説明

光モジュール

【課題】光信号の入出力に伴い発生する反射光を抑制し、結合損失を低減する。
【解決手段】少なくとも一方が開口した筐体と、光を透過し、筐体の開口部を塞いで密封するガラス蓋と、受光面または発光面をガラス蓋と対向させて固定された光素子を含むパッケージと、光導波路と光機能素子とが集積された平面光波回路とを含む光モジュールにおいて、平面光波回路の光導波路の入出力端面に、パッケージのガラス蓋が接合され、光素子の受光面または発光面と光導波路とが光学的に結合され、光導波路の入出力端面における光伝播方向が、光素子の受光面または発光面の鉛直方向に対して傾いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に光ファイバ通信に用いられる光モジュールに関し、より詳細には、反射減衰量を低減し、光素子と導波路との結合損失を低減した光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバ伝送の普及に伴い、様々な光信号処理機能を実現するための技術が必要とされている。また、多数の光素子を高密度に集積する技術が求められている。この様な技術として、平面光波回路(以下、PLCという)が知られている。PLCは、主にシリコン基板または石英基板上に、光信号を伝播させるコアとクラッドとから構成される光導波路と光機能素子とを集積した光回路である。PLCは、生産性、信頼性が高く、集積化、高機能化の点で優れている。PLCと、LDなどの発光素子、PDなどの受光素子とを多数高密度に集積した光モジュールの開発が活性化している。
【0003】
図1に、従来の光モジュールの構成を示す。光モジュール1は、PLC30、PDパッケージ40およびコネクタ52が配置されたプリント基板50を、筐体9の内部に収容している。一例として、PLC30には、光機能素子としてアレイ導波路回折格子型光合分波器(以下、AWGという)が形成されている。AWGは、光ファイバ2に接続された入力導波路33と結合する入力スラブ導波路34と、出力導波路37と結合する出力スラブ導波路36と、入力スラブ導波路34と出力スラブ導波路36とを接続するアレイ導波路35から構成されている。
【0004】
AWGの出力導波路37の端面、すなわちPLC30の端面には、PDパッケージ40が接合されている。光モジュール1は、光パワーモニタであり、光ファイバ2から入力された波長分割多重信号を、AWGにより、個々の波長の光信号に分波し、PDパッケージ40に収容されている個々のPDの受光面で受光させる。
【0005】
図2に、従来のPDパッケージの構成を示す。PDパッケージ40は、複数の受光面44を有するPDアレイ43を、セラミック筐体41の内部に収容している。セラミック筐体41とガラス蓋42とは半田で接続され、PDアレイ43が気密封止されている。PDアレイ43は、電気的に接続された電気配線45を介して、筐体41外部の他の素子と接続される。PDパッケージ40は、チップスケールパッケージ型PDアレイと呼ばれ、CANパッケージのPDを複数並べたPDアレイモジュールと比較して、非常に小型であり、低コストで多数のPDを集積できる技術として注目されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図3に、従来の光モジュールにおけるPLCとPDパッケージとの接続方法を示す。図3は、図1のA−A′における断面図を示している。PLC30は、基板32上に光導波路層31を有し、光導波路層31にAWGが形成されている。AWGの出力導波路37a,37bの端面は、垂直に研磨され、PDパッケージ40のガラス蓋42と、UV接着剤により接合されている。PDアレイ43と電気的に接続された電気配線45は、筐体41の外部まで引き出されており、リードピン46が取り付けられている。電気配線45またはリードピン46は、プリント基板50上に形成した電気配線51を介して、コネクタ52と電気的に接続されている。
【0007】
図4は、PLCとPDパッケージの接続部の拡大図である。PLC30に形成されたAWGの出力導波路37と、PDパッケージ40に収容されたPDアレイ43の受光面44とが、光学的に結合している。
【0008】
以上述べたように、例えば、図2に示したように、8チャンネルのPDアレイ43を収容したPDパッケージ40を、図1に示したように、6個実装することにより、48チャンネルの光パワーモニタを構成することができる。多チャンネルの光パワーモニタを、1つの光モジュールに収容することで、非常に小型にでき、簡易に製造することができる。
【0009】
【特許文献1】特開2006−128514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の光モジュール1は、図4に示したように、出力導波路37の光伝播方向(図中の太い破線)と、PDアレイ43の受光面44の鉛直方向(図中の細い破線)とが一致している。そのため、出力導波路37から出射された光が、ガラス蓋42に入射する際に、媒質の屈折率の不連続により反射光が生じる。反射光の一部は、出力導波路37と再結合して戻り光となる。戻り光が生じると、反射減衰量が大きくなり、光モジュールの特性を劣化させるという問題があった。従って、出力導波路37の端面とガラス蓋42との接続面で生じる戻り光を抑制する必要があった。
【0011】
また、出力導波路37から出射された光は、回折により広がりつつPDアレイ43の受光面44に到達する。その結果、PDとの結合損失が大きくなるといった問題があった。例えば、光導波路層31におけるコアとクラッドの比屈折率差1.5%、コアサイズ4.5μm×4.5μmの場合、スポットサイズは3.3μm×3.3μm程度となる。PDアレイ43の受光面44の受光径を80μmとする。このとき、出力導波路37から出射された光が、数百μmの距離を伝播して、受光面44に到達すると、約2.5dBもの結合損失が見積もられる。
【0012】
光パワーモニタとして機能させる場合には、できるだけ受光感度を高めたいため、このような結合損失を低減する必要がある。そこで、出力導波路37の端面と受光面44との間に、ビーム径を絞るためのレンズを挿入する方法が採用される。しかしながら、レンズの挿入は、部材点数の増大を招くばかりか、光軸を調芯する工程が複雑になるため、組み立て工数の増大を招くといった問題があった。さらに、多チャンネル化が求められる光モジュールにおいては、組み立てコストの増大は計り知れない。
【0013】
一方、PDパッケージ40に代えて、LDアレイを収容するLDパッケージを光モジュールに適用することも考えられる。この場合には、LDから出射した光は、ガラス蓋42を透過し、PLC30の導波路に入射する際に、媒質の屈折率の不連続により反射戻り光が生じる。反射戻り光は、LDと再結合し、LDの発振スペクトルを不安定にしたり、光出力パワーの変動を引き起こすという問題があった。反射戻り光は、光モジュールの特性劣化の要因のひとつとなるため、導波路端面とガラス蓋42との接続面で生じる反射光を抑制する必要があった。
【0014】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、光信号の入出力に伴い発生する反射光を抑制し、結合損失を低減した光モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも一方が開口した筐体と、光を透過し、前記筐体の開口部を塞いで密封するガラス蓋と、受光面または発光面を前記ガラス蓋と対向させて固定された光素子を含むパッケージと、光導波路と光機能素子とが集積された平面光波回路とを含む光モジュールにおいて、前記平面光波回路の前記光導波路の入出力端面に、前記パッケージの前記ガラス蓋が接合され、前記光素子の受光面または発光面と前記光導波路とが光学的に結合され、前記光導波路の入出力端面における光伝播方向が、前記光素子の受光面または発光面の鉛直方向に対して、傾いていることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光モジュールにおいて、前記平面光波回路の水平面内において、前記光導波路の入出力端面における光伝播方向が、前記光素子の受光面または発光面の鉛直方向に対して、傾いていることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の光モジュールにおいて、前記平面光波回路に垂直な面内において、前記光導波路の入出力端面における光伝播方向が、前記光素子の受光面または発光面の鉛直方向に対して、傾いていることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2または3に記載の光モジュールにおいて、前記平面光波回路の光導波路の入出力端面を含む端部に、スポットサイズ変換器が集積されていることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の前記平面光波回路は、アレイ導波路回折格子型光合分波器であり、前記アレイ導波路回折格子型光合分波器の複数の入力導波路または複数の出力導波路のいずれかと、前記光素子の複数の受光面または発光面の各々とが光学的に結合されていることを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の前記アレイ導波路回折格子型光合分波器は、第1入力導波路および複数の第2出力導波路と結合する第1スラブ導波路と、複数の第1出力導波路および第2入力導波路と結合する第2スラブ導波路と、前記第1スラブ導波路と前記第2スラブ導波路とを接続するアレイ導波路とを含み、前記第1入力導波路と前記第1出力導波路との間に構成される第1光合分波機能と、前記第2入力導波路と前記第2出力導波路との間に構成される第2光合分波機能とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、光素子の受光面または発光面と平面光波回路の光導波路とが光学的に結合され、光導波路の入出力端面における光伝播方向が、光素子の受光面または発光面の鉛直方向に対して傾いているので、光信号の入出力に伴い発生する反射光を抑制し、結合損失を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、同じ機能の部材には、同じ符号を付して説明する。
【実施例1】
【0023】
図5に、本発明の実施例1にかかる光モジュールの構成を示す。光モジュール1は、48チャンネルの光パワーモニタであり、48本の出力導波路37を有するAWGが形成されたPLC30を有する。PLC30の端面には、8チャンネルのPDアレイ43を収容したPDパッケージ40が6個接合されている。光ファイバ2から入力された48波の波長分割多重信号を、AWGにより、個々の波長の光信号に分波し、PDパッケージ40に収容されている個々のPDの受光面で受光させる。
【0024】
図6は、実施例1にかかるPLCとPDパッケージの接続部の拡大図である。PLC30に形成されたAWGの出力導波路37と、PDパッケージ40に収容されたPDアレイ43の受光面44とが、光学的に結合している。従来の光モジュールと異なる点は、出力導波路37のレイアウト配置である。出力導波路37の光伝播方向(図中の太い破線)が、PDアレイ43の受光面44の鉛直方向(図中の細い破線)に対して、PLC30の水平面内において、傾いて配置されている。
【0025】
この傾きの角度を、4〜12度とすることで、出力導波路37の端面とガラス蓋42との接続面で生じる反射光の出力導波路37への再結合を低減することができる。例えば、傾き角を8度にすることにより、従来の光モジュールでは−25dB程度であった反射減衰量を、−35dB以下に低減することができる。
【実施例2】
【0026】
図7に、本発明の実施例2にかかる光モジュールの構成を示す。光モジュール1は、48チャンネルの光パワーモニタであり、48本の出力導波路37を有するAWGが形成されたPLC30を有する。PLC30の端面には、8チャンネルのPDアレイ43を収容したPDパッケージ40が6個接合されている。光ファイバ2から入力された48波の波長分割多重信号を、AWGにより、個々の波長の光信号に分波し、PDパッケージ40に収容されている個々のPDの受光面で受光させる。
【0027】
図8に、実施例2にかかるPLCとPDパッケージとの接続方法を示す。図8は、図7のB−B′における断面図を示している。PLC30は、基板32上に光導波路層31を有し、光導波路層31にAWGが形成されている。AWGの出力導波路37a,37bの端面は、PLC30の鉛直方向において傾斜面が形成され、研磨されている。傾斜面は、基板32の底面に対して90度未満の角度である。PDパッケージ40のガラス蓋42は、この傾斜面に沿ってUV接着剤により接合されている。すなわち、出力導波路37の光伝播方向(図中の太い破線)が、PDアレイ43の受光面44の鉛直方向(図中の細い破線)に対して、傾いて配置されている。
【0028】
PLC30の鉛直方向からの傾きの角度を、4〜12度とすることで、出力導波路37の端面とガラス蓋42との接続面で生じる反射光の出力導波路37への再結合を低減することができる。例えば、傾き角を8度にすることにより、従来の光モジュールでは−25dB程度であった反射減衰量を、−35dB以下に低減することができる。
【0029】
実施例1においては、PLC30の水平面内において傾けた出力光導波路37の方向が、PDアレイ43の受光面44の整列方向と一致する。従って、出力導波路37から出射された光が、受光面44に斜めに入射することにより、PD間のクロストークが劣化する。実施例2によれば、PDアレイ43の受光面44の整列方向とは垂直な方向に傾いているので、実施例1と比較して、クロストークを抑制することができる。
【実施例3】
【0030】
図9に、実施例3にかかるPLCとPDパッケージとの接続方法を示す。光モジュール1の構成は、実施例2と同じである。図9は、図7のB−B′における断面図を示している。PLC30は、基板32上に光導波路層31を有し、光導波路層31にAWGが形成されている。AWGの出力導波路37a,37bの端面は、PLC30の鉛直方向において傾斜面が形成され、研磨されている。傾斜面は、基板32の底面に対して90度を超える角度である。PDパッケージ40のガラス蓋42は、この傾斜面に沿ってUV接着剤により接合されている。すなわち、出力導波路37の光伝播方向(図中の太い破線)が、PDアレイ43の受光面44の鉛直方向(図中の細い破線)に対して、傾いて配置されている。
【0031】
実施例2と同様に、PLC30の鉛直方向からの傾きの角度を、4〜12度とすることで、出力導波路37の端面とガラス蓋42との接続面で生じる反射光の出力導波路37への再結合を低減することができる。また、実施例3によれば、PDアレイ43の受光面44の整列方向とは垂直な方向に傾いているので、実施例1と比較して、クロストークを抑制することができる。
【0032】
このように、出力導波路37の端面の傾斜面の方向は、どちらであっても良い。PLCの導波路の端面を斜めに研磨する方法は、従来のPLCと光ファイバを接続する場合に導入される工程を応用するだけで良いため、特に新たな工程開発を行なう必要はない。
【実施例4】
【0033】
図10は、実施例4にかかるPLCとPDパッケージの接続部の拡大図である。光モジュール1の構成は、実施例1と同じである。PLC30に形成されたAWGの出力導波路37と、PDパッケージ40に収容されたPDアレイ43の受光面44とが、光学的に結合している。実施例1の光モジュールと異なる点は、出力導波路37の端面を含む端部において、スポットサイズ変換器38を集積している点である。スポットサイズ変換器38は、出力導波路37のコアの横幅をテーパにして徐々に拡大した構成を有している。
【0034】
上述したように、例えば、光導波路層31におけるコアとクラッドの比屈折率差1.5%、コアサイズ4.5μm×4.5μmの場合、スポットサイズは3.3μm×3.3μm程度となる。スポットサイズ変換器38により、コアの横幅を1000μmのテーパ長にわたって、徐々に20μm程までに広げると、スポットサイズを3.5μm×7.5μm程度にすることができる。PDアレイ43の受光面44の受光径を80μmとする。このとき、出力導波路37から出射された光が、数百μmの距離を伝播して、受光面44に到達すると、約1dBの結合損失となる。従って、従来の光モジュールと比較して、1.5dB程度の結合損失を低減することができる。実施例4によれば、反射減衰量の低減とともに、結合損失も低減することができる。
【0035】
実施例4では、コアの横幅をテーパにして徐々に拡大する場合を述べたが、コアの横幅をテーパにして徐々に狭めていくことによりスポットサイズを拡大してもよい。また、コアの厚さをテーパにして徐々に拡大してもよいし、コアの厚さをテーパにして徐々に薄くしていくことによりスポットサイズを拡大してもよい。さらに、これらの組み合わせでもよいし、公知の波面整合法により設計したスポットサイズ変換器を適用してもよい。
【0036】
また、スポットサイズ変換器38を、実施例2および3に適用することができ、反射減衰量の低減とともに、結合損失も低減することができる。このようなスポットサイズ変換器38は、PLCを形成するプロセスにおいて、同時に集積することができる。従って、従来のレンズを用いた光モジュールと比較して、部材点数を減らすことができ、組み立て工数を低減することができる。
【実施例5】
【0037】
図11に、本発明の実施例5にかかる光モジュールの構成を示す。光モジュール10は、PLC300、PDパッケージ400およびコネクタ52が配置されたプリント基板50を、筐体9の内部に収容している。一例として、PLC300には、光機能素子としてAWGが形成されている。光モジュール10は、PLCに形成された1つのAWGを共用する2つの光パワーモニタ機能を集積している。第1の光パワーモニタにおいて、光ファイバ2aから入力された波長分割多重信号は、第1の入力導波路33aから入力され、AWGで個々の波長の光信号に分波され、第1の出力導波路37aからPDパッケージ400aに収容されている個々のPDの受光面で受光される。また、第2の光パワーモニタにおいて、光ファイバ2bから入力された波長分割多重信号は、第2の入力導波路33bから入力され、AWGで個々の波長の光信号に分波され、第2の出力導波路37bからPDパッケージ400bに収容されている個々のPDの受光面で受光される。
【0038】
ここでは、24チャンネルのPDアレイを収容したPDパッケージ400a,400bを、4個実装することにより、48チャンネルの光パワーモニタを2台構成することができる。多チャンネルの光パワーモニタ2台を、1つの光モジュールに収容することで、非常に小型にでき、簡易に製造することができる。
【0039】
PLC300とPDパッケージ400の接続部は、実施例1に示したように、出力導波路37a,37bの光伝播方向が、PDアレイの受光面の鉛直方向に対して、PLC300の水平面内において、傾いて配置されている。また、実施例2,3に示したように、PLC300に垂直な面内において、出力導波路37a,37bの光伝播方向が、PDアレイの受光面の鉛直方向に対して、傾いて配置するようにしてもよい。このようにして、反射減衰量を十分に低減したり、クロストークを抑制することができる。
【0040】
従来の光モジュールでは、第1の光パワーモニタの出力導波路37aとPDパッケージ400aとの接続面で生じる反射光が、第2の光パワーモニタの出力導波路37bに再結合し、ノイズとなって第2の光パワーモニタの受光特性を劣化させてしまう。逆に、第2の光パワーモニタの反射光が、第1の光パワーモニタの受光特性を劣化させてしまう。
【0041】
しかしながら、上述した実施例1〜3の構成を適用することにより、反射減衰量を十分に低減したり、クロストークを抑制することができる。また、上述した実施例4の構成を適用することにより、結合損失を低減することができる。さらに、1つのAWGで2台の光パワーモニタを集積できるので、部材点数の削減、光回路の占有面積の削減、組み立て工程数の削減、システム構成の簡略化などにより、コストの低減を図ることができる。
【実施例6】
【0042】
実施例1〜5では、光パワーモニタとしての機能を有する光モジュールについて説明した。筐体9に収容された光素子として、PDパッケージ40,400を用いたが、これをLDパッケージに置き換えることにより、光送信器としての機能を有する光モジュールとすることができる。例えば、図5に示したPDパッケージ40をLDパッケージに置き換えたとする。図6に示したように、LDアレイの発光面から出射した光が、ガラス蓋42を透過し、PLC30の導波路に入射する際に生じる反射戻り光は、LDアレイの発光面に再結合しない。従って、LDの発振スペクトル、光出力パワーの変動を一層抑制することができ、光モジュールの特性を向上させることができる。
【0043】
このように、筐体9に収容される光素子については、なんら限定されるものではなく、導波路端面とガラス蓋42との接続面で生じる反射光を抑制し、反射減衰量を低減することができる。また、PLC30に形成される光機能素子についても、AWGに限定されるものではなく、例えば、光スイッチ、光変調器などを形成することもできる。本願発明は、PLCに形成される光機能素子と、PLCと接続される光素子とを集積する光モジュールに広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】従来の光モジュールの構成を示す平面図である。
【図2】従来のPDパッケージの構成を示す斜視図である。
【図3】従来の光モジュールにおけるPLCとPDパッケージとの接続方法を示す断面図である。
【図4】PLCとPDパッケージの接続部の拡大図である。
【図5】本発明の実施例1にかかる光モジュールの構成を示す平面図である。
【図6】実施例1にかかるPLCとPDパッケージの接続部の拡大図である。
【図7】本発明の実施例2にかかる光モジュールの構成を示す平面図である。
【図8】実施例2にかかるPLCとPDパッケージとの接続方法を示す断面図である。
【図9】実施例3にかかるPLCとPDパッケージとの接続方法を示す断面図である。
【図10】実施例4にかかるPLCとPDパッケージの接続部の拡大図である。
【図11】本発明の実施例5にかかる光モジュールの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1,10 光モジュール
9 筐体
30,300 PLC
31 光導波路層
32 基板
33 入力導波路
34 入力スラブ導波路
35 アレイ導波路
36 出力スラブ導波路
37 出力導波路
38 スポットサイズ変換器
40,400 PDパッケージ
41 セラミック筐体
42 ガラス蓋
43 PDアレイ
44 受光面
45,51 電気配線
46 リードピン
50 プリント基板
52 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が開口した筐体と、光を透過し、前記筐体の開口部を塞いで密封するガラス蓋と、受光面または発光面を前記ガラス蓋と対向させて固定された光素子を含むパッケージと、光導波路と光機能素子とが集積された平面光波回路とを含む光モジュールにおいて、
前記平面光波回路の前記光導波路の入出力端面に、前記パッケージの前記ガラス蓋が接合され、前記光素子の受光面または発光面と前記光導波路とが光学的に結合され、
前記光導波路の入出力端面における光伝播方向が、前記光素子の受光面または発光面の鉛直方向に対して、傾いていることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記平面光波回路の水平面内において、前記光導波路の入出力端面における光伝播方向が、前記光素子の受光面または発光面の鉛直方向に対して、傾いていることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記平面光波回路に垂直な面内において、前記光導波路の入出力端面における光伝播方向が、前記光素子の受光面または発光面の鉛直方向に対して、傾いていることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記平面光波回路の光導波路の入出力端面を含む端部に、スポットサイズ変換器が集積されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記平面光波回路は、アレイ導波路回折格子型光合分波器であり、
前記アレイ導波路回折格子型光合分波器の複数の入力導波路または複数の出力導波路のいずれかと、前記光素子の複数の受光面または発光面の各々とが光学的に結合されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光モジュール。
【請求項6】
前記アレイ導波路回折格子型光合分波器は、
第1入力導波路および複数の第2出力導波路と結合する第1スラブ導波路と、
複数の第1出力導波路および第2入力導波路と結合する第2スラブ導波路と、
前記第1スラブ導波路と前記第2スラブ導波路とを接続するアレイ導波路とを含み、
前記第1入力導波路と前記第1出力導波路との間に構成される第1光合分波機能と、前記第2入力導波路と前記第2出力導波路との間に構成される第2光合分波機能とを有することを特徴とする請求項5に記載の光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−8952(P2009−8952A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171163(P2007−171163)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】