説明

光及び熱エネルギー架橋性有機薄膜トランジスタ絶縁層材料

【課題】閾値電圧の絶対値及びヒステリシスが小さい有機薄膜トランジスタを製造しうる有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を提供すること。
【解決手段】本発明の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料は、フッ素原子を含む基を有する繰り返し単位と、光二量化反応性基を有する繰り返し単位と、電磁波もしくは熱の作用により、活性水素と反応する第2の官能基を生成する第1の官能基を有する繰り返し単位とを、有する高分子化合物(A)、及び活性水素化合物(B)を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機薄膜トランジスタが有する絶縁層を形成するのに適した有機薄膜トランジスタ絶縁層材料に関する。
【背景技術】
【0002】
有機薄膜トランジスタは、無機半導体より低温で製造できるため、その基板としてプラスチック基板やフィルムを用いることができ、このような基板を用いることにより、無機半導体からなるトランジスタよりフレキシブルであり、軽量で壊れにくい素子を得ることができる。また、有機材料を含む溶液の塗布や印刷法を用いた成膜により素子作製が可能な場合があり、大面積の基板に多数の素子を低コストで製造することが可能な場合がある。
【0003】
さらに、トランジスタの検討に用いることができる材料の種類が豊富であるため、分子構造の異なる材料を検討に用いれば、幅広い範囲の特性のバリエーションを有する素子を製造することができる。
【0004】
有機薄膜トランジスタの1種である電界効果型有機薄膜トランジスタでは、ゲート電極に印加される電圧がゲート絶縁層を介して半導体層に作用して、ドレイン電流のオン、オフを制御する。そのため、ゲート電極と半導体層の間にはゲート絶縁層が形成される。
【0005】
また、電界効果型有機薄膜トランジスタに用いられる有機半導体化合物は、湿度、酸素等の環境の影響を受けやすく、トランジスタ特性が、湿度、酸素等に起因する経時劣化を起こしやすい。
【0006】
そのため、有機半導体化合物が剥き出しになるボトムゲート型有機薄膜トランジスタ素子構造では、素子構造全体を覆うオーバーコート層を形成して有機半導体化合物を外気との接触から保護することが必須となっている。一方、トップゲート型有機薄膜トランジスタ素子構造では、有機半導体化合物はゲート絶縁層によりコートされて保護されている。
【0007】
このように、有機薄膜トランジスタでは、有機半導体層を覆うオーバーコート層及びゲート絶縁層等を形成するために、絶縁層材料が用いられる。本願明細書では、上記オーバーコート層及びゲート絶縁層のような有機薄膜トランジスタの絶縁層又は絶縁膜を有機薄膜トランジスタ絶縁層という。また、有機薄膜トランジスタ絶縁層を形成するのに用いる材料を有機薄膜トランジスタ絶縁層材料という。尚、ここでいう材料は、高分子化合物、高分子化合物を含む組成物、樹脂及び樹脂組成物のような無定形材料を含む概念である。
【0008】
有機薄膜トランジスタ絶縁層材料には、絶縁性及び薄膜にしたときの絶縁破壊強度に優れた特性が要求される。また、特にボトムゲート型の電界効果トランジスタでは半導体層がゲート絶縁層に重ねて形成される。そのため、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料には、有機半導体と密着した界面を形成するための有機半導体との親和性、該有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料から形成した膜の有機半導体層側の表面が平坦になることが要求される。
【0009】
このような要求に応える技術として、特許文献1には、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料としてエポキシ樹脂とシランカップリング剤とを組み合わせて用いることが記載されている。この技術においては、エポキシ樹脂の硬化反応の際に生成する水酸基とシランカップリング剤を反応させる。これは、前記水酸基はゲート絶縁層材料の吸湿性を高め、トランジスタ性能の安定性が損なわれるからである。
【0010】
非特許文献1には、ポリビニルフェノールとメラミン化合物とを熱架橋させた樹脂をゲート絶縁層に用いることが記載されている。この技術では、メラミン化合物で架橋することによってポリビニルフェノールに含まれる水酸基を除去し、同時に膜強度を高める。このゲート絶縁層を有するペンタセンTFTはヒステリシスが小さく、ゲートバイアス応力に対して耐久性を示す。
【0011】
非特許文献2には、ポリビニルフェノール及びビニルフェノールとメチルメタクリレートとを共重合させたコポリマーをゲート絶縁層に用いることが記載されている。この技術では、ビニルフェノールの水酸基をメチルメタクリレートのカルボニル基と相互作用させて膜全体の極性を低下させる。このゲート絶縁層を有するペンタセンTFTはヒステリシスが小さく、安定した電気特性を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−305950
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.89,093507(2006)
【非特許文献2】Appl.Phys.Lett.92,183306(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)のような発光素子の実用化を考慮すると、有機薄膜トランジスタの動作精度をより向上する必要があり、上記従来のゲート絶縁層を有する有機薄膜トランジスタは閾値電圧(Vth)の絶対値及びヒステリシスが大きい。
【0015】
本発明の目的は、閾値電圧の絶対値及びヒステリシスが小さい有機薄膜トランジスタを製造しうる有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上の事に鑑み、種々検討を行った結果、フッ素原子を含む、架橋構造を形成しうる特定の樹脂組成物を用いてゲート絶縁層を形成することにより有機薄膜トランジスタのヒステリシスを小さくできることを見出し、本発明に至った。
【0017】
即ち、本発明は、式
【0018】
【化1】

【0019】
[式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有する炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Raaは、主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。該連結部分中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。aは、0又は1の整数を表し、bは、1〜5の整数を表す。Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Rfが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。]
で表される繰り返し単位及び光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収して二量化反応を起こす官能基を含有する繰り返し単位を含有し、かつ、分子内に第1の官能基を2つ以上含有し、該第1の官能基が、電磁波もしくは熱の作用により、活性水素と反応する第2の官能基を生成する官能基である高分子化合物(A)と、
分子内に活性水素を2つ以上含有する低分子化合物及び分子内に活性水素を2つ以上含有する高分子化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の活性水素化合物(B)とを、含有する有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を提供するものである。
【0020】
ある一形態においては、上記光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収して二量化反応を起こす官能基を含有する繰り返し単位が、式
【0021】
【化2】

【0022】
[式中、R2は、水素原子又はメチル基を表す。R’は、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Rbbは、主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。該連結部分中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。cは、0又は1の整数を表し、dは、1〜5の整数を表す。R’が複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。]
で表される繰り返し単位である。
【0023】
ある一形態においては、上記光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収して二量化反応を起こす官能基を含有する繰り返し単位が、式
【0024】
【化3】

【0025】
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。R〜R15は、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Rccは、主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。該連結部分中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。eは、0又は1の整数を表す。]
で表される繰り返し単位である。
【0026】
ある一形態においては、上記光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収して二量化反応を起こす官能基を含有する繰り返し単位が、式
【0027】
【化4】

【0028】
[式中、R16は、水素原子又はメチル基を表す。R17〜R23は、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Rddは、主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。該連結部分中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。]
【0029】
ある一形態においては、上記第1の官能基が、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基である。
【0030】
ある一形態においては、上記ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基が、式
【0031】
【化5】

(3)
【0032】
[式中、X’は、酸素原子又は硫黄原子を表し、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。]
で表される基である。
【0033】
ある一形態においては、上記ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基が、式
【0034】
【化6】

(4)
【0035】
[式中、X’は、酸素原子又は硫黄原子を表し、R〜Rは、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。]
で表される基である。
【0036】
また、本発明は、上記いずれかに記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む液体を基材に塗布して該基材上に塗布層を形成する工程;及び
該塗布層に対して光又は電子線を照射することにより高分子化合物(A)の光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収して二量化反応を起こす官能基を二量化反応させる工程;及び
該塗布層に対して電磁波又は熱を印加することにより高分子化合物(A)の第1の官能基から第2の官能基を生成させて、該第2の官能基を活性水素化合物(B)の活性水素含有基と反応させる工程;
を包含する有機薄膜トランジスタ絶縁層の形成方法を提供する。
【0037】
ある一形態においては、上記光が紫外線である。
【0038】
また、本発明は、上記いずれかの有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて形成した有機薄膜トランジスタ絶縁層を有する有機薄膜トランジスタを提供する。
【0039】
ある一形態においては、上記絶縁層がゲート絶縁層である。
【0040】
また、本発明は、上記有機薄膜トランジスタを含むディスプレイ用部材を提供する。
【0041】
また、本発明は、上記ディスプレイ用部材を含むディスプレイを提供する。
【0042】
また、本発明は、式
【0043】
【化7】

【0044】
[式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有する炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Raaは、主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。該連結部分中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。aは、0又は1の整数を表し、bは、1〜5の整数を表す。Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Rfが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。]
【0045】
で表される繰り返し単位及び式
【0046】
【化8】

【0047】
[式中、R16は、水素原子又はメチル基を表す。R17〜R23は、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Rddは、主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。該連結部分中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。]
【0048】
で表される繰り返し単位を含有し、かつ、分子内に第1の官能基を2つ以上含有し、該第1の官能基が、電磁波もしくは熱の作用により、活性水素と反応する第2の官能基を生成する官能基である高分子化合物を提供する。
【発明の効果】
【0049】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて形成した絶縁層を有する有機薄膜トランジスタは、閾値電圧の絶対値及びヒステリシスが低い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態であるボトムゲートトップコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態であるボトムゲートボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本明細書において、「高分子化合物」とは、分子中に同じ構造単位が複数繰り返された構造を含む化合物をいい、いわゆる2量体もこれに含まれる。一方、「低分子化合物」とは、分子中に同じ構造単位を繰り返し有していない化合物を意味する。
【0052】
本発明の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料は高分子化合物(A)、及び活性水素化合物(B)を含有する。活性水素とは、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子のような炭素原子以外の原子に結合した水素原子をいう。
【0053】
高分子化合物(A)
高分子化合物(A)は、フッ素原子を有し、光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収して二量化反応を起こす官能基を複数個有し、電磁波もしくは熱が作用した場合に、活性水素と反応する第2の官能基を生成する第1の官能基を複数個有する。光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収して二量化反応を起こす前記官能基を、本明細書では「光二量化反応基」という。
【0054】
有機薄膜トランジスタ絶縁層材料にフッ素が導入されていることにより、該材料から形成される絶縁層は極性が低く、絶縁層の分極が抑制される。また、絶縁層の内部に架橋構造が形成されると、分子構造の移動が抑制され、絶縁層の分極が抑制される。絶縁層の分極が抑制されると、例えばゲート絶縁層として用いた場合に有機薄膜トランジスタのヒステリシスが低下して、動作精度が向上する。
【0055】
フッ素原子は高分子化合物の主鎖の水素原子を置換するのではなく、側鎖又は側基(ペンダント基)の水素原子を置換することが好ましい。フッ素原子が側鎖又は側基に置換していると有機半導体のような他の有機材料に対する親和性が低下せず、該有機材料を含む層の形成において、有機材料が絶縁層の露出面に接し、層を形成し易くなる。
【0056】
光二量化反応基は、ある一形態では、光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収した場合にカルボラジカルを生成させる官能基であることが好ましい。カルボラジカルはラジカルカップリングすることにより容易に二量化して、絶縁層の内部に架橋構造を形成することができる。
【0057】
光二量化反応基は、他の一形態では、光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収した場合に協奏反応しうる官能基である。協奏反応しうる官能基は相互に付加環化することにより二量化して、絶縁層の内部に架橋構造を形成することができる。
【0058】
光二量化反応性基が吸収する光は、あまり低エネルギーであると有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を光重合法によって形成する際に残存した光二量化反応性基も反応してしまう場合があるため、高エネルギーの光が好ましい。光二量化反応性基が吸収するのに好ましい光は、紫外線、例えば波長が400nm以下、好ましくは150〜380nmの光である。
【0059】
ここでいう二量化とは、有機化合物の分子2個が化学的に結合することをいう。結合する分子同士は同種でも異種でもよい。二量化する2個の分子中の二量化に関与する官能基同士の化学構造も同一であっても異なっていてもよい。但し、当該官能基は、触媒及び開始剤等の反応助剤が用いられなくても光二量化反応を生じる構造、および組合せであることが好ましい。反応助剤の残基に接触すると周辺の有機材料が劣化する可能性があるからである。
【0060】
高分子化合物(A)に含まれる第1の官能基は活性水素と反応しないが、第1の官能基に電磁波又は熱が作用すると第2の官能基が生成し、これが活性水素と反応する。つまり、上記第1の官能基は電磁波又は熱により脱保護されて、活性水素と反応する第2の官能基を生成するものである。第2の官能基は活性水素化合物(B)の活性水素含有基と反応してこれと結合することにより、絶縁層の内部に架橋構造を形成することができる。
【0061】
第2の官能基は、ゲート絶縁層の形成工程において電磁波又は熱が加えられるまで保護(ブロック)されて、第1の官能基として樹脂組成物中に存在する。その結果、樹脂組成物の貯蔵安定性が向上する。
【0062】
例えば、フッ素原子を含む基を有する繰り返し単位と、光二量化反応性基を有する繰り返し単位と、上記第1の官能基を有する繰り返し単位とを有する高分子化合物は、高分子化合物(A)に該当する。
【0063】
フッ素原子を含む基の好ましい例は、水素原子がフッ素で置換されたアリール基、水素原子がフッ素で置換されたアルキルアリール基、特に水素原子がフッ素で置換されたフェニル基、水素原子がフッ素で置換されたアルキルフェニル基である。
【0064】
光二量化反応性基の好ましい例は、水素原子がハロメチル基で置換されたアリール基、2位の水素原子がアリール基で置換されたビニル基、2位の水素原子がアリールカルボニル基で置換されたビニル基であり、特に好ましくは、水素原子がハロメチル基で置換されたフェニル基、2位の水素原子がフェニル基で置換されたビニル基、2位の水素原子がフェニルカルボニル基で置換されたビニル基である。繰り返し単位の側鎖基の基本骨格がアリール基又はフェニル基であると、有機半導体のような他の有機材料に対する親和性が向上し、該有機材料を含む層の形成において、有機材料が絶縁層の露出面に接し、平坦な層を形成し易くなる。
【0065】
水素原子がハロメチル基で置換されたアリール基及び水素原子がハロメチル基で置換されたフェニル基は、紫外線又は電子線を照射するとハロゲンが脱離して、ベンジル型のカルボラジカルが生成する。生成した2個のカルボラジカルが結合すると、炭素−炭素結合が形成されて(ラジカルカップリング)、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料が架橋される。また、2位の水素原子がアリール基又はフェニル基で置換されたビニル基、2位の水素原子がアリールカルボニル基又はフェニルカルボニル基で置換されたビニル基等の場合には、紫外線又は電子線を照射すると2+2環化反応が生じ、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料が架橋される。
【0066】
フッ素原子を含む基を有する繰り返し単位は、上記式(1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。光二量化反応性基を有する繰り返し単位は、上記式(2)で表される繰り返し単位、上記式(5)で表される繰り返し単位又は上記式(6)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0067】
上記式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。ある一形態では、R1は水素原子である。Raaは、主鎖と側鎖とを連結する連結部分である。連結部分は、本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を架橋させる反応条件の下で反応性を示さない構造を有する二価の基であればよい。連結部分の具体例には、炭素数1〜20の二価の有機基からなる結合、エーテル結合(−O−)、ケトン結合(−CO−)、エステル結合(−COO−、−OCO−)、アミド結合(−NHCO−、−CONH−)、ウレタン結合(−NHCOO−、−OCONH−)及びこれらの結合が組み合わされた結合等が挙げられる。該連結部分中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。aは、0又は1の整数を表す。ある一形態では、aは0である。
【0068】
Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有する炭素数1〜20の一価の有機基を表す。ある一形態では、Rfはフッ素原子である。
bは、1〜5の整数を表す。ある一形態では、bは5である。
【0069】
Rは、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。
【0070】
上記式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。ある一形態では、Rは水素原子である。Rbbは連結部分であり、Raaと同義である。cは、0又は1の整数を表す。ある一形態では、cは0である。
【0071】
Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。ある一形態では、Xは塩素原子である。
dは、1〜5の整数を表す。ある一形態では、bは5である。
【0072】
R’は、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。
【0073】
上記式(5)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。ある一形態では、Rは水素原子である。Rccは連結部分であり、Raaと同義である。ある一形態では、Rccは、式−O−C(=O)−で表される基である。eは、0又は1の整数を表す。ある一形態では、eは1である。
【0074】
〜R15は、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。ある一形態では、R〜R15は、水素原子である。
【0075】
炭素数1〜20の一価の有機基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。
炭素数1〜20の一価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状炭化水素基、炭素数3〜20の環状炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜6の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜6の分岐状炭化水素基、炭素数3〜6の環状炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状炭化水素基、炭素数3〜20の環状炭化水素基は、これらの基に含まれる水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。
炭素数6〜20の芳香族炭化水素基は、基中の水素原子がアルキル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などで置換されていてもよい。
【0076】
炭素数1〜20の一価の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチニル基、シクロヘキシニル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、 フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、トリル基、キシリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メチルナフチル基、ジメチルナフチル基、トリメチルナフチル基、ビニルナフチル基、エテニルナフチル基、メチルアンスリル基、エチルアンスリル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基が挙げられる。
炭素数1〜20の一価の有機基としては、アルキル基が好ましい。
【0077】
Rfがフッ素原子を有する炭素数1〜20の有機基である場合、フッ素原子を有する炭素数1〜20の一価の有機基としは、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基等が挙げられる。
【0078】
R、R’、R〜R15が炭素数1〜20の一価の有機基である場合、該一価の有機基はフッ素原子を有さない。
【0079】
前記炭素数1〜20の二価の有機基としては、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよい。例えば、炭素数1〜20の二価の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の二価の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の二価の環状炭化水素基、アルキル基等で置換されていてもよい炭素数6〜20の二価の芳香族炭化水素基が挙げられる。中でも、炭素数1〜6の二価の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜6の二価の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜6の二価の環状炭化水素基、アルキル基等で置換されていてもよい二価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましい。
【0080】
二価の脂肪族炭化水素基及び二価の環状炭化水素基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、ジメチルプロピレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0081】
炭素数6〜20の二価の芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基、ジメチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、エチレンフェニレン基、ジエチレンフェニレン基、トリエチレンフェニレン基、プロピレンフェニレン基、ブチレンフェニレン基、メチルナフチレン基、ジメチルナフチレン基、トリメチルナフチレン基、ビニルナフチレン基、エテニルナフチレン基、メチルアンスリレン基、エチルアンスリレン基が挙げられる。
【0082】
上記式(6)中、R16は、水素原子又はメチル基を表す。ある一形態では、R16は水素原子である。Rddは連結部分であり、Raaと同義である。ある一形態では、Rddは、フェニレン基である。
【0083】
17〜R23は、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。ある一形態では、R17〜R23は、水素原子である。
【0084】
また、上記第1の官能基の好ましい例としては、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基が挙げられる。
【0085】
前記ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又は前記ブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基は、イソシアナト基又はイソチオシアナト基と反応しうる活性水素を1分子中に1個だけ有するブロック化剤とイソシアナト基又はイソチオシアナト基とを反応させることにより製造することができる。
【0086】
前記ブロック化剤は、イソシアナト基又はイソチオシアナト基と反応した後でも、170℃以下の温度で解離するものが好ましい。ブロック化剤としては、例えば、アルコ−ル系化合物、フェノ−ル系化合物、活性メチレン系化合物、メルカプタン系化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、尿素系化合物、オキシム系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、重亜硫酸塩、ピリジン系化合物、ピラゾール系化合物が挙げられる。これらのブロック化剤は、単独使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。好ましいブロック化剤としては、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物が挙げられる。
【0087】
以下に、具体的なブロック化剤を例示する。アルコ−ル系化合物の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールが挙げられる。フェノール系化合物の例としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステルが挙げられる。活性メチレン系化合物の例としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンが挙げられる。メルカプタン系化合物の例としては、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンが挙げられる。酸アミド系化合物の例としては、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムが挙げられ、酸イミド系化合物の例としては、コハク酸イミド、マレイン酸イミドが挙げられる。イミダゾール系化合物の例としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾールが挙げられる。尿素系化合物の例としては、尿素、チオ尿素、エチレン尿素が挙げられる。アミン系化合物の例としては、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾールが挙げられる。イミン系化合物の例としては、エチレンイミン、ポリエチレンイミンが挙げられる。重亜硫酸塩の例としては、重亜硫酸ソーダが挙げられる。ピリジン系化合物の例としては、2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリンが挙げられる。オキシム系化合物の例としては、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムが挙げられる。ピラゾール系化合物の例としては、3,5−ジメチルピラゾール、3,5−ジエチルピラゾールが挙げられる。
【0088】
本発明に用いてもよいブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はイソチアシアナト基としては、上記式(3)で表される基又は上記式(4)で表される基が好ましい。
【0089】
式(3)及び式(4)中、X’は、酸素原子又は硫黄原子を表し、R〜Rは、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。一価の有機基の定義、具体例等は、前述の一価の有機基の定義、具体例等と同様である。
【0090】
ある一形態ではR及びRは、同一又は相異なり、メチル基及びエチル基からなる群から選択される基である。また、他の形態では、R〜Rは水素原子である。
【0091】
ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基としては、例えば、O−(メチリデンアミノ)カルボキシアミノ基、O−(1−エチリデンアミノ)カルボキシアミノ基、O−(1−メチルエチリデンアミノ)カルボキシアミノ基、O−[1−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ基、(N−3,5−ジメチルピラゾリルカルボニル)アミノ基、(N−3−エチル−5−メチルピラゾリルカルボニル)アミノ基、(N−3,5−ジエチルピラゾリルカルボニル)アミノ基、(N−3−プロピル−5−メチルピラゾリルカルボニル)アミノ基、(N−3−エチル−5−プロピルピラゾリルカルボニル)アミノ基が挙げられる。
【0092】
ブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基としては、例えば、O−(メチリデンアミノ)チオカルボキシアミノ基、O−(1−エチリデンアミノ)チオカルボキシアミノ基、O−(1−メチルエチリデンアミノ)チオカルボキシアミノ基、O−[1−メチルプロピリデンアミノ] チオカルボキシアミノ基、(N−3,5−ジメチルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基、(N−3−エチル−5−メチルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基、(N−3,5−ジエチルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基、(N−3−プロピル−5−メチルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基、(N−3−エチル−5−プロピルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基が挙げられる。
第1の官能基としては、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基が好ましい。
【0093】
高分子化合物(A)は、例えば、上記式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、上記式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、第1の官能基を含有する重合性モノマーとを、光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いて共重合させる方法、上記式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、上記式(5)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、第1の官能基を含有する重合性モノマーとを、光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いて共重合させる方法、上記式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、上記式(6)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、第1の官能基を含有する重合性モノマーとを、光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いて共重合させる方法により製造することが出来る。
【0094】
上記式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーの例としては、2−トリフルオロメチルスチレン、3−トリフルオロメチルスチレン、4−トリフルオロメチルスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、4−フルオロスチレンが挙げられる。
【0095】
上記式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーの例としては、3−クロロメチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、3−ブロモメチルスチレン、4−ブロモメチルスチレンが挙げられる。
【0096】
上記式(5)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーの例としては、ビニルシンナメート、シンナミルメタクリレート、シンナモイルオキシブチルメタクリレート、シンナミルイミノオキシイミノエチルメタクリレートが挙げられる。
【0097】
上記式(6)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーの例としては、フェニルビニルスチリルケトン、フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトンが挙げられる。
【0098】
第1の官能基を含有する重合性モノマーの例としては、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基と不飽和結合とを分子内に有するモノマーが挙げられる。該ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基と不飽和結合とを分子内に有するモノマーは、イソシアナト基又はイソチオシアナト基と不飽和結合とを分子内に有する化合物と、ブロック化剤とを反応させることにより製造することが出来る。不飽和結合としては、不飽和二重結合が好ましい。
【0099】
分子内に不飽和二重結合とイソシアナト基とを有する化合物の例としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2’−メタクリロイルオキシエチル)オキシエチルイソシアネートが挙げられる。分子内に不飽和二重結合とイソチオシアナト基とを有する化合物の例としては、2−アクリロイルオキシエチルイソチオシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソチオシアネート、2−(2’−メタクリロイルオキシエチル)オキシエチルイソチオシアネートが挙げられる。
【0100】
重合性モノマーに含まれるブロック化剤としては、前記のブロック化剤を好適に用いることが出来る。ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基と不飽和結合とを分子内に有するモノマーの製造においては、必要に応じて有機溶媒、触媒等を添加することが出来る。
【0101】
前記分子内にブロック化剤でブロックされたイソシアナト基と不飽和二重結合とを有するモノマーの例としては、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート、2−〔N−[1’,3’−ジメチルピラゾリル]カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレートが挙げられる。
前記分子内にブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基と不飽和二重結合とを有するモノマーの例としては、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]チオカルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート、2−〔N−[1’,3’−ジメチルピラゾリル] チオカルボニルアミノ〕エチル−メタクリレートが挙げられる。
【0102】
前記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、メチル(o−ベンゾイル)ベンゾエート、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインオクチルエーテル、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ジアセチル等のカルボニル化合物、メチルアントラキノン、クロロアントラキノン、クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のアントラキノン誘導体又はチオキサントン誘導体、ジフェニルジスルフィド、ジチオカーバメート等の硫黄化合物が挙げられる。
【0103】
共重合を開始させるエネルギーとして光エネルギーを用いる場合は、重合性モノマーに照射する光の波長は、360nm以上、好ましくは360〜450nmである。
【0104】
前記熱重合開始剤としては、ラジカル重合の開始剤となる化合物であればよく、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩等のアゾ系化合物、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、アセチルアセトンパーオキシド等のケトンパーオキシド類、イソブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、o−メチルベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、2,4,4−トリメチルペンチル−2−ヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、トリス(tert−ブチルパーオキシ)トリアジン等のジアルキルパーオキシド類、1,1−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−tert−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルパーオキシトリメチルアジペート等のアルキルパーエステル類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート類が挙げられる。
【0105】
本発明に用いられる高分子化合物(A)は、上記式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、上記式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、上記式(5)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、第1の官能基を含有する重合性モノマー以外の重合性モノマーを重合時に添加して製造してもよい。
【0106】
追加して使用される重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル及びその誘導体、メタアクリル酸エステル及びその誘導体、スチレン及びその誘導体、酢酸ビニル及びその誘導体、メタアクリロニトリル及びその誘導体、アクリロニトリル及びその誘導体、有機カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体、有機カルボン酸のアリルエステル及びその誘導体、フマル酸のジアルキルエステル及びその誘導体、マレイン酸のジアルキルエステル及びその誘導体、イタコン酸のジアルキルエステル及びその誘導体、有機カルボン酸のN−ビニルアミド誘導体、マレイミド及びその誘導体、末端不飽和炭化水素及びその誘導体等、不飽和炭化水素基を含む有機ゲルマニウム誘導体等が挙げられる。
【0107】
追加して使用される重合性モノマーの種類は、絶縁層に要求される特性に応じて適宜選択される。溶媒に対する優れた耐久性や有機薄膜トランジスタのヒステリシスを小さくする観点からは、スチレンやスチレン誘導体のように、これらの化合物を含む膜において、分子の密度が高く、硬い膜を形成するモノマーが選択される。また、ゲート電極や基板の表面等の絶縁層の隣接面に対する密着性の観点からは、メタアクリル酸エステル及びその誘導体、アクリル酸エステル及びその誘導体のように、高分子化合物(A)に可塑性を付与するモノマーが選択される。好ましい一形態では、活性水素含有基を有しないモノマーが選択される。
【0108】
例えば、上記式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、上記式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、第1の官能基を含有する重合性モノマーに加え、活性水素含有基を有しないスチレン又はスチレン誘導体を組み合わせて反応に用いることにより、特に耐久性が高く、ヒステリシスが小さいゲート絶縁層が得られる。
【0109】
また、上記式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、上記式(5)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、第1の官能基を含有する重合性モノマーに加え、活性水素含有基を有しないスチレン又はスチレン誘導体を組み合わせて反応に用いても、特に耐久性が高く、ヒステリシスが小さいゲート絶縁層が得られる。
【0110】
アクリル酸エステル類及びその誘導体としては、単官能のアクリレートや、使用量に制約は出てくるが多官能のアクリレートをも使用することができ、このような単官能のアクリレートや多官能のアクリレートとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−sec−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシフェニルエチル、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリンを挙げることができる。
【0111】
メタアクリル酸エステル類及びその誘導体としては、単官能のメタアクリレートや、使用量に制約は出てくるが多官能のメタアクリレートをも使用することができ、このような単官能のメタアクリレートや多官能のメタアクリレートとしては、例えば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸−n−プロピル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸−sec−ブチル、メタアクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸オクチル、メタアクリル酸−2−エチルヘキシル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸ベンジル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシフェニルエチル、エチレングリコールジメタアクリレート、プロピレングリコールジメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、トリメチロールプロパンジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルメタアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタアクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルメタアクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタアクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタアクリレート、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルメタアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリンを挙げることができる。
【0112】
スチレン及びその誘導体の例としては、スチレン、2,4−ジメチル−α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2,4,5−トリメチルスチレン、ペンタメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−ビニルビフェニル、3−ビニルビフェニル、4−ビニルビフェニル、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−ビニル−p−ターフェニル、1−ビニルアントラセン、α−メチルスチレン、o−イソプロペニルトルエン、m−イソプロペニルトルエン、p−イソプロペニルトルエン、2,4−ジメチル−α−メチルスチレン、2,3−ジメチル−α−メチルスチレン、3,5−ジメチル−α−メチルスチレン、p−イソプロピル−α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロピルベンゼン、4−アミノスチレンが挙げられる。
【0113】
有機カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体の例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、アジピン酸ジビニルが挙げられる。
【0114】
有機カルボン酸のアリルエステル及びその誘導体の例としては、酢酸アリル、安息香酸アリル、アジピン酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリルが挙げられる。
【0115】
フマル酸のジアルキルエステル及びその誘導体の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−sec−ブチル、フマル酸ジイソブチル、フマル酸ジ−n−ブチル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、フマル酸ジベンジルが挙げられる。
【0116】
マレイン酸のジアルキルエステル及びその誘導体の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジ−sec−ブチル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル、マレイン酸ジベンジルが挙げられる。
【0117】
イタコン酸のジアルキルエステル及びその誘導体の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピル、イタコン酸ジ−sec−ブチル、イタコン酸ジイソブチル、イタコン酸ジ−n−ブチル、イタコン酸ジ−2−エチルヘキシル、イタコン酸ジベンジルが挙げられる。
【0118】
有機カルボン酸のN−ビニルアミド誘導体の例としては、N−メチル−N−ビニルアセトアミドが挙げられる。
【0119】
マレイミド及びその誘導体の例としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが挙げられる。
【0120】
末端不飽和炭化水素及びその誘導体の例としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ビニルシクロヘキサン、塩化ビニル、アリルアルコールが挙げられる。
【0121】
不飽和炭化水素基を含む有機ゲルマニウム誘導体の例としては、アリルトリメチルゲルマニウム、アリルトリエチルゲルマニウム、アリルトリブチルゲルマニウム、トリメチルビニルゲルマニウム、トリエチルビニルゲルマニウムが挙げられる。
【0122】
これらのうちでは、アクリル酸アルキルエステル、メタアクリル酸アルキルエステル、スチレン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アリルトリメチルゲルマニウムが好ましい。
【0123】
上記式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーの使用量は、高分子化合物(A)に導入されるフッ素の量が適量になるように調節される。
【0124】
高分子化合物(A)に導入されるフッ素の量は、高分子化合物(A)の質量に対して、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%である。フッ素の量が1質量%未満であると電界効果型有機薄膜トランジスタのヒステリシスを低下させる効果が不十分となることがあり、80質量%を超えると有機半導体材料との親和性が悪化して活性層をその上に積層することが困難になることがある。
【0125】
分子内に不飽和二重結合とブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基とをもつモノマーの仕込みモル比は、重合に関与する全てのモノマー中、好ましくは5モル%以上50モル%以下であり、より好ましくは5モル%以上40モル%以下である。上記モノマーの仕込みモル比をこの範囲に調節することにより、絶縁層の内部に架橋構造が十分形成され、極性基の含有量が低いレベルに保たれ、絶縁層の分極が抑制される。
【0126】
高分子化合物(A)は、重量平均分子量が3000〜1000000が好ましく、5000〜500000がより好ましく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0127】
高分子化合物(A)を構成する上記式(1)で表される繰り返し単位、上記式(2)で表される繰り返し単位、上記式(5)で表される繰り返し単位及び上記式(6)で表される繰り返し単位は繰り返し単位中に水酸基のような活性水素含有基を有しない。そのために、形成されるゲート絶縁層は極性が低く、ゲート絶縁層の分極が抑制されると考えられる。ゲート絶縁層の分極が抑制されると、電界効果型有機薄膜トランジスタのヒステリシスが低下して、動作精度が向上する。
【0128】
本発明に用いられる上記式(1)で表される繰り返し単位及び上記式(2)で表される繰り返し単位を含有し、かつ、分子内に電磁波もしくは熱により活性水素と反応する第2の官能基を生成する第1の官能基を2つ以上含有する高分子化合物としては、例えば、ポリ(スチレン−コ−3−クロロメチルスチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−3−クロロメチルスチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−3−クロロメチルスチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−3−クロロメチルスチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−3−クロロメチルスチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート]−コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(スチレン−コ−3−クロロメチルスチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート] −コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(3−クロロメチルスチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(3−クロロメチルスチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−4−クロロメチルスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−4−クロロメチルスチレン−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−3−クロロメチルスチレン−コ−4−クロロメチルスチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])が挙げられる。
【0129】
本発明に用いられる上記式(1)で表される繰り返し単位及び上記式(5)で表される繰り返し単位を含有し、かつ、分子内に電磁波もしくは熱により活性水素と反応する第2の官能基を生成する第1の官能基を2つ以上含有する高分子化合物としては、ポリ(スチレン−コ−ビニルシンナメート−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−ビニルシンナメート−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−ビニルシンナメート−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−ビニルシンナメート−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−ビニルシンナメート−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート]−コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(スチレン−コ−ビニルシンナメート−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート] −コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(ビニルシンナメート−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(ビニルシンナメート−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−ビニルシンナメート−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−ビニルシンナメート−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−ビニルシンナメート−コ−4−クロロメチルスチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])が挙げられる。
【0130】
本発明に用いられる上記式(1)で表される繰り返し単位及び上記式(6)で表される繰り返し単位を含有し、かつ、分子内に電磁波もしくは熱により活性水素と反応する第2の官能基を生成する第1の官能基を2つ以上含有する高分子化合物としては、ポリ(スチレン−コ−フェニルビニルスチリルケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニルビニルスチリルケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニルビニルスチリルケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニルビニルスチリルケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニルビニルスチリルケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート]−コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(スチレン−コ−フェニルビニルスチリルケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート]−コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(フェニルビニルスチリルケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(フェニルビニルスチリルケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニルビニルスチリルケトン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニルビニルスチリルケトン−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニルビニルスチリルケトン−コ−4−クロロメチルスチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート]−コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(スチレン−コ−フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート] −コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−フェニル(メタクロイルオキシスチリル)ケトン−コ−4−クロロメチルスチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])が挙げられる。
【0131】
閾値電圧の絶対値を小さくする観点からは、高分子化合物(A)が有する繰り返し単位の数を100とした場合、高分子化合物(A)が有する式(1)で表される繰り返し単位の量は、30〜80が好ましい。
【0132】
活性水素化合物(B)
活性水素化合物(B)は、分子内に活性水素を2つ以上含有する低分子化合物、又は分子内に活性水素を2つ以上含有する高分子化合物である。活性水素としては、典型的にはアミノ基、ヒドロキシ基又はメルカプト基に含まれる水素原子が挙げられる。活性水素としては、上述した反応性官能基、中でもイソシアナト基、イソチオシアナト基との反応を良好に生じることができるフェノール性ヒドロキシ基に含まれる水素、アルコール性ヒドロキシ基に含まれる水素、芳香族アミノ基に含まれる水素が好適である。
【0133】
分子内に活性水素を2つ以上含有する低分子化合物の具体例としては、2個以上の活性水素含有基が低分子(単量体)構造に結合した構造を有する化合物が挙げられる。この低分子構造としては、例えば、アルキル構造やベンゼン環構造が挙げられる。該低分子化合物の具体例としては、アミン系化合物、アルコール系化合物、フェノール系化合物及びチオール系化合物が挙げられる。
【0134】
アミン系化合物の例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’,−テトラアミノエチルエチレンジアミン、オルト−フェニレンジアミン、メタ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−パラ−フェニレンジアミン、メラミン、2,4,6−トリアミノピリミジン、1,5,9−トリアザシクロドデカン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランが挙げられる。
【0135】
アルコール系化合物の例としては、エチレングリコール、1,2−ジヒドロキシプロパン、グリセロール、1,4−ジメタノールベンゼンが挙げられる。
【0136】
フェノール系化合物の例としては、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)、1,2−ジヒドロキシナフタレン、レゾルシン、フルオログリセロール、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデハイド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアミドが挙げられる。
【0137】
チオール系化合物の例としては、エチレンジチオール、パラ−フェニレンジチオールが挙げられる。
【0138】
分子内に活性水素を2つ以上含有する低分子化合物としては、アルコール系化合物、フェノール系化合物、芳香族アミン系化合物が好ましい。
【0139】
一方、前記分子内に活性水素を2つ以上含有する高分子化合物においては、活性水素は、高分子化合物を構成する主鎖に直接結合していてもよく、所定の基を介して結合していてもよい。また、活性水素は、高分子化合物を構成する構造単位に含まれていてもよく、その場合は、各構造単位に含まれていてもよく、一部の構造単位にのみ含まれていてもよい。さらに、活性水素は、高分子化合物の末端にのみ結合していてもよい。
【0140】
分子内に活性水素を2つ以上含有する高分子化合物の具体例としては、2個以上の活性水素を含有する基が高分子(重合体)構造に結合した構造を有する化合物が挙げられる。
かかる高分子化合物は活性水素を含有する基及び二重結合等の不飽和結合を分子内に有するモノマーを単独で重合させるか、このようなモノマーを上記式(2)、上記式(5)又は上記式(6)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと共重合させるか、前記のようなモノマーを他の共重合性化合物と共重合させて重合体を形成することによって得られる。これらの重合の際には、光重合開始剤や熱重合開始剤を適用してもよい。なお、重合性モノマー、光重合開始剤、熱重合開始剤としては、上述したものと同様のものを適用できる。
【0141】
活性水素を含有する基及び不飽和結合を分子内に有するモノマーとしては、例えば、アミノスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルベンジルアルコール、アミノエチルメタクリレート、エチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルアクリレートが挙げられる。
活性水素を含有する基及び不飽和結合を分子内に有するモノマーとしては、分子内に水酸基を有するものが好ましい。
【0142】
また、分子内に活性水素を2つ以上含有する高分子化合物としては、フェノール化合物と、ホルムアルデヒドとを、酸触媒の存在下で縮合させることによって得られた、ノボラック樹脂も好適に用いられる。
【0143】
分子内に活性水素を含有する基を2個以上含有する高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1000〜1000000であることが好ましく、3000〜500000であることがより好ましい。これにより、絶縁層の平坦性及び均一性が良好となるという効果が得られるようになる。ポリスチレン換算の重量平均分子量は、GPCにより測定される。
【0144】
有機薄膜トランジスタ絶縁層材料
高分子化合物(A)と活性水素化合物(B)とを混合することにより有機薄膜トランジスタ絶縁層材料が得られる。両者の混合割合は、高分子化合物(A)に電磁波を放射する若しくは高分子化合物(A)を加熱することにより生成する第2の官能基と、活性水素化合物(B)の活性水素を含有する基とがモル比で、好ましくは60/100〜150/100、より好ましくは70/100〜120/100、さらに好ましくは90/100〜110/100となるように調節される。この割合が60/100未満であると活性水素が過剰になりヒステリシスの低下効果が小さくなることがあり、150/100を超えると活性水素と反応する官能基が過剰になり閾値電圧の絶対値が大きくなることがある。
【0145】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料には、混合や粘度調節のための溶媒や、高分子化合物(A)を架橋させるために用いる架橋剤と組み合わせて用いられる添加剤などを含有させてよい。使用される溶媒はテトラヒドロフランやジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶媒、ペンテン等の不飽和炭化水素系溶媒、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトンなどのケトン系溶媒、ブチルアセテートなどのアセテート系溶媒、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒またはこれらの混合溶媒である。また、添加剤としては、架橋反応を促進するための触媒、レべリング剤、粘度調節剤などを用いることができる。
【0146】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、有機薄膜トランジスタに含まれる絶縁層の形成に用いられる組成物である。有機薄膜トランジスタの絶縁層中でも、オーバーコート層又はゲート絶縁層の形成に用いられることが好ましい。有機薄膜トランジスタ絶縁層材料としては、有機薄膜トランジスタオーバーコート層組成物、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層組成物であることが好ましく、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料であることがより好ましい。
【0147】
有機薄膜トランジスタ
図1は、本発明の一実施形態であるボトムゲートトップコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。この有機薄膜トランジスタには、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極2と、ゲート電極2上に形成されたゲート絶縁層3と、ゲート絶縁層3上に形成された有機半導体層4と、有機半導体層4上にチャネル部を挟んで形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、素子全体を覆うオーバーコート7とが、備えられている。
【0148】
ボトムゲートトップコンタクト型有機薄膜トランジスタは、例えば、基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上に有機半導体層を形成し、有機半導体層上にソース電極、ドレイン電極を形成し、オーバーコートを形成することで製造することができる。本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料として、ゲート絶縁層を形成するのに好適に用いられる。また、有機薄膜トランジスタオーバーコート層材料として、オーバーコート層を形成するのに用いることもできる。
【0149】
図2は、本発明の一実施形態であるボトムゲートボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。この有機薄膜トランジスタには、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極2と、ゲート電極2上に形成されたゲート絶縁層3と、ゲート絶縁層3上にチャネル部を挟んで形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6上に形成された有機半導体層4と、素子全体を覆うオーバーコート7とが、備えられている。
【0150】
ボトムゲートボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタは、例えば、基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上にソース電極、ドレイン電極を形成し、ソース電極、ドレイン電極上に有機半導体層を形成し、オーバーコートを形成することで製造することができる。本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料として、ゲート絶縁層を形成するのに好適に用いられる。また、有機薄膜トランジスタオーバーコート層材料として、オーバーコート層を形成するのに用いることもできる。
【0151】
ゲート絶縁層又はオーバーコート層の形成は、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料に要すれば溶媒などを添加して絶縁層塗布液を調製し、絶縁層塗布液を、ゲート絶縁層又はオーバーコート層の下に位置する層の表面に塗布し、乾燥し、硬化させることにより行う。該絶縁層塗布液に用いられる有機溶媒としては、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を溶解させるものであれば特に制限は無いが、好ましくは、常圧での沸点が100℃〜200℃の有機溶媒である。該有機溶媒の例としては、2−ヘプタノン(沸点151℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)が挙げられる。該絶縁層塗布液には、必要に応じてレベリング剤、界面活性剤、硬化触媒等を添加することができる。本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層組成物として、ゲート絶縁層の形成に用いることもできる。
【0152】
該絶縁層塗布液はスピンコート、ダイコーター、スクリーン印刷、インクジェット等の公知の方法によりゲート電極上に塗布することができる。形成される塗布層は必要に応じて乾燥させる。ここでいう乾燥は、塗布された樹脂組成物に含まれる溶媒を除去することを意味する。
【0153】
乾燥させた塗布層は、次いで硬化させる。硬化は有機薄膜トランジスタ絶縁層材料が架橋することを意味する。トランジスタ絶縁層材料の架橋は、例えば、塗布層に対して電磁波又は熱を印加することにより行われる。そうすると、高分子化合物(A)の第1の官能基から第2の官能基が生成して、該第2の官能基が活性水素化合物(B)の活性水素含有基と反応するからである。
【0154】
又は、トランジスタ絶縁層材料の架橋は、例えば、塗布層に対して光を照射することにより行われる。そうすると、高分子化合物(A)の光二量化反応性基のラジカルカップリング反応又は環化反応により、二量化するからである。
【0155】
塗布層に対する電磁波又は熱の印加、塗布層に対する光の照射は両方行うことが好ましい。絶縁層の架橋密度が向上するからである。その結果、特にゲート絶縁層として使用する場合には、有機薄膜トランジスタの閾値電圧(Vth)の絶対値及びヒステリシスが小さくなる。絶縁層の架橋密度が向上することで電圧印加時の分極がより抑制され、有機薄膜トランジスタの閾値電圧の絶対値及びヒステリシスが小さくなると考えられる。
塗布層に対する電磁波又は熱の印加と、塗布層に対する光の照射の両方行う方法としては、例えば、塗布層に対して光又は電子線を照射することにより高分子化合物(A)の光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収して二量化反応を起こす官能基を二量化反応させる工程を行い、次いで、塗布層に対して電磁波又は熱を印加することにより高分子化合物(A)の第1の官能基から第2の官能基を生成させて、該第2の官能基を活性水素化合物(B)の活性水素含有基と反応させる工程を行う方法がある。
【0156】
塗布層に熱を印加する場合は、塗布層を約80〜250℃、好ましくは約100〜230℃の温度に加熱して約5〜120分、好ましくは約10〜60分維持する。加熱温度が低すぎたり加熱時間が短すぎると絶縁層の架橋が不十分になり、加熱温度が高すぎたり加熱時間が長すぎると絶縁層が損傷する可能性がある。塗布層に電磁波を印加する場合又はマイクロ波加熱する場合は、塗布層に与える影響が加熱した場合と同様になるように、印加条件を調節する。
【0157】
光二量化反応性基がハロメチル基で置換されたアリール基又はハロメチル基で置換されたフェニル基である場合、これらの基は光又は電子線、好ましくは紫外線又は電子線を照射することにより相互に結合する。照射する光の波長は360nm以下、好ましくは150〜300nmである。照射する光の波長が360nmを越えると有機薄膜トランジスタ絶縁層材料の架橋が不十分になる場合がある。
【0158】
光二量化反応性基が、2位の水素原子がアリール基又はフェニル基で置換されたビニル基、又は2位の水素原子がアリールカルボニル基又はフェニルカルボニル基で置換されたビニル基である場合、これらの基は光又は電子線、好ましくは紫外線又は電子線を照射することにより相互に結合する。照射する光の波長は400nm以下であり、好ましくは150〜380nmである。照射する光の波長が400nmを越えると有機薄膜トランジスタ絶縁層材料の架橋が不十分になる場合がある。
【0159】
紫外線の照射は、例えば、半導体の製造のために使用されている露光装置やUV硬化性樹脂を硬化させるために使用されているUVランプを用いて行うことができる。電子線の照射は、例えば、超小型電子線照射管を用いて行うことができる。加熱はヒーター及びオーブンなどを用いて行うことができる。その他の照射条件及び加熱条件は、光二量化反応性基の種類及び量等に応じて適宜決定される。
【0160】
ゲート絶縁層上には、自己組織化単分子膜層を形成してもよい。該自己組織化単分子膜層は、例えば、有機溶媒中にアルキルクロロシラン化合物もしくはアルキルアルコキシシラン化合物を1〜10重量%溶解した溶液でゲート絶縁層を処理することにより形成することが出来る。
【0161】
アルキルクロロシラン化合物の例としては、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシランが挙げられる。
【0162】
アルキルアルコキシシラン化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランが挙げられる。
【0163】
基板1、ゲート電極2、ソース電極5、ドレイン電極6及び有機半導体層4は、通常使用される材料及び方法で構成すればよい。基板の材料には樹脂やプラスチックの板やフィルム、ガラス板、シリコン板などが用いられる。電極の材料には、クロム、金、銀、アルミニウム、モリブデン等を用い、蒸着法、スパッタ法、印刷法、インクジェット法等の公知の方法で電極を形成する。
【0164】
有機半導体層4を形成するための有機半導体化合物としてはπ共役ポリマーが用いられ、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリアリルアミン類、フルオレン類、ポリカルバゾール類、ポリインドール類、ポリ(P−フェニレンビニレン)類などを用いることができる。また、有機溶媒への溶解性を有する低分子物質、例えば、ペンタセンなどの多環芳香族の誘導体、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン類、カーボンナノチューブ類などを用いることができる。具体的には、9,9−ジ−n−オクチルフルオレン−2,7−ジ(エチレンボロネート)と、5,5’−ジブロモ−2,2’−バイチオフェンとの縮合物等があげられる。
【0165】
有機半導体層の形成は、例えば、有機半導体化合物に要すれば溶媒などを添加して有機半導体塗布液を調製し、該有機半導体塗布液をゲート絶縁層上に塗布し、該有機半導体塗布液を乾燥させることにより行う。本発明では、ゲート絶縁層を構成する樹脂がベンゼン環を有し、有機半導体化合物と親和性がある。それゆえ、上記塗布乾燥法によって、有機半導体層とゲート絶縁層との間に均一で平坦な界面が形成される。
【0166】
有機半導体塗布液に使用される溶媒としては、有機半導体を溶解又は分散させるものであれば特に制限は無いが、好ましくは、常圧での沸点が50℃〜200℃の溶媒である。該溶媒の例としては、クロロホルム、トルエン、アニソール、2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。該有機半導体塗布液は、前記絶縁層塗布液と同様にスピンコート、ダイコーター、スクリーン印刷、インクジェット等の公知の方法によりゲート絶縁層上に塗布することができる。
【0167】
本発明の有機薄膜トランジスタは、有機薄膜トランジスタを保護し、また、表面の平滑性を高める目的で、オーバーコート材でコートしてもよい。
【0168】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて製造した絶縁層は、その上に平坦な膜等を積層することができ、積層構造を容易に形成することができる。また、該絶縁層上に有機エレクトロルミネッセンス素子を好適に搭載することができる。
【0169】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて、好適に有機薄膜トランジスタを有するディスプレイ用部材を作製できる。該有機薄膜トランジスタを有するディスプレイ用部材を用いて、ディスプレイ用部材を備えるディスプレイを作製できる。
【0170】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、絶縁層以外のトランジスタに含まれる層、有機エレクトロルミネッセンス素子に含まれる層を形成する用途にも用いることができる。
【実施例】
【0171】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明が実施例により限定されるものではないことは言うまでもない。
【0172】
合成例1
スチレン(和光純薬製)3.47g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)4.85g、ビニルベンジルクロライド(アルドリッチ製)2.54g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)2.00g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.06g、2−ヘプタノン(和光純薬製)3.23gを、50ml耐圧容器(エース製)に入れ、アルゴンガスをバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で20時間重合させた。重合終了後、2−ヘプタノン15.99gを加えて、高分子化合物1が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物1は、下記繰り返し単位を有している。括弧の添え数字は繰り返し単位のモル分率を示している。
【0173】
【化9】

高分子化合物1
【0174】
得られた高分子化合物1の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、181000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0175】
合成例2
2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)11.32g、ビニルベンジルクロライド(アルドリッチ製)2.54g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)2.00g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.08g、2−ヘプタノン(和光純薬製)10.63gを、50ml耐圧容器(エース製)に入れ、アルゴンガスをバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で20時間重合させた。重合終了後、2−ヘプタノン13.29gを加えて、高分子化合物2が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物2は、下記繰り返し単位を有している。括弧の添え数字は繰り返し単位のモル分率を示している。
【0176】
【化10】

高分子化合物2
【0177】
得られた高分子化合物2の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、160000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0178】
合成例3
9,9−ジ−n−オクチルフルオレン−2,7−ジ(エチレンボロネート)6.40g、及び5,5’−ジブロモ−2,2’−バイチオフェン4.00gを含むトルエン(80mL)中に、窒素下において、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.18g、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名「Aliquat 336」(登録商標))1.0g、及び2Mの炭酸ナトリウム水溶液24mLを加えた。この混合物を激しく攪拌し、加熱して24時間還流した。粘稠な反応混合物をアセトン500mLに注ぎ、繊維状の黄色のポリマーを沈澱させた。このポリマーを濾過によって集め、アセトンで洗浄し、真空オーブンにおいて60℃で一晩乾燥させた。得られたポリマーを高分子化合物3とよぶ。高分子化合物3は、下記繰り返し単位を有している。nは繰り返し単位の数を示している。高分子化合物3の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、61000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0179】
【化11】

高分子化合物3
【0180】
合成例4
スチレン(和光純薬製)7.14g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)10.00g、ビニルシンナメート(アルドリッチ製)5.98g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)4.12g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.10g、2−ヘプタノン(和光純薬製)18.23gを、125ml耐圧容器(エース製)に入れ、アルゴンガスをバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で20時間重合させた。重合終了後、2−ヘプタノン45.58gを加えて、高分子化合物4が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物4は、下記繰り返し単位を有している。括弧の添え数字は繰り返し単位のモル分率を示している。
【0181】
【化12】

高分子化合物4
【0182】
得られた高分子化合物4の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、241000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0183】
合成例5
2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)15.00g、ビニルシンナメート(アルドリッチ製)8.97g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)6.18g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.15g、2−ヘプタノン(和光純薬製)20.21gを、125ml耐圧容器(エース製)に入れ、アルゴンガスをバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で20時間重合させた。重合終了後、2−ヘプタノン50.51gを加えて、高分子化合物5が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物5は、下記繰り返し単位を有している。括弧の添え数字は繰り返し単位のモル分率を示している。
【0184】
【化13】

高分子化合物5
【0185】
得られた高分子化合物5の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、463000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0186】
合成例6
2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)10.00g、4−ヒドロキシブチルアクリレート(株式会社 興人製)3.71g、ビニルシンナメート(アルドリッチ製)1.50g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.08g、2−ヘプタノン(和光純薬製)22.92gを、125ml耐圧容器(エース製)に入れ、アルゴンガスをバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で20時間重合させた。重合終了後、2−ヘプタノン38.20gを加えて、高分子化合物6が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物6は、下記繰り返し単位を有している。括弧の添え数字は繰り返し単位のモル分率を示している。高分子化合物6は、分子内に活性水素を少なくとも2つ以上含有する化合物である
【0187】
【化14】

高分子化合物6
【0188】
得られた高分子化合物6の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、176000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0189】
合成例7
2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)20.00g、4−アミノスチレン(アルドリッチ製)6.13g、ビニルシンナメート(アルドリッチ製)2.99g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.15g、2−ヘプタノン(和光純薬製)43.90gを、125ml耐圧容器(エース製)に入れ、アルゴンガスをバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で20時間重合させ、高分子化合物7が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物7は、下記繰り返し単位を有している。括弧の添え数字は繰り返し単位のモル分率を示している。高分子化合物7は、分子内に活性水素を少なくとも2つ以上含有する化合物である
【0190】
【化15】

高分子化合物7
【0191】
得られた高分子化合物7の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、199000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0192】
合成例8
三方コックを付けた100mlの三口フラスコに3−ビニルベンズアルデヒド(アルドリッチ製)20.07g、アセトフェノン(アルドリッチ製)23.00g、攪拌子を入れ、マグネチックスターラーで攪拌して均一な反応混合液を調整した。フラスコを氷浴に浸け、攪拌子しながら反応混合液に触媒量の濃硫酸を加え、氷冷下、1時間反応させた。氷浴をはずし、NMR分析により原料であるビニルベンズアルデヒドのピークの消失を確認するまで、室温にて更に反応混合液の攪拌を続け、反応させた。反応終了後、反応混合物を分液ロートに移し、ジエチルエーテル100mlを加え、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。水洗終了後、有機層を分液し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮して3−ビニルスチリルフェニルケトン粗製物を得た。該粗製物に含まれている3−ビニルスチリルフェニルケトンはシス体とトランス体の混合物であった。NMRから求めた3−ビニルスチリルフェニルケトンの純度は、74%であった。
【0193】
【化16】

3−ビニルスチリルフェニルケトン
【0194】
2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)2.00g、スチレン(アルドリッチ製)2.50g、3−ビニルスチリルフェニルケトン粗製物6.55g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)3.30g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.07g、2−ヘプタノン(和光純薬製)21.63gを、50ml耐圧容器(エース製)に入れ、アルゴンガスをバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で20時間重合させた。反応終了後、メタノールで再沈して高分子化合物8を得た。高分子化合物8は、下記繰り返し単位を有している。括弧の添え数字は繰り返し単位のモル分率を示している。
【0195】
【化17】

高分子化合物8
【0196】
得られた高分子化合物8の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、98000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0197】
合成例9
三方コックを付けた500mlの三口フラスコに、シアノ酢酸(和光純薬製)25.00g、水酸化ナトリウム(和光純薬製)12.34g、イオン交換水250ml、攪拌子を入れ、マグネチックスターラーで攪拌して均一な反応混合液を調整した。フラスコを氷浴に浸け、反応混合液に攪拌子しながら、けい皮アルデヒド38.84gを滴下した。氷冷下、1時間反応させた後、氷浴をはずし、室温で更に4時間反応させた。反応終了後、反応混合物中の液体成分が酸性になるまで反応混合物に濃塩酸を滴下した。析出した固体をガラスフィルターでろ過し、ろ物をイオン交換水でろ液が中性になるまで水洗し、真空オーブン中で乾燥し、シアノシンナミリデン酢酸を得た。得量は、39.68gであった。
【0198】
【化18】

シアノシンナミリデン酢酸
【0199】
2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)2.00g、スチレン(アルドリッチ製)2.50g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.68g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)3.30g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.05g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(和光純薬製)15.80gを、50ml耐圧容器(エース製)に入れ、アルゴンガスをバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で20時間重合させ、樹脂溶液を調整した。
【0200】
三方コックを付けた300mlの三口フラスコに、得られた樹脂溶液、シアノシンナミリデン酢酸4.31g、触媒量のN,N−ジメチルアミノピリジン、脱水ジオキサン100mlを入れ、マグネチックスターラーで攪拌して均一な反応混合液を調整した。得られた反応混合液に、脱水ジオキサン50mlにN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド4.46gを溶解して調製したジシクロヘキシルカルボジイミドのジオキサン溶液を室温で滴下した。滴下終了後、室温で一晩攪拌して反応させた。反応終了後、析出物をろ過し、ろ液を2−プロパノールで再沈して高分子化合物9を得た。高分子化合物9は、下記繰り返し単位を有している。括弧の添え数字は繰り返し単位のモル分率を示している。
【0201】
【化19】

高分子化合物9
【0202】
得られた高分子化合物9の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、167000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0203】
実施例1
(有機薄膜トランジスタ絶縁層材料及び電界効果型有機薄膜トランジスタの製造)
合成例1で得た高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液2.00g、分子内に活性水素を少なくとも2つ以上含有する化合物であるヒドロキノン0.029g、2−ヘプタノン4.00gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌しながら溶解して、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む均一な塗布溶液を調製した。
【0204】
【化20】

ヒドロキノン
【0205】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で220℃で30分間焼成した。その後、窒素雰囲気下でUV/オゾンストリッパー(サムコ製;UV−1)を用いて、室温で2分間UV照射し、ゲート絶縁層を得た。
【0206】
次に、高分子化合物3を溶媒であるクロロホルムに溶解して、濃度が0.5重量%である溶液(有機半導体組成物)を作製し、これをメンブランフィルターでろ過して塗布液を調製した。
【0207】
得られた塗布液を、前記ゲート絶縁層上にスピンコート法により塗布し、約60nmの厚さを有する活性層を形成し、次いで、メタルマスクを用いた真空蒸着法により、活性層上に、チャネル長20μm、チャネル幅2mmのソース電極及びドレイン電極(活性層側から、酸化モリブデン、金の順番で積層構造を有する)を形成することにより、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0208】
実施例2
(有機薄膜トランジスタ絶縁層材料及び電界効果型有機薄膜トランジスタの製造)
合成例2で得た高分子化合物2の2−ヘプタノン溶液2.00g、ヒドロキノン0.023g、2−ヘプタノン4.00gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む均一な塗布溶液を調製した。
【0209】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で220℃で30分間焼成した。その後、窒素雰囲気下でUV/オゾンストリッパー(サムコ製;UV−1)を用いて室温で2分間UV照射し、ゲート絶縁層を得た。
【0210】
次に、実施例1と同様に活性層、ソース電極及びドレイン電極を形成して、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0211】
実施例3
(有機薄膜トランジスタ絶縁層材料及び電界効果型有機薄膜トランジスタの製造)
合成例4で得た高分子化合物4の2−ヘプタノン溶液45.00g、合成例6で得た高分子化合物6の2−ヘプタノン溶液25.11g、2−ヘプタノン35.10gを150mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む均一な塗布溶液を調製した。
【0212】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で100℃で10分間焼成した。その後、アライナー(Canon製;PLA−521)を用いて3000mJ/cmのUV光(波長365nm)を照射し後、窒素中、ホットプレート上で200℃で30分間焼成してゲート絶縁層を得た。
【0213】
次に、実施例1と同様に活性層、ソース電極及びドレイン電極を形成して、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0214】
実施例4
(有機薄膜トランジスタ絶縁層材料及び電界効果型有機薄膜トランジスタの製造)
合成例4で得た高分子化合物4の2−ヘプタノン溶液41.21g、合成例7で得た高分子化合物7の2−ヘプタノン溶液11.01g、2−ヘプタノン50.00gを150mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む均一な塗布溶液を調製した。
【0215】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で100℃で10分間焼成した。その後、アライナー(Canon製;PLA−521)を用いて3000mJ/cmのUV光(波長365nm)を照射し後、窒素中、ホットプレート上で200℃で30分間焼成してゲート絶縁層を得た。
【0216】
次に、実施例1と同様に活性層、ソース電極及びドレイン電極を形成して、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0217】
実施例5
(有機薄膜トランジスタ絶縁層材料及び電界効果型有機薄膜トランジスタの製造)
合成例5で得た高分子化合物5の2−ヘプタノン溶液45.00g、合成例7で得た高分子化合物7の2−ヘプタノン溶液16.62g、2−ヘプタノン57.00gを150mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む均一な塗布溶液を調製した。
【0218】
得られた塗布溶液を孔径3μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で100℃で10分間焼成した。その後、アライナー(Canon製;PLA−521)を用いて3000mJ/cmのUV光(波長365nm)を照射し後、窒素中、ホットプレート上で200℃で30分間焼成してゲート絶縁層を得た。
【0219】
次に、実施例1と同様に活性層、ソース電極及びドレイン電極を形成して、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0220】
実施例6
(有機薄膜トランジスタ絶縁層材料及び電界効果型有機薄膜トランジスタの製造)
合成例8で得た高分子化合物8を0.5g、1,3−ビス(3’−アミノフェノキシ)ベンゼンを0.068g、2−ヘプタノンを2.5g、30mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む均一な塗布溶液を調製した。
【0221】
【化21】

1,3−ビス(3’−アミノフェノキシ)ベンゼン
【0222】
得られた塗布溶液を孔径0.5μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で100℃で10分間焼成した。その後、アライナー(Canon製;PLA−521)を用いて1600mJ/cmのUV光(波長365nm)を照射した後、大気中、ホットプレート上で220℃で30分間焼成してゲート絶縁層を得た。
【0223】
次に、実施例1と同様に活性層、ソース電極及びドレイン電極を形成して、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0224】
実施例7
(有機薄膜トランジスタ絶縁層材料及び電界効果型有機薄膜トランジスタの製造)
合成例9で得た高分子化合物9を0.63g、1,3−ビス(3’−アミノフェノキシ)ベンゼンを0.079g、シクロペンタノンを5.38g、30mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む均一な塗布溶液を調製した。
【0225】
得られた塗布溶液を孔径0.5μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で100℃で10分間焼成した。その後、アライナー(Canon製;PLA−521)を用いて1600mJ/cmのUV光(波長365nm)を照射した後、大気中、ホットプレート上で220℃で30分間焼成してゲート絶縁層を得た。
【0226】
次に、実施例1と同様に活性層、ソース電極及びドレイン電極を形成して、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0227】
<トランジスタ特性の評価>
こうして作製した電界効果型有機薄膜トランジスタについて、ゲート電圧Vgを0〜−40V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0〜−40Vに変化させた条件で、そのトランジスタ特性を真空プロ−バ(BCT22MDC−5−HT−SCU;Nagase Electronic Equipments Service Co., LTD製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0228】
比較例は、ゲート電圧Vgを0〜−60V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0〜−40Vに変化させた条件で、そのトランジスタ特性を測定した。
【0229】
電界効果型有機薄膜トランジスタのヒステリシスは、ソース・ドレイン間電圧Vsdが−40Vで、ゲート電圧Vgを0V→−40Vに変化させた際の閾値電圧Vth1とゲート電圧Vgを−40V→0Vに変化させた際の閾値電圧Vth2との電圧差異で表した。
【0230】
比較例1
(電界効果型有機薄膜トランジスタの製造)
高分子化合物1に代えてポリビニルフェノール(アルドリッチ製、Mn=8000)を用い、ゲート絶縁層の形成時にUV照射を行わない以外は実施例1と同様にして電界効果型有機薄膜トランジスタを作製し、トランジスタ特性を測定し、評価した。
【0231】
[表1]

【符号の説明】
【0232】
1…基板、
2…ゲート電極、
3…ゲート絶縁層、
4…有機半導体層、
5…ソース電極、
6…ドレイン電極、
7…オーバーコート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有する炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Raaは、主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。該連結部分中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。aは、0又は1の整数を表し、bは、1〜5の整数を表す。Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Rfが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。]
で表される繰り返し単位及び光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収して二量化反応を起こす官能基を含有する繰り返し単位を含有し、かつ、分子内に第1の官能基を2つ以上含有し、該第1の官能基が、電磁波もしくは熱の作用により、活性水素と反応する第2の官能基を生成する官能基である高分子化合物(A)と、
分子内に活性水素を2つ以上含有する低分子化合物及び分子内に活性水素を2つ以上含有する高分子化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の活性水素化合物(B)とを、含有する有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項2】
前記光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収して二量化反応を起こす官能基を含有する繰り返し単位が、式
【化2】

[式中、R2は、水素原子又はメチル基を表す。R’は、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Rbbは、主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。該連結部分中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。cは、0又は1の整数を表し、dは、1〜5の整数を表す。R’が複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。]
で表される繰り返し単位である請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項3】
前記光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収して二量化反応を起こす官能基を含有する繰り返し単位が、式
【化3】

[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。R〜R15は、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Rccは、主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。該連結部分中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。eは、0又は1の整数を表す。]
で表される繰り返し単位である請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項4】
前記光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収して二量化反応を起こす官能基を含有する繰り返し単位が、式
【化4】

[式中、R16は、水素原子又はメチル基を表す。R17〜R23は、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Rddは、主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。該連結部分中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。]
で表される繰り返し単位である請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項5】
前記第1の官能基が、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基である請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項6】
前記ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基が、式
【化5】

(3)
[式中、X’は、酸素原子又は硫黄原子を表し、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。]
で表される基である請求項5に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項7】
ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基が、式
【化6】

(4)
[式中、X’は、酸素原子又は硫黄原子を表し、R〜Rは、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。]
で表される基である請求項5に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む液体を基材に塗布して該基材上に塗布層を形成する工程;及び
該塗布層に対して光又は電子線を照射することにより高分子化合物(A)の光エネルギー又は電子線のエネルギーを吸収して二量化反応を起こす官能基を二量化反応させる工程;及び
該塗布層に対して電磁波又は熱を印加することにより高分子化合物(A)の第1の官能基から第2の官能基を生成させて、該第2の官能基を活性水素化合物(B)の活性水素含有基と反応させる工程;
を包含する有機薄膜トランジスタ絶縁層の形成方法。
【請求項9】
前記光が紫外線である請求項8に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層の形成方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて形成した有機薄膜トランジスタ絶縁層を有する有機薄膜トランジスタ。
【請求項11】
前記有機薄膜トランジスタ絶縁層がゲート絶縁層である請求項10に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の有機薄膜トランジスタを含むディスプレイ用部材。
【請求項13】
請求項12に記載のディスプレイ用部材を含むディスプレイ。
【請求項14】

【化7】

[式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有する炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Raaは、主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。該連結部分中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。aは、0又は1の整数を表し、bは、1〜5の整数を表す。Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Rfが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。]
で表される繰り返し単位及び式
【化8】

[式中、R16は、水素原子又はメチル基を表す。R17〜R23は、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Rddは、主鎖と側鎖とを連結する連結部分を表す。該連結部分中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。]
で表される繰り返し単位を含有し、かつ、分子内に第1の官能基を2つ以上含有し、該第1の官能基が、電磁波もしくは熱の作用により、活性水素と反応する第2の官能基を生成する官能基である高分子化合物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−84823(P2012−84823A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251372(P2010−251372)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】