説明

光学系及びそれを有する光学機器

【課題】画面全体に渡って倍率色収差を良好に補正しつつ高画質な光学系を提供すること。
【解決手段】軸上最大光束径を決定している開口部SPよりも物体側に1以上の負の屈折力を有するレンズ群を有する光学系において、前記負の屈折力を有するレンズ群の中には、少なくとも1以上の正レンズと負レンズを有した負の屈折力を有するレンズ群を有し、前記正レンズと前記負レンズの割合を適切にした上で、前記負の屈折力を有するレンズ群中には適切なアッベ数と部分分差比を有した複数の負レンズと、適切なアッベ数を有した正レンズを有し、前記負レンズの中でも最も高分散な負レンズを適切な位置に配置した構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学系及びそれを有する光学機器に関し、例えばスチルカメラ、ビデオカメラ、プロジェクター、放送用テレビカメラ、監視カメラ等に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオカメラ等の撮像装置に用いられる撮像光学系やプロジェクター等の画像投影装置に使用される投射光学系は、画素数の増加(高画素化)や画素の高密度化(高密度画素)によって、それに耐え得る高画質で高性能な光学系であることが要望されている。高画素化及び高密度画素に対応するには光学系の諸収差のうち、特に倍率色収差を良好に補正することが重要である。プロジェクターに用いられている光学系として、最も物体側に負の屈折力のレンズ群を配置し、全体として5つのレンズ群より成るネガティブリード型のズームレンズが知られている(特許文献1)。
【0003】
このズームレンズは、物体側から像側へ順に負の屈折力の第1レンズ群、変倍用及び変倍に伴う像面変動を補正するために相互に関係を持って移動する正の屈折力の第2レンズ群乃至第4レンズ群、変倍の際に固定で正の屈折力の第5レンズ群より成っている。このズームレンズにおいて、ズーム全域に渡って倍率色収差の補正を良好に行なうために、第1レンズ群の負レンズは部分分散比が比較的大きい硝材を用いている。撮像装置に用いる光学系として、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群より成り、高画素、高密度に対応したポジティブリード型のズームレンズが知られている(特許文献2)。
【0004】
特許文献2ではズーム全域に渡って倍率色収差を補正するために、第2レンズ群の負レンズに部分分散比が比較的が大きい硝材を用いている。また撮影距離全域に渡って倍率色収差を補正するために、開口絞りよりも物体側の負レンズにアッベ数に対して比較的部分分散比θgFの値が大きい硝材を用いているレトロフォーカス型の単焦点レンズが知られている(特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−020765号公報
【特許文献2】特開2002−131640号公報
【特許文献3】特開2008−129403号公報
【特許文献4】特開2003−307672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画素数の更なる増加、高密度化して、例えば8000×4000ピクセルもの画素数を要求するスーパーハイビジョン相当に用いる光学系には、諸収差量が極めて少ないことが求められている。
【0007】
特に倍率色収差においては、d線基準におけるC線とF線間の倍率色収差量だけでなく、g線とF線間の倍率色収差量においても極めて少ないことが求められている。このg線とF線間の倍率色収差量を低減するためには、使用硝材の異常分散性(アッベ数と部分分散比(θgFの値)との関係)に注目する必要がある。
【0008】
特許文献1乃至4に挙げたこれらの光学系は、この倍率色収差を補正するために、軸上最大光束径を決定している開口部SPよりも物体側に負の屈折力を有するレンズ群を配置し、そのレンズ群内の倍率色収差の補正方法に着目していた。ここで「軸上最大光束径を決定している開口部」とは、物体距離が無限遠にあるときの軸上光束(主光線が光軸上を進む光束)において、Fナンバーを決定している開口部のことを指す。
【0009】
一般的には開口絞りがその開口部SPの役割を担うことが多いが、機構上の開口絞りが無いズームレンズにおいては、鏡筒の一部分や特定のレンズの外径で決める場合もある。その時は鏡筒の一部分やレンズの外径を軸上最大光束径を決定している開口部SPとしている。しかし、特許文献1乃至4において、開示されている内容の中には使用硝材の部分分散比(θgF)に関する記述はされていない。そこで屈折率とアッベ数から相当する材料を一般的なガラス材料に当てはめると次の如くになる。
【0010】
特許文献1においては、負の屈折力を有する第1レンズ群の負レンズの材料を低分散な硝材と高分散な材料で構成することで、C線とF線間の倍率色収差を補正しつつ、高分散性でg線とF線間の倍率色収差も低減させている。使用硝材の部分分散比が開示されていないが、屈折率とアッベ数から見て、例えば株式会社オハラ社製のガラスで例に挙げると、実施例3の第1レンズ群の最初の負レンズには商品名S−FPL51相当の硝材を使用していると考えられる。また、2番目の負レンズには商品名S−NPH1相当の硝材を使用していると考えられる。
【0011】
これらは他のガラス材料に比較して異常分散性が大きい硝材である。この構成では倍率色収差の補正が必ずしも十分でない。
【0012】
特許文献2においては、負の屈折力を有する第2レンズ群の負レンズの材料を低分散な硝材と高分散な材料で構成することで、C線とF線間の倍率色収差を補正しつつ、高分散性でg線とF線間の倍率色収差も低減させている。使用硝材の部分分散比が開示されていないが、屈折率とアッベ数から見て、例えば、実施例1の第2レンズ群の最初の負レンズには、株式会社HOYA社製のガラスで例に挙げると商品名E−FDS1相当の硝材を使用していると考えられる。また、2番目の負レンズには株式会社オハラ社製のガラスで例に挙げると商品名S−FSL5相当の硝材を使用していると考えられる。
【0013】
商品名E−FDS1は他のガラス材料に比較して異常分散性が大きい硝材であるが、商品名S−FSL5は異常分散性が小さい硝材である。このため倍率色収差の補正の課題が必ずしも十分でない。
【0014】
特許文献3においては、負の屈折力を有する第1レンズ群の負レンズの材料を主に低分散でかつ部分分散比差ΔθgFが正の方向に大きい硝材で構成している。これにより、C線とF線間の倍率色収差を補正しつつ、g線とF線間の倍率色収差も低減させている。使用硝材の部分分散比が開示されていないが、屈折率とアッベ数から見て、例えば株式会社オハラ社製のガラスで例に挙げると、実施例5の第1レンズ群の最初の負レンズ乃至4番目の負レンズまでは商品名S−FPL53相当の硝材を使用していると考えられる。また、5番目の負レンズにはS−NPH2相当の硝材を使用していると考えられる。
【0015】
これらは他のガラス材料に比較して部分分散比が大きく、異常分散特性を有した硝材である。高分散材料を使用した負レンズが開口部SPの隣に配置されており、g線とF線間の倍率色収差が残留している。このため倍率色収差の補正が必ずしも十分でない。特許文献4においては、開口絞りより物体側の負レンズに低分散材料と高分散材料を使用している。しかしながら倍率色収差の補正が必ずしも十分でない。
【0016】
本発明は、C線とF線間の倍率色収差だけでなく、g線とF線間の倍率色収差も良好に補正しつつ画面全体に渡って良好なる光学性能を有する光学系及びそれを有する撮像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の光学系は、開口部SPを有する光学系において、前記開口部SP(光学系がズームレンズの場合は広角端のズーム位置において)よりも物体側に1以上の負の屈折力を有するレンズ群GLNを有し、前記レンズ群GLNに含まれる負レンズの材料の部分分散比差とアッベ数を各々ΔθLN、νLNとするとき、
0.006<ΔθLN
60<νLN
を満たす負レンズを負レンズLNlow、その負レンズLNlowの数をSUM(LNlow)、
0.006<ΔθLN
νLN<25
を満たす負レンズを負レンズLNhigh、その負レンズLNhighの数をSUM(LNhigh)、
前記レンズ群GLNに含まれるレンズの数をSUM(L)、
前記レンズ群GLNに含まれる負レンズの数をSUM(LN)、
前記レンズ群GLNに含まれる負レンズの材料の部分分散比差の総和をSUM(ΔθLN)、
前記レンズ群GLNに含まれる負レンズのうち材料のアッベ数が最小の負レンズを負レンズLNmin、そのアッベ数をνLNmin、
アッベ数が最大の負レンズを負レンズLNmax、そのアッベ数をνLNmax、
前記レンズ群GLNは正レンズLPを有し、
前記正レンズLPの材料のアッベ数をνLP、
前記負レンズLNhighの物体側の面頂点と前記開口部SPとの距離をdNS、
最も物体側のレンズ面頂点と前記開口部SPとの距離をd1Sとするとき、
0.60<SUM(LN)/SUM(L)<1.00
0.70<(SUM(LNlow) + SUM(LNhigh))/SUM(LN)
νLNmin< νLP <νLNmax
3.50<νLNmax/νLNmin<6.50
0.30<dNS/d1S≦1.00
0.065<SUM(ΔθLN)<0.250
なる条件式を満足することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、C線とF線間の倍率色収差だけでなく、g線とF線間の倍率色収差も良好に補正しつつ画面全体に渡って良好なる光学性能を有する光学系が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1の光学系のレンズ断面図
【図2】実施例1の光学系の収差図
【図3】実施例2の光学系の広角端におけるレンズ断面図
【図4】(A)、(B) 実施例2の光学系の広角端と望遠端における収差図
【図5】実施例3の光学系の広角端におけるレンズ断面図
【図6】(A)、(B) 実施例3の光学系の広角端と望遠端における収差図
【図7】実施例4の光学系のレンズ断面図
【図8】実施例4の光学系の収差図
【図9】一般硝材の各波長における屈折率変化をd線基準で示した図
【図10】横軸をνd、縦軸θgFで示したガラスマップと標準線を示した図
【図11】本発明の光学機器の要部概略図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。本発明の光学系は、単一焦点距離レンズやズームレンズ等であり、軸上最大光束径を決定する開口部SP(光学系がズームレンズの場合は広角端のズーム位置において)よりも物体側に1以上の負の屈折力のレンズ群GLNを有している。
【0021】
レンズ群GNLに含まれる全てのレンズの数や、負レンズの数、そして負レンズの材料(アッベ数、部分分散比差、屈折率差)等を適切に設定して倍率色収差を良好に補正している。図1は本発明の実施例1の光学系の無限遠物体に合焦したときのレンズ断面図である。図2は本発明の実施例1の光学系の無限遠物体に合焦したときの収差図である。図3は本発明の実施例2の光学系の無限遠物体に合焦したときの広角端(短焦点距離)におけるレンズ断面図である。図4(A)、(B)は本発明の実施例2の光学系の無限遠物体に合焦したときの広角端と望遠端(長焦点距離端)における収差図である。
【0022】
図5は本発明の実施例3の光学系の無限遠物体に合焦したときの広角端におけるレンズ断面図である。図6(A)、(B)は本発明の実施例3の光学系の無限遠物体に合焦したときの広角端と望遠端における収差図である。図7は本発明の実施例4の光学系の無限遠物体に合焦したときのレンズ断面図である。図8は本発明の実施例4の光学系の無限遠物体に合焦したときの収差図である。図9、図10は硝材の屈折率、アッベ数、部分分散比等の説明図である。図11は本発明の光学系を一眼レフカメラ(光学機器)に適用したときの要部概略図である。
【0023】
各レンズ断面図において、L0は光学系である。SPは開口絞りである。L1は第1レンズ群、L2は第2レンズ群、L3は第3レンズ群、L4は第4レンズ群、L5は第5レンズ群である。Gはプリズムである。SPは軸上最大光束径を決定する開口部(開口絞り)であり、Fナンバーを決定する開口絞りに相当している。GNLは開口絞りSPよりも物体側に位置する負の屈折力のレンズ群である。
【0024】
IPは像面であり、ビデオカメラやデジタルカメラに適用する際には像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が、銀塩フィルム用カメラに適用する際にはフィルム面に相当する。またプロジェクター等の画像投影装置に適用する際には液晶パネル等の画像表示素子に相当する。
【0025】
収差図において、d、g、C、Fは順に、d線、g線、C線、F線である。M、Sはメリディオナル像面、サジタル像面。FnoはFナンバー、ωは半画角である。収差図において、図2の実施例1と図8の実施例4においては球面収差は0.03mm、非点収差は0.03mm、歪曲は2%、倍率色収差は0.004mmのスケールで描かれている。
【0026】
また、図4の実施例2においては球面収差は0.02mm、非点収差は0.02mm、歪曲は5%、倍率色収差は0.004mmのスケールで描かれている。また、図6の実施例3においては球面収差は0.02mm、非点収差は0.02mm、歪曲は2%、倍率色収差は0.002mmのスケールで描かれている。尚、以下の各実施例の光学系において光学系がズームレンズの場合は、広角端と望遠端は移動するレンズ群が機構上光軸上を移動可能な範囲の両端に位置したときのズーム位置をいう。
【0027】
次に本発明の光学系の特徴について説明する。従来より撮像もしくは画像投影に利用する光学系は、種々と知られている。これらの光学系の多くは、軸上最大光束径を決定している開口部SPよりも物体側に1以上の負の屈折力を有するレンズ群を有している。このようなレンズ構成の光学系において、高画質化を進めるためには、倍率色収差の補正を良好に行うことが重要である。
【0028】
従来の倍率色収差の補正では、d線基準でC線とF線間の倍率色収差を補正しても、像高の高い位置(画角の大きい位置)ではg線とF線間の倍率色収差が残存してしまう。このため、例えばスーパーハイビジョン画質を前提にした場合、画面全域で高い空間周波数まで解像させることが困難であった。g線とF線間の倍率色収差が何故残存してしまうかというと、主に以下のようなメカニズムによる。
【0029】
一般的に、レンズに使用されているような光学材料は、波長における屈折率変化の度合いをd線基準で見た場合、d線より長波長側の屈折率変化よりも、短波長側の屈折率変化の方が大きい。図9はこれを株式会社オハラ社製のガラス材料を例にとって可視化した説明図である。
【0030】
屈折率変化の割合は高分散材料(アッベ数νの小さな材料)になればなるほど顕著になる。この光学特性により、単純にd線を基準としてC線とF線間の倍率色収差を補正しても、g線とF線間の倍率色収差が残存してしまう。特に像高が高い位置になるにつれてg線とF線間の倍率色収差の乖離量が増加する。このため従来のズームレンズにおける広角端におけるズーム位置やレトロフォーカスタイプの光学系では光軸付近から最大像高にかけてg線の倍率色収差がプラス方向に曲がっていく。
【0031】
本発明者はこのg線とF線間の倍率色収差量(短波長の倍率色収差の曲がり量)を低減するため、硝材の異常分散性(異常部分分散比)(材料間のアッベ数と部分分散比(θgFの値)との関係)に着目した。
【0032】
ここで材料のアッベ数νは次のとおりである。今、F線(486.1nm)、d線(587.6nm)、C線(656.3nm)に対する材料の屈折率をそれぞれNF、Nd、NCとする。このとき
ν=(Nd−1)/(NF−NC)
また、異常分散性とは、材料の部分分散比θgFの値と図10で示すようなガラスマップ上で示される「標準線」上のθgF値との差を示すもので、ΔθgF(部分分散比差とも言う)で表わす。部分分散比差ΔθgFの絶対値が大きくなればなるほどその材料の「異常分散性が大きい」という。「標準線」の定義は、以下の数式(a)で定義する直線であり、部分分散比差ΔθgFは以下の数式(b)で定義する値である。
【0033】
θgF=-1.61783×10-3×ν+0.64146 ・・・式(a)
ΔθgF =θgF−(-1.61783×10-3×ν+0.64146) ・・・式(b)
例えばg線の倍率色収差が像高が高くなればなる程プラス方向に曲がっていく光学系において、g線とF線間の倍率色収差の乖離量を小さくするためには、次のような方法を用いれば良い。
【0034】
光学系において、軸上最大光束径を決定している開口部SP(ズームレンズの場合は広角端のズーム位置)よりも物体側の負の屈折力を有するレンズ群に含まれる負レンズに、部分分散比ΔθgFが正の方向に大きい材料を用いれば良い。こうすることで、標準線上付近に位置する一般的な硝材よりもg線を大きく画面の中心(光軸)方向に屈折させることができるため、他のレンズで発生した短波長側の倍率色収差を補正することができる。
【0035】
ここまでで、部分分散比差ΔθgFが正の方向に大きい材料を負レンズに用いることでg線とF線間の倍率色収差の乖離量を低減させるメカニズムを説明した。しかし同じ値の部分分散比差ΔθgFでもアッベ数で見ると高分散な材料と低分散な材料が存在する。そこで高分散材料と低分散材料を使用した場合で何が異なってくるかを考える。
【0036】
例えば部分分散比差ΔθgFが正の方向に大きく高分散な材料ばかりを負レンズに用いるとする。負レンズに高分散な材料ばかりを使用していると、その高分散性により、比較的弱いパワーでg線とF線間の倍率色収差の乖離量は低減できる。しかしC線とF線間の倍率色収差の補正に関しては逆に働いてしまい補正することができない。更には前述したようにg線とF線間の倍率色収差を補正するには比較的弱いパワーで済むため、レンズの仕様で決まっているパワーを満たそうとすれば、レンズの枚数が多く必要になってしまう。
【0037】
そこで開口部SPよりも物体側の負の屈折力を有するレンズ群の負レンズの内、一部を高分散でかつ部分分散比差ΔθgFが正の方向に大きい硝材を用いる。そして一部(もしくは残り全部)を低分散でかつ部分分散比差ΔθgFが正の方向に大きい硝材を用いれば良い。こうすることで高分散材料よりなる負レンズも低分散材料よりなる負レンズも部分分散比差ΔθgFが正の方向に大きいため、g線とF線間の倍率色収差の乖離量を小さくでき、る。そして低分散材料よりなる負レンズでC線とF線間の倍率色収差の補正も行うことができる。
【0038】
しかし、種々の光学系において、像高が高い位置での倍率色収差を補正するためには、軸外主光線がレンズの周辺部を通る負レンズに部分分散比差ΔθgFが正の方向に大きな材料を使用する必要がある。例えば、開口部SP付近のレンズでは、軸外主光線もレンズの中心付近を通過する。このため、そこに部分分散比差ΔθgFが正の方向に大きな材料で構成した負レンズを配置しても、倍率色収差を良好に補正することが難しい。もし補正できたとしても、軸上色収差とのバランスが取れず、結果的に解像できる空間周波数が落ちてしまい画面全域で高解像な光学系を得ることが難しい。
【0039】
よってある程度開口部SPから離れた位置で、軸外主光線がレンズの周辺部を通るような位置に部分分散比差ΔθgFが正の方向に大きな負レンズを配置する必要がある。そして高分散材料よりなる負レンズは低分散材料よりなる負レンズに比べて、g線とF線間の倍率色収差の乖離量の補正効果が大きい。このため、効果的にg線とF線間の倍率色収差を補正するためにも、特に高分散材料よりなる負レンズは、開口部SPから離れた位置に配置する必要がある。
【0040】
倍率色収差を補正するために必要な異常分散性の大きさの正確な値はレンズタイプによって異なるが、目標を達成するためには非常に大きい異常分散性が必要となる。これは、開口部SPよりも物体側の負の屈折力を有するレンズ群に含まれる負レンズの内、2割や3割程度の負レンズを前述した部分分散比差ΔθgFが正の方向に大きい負レンズに置き換えて間に合うものでは無い。
【0041】
今回実施した光学系によれば、現状の材料で目標を達成するためには7割以上を部分分散比差ΔθgFが正の方向に大きい負レンズにすることが好ましいことがわかった。そうすることで負の屈折力の有するレンズ群全体として異常分散性が大きくなり、他のレンズ群で発生する倍率色収差を補正することができる。
【0042】
ここまでで負の屈折力を有するレンズ群内の負レンズにおける倍率色収差の補正メカニズムについて説明した。しかしながら、負の屈折力を有するレンズ群内には負レンズばかりではなく、正レンズも1枚以上は有している必要がある。これは正レンズと負レンズにて負の屈折力を有するレンズ群内の収差補正を行うためである。ここで言う収差補正とは前述した倍率色収差の補正ばかりでなく、球面収差やコマ収差などの他の基本収差も含まれる。負の屈折力を有するレンズ群内のレンズ構成はパワーの関係上負レンズが支配的になっている。
【0043】
しかしながら、負レンズばかりで構成するとその負レンズで発生した収差をキャンセル(補正)させる作用を他のレンズ群に全て任せることになる。もちろんレンズ群間のキャンセル作用で最終的に像面上で収差を低減できていれば良いが、良好なる画質の像を得るためには、レンズ群間のキャンセル関係だけでは現実的に達成できる収差量ではない。よってレンズ群内でもできる限り収差補正を行う必要がある。
【0044】
そこで負の屈折力を有するレンズ群内でもレンズ群内の収差補正を行うために、負レンズだけでなく、少なくとも1枚の正レンズが必要となる。そこで本発明の光学系では、開口部SPよりも物体側の負の屈折力を有するレンズ群の負レンズの数や位置、そして分散特性を適切に設定することにより他の収差とのバランスも取りつつ、倍率色収差を良好に補正している。
【0045】
次に各実施例の光学系の構成について説明する。各実施例の光学系L0は、軸上最大光束径を決定している開口部SP(光学系がズームレンズの場合は広角端のズーム位置)よりも物体側に1以上の負の屈折力を有するレンズ群GLNを有している。
【0046】
レンズ群GLNに含まれる負レンズの材料の部分分散比差とアッベ数を各々ΔθLN、νLNとする。このとき、
0.006<ΔθLN
60<νLN
を満たす負レンズを負レンズLNlow、その負レンズLNlowの数をSUM(LNlow)とする。
【0047】
0.006<ΔθLN
νLN<25
を満たす負レンズを負レンズLNhigh、その負レンズLNhighの数をSUM(LNhigh)とする。
【0048】
レンズ群GLNに含まれるレンズの数をSUM(L)、レンズ群GLNに含まれる負レンズの数をSUM(LN)とする。レンズ群GLNに含まれる負レンズの材料の部分分散比差の総和をSUM(ΔθLN)とする。レンズ群GLNに含まれる負レンズのうち材料のアッベ数が最小の負レンズを負レンズLNmin、そのアッベ数をνLNminとする。アッベ数が最大の負レンズを負レンズLNmax、そのアッベ数をνLNmaxとする。レンズ群GLNは正レンズLPを有し、正レンズLPの材料のアッベ数をνLPとする。負レンズLNhighの物体側の面頂点と前記開口部SPとの距離をdNS、最も物体側のレンズ面頂点と前記開口部SPとの距離をd1Sとする。
【0049】
このとき、
0.60<SUM(LN)/SUM(L)<1.00 ・・・(1)
0.70<(SUM(LNlow) + SUM(LNhigh))/SUM(LN) ・・・(2)
νLNmin< νLP <νLNmax ・・・(3)
3.50<νLNmax/νLNmin<6.50 ・・・(4)
0.30<dNS/d1S≦1.00 ・・・(5)
0.065<SUM(ΔθLN)<0.250 ・・・(6)
なる条件式を満足している。
【0050】
次に前述の各条件式の技術的意味について説明する。条件式(1)は開口部SPよりも物体側に位置する負の屈折力を有するレンズ群GLN内のレンズ数における負レンズの割合に関する。全体として負の屈折力を有するレンズ群の中には、前述したようにレンズ群内の収差キャンセル関係を作るために正レンズも少なくとも1枚必要である。しかし、正レンズの数の割合が増えていくと、収差のキャンセル関係を保つ解の自由度は増えるが、それだけ負レンズのパワーを強くする必要が出てくる。負レンズのパワーを強くするということは、それだけ収差が更に発生してしまうことを意味する。
【0051】
これを防ぐためには、正レンズと負レンズのパワーバランスと収差バランスを適切に保つことを考慮する必要がある。そうすると、負の屈折力を有するレンズ群全体の中で、負レンズがある一定の割合以上を有している必要がでてくる。
【0052】
負レンズの割合が条件式(1)の下限値を下回ると正レンズの割合が増えすぎるため、その分負レンズのパワーを強くする必要があり、この結果収差量の絶対値が増加してしまう。そうなるとレンズ群内の収差補正が難しくなり、レンズ群間の収差補正に頼るようになってしまう。そうなるとレンズ全体として目標を達成する収差量に補正することが難しくなり好ましくない。もしくは負レンズのパワーを強くしないように正レンズのパワーを緩い状態で複数使うことになる。そうすると、その分レンズ全長が伸びてしまい好ましくない。
【0053】
一方条件式(1)の値が1となると、負の屈折力を有するレンズ群内の全てのレンズが負レンズとなる。このためレンズ群内の収差補正の関係を作ることができないので好ましくない。条件式(1)は更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
【0054】
0.62<SUM(LN)/SUM(L)<1.00 ‥‥‥(1a)
条件式(2)は負の屈折力を有するレンズ群GLNの負レンズの中でも、部分分散比差ΔθgFが正の方向に大きい値を有する負レンズの割合に関する。前述したように倍率色収差を補正するために必要な異常分散性の大きさの正確な値はレンズタイプによって異なるが、目標を達成するためには非常に大きい異常分散性が必要となる。よって条件式(2)の下限値を下回ると、負の屈折力を有するレンズ群全体としての異常分散性が不足し、目標を達成すことが難しくなってしまう。条件式(2)は更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
【0055】
0.75<(SUM(LNlow) + SUM(LNhigh))/SUM(LN) ‥‥‥(2a)
条件式(3)は負の屈折力を有するレンズ群GLNに含まれる正レンズLPの材料のアッベ数に関する。
【0056】
正レンズLPは低分散材料よりなる負レンズと高分散材料よりなる負レンズとの関係により、レンズ群内のC線とF線間の倍率色収差を補正する役割がある。正レンズLPの材料のアッベ数が条件式(3)の上限値または下限値を越えると、負の屈折力を有するレンズ群内の正レンズの材料が高分散になりすぎる、または低分散になりすぎることになる。そうすると現状の取りうる硝材では負の屈折力を有するレンズ群内でC線とF線間の倍率色収差を補正しつつ、g線とF線間の倍率色収差を補正する正レンズと負レンズの組み合わせが難しくなってくる。
【0057】
条件式(4)は負の屈折力を有するレンズ群GLN中の負レンズの材料のアッベ数の最大と最小のアッベ数の比に関する。負レンズの材料のアッベ数比が条件式(4)の上限値を上回ると、低分散側の負レンズではg線とF線間の倍率色収差を効果的に行うためにはパワーが強くなりすぎてしまう。また高分散側ではパワーが弱くなりすぎてしまう。このため、色収差以外の球面収差等との補正を両立するのが難しくなってくる。
【0058】
一方条件式(4)の下限値を下回ると、負レンズの低分散側もしくは高分散側のどちらかの負レンズの部分分散比差ΔθgFが小さくなってしまう。そうすると、g線とF線間の倍率色収差を効果的に行うためには部分分散比差ΔθgFがより小さい負レンズのパワーを強くしなければならなくなり、色収差以外の球面収差等との補正が難しくなってくる。条件式(4)は更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
【0059】
3.75<νLNmax/νLNmin<6.50 ‥‥‥(4a)
また更に好ましくは条件式(4a)は次の如く設定するのが良い。
【0060】
4.00<νLNmax/νLNmin<6.50 ‥‥‥(4b)
条件式(5)は負の屈折力を有するレンズ群GLN中の最小アッベ数を取る負レンズの配置位置に関する。前述したように、g線とF線間の倍率色収差を効果的に補正するためには、負の屈折力を有するレンズ群の中でも、軸外主光線がレンズの周辺位置を通るような位置に高分散で部分分散比差ΔθgFが正の大きい値を取る負レンズを配置するのが良い。
【0061】
そこで条件式(5)の下限値を下回ると、開口部SP近傍に高分散材料よりなる負レンズを配置することになり、軸外主光線がレンズ周辺をほとんど通らない位置となる。そのような場所に配置してしまうと、g線とF線間の倍率色収差を補正するためには高分散材料よりなる負レンズにより強いパワーをつけなければならなくなり、球面収差の補正が難しくなる。
【0062】
条件式(5)の上限値は最も物体側に高分散材料より成る負レンズを配置することを意味しているため、上限値を超えることは無い。尚、本発明の光学系としてズームレンズの実施例においては、広角端での倍率色収差を効果的に補正するため、「表−1」の計算に使用しているdNSは広角端での数値を示している。条件式(5)は更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
【0063】
0.35<dNS/d1S≦1.00 ‥‥‥(5a)
条件式(6)は負の屈折力を有するレンズ群GLN中の負レンズの部分分散比差ΔθgFの値に関する。
【0064】
負レンズの部分分散比差ΔθgFの総和が条件式(6)の上限値を上回ると、より弱いパワーでg線とF線間の倍率色収差を補正することができるが、負の屈折力を有するレンズ群の全体のパワーも弱くなる。このため、良好なる光学性能を得るためにはより多くのレンズが必要となり、光学系そのものが大型化するため好ましくない。
【0065】
一方条件式(6)の下限値を下回ると、g線とF線間の倍率色収差を効果的に補正しようとすると、負レンズにより強いパワーが必要となる。そうなると、コマ収差や像面湾曲の補正が難しくなってくる。条件式(6)は更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
【0066】
0.075<SUM(ΔθLN)<0.250 ‥‥‥(6a)
更に好ましくは条件式(6a)は次の如く設定するのが良い。
【0067】
0.080<SUM(ΔθLN)<0.200 ‥‥‥(6b)
また更に好ましくは条件式(6b)は次の如く設定するのが良い。
【0068】
0.090<SUM(ΔθLN)<0.200 ‥‥‥(6c)
以上のような構成とすることで本発明の目的とする光学系は達成されるが、更に好ましくは次に述べる条件のうち少なくとも1つを満足するのが良く、これによれば更なる高い光学性能が得られる。負レンズLNminの材料の部分分散比差をΔθLNmin、負レンズLNminのパワーをφLNminとする。負レンズLNmaxの材料の部分分散比差をΔθLNmax、負レンズLNmaxのパワーをφLNmaxとする。正レンズLPの材料の部分分散比差の総和をSUM(ΔθLP)とする(但し、正レンズLPが1つのときは該正レンズLPの材料の部分分散比差)。
【0069】
負レンズLNminの材料の部分分散比差をΔθLNminとする。負レンズLNmaxの材料の部分分散比差をΔθLNmaxとする。負レンズLNminが複数あるときは、そのパワーの総和、1つのときはそのパワーをSUM(φLNmin)とする。負レンズLNmaxが複数あるときは、そのパワーの総和、1つのときはそのパワーをSUM(φLNmax)とする。このとき、
-5.0×10-3 <ΔθLNmin×(φLNmin/(νLNmin×φ))<-5.0×10-5 ・・・(7)
-5.0×10-4 <ΔθLNmax×(φLNmax/(νLNmax×φ))<-5.0×10-5 ・・・(8)
-0.050<SUM(ΔθLP)<0.040 ・・・(9)
【0070】
【数1】

【0071】
なる条件式のうち1以上を満足するのが良い。条件式(7)は負レンズLNminの材料の色収差の補正力に関する。条件式(7)の上限値を上回ると、高分散側の負レンズLNminの色収差の補正力が小さくなってしまうため、主にg線とF線間の倍率色収差が残存してしまう。一方、条件式(7)の下限値を下回ると、高分散側の負レンズLNminの色収差の補正力が強くなりすぎてしまうため、g線とF線間の倍率色収差が補正過剰となり、そしてC線とF線間の倍率色収差が補正不足となってしまうため好ましくない。条件式(7)は更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
【0072】
-2.5×10-3 <ΔθLNmin×(φLNmin/(νLNmin×φ))<-5.5×10-5 ・・・(7a)
条件式(8)は負レンズLNmaxの色収差の補正力に関する。条件式(8)の上限値を上回ると、低分散側の負レンズLNmaxの色収差の補正力が小さくなってしまうため、主にC線とF線間の倍率色収差が残存してしまう。一方、条件式(8)の下限値を下回ると、低分散側の負レンズLNmaxの色収差の補正力が強くなりすぎてしまうため、C線とF線間の倍率色収差が補正過剰となってしまうため好ましくない。条件式(8)は更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
【0073】
-3.0×10-4 <ΔθLNmax×(φLNmax/(νLNmax×φ))<-6.5×10-5 ・・・(8a)
条件式(9)は負の屈折力を有するレンズ群GLN中の正レンズLPの材料の部分分散比差の総和に関する。条件式(9)は正レンズLPが1つのときは、1つの正レンズLPの材料の部分分散比差である。条件式(9)の上限値を上回ると、正レンズLPの部分分散比のθgFの値が大きくなってしまう。そうすると負レンズLNlowや負レンズLNhighで補正したg線とF線間の倍率色収差を逆補正してしまうため、最終的に倍率色収差が補正不足となるので好ましくない。
【0074】
一方、条件式(9)の下限値を下回ると、g線とF線間の倍率色収差が補正過剰となってしまうため好ましくない。条件式(9)は更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
【0075】
-0.040<SUM(ΔθLP)<0.030 ‥‥‥(9a)
条件式(10)は負の屈折力を有するレンズ群GLN中の負レンズの色収差の補正力と、そのアッベ数比による倍率色収差の補正のバランスに関する。条件式(10)の上限値を上回ると、負レンズのパワーが強くなりすぎたり、負レンズの材料の部分分散比θgFの値が高くなりすぎたりするので、色収差補正と像面湾曲やコマ収差補正とをバランス良く補正するのが難しくなる。一方、条件式(10)の下限値を下回ると、負レンズの色収差の補正力が弱くなり、主にg線とF線間の倍率色収差が残存してしまうため好ましくない。条件式(10)は更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
【0076】
【数2】

【0077】
また、正レンズLPは、負レンズLNlowもしくは負レンズLNhighと同一レンズ群内にあることが好ましい。正レンズLPは前述の通り、負レンズLNlowと負レンズLNhighの材料とのアッベ数のバランスを取り、色収差も補正している。このため負レンズLNlowや負レンズLNhighと位置関係上、光軸方向に離れすぎると色収差と基本収差とのバランスを取ることが難しくなるため好ましくない。以上のように各実施例によれば画面内全体に渡って倍率色収差を補正し、高い光学性能を持った光学系が得られる。
【0078】
次に各実施例の光学系における構成について説明する。図1の実施例1の光学系L0は、負の屈折力の第1レンズ群L1、フォーカス用の正の屈折力の第2レンズ群L2で構成されている単焦点レンズである。無限遠物体から有限距離物体へのフォーカシングは、第2レンズ群L2を物体側に移動して行なっている。第1レンズ群L1はレンズ群GLNに相当している。
【0079】
開口絞りSPは第2レンズ群L2中に設けており、フォーカシングに際しては第2レンズ群L2と一体となって移動している。軸上最大光束径を決定する開口部と開口絞りSPは一致している。第1レンズ群L1の最も物体側の負レンズから数えて3枚目の負レンズの像側の面と、第2レンズ群L2の最も像側のレンズの物体側の面は非球面形状である。
【0080】
図3の実施例2の光学系L0は、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3を有している。第3レンズ群L3の像側には更に、正の屈折力の第4レンズ群L4を有する4群ズームレンズである。広角端から望遠端にかけてのズーミングに際して矢印の如く、第2レンズ群L2乃至第4レンズ群L4は、独立に移動している。
【0081】
具体的には第2レンズ群L2が光軸上を像側へ移動し、第3レンズ群L3は、一度物体側へ移動した後に、像側へ戻るような軌跡で移動している。また第4レンズ群L4は第3レンズ群L3との間隔が変化するように独立に移動している。第2レンズ群L2と第3レンズ群L3はレンズ群GLNに相当している。開口絞りSPは第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の間に設けており、ズーミングに際して第4レンズ群L4と一体となって移動している。開口部と開口絞りSPは一致している。
【0082】
第2レンズ群L2の最も物体側の負レンズの物体側の面と、2枚目の負レンズの物体側の面と、2枚目の正レンズの物体側の面、そして第4レンズ群L4の最も物体側のレンズの物体側の面は非球面形状である。尚、無限遠物体から有限距離物体へのフォーカシングに際して第1レンズ群L1の一部のレンズ群(最も物体側から5枚目のレンズから7枚目のレンズまで)を像面側へ移動させることで行なっている。
【0083】
図5の実施例3の光学系L0は、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3を有している。第3レンズ群L3の像側には更に、正の屈折力の第4レンズ群L4、正の屈折力の第5レンズ群L5を有する5群ズームレンズである。広角端から望遠端にかけてのズーミングに際して、矢印の如く第2レンズ群L2乃至第4レンズ群L4は独立に移動している。具体的には第2レンズ群L2乃至第4レンズ群L4は、いずれも光軸上を物体側へ移動し、各レンズ群の間隔を変化させている。第1レンズ群L1は負レンズGLNに相当している。
【0084】
開口絞りSPは第3レンズ群L3と第4レンズ群L4との間に設けており、ズーミングに際して第4レンズ群L4と一体となって移動している。開口部と開口絞りSPは一致している。第1レンズ群L1の最も物体側の負レンズから数えて、2枚目の負レンズの物体側の面と、第3レンズ群L3の最も像側のレンズの像側の面は非球面形状である。尚、無限遠物体から有限距離物体へのフォーカシングに際しては第1レンズ群L1の一部のレンズ群(最も物体側から4枚目のレンズと5枚目のレンズまで)を像側へ移動させることで行なっている。
【0085】
図7の実施例4の光学系L0は、負の屈折力の第1レンズ群L1、フォーカス用の正の屈折力の第2レンズ群L2、そして正の屈折力の第3レンズ群L3で構成されている単焦点レンズである。無限遠物体から有限距離物体へのフォーカシングに際しては、第2レンズ群L2を像側に移動して行なっている。第1レンズ群L1は負レンズGLNに相当している。実施例4での軸上最大光束径を決定している開口部は第3レンズ群L3の最も物体側のレンズの物体側の面の有効部である。開口部とはこの面を指す。第1レンズ群L1の最も物体側の負レンズから数えて3枚目の負レンズの像側の面と、第3レンズ群L3の最も像側のレンズの物体側の面は非球面形状である。
【0086】
以下に本発明の実施例1乃至4に対応する数値実施例1乃至4を示す。各数値実施例において、iは物体側からの面の順序を示し、rは物体側より第i番目の面の曲率半径、dは物体側より第i番目と第i+1番目の間隔、ndとνdは第i番目の光学部材の屈折率とアッベ数である。θgFは部分分散比、ΔθgFは部分分散比差を表す。f、fno、2ωはそれぞれ無限遠物体に焦点を合わせたときの全系の焦点距離、Fナンバー、画角(度)を表している。非球面形状は光軸方向にX軸、光軸と垂直方向にH軸、光の進行方向を正、Rを近軸曲率半径、kを離心率、A4、A6、A8、A10を各々非球面係数としたとき、
【0087】
【数3】

【0088】
なる式で表している。また例えば「e−Z」の表示は「10−Z」を意味する。そして、前述の各条件式と数値実施例における諸数値との関係を(表−1)に示す。
【0089】

(数値実施例1)
f=1.00mm Fno=2.90 2ω=113.44
面番号 r d nd νd 有効径 θgF ΔθgF
1 2.480 0.14 1.59282 68.6 4.66 0.54461 0.01428 LNlow
2 1.865 0.58 3.72
3 2.041 0.14 1.49700 81.5 3.70 0.53859 0.02916 LNlow
4 1.436 0.92 2.87
5 2.369 0.14 1.43875 94.9 2.84 0.53463 0.04681 LNlow
6(非球面) 0.752 0.77 2.25
7 4.710 0.35 1.92286 18.9 2.19 0.64947 0.03858 LNhigh
8 1.540 0.45 1.83
9 3.352 0.35 1.91082 35.3 1.82 0.58243 -0.00201 LP
10 -7.811 0.28 1.76
11 -84.070 0.14 1.80100 35.0 1.49
12 1.446 0.33 1.72047 34.7 1.35
13 -2.619 0.07 1.32
14 -2.765 0.35 1.61800 63.3 1.20
15 0.749 0.40 1.65412 39.7 1.01
16 -2.906 0.51 1.01
17(絞り) ∞ 0.04 0.94
18 6.257 0.17 1.83400 37.2 0.93
19 1.500 0.03 0.90
20 1.250 0.40 1.49700 81.5 0.92
21 -0.682 0.14 1.83400 37.2 0.90
22 -52.074 0.01 0.98
23 5.967 0.36 1.49700 81.5 1.00
24 -0.921 0.01 1.04
25(非球面) -2.299 0.19 1.71736 29.5 1.00
26 -1.883 2.82 1.11
像面 ∞

非球面データ
第6面
K =-6.69359e-001 A 4=-2.60000e-002 A 6=-3.48578e-002 A 8= 6.37046e-003
A10=-5.45424e-002

第25面
K = 5.48470e+000 A 4=-1.89495e-002 A 6= 4.81412e-003 A 8=-9.22734e-003
A10=-1.01663e-001

各種データ
ズーム比 1.00

焦点距離 1.00
Fナンバー 2.90
画角 56.72
像高 1.52
レンズ全長 10.11
BF 2.82
入射瞳位置 2.46
射出瞳位置 -1.51
前側主点位置 3.23
後側主点位置 1.82

レンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 -2.39 3.85 0.83 -3.42
2 11 2.41 3.16 2.06 -0.60

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -13.85
2 3 -10.57
3 5 -2.58
4 7 -2.62
5 9 2.61
6 11 -1.77
7 12 1.34
8 14 -0.92
9 15 0.95
10 18 -2.40
11 20 0.95
12 21 -0.83
13 23 1.63
14 25 12.18

【0090】
(数値実施例2)
f= 1.00〜11.48mm Fno=1.84〜2.05 2ω=75.9〜7.76
面番号 r d nd νd 有効径 θgF ΔθgF
1 11.177 0.37 1.73400 51.5 13.32 0.54839 -0.00980
2 7.192 3.11 11.59
3 204.281 0.32 1.69680 55.5 11.34 0.54343 -0.00821
4 18.784 1.98 10.76
5 -15.507 0.31 1.65160 58.5 10.62 0.54178 -0.00497
6 25.511 0.02 10.59
7 17.953 1.24 1.80518 25.4 10.66 0.61655 0.01623
8 -113.389 0.94 10.62
9 -20.727 0.54 1.49700 81.5 10.50 0.53859 0.02916
10 -15.889 0.19 10.48
11 -76.473 2.06 1.49700 81.5 10.10 0.53859 0.02916
12 -8.971 0.35 1.73800 32.3 9.92 0.59029 0.00104
13 -13.382 1.61 10.04
14 61.275 0.37 1.72342 38.0 9.97 0.58342 0.00336
15 10.539 1.94 1.49700 81.5 9.86 0.53859 0.02916
16 -54.892 0.02 9.89
17 16.340 1.91 1.43387 95.1 10.17 0.53728 0.04975
18 -18.618 0.02 10.17
19 14.086 0.75 1.59282 68.6 9.75 0.54461 0.01428
20 37.477 (可変) 9.66
21(非球面) -22.295 0.29 1.43875 94.9 4.56 0.53463 0.04681 LNlow
22 3.022 1.07 3.69
23(非球面)3995.497 0.19 1.43875 94.9 3.48 0.53463 0.04681 LNlow
24 3.931 0.43 3.31
25 13.951 0.86 1.63980 34.5 3.32 0.59213 0.00644 LP
26 -3.451 0.19 1.59282 68.6 3.30 0.54461 0.01428 LNlow
27 -28.532 0.08 3.25
28(非球面) -9.967 0.37 1.48749 70.2 3.24 0.53026 0.00244 LP
29 -8.111 0.24 1.80809 22.8 3.19 0.63070 0.02607 LNhigh
30 -18.461 (可変) 3.18
31 -8.436 0.17 1.77250 49.6 3.49 0.55234 -0.00885
32 40.422 0.28 1.84666 23.9 3.60 0.62172 0.01890 LP
33 -34.593 (可変) 3.65
34(絞り) ∞ 0.15 3.79
35(非球面) 7.235 0.70 1.67003 47.2 3.96
36 -8.150 0.19 1.49700 81.5 3.97
37 4.469 0.10 3.94
38 4.565 0.85 1.48749 70.2 3.99
39 -11.928 0.18 1.90200 25.1 3.99
40 -25.432 4.27 4.00
41 84.223 0.55 1.80809 22.8 3.98
42 -6.705 0.02 4.00
43 -8.889 0.19 1.90200 25.1 3.96
44 4.814 0.87 1.49700 81.5 3.98
45 -16.281 0.02 4.07
46 19.030 0.29 1.80809 22.8 4.15
47 -65.680 0.17 4.16
48 6.568 1.07 1.49700 81.5 4.20
49 -5.253 0.18 1.90200 25.1 4.15
50 17.112 0.02 4.19
51 10.778 0.65 1.80809 22.8 4.22
52 -9.011 (可変) 4.22
53 ∞ 4.87 1.69680 55.5 3.64
54 ∞ 1.85 1.51633 64.1 2.46
55 ∞ 0.96 1.96
像面 ∞

非球面データ
第21面
K =-1.07833e+002 A 4= 3.89165e-003 A 6=-7.96461e-005 A 8=-1.70228e-005
A10= 3.25679e-006 A12=-1.30597e-007

第23面
K =-1.16441e+012 A 4=-1.34932e-002 A 6=-1.17875e-003 A 8= 1.20580e-004
A10= 3.80923e-006

第28面
K =-1.37233e+001 A 4= 7.05637e-003 A 6= 6.58471e-004 A 8=-2.84426e-005
A10=-1.08753e-005 A12= 1.02944e-006

第35面
K =-9.25857e+000 A 4= 2.01826e-003 A 6=-1.81310e-004 A 8= 5.41586e-006
A10= 1.07780e-006 A12=-1.27891e-007

各種データ
ズーム比 11.48

焦点距離 1.00 3.16 5.75 8.71 11.48
Fナンバー 1.84 1.84 1.84 1.84 2.05
画角 37.95 13.86 7.73 5.12 3.88
像高 0.78 0.78 0.78 0.78 0.78
レンズ全長 55.02 55.02 55.02 55.02 55.02
BF 0.96 0.96 0.96 0.96 0.96

d20 0.38 8.21 10.66 11.92 12.57
d30 12.80 3.07 0.55 0.19 0.68
d33 0.31 2.15 2.20 1.32 0.20
d52 1.13 1.19 1.20 1.19 1.18

入射瞳位置 10.10 18.52 25.60 32.00 36.70
射出瞳位置 89.75 89.69 89.68 89.69 89.70
前側主点位置 11.11 21.80 31.71 41.56 49.67
後側主点位置 -0.04 -2.20 -4.79 -7.75 -10.53

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 10.63 18.04 12.74 7.56
2 21 -3.96 3.74 0.49 -2.41
3 31 -15.46 0.45 -0.10 -0.34
4 34 7.32 10.48 7.89 -6.51
G 53 ∞ 6.73 2.05 -2.05

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -28.61
2 3 -29.71
3 5 -14.76
4 7 19.33
5 9 132.06
6 11 20.25
7 12 -38.17
8 14 -17.65
9 15 17.97
10 17 20.39
11 19 37.62
12 21 -6.05
13 23 -8.97
14 25 4.41
15 26 -6.64
16 28 83.83
17 29 -18.09
18 31 -9.02
19 32 22.05
20 35 5.83
21 36 -5.78
22 38 6.89
23 39 -25.06
24 41 7.71
25 43 -3.44
26 44 7.58
27 46 18.29
28 48 6.06
29 49 -4.44
30 51 6.16
G 53 0.00
G 54 0.00

【0091】
(数値実施例3)
f= 1.00〜1.35mm Fno=3.06〜3.10 2ω=71.96〜56.68°
面番号 r d nd νd 有効径 θgF ΔθgF
1 1.929 0.07 1.49700 81.5 2.21 0.53859 0.02916 LNlow
2 1.198 0.25 1.92
3(非球面) 2.131 0.10 1.49700 81.5 1.88 0.53859 0.02916 LNlow
4 1.081 0.51 1.64
5 -4.132 0.07 1.92286 18.9 1.60 0.64947 0.03858 LNhigh
6 2.947 0.63 1.57
7 3.707 0.33 1.80100 35.0 1.82 0.58621 0.00131 LP
8 -3.757 0.01 1.81
9 10.689 0.07 1.56907 71.3 1.74 0.54511 0.01902 LNlow
10 2.058 (可変) 1.68
11 3.079 0.15 1.84666 23.9 1.68
12 6.118 (可変) 1.66
13 4.171 0.15 1.84666 23.9 1.64
14 42.539 0.75 1.62
15 -1.755 0.07 1.73800 32.3 1.29
16 2.184 0.25 1.48749 70.2 1.30
17 -3.408 0.01 1.32
18 8.468 0.21 1.67790 54.9 1.32
19(非球面) -1.910 (可変) 1.32
20(絞り) ∞ 0.49 0.92
21 1.849 0.24 1.75520 27.5 0.88
22 -1.129 0.10 1.83400 37.2 0.89
23 1.226 0.80 0.90
24 -5.445 0.38 1.49700 81.5 1.50
25 -1.046 0.01 1.56
26 -1.222 0.07 1.80440 39.6 1.56
27 -1.891 0.07 1.67
28 2.319 0.38 1.49700 81.5 1.90
29 -6.164 (可変) 1.90
30 6.269 0.07 1.85026 32.3 1.86
31 1.435 0.48 1.56907 71.3 1.79
32 -6.007 0.18 1.79
33 ∞ 1.80 1.51633 64.1 1.75
34 ∞ 0.00 1.58
35 ∞ 1.29 1.69680 55.5 1.58
36 ∞ 0.10 1.47
像面 ∞

非球面データ
第3面
K = 4.74760e-001 A 4= 4.57093e-002 A 6= 2.12410e-002 A 8=-1.28841e-002
A10= 1.47164e-002

第19面
K =-1.21961e-002 A 4=-2.34158e-003 A 6= 5.87571e-003 A 8=-1.98211e-002
A10= 1.82450e-002

各種データ
ズーム比 1.35
広角 中間 望遠
焦点距離 1.00 1.18 1.35
Fナンバー 3.06 3.08 3.10
画角 35.98 31.62 28.34
像高 0.73 0.73 0.73
レンズ全長 11.55 11.55 11.55
BF 0.10 0.10 0.10

d10 0.28 0.12 0.12
d12 1.11 0.60 0.04
d19 0.04 0.61 1.11
d29 0.04 0.13 0.19

入射瞳位置 1.58 1.61 1.65
射出瞳位置 -16.56 -16.78 -16.94
前側主点位置 2.52 2.70 2.89
後側主点位置 -0.90 -1.07 -1.24

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 -1.53 2.03 0.35 -1.55
2 11 7.16 0.15 -0.08 -0.16
3 13 3.96 1.44 1.02 -0.37
4 20 3.37 2.55 2.50 0.79
5 30 27.25 3.82 0.69 -1.77

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -6.57
2 3 -4.56
3 5 -1.85
4 7 2.38
5 9 -4.49
6 11 7.16
7 13 5.45
8 15 -1.31
9 16 2.77
10 18 2.32
11 21 0.96
12 22 -0.69
13 24 2.53
14 26 -4.51
15 28 3.44
16 30 -2.20
17 31 2.08
G 33 0.00
G 35 0.00

【0092】
(数値実施例4)
f=1.00mm Fno=2.90 2ω=113.44
面番号 r d nd νd 有効径 θgF ΔθgF
1 2.589 0.14 1.59282 68.6 4.67 0.54461 0.01428 LNlow
2 1.836 0.63 3.65
3 2.053 0.14 1.49700 81.5 3.56 0.53859 0.02916 LNlow
4 1.444 0.85 2.84
5 2.497 0.14 1.43875 94.9 2.76 0.53463 0.04681 LNlow
6(非球面) 0.705 0.92 2.13
7 -13.566 0.35 1.92286 18.9 2.05 0.64947 0.03858 LNhigh
8 3.318 0.28 1.86
9 4.072 0.35 1.91082 35.3 1.81 0.58243 -0.00201 LP
10 -19.119 0.07 1.74
11 2.580 0.14 1.80100 35.0 1.59
12 0.919 0.44 1.72047 34.7 1.37
13 -3.910 0.05 1.33
14 -2.255 0.35 1.61800 63.3 1.31
15 0.748 0.36 1.65412 39.7 0.98
16 -3.186 0.55 0.98
17(SP) 3.859 0.17 1.83400 37.2 0.90
18 1.185 0.01 0.86
19 1.206 0.34 1.49700 81.5 0.87
20 -0.617 0.14 1.83400 37.2 0.87
21 -66.074 0.01 0.96
22 5.536 0.36 1.49700 81.5 1.00
23 -0.885 0.01 1.13
24(非球面) -2.103 0.19 1.71736 29.5 1.21
25 -1.534 2.84 1.31
像面 ∞

非球面データ
第6面
K =-6.91642e-001 A 4=-4.64563e-002 A 6=-6.07658e-002 A 8= 7.97044e-003
A10=-6.22218e-002

第24面
K = 3.01727e+000 A 4=-2.55570e-002 A 6= 7.40902e-003 A 8=-1.58247e-003
A10=-7.77952e-002

焦点距離 1.00
Fナンバー 2.90
画角 56.72
像高 1.52
レンズ全長 9.85
BF 2.84
入射瞳位置 2.35
射出瞳位置 -1.38
前側主点位置 3.11
後側主点位置 1.84

レンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 -1.36 3.81 1.32 -2.09
2 11 2.79 1.34 0.42 -0.49
3 17 3.17 1.24 1.23 0.64

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -11.45
2 3 -10.61
3 5 -2.29
4 7 -2.86
5 9 3.71
6 11 -1.85
7 12 1.07
8 14 -0.87
9 15 0.96
10 17 -2.11
11 19 0.88
12 20 -0.75
13 22 1.56
14 24 6.93

【0093】
【表1】

【0094】
次に実施例1〜4に示した光学系をデジタル一眼レフカメラ等の光学機器に適用した実施例を図11を用いて説明する。図11は一眼レフカメラの要部概略図である。図11において10は実施例1〜4の光学系を有する撮影レンズである。光学系1は保持部材である鏡筒2に保持されている。20はカメラ本体であり、撮影レンズ10からの光束を上方に反射するクイックリターンミラー3、撮影レンズ10の像形成位置に配置された焦点板4を有している。更に焦点板4に形成された逆像を正立像に変換するペンタダハプリズム5、その正立像を拡大結像するための接眼レンズ6等を有している。
【0095】
7は感光面であり、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)や銀塩フィルムが配置される。撮影時にはクイックリターンミラー3が光路から退避して感光面7上に撮影レンズ10によって像が形成される。本発明の光学系はプロジェクターやTVカメラ等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0096】
L0は光学系 L1は第1レンズ群 L2は第2レンズ群 L3は第3レンズ群
L4は第4レンズ群 L5は第5レンズ群 SPは開口絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部SPを有する光学系において、前記開口部SP(光学系がズームレンズの場合は広角端のズーム位置において)よりも物体側に1以上の負の屈折力を有するレンズ群GLNを有し、前記レンズ群GLNに含まれる負レンズの材料の部分分散比差とアッベ数を各々ΔθLN、νLNとするとき、
0.006<ΔθLN
60<νLN
を満たす負レンズを負レンズLNlow、その負レンズLNlowの数をSUM(LNlow)、
0.006<ΔθLN
νLN<25
を満たす負レンズを負レンズLNhigh、その負レンズLNhighの数をSUM(LNhigh)、
前記レンズ群GLNに含まれるレンズの数をSUM(L)、
前記レンズ群GLNに含まれる負レンズの数をSUM(LN)、
前記レンズ群GLNに含まれる負レンズの材料の部分分散比差の総和をSUM(ΔθLN)、
前記レンズ群GLNに含まれる負レンズのうち材料のアッベ数が最小の負レンズを負レンズLNmin、そのアッベ数をνLNmin、
アッベ数が最大の負レンズを負レンズLNmax、そのアッベ数をνLNmax、
前記レンズ群GLNは正レンズLPを有し、
前記正レンズLPの材料のアッベ数をνLP、
前記負レンズLNhighの物体側の面頂点と前記開口部SPとの距離をdNS、
最も物体側のレンズ面頂点と前記開口部SPとの距離をd1Sとするとき、
0.60<SUM(LN)/SUM(L)<1.00
0.70<(SUM(LNlow) + SUM(LNhigh))/SUM(LN)
νLNmin< νLP <νLNmax
3.50<νLNmax/νLNmin<6.50
0.30<dNS/d1S≦1.00
0.065<SUM(ΔθLN)<0.250
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記負レンズLNminの材料の部分分散比差をΔθLNmin、前記負レンズLNminのパワーをφLNmin、前記光学系のパワー(光学系がズームレンズの場合には広角端におけるパワー)をφとするとき、少なくとも1つの前記負レンズLNminについて、
-5.0×10-3 <ΔθLNmin×(φLNmin/(νLNmin×φ))<-5.0×10-5
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記負レンズLNmaxの材料の部分分散比差をΔθLNmax、前記負レンズLNmaxのパワーをφLNmax、前記光学系のパワー(光学系がズームレンズの場合には広角端におけるパワー)をφとするとき、少なくとも1つの前記負レンズLNmaxについて、
-5.0×10-4 <ΔθLNmax×(φLNmax/(νLNmax×φ))<-5.0×10-5
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項4】
前記正レンズLPの材料の部分分散比差の総和をSUM(ΔθLP)とするとき
(但し、正レンズLPが1つのときは該正レンズLPの材料の部分分散比差)、
-0.050<SUM(ΔθLP)<0.040
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項5】
前記負レンズLNminの材料の部分分散比差をΔθLNmin、前記負レンズLNmaxの材料の部分分散比差をΔθLNmax、前記負レンズLNminが複数あるときは、そのパワーの総和、1つのときはそのパワーをSUM(φLNmin)、前記負レンズLNmaxが複数あるときは、そのパワーの総和、1つのときはそのパワーをSUM(φLNmax)とするとき、
【数1】


なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項6】
前記正レンズLPは、前記負レンズLNlow又は前記LNhighと同一のレンズ群内にあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項7】
前記光学系は物体側から像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、フォーカシングに際して移動する正の屈折力の第2レンズ群よりなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項の光学系。
【請求項8】
前記光学系は物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群からなり、ズーミングに際して前記第2乃至第4レンズ群が独立に移動することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項の光学系。
【請求項9】
前記光学系は物体側から像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群からなり、ズーミングに際して前記第2乃至第4レンズ群が独立に移動することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項の光学系。
【請求項10】
前記光学系は物体側から像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、フォーカシングに際して移動する正の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群よりなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項の光学系。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光学系を有することを特徴とする光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−220527(P2012−220527A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82795(P2011−82795)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】