説明

光学フィルムの検査方法

【課題】 厚さムラに起因する欠陥の検査を的確に行うことができる光学フィルムの検査方法を提供すること。
【解決手段】 本発明は、液晶をハイブリッドネマチック配向させた液晶フィルム2を含む光学フィルム1の検査方法であって、光学フィルム1に対し、光源20から偏光板18aを通して光を照射し、液晶をハイブリッドネマチック配向させた液晶フィルム31と偏光板18bを積層した素子29を、液晶フィルム31を光学フィルム1側に向け且つ液晶フィルム31の配向軸43を液晶フィルム2の配向軸42と非平行となるように配置して光学フィルム1を検査する方法である。この場合、光源20からの光が偏光板18a、光学フィルム1を透過すると、無欠陥部分と欠陥部分とで位相差に差をつけることができ、無欠陥部分と欠陥部分との間にコントラストを生じさせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶をハイブリッドネマチック配向させた液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TFT(Thin Film Transistor)液晶ディスプレイにおいては、その表示特性改善のために、液晶をハイブリッドネマチック配向させた液晶フィルム、いわゆるNHフィルム、が用いられるようになっている。このようなNHフィルムを含む光学フィルムは、NHフィルムに欠陥が存在すると、TFT液晶ディスプレイの表示特性に悪影響を与える。このため、NHフィルムを含む光学フィルムについて欠陥の検査を行い、欠陥が多い光学フィルムについては事前に排除しておくことが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、NHフィルムを含む光学フィルムについての欠陥検査方法は、本発明者らの知る限りでは知られていない。
【0004】
一方、本発明者らは、これまで、上記光学フィルムにおける欠陥の検査を以下のように行ってきた。即ちバックライトから発せられる光を、偏光板を通して光学フィルムに照射し、その光学フィルムをもう一つの偏光板越しに覗くことにより行ってきた。そして、このとき、光学フィルムに対してバックライト側の偏光板の透過軸と、NHフィルムの持つ配向軸(液晶の配向ベクトルの偏光板表面への投影成分)とを平行にしていた。
【0005】
ところが、上記のような光学フィルムの検査方法は、以下に示す課題を有していた。
【0006】
即ち上記の本発明者らによる光学フィルムの検査方法では、光学フィルムを2枚の偏光板でクロスニコル状態で挟み、光学フィルムの反対側から偏光板を通して光を照射した場合、液晶の軸ずれに起因する欠陥については輝点として視認できるものの、NHフィルム中にごみが混入すること等による厚さムラに起因する欠陥についてはほとんど視認することができない。このため、厚さムラに起因する欠陥を見逃してしまい、欠陥検査を的確に行うことができなくなるおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、厚さムラに起因する欠陥の検査を的確に行うことができる光学フィルムの検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、以下の発明により上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、液晶をハイブリッドネマチック配向させた第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板を通して光を照射し、前記光学フィルムに対して前記光源と反対側に、液晶をハイブリッドネマチック配向させた第2液晶フィルムと、第2偏光板とを積層した欠陥検査用素子を、前記第2液晶フィルムを前記光学フィルム側に向けるように且つ前記第2液晶フィルムの配向軸が前記第1液晶フィルムの配向軸と非平行となるように配置して前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法である。
【0010】
この検査方法によれば、第1液晶フィルムに厚さムラがある場合、光源から発せられる光が第1偏光板及び光学フィルムを透過すると、無欠陥部分と、無欠陥部分とは厚さの異なる欠陥部分とで位相差に差をつけることが可能となり、無欠陥部分と欠陥部分との間にコントラストを生じさせることが可能となる。よって、欠陥部分の視認性を向上させることが可能となる。
【0011】
また本発明は、液晶をハイブリッドネマチック配向させた第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板を通して光を照射し、前記光学フィルムに対して前記光源と反対側に、液晶をハイブリッドネマチック配向させた第2液晶フィルムと、前記第1液晶フィルム及び前記第2液晶フィルムを光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子と、第2偏光板とを順次積層してなる欠陥検査用素子を、前記第2液晶フィルムを前記光学フィルム側に向けるように且つ前記第2液晶フィルムの配向軸が前記第1液晶フィルムの配向軸と平行又は反平行となるように配置して前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法である。
【0012】
この検査方法によれば、第1液晶フィルムに厚さムラがある場合、光源から発せられる光が第1偏光板及び光学フィルムを透過すると、無欠陥部分と、無欠陥部分とは厚さの異なる欠陥部分とで位相差に差をつけることが可能となる。また欠陥検査用素子に位相差低減素子が含まれることにより、第1液晶フィルム及び第2液晶フィルムを光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能となり、無欠陥部分と欠陥部分との間にコントラストを生じさせることが可能となる。よって、欠陥部分の視認性を向上させることが可能となる。加えて、本発明の検査方法によれば、第1液晶フィルムの配向軸と第2液晶フィルムの配向軸との対称性が高いため、第1液晶フィルム及び第2液晶フィルム間で配向軸が非対称である場合に比べて、表示特性をより向上させることができる。
【0013】
また本発明は、液晶をハイブリッドネマチック配向させた第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板及び第1位相差低減素子を通して光を照射し、前記光学フィルムに対して前記光源と反対側に、液晶をハイブリッドネマチック配向させた第2液晶フィルムと、前記第1位相差低減素子、前記第1液晶フィルム及び前記第2液晶フィルムを光が透過するときに得られる位相差を前記第1位相差低減素子と共に低減することが可能な第2位相差低減素子と、第2偏光板とを順次積層してなる欠陥検査用素子を、前記第2液晶フィルムを前記光学フィルム側に向けるように且つ前記第2液晶フィルムの配向軸が前記第1液晶フィルムの配向軸と平行又は反平行となるように配置して前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法である。
【0014】
この検査方法によれば、第1液晶フィルムに厚さムラがある場合、光源から発せられる光が第1偏光板、第1位相差低減素子及び光学フィルムを透過すると、無欠陥部分と、無欠陥部分とは厚さの異なる欠陥部分とで位相差に差をつけることが可能となる。また欠陥検査用素子に含まれる第2位相差低減素子と第1位相差低減素子により、第1液晶フィルム及び第2液晶フィルムを光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能となる。このため、無欠陥部分と欠陥部分との間にコントラストを生じさせることが可能となる。よって、欠陥部分の視認性を向上させることが可能となる。加えて、本発明の検査方法によれば、第1液晶フィルムの配向軸と第2液晶フィルムの配向軸との対称性が高いため、第1液晶フィルム及び第2液晶フィルム間で配向軸が非対称である場合に比べて、表示特性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光学フィルムの検査方法によれば、厚さムラに起因する欠陥の検査を的確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面とともに、本発明の光学フィルムの検査方法の実施形態について詳細に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
まず本発明に係る光学フィルムの検査方法の第1実施形態について説明する。
【0018】
はじめに、本発明の光学フィルムの検査方法において検査対象となる光学フィルムについて図1を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の光学フィルムの検査方法に用いられる光学フィルムの一例を示す図である。図1に示すように、光学フィルム1は、第1液晶フィルムとして、液晶の傾きを膜厚方向(矢印A方向)に変化させて液晶をハイブリッドネマチック配向させた液晶フィルム(以下、「NHフィルム」という)2を含む。ここで、ハイブリッドネマチック配向とは、ネマチック液晶の水平配向と垂直配向とが複合した配向を言い、例えばネマチック液晶の配向が、NHフィルム2の一面40a側では水平配向となっており、その一面40aと反対の面40b側では垂直配向となっており、その間では、面40aから面40bに向かう方向に沿って、水平配向から垂直配向に徐々にその配向を変化させるような配向を言う。
【0020】
光学フィルム1は、NHフィルム2を含むものであればよく、従って、NHフィルム2のほかに、他のフィルムを含んでいてもよい。他のフィルムには通常、図1に示すように、NHフィルム2を支持する支持基板3などがある。かかる支持基板3はNHフィルム2を支持し得るものであり且つ厚さ方向に直交する面内において等方性を示すものであれば特に限定されないが、かかる支持基板3としては通常、TAC(トリアセチルセルロース)フィルムが用いられる。
【0021】
このような光学フィルム1の欠陥は以下のように検査される。なお、光学フィルム1の欠陥とは、具体的には、光学フィルム1に含まれるNHフィルム2における液晶の欠陥を意味する。
【0022】
図2は、本実施形態における光学フィルムの検査光学系の一例を示す側面図である。図3は、光学フィルム1に含まれるNHフィルム2の配向軸、後述する偏光板18aの透過軸、NHフィルム31の配向軸及び偏光板18bの透過軸の配置関係の一例を示す図であり、(a)は偏光板18aの透過軸、(b)はNHフィルム2の配向軸、(c)はNHフィルム31の配向軸、(d)は偏光板18bの透過軸を示すものである。
【0023】
光学フィルム1の欠陥検査にあたっては、まず光学フィルム1にバックライト20を対向配置し、バックライト20と光学フィルム1との間に、偏光板(第1偏光板)18aを配置する。図3(a)、(b)に示すように、本実施形態では、偏光板18aの透過軸41は、光学フィルム1に含まれるNHフィルム2の配向軸42に対して45°の角度となるように調整する。ここで、NHフィルム2の配向軸42とは、NHフィルム2の表面付近で水平配向する液晶の配向ベクトルの偏光板18aの表面への投影成分をいうものとする。
【0024】
そして、図2に示すように、バックライト20を点灯し、光学フィルム1に対してバックライト20と反対側で、欠陥検査用素子29を用いて光学フィルム1を覗き込み、光学フィルム1に含まれるNHフィルム2における欠陥を検査する。
【0025】
ここで、欠陥検査用素子29について詳細に説明する。
【0026】
図2に示すように、欠陥検査用素子29は、偏光板18bと、NHフィルム(第2液晶フィルム)31とを積層したものである。NHフィルム31は、液晶の傾きを膜厚方向(図1の矢印A方向)に変化させて液晶をハイブリッドネマチック配向させた液晶フィルムである。
【0027】
本実施形態の欠陥検査用素子29では、NHフィルム31として、NHフィルム2と材料及び厚さが同一のものを用い、図3(c)、(d)に示すように、NHフィルム31の配向軸43が、偏光板18bの透過軸44に対して45°となるように偏光板18bに積層されている。
【0028】
欠陥検査の際は、まず上記のように構成される欠陥検査用素子29を光学フィルム1に対向配置する。このとき、NHフィルム31を光学フィルム1側に向け、偏光板18bを光学フィルム1と反対側に向けると共に、偏光板18bと偏光板18aがクロスニコル配置となるようにする。これにより、NHフィルム31の配向軸43を、図3(b)、(c)に示すように、光学フィルム1に含まれるNHフィルム2の配向軸42と直交させることが可能となる。
【0029】
こうして欠陥検査用素子29を光学フィルム1に対して配置すると、偏光板18aの透過軸41とNHフィルム2の配向軸42とが非平行となる。このため、NHフィルム2に厚さムラがある場合、即ち図4に示すように、厚さd2の無欠陥部分2aと、厚さd1の欠陥部分2bとがある場合、バックライト20から発せられる光が偏光板18a及び光学フィルム1を透過すると、無欠陥部分2aと欠陥部分2bのそれぞれにおいて、偏光板18aの透過軸41の方向とそれに直交する方向との間に生じる位相差に差をつけることが可能となる。なお、図4において、欠陥部分2bに埋設され符号45で示されているのは、NHフィルム2の製造時に混入したごみ等である。
【0030】
より詳しく説明すると、無欠陥部分2aでは、位相差δ2はδ2=Δn・d2となるのに対し、欠陥部分2bでは、位相差δ1はδ1=Δn・d1となる。ここで、d1>d2であるから、δ2<δ1となる。
【0031】
このため、無欠陥部分2aと欠陥部分2bとの間にコントラストを生じさせることが可能となる。ここで、NHフィルム2の配向軸42とNHフィルム31の配向軸43とは、上述したように互いに直交している。このため、NHフィルム2とNHフィルム31の厚さが等しい場合には、NHフィルム2の複屈折とNHフィルム31の複屈折が相殺し合うため、位相差は打ち消される、即ちゼロとなる。そして、偏光板18aと偏光板18bとはクロスニコル配置となっている。従って、無欠陥部分2aが真っ暗となり、欠陥部分2bは輝点として現れることとなる。よって、欠陥部分2aの視認性を向上させることが可能となり、厚さムラに起因する欠陥の検査を的確に行うことができる。
【0032】
上記のようにして欠陥が発見されたら、マーカーを使用してマーキングを行い、マーキングインクを乾燥装置で乾燥させ、欠陥の検査が終了する。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第2実施形態について図5〜図8を用いて説明する。なお、図5〜図8において、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
図5は、本発明による光学フィルムの検査方法の第2実施形態における光学フィルムの検査光学系の一例を示す側面図である。図6は、光学フィルム1に含まれるNHフィルム2の配向軸、偏光板18aの透過軸、NHフィルム31の配向軸、1軸フィルム34,35の配向軸及び偏光板18bの透過軸の配置関係を示す図であり、(a)は偏光板18aの透過軸、(b)はNHフィルム2の配向軸、(c)はNHフィルム31の配向軸、(d),(e)は1軸フィルムの配向軸、(f)は偏光板18bの透過軸を示すものである。
【0035】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子33が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0036】
即ち図5に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子33は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、2枚の1軸フィルム34,35を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム34、35は、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム34,35は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。このような1軸フィルム34,35としては、例えばPCフィルム、TACフィルム、アートン(JSR社製)、ゼオノア(日本ゼオン製)などが用いられる。1軸フィルムは、上記フィルムを、厚さ方向に直交する面内の一方向に延伸することにより得られる。
【0037】
ここで、2枚の1軸フィルム34,35は、厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図6(e)、(f)に示すように、1軸フィルム35の配向軸は、偏光板18bの透過軸44に対して90°の角度をなすように配置され、図6(d)、(f)に示すように、1軸フィルム34の配向軸は、偏光板18bの透過軸44に対して45°の角度をなすように配置される。
【0038】
また、本実施形態の欠陥検査用素子33は、欠陥検査用素子33を光学フィルム1に対向配置し、偏光板18bと偏光板18aとがクロスニコル配置となるようにした場合に、図6(b)、(c)に示すように、NHフィルム31の配向軸43がNHフィルム2の配向軸42と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。このためには、例えば図6(c)、(f)に示すように、欠陥検査用素子33において、NHフィルム31の配向軸43が偏光板18bの透過軸44に対して45°となるように配置される。
【0039】
ここで、NHフィルムの配向軸の向きは、液晶分子の水平配向状態を基準として厚さ方向の液晶分子群を見たときに、液晶分子の両端のいずれの側で液晶分子が立ち上がっているか否かで判断する。従って、例えば図7では、NHフィルム31では液晶分子の下側端部が立ち上がっているのでNHフィルム31の配向軸43は下向きとなり、NHフィルム2では、液晶分子の上側端部が立ち上がっているので上向きとなるのである。そして、このように配向軸の向きが互いに逆方向である場合、NHフィルム31の配向軸43とNHフィルム2の配向軸42とは反平行であるという。また、図8では、NHフィルム31では、液晶分子の上側端部が立ち上がっているのでNHフィルム31の配向軸43は上向きとなり、NHフィルム2では、液晶分子の上側端部が立ち上がっているのでNHフィルム2の配向軸42は上向きとなる。そして、このように配向軸の向きが互いに同じ方向である場合、NHフィルム31の配向軸43とNHフィルム2の配向軸42とは平行であるという。
【0040】
このような欠陥検査用素子33を用いて光学フィルム1における欠陥を検査する場合は、まず欠陥検査用素子33を光学フィルム1に対向配置する。このとき、NHフィルム31を光学フィルム1側に向け、偏光板18bを光学フィルム1と反対側に向けると共に、偏光板18bと偏光板18aをクロスニコル配置とする。これにより、NHフィルム31の配向軸43を、光学フィルム1に含まれるNHフィルム2の配向軸42と反平行にすることが可能となる。
【0041】
こうして欠陥検査用素子33を光学フィルム1に対して配置すると、偏光板18aの透過軸41とNHフィルム2の配向軸42とが非平行であるため、第1実施形態の検査方法と同様に、無欠陥部分と欠陥部分との間でコントラストを生じさせることが可能となる。ここで、NHフィルム2の配向軸42とNHフィルム31の配向軸43とは反平行となっている。このため、NHフィルム2とNHフィルム31の厚さが等しくても、位相差は打ち消されない、即ちゼロにはならない。しかし、1軸フィルム34,35により、NHフィルム2とNHフィルム31だけでは打ち消されなかった位相差が打ち消されることとなる。そして、偏光板18aと偏光板18bとはクロスニコル配置となっている。従って、無欠陥部分が真っ暗となり、欠陥部分は輝点として現れることとなる。よって、欠陥部分の視認性を向上させることが可能となり、厚さムラに起因する欠陥の検査を的確に行うことができる。加えて、本実施形態の検査方法では、NHフィルム2の配向軸42とNHフィルム31の配向軸43とは反平行となっており、NHフィルム2の配向軸42とNHフィルム31の配向軸43との対称性が高くなっている。このため、本実施形態の検査方法によれば、NHフィルム2及びNHフィルム31間で配向軸が非対称である場合に比べて、表示特性をより向上させることもできる。
【0042】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第3実施形態について図9を用いて説明する。なお、図9において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0043】
図9は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図9において、偏光板又はフィルムは、左側(偏光板18a側)から右側(偏光板18b側)に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0044】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子60が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0045】
即ち図9に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子60は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、1枚ずつの2軸フィルム56及び1軸フィルム35を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム35及び2軸フィルム56は、1軸フィルム52及び2軸フィルム53とともに、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0046】
また、本実施形態の欠陥検査用素子60は、欠陥検査用素子60を光学フィルム1光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとがクロスニコル配置となるようにした場合に、図9に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0047】
上記欠陥検査用素子60を用いた光学フィルム1の検査に際しては、偏光板18aとNHフィルム2との間に、偏光板18a側から1軸フィルム52及び2軸フィルム53を順次配置する。ここで、1軸フィルム52、2軸フィルム53は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。そして、上記欠陥検査用素子60を用いて、第2実施形態と同様にして光学フィルム1の検査を行う。
【0048】
ここで、2枚の1軸フィルム52、35及び2枚の2軸フィルム53、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図9に示すように、1軸フィルム52の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して20度の角度をなすように、1軸フィルム35の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して70度の角度をなすように配置される。2軸フィルム53の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して20度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して70度の角度をなすように配置される。なお、本明細書において、2軸フィルムの配向軸とは、厚さ方向に直交する面内において互いに直交する二方向のうち屈折率のより大きい方向に沿った軸を言う。
【0049】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、例えばPCフィルム、TACフィルム、アートン(JSR社製)、ゼオノア(日本ゼオン製)などが用いられる。1軸フィルムは、上記フィルムを、厚さ方向に直交する面内の一方向に延伸することにより得られ、2軸フィルムは、上記フィルムを、厚さ方向に直交する面内において、直交する二方向に延伸することにより得られる。
【0050】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第4実施形態について図10を用いて説明する。なお、図10において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0051】
図10は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図10において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0052】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子61が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0053】
即ち図10に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子61は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、1枚の2軸フィルム56を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。2軸フィルム56は、1軸フィルム52、2軸フィルム53とともに、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。2軸フィルム56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0054】
また、本実施形態の欠陥検査用素子61は、欠陥検査用素子61を光学フィルム光学フィルム1光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとが100度の角度をなすように配置させた場合に、図10に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0055】
上記欠陥検査用素子61を用いた光学フィルム1の検査に際しては、偏光板18aとNHフィルム2との間に、偏光板18a側から1軸フィルム52及び2軸フィルム53を順次配置する。ここで、1軸フィルム52、2軸フィルム53は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。そして、上記欠陥検査用素子61を用いて、第2実施形態と同様にして光学フィルム1の検査を行う。
【0056】
ここで、2枚の1軸フィルム52及び2枚の2軸フィルム53、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図10に示すように、1軸フィルム52の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して101度の角度をなすように配置される。2軸フィルム53の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して110度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して10度の角度をなすように配置される。
【0057】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0058】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第5実施形態について図11を用いて説明する。なお、図11において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0059】
図11は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図11において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0060】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子62が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0061】
即ち図11に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子62は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、2軸フィルム56及び1軸フィルム35を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、1軸フィルム52、2軸フィルム53とともに、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0062】
また、本実施形態の欠陥検査用素子62は、欠陥検査用素子62を光学フィルム光学フィルム1光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとがクロスニコル配置となるようにした場合に、図11に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0063】
ここで、2枚の1軸フィルム52、35及び2枚の2軸フィルム53、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図11に示すように、1軸フィルム52の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して5度の角度をなすように、1軸フィルム35の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して95度の角度をなすように配置される。2軸フィルム53の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して5度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して95度の角度をなすように配置される。
【0064】
上記欠陥検査用素子62を用いた光学フィルム1の検査に際しては、偏光板18aとNHフィルム2との間に、偏光板18a側から1軸フィルム52及び2軸フィルム53を順次配置する。ここで、1軸フィルム52、2軸フィルム53は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。そして、上記欠陥検査用素子62を用いて、第2実施形態と同様にして光学フィルム1の検査を行う。
【0065】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0066】
(第6実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第6実施形態について図12を用いて説明する。なお、図12において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0067】
図12は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図12において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0068】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子63が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0069】
即ち図12に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子63は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、2軸フィルム56及び1軸フィルム35を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、1軸フィルム52、2軸フィルム53とともに、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0070】
また、本実施形態の欠陥検査用素子63は、欠陥検査用素子63を光学フィルム光学フィルム1光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとが95度の角度をなすように配置した場合に、図12に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0071】
ここで、2枚の1軸フィルム52、35及び2枚の2軸フィルム53、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図12に示すように、1軸フィルム52の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して10度の角度をなすように、1軸フィルム35の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して110度の角度をなすように配置される。2軸フィルム53の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して10度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して110度の角度をなすように配置される。
【0072】
上記欠陥検査用素子63を用いた光学フィルム1の検査に際しては、偏光板18aとNHフィルム2との間に、偏光板18a側から1軸フィルム52及び2軸フィルム53を順次配置する。ここで、1軸フィルム52、2軸フィルム53は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。そして、上記欠陥検査用素子63を用いて、第2実施形態と同様にして光学フィルム1の検査を行う。
【0073】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0074】
(第7実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第7実施形態について図13を用いて説明する。なお、図13において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0075】
図13は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図13において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0076】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子64が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0077】
即ち図13に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子64は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、2軸フィルム56及び1軸フィルム35を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、1軸フィルム52、2軸フィルム53とともに、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0078】
また、本実施形態の欠陥検査用素子64は、欠陥検査用素子64を光学フィルム光学フィルム1光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとが95度の角度をなすように配置した場合に、図13に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0079】
ここで、2枚の1軸フィルム52、35及び2枚の2軸フィルム53、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図13に示すように、1軸フィルム52の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して10度の角度をなすように、1軸フィルム35の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して110度の角度をなすように配置される。2軸フィルム53の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して10度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して110度の角度をなすように配置される。
【0080】
上記欠陥検査用素子64を用いた光学フィルム1の検査に際しては、偏光板18aとNHフィルム2との間に、偏光板18a側から1軸フィルム52及び2軸フィルム53を順次配置する。ここで、1軸フィルム52、2軸フィルム53は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。そして、上記欠陥検査用素子64を用いて、第2実施形態と同様にして光学フィルム1の検査を行う。
【0081】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0082】
(第8実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第8実施形態について図14を用いて説明する。なお、図14において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0083】
図14は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図14において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0084】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子65が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0085】
即ち図14に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子65は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、2軸フィルム56及び1軸フィルム35を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、1軸フィルム52、2軸フィルム53とともに、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0086】
また、本実施形態の欠陥検査用素子65は、欠陥検査用素子65を光学フィルム光学フィルム1光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとがクロスニコル配置となるようにした場合に、図14に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0087】
ここで、2枚の1軸フィルム52、35及び2枚の2軸フィルム53、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図14に示すように、1軸フィルム52の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して125度の角度をなすように、1軸フィルム35の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して70度の角度をなすように配置される。2軸フィルム53の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して125度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して65度の角度をなすように配置される。
【0088】
上記欠陥検査用素子65を用いた光学フィルム1の検査に際しては、偏光板18aとNHフィルム2との間に、偏光板18a側から1軸フィルム52及び2軸フィルム53を順次配置する。ここで、1軸フィルム52、2軸フィルム53は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。そして、上記欠陥検査用素子65を用いて、第2実施形態と同様にして光学フィルム1の検査を行う。
【0089】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0090】
(第9実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第9実施形態について図15を用いて説明する。なお、図15において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0091】
図15は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図15において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0092】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子66が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0093】
即ち図15に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子66は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、2軸フィルム56及び1軸フィルム35を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、1軸フィルム52、2軸フィルム53とともに、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0094】
また、本実施形態の欠陥検査用素子66は、欠陥検査用素子66を光学フィルム光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとが75度の角度をなすように配置した場合に、図15に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0095】
ここで、2枚の1軸フィルム52、35及び2枚の2軸フィルム53、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図15に示すように、1軸フィルム52の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して25度の角度をなすように、1軸フィルム35の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して5度の角度をなすように配置される。2軸フィルム53の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して25度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して5度の角度をなすように配置される。
【0096】
上記欠陥検査用素子66を用いた光学フィルム1の検査に際しては、偏光板18aとNHフィルム2との間に、偏光板18a側から1軸フィルム52及び2軸フィルム53を順次配置する。ここで、1軸フィルム52、2軸フィルム53は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。そして、上記欠陥検査用素子66を用いて、第2実施形態と同様にして光学フィルム1の検査を行う。
【0097】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0098】
(第10実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第10実施形態について図16を用いて説明する。なお、図16において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0099】
図16は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図16において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0100】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子67が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0101】
即ち図16に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子67は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、2軸フィルム56及び1軸フィルム35を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、1軸フィルム52、2軸フィルム53とともに、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0102】
また、本実施形態の欠陥検査用素子67は、欠陥検査用素子67を光学フィルム光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとが70度の角度をなすように配置した場合に、図16に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0103】
ここで、2枚の1軸フィルム52、35及び2枚の2軸フィルム53、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図16に示すように、1軸フィルム52の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して85度の角度をなすように、1軸フィルム35の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して95度の角度をなすように配置される。2軸フィルム53の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して85度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して95度の角度をなすように配置される。
【0104】
上記欠陥検査用素子67を用いた光学フィルム1の検査に際しては、偏光板18aとNHフィルム2との間に、偏光板18a側から1軸フィルム52及び2軸フィルム53を順次配置する。ここで、1軸フィルム52、2軸フィルム53は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。そして、上記欠陥検査用素子67を用いて、第2実施形態と同様にして光学フィルム1の検査を行う。
【0105】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0106】
(第11実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第11実施形態について図17を用いて説明する。なお、図17において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0107】
図17は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図17において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0108】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子68が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0109】
即ち図17に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子68は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、2軸フィルム56及び1軸フィルム35を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、1軸フィルム52、2軸フィルム53とともに、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム35、2軸フィルム56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0110】
また、本実施形態の欠陥検査用素子68は、欠陥検査用素子68を光学フィルム光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとが65度の角度をなすように配置した場合に、図17に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0111】
ここで、2枚の1軸フィルム52、35及び2枚の2軸フィルム53、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図17に示すように、1軸フィルム52の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して5度の角度をなすように、1軸フィルム35の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して35度の角度をなすように配置される。2軸フィルム53の配向軸は、偏光板18aの透過軸に対して5度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して35度の角度をなすように配置される。
【0112】
上記欠陥検査用素子68を用いた光学フィルム1の検査に際しては、偏光板18aとNHフィルム2との間に、偏光板18a側から1軸フィルム52及び2軸フィルム53を順次配置する。ここで、1軸フィルム52、2軸フィルム53は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。そして、上記欠陥検査用素子68を用いて、第2実施形態と同様にして光学フィルム1の検査を行う。
【0113】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0114】
(第12実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第12実施形態について図18を用いて説明する。なお、図18において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0115】
図18は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図18において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0116】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子69が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0117】
即ち図18に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子69は、NHフィルム3と偏光板18bとの間に、1枚の1軸フィルム34及び2枚の2軸フィルム55、56を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム34、2軸フィルム55、56はNHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム34、2軸フィルム55、56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0118】
また、本実施形態の欠陥検査用素子69は、欠陥検査用素子69を光学フィルム光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとがクロスニコル配置となるようにした場合に、図18に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0119】
ここで、1枚の1軸フィルム34及び2枚の2軸フィルム55、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図18に示すように、1軸フィルム34の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して40度の角度をなすように、2軸フィルム55の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して40度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して10度の角度をなすように配置される。
【0120】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0121】
(第13実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第13実施形態について図19を用いて説明する。なお、図19において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0122】
図19は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図19において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0123】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子70が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0124】
即ち図19に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子70は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に2枚の2軸フィルム54、55を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。2軸フィルム54、55はNHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。2軸フィルム54、55は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0125】
また、本実施形態の欠陥検査用素子70は、欠陥検査用素子70を光学フィルム光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとがクロスニコル配置となるようにした場合に、図19に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0126】
ここで、2枚の2軸フィルム54、55は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図19に示すように、2軸フィルム54の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して125度の角度をなすように、2軸フィルム55の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して25度の角度をなすように配置される。
【0127】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0128】
(第14実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第14実施形態について図20を用いて説明する。なお、図20において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0129】
図20は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図20において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0130】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子71が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0131】
即ち図20に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子71は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、1枚の1軸フィルム34及び2枚の2軸フィルム55、56を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム34、2軸フィルム55、56はNHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム34、2軸フィルム55、56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0132】
また、本実施形態の欠陥検査用素子71は、欠陥検査用素子71を光学フィルム光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとがクロスニコル配置となるようにした場合に、図20に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0133】
ここで、1枚の1軸フィルム34及び2枚の2軸フィルム55、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図20に示すように、1軸フィルム34の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して40度の角度をなすように、2軸フィルム55の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して30度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して15度の角度をなすように配置される。
【0134】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0135】
(第15実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第15実施形態について図21を用いて説明する。なお、図21において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0136】
図21は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図21において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0137】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子72が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0138】
即ち図21に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子72は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、1枚の1軸フィルム34及び2枚の2軸フィルム55、56を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム34、2軸フィルム55、56はNHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム34、2軸フィルム55、56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0139】
また、本実施形態の欠陥検査用素子72は、欠陥検査用素子72を光学フィルム光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとがクロスニコル配置となるようにした場合に、図21に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0140】
ここで、1枚の1軸フィルム34及び2枚の2軸フィルム55、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図21に示すように、1軸フィルム34の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して45度の角度をなすように、2軸フィルム55の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して45度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して45度の角度をなすように配置される。
【0141】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0142】
(第16実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第16実施形態について図22を用いて説明する。なお、図22において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0143】
図22は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図22において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0144】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子73が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0145】
即ち図22に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子73は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、1枚の1軸フィルム34及び2枚の2軸フィルム55、56を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム34、2軸フィルム55、56はNHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム34、2軸フィルム55、56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0146】
また、本実施形態の欠陥検査用素子73は、欠陥検査用素子73を光学フィルム光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとがクロスニコル配置となるようにした場合に、図22に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0147】
ここで、1枚の1軸フィルム34及び2枚の2軸フィルム55、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図22に示すように、1軸フィルム34の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して45度の角度をなすように、2軸フィルム55の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して30度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して10度の角度をなすように配置される。
【0148】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0149】
(第17実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第17実施形態について図23を用いて説明する。なお、図23において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0150】
図23は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図23において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0151】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子74が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0152】
即ち図23に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子74は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に2枚の2軸フィルム54、55を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。2軸フィルム54、55はNHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。2軸フィルム54、55は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0153】
また、本実施形態の欠陥検査用素子74は、欠陥検査用素子74を光学フィルム光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとがクロスニコル配置となるようにした場合に、図23に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0154】
ここで、2枚の2軸フィルム54、55は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図23に示すように、2軸フィルム54の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して125度の角度をなすように、2軸フィルム55の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して25度の角度をなすように配置される。
【0155】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0156】
(第18実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第18実施形態について図24を用いて説明する。なお、図24において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0157】
図24は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図24において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0158】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子75が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0159】
即ち図24に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子75は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、1枚の1軸フィルム34及び2枚の2軸フィルム55、56を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム34、2軸フィルム55、56はNHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム34、2軸フィルム55、56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0160】
また、本実施形態の欠陥検査用素子75は、欠陥検査用素子75を光学フィルム光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとがクロスニコル配置となるようにした場合に、図24に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0161】
ここで、1枚の1軸フィルム34及び2枚の2軸フィルム55、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図24に示すように、1軸フィルム34の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して35度の角度をなすように、2軸フィルム55の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して15度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して5度の角度をなすように配置される。
【0162】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0163】
(第19実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第19実施形態について図25を用いて説明する。なお、図25において、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0164】
図25は、NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、1軸フィルム及び2軸フィルムの配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。なお、図25において、偏光板又はフィルムは、左側から右側に向かうにつれて順次光源から遠い位置に配置される。
【0165】
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子76が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0166】
即ち図25に示すように、本実施形態の欠陥検査用素子76は、NHフィルム31と偏光板18bとの間に、1枚の1軸フィルム34及び2枚の2軸フィルム55、56を有する点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。1軸フィルム34、2軸フィルム55、56はNHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子として機能するものである。1軸フィルム34、2軸フィルム55、56は、厚さ方向に直交する面内で複屈折を有する。
【0167】
また、本実施形態の欠陥検査用素子76は、欠陥検査用素子76を光学フィルム光学フィルム1に対向配置し、偏光板18aと偏光板18bとがクロスニコル配置となるようにした場合に、図25に示すように、NHフィルム2の配向軸がNHフィルム31の配向軸と反平行となる点で第1実施形態の欠陥検査用素子29と異なる。
【0168】
ここで、1枚の1軸フィルム34及び2枚の2軸フィルム55、56は厚さムラに起因する欠陥の視認性を向上させる観点からは、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにし得るものであることが好ましい。位相差をゼロにするためには、図25に示すように、1軸フィルム34の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して125度の角度をなすように、2軸フィルム55の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して130度の角度をなすように、2軸フィルム56の配向軸は、偏光板18bの透過軸に対して75度の角度をなすように配置される。
【0169】
上記のような1軸フィルム、2軸フィルム等の位相差低減素子としては、上記第3実施形態におけるものと同様のものが用いられる。
【0170】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば上記第2実施形態では、欠陥検査用素子33がNHフィルム31と偏光板18bとの間に1軸フィルム34,35を有しているが、図26に示すように、欠陥検査用素子36を、欠陥検査用素子33から1軸フィルム34を外した構成とし、外された1軸フィルム34を偏光板18aと光学フィルム1との間に配置するようにしてもよい。この場合でも、第2実施形態と同様に、欠陥部分の視認性を向上させることが可能となり、厚さムラに起因する欠陥の検査を的確に行うことができる。加えて、図26に係る検査光学系を用いた光学フィルムの検査方法によれば、第2実施形態と同様に、NHフィルム2及びNHフィルム31間で配向軸が非対称である場合に比べて、表示特性をより向上させることができる。なお、第2実施形態において、1軸フィルム34は、偏光板18aの光学フィルム34側に積層するようにしてもよい。また1軸フィルム34を1軸フィルム35で置き換えても構わない。
【0171】
また、上記第2〜第19実施形態においては、NHフィルム2及びNHフィルム31を光が透過するときに得られる位相差をゼロにするために、1軸フィルム又は2軸フィルムの配向軸が偏光板18bの透過軸に対してなす角度、1軸フィルム又は2軸フィルムの配向軸が偏光板18aの透過軸に対してなす角度が上記各実施形態で示す値とされているが、位相差を低減するという目的のためであれば、これらの角度は、上記各実施形態に示す値に対して±15°の範囲でずれていても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】本発明の光学フィルムの検査方法に用いる光学フィルムの構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の光学フィルムの検査方法の一実施形態における光学フィルムの検査光学系の一例を示す側面図である。
【図3】第1偏光板の透過軸、光学フィルムに含まれる第1液晶フィルムの配向軸、第2液晶フィルムの配向軸及び第2偏光板の透過軸の関係の一例を示す図であり、(a)は第1偏光板の透過軸、(b)は第1液晶フィルムの配向軸、(c)は第2液晶フィルムの配向軸、(d)は第2偏光板の透過軸を示す。
【図4】第1液晶フィルムに厚さムラのある光学フィルムを示す断面図である。
【図5】本発明の光学フィルムの検査方法の他の実施形態における光学フィルムの検査光学系の一例を示す側面図である。
【図6】第1偏光板の透過軸、光学フィルムに含まれる第1液晶フィルムの配向軸、第2液晶フィルムの配向軸、位相差低減素子の光学軸、第2偏光板の透過軸の関係の一例を示す図であり、(a)は第1偏光板の透過軸、(b)は第1液晶フィルムの配向軸、(c)は第2液晶フィルムの配向軸、(d)(e)は位相差低減素子の配向軸、(f)は第2偏光板の透過軸を示す。
【図7】第1液晶フィルムの配向軸と第2液晶フィルムの配向軸とが反平行である場合の第1及び第2液晶フィルムの内部構造を概念的に示す図である。
【図8】第1液晶フィルムの配向軸と第2液晶フィルムの配向軸とが平行である場合の第1及び第2液晶フィルムの内部構造を概念的に示す図である。
【図9】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図10】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図11】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図12】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図13】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図14】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図15】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図16】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図17】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図18】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図19】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図20】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図21】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図22】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図23】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図24】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図25】NHフィルムの配向軸、偏光板の透過軸、位相差低減素子の配向軸同士の欠陥検査時における配置関係を示す図である。
【図26】本発明の光学フィルムの検査方法のさらに他の実施形態における光学フィルムの検査光学系の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0173】
1…光学フィルム、2…NHフィルム(第1液晶フィルム)、18a…偏光板(第1偏光板)、18b…偏光板(第2偏光板)、20…バックライト(光源)、29,33,36、60〜76…欠陥検査用素子、31…NHフィルム(第2液晶フィルム)、34、35、52、53,54…1軸フィルム、42,43…NHフィルムの配向軸、54,55,56…2軸フィルム(位相差低減素子)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶をハイブリッドネマチック配向させた第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、
前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板を通して光を照射し、
前記光学フィルムに対して前記光源と反対側に、液晶をハイブリッドネマチック配向させた第2液晶フィルムと、第2偏光板とを積層した欠陥検査用素子を、前記第2液晶フィルムを前記光学フィルム側に向けるように且つ前記第2液晶フィルムの配向軸が前記第1液晶フィルムの配向軸と非平行となるように配置して前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法。
【請求項2】
前記第1液晶フィルムの配向軸と前記第2液晶フィルムの配向軸とが直交するように前記欠陥検査用素子を配置することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの検査方法。
【請求項3】
液晶をハイブリッドネマチック配向させた第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、
前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板を通して光を照射し、
前記光学フィルムに対して前記光源と反対側に、液晶をハイブリッドネマチック配向させた第2液晶フィルムと、前記第1液晶フィルム及び前記第2液晶フィルムを光が透過するときに得られる位相差を低減することが可能な位相差低減素子と、第2偏光板とを順次積層してなる欠陥検査用素子を、前記第2液晶フィルムを前記光学フィルム側に向けるように且つ前記第2液晶フィルムの配向軸が前記第1液晶フィルムの配向軸と平行又は反平行となるように配置して前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法。
【請求項4】
液晶をハイブリッドネマチック配向させた第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、
前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板及び第1位相差低減素子を通して光を照射し、
前記光学フィルムに対して前記光源と反対側に、液晶をハイブリッドネマチック配向させた第2液晶フィルムと、前記第1位相差低減素子、前記第1液晶フィルム及び前記第2液晶フィルムを光が透過するときに得られる位相差を前記第1位相差低減素子と共に低減することが可能な第2位相差低減素子と、第2偏光板とを順次積層してなる欠陥検査用素子を、前記第2液晶フィルムを前記光学フィルム側に向けるように且つ前記第2液晶フィルムの配向軸が前記第1液晶フィルムの配向軸と平行又は反平行となるように配置して前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2006−3174(P2006−3174A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178890(P2004−178890)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(504030761)新日石液晶フィルム株式会社 (12)
【Fターム(参考)】