説明

内燃機関制御装置

【課題】内燃機関の休止気筒数を変更することで目標車速に合わせる制御を行う場合に、車両の快適性および目標車速への収束性をより改善することを可能にする。
【解決手段】自車両の車速を目標車速に合わせるために必要な最終トルクカット率を逐次算出し、その最終トルクカット率に応じて、エンジン1の休止気筒数を増加させるとともに、休止気筒数を増加させる場合に、逐次算出される最終トルクカット率に応じてエンジン1の点火時期を基準点火時期から逐次遅角させた上で休止気筒数を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変気筒機構付きの内燃機関を制御する内燃機関制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の気筒のすべてを運転する全気筒運転と、複数の気筒のうちの一部の気筒の運転を休止する部分気筒運転とを切り換え可能な内燃機関の制御装置が知られている。例えば特許文献1には、全気筒運転モードと部分気筒運転モードとを切り換えるとともに、車速を一定に保持するように制御するクルーズコントロールを行う技術が開示されている。特許文献1に開示の技術では、クルーズコントロールを行う場合において、内燃機関の出力をフィードバック制御する際のゲイン(以下、フィードバックゲイン)を運転モードに応じて設定することで、各運転モードに応じて内燃機関の出力を適切に制御して運転モードの切換頻度を低減し、目標車速への良好な収束性の実現を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3976141号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、スロットル弁開度をフィードバック制御する複雑な内燃機関の出力制御なくしては目標車速への良好な収束性を十分に実現できないという問題を有していた。詳しくは、以下に述べる通りである。特許文献1に開示の技術では、運転モードの切り換えによる休止気筒数変更時のエンジントルク変化は、全気筒が8気筒とした場合には1気筒あたり12.5%となる。よって、運転モードの切り換えによる休止気筒数変更時には、エンジントルク変化に大きな段差が生じることになり、ユーザにとって不快な振動や車速のハンチングが生じる。そして、車速のハンチングが生じることで目標車速への収束性が悪化する。特許文献1に開示の技術では、これを改善するために、スロットル弁開度をフィードバック制御する機構を設けている。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、スロットル弁開度をフィードバック制御する機構を設けず、目標車速に合わせる制御中に内燃機関の休止気筒数を変更する場合にも、車両の快適性および目標車速への収束性をより改善することを可能にする内燃機関制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の内燃機関制御装置においては、車両の車速を目標車速に合わせるために必要な内燃機関のトルクを算出する必要トルク算出手段と、車両の車速を目標車速に合わせるために必要な内燃機関のトルクの変化量(以下、必要変化量)を算出する必要変化量算出手段と、必要変化量に応じて内燃機関の複数の気筒のうちの休止気筒の数の変更を行う休止気筒数変更手段とを備え、休止気筒数変更手段で休止気筒数の変更を行う場合に、必要変化量に応じて内燃機関の点火時期を基準点火時期からずらした後に休止気筒数の変更を行うことになる。なお、基準点火時期は、例えばエンジン負荷(もしくはスロットル開度)やエンジン回転数に応じた最適な点火時期である。
【0007】
内燃機関の点火時期を基準点火時期からずらすことによって、内燃機関のトルクを減少させたり増加させたりすることが可能である。例えば、基準点火時期から遅角させることで当該トルクを減少させたり、基準点火時期から進角させることで当該トルクを増加させたりすることが可能である。請求項1の構成によれば、必要変化量に応じて点火時期をずらすことで予め内燃機関のトルクの減少や増加を逐次行った上で休止気筒数の変更を行うので、休止気筒数の変更による急激なトルクの減少や増加を緩和することが可能になる。そして、内燃機関のトルクの急激な変化を抑えることで、ユーザにとって不快な振動や車速のハンチングを抑えることが可能になる。その結果、目標車速に合わせる制御中に内燃機関の休止気筒数を変更する場合にも、車両の快適性および目標車速への収束性をより改善することが可能になる。
【0008】
請求項2の構成によれば、休止気筒数変更手段で休止気筒数を増加させる場合に、必要変化量に応じて内燃機関の点火時期を基準点火時期から遅角させた上で休止気筒数を増加させるので、予め内燃機関のトルクの減少を逐次行った上で休止気筒数の増加を行って、休止気筒数の増加による急激な内燃機関のトルクの減少を緩和することが可能になる。
【0009】
請求項3の構成においては、逐次算出される必要変化量分の内燃機関のトルクの減少値を基準点火時期からの遅角量に逐次換算する第1遅角量換算手段をさらに備え、内燃機関の休止気筒数を1つ増加させるとした場合の内燃機関のトルクの減少値が、逐次算出される必要変化量分の内燃機関のトルクの減少値を上回らない場合には、内燃機関の点火時期を、基準点火時期から第1遅角量換算手段で逐次換算される遅角量だけ遅角させることになる。
【0010】
これによれば、休止気筒数を1つ増加させると必要変化量分の内燃機関のトルクの減少分以上のトルクの減少が生じてしまう場合に、休止気筒数を増加させなくても必要変化量分のトルクの減少を点火時期の遅角によって行うことが可能になる。従って、請求項3の構成によっても、目標車速への収束性がさらに改善する。
【0011】
請求項4の構成においては、内燃機関の休止気筒数の増加による内燃機関のトルクの減少値と必要変化量分の内燃機関のトルクの減少値との差分をもとに、内燃機関のトルクの減少の不足分を減少不足分算出手段で算出し、算出した不足分を第2遅角量換算手段で基準点火時期からの遅角量に逐次換算する。そして、逐次算出される必要変化量分の内燃機関のトルクの減少値が内燃機関の休止気筒数を1つ増加させるとした場合の内燃機関のトルクの減少値を上回る場合には、内燃機関の点火時期を基準点火時期から第2遅角量換算手段で逐次換算される遅角量だけ遅角させることになる。
【0012】
これによれば、休止気筒数の増加分のトルクの減少分と必要変化量分の内燃機関のトルクの減少分とが一致せず、トルクの減少の不足分が生じる場合に、不足分のトルクの減少を点火時期の遅角によって補うことができる。従って、請求項4の構成によれば、目標車速への収束性がさらに改善する。また、必要変化量に応じて逐次換算される遅角量だけ点火時期を逐次遅角させることになるので、予め内燃機関のトルクの減少を逐次行った上で休止気筒数の増加を行って、休止気筒数の増加による急激なトルクの減少を緩和することができる。
【0013】
請求項5の構成によれば、休止気筒数変更手段で休止気筒数を減少させる場合に、必要変化量に応じて内燃機関の点火時期を基準点火時期まで進角させた後に休止気筒数を減少させるので、予め内燃機関のトルクの増加を逐次行った上で休止気筒数の減少を行って、休止気筒数の減少による急激なトルクの増加を緩和することが可能になる。
【0014】
請求項6の構成においては、逐次算出される必要変化量分の内燃機関のトルクの増加値を基準点火時期までの進角量に逐次換算する第1進角量換算手段をさらに備え、内燃機関の休止気筒数を1つ減少させるとした場合の内燃機関のトルクの増加値が、逐次算出される必要変化量分の内燃機関のトルクの増加値を上回らない場合には、内燃機関の点火時期を、基準点火時期まで第1進角量換算手段で逐次換算される進角量だけ進角させることになる。
【0015】
これによれば、休止気筒数を1つ減少させると必要変化量分の内燃機関のトルクの増加分以上のトルクの増加が生じてしまう場合に、休止気筒数を減少させなくても必要変化量分のトルクの増加を点火時期の進角によって行うことが可能になる。従って、請求項6の構成によっても、目標車速への収束性がさらに改善する。
【0016】
請求項7の構成においては、内燃機関の休止気筒数の減少による内燃機関のトルクの増加値と必要変化量分の内燃機関のトルクの増加値との差分をもとに、内燃機関のトルクの増加の不足分を増加不足分算出手段で算出し、算出した不足分を第2進角量換算手段で基準点火時期までの遅角量に逐次換算する。そして、逐次算出される必要変化量分の内燃機関のトルクの増加値が内燃機関の休止気筒数を1つ減少させるとした場合の内燃機関のトルクの増加値を上回る場合には、内燃機関の点火時期を基準点火時期まで第2進角量換算手段で逐次換算される進角量だけ進角させることになる。
【0017】
これによれば、休止気筒数の減少分のトルクの増加分と必要変化量分の内燃機関のトルクの増加分とが一致せず、トルクの増加の不足分が生じる場合に、不足分のトルクの増加を点火時期の進角によって補うことができる。従って、請求項7の構成によれば、目標車速への収束性がさらに改善する。また、必要変化量に応じて逐次換算される進角量だけ点火時期を逐次進角させることになるので、予め内燃機関のトルクの増加を逐次行った上で休止気筒数の減少を行って、休止気筒数の減少による急激なトルクの増加を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】内燃機関制御システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】ECU11での第1車速収束処理のフローを示すフローチャートである。
【図3】休止気筒決定処理の概略を示すフローチャートである。
【図4】点火遅角量決定処理の概略を示すフローチャートである。
【図5】点火時期とエンジン1のトルクとの間の相関関係を示す模式図である。
【図6】本発明の点火時期の制御を説明するための模式図である。
【図7】休止気筒数とトルクとの相関関係を示す模式図である。
【図8】従来技術における車速のばらつきを示すための模式図である。
【図9】本発明における車速のばらつきを示すための模式図である。
【図10】本発明における車速のばらつきを示すための模式図である。
【図11】ECU11での第2車速収束処理のフローを示すフローチャートである。
【図12】運転気筒決定処理の概略を示すフローチャートである。
【図13】点火進角量決定処理の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された内燃機関制御システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す内燃機関制御システム100は、少なくとも内燃機関を走行駆動源とする車両に搭載されるものである。本実施形態では、内燃機関として公知のガソリンエンジンを用いる場合を一例に挙げて以降の説明を行う。
【0020】
内燃機関制御システム100は、図1に示すように、エンジン1、吸気管2、スロットル弁3、スロットル開度センサ4、燃料噴射弁5、点火プラグ6、燃焼圧センサ7、クランク角度位置センサ8、車速センサ9、気筒休止機構10、およびECU11を含んでいる。なお、内燃機関制御システム100を搭載している車両を以降では自車両と呼ぶ。
【0021】
エンジン1は、複数の気筒1aを備えている。例えば本実施形態では、エンジン1が8つの気筒1aを備えている場合(つまり、8気筒の場合)を例に挙げて以降の説明を行う。また、エンジン1は吸気管2を有し、吸気管2の途中にはスロットル弁3が配されている。スロットル弁3には、スロットル弁3の開度を検出するスロットル開度センサ4が設けられており、その検出信号がECU11に供給される。
【0022】
燃料噴射弁5は図示しない吸気弁の少し上流側に気筒毎に設けられている。各燃料噴射弁5は、図示しない燃料ポンプに接続されているとともにECU11に電気的に接続されており、当該ECU11からの信号により開弁時間が制御される。エンジン1の各気筒1aには点火プラグ6が設けられており、点火プラグ6にはECU11から点火信号が供給される。
【0023】
エンジン1の本体には、エンジン1の燃焼圧を検出する燃焼圧センサ7が取り付けられており、その検出信号はECU11に供給される。ECU11には、エンジン1のクランク軸(図示せず)の回転角度を検出するクランク角度位置センサ8が接続されており、クランク軸の回転角度に応じた信号がECU11に供給される。
【0024】
クランク角度位置センサ8は、エンジン1の特定の気筒の所定クランク角度位置でパルス(以下CYLパルス)を出力する気筒判別センサ、各気筒の吸入行程開始時の上死点(TDC)に関し所定クランク角度前のクランク角度位置でTDCパルスを出力するTDCセンサ、およびTDCパルスより短い一定クランク角周期でCRKパルスを発生するCRKセンサからなっている。クランク角度位置センサ8から出力されるCYLパルス、TDCパルス、およびCRKパルスはECU11に供給される。これらの信号パルスは、燃料噴射時期、点火時期等の各種タイミング制御、およびエンジン回転数(エンジン回転速度)の検出に使用される。
【0025】
車速センサ9は、自車両の車速を検出するセンサであって、その検出信号はECU11に供給される。気筒休止機構10は、エンジン1の複数の気筒1aの一部の気筒の吸気弁の作動を停止することにより当該気筒の作動を休止させる。気筒休止機構10は、ECU11に接続されており、ECU11からの切換制御信号に従って、運転を休止させる気筒(以下、休止気筒)の数を切り換える。また、気筒休止は気筒休止機構10の代替として燃料噴射弁5の開弁時間の制御で実施してもよい。
【0026】
ECU11は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、入力される情報をもとに、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行する。ECU11が請求項の内燃機関制御装置に相当する。例えばECU11は、自車両の車速が目標車速を超えようとする場合に自車両の車速を目標車速に収束させる処理や自車両の車速が目標車速を下回ろうとする場合に自車両の車速を目標車速に収束させる処理を行う。目標車速については後に詳述する。
【0027】
ECU11は、自車両の車速を目標車速に収束させるために、上述したセンサの検出信号に基づいて、点火プラグ6の点火時期制御や休止気筒数の切換制御等を行う。上述したセンサの検出信号に基づいて、燃料噴射弁5の開弁時間の制御等も行うことによって自車両の車速を目標車速に収束させる構成としてもよいが、本発明の要部ではないので説明は省略する。
【0028】
まず、自車両の車速が目標車速を超えようとする場合に自車両の車速を目標車速に収束させる処理(以下、第1車速収束処理)について図2を用いて説明を行う。図2は、ECU11での第1車速収束処理のフローを示すフローチャートである。図2のフローは、例えば自車両のイグニッション電源がオンになったときに開始し、イグニッション電源がオフになった場合に終了するものとする。なお、目標車速が変更された場合には、ステップS1からフローをやり直すものとすればよい。
【0029】
まず、ステップS1では、目標車速設定処理を行って目標車速を設定し、ステップS2に移る。よって、ECU11が請求項の目標車速設定手段に相当する。ここで言うところの目標車速とは、例えば自車両の車速に予め設定されている上限値であって、ROMやEEPROM等の不揮発性メモリに予め記憶されているものとしてもよいし、図示しない操作入力部の操作によってユーザが設定した値であってもよい。また、車載ナビゲーション装置の地図データをもとに検出したり、図示しない撮像装置で撮像した道路標識や道路標示の画像認識によって検出したりした自車両の走行中の道路の速度規制値であってもよい。他にも、車速を一定に保持するように制御する周知のクルーズコントロールにおいて設定される目標速度であってもよい。
【0030】
ステップS2では、車速取得処理を行って、ステップS3に移る。車速取得処理では、車速センサ9の検出信号をもとに自車両の車速を取得する。よって、ECU11が請求項の車速取得手段に相当する。ステップS3では、ステップS1で設定した目標車速とステップS2で取得した自車両の車速との差をもとに、目標車速以下で走行させるために必要な駆動力(以下、必要駆動力)を算出し、ステップS4に移る。必要駆動力の算出は周知のクルーズコントロール等で用いられている方法によって算出する構成とすればよい。
【0031】
ステップS4では、ステップS3で算出した必要駆動力をもとに、目標車速以下で走行させるために必要なエンジントルク(以下、必要エンジントルク)を算出し、ステップS5に移る。必要エンジントルクの算出については、周知の方法で行う構成とすればよい。例えば、駆動力=(エンジントルク×総減速比×動力伝達効率)/駆動輪タイヤの動荷重半径の関係式をもとにして必要エンジントルクを算出する構成とすればよい。よって、ECU11が請求項の必要トルク算出手段に相当する。なお、本実施形態では、車速を目標車速に合わせるフィードバックの制御において、この必要エンジントルクを超えるような出力となるようにスロットル弁3の開度の制御(例えば、スロットル弁3の開度として、全開一定としてもよい)を行っているものとする。
【0032】
ステップS5では、現在のエンジントルク(以下、現エンジントルク)を算出して、ステップS6に移る。現エンジントルクは、例えばエンジン1の運転状態とエンジントルクの値との対応関係を示すマップをもとに算出する構成とすればよい。なお、この場合のエンジン1の運転状態としては、例えばスロットル開度センサ4の検出信号から求められるスロットル開度やクランク角度位置センサ8の検出信号から求められるエンジン回転数がある。
【0033】
ステップS6では、エンジントルクを減少させる必要があるか否か(つまり、トルクダウンが必要か否か)を判断する。詳しくは、現エンジントルクが必要エンジントルクを上回っている場合にはトルクダウンが必要と判断し、上回っていなかった場合にはトルクダウンが不要と判断する。そして、トルクダウンが必要と判断した場合(ステップS6でYES)には、ステップS7に移る。また、トルクダウンが不要と判断した場合(ステップS6でNO)には、ステップS2に戻ってフローを繰り返す。
【0034】
ステップS7では、ステップS4で算出した必要エンジントルクとステップS5で算出した現エンジントルクをもとに、必要なエンジントルクの減少量(以下、トルクダウン必要量)を算出し、ステップS8に移る。詳しくは、現エンジントルクから必要エンジントルクを差し引いた量がトルクダウン必要量となる。
【0035】
ステップS8では、現在の燃焼トルク(以下、現燃焼トルク)を算出して、ステップS9に移る。燃焼トルクは、燃焼ガスの圧力(燃焼圧)が気筒1aのピストン頂部に与えた仕事をもとにして算出されるトルクであって、クランク軸の摩擦といった機械損失等の損失分を含まないトルクである。現燃焼トルクは、例えば燃焼圧センサ7の検出信号から求められる燃焼圧をもとに算出する。また、現燃焼トルクは、予め機会損失等の損失分が推定されている場合には、現エンジントルクとこの推定されている損失分とから算出する構成としてもよい。燃焼トルクは、いわゆる図示出力(または指示出力)であって、前述のエンジントルクは、燃焼トルクから機械損失等の損失分を差し引いたいわゆる軸出力である。
【0036】
ステップS9では、ステップS7で算出したトルクダウン必要量とステップS8で算出した現燃焼トルクとから、燃焼トルクの必要な減少率(つまり、カット率)をベースカット率として算出して、ステップS10に移る。ステップS10では、上記ベースカット率をもとに車速を目標車速に合わせるフィードバックの制御を行う場合のPI制御の補正量(以下、PI補正カット率)を算出する。そして、ステップS9で算出したベースカット率とPI補正カット率を加味した最終的な燃焼トルクのカット率(以下、最終トルクカット率)を算出し、ステップS11に移る。よって、ECU11が請求項の必要変化量算出手段に相当する。
【0037】
ステップS11では、休止気筒決定処理を行って、ステップS12に移る。ここで、図3のフローチャートを用いて、休止気筒決定処理の概略について説明を行う。
【0038】
まず、ステップS111では、ステップS10で算出した最終トルクカット率と気筒1aの全数(以下、全気筒数)とをもとに、休止させる気筒1aの数(以下、カット気筒数)を算出し、ステップS112に移る。本実施形態の例では全気筒数は8である。カット気筒数の算出は、カット気筒数=最終トルクカット率×全気筒数/100の関係式によって算出する構成とすればよい。
【0039】
ステップS112では、ステップS111で算出したカット気筒数をもとに、どの気筒を休止気筒に変更するか(以下、カット気筒パターン)を決定し、ステップS113に移る。例えばステップS111でカット気筒数の算出結果が1未満であった場合には、新たに休止気筒を設けないこととする。また、ステップS111でカット気筒数の算出結果が1以上且つ2未満であった場合には、休止していない気筒1aのうちのいずれか1つの気筒1aを休止気筒に変更する気筒1aとして決定する。
【0040】
休止気筒に変更する気筒1aを決定した場合には、ECU11が気筒休止機構10に切換制御信号を送り、休止気筒に変更する気筒1aとして決定された気筒1aの運転を休止させるものとする。よって、ECU11が請求項の休止気筒数変更手段に相当する。
【0041】
ステップS113では、ステップS112で決定したカット気筒パターンをもとにカット気筒数を決定し、ステップS12に移る。例えばステップS112で新たに休止気筒を設けないこととした場合には、カット気筒数は0と決定する。また、休止していない気筒1aのうちのいずれか1つの気筒1aを休止気筒に変更する気筒1aとしてステップS112で決定した場合には、カット気筒数は1と決定する。
【0042】
ステップS12では、点火遅角量決定処理を行って、ステップS2に戻り、フローを繰り返す。ここで、図4のフローチャートを用いて、点火遅角量決定処理の概略について説明を行う。なお、ステップS12では、点火遅角量決定処理を行って所定時間の経過後にステップS2に戻ってフローを繰り返す構成としてもよい。ここで言うところの所定時間とは任意に設定可能な値であって、例えば数百ミリ秒や1秒などとしてもよい。
【0043】
ステップS121では、カット気筒数の増加による燃焼トルクのダウン率(以下、気筒休止トルクダウン率)を算出し、ステップS122に移る。気筒休止トルクダウン率の算出は、気筒休止トルクダウン率=ステップS11で決定したカット気筒数×(1/全気筒数)の関係式によって算出する構成とすればよい。本実施形態の例では、1/全気筒数=12.5となる。
【0044】
ステップS122では、ステップS10で算出した最終トルクカット率とステップS121で算出した気筒休止トルクダウン率とをもとに、点火遅角率を算出し、ステップS123に移る。この点火遅角率が請求項の内燃機関のトルクの減少の不足分に相当し、ECU11が請求項の減少不足分算出手段に相当する。点火遅角率は、点火遅角率=最終トルクカット率−気筒休止トルクダウン率の関係式によって算出する構成とすればよい。カット気筒数が0の場合には、気筒休止トルクダウン率が0となるので、カット気筒数が0の場合には、最終トルクカット率がそのまま点火遅角率となる。一方、カット気筒数が1以上の場合には、休止気筒の増加分で補うことのできない燃焼トルクのダウン率が点火遅角率となる。
【0045】
ステップS123では、基準点火時期とステップS122で算出した点火遅角率とをもとに点火遅角量を算出する。点火遅角量は、点火遅角量=基準点火時期×点火遅角率の関係式や点火遅角率と点火遅角量の対応関係を示すマップによって算出する構成とすればよい。よって、ECU11が請求項の第1遅角量換算手段および第2遅角量換算手段に相当する。
【0046】
また、ここで言うところの基準点火時期とは、例えばエンジン回転数やエンジン負荷(もしくはスロットル開度)といった少なくとも点火時期以外のエンジン1の運転状態に応じて逐次ECU11で算出される最適な点火時期であって、周知の基準点火時期と同様のものである。よって、ECU11が請求項の基準点火時期算出手段に相当する。基準点火時期は、エンジン回転数やエンジン負荷以外にも例えばエンジン水温に応じて算出されるものであってもよい。
【0047】
ステップS123で点火遅角量が算出された場合には、運転する気筒の点火時期を基準点火時期から当該点火遅角量だけ遅角させ、点火プラグ6の点火を逐次行うことになる。なお、基準点火時期は常に一定のものではなく、その都度の運転状態に応じて定まるものである。本実施形態では、基準点火時期はMBT(Minimum Advance for Best Torque)もしくはMBTよりも遅角側であるものとする。また、例えば点火遅角量は少なくとも基準点火時期からTDCに達するまでの遅角量に収まるようになっているものとする。なお、点火遅角量が基準点火時期からTDCに達するまでの遅角量に収まらない場合には、基準点火時期からTDCに達するまでの遅角量を点火遅角量とする構成としてもよい。
【0048】
点火時期とエンジン1のトルクとの間には、図5に示すように、点火時期を基準点火時期から遅角させるとエンジン1のトルクが減少する相関関係がある。この相関関係は、エンジントルクと燃焼トルクとのいずれのエンジン1のトルクにも当てはまる。図5は、点火時期とエンジン1のトルクとの間の相関関係を示す模式図である。縦軸がトルクの大きさを示しており、横軸が点火時期を示している。また、図5中のAが基準点火時期を示しており、BがTDCを示している。本実施形態では、上述の相関関係を利用し、点火時期を基準点火時期から遅角させることによって、エンジントルクを減少させる。
【0049】
本実施形態の構成によれば、最終トルクカット率の増加に応じて点火時期を基準点火時期から遅角させていくことになる。例えば、最終トルクカット率が休止気筒数を1つ増加させる必要のない程度の値の場合には、最終トルクカット率の増加に応じて点火時期を基準点火時期から逐次遅角させていくことで、エンジントルクを逐次減少させていくことになる。そして、最終トルクカット率が休止気筒数を1つ増加させる必要のある値にまで達した場合には、休止気筒数を1つ増加させることでエンジントルクを減少させることになる。
【0050】
また、最終トルクカット率が休止気筒数を1つ増加させる必要のある値程度の場合になったときには、最終トルクカット率に対する気筒休止トルクダウン率のトルクの減少の不足分がないので、基準点火時期からの遅角量は一旦ゼロに戻すことになる。その後、最終トルクカット率がさらに増加していく場合には、最終トルクカット率に対する気筒休止トルクダウン率のトルクの減少の不足分が増加していくので、点火時期を基準点火時期から再度遅角させていくことになる。本実施形態によれば、車速を目標車速に合わせるフィードバック制御を行っているため、必要エンジントルクが急激に変化することはなく、休止気筒数が変更される場合にも1つずつ変更されることになる。
【0051】
これを図で説明すると図6のようになる。図6は、本発明の点火時期の制御を説明するための模式図である。図6では上のグラフから順に車速の時間変化、必要エンジントルクの時間変化、休止気筒数の時間変化、点火時期の基準点火時期に対する遅角量の時間変化を示している。車速が目標車速に達して必要エンジントルクが減少し始めると、その減少に応じて最終トルクカット率が徐々に増加し始めるので、基準点火時期からの遅角量も徐々に増加し、エンジントルクを徐々に減少させいくことになる。そして、遅角量だけでは、必要とするエンジントルクを減少させられなくなったところで休止気筒数の増加が行われ、エンジントルクの減少が行われる。このとき、遅角量は一旦ゼロに戻った(図のC参照)後、最終トルクカット率の増加に合わせて再度増加していくことになる。以降についても、同様の処理が繰り返されることになる。
【0052】
従来までの技術では、休止気筒数を1つ増加するごとに、図7に示すように(1/全気筒数)ずつ(本実施形態の例では12.5%)の大きなトルク段差が生じることになる。図7は、休止気筒数とトルクとの相関関係を示す模式図であって、縦軸がトルクの大きさを示しており、横軸が休止気筒数を示している。しかしながら、本実施形態の構成によれば、予めエンジントルクの減少を逐次行った上で休止気筒数の増加を行うことができるので、休止気筒数の増加による急激なエンジントルクの減少を緩和することが可能になる。よって、ユーザにとって不快な振動や車速のハンチングを抑え、車両の快適性および目標車速への収束性をより改善することが可能になる。
【0053】
また、本実施形態の構成によれば、休止気筒数の増加分(気筒休止トルクダウン率分のトルクの減少)だけでは最終トルクカット率分のトルクの減少分が補いきれない場合に、不足分のトルクの減少を点火時期の遅角によって補うことができる。従って、この点でも目標車速への収束性をより改善することが可能になる。
【0054】
ここで、本発明における作用効果について、具体的に図8〜図10を用いて説明を行う。図8に示す図は、従来技術における車速のばらつきを示すための模式図である。図9および図10は、本発明における車速のばらつきを示すための模式図である。図8のDがエンジン回転数、Eが燃料カット率、Fが車速、Gがスロットル開度の時間変化を示している。図9のDがエンジン回転数、Eが燃料カット率(最終トルクカット率)、Fが車速、Hが休止気筒数、Iが点火時期の時間変化を示している。また、図8および図9のJで示す幅が1秒分を示しており、Kで示す幅が車速5km/h分を示している。さらに、図10は、図9の破線の枠の部分の拡大図である。なお、図8では、休止気筒数の時間変化を示していないが、図8も休止気筒数の増加が行われた場合の各種パラメータの時間変化を示している。
【0055】
図8に示すように、従来の技術では、休止気筒数の増加を行う場合に車速のばらつきが大きくなる。一方、図9および図10に示すように、本実施形態の内燃機関制御システム100では、車両のばらつきが抑えられており、目標車速への収束性が改善されている。
【0056】
続いて、自車両の車速が目標車速を下回ろうとする場合に自車両の車速を目標車速に収束させる処理(以下、第2車速収束処理)について図11を用いて説明を行う。図11は、ECU11での第2車速収束処理のフローを示すフローチャートである。図11のフローは、例えば自車両のイグニッション電源がオンになったときに開始し、イグニッション電源がオフになった場合に終了するものとする。なお、目標車速が変更された場合には、ステップS21からフローをやり直すものとすればよい。
【0057】
ステップS21〜ステップS25までは、ステップS1〜ステップS5までと同様にして処理を行うものとする。なお、第1車速収束処理のステップS1〜ステップS5と共通の処理であって、ステップS5以降で分岐する構成としてもよい。
【0058】
ステップS26では、エンジントルクを増加させる必要があるか否か(つまり、トルクアップが必要か否か)を判断する。詳しくは、現エンジントルクが必要エンジントルクを下回っている場合にはトルクアップが必要と判断し、下回っていなかった場合にはトルクアップが不要と判断する。そして、トルクアップが必要と判断した場合(ステップS26でYES)には、ステップS27に移る。また、トルクアップが不要と判断した場合(ステップS26でNO)には、ステップS22に戻ってフローを繰り返す。
【0059】
ステップS27では、ステップS24で算出した必要エンジントルクとステップS25で算出した現エンジントルクをもとに、必要なエンジントルクの増加量(以下、トルクアップ必要量)を算出し、ステップS28に移る。詳しくは、必要エンジントルクから現エンジントルクを差し引いた量がトルクアップ必要量となる。
【0060】
ステップS28では、ステップS8と同様に現燃焼トルクを算出して、ステップS29に移る。ステップS29では、ステップS27で算出したトルクアップ必要量とステップS28で算出した現燃焼トルクとから、燃焼トルクの必要な増加率(つまり、アップ率)をベースアップ率として算出して、ステップS30に移る。ステップS30では、上記ベースアップ率をもとに車速を目標車速に合わせるフィードバックの制御を行う場合のPI制御の補正量を算出する。そして、ステップS29で算出したベースアップ率とPI補正量を加味した最終的な燃焼トルクのアップ率(以下、最終トルクアップ率)を算出し、ステップS31に移る。
【0061】
ステップS31では、運転気筒決定処理を行って、ステップS32に移る。ここで、図12のフローチャートを用いて、運転気筒決定処理の概略について説明を行う。
【0062】
まず、ステップS211では、ステップS30で算出した最終トルクアップ率と気筒1aの全数(以下、全気筒数)とをもとに、運転させる休止気筒数(以下、アップ気筒数)を算出し、ステップS212に移る。本実施形態の例では全気筒数は8である。アップ気筒数の算出は、アップ気筒数=最終トルクアップ率×全気筒数/100の関係式によって算出する構成とすればよい。
【0063】
ステップS212では、ステップS211で算出したアップ気筒数をもとに、どの気筒を休止気筒から運転気筒に変更するか(以下、アップ気筒パターン)を決定し、ステップS213に移る。例えばステップS211でアップ気筒数の算出結果が1未満であった場合には、新たに運転気筒を設けないこととする。また、ステップS211でアップ気筒数の算出結果が1以上且つ2未満であった場合には、休止気筒のうちのいずれか1つの気筒1aを運転気筒に変更する気筒1aとして決定する。
【0064】
運転気筒に変更する気筒1aを決定した場合には、ECU11が気筒休止機構10に切換制御信号を送り、運転気筒に変更する気筒1aとして決定された休止気筒の運転を再開させるものとする。
【0065】
ステップS213では、ステップS212で決定したアップ気筒パターンをもとにアップ気筒数を決定し、ステップS32に移る。例えばステップS212で新たに運転気筒を設けないこととした場合には、アップ気筒数は0と決定する。また、休止気筒のうちのいずれか1つの気筒1aを運転気筒に変更する気筒1aとしてステップS212で決定した場合には、アップ気筒数は1と決定する。
【0066】
ステップS32では、点火進角量決定処理を行って、ステップS22に戻り、フローを繰り返す。ここで、図13のフローチャートを用いて、点火進角量決定処理の概略について説明を行う。なお、ステップS32では、点火進角量決定処理を行って所定時間の経過後にステップS2に戻ってフローを繰り返す構成としてもよい。ここで言うところの所定時間とは任意に設定可能な値であって、例えば数百ミリ秒や1秒などとしてもよい。
【0067】
ステップS221では、アップ気筒数の増加による燃焼トルクのアップ率(以下、気筒運転トルクアップ率)を算出し、ステップS222に移る。気筒運転トルクアップ率の算出は、気筒運転トルクアップ率=ステップS31で決定したアップ気筒数×(1/全気筒数)の関係式によって算出する構成とすればよい。本実施形態の例では、1/全気筒数=12.5となる。
【0068】
ステップS222では、ステップS30で算出した最終トルクアップ率とステップS221で算出した気筒運転トルクアップ率とをもとに、点火進角率を算出し、ステップS223に移る。この点火進角率が請求項の内燃機関のトルクの増加の不足分に相当し、ECU11が請求項の増加不足分算出手段に相当する。点火進角率は、点火進角率=最終トルクアップ率−気筒運転トルクアップ率の関係式によって算出する構成とすればよい。アップ気筒数が0の場合には、気筒運転トルクアップ率が0となるので、アップ気筒数が0の場合には、最終トルクアップ率がそのまま点火進角率となる。一方、アップ気筒数が1以上の場合には、休止気筒の減少分で補うことのできない燃焼トルクのアップ率が点火進角率となる。
【0069】
ステップS223では、基準点火時期とステップS222で算出した点火進角率とをもとに点火進角量を算出する。点火進角量は、点火進角量=基準点火時期×点火進角率の関係式によって算出する構成とすればよい。よって、ECU11が請求項の第1進角量換算手段および第2進角量換算手段に相当する。
【0070】
ステップS223で点火進角量が算出された場合には、運転する気筒の点火時期を基準点火時期まで当該点火進角量だけ進角させ、点火プラグ6の点火を逐次行うことになる。なお、ここでは基準点火時期はMBTよりも遅角側であるものとする。また、例えば点火進角量は少なくともTDCから基準点火時期に達するまでの進角量に収まるようになっているものとする。なお、点火進角量がTDCから基準点火時期に達するまでの進角量に収まらない場合には、TDCから基準点火時期に達するまでの進角量を点火進角量とする構成としてもよい。
【0071】
本実施形態の構成によれば、最終トルクアップ率の増加に応じて点火時期を基準点火時期まで進角させていくことになる。例えば、最終トルクアップ率が休止気筒数を1つ減少させる必要のない程度の値の場合には、最終トルクアップ率の増加に応じて点火時期を基準点火時期まで逐次進角させていくことで、エンジントルクを逐次増加させていくことになる。そして、最終トルクアップ率が休止気筒数を1つ減少させる必要のある値にまで達した場合には、休止気筒数を1つ減少させることでエンジントルクを増加させることになる。
【0072】
また、最終トルクアップ率が休止気筒数を1つ減少させる必要のある値程度の場合になったときには、最終トルクアップ率に対する気筒運転トルクアップ率のトルクの増加の不足分がないので、基準点火時期からの進角量は一旦ゼロに戻すことになる。その後、最終トルクアップ率がさらに増加していく場合には、最終トルクアップ率に対する気筒運転トルクアップ率のトルクの増加の不足分が増加していくので、点火時期を基準点火時期まで再度進角させていくことになる。本実施形態によれば、車速を目標車速に合わせるフィードバック制御を行っているため、必要エンジントルクが急激に変化することはなく、休止気筒数が変更される場合にも1つずつ変更されることになる。
【0073】
以上の構成によれば、予めエンジントルクの増加を逐次行った上で休止気筒数の減少を行うことができるので、休止気筒数の減少による急激なエンジントルクの増加を緩和することが可能になる。よって、ユーザにとって不快な振動や車速のハンチングを抑え、車両の快適性および目標車速への収束性をより改善することが可能になる。また、以上の構成によれば、休止気筒数の減少分(気筒運転トルクアップ率分のトルクの増加)だけでは最終トルクアップ率分のトルクの増加分が補いきれない場合に、不足分のトルクの増加を点火時期の進角によって補うことができる。従って、この点でも目標車速への収束性をより改善することが可能になる。
【0074】
前述の実施形態では、ECU11が第1車速収束処理と第2車速収束処理とのいずれも行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ECU11が第1車速収束処理と第2車速収束処理とのいずれか一方のみを行う構成としてもよい。
【0075】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 エンジン(内燃機関)、1a 気筒、2 吸気管、3 スロットル弁、4 スロットル開度センサ、5 燃料噴射弁、6 点火プラグ、7 燃焼圧センサ、8 クランク角度位置センサ、9 車速センサ、10 気筒休止機構、11 ECU(内燃機関制御装置、目標車速設定手段、車速取得手段、必要トルク算出手段、必要変化量算出手段、休止気筒数変更手段、減少不足分算出手段、第1遅角量換算手段、第2遅角量換算手段、基準点火時期算出手段、増加不足分算出手段、第1進角量換算手段、第2進角量換算手段)、100 内燃機関制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒を備える内燃機関の運転状態に応じた点火時期である基準点火時期の算出を行う基準点火時期算出手段と、
前記内燃機関を搭載した車両の目標車速を設定する目標車速設定手段と、
前記車両の車速を逐次取得する車速取得手段とを備える内燃機関制御装置であって、
前記車両の車速を目標車速に合わせるために必要な前記内燃機関のトルクを算出する必要トルク算出手段と、
前記車両の車速を前記目標車速に合わせるために必要な前記内燃機関のトルクの変化量である必要変化量を逐次算出する必要変化量算出手段と、
逐次算出される前記必要変化量に応じて、前記内燃機関の複数の気筒のうちの運転を休止する休止気筒の数の変更を行う休止気筒数変更手段とを備え、
前記休止気筒数変更手段で前記休止気筒数の変更を行う場合に、前記必要変化量に応じて前記内燃機関の点火時期を前記基準点火時期からずらした後に前記休止気筒数の変更を行うことを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記休止気筒数変更手段で前記休止気筒数を増加させる場合に、前記必要変化量に応じて前記内燃機関の点火時期を前記基準点火時期から遅角させた後に前記休止気筒数を増加させることを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項3】
請求項2において、
逐次算出される前記必要変化量分のトルクの減少値を前記基準点火時期からの遅角量に逐次換算する第1遅角量換算手段をさらに備え、
前記内燃機関の休止気筒数を1つ増加させるとした場合の内燃機関のトルクの減少値が、逐次算出される前記必要変化量分のトルクの減少値を上回らない場合には、前記休止気筒数を増加させずに、前記内燃機関の点火時期を前記基準点火時期から前記第1遅角量換算手段で逐次換算される遅角量だけ遅角させることを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記内燃機関の休止気筒数を増加させるとした場合の内燃機関のトルクの減少値と、逐次算出される前記必要変化量分の内燃機関のトルクの減少値との差分をもとに、トルクの減少の不足分がある場合にはその不足分を逐次算出する減少不足分算出手段と、
前記減少不足分算出手段で逐次算出した不足分を前記基準点火時期からの遅角量に逐次換算する第2遅角量換算手段とをさらに備え、
逐次算出される前記必要変化量分のトルクの減少値が前記内燃機関の休止気筒数を1つ増加させるとした場合のトルクの減少値を上回る場合には、前記内燃機関の点火時期を前記基準点火時期から前記第2遅角量換算手段で逐次換算される遅角量だけ遅角させるとともに、前記休止気筒数を増加させることを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
前記休止気筒数変更手段で前記休止気筒数を減少させる場合に、前記必要変化量に応じて前記内燃機関の点火時期を前記基準点火時期まで進角させた後に前記休止気筒数を減少させることを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項6】
請求項5において、
逐次算出される前記必要変化量分のトルクの増加値を前記基準点火時期までの進角量に逐次換算する第1進角量換算手段をさらに備え、
前記内燃機関の休止気筒数を1つ減少させるとした場合の内燃機関のトルクの増加値が、逐次算出される前記必要変化量分のトルクの増加値を上回らない場合には、前記休止気筒数を減少させずに、前記内燃機関の点火時期を前記基準点火時期まで前記第1進角量換算手段で逐次換算される進角量だけ進角させることを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記内燃機関の休止気筒数を減少させるとした場合の内燃機関のトルクの増加値と、逐次算出される前記必要変化量分の内燃機関のトルクの増加値との差分をもとに、トルクの増加の不足分がある場合にはその不足分を逐次算出する増加不足分算出手段と、
前記増加不足分算出手段で算出した不足分を前記基準点火時期までの進角量に換算する第2進角量換算手段とをさらに備え、
逐次算出される前記必要変化量分のトルクの増加値が前記内燃機関の休止気筒数を1つ減少させるとした場合のトルクの増加値を上回る場合には、前記内燃機関の点火時期を前記基準点火時期まで前記第1進角量換算手段で換算した進角量だけ進角させるとともに、前記休止気筒数を減少させることを特徴とする内燃機関制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−233450(P2012−233450A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103728(P2011−103728)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】