説明

光学伝送モジュール

【課題】半導体製造工程と光導波路構造の全反射信号伝送の技術を利用し、簡単かつ容易に異なる平面での電子素子層と光子素子層が完成できる。
【解決手段】光学伝送モジュール3は、半導体基板30と、半導体基板30の第一表面301に形成される第一膜層31と、半導体基板30の第二表面302に形成され、第一電気信号E1を光信号01に変換した後に送信する電子素子層33と、第一膜層31に形成され、第一反射面363と、光導波路構造主体360と、第二反射面364とを含む光導波路構造36と、を含み、光信号01は半導体基板30と第一膜層31を通り抜け、光導波路構造36に入り、第一反射面363により反射されて光導波路構造主体360の中で伝送され、また第二反射面364により反射されて第一膜層31と半導体基板30とを通り抜け、電子素子層33によって受信され、さらに光信号01が第二電気信号E2に変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学伝送モジュールに関し、特に光導波路構造の全反射信号の伝送技術を利用し、電気信号または光信号に変換または伝送できる光学伝送モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気信号の伝送または電子装置の間の接続は、多くは金属材料の電線またはケーブルが利用される。デジタル通信に用いられる高性能電子システムにおいて、プロセッサの数が多くなるだけでなく、信号の処理速度も速くなるため、信号または情報の伝送品質と速度もより重要になる。しかし、従来の金属線路の接続設計は伝送、送信および受信の速度を制限する。
【0003】
一方、光学接続は伝送線路の材料性質による影響を受けにくく、高い帯域幅容量と快速な伝送効果が得られるため、電子接続の代わりに光学接続を利用する技術が重要になる。発光ダイオード(LED)と半導体レーザーの技術が発展する中、光を媒介として信号を伝送する方式が開発された。主に電気−光カプラ素子により、電気−光信号または光−電気信号の変換、送信および受信を完成させる。電気−光カプラ素子は主に光信号を提供する送信器または光源デバイスと、光信号を受信する受信器または光検出デバイスと、送信または受信した信号を増幅する信号増幅器とを含む。
【0004】
そのほか、現在はチップ中の回路がマイクロ化とモジュール化になりつつあるため、システムオンチップ(SoC)またはシステム集積(SLI)チップは現在の発展と設計の傾向にある。多種の機能を一つの集積回路(IC)に統合する方式により、商品の体積を比較的に小さくすることができる上、より多元の応用もできる。例えば、中央処理装置を多核心のある配置に設計し、それぞれの核心は異なる応用機能を有し、また各核心間は信号によって接続されて同じチップの上に統合される。もし光学形式によってこのシステムオンチップ内で伝送を行う時、各信号を伝送するために個別の経路を設計する必要がある。
【0005】
しかし、現在の技術では、電気−光カプラ、伝送または送信の設計について、電子素子層と光子素子層を素子の同じ側に設計するか、または素子の両側に設計する方式がある。電子素子層は電気信号に対して操作するための層を指し、または電気、光信号を変換、送信および受信する送信器および受信器がある層に用いられ、例えば相補型金属酸化膜半導体(CMOS)で完成される。光子素子層は光信号の伝送に用いられ、例えば導波管(Waveguide)方式で設計される。同じ側の設計は、主に同じ平面に生じた電気信号と光信号のデバイスを接続するため、光信号と電気信号は基板の同じ側で伝送、送信および受信される。しかし、一般的に電子素子層は製造工程に光子素子層と相違しまたは適合性が低いため、同じ側での設計の方式は複雑になる。詳しく説明すると、例えば電子素子層に特定材料を施し、光の送信と受信の目的を達成できるものの、コストが高い上、製造工程にほかの調整が必要になるなど多くの問題が存在する。
【0006】
一方、両側での設計は、信号は伝送過程に違う層または平面を経由し、光信号の送信と受信を完成させる。図1は、従来技術により両側での設計方式によって完成された光学伝送モジュール10を示す概略図である。駆動回路16は、集積回路層11に配置され、金属線路121によって上部の光源デバイス13に接続される。また、金属線路121は、金属接続構造12に配置される。金属接続構造12に垂直の貫通孔をつくり、金属線路121を通り抜けさせて両側との接続を完成させる。電気信号が金属線路121を経由して光源デバイス13に伝送された後、光源デバイス13は光信号を発生させてそれを送信することができる。光信号は、光導波路構造14によって伝送されて光検出デバイス15により受信された後、電気信号に変換され、別の金属線路122(別の垂直貫通孔に対応する)によって下部の集積回路層11の増幅回路17(または関連する受信回路)に伝送される。
【0007】
しかし、このような設計は異なる製造工程によって電子、光子の素子層を完成させた後、両者を結合することができるものの、金属接続構造12に金属線路121、122を配置することが難しい。金属線路121、122は上下の両素子層の製造工程との適合性が低いだけでなく、信号は依然に電気形式で伝送される。
【0008】
図2は、従来技術により両側での設計方式によって完成された別の光学伝送モジュール20を示す概略図である。集積回路層21は、金属線路221によって上部の光源デバイス23に接続される(図面では3つの対応配置によって概略を示す)。金属線路221はシリコン基板22と集積回路層21に配置される。つまり、シリコン基板22と集積回路層21に垂直の貫通孔をつくり、金属線路221を通り抜けさせて両側との接続を完成させる。光源デバイス23はシリコン基板22に配置され、電気信号が金属線路221を経由して光源デバイス23に伝送された後、光源デバイス23は光信号を発生させてそれを送信することができる。ガリウムヒ素基板26を通り抜けた後、マイクロレンズアレイ27によって集光されて、一つの自由空間構造(Free‐space)24に複数のマイクロミラー28によって反射され、信号を伝送する目的を達成する。ガリウムヒ素基板26を通り抜けた後、シリコン基板22に配置された光検出デバイス25によって受信される。そして、電気信号に変換された後、別の金属線路222(別の垂直貫通孔に対応する)によって下部の集積回路層21に伝送される。
【0009】
しかし、このような設計は異なる製造工程によって電子、光子の素子層を完成させた後、両者を結合することができるものの、金属線路221、222をシリコン基板22に配置することが難しい。光源デバイス23と光検出デバイス25はフリップチップ方式でシリコン基板22に配置できるものの、自由空間構造24に複数のマイクロミラー28を配置して必要な反射と信号伝送を完成するため、一定のサイズが必要である。つまり、このような光学伝送モジュールの構造は体積が大きいという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は光学伝送モジュールを提供する。半導体製造工程と光導波路構造の全反射信号伝送の技術を利用し、簡単かつ容易に異なる平面での電子素子層と光子素子層が完成できる。その中、信号の送信、変換および受信の多くは光形式で行うため、従来技術のように垂直貫通孔と金属線路などを配置するという難しい製造工程が避けられ、効果的に信号を伝送する効果も向上できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第一電気信号に対する変換および伝送に応用する光学伝送モジュールである。該光学伝送モジュールは、半導体基板と、該半導体基板の第一表面に形成される第一膜層と、該半導体基板の第二表面に形成され、該第一電気信号を光信号に変換した後に送信する電子素子層と、該第一膜層に形成され、第一反射面と、光導波路構造主体と、第二反射面とを含む光導波路構造と、を含み、該光信号は該半導体基板と該第一膜層とを通り抜け、該光導波路構造に入り、該第一反射面により反射されて該光導波路構造主体の中で伝送され、また該第二反射面により反射されて該第一膜層と該半導体基板とを通り抜け、該電子素子層によって受信され、さらに該光信号が第二電気信号に変換された後に伝送される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、従来技術の光学伝送モジュール10を示す概略図である。
【図2】図2は、従来技術の光学伝送モジュール20を示す概略図である。
【図3a】図3aは、本発明の光学伝送モジュール3を示す断面概略図である。
【図3b】図3bは、光信号O1の反射と伝送を示す概略図である。
【図3c】図3cは、光導波路構造36の第一端部361を示す断面概略図である。
【図4】本発明の光学伝送モジュール3aを示す断面概略図である。
【図5a】図5aは、2つの光学伝送モジュール3、3'を組み合わせた構造を示す概略図である。
【図5b】図5bは、2つの光学伝送モジュール3、3'を組み合わせた構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、第一実施例により本発明を説明する。図3aは、本発明の光学伝送モジュール3を示す断面概略図である。光学伝送モジュール3は、半導体基板30と、第一膜層31と、電子素子層33と、光導波路構造36とを含む。半導体基板30は、上下両表面があり、つまり第一表面301と第二表面302とがある。第一膜層31と電子素子層33とは、それぞれ半導体基板30の第一表面301と第二表面302とに形成される。この実施例では、半導体基板30として、単結晶シリコン基板を使用する。つまり、両面研磨のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)シリコン基材で、半導体基板30の上下両表面に対して半導体製造工程またはウエハー結合(Wafer bonding)などの方式によって必要な素子を加えることができると共に、基板のシリコン材の特性により光信号も通過することができる。
【0014】
この実施例では、光学伝送モジュール3は第一電気信号E1に対する変換および伝送に応用する。電子素子層33は第一電気信号E1を受信した後、光信号O1に変換して送信する。この実施例では、電子素子層33は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)の製造工程またはリソグラフィー製造工程によって完成された集積回路層(IC)である。互いに電気接続された光源デバイス34と駆動回路37とを含む。駆動回路37は第一電気信号E1を受信した後に光源デバイス34を駆動し、第一電気信号を対応する光信号O1に変換された後に送信する。この実施例では、駆動回路37は半導体基板30の第二表面302に配置され、光源デバイス34は駆動回路37に配置される。
【0015】
光源デバイス34としては、従来技術の発光ダイオード、半導体レーザーまたは縦型空洞表面放出レーザー(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、VCSEL)を使用することができ、電気信号を対応する光ビームまたは光信号に変換した後に送信する。そのほか、使用するシリコン基材の特性に基づき、形成された光信号O1はシリコン材質の中で伝送できる近赤外線である。光波の波長は1.1マイクロメーターより大きくする必要がある。
【0016】
光に対する高透過性、結合効率および反射防止反射防止性を向上するため、電子素子層33は、半導体基板30の第二表面302に形成される第二膜層321をさらに含む。第二膜層321は、二酸化ケイ素または窒素酸化物などの単一誘電体膜層によって完成することができ、光信号O1を通過させることができる。この実施例では第二膜層321は半導体製造工程によって直接に半導体基板30の第二表面302に形成することができる。また、第二膜層321は、光源デバイス34の所在範囲と位置に対応するように、駆動回路37に隣接する。より詳しく説明すると、駆動回路37に貫通孔を設け、貫通孔箇所の第二表面302に第二膜層321を形成する。あるいは、他の実施例では、第二膜層321を電子素子層33と一緒にウエハー結合方式で第二表面302に形成することができる。もし電子素子層33も前述のSOI形式の集積回路である場合、第二膜層321は多層膜層であっても良い。
【0017】
一方、この実施例では、第一膜層31は前述の単一誘電体膜層であっても良い。第一膜層31の主な特徴は、光信号の透過と結合効率を向上する以外、その屈折率はその上に配置する光導波路構造36の屈折率より小さい必要がある。第一膜層31を通り抜け、光導波路構造26に入る光信号は、光導波路構造36の中に効果的に制限され伝送されるためである。この実施例では、図3aに示すように、光導波路構造36は、第一反射面363と、光導波路構造主体360と、第二反射面364とを含む。光信号は全反射方式で光導波路構造主体360の中で伝送される。
【0018】
この実施例では、光導波路構造36の素材は同様にシリコン材質であり、半導体基板30および第一膜層31は、一緒に同じ半導体製造工程で一体成型されることが可能である。つまり、第一膜層31は第一表面301に形成された後、別のシリコン基材を第一膜層31の上に形成し、半導体エッチング方式によって対応する位置と形状になるようにエッチングする。この実施例では、第一端部361と第二端部362に第一反射面363と第二反射面364の斜面をそれぞれエッチングして形成する。第一膜層との間の角度は45度であり、そのほかの部分は前述の光導波路構造主体360を形成する。それから、外層に関連する反射材料を塗布することにより、前述の反射面363、364を完成する。
【0019】
また、電子素子層33は、光検出デバイス35と、トランスインピーダンス増幅回路38と、第三膜層322とを含む。この実施例では、類似的にトランスインピーダンス増幅回路38は半導体基板30の第二表面302に配置される。光検出デバイス35は対応してトランスインピーダンス増幅回路38に配置され、両者は電気接続される。第三膜層322の特性と設計は第二膜層321と同じであって良い。その中、前述の光検出デバイス35としては、従来技術の光受信ダイオードまたは光検出器(Photodetector、PD)を使用することができ、反射後の光信号O1を受信する。そして、電気信号E2に変換され、トランスインピーダンス増幅回路38によって増幅して出力される。
【0020】
詳しく説明すると、第一反射面363と第二反射面364の位置はそれぞれ光源デバイス34と光検出デバイス35に対応する。この実施例では、第一膜層31、第二膜層321と第三膜層322は高透過性の誘電体膜層によって完成されるため、光源デバイス34は垂直の角度または垂直に近い角度で光信号O1を送信する時、光信号O1は第一膜層31、第二膜層321または第三膜層322を通り抜けることができる。前述の第一膜層31、第二膜層321と第三膜層322は多層または単一膜層方式で配置され、反射防止塗料(anti‐reflection coating)を施すことができるため、光の透過率を向上することができる。
【0021】
言い換えれば、本発明の光学伝送モジュール3の稼働は、以下のようである。すなわち、光源デバイス34は第一電気信号E1を光信号O1に変換した後に送信する。光信号O1は、順番に第二膜層321、半導体基板30と第一膜層31を通り抜けることができ、光導波路構造36の第一端部361に入り、第一反射面363により反射されて光導波路構造主体360の中で伝送される。次に、光信号O1は光導波路構造36の第二端部362に入り、第二反射面364に照射した後に反射されるので、光信号O1は順番に第一膜層31、半導体基板30と第三膜層322を通り抜けることができ、光検出デバイス35によって受信されて第二電気信号E2に変換された後に出力される。そのため、光経路の範囲は、電子素子層33と、光子素子層を代表する光導波路構造36とを含む。光信号O1は異なる平面あるいは三次元空間で伝送される。この実施例では第二電気信号E2は第一電気信号E1、光信号O1と同じ伝送内容を有する。
【0022】
図3bは、光信号O1が光導波路構造36での経路を示す概略図である。大部分の光経路は光導波路構造主体360の導波方向と平行する。光源デバイス34が送信した光信号は完璧な垂直方式で送信するとは限らないので、浅い角度の範囲内で拡散する可能性がある。そのため、図3bに示すように2本の光経路O1a、O1bは垂直方式で第一端部361に入るのではないため、第一反射面363での転向は90度ではない。しかし、このような状況でも、光信号O1a、O1bは光導波路構造主体360に照射された時の入射角度が十分大きい、つまり下部の第一膜層31または上部の空気に対してすでに全反射条件の臨界角を達したまたは超えているため、この光は全反射方式によって光導波路構造主体360内で漏れることなく伝送され、第二反射面364により反射されて光導波路構造36から離れることができる。そのため、本発明で使用する第一膜層31の屈折率は光導波路構造36で使用するシリコン材料の屈折率より小さい必要がある。
【0023】
図3cは、光導波路構造36の第一端部361を示す断面概略図である。その第二端部362も同じ構造であって良い。図に示すように、光導波路構造36の両側の側面は対称的な斜面設計であり、全体の外部形状は台形の構造に類似する。この実施例では、上記光信号は、主に設計した両反射面363、364に集中される。また、主に光導波路構造主体360内の上部と下部で全反射伝送される。そのため、実施効果で言えば、本発明の光導波路構造36の全体の形状設計はあまり条件が制限されない。2つの反射面363、364の角度は45度で、両側に相対する側面または接続面を作り、光信号はその中で全反射ができれば良い。
【0024】
また、本発明の光学伝送モジュール3をプリント基板(未図示)上に配置することができる。プリント基板は、光学伝送モジュール3の電子素子層33と電気接続され、第一電気信号E1を提供し、また、引き続きに送信された第二電気信号E2を受信し、さらにそれを伝送または応用することができる。そのため、本発明の光学伝送モジュール3は、プリント基板での各デバイス、チップまたは集積回路間の信号接続または伝送構造として用いられ、光の形式で信号伝送の目的と効果が得られる。より詳しく説明すると、本発明の光学伝送モジュール3は直接に1つのチップ(未図示)上で完成できる。従来技術で述べたようにシステムオンチップ(SoC)または中央処理装置での多核心設計について、それぞれの核心間の連結または伝送経路は本発明の光学伝送モジュール3を採用できるので、チップ内(Intra‐Chip)において光の形式で信号伝送の目的と効果が得られる。
【0025】
本発明で光信号が伝送過程に関連する電磁気または電気に干渉されるのを避けるため、本発明の光学伝送モジュールを少々変えることもできる。以下に本発明の第二実施例を説明する。図4は、本発明の光学伝送モジュール3aを示す断面概略図である。第一実施例と類似するが、半導体基板30の第二表面302に形成される第二膜層32は、電子素子層330全体に伸び広がる。つまり、第一実施例の第三膜層を含む。このため、第三膜層とも呼ばれる。電子素子層330の駆動回路37とトランスインピーダンスアンプ38は第二膜層(第三膜層)32に配置する。
【0026】
上述のように、この実施例では第二膜層(第三膜層)32の特性と設計は第一実施例の第二膜層(第三膜層)と同じであって良い。光に対する結合と透過を向上するための単一誘電体膜層または多層膜層である。また、第二膜層(第三膜層)32は光に対する高透過性、結合効率と反射防止性を有する以外、電子素子層330内の他の関連デバイスと半導体基板30の光経路層を効果的に隔離できるため、電気絶縁効果と信号漏れ防止機能を備える。第二膜層(第三膜層)32は半導体製造工程によって直接に第二表面302に形成できる。あるいは、第二膜層(第三膜層)32は電子素子層330と一緒にウエハー結合方式で第二表面302に形成できる。
【0027】
本発明の光学伝送モジュールは、従来技術のように、構造内に垂直貫通孔を配置する必要がなく、直接に光の形式でシリコン材質の基板を通り抜けるため、従来のモジュールに垂直貫通孔を配置するという難しい製造工程が避けられる。次に、本発明の光学伝送モジュールにおいて、シリコン基板内の伝送過程を含む主な伝送過程は全部光の形式で行う。このため、全体の伝送速度が向上できる以外、従来技術のように金属線路で電気信号を伝送する時に起きる信号減衰、漏れ、または関連環境の干渉と影響を受けるなど不利な要素が避けられるため、光信号形式の伝送効果がより良くなる。また、本発明の光学伝送モジュールにおいて、電子素子層と光子素子層との間の結合は、先に別々の製造工程で完成した後に結合することもできる。そのため、従来技術のモジュールと比べると、本発明の光学伝送モジュールの製造工程は簡単である上、電子素子層に対して複雑な調整もいらない。モジュール全体の体積も自由空間構造を利用した従来モジュールより小さい。
【0028】
上述した2つの実施例は、少なくとも一つの光信号を送信することと、少なくとも一つの光導波路構造を用いて伝送を行うこととに基づいて説明した。しかし、これに限らず、ほかの実施例では、複数の光源デバイスを使用して複数の光信号を発生させ、同じ数の光導波路構造と光検出デバイスを用いて伝送、受信および変換を行うことができる。
【0029】
そのほか、上述した2つの実施例の光学伝送モジュールの電子素子層は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)の製造工程またはリソグラフィー製造工程によって完成された集積回路層(IC)であり、駆動回路と、トランスインピーダンス増幅回路と、光源デバイスと、光検出デバイスとを含み、電気信号または光信号に対して対応操作を行う。この集積回路層は前述のCMOS製造工程以外、ほかの集積回路を製造工程によっても完成できる。本発明の光学伝送モジュールをシステムオンチップ(SoC)のチップ内(Intra‐Chip)に応用する場合、演算機能を持たせることもできる。例えば、演算機能を駆動回路またはトランスインピーダンス増幅回路に統合すれば、異なる線幅または製造工程の回路、光路構造を同じシリコン基板に完成することができる。また、モノリシックの(monolithic)光電素子に統合し、電子素子層は同時に駆動機能と演算機能とを有し、高効率の光学伝送を提供することができる。
【0030】
本発明の光学伝送モジュール同士の間で接続および伝送を行うことができる。図5aは、二組の光学伝送モジュール3、3'を組み合わせた構造を示す概略図である。この設計の中、二つの同じ光学伝送モジュール3、3'(例として第一実施例の光学伝送モジュールを挙げて説明する)は平行な方式で連続的に接続するため、2つの光導波路構造36、36'も互いに平行する。類似的に、光源デバイス34によって第一電気信号E1は光信号O1に変換された後に送信され、光導波路構造36によって伝送される。そして、光検出デバイス35によって受信された後、第二電気信号E2に変換される。図に示すように、このような設計はトランスインピーダンス増幅回路38をもう一つの駆動回路37'と電気接続ができる。よって光学伝送モジュール3'は第二電気信号E2を受信し、もう一つの光源デバイス34'によって変換と送信を行う。そのため、光信号O2,O1および電気信号E2、E1、引き続きに光検出デバイス35'およびトンスインピーダンス増幅回路38'が出力する第三電気信号E3に至って、同じ伝送内容を有する。
【0031】
上述のように、このような構造は、伝送の内容は複数回の光電変換および伝送によって指定の目標に延伸して伝送できる。上述の平行配置以外、関連モジュールを垂直配置の方式でも構成できる。図5bは、2つの光学伝送モジュール3、3'の別の組合せを示す概略図である。この設計では、二つの同じ光学伝送モジュール3、3'を垂直方式で連続的に接続するため、2つの光導波路構造36、36'も互いに垂直する。その稼働は図5aに示す稼働と類似するが、トランスインピーダンス増幅回路38ともう一つの駆動回路37'との間は、垂直に電気接続されるため、生じた第二電気信号E2はその間に対応した回路または電線を介して伝送し、光学伝送モジュール3'によって別の光電変換および伝送を行う。そのため、この設計では、最後の第三電気信号E3では最初の第一電気信号E1の伝送方向を変えることが可能である。より詳しく説明すると、図5aと図5bを組合せることにより、信号を指定の目標または方向に送信することができる。
【0032】
上述をまとめると、本発明は、従来技術での関連問題を効果的に解決でき、かつ従来の光学伝送モジュールの関連欠点を改善することができる。また、本発明の光学伝送モジュールの構造を利用して多元的な応用および配置を行うことができる。このため、光電変換と信号伝送を効果的に完成し、本発明の主な目的を達成することができる。
【0033】
当業者は、本発明と同じ目的を前提として、本発明が開示した概念と実施例変更を利用して設計と方法改良の基礎とすることが可能である。それらの変更、組み換えおよび改良は、特許請求の範囲が限定する保護範囲を逸脱することができない。したがって、本発明に基づいて行った様々な変更もすべて特許請求の範囲の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0034】
3、3'、10、20 光学伝送モジュール
11、21 集積回路層
12 金属接続構造
13、23、34 光源デバイス
14、36 光導波路構造
15、25、35 光検出デバイス
16、37 駆動回路
17 増幅回路
22 シリコン基板
24 自由空間構造
26 ガリウムヒ素基板
27 マイクロレンズアレイ
28 マイクロミラー
30 半導体基板
31 第一膜層
32 第二膜層
33 電子素子層
36 光導波路構造
38 トランスインピーダンス増幅回路
121、122、221、222 金属線路
301 第一表面
302 第二表面
321 第二膜層
322 第三膜層
360 光導波路構造主体
361 第一端部
362 第二端部
363 第一反射面
364 第二反射面
O1 光信号
E1 第一電気信号
E2 第二電気信号
E3 第三電気信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電気信号に対する変換および伝送に応用する光学伝送モジュールであって、
半導体基板と、
該半導体基板の第一表面に形成される第一膜層と、
該半導体基板の第二表面に形成され、該第一電気信号を光信号に変換した後に送信する電子素子層と、
該第一膜層に形成され、第一反射面と、光導波路構造主体と、第二反射面とを含む光導波路構造と、を含み、
該光信号は該半導体基板と該第一膜層とを通り抜け、該光導波路構造に入り、該第一反射面により反射されて該光導波路構造主体の中で伝送され、また該第二反射面により反射されて該第一膜層と該半導体基板とを通り抜け、該電子素子層によって受信され、さらに該光信号が第二電気信号に変換された後に伝送されることを特徴とする光学伝送モジュール。
【請求項2】
該半導体基板は、単結晶シリコン基板であることを特徴とする請求項1に記載の光学伝送モジュール。
【請求項3】
該電子素子層は、該第一電気信号を該光信号に変換した後に送信する光源デバイスを含み、該光源デバイスは発光ダイオード、半導体レーザーまたは縦型空洞表面放出レーザーレーザーであり、該光導波路構造の該第一反射面の位置は該光源デバイスに対応することを特徴と請求項1に記載の光学伝送モジュール。
【請求項4】
該電子素子層は、反射防止を提供する該半導体基板の第二表面の一部または全部の面積に形成される第二膜層と、該第一電気信号が該光源デバイスを駆動するために該半導体基板の第二表面または該第二膜層に形成される駆動回路とを含み、該光源デバイスは該駆動回路に配置され、また該駆動回路と電気接続されることを特徴とする請求項3に記載の光学伝送モジュール。
【請求項5】
該電子素子層は、光信号を受信して該光信号を第二電気信号に変換した後に伝送する光検出デバイスを含み、該光検出デバイスは光学受信ダイオードまたは光学受信器であり、該光導波路構造の該第二反射面の位置は該光検出デバイスに対応することを特徴とする請求項1に記載の光学伝送モジュール。
【請求項6】
該電子素子層は、反射防止を提供する該半導体基板の第二表面の一部または全部の面積に形成される第三膜層と、該光検出デバイスが変換した該第二電気信号を増幅して出力する該半導体基板の第二表面または該第三膜層に形成されるトランスインピーダンス増幅回路とを含み、該光検出デバイスは該トランスインピーダンス増幅回路に配置され、また該トランスインピーダンス増幅回路と電気接続されることを特徴とする請求項5に記載の光学伝送モジュール。
【請求項7】
該光導波路構造はシリコン材質で、該第一反射面、該第二反射面は該第一膜層との間は45度の角度があり、該第一膜層の屈折率は該光導波路構造の屈折率より小さく、該光信号は該第一反射面により反射されて全反射方式で該光導波路構造主体の中で伝送されることを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項8】
該光信号はシリコン材質の中で伝送可能な近赤外線であることを特徴とする請求項1に記載の光学伝送モジュール。
【請求項9】
該光導波路構造は該半導体基板と一体化して形成され、該第一反射面、該第二反射面は半導体エッチング方式により完成されることを特徴とする請求項1に記載の光学伝送モジュール。
【請求項10】
該電子素子層は相補型金属酸化膜半導体製造工程またはリソグラフィー製造工程により完成された集積回路層であり、またはチップ結合方式により該半導体基板の第二表面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学伝送モジュール。
【請求項11】
該第一膜層、該第二膜層または該第三膜層は単層膜または多層膜であり、反射防止を提供すると共に透過率を向上することを特徴とする請求項1、4および6のいずれかに記載の光学伝送モジュール。
【請求項12】
該駆動回路または該トランスインピーダンス増幅回路はシステムオンチップ方式により対応する集積回路層と統合し、操作機能と駆動機能を持つことを特徴とする請求項4または6に記載の光学伝送モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【公開番号】特開2011−248362(P2011−248362A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115737(P2011−115737)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(504007741)國立中央大學 (28)
【Fターム(参考)】