光走査装置用の走査光学系及び光走査装置
【課題】走査光学系の配置誤差及び形状誤差などに伴う被走査面上での走査線曲がりの敏感度を低減して、高画質な画像が得られ、更には色ずれのない良好なるカラー画像が得られる光走査装置及び走査光学系を提供する。
【解決手段】サグ量の変化量Δzの最大値Δz(max)が(1)式の上限未満であれば、走査結像レンズの誤差感度を抑えることができるから、レンズに偏心等が生じた場合でも、走査線湾曲等が生じにくく、特にカラー画像を形成する場合の色ズレが生じにくい走査光学系を提供できる。
0≦Δz(max)/L<0.1 (1)
【解決手段】サグ量の変化量Δzの最大値Δz(max)が(1)式の上限未満であれば、走査結像レンズの誤差感度を抑えることができるから、レンズに偏心等が生じた場合でも、走査線湾曲等が生じにくく、特にカラー画像を形成する場合の色ズレが生じにくい走査光学系を提供できる。
0≦Δz(max)/L<0.1 (1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビームプリンタ、レーザファクシミリ等の光走査装置に好適な走査光学系及び光走査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル複写機やレーザビームプリンタ等、ポリゴンミラーなどの偏向光学素子を用いた走査光学系を有する光走査装置に要求される性能としては、θ特性やピッチムラ改善、像面湾曲などの諸収差の補正などが挙げられる。特に近年では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に対応して四つの感光体を並置し、各感光体上に形成された各色の画像を中間転写ベルトなどに転写して合成するタンデム方式の光走査装置が主流となっているが、このような方式では、各感光体に対応した光走査装置の走査線に湾曲及び歪曲が発生していると4色間での走査線の形状が異なり、転写体上での画像において色ずれが生じるため著しい画像性能の劣化を招くという問題点がある。このような問題を解消すべく、特許文献1に示す技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4378081号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より具体的には、特許文献1においては、第1、第2の走査レンズ6、7の中心肉厚d1、d3をそれぞれ極力小さくして、傾き偏心による走査線曲がりの敏感度を低減させている。しかしながら、本発明者の検討結果によれば、このような走査レンズの特徴的な形状だけでは、像高周辺部での走査線曲がりを有効に抑制できないことが判明した。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、走査光学系の配置誤差及び形状誤差などに伴う被走査面上での走査線曲がりの敏感度を低減して、高画質な画像が得られ、更には色ずれのない良好なるカラー画像が得られる光走査装置及び走査光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の走査光学系は、光源から出射した光束を偏向器の偏向反射面上に導光する入射光学系と、前記偏向反射面から反射された光束を被走査面上に導光する走査光学系と、を有する光走査装置用の走査光学系において、
前記偏向反射面から反射された光束を結像させる走査結像レンズの光軸をz軸、主走査方向をx軸、副走査方向をy軸としたとき、主走査断面内において、前記走査結像レンズにおける前記光束の入射する面における、主走査方向のレンズ有効径L(mm)内における、面頂点のz座標に対する周辺部のサグ量の変化量Δzの最大値をΔz(max)(mm)としたときに、以下の式を満たすことを特徴とする。
0≦Δz(max)/L<0.1 (1)
【0007】
本発明の原理を、図面を参照して説明する。図1(a)は、走査結像レンズの光軸(主走査光軸ともいう)をz軸、主走査方向をx軸、副走査方向をy軸としたとき、走査結像レンズにおける光束の入射する面における主走査方向断面を示す図である。図1(b)は、像側の走査結像レンズを拡大して示す図である。ここでは、走査結像レンズを2枚レンズとして示すが、これに限られない。
【0008】
図1において、光源LDから出射された光束Bは、入射光学系IOSを通過し、偏向器PMの偏向反射面で反射され、走査結像レンズである第1レンズL1,第2レンズL2を通過して、被走査面DP上に結像するようになっている。偏向器PMを回転させることにより、偏向反射面が傾くことで、光束Bは、少なくとも主走査方向のレンズ有効径Lの範囲で主走査方向に走査されるようになっている。ここで、主走査方向断面において、第2レンズL2の入射面における面頂点のz座標に対する周辺部のサグ量の変化量をΔzとする(図1(b)参照)。又、像高−105mm地点に結像する光束の主光線が通過するレンズの偏向器側面(光線入射側面)のうち主走査断面における主走査光軸からの高さをレンズ有効径Lとする。但し、像高のマイナスとは光源側を指す(図1(a)参照)。
【0009】
本発明者は、鋭意研究の結果、周辺部におけるサグ量の変化量が像高周辺部での走査線曲がりに影響を与えることを見出した。つまり、サグ量の変化量Δzの最大値Δz(max)が(1)式の上限未満であれば、走査結像レンズの誤差感度を抑えることができるから、レンズに偏心等が生じた場合でも、走査線湾曲等が生じにくく、特にカラー画像を形成する場合の色ズレが生じにくい走査光学系を提供できるのである。なお、変化量Δz及びΔz(max)はレンズの中心に対する周辺のサグ量の変化量なので、光軸の符号によらず常に正の値とする。
【0010】
請求項2に記載の走査光学系は、請求項1に記載の発明において、前記走査結像レンズは2枚のレンズから構成され、前記偏向器側から順に第1レンズ、第2レンズとすると、前記第2レンズの偏向器側の入射面が(1)式を満たすことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、最も偏心が生じやすい前記第2レンズにおける偏向器側の面が(1)式を満たすことで、走査光学系全体で見たときに走査線曲がりの小さい走査光学系を提供できる。
【0012】
請求項3に記載の走査光学系は、請求項2に記載の発明において、前記第2レンズは、副走査方向の曲率半径が主走査方向に連続的に変化する面形状を有し、その変化は光軸に対して非対称であることを特徴とする。
【0013】
図1(b)を参照して、第2レンズL2の光軸から等距離にある断面形状をとったとき、A−A断面と、B−B断面とは異なっている。本発明によれば、副走査方向の曲率半径が偏向光学素子通過後の走査光学系の光軸に対して非対称で且つ、主走査面内において光軸からの距離により連続的に異なる曲率半径をとるようにすることで、(1)式を満たすような主走査断面内でサグ量の変化が小さい走査光学系でも良好な性能を得ることができる。
【0014】
請求項4に記載の走査光学系は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、以下の式を満たすことを特徴とする。
0(mm)<Δz(max)≦6(mm) (2)
【0015】
Δz(max)が、(2)式の上限以下であれば、走査線曲がりに影響を与える第2レンズの誤差感度を良好に低減することができる。尚、Δz(max)が0であると、この面を収差補正に用いることが困難になるから、Δz(max)は0を上回ることが望ましい。
【0016】
請求項5に記載の走査光学系は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、副走査方向の倍率をmとしたとき、以下の式を満たすことを特徴とする。
Δz(max)・(m+1)/L≦0.2 (3)
【0017】
(3)式の値が上限以下であれば、走査線曲がりに影響を与える第2レンズの誤差感度を良好に低減することができる。
【0018】
請求項6に記載の走査光学系は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記レンズ有効径Lは、前記偏向器の走査による光最大走査幅W(mm)に到達する光束が通過する前記走査結像レンズの主走査面内の最大値であり、以下の式を満たすことを特徴とする。
45(mm)≦L≦80(mm) (4)
【0019】
(4)式はレンズ有効径Lの好適な範囲を規定している。レンズ有効径Lが上限を上回るとレンズが大きくなり、コストが高くなる傾向がある。一方、レンズ有効径Lが下限を下回ると良好な性能を得ることが難しくなる傾向がある。よって、(4)式を満たすことが望ましい。これは、例えばA4版に画像を形成するプリンタなどの走査光学系に好適である。
【0020】
請求項7に記載の走査光学系は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記偏向器の走査による光最大走査幅をW(mm)、その時の最大画角をθ(rad)とすると、以下の式を満たすことを特徴とする。
2≦W・Δz(max)/(θ・L)≦17 (5)
【0021】
(5)式は、最大画角θと関係で、Δz(max)の有効な範囲を規定する。(5)式を満たすことで、走査線曲がりに影響を与える第2レンズの誤差感度を良好に低減することができる。
【0022】
請求項8に記載の光走査装置は、請求項1〜7のいずれかに記載の走査光学系を有することを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の光走査装置は、副走査方向に配置された複数の光源と、入射光学系と、共通の偏向器と、請求項2〜7のいずれかに記載の走査光学系であって共通に用いる第1レンズ及び複数の第2レンズとを有し、前記光源から出射されたそれぞれの光束は、共通の前記偏向器と、共通の前記第1レンズを通過し、それぞれの光束に対応した前記第2レンズを通過した後に前記被走査面に結像されることを特徴とする。
【0024】
複数の光源から出射されたそれぞれの光束を、共通の偏向器と、共通の第1レンズを通過するようにすれば、部品点数を減らすことが出来且つ、特に高速でカラー画像形成を行うことが可能となる。
【0025】
請求項10に記載の光走査装置は、請求項9に記載の発明において、前記光走査装置は、カラー画像を形成するようになっており、マゼンタ系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束と、シアン系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束は、ペアになって共通の入射光学系を通ることは無く、被結像面において走査線歪曲の形状が同一となるように、工夫されたことを特徴とする。
【0026】
本発明の原理を、図面を参照して説明する。図2は、光走査装置の一部を示す図であり、走査光学系の副走査方向断面図である。例えば、4つの光源(不図示)から出射された光束は、共通の偏向器の偏向反射面で反射され、2本の光束BY,BMは、第1レンズL11を通過し、それぞれ第2レンズL21,L22を通過して、被走査面DP上に結像するようになっており、別の2本の光束BK、BCは、第1レンズL12を通過し、それぞれ第2レンズL23,L24を通過して、被走査面DP上に結像するようになっている。ここで、光束BYは、イエロー系の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束であり、光束BMは、マゼンタ系の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束であり、光束BKは、ブラック系の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束であり、光束BCは、シアン系の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束であるとする。
【0027】
しかるに、マゼンタ系の色の画像と、シアン系の色の画像との色ズレは、人間の視覚では明瞭に識別されることが分かっている。一方、このようなタンデム式の光学系においては、いずれの光束も第1レンズの光軸を通過しないという特徴がある。かかる場合、第1レンズの光軸から離れた位置を通過する光束には、走査線歪曲が生じ、例えば図2(b)に示すように、被走査面上で走査線曲がりが生じることとなる。そこで、本発明においては、四色全ての光束が一つの偏向器6の異なる面を用いて180度相反する方向に走査される場合は、マゼンタ系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束BMと、シアン系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束BCは、第1レンズL21,L22をそれぞれ通過する際に、走査結像レンズの副走査方向の光軸AX1,AX2に対して、第1レンズL11,L12の副走査方向で相反する側を通過し、四色全ての光束が同一方向に走査される場合には、マゼンタ系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束BMと、シアン系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束BCは、第1レンズL21,L22をそれぞれ通過する際に、走査結像レンズの副走査方向の光軸AX1,AX2に対して、第1レンズL11,L12の副走査方向で同一の側(図2(a)では下側)を通過することで、走査光学系内にて発生する走査線歪曲による走査線の曲がり形状は、図2(b)に示すように両端が同一方向に曲がるものとなる。即ち、特に目立ちやすいマゼンタとシアンの色については、走査線形状と歪曲方向を揃えることで、結像位置がずれた場合に目立ちやすい色ムラや色にじみを目立たなくすることができるのである。つまり、マゼンタ系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束BMと、シアン系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束BCは、ペアになって共通の入射光学系を通ることは無く、被結像面において走査線歪曲の形状が同一となるように工夫されている。
【0028】
尚、第2レンズの偏向器側の主走査断面の面形状は非球面の非円弧形状であると良い。これにより光学系設計の自由度が向上する。又、偏向器に入射する光線は主走査断面内において収束光であると好ましい。これにより偏向器をコンパクトに出来、主走査断面のパワーを確保できるので、走査結像レンズを小さくできる。更に、第2レンズの像面側の主走査断面の面形状(少なくとも片側面)は非球面の非円弧形状であり、即ち変曲点を持つと好ましい。これにより光学系設計の自由度が向上する。又、第2レンズの像面側の主走査断面の面形状は中心で像面側に凹、周辺で像面側に凸形状を有すると好ましい。更に、第2レンズは主走査断面内の近軸領域において両凹であると好ましい。又、第2レンズの偏向器側の主走査断面の西形状は曲率半径Rを使用しないXY多項式で表現されても良く、これにより光学系設計の自由度が向上する。更に、成形性の観点からは、主走査断面において第2レンズの中心と周辺の肉厚比は1.2倍以内が好ましい。また、第2レンズは図2(a)に示すように、第1レンズL11,L12の光軸AX1,AX2に対して副走査方向(y軸方向)にシフトし、且つx軸(主走査軸)周りにチルトした偏心ポジションを取っていると、収差(走査線歪曲)を抑制できるので好ましい。又、第2レンズの副走査断面の形状は両凸であるとパワーを持たせることが出来、収差補正の点から好ましい。走査結像レンズはプラスチック製であると好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、走査光学系の配置誤差及び形状誤差などに伴う被走査面上での走査線曲がりの敏感度を低減して、高画質な画像が得られ、更には色ずれのない良好なるカラー画像が得られる光走査装置及び走査光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の原理を説明する為の図である。
【図2】本発明の原理を説明する為の図であり、(a)は走査光学系の複走査方向断面図であり、(b)は被走査面を光軸方向に見たときにおける走査線曲がりの概略図である。
【図3】本実施の形態の光走査装置の斜視図である。
【図4】本実施の形態の副走査方向断面図である。
【図5】本実施の形態の主走査方向から見た図である。
【図6】実施例1にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図7】実施例2にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図8】実施例3にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図9】実施例4にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図10】実施例5にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図11】実施例6にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図12】比較例1にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図13】比較例2にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図14】比較例3にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図15】横軸に像高をとり、縦軸にsag量│Δz│をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。
【図16】横軸に第2レンズの主走査光軸からの高さをとり、縦軸にsag量│Δz│をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。実施例に比べ、比較例はsag量│Δz│が大きくなっている。
【図17】第2レンズを副走査方向に0.5mmシフトした状態で、横軸に像高をとり、縦軸に走査線曲がり量をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。
【図18】第2レンズを副走査断面内で0.5deg傾けた状態で、横軸に像高をとり、縦軸に走査線曲がり量をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図3、図4及び図5に、本発明に係る実施の形態である光走査装置を示す。この光走査装置は、タンデム方式の電子写真法による画像形成装置の露光ユニットとして構成され、図3に示すように、四つの感光体ドラム50(50y,50m,50c,50k)上にそれぞれの色の画像を形成するように構成されている。なお、感光体ドラム50上に形成された4色の画像(静電潜像)はトナーにて現像された後、図示しない中間転写ベルト上に1次転写/合成され、記録材上に2次転写される。この種の画像形成プロセスは周知であり、その説明は省略する。尚、本実施の形態は図1,2の構成を含む。
【0032】
図5に示すように、光源は四つのレーザダイオード1(1y,1m,1c,1k)から構成され、入射光学系は、コリメータレンズ2、アパーチャ3、ミラー4、シリンドリカルレンズ5から構成されている。レーザダイオード1から出射した光束B(By,Bm,Bc,Bk)は、入射光学系を介して単一の回転多面鏡(偏向器)6に入射する。即ち、各レーザダイオード1から出射された光束(発散光)Bはコリメータレンズ2により略平行光とされ、アパーチャ3を通過した後、シリンドリカルレンズ5により副走査方向(z軸方向)に回転多面鏡6の二つの反射面上で集光される。2組ずつの光束By,Bmと光束Bc,Bkが、それぞれ回転多面鏡6の異なる面に入射する。同一反射面に入射する光束By,Bmと光束Bc,Bkは、それぞれ主走査方向(x軸方向)には同じ角度・位置であるが、副走査方向には異なる角度で斜入射する。そのため、レーザダイオード1y,1mと1c,1kを互いに直交するように配置し、光束Bm,Bcはミラー4で光路を折り曲げている。
【0033】
図3及び図4に示すように、回転多面鏡6で主走査方向に偏向された各光束を、被走査面である各感光体ドラム50上に結像するための第1走査レンズ12と、該第1走査レンズ12を透過した光束を各感光体ドラム50に導くための複数枚の光路折返しミラー13y,13m,13c,13k,14y,14m,14c,14kと、各光路に個別に配置された第2走査レンズ16(走査結像レンズ:16y,16m,16c,16k)、及び、防塵用のウインドウガラス17が配置されている。回転多面鏡6の後段の光学系を走査光学系と称する。
【0034】
レーザダイオード1からの光束は、光束By,Bmが回転多面鏡6の一の反射面で、光束Bc,Bkが他の反射面で同時に左右両側に偏向され、左右両側において、斜入射角度に応じて上側光束Bm,Bcと下側光束By,Bkに分離され、第1走査レンズ12を透過し、かつ、各種折返しミラーで折り返され、第2走査レンズ16及び各ウインドウガラス17を透過し、各感光体ドラム50上で結像し、回転多面鏡6の回転に応じて主走査方向に走査される。これにより感光体ドラム50の感光面には潜像画像が書き込まれることとなる。
【0035】
また、各感光体ドラム50上における画像の書出し位置を制御するための光束検出光学系は、光束By,Bcを単一の受光センサ24に導くように、光路折り返しミラー21y,21c、光路を合成するハーフミラー22、集光レンズ23で構成されている。そして、回転多面鏡6の異なる角度状態(即ち、異なる時間)で受光センサ24に光束By,Bcが入射するように、入射開角θ(光源から回転多面鏡6への入射光束と走査光学系の光軸との角度)が80°、画角γ(受光センサ24に入射する光束の回転多面鏡6での反射光束と走査光学系の光軸との角度)が48°とされている。
【0036】
以下、本発明の実施の形態に好適な実施例を、比較例と比較して説明する。表1に、各実施例及び比較例に関する共通データを示す。尚、これ以降(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば、2.5×10-3)を、E(例えば、2.5×E−3)を用いて表す場合がある。また、レンズの回転対称非球面又はアナモフィック面については、それぞれ数1式に表に示す係数を代入した数式で規定されるものとする。
【0037】
【表1】
【0038】
【数1】
【0039】
一方、レンズの回転非対称非球面については、それぞれ数2式に表に示す係数を代入した数式で規定されるものとし、この場合、光源側をBi、反光源側をCiとする。
【0040】
【数2】
【0041】
更に、レンズの光学面をXY多項式で表す場合、数3式に表に示す係数を代入した数式で規定されるものとする。
【0042】
【数3】
【0043】
尚、各実施例のレンズデータにおいて、表中、fは走査光学系の焦点距離、D1は偏向器の偏向反射面と第1レンズ入射面間距離、d1は第1レンズの軸上厚、D2は第1レンズ出射面と第2レンズ入射面間距離、d2は第2レンズの軸上厚、D3は第2レンズ出射面と像面間距離である(図1(a)参照)。
【0044】
(実施例1)
図6は、実施例1にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表2A、2Bは、実施例1のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3はXY多項式面であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。
【0045】
【表2A】
【0046】
【表2B】
【0047】
(実施例2)
図7は、実施例2にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表3は、実施例2のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3は副r’を持つアナモフィック面であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。
【0048】
【表3】
【0049】
(実施例3)
図8は、実施例3にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表4は、実施例3のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は回転対称非球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3は回転非対称非球面(左右非対称面)であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。
【0050】
【表4】
【0051】
(実施例4)
図9は、実施例4にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表5は、実施例4のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は回転対称非球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3は回転非対称非球面(左右非対称面)であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。尚、実施例4のみ主走査断面内において収束光を偏向器に入射している。その収束光の自然収束点は光源から506.43829mm地点(披走査面から251.54058mm地点)NA:0.00071である。
【0052】
【表5】
【0053】
(実施例5)
図10は、実施例5にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表6は、実施例5のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は回転対称非球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3は回転非対称非球面(左右非対称面)であり、第2レンズの出射面S4は副r’を持つアナモフィック面である。
【0054】
【表6】
【0055】
(実施例6)
図11は、実施例6にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表7は、実施例6のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は回転対称非球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3は回転非対称非球面(左右非対称面)であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。
【0056】
【表7】
【0057】
(比較例1)
図12は、比較例1にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表8A、8Bは、比較例1のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は回転対称非球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3はXY多項式面であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。
【0058】
【表8A】
【0059】
【表8B】
【0060】
(比較例2)
図13は、比較例2にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表9は、比較例2のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は回転対称非球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3は回転非対称非球面(左右非対称面)であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。
【0061】
【表9】
【0062】
(比較例3)
図14は、比較例3にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表10A、10Bは、比較例3のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は回転対称非球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3はXY多項式面であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。
【0063】
【表10A】
【0064】
【表10B】
【0065】
尚、請求項に記載の式の値について、表11にまとめて示す。
【0066】
【表11】
【0067】
図15は、横軸に像高をとり、縦軸にsag量│Δz│をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。図16は、横軸に主走査光軸からの高さをとり、縦軸にsag量│Δz│をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。いずれの実施例も、比較例よりsag量│Δz│が小さく、6mm以下となっている。
【0068】
図17は、第2レンズを副走査方向に0.5mmシフトした状態で、横軸に像高をとり、縦軸に走査線曲がり量をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。図18は、第2レンズを副走査断面上で0.5deg傾けた状態で、横軸に像高をとり、縦軸に走査線曲がり量をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。比較例に比べ、実施例は走査線曲がり量が良好に抑えられていることがわかる。尚、実施例5は、0.5deg傾けた状態で比較例と走査線曲がり量が同レベルだが、0.5mmシフトした状態では走査線曲がり量がかなり抑えられた仕様である。
【符号の説明】
【0069】
1 レーザダイオード
2 コリメータレンズ
3 アパーチャ
4 ミラー
5 シリンドリカルレンズ
6 回転多面鏡
12 第1走査レンズ
16 第2走査レンズ
17 ウインドウガラス
22 ハーフミラー
23 集光レンズ
24 受光センサ
50 感光体ドラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビームプリンタ、レーザファクシミリ等の光走査装置に好適な走査光学系及び光走査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル複写機やレーザビームプリンタ等、ポリゴンミラーなどの偏向光学素子を用いた走査光学系を有する光走査装置に要求される性能としては、θ特性やピッチムラ改善、像面湾曲などの諸収差の補正などが挙げられる。特に近年では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に対応して四つの感光体を並置し、各感光体上に形成された各色の画像を中間転写ベルトなどに転写して合成するタンデム方式の光走査装置が主流となっているが、このような方式では、各感光体に対応した光走査装置の走査線に湾曲及び歪曲が発生していると4色間での走査線の形状が異なり、転写体上での画像において色ずれが生じるため著しい画像性能の劣化を招くという問題点がある。このような問題を解消すべく、特許文献1に示す技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4378081号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より具体的には、特許文献1においては、第1、第2の走査レンズ6、7の中心肉厚d1、d3をそれぞれ極力小さくして、傾き偏心による走査線曲がりの敏感度を低減させている。しかしながら、本発明者の検討結果によれば、このような走査レンズの特徴的な形状だけでは、像高周辺部での走査線曲がりを有効に抑制できないことが判明した。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、走査光学系の配置誤差及び形状誤差などに伴う被走査面上での走査線曲がりの敏感度を低減して、高画質な画像が得られ、更には色ずれのない良好なるカラー画像が得られる光走査装置及び走査光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の走査光学系は、光源から出射した光束を偏向器の偏向反射面上に導光する入射光学系と、前記偏向反射面から反射された光束を被走査面上に導光する走査光学系と、を有する光走査装置用の走査光学系において、
前記偏向反射面から反射された光束を結像させる走査結像レンズの光軸をz軸、主走査方向をx軸、副走査方向をy軸としたとき、主走査断面内において、前記走査結像レンズにおける前記光束の入射する面における、主走査方向のレンズ有効径L(mm)内における、面頂点のz座標に対する周辺部のサグ量の変化量Δzの最大値をΔz(max)(mm)としたときに、以下の式を満たすことを特徴とする。
0≦Δz(max)/L<0.1 (1)
【0007】
本発明の原理を、図面を参照して説明する。図1(a)は、走査結像レンズの光軸(主走査光軸ともいう)をz軸、主走査方向をx軸、副走査方向をy軸としたとき、走査結像レンズにおける光束の入射する面における主走査方向断面を示す図である。図1(b)は、像側の走査結像レンズを拡大して示す図である。ここでは、走査結像レンズを2枚レンズとして示すが、これに限られない。
【0008】
図1において、光源LDから出射された光束Bは、入射光学系IOSを通過し、偏向器PMの偏向反射面で反射され、走査結像レンズである第1レンズL1,第2レンズL2を通過して、被走査面DP上に結像するようになっている。偏向器PMを回転させることにより、偏向反射面が傾くことで、光束Bは、少なくとも主走査方向のレンズ有効径Lの範囲で主走査方向に走査されるようになっている。ここで、主走査方向断面において、第2レンズL2の入射面における面頂点のz座標に対する周辺部のサグ量の変化量をΔzとする(図1(b)参照)。又、像高−105mm地点に結像する光束の主光線が通過するレンズの偏向器側面(光線入射側面)のうち主走査断面における主走査光軸からの高さをレンズ有効径Lとする。但し、像高のマイナスとは光源側を指す(図1(a)参照)。
【0009】
本発明者は、鋭意研究の結果、周辺部におけるサグ量の変化量が像高周辺部での走査線曲がりに影響を与えることを見出した。つまり、サグ量の変化量Δzの最大値Δz(max)が(1)式の上限未満であれば、走査結像レンズの誤差感度を抑えることができるから、レンズに偏心等が生じた場合でも、走査線湾曲等が生じにくく、特にカラー画像を形成する場合の色ズレが生じにくい走査光学系を提供できるのである。なお、変化量Δz及びΔz(max)はレンズの中心に対する周辺のサグ量の変化量なので、光軸の符号によらず常に正の値とする。
【0010】
請求項2に記載の走査光学系は、請求項1に記載の発明において、前記走査結像レンズは2枚のレンズから構成され、前記偏向器側から順に第1レンズ、第2レンズとすると、前記第2レンズの偏向器側の入射面が(1)式を満たすことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、最も偏心が生じやすい前記第2レンズにおける偏向器側の面が(1)式を満たすことで、走査光学系全体で見たときに走査線曲がりの小さい走査光学系を提供できる。
【0012】
請求項3に記載の走査光学系は、請求項2に記載の発明において、前記第2レンズは、副走査方向の曲率半径が主走査方向に連続的に変化する面形状を有し、その変化は光軸に対して非対称であることを特徴とする。
【0013】
図1(b)を参照して、第2レンズL2の光軸から等距離にある断面形状をとったとき、A−A断面と、B−B断面とは異なっている。本発明によれば、副走査方向の曲率半径が偏向光学素子通過後の走査光学系の光軸に対して非対称で且つ、主走査面内において光軸からの距離により連続的に異なる曲率半径をとるようにすることで、(1)式を満たすような主走査断面内でサグ量の変化が小さい走査光学系でも良好な性能を得ることができる。
【0014】
請求項4に記載の走査光学系は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、以下の式を満たすことを特徴とする。
0(mm)<Δz(max)≦6(mm) (2)
【0015】
Δz(max)が、(2)式の上限以下であれば、走査線曲がりに影響を与える第2レンズの誤差感度を良好に低減することができる。尚、Δz(max)が0であると、この面を収差補正に用いることが困難になるから、Δz(max)は0を上回ることが望ましい。
【0016】
請求項5に記載の走査光学系は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、副走査方向の倍率をmとしたとき、以下の式を満たすことを特徴とする。
Δz(max)・(m+1)/L≦0.2 (3)
【0017】
(3)式の値が上限以下であれば、走査線曲がりに影響を与える第2レンズの誤差感度を良好に低減することができる。
【0018】
請求項6に記載の走査光学系は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記レンズ有効径Lは、前記偏向器の走査による光最大走査幅W(mm)に到達する光束が通過する前記走査結像レンズの主走査面内の最大値であり、以下の式を満たすことを特徴とする。
45(mm)≦L≦80(mm) (4)
【0019】
(4)式はレンズ有効径Lの好適な範囲を規定している。レンズ有効径Lが上限を上回るとレンズが大きくなり、コストが高くなる傾向がある。一方、レンズ有効径Lが下限を下回ると良好な性能を得ることが難しくなる傾向がある。よって、(4)式を満たすことが望ましい。これは、例えばA4版に画像を形成するプリンタなどの走査光学系に好適である。
【0020】
請求項7に記載の走査光学系は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記偏向器の走査による光最大走査幅をW(mm)、その時の最大画角をθ(rad)とすると、以下の式を満たすことを特徴とする。
2≦W・Δz(max)/(θ・L)≦17 (5)
【0021】
(5)式は、最大画角θと関係で、Δz(max)の有効な範囲を規定する。(5)式を満たすことで、走査線曲がりに影響を与える第2レンズの誤差感度を良好に低減することができる。
【0022】
請求項8に記載の光走査装置は、請求項1〜7のいずれかに記載の走査光学系を有することを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の光走査装置は、副走査方向に配置された複数の光源と、入射光学系と、共通の偏向器と、請求項2〜7のいずれかに記載の走査光学系であって共通に用いる第1レンズ及び複数の第2レンズとを有し、前記光源から出射されたそれぞれの光束は、共通の前記偏向器と、共通の前記第1レンズを通過し、それぞれの光束に対応した前記第2レンズを通過した後に前記被走査面に結像されることを特徴とする。
【0024】
複数の光源から出射されたそれぞれの光束を、共通の偏向器と、共通の第1レンズを通過するようにすれば、部品点数を減らすことが出来且つ、特に高速でカラー画像形成を行うことが可能となる。
【0025】
請求項10に記載の光走査装置は、請求項9に記載の発明において、前記光走査装置は、カラー画像を形成するようになっており、マゼンタ系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束と、シアン系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束は、ペアになって共通の入射光学系を通ることは無く、被結像面において走査線歪曲の形状が同一となるように、工夫されたことを特徴とする。
【0026】
本発明の原理を、図面を参照して説明する。図2は、光走査装置の一部を示す図であり、走査光学系の副走査方向断面図である。例えば、4つの光源(不図示)から出射された光束は、共通の偏向器の偏向反射面で反射され、2本の光束BY,BMは、第1レンズL11を通過し、それぞれ第2レンズL21,L22を通過して、被走査面DP上に結像するようになっており、別の2本の光束BK、BCは、第1レンズL12を通過し、それぞれ第2レンズL23,L24を通過して、被走査面DP上に結像するようになっている。ここで、光束BYは、イエロー系の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束であり、光束BMは、マゼンタ系の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束であり、光束BKは、ブラック系の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束であり、光束BCは、シアン系の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束であるとする。
【0027】
しかるに、マゼンタ系の色の画像と、シアン系の色の画像との色ズレは、人間の視覚では明瞭に識別されることが分かっている。一方、このようなタンデム式の光学系においては、いずれの光束も第1レンズの光軸を通過しないという特徴がある。かかる場合、第1レンズの光軸から離れた位置を通過する光束には、走査線歪曲が生じ、例えば図2(b)に示すように、被走査面上で走査線曲がりが生じることとなる。そこで、本発明においては、四色全ての光束が一つの偏向器6の異なる面を用いて180度相反する方向に走査される場合は、マゼンタ系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束BMと、シアン系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束BCは、第1レンズL21,L22をそれぞれ通過する際に、走査結像レンズの副走査方向の光軸AX1,AX2に対して、第1レンズL11,L12の副走査方向で相反する側を通過し、四色全ての光束が同一方向に走査される場合には、マゼンタ系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束BMと、シアン系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束BCは、第1レンズL21,L22をそれぞれ通過する際に、走査結像レンズの副走査方向の光軸AX1,AX2に対して、第1レンズL11,L12の副走査方向で同一の側(図2(a)では下側)を通過することで、走査光学系内にて発生する走査線歪曲による走査線の曲がり形状は、図2(b)に示すように両端が同一方向に曲がるものとなる。即ち、特に目立ちやすいマゼンタとシアンの色については、走査線形状と歪曲方向を揃えることで、結像位置がずれた場合に目立ちやすい色ムラや色にじみを目立たなくすることができるのである。つまり、マゼンタ系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束BMと、シアン系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束BCは、ペアになって共通の入射光学系を通ることは無く、被結像面において走査線歪曲の形状が同一となるように工夫されている。
【0028】
尚、第2レンズの偏向器側の主走査断面の面形状は非球面の非円弧形状であると良い。これにより光学系設計の自由度が向上する。又、偏向器に入射する光線は主走査断面内において収束光であると好ましい。これにより偏向器をコンパクトに出来、主走査断面のパワーを確保できるので、走査結像レンズを小さくできる。更に、第2レンズの像面側の主走査断面の面形状(少なくとも片側面)は非球面の非円弧形状であり、即ち変曲点を持つと好ましい。これにより光学系設計の自由度が向上する。又、第2レンズの像面側の主走査断面の面形状は中心で像面側に凹、周辺で像面側に凸形状を有すると好ましい。更に、第2レンズは主走査断面内の近軸領域において両凹であると好ましい。又、第2レンズの偏向器側の主走査断面の西形状は曲率半径Rを使用しないXY多項式で表現されても良く、これにより光学系設計の自由度が向上する。更に、成形性の観点からは、主走査断面において第2レンズの中心と周辺の肉厚比は1.2倍以内が好ましい。また、第2レンズは図2(a)に示すように、第1レンズL11,L12の光軸AX1,AX2に対して副走査方向(y軸方向)にシフトし、且つx軸(主走査軸)周りにチルトした偏心ポジションを取っていると、収差(走査線歪曲)を抑制できるので好ましい。又、第2レンズの副走査断面の形状は両凸であるとパワーを持たせることが出来、収差補正の点から好ましい。走査結像レンズはプラスチック製であると好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、走査光学系の配置誤差及び形状誤差などに伴う被走査面上での走査線曲がりの敏感度を低減して、高画質な画像が得られ、更には色ずれのない良好なるカラー画像が得られる光走査装置及び走査光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の原理を説明する為の図である。
【図2】本発明の原理を説明する為の図であり、(a)は走査光学系の複走査方向断面図であり、(b)は被走査面を光軸方向に見たときにおける走査線曲がりの概略図である。
【図3】本実施の形態の光走査装置の斜視図である。
【図4】本実施の形態の副走査方向断面図である。
【図5】本実施の形態の主走査方向から見た図である。
【図6】実施例1にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図7】実施例2にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図8】実施例3にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図9】実施例4にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図10】実施例5にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図11】実施例6にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図12】比較例1にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図13】比較例2にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図14】比較例3にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。
【図15】横軸に像高をとり、縦軸にsag量│Δz│をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。
【図16】横軸に第2レンズの主走査光軸からの高さをとり、縦軸にsag量│Δz│をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。実施例に比べ、比較例はsag量│Δz│が大きくなっている。
【図17】第2レンズを副走査方向に0.5mmシフトした状態で、横軸に像高をとり、縦軸に走査線曲がり量をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。
【図18】第2レンズを副走査断面内で0.5deg傾けた状態で、横軸に像高をとり、縦軸に走査線曲がり量をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図3、図4及び図5に、本発明に係る実施の形態である光走査装置を示す。この光走査装置は、タンデム方式の電子写真法による画像形成装置の露光ユニットとして構成され、図3に示すように、四つの感光体ドラム50(50y,50m,50c,50k)上にそれぞれの色の画像を形成するように構成されている。なお、感光体ドラム50上に形成された4色の画像(静電潜像)はトナーにて現像された後、図示しない中間転写ベルト上に1次転写/合成され、記録材上に2次転写される。この種の画像形成プロセスは周知であり、その説明は省略する。尚、本実施の形態は図1,2の構成を含む。
【0032】
図5に示すように、光源は四つのレーザダイオード1(1y,1m,1c,1k)から構成され、入射光学系は、コリメータレンズ2、アパーチャ3、ミラー4、シリンドリカルレンズ5から構成されている。レーザダイオード1から出射した光束B(By,Bm,Bc,Bk)は、入射光学系を介して単一の回転多面鏡(偏向器)6に入射する。即ち、各レーザダイオード1から出射された光束(発散光)Bはコリメータレンズ2により略平行光とされ、アパーチャ3を通過した後、シリンドリカルレンズ5により副走査方向(z軸方向)に回転多面鏡6の二つの反射面上で集光される。2組ずつの光束By,Bmと光束Bc,Bkが、それぞれ回転多面鏡6の異なる面に入射する。同一反射面に入射する光束By,Bmと光束Bc,Bkは、それぞれ主走査方向(x軸方向)には同じ角度・位置であるが、副走査方向には異なる角度で斜入射する。そのため、レーザダイオード1y,1mと1c,1kを互いに直交するように配置し、光束Bm,Bcはミラー4で光路を折り曲げている。
【0033】
図3及び図4に示すように、回転多面鏡6で主走査方向に偏向された各光束を、被走査面である各感光体ドラム50上に結像するための第1走査レンズ12と、該第1走査レンズ12を透過した光束を各感光体ドラム50に導くための複数枚の光路折返しミラー13y,13m,13c,13k,14y,14m,14c,14kと、各光路に個別に配置された第2走査レンズ16(走査結像レンズ:16y,16m,16c,16k)、及び、防塵用のウインドウガラス17が配置されている。回転多面鏡6の後段の光学系を走査光学系と称する。
【0034】
レーザダイオード1からの光束は、光束By,Bmが回転多面鏡6の一の反射面で、光束Bc,Bkが他の反射面で同時に左右両側に偏向され、左右両側において、斜入射角度に応じて上側光束Bm,Bcと下側光束By,Bkに分離され、第1走査レンズ12を透過し、かつ、各種折返しミラーで折り返され、第2走査レンズ16及び各ウインドウガラス17を透過し、各感光体ドラム50上で結像し、回転多面鏡6の回転に応じて主走査方向に走査される。これにより感光体ドラム50の感光面には潜像画像が書き込まれることとなる。
【0035】
また、各感光体ドラム50上における画像の書出し位置を制御するための光束検出光学系は、光束By,Bcを単一の受光センサ24に導くように、光路折り返しミラー21y,21c、光路を合成するハーフミラー22、集光レンズ23で構成されている。そして、回転多面鏡6の異なる角度状態(即ち、異なる時間)で受光センサ24に光束By,Bcが入射するように、入射開角θ(光源から回転多面鏡6への入射光束と走査光学系の光軸との角度)が80°、画角γ(受光センサ24に入射する光束の回転多面鏡6での反射光束と走査光学系の光軸との角度)が48°とされている。
【0036】
以下、本発明の実施の形態に好適な実施例を、比較例と比較して説明する。表1に、各実施例及び比較例に関する共通データを示す。尚、これ以降(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば、2.5×10-3)を、E(例えば、2.5×E−3)を用いて表す場合がある。また、レンズの回転対称非球面又はアナモフィック面については、それぞれ数1式に表に示す係数を代入した数式で規定されるものとする。
【0037】
【表1】
【0038】
【数1】
【0039】
一方、レンズの回転非対称非球面については、それぞれ数2式に表に示す係数を代入した数式で規定されるものとし、この場合、光源側をBi、反光源側をCiとする。
【0040】
【数2】
【0041】
更に、レンズの光学面をXY多項式で表す場合、数3式に表に示す係数を代入した数式で規定されるものとする。
【0042】
【数3】
【0043】
尚、各実施例のレンズデータにおいて、表中、fは走査光学系の焦点距離、D1は偏向器の偏向反射面と第1レンズ入射面間距離、d1は第1レンズの軸上厚、D2は第1レンズ出射面と第2レンズ入射面間距離、d2は第2レンズの軸上厚、D3は第2レンズ出射面と像面間距離である(図1(a)参照)。
【0044】
(実施例1)
図6は、実施例1にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表2A、2Bは、実施例1のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3はXY多項式面であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。
【0045】
【表2A】
【0046】
【表2B】
【0047】
(実施例2)
図7は、実施例2にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表3は、実施例2のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3は副r’を持つアナモフィック面であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。
【0048】
【表3】
【0049】
(実施例3)
図8は、実施例3にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表4は、実施例3のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は回転対称非球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3は回転非対称非球面(左右非対称面)であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。
【0050】
【表4】
【0051】
(実施例4)
図9は、実施例4にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表5は、実施例4のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は回転対称非球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3は回転非対称非球面(左右非対称面)であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。尚、実施例4のみ主走査断面内において収束光を偏向器に入射している。その収束光の自然収束点は光源から506.43829mm地点(披走査面から251.54058mm地点)NA:0.00071である。
【0052】
【表5】
【0053】
(実施例5)
図10は、実施例5にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表6は、実施例5のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は回転対称非球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3は回転非対称非球面(左右非対称面)であり、第2レンズの出射面S4は副r’を持つアナモフィック面である。
【0054】
【表6】
【0055】
(実施例6)
図11は、実施例6にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表7は、実施例6のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は回転対称非球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3は回転非対称非球面(左右非対称面)であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。
【0056】
【表7】
【0057】
(比較例1)
図12は、比較例1にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表8A、8Bは、比較例1のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は回転対称非球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3はXY多項式面であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。
【0058】
【表8A】
【0059】
【表8B】
【0060】
(比較例2)
図13は、比較例2にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表9は、比較例2のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は回転対称非球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3は回転非対称非球面(左右非対称面)であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。
【0061】
【表9】
【0062】
(比較例3)
図14は、比較例3にかかる走査光学系の主走査方向断面(zx断面)図である。表10A、10Bは、比較例3のレンズデータである。第1レンズの入射面S1は回転対称非球面であり、第1レンズの出射面S2は回転対称非球面であり、第2レンズの入射面S3はXY多項式面であり、第2レンズの出射面S4は回転対称非球面である。
【0063】
【表10A】
【0064】
【表10B】
【0065】
尚、請求項に記載の式の値について、表11にまとめて示す。
【0066】
【表11】
【0067】
図15は、横軸に像高をとり、縦軸にsag量│Δz│をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。図16は、横軸に主走査光軸からの高さをとり、縦軸にsag量│Δz│をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。いずれの実施例も、比較例よりsag量│Δz│が小さく、6mm以下となっている。
【0068】
図17は、第2レンズを副走査方向に0.5mmシフトした状態で、横軸に像高をとり、縦軸に走査線曲がり量をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。図18は、第2レンズを副走査断面上で0.5deg傾けた状態で、横軸に像高をとり、縦軸に走査線曲がり量をとって、各実施例と比較例とを比較して示す図である。比較例に比べ、実施例は走査線曲がり量が良好に抑えられていることがわかる。尚、実施例5は、0.5deg傾けた状態で比較例と走査線曲がり量が同レベルだが、0.5mmシフトした状態では走査線曲がり量がかなり抑えられた仕様である。
【符号の説明】
【0069】
1 レーザダイオード
2 コリメータレンズ
3 アパーチャ
4 ミラー
5 シリンドリカルレンズ
6 回転多面鏡
12 第1走査レンズ
16 第2走査レンズ
17 ウインドウガラス
22 ハーフミラー
23 集光レンズ
24 受光センサ
50 感光体ドラム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射した光束を偏向器の偏向反射面上に導光する入射光学系と、前記偏向反射面から反射された光束を被走査面上に導光する走査光学系と、を有する光走査装置用の走査光学系において、
前記偏向反射面から反射された光束を結像させる走査結像レンズの光軸をz軸、主走査方向をx軸、副走査方向をy軸としたとき、主走査断面内において、前記走査結像レンズにおける前記光束の入射する面における、主走査方向のレンズ有効径L(mm)内における、面頂点のz座標に対する周辺部のサグ量の変化量Δzの最大値をΔz(max)(mm)としたときに、以下の式を満たすことを特徴とする走査光学系。
0≦Δz(max)/L<0.1 (1)
【請求項2】
前記走査結像レンズは2枚のレンズから構成され、前記偏向器側から順に第1レンズ、第2レンズとすると、前記第2レンズの偏向器側の入射面が(1)式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の走査光学系。
【請求項3】
前記第2レンズは、副走査方向の曲率半径が主走査方向に連続的に変化する面形状を有し、その変化は光軸に対して非対称であることを特徴とする請求項2に記載の走査光学系。
【請求項4】
以下の式を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の走査光学系。
0(mm)<Δz(max)≦6(mm) (2)
【請求項5】
副走査方向の倍率をmとしたとき、以下の式を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の走査光学系。
Δz(max)・(m+1)/L≦0.2 (3)
【請求項6】
前記レンズ有効径Lは、前記偏向器の走査による光最大走査幅W(mm)に到達する光束が通過する前記走査結像レンズの主走査面内の最大値であり、以下の式を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の走査光学系。
45(mm)≦L≦80(mm) (4)
【請求項7】
前記偏向器の走査による光最大走査幅をW(mm)、その時の最大画角をθ(rad)とすると、以下の式を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の走査光学系。
2≦W・Δz(max)/(θ・L)≦17 (5)
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の走査光学系を有することを特徴とする光走査装置。
【請求項9】
副走査方向に配置された複数の光源と、入射光学系と、共通の偏向器と、請求項2〜7のいずれかに記載の走査光学系であって共通に用いる第1レンズ及び複数の第2レンズとを有し、前記光源から出射されたそれぞれの光束は、共通の前記偏向器と、共通の前記第1レンズを通過し、それぞれの光束に対応した前記第2レンズを通過した後に前記被走査面に結像されることを特徴とする光走査装置。
【請求項10】
前記光走査装置は、カラー画像を形成するようになっており、マゼンタ系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束と、シアン系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束は、ペアになって共通の入射光学系を通ることは無く、被結像面において走査線歪曲の形状が同一となるように、工夫されたことを特徴とする請求項9に記載の光走査装置。
【請求項1】
光源から出射した光束を偏向器の偏向反射面上に導光する入射光学系と、前記偏向反射面から反射された光束を被走査面上に導光する走査光学系と、を有する光走査装置用の走査光学系において、
前記偏向反射面から反射された光束を結像させる走査結像レンズの光軸をz軸、主走査方向をx軸、副走査方向をy軸としたとき、主走査断面内において、前記走査結像レンズにおける前記光束の入射する面における、主走査方向のレンズ有効径L(mm)内における、面頂点のz座標に対する周辺部のサグ量の変化量Δzの最大値をΔz(max)(mm)としたときに、以下の式を満たすことを特徴とする走査光学系。
0≦Δz(max)/L<0.1 (1)
【請求項2】
前記走査結像レンズは2枚のレンズから構成され、前記偏向器側から順に第1レンズ、第2レンズとすると、前記第2レンズの偏向器側の入射面が(1)式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の走査光学系。
【請求項3】
前記第2レンズは、副走査方向の曲率半径が主走査方向に連続的に変化する面形状を有し、その変化は光軸に対して非対称であることを特徴とする請求項2に記載の走査光学系。
【請求項4】
以下の式を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の走査光学系。
0(mm)<Δz(max)≦6(mm) (2)
【請求項5】
副走査方向の倍率をmとしたとき、以下の式を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の走査光学系。
Δz(max)・(m+1)/L≦0.2 (3)
【請求項6】
前記レンズ有効径Lは、前記偏向器の走査による光最大走査幅W(mm)に到達する光束が通過する前記走査結像レンズの主走査面内の最大値であり、以下の式を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の走査光学系。
45(mm)≦L≦80(mm) (4)
【請求項7】
前記偏向器の走査による光最大走査幅をW(mm)、その時の最大画角をθ(rad)とすると、以下の式を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の走査光学系。
2≦W・Δz(max)/(θ・L)≦17 (5)
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の走査光学系を有することを特徴とする光走査装置。
【請求項9】
副走査方向に配置された複数の光源と、入射光学系と、共通の偏向器と、請求項2〜7のいずれかに記載の走査光学系であって共通に用いる第1レンズ及び複数の第2レンズとを有し、前記光源から出射されたそれぞれの光束は、共通の前記偏向器と、共通の前記第1レンズを通過し、それぞれの光束に対応した前記第2レンズを通過した後に前記被走査面に結像されることを特徴とする光走査装置。
【請求項10】
前記光走査装置は、カラー画像を形成するようになっており、マゼンタ系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束と、シアン系の色の原稿画像信号に対応した光源から出射された光束は、ペアになって共通の入射光学系を通ることは無く、被結像面において走査線歪曲の形状が同一となるように、工夫されたことを特徴とする請求項9に記載の光走査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−141375(P2012−141375A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292703(P2010−292703)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
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