説明

光学装置および光学装置の製造方法

【課題】光学素子に対する透過性を有するとともに、光学素子と外部回路との間で電気的接続の自由度が高い光学装置を提供する。
【解決手段】光学装置1は、表面に光学素子2が設けられた素子基板3と、素子基板3の光学素子2が設けられた表面に接続され、光学素子2に対応する位置に貫通孔4を有する配線基板5と、貫通孔4を覆うように配線基板5に接続された光透過性部材6とを有する。また、配線基板4の光透過性部材6が接続される表面に、配線基板5に電気的に接続された外部接続端子8が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置および光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体基板の主面に、集積回路素子等の微細配線を形成する加工技術を応用して、極めて微小な電子機械機構(Micro Electro Mechanical System:以下、「MEMS」という。)を形成した電子装置が注目され、実用化に向けて開発が進められている。このような電子装置には、例えば、微小ミラーを駆動させて光の経路を切り換える光スイッチがある。この微小ミラーのように、光学分野に利用されるMEMSを、特に光MEMSという。
【0003】
このような光MEMSをパッケージングする方法としては、光MEMSが形成される基板と光MEMSをカバーする基板とを接着剤によって接合することにより、ウェハスケールでパッケージングする方法がある。この場合、光MEMS対して光を透過させる必要があることから、カバー基板として、例えば光透過性を有するガラスが用いられる。
【特許文献1】特表2005−39078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、光MEMSと外部回路との間で電気的接続が必要となる場合がある。しかし、カバー基板としてガラスを用いた場合には、ガラスに複雑な形状の配線導体を形成することが困難であることから、光MEMSと外部回路との間で自由度の高い電気的接続を実現することは困難である。
【0005】
以上のように、光MEMSをパッケージングして得られる光学装置は、光MEMSに対する透過性を有するとともに、光MEMSと外部回路との間で自由度の高い電気的接続が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、光学装置は、表面に光学素子が設けられた素子基板と、素子基板の光学素子が設けられた表面に接続され、光学素子に対応する位置に貫通孔を有する配線基板と、貫通孔を覆うように前記配線基板に接続された光透過性部材とを有する。
【0007】
本発明の一態様によれば、光学装置の製造方法は、複数のガラスセラミックグリーンシートを準備する工程と、複数のガラスセラミックグリーンシートに穴部を形成する工程と、少なくとも1つのガラスセラミックグリーンシートに焼成後配線導体となる導体部を形成する工程と、複数のガラスセラミックグリーンシートを積層して、貫通孔を有するグリーンシート積層体を形成する工程と、半導体基板と前記グリーンシート積層体とを密着させる工程と、グリーンシート積層体を焼成して複合基板を形成する工程と、貫通孔に露出した半導体基板の表面に光学素子を形成する工程と、光透過性部材を準備する工程と、光学素子と光透過性部材とを対向させて、複合基板と光透過性部材とを接続する工程とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、光学装置は、光MEMSに対する透過性を有するとともに、光MEMSと外部回路との間で自由度の高い電気的接続を実現することができる。
【0009】
本発明の一態様によれば、光学装置の製造方法は、光MEMSに対する透過性を有するとともに、光MEMSと外部回路と間で電気的接続の自由度が高い光学装置を製造可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図4は、光学装置1の構成例を示す図であり、(a)は平面透視図、(b)は、(a)のA−A線における断面図である。図4に示すように、本発明の実施の形態による光学装置1は、表面に光MEMS2が設けられた素子基板3と、素子基板3の光MEMS2が設けられた表面に接続され、光MEMS2に対応する位置に貫通孔4を有する配線基板5と、貫通孔4を覆うように配線基板5に接続された光透過性部材6とを有する。ここで、光透過性部材6は、配線基板5に封止部材7を介して接続される。これにより、光MEMS2は、気密封止される。素子基板3は、例えば半導体基板であり、その表面に、マイクロマシニング技術を用いることにより光MEMS2が形成されている。
【0011】
また、光学装置1は、配線基板5の光透過性部材6が接続される表面Sに設けられ、配線基板4に電気的に接続された外部接続端子8を有する。外部接続端子8は、貫通孔4の周囲に設けられている。外部接続端子8は、配線基板4とプリント配線基板等の外部回路基板とを電気的に接続する。
【0012】
配線基板4は、絶縁層が積層されてなる絶縁基板9と積層体の内部に設けられた配線導体10とを有する。外部接続端子8は、配線導体10に接続される。絶縁基板9は、例えばガラスセラミックスからなる絶縁層が積層された積層体である。
【0013】
光透過性部材6は、所望の光を透過する光透過領域を有する。光透過領域は、光透過性部材6の全体に渡っていても、一部のみであってもよい。光透過性部材6は、例えば、ガラス基板である。光透過性部材6を透過した光は、貫通孔4を通過して光MEMS2に到達する。例えば、光MEMS2が、いわゆるDMD(Digital Micromirror Device)である場合、光透過性部材6を透過した光が、この光MEMS2によって走査される。
【0014】
配線基板4の表面Sは段差を有する。すなわち、表面Sは、図2に示すように、素子基板3からの距離が異なる複数の領域A1〜A3を有する。例えば、光MEMS2に対向する第1領域A1は、素子基板3からの距離H1が0であり、第1領域A1の周囲の第2領域A2は、素子基板3からの距離H2が距離H1よりも長い。この第2領域A2には、封止部材7が設けられる。また、第2領域A2の周囲に位置し、外部接続端子8が設けられる第3領域A3は、素子基板3からの距離H3が、距離H2よりも小さい。このように、距離H3が距離H2よりも小さい場合には、外部接続端子8が、光学装置1から外側に突出することを抑制することができる。その結果、光学装置1をより小型にできる。
【0015】
配線基板5の絶縁層がガラスセラミックスからなる場合、配線基板5と素子基板3とは、焼結により一体化されてもよい。具体的には、素子基板3上にガラスセラミックグリーンシートを熱圧着によって密着させ、ガラスセラミックグリーンシートを焼結させて、素子基板3と一体化することにより、配線基板5が、素子基板3に接合されてもよい。
【0016】
ここで、ガラスセラミックグリーンシートとは、絶縁層を形成するガラス粉末およびセラミック粉末などの原料粉末をシート状に成形したものをいう。このとき、絶縁層は、絶縁相中のガラス成分によってガラス基板11に接合される。
【0017】
このように、可とう性を有するガラスセラミックグリーンシートを素子基板3上に熱圧着で密着させると、素子基板3と絶縁基板9とをより密着させることができ、光学装置1の気密性を高めることができる。
【0018】
また、絶縁基板9が多層基板である場合、配線導体10の絶縁基板9の内部における配置自由度が高くなり、配線基板5と素子基板3、および配線基板4と外部回路基板との電気的接続の自由度をより高くすることができる。結果として、光MEMS2と外部回路基板との電気的接続の自由度をより高くすることができる。
【0019】
なお、配線導体10は、絶縁基板9を構成するガラスセラミックグリーンシートと同時焼成により形成されてよい。例えば、ガラスセラミックグリーンシートにパンチング若しくはレーザー加工等の手法を用いて穴加工を施した後、AgまたはCu等からなる金属粉末をペースト状にした導体ペーストを充填し、その後、その導体ペーストをガラスセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷等の手法で形成する。そして、これらの表面および穴部に導体ペーストが形成されたセラミックグリーンシートを複数層積層し、焼成することにより多層配線構造を形成することができる。
【0020】
このように同時焼成によりセラミック基板内に配線導体10を形成すると、配線導体10は、絶縁基板9に良好に密着する。これにより、配線導体10と絶縁基板9との間に隙間が生じることを抑制することができ、光学装置1の気密信頼性を高めることができる。
【0021】
また、素子基板3の表面に配線層を形成した場合でも、素子基板3の配線層と絶縁基板9の導体ペーストを接触させて焼成することにより、素子基板3の配線層と配線導体10とを接合して導通させることができる。これにより、絶縁基板9の内部に設けた配線導体10と素子基板3上の配線層とを電気的に接続することができるため、電気的接続の自由度をより高めることができる。
【0022】
配線導体10は、例えば、Ag、Cu,Auあるいはその合金金属粉末を焼結させることにより形成される。
【0023】
絶縁基板9は、光透過性部材6と熱膨張係数が近い結晶化材料からなることが望ましい。例えば、光透過性部材6がシリカガラスからなる場合、絶縁基板9は、熱膨張係数をシリカガラスの熱膨張係数に近い1.5乃至3.0×10−6/℃とし、その結晶化度を70%以上とすることが望ましい。
【0024】
絶縁基板9の結晶化度が70%以上であると、ガラス基板11の洗浄工程において、ガラスセラミック焼結体がダメージを受けにくく、ガラスセラミック焼結体からの脱粒を低減できる。
【0025】
低熱膨張係数、かつ高結晶度を有する絶縁基板9としては、結晶相にコーディライト、β−クォーツ、β−スポジュメン、またはβ−ユークプリタイトを析出するガラス材料を利用することができ、この結晶層に、熱膨張係数の調整のために、フィラーとして上記結晶若しくはその固溶体を添加することができる。
【0026】
配線導体10は、絶縁基板9の内部および表面の少なくとも一方に設けられる。配線導体10は、多層配線構造にすることによって、光学装置1の設計自由度を高めることができる。
【0027】
また、透光性部材6は、二次実装時にスペーサとして機能する。このスペーサにより、外部接続端子8の高さを保持することができ、外部回路基板と比較して熱膨張係数の小さい光学装置1の実装信頼性を高めることもできる。
【0028】
また、外部接続端子8は、Pb−Sn,SnAg,若しくはSnAgCuなどの半田材料が主に用いられる。ここで、外部接続端子8としては、光学装置1と外部回路基板との間の熱応力を緩和するために、金属ボールを内部に取り込んだSnAgCu半田などを用いるのが望ましい。
【0029】
封止部材7は、光学装置1の二次実装時における耐熱性を有する材料からなる。このような封止部材7には、例えば、Pb−Sn、AuSn,若しくはフリットガラスからなり、特に、AuSn,若しくはフリットガラス材料とすることが望ましい。これらの材料は、300℃〜450℃で溶融流動するために、微小の隙間やボイド比率の小さい封止部材7を形成することができる。
【0030】
次に、図3および図4を用いて、光学装置1の製造方法について説明する。まず、図3(a)に示すように、複数のガラスセラミックグリーンシート30を準備する。ここで、ガラスセラミックグリーンシートとは、ガラス粉末およびセラミック粉末と、有機バインダ、有機溶剤、および可塑剤等とを添加混合してスラリーとし、そのスラリーをドクターブレード法若しくはカレンダロール法を用いてシート状に成形したものをいう。
【0031】
上記セラミック粉末は、例えばコーディエライト、β−クォーツ,β−スポジュメン,若しくはβ−ユークプリタイトなどの結晶または固溶体粉末である。ガラス粉末は、例えば、SiO−B系,SiO−B−Al系,若しくはSiO−B−Al―MgO系である。セラミック粉末およびガラス粉末の組み合わせの例として、セラミック粉末を、コーディエライトとし、ガラス粉末を、コーディエライトを70%以上析出する結晶化ガラスとする組み合わせがある。このように選択すると、得られるガラスセラミック焼結体の熱膨張係数が2.0乃至3.0×10−6/℃となり、その結晶化度は70%乃至80%以上となることから、この組み合わせはより好ましい。
【0032】
上記有機バインダとしては、従来からセラミックグリーンシートに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系,ポリビニルブチラール系,ポリビニルアルコール系,ポリプロピレンカーボネート系,若しくはセルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
【0033】
グリーンシートを成形するためのスラリーに用いられる有機溶剤としては、その有機溶剤、ガラス粉末、セラミック粉末、および有機バインダを混練してグリーンシート成形に適した粘度のスラリーが得られるように、例えば炭化水素類,エーテル類,エステル類,ケトン類,若しくはアルコール類等から成るもの利用される。
【0034】
次に、図3(b)に示すように、図3(a)で作製したガラスセラミックグリーンシート30に、金型加工、レーザー加工、またはマイクロドリル若しくはパンチング等の機械的加工により、貫通孔31を形成する。この貫通孔31は、ビア用貫通孔として利用されるか、若しくは光MEMS2を収容する貫通孔4を構成するために利用される。次に、Ag,Cu,Ag−Pt,若しくはAg−Pd等の金属粉末とガラス粉末とに適当な有機バインダおよび溶剤を添加混合した導体ペースト32を、スクリーン印刷等の手法を用いてビア用貫通孔に充填する。
【0035】
次に、図3(c)に示すように、ガラスセラミックグリーンシート30の表面に上記導体ペースト32をスクリーン印刷等により塗布する。
【0036】
次に、図3(d)に示すように、導体ペースト32が塗布されたガラスセラミックグリーンシート30を、3〜20MPaの圧力と50〜80℃の温度で加熱圧着してグリーンシート積層体33を作製する。このとき、グリーンシート積層体33の最上層となるガラスセラミックグリーンシート30には密着時の加熱時に溶融する溶融成分を含有しているものを用いるのが望ましい。
【0037】
次に、図3(e)に示すように、半導体基板3とグリーンシート積層体33とを、3〜10MPaの圧力と50〜80℃の温度で加熱圧着する。ここで、グリーンシート積層体33の最上層に密着時の熱で溶融する溶融成分を含有している場合、半導体基板3とグリーンシート積層体33とを低圧力でかつ良好に密着できるため、より好ましい。
【0038】
次に、図3(f)に示すように、半導体基板3に加熱圧着されたグリーンシート積層体33を焼成して、複合基板35を形成する。このとき、グリーンシート積層体33の主面方向の収縮が半導体基板3によって抑制されるため、グリーンシート積層体33はZ方向のみに収縮し、主面方向の寸法精度を高精度に保つことができる。
【0039】
次に、図4(a)に示すように、複合基板35の半導体基板3において、絶縁基板9の貫通孔4に露出する表面に、光MEMS2を形成する。なお、ここで、光MEMS2があらかじめ形成された別の基板を、絶縁基板9の貫通孔4に露出する表面に接合してもよい。
【0040】
次に、図4(b)に示すように、例えばガラス基板等の光透過性基板36と複合基板35とをウエハーレベルで接続し、光MEMS2の気密封止を行う。光透過性基板36と複合基板35の接続は封止部材7の封止材の融点を超える300℃〜450℃でかつ、互いの反りを修正するため、数MPa〜数十MPaの圧力を印加してウエハーレベルで接続する。
【0041】
ここで、封止部材7を構成する封止材をAuSn半田あるいはフリットガラスとすることが望ましい。封止部材7はスクリーン印刷法によりペーストを塗布し、リフロー等で溶融させることでそれぞれ形成可能である。
【0042】
その後、図4(b)の破線で示す位置で光透過性基板36を切断し、光透過性基板36の外周部を除去する。これにより、配線基板5の表面Sに設けられた配線導体10の一部である導電パッドが露出する。
【0043】
次に、図4(c)に示すように、光学装置1に対し、適切な治工具を用いて、外部接続端子8として半田ボール付けを行う。
【0044】
本実施の形態による光学装置1によれば、絶縁基板9の内部に設けた配線導体10および外部接続端子8を利用することにより、素子基板3の表面に設けた光MEMS2と外部回路とを電気的に容易に接続することができる。また、光MEMS2と外部回路との間で電気的接続の自由度を高めることができる。結果として、光学装置1の設計自由度をより高めることが可能となる。また、光MEMS2と外部回路との間で電気的接続の自由度を高めることができると同時に、小型の光学装置1を実現できる。
【0045】
なお、上述の説明では、配線基板4の表面Sに外部接続端子8を設けたが、外部回路基板との実装の仕方によって、例えば配線基板4の側面に、配線導体10と電気的に接続されるように外部接続端子8を接続してもよい。また、外部接続端8は、半田ボールに限定されるものではなく、各種ピン付けによるものであっても、リード線によるものであっても構わない。
【0046】
また、配線基板5とガラス基板6とを封止部材7によって接続するとともに、素子基板3と配線基板5とを接続することから、光MEMS2を気密に封止することができる。特に、ガラスセラミックスからなる絶縁基板9は、素子基板3である半導体基板に接続された状態で一体焼成されることから、2つの基板3,9の密着を良好に保つことができ、光学装置1の気密性を高めることができる。
【0047】
また、本実施の形態による光学装置1によれば、封止部材7による光MEMS2の封止を、光MEMS2の周囲ではなく、光MEMS2から離れた位置、具体的には、光MEMS2の周囲に位置する配線基板2と光透過性基板36との間で行うことから、光MEMS2を封止部材7によって封止する際に加熱等を行うことによって、光MEMS2に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0048】
なお、上述の製造方法において、半導体基板3を加工する際に、光MEMS2の稼動部と半導体基板3とを切り離さない状態でとどめ、次にグリーンシート積層体と半導体基板とを密着させて焼成し、その焼成後、光MEMS2の稼動部の固定部を除去することも可能である。
【0049】
また、上述の製造方法において、半導体基板3とグリーンシート積層体33とを焼成した後で半導体基板3の表面を加工したが、光学素子の種類に応じて、半導体基板3の表面に光学素子を配置した後に、グリーンシート積層体33と半導体基板3を密着させて、その後焼成してもよい。
【0050】
次に、1つの基板に複数の光学装置1を作り込み、この基板を切断することによって個々の光学装置1を得る場合の光学装置1の製造方法について説明する。図5(a)〜図5(f)は、図3(a)〜図3(f)に対応し、同一の構成には、同一の符号を付している。ここでは、主として、図3(a)〜図3(f)と異なる点について説明する。すなわち、図3(a)〜図3(f)と同様の点についてはその説明を省略することがある。
【0051】
まず、図5(a)に示すように、ガラスセラミックグリーンシート30を準備する。
【0052】
次に、図5(b)に示すように、図5(a)で作製したガラスセラミックグリーンシート30に、ビア用貫通孔として利用される、または光MEMS2を収容する貫通孔4を構成するために利用される貫通孔31を形成する。そして、導体ペースト32を、スクリーン印刷等の手法を用いてビア用貫通孔に充填する。
【0053】
次に、図5(c)に示すように、ガラスセラミックグリーンシート30の表面に上記導体ペースト32を塗布する。
【0054】
次に、図5(d)に示すように、導体ペースト32が塗布されたガラスセラミックグリーンシート30を、3〜20MPaの圧力と50〜80℃の温度で加熱圧着してグリーンシート積層体43を作製する。
【0055】
次に、図5(e)に示すように、半導体基板3とグリーンシート積層体43とを3〜10MPaの圧力と50〜80℃の温度の条件下で加熱圧着して、半導体基板3とグリーンシート積層体43とを加熱圧着する。
【0056】
次に、図5(f)に示すように、半導体基板3に加熱圧着されたグリーンシート積層体43を焼成することにより複合母基板44を作製する。
【0057】
次に、図6(a)に示すように、複合母基板44の半導体基板3において、配線基板5の貫通孔4に露出する表面に、光学素子として光MEMS2を形成する。
【0058】
次に、図6(b)に示すように、複合母基板44と光透過性基板45とをウエハーレベルで接続することにより、複数の光MEMS2の気密封止を一括して行う。複合母基板44と半導体母基板45との接続は、封止部材5を構成する封止材の融点を超える300℃〜450℃で、かつ互いの反りを修正するために数MPa〜数十MPaの圧力を印加してウエハーレベルで接続する。
【0059】
次に、図6(b)の破線に示すように、複合母基板44と光透過性基板45とをダイシング等で個片化することにより複数の光学装置1を形成することができる。ここで、配線基板4の表面において、外部接続端子8が接続される第3領域A3の半導体基板3からの距離H3が、第2領域A2の半導体基板3からの距離H2に対して0.1mm以上低くなるように段差が設けられていることが望ましい。第3領域H3が0.1mm以上低くなっていることから、ダイシングによる個片化工程において、ダイシング刃によって第3領域A3に傷がつくことを抑制できる。
【0060】
次に図6(c)に示すように、配線基板4の表面の外周部に、適切な治工具を用いて、外部接続端子8として半田ボール付けを行う。
【0061】
上述の光MEMS2の例としては、微細な鏡面体を静電気力により傾けて反射方向を制御するマイクロミラーデバイス、または微小の回折素子の動きを利用して回折方向を制御するグレーティングライトバルブ素子などがある。
【0062】
なお、上述の説明では、光学素子の例として、基板の表面にマイクロマシニング技術を用いて形成された光MEMSを挙げたが、基板に別体で設けられた光学素子であってもよい。
【0063】
また、素子基板3が、光透過性基板11を透過する特定の光に対して透過性を有する場合に、光学素子2が、例えば光変調素子であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態による光学装置の構成例を示す平面透視図であり、(b)は、(a)のA−A線における断面図である。
【図2】(a)は、本発明の実施の形態による光学装置の構成例を示す平面透視図であり、(b)は、配線基板の表面Sにおける領域A1〜A3を示す図である。
【図3】図1の光学装置の製造方法を説明するための図である。
【図4】図1の光学装置の製造方法を説明するための図である。
【図5】図1の光学装置の別の製造方法を説明するための図である。
【図6】図1の光学装置の別の製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0065】
1 光学装置
2 光MEMS
3 素子基板
4 貫通孔
5 配線基板
6 透光性部材
7 封止部材
8 外部接続端子
9 絶縁基板
10 配線導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に光学素子が設けられた素子基板と、
前記素子基板の前記光学素子が設けられた表面に接続され、前記光学素子に対応する位置に貫通孔を有する配線基板と、
前記貫通孔を覆うように前記配線基板に接続された光透過性部材と
を有する光学装置。
【請求項2】
前記配線基板の前記光透過性部材が接続される表面に、前記配線基板に電気的に接続された外部接続端子を有する請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記配線基板と前記光透過性部材とを接続するとともに、前記光学素子を封止する封止部材を有する請求項1または請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記配線基板は、絶縁層が積層されてなる積層体と、前記積層体の内部に設けられた配線導体とを有する請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学装置。
【請求項5】
複数のガラスセラミックグリーンシートを準備する工程と、
前記複数のガラスセラミックグリーンシートに穴部を形成する工程と、
少なくとも1つの前記ガラスセラミックグリーンシートに焼成後配線導体となる導体部を形成する工程と、
前記複数のガラスセラミックグリーンシートを積層して、貫通孔を有するグリーンシート積層体を形成する工程と、
半導体基板と前記グリーンシート積層体とを密着させる工程と、
前記グリーンシート積層体を焼成して複合基板を形成する工程と、
前記貫通孔に露出した半導体基板の表面に光学素子を形成する工程と、
光透過性部材を準備する工程と、
前記光学素子と前記光透過性部材とを対向させて、前記複合基板と前記光透過性部材とを接続する工程と
を有する光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−151297(P2009−151297A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305984(P2008−305984)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】