光ファイバ端子及び光コネクタ、基板用光コネクタ
【課題】水等の異物の侵入による結露等の不具合の発生を防止する。
【解決手段】光ファイバ端子1及び光コネクタにおいて、ファイバクランプ4における嵌合孔11の内面と当接する外面に、吸水性樹脂を塗布することで、ファイバクランプ4の嵌合孔11への嵌合状態でファイバクランプ4と嵌合孔11との間を閉塞する吸水面15を形成した。また、メスハウジング21における相手側のオスハウジング41と結合した際の相手側との当接面に、吸水性樹脂を塗布することで、結合状態でのハウジング21,41同士の間を閉塞する吸水面を形成した。
【解決手段】光ファイバ端子1及び光コネクタにおいて、ファイバクランプ4における嵌合孔11の内面と当接する外面に、吸水性樹脂を塗布することで、ファイバクランプ4の嵌合孔11への嵌合状態でファイバクランプ4と嵌合孔11との間を閉塞する吸水面15を形成した。また、メスハウジング21における相手側のオスハウジング41と結合した際の相手側との当接面に、吸水性樹脂を塗布することで、結合状態でのハウジング21,41同士の間を閉塞する吸水面を形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等において信号伝送路として用いられる光ファイバ端子と、その光ファイバ端子を備えた光コネクタと、その光コネクタが結合される基板用光コネクタとに関する。
【背景技術】
【0002】
ノイズの影響が小さく、高速・大容量の情報通信が可能な光ファイバは、近年車両においても信号伝送路としてよく用いられている。この光ファイバは、特許文献1に開示のように、端末に筒状のフェルールを接続して光ファイバ端子とし、光ファイバ端子をコネクタハウジングに組み付けることで光コネクタとして使用される。この光コネクタを、他の光コネクタのコネクタハウジングや、FOT(Fiber Optic Transceiver )を備えた基板用光コネクタのコネクタハウジングに接続することで、信号伝送路が形成される。
特に、光ファイバ端子としては、特許文献2に開示のように、フェルールに、光ファイバ挿通孔と、フェルール側面側から光ファイバ挿通孔に連通する開口部とを形成し、光ファイバ挿通孔に光ファイバを挿通させた状態で、開口部に、光ファイバの挿通方向に溝を有する横断面コ字状の光ファイバ固定部品を嵌入して、光ファイバ固定部品の溝内に光ファイバを圧接固定させることで光ファイバをフェルールに抜け止め固定する構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3813496号公報
【特許文献2】特開2002−107573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記光コネクタにおいては、コネクタハウジングにヒビ等が生じてコネクタハウジング内に水が浸入すると、フェルールにおいても開口部と光ファイバ固定部品との隙間から水が浸入し、これが光ファイバを伝って対向する光ファイバの端面間やレンズと光ファイバの端面との間に入り込むおそれがある。これにより、光ファイバの端面やFOTに備えたレンズに結露を生じさせて光信号を損失させたり、光軸にずれが生じたりして通信障害の原因になる。また、結露が蒸発して光ファイバの端面やレンズに異物が残ることで同様の不具合を引き起こすおそれもある。このような不具合は、砂や塵埃、花粉等の侵入によっても起こり得る。
【0005】
そこで、本発明は、水等の異物の侵入による結露等の不具合の発生を防止して、信頼性の高い光ファイバ端子及び光コネクタ、基板用光コネクタを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光ファイバと、その光ファイバの端末を挿通させる挿通孔を軸心に有すると共に、側面に挿通孔に連通する嵌合孔を形成したフェルールと、そのフェルールの嵌合孔に嵌合され、当該嵌合状態で挿通孔を挿通する光ファイバを保持するファイバクランプと、を含んでなる光ファイバ端子であって、フェルールの嵌合孔の内面と、ファイバクランプにおける嵌合孔の内面と当接する外面との少なくとも一方に、吸水性物質からなり、ファイバクランプの嵌合孔への嵌合状態でファイバクランプと嵌合孔との間を閉塞する吸水面を形成したことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、吸水面は、吸水性樹脂を塗布することで形成されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1の構成において、吸水面は、吸水性樹脂からなるテープを貼着することで形成されることを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、光ファイバと、その光ファイバの端末を挿通させる挿通孔を軸心に有すると共に、側面に挿通孔に連通する嵌合孔を形成したフェルールと、そのフェルールの嵌合孔に嵌合され、当該嵌合状態で挿通孔を挿通する光ファイバを保持するファイバクランプと、を含んでなる光ファイバ端子であって、フェルールの嵌合孔の内面と、ファイバクランプにおける嵌合孔の内面と当接する外面との少なくとも一方に、ファイバクランプの嵌合孔への嵌合状態でファイバクランプと嵌合孔との間に侵入した水や塵埃等の異物を保持する保持部を形成したことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4の構成において、保持部は、互いに平行な複数の溝で形成されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4の構成において、保持部は、嵌合孔の内面又はファイバクランプの外面に形成される凹部としたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の構成において、フェルールの端面に露出する光ファイバの端面に、結露防止膜を形成したことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の光ファイバ端子と、その光ファイバ端子のフェルールを差し込み接続するコネクタハウジングとからなる光コネクタであって、コネクタハウジングにおける相手側のコネクタハウジングと結合した際の相手側との当接面に、吸水性物質からなり、結合状態でのコネクタハウジング同士の間を閉塞する吸水面を形成したことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8の構成において、吸水面は、吸水性樹脂を塗布することで形成されることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項8の構成において、吸水面は、吸水性樹脂からなるテープを貼着することで形成されることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項8乃至10の何れかに記載の構成において、光ファイバ端子のフェルールの端面に露出する光ファイバの端面に、結露防止膜を形成したことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項12に記載の発明は、FOTを取り付けた基板上に組み付けられてFOT及びレンズを保持する基板用コネクタハウジングを有し、基板用コネクタハウジングに、請求項8乃至11の何れかに記載の光コネクタのコネクタハウジングを結合可能な基板用光コネクタであって、基板用コネクタハウジングにおける相手側のコネクタハウジングと結合した際の相手側との当接面に、吸水性物質からなり、結合状態でのコネクタハウジング同士の間を閉塞する吸水面を形成したことを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項12の構成において、吸水面は、吸水性樹脂を塗布することで形成されることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項12の構成において、吸水面は、吸水性樹脂からなるテープを貼着することで形成されることを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項12乃至14の何れかに記載の構成において、レンズの表面に、結露防止膜を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1,4,8,12に記載の発明によれば、吸水面や保持部の形成により、光ファイバ端子や光コネクタの接続部分への水や塵埃等の異物が侵入するおそれが低減され、高い防水性、防塵性が確保できる。よって、水等の異物の侵入による結露等の不具合の発生を防止して、信頼性の高い光ファイバ端子及び光コネクタが得られる。
請求項2,9,13に記載の発明によれば、上記効果に加えて、吸水性樹脂の塗布によって吸水面を簡単に形成することができる。
請求項3,10,14に記載の発明によれば、上記効果に加えて、テープの貼着によって吸水面を簡単に形成することができる。
請求項5,6に記載の発明によれば、上記効果に加えて、溝や凹部によって保持部を簡単に形成することができる。
請求項7,11,15に記載の発明によれば、上記効果に加えて、結露防止膜の形成により、例え水が侵入しても結露の発生を好適に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】形態1の光ファイバ端子及び光コネクタの分解斜視図である。
【図2】形態1の光ファイバ端子の斜視図である。
【図3】形態1の光コネクタの斜視図で、(A)が結合前、(B)が結合状態をそれぞれ示す。
【図4】形態1の光コネクタの結合状態の説明図で、(A)が平面、(B)が側面をそれぞれ示す。
【図5】(A)は図4のA−A線断面図、(B)は図4のB−B線断面図である。
【図6】(A)は図4のC−C線断面図、(B)は図5のD−D線断面図、(C)は図5のE−E線断面図である。
【図7】形態2の光ファイバ端子及び基板用光コネクタの分解斜視図である。
【図8】形態2の基板用光コネクタと光コネクタとの結合状態の斜視図である。
【図9】形態2の基板用光コネクタと光コネクタとの結合状態の説明図で、(A)が平面、(B)が側面をそれぞれ示す。
【図10】(A)は図9のF−F線断面図、(B)は図9のG−G線断面図、(C)は図9のH−H線断面図である。
【図11】ファイバクランプの変更例を示す斜視図である。
【図12】ファイバクランプの変更例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[形態1]
図1は、光ファイバ端子及び光コネクタの一例を示す分解斜視図で、ここでは光ファイバ同士の接続を行っている。
まず光ファイバ端子1は、光ファイバ2と、光ファイバ2の端末が挿通される合成樹脂(PPS等)製のフェルール3と、フェルール3に嵌合される合成樹脂製のファイバクランプ4と、フェルール3と光ファイバ2とに跨ってカシメられる金属製のカシメ用リング5と、光ファイバ2に外装されるゴム製のブーツ6と、を含んでなる。なお、光ファイバ端子1は光コネクタに一対ずつ並設されているが、何れも同じ構成であるため一つの光ファイバ端子1のみについて説明する。
【0013】
光ファイバ2は、軸心に位置するファイバ芯線2aの外周に、ナイロン等の芯線被覆部2bを外装し、芯線被覆部2bの外周に、アラミド樹脂繊維等の図示しない抗張力体を介してケーブル外皮部2cを外装してなる。光ファイバ2の端末では、芯線被覆部2bとケーブル外皮部2cとがそれぞれ所定長さずつ除去されて、ファイバ芯線2aと芯線被覆部2bとが段階的に露出するようになっている。また、ファイバ芯線2aの端面には、例えば界面活性剤を含む有機ポリマーからなる組成物を塗布することで、結露防止膜が形成されている。
【0014】
フェルール3は、軸心に挿通孔7を貫通形成した円筒状で、前方部には、フランジ部8及びくびれ部9が形成される一方、後方部には、溝部10が形成されている。また、くびれ部9と溝部10との間でフェルール3の側面には、軸方向に長い四角形状に開口して挿通孔7と連通する嵌合孔11が形成されて、嵌合孔11の左右の内面の前後端には、図5及び図6(C)にも示すように、係止凹部12,12・・がそれぞれ凹設されている。
ファイバクランプ4は、平面視が嵌合孔11と同じ四角形状となるブロック体で、上面は、嵌合孔11への嵌合状態でフェルール3の周面と連続する曲面に形成される一方、下面には、フェルール3の軸線と平行で、光ファイバ2の芯線被覆部2bが嵌合可能な保持溝13が形成されている。また、ファイバクランプ4の左右の側面の前後端には、図5(A)及び図6(C)にも示すように、嵌合孔11への嵌合状態で係止凹部12に係止する係止爪14,14がそれぞれ突設されている。
【0015】
さらに、ファイバクランプ4において、嵌合孔11への嵌合状態で嵌合孔11の内面と当接する左右の側面及び前後の端面には、吸水性物質としての吸水性樹脂の塗布によって吸水面15がそれぞれ形成されている。この吸水性樹脂には、ポリマー、CMC(カルボキシルメチルセルロース)、ポリビニルアルコール(PVA)等が用いられる。
【0016】
よって、光ファイバ端子1は、光ファイバ2をブーツ6に挿通させて、ファイバ芯線2a及び芯線被覆部2bをそれぞれ露出させた端末をフェルール3の挿通孔7に差し込み、ファイバ芯線2aの端面をフェルール3の前端面と略同一平面上に位置させる。このとき、芯線被覆部2bは嵌合孔11を軸方向に横切る一方、ケーブル外皮部2cはフェルール3の後端面に当接する。なお、挿通孔7の底面には、図6(C)に示すように、芯線被覆部2bを位置決めする受部16が軸線方向に突設されて、芯線被覆部2bを軸線上に位置決め可能となっている。
次に、ファイバクランプ4を、保持溝13を下にして嵌合孔11に嵌合させ、係止爪14が係止凹部12に係止するまで押し込む。すると、ファイバクランプ4の保持溝13が受部16上の芯線被覆部2bに上方から嵌合して保持することになる。
【0017】
そして、フェルール3の後方部に抗張力体を外装させ、カシメ用リング5を、抗張力体が外装されたフェルール3の後方部とケーブル外皮部2cとに跨がった状態でかしめる。最後にカシメ用リング5の後方部にブーツ6の前端を外装させれば、図2に示すように光ファイバ端子1の組付けが完了する。この状態で、フェルール3の上面において、ファイバクランプ4と嵌合孔11との間には吸水面15が介在されることになる。
【0018】
この光ファイバ端子1は、図3,4にも示すコネクタハウジングとしてのメスハウジング21及びオスハウジング41に結合することで、光コネクタ20,40として使用できる。この光コネクタ20,40同士を結合させると、図5に示すように、互いの光ファイバ2のファイバ芯線2aの端面同士が対向する接続状態となり、信号伝送路が形成される。
まず、メスハウジング21は、後方部に一対の光ファイバ端子1,1を差し込み可能な一対の保持筒22,22を並設し、前方部にオスハウジング41を差し込み可能な受け筒23を形成してなる。保持筒22の前方部分は、受け筒23内に突出して受け筒23内と連通している。また、保持筒22の内径は、差し込まれた光ファイバ端子1のフェルール3の先端部のみが挿通する小径部24と、フランジ部8を含む後方部分が挿通する大径部25との二段形状となって、小径部24と大径部25との間の段部にフランジ部8が当接してフェルール3の位置決めがされるようになっている。
【0019】
さらに、保持筒22の下面における段部の後方部位には、左右方向にスリット26が形成されて、スリット26からロックキー27を差し込み可能となっている。このロックキー27は、図1及び図6(B)に示すように、各フェルール3のくびれ部9に係合するU字状の切込み28,28を有した板状体で、左右両側の上端には、保持筒22に形成された透孔29を貫通してメスハウジング21の上面に係止する左右一対の外係止爪30,30が形成されている。また、ロックキー27の中央部にも、図6(A)に示すように、保持筒22,22の間に形成された透孔31を貫通してメスハウジング21の上面に係止する内係止爪32が形成されている。
【0020】
すなわち、各保持筒22に光ファイバ端子1をそれぞれ差し込んだ状態で、ロックキー27をメスハウジング21の下方からスリット26に差し込むと、切込み28,28が左右のフェルール3のくびれ部9にそれぞれ係合して光ファイバ端子1を抜け止めすると共に、外係止爪30及び内係止爪32がメスハウジング21の上面にそれぞれ係止してロックキー27が抜け止めされることになる。
一方、受け筒23における左右の内面には、前後方向の突条33,33・・が、上下方向に等間隔をおいて突設されており、上側の内面の前方部分には、図6(A)に示すように係止突起34が突設されている。
【0021】
次に、オスハウジング41は、一対の光ファイバ端子1,1をそれぞれ差し込み可能な一対の保持孔42,42を並設した四角筒状で、各保持孔42の前方部内面には、図5に示すように、差し込まれたフェルール3のフランジ部8が当接してフェルール3の位置決めをする突条43が周設されている。また、オスハウジング41の下面には、差し込まれたフェルール3,3のくびれ部9,9の位置に合わせてスリット44が左右方向に形成されており、このスリット44から同じくロックキー27を下方から差し込むことで、フェルール3を抜け止め固定可能となっている。45,45は、ロックキー27の外係止爪30に対応してオスハウジング41の左右に設けられた透孔、46は、内係止爪32に対応してオスハウジング41の中央に設けられた透孔である。
【0022】
すなわち、各保持孔42に光ファイバ端子1をそれぞれ差し込んだ状態で、ロックキー27をオスハウジング41の下方からスリット44に差し込むと、切込み28,28が左右のフェルール3のくびれ部9にそれぞれ係合して光ファイバ端子1を抜け止めすると共に、外係止爪30及び内係止爪32がオスハウジング41の上面にそれぞれ係止してロックキー27が抜け止めされることになる。
一方、オスハウジング41の左右の側面には、メスハウジング21の受け筒23への差し込み状態で受け筒23の左右内面の突条33が嵌合するガイド溝47がそれぞれ凹設されて、オスハウジング41の上面中央には、受け筒23への差し込み状態で受け筒23の係止突起34が係止する係止孔48が凹設されている。
【0023】
よって、光コネクタ20,40においては、一方の光コネクタ20のメスハウジング21の受け筒23に、他方の光コネクタ40のオスハウジング41を差し込んで、オスハウジング41の係止孔48にメスハウジング21の係止突起34が係止するまで受け筒23内へ押し込む。すると、図5に示すように、オスハウジング41の前端面が受け筒23の後端面に当接する。この結合状態で、メスハウジング21側の保持筒22の前端が、オスハウジング41側の保持孔42の前方部に差し込まれ、フェルール3の前端部が保持筒22に挿通して、対向する光ファイバ2,2のファイバ芯線2a,2aの端面同士が近接する。
【0024】
そして、ここでは、メスハウジング21とオスハウジング41とにおいて、両者の結合状態で互いに当接する当接面にも、ファイバクランプ4と同じ吸水性樹脂の塗布による吸水面が介在されている。具体的には、メスハウジング21の受け筒23の内面全体と、受け筒23内に突出する各保持筒22の前端部の外周面及び前端面と、各保持筒22の前端からスリット26までの内周面とに吸水面49,49・・がそれぞれ形成されるものである。
【0025】
このように、上記形態1の光ファイバ端子1及び光コネクタ20,40によれば、ファイバクランプ4における嵌合孔11の内面と当接する外面に、吸水性樹脂からなり、ファイバクランプ4の嵌合孔11への嵌合状態でファイバクランプ4と嵌合孔11との間を閉塞する吸水面15を形成すると共に、メスハウジング21における相手側のオスハウジング41と結合した際の相手側との当接面に、吸水性樹脂からなり、結合状態でのハウジング21,41同士の間を閉塞する吸水面49を形成したことで、光ファイバ端子1や光コネクタ20,40の接続部分への水や塵埃等の異物が侵入するおそれが低減され、高い防水性、防塵性が確保できる。よって、水等の異物の侵入による結露等の不具合の発生を防止して、信頼性の高い光ファイバ端子1及び光コネクタ20,40が得られる。
【0026】
特にここでは、吸水面15,49を、吸水性樹脂を塗布することで形成しているので、吸水面15,49が簡単に形成可能となっている。
また、フェルール3の端面に露出する光ファイバ2のファイバ芯線2aの端面に、結露防止膜を形成しているので、例えファイバ芯線2aの端面に水が侵入しても結露の発生を好適に防止することができる。
【0027】
[形態2]
次に、本発明の他の形態を説明する。但し、形態1と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
図7は、基板用光コネクタ60及び光コネクタ40の一例を示す分解斜視図である。まず光コネクタ40は形態1で説明したものと同様で、一対の光ファイバ端子1,1をオスハウジング41に差込結合してなる。但し、ここで用いられるフェルール3にはくびれ部が設けられず、嵌合孔11が形成される大径の胴部が、オスハウジング41の保持孔42内で突条43に当接して位置決めされている。また、オスハウジング41の上面で左右方向の中央には、長手方向に沿って突条50が形成されて、突条50の上面に突起51が設けられる一方、突条50の左右にも、左右方向に長い係止突起52,52がそれぞれ突設されている。
【0028】
53は基板で、周知のFOT(Fiber Optic Transceiver )54を備えて通信回路が形成され、FOT54の前面(基板用光コネクタ60においては図7の右側(光コネクタ40の差し込み側)を前方として説明する。)には、一対のレンズ55,55が一体に設けられている。ここでもレンズ55の送受光面となる前端面と、光コネクタ40の光ファイバ端子1のファイバ芯線2aの端面とには、例えば界面活性剤を含む有機ポリマーからなる組成物を塗布することで、結露防止膜が形成されている。
基板53に組み付けられる基板用光コネクタ60は、光コネクタ40が結合可能なコネクタハウジングとしてのメスハウジング61と、メスハウジング61の上方から基板53に組み付けられてメスハウジング61を基板53と一体化させるメタルケース62とを備えている。
【0029】
メスハウジング61は、光コネクタ40のオスハウジング41と結合される前受け部63と、FOT61と結合される後受け部64とからなる角筒状で、前受け部63と後受け部64との間には、光コネクタ40側からフェルール3,3が、FOT54側からレンズ55,55がそれぞれ差し込まれる一対の連結筒65,65が一体に形成されている。また、メスハウジング61の上面で左右方向の中央には、長手方向に沿ってスリット66が形成され、スリット66の左右には、左右方向に長い長円状の透孔67,67がそれぞれ穿設されている。オスハウジング41を差し込んだ状態では、スリット66にオスハウジング41の突条50が、透孔67にオスハウジング41の係止突起52がそれぞれ嵌合することになる。一方、メスハウジング61の左右の側面には、一方が縦向きで他方が横向きとなる一対の嵌合突起68,68が形成されている。
【0030】
一方、メタルケース62は、メスハウジング61の上面及び後面、左右の両側面を覆う金属製の箱状で、下端縁には、基板53に設けた差込孔56,56・・に対応して下方へ突出する脚部69,69・・がそれぞれ形成されている。また、メタルケース62の上面前方部には、組み付け状態で、メスハウジング61に結合したオスハウジング41の突起51が嵌合する角孔70が形成され、左右の両側面には、メスハウジング61に形成した嵌合突起68,68がする一対の透孔71,71がそれぞれ形成されている。
そして、メタルケース62の後面には、後受け部64へFOT54を収容した状態でFOT54の後面に当接してFOT54を前方へ押圧する板バネ部72,72が形成されている。
【0031】
よって、この基板用光コネクタ60においては、FOT54を備えた基板53に対してまずメスハウジング61を、後受け部54にFOT54が、レンズ55,55を連結筒65に後方から挿通させた状態で収容されるように組み付ける。次に、メスハウジング61の前方から光コネクタ40のオスハウジング41を、スリット66に突条50を合わせた状態で差し込む。すると、オスハウジング41側の係止突起52,52が、メスハウジング61側の透孔67,67に嵌合して両ハウジング41,61は結合される。このとき、各光ファイバ端子1のフェルール3は、図10に示すように、メスハウジング61の連結筒65に差し込まれてレンズ55,55と対向し、ファイバ芯線2aをレンズ55に近接させる。
【0032】
次に、メスハウジング61の上方からメタルケース62を被せて各脚部69を基板53の差込孔56にそれぞれ差し込んで組み付けると、図8,9に示すように、オスハウジング41の突起51がメタルケース62の角孔70に嵌合してオスハウジング41を抜け止めすると共に、メスハウジング61の嵌合突起68が透孔71にそれぞれ嵌合してメスハウジング61と一体化される。このとき、メタルケース62の板バネ部72がFOT54を前方へ押圧するので、レンズ55とファイバ芯線2aとの近接状態は保持される。73は、メタルケース62の内側へ折曲形成され、連結筒65を除いてメスハウジング61の前受け部63と後受け部64との間に形成された隙間に差し込まれる差込片である。
【0033】
そして、ここでは、オスハウジング41とメスハウジング61とにおいて、両者の結合状態で互いに当接する当接面にも、ファイバクランプ4と同じ吸水性樹脂の塗布による吸水面が形成されている。具体的には、メスハウジング61の前受け部63の内面全体と、前受け部63内に突出する各連結筒65の前端部の外周面及び前端面と、各連結筒65の内周面と、後受け部54の内面全体とに吸水面74,74・・がそれぞれ形成されるものである。
【0034】
このように、上記形態2の光ファイバ端子1と、光コネクタ40及び基板用光コネクタ60とによれば、ファイバクランプ4における嵌合孔11の内面と当接する外面に、吸水性樹脂からなり、ファイバクランプ4の嵌合孔11への嵌合状態でファイバクランプ4と嵌合孔11との間を閉塞する吸水面15を形成すると共に、メスハウジング61における相手側のオスハウジング41と結合した際の相手側との当接面に、吸水性樹脂からなり、結合状態でのハウジング41,61同士の間を閉塞する吸水面74を形成したことで、光ファイバ端子1や光コネクタ40,60の接続部分への水や塵埃等の異物が侵入するおそれが低減され、高い防水性、防塵性が確保できる。よって、水等の異物の侵入による結露等の不具合の発生を防止して、信頼性の高い光ファイバ端子1及び光コネクタ40,60が得られる。
【0035】
なお、上記形態1,2では、吸水性樹脂を塗布することで吸水面を形成しているが、吸水面の形成はこれに限らず、吸水性樹脂からなるテープを貼着しても差し支えない。当該テープの貼着によっても吸水面が簡単に形成できる。また、吸水性樹脂に限らず、澱粉(T−α化澱粉、デキストリン、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉)等の他の吸水性物質を用いて塗布等しても差し支えない。
【0036】
また、このような吸水面の形成に代えて、シールしたい面に所定の保持部を形成することも可能である。例えばファイバクランプにおいては、図11に示すように、ファイバクランプ4の側面に、保持部となるV字状やU字状の複数の溝75,75・・を互いに平行に形成したり、図12に示すように、ファイバクランプ4の側面に保持部となる凹部76を形成したりすることで、侵入した水等を溝75や凹部76内で保持してフェルール3の内部側へ流れないようにすることが考えられる。この場合も光ファイバ端子1への水や塵埃等の異物が侵入するおそれが低減され、高い防水性、防塵性が確保でき、信頼性の高い光ファイバ端子1が得られる。
【0037】
なお、これらの保持部は可能であればファイバクランプの前後面に形成してもよいし、光コネクタのコネクタハウジング同士の当接面においても同様に形成できる。さらに、溝等の保持部の形成と、吸水性樹脂の塗布やテープの貼着による吸水面の形成とを同時に採用してもよい。このようにすれば、水分を含んで膨張した吸水性樹脂等の膨張体積を保持部で吸収することができる。
【0038】
一方、吸水面や保持部の形成は、上記形態の光ファイバ端子ではファイバクランプに対して行っているが、フェルールの嵌合孔の内面に対して行ってもよいし、両方において行ってもよい。同様に光コネクタにおいても、上記形態1,2ではメスハウジングにおけるオスハウジングとの当接面のみに吸水面を形成しているが、これと逆に、オスハウジングにおけるメスハウジングとの当接面のみに吸水面を形成したり、両ハウジングの当接面にそれぞれ吸水面を形成したりすることも可能である。
【0039】
そして、上記形態では、フェルールとファイバクランプとの間の吸水面の形成と、コネクタハウジングとの間の吸水面の形成とを同時に採用しているが、何れか一方のみとすることもできる。
また、吸水面をフェルールやコネクタハウジング等に直接形成する場合に限らず、例えばフェルールとファイバクランプとの間や、コネクタハウジング同士の間に、吸水性樹脂等の吸水性物質からなる別体のシール材を挟持させることで、防水性や防塵性を付与することも可能である。
さらに、ファイバクランプの内面と、当該内面と当接する光ファイバの外面との少なくとも一方に、吸水性樹脂の塗布等によって吸水面を形成して結露等の発生を防止することもできる。この場合、ファイバクランプの内面側に保持部を形成するのが望ましい。
【0040】
その他、各光コネクタの形態も、オスハウジングやメスハウジングの形状変更、例えば両ハウジングの係止(突起等)と被係止(透孔等)との関係を逆にしたり、両ハウジングの係止に係る突起や透孔の数を変更したり等、適宜設計変更可能である。これは基板用光コネクタにおいても同様で、メスハウジングやメタルケースの形状を変更するのは勿論、FOTとレンズとが別体で保持される場合でも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1・・光ファイバ端子、2・・光ファイバ、2a・・ファイバ芯線、3・・フェルール、4・・ファイバクランプ、7・・挿通孔、8・・フランジ部、9・・くびれ部、、11・・嵌合孔、13・・保持孔、15,49,74・・吸水面、20,40・・光コネクタ、21,61・・メスハウジング、22・・保持筒、23・・受け筒、27・・ロックキー、41・・オスハウジング、42・・保持孔、53・・基板、54・・FOT、55・・レンズ、60・・基板用光コネクタ、62・・メタルケース、63・・前受け部、64・・後受け部、65・・連結筒、72・・板バネ部、75・・溝、76・・凹部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等において信号伝送路として用いられる光ファイバ端子と、その光ファイバ端子を備えた光コネクタと、その光コネクタが結合される基板用光コネクタとに関する。
【背景技術】
【0002】
ノイズの影響が小さく、高速・大容量の情報通信が可能な光ファイバは、近年車両においても信号伝送路としてよく用いられている。この光ファイバは、特許文献1に開示のように、端末に筒状のフェルールを接続して光ファイバ端子とし、光ファイバ端子をコネクタハウジングに組み付けることで光コネクタとして使用される。この光コネクタを、他の光コネクタのコネクタハウジングや、FOT(Fiber Optic Transceiver )を備えた基板用光コネクタのコネクタハウジングに接続することで、信号伝送路が形成される。
特に、光ファイバ端子としては、特許文献2に開示のように、フェルールに、光ファイバ挿通孔と、フェルール側面側から光ファイバ挿通孔に連通する開口部とを形成し、光ファイバ挿通孔に光ファイバを挿通させた状態で、開口部に、光ファイバの挿通方向に溝を有する横断面コ字状の光ファイバ固定部品を嵌入して、光ファイバ固定部品の溝内に光ファイバを圧接固定させることで光ファイバをフェルールに抜け止め固定する構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3813496号公報
【特許文献2】特開2002−107573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記光コネクタにおいては、コネクタハウジングにヒビ等が生じてコネクタハウジング内に水が浸入すると、フェルールにおいても開口部と光ファイバ固定部品との隙間から水が浸入し、これが光ファイバを伝って対向する光ファイバの端面間やレンズと光ファイバの端面との間に入り込むおそれがある。これにより、光ファイバの端面やFOTに備えたレンズに結露を生じさせて光信号を損失させたり、光軸にずれが生じたりして通信障害の原因になる。また、結露が蒸発して光ファイバの端面やレンズに異物が残ることで同様の不具合を引き起こすおそれもある。このような不具合は、砂や塵埃、花粉等の侵入によっても起こり得る。
【0005】
そこで、本発明は、水等の異物の侵入による結露等の不具合の発生を防止して、信頼性の高い光ファイバ端子及び光コネクタ、基板用光コネクタを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光ファイバと、その光ファイバの端末を挿通させる挿通孔を軸心に有すると共に、側面に挿通孔に連通する嵌合孔を形成したフェルールと、そのフェルールの嵌合孔に嵌合され、当該嵌合状態で挿通孔を挿通する光ファイバを保持するファイバクランプと、を含んでなる光ファイバ端子であって、フェルールの嵌合孔の内面と、ファイバクランプにおける嵌合孔の内面と当接する外面との少なくとも一方に、吸水性物質からなり、ファイバクランプの嵌合孔への嵌合状態でファイバクランプと嵌合孔との間を閉塞する吸水面を形成したことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、吸水面は、吸水性樹脂を塗布することで形成されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1の構成において、吸水面は、吸水性樹脂からなるテープを貼着することで形成されることを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、光ファイバと、その光ファイバの端末を挿通させる挿通孔を軸心に有すると共に、側面に挿通孔に連通する嵌合孔を形成したフェルールと、そのフェルールの嵌合孔に嵌合され、当該嵌合状態で挿通孔を挿通する光ファイバを保持するファイバクランプと、を含んでなる光ファイバ端子であって、フェルールの嵌合孔の内面と、ファイバクランプにおける嵌合孔の内面と当接する外面との少なくとも一方に、ファイバクランプの嵌合孔への嵌合状態でファイバクランプと嵌合孔との間に侵入した水や塵埃等の異物を保持する保持部を形成したことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4の構成において、保持部は、互いに平行な複数の溝で形成されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4の構成において、保持部は、嵌合孔の内面又はファイバクランプの外面に形成される凹部としたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の構成において、フェルールの端面に露出する光ファイバの端面に、結露防止膜を形成したことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の光ファイバ端子と、その光ファイバ端子のフェルールを差し込み接続するコネクタハウジングとからなる光コネクタであって、コネクタハウジングにおける相手側のコネクタハウジングと結合した際の相手側との当接面に、吸水性物質からなり、結合状態でのコネクタハウジング同士の間を閉塞する吸水面を形成したことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8の構成において、吸水面は、吸水性樹脂を塗布することで形成されることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項8の構成において、吸水面は、吸水性樹脂からなるテープを貼着することで形成されることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項8乃至10の何れかに記載の構成において、光ファイバ端子のフェルールの端面に露出する光ファイバの端面に、結露防止膜を形成したことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項12に記載の発明は、FOTを取り付けた基板上に組み付けられてFOT及びレンズを保持する基板用コネクタハウジングを有し、基板用コネクタハウジングに、請求項8乃至11の何れかに記載の光コネクタのコネクタハウジングを結合可能な基板用光コネクタであって、基板用コネクタハウジングにおける相手側のコネクタハウジングと結合した際の相手側との当接面に、吸水性物質からなり、結合状態でのコネクタハウジング同士の間を閉塞する吸水面を形成したことを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項12の構成において、吸水面は、吸水性樹脂を塗布することで形成されることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項12の構成において、吸水面は、吸水性樹脂からなるテープを貼着することで形成されることを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項12乃至14の何れかに記載の構成において、レンズの表面に、結露防止膜を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1,4,8,12に記載の発明によれば、吸水面や保持部の形成により、光ファイバ端子や光コネクタの接続部分への水や塵埃等の異物が侵入するおそれが低減され、高い防水性、防塵性が確保できる。よって、水等の異物の侵入による結露等の不具合の発生を防止して、信頼性の高い光ファイバ端子及び光コネクタが得られる。
請求項2,9,13に記載の発明によれば、上記効果に加えて、吸水性樹脂の塗布によって吸水面を簡単に形成することができる。
請求項3,10,14に記載の発明によれば、上記効果に加えて、テープの貼着によって吸水面を簡単に形成することができる。
請求項5,6に記載の発明によれば、上記効果に加えて、溝や凹部によって保持部を簡単に形成することができる。
請求項7,11,15に記載の発明によれば、上記効果に加えて、結露防止膜の形成により、例え水が侵入しても結露の発生を好適に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】形態1の光ファイバ端子及び光コネクタの分解斜視図である。
【図2】形態1の光ファイバ端子の斜視図である。
【図3】形態1の光コネクタの斜視図で、(A)が結合前、(B)が結合状態をそれぞれ示す。
【図4】形態1の光コネクタの結合状態の説明図で、(A)が平面、(B)が側面をそれぞれ示す。
【図5】(A)は図4のA−A線断面図、(B)は図4のB−B線断面図である。
【図6】(A)は図4のC−C線断面図、(B)は図5のD−D線断面図、(C)は図5のE−E線断面図である。
【図7】形態2の光ファイバ端子及び基板用光コネクタの分解斜視図である。
【図8】形態2の基板用光コネクタと光コネクタとの結合状態の斜視図である。
【図9】形態2の基板用光コネクタと光コネクタとの結合状態の説明図で、(A)が平面、(B)が側面をそれぞれ示す。
【図10】(A)は図9のF−F線断面図、(B)は図9のG−G線断面図、(C)は図9のH−H線断面図である。
【図11】ファイバクランプの変更例を示す斜視図である。
【図12】ファイバクランプの変更例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[形態1]
図1は、光ファイバ端子及び光コネクタの一例を示す分解斜視図で、ここでは光ファイバ同士の接続を行っている。
まず光ファイバ端子1は、光ファイバ2と、光ファイバ2の端末が挿通される合成樹脂(PPS等)製のフェルール3と、フェルール3に嵌合される合成樹脂製のファイバクランプ4と、フェルール3と光ファイバ2とに跨ってカシメられる金属製のカシメ用リング5と、光ファイバ2に外装されるゴム製のブーツ6と、を含んでなる。なお、光ファイバ端子1は光コネクタに一対ずつ並設されているが、何れも同じ構成であるため一つの光ファイバ端子1のみについて説明する。
【0013】
光ファイバ2は、軸心に位置するファイバ芯線2aの外周に、ナイロン等の芯線被覆部2bを外装し、芯線被覆部2bの外周に、アラミド樹脂繊維等の図示しない抗張力体を介してケーブル外皮部2cを外装してなる。光ファイバ2の端末では、芯線被覆部2bとケーブル外皮部2cとがそれぞれ所定長さずつ除去されて、ファイバ芯線2aと芯線被覆部2bとが段階的に露出するようになっている。また、ファイバ芯線2aの端面には、例えば界面活性剤を含む有機ポリマーからなる組成物を塗布することで、結露防止膜が形成されている。
【0014】
フェルール3は、軸心に挿通孔7を貫通形成した円筒状で、前方部には、フランジ部8及びくびれ部9が形成される一方、後方部には、溝部10が形成されている。また、くびれ部9と溝部10との間でフェルール3の側面には、軸方向に長い四角形状に開口して挿通孔7と連通する嵌合孔11が形成されて、嵌合孔11の左右の内面の前後端には、図5及び図6(C)にも示すように、係止凹部12,12・・がそれぞれ凹設されている。
ファイバクランプ4は、平面視が嵌合孔11と同じ四角形状となるブロック体で、上面は、嵌合孔11への嵌合状態でフェルール3の周面と連続する曲面に形成される一方、下面には、フェルール3の軸線と平行で、光ファイバ2の芯線被覆部2bが嵌合可能な保持溝13が形成されている。また、ファイバクランプ4の左右の側面の前後端には、図5(A)及び図6(C)にも示すように、嵌合孔11への嵌合状態で係止凹部12に係止する係止爪14,14がそれぞれ突設されている。
【0015】
さらに、ファイバクランプ4において、嵌合孔11への嵌合状態で嵌合孔11の内面と当接する左右の側面及び前後の端面には、吸水性物質としての吸水性樹脂の塗布によって吸水面15がそれぞれ形成されている。この吸水性樹脂には、ポリマー、CMC(カルボキシルメチルセルロース)、ポリビニルアルコール(PVA)等が用いられる。
【0016】
よって、光ファイバ端子1は、光ファイバ2をブーツ6に挿通させて、ファイバ芯線2a及び芯線被覆部2bをそれぞれ露出させた端末をフェルール3の挿通孔7に差し込み、ファイバ芯線2aの端面をフェルール3の前端面と略同一平面上に位置させる。このとき、芯線被覆部2bは嵌合孔11を軸方向に横切る一方、ケーブル外皮部2cはフェルール3の後端面に当接する。なお、挿通孔7の底面には、図6(C)に示すように、芯線被覆部2bを位置決めする受部16が軸線方向に突設されて、芯線被覆部2bを軸線上に位置決め可能となっている。
次に、ファイバクランプ4を、保持溝13を下にして嵌合孔11に嵌合させ、係止爪14が係止凹部12に係止するまで押し込む。すると、ファイバクランプ4の保持溝13が受部16上の芯線被覆部2bに上方から嵌合して保持することになる。
【0017】
そして、フェルール3の後方部に抗張力体を外装させ、カシメ用リング5を、抗張力体が外装されたフェルール3の後方部とケーブル外皮部2cとに跨がった状態でかしめる。最後にカシメ用リング5の後方部にブーツ6の前端を外装させれば、図2に示すように光ファイバ端子1の組付けが完了する。この状態で、フェルール3の上面において、ファイバクランプ4と嵌合孔11との間には吸水面15が介在されることになる。
【0018】
この光ファイバ端子1は、図3,4にも示すコネクタハウジングとしてのメスハウジング21及びオスハウジング41に結合することで、光コネクタ20,40として使用できる。この光コネクタ20,40同士を結合させると、図5に示すように、互いの光ファイバ2のファイバ芯線2aの端面同士が対向する接続状態となり、信号伝送路が形成される。
まず、メスハウジング21は、後方部に一対の光ファイバ端子1,1を差し込み可能な一対の保持筒22,22を並設し、前方部にオスハウジング41を差し込み可能な受け筒23を形成してなる。保持筒22の前方部分は、受け筒23内に突出して受け筒23内と連通している。また、保持筒22の内径は、差し込まれた光ファイバ端子1のフェルール3の先端部のみが挿通する小径部24と、フランジ部8を含む後方部分が挿通する大径部25との二段形状となって、小径部24と大径部25との間の段部にフランジ部8が当接してフェルール3の位置決めがされるようになっている。
【0019】
さらに、保持筒22の下面における段部の後方部位には、左右方向にスリット26が形成されて、スリット26からロックキー27を差し込み可能となっている。このロックキー27は、図1及び図6(B)に示すように、各フェルール3のくびれ部9に係合するU字状の切込み28,28を有した板状体で、左右両側の上端には、保持筒22に形成された透孔29を貫通してメスハウジング21の上面に係止する左右一対の外係止爪30,30が形成されている。また、ロックキー27の中央部にも、図6(A)に示すように、保持筒22,22の間に形成された透孔31を貫通してメスハウジング21の上面に係止する内係止爪32が形成されている。
【0020】
すなわち、各保持筒22に光ファイバ端子1をそれぞれ差し込んだ状態で、ロックキー27をメスハウジング21の下方からスリット26に差し込むと、切込み28,28が左右のフェルール3のくびれ部9にそれぞれ係合して光ファイバ端子1を抜け止めすると共に、外係止爪30及び内係止爪32がメスハウジング21の上面にそれぞれ係止してロックキー27が抜け止めされることになる。
一方、受け筒23における左右の内面には、前後方向の突条33,33・・が、上下方向に等間隔をおいて突設されており、上側の内面の前方部分には、図6(A)に示すように係止突起34が突設されている。
【0021】
次に、オスハウジング41は、一対の光ファイバ端子1,1をそれぞれ差し込み可能な一対の保持孔42,42を並設した四角筒状で、各保持孔42の前方部内面には、図5に示すように、差し込まれたフェルール3のフランジ部8が当接してフェルール3の位置決めをする突条43が周設されている。また、オスハウジング41の下面には、差し込まれたフェルール3,3のくびれ部9,9の位置に合わせてスリット44が左右方向に形成されており、このスリット44から同じくロックキー27を下方から差し込むことで、フェルール3を抜け止め固定可能となっている。45,45は、ロックキー27の外係止爪30に対応してオスハウジング41の左右に設けられた透孔、46は、内係止爪32に対応してオスハウジング41の中央に設けられた透孔である。
【0022】
すなわち、各保持孔42に光ファイバ端子1をそれぞれ差し込んだ状態で、ロックキー27をオスハウジング41の下方からスリット44に差し込むと、切込み28,28が左右のフェルール3のくびれ部9にそれぞれ係合して光ファイバ端子1を抜け止めすると共に、外係止爪30及び内係止爪32がオスハウジング41の上面にそれぞれ係止してロックキー27が抜け止めされることになる。
一方、オスハウジング41の左右の側面には、メスハウジング21の受け筒23への差し込み状態で受け筒23の左右内面の突条33が嵌合するガイド溝47がそれぞれ凹設されて、オスハウジング41の上面中央には、受け筒23への差し込み状態で受け筒23の係止突起34が係止する係止孔48が凹設されている。
【0023】
よって、光コネクタ20,40においては、一方の光コネクタ20のメスハウジング21の受け筒23に、他方の光コネクタ40のオスハウジング41を差し込んで、オスハウジング41の係止孔48にメスハウジング21の係止突起34が係止するまで受け筒23内へ押し込む。すると、図5に示すように、オスハウジング41の前端面が受け筒23の後端面に当接する。この結合状態で、メスハウジング21側の保持筒22の前端が、オスハウジング41側の保持孔42の前方部に差し込まれ、フェルール3の前端部が保持筒22に挿通して、対向する光ファイバ2,2のファイバ芯線2a,2aの端面同士が近接する。
【0024】
そして、ここでは、メスハウジング21とオスハウジング41とにおいて、両者の結合状態で互いに当接する当接面にも、ファイバクランプ4と同じ吸水性樹脂の塗布による吸水面が介在されている。具体的には、メスハウジング21の受け筒23の内面全体と、受け筒23内に突出する各保持筒22の前端部の外周面及び前端面と、各保持筒22の前端からスリット26までの内周面とに吸水面49,49・・がそれぞれ形成されるものである。
【0025】
このように、上記形態1の光ファイバ端子1及び光コネクタ20,40によれば、ファイバクランプ4における嵌合孔11の内面と当接する外面に、吸水性樹脂からなり、ファイバクランプ4の嵌合孔11への嵌合状態でファイバクランプ4と嵌合孔11との間を閉塞する吸水面15を形成すると共に、メスハウジング21における相手側のオスハウジング41と結合した際の相手側との当接面に、吸水性樹脂からなり、結合状態でのハウジング21,41同士の間を閉塞する吸水面49を形成したことで、光ファイバ端子1や光コネクタ20,40の接続部分への水や塵埃等の異物が侵入するおそれが低減され、高い防水性、防塵性が確保できる。よって、水等の異物の侵入による結露等の不具合の発生を防止して、信頼性の高い光ファイバ端子1及び光コネクタ20,40が得られる。
【0026】
特にここでは、吸水面15,49を、吸水性樹脂を塗布することで形成しているので、吸水面15,49が簡単に形成可能となっている。
また、フェルール3の端面に露出する光ファイバ2のファイバ芯線2aの端面に、結露防止膜を形成しているので、例えファイバ芯線2aの端面に水が侵入しても結露の発生を好適に防止することができる。
【0027】
[形態2]
次に、本発明の他の形態を説明する。但し、形態1と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
図7は、基板用光コネクタ60及び光コネクタ40の一例を示す分解斜視図である。まず光コネクタ40は形態1で説明したものと同様で、一対の光ファイバ端子1,1をオスハウジング41に差込結合してなる。但し、ここで用いられるフェルール3にはくびれ部が設けられず、嵌合孔11が形成される大径の胴部が、オスハウジング41の保持孔42内で突条43に当接して位置決めされている。また、オスハウジング41の上面で左右方向の中央には、長手方向に沿って突条50が形成されて、突条50の上面に突起51が設けられる一方、突条50の左右にも、左右方向に長い係止突起52,52がそれぞれ突設されている。
【0028】
53は基板で、周知のFOT(Fiber Optic Transceiver )54を備えて通信回路が形成され、FOT54の前面(基板用光コネクタ60においては図7の右側(光コネクタ40の差し込み側)を前方として説明する。)には、一対のレンズ55,55が一体に設けられている。ここでもレンズ55の送受光面となる前端面と、光コネクタ40の光ファイバ端子1のファイバ芯線2aの端面とには、例えば界面活性剤を含む有機ポリマーからなる組成物を塗布することで、結露防止膜が形成されている。
基板53に組み付けられる基板用光コネクタ60は、光コネクタ40が結合可能なコネクタハウジングとしてのメスハウジング61と、メスハウジング61の上方から基板53に組み付けられてメスハウジング61を基板53と一体化させるメタルケース62とを備えている。
【0029】
メスハウジング61は、光コネクタ40のオスハウジング41と結合される前受け部63と、FOT61と結合される後受け部64とからなる角筒状で、前受け部63と後受け部64との間には、光コネクタ40側からフェルール3,3が、FOT54側からレンズ55,55がそれぞれ差し込まれる一対の連結筒65,65が一体に形成されている。また、メスハウジング61の上面で左右方向の中央には、長手方向に沿ってスリット66が形成され、スリット66の左右には、左右方向に長い長円状の透孔67,67がそれぞれ穿設されている。オスハウジング41を差し込んだ状態では、スリット66にオスハウジング41の突条50が、透孔67にオスハウジング41の係止突起52がそれぞれ嵌合することになる。一方、メスハウジング61の左右の側面には、一方が縦向きで他方が横向きとなる一対の嵌合突起68,68が形成されている。
【0030】
一方、メタルケース62は、メスハウジング61の上面及び後面、左右の両側面を覆う金属製の箱状で、下端縁には、基板53に設けた差込孔56,56・・に対応して下方へ突出する脚部69,69・・がそれぞれ形成されている。また、メタルケース62の上面前方部には、組み付け状態で、メスハウジング61に結合したオスハウジング41の突起51が嵌合する角孔70が形成され、左右の両側面には、メスハウジング61に形成した嵌合突起68,68がする一対の透孔71,71がそれぞれ形成されている。
そして、メタルケース62の後面には、後受け部64へFOT54を収容した状態でFOT54の後面に当接してFOT54を前方へ押圧する板バネ部72,72が形成されている。
【0031】
よって、この基板用光コネクタ60においては、FOT54を備えた基板53に対してまずメスハウジング61を、後受け部54にFOT54が、レンズ55,55を連結筒65に後方から挿通させた状態で収容されるように組み付ける。次に、メスハウジング61の前方から光コネクタ40のオスハウジング41を、スリット66に突条50を合わせた状態で差し込む。すると、オスハウジング41側の係止突起52,52が、メスハウジング61側の透孔67,67に嵌合して両ハウジング41,61は結合される。このとき、各光ファイバ端子1のフェルール3は、図10に示すように、メスハウジング61の連結筒65に差し込まれてレンズ55,55と対向し、ファイバ芯線2aをレンズ55に近接させる。
【0032】
次に、メスハウジング61の上方からメタルケース62を被せて各脚部69を基板53の差込孔56にそれぞれ差し込んで組み付けると、図8,9に示すように、オスハウジング41の突起51がメタルケース62の角孔70に嵌合してオスハウジング41を抜け止めすると共に、メスハウジング61の嵌合突起68が透孔71にそれぞれ嵌合してメスハウジング61と一体化される。このとき、メタルケース62の板バネ部72がFOT54を前方へ押圧するので、レンズ55とファイバ芯線2aとの近接状態は保持される。73は、メタルケース62の内側へ折曲形成され、連結筒65を除いてメスハウジング61の前受け部63と後受け部64との間に形成された隙間に差し込まれる差込片である。
【0033】
そして、ここでは、オスハウジング41とメスハウジング61とにおいて、両者の結合状態で互いに当接する当接面にも、ファイバクランプ4と同じ吸水性樹脂の塗布による吸水面が形成されている。具体的には、メスハウジング61の前受け部63の内面全体と、前受け部63内に突出する各連結筒65の前端部の外周面及び前端面と、各連結筒65の内周面と、後受け部54の内面全体とに吸水面74,74・・がそれぞれ形成されるものである。
【0034】
このように、上記形態2の光ファイバ端子1と、光コネクタ40及び基板用光コネクタ60とによれば、ファイバクランプ4における嵌合孔11の内面と当接する外面に、吸水性樹脂からなり、ファイバクランプ4の嵌合孔11への嵌合状態でファイバクランプ4と嵌合孔11との間を閉塞する吸水面15を形成すると共に、メスハウジング61における相手側のオスハウジング41と結合した際の相手側との当接面に、吸水性樹脂からなり、結合状態でのハウジング41,61同士の間を閉塞する吸水面74を形成したことで、光ファイバ端子1や光コネクタ40,60の接続部分への水や塵埃等の異物が侵入するおそれが低減され、高い防水性、防塵性が確保できる。よって、水等の異物の侵入による結露等の不具合の発生を防止して、信頼性の高い光ファイバ端子1及び光コネクタ40,60が得られる。
【0035】
なお、上記形態1,2では、吸水性樹脂を塗布することで吸水面を形成しているが、吸水面の形成はこれに限らず、吸水性樹脂からなるテープを貼着しても差し支えない。当該テープの貼着によっても吸水面が簡単に形成できる。また、吸水性樹脂に限らず、澱粉(T−α化澱粉、デキストリン、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉)等の他の吸水性物質を用いて塗布等しても差し支えない。
【0036】
また、このような吸水面の形成に代えて、シールしたい面に所定の保持部を形成することも可能である。例えばファイバクランプにおいては、図11に示すように、ファイバクランプ4の側面に、保持部となるV字状やU字状の複数の溝75,75・・を互いに平行に形成したり、図12に示すように、ファイバクランプ4の側面に保持部となる凹部76を形成したりすることで、侵入した水等を溝75や凹部76内で保持してフェルール3の内部側へ流れないようにすることが考えられる。この場合も光ファイバ端子1への水や塵埃等の異物が侵入するおそれが低減され、高い防水性、防塵性が確保でき、信頼性の高い光ファイバ端子1が得られる。
【0037】
なお、これらの保持部は可能であればファイバクランプの前後面に形成してもよいし、光コネクタのコネクタハウジング同士の当接面においても同様に形成できる。さらに、溝等の保持部の形成と、吸水性樹脂の塗布やテープの貼着による吸水面の形成とを同時に採用してもよい。このようにすれば、水分を含んで膨張した吸水性樹脂等の膨張体積を保持部で吸収することができる。
【0038】
一方、吸水面や保持部の形成は、上記形態の光ファイバ端子ではファイバクランプに対して行っているが、フェルールの嵌合孔の内面に対して行ってもよいし、両方において行ってもよい。同様に光コネクタにおいても、上記形態1,2ではメスハウジングにおけるオスハウジングとの当接面のみに吸水面を形成しているが、これと逆に、オスハウジングにおけるメスハウジングとの当接面のみに吸水面を形成したり、両ハウジングの当接面にそれぞれ吸水面を形成したりすることも可能である。
【0039】
そして、上記形態では、フェルールとファイバクランプとの間の吸水面の形成と、コネクタハウジングとの間の吸水面の形成とを同時に採用しているが、何れか一方のみとすることもできる。
また、吸水面をフェルールやコネクタハウジング等に直接形成する場合に限らず、例えばフェルールとファイバクランプとの間や、コネクタハウジング同士の間に、吸水性樹脂等の吸水性物質からなる別体のシール材を挟持させることで、防水性や防塵性を付与することも可能である。
さらに、ファイバクランプの内面と、当該内面と当接する光ファイバの外面との少なくとも一方に、吸水性樹脂の塗布等によって吸水面を形成して結露等の発生を防止することもできる。この場合、ファイバクランプの内面側に保持部を形成するのが望ましい。
【0040】
その他、各光コネクタの形態も、オスハウジングやメスハウジングの形状変更、例えば両ハウジングの係止(突起等)と被係止(透孔等)との関係を逆にしたり、両ハウジングの係止に係る突起や透孔の数を変更したり等、適宜設計変更可能である。これは基板用光コネクタにおいても同様で、メスハウジングやメタルケースの形状を変更するのは勿論、FOTとレンズとが別体で保持される場合でも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1・・光ファイバ端子、2・・光ファイバ、2a・・ファイバ芯線、3・・フェルール、4・・ファイバクランプ、7・・挿通孔、8・・フランジ部、9・・くびれ部、、11・・嵌合孔、13・・保持孔、15,49,74・・吸水面、20,40・・光コネクタ、21,61・・メスハウジング、22・・保持筒、23・・受け筒、27・・ロックキー、41・・オスハウジング、42・・保持孔、53・・基板、54・・FOT、55・・レンズ、60・・基板用光コネクタ、62・・メタルケース、63・・前受け部、64・・後受け部、65・・連結筒、72・・板バネ部、75・・溝、76・・凹部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバと、その光ファイバの端末を挿通させる挿通孔を軸心に有すると共に、側面に前記挿通孔に連通する嵌合孔を形成したフェルールと、そのフェルールの前記嵌合孔に嵌合され、当該嵌合状態で前記挿通孔を挿通する前記光ファイバを保持するファイバクランプと、を含んでなる光ファイバ端子であって、
前記フェルールの前記嵌合孔の内面と、前記ファイバクランプにおける前記嵌合孔の前記内面と当接する外面との少なくとも一方に、吸水性物質からなり、前記ファイバクランプの前記嵌合孔への嵌合状態で前記ファイバクランプと嵌合孔との間を閉塞する吸水面を形成したことを特徴とする光ファイバ端子。
【請求項2】
前記吸水面は、吸水性樹脂を塗布することで形成されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ端子。
【請求項3】
前記吸水面は、吸水性樹脂からなるテープを貼着することで形成されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ端子。
【請求項4】
光ファイバと、その光ファイバの端末を挿通させる挿通孔を軸心に有すると共に、側面に前記挿通孔に連通する嵌合孔を形成したフェルールと、そのフェルールの前記嵌合孔に嵌合され、当該嵌合状態で前記挿通孔を挿通する前記光ファイバを保持するファイバクランプと、を含んでなる光ファイバ端子であって、
前記フェルールの前記嵌合孔の内面と、前記ファイバクランプにおける前記嵌合孔の前記内面と当接する外面との少なくとも一方に、前記ファイバクランプの前記嵌合孔への嵌合状態で前記ファイバクランプと嵌合孔との間に侵入した水や塵埃等の異物を保持する保持部を形成したことを特徴とする光ファイバ端子。
【請求項5】
前記保持部は、互いに平行な複数の溝で形成されることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ端子。
【請求項6】
前記保持部は、前記嵌合孔の内面又は前記ファイバクランプの前記外面に形成される凹部としたことを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ端子。
【請求項7】
前記フェルールの端面に露出する前記光ファイバの端面に、結露防止膜を形成したことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の光ファイバ端子。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の光ファイバ端子と、その光ファイバ端子のフェルールを差し込み接続するコネクタハウジングとからなる光コネクタであって、
前記コネクタハウジングにおける相手側のコネクタハウジングと結合した際の前記相手側との当接面に、吸水性物質からなり、結合状態での前記コネクタハウジング同士の間を閉塞する吸水面を形成したことを特徴とする光コネクタ。
【請求項9】
前記吸水面は、吸水性樹脂を塗布することで形成されることを特徴とする請求項8に記載の光コネクタ。
【請求項10】
前記吸水面は、吸水性樹脂からなるテープを貼着することで形成されることを特徴とする請求項8に記載の光コネクタ。
【請求項11】
前記光ファイバ端子のフェルールの端面に露出する光ファイバの端面に、結露防止膜を形成したことを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載の光コネクタ。
【請求項12】
FOTを取り付けた基板上に組み付けられて前記FOT及びレンズを保持する基板用コネクタハウジングを有し、前記基板用コネクタハウジングに、請求項8乃至11の何れかに記載の光コネクタのコネクタハウジングを結合可能な基板用光コネクタであって、
前記基板用コネクタハウジングにおける相手側の前記コネクタハウジングと結合した際の前記相手側との当接面に、吸水性物質からなり、結合状態での前記コネクタハウジング同士の間を閉塞する吸水面を形成したことを特徴とする基板用光コネクタ。
【請求項13】
前記吸水面は、吸水性樹脂を塗布することで形成されることを特徴とする請求項12に記載の基板用光コネクタ。
【請求項14】
前記吸水面は、吸水性樹脂からなるテープを貼着することで形成されることを特徴とする請求項12に記載の基板用光コネクタ。
【請求項15】
前記レンズの表面に、結露防止膜を形成したことを特徴とする請求項12乃至14の何れかに記載の基板用光コネクタ。
【請求項1】
光ファイバと、その光ファイバの端末を挿通させる挿通孔を軸心に有すると共に、側面に前記挿通孔に連通する嵌合孔を形成したフェルールと、そのフェルールの前記嵌合孔に嵌合され、当該嵌合状態で前記挿通孔を挿通する前記光ファイバを保持するファイバクランプと、を含んでなる光ファイバ端子であって、
前記フェルールの前記嵌合孔の内面と、前記ファイバクランプにおける前記嵌合孔の前記内面と当接する外面との少なくとも一方に、吸水性物質からなり、前記ファイバクランプの前記嵌合孔への嵌合状態で前記ファイバクランプと嵌合孔との間を閉塞する吸水面を形成したことを特徴とする光ファイバ端子。
【請求項2】
前記吸水面は、吸水性樹脂を塗布することで形成されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ端子。
【請求項3】
前記吸水面は、吸水性樹脂からなるテープを貼着することで形成されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ端子。
【請求項4】
光ファイバと、その光ファイバの端末を挿通させる挿通孔を軸心に有すると共に、側面に前記挿通孔に連通する嵌合孔を形成したフェルールと、そのフェルールの前記嵌合孔に嵌合され、当該嵌合状態で前記挿通孔を挿通する前記光ファイバを保持するファイバクランプと、を含んでなる光ファイバ端子であって、
前記フェルールの前記嵌合孔の内面と、前記ファイバクランプにおける前記嵌合孔の前記内面と当接する外面との少なくとも一方に、前記ファイバクランプの前記嵌合孔への嵌合状態で前記ファイバクランプと嵌合孔との間に侵入した水や塵埃等の異物を保持する保持部を形成したことを特徴とする光ファイバ端子。
【請求項5】
前記保持部は、互いに平行な複数の溝で形成されることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ端子。
【請求項6】
前記保持部は、前記嵌合孔の内面又は前記ファイバクランプの前記外面に形成される凹部としたことを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ端子。
【請求項7】
前記フェルールの端面に露出する前記光ファイバの端面に、結露防止膜を形成したことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の光ファイバ端子。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の光ファイバ端子と、その光ファイバ端子のフェルールを差し込み接続するコネクタハウジングとからなる光コネクタであって、
前記コネクタハウジングにおける相手側のコネクタハウジングと結合した際の前記相手側との当接面に、吸水性物質からなり、結合状態での前記コネクタハウジング同士の間を閉塞する吸水面を形成したことを特徴とする光コネクタ。
【請求項9】
前記吸水面は、吸水性樹脂を塗布することで形成されることを特徴とする請求項8に記載の光コネクタ。
【請求項10】
前記吸水面は、吸水性樹脂からなるテープを貼着することで形成されることを特徴とする請求項8に記載の光コネクタ。
【請求項11】
前記光ファイバ端子のフェルールの端面に露出する光ファイバの端面に、結露防止膜を形成したことを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載の光コネクタ。
【請求項12】
FOTを取り付けた基板上に組み付けられて前記FOT及びレンズを保持する基板用コネクタハウジングを有し、前記基板用コネクタハウジングに、請求項8乃至11の何れかに記載の光コネクタのコネクタハウジングを結合可能な基板用光コネクタであって、
前記基板用コネクタハウジングにおける相手側の前記コネクタハウジングと結合した際の前記相手側との当接面に、吸水性物質からなり、結合状態での前記コネクタハウジング同士の間を閉塞する吸水面を形成したことを特徴とする基板用光コネクタ。
【請求項13】
前記吸水面は、吸水性樹脂を塗布することで形成されることを特徴とする請求項12に記載の基板用光コネクタ。
【請求項14】
前記吸水面は、吸水性樹脂からなるテープを貼着することで形成されることを特徴とする請求項12に記載の基板用光コネクタ。
【請求項15】
前記レンズの表面に、結露防止膜を形成したことを特徴とする請求項12乃至14の何れかに記載の基板用光コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−247640(P2012−247640A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119479(P2011−119479)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】
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