説明

入力装置及びこれを用いた入力ユニット

【課題】主に自動車のフロントパネルに配置された表示手段に表示されたメニューを、選択操作する入力装置及びこれを用いた入力ユニットに関するものであり、操作が容易で確実な入力が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】左右方向へ直線移動可能な第1の移動体12に、この第1の移動体12の移動方向と直交する前後方向へ直線移動可能な第2の移動体22を装着すると共に、第2の移動体22に配設した操作体27の操作位置を、第1の移動体12の移動量を検出する第1の検出手段17と、第2の移動体22の移動量を検出する第2の検出手段25から、制御手段18が検出することによって、表示手段32のカーソルを移動してメニューの選択などを行う場合、カーソルの動きと操作体27の動きが近似しているため、操作が行い易く、確実な入力が可能な入力装置30及びこれを用いた入力ユニットを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車のフロントパネルに装着された、液晶ディスプレーなどの表示手段の画面に表示された複数のメニューを、操作体の操作によって選択し、カーナビゲーションシステムやオーディオ、あるいは空調装置などの電子機器を制御する入力装置及びこれを用いた入力ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車のフロントパネルに液晶ディスプレーなどの表示手段を装着し、この表示手段に表示された複数のメニューを選択することによって、カーナビゲーションシステム(以下、カーナビと記載する)などの電子機器を制御する入力装置及びこれを用いた入力ユニットが増えてきている。
【0003】
このような従来の入力ユニットについて、図7、図8を用いて説明する。
【0004】
図7は従来の入力ユニットの平面図で、同図において、1は操作手段、2はパネルで、上下左右及び斜め方向の全方向へ回転可能、かつ前後方向へ押圧可能な球状のボール操作体1Aがパネル2表面から突出すると共に、操作手段1内には、ボール操作体1Aの回転を検知する磁気や光等のセンサ、及び押圧によって電気的接離を行うスイッチ接点等の検出手段1B(図示せず)が内蔵されている。
【0005】
そして、検出手段1Bにはマイコンなどからなる制御手段3(図示せず)が接続され、この制御手段3が検出手段1Bによってボール操作体1Aの回転方向と回転量を検出するように形成されている。
【0006】
また、4は液晶ディスプレーなどの表示手段で、この表示手段4下方には「行き先」、「現在地」、「他モード」といったカーナビの各種モードを選択するためのプッシュスイッチ5が複数並んで配置されている。
【0007】
そして、この表示手段4やプッシュスイッチ5が制御手段3に接続されると共に、ボール操作体1Aを所定方向へ回転させることによって、制御手段3がボール操作体1Aの回転操作に応じた分だけカーソルを移動させるようにして入力ユニット6が構成されている。
【0008】
また、このような入力ユニット6は、図8の外観図に示すように、自動車の室内のフロントパネルの略中央に装着される。
【0009】
そして、例えば、カーナビを操作して所望の行き先までのルートを設定する場合には、まず、入力ユニット6の所定のプッシュスイッチ5を押圧して、表示手段4の表示を図7(a)に示すような行き先設定用の画面に切換える。
【0010】
この時、表示手段4にはひらがなや記号などが「あいうえお」順に縦に並んだ列が、右側から左に向って「あ、か、さ、た、な・・」順に並んで50音文字選択用の文字メニューが表示されると共に、文字メニューの下方には「検索」、「戻る」、「クリア」などのカーナビのシステム操作用のコマンドメニューが並んで表示される。
【0011】
なお、このような文字メニューが表示された初期状態においては、カーソルは通常、表示手段4右端上方にある先頭の文字「あ」に位置している。
【0012】
そして、例えば、行き先を「きょうと」と入力する場合には、表示手段4に表示された文字メニューの内、選択する文字の「き」、「ょ」、「う」、及び「と」にカーソルを順次移動させて、各々確定操作することによって選択される。
【0013】
具体的には、まず、図7(a)に示す表示手段4を見ながら、カーソルを「あ」から左斜め下の「き」に移動させ選択するために、ボール操作体1Aの球面を指先で左斜め下方向へ回転すると、カーソルがボール操作体1Aの回転操作に応じて移動し、図7(b)に示す「き」の位置で指先の動きを止めると、カーソルがこの位置で停止する。
【0014】
そして、カーソルが「き」の位置で停止した状態で、ボール操作体1Aを押圧操作すると、「き」が確定入力されて「検索」表示の下方の入力表示部に「き」が表示されて選択される。
【0015】
次に、「ょ」を選択するには、図7(b)に示すように、「き」の位置にあるカーソルを、表示手段4の左端近傍にある「ょ」の位置へ移動させるために、表示手段4上のカーソルの動きを見ながら、指先でボール操作体1Aを左方向へ回転して、カーソルを図7(c)に示すように「ょ」に移動させた後、ボール操作体1Aを押圧し確定入力すると、「ょ」が「き」の隣に表示されて選択される。
【0016】
さらに、引続き「う」や「と」を選択するには、図7(d)、(e)に示すように、「き」や「ょ」を選択した場合と同様に、ボール操作体1Aを指先で回転してカーソルを右端の「う」や略中央の下方にある「と」へ移動させた後、各々ボール操作体1Aを押圧して確定入力すると、入力表示部には「き」、「ょ」に並んで「う」と「と」が選択され、図7(f)に示すように、「きょうと」が表示される。
【0017】
なお、以上のような操作に用いられるボール操作体1Aの大きさは直径で約10mm程度であり、比較的小さなボール操作体1Aの回転操作でカーソルの移動を行うため、ボール操作体1Aの回転量に対してカーソルは比較的大きく移動するようになっている。
【0018】
また、表示手段4に表示されたカーソルを移動するには、ボール操作体1Aを指先で回転しながら、表示手段4上のカーソルの動く方向と移動量を確認しつつ、回転方向の軌道修正や回転量を手加減しながら何回か操作を行って、カーソルを移動させることが必要となる。
【0019】
そして、入力表示部に「きょうと」が表示された状態で、カーソルを移動してコマンドメニューの「検索」を選択し、ボール操作体1Aを押圧して確定すると、「きょうと」に対応した目的地名、例えば「京都駅」、「京都市役所」などが表示手段に表示される。
【0020】
この後、操作手段1によって、これらの中から所望の目的地、例えば、「京都駅」を選択し、確定入力すると、現在地から京都駅までのルートや所要時間予測などが表示手段4に表示されるようにして、入力ユニットが構成されているものであった。
【0021】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−38227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、上記従来の入力ユニット6においては、表示手段4の平面上を移動するカーソルを、ボール操作体1Aへの回転操作によって操作すると共に、ボール操作体1Aの回転量とカーソルの動きが一致しづらいため、カーソルの細かな移動が行いづらく、操作に手間がかかるという課題があった。
【0023】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、操作が容易で確実な入力が可能な入力装置及びこれを用いた入力ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0025】
本発明の請求項1に記載の発明は、所定方向へ直線移動可能な第1の移動体に、この第1の移動体の移動方向と直交する方向に直線移動可能な第2の移動体を装着すると共に、第2の移動体に配設した操作体の操作位置を、第1の移動体の移動量を検出する第1の検出手段と、第2の移動体の移動量を検出する第2の検出手段によって、制御手段が検出するようにして入力装置を構成したものであり、この入力装置によって表示手段のカーソルの移動などを行う場合、カーソルの動きと操作体の動きが近似しているため、ボール操作体などを指先等で操作する入力装置に比べ、操作が行い易く、確実な入力が可能な入力装置を得ることができるという作用を有する。
【0026】
請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、第1の移動体及び第2の移動体に各々付勢手段を設け、操作体を所定位置へ付勢したものであり、操作体から手を離すと操作体が常に所定位置へ自動復帰するため、例えばカーソルを右端から左端へ移動させる場合などに、操作移動範囲が短くなり、さらに操作を容易に行うことができるという作用を有する。
【0027】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の入力装置の制御手段に表示手段を接続すると共に、操作体の操作によって表示手段に表示された複数のメニューを選択するようにして入力ユニットを構成したものであり、操作が容易で確実な入力が可能な入力ユニットを実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、操作が容易で、確実な入力が可能な入力装置及びこれを用いた入力ユニットを提供することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0030】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による入力装置の斜視図、図2は同分解斜視図であり、同図において、10は断面が略コの字状で左右方向に直線状に形成された金属板製の第1のガイドレール、11は断面が略コの字状で両側面の所定箇所に複数の保持孔11Aが形成された金属製の第1の滑動体で、第1のガイドレール10の内側に直線移動可能に収納されている。
【0031】
そして、12は断面が略コの字状で金属製の第1の移動体で、一端には孔が形成された係合部12Aが後方へ突出している。
【0032】
また、13は金属ボールで、第1の滑動体11の保持孔11Aに回転可能に保持され、第1の移動体12が滑動体11の内側に収納されると共に、第1のガイドレール10に対して第1の滑動体11に保持された金属ボール13を介して、第1の移動体12が滑らかに直線移動できるようになっている。
【0033】
さらに、14は引張りコイルばねなどの第1の付勢手段で、第1の移動体12の左右両端に各第1の付勢手段14の一端が、第1のガイドレール10の両端に各第1の付勢手段14の他端が、ビス15によって各々係止されている。
【0034】
なお、第1の付勢手段14は第1の移動体12の両端にやや引張られた状態で装着され、この左右の第1の付勢手段14によって、第1の移動体12がその移動範囲の略中間に付勢され、保持されるようになっている。
【0035】
そして、16は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、この配線基板16の上下面には銅箔等の複数の導電パターン(図示せず)が形成されると共に、第1のガイドレール10がビス15によって前方に固定されている。
【0036】
また、17はスライド操作型可変抵抗器などの第1の検出手段で、上面に突出した駆動部17Aが第1の移動体12の係合部12Aに係合し、第1の移動体12の移動に伴って並行して移動可能に配置されている。
【0037】
さらに、配線基板16上面の導電パターンにはマイコン等の各種電子部品が実装されて、制御手段18が形成されている。
【0038】
そして、19は断面が略コの字状で直線状に形成された金属製の第2のガイドレール、20は金属板製の連結体で、第2のガイドレール19の底面が連結体20を介して第1の移動体12上面にビス15によって固定されている。
【0039】
なお、第2のガイドレール19は第1の移動体12の移動方向に対し直交する方向に長手方向が配置されている。
【0040】
また、21は略コの字状で両側面の所定箇所に複数の保持孔21Aが形成された金属製の第2の滑動体で、第2のガイドレール19の内側に第2の滑動体21が直線移動可能に収納されている。
【0041】
そして、22は断面が略コの字状で金属製の第2の移動体で、一端には孔が形成された係合部22Aが左方へ突出すると共に、第2の滑動体21の保持孔21Aに回転可能に保持された金属ボール13を介して、第2の移動体22が第2のガイドレール19に対してスムーズに直線移動可能に第2の滑動体21の内側に収納されている。
【0042】
また、23は引張りコイルばねなどの第2の付勢手段であり、この第2の付勢手段23の後部が第2のガイドレール19の後端に、前部が第2の移動体22の後端にビス15によって各々係止されて、第2の移動体22が第2のガイドレール19後端方向に付勢保持されている。
【0043】
さらに、24は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、この配線基板24の上面に銅箔等の複数の導電パターン(図示せず)が形成されると共に、第2のガイドレール19がビス15によって左右に固定されている。
【0044】
また、25は配線基板24に実装されたスライド操作型可変抵抗器などの第2の検出手段で、上面に突出した駆動部25Aが第2の移動体22の係合部22Aに係合し、第2の移動体22の移動に伴って並行して移動可能に配置されている。
【0045】
さらに、27は第2の移動体22の先端部に上方に突出して配設された略円筒状の操作体で、下方にプッシュスイッチ26が配置されると共に、上方にはプッシュスイッチ26を押圧可能にボタン27Aが配置されている。
【0046】
また、第2の検出手段25やプッシュスイッチ26は各々リード線28によって第1の配線基板16に接続された上、配線パターンを介して制御手段18に接続されると共に、第1の検出手段17も配線パターンを介して制御手段18に接続されて、入力装置30が構成されている。
【0047】
つまり、この入力装置30は、操作体27を所定の方向へ操作すると、左右方向へは第1の移動体12が第1のガイドレール10に対して滑らかに直線移動すると共に、前後方向へは第2の移動体22が第2のガイドレール19に対して滑らかに直線移動し、操作体27が第1の移動体12と第2の移動体22の可動範囲内の平面上を任意に平行移動可能なものとなっている。
【0048】
また、第1の移動体12の左右方向への移動に伴って、係合部12Aに係合した第1の検出手段17の駆動部17Aが移動することによって、駆動部17Aの移動に応じた電圧を第1の検出手段17が出力する。
【0049】
さらに、第2の移動体22の前後方向への移動に伴って、係合部22Aに係合した第2の検出手段25の駆動部25Aが移動することによって、駆動部25Aの移動に応じた電圧を第2の検出手段25が出力し、これら第1の検出手段17と第2の検出手段25からの出力電圧によって、制御手段18が操作体27の可動範囲内での相対的な操作位置を検出するようになっている。
【0050】
また、第1のガイドレール10や第2のガイドレール19は、左右及び前後方向の長さが100〜300mm前後に形成され、操作体27が左右及び前後方向に約50〜200mm前後移動操作可能なようになっている。
【0051】
そして、このような入力装置30は、図3の外観図に示すように、例えば、自動車の車室内において、運転席横のコンソールボックス31の上方内部に第1の配線基板16などの本体が配置され、コンソールボックス31から前方へ第2の移動体22先端の操作体27が突出して装着される。
【0052】
また、32はフロントパネルに配置された表示手段で、上方には文字や記号、及び地図などを表示する液晶ディスプレーなどの画面32Aが配置されると共に、下方には、図4(a)に示すように、例えば「行き先」、「現在地」、「他モード」といったカーナビの各種モードを選択するためのプッシュスイッチ32Bが複数並んで配置されている。
【0053】
さらに、表示手段32は自動車のカーナビやTV機器などの電子機器(図示せず)に接続されると共に入力装置30の制御手段18に接続され、このような入力装置30と表示手段32によって入力ユニットが構成されている。
【0054】
そして、以上の構成の入力ユニットにおいて、例えば、カーナビを操作して所望の行き先までのルートを設定する場合には、まず、表示手段32の所定のプッシュスイッチ32Bを押圧して、図4(a)に示すように、画面32Aの表示を行き先設定用の画面に切換える。
【0055】
この時、画面32Aにはひらがなや記号などが「あいうえお」順に縦に並んだ列が、右側から左に向って「あ、か、さ、た、な・・」順に並んで50音文字選択用の文字メニューが表示されると共に、文字メニューの下方には「検索」、「戻る」、「クリア」などのカーナビのシステム操作用のコマンドメニューが並んで表示されている。
【0056】
そして、入力装置30の操作体27に触れていない状態では、第2の移動体22先端に配設された操作体27は、図1に示すように、左右方向の可動範囲の略中間で、前後方向の可動範囲の後端の所定位置である基準位置に付勢保持されている。
【0057】
なお、操作体27が基準位置にある時には、表示手段32の画面32Aに表示されているカーソルは、操作体27の基準位置と同様に左右方向に配列されたひらがなの略中間で前後方向の後端にあたる位置の文字、例えば「ほ」に位置している。
【0058】
そして、例えば、行き先を「きょうと」と入力する場合には、画面32Aに表示された文字メニューの内、選択する文字「き」、「ょ」、「う」、及び「と」にカーソルを順次移動させて、各々確定入力することによって選択される。
【0059】
具体的には、まず、図4(a)に示すように、「き」を選択するために、操作体27を手で握り画面32Aを見ながらカーソルを画面32Aの「ほ」から右斜め前の「き」に移動させる動きに相対して、操作体27を図1に示す基準位置から図5に示す位置へ、可動範囲の平面上を平行移動させる。
【0060】
つまり、この時、操作体27を操作すると、前後方向については、第2の移動体22が付勢手段23の付勢力に逆らって滑動体21を介し、第2のガイドレール19に対し前方へ移動すると共に、係合部22Aに係合した第2の検出手段25の駆動部25Aが前方へ移動する。
【0061】
また、一方、左右方向については、第2の移動体22が固定された第1の移動体12が付勢手段14の付勢力に逆らって滑動体11を介し、第1のガイドレール10に対して右方向へ移動すると共に、係合部12Aに係合した第1の検出手段17の駆動部17Aが右方へ移動する。
【0062】
従って、第2の移動体22による前方向への移動と、第1の移動体12による右方向への移動が同時に行われ、操作体27が右斜め前に滑らかに移動すると共に、駆動部25Aの前方への移動による第2の検出手段25の出力と駆動部17Aの右方への移動による第1の検出手段17の出力に基づいて、制御手段18が操作体27の操作位置を検出し、さらにこの操作位置に応じて表示手段32のカーソルを「き」の位置へ移動させる。
【0063】
そして、このようにカーソルが「き」の位置になった状態でボタン27Aを押圧すると、プッシュスイッチ26の電気的接離が行われ、これを制御手段18が検出して「き」が確定入力され、図4(b)に示すように、「検索」コマンド表示の下方の入力表示部に「き」が表示されて選択される。
【0064】
次に、「ょ」を入力する場合には、図4(b)に示すように、「き」の位置にあるカーソルを画面32Aの左端近傍にある「ょ」の位置へ移動するために、画面32A上のカーソルの動きを見ながら、操作体27を可動範囲の平面上を平行移動させて、カーソルを移動させ、その後、図4(c)に示すように、ボタン27Aを押圧することにより確定入力された「ょ」が「き」の隣に表示されて選択される。
【0065】
なお、この時、「き」を入力した後、操作体27から一旦手を離すと、操作体27は第1の付勢手段14と第2の付勢手段23の付勢力によって左右方向の略中間で、前後方向の後方である基準位置の「ほ」の位置に自動復帰する。
【0066】
従って、次にこの「ほ」から「ょ」を入力するには、操作体27を「き」から「ょ」に移動する場合に比べ短い操作体27の移動で済むことになる。
【0067】
さらに、引続き「う」や「と」を選択するには、図4(d)、(e)に示すように、「き」や「ょ」を選択した場合と同様に、カーソルを移動させたい方向に合わせて操作体27を移動させて、カーソルが各々所定の文字の位置に来た時に、ボタン27Aを押圧し確定入力することにより、入力表示部には「き」、「ょ」に並んで「う」と「と」が表示されて、図4(e)に示すように「きょうと」が入力される。
【0068】
つまり、操作体27を手で握りながら平面上を左右、前後、又は斜め方向に自由に操作して、画面32Aのカーソルを直接移動させるような感覚で操作が可能であり、背景技術で説明したようなボール操作体を指先で回転しながらカーソルを移動させる場合に比べ、カーソルの所定位置への移動が素早く容易に操作可能なものとなっている。
【0069】
また、表示手段32の画面32Aの大きさは、自動車に装着される液晶ディスプレーなどの場合、縦横100〜150mm前後のものが多く使用されるため、操作体27の前後及び左右方向の移動操作を、50〜200mm前後とすることによって、カーソルの動きと操作体27の動きが近似し、さらに操作を行い易くすることができる。
【0070】
さらに、操作体27から手を離すと、第1の付勢手段14と第2の付勢手段23によって、左右方向の略中間で前後方向の後方である基準位置の「ほ」の位置に自動復帰するため、次の操作位置への操作異動範囲が短くなると共に、操作初めに都度、カーソル位置を確かめることが不要となり、より容易に操作を行うことが可能なようになっている。
【0071】
そして、入力表示部に「きょうと」が表示された状態で、コマンドメニューの「検索」を選択してボタン27Aを押圧して確定すると、「きょうと」に対応した目的地名、例えば、「京都駅」、「京都市役所」などが画面32Aに表示され、さらに、これらの中から所望の目的地、例えば、「京都駅」を選択、確定すると、現在地から京都駅までのルートや所要時間予測などが画面32Aに表示されるようにして、入力ユニットが構成されている。
【0072】
このように、本実施の形態によれば、左右方向へ直線移動可能な第1の移動体12に、この第1の移動体12の移動方向と直交する前後方向へ直線移動可能な第2の移動体22を装着すると共に、第2の移動体22に配設した操作体27の操作位置を、第1の移動体12の移動量を検出する第1の検出手段17と、第2の移動体22の移動量を検出する第2の検出手段25から、制御手段18が検出することによって、表示手段32のカーソルを移動してメニューの選択などを行う場合、カーソルの動きと操作体27の動きが近似しているため、操作が行い易く、確実な入力が可能な入力装置30及びこれを用いた入力ユニットを得ることができるものである。
【0073】
また、このような入力装置30を自動車の運転席横の近傍で、座った状態で操作体27を手で掴んで操作可能な位置、好ましくは肘掛の前方に配置することにより、肘掛に肘を置いた状態で操作体27をその可動範囲の平面上を平行移動させることで、表示手段32の複数のメニューの選択操作ができるため、背景技術で説明したようにボール操作体やスイッチを手を伸ばして操作する場合に比べ、簡易に操作が可能な入力ユニットにすることができる。
【0074】
さらに、第1の移動体12を可動範囲の略中間に付勢する第1の付勢手段14と、第2の移動体22を後方へ付勢する第2の付勢手段23を設けることにより、操作体27が常に左右方向の略中間で後方位置の基準位置に付勢保持されるため、操作移動させた後、操作体27から一旦、手を離すと操作体27が基準位置へ自動復帰し、都度、画面32Aのカーソル位置を確認して次の操作を行う必要がないため、次の移動位置への方向を定め易く、操作し易いものにすることができると共に、自動車運転時の振動や遠心力などによって操作体27が移動することもないため、安定した保持が可能なものとすることができる。
【0075】
なお、第2の付勢手段23を第2の移動体22の両端に前後方向の各々に設けて、前後方向の可動範囲の略中間に付勢保持したり、または、左右方向の左端または右端に操作体27を保持するように、第1の付勢手段14を左右いずれかに設けたりすることによって、付勢保持したい所定位置を様々な位置に設けることもできる。
【0076】
また、以上の説明では操作体27の中央に押圧可能なボタン27Aを設けて、このボタン27Aを押圧してプッシュスイッチ26の電気的接離を行う構成としたが、図6に示すように、操作体27外周の運転席側の側面にボタン27Bを設けると共に、このボタン27Bの押圧操作に応じて電気的接離するスイッチ(図示せず)を操作体27内部に設けることによって、操作体27を手で握ったまま親指でボタン27Bの押圧操作がし易くなるため、さらに操作を行い易くすることができる。
【0077】
なお、以上の説明では、第1及び第2の検出手段17、25にスライド操作型可変抵抗器を用いたものについて説明したが、発光素子と光検出素子、または磁石と磁気検出素子などを用いて、これら一対の素子のいずれか一方の部材を移動体に装着すると共に、他方をガイドレールまたは配線基板に装着して、移動体の移動量を検出するものとしても本発明の実施は可能である。
【0078】
さらに、以上の説明では、第1の移動体12や第2の移動体22の直線移動をスムーズなものにするため、第1の滑動体11や第2の滑動体21が回転可能に保持された金属ボール13を介して第1の移動体12や第2の移動体22が移動するものとしたが、第1の滑動体11や第2の滑動体21、及び金属ボール13に代えて、第1の移動体12と第1のガイドレール10の間や、第2の移動体22と第2のガイドレール19の間に、潤滑剤を塗布したり、潤滑性のある表面処理を各部材に行うなどの潤滑手段を設けてスムーズな移動が可能なものにしても良い。
【0079】
また、以上の説明では、略円筒状の操作体27が第2の移動体22の先端の上方に突出したものとして説明したが、前方や下方に突出させたり、所定の方向に突出させたものでも良く、さらに、操作体27の形状もパーソナルコンピュータのマウスのような握り易い形状のものにするなど、操作し易いように操作体を配置したり、形状にしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明による入力装置及びこれを用いた入力ユニットは、操作が容易で確実な入力が可能なものを得ることができるものであり、主に自動車のカーナビなどの電子機器の制御に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施の形態による入力装置の斜視図
【図2】同分解斜視図
【図3】同車室内の外観図
【図4】同表示手段の平面図
【図5】同操作時の斜視図
【図6】同他の実施の形態による斜視図
【図7】従来の入力ユニットの平面図
【図8】同車室内の外観図
【符号の説明】
【0082】
10 第1のガイドレール
11 第1の滑動体
11A、21A 保持孔
12 第1の移動体
12A、22A 係合部
13 金属ボール
14 第1の付勢手段
15 ビス
16 第1の配線基板
17 第1の検出手段
17A、25A 駆動部
18 制御手段
19 第2のガイドレール
20 連結体
21 第2の滑動体
22 第2の移動体
23 第2の付勢手段
24 第2の配線基板
25 第2の検出手段
26 プッシュスイッチ
27 操作体
27A ボタン
28 リード線
30 入力装置
31 コンソールボックス
32 表示手段
32A 画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向へ直線移動可能な第1の移動体と、この第1の移動体に装着されると共に上記第1の移動体の移動方向と直交する方向へ直線移動可能な第2の移動体と、上記第1の移動体の移動量を検出する第1の検出手段と、上記第2の移動体の移動量を検出する第2の検出手段と、上記第1及び第2の検出手段に接続された制御手段からなり、上記第2の移動体に操作体を配設すると共に、上記制御手段が上記第1及び第2の検出手段によって上記操作体の操作位置を検出する入力装置。
【請求項2】
第1の移動体及び第2の移動体に各々付勢手段を設け、操作体を所定位置へ付勢した請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
請求項1記載の入力装置の制御手段に表示手段を接続すると共に、操作体の操作によって上記表示手段に表示された複数のメニューを選択する入力ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−194009(P2007−194009A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9551(P2006−9551)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】