説明

内燃機関のキャニスタパージ制御装置

【課題】必要なパージ流量を確保することができないという問題を解決すること。
【解決手段】燃料タンクで蒸発した燃料を回収する燃料蒸気回収手段と、回収された燃料を燃焼室にパージする回収燃料パージ手段と、パージ空燃比を推定するパージ空燃比推定手段と、エンジン回転数と吸入空気量に基づく基本燃料噴射量をパージ空燃比に基づいて補正する手段とを備えている。制御装置は、パージ導入時のパージ率に対しパージ率を変えてパージするとき、パージ導入時に対するパージ率の増加率と燃料蒸気ガスの増加率とが比例関係にある状態では、パージ率を増加してパージし、燃料蒸気ガスの増加率が比例関係にない状態では、パージ率を固定にすることで、パージ濃度が高いときに高パージ率を、パージ濃度が低いときには、低パージ率を維持してパージする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関のキャニスタパージ制御装置に係り、特に燃料蒸気ガス濃度を考慮してパージするパージ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に内燃機関には、燃料噴射弁による燃料供給のほか、燃料タンク内で発生する蒸発燃料(エバポガス)を吸気系に放出して供給するエバポパージ処理を行うものがある。該エバポパージ処理は、前記エバポガスをキャニスタに回収・吸着させた後、該キャニスタに外気を導入することによって前記吸気系に放出することが知られている。
【0003】
この場合、前記燃料噴射弁による燃料と、前記エバポパージ処理による燃料とを合わせた空燃比制御が必要であることから、前記エバポガスのHC濃度を考慮したキャニスタパージ制御装置に関する技術が各種提案されている。
【0004】
前記エバポパージ処理による空燃比変動を抑制するため、パージ流量はエンジンへの吸入空気量に対するパージ率として、制御パージ率が所定値となるよう絞り弁の通過空気量の変化に追従させてキャニスタパージバルブを制御することにより、パージ流量が絞り弁の通過空気量の一定割合(パージ率)となるよう制御して、空燃比フィードバックへの悪影響を防止している。
【0005】
また、パージ実施時の空燃比フィードバック補正係数が、パージ停止中の空燃比フィードバック補正係数とのずれ量とパージ率によりパージ濃度を推定し、該濃度値とパージ率からパージ実施中の燃料蒸気の増加分を算出し、燃料噴射弁を開弁させるための燃料噴射弁出力値を補正(エバポ補正)することでパージ停止中に通常の燃料制御で供給する燃料分から、パージ実施中の燃料蒸気の増加分を減算することにより、空燃比フィードバック補正係数が中央値となるように制御して安定した空燃比制御を実現している(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−65165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、パージ初期にキャニスタから脱離してくる濃いエバポガスが導入される場合は、エバポガスの濃度が一定であるから、一定の割合でパージするように制御した場合には、推定した燃料蒸気ガスが吸入空気量と比例関係にあるため、燃料蒸気ガス増加分の燃料を減算することで空燃比の変動は抑えられる。しかし、パージが充分に進行した後では、エアフローメーターで計量されていないパージに用いられる新気が吸気系に流れ込むのと燃料蒸気ガス増加分に対する燃料減算補正値とにずれが生じ、空燃比がリーンにずれて排気エミッションを悪化する等の悪影響を及ぼすという問題があった。
【0008】
また、エバポガスの濃度が高い状態では、パージ率を大きく設定すると高濃度のエバポガスが一気にエンジンに吸入されるため、空燃比がリッチにずれて悪影響を及ぼすため、高濃度時にはパージ率を小さく設定する必要があるが、この場合、大量にパージ処理ができないため、エバポガスを漏出してしまい、エバポガスの蒸散防止性能を向上できないという問題もあった。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、パージが充分に進行した後の新気による空燃比リーンの発生を防止するとともに、高濃度の燃料蒸気ガス発生時でも大量にパージできるようにして、エバポガスの蒸散防止性能の向上を図ることができる、内燃機関のキャニスタパージ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の内燃機関のキャニスタパージ制御装置は、燃料タンクで蒸発した燃料を回収する燃料蒸気回収手段と、前記回収された燃料を燃焼室にパージする回収燃料パージ手段を備え、該制御装置は、パージ空燃比を推定するパージ空燃比推定手段と、エンジン回転数と吸入空気量に基づく基本燃料噴射量を、パージ空燃比に基づいて補正する手段を有し、パージ導入時のパージ率に対しパージ率を変えてパージするとき、パージ導入時に対するパージ率の増加率と燃料蒸気ガスの増加率とが比例関係にある状態では、パージ率を増加してパージすることを特徴としている。
【0011】
本発明は、パージ導入時のパージ率に対し、パージ導入時以降のパージにおけるパージ率とパージ空燃比に基づく燃料蒸気ガスの増加率とが比例関係にあるときはパージ率を段階的に増加するとともに、基本燃料噴射量を、パージ空燃比に基づいて補正するので、空燃比がリッチにずれることなくパージ率を増加することができ、空燃比を適正に維持しながらパージ量を増やすことができるので、エバポガスを漏出せず、エバポガスの蒸散防止性能を向上することができる。
【0012】
また、本発明の内燃機関のキャニスタパージ制御装置は、パージ導入時の初回のパージを所定のパージ率で行い、次回のパージ率の増加は、初回のパージ率によるパージ空燃比に基づいて決定されることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の内燃機関のキャニスタパージ制御装置は、パージ導入時のパージ率に対しパージ率を増加してパージするとき、パージ導入時に対するパージ率の増加率と燃料蒸気ガスの増加率とが比例関係にない状態では、パージ率の増加を止め、その時のパージ率に固定しパージを行うことを特徴としている。本発明は、パージ率に対してパージ空燃比の燃料蒸気ガスの増加率が比例関係にない状態(燃料蒸気ガスの低下)では、パージ率を変化させずに固定にすることで、燃料蒸気ガスに対する燃料減算量の誤算出を無くし、空燃比の悪化を防止できる。
【0014】
さらに、本発明の内燃機関のキャニスタパージ制御装置は、燃料蒸気ガスの増加率の加減によりパージ率を加減するように制御することを特徴としている。
【0015】
本発明の内燃機関のキャニスタパージ制御装置は、燃料蒸気ガスのパージ空燃比が目標空燃比より小さくなった場合には、パージの導入を終了し、所定のパージ停止時間が経過した後、パージを再開することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、パージ率に対して燃料蒸気ガスの増加率が比例関係にある状態ではパージ率を増加させるとともに、燃料蒸気ガス増加に伴う燃料噴射量を減算することにより空燃比の悪化を防止でき、パージ濃度が高いときに高パージ率でパージし、パージ濃度が低いときには低パージ率でパージすることができるので、運転性、排気ガスエミッションへの悪化を抑制するとともに、効率の良いパージを行うことで、燃料蒸気ガスの蒸散防止性能を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明に係る内燃機関のキャニスタパージ制御装置の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態のキャニスタパージ制御装置を備えたエンジンシステムの全体構成を示したものである。内燃機関1は、V型6気筒エンジンであり、1つのバンクに対して3つの気筒を有する気筒群が備えられている。そして、各バンクA、Bの各気筒群27a、27bには、吸気マニホールド11a、11b及び排気マニホールド21a、21bが設置され、前記吸気マニホールド11a、11bは、分岐した吸気管として構成されている。
【0018】
また、該吸気マニホールド11a、11bは、サージタンク9及びスロットルボディ5を介してエアクリーナ2に接続されており、エアクリーナ2の入り口部3から吸入された空気は、吸気ダクト4を通ってスロットルボディ5に入る。前記吸気ダクト4には、吸入空気量を検出する空気流量計(AFM)7が、さらに前記スロットルボディ5には、空気流量を制御する絞り弁6、及び該絞り弁6の開度を計測するスロットルセンサ8が各々の適宣位置に設置されている。また、スロットルボディ5には、絞り弁6をバイパスする補助空気バルブ(ISCバルブ)10が設けられており、アイドル回転数が一定に保たれるように空気量が制御されている。そして、スロットルボディ5を通った空気はサージタンク9に入り、吸気マニホールド11a、11bによって分配されて気筒群27a、27b内に入る。
【0019】
一方、燃料タンク13内の燃料は、燃料ポンプ26で吸引・加圧され、燃料フィルタ15を通り、吸気マニホールド11a、11bに設置され、燃料を燃焼室に噴射する手段の一態様である燃料噴射弁(インジェクタ)12a、12b…に供給されて噴射される。
【0020】
ここで、燃料タンク13内で発生した蒸発燃料(エバポガス)は、配管46を通って蒸発燃料を回収する燃料蒸気回収手段の一態様であるキャニスタ40に吸着され、一時回収される。キャニスタ40には、外気を導入する空気導入口45が設けられている。回収された燃料は、内燃機関1の運転中において、空気導入口45からの空気とともに、配管47、燃料を燃焼室に放出する回収燃料パージ手段の一態様であるキャニスタパージバルブ41を経由し、サージタンク9に導かれた後に気筒27a、27bに供給され、エバポガスの外部への排出が抑制される。パージバルブ41は、吸気マニホールド11a、11bから等距離の位置に一つ配置されている。パージバルブ41の通電により負圧が導入され、パージ流量が調整・制御される。なお、前記パージ流量は、内燃機関1への吸入空気量に比例したパージ率として制御され、後記するように空燃比フィードバックに対する悪影響の防止が図られている。
【0021】
気筒群27a、27b内の混合気は、点火プラグ18a、18bによって点火・燃焼された後、排気マニホールド21a、21b側に送られ、前触媒23a、23bおよび主触媒24で浄化された後にマフラー25を経由して排出される。排気マニホールド21a、21bの適宣位置には、機関空燃比を検出する手段の一態様であるOセンサ22a、22bが配置されている。
【0022】
エンジン回転数の検出、燃料噴射時期及び点火時期を制御するための基礎信号であるカム角センサ17、空気流量計(AFM)7、スロットルセンサ8、Oセンサ22a、22b、内燃機関1の温度を検出する水温センサ20等のエンジン状態を表す信号は、パージ制御装置30aを内包するエンジン制御装置(コントロールユニット)30に入力される。該コントロールユニット30は、これらの信号に基づいて、所定の演算処理を行って空燃比制御等の各種制御を行い、インジェクタ12a、12b…、ISCバルブ10、キャニスタパージバルブ41等に各駆動信号を出力する。
【0023】
図2は、コントロールユニット30の内部構成を示したものである。該コントロールユニット30は、MPU31、読み書き自由なRAM32、読み出し専用ROM33、入出力を制御するI/OLSI34から構成され、それぞれバス35、36、37で連絡されており、各データのやりとりが行われる。具体的には、MPU31は、カム角センサ17、空気流量計(エアフローメータ)7、スロットルセンサ8、Oセンサ22a、22b、内燃機関1の温度を検出する水温センサ20等の前記エンジン状態を表す信号をI/OLSI34からバス37を通して受け取り、ROM33に記憶された処理内容を順次呼び出して所定の処理を行い、RAM32に記憶させた後、再びI/OLSI34から6つのインジェクタ12a、…12f、キャニスタパージバルブ41等に各駆動信号を出力している。
【0024】
図3は、前記パージ制御装置30aの制御ブロック図である。該パージ制御装置30aは、各バンクA、B別に行われる内燃機関1自身のばらつきによるベースの空燃比学習処理と、キャニスタ40に吸着されたエバポガスを吸気系に放出するパージ処理とを切り換えて各処理を行っている。
【0025】
具体的には、パージ制御装置30aは、パージ期間・空燃比学習期間切り換え手段30Aと、バンクA側又はバンクB側の空燃比フィードバック手段30Ba、30Bbと、燃料のパージ流量制御を行う手段30a1と、バンクA側及びバンクB側のエバポ補正算出手段30Ia、30Ibと、バンクA側又はバンクB側の空燃比学習手段30Da、30Dbと、バンクA側又はバンクB側の燃料噴射補正手段30Ga、30Gbとからなり、前記燃料のパージ流量制御を行う手段30a1は、バンクA側又はバンクB側のパージ空燃比推定手段30Ca、30Cbと、パージ空燃比比較調整手段30Eと、制御パージ率算出手段30Fとからなる。
【0026】
パージ期間・空燃比学習期間切り換え手段30Aは、後記するように、Oセンサ22a、22b等の出力信号に基づいて、空燃比学習条件、パージ条件等の所定条件が成立するか否かを判定し、バンクA側又はバンクB側の空燃比学習手段30Da、30Dbによる空燃比学習処理の期間と、パージ流量制御を行う手段30a1のバンクA側又はバンクB側のパージ空燃比推定手段30Ca、30Cbによるパージ処理による期間とを切り換えている。
【0027】
バンクA側又はバンクB側の空燃比フィードバック手段30Ba、30Bbは、Oセンサ22a、22bによる前記燃焼室から排出された排気ガスの実空燃比が目標空燃比になるように、各バンクA、B毎に空燃比フィードバック制御を行っており、空燃比フィードバック値αa、αbを算出して、バンクA側又はバンクB側のパージ空燃比推定手段30Ca、30Cb、バンクA側又はバンクB側の空燃比学習手段30Da、30Db、並びにバンクA側又はバンクB側の燃料噴射補正手段30Ga、30Gbに出力する。
【0028】
バンクA側又はバンクB側の空燃比学習手段30Da、30Dbは、空燃比フィードバック制御を行うべく、前記バンクA側又はバンクB側の空燃比フィードバック手段30Ba、30Bbによる補正量が所定値になるように学習を行っており、空燃比フィードバック値αa、αbに基づいて学習補正値αma、αmbを算出し、バンクA側又はバンクB側の燃料噴射補正手段30Ga、30Gbに出力する。
【0029】
燃料のパージ流量制御を行う手段30a1は、上述の構成からなるが、後記するように、バンクA側又はバンクB側の空燃比フィードバック手段30Ba、30Bbによる空燃比フィードバック制御が停止された場合には、パージバルブ41の制御を停止するものである。
【0030】
バンクA側及びバンクB側のパージ空燃比推定手段30Ca、30Cbは、空燃比フィードバック値αa、αbとパージ率Kevpに基づいて、パージ空燃比AFevpを推定し、パージ空燃比比較調整手段30E及びエバポ補正算出手段30Ia、30Ibに出力する。なお、前記パージ空燃比AFevpは、後述のように、エバポ濃度の推定値PDEN算出の基となるものであり、以下、PDENは、パージ空燃比に相当し得るものとして説明する。
【0031】
パージ空燃比比較調整手段30Eは、バンクA側及びバンクB側のパージ空燃比推定手段30Ca、30Cbにて算出された各バンクのパージ空燃比AFevpを比較し、後述するように、ストイキたる目標空燃比からの偏差の最大値、より具体的には前記偏差の絶対値の最大値を制御パージ率算出手段30Fに出力する。
【0032】
制御パージ率算出手段30Fは、前記パージ空燃比比較調整手段30Eにて算出されたパージ空燃比AFevpと、絞り弁6の通過空気量Qtvo及びキャニスタ40のパージ流量Qevpに基づいて、パージ期間中の制御パージ率Kevpを算出しているとともに、キャニスタパージバルブ41に駆動信号を出力してエバポガスを気筒群27a、27bに放出させる。また、算出された制御パージ率Kevpをエバポ補正算出手段30Ia、30Ibに出力する。
【0033】
バンクA側及びバンクB側のエバポ補正算出手段30Ia、30Ibは、バンクA側及びバンクB側のパージ空燃比推定手段30Ca、30Cbにて算出された各バンクのパージ空燃比AFevpと、制御パージ率算出手段30Fにて算出された制御パージ率Kevpに基づきエバポ補正値KLMNTCA、KLMNTCBを算出しているとともに、バンクA側又はバンクB側の燃料噴射補正手段30Ga、30Gbに出力する。
【0034】
バンクA側又はバンクB側の燃料噴射補正手段30Ga、30Gbは、エンジン回転数Ne及び吸入空気量Qaに基づく基本燃料噴射量を補正するものであり、バンクA側及びバンクB側の空燃比フィードバック手段30Ba、30Bbによる空燃比フィードバック値αa、αb、及び、バンクA側及びバンクB側の空燃比学習手段30Da、30Dbによる学習補正値αma、αmb、並びにバンクA側及びバンクB側のエバポ補正算出手段30Ia、30Ibによるエバポ補正KLMNTCA、KLMNTCBによる補正値等に基づいて基本燃料噴射量を補正し、インジェクタ12a、12b…に出力する。
【0035】
図4及び図5は、パージ期間・空燃比学習期間切り換え手段30Aからの動作フローチャートである。図4は、空燃比学習期間の動作を示している。ステップ100では、エンジン始動後、バンクA、Bの空燃比フィードバック条件が成立しているか否かを判定する。燃料カット状態ではない、負荷が安定している等、空燃比フィードバック状態にある場合、すなわち、YESのときには、ステップ101に進む。一方、空燃比フィードバック条件が成立していないときにはこの判定動作を繰り返す。
【0036】
ステップ101では、バンクA、Bの空燃比学習条件が成立しているか否かを判定し、負荷が安定している等、空燃比学習状態にある場合、すなわちYESのときには、ステップ102に進む。一方、空燃比学習条件が成立していないときにはこの判定動作を繰り返す。
【0037】
ステップ102では、バンクA、Bの初回のベース空燃比学習が終了したか否かを判定し、未終了の場合、すなわち、NOのときには、ベース空燃比学習期間としてステップ103に進み、ステップ104に進む。ステップ104では、空燃比学習が行われると、該当エリアの学習回数カウンタKLCONTAを1つカウントアップしてステップ105に進む。一方、ベース空燃比学習が終了したとき、すなわち、YESのときには、ステップ108に進む。
【0038】
ステップ105では、学習回数カウンタが所定回数KLCNTになったか否かを判定し、所定回数KLCNTになった場合、すなわち、YESのときには、ステップ106にて初回ベース空燃比学習が終了したとしてステップ107に進み、一連の動作を終了する。一方、前記ステップ105で空燃比学習の積算回数がKLCNTよりも小さいときには、空燃比学習期間が未だ終了していないことからステップ103に進み、前記各動作を繰り返す。そして、前記空燃比学習期間は、リッチ及びリーン周期に比例した期間に設定されている。
【0039】
一方、ステップ102にてバンクA、Bの初回のベース空燃比学習が終了したときには、ステップ108でパージ期間が終了したか否かを判定する。パージ期間が終了している場合、すなわち、YESであればベース空燃比学習期間としてステップ109へ進み、ステップ110へ進む。しかし、パージ期間が終了していないときには、パージ期間としてステップ111へ進む。
【0040】
ステップ110では、空燃比フィードバック手段30Ba、30Bbにて、Oセンサ22a、22bのリッチ及びリーンの周期が所定回数LRNCNTになったか否かを判定し、所定回数LRNCNTになった場合、すなわちYESのときには、ベース空燃比学習期間終了としてステップ107に進む。一方、所定回数LRNCNTに達していない場合、すなわちNOの場合は、ベース空燃比学習期間とする。
【0041】
図5は、パージ期間の動作を示している。ステップ200では、バンクAの空燃比学習が終了したかを判定し、これが終了している場合、すなわち、YESのときにはステップ201へ進む。一方、終了していないときには空燃比学習期間を継続する。ステップ201では、バンクBの空燃比学習が終了したかを判定し、これが終了している場合、すなわち、YESのときにはステップ202へ進む。一方、終了していないときには空燃比学習期間を継続する。
【0042】
ステップ202では、機関始動後経過時間、機関冷却水温、負荷等のパージ条件が成立したかを判定し、この条件が成立した場合、すなわち、YESのときは、パージ期間としてステップ203へ進む。なお、この条件が成立するまでこの動作が繰り返される。
【0043】
ステップ203でパージ期間となると、ステップ204にてベース空燃比学習を禁止し、ステップ205では、パージ空燃比推定の基になるエバポ濃度の算出前における初回のパージ期間であるかを判定し、初回のパージ期間である場合、すなわちYESのときには、ステップ206に進んで、所定の固定パージ率にてキャニスタパージバルブ41を開け、ステップ207に進む。
【0044】
このように、内燃機関1の始動直後には、前記空燃比の学習を開始し、前記空燃比の学習が所定回数行われた場合若しくは前記学習値が収束された場合には、初回のパージバルブの制御に移行される。なお、目標パージ率については後述にて説明する。
【0045】
ステップ207では、パージ空燃比推定手段30Ca、30Cbにて、各バンクA、Bのパージ空燃比PDENA、PDENBを推定しステップ208に進む。このパージ空燃比の推定方法については後述にて説明する。
【0046】
ステップ208では、前記の制御パージ率CTRTCTLと、前記のパージ空燃比PDENA、PDENBにより、各バンクA、Bのエバポ補正値KLMNTCA、KLMNTCBを算出し、ステップ209に進む。ステップ209では、このエバポ補正値KLMNTCA、KLMNTCBにより、各バンクA、Bの燃料噴射パルスTiA、TiBを補正する。
【0047】
ステップ210では、ステップ207で推定したパージ空燃比と1回前のパージ空燃比を比較し、今回のパージ空燃比が前回よりリーンになっていない場合、すなわちNOの場合は、パージ率と燃料蒸気ガスの増加率が比例関係を維持しており、ステップ211に進んでパージ率を更に上げて行く。ステップ210で、今回のパージ空燃比が前回よりリーンになった場合、すなわちYESの場合は、燃料蒸気ガスの増加率が低くなっており、パージ率と燃料蒸気ガスの増加率が比例関係を維持しておらずステップ212に進む。
【0048】
ステップ212では、パージ空燃比に基づく燃料蒸気ガスの発生が0以下でないNOの場合、すなわち、エバポガスをパージすると空燃比をリッチにでき、燃料噴射量を減量できる場合にはステップ213に進み、パージ率を1つ前のパージ率で固定する。ステップ212で今回のパージ空燃比における燃料蒸気ガスの発生が0以下になるまでこれを繰り返し、今回のパージ空燃比における燃料蒸気ガスの発生が0以下になると、ステップ214に進んで、一連の動作を終了する。
【0049】
ステップ215では、パージ停止時間を計測し、ステップ216に進む。ステップ216ではパージ停止時間の計測し、所定のパージ停止時間を経過した場合、すなわちYESの時には、ステップ217に進み、パージを再開(ステップ203に進む)する。一方ステップ216でNOの場合には所定のパージ停止時間を経過するまでパージ停止時間の計測を繰り返す。
【0050】
図6は、パージ空燃比PDEN算出の動作フローチャートである。ステップ300では、バンクAが空燃比フィードバック中であるか否かを判定し、フィードバック中、すなわち、YESであればステップ301へ進み、フィードバック中でなければこの動作を繰り返す。
【0051】
ステップ301では、バンクBが空燃比フィードバック中であるかを判定し、フィードバック中、すなわち、YESであればステップ302へ進み、フィードバック中でなければステップ300に戻る。つまり、Oセンサ22a、22bのうちいずれか一つの出力信号に基づくいずれかの空燃比フィードバック制御手段30Ba、30Bbによる空燃比フィードバック制御が停止された場合には、パージバルブ41の制御が停止される。
【0052】
ステップ302では、パージ期間中であるかを判定し、パージ期間中、すなわち、YESであればステップ303へ進み、パージ期間中でなければこの動作を繰り返す。
【0053】
ステップ303では、パージ空燃比推定手段30Ca、30Cbにて、前述のパージ空燃比PDENA,PDENBを算出し、ステップ304で、バンクA及びバンクBのパージ空燃比PDENA、PDENBの最大値、より具体的にはその絶対値の大きい方の値をパージ空燃比PDENとして算出する。
【0054】
図7及び図8は、パージ流量を制御する手段30a1の制御パージ率算出手段30Fの説明図である。該パージ率算出手段30Fは、まず目標パージ率を決定し、次に制御パージ率を算出している。前記目標パージ率は、図7に示すように、初回は、所定のパージ率にてパージを行い、2回目のパージ率は、初回のパージ率で計算されたパージ空燃比により決定される。2回目以降については、パージ空燃比の燃料蒸気ガスの増加率によりパージ率が決定される。すなわち、初回の所定のパージ率によってパージしたときの推定されたパージ空燃比がリッチであり、燃料蒸気ガスの増加率が大きい場合には初回のパージ率より大きくパージ率を増やしてパージする。
【0055】
次に、前記制御パージ率は、内燃機関1の吸入空気量Qaに対するパージ流量Qevpの比(Qevp/Qa)によって算出され、これにより前記パージ制御量が求められる。ここで、吸入空気量Qaは、走行状態によって大きく変化する一方で、パージ流量Qevpはキャニスタパージバルブ41の最大流量に制限されているので、吸入空気量Qaの増加に伴って制御パージ率は減少し、一定に保持されなくなり、さらに吸入管負圧が大気圧に近づくと、パージ流量Qevpが減少することから、この場合にも制御パージ率は、一定に保持されなくなるものである。したがって、図8に示すように、エンジン回転数とエンジン負荷から求められる最大パージ率マップを参照して、キャニスタパージバルブ41の全開時(バルブDUTY100%)における制御パージ率を予め設定し、該パージ率が一定に保持されるように図っている。
【0056】
これにより、制御パージ率算出手段30Fによる制御パージ率を前記最大パージ率で除することで、キャニスタパージバルブ41に対する制御Dutyを求めることができる。なお、前記最大パージ率以上のパージ流量を流すことは困難であることから、制御パージ率算出手段30Fによる制御パージ率は、最大パージ率によって制限されている。
【0057】
図9は、空燃比フィードバック手段30Ba、Bbによる空燃比フィードバック値αa、αb算出のフローチャートである。空燃比フィードバックは、バンクA、Bについて各々同様の動作を行うことから、一方の動作のみ以下に説明する。ステップ600では、Oセンサ22の出力を読み込み、ステップ601ではこのOセンサ22のリッチ・リーン判定を行い、出力がRichの場合には、ステップ602に進み、Leanのときにはステップ605に進む。なお、Richすなわち機関空燃比が小さいときには、Oセンサ22の出力が約0.8v程度になり、一方、Leanすなわち機関空燃比が大きいときには、Oセンサ22の出力が0.2v程度になるため、この出力値と所定値(0.5v)を比較することによりRich判定若しくはLean判定がなされている。
【0058】
ステップ602では、前回の処理状態をチェックする。つまり、前回がRichであったか否か判定し、前回がRichでないNOの場合、すなわち前回がLean状態であったときには、今回、LeanからRich状態に変化したことになるため、ステップ603に進んで式(5)に示すように、空燃比フィードバック値αに対して比例制御(減算)を行い、ステップ608に進む。
【0059】
[数1]
α=α−ARP…………(5)
【0060】
ここで、ARPはRich時の比例補正分であり、データはROM33に記憶されている。一方、ステップ602にて前回がRich状態、すなわちYESのときには、ステップ604に進んで式(6)に示すように、積分制御(減算)を行い、ステップ608に進む。
【0061】
[数2]
α=α−ARI…………(6)
【0062】
ここで、ARIはRich時の積分補正分であり、データはROM33に記憶されている。ところで、ステップ605では、ステップ602と同様に、前回の処理状態をチェックする。つまり、前回がRichであったか否か判定し、前回がRichである場合すなわちYESのときには、今回、RichからLeanに状態が変化したことになるため、ステップ606に進んで式(7)に示すように、比例制御(加算)を行い、ステップ608に進む。
【0063】
[数3]
α=α+ALP…………………………(7)
【0064】
ここで、ALPはLean時の比例補正分であり、データはROM33に記憶されている。一方、ステップ605にて前回がRich状態でないときには、ステップ607に進んで式(8)に示すように、積分制御(加算)を行いステップ608に進む。
【0065】
[数4]
α=α+ALI…………………………(8)
【0066】
ここで、ALIはLean時の積分補正分であり、データはROM33に記憶されている。ステップ608では、前記ステップ603、ステップ604、ステップ606又はステップ607で求められた各空燃比フィードバック値αをRAM32に格納してステップ609に進み、該ステップ609にて、本実施形態では加重平均処理で各空燃比フィードバック値αの平均化処理後のαaveを求め、一連の動作を終了する。
【0067】
次に、パージ空燃比推定手段30Ca、30Cbについて説明する。空燃比学習についても、バンクA、Bについて各々同様の動作を行うことから、一方の動作のみ以下に説明する。まず、エバポガスが、内燃機関1への空燃比に与える影響について以下説明する。気筒群27内に供給される混合気による機関空燃比AFcy1は、式(9)のように算出される。
【0068】
[数5]
AFcy1=(Qtvo+qAevp)/(Qinj+qFevp)……(9)
【0069】
ここで、Qtvoは絞り弁6の通過空気量、Qinjはインジェクタ12による燃料噴射量、qAevpはキャニスタ40を通過する新鮮な空気、qFevpはキャニスタ40から離脱する燃料量である。また、パージ空燃比AFevpは、式(10)のように算出される。
【0070】
[数6]
AFevp=(qAevp/qFevp)……………………………(10)
【0071】
そして、キャニスタパージバルブ41を通過するパージ流量Qevpは、式(11)で示される。
【0072】
[数7]
Qevp=qAevp+qFevp……………………………………(11)
【0073】
ここで、システム上は、空燃比フィードバックにおいて、機関空燃比AFcy1が理論空燃比14.7となるように制御されるので、空燃比フィードバック値αとすると、式(12)のようになる。
【0074】
[数8]
14.7=(Qtvo+qAevp)/(α×Qinj+qFevp)……(12)
式(12)を空燃比フィードバック値αでまとめると式(13)のようになる。
【0075】
[数9]
α=(Qtvo+qAevp)/(14.7×Qinj)−(qFevp/Qinj) ……(13)
【0076】
そして、インジェクタ12による燃料噴射量Qinjは、理論空燃比14.7になるように調整されるので、式(13)から燃料噴射量Qinj(=Qtvo/14.7)を消去すると、式(14)が得られる。
【0077】
[数10]
α=1+(qAevp/Qtvo)−((14.7×qFevp)/Qtvo)……(14)
【0078】
よって、式(10)(11)(14)から式(15)が得られる。
【0079】
[数11]
α=1+(Qevp/Qtvo)×((AFevp−14.7)/(AFevp+1))…(15)
【0080】
したがって、式(15)から、制御パージ率(Qevp/Qtvo)を一定に制御できれば、空燃比フィードバック値αに基づいてパージ空燃比AFevpを算出できることが解り、また、噴射パルスの補正に用いられるエバポ補正値KLMNTCは、式(15)の(AFevp−14.7)/(AFevp+1)の部分をエバポ濃度の推定値PDENとし、空燃比フィードバック値αの偏差(α−1)を制御パージ率(Qevp/Qa)で除することによって算出される。次に、燃料噴射量TIへの補正は、以下のように行われる。まず、エバポ分の燃料量TIEVPは、式(16)のように算出される。
【0081】
[数12]
TIEVP=(Qevp/Qtvo)×PDEN×TP×COEF………(16)
【0082】
ここで、TPは基本燃料パルス幅であり、COEFは補正量である。
つまり、空燃比フィードバック値αの偏差(α−1)は現在の燃料の過不足分を示していることから、該偏差(α−1)に現在の噴射予定燃料(TP×COEF)を乗ずることにより、エバポ分の燃料量TIEVPが算出されることになる。よって、キャニスタパージバルブ41が開となり、エバポガスがサージタンク9に放出されても、燃料噴射量TIからエバポ分の燃料量TIEVPを減ずれば機関空燃比を一定に保つことができることが解る。これは、式(17)のように表すことができ、また、ベース空燃比学習が正確に行われていれば、空燃比フィードバック値αは1.0付近に収束されることを考慮してαを1.0として整理すると式(18)のようになる。そして、エバポ濃度の補正値であるエバポ補正値KLMNTCを用いると式(19)のようになる。
【0083】
[数13]
TI=(TP×COEF×α)−TIEV
=(TP×COEF×α)−(Qevp/Qtvo)×PDEN×TP×COEF
=(TP×COEF)×(α−(Qevp/Qtvo)×PDEN)……………(17)
TI=(TP×COEF)×(1−(Qevp/Qtvo)×PDEN)…………(18)
TI=(TP×COEF)×(1−KLMNTC)……………………………(19)
このKLMNTCは(Qevp/Qtvo)×PDENである。
【0084】
よって、この式(19)に基づいて、空燃比フィードバック値αの偏差(α−1)から求まる空燃比補正値KLMNTCで燃料噴射量を補正すればエバポ分の影響を吸収することができ、機関空燃比の変動を防止することができる。
【0085】
図10は、空燃比学習手段30Da、30Dbによる学習補正係数αm更新までのフローチャートである。空燃比学習についても、バンクA、Bについて各々同様の動作を行うことから、一方の動作のみ以下に説明する。ステップ700では、空燃比学習手段30Dによる空燃比学習期間を確認してステップ701に進む。
【0086】
ステップ701では、空燃比フィードバック手段30Bにて、空燃比フィードバック値αを読み込んでステップ702に進み、ステップ702では空燃比学習手段30Dにて、当該エリアの空燃比学習補正係数αmを更新して一連の動作を終了する。
【0087】
図11は、燃料噴射補正手段30Ga、30Gbによる実噴射幅Tea、Teb算出のフローチャートである。燃料噴射設定についても、バンクA、Bについて各々同様の動作を行うことから、一方の動作のみ以下に説明する。
【0088】
まず、ステップ800では、エンジン回転数Neを読み込んでステップ801に進み、ステップ801では、吸入空気量Qaを読み込んでステップ802に進み、そして、ステップ802では、式(20)のように、基本燃料噴射量Tpを計算してステップ803に進む。
【0089】
[数14]
Tp=Kinj×Qa/Ne……………………………………………(20)
【0090】
ここで、Kinjはインジェクタ噴射量係数である。ステップ803では、各種の補正係数COEFを読み込んだ後、式(21)のように、燃料噴射幅TIOUTを計算してステップ804に進む。
【0091】
[数15]
TIOUT=Tp×COEF……………………………………………(21)
【0092】
次に、ステップ804では、空燃比フィードバック手段30Bにて各々算出されたテンポラリ分の空燃比フィードバック値αを読み込んでステップ805に進み、ステップ805では、パージ空燃比推定手段30Cにて算出されたパージ期間分のエバポ補正値KLMNTCを読み込んでステップ806に進み、ステップ806では、空燃比学習手段30Dにて算出された学習期間分の空燃比学習値αmを読み込み、燃料噴射補正手段30Gにて燃料噴射幅TIOUTを補正し、式(22)のように、実噴射幅Teを計算して一連の動作を終了する。
【0093】
[数16]
Te=TIOUT×(α+αm+KLMNTC)+Ts……………(22)
【0094】
ここで、Tsはインジェクタ12の無効パルス幅である。そして、前記実噴射幅Teに基づいて前記I/OLSI34からインジェクタ12に通電され、燃料が噴射される。実際には、バンクA、Bが各々前述の計算が行われるため、噴射パルスは、バンクAに関して式(23)、バンクBに関して式(24)となる。
【0095】
[数17]
Tea=TIOUTa×(αa+αma+KLMNTCA)+Ts…(23)
Teb=TIOUTb×(αb+αmb+KLMNTCB)+Ts…(24)
【0096】
以上、本発明の一実施形態について詳説したが、本発明は前記実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において種々の変更ができるものである。例えば、本実施形態では、図5のステップ210で今回のパージ空燃比が前回のパージ空燃比よりリーンになった場合には、ステップ213でパージ率を固定しているが、燃料蒸気ガスの増加率に応じてパージ率を下げるように制御してもよい。燃料蒸気ガスの増加率が減少するに伴いパージ率を徐々に減少させ、吸気系に新気が流れ込むのを確実に防止できるので、空燃比がリーンにずれて排気エミッションを悪化する等の悪影響を及ぼすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本実施形態の内燃機関のキャニスタパージ制御装置を備えたエンジンシステムの全体構成図。
【図2】キャニスタパージ制御装置を備えたコントロールユニットの内部構成図。
【図3】本実施形態のキャニスタパージ制御装置の制御ブロック図。
【図4】本実施形態のキャニスタパージ制御装置における空燃比学習期間の制御動作を示すフローチャート。
【図5】本実施形態のキャニスタパージ制御装置におけるパージ期間の制御動作を示すフローチャート。
【図6】本実施形態のキャニスタパージ制御装置におけるパージ空燃比算出の制御動作を示すフローチャート。
【図7】本実施形態のキャニスタパージ制御装置におけるパージ率算出手段によるパージ期間の目標パージ率算出の説明図。
【図8】パージ率算出手段によるパージ期間の最大パージ率マップ。
【図9】本実施形態のキャニスタパージ制御装置における空燃比フィードバック手段による空燃比フィードバック値算出のフローチャート。
【図10】本実施形態のキャニスタパージ制御装置における空燃比学習手段による空燃比学習値算出のフローチャート。
【図11】本実施形態のキャニスタパージ制御装置における燃料噴射補正手段による燃料噴射補正値算出のフローチャート。
【符号の説明】
【0098】
1…内燃機関、 2…エアクリーナ、 3…エアクリーナ入り口部、 4…吸気ダクト、 5…スロットルボディ、 6…絞り弁、 7…空気流量計(AFM)、 8…スロットルセンサ、 9…サージタンク、 10…補助空気バルブ(ISCバルブ)、 11a…バンクA側の吸気マニホールド、 11b…バンクB側の吸気マニホールド、 12a… バンクA側のインジェクタ、 12b…バンクB側のインジェクタ、 13…燃料タンク、 15…燃料フィルタ、 17…カム角センサ、 18a…バンクA側の点火プラグ、 18b…バンクB側の点火プラグ、 20…水温センサ、 21a…バンクA側の排気マニホールド、 21b…バンクB側の排気マニホールド、 22a…バンクA側の空燃比センサ、 22b…バンクB側の空燃比センサ、 23a…バンクA側の前触媒、 23b…バンクB側の前触媒、 24…主触媒、 25…マフラー、 26…燃料ポンプ、 27a…バンクA側の気筒群、 27b…バンクB側の気筒群、 30…エンジン制御装置(コントロールユニット)、 30a…キャニスタパージ制御装置、 30a1…燃料のパージ流量制御を行う手段、 30A…空燃比学習制御とパージ制御とを切り換える手段、 30Ba…バンクA側の空燃比フィードバック制御を行う手段、 30Bb…バンクB側の空燃比フィードバック制御を行う手段、 30Ca…バンクA側のパージ空燃比を推定する手段、 30Cb…バンクB側のパージ空燃比を推定する手段、 30Da…バンクA側の空燃比を学習制御する手段、 30Db…バンクB側の空燃比を学習制御する手段、 30E…パージ空燃比を比較調整する手段、 30F…制御パージ率を算出する手段、 30Ga…バンクA側の燃料噴射量を補正する手段、 30Gb…バンクB側の燃料噴射量を補正する手段、 30Ia…バンクA側のエバポ補正算出手段、 30Ib…バンクB側のエバポ補正算出手段、 31…MPU、 32…RAM、 33…ROM、 34…I/OLSI、 35…バス、 40…キャニスタ、 41…キャニスタパージバルブ、 45…空気導入口、 46…エバポガス配管、 47…エバポガス配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクで蒸発した燃料を回収する燃料蒸気回収手段と、前記回収された燃料を燃焼室にパージする回収燃料パージ手段を備えた内燃機関のキャニスタパージ制御装置において、
該制御装置は、パージ空燃比を推定するパージ空燃比推定手段と、エンジン回転数と吸入空気量に基づく基本燃料噴射量を、パージ空燃比に基づいて補正する手段を有し、
パージ導入時のパージ率に対しパージ率を変えてパージするとき、パージ導入時に対するパージ率の増加率と燃料蒸気ガスの増加率とが比例関係にある状態では、パージ率を増加してパージすることを特徴とする内燃機関のキャニスタパージ制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、パージ導入時の初回のパージを所定のパージ率で行い、次回のパージ率の増加は、初回のパージ率によるパージ空燃比に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のキャニスタパージ制御装置。
【請求項3】
前記制御装置は、パージ導入時のパージ率に対しパージ率を増加してパージするとき、パージ導入時に対するパージ率の増加率と燃料蒸気ガスの増加率とが比例関係にない状態では、パージ率の増加を止め、その時のパージ率に固定しパージを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関のキャニスタパージ制御装置。
【請求項4】
前記制御装置は、燃料蒸気ガスの増加率の加減によりパージ率を加減するように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関のキャニスタパージ制御装置。
【請求項5】
前記制御装置は、燃料蒸気ガスのパージ空燃比が目標空燃比より小さくなった場合には、パージの導入を終了し、所定のパージ停止時間が経過した後、パージを再開することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の内燃機関のキャニスタパージ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−45500(P2008−45500A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222633(P2006−222633)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】