説明

光学式検知装置

【課題】より有利なコストで製造することができ、より簡易かつ小型の構造を有する光学式検知装置を提供する。
【解決手段】第1及び第2部分部材16、18と、光学式検知装置を、パネル22のうち対向する片面、特に、自動車のワイドスクリーン、に連結するための結合面20と、を有する光伝導体構造、を備え、更に、光ビームを第1部分部材16に接続する光学式送信部10と、第2部分部材18から出射する光ビームを受ける光学式受信部12と、光学式送信部10及び光学式受信部12が配置されたプリント回路基板14と、を含む。プリント回路基板14は、結合面20に対して平行に配置され、光学式送信部10の中心光28が、結合面20に対して垂直に第1部分部材16内へ入射し、結合面20に対して垂直に第2部分部材18から出射するように、光伝導体構造は構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1及び第2部分部材と、光学式検知装置を、パネルのうち対向する片面、特に、自動車のワイドスクリーン、に結合するための結合面と、を有する光伝導体構造と、光ビームを第1部分部材に接続する光学式送信部と、第2部分部材から出射する光ビームを受ける光学式受信部と、光学式送信部及び光学式受信部が配置されるプリント回路基板と、を備える光学式検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のような光学式検知装置が、欧州特許EP0−833−764 B1により知られている。この周知の光学式検知装置において、プリント回路基板は自動車のワイドスクリーンに対して垂直に配置されている。光ビームは、光学式送信部から、ワイドスクリーンの面に対して平行に放射される。そして、光ビームは、発光伝導体の入射部分を介して、ワイドスクリーン内に接続される。このように構成するため、光ビームは、最初に、プリント回路基板に平行な方向で、第1偏向面において90度だけ、偏向される。その後、光ビームは、入射部分から出射し、そして、ワイドスクリーンに平行に配置された結合面を通り、2つの更なる偏向面を介して、ワイドスクリーン内に入射する。光ビームは、ワイドスクリーン内で数回、反射された後、光ビームは、ワイドスクリーンから出射し、入射部分に対して対称に形成された出射部分を介して、プリント回路基板上の光学式受信部に導かれる。
【特許文献1】欧州特許EP0−833−764 B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、より有利なコストで製造することができ、より簡易かつ小型の構造を有する光学式検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、プリント回路基板は、結合面に対して平行に配置されており、そして、光学式送信部の中心光が、結合面に対して垂直に第1部分部材内へ入射し、かつ結合面に対して垂直に第2部分部材から出射するように、光伝導体構造は構成されている、というような最初に述べた形態の光学式検知装置で、提供される。
【0005】
本発明に係る、光学式送信部及び光学式受信部を有するプリント回路基板の配置は、ワイドスクリーンに対して垂直方向の構造的空間を節約するだけでなく、更に、より少ない偏向面で達成できる構造を実現することができる。欧州特許EP0−833−764 B1により知られている構造、すなわち、光学式送信部から放射された光ビームがワイドスクリーンに入射する前に3回だけ偏向される構造、と比較して、本発明に係る光伝導体構造では、2つの偏向面だけが必要とされる。また、光ビームが、ワイドスクリーンから出射した後、光学式受信部へ導かれるときも、上記同様のことが適用され、本発明に係る光伝導体構造では、2つの偏向面だけが必要とされる。
【0006】
本発明に係る光学式検知装置の有利かつ適切な展開は、従属請求項から明確になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、添付する図1乃至3を参照して、簡単な実施例を用いて、以下に説明される。
光学式検知装置の光学構成要素の2次元展開図が、図1に示されており、例えば、図1は、従来の断面図ではない。この2次元展開図は、光学式検知装置の基本構造及び光路が断面図よりもよく見えるために、選択されている。更に、光学式検知装置における実際の3次元の形態は、本発明に対して、本質的なものではない。
【0008】
光学式検知装置は、赤外線送信式ダイオードの形態の光学式送信部10と、赤外線受信式ダイオードの形態の光学式受信部12と、を有している。これら光学式送信部10及び光学式受信部12は、プリント回路基板14(図1に図示されない)上に配置されている。光伝導体構造が、基本的に、2つの同様に製造された第1及び第2部分部材16、18からなる。これら第1及び第2部分部材16、18は、透明のプラスチック材料からなる対称の光伝導体本体を形成している。光伝導体構造は、結合面20を、パネル22のうち対向する片面に結合している。一定の結合面20は、光学式送信部10及び光学式受信部12を有するプリント回路基板14に対して、平行に配置されている。したがって、プリント回路基板14は、同様に、パネル22に対して平行な一面で延在している。第1非球面レンズ24が、光学式送信部10の方を向いている第1部分部材16の端部に形成されており、例えば、前記第1非球面レンズ24は、光学式送信部10の方を向いている。第2非球面レンズ26が、第2部分部材18に形成され、光学式受信部12の方を向いている。
【0009】
光学式送信部10から放射された光ビームが、第1非球面レンズ24を通り、光伝導体構造の第1部分部材16内に入射する。このビーム(光束)のうち中心光28のみが、結合面20に対して垂直方向にある第1部分部材16内に入射し、以下で考察されている。中心光28は、第1偏向面30において、全反射で90度だけ偏向されている。また、第1偏向面30は、中心光28に対して、45度だけ傾斜している。これにより、この中心光28は、結合面20に対して平行に、指向する。第1偏向面30の方を向いており、かつ結合面20に対して特定の鋭角度αで傾斜する第2偏向面において、中心光28は、さらに、全反射する。その後、中心光28は、結合面20を通り、第1部分部材16から出射し、そして、定義された入射角度βで、パネル22内に入射する。
【0010】
中心光28は、結合面20に対向するパネル22の内面で、1回だけ全反射を起こし、そして、入射角度βと等しい出射角度γでパネル22から出射する。そして、中心光28は、結合面20を通り、光伝導体構造の第2部分部材18内に到達する。この光伝導体構造が対称に製造されているため、第2部分部材18内の光路は、第1部分部材16内の光路に対して、対称となっている。例えば、中心光28は、第3偏向面34で第1の全反射を起こした後、結合面20に対して平行に指向する。そして、中心光28は、第4偏向面36で第2の全反射を起こした後、結合面20に対して垂直に指向する。したがって、中心光28は、第2非球面レンズ26を通り、結合面20に対して垂直で、第2部分部材18から出射する。そして、中心光28は、プリント回路基板14に配置された光学式受信部12に当たる。
【0011】
図1において、さらに、ビームのうち2つの外側光38、40の光路が、示されている。第1非球面レンズ24は、ビームのうち全ての光が中心光28に対して平行で第1部分部材16内に入射するのを、確保している。光伝導体構造内及びパネル22内で、全ての光は、中心光28の様に、同様の5回の全反射(第1部分部材16で2回、パネル22で1回、及び第2部分部材18で2回)を起こす。第2部分部材18の第2非球面レンズ26は、光伝導体構造から出射する複数の光を一緒にまとめる。これにより、これら全ての光は、光学式受信部12に導かれる。
【0012】
図2a及び図2bにおいて、パネル22に対する光学式検知装置の結合における2つの変形例が示されている。図2aの変形例によれば、弾性緩衝物42が光学式検知装置とパネル22との間に配設されている。一方で、図2bの変形例において、構造結合体46が、光学式検知装置のハウジング44に固定されており、パネル22に接着されている。
【0013】
図3は、図2aの光学式検知装置の各部品を示している。上記説明されたプリント回路基板14及び2組の光学構成要素(光学式送信部10及び光学式受信部12)は、ハウジング44内に収容されている。ハウジング44は、弾性緩衝体42及びパネル22の方向を向くハウジング部品48と、カバー50と、から成る。したがって、2つの光学式送信部10及び光学式受信部12は、プリント回路基板14上に配置されている。
【0014】
光学式検知装置は、自動車のワイドスクリーンに配設される雨滴センサとして、特に、適しているが、用途はこれに限られない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明に係る光学式検知装置の光学構成要素の2次元展開図を示している。
【図2a】図2aは、異なる種類の結合でパネルに結合されている、本発明に係る光学式検知装置の断面図を示している。
【図2b】図2bは、異なる種類の結合でパネルに結合されている、本発明に係る光学式検知装置の断面図を示している。
【図3】図3は、図2aの光学式検知装置の分解組立て図を示している。
【符号の説明】
【0016】
10 光学式送信部
12 光学式受信部
14 プリント回路基板
16 第1部分部材
18 第2部分部材
20 結合面
22 パネル
24 第1非球面レンズ
26 第2非球面レンズ
28 中心光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式検知装置であって、
第1及び第2部分部材(16、18)と、前記光学式検知装置を、パネル(22)のうち対向する片面、特に、自動車のワイドスクリーン、に結合するための結合面(20)と、を有する光伝導体構造と、
光ビームを前記第1部分部材(16)に接続する光学式送信部(10)と、
前記第2部分部材(18)から出射する光ビームを受ける光学式受信部(12)と、
前記光学式送信部(10)及び前記光学式受信部(12)が配置されたプリント回路基板(14)と、を備える光学式検知装置において、
前記プリント回路基板(14)は、前記結合面(20)に対して平行に配置されており、
前記光学式送信部(10)の中心光(28)が、前記結合面(20)に対して垂直に前記第1部分部材(16)へ入射し、かつ前記結合面(20)に対して垂直に前記第2部分部材(18)から出射するように、前記光伝導体構造は構成されている、光学式検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式検知装置において、
前記光学式送信部(10)の前記中心光(28)は、前記光伝導構造の第1部分部材(16)における第1の全反射後に、前記結合面(20)に対して平行に指向される、ことを特徴とする光学式検知装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光学式検知装置において、
前記光学式送信部(10)の前記中心光(28)は、前記光伝導構造の第2部分部材(18)における第1の全反射後に、前記結合面(20)に対して平行に指向され、かつ第2の全反射後に、前記結合面(20)に対して垂直に指向される、ことを特徴とする光学式検知装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の光学式検知装置において、
第1非球面レンズ(24)は、光学式送信部(10)に対向して、前記第1部分部材(16)に形成されている、ことを特徴とする光学式検知装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光学式検知装置において、
第2非球面レンズ(26)は、光学式受信部(12)に対向して、前記第2部分部材(18)に形成されている、ことを特徴とする光学式検知装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光学式検知装置において、
2つの前記第1及び第2部分部材(16、18)は、透明のプラスチック材料からなる、連続的な光伝導本体を形成している、ことを特徴とする光学式検知装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光学式検知装置において、
前記光学式送信部(10)の前記中心光(28)は、前記パネル(22)で、1回だけ全反射を起こす、ことを特徴とする光学式検知装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−225600(P2007−225600A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−8704(P2007−8704)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(597013146)ティーアールダブリュー・オートモーティブ・エレクトロニクス・アンド・コンポーネンツ・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (51)
【住所又は居所原語表記】Industriestr.2−8,78315 Radolfzell,Germany
【Fターム(参考)】