることができる。
【0117】
図23は、光放出体を用いて、入射光ビームから光パワーを生成すること、および光戻り信号を供給することの双方を行う光トランシーバの一例を示す模式図である。この例示の実施形態では、遠隔光放出体498はVCSELであるが、適切な光放出体であれば、他の任意のものを用いてもよいことを想定している。VCSELが受光した光500のパワーが、VCSEL498をオンにするのに必要な光パワーよりも低い場合、VCSEL498は少量の電流を供給することができる。光はVCSEL498の活性領域に吸収され、少量の電流を生成する。制御ブロック506がこの少量の電流をVCSEL498から受け取り、遠隔電源502を充電することができる。遠隔電源502は、例えば、バッテリまたはコンデンサ504を含み得る。遠隔電源502を、少量の光で連続的に充電してもよいし、あるいは大量の光のパルスでより急速に充電してもよい。遠隔電源502は、収集した電荷を蓄積することができ、後にこの電荷を用いてVCSEL498を駆動し、光戻り信号514を供給することができる。
【0118】
実施形態によっては、遠隔センサ510を設けて、遠隔センサ510内およびその周囲における1つ以上の環境特性を検知することができる場合もある。遠隔電源502は、必要に応じて、電力を遠隔センサ510に供給することができる。実施形態によっては、制御ブロック506、VCSEL498、および/または遠隔センサ510が、遠隔電源502が供給可能な電圧よりも多くの電圧を必要とする場合があり得る。このような場合、制御ブロック506は、チャージ・ポンプ回路、またはその他の回路あるいはデバイスを含むことにより、動作電圧を高くして発生することができる。実施形態によっては、同様のチャージ・ポンプ回路を用いて、遠隔センサ510からの信号512をVCSEL498および/または制御ブロック506に送出し、十分な動作電力を発生できるものもある。
【0119】
遠隔センサ510を設ける代わりに、前述のように、VCSEL498および/またはファイバ516の選択された性能パラメータの変化を用いて、所望の環境特性の大きさを与えることができると考えられる。一つの例示の実施形態では、VCSEL498は光パワー信号500を検出し、これを電流に変換し、次いで、遠隔電源502に蓄積する。遠隔電源502を十分に充電した後、遠隔電源はVCSEL498に、光戻り信号514をローカル光トランシーバに返送するのに十分な電流を供給することができる。
【0120】
先に注記したように、VCSEL498内またはその周囲における温度変化またはその他の環境特性によって生じるVCSEL498の光放出効率の変化によって、光戻り信号514の出力パワーが変化する可能性がある。光戻り信号514の出力パワーを監視することによって、VCSEL498内およびその周囲における温度またはその他の環境特性を判定することができる。同様に、VCSEL498の波長、閾値および/またはその他の性能特性を用いることにより、VCSEL498内およびその周囲における1つ以上の環境特性を判定することができる。
【0121】
図24は、第1基板602上に形成された光検出器および/または光送信器と、第2基板604上に形成された制御回路および/またはセンサとを含む、光デバイス600の一例の模式断面図である。図示の実施形態では、第1基板602および第2基板604は、互いにほぼ平行に設置され、共通光ビーム軸と交差するように位置付けられている。第1基板602上に形成された光検出器および/または光送信器は、図4に関連して先に示し説明したものと同様のものとすればよい。図4に関連して詳細に説明したように、第1基板は、パッド606aおよび606bのような、1つ以上のパッドを含み、光検出器および/または光送信器の種々の端子に対する電気的接続を提供する。同様に、第2基板604も、パッド608aおよび608bのような、1つ以上のパッドを含み、制御回路の選択された入力および/または出力端子のような、制御回路の選択された回路に対する電気的接続を提供する。図示の実施形態では、第1基板602のパッド606aおよび606bは、それぞれ、第2基板604のパッド608aおよび608bと一直線状、または実質的に一直線状となるように位置付けられている。このように設けると、第1基板602および第2基板604は、図24に示すように、互いにフリップ・チップはんだ接合され得る。
【0122】
先に詳細に説明したように、制御回路は、光検出器からの少量の電流を受け取り、バッテリ、コンデンサ、あるいはその他の適した電荷またはエネルギー蓄積素子を充電する1つ以上のコンデンサ等を含むことができる。電荷蓄積素子は、少量の光で連続的に充電してもよいし、あるいは大量の光のパルスにより急速に充電してもよい。電荷蓄積素子は、収集した電荷を蓄積し、後に光送信器を駆動して光戻り信号を供給するためにその電荷を用いることができる。電荷蓄積素子を充電し、光送信器を駆動するために用いられる信号は、図24に示す1つ以上のパッドにおいて表され得る。
【0123】
実施形態によっては、第2基板604もまた、光学素子610のような、1つ以上の光学素子を含む場合がある。1つ以上の光学素子があると、光伝送媒体(例えば、光ファイバ)620と第1基板602上に形成されている光検出器および/または光送信器との間の光結合を容易にするのに役立つ。その光学素子は、第2基板604の表面上または表面内、あるいは第2基板604内部に、必要に応じて設けることができる。光学素子は、1つ以上の屈折または回折光学素子のような、任意の種類の光学素子であってもよい。図示の実施形態では、光伝送媒体620(例えば、光ファイバ)を、光学接着剤622によって第2基板604に取り付ける。フリップ・チップはんだ接合を用いる場合、光学素子610、第2基板604上のセンサおよび/または回路、ならびに第1基板602上の光検出器および/または光送信器を全て、製造プロセスの間に自己整合させる。
【0124】
見てわかるように、第2基板604は、制御装置および/またはセンサを含み、入射光ビーム614および/または出射光ビーム616が第2基板604を必然的に通過するように位置付けられ得る。つまり、第2基板604は、少なくとも光ビーム軸周囲の領域では、入射光ビーム614および/または出射光ビーム616に対して透過的または実質的に透過的であればよい。実施形態によっては、第2基板604はシリコン・オン・サファイア(SOS:silicon-on-sapphire )基板を含み、制御装置は、シリコン・オン・サファイア基板のシリコン層内に形成されている制御回路を含む場合もある。場合によっては、入射光ビーム614および/または出射光ビーム616は、少なくとも制御回路の一部を通過すればよい。他の場合には、制御回路は、入射光ビーム614および/または出射光ビーム616が制御回路を通過しないように位置することもある。即ち、制御回路は、光ビーム軸に対応する領域内にないシリコン層の部分に形成してもよい。場合によっては、シリコン層を、光ビーム軸に対応する領域から排除または実質的に排除してもよいが、これは全ての実施形態において必要という訳ではない。
【0125】
図示の実施形態では、第2基板604は、入射光ビーム614および/または出射光ビーム616に対して透過的または実質的に透過的であれば、いかなる材料または材料系であってもよく、そのような材料または材料系としては、例えば、入射光ビーム614および/または出射光ビーム616の波長に応じて、シリコン、サファイア、GaP、あるいはその他の任意の適切な材料または材料系が含まれる。代替として、あるいは追加として、エッチングまたはその他の任意の適切なプロセスによって、光ビーム軸内またはその周囲の領域において、第2基板604を貫通する孔またはトレンチを形成してもよい。孔またはトレンチは、特に制御回路および/またはセンサがその領域に設けられていない場合には、第2基板604を完全に貫通してもよい。
【0126】
先に注記したように、1つ以上のセンサを設けて、周囲環境の1つ以上のパラメータを検知することができる。1つ以上のセンサを、第1基板602および/または第2基板604上に、あるいは必要に応じて、第1基板および/または第2基板からは分離させて設けることができる。1つ以上のセンサは制御回路と(例えば、電気的および/または光学的に)接続されていることが好ましい。制御回路は、1つ以上のセンサから1つ以上の信号を受け取り、前述のように、対応する信号を光送信器に送信するように指令する。1つ以上のセンサとしては、例えば、1つ以上の温度センサ、圧力センサ、PHセンサ、湿度センサ、化学または生物学センサ、電磁場センサ、または所望の用途に相応しい他の任意のセンサがあり得る。
【0127】
図25は、第1基板632上に形成された光検出器および/光送信器と、第2基板634上に形成された制御回路および/またはセンサとを含む、光デバイス630の別の一例の模式断面図である。この例示の実施形態では、光検出器および/または光送信器のパッドの一部は、第1基板632の一方の面上に設けられ、他のパッドは第1基板632の対向する面上に設けられている。かかる1つの光検出器および/または光送信器は、図2および図3を参照して示し説明した。
【0128】
図24におけるように、第1基板632および第2基板634は、実質的に互いに平行に配置され、共通の光ビーム軸に交差するように位置付けられている。第1基板632は、1つ以上のパッド636aおよび636bを含み、これらは光検出器および/または光送信器の選択された端子に対する電気的接続を提供する。第1基板632はまた、1つ以上のパッド636cも第1基板の対向面上に含む。一つの実施形態では、パッド636cは、先に図2に示したように、光送信器(例えば、VCSEL)の下位ミラーに対する電気的接続を提供する。
【0129】
第2基板634は、1つ以上のパッド638aおよび638bを含むことができ、これらは、制御回路の選択された入力および/または出力端子のような、制御回路の選択された回路に電気的接続を提供する。図示の実施形態では、第1基板632のパッド636aおよび636bは、それぞれ、第2基板634のパッド638aおよび638bと一直線状または実質的に一直線状となるように位置付けられている。このように設けると、図25に示すように、第1基板632および第2基板634は互いにフリップ・チップはんだ接合され得る。また、第2基板は、1つ以上のパッド640も含むことができ、これらは制御回路の選択された回路に対する電気的接続を提供する。図示の実施形態では、第2基板634のパッド640は、644に示すように、第1基板632のパッド636cにワイヤ・ボンディングで接合されている。実施形態によっては、必要に応じて、接着剤等のような、絶縁材料642を、第1基板632およびワイヤ・ボンド644上に配することもできる。
【0130】
先の図24における場合のように、第2基板634はまた1つ以上の光学素子646を含み、光伝送媒体(例えば、光ファイバ)648と第1基板632上に形成された光検出器および/または光送信器との間の光結合を容易にするのに役立つ。光学素子は、必要に応じて、第2基板634の表面上または表面内、あるいは第2基板634内部に設けられ得る。光学素子は、1つ以上の屈折または回折光学素子のような任意の種類の光学素子であればよい。前述と同様に、光伝送媒体648は、例えば、光学接着剤(図示せず)によって、第2基板634に取り付けられ得る。フリップ・チップはんだ接合を用いる場合、第2基板634上の光学素子646、センサおよび/または回路、ならびに第1基板632上の光検出器および/または光送信器を全て、製造プロセスの間に自己整合させる。
【0131】
図26は、共通基板672上に一体に形成された光検出器、光送信器、制御回路および/またはセンサを含む、光デバイス670の一例の模式断面図である。図示の実施形態では、センサおよび/または制御回路674を最初に基板672上に形成するとよい。実施形態によっては、基板672がシリコン基板の場合もある。他の実施形態では、基板672は、シリコン・オン・サファイア(SOS)基板、シリコン・オン絶縁体(SOI:silicon-on-insulator)基板、またはその他の任意の適切な基板であればよい。好ましくは、基板672はIV族半導体材料または層を含むが、これは全ての実施形態において要求される訳ではない。
【0132】
次に、光検出器および光送信器676を、センサおよび/または制御回路674上に一体に形成すればよい。実施形態によっては、バッファ層678を堆積して、その後に光検出器および光送信器676を設ける場合もある。バッファ層は、絶縁層を含み、それを貫通してビアまたはコンタクトを形成し、センサおよび/または制御回路674と光検出器および光送信器676との間の電気通信を行い易くすることができる。バッファ層はまた、センサおよび/または制御回路674を形成するために用いられる材料と、光検出器および光送信器676を形成するために用いられる材料との間のあらゆる格子不整合を補償することを促進することができる。光検出器および光送信器676は、先に図2から図4に関連して説明した場合と同様に形成され得る。しかしながら、光検出器および光送信器676を、光検出器および光送信器676の端子の一部または全部に対する電気的接続が、基板の上面からではなく、基板の下面から接続できるように形成するとよい。図示の実施形態では、基板672は、入射または出射光ビームに対して透過的、または実質的に透過的である必要はない。
【0133】
場合によっては、環境への直接的な接触を必要とするならば、第1基板上または基板内に1つ以上のセンサを設けるとよいこともある。かかるセンサの1つを680で示す。このように設けると、光検出器および光送信器676を形成するために用いられる層を除去して、図26に示すように、センサ680を露出させることができる。バッファ層678が設けられている場合にも、これを除去するとよい。
【0134】
図27は、共通基板702上に一体に形成された光検出器、光送信器、制御回路および/またはセンサを含む、光デバイス700の別の一例の模式断面図である。この例示の実施形態では、センサおよび/または制御回路704を、光検出器および光送信器706の上に形成する。
【0135】
具体的に図27を参照すると、光検出器および光送信器706は、例えば、図2、図3および図4に関連して先に示し説明した場合と同様に、基板702上に形成され得る。一旦光検出器および光送信器706を形成したなら、1つ以上のセンサおよび/または制御回路704を、光検出器および光送信器706の上に形成することができる。場合によっては、バッファ層708を、1つ以上のセンサおよび/または制御回路704を形成する前に配するとよい。バッファ層708は、絶縁層を含み、これを貫通してビアまたはコンタクトを形成し、センサおよび/制御回路704と光検出器および光送信器706との間の電気的通信を行い易くすることができる。バッファ層はまた、センサおよび/制御回路704を形成するために用いられた材料と、光検出器および光送信器702を形成するために用いられた材料との間のあらゆる格子不整合の補償を促進することもできる。
【0136】
実施形態によっては、図2から図4に関連して先に説明したように、基板がn−ドープ・ガリウム砒素(GaAs)基板48であり、光検出器および光送信器706がGaAs系デバイスであってもよい場合がある。この実施形態では、センサおよび/または制御回路704もGaAs系回路で形成すればよい。しかしながら、これは必須ではない。例えば、必要に応じて、シリコン系エピ層をバッファ層708の上に成長させてもよい。次いで、センサおよび/または制御回路704をシリコン・エピ層内に形成することができる。別の実施例では、光検出器および光送信器706をシリコン系とし、必要に応じて、センサおよび/制御回路704をGaAs系またはシリコン系としてもよい。
【0137】
尚、入射光信号および出射光信号は双方共構造の同じ面に入射および出射できるようにすることが考えられる。次いで、必要に応じて、これらの信号を伝送するために光伝送媒体712を設ければよい。あるいは、入射光信号および出射光信号が構造の異なる面において構造に入射および出射できるようにすることも考えられる。この場合、別の光伝送媒体710を設けて、これらの信号の一方を伝送すればよい。
【0138】
図28は、共通基板上に一体に形成された光検出器、光送信器、制御回路および/またはセンサを含む光デバイスの更に別の一例の模式断面図である。この例示の実施形態では、光デバイス800は、シリコン・オン・サファイア(SOS)基板801上に形成されている。センサおよび/または制御回路は、SOS基板のシリコン層802内に形成されている。次いで、少なくとも一領域からシリコン層802を除去する。次に、光検出器および光送信器804を、サファイア基板801上の、シリコンが除去された場所に形成する。光検出器および光送信器804とサファイア基板801との間に、必要に応じて、バッファ層806を設けてもよければ、設けなくてもよい。実施形態によっては、光検出器および光送信器804を、図2および図3に関連して先に説明したものと同様に形成した場合もある。
【0139】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本明細書において見出される教示は、添付特許請求の範囲内で更に別の実施形態にも適用可能であることは、当業者には容易に認められよう。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明による通信システムの一例の模式図。
【図2】本発明による光トランシーバの一例の側断面図。
【図3】本発明による光トランシーバの一例の上面図。
【図4】光トランシーバの上面上で3つの電気コンタクト全てを使用可能とするのに適切なトレンチおよびパッドの一例を含む、光トランシーバの一例の側断面図。
【図5】図2に示す光トランシーバの一例についての、吸収率対波長の関係のシミュレーション結果を示すグラフ。
【図6】図2に示す光トランシーバの一例についての、反射率対波長の関係のシミュレーション結果を示すグラフ。
【図7】図2に示す光トランシーバの一例についての、反射率および吸収率対波長の関係のシミュレーション結果を示すグラフ。
【図8】本発明による光トランシーバの別の一例の側断面図。
【図9】本発明による光トランシーバの更に別の一例の側断面図。
【図10】本発明による光トランシーバおよびセンサの一例を示す回路図。
【図11】本発明による光トランシーバ、制御装置、および1つ以上のセンサの一例を示す回路図。
【図12】本発明による光トランシーバ、制御装置、および1つ以上のセンサの別の一例を示す回路図。
【図13】本発明による光トランシーバおよび制御装置の一例を示す回路図。
【図14】本発明による光トランシーバおよび制御装置の一例を示す回路図。
【図15】本発明による光トランシーバを動作させる方法の一例を示すタイミング図。
【図16】本発明による光トランシーバを動作させる方法の別の一例を示すタイミング図。
【図17】本発明による光トランシーバを動作させる方法の更に別の一例を示すタイミング図。
【図18】検知素子としての光トランシーバおよび/または光伝送媒体の選択された特性を用いた、光トランシーバの別の一例を示す模式図。
【図19】蛍光材料を検知素子として用いる光トランシーバの別の一例を示す模式図。
【図20】1つ以上のパラメータを検知するために光トランシーバの光放出を用いる、光トランシーバの別の一例を示す模式図。
【図21】1つ以上のパラメータを検知するために光トランシーバの光放出を用いる、光トランシーバの更に別の一例の模式図。
【図22】1つ以上のパラメータを検知するために、蛍光材料と共に光トランシーバの光放出を用いる、光トランシーバの別の一例を示す模式図。
【図23】入射光ビームから光パワーを生成すること、および光戻り信号を供給することの双方に光放出体を用いる、光トランシーバの一例を示す模式図。
【図24】第1基板上に形成された光検出器および/または光送信器、ならびに第2基板上に形成された制御回路および/またはセンサを含む、光デバイスの一例の模式断面図。
【図25】第1基板上に形成された光検出器および/または光送信器、ならびに第2基板上に形成された制御回路および/またはセンサを含む、光デバイスの別の一例の模式断面図。
【図26】共通基板上に一体に形成された光検出器、光送信器、制御回路、および/またはセンサを含む、光デバイスの一例の模式断面図。
【図27】共通基板上に一体に形成された光検出器、光送信器、制御回路、および/またはセンサを含む、光デバイスの別の一例の模式断面図。
【図28】共通基板上に一体に形成された光検出器、光送信器、制御回路、および/またはセンサを含む、光デバイスの更に別の一例の模式断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光ビームを光ビーム軸に沿って検出し、出射光ビームを前記光ビーム軸に沿って送信する光電デバイスであって、
前記光ビーム軸に沿って配置され、前記入射光ビームを受信し、第1波長および/または波長範囲を検出する光検出器と、
前記光ビーム軸に沿って配置され、前記出射光ビームを送信する光送信器であって、前記出射光ビームは第2波長および/または波長範囲を含む、光送信器と、
を備える光電デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光電デバイスであって、更に、前記光検出器および/または前記光送信器と電気的に通信する制御装置を備える、光電デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の光電デバイスにおいて、前記光検出器は、前記第1波長および/または波長範囲の光を少なくとも部分的に吸収し、かつ前記第2波長および/または波長範囲の光を少なくとも部分的に通過させる1つ以上の吸収層を含む、光電デバイス。
【請求項4】
請求項2に記載の光電デバイスにおいて、前記光検出器および前記光送信器は第1基板上に配置され、前記制御装置は第2基板上に配置されている、光電デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の光電デバイスにおいて、前記光検出器および/または前記光送信器は1つ以上のパッドを含み、前記制御装置は1つ以上のパッドを含む、光電デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の光電デバイスにおいて、前記光検出器および/または前記光送信器の選択されたパッドは前記制御装置の選択されたパッドに電気的に接続されている、光電デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の光電デバイスにおいて、前記光検出器および/または前記光送信器の選択されたパッドは、前記制御装置の選択されたパッドに対してはんだバンプ接合されている、光電デバイス。
【請求項8】
請求項6に記載の光電デバイスにおいて、前記光検出器および/または前記光送信器の選択されたパッドは、前記制御装置の選択されたパッドに対してワイヤ・ボンドで接合されている、光電デバイス。
【請求項9】
請求項4に記載の光電デバイスにおいて、前記第1基板および前記第2基板は実質的に互いに平行に配置されている、光電デバイス。
【請求項10】
請求項4に記載の光電デバイスにおいて、前記第2基板は、前記第1波長および/または波長範囲、ならびに前記第2波長および/または波長範囲に対して透過的または実質的に透過的である、光電デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の光電デバイスにおいて、前記第2基板は、前記入射光ビームおよび/または前記出射光ビームが前記第2基板を通過するように、前記光ビーム軸に沿って配置されている、光電デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載の光電デバイスにおいて、前記第2基板はシリコン・オン・サファイア基板を含み、前記制御装置は前記シリコン・オン・サファイア基板のシリコン層内に制御回路を含む、光電デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の光電デバイスにおいて、前記入射光ビームおよび/または前記出射光ビームは、前記制御回路の少なくとも一部を必然的に通過する、光電デバイス。
【請求項14】
請求項12に記載の光電デバイスにおいて、前記入射光ビームおよび/または前記出射光ビームは、前記制御回路を通過しない、光電デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載の光電デバイスにおいて、前記シリコン・オン・サファイア基板の、前記入射光ビームおよび/または出射光ビームが通過する領域に対応する領域から、シリコン層は除去または実質的に除去される、光電デバイス。
【請求項16】
請求項11に記載の光電デバイスにおいて、前記第2基板はGaPである、光電デバイス。
【請求項17】
請求項2に記載の光電デバイスにおいて、前記制御装置は1つ以上のセンサを含む、光電デバイス。
【請求項18】
請求項2に記載の光電デバイスにおいて、前記制御装置は1つ以上のセンサに電気的に接続されている、光電デバイス。
【請求項19】
請求項2に記載の光電デバイスにおいて、前記制御装置は、前記光検出器により生成された電荷を蓄積する1つ以上のコンデンサを含む、光電デバイス。
【請求項20】
請求項19に記載の光電デバイスにおいて、前記制御装置は、前記1つ以上のコンデンサに蓄積された電荷によって少なくとも部分的に給電される、光電デバイス。
【請求項21】
請求項2に記載の光電デバイスにおいて、前記第2基板は光学素子を含む、光電デバイス。
【請求項22】
請求項21に記載の光電デバイスにおいて、前記光学素子は屈折光学素子である、光電デバイス。
【請求項23】
請求項21に記載の光電デバイスにおいて、前記光学素子は回折光学素子である、光電デバイス。
【請求項24】
入射光ビームを光ビーム軸に沿って検出し、出射光ビームを前記光ビーム軸に沿って送信する光電デバイスであって、
前記光ビーム軸に沿って配置された基板と、
前記光ビーム軸に沿って配置され、前記基板と隣接し、前記入射光ビームを受信し、第1波長および/または波長範囲を検出する光検出器と、
前記光ビーム軸に沿って配置され、前記基板に隣接し、前記出射光ビームを送信する光送信器であって、前記出射光ビームは第2波長および/または波長範囲を含む、光送信器と、
前記基板に隣接して配置された制御回路と、
を備え、前記基板、前記光検出器、前記光送信器、および前記制御回路は一体に形成されている、光電デバイス。
【請求項25】
請求項24に記載の光電デバイスにおいて、前記制御回路は、前記基板と前記光検出器および前記光送信器との間に配置されている、光電デバイス。
【請求項26】
請求項24に記載の光電デバイスにおいて、前記光検出器および前記光送信器は、前記基板と前記制御回路との間に配置されている、光電デバイス。
【請求項27】
請求項24に記載の光電デバイスであって、更に、センサを備える、光電デバイス。
【請求項28】
請求項27に記載の光電デバイスにおいて、前記センサは温度センサである、光電デバイス。
【請求項29】
請求項27に記載の光電デバイスにおいて、前記センサは圧力センサである、光電デバイス。
【請求項30】
請求項27に記載の光電デバイスにおいて、前記センサはPHセンサである、光電デバイス。
【請求項31】
請求項27に記載の光電デバイスにおいて、前記センサは湿度センサである、光電デバイス。
【請求項32】
請求項27に記載の光電デバイスにおいて、前記センサは化学センサである、光電デバイス。
【請求項33】
請求項27に記載の光電デバイスにおいて、前記センサは電磁場センサである、光電デバイス。
【請求項34】
請求項27に記載の光電デバイスにおいて、前記センサは検知される環境に晒される、光電デバイス。
【請求項35】
入射光ビームを光ビーム軸に沿って検出し、出射光ビームを前記光ビーム軸に沿って送信する光電デバイスであって、
前記光ビーム軸に沿って配置され、前記入射光ビームを受信し、第1波長および/または波長範囲を検出する光検出器と、
前記光ビーム軸に沿って配置され、前記出射光ビームを送信する光送信器であって、前記出射光ビームは第2波長および/または波長範囲を含む、光送信器と、
IV族半導体層と、前記第1波長および/または波長範囲および前記第2波長および/または波長範囲に対して透過的または実質的に透過的である透過層とを有する基板であって、前記IV族半導体層が所定の領域において除去されている、基板と、
前記IV族半導体層内に形成された制御回路と、
を備え、前記光検出器および前記光送信器は、前記IV族半導体層が除去された領域に隣接して配置されている、光電デバイス。
【請求項36】
請求項35に記載の光電デバイスにおいて、前記基板、前記光検出器、前記光送信器、および前記制御回路は、一体に形成されている、光電デバイス。
【請求項37】
光電デバイスの形成方法であって、
第1波長および/または波長範囲を受信する光検出器と、第2波長および/または波長範囲を送信する光送信器とを基板上に形成するステップであって、前記光検出器および/または前記光送信器は1つ以上のパッドを有する、光検出器と光送信機とを形成するステップと、
第2基板上に制御回路を形成するステップであって、前記制御回路は1つ以上のパッドを有する、制御回路を形成するステップと、
前記制御回路の選択されたパッドと電気的に通信する前記光検出器および/または前記光送信器の選択されたパッドによって、前記第2基板に対して前記第1基板を固定するステップと、
を備える方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法において、前記光検出器および/または前記光送信器の前記選択されたパッドは、前記制御回路の前記選択されたパッドと一直線状となるように配置されている、方法。
【請求項39】
請求項37に記載の方法において、前記光検出器および/または前記光送信器の前記選択されたパッドは、前記制御回路の前記選択されたパッドに対してはんだバンプ接合されている、方法。
【請求項40】
請求項37に記載の方法において、前記光検出器および/または前記光送信器の前記選択されたパッドは、前記制御回路の前記選択されたパッドに対してワイヤ・ボンドで接合されている、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光ビームを光ビーム軸に沿って検出し、出射光ビームを前記光ビーム軸に沿って送信する光電デバイスであって、
前記光ビーム軸に沿って配置され、前記入射光ビームを受信し、第1波長および/または波長範囲を検出する光検出器と、
前記光ビーム軸に沿って配置され、前記出射光ビームを送信する光送信器であって、前記出射光ビームは第2波長および/または波長範囲を含む、光送信器と、
を備える光電デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光電デバイスであって、更に、前記光検出器および/または前記光送信器と電気的に通信する制御装置を備える、光電デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の光電デバイスにおいて、前記光検出器は、前記第1波長および/または波長範囲の光を少なくとも部分的に吸収し、かつ前記第2波長および/または波長範囲の光を少なくとも部分的に通過させる1つ以上の吸収層を含む、光電デバイス。
【請求項4】
請求項2に記載の光電デバイスにおいて、前記光検出器および前記光送信器は第1基板上に配置され、前記制御装置は第2基板上に配置されている、光電デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の光電デバイスにおいて、前記光検出器および/または前記光送信器は1つ以上のパッドを含み、前記制御装置は1つ以上のパッドを含む、光電デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の光電デバイスにおいて、前記光検出器および/または前記光送信器の選択されたパッドは前記制御装置の選択されたパッドに電気的に接続されている、光電デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の光電デバイスにおいて、前記光検出器および/または前記光送信器の選択されたパッドは、前記制御装置の選択されたパッドに対してはんだバンプ接合されている、光電デバイス。
【請求項8】
請求項6に記載の光電デバイスにおいて、前記光検出器および/または前記光送信器の選択されたパッドは、前記制御装置の選択されたパッドに対してワイヤ・ボンドで接合されている、光電デバイス。
【請求項9】
請求項4に記載の光電デバイスにおいて、前記第1基板および前記第2基板は実質的に互いに平行に配置されている、光電デバイス。
【請求項10】
請求項4に記載の光電デバイスにおいて、前記第2基板は、前記第1波長および/または波長範囲、ならびに前記第2波長および/または波長範囲に対して透過的または実質的に透過的である、光電デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の光電デバイスにおいて、前記第2基板は、前記入射光ビームおよび/または前記出射光ビームが前記第2基板を通過するように、前記光ビーム軸に沿って配置されている、光電デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載の光電デバイスにおいて、前記第2基板はシリコン・オン・サファイア基板を含み、前記制御装置は前記シリコン・オン・サファイア基板のシリコン層内に制御回路を含む、光電デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の光電デバイスにおいて、前記入射光ビームおよび/または前記出射光ビームは、前記制御回路の少なくとも一部を必然的に通過する、光電デバイス。
【請求項14】
請求項12に記載の光電デバイスにおいて、前記入射光ビームおよび/または前記出射光ビームは、前記制御回路を通過しない、光電デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載の光電デバイスにおいて、前記シリコン・オン・サファイア基板の、前記入射光ビームおよび/または出射光ビームが通過する領域に対応する領域から、シリコン層は除去または実質的に除去される、光電デバイス。
【請求項16】
請求項11に記載の光電デバイスにおいて、前記第2基板はGaPである、光電デバイス。
【請求項17】
請求項2に記載の光電デバイスにおいて、前記制御装置は1つ以上のセンサを含む、光電デバイス。
【請求項18】
請求項2に記載の光電デバイスにおいて、前記制御装置は1つ以上のセンサに電気的に接続されている、光電デバイス。
【請求項19】
請求項2に記載の光電デバイスにおいて、前記制御装置は、前記光検出器により生成された電荷を蓄積する1つ以上のコンデンサを含む、光電デバイス。
【請求項20】
請求項19に記載の光電デバイスにおいて、前記制御装置は、前記1つ以上のコンデンサに蓄積された電荷によって少なくとも部分的に給電される、光電デバイス。
【請求項21】
請求項2に記載の光電デバイスにおいて、前記第2基板は光学素子を含む、光電デバイス。
【請求項22】
請求項21に記載の光電デバイスにおいて、前記光学素子は屈折光学素子である、光電デバイス。
【請求項23】
請求項21に記載の光電デバイスにおいて、前記光学素子は回折光学素子である、光電デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2006−510200(P2006−510200A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558756(P2004−558756)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2003/039685
【国際公開番号】WO2004/054139
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(500078303)フィニサー コーポレイション (40)
【Fターム(参考)】