説明

光電変換装置および撮像システム

【課題】 良好な性能を有する光電変換装置を提供する
【解決手段】 光電変換部110を覆うとともに、転送ゲート120の転送ゲート電極121の光電変換部110側の側面に沿って延在して転送ゲート電極121の上面1210を覆う第1保護膜220を備え、第1保護膜220と光電変換部110との間に、第1保護膜220の屈折率及び光電変換部110の屈折率よりも低い屈折率を有し、第1保護膜220と界面を成す第1領域11が設けられ、第1保護膜220と転送ゲート電極121の上面1210との間に、転送ゲート電極121の屈折率及び第1保護膜220の屈折率よりも低い屈折率を有し、第1保護膜220と界面を成す第2領域22が設けられており、第1領域11の光学膜厚をT、第2領域22の光学膜厚をT、光電変換部110へ入射する光の波長をλとして、T<T<λ/2−Tを満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換部から信号生成部へ信号電荷を転送する転送ゲートを備える光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSセンサなどの光電変換装置として、光電変換部で生じた信号電荷を、当該信号電荷に基づく電気信号を生成する信号生成部へ転送する、転送ゲートを有するものが知られている。
【0003】
特許文献1の図7には、光電変換部である拡散層(14)の上に酸化シリコンからなる所定の厚さの絶縁層(29)と窒化シリコンからなる所定の厚さの絶縁層(59)を設けて、拡散層14への入射光の反射を低減することが開示されている。この絶縁層(29)と絶縁層(59)とが、拡散層(14)の近傍に位置する転送ゲートのポリシリコンゲート電極(12)の上に延在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−111022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリシリコンは、光電変換部を構成するシリコンと同程度の屈折率を有する。よって、特許文献1では、ポリシリコンゲート電極(12)への入射光の反射が低減されてしてしまうと考えられる。このように、転送ゲートのゲート電極に不要な光が入射すると、良好な転送動作が行えなかったり、転送チャネルで電荷が生じたりするといった問題が生じ、光電変換装置の性能が低下する。
【0006】
そこで本発明は、良好な性能を有する光電変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の第1は、半導体基板に設けられた光電変換部と、前記光電変換部で生じた信号電荷に基づく電気信号を生成する信号生成部と、前記信号電荷を前記光電変換部から前記信号生成部へ転送する転送ゲートと、を備える光電変換装置であって、前記光電変換部を覆うとともに、前記転送ゲートのゲート電極の上面を覆う連続膜を備え、前記連続膜と前記光電変換部との間に、前記連続膜の屈折率及び前記光電変換部の屈折率よりも低い屈折率を有し、前記連続膜と界面を成す第1領域が設けられ、前記連続膜と前記ゲート電極の前記上面との間に、前記ゲート電極の屈折率及び前記連続膜の屈折率よりも低い屈折率を有し、前記連続膜と界面を成す第2領域が設けられており、前記第1領域の光学膜厚をT、前記第2領域の光学膜厚をT、前記光電変換部へ入射する光の波長をλとして、T<T<λ/2−Tを満たすことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の第2は、シリコン基板に設けられた光電変換部と、前記光電変換部で生じた信号電荷に基づく電気信号を生成する信号生成部と、前記信号電荷を前記光電変換部から前記信号生成部へ転送する転送ゲートと、を備える光電変換装置であって、前記光電変換部を覆うとともに、ポリシリコンからなる前記転送ゲートのゲート電極の上面を覆う、窒化シリコン膜を備え、前記窒化シリコン膜の前記光電変換部を覆う部分と前記光電変換部との間に、酸化シリコンおよび酸窒化シリコンの少なくとも一方からなり、前記窒化シリコン膜と界面を成す第1領域が設けられ、前記窒化シリコン膜と前記ゲート電極の前記上面との間に、酸化シリコンおよび酸窒化シリコンの少なくとも一方からなる、前記窒化シリコン膜と界面を成す第2領域が設けられており、前記光電変換部へ入射する光の波長が400nm以上800nm以下であって、前記第1領域の物理膜厚をD、前記第2領域の物理膜厚をDとして、D≦28nm、および、D<D<167nmを満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、良好な性能を有する光電変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)光電変換装置の一例を説明するための平面模式図、(b)光電変換ユニットの等価回路の一例を説明するための模式図。
【図2】光電変換領域および周辺回路領域の一例を説明するための平面模式図
【図3】(a)光電変換装置の一例を説明するための断面模式図、(b)光電変換装置の一例を説明するための断面模式図。
【図4】転送ゲートの近傍を拡大して説明するための断面模式図。
【図5】(a)第2実施形態の転送ゲートの近傍を説明するための断面模式図、(b)第3実施形態の転送ゲートの近傍を説明するための断面模式図、(c)第4実施形態の転送ゲートの近傍を説明するための断面模式図、(d)第5実施形態の転送ゲートの近傍を説明するための断面模式図。
【図6】(a)第5実施形態の光電変換ユニットの一例を説明する断面模式図、(b)第6実施形態の光電変換ユニットの一例を説明する断面模式図。
【図7】(a)第1〜5実施形態の光電変換ユニットを有する光電変換装置の一例を説明する断面模式図、(b)第6実施形態の光電変換ユニットを有する光電変換装置の一例を説明する断面模式図。
【図8】物理膜厚と透過率との関係を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、図1を用いて、光電変換装置100の一例を説明する。なお、図1以降の図面について、共通の部材には同一の符号をつけて、説明を省略する。光電変換装置100には、図1(a)において一点鎖線で囲まれた光電変換領域101が設けられており、光電変換領域101には、複数の光電変換ユニット102が配列されている。図1(a)では複数の光電変換ユニット102を2次元状に配列したエリアセンサの例を示すが、複数の光電変換ユニット102を1次元状に配列したリニアセンサとしてもよい。
【0012】
図1(b)に示すように、光電変換ユニット102は、光電変換部110と、光電変換部110で生じた信号電荷に基づく電気信号を生成する信号生成部130と、信号電荷を光電変換部110から信号生成部130へ転送する転送ゲート120とを備える。本例の信号生成部130は、キャパシタ131と、キャパシタ131に接続されたゲートを有する増幅トランジスタ132と、キャパシタ131に接続されたソースを有するリセットトランジスタ133とを有している。
【0013】
光電変換部110に光が入射すると、光電変換部110には信号電荷が生じる。転送ゲート120をONにすることにより、光電変換部110で生じた信号電荷を、転送チャネルを介して、信号生成部130のキャパシタ131に転送する。これにより、キャパシタ131に信号電荷が保持される。キャパシタ131に保持された信号電荷の量に応じた電位が増幅トランジスタ132のゲートに現れる。増幅トランジスタ132は、ソースフォロワ回路を成しており、増幅トランジスタ132のゲートの電位に応じて生成される電気信号が信号出力線340を介して出力される。リセットトランジスタ133をONにすることにより、キャパシタ131の電位は、駆動線350を介して供給される電位にリセットされる。信号生成部130は、信号出力線340への出力のON/OFFを切り替える選択トランジスタをさらに有することもできる。本例の光電変換ユニット102は、1つの光電変換部110と1つの信号生成部130とが対になっているが、信号生成部130の少なくとも一部(例えば増幅トランジスタ132)を複数の光電変換部110が共有する構造を採用することもできる。その場合、転送ゲート120は複数の光電変換部110の各々ごとに設けることが好ましい。
【0014】
図2は、光電変換装置の一例を説明する平面模式図であり、図3(a)は、図2のX−X’線における断面模式図、図3(b)は、図2のY−Y’線における断面模式図である。
【0015】
光電変換部110は単結晶シリコン等の半導体からなる半導体基板1の活性部2に設けられている。活性部2以外の部分は分離部3であり、活性部2は分離部3に囲まれている。本例の分離部3はSTI(Shallow Trench IsolaTion)構造を有しているが、LOCOS(Local OxiDaTion Silicon)構造等を有していてもよいし、拡散分離構造を有していてもよい。本例では、光電変換部110と転送ゲート120、第5半導体領域135およびリセットトランジスタ133が同じ活性部2に設けられており、増幅トランジスタ132が別の活性部2に設けられている。しかし、リセットトランジスタ133を光電変換部110とは別の活性部2に設けることもできるし、増幅トランジスタ132とリセットトランジスタ133とを同じ活性部2に設けることもできる。
【0016】
本例の光電変換部110は、第1導電型の第1半導体領域111と第2導電型の第2半導体領域112と、第2導電型の第3半導体領域113とで構成された埋め込み型のフォトダイオードであるが、第3半導体領域113を省略することもできる。また、光電変換部110はフォトゲートであってもよい。
【0017】
以下の説明において、第1導電型の半導体領域とは、信号電荷と同じ電荷を多数キャリアとする不純物領域であり、第1導電型の反対導電型である第2導電型の半導体領域とは、信号電荷と同じ電荷を少数キャリアとする不純物領域である。例えば、信号電荷が電子である場合には、第1導電型の半導体領域はn型半導体領域であり、第2導電型の半導体領域はp型半導体領域である。信号電荷が正孔である場合には、第1導電型の半導体領域はp型半導体領域であり、第2導電型の半導体領域はn型半導体領域である。各トランジスタはソースとドレインを有し、ソースとドレイン間の導通を、ゲートによって制御する、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)である。ゲートは、ゲート電極と、ゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜の下に位置する半導体領域であるチャネル領域とを有する、絶縁ゲート型いわゆるMIS型(Metal−Insulator−Semiconductor)構造を有する。第1導電型のソース/ドレインを有するトランジスタを第1導電型のトランジスタと定義し、第2導電型のソース/ドレインを有するトランジスタを第2導電型のトランジスタと定義する。例えば、信号電荷が電子である場合には、第1導電型のトランジスタは、n型トランジスタであり、信号電荷が正孔である場合には、第1導電型のトランジスタは、p型トランジスタである。本例の増幅トランジスタ132とリセットトランジスタ133は第1導電型のトランジスタである。
【0018】
光電変換部110を構成する第1半導体領域111および第2半導体領域112は、信号電荷を生じる電荷生成領域として機能する。第1半導体領域111と第2半導体領域112とがpn接合を成しており、第1半導体領域111は信号電荷を蓄積する蓄積領域として機能する。第3半導体領域113は、半導体基板1の表面と第1半導体領域111との間に位置している。第1半導体領域111と第3半導体領域113とがpn接合を成しており、第3半導体領域113は半導体基板1表面での暗電流の発生を抑制する表面保護領域として機能する。シリコン基板1に設けられた光電変換部110の屈折率は、典型的には3.00以上4.00以下の屈折率を有する。
【0019】
第2半導体領域112と、第4半導体領域134(後述)を含む、連続した第2導電型の半導体領域をウェル領域と呼ぶ。ウェル領域の不純物濃度は分布を有することができる。
【0020】
転送ゲート120は、ゲート電極と、ゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜の下に位置する半導体領域であるチャネル領域と、を有するいわゆるMIS型(Metal−Insulator−Semiconductor)ゲートである。以下、ほかのトランジスタと区別するために、転送ゲート120のゲート電極を転送ゲート電極121、転送ゲート120のゲート絶縁膜を転送ゲート絶縁膜122と呼ぶ。チャネル領域はウェル領域の一部であり、チャネル領域には、転送ゲート120をONにすると転送チャネルが形成される。転送ゲート電極121の材料は典型的にはポリシコンであるが、ポリシリコンゲルマニウムであってもよい。ポリシリコンからなる典型的な転送ゲート電極121は、3.00以上4.00以下の屈折率を有する。また、典型的な転送ゲート絶縁膜122は、酸化シリコン層からなる単層膜、酸窒化シリコンからなる単層膜、または、酸化シリコン層と酸窒化シリコン層とを有する多層膜である。本例の転送ゲート絶縁膜122は、半導体基板1側から酸化シリコン層と酸窒化シリコン層とがこの順で配された多層膜である。転送ゲート絶縁膜122の材料に、酸化ハフニウム等のhigh−k材料を用いることもできる。
【0021】
第1導電型の第5半導体領域135は、第2導電型の第4半導体領域134とpn接合を成しており、浮遊拡散領域として機能する。第5半導体領域135はキャパシタ131の一部を成す。してみれば、浮遊拡散領域である第5半導体領域135は、信号生成部130の一部を成すと云える。
【0022】
図3(a)、図3(b)に示した転送ゲート電極121の断面は、略四角形を呈している。転送ゲート120の近傍について、以下、図3(a)、図3(b)に加えて、図4(a)および図4(b)を相互に参照しながら説明する。なお、図4(a)と図4(b)は、光電変換装置100の同じ断面を示しており、図の複雑化を避けるために便宜的に図4(a)と図4(b)に分けているに過ぎない。転送ゲート電極121の下面1213は転送ゲート絶縁膜122に接し、転送ゲート電極121の上面1210は下面1213とは反対の面である。転送ゲート電極121の側面のうち、光電変換部110側(第1半導体領域111側)の側面が第1側面1211であり、信号生成部130側(第5半導体領域135側)の側面が第2側面1212である。第1側面1211と第2側面1212はそれぞれ転送ゲート電極121の上面1210と下面1213に連続している。なお、本例では、転送ゲート電極121の断面は長方形であり、上面1210の面積と下面1213の面積が等しい。しかし、転送ゲート電極121の断面が台形であってもよく、その場合には、転送ゲート電極121の上面1210の面積が下面1213の面積よりも小さくなり、第1側面1211と第2側面1212は斜面を成すことになる。
【0023】
図3(a)、図3(b)に示す様に、光電変換装置100は、光電変換部110を覆う第1保護膜220を備える。第1保護膜220は、光電変換部110を覆うとともに、転送ゲート120の転送ゲート電極121の光電変換部110側の側面、すなわち第1側面1211に沿って延在して転送ゲート電極121の上面1210を覆っている。したがって、保護膜220は、少なくとも、光電変換部110上から、上面1210上に渡って連続する連続膜ということができる。第1保護膜220は多層膜であってもよい。第1保護膜220は窒化シリコン膜であることが好ましい。典型的な窒化シリコンは、1.80より高い屈折率を有し、その膜密度や窒素とシリコンの組成比、不純物濃度に応じて、1.80より高く2.50より低い屈折率を有する。
【0024】
図3(a)、図3(b)に示す様に、第1保護膜220と光電変換部110との間に、光電変換部110を覆う第1中間膜210が設けられている。第1中間膜210は、光電変換部110を覆うとともに、転送ゲート120の転送ゲート電極121の光電変換部110側の側面、すなわち、第1側面1211に沿って延在して転送ゲート電極121の上面1210を覆っている。第1中間膜210は、第1保護膜220の屈折率及び光電変換部110の屈折率よりも低い屈折率を有する。第1中間膜210は、第1保護膜220と界面を成している。第1中間膜210は多層膜であってもよい。第1中間膜210は、酸化シリコンおよび酸窒化シリコンの少なくとも一方からなることが好ましい。典型的な酸化シリコンは、1.40以上の屈折率を有し、その膜密度や酸素とシリコンの組成比、不純物濃度に応じて、1.40以上1.80以下の屈折率を有する。典型的な酸窒化シリコンは、1.60以上の屈折率を有し、その膜密度や窒素と酸素とシリコンの組成比、不純物濃度に応じて、1.60以上1.80以下の屈折率を有する。なお、現実的には、窒化シリコンは微量の酸素を含んでいてもよく、酸化シリコンは微量の窒素を含んでいてもよい。酸窒化シリコンは、窒化シリコンよりも窒素に対する酸素の比率が高く、酸化シリコンよりも酸素に対する窒素の比率が高い。例えば、酸素と窒素を含むシリコン化合物において、酸素濃度が窒素濃度の1/4倍以上4倍以下であれば、酸窒化シリコンである可能性が高い。
【0025】
また、図3(a)、図3(b)に示す様に、第1保護膜220と光電変換部110の間には、転送ゲート絶縁膜122が転送ゲート電極121と半導体基板1との間から延在した延在部1221が設けられている。つまり、転送ゲート絶縁膜122が光電変換部110を覆っていると云える。酸化シリコンと酸窒化シリコンの少なくとも一方(本例では両方)からなる延在部1221は、第1保護膜220の屈折率及び光電変換部110の屈折率よりも低い屈折率を有する。
【0026】
第1中間膜210と転送ゲート電極121の上面1210との間には、中間部材200Aが設けられている。この中間部材200Aは、第1保護膜220と光電変換部110と間に延在は延在していない。本例では、中間部材200Aは、第1保護膜220と転送ゲート電極121の第1側面1211との間にも延在していない。中間部材200Aは、第1保護膜220の屈折率及び前記光電変換部110の屈折率よりも低い屈折率を有する。中間部材200は多層構造を有する積層部材であってもよい。中間部材200Aは、酸化シリコンおよび酸窒化シリコンの少なくとも一方からなることが好ましい。
【0027】
図3(a)、図3(b)に示した中間部材200Aの断面は、略四角形を呈している。なお、以下の説明では、中間部材200Aを中間部材200として記載する場合がある。本例では、中間部材200Aの下面201は転送ゲート電極121の上面1210に接する。中間部材200Aの上面202は下面201とは反対の面であり、第1中間膜210に接する。中間部材200Aの側面のうち、光電変換部110側(第1半導体領域111側)の側面が第3側面203であり、信号生成部130側(第5半導体領域135側)の側面が第4側面204である。第3側面203と第4側面204はそれぞれ中間部材200の上面202と下面201に接続している。なお、本例では、中間部材200の断面は長方形であり、中間部材200Aの上面202の面積と下面201の面積が等しい。しかし、中間部材200の断面が台形であってもよく、その場合には、中間部材200Aの上面202の面積が下面201の面積よりも小さくなり、第3側面203と第4側面204は斜面を成すことになる。
【0028】
第1保護膜220と光電変換部110との間の部分を第1部分とし、第1保護膜220と転送ゲート電極121の上面1210との間の部分を第2部分として、図4(a)、図4(b)を用いて詳細に説明する。
【0029】
第1部分には、第1保護膜220の屈折率及び光電変換部110の屈折率よりも低い屈折率を有し、第1保護膜220と界面を成す第1領域11が設けられている。本実施形態では、第1領域11は、転送ゲート絶縁膜122の延在部1221と第1中間膜210とで構成されている。第1領域11の物理膜厚をD、延在部1221の物理膜厚をd11、第1部分における第1中間膜210の物理膜厚をd12とすると、D=d11+d12である。なお、物理膜厚とは、部材、層あるいは膜の下地に対して垂直な方向における、当該の部材、層あるいは膜の上下両面間の実際の距離である。なお、延在部1221の物理膜厚d11は、転送ゲート絶縁膜122の、転送ゲート電極121と半導体基板1との間に位置する部分の物理膜厚と同じであってもよいし、それよりも小さくてもよい。
【0030】
一方、第2部分には、第1保護膜220の屈折率及び光電変換部110の屈折率よりも低い屈折率を有し、第1保護膜220と界面を成す第2領域22が設けられている。本実施形態では、第1領域11は、中間部材200と第1中間膜210とで構成されている。第2領域22の物理膜厚をD、第2部分における第1中間膜210の物理膜厚をd21、中間部材200の物理膜厚をd22とすると、D=d21+d22である。第1領域11の物理膜厚が第2領域22の物理膜厚よりも大きく、D<Dとなっている。本例では、d12=d21となっており、d11<d22とすることにより、D<Dを満たす構造となっている。d12とd21とが異なっていてもよい。転送ゲート絶縁膜122の物理膜厚d11は1nm以上15nm以下、第1中間膜210の物理膜厚d12およびd21は1nm以上30nm以下、中間部材200の物理膜厚d22は10nm以上100nm以下の範囲が好適である。
【0031】
光電変換部110の屈折率、転送ゲート電極121の屈折率、および、第1保護膜220の屈折率よりも低い屈折率を有する第1領域11と第2領域22をまとめて低屈折率領域と呼ぶ。低屈折率領域は、光電変換部110や転送ゲート電極121へ入射しうる光の波長に対して十分な透過性を有している透明領域であり、また、光電変換部110や転送ゲート電極121の動作を阻害しないよう、十分な絶縁性を有している絶縁領域でもある。光学的な観点のみならず、電気的な観点においても、中間部材200や第1中間膜210は酸化シリコンおよび酸窒化シリコンの少なくとも一方からなることが望ましい。一方、低屈折率領域よりも高い屈折率を有する光電変換部110、転送ゲート電極121と、第1保護膜220をまとめて高屈折率領域と呼ぶ。光は低屈折率領域よりも高屈折率領域に引き寄せられやすく、低屈折率領域は、光にとって波動光学的なポテンシャル障壁として作用する。そのため、第2部分に、第1部分に位置するポテンシャル障壁(すなわち第1領域11)よりも厚いポテンシャル障壁(すなわち第2領域22)を設けることにより、転送ゲート電極121へ光が引き寄せられることを抑制できる。その結果、光電変換部110へ向かう光の損失を抑制することができ、光電変換装置100の感度を向上することができる。
【0032】
第1領域11の光学膜厚をT、延在部1221の光学膜厚をT1、第1部分における第1中間膜210の光学膜厚をt12とすると、T=T1+t12である。第1領域11の光学膜厚をT、第2部分における第1中間膜210の光学膜厚をt21、中間部材200の光学膜厚をt22とすると、T=t21+t22である。なお、物理膜厚がdであり、屈折率がnである部材、層あるいは膜に関して、その光学膜厚tは、nとtとの積(d=n×t)で表される。互いに屈折率が異なるm個の要素(部材、層あるいは膜)で構成された領域については、その領域の光学膜厚Tは、k番目の要素の屈折率をn、k番目の要素の物理膜厚をdとして、各要素の光学膜厚tの和、すなわち
【0033】
【数1】

【0034】
で表すことが出来る。
【0035】
本発明では、第2領域22の光学膜厚Tは、第1領域11の光学膜厚Tよりも大きい。そして、第2領域22の光学膜厚Tは、光電変換部110へ入射する光の波長をλとして、λ/2−Tよりも小さい。この2つの条件を満たすこと、つまり、T<T<λ/2−Tを満たすことにより、転送ゲート電極121の上面1210から転送ゲート電極121の内部への光の侵入を抑制することが可能となる。
【0036】
二つの高屈折率領域の間に挟まれた低屈折率領域は、低屈折率領域がない場合に比べて、一方の高屈折率領域から他方の高屈折率領域への光の透過率を低下させる作用を有する。そしてこの透過率は、低屈折率領域の光学膜厚と光の波長との相関がある。この相関は、一方の高屈折率領域と低屈折率領域との界面での反射光と、他方の高屈折率領域と低屈折率領域との界面での反射光と、の干渉作用に基づくものである。上述したT<T<λ/2−Tを満たすことにより、第1保護膜220から転送ゲート電極121への光の透過率を、第1保護膜220から光電変換部110への光の透過率よりも低くすることができる。
【0037】
典型的には、光電変換部110がシリコンからなり、転送ゲート電極121がポリシリコンからなる。このとき、第1保護膜220が窒化シリコンからなり、第1領域11および第2領域22が酸化シリコンおよび酸窒化シリコンの少なくとも一方からなる場合が好適であることは、上述した通りである。その場合、第2領域22の物理膜厚Dは、第1領域11の物理膜厚よりも大きくする。好適には、第1領域11の物理膜厚Dは28nm以下とし、第2領域22の物理膜厚Dは、28nmよりも大きくし、83nmよりも小さくする。この条件を満たすことにより、転送ゲート電極121の内部への光の侵入を抑制することが可能となる。
【0038】
本実施形態では、中間部材200の下面201は転送ゲート電極121の上面1210に接しているため、第2領域22が転送ゲート電極121と界面を成す構造となっている。そのため、第1保護膜220から転送ゲート電極121の上面1210までの第2部分を全て、転送ゲート電極121の屈折率および第1保護膜220の屈折率より低い屈折率を有する第2領域22で占める。第2領域22と転送ゲート電極121の上面1210との間に、第1保護膜220の屈折率以上の屈折率を有し、かつ、第2領域22の屈折率と転送ゲート電極121の屈折率との間の屈折率を有する高屈折率領域を設ける場合は、第2領域22は転送ゲート電極121の上面1210には接しない。この場合に比べて、第2領域22が転送ゲート電極121と界面を成す方が転送ゲート電極121の上面1210から転送ゲート電極121の内部への光の侵入をより抑制することが可能となる。
【0039】
本実施形態では、転送ゲート120の転送方向における、転送ゲート電極121の上面1210の長さをL、転送ゲート120の転送方向における中間部材200の下面201の長さをL’として、LとL’が等しい。また、本実施形態では、転送ゲート120の転送方向に垂直な方向における、転送ゲート電極121の上面1210の幅をW、転送ゲート120の転送方向における中間部材200の下面201の幅をW’として、WとW’が等しい。なお、図2には便宜的に、長さLと幅Wのみを記載している。このように、中間部材200は転送ゲート電極121の上面1210の略全面を覆っていることが好ましい。このようにすることで、転送ゲート電極121へ侵入する光をより低減することができる。なお、図4(b)では、便宜的に、幅LとL’とを示す矢印をずらして表示している。
【0040】
本実施形態では、中間部材200の物理膜厚d22が中間部材200の下面201の長さL’よりも小さい。また、中間部材200の物理膜厚d22が転送ゲート電極121の物理膜厚Dよりも小さい。また、第1中間膜210の物理膜厚d21が中間部材200の物理膜厚d22よりも小さい。そして、第2領域22の物理膜厚Dが転送ゲート電極121の物理膜厚Dよりも小さい。第2領域22の物理膜厚Dは極力小さくすることが好ましい。特に、第2領域22の物理膜厚Dを転送ゲート電極121の物理膜厚Dの1/2以下とすることがより好ましい。また、中間部材200の物理膜厚d22を転送ゲート電極121の物理膜厚Dの1/2以下とすることも好ましく、第1中間膜210の物理膜厚d21を中間部材200d22の1/2以下とすることも好ましい。
【0041】
第2領域22の物理膜厚Dと転送ゲート電極121の物理膜厚Dの合計が大きくなるほど、第1保護膜220の、光電変換部110への光路に沿った部分30の長さHが長くなる。第1保護膜220の、光電変換部110への光路に沿った部分は、光路から光を引き寄せてしまうが、第2領域22の物理膜厚Dを小さくすることで、光電変換部110への入射光の損失を小さくすることが出来る。
【0042】
本発明は、第1保護膜220の物理膜厚Dが転送ゲート電極121の物理膜厚Dよりも小さい場合に効果的である。これは、第1保護膜220が極端に厚くなると、第1保護膜220の上面1210の形状が転送ゲート電極121の第1側面1211や上面1210の形状を反映しにくくなり、転送ゲート電極121が光電変換部110の近傍の光に与える影響が小さくなるためである。転送ゲート電極121の物理膜厚Dは、転送ゲート120の転送特性に応じて適宜設定することができ、典型的には、50nm以上500nm以下とする。第1保護膜220の物理膜厚Dが極端に大きくなると、半導体基板1に加わる応力が大きくなる。典型的には、第1保護膜220の物理膜厚Dは10nm以上100nm以下とする。また、第1保護膜220の物理膜厚Dおよび光学膜厚Tpは、第1保護膜220の上下面201での反射によって光電変換部110へ向かう光の干渉を抑制するように、入射光の波長に応じて、適宜設定することができる。なお、図4では、第1保護膜220の、光電変換部110を覆う部分と転送ゲート電極121の上面1210を覆う部分の物理膜厚を両者ともDで示しているが、両者は異なっていてもよい。
【0043】
本実施形態では、第1保護膜220の屈折率及び前記光電変換部110の屈折率よりも低い屈折率を有する転送ゲート絶縁膜122の延在部1221が第1部分に含まれて第1領域11を成し、第1領域11が光電変換部110と界面を成す構成となっている。そのため、第1保護膜220から光電変換部110での第1部分が全て、光電変換部110の屈折率および第1保護膜220の屈折率以下の屈折率を有する第1領域11で占められている。このような構成で入射光は十分に光電変換部110へ入射することができる。しかし、例えば転送ゲート絶縁膜122にhigh−k材料を用いることにより、転送ゲート絶縁膜122の屈折率が第1保護膜220の屈折率よりも高い場合には、延在部1221が第1領域11を成さず、第1領域11が光電変換部110と接しない構成となる。しかし、第1領域11と光電変換部110との間に、第1保護膜220の屈折率以上の屈折率を有し、第1領域11の屈折率と光電変換部110の屈折率との間の屈折率を有する高屈折率領域を設けることは、光電変換部110への光の入射を向上する上で好ましい。
【0044】
光電変換装置100の他の部分の構成について詳細に説明する。
図3(a)、図3(b)に示す様に、光電変換部110および第1保護膜220を覆う第2保護膜230が設けられている。その結果、第1保護膜220は、第2保護膜230と光電変換部110との間に位置する。第2保護膜230は、光電変換部110を覆うとともに、転送ゲート120の転送ゲート電極121の光電変換部110側の側面、すなわち、第1側面1211に沿って延在して転送ゲート電極121の上面1210を覆っている。第2保護膜230は、第1保護膜220の屈折率及び前記光電変換部110の屈折率よりも低い屈折率を有することが好ましい。第2保護膜230は、第1保護膜220と界面を成している。第2保護膜230は、酸化シリコンおよび酸窒化シリコンの少なくとも一方からなることが好ましく、酸化シリコンからなることがより好ましい。
【0045】
第2保護膜230の上には、複数の層間絶縁層を有する絶縁膜310が設けられている。図3(a)、図3(b)には、絶縁膜310の内の第1層間絶縁層311と、第2層間絶縁層312とを示している。第1層間絶縁層311の下面は第2保護膜230と接しており、第1層間絶縁層311の上面は平坦である。一方、第2層間絶縁層312の下面は平坦な第1層間絶縁層311の上面と接しており、第2層間絶縁層312の上面も平坦である。そのため第2層間絶縁層312は転送ゲート電極121には沿っておらず、転送ゲート電極121の形状を反映しない形状となっている。
【0046】
図3(a)に示す様に、リセットトランジスタ133のゲート電極1330の上にも、転送ゲート120の転送ゲート電極121と同様に、中間部材200および第1中間膜210が設けられている。リセットトランジスタ133のゲート電極1330の上の中間部材200は、転送ゲート120の転送ゲート電極121の上の中間部材200とは不連続に設けられている。一方、第1中間膜210は、転送ゲート120の転送ゲート電極121の上から、転送ゲート120の転送ゲート電極121の第2側面1212、第5半導体領域135、および、リセットトランジスタ133のゲート電極1330の第5半導体領域135側の側面に沿って、リセットトランジスタ133のゲート電極1330の上に延在している。同様に、第1保護膜220も第1中間膜210と同様に転送ゲート120の転送ゲート電極121の上から、転送ゲート120の転送ゲート電極121の第2側面1212、第5半導体領域135、および、リセットトランジスタ133のゲート電極1330の第5半導体領域135側の側面に沿って、リセットトランジスタ133のゲート電極1330の上に延在している。増幅トランジスタ132についても同様の構成になっており、不図示ではあるが、増幅トランジスタ132のゲート電極1320の上にも、中間部材200と第1中間膜210が設けられている。
【0047】
転送ゲート120の転送ゲート電極121には、第1コンタクトプラグ321が接続されている。なお、図3(a)には、参考のため、図2のX−X’線状にはない第1コンタクトプラグ321および第2コンタクトプラグ322を点線にて示している。この第1コンタクトプラグ321をチャネル領域上などの活性部2上に設けることもできる。しかし、図2に示すように、転送ゲート電極121を活性部2上から分離部3上に延在させて、第1コンタクトプラグ321を分離部3上に配置することが好ましい。同様に、リセットトランジスタ133のゲート電極1330には、第2コンタクトプラグ322が接続されている。この第2コンタクトプラグ322も分離部3上に配置することが好ましい。
【0048】
増幅トランジスタ132のゲート電極1320は、第5半導体領域135(浮遊拡散領域)に向かって延在しており、第5半導体領域135(浮遊拡散領域)と、増幅トランジスタ132のゲート電極1320の双方が、シェアードコンタクト320で接続されている。シェアードコンタクト320の代わりに、コンタクトプラグと配線層を用いて、第5半導体領域135と増幅トランジスタ132のゲート電極1320とを接続することもできる。リセットトランジスタ133のドレイン1332には第3コンタクトプラグ323が接続されている。図3(b)に示す様に、増幅トランジスタのソース1321とドレイン1322にもコンタクトプラグがそれぞれ接続されている。増幅トランジスタ132のドレイン1322には第7コンタクトプラグ327が接続されている。
【0049】
第1層間絶縁層311の上には、第1配線3311、第2配線3312、第3配線3313を含む第1配線層331が設けられている。第1〜第3配線はそれぞれ、第1〜第3コンタクトプラグに接続されている。本例のコンタクトプラグはタングステンからなり、配線はアルミニウムからなるが、これに限定されることはない。第7コンタクトプラグ327には第1配線層331の第7配線3317が接続されている。
【0050】
図1(a)に示す様に、本実施形態の光電変換装置100は、信号生成部130で生成された電気信号を処理する信号処理部140を備えることができる。また、光電変換装置100は、信号処理部140に加えて、信号処理部140で処理された信号を外部に出力するための出力部150や、光電変換領域101や信号処理部140を制御するための制御部160も備えることができる。本例では、信号処理部140や出力部150、制御部160を、光電変換領域101の周囲に位置する周辺回路領域103に設けているが、信号処理部140の少なくとも一部を光電変換領域101に設けることもできる。図1(a)において、一点鎖線と二点鎖線の間の領域が周辺回路領域103である。本例では、信号処理部140は、複数の列アンプを有する増幅回路141と、複数の列ADコンバータを有する変換回路142と、変換回路142からの出力を選択して出力部150へ出力するための水平走査回路143を有している。出力部150は電極パッドや保護回路を有し、制御部160は、水平走査回路143やタイミング生成回路162等を有する。周辺回路領域103の構成は適宜設計することができる。
【0051】
信号処理部140は多数のトランジスタで構成されるが、典型的には、信号処理部140のトランジスタは、信号生成部130のトランジスタ(増幅トランジスタ132やリセットトランジスタ133)と異なる構造を有する。図2には周辺回路領域103に設けられた信号処理部140のトランジスタ(以下、周辺トランジスタと呼ぶ)の一例を記載している。典型的な信号処理部140は、図2に示す様に、第1導電型の周辺トランジスタ170と、第2導電型の周辺トランジスタ180で構成される。典型的には、信号生成部130のトランジスタと同一導電型の周辺トランジスタと反対導電型の周辺トランジスタの双方が信号生成部130のトランジスタと異なる構造をする。
図3(a)には第1導電型の周辺トランジスタ170を示しているが、導電型が反対になる以外は、第2導電型の周辺トランジスタ180も同様の構造を有する。転送ゲート電極121は、第1導電型のポリシリコンからなることが好ましく、第1導電型の周辺トランジスタ170のゲート電極(以下、第1周辺ゲート電極171と呼ぶ)は、第1導電型のポリシリコンからなることが好ましい。第2導電型の周辺トランジスタのゲート電極(以下、第2周辺ゲート電極181と呼ぶ)は、第2導電型のポリシリコンからなることが好ましい。そして、第1周辺ゲート電極171の第1導電型の不純物濃度が、転送ゲート電極121の第1導電型の不純物濃度よりも高いことが好ましい。第1導電型の周辺トランジスタ170のゲート絶縁膜172の物理膜厚が転送ゲート120の転送ゲート絶縁膜122の物理膜厚よりも薄いことが好ましい。
【0052】
第1導電型の周辺トランジスタ170のドレイン175の一部はシリサイド層177で覆われている。第1導電型の周辺トランジスタ170のソース174も同様である。また、周辺トランジスタの第1周辺ゲート電極171上面はシリサイド層176で覆われている。ソースとドレインを覆うシリサイド層177とゲート電極121の上面1210を覆うシリサイド層176の少なくとも一方を省略することもできる。
【0053】
また、周辺ゲート絶縁膜172は少なくともドレイン175とシリサイド層177との間には延在しておらず、シリサイド層177とドレイン175は接している。ソース174に関しても同様である。図3(b)に示す様に、第2導電型の周辺トランジスタ180のソース184、ドレイン185、第2周辺ゲート電極181についても同様の構成となっている。
【0054】
本例では、図3(a)に示す様に、第1周辺ゲート電極171と第2周辺ゲート電極172とが一体化している。一体的に形成された周辺ゲート電極190が、第1導電型の部分(第1周辺ゲート電極171)と第2導電型の部分(第2周辺ゲート電極181)を有することになる。さらには、周辺ゲート電極190において、第1導電型の部分と第2導電型の部分とがpn接合を成す場合もある。一体的な周辺ゲート電極190の第1導電型の部分と第2導電型の部分に渡ってシリサイド層176で覆うことにより、第1導電型の部分と第2導電型の部分をシリサイド層176で短絡し、pn接合によって周辺トランジスタの動作が不安定になることを抑制することができる。
【0055】
また、周辺トランジスタは、第1周辺ゲート電極171の側面に接する、サイドウォールスペーサ173を有している。本例では、サイドウォールスペーサ173は第1誘電体層1731と、第1誘電体層1731と第1周辺ゲート電極171および半導体基板1との間に位置する第2誘電体層1732とを有する2層構造を有している。第2誘電体層1732の誘電率が第1誘電体層1731の誘電率よりも低いことが好ましいが、逆でもよい。例えば、第1誘電体層1731は酸化シリコンからなり、第2誘電体層1732は窒化シリコンからなる。なお、本例では、ゲート絶縁膜172が半導体基板1と第1周辺ゲート電極171との間から、半導体基板1とサイドウォールスペーサ173との間に延在している。しかし、ゲート絶縁膜172を半導体基板1と第1周辺ゲート電極171との間のみに設けて、サイドウォールスペーサ173が半導体基板1と接する形態を採用することもできる。サイドウォールスペーサ173の下には、ドレイン175の低濃度部1752が位置している。低濃度部1752は、ドレイン175の他の部分(高濃度部1751)に比べて不純物濃度が低くなっており、いわゆるLDD(Lightly Doped Drain)構造を有している。サイドウォールスペーサ173およびドレイン175の低濃度部1752を省略することもできる。ソース174に関しても同様に低濃度部と高濃度部を有することもできる。周辺トランジスタ180についても、同様にドレイン185は、高濃度部1851と低濃度部1852を有することができる。
【0056】
周辺トランジスタは、転送ゲート電極121を覆う第1中間膜210とは別の第2中間膜240で覆われている。詳細には、第2中間膜240は、周辺トランジスタ170のソース174とドレイン175を覆うとともに、第1周辺ゲート電極171の側面に沿って、第1周辺ゲート電極171を覆っている。本例では、第2中間膜240とドレインと175の間および第2中間膜240と第1周辺ゲート電極171の上面との間にはシリサイド層177が位置している。また、本例では、第2中間膜240と第1周辺ゲート電極171の側面との間にはサイドウォールスペーサ173が位置している。第2中間膜240は、酸化シリコンからなることが好ましい。第2導電型の周辺トランジスタ180についても同様である。
【0057】
周辺トランジスタは、転送ゲート電極121を覆う第1保護膜220、第2保護膜230とは別の第3保護膜250で覆われている。詳細には、第3保護膜250は、周辺トランジスタ170のドレイン174を覆うとともに、第1周辺ゲート電極171の側面に沿って、第1周辺ゲート電極171の上面を覆っている。本例では、第3保護膜250とドレイン175との間および第3保護膜250と第1周辺ゲート電極171の上面との間にはシリサイド層176が位置している。また、本例では、第3保護膜250と第1周辺ゲート電極171の上面との間にはサイドウォールスペーサ173が位置している。第3保護膜250は、窒化シリコンからなることが好ましい。上述したように、第3保護膜250と半導体基板1および第1周辺ゲート電極171との間には、第2中間膜220が設けられている。第3保護膜250は第2中間膜240よりも厚いことが好ましい。
【0058】
絶縁膜310の第1層間絶縁層311および第2層間絶縁層312は、光電変換領域101から周辺回路領域103に延在して半導体基板1を覆っている。本例では、周辺回路領域103の絶縁膜310と半導体基板1および周辺ゲート電極171との間に第2中間膜240および第3保護膜250が位置している例を示しているが、第2中間膜240および第3保護膜250の少なくとも一方を省略することもできる。
【0059】
図3(a)に示す様に、周辺トランジスタ170のソース174とドレイン175には、第4コンタクトプラグ324と第6コンタクトプラグ326がそれぞれ、シリサイド層177を介して接続されている。同様に、周辺トランジスタの第1周辺ゲート電極171には、第5コンタクトプラグ325がシリサイド層176を介して接続されている。第4コンタクトプラグ324、第5コンタクトプラグ325、第6コンタクトプラグ326はそれぞれ、第3保護膜250および第2中間膜240に接するとともに、これら第3保護膜250および第2中間膜240を貫通している。同様に、図3(b)に示す様に、周辺トランジスタ180のソース184とドレイン185には、第8コンタクトプラグ328と第9コンタクトプラグ329がそれぞれ、シリサイド層177を介して接続されている。同様に、周辺トランジスタの第2周辺ゲート電極181には、第5コンタクトプラグ325がシリサイド層176を介して接続されている。
【0060】
シリサイド層176を設けることにより、第1周辺ゲート電極171と第5コンタクトプラグ325との接続抵抗を小さくして、周辺トランジスタ170の高速駆動が可能となる。シリサイド層177を設けることにより、ドレイン175と第6コンタクトプラグ326との接続抵抗を小さくして、周辺トランジスタの高速駆動が可能となる。ソース174と第4コンタクトプラグ324についても同様であり、第2導電型の周辺トランジスタ180についても同様である。一方、光電変換領域101では、少なくとも転送ゲート電極121の上にはシリサイド層を設けていないため、金属汚染によるノイズを抑制することができる。
【0061】
図5(a)を用いて、光電変換装置100の第2実施形態の一例を説明する。本実施形態は、転送ゲート絶縁膜122の構成が第1実施形態と相違する。第1実施形態では、転送ゲート絶縁膜122が光電変換部110を覆う延在部1221を有しているのに対して、本実施形態では、転送ゲート絶縁膜122は光電変換部110を覆わず、第1中間膜210が光電変換部110に接している。したがって、第1領域11は、第1部分に位置する第1中間膜210で構成されることになり、
第1領域11の物理膜厚Dは第1中間膜210の物理膜厚d12に一致する。
【0062】
また、本実施形態は、中間部材200と第1中間膜210の位置が、第1実施形態と相違する。第1実施形態では、中間部材200と第1保護膜220との間に第1中間膜210が延在して、転送ゲート電極121の上面1210を覆うのに対して、本実施形態では、中間部材200と転送ゲート電極121の間に第1中間膜210が延在して、転送ゲート電極121の上面1210を覆う。第2領域22の物理膜厚Dが第1中間膜210の物理膜厚d21と中間部材200の物理膜厚d22の和で表されるのは第1実施形態と同じである。ここでは、2つの相違点を挙げたが、両者の一方のみが第1実施形態と相違していてもよい。
【0063】
図5(b)を用いて、光電変換装置100の第3実施形態の一例を説明する。本実施形態は、第1中間膜210を設けていない点が第1実施形態と相違する。第1保護膜220は転送ゲート絶縁膜122の延在部1221と界面を成している。そのため、第1領域11は転送ゲート絶縁膜122の延在部1221で構成されることになり、第1領域11の物理膜厚Dは延在部1221の物理膜厚d11と一致する。また、第1保護膜220は中間部材200と界面を成している。そのため、第2領域22は中間部材200で構成されることになり、第2領域22の物理膜厚Dは中間部材200の物理膜厚d22に一致する。
【0064】
図5(c)を用いて、光電変換装置100の第4実施形態の一例を説明する。本実施形態は、中間部材200を設けていない点が第1実施形態と相違する。第1部分に位置する第1中間膜210が、第2部分に位置する第1中間膜210よりも薄くなっている。そのため、第2領域22は第1中間膜210で構成されることになり、第2領域22の物理膜厚2は、第1中間膜210の第2部分に位置する部分の物理膜厚d21に一致する。
【0065】
図5(d)を用いて、光電変換装置100の第5実施形態の一例を説明する。本実施形態は、第1中間膜210の構成が第2実施形態と相違する。第2実施形態では、第1中間膜210が、第1保護膜220と中間部材200との間に延在して転送ゲート電極121の上面1210を覆うのに対して、本実施形態では、第1中間膜210は転送ゲート電極121の上面1210を覆わず、第1保護膜220と転送ゲート電極121の間には延在していない。第2領域22の物理膜厚Dは中間部材200の物理膜厚d22に一致する。
【0066】
図6(a)を用いて、光電変換装置100の第6実施形態の一例を説明する。本実施形態は、第1実施形態とは、第1保護膜220が転送ゲート電極121の第2側面1212を覆っていない点が相違する。また、第1中間膜210も転送ゲート電極121の第2側面1212を覆っていない点が相違する。一方、第2保護膜230の上に第3保護膜250が、周辺回路領域から延在して設けられて、転送ゲート電極121の上面1210を覆っている。
【0067】
図6(b)を用いて、光電変換装置100の第6実施形態の一例を説明する。本実施形態は、第1実施形態とは、光電変換部110の上に導光部材420が設けられている点が相違する。導光部材420は、絶縁膜310に囲まれて配置されており、絶縁膜310の各層間絶縁層の屈折率よりも高い屈折率を有する。そのため、光路部材がコア、絶縁膜310がクラッドとして機能する導光構造を得ることが可能となる。典型的な層間絶縁層は酸化シリコンからなるため、導光部材420の材料には、樹脂や、高屈折率無機粒子を分散した樹脂、酸窒化シリコンや窒化シリコンを用いることができる。本例では、導光部材420は屈折率が1.83〜2.03の範囲で分布した窒化シリコンを用いている。なお、第1実施形態では、配線層の材料にアルミニウムを用いているのに対して、本実施形態では、配線層の材料に銅を用いている。銅を用いる場合には、銅の拡散を抑制するための窒化シリコン等の拡散防止層を層間絶縁層の間に配置することが好ましい。拡散防止層は光電変換部110への光の妨げになりやすいため、導光部材420を拡散防止層を貫通するように設けることにより、拡散防止層により光の損失を低減することができ、感度を向上できる。なお、絶縁膜310は、拡散防止層を含むが、拡散防止層が層間絶縁層よりも薄ければ、導光部材420の屈折率が拡散防止層の屈折率以上であっても、影響は小さい。なお、第1実施形態のように、配線層の材料にアルミニウムを用いた場合でも、同様に導光部材420を設けることにより、絶縁膜310内での光の散逸を抑制し、感度を向上できる。
【0068】
光電変換部110と導光部材420との間には、導光部材420の下面に接する制御膜410が設けられている。制御膜410は、導光部材420の下面よりも大きい面積を有し、第1保護膜220の面積よりも小さい面積を有する。制御膜410の周縁部は絶縁膜310と第2保護膜230に挟まれている。この制御膜410は、絶縁膜310や第2保護膜230の屈折率よりも高い屈折率を有し、典型的には窒化シリコンからなる。制御膜410の面積を、導光部材420の下面よりも大きく、第1保護膜220の面積よりも小さくすることにより、光路部材内を伝搬した光が広がってしまうことを抑制することができる。なお、導光部材420は、典型的には、絶縁膜310をエッチングして凹部を設け、凹部に導光部材420の材料を埋め込むことによって形成される。この制御膜410は、導光部材420の形成時の光電変換部110へのダメージを低減するエッチングを制御するエッチングストップ膜として機能したり、応力を緩和する応力緩和膜として機能したりすることもできる。
【0069】
図7(a)は、第1〜5実施形態を採用した光電変換装置100の一例を説明する断面模式図である。なお、図7(a)では、簡略化のために、絶縁膜310と半導体基板1との間の保護膜や中間膜の構成の記載を省略している。
【0070】
絶縁膜310と複数の配線層(第1配線層331、第2配線層332、第3配線層333、第4配線層334の4層)とで配線構造体300が構成されている。本例では、絶縁膜310は、第1層間絶縁層311、第2層間絶縁層312、第3層間絶縁層313、第4層間絶縁層314で構成されている。
【0071】
配線構造体300の上にはパッシベーション膜440が設けられている。典型的なパッシベーション膜440は窒化シリコン層を含む。パッシベーション膜の窒化シリコン層の上下には、窒化シリコン層よりも薄い酸窒化シリコン層を設けることが好ましい。
【0072】
パッシベーション膜440の上には樹脂からなる第1平坦化膜460が設けられており、第1平坦化膜460の上面は平坦になっている。第1平坦化膜460の上には、カラーフィルタ470が設けられている。ここでは1つのカラーフィルタを示しているが、光電変換領域101には、原色系あるいは補色系の複数種類の色のカラーフィルタを光電変換部110の配置に応じて、光電変換部110の上に規則的に配列してなるカラーフィルタアレイが構成されている。カラーフィルタ470の上には樹脂からなる第2平坦化膜480が設けられており、第2平坦化膜480の上面は平坦になっている。第2平坦化膜480の上には、マイクロレンズ490が設けられている。マイクロレンズ490は反射防止コーティングを含むことができる。ここでは1つのマイクロレンズを示しているが、光電変換領域101には、複数のマイクロレンズが光電変換部110の配置に応じて規則的に配列してなるマイクロレンズアレイ構成されている。
【0073】
光電変換部110の上にカラーフィルタが設けられる場合、各光電変換部110へは主に、各光電変換部110に対応するカラーフィルタの主波長λpの光が入射する。したがって、光電変換部110へ入射する光を、カラーフィルタの主波長λpとみなしても実用上差し支えない。したがって、中間部材200の物理膜厚d22を始めとして、第1領域11の光学膜厚Tおよび物理膜厚D、第2領域22の光学膜厚Tおよび物理膜厚Dは、カラーフィルタの主波長λpに基づいて設定することができる。換言すれば、T<T<λ/2−Tは、光電変換部110に入射するあらゆる波長λについて満たされている必要はない。また、光電変換領域に設けられた全ての光電変換部110について、T<T<λ/2−Tが満たされていることは好ましいことである。しかし、或る特定の主波長λpを有するカラーフィルタがその上に設けられた光電変換部110に関連して、当該カラーフィルタに対応する光電変換ユニット102が、T<T<λp/2−Tを満たさない場合があってもよい。なお、光電変換部110へ入射する光の波長に応じて、対応する転送ゲート120毎に、第1領域11の光学膜厚Tおよび物理膜厚D、第2領域22の光学膜厚Tおよび物理膜厚Dを異ならせることも可能である。
【0074】
図7(b)は、第6実施形態を採用した光電変換装置100の一例を説明する断面模式図である。なお、図7(b)では、簡略化のために、絶縁膜310と半導体基板1との間の保護膜や中間膜の構成の記載を省略している。絶縁膜310と複数の配線層(第1配線層331、第2配線層332の2層)とで配線構造体300が構成されている。本例では、絶縁膜310は、第1層間絶縁層311、第2層間絶縁層312、第3層間絶縁層313、第4層間絶縁層314、第5層間絶縁層315を含む。また絶縁膜310は第1層間分離層316、第2層間分離層317、第3層間分離層318、第4層間分離層319を含む。各層間絶縁層は酸化シリコンからなることが好ましい。各層間分離層は窒化シリコンからなることが好ましい。層間分離層は配線層の金属材料の拡散を抑制したり、配線層の形成時のエッチングストッパーとして機能したりする。層間分離層は層間絶縁層よりも薄いことが好ましい。絶縁膜310に囲まれた導光部材420が設けられている。導光部材420は絶縁膜310の層間絶縁層311〜315の高い屈折率を有しており、層間絶縁層311〜315をクラッド、導光部材420をコアとした光導波路構造をなしている。導光部材420は絶縁膜310の上面に延在しているが、延在しなくてもよい。導光部材420は窒化シリコンからなることが好ましい。
【0075】
導光部材420の上には低屈折率膜430が設けられている。低屈折率膜430の上には層内レンズ450が設けられている。層内レンズ450は反射防止コーティングを有することができる。光電変換領域101には、複数の層内レンズが光電変換部110の配置に応じて規則的に配列されてなる層内レンズアレイが構成されている。層内レンズ450は窒化シリコンからなることが好ましい
低屈折率膜430は、層内レンズ450の屈折率よりも低い屈折率を有する。これにより、層内レンズ450から低屈折率膜430に斜めに入射した光を低屈折率膜430内での屈折により、導光部材420に向けて集光することができる。典型的な低屈折率膜430は酸化シリコン層を含む。低屈折率膜は、酸化シリコン層と導光部材420の間に、酸化シリコン層と導光部材420との間の屈折率を有する中間屈折率層を有することが好ましい。低屈折率膜420は、酸化シリコン層と層内レンズとの間に、酸化シリコン層と層内レンズ450の間の屈折率を有する中間屈折率層を有することが好ましい。これら低屈折率膜420の中間屈折率層は、酸化シリコン層と導光部材420あるいは酸化シリコン層と層内レンズ450との間の反射を抑制することができる。導光部材420や層内レンズ450が窒化シリコンからなる場合、中間屈折率層は酸窒化シリコンからなることが好ましい。中間屈折率層は酸化シリコン層よりも薄いことが好ましい。
【0076】
層内レンズ450の上には、樹脂からなる第1平坦化膜460が設けられており、第1平坦化膜460の上面は平坦になっている。第1平坦化膜460の上には、カラーフィルタ470が設けられている。ここでは1つのカラーフィルタを示しているが、光電変換領域101には、複数種類の色のカラーフィルタからなるカラーフィルタアレイが構成されている。カラーフィルタ470の上には樹脂からなる第2平坦化膜480が設けられており、第2平坦化膜480の上面は平坦になっている。第2平坦化膜480の上には、マイクロレンズ490が設けられている。マイクロレンズ490は反射防止コーティングを含むことができる。ここでは1つのマイクロレンズを示しているが、光電変換領域101には、複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイが構成されている。
【0077】
また、これらのカラーフィルタアレイ、マイクロレンズアレイ、層内レンズアレイを、半導体基板1に対して、絶縁膜310とは反対側に配置した、いわゆる裏面照射型の光電変換装置100とすることもできる。本発明は、これまで説明したいわゆる表面照射型の光電変換装置100に好適であるが、裏面照射型の半導体装置も表面照射型の光電変換装置100と同様の問題が生じる可能性がある。これは、半導体基板1の厚みが1〜10μmと非常に薄いため、半導体基板1を透過した光が転送ゲート120の動作に影響を与えることが理由として挙げられる。
【0078】
以上説明した光電変換装置100を用いて、撮像システムを構築することができる。撮像システムは、例えばスチルカメラやビデオカメラなどのカメラを挙げることができる。また、カメラ機能を有する情報端末も挙げることができる。撮像システムは、信号生成部130で生成された電気信号に基づく画像を処理する画像処理エンジン等の画像処理部および画像を表示する液晶ディスプレイ等の画像表示部の少なくとも一方を備えることができる。
【0079】
以上述べた光電変換装置100の製造方法を説明する。簡単のために、第1保護膜220および第3保護膜250が窒化シリコン膜、第1中間膜210および第2中間膜240、第2保護膜230が酸化シリコン膜、中間部材200が酸化シリコンからなる場合について説明する。
【0080】
まず、第1実施形態の光電変換装置100の製造方法を説明する。
半導体基板1上に、ポリシリコン膜を形成する。ポリシリコン膜上に第1の酸化シリコン膜を形成する。第1の酸化シリコン膜上にフォトレジスト膜を塗布して、フォトレジスト膜を各ゲート電極の形状にパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして第1の酸化シリコン膜をパターニングする。これにより、ポリシリコン膜上にハードマスクが形成される。ハードマスクを用いてポリシリコン膜をパターニングすることにより、転送ゲート電極121を含む、各ゲート電極を形成する。転送ゲート電極の上に設けられたハードマスクが中間部材200となる。その後、光電変換部110を形成する。半導体基板1の略全面を覆うように第2の酸化シリコン膜を形成する。第2の酸化シリコン膜の略全面を覆うように第1の窒化シリコン膜を形成する。この第2の酸化シリコン膜が光電変換領域101における第1中間膜210となり、第1の窒化シリコン膜が第1保護膜220となる。周辺回路領域103において、第1の窒化シリコン膜と第2の酸化シリコン膜を順次エッチングすることにより、第1の窒化シリコン膜がサイドウォールスペーサ173の第1誘電体層1731となり、第2の酸化シリコン膜がサイドウォールスペーサ173の第2誘電体層1732となる。半導体基板1の略全面を覆うように第3の酸化シリコン膜を形成する。この第2の酸化シリコン膜が光電変換領域101における第2保護膜230となる。周辺回路領域103において第3の酸化シリコン膜をエッチングして除去する。サイドウォールスペーサ173を形成する過程及び/又は第3の酸化シリコン膜をエッチングした後で、周辺回路領域103に設けられたハードマスクを除去する。これにより、周辺トランジスタのソースとドレイン、周辺ゲート電極171の上面1210を露出させる。半導体基板1の略全面を覆う、コバルト等のシリサイド化する金属膜を形成する。光電変換領域101に残された第3の酸化シリコン膜をマスクとして、周辺回路領域103に露出するソース/ドレインと転送ゲート電極121とを、金属膜と反応させて、これらの表面をシリサイド化する。その後、半導体基板1の略全面を覆う、第4の酸化シリコン膜を形成して第2中間膜240とする。半導体基板1の略全面を覆う、第2の窒化シリコン膜を形成し、光電変換領域101において、第2の窒化シリコン膜を除去する。周辺回路領域103に残った第2の窒化シリコン膜を第3保護膜250とする。その後、第1層間絶縁層311を形成する。第3保護膜250をセルフアラインコンタクト用のエッチングストップ膜として用いて、周辺回路領域103にコンタクトプラグを形成することができる。以降は、周知の多層配線技術や、カラーフィルタ形成技術、マイクロレンズ形成技術を用いて、光電変換装置100を製造することが出来る。
【0081】
次に、図5(a)に示した第2実施形態の光電変換装置100の製造方法を説明する。ポリシリコン膜を形成した後、フォトレジストマスクを用いてポリシリコン膜をパターニングする。転送ゲート絶縁膜122の延在部1221も除去し、フォトレジストマスクを除去する。その後第1中間膜210としての第1の酸化シリコン膜を形成する。この第1中間膜210は、酸化シリコン膜を堆積することによって形成することもできるし、半導体基板1及び転送ゲート電極121の表面を熱酸化することによって形成することもできる。次に、転送ゲート電極121上にさらに第2の酸化シリコン膜を形成して、第2の酸化シリコン膜をパターニングすることにより、第2の酸化シリコン膜からなる中間部材200を形成することができる。その後第1保護膜220としての窒化シリコン膜を形成すればよい。
【0082】
図5(b)に示した第3実施形態の光電変換装置100の製造方法は、第1中間膜210を形成しない点以外は、上述の第1実施形態の光電変換装置100の製造方法とどうようであるので説明を省略する。
【0083】
図5(c)に示した第4実施形態の光電変換装置100の製造方法は、転送ゲート電極121の形成までは第2実施形態の光電変換装置100の製造方法と同様に行うことができる。第1の酸化シリコン膜を形成し、この第1の酸化シリコン膜の光電変換部110上に位置する部分を、転送ゲート電極121の上面1210上に位置する部分よりも薄くする。このように、部分的に薄くされた第1の酸化シリコン膜を第1中間膜210として用いることができる。
【実施例】
【0084】
本実施例では、第1実施形態で説明したように、第1領域11が光電変換部110と界面を成し、第2領域22が転送ゲート電極121の上面1210と界面を成す場合を検討した。この検討では、転送ゲート電極121および光電変換部110の屈折率を3.4としている。光電変換部110への入射光の波長λが400nm、550nm、800nmである3つの場合を想定している。そして、第1領域11あるいは第2領域22の全体の屈折率が1.40と1.80の2つの場合を想定している。
【0085】
そして、図8は、波長λと屈折率の計6通りの組み合わせについて、第1領域11あるいは第2領域22の物理膜厚を横軸として、第1保護膜220から光電変換部110への光の透過率あるいは第1保護膜220から転送ゲート電極121への光の透過率を求めたものである。線B1は波長が400nm、屈折率が1.40の組み合わせ、線B2は波長が400nm、屈折率が1.80の組み合わせである。線G1は波長が550nm、屈折率が1.40の組み合わせ、線G2は波長が550nm、屈折率が1.80の組み合わせである。線R1は波長が800nm、屈折率が1.40の組み合わせ、線R2は波長が800nm、屈折率が1.80の組み合わせである。
【0086】
図8について説明する。第1領域11が存在せずに第1領域11の物理膜厚が0で、第1保護膜220と光電変換部110とが接している場合には、透過率は約93%となる。そして、例えば、第1領域11の光学膜厚を0から大きくしていき、光学膜厚がλ/4となると、透過率が最小(約69%)になる。これは、図8において、λが550nm、領域の屈折率が1.40である場合に対応する正弦波状の線G1の谷が、物理膜厚が約98nm(≒550÷1.40÷4)となるあたりに位置していることに相当する。そして、領域の光学膜厚をさらにλ/4から大きくしていき、光学膜厚がλ/2となると、再び透過率が最大(約93%)になる。これは、図8において、線G1の山が、領域の物理膜厚が196nm(≒550÷1.40÷2)となるあたりに位置していることに相当する。以降同様に、光学膜厚を大きくしていくと、Mo×λ/4毎に山が現れ、Me×λ/4毎に谷が現れる。ここでMoは奇数であり、Meは偶数である。本発明で扱われるのは一回目の山が現れるまでの、光学膜厚が0以上λ/2の範囲である。
【0087】
線Dに限らず各線は、谷を中心として線対称である。そのため、低屈折率領域の光学膜厚がTである場合に所定の透過率であるとすると、光学膜厚がλ/2−Tである場合の透過率はこの所定の透過率と等しくなる。そして、光学膜厚がTより大きく、λ/2−Tより小さい場合の透過率は、この所定の透過率よりも低くなる。したがって、第1領域11の光学膜厚Tを上記Dとして光電変換部110への透過率を所定の透過率とする場合、第2領域22の光学膜厚TをTより大きくλ/2−Tより小さくとすることで、転送ゲート電極121への透過率を所定の透過率以下とすることができる。このことから、T<T<λ/2−Tが導かれる。
【0088】
図8では、屈折率が1.80の場合と1.40の場合を示しているが、例えば低屈折率領域の屈折率が1.60である場合や、1.40である領域と1.80である領域が混在している場合も考えられる。これらの場合は、λが550nm、領域の屈折率が1.80である場合に対応する正弦波状の線G2の最初の谷となる約76nm(≒550÷1.80÷4)のあたりと、線G1の最初の谷となる約98nmの間の範囲に谷がくると理解できる。 光電変換部110へ入射する光の波長が可視光(波長が400nm〜800nm)の場合、線R1と線G1と線B1との位置関係、および線R2と線G2と線B2との位置関係から、最初に山が現れる線は、線B2であることが理解できる。してみれば、線B2に関して、T<T<λ/2−Tを満たせば、転送ゲート電極121への透過率を光電変換部110への透過率よりも低くすることが可能である。低屈折率領域が酸化シリコンおよび酸窒化シリコンの少なくとも一方からなれば、低屈折率領域は1.40以上1.80以下の屈折率を有することになる。
【0089】
転送ゲート電極121がポリシリコンからなり、光電変換部110がシリコンからなる場合、光の吸収は短波長よりも長波長で生じやすい。光電変換部110への入射光は多い方が好ましく、転送ゲート電極121への入射光は少ない方が好ましい。そのため、光電変換部110に対しては、短波長の光の透過率を高くすることが好ましい。また、転送ゲート電極121に対しては、長波長の光の透過率を高くすることが好ましい。
【0090】
各線は正弦波状であることから、透過率の変化が最大になるのは、低屈折率領域の光学膜厚がλ/8となるあたりと、3λ/8となるあたりであり、Mo×λ/8と表すことが出来る。Moは奇数である。そして、低屈折率領域の物理膜厚が図8で示した線の山と谷となるときの物理膜厚の中間値をとるあたりである。してみれば、第1領域11の光学膜厚は短波長の光に対して、λ/8以下であることが好ましい。第2領域22の光学膜厚は長波長の光に対して、λ/8より大きく、3/8λより小さいことが好ましい。
【0091】
線B1に関して、低屈折率領域の光学膜厚がλ/8となるのは、物理膜厚が約35nm(≒400÷1.4÷8)である場合であり、低屈折率領域の光学膜厚が3λ/8となるのは、物理膜厚が約107nm(≒3×400÷1.4÷8)である場合である。
【0092】
線B2に関して、低屈折率領域の光学膜厚がλ/8となるのは、物理膜厚が約28nm(≒400÷1.8÷8)である場合であり、低屈折率領域の光学膜厚が3λ/8となるのは、物理膜厚が約83nm(≒3×400÷1.8÷8)である場合である。
【0093】
線R1に関して、低屈折率領域の光学膜厚がλ/8となるのは、物理膜厚が約71nm(≒800÷1.4÷8)である場合であり、低屈折率領域の光学膜厚が3λ/8となるのは、物理膜厚が約214nm(≒3×800÷1.4÷8)である場合である。
【0094】
線R2に関して、低屈折率領域の光学膜厚がλ/8となるのは、物理膜厚が約56nm(≒800÷1.8÷8)である場合であり、低屈折率領域の光学膜厚が3λ/8となるのは、物理膜厚が約167nm(≒3×800÷1.8÷8)である場合である。
【0095】
したがって、第1領域11の物理膜厚Dが35nm以下であれば、光電変換部110に対する透過率を可及的に高くできる。また、第2領域22の物理膜厚Dが167nmより小さければ、光電変換部110に対する長波長の光の透過率を可及的に低くできる。さらに、第2領域22の物理膜厚Dが83nmより小さければ、光電変換部110に対する長波長および短波長の光の透過率を可及的に低くできる。第2領域22の物理膜厚Dは第1領域11の物理膜厚Dよりも大きければよいが、第2領域22の物理膜厚Dが28nmより大きいことが好ましい。
【0096】
図8からは、線R1とR2,線G1とG2、線B1とB2との対比から、低屈折率領域の屈折率が高いよりも低い方が、透過率の変化が大きいことが理解される。してみれば、低屈折率領域を成す材料の大半が酸化シリコンであれば、酸窒化シリコンの存在は無視してもよいと考えることもできる。低屈折率領域が少なくとも酸化シリコンからなると、透過率をより低くすることができるため好ましい。実用的には、第2領域22を構成する中間部材200の物理膜厚d22が第1領域11の物理膜厚Dよりも厚く、中間部材200が酸化シリコンからなる場合には、酸窒化シリコンの存在を無視できる。そして、低屈折率領域の屈折率が1.80と仮定した場合の透過率の最小値が87%であることを考えれば、低屈折率領域の屈折率が1.40と仮定した場合には、透過率を87%未満にすることができるのである。そこで、第1領域11の透過率を87%以上とし、第2領域22の透過率を87%未満とすることを考える。
【0097】
人間の眼が最も敏感であると云われている550nmの光を短波長と長波長の境界とすれば、線G1に関して、透過率を87%未満にする条件が好ましいともいえる。図8から、線G1に関して透過率が87%未満となるのは低屈折率領域の物理膜厚が30nmより大きく165nmより小さい場合である。つまり、中間部材200の物理膜厚d22が第1領域11の物理膜厚よりも厚く、中間部材200が酸化シリコンからなる場合には、第1領域11の物理膜厚を30nm以下として、第2領域22の物理膜厚を30nmより大きく165nmより小さくすればよい。
【0098】
以上の検討に基づき、物理膜厚が4.5nmの酸化シリコン層と物理膜厚が3.5nmの酸窒化シリコン層を有する、物理膜厚が8nmの転送ゲート絶縁膜122を形成し、物理膜厚Dが250nmのポリシリコンからなる転送ゲート電極121を形成した。延在部1221は、転送ゲート絶縁膜122よりも酸窒化シリコン層が2nm薄く、その物理膜厚d11を6nmとした。酸化シリコンからなる中間部材200の物理膜厚d22を40nm、酸化シリコンからなる第1中間膜210の物理膜厚d12、d21を10nmとした。窒化シリコンからなる第1保護膜220の物理膜厚Dを50nmとした。つまり第1領域11の物理膜厚Dは14.5nmであり、第2領域22の物理膜厚Dは50nmである。酸化シリコンの屈折率が1.46となり、酸窒化シリコンの屈折率が1.73となり、窒化シリコンの屈折率が2.00となる条件で成膜している。したがって、第1領域11の光学膜厚Tは9.2nmであり、第2領域22の光学膜厚Tは73nmである。
【0099】
青色カラーフィルタと、緑色カラーフィルタと、赤色カラーフィルタをベイヤー配列してなるカラーフィルタアレイを光電変換領域101に配置した。青色カラーフィルタは450nmの青色光が主に透過し、緑色カラーフィルタは550nmの緑色光が主に透過し、赤色カラーフィルタは620nmの赤色光が主に透過する。そのため、実質的に、光電変換部110への入射光は、450nmか550nmか620nmに制限されているとみなすことができる。450nm、550nm、620nmの各入射光に対して透過率が最小になる光学膜厚(λ/4)は113nm、138nm、155nmである。450nm、550nm、620nmの各入射光に対して透過率の変化が最大になる光学膜厚(λ/8)は57nm、69nm、76nmである。このような光電変換装置100を用いて撮影を行ったところ、良好な画像を得ることができた。
【符号の説明】
【0100】
100 光電変換装置
1 半導体基板
110 光電変換部
140 信号生成部
120 転送ゲート
121 転送ゲート電極
122 転送ゲート絶縁膜
200 中間部材
210 第1中間膜
220 第1保護膜
11 第1領域
22 第2領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に設けられた光電変換部と、
前記光電変換部で生じた信号電荷に基づく電気信号を生成する信号生成部と、
前記信号電荷を前記光電変換部から前記信号生成部へ転送する転送ゲートと、を備える光電変換装置であって、
前記光電変換部を覆うとともに、前記転送ゲートのゲート電極の上面を覆う連続膜を備え、
前記連続膜と前記光電変換部との間に、前記連続膜の屈折率及び前記光電変換部の屈折率よりも低い屈折率を有し、前記連続膜と界面を成す第1領域が設けられ、
前記連続膜と前記ゲート電極の前記上面との間に、前記ゲート電極の屈折率及び前記連続膜の屈折率よりも低い屈折率を有し、前記連続膜と界面を成す第2領域が設けられており、
前記第1領域の光学膜厚をT、前記第2領域の光学膜厚をT、前記光電変換部へ入射する光の波長をλとして、T<T<λ/2−Tを満たすことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記連続膜と前記転送ゲートの前記ゲート電極の前記光電変換部側の側面との間に延在せずに、前記連続膜と前記ゲート電極の前記上面との間に設けられた、前記連続膜の屈折率及び前記光電変換部の屈折率よりも低い屈折率を有する中間部材を有し、
前記第2領域は、前記中間部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記シリコン基板と前記窒化シリコン膜との間に設けられ、前記光電変換部を覆うとともに、前記ゲート電極の上面を覆う、前記連続膜の屈折率及び前記光電変換部の屈折率よりも低い屈折率を有する中間膜を有し、
前記第1領域は、前記中間膜の、前記連続膜と前記光電変換部との間に位置する部分を含み、
前記第2領域は、前記中間膜の、前記連続膜と前記ゲート電極の前記上面との間に位置する部分を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
下記の要件(a)、(b)および(c)の少なくともいずれかを満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光電変換装置。
(a)T≦λ/8、かつ、λ/8≦T≦3λ/8
(b)T≦λ/4
(c)T≧2×T
【請求項5】
シリコン基板に設けられた光電変換部と、
前記光電変換部で生じた信号電荷に基づく電気信号を生成する信号生成部と、
前記信号電荷を前記光電変換部から前記信号生成部へ転送する転送ゲートと、を備える光電変換装置であって、
前記光電変換部を覆うとともに、ポリシリコンからなる前記転送ゲートのゲート電極の上面を覆う、窒化シリコン膜を備え、
前記窒化シリコン膜の前記光電変換部を覆う部分と前記光電変換部との間に、酸化シリコンおよび酸窒化シリコンの少なくとも一方からなり、前記窒化シリコン膜と界面を成す第1領域が設けられ、
前記窒化シリコン膜と前記ゲート電極の前記上面との間に、酸化シリコンおよび酸窒化シリコンの少なくとも一方からなる、前記窒化シリコン膜と界面を成す第2領域が設けられており、
前記光電変換部へ入射する光の波長が400nm以上800nm以下であって、前記第1領域の物理膜厚をD、前記第2領域の物理膜厚をDとして、D≦28nm、および、D<D<167nmを満たすことを特徴とする光電変換装置。
【請求項6】
前記窒化シリコン膜と前記転送ゲートの前記ゲート電極の前記光電変換部側の側面との間に延在せずに、前記窒化シリコン膜と前記ゲート電極の前記上面との間に設けられた、中間部材を有し、前記第2領域は、前記中間部材を含むことを特徴とする請求項5に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記中間部材は酸化シリコンからなることを特徴とする請求項6に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記シリコン基板と前記窒化シリコン膜との間に設けられ、前記光電変換部を覆うとともに、前記ゲート電極の上面を覆う中間膜を有し、
前記第1領域は、前記中間膜の、前記窒化シリコン膜と前記光電変換部との間に位置する部分を含み、
前記第2領域は、前記中間膜の、前記窒化シリコン膜と前記ゲート電極の前記上面との間に位置する部分を含むことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記第1領域は、前記転送ゲートのゲート絶縁膜の、前記ゲート電極と前記基板との間から延在して前記光電変換部を覆う部分を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記中間部材の光学膜厚が、前記第1領域の光学膜厚よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置、または、
前記中間部材の物理膜厚が、前記第1領域の物理膜厚よりも大きいことを特徴とする請求項6または7に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記中間部材の下面が前記ゲート電極の前記上面と接しており、前記中間部材の前記下面の前記転送ゲートの転送方向における長さが、前記ゲート電極の前記上面の前記転送方向における長さと等しく、かつ、前記中間部材の物理膜厚よりも大きい特徴とすることを特徴とする請求項2、6、7または10に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記基板を覆う絶縁膜に囲まれた、前記絶縁膜の屈折率よりも高い屈折率を有する導光部材が前記光電変換部の上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記信号生成部で生成された前記電気信号を処理する信号処理部を備え、
前記信号処理部のトランジスタが下記の要件(i)、(ii)、(iii)、(iv)および(v)の少なくともいずれかを満たすことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光電変換装置。
(i)前記トランジスタのドレインがシリサイド層で覆われている。
(ii)前記トランジスタのゲート電極の上面がシリサイド層で覆われている。
(iii)前記トランジスタがサイドウォールスペーサを有しており、前記サイドウォールスペーサは、第1誘電体層と、前記第1誘電体層と前記トランジスタのゲート電極との間に設けられた、前記第1誘電体層よりも低い誘電率を有する第2誘電体層と、を含む。
(iv)前記トランジスタのゲート電極と前記転送ゲートの前記ゲート電極とが同一導電型のポリシリコンからなり、前記トランジスタの前記ゲート電極の不純物濃度が前記転送ゲートの前記ゲート電極の不純物濃度よりも高い。
(v)前記トランジスタのゲート絶縁膜の物理膜厚が、前記転送ゲートのゲート絶縁膜の物理膜厚よりも小さい。
【請求項14】
400nm≦λ≦800nmを満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光電変換装置、または、
前記光電変換部の上にカラーフィルタを備えることを特徴とする請求項5または7に記載の光電変換装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の光電変換装置と、
前記電気信号に基づく画像を処理する画像処理部および前記電気信号に基づく画像を表示する画像表示部の少なくとも一方を備えることを特徴とする撮像システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−84741(P2013−84741A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223292(P2011−223292)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】