光変調装置組立体及びこれを用いた画像形成装置とその駆動方法
【課題】複数色の光変調を行って画像を形成するに当たり、各色に対応する光変調素子の相対的な光学位置調整を容易にし、また、発熱等によって生じる色毎の画素ずれを抑制することを目的とする。
【解決手段】支持部材30と、支持部材30上に配置され、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する光変調装置12と、光変調装置12を駆動する駆動部16と、光変調装置12上に設けられる光透過部材13と、を有する。
【解決手段】支持部材30と、支持部材30上に配置され、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する光変調装置12と、光変調装置12を駆動する駆動部16と、光変調装置12上に設けられる光透過部材13と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば1次元回折格子型の光変調装置を配置する光変調装置組立体及びこれを用いた画像形成装置とその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターやプリンター等の画像形成装置において、1次元的な光変調手段からの光束を光走査手段で走査しながら画像形成手段に投影することで2次元画像を形成する装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。この1次元的な光変調手段としては、回折格子より成る光変調素子が1次元的にアレイ状に配列されたいわゆる1次元回折格子型の例えばGLV(Grating Light Valve)や、その他レーザアレイ、液晶型変調装置等が挙げられる。GLV等の光変調装置は、通常、赤、緑及び青色等に対応して複数個設けられ、光変調装置に入射する入射光並びに光変調装置から射出する変調された射出光を透過させるガラス板等から成る光透過部材を更に備えている。GLV型の光変調装置の各光変調素子は、マイクロマシン製造技術を応用して製造される。回折格子型の光変調素子は、反射型の素子から構成されており、光スイッチング作用を有し、光のオン/オフ制御を電気的に制御することができ、これにより画像信号に対応した変調光を射出する。したがって、この光変調素子から射出された光をスキャンミラーで走査することで2次元画像が形成される。例えばM×N(例えば1920×1080)の画素(ピクセル)から構成された2次元画像を表示するために、N個(=1080個)の光変調素子から光変調装置を構成すればよい。更には、カラー表示のためには、3つの光変調装置を用いればよい。
【0003】
一例として図15に、1次元回折格子型の光変調素子121を構成する下部電極122、固定電極131、可動電極132等の配置を模式的に示す。また、図15の矢印B−Bに沿った固定電極131等の模式的な一部断面図を図16Aに示し、図15の矢印A−Aに沿った可動電極132等の模式的な一部断面図を図16B及び図17Aに示し、図15の矢印C−Cに沿った固定電極131及び可動電極132等の模式的な一部断面図を図17Bに示す。ここで、可動電極132の変位前の状態を図16B及び図17Bの左側に示し、変位後の状態を図17A及び図17Bの右側に示す。また、図15においては、下部電極122、固定電極131、可動電極132、支持部123〜126を明示するために、これらに斜線等を付して示す。
【0004】
この光変調素子121は、Si等より成る支持体112上に下部電極122、帯状(リボン状)の固定電極131、並びに帯状(リボン状)の可動電極132が形成されて構成される。下部電極122は不純物がドープされたポリシリコン等より形成される。また、固定電極131は、支持部123,124に支持され、下部電極122の上方に支持、張架される。更には、可動電極132は、支持部125,126に支持され、下部電極122の上方に支持、張架されており、固定電極131に対して並置される。固定電極131及び可動電極132は、例えばSiNから成る誘電体材料層(下層)とCuを添加したAlから成る光反射層(上層)との積層構造として構成される。支持部123〜126は図示の例では内部を空洞とする場合を示すが、その他の種々の構成とし得る。
【0005】
そして、1つの光変調素子121は、1〜3本の固定電極131と可動電極132(図示の例では3本ずつとする)から構成される。一組の(この場合3本の)可動電極132は共に制御電極に接続され、制御電極は、図示しない接続端子部に接続される。一方、固定電極131はバイアス電極に接続される。バイアス電極は、複数の光変調素子121において共通とされ、図示しないバイアス電極端子部を介して接地される。下部電極122も、複数の光変調素子121において共通とされ、図示しない下部電極端子部を介して例えば接地される。
【0006】
なお、図15〜図17において、帯状の固定電極131及び可動電極132の長手方向をX方向、これとは直交する各電極131及び132の幅方向をY方向として示す。上述したように1080ピクセル分の光変調素子121をY方向に配置する場合、1080×6本の電極が配置されることとなる。
【0007】
このような構成とする光変調素子121において、接続端子部、制御電極を介して可動電極132へ電圧を印加し、且つ、下部電極122へ電圧を印加すると(例えば下部電極122は接地状態とする)、可動電極132と下部電極122との間に静電気力(クーロン力)が発生する。そして、この静電気力によって、下部電極122に向かって可動電極132が下方に変位する。そして、このような可動電極132の変位に基づき、可動電極132と固定電極131とによって反射型の回折格子が形成される。
【0008】
ここで、図17Bに示すように隣接する固定電極131の間の距離をd、また可動電極132及び固定電極131に入射する光の入射角をθi、波長をλ、回折角をθmとすると、
d×[sin(θi)−sin(θm)]=m×λ
で表すことができる。尚、mは次数であり、0,±1,±2・・・の値をとる。
そして、可動電極132の頂面と固定電極131の頂面の高さの差Δh1(図17B参照)が(λ/4)のとき、回折光の光強度は最大の値となる。
【0009】
この光変調装置を使用した画像形成装置の一例の概略構成図を図18に示す。この画像形成装置100は、例えば半導体レーザより成る赤色光源100R、緑色光源100G及び青色光源100Bを備える。そして各光源100R,100G及び100Bから射出された光をそれぞれ、図示しない制御部により制御される光変調装置105R,105G及び105Bが設けられ、光変調装置105R,105G及び105Bにより変調された変調光の光路を合成するL型プリズム等の光合成部106が設けられる。更に、光合成部106において光路を合成された3色の光Lの回折光を選択するシュリーレンフィルター等の空間フィルター107、選択された回折光を表示面110に向けて光を走査する走査光学部108、投影光学部109が設けられる。
【0010】
この画像形成装置200において、各光源100R,100G及び100Bから射出された赤色レーザ光Lr1、緑色レーザ光Lg1及び青色レーザ光Lb1は、図示しないミラーを介して光変調装置105R,105G及び105Bによって画像信号に対応して変調され、ミラー(図示せず)を介してL型プリズム106により1本の光束のレーザ光L1に合成され、空間フィルター107に入射される。空間フィルター107を通過したレーザ光Lは、結像レンズ(図示せず)を介して、ガルバノミラー、ポリゴンミラー等より成る走査光学部108に入射される。そして走査光学部108の矢印r1で示す回転又は回動によって、投影光学部109を介して矢印l1、l2、l3、・・・で示すように走査され、スクリーン等の表示面110に矢印s1で示す走査方向に投影される。これにより表示面110において画像が形成される。
【0011】
ここで、各光源100R,100G及び100Bから光変調装置105R,105G及び105Bに向かうレーザ光は、前述の図15〜図17に示すX方向には所定のスポットサイズに集光され、Y方向には所定幅にコリメートされた線状のコリメート光とされる。
【0012】
そして光変調装置105R,105G及び105Bにおける前述した各光変調素子121内の可動電極132に駆動電圧が印加されず不作動状態の時は、可動電極132及び固定電極131の頂面で反射された光は空間フィルター107で遮られる。一方、可動電極132が駆動されて図17A、また図17Bの右側に示す動作状態の時は、可動電極132及び固定電極131で回折された±1次(m=±1)の回折光が空間フィルター107を通過する。このような構成にすることで、スクリーン109に投影される光のオン/オフ制御が行われる。また可動電極132に印加する電圧を制御することで、可動電極132の頂面と固定電極131の頂面との高さの差Δh1を変化させて回折光強度を変化させることができるので、これにより階調制御を精度よく行うことができる。
【0013】
このような回折格子型の光変調装置は、可動電極132の寸法を適切に選定することによって、高い解像度、高速なスイッチング動作及び広い帯域幅の表示が可能となる。更に、比較的低い印加電圧で動作させることができるので、非常に小型化された投影型の画像形成装置を実現することが期待できる。また、このような画像形成装置は、通常の2次元画像表示装置、例えば、液晶パネル等を用いた投射型表示装置と比べて、スキャンミラー105によってスキャンを行うので、極めて滑らかで自然な画像表現が可能となる。しかも3原色である赤、緑及び青色のレーザを光源とし、これらの光を混合するので、色際限範囲が極めて広く、また自然な色調の画像を表現することができるといった、従来にはない優れた表示性能を有する。
【0014】
【特許文献1】特許第3401250号公報
【特許文献2】特許第3164824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したように従来のプロジェクター等の用途の画像形成装置においては、赤、緑及び青色の3色の光強度を変調するために3個の光変調装置を個別に配置して使用している。しかし、それぞれの光変調装置の位置がずれていると、各色のレーザ光が照射される位置やその反射光の出射方向にずれが生じてしまい、表示面110において画素ずれとして見えてしまう。例えば、ハイビジョン画質を表示する場合には、縦画素1080ピクセル、横画素1920ピクセルであるが、1/4ピクセルのずれを許容したとしても、縦画素(Y方向)で画素全サイズの4320分の1、横画素(X方向)で画素全サイズの7680分の1の精度が必要となる。また、仮に初期状態で3個の光変調装置のピクセルを完全に合わせたとしても、温度の変化、機械的な接合位置精度等によりやはり画素ずれとして見えてしまう。
また、図16及び図17に示す支持体112をAl2O3等のセラミックより成る配線基板等の上に固定する場合、その熱膨張は3.1×10-6/K程度であり、1℃の温度差があれば素子長さの3.1ppm分だけ位置がずれることになる。
【0016】
以上の問題に鑑みて、本発明は、複数色の光変調を行って画像を形成するに当たり、各色に対応する光変調素子の相対的な光学位置調整を容易にし、また、発熱等によって生じる色毎の画素ずれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するための本発明による光変調装置組立体は、支持部材と、支持部材上に配置され、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する光変調装置と、光変調装置を駆動する駆動部と、光変調装置上に設けられる光透過部材と、を有する。
【0018】
また、本発明による画像形成装置は、異なる波長帯域の光を出射する光源と、光源からの光を合成する光合成部と、光合成部において光路が調整されて光源からの光が入射される光変調装置組立体と、光変調装置組立体の光変調装置に画像信号に対応した駆動信号を出力する制御部と、光変調装置により変調された光を表示面に対して走査する走査光学部と、を備える。そして光変調装置組立体は、上述の本発明構成の光変調装置組立体を用いるものとする。すなわち、支持部材と、支持部材上に配置され、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する光変調装置と、光変調装置を駆動する駆動部と、光変調装置上に設けられる光透過部材と、を有する。
【0019】
また、本発明の画像形成装置の駆動方法は、支持部材上に、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する1次元回折格子型の光変調装置を設けて光変調装置組立体を構成し、光変調装置によって画像信号に対応して変調された異なる波長帯域の光を、時分割で表示面に対して走査照射する。
【0020】
上述したように、本発明の光変調装置組立体砥これを用いた画像形成方法及びその駆動方法は、光変調装置組立体として、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する光変調装置を有する光変調装置組立体を用いるものである。このように、一つの光変調装置組立体に、異なる波長帯域の例えば赤色、緑色及び青色光用の光変調装置を設けることによって、前述した各光変調装置間の光学的な位置調整が極めて容易となる。また、同一の支持部材上に各波長帯域に対応する複数又は単一の光変調装置を設けることによって、支持部材の熱膨張等によって生じる経時的な位置ずれを抑制することができる。したがって、光変調装置の位置ずれ、経時変化による表示面上での画素ずれを大幅に低減化することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数色の光変調を行って画像を形成するに当たり、各色に対応する光変調素子の相対的な光学位置調整を容易にし、また、発熱等によって生じる色毎の光変調装置を抑え、これにより画素ずれを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
図1に、本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体1の概略断面構成図を示す。図1に示すように、この光変調装置組立体1は、支持部材30上に、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する光変調装置12を有する。光変調装置12としては、例えば前述の図15〜図17に示す1次元回折格子型の光変調装置を用いることができる。また、その他レーザアレイや1次元状に配列した液晶パネル等より構成することも可能である。図1においては、光変調装置12の各光変調素子の電極等は図示を省略する。
【0023】
光変調装置12の上部は、図示しない光変調素子の保護のために支持部14を介して光透過部材13が光変調素子の上部に気密性をもって設けられ、ガス等が充填されていてもよい。例えば水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、或いは、これらの混合ガス等を封入する場合は、光変調素子の作動時における温度上昇によって生じる温度勾配に起因する固定電極や可動電極の劣化を抑制し、耐久性及び信頼性の向上を図ることができる。支持部材30は例えばセラミック積層体より構成され、内部に配線回路等が形成されるものが望ましい。そして図1に示す例のように、内側に凹部を有し、凹部内に光変調装置12等を設ける構成としてもよい。支持部材30には他に、光変調装置12の各光変調素子(図示せず)の駆動に必要とされる回路が形成された半導体装置等より成る駆動部16が設けられる。
【0024】
これら光変調装置12及び駆動部16はそれぞれ接着剤17によって支持部材30に固定される。光変調装置12と駆動部16とは、例えばワイヤボンディングにより配線18で電気的に接続され、駆動部16は更に支持部材30に例えば内蔵される配線回路部に接続される。光変調装置12及び駆動部16はこの場合支持部材30の凹部内に配置され、ワイヤボンディング等の保護のために、ポッティング樹脂20によって封止される。また支持部材30の縁部にフレキシブル配線基板19が接続される。フレキシブル配線基板19と支持部材30の側面とは樹脂等の接着剤21により固定されていてもよい。
【0025】
図2は、従来の光変調装置組立体200の概略平面構成図を示す。この場合、セラミック等より成る支持部材230上に光変調素子211を備える光変調装置212と、駆動部206とを設ける例を示す。図2に示すように、従来は一つの支持部材230上に単一の波長帯域の光に対応する光変調装置212が設けられる。図2に示す例では、一つの光変調装置212に対して4つの駆動部206を設ける例で、ワイヤボンディング等の配線207によって光変調装置212が駆動部206に、駆動部206が支持部材230上の配線回路(図示せず)に接続される。また支持部材230にはフレキシブル配線基板209が接続される。
【0026】
従来の画像形成装置においては、このような光変調装置組立体200を、前述の図18に示すように、装置内の別の箇所にそれぞれ光学的に調整して配置していた。そして光学的な調整はスクリーン等の表示面に実際に画像を表示させた状態で、いわば手動で行う必要があり、画像形成装置の組立調整が極めて煩雑な作業を含むものとなっていた。
【0027】
これに対し、本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体は、図3にその一例を示すように、支持部材30上に、異なる波長帯域の複数の線状光に対応する光変調素子11R,11G及び11Bを備える3個の光変調装置12R,12G及び12Bが設けられる。図3において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この例においては、光変調装置12R、12G及び12Bに設ける各光変調素子11R,11G及び11BをGLV等の1次元回折格子型構成とする場合を示す。そしてその各電極(図示せず)の長手方向であるX方向ではなく、これとは直交するY方向に各光変調装置12R,12G及び12Bを配列する場合を示す。
【0028】
このように、単一の支持部材30上に異なる波長帯域の光に対応する光変調装置12R,12G及び12Bを設けることによって、光変調装置組立体1を組み込む画像形成装置の小型化が可能となり、コストの削減が可能となる。また、各光変調装置12R,12G及び12BのX方向及びY方向の位置を一旦調整してしまえば、各装置間で位置ずれが発生することがなく、その上各光変調装置の温度差による線膨張の差を抑制できるので、画素ずれを大幅に低減化することが可能となる。
【0029】
このように、単一の支持部材30上に、例えば赤色、緑色及び青色に対応する光変調装置12R,12G及び12Bを設ける光変調装置組立体1を用いた本発明の実施の形態に係る画像形成装置50の概略構成図を図4に示す。この画像形成装置50は、例えば赤色帯域、緑色帯域及び青色帯域のレーザ光を出射する光源4R,4G及び4Bを備える。また、各光源4R,4G及び4Bから射出されたレーザ光Lr,Lg及びLbの各光軸の相対位置を調整して合成するL型プリズム等より成る光合成部6を備える。そして光合成部6の光出射側に前述の図1及び図3に示す光変調装置組立体1が配置される。更に、光変調装置組立体1から射出された光Lの光路上に、シュリーレンフィルター等より成る空間フィルター7、ガルバノミラー、ポリゴンミラー等より成る走査光学部8、投影レンズ群より成る投影光学部9が配置される。
【0030】
この画像形成装置50において、光源4R,4G及び4Bから射出された各色帯域のレーザ光Lr,Lg及びLbは、図示しない円筒レンズ等の集光レンズによって、X方向には所定のスポットサイズに集光され、Y方向には所定幅にコリメートされたコリメート光とされて色合成部6に入射される。そして色合成部6においてそれぞれの相対的な位置を調整されて、光軸が所定方向に所定量ずれた3本の光束に合成される。そして光変調装置組立体1に各色光が入射され、図示しない駆動部からの入力信号により、各色光に対応する光変調装置がそれぞれ独別に駆動され、例えば回折格子型の光変調素子の各電極が制御されて変調され、外部に射出される。
【0031】
光変調装置組立体1から射出された変調光Lは、ミラー(図示せず)又は必要に応じてプリズム等の色合成部により一本の光束とされて、フーリエ面に配置される空間フィルター7に入射される。そしてこの空間フィルター7により例えば1次回折光が選択され、結像レンズ(図示せず)等を介して走査光学部8に入射される。そして走査光学部8により反射され、投影光学部9によりスクリーン等の表示面10に向かって矢印L1,L2,L3,・・・で示すように投影され、表示面10上において矢印Sで示すように走査照射される。これにより、表示面10上で画像が形成される。
【0032】
前述したように、光変調装置として図15〜図17において説明した1次元回折格子型の光変調装置を用いる場合、可動電極が動作しない状態では空間フィルター7で光が遮光され、可動電極に駆動電圧を印加した動作状態で例えば±1次回折光が射出され、空間フィルター7を通過する。可動電極に印加する駆動電圧を制御することで、表示面10に投影される光のオン/オフを制御し、また回折光の強度を変化させて、階調制御を行うことができる。
【0033】
このような構成とする光変調装置12R,12G及び12Bを、前述の図3に示すように、単一の支持部材30上に設けて光変調装置組立体1を構成する場合の色合成部6の配置構成の一例を図5に示す。図5は、図4に示す画像形成装置50の色合成部6の拡大平面図である。この場合、色合成部6をL字プリズムより構成するが、各光源から入射される光の光軸を一部ずらして色合成部6に入射させる。図示の例では、緑色光Lgは色合成部6の光軸に沿って入射されるが、赤色光Lr及び青色光Lbはそれぞれ一点鎖線C1、二点鎖線C2で示す光軸からずらして入射される。このように入射位置をずらすことにより、出射される各色光の相対的な位置が調整される。各光変調装置(図示せず)に入射光を導くミラー(図示せず)はこの場合、光の進行方向に沿う方向と直交する方向にずらして配置される。
【0034】
図3に示す例では、線状光の長手方向であるY方向に各色の光変調装置12R,12G及び12Bを配列した場合を示し、この場合の概略構成図を図6Aに示す。図6Aの例では、図5において光源(図示せず)から射出される線状光の長手方向は、矢印a1で示すように光変調装置組立体1からの射出光Lの光軸と直交し、図5の紙面に沿う方向とすればよい。
【0035】
一方、図6Bに示すように、Y方向と直交するX方向に各色の光変調装置12R,12G及び12Bを配列してもよい。この場合は、図5において線状光の長手方向は、矢印b1で示すように、射出光Lの光軸と直交し、且つ図5の紙面と直交する方向とされる。
【0036】
図6に示すれいでは、光Lの進行方向と直交する方向に光変調装置12R,12G及び12Bを配列する場合であるが、逆に、図7に示すように、光の進行方向に沿って、各光変調装置12r、12G及び12Bを配列することも可能である。図7においては、X方向を光Lの進行方向に沿う方向とし、このX方向に各色に対応する光変調装置12R、12G及び12Bを配列して光変調装置組立体1を構成す場合を示す。図7において、図3と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0037】
図8に、この場合の色合成部(図示せず)からの各色光Lr,Lg及びLbの入射する様子を模式的に示す。図5に示す例と同様の構成で僅かに光軸を分離された各色光Lr(実線)、Lg(一点鎖線)、Lb(破線)を図示しないミラーにより支持部材30上の各光変調装置12R,12G及び12bに入射させる。図8に示す例では、各光変調装置12R,12G及び12Bは各光Lr,Lg及びLbの進行方向に沿って配列され、各光変調装置12R,12G及び12Bに入射光を導くミラー(図示せず)も各光の進行方向に沿って位置をずらして配置される。
【0038】
図9Aは、図7に示す光変調装置組立体1のように、各光変調装置12R,12G及び12BをX方向に配列した場合の模式的な構成図である。この場合は線状光の長手方向は図8において矢印a2で示すように、光変調装置組立体1からの射出光Lの光軸と直交し、且つ図8の紙面と直交する方向となる。
【0039】
また、図9Bに示すように、各光変調装置12R,12G及び12BをY方向に配列してもよい。この場合は線状光の長手方向は図8において矢印b2で示すように、射出光Lの光軸と直交し、図8の紙面に沿う方向とすればよい。
【0040】
また、図10に示すように、図3に示す光変調装置12R,12G及び12Bを接続した状態、すなわち単一の光変調装置12として構成することも可能である。図10において、図1,図3等と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この例では、光変調素子11は光変調装置12に一列に配置される。また、駆動部16はそれぞれに配置されており、独立に駆動することが可能である。例えば赤、緑及び青色の3色を照射する場合には光変調素子11内の領域を区分して、それぞれの領域に各色の光を照射、変調することでカラー表示が可能である。
【0041】
図10に示す例において、駆動部16は光変調素子11に対して6個設ける場合を示すが、駆動部16の数には特に制限はない。このように光変調素子11を一体化し、すなわち単一の光変調装置12によって複数の波長の光を変調する場合は、光変調素子11の各色間における位置精度の調整は不要となる。
この場合、1つの光変調素子11内の区分された領域で異なる波長の光を変調することができる。例えば、1次元回折格子型の光変調素子でハイビジョンを投影するプロジェクターに適用する場合は、1080ピクセルの3倍である3240ピクセル分を1つの光変調素子に作製すればよい。この場合、赤色R、緑色G及び青色Bの光をピクセルで上から3分割してもよく、また、第1ピクセルをR、第2ピクセルをG、第3ピクセルをB、第4ピクセルをR、・・・のように混ぜて駆動することも可能である。どのピクセルにどの光源からの光を照射するかは問わない。
【0042】
なお、このような光変調装置組立体1を用いる場合、異なる波長の光を上述したように光変調素子11の区分を領域して空間的に異なるピクセル(に対応する電極群)に照射してもよいが、時間軸で分割してもよい。時間的に分割することで同一ピクセル(に対応する電極群)に異なる波長帯域の光を照射することも可能となる。すなわち、図11A〜Cに示すように、一定時間を赤色画像R、次の一定時間を緑色画像G、次の一定時間は青色画像Bを光変調素子11で変調し、それぞれ矢印Sで示すように走査して表示面にカラー画像を表示する事も可能である。
【0043】
このように時間分割する場合は、例えば3色表示の場合、1ピクセルの駆動時間が1/3となる。ここで例えば光変調素子11として前述のGLVを用いる場合、その立ち上がり応答特性は、図12に示すように、1.3μsと極めて速い。したがって、ハイビジョン画質であっても1/60秒で表示する場合は1ピクセル8.7μs、3色を1変調素子でまかなう場合は2.9μsで画像表示でき、十分な応答速度といえる。
【0044】
時分割の方法は、図11A〜Cに示すように1画面分のみではなく、例えば図13Aに示すように、矢印Sで示す走査方向に関して一つの縦画像分を各色で表示する事も可能である。また、図13Bに示すように、縦画像数列分(図示の例では3列)分を一つの波長帯域の色画像として、R,G,Bと順次表示することも可能である。
【0045】
上述したように、本発明の光変調装置組立体においては、異なる波長帯域の光に対応する光変調装置を単一の支持部材上に配置するものであり、光学的な調整が簡易化され、また光学系の構成の小型化が可能となる。
【0046】
また、1つの光変調素子内の同じ領域で異なる波長の光を変調することも可能である。例えば、時間軸を3分割し、R、G、Bの順(順不同)に同じピクセルに照射することによって、1つの光変調装置で3色の表示が可能である。例えばGLV型の光変調素子を用いる場合は、可動電極の応答速度が十分高速であるため、ハイビジョン画質であっても1秒間に180枚以上の投影が可能であり、3色を単一の光変調素子でまかなうことができることになる。
【0047】
そして本発明による場合は、光変調装置12(12R,12G及び12B)を支持する支持部材30が発熱等によって膨張しても、各色毎の光変調素子間での温度差を抑制できる。例えば前述したようにハイビジョン画質を表示する場合には、縦画素1080ピクセル、横画素1920ピクセルであり、1/4ピクセルのずれを許容したとしても、縦画素で画素全サイズの4320分の1、横画素で画素全サイズの7680分の1の精度が必要となるが、本発明による場合は1/4ピクセルのずれを位置合わせすればよい。
【0048】
また、支持部材30がAl2O3より成る場合は、前述したように熱膨張率は3.1×10−6/K程度であり、1℃の温度差があると素子長さの3.1ppm分だけ位置がずれることになる。図14に実際のモジュールに組み込んだ光変調素子の両端の熱膨張の様子を示す。この例では、光変調素子の両端に十字マークを設け、この十字マーク間の20℃における距離を基準として、発熱によって十字マーク間距離が膨張する様子をプロットしたものである。図14の結果から、例えば10℃の温度差がある場合には、0.93μmの位置ずれが発生することがわかる。
【0049】
これに対し、本発明の実施の形態による光変調装置組立体1においては、光変調装置12(12R,12G及び12B)を単一の支持部材30に配置するので、装置間の温度差は考慮する必要がない。また、図10に示す例のように、単一の光変調装置12を設け、同じ領域で異なる波長の光を変調する場合には、ミラーの数を低減でき、画像形成装置全体のサイズの小型化、簡略化、ひいてはコストダウンも可能となる。
【0050】
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体の概略断面構成図である。
【図2】従来の光変調装置組立体の概略平面構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体の概略平面構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の要部の概略平面構成図である。
【図6】A及びBは本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体の概略平面構成図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体の概略平面構成図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の要部の概略構成図である。
【図9】A及びBは本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体の概略平面構成図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体の概略平面構成図である。
【図11】A〜Cは本発明の実施の形態に係る画像形成装置の駆動方法の説明図である。
【図12】回折格子型の光変調装置の立ち上がり応答速度を示す図である。
【図13】A及びBは本発明の実施の形態に係る画像形成装置の駆動方法の説明図である。
【図14】光変調素子の温度変化による線膨張の変化の一例を示す図である。
【図15】回折格子型の光変調装置の概略平面構成図である。
【図16】A及びBは回折格子型の光変調装置の要部の概略側面構成図である。
【図17】Aは回折格子型の光変調装置の要部の概略側面構成図、Bは回折格子型の光変調装置の概略断面構成図である。
【図18】従来の画像形成装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・光変調装置組立体、4R,4G,4B・・・光源、6・・・光合成部、7・・・空間フィルター、8・・・走査光学部、9・・・投影光学部、10・・・表示面、11・・・光変調素子、12(12R,12G,12B)・・・光変調装置、13・・・光透過部材、14・・・スペーサ、16・・・駆動部、17・・・接着剤、18・・・配線、19・・・フレキシブル配線基板、20・・・ポッティング樹脂、21・・・樹脂、30・・・支持部材、50・・・画像形成装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば1次元回折格子型の光変調装置を配置する光変調装置組立体及びこれを用いた画像形成装置とその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターやプリンター等の画像形成装置において、1次元的な光変調手段からの光束を光走査手段で走査しながら画像形成手段に投影することで2次元画像を形成する装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。この1次元的な光変調手段としては、回折格子より成る光変調素子が1次元的にアレイ状に配列されたいわゆる1次元回折格子型の例えばGLV(Grating Light Valve)や、その他レーザアレイ、液晶型変調装置等が挙げられる。GLV等の光変調装置は、通常、赤、緑及び青色等に対応して複数個設けられ、光変調装置に入射する入射光並びに光変調装置から射出する変調された射出光を透過させるガラス板等から成る光透過部材を更に備えている。GLV型の光変調装置の各光変調素子は、マイクロマシン製造技術を応用して製造される。回折格子型の光変調素子は、反射型の素子から構成されており、光スイッチング作用を有し、光のオン/オフ制御を電気的に制御することができ、これにより画像信号に対応した変調光を射出する。したがって、この光変調素子から射出された光をスキャンミラーで走査することで2次元画像が形成される。例えばM×N(例えば1920×1080)の画素(ピクセル)から構成された2次元画像を表示するために、N個(=1080個)の光変調素子から光変調装置を構成すればよい。更には、カラー表示のためには、3つの光変調装置を用いればよい。
【0003】
一例として図15に、1次元回折格子型の光変調素子121を構成する下部電極122、固定電極131、可動電極132等の配置を模式的に示す。また、図15の矢印B−Bに沿った固定電極131等の模式的な一部断面図を図16Aに示し、図15の矢印A−Aに沿った可動電極132等の模式的な一部断面図を図16B及び図17Aに示し、図15の矢印C−Cに沿った固定電極131及び可動電極132等の模式的な一部断面図を図17Bに示す。ここで、可動電極132の変位前の状態を図16B及び図17Bの左側に示し、変位後の状態を図17A及び図17Bの右側に示す。また、図15においては、下部電極122、固定電極131、可動電極132、支持部123〜126を明示するために、これらに斜線等を付して示す。
【0004】
この光変調素子121は、Si等より成る支持体112上に下部電極122、帯状(リボン状)の固定電極131、並びに帯状(リボン状)の可動電極132が形成されて構成される。下部電極122は不純物がドープされたポリシリコン等より形成される。また、固定電極131は、支持部123,124に支持され、下部電極122の上方に支持、張架される。更には、可動電極132は、支持部125,126に支持され、下部電極122の上方に支持、張架されており、固定電極131に対して並置される。固定電極131及び可動電極132は、例えばSiNから成る誘電体材料層(下層)とCuを添加したAlから成る光反射層(上層)との積層構造として構成される。支持部123〜126は図示の例では内部を空洞とする場合を示すが、その他の種々の構成とし得る。
【0005】
そして、1つの光変調素子121は、1〜3本の固定電極131と可動電極132(図示の例では3本ずつとする)から構成される。一組の(この場合3本の)可動電極132は共に制御電極に接続され、制御電極は、図示しない接続端子部に接続される。一方、固定電極131はバイアス電極に接続される。バイアス電極は、複数の光変調素子121において共通とされ、図示しないバイアス電極端子部を介して接地される。下部電極122も、複数の光変調素子121において共通とされ、図示しない下部電極端子部を介して例えば接地される。
【0006】
なお、図15〜図17において、帯状の固定電極131及び可動電極132の長手方向をX方向、これとは直交する各電極131及び132の幅方向をY方向として示す。上述したように1080ピクセル分の光変調素子121をY方向に配置する場合、1080×6本の電極が配置されることとなる。
【0007】
このような構成とする光変調素子121において、接続端子部、制御電極を介して可動電極132へ電圧を印加し、且つ、下部電極122へ電圧を印加すると(例えば下部電極122は接地状態とする)、可動電極132と下部電極122との間に静電気力(クーロン力)が発生する。そして、この静電気力によって、下部電極122に向かって可動電極132が下方に変位する。そして、このような可動電極132の変位に基づき、可動電極132と固定電極131とによって反射型の回折格子が形成される。
【0008】
ここで、図17Bに示すように隣接する固定電極131の間の距離をd、また可動電極132及び固定電極131に入射する光の入射角をθi、波長をλ、回折角をθmとすると、
d×[sin(θi)−sin(θm)]=m×λ
で表すことができる。尚、mは次数であり、0,±1,±2・・・の値をとる。
そして、可動電極132の頂面と固定電極131の頂面の高さの差Δh1(図17B参照)が(λ/4)のとき、回折光の光強度は最大の値となる。
【0009】
この光変調装置を使用した画像形成装置の一例の概略構成図を図18に示す。この画像形成装置100は、例えば半導体レーザより成る赤色光源100R、緑色光源100G及び青色光源100Bを備える。そして各光源100R,100G及び100Bから射出された光をそれぞれ、図示しない制御部により制御される光変調装置105R,105G及び105Bが設けられ、光変調装置105R,105G及び105Bにより変調された変調光の光路を合成するL型プリズム等の光合成部106が設けられる。更に、光合成部106において光路を合成された3色の光Lの回折光を選択するシュリーレンフィルター等の空間フィルター107、選択された回折光を表示面110に向けて光を走査する走査光学部108、投影光学部109が設けられる。
【0010】
この画像形成装置200において、各光源100R,100G及び100Bから射出された赤色レーザ光Lr1、緑色レーザ光Lg1及び青色レーザ光Lb1は、図示しないミラーを介して光変調装置105R,105G及び105Bによって画像信号に対応して変調され、ミラー(図示せず)を介してL型プリズム106により1本の光束のレーザ光L1に合成され、空間フィルター107に入射される。空間フィルター107を通過したレーザ光Lは、結像レンズ(図示せず)を介して、ガルバノミラー、ポリゴンミラー等より成る走査光学部108に入射される。そして走査光学部108の矢印r1で示す回転又は回動によって、投影光学部109を介して矢印l1、l2、l3、・・・で示すように走査され、スクリーン等の表示面110に矢印s1で示す走査方向に投影される。これにより表示面110において画像が形成される。
【0011】
ここで、各光源100R,100G及び100Bから光変調装置105R,105G及び105Bに向かうレーザ光は、前述の図15〜図17に示すX方向には所定のスポットサイズに集光され、Y方向には所定幅にコリメートされた線状のコリメート光とされる。
【0012】
そして光変調装置105R,105G及び105Bにおける前述した各光変調素子121内の可動電極132に駆動電圧が印加されず不作動状態の時は、可動電極132及び固定電極131の頂面で反射された光は空間フィルター107で遮られる。一方、可動電極132が駆動されて図17A、また図17Bの右側に示す動作状態の時は、可動電極132及び固定電極131で回折された±1次(m=±1)の回折光が空間フィルター107を通過する。このような構成にすることで、スクリーン109に投影される光のオン/オフ制御が行われる。また可動電極132に印加する電圧を制御することで、可動電極132の頂面と固定電極131の頂面との高さの差Δh1を変化させて回折光強度を変化させることができるので、これにより階調制御を精度よく行うことができる。
【0013】
このような回折格子型の光変調装置は、可動電極132の寸法を適切に選定することによって、高い解像度、高速なスイッチング動作及び広い帯域幅の表示が可能となる。更に、比較的低い印加電圧で動作させることができるので、非常に小型化された投影型の画像形成装置を実現することが期待できる。また、このような画像形成装置は、通常の2次元画像表示装置、例えば、液晶パネル等を用いた投射型表示装置と比べて、スキャンミラー105によってスキャンを行うので、極めて滑らかで自然な画像表現が可能となる。しかも3原色である赤、緑及び青色のレーザを光源とし、これらの光を混合するので、色際限範囲が極めて広く、また自然な色調の画像を表現することができるといった、従来にはない優れた表示性能を有する。
【0014】
【特許文献1】特許第3401250号公報
【特許文献2】特許第3164824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したように従来のプロジェクター等の用途の画像形成装置においては、赤、緑及び青色の3色の光強度を変調するために3個の光変調装置を個別に配置して使用している。しかし、それぞれの光変調装置の位置がずれていると、各色のレーザ光が照射される位置やその反射光の出射方向にずれが生じてしまい、表示面110において画素ずれとして見えてしまう。例えば、ハイビジョン画質を表示する場合には、縦画素1080ピクセル、横画素1920ピクセルであるが、1/4ピクセルのずれを許容したとしても、縦画素(Y方向)で画素全サイズの4320分の1、横画素(X方向)で画素全サイズの7680分の1の精度が必要となる。また、仮に初期状態で3個の光変調装置のピクセルを完全に合わせたとしても、温度の変化、機械的な接合位置精度等によりやはり画素ずれとして見えてしまう。
また、図16及び図17に示す支持体112をAl2O3等のセラミックより成る配線基板等の上に固定する場合、その熱膨張は3.1×10-6/K程度であり、1℃の温度差があれば素子長さの3.1ppm分だけ位置がずれることになる。
【0016】
以上の問題に鑑みて、本発明は、複数色の光変調を行って画像を形成するに当たり、各色に対応する光変調素子の相対的な光学位置調整を容易にし、また、発熱等によって生じる色毎の画素ずれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するための本発明による光変調装置組立体は、支持部材と、支持部材上に配置され、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する光変調装置と、光変調装置を駆動する駆動部と、光変調装置上に設けられる光透過部材と、を有する。
【0018】
また、本発明による画像形成装置は、異なる波長帯域の光を出射する光源と、光源からの光を合成する光合成部と、光合成部において光路が調整されて光源からの光が入射される光変調装置組立体と、光変調装置組立体の光変調装置に画像信号に対応した駆動信号を出力する制御部と、光変調装置により変調された光を表示面に対して走査する走査光学部と、を備える。そして光変調装置組立体は、上述の本発明構成の光変調装置組立体を用いるものとする。すなわち、支持部材と、支持部材上に配置され、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する光変調装置と、光変調装置を駆動する駆動部と、光変調装置上に設けられる光透過部材と、を有する。
【0019】
また、本発明の画像形成装置の駆動方法は、支持部材上に、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する1次元回折格子型の光変調装置を設けて光変調装置組立体を構成し、光変調装置によって画像信号に対応して変調された異なる波長帯域の光を、時分割で表示面に対して走査照射する。
【0020】
上述したように、本発明の光変調装置組立体砥これを用いた画像形成方法及びその駆動方法は、光変調装置組立体として、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する光変調装置を有する光変調装置組立体を用いるものである。このように、一つの光変調装置組立体に、異なる波長帯域の例えば赤色、緑色及び青色光用の光変調装置を設けることによって、前述した各光変調装置間の光学的な位置調整が極めて容易となる。また、同一の支持部材上に各波長帯域に対応する複数又は単一の光変調装置を設けることによって、支持部材の熱膨張等によって生じる経時的な位置ずれを抑制することができる。したがって、光変調装置の位置ずれ、経時変化による表示面上での画素ずれを大幅に低減化することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数色の光変調を行って画像を形成するに当たり、各色に対応する光変調素子の相対的な光学位置調整を容易にし、また、発熱等によって生じる色毎の光変調装置を抑え、これにより画素ずれを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
図1に、本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体1の概略断面構成図を示す。図1に示すように、この光変調装置組立体1は、支持部材30上に、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する光変調装置12を有する。光変調装置12としては、例えば前述の図15〜図17に示す1次元回折格子型の光変調装置を用いることができる。また、その他レーザアレイや1次元状に配列した液晶パネル等より構成することも可能である。図1においては、光変調装置12の各光変調素子の電極等は図示を省略する。
【0023】
光変調装置12の上部は、図示しない光変調素子の保護のために支持部14を介して光透過部材13が光変調素子の上部に気密性をもって設けられ、ガス等が充填されていてもよい。例えば水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、或いは、これらの混合ガス等を封入する場合は、光変調素子の作動時における温度上昇によって生じる温度勾配に起因する固定電極や可動電極の劣化を抑制し、耐久性及び信頼性の向上を図ることができる。支持部材30は例えばセラミック積層体より構成され、内部に配線回路等が形成されるものが望ましい。そして図1に示す例のように、内側に凹部を有し、凹部内に光変調装置12等を設ける構成としてもよい。支持部材30には他に、光変調装置12の各光変調素子(図示せず)の駆動に必要とされる回路が形成された半導体装置等より成る駆動部16が設けられる。
【0024】
これら光変調装置12及び駆動部16はそれぞれ接着剤17によって支持部材30に固定される。光変調装置12と駆動部16とは、例えばワイヤボンディングにより配線18で電気的に接続され、駆動部16は更に支持部材30に例えば内蔵される配線回路部に接続される。光変調装置12及び駆動部16はこの場合支持部材30の凹部内に配置され、ワイヤボンディング等の保護のために、ポッティング樹脂20によって封止される。また支持部材30の縁部にフレキシブル配線基板19が接続される。フレキシブル配線基板19と支持部材30の側面とは樹脂等の接着剤21により固定されていてもよい。
【0025】
図2は、従来の光変調装置組立体200の概略平面構成図を示す。この場合、セラミック等より成る支持部材230上に光変調素子211を備える光変調装置212と、駆動部206とを設ける例を示す。図2に示すように、従来は一つの支持部材230上に単一の波長帯域の光に対応する光変調装置212が設けられる。図2に示す例では、一つの光変調装置212に対して4つの駆動部206を設ける例で、ワイヤボンディング等の配線207によって光変調装置212が駆動部206に、駆動部206が支持部材230上の配線回路(図示せず)に接続される。また支持部材230にはフレキシブル配線基板209が接続される。
【0026】
従来の画像形成装置においては、このような光変調装置組立体200を、前述の図18に示すように、装置内の別の箇所にそれぞれ光学的に調整して配置していた。そして光学的な調整はスクリーン等の表示面に実際に画像を表示させた状態で、いわば手動で行う必要があり、画像形成装置の組立調整が極めて煩雑な作業を含むものとなっていた。
【0027】
これに対し、本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体は、図3にその一例を示すように、支持部材30上に、異なる波長帯域の複数の線状光に対応する光変調素子11R,11G及び11Bを備える3個の光変調装置12R,12G及び12Bが設けられる。図3において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この例においては、光変調装置12R、12G及び12Bに設ける各光変調素子11R,11G及び11BをGLV等の1次元回折格子型構成とする場合を示す。そしてその各電極(図示せず)の長手方向であるX方向ではなく、これとは直交するY方向に各光変調装置12R,12G及び12Bを配列する場合を示す。
【0028】
このように、単一の支持部材30上に異なる波長帯域の光に対応する光変調装置12R,12G及び12Bを設けることによって、光変調装置組立体1を組み込む画像形成装置の小型化が可能となり、コストの削減が可能となる。また、各光変調装置12R,12G及び12BのX方向及びY方向の位置を一旦調整してしまえば、各装置間で位置ずれが発生することがなく、その上各光変調装置の温度差による線膨張の差を抑制できるので、画素ずれを大幅に低減化することが可能となる。
【0029】
このように、単一の支持部材30上に、例えば赤色、緑色及び青色に対応する光変調装置12R,12G及び12Bを設ける光変調装置組立体1を用いた本発明の実施の形態に係る画像形成装置50の概略構成図を図4に示す。この画像形成装置50は、例えば赤色帯域、緑色帯域及び青色帯域のレーザ光を出射する光源4R,4G及び4Bを備える。また、各光源4R,4G及び4Bから射出されたレーザ光Lr,Lg及びLbの各光軸の相対位置を調整して合成するL型プリズム等より成る光合成部6を備える。そして光合成部6の光出射側に前述の図1及び図3に示す光変調装置組立体1が配置される。更に、光変調装置組立体1から射出された光Lの光路上に、シュリーレンフィルター等より成る空間フィルター7、ガルバノミラー、ポリゴンミラー等より成る走査光学部8、投影レンズ群より成る投影光学部9が配置される。
【0030】
この画像形成装置50において、光源4R,4G及び4Bから射出された各色帯域のレーザ光Lr,Lg及びLbは、図示しない円筒レンズ等の集光レンズによって、X方向には所定のスポットサイズに集光され、Y方向には所定幅にコリメートされたコリメート光とされて色合成部6に入射される。そして色合成部6においてそれぞれの相対的な位置を調整されて、光軸が所定方向に所定量ずれた3本の光束に合成される。そして光変調装置組立体1に各色光が入射され、図示しない駆動部からの入力信号により、各色光に対応する光変調装置がそれぞれ独別に駆動され、例えば回折格子型の光変調素子の各電極が制御されて変調され、外部に射出される。
【0031】
光変調装置組立体1から射出された変調光Lは、ミラー(図示せず)又は必要に応じてプリズム等の色合成部により一本の光束とされて、フーリエ面に配置される空間フィルター7に入射される。そしてこの空間フィルター7により例えば1次回折光が選択され、結像レンズ(図示せず)等を介して走査光学部8に入射される。そして走査光学部8により反射され、投影光学部9によりスクリーン等の表示面10に向かって矢印L1,L2,L3,・・・で示すように投影され、表示面10上において矢印Sで示すように走査照射される。これにより、表示面10上で画像が形成される。
【0032】
前述したように、光変調装置として図15〜図17において説明した1次元回折格子型の光変調装置を用いる場合、可動電極が動作しない状態では空間フィルター7で光が遮光され、可動電極に駆動電圧を印加した動作状態で例えば±1次回折光が射出され、空間フィルター7を通過する。可動電極に印加する駆動電圧を制御することで、表示面10に投影される光のオン/オフを制御し、また回折光の強度を変化させて、階調制御を行うことができる。
【0033】
このような構成とする光変調装置12R,12G及び12Bを、前述の図3に示すように、単一の支持部材30上に設けて光変調装置組立体1を構成する場合の色合成部6の配置構成の一例を図5に示す。図5は、図4に示す画像形成装置50の色合成部6の拡大平面図である。この場合、色合成部6をL字プリズムより構成するが、各光源から入射される光の光軸を一部ずらして色合成部6に入射させる。図示の例では、緑色光Lgは色合成部6の光軸に沿って入射されるが、赤色光Lr及び青色光Lbはそれぞれ一点鎖線C1、二点鎖線C2で示す光軸からずらして入射される。このように入射位置をずらすことにより、出射される各色光の相対的な位置が調整される。各光変調装置(図示せず)に入射光を導くミラー(図示せず)はこの場合、光の進行方向に沿う方向と直交する方向にずらして配置される。
【0034】
図3に示す例では、線状光の長手方向であるY方向に各色の光変調装置12R,12G及び12Bを配列した場合を示し、この場合の概略構成図を図6Aに示す。図6Aの例では、図5において光源(図示せず)から射出される線状光の長手方向は、矢印a1で示すように光変調装置組立体1からの射出光Lの光軸と直交し、図5の紙面に沿う方向とすればよい。
【0035】
一方、図6Bに示すように、Y方向と直交するX方向に各色の光変調装置12R,12G及び12Bを配列してもよい。この場合は、図5において線状光の長手方向は、矢印b1で示すように、射出光Lの光軸と直交し、且つ図5の紙面と直交する方向とされる。
【0036】
図6に示すれいでは、光Lの進行方向と直交する方向に光変調装置12R,12G及び12Bを配列する場合であるが、逆に、図7に示すように、光の進行方向に沿って、各光変調装置12r、12G及び12Bを配列することも可能である。図7においては、X方向を光Lの進行方向に沿う方向とし、このX方向に各色に対応する光変調装置12R、12G及び12Bを配列して光変調装置組立体1を構成す場合を示す。図7において、図3と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0037】
図8に、この場合の色合成部(図示せず)からの各色光Lr,Lg及びLbの入射する様子を模式的に示す。図5に示す例と同様の構成で僅かに光軸を分離された各色光Lr(実線)、Lg(一点鎖線)、Lb(破線)を図示しないミラーにより支持部材30上の各光変調装置12R,12G及び12bに入射させる。図8に示す例では、各光変調装置12R,12G及び12Bは各光Lr,Lg及びLbの進行方向に沿って配列され、各光変調装置12R,12G及び12Bに入射光を導くミラー(図示せず)も各光の進行方向に沿って位置をずらして配置される。
【0038】
図9Aは、図7に示す光変調装置組立体1のように、各光変調装置12R,12G及び12BをX方向に配列した場合の模式的な構成図である。この場合は線状光の長手方向は図8において矢印a2で示すように、光変調装置組立体1からの射出光Lの光軸と直交し、且つ図8の紙面と直交する方向となる。
【0039】
また、図9Bに示すように、各光変調装置12R,12G及び12BをY方向に配列してもよい。この場合は線状光の長手方向は図8において矢印b2で示すように、射出光Lの光軸と直交し、図8の紙面に沿う方向とすればよい。
【0040】
また、図10に示すように、図3に示す光変調装置12R,12G及び12Bを接続した状態、すなわち単一の光変調装置12として構成することも可能である。図10において、図1,図3等と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この例では、光変調素子11は光変調装置12に一列に配置される。また、駆動部16はそれぞれに配置されており、独立に駆動することが可能である。例えば赤、緑及び青色の3色を照射する場合には光変調素子11内の領域を区分して、それぞれの領域に各色の光を照射、変調することでカラー表示が可能である。
【0041】
図10に示す例において、駆動部16は光変調素子11に対して6個設ける場合を示すが、駆動部16の数には特に制限はない。このように光変調素子11を一体化し、すなわち単一の光変調装置12によって複数の波長の光を変調する場合は、光変調素子11の各色間における位置精度の調整は不要となる。
この場合、1つの光変調素子11内の区分された領域で異なる波長の光を変調することができる。例えば、1次元回折格子型の光変調素子でハイビジョンを投影するプロジェクターに適用する場合は、1080ピクセルの3倍である3240ピクセル分を1つの光変調素子に作製すればよい。この場合、赤色R、緑色G及び青色Bの光をピクセルで上から3分割してもよく、また、第1ピクセルをR、第2ピクセルをG、第3ピクセルをB、第4ピクセルをR、・・・のように混ぜて駆動することも可能である。どのピクセルにどの光源からの光を照射するかは問わない。
【0042】
なお、このような光変調装置組立体1を用いる場合、異なる波長の光を上述したように光変調素子11の区分を領域して空間的に異なるピクセル(に対応する電極群)に照射してもよいが、時間軸で分割してもよい。時間的に分割することで同一ピクセル(に対応する電極群)に異なる波長帯域の光を照射することも可能となる。すなわち、図11A〜Cに示すように、一定時間を赤色画像R、次の一定時間を緑色画像G、次の一定時間は青色画像Bを光変調素子11で変調し、それぞれ矢印Sで示すように走査して表示面にカラー画像を表示する事も可能である。
【0043】
このように時間分割する場合は、例えば3色表示の場合、1ピクセルの駆動時間が1/3となる。ここで例えば光変調素子11として前述のGLVを用いる場合、その立ち上がり応答特性は、図12に示すように、1.3μsと極めて速い。したがって、ハイビジョン画質であっても1/60秒で表示する場合は1ピクセル8.7μs、3色を1変調素子でまかなう場合は2.9μsで画像表示でき、十分な応答速度といえる。
【0044】
時分割の方法は、図11A〜Cに示すように1画面分のみではなく、例えば図13Aに示すように、矢印Sで示す走査方向に関して一つの縦画像分を各色で表示する事も可能である。また、図13Bに示すように、縦画像数列分(図示の例では3列)分を一つの波長帯域の色画像として、R,G,Bと順次表示することも可能である。
【0045】
上述したように、本発明の光変調装置組立体においては、異なる波長帯域の光に対応する光変調装置を単一の支持部材上に配置するものであり、光学的な調整が簡易化され、また光学系の構成の小型化が可能となる。
【0046】
また、1つの光変調素子内の同じ領域で異なる波長の光を変調することも可能である。例えば、時間軸を3分割し、R、G、Bの順(順不同)に同じピクセルに照射することによって、1つの光変調装置で3色の表示が可能である。例えばGLV型の光変調素子を用いる場合は、可動電極の応答速度が十分高速であるため、ハイビジョン画質であっても1秒間に180枚以上の投影が可能であり、3色を単一の光変調素子でまかなうことができることになる。
【0047】
そして本発明による場合は、光変調装置12(12R,12G及び12B)を支持する支持部材30が発熱等によって膨張しても、各色毎の光変調素子間での温度差を抑制できる。例えば前述したようにハイビジョン画質を表示する場合には、縦画素1080ピクセル、横画素1920ピクセルであり、1/4ピクセルのずれを許容したとしても、縦画素で画素全サイズの4320分の1、横画素で画素全サイズの7680分の1の精度が必要となるが、本発明による場合は1/4ピクセルのずれを位置合わせすればよい。
【0048】
また、支持部材30がAl2O3より成る場合は、前述したように熱膨張率は3.1×10−6/K程度であり、1℃の温度差があると素子長さの3.1ppm分だけ位置がずれることになる。図14に実際のモジュールに組み込んだ光変調素子の両端の熱膨張の様子を示す。この例では、光変調素子の両端に十字マークを設け、この十字マーク間の20℃における距離を基準として、発熱によって十字マーク間距離が膨張する様子をプロットしたものである。図14の結果から、例えば10℃の温度差がある場合には、0.93μmの位置ずれが発生することがわかる。
【0049】
これに対し、本発明の実施の形態による光変調装置組立体1においては、光変調装置12(12R,12G及び12B)を単一の支持部材30に配置するので、装置間の温度差は考慮する必要がない。また、図10に示す例のように、単一の光変調装置12を設け、同じ領域で異なる波長の光を変調する場合には、ミラーの数を低減でき、画像形成装置全体のサイズの小型化、簡略化、ひいてはコストダウンも可能となる。
【0050】
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体の概略断面構成図である。
【図2】従来の光変調装置組立体の概略平面構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体の概略平面構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の要部の概略平面構成図である。
【図6】A及びBは本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体の概略平面構成図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体の概略平面構成図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の要部の概略構成図である。
【図9】A及びBは本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体の概略平面構成図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る光変調装置組立体の概略平面構成図である。
【図11】A〜Cは本発明の実施の形態に係る画像形成装置の駆動方法の説明図である。
【図12】回折格子型の光変調装置の立ち上がり応答速度を示す図である。
【図13】A及びBは本発明の実施の形態に係る画像形成装置の駆動方法の説明図である。
【図14】光変調素子の温度変化による線膨張の変化の一例を示す図である。
【図15】回折格子型の光変調装置の概略平面構成図である。
【図16】A及びBは回折格子型の光変調装置の要部の概略側面構成図である。
【図17】Aは回折格子型の光変調装置の要部の概略側面構成図、Bは回折格子型の光変調装置の概略断面構成図である。
【図18】従来の画像形成装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・光変調装置組立体、4R,4G,4B・・・光源、6・・・光合成部、7・・・空間フィルター、8・・・走査光学部、9・・・投影光学部、10・・・表示面、11・・・光変調素子、12(12R,12G,12B)・・・光変調装置、13・・・光透過部材、14・・・スペーサ、16・・・駆動部、17・・・接着剤、18・・・配線、19・・・フレキシブル配線基板、20・・・ポッティング樹脂、21・・・樹脂、30・・・支持部材、50・・・画像形成装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、
前記支持部材上に配置され、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する光変調装置と、
前記光変調装置を駆動する駆動部と、
前記光変調装置上に設けられる光透過部材と、を有する
光変調装置組立体。
【請求項2】
前記光変調装置は、前記複数の光に対応して複数設けられる請求項1に記載の光変調装置組立体。
【請求項3】
前記光変調装置内の複数の領域で前記異なる波長帯域の複数の光が変調される請求項1に記載の光変調装置組立体。
【請求項4】
前記光変調装置は、回折格子型の光変調素子が1次元状に配置されて成る光変調装置である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光変調装置組立体。
【請求項5】
異なる波長帯域の光を出射する光源と、
前記光源からの光を合成する光合成部と、
前記光合成部において光路が調整されて前記光源からの光が入射される光変調装置組立体と、
前記光変調装置組立体の光変調装置に画像信号に対応した駆動信号を出力する制御部と、
前記光変調装置により変調された光を表示面に対して走査する走査光学部と、を備え、
前記光変調装置組立体は、
支持部材と、
前記支持部材上に配置され、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する光変調装置と、
前記光変調装置を駆動する駆動部と、
前記光変調装置上に設けられる光透過部材と、を有する
画像形成装置。
【請求項6】
支持部材上に、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する1次元回折格子型の光変調装置を設けて光変調装置組立体を構成し、
前記光変調装置によって画像信号に対応して変調された異なる波長帯域の光を、時分割で表示面に対して走査照射する
画像形成装置の駆動方法。
【請求項7】
前記光変調装置組立体に、光変調装置を複数配置し、
前記異なる波長帯域の光を前記複数の光変調装置でそれぞれ変調する請求項6に記載の画像形成装置の駆動方法。
【請求項8】
前記光変調装置組立体に、1つの光変調装置を配置し、
前記異なる波長帯域の光を前記光変調装置内の区分された領域で変調する請求項6に記載の画像形成装置の駆動方法。
【請求項1】
支持部材と、
前記支持部材上に配置され、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する光変調装置と、
前記光変調装置を駆動する駆動部と、
前記光変調装置上に設けられる光透過部材と、を有する
光変調装置組立体。
【請求項2】
前記光変調装置は、前記複数の光に対応して複数設けられる請求項1に記載の光変調装置組立体。
【請求項3】
前記光変調装置内の複数の領域で前記異なる波長帯域の複数の光が変調される請求項1に記載の光変調装置組立体。
【請求項4】
前記光変調装置は、回折格子型の光変調素子が1次元状に配置されて成る光変調装置である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光変調装置組立体。
【請求項5】
異なる波長帯域の光を出射する光源と、
前記光源からの光を合成する光合成部と、
前記光合成部において光路が調整されて前記光源からの光が入射される光変調装置組立体と、
前記光変調装置組立体の光変調装置に画像信号に対応した駆動信号を出力する制御部と、
前記光変調装置により変調された光を表示面に対して走査する走査光学部と、を備え、
前記光変調装置組立体は、
支持部材と、
前記支持部材上に配置され、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する光変調装置と、
前記光変調装置を駆動する駆動部と、
前記光変調装置上に設けられる光透過部材と、を有する
画像形成装置。
【請求項6】
支持部材上に、異なる波長帯域の複数の線状の光を変調する1次元回折格子型の光変調装置を設けて光変調装置組立体を構成し、
前記光変調装置によって画像信号に対応して変調された異なる波長帯域の光を、時分割で表示面に対して走査照射する
画像形成装置の駆動方法。
【請求項7】
前記光変調装置組立体に、光変調装置を複数配置し、
前記異なる波長帯域の光を前記複数の光変調装置でそれぞれ変調する請求項6に記載の画像形成装置の駆動方法。
【請求項8】
前記光変調装置組立体に、1つの光変調装置を配置し、
前記異なる波長帯域の光を前記光変調装置内の区分された領域で変調する請求項6に記載の画像形成装置の駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−32810(P2010−32810A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195483(P2008−195483)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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