説明

冷却器への電子部品内蔵配線基板の取付構造及びその取付方法

【課題】電子部品の冷却効率を向上させつつ、係合用の部位を別途設けることなく、電子部品内蔵配線基板を冷却器へ取り付けた後の電子部品の位置ズレを抑制することができる電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造を提供すること。
【解決手段】冷却器200は、一方向に並設された複数のチューブ202を有する。配線基板100は、配線部(導体パターン20、層間接続部30)と、配線部に電気的に接続された複数の電子部品と、配線部と複数の電子部品とを内蔵するものであり、電子部品を内蔵する複数の電子部品配置部40、及び、可撓性を有し、電子部品配置部40の間に構成された屈曲部70を含む絶縁基材とを備える。そして、屈曲部70は、チューブ202の先端部位204に対向して配置され、電子部品配置部40は、隣り合うチューブ202によって挟持され、両表面がチューブ202に密着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が内蔵された電子部品内蔵配線基板を冷却器に対して取り付ける取付構造及びその取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されるように、複数の電子部品が取り付けられた可撓性を有する配線基板をヒートシンク(冷却器)に巻きつけるように装着する取付構造が知られていた。
【0003】
この配線基板は、可撓性を有する樹脂フィルムあるいは金属等で裏打ちされた樹脂フィルムからなるもので、一層又は多層形式の電極乃至配線層が形成されている。また、電子部品は、LSIチップ等のIC部品乃至抵抗器等の個別部品からなるもので、配線基板の一方の主表面に配線層と所望の電子回路を構成すべく取り付けられている。そして、複数の電子部品が取り付けられた配線基板は、電子部品間の基板部分を撓ませた状態で冷却器の突出部に装着されている。この場合、電子部品は、配線基板の撓みに基づく押圧力によって突出部の側面に裏面が密着するように配置される。これによって、冷却効果が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−346295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、配線基板の撓みに基づく押圧力によって、電子部品を冷却器に密着させているので、電子部品の一方の表面側のみしか冷却器に密着させることができない。
【0006】
また、電子部品を両面から冷却するために、電子部品の他方の表面側にある配線基板に冷却器を密着させることも考えられる。つまり、電子部品の他方の表面側に配線基板を介して冷却器を取り付けることも考えられる。しかしながら、特許文献1における図7に示されているように、配線基板と電子部品との間に空気層が介在しているので、冷却器と電子部品との間にも空気層が介在することになる。このように、特許文献1においては、冷却効率が十分ではなかった。
【0007】
また、各電子部品の位置決めを容易にし、且つ配置後の位置ズレを防ぐために、突出部の一方の側面に係合用の突起を設けるとともに、配線基板には突起に対応する係合用の孔を設ける必要がある。又は、突出部の側面に電子部品の外形に対応した凹部又は凸部を設け、電子部品自体を凹部又は凸部に係合させる必要がある。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑み、電子部品の冷却効率を向上させつつ、係合用の部位を別途設けることなく、電子部品内蔵配線基板を冷却器へ取り付けた後の電子部品の位置ズレを抑制することができる電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造を提供することを第1の目的とする。また、電子部品の冷却効率を向上させつつ、係合用の部位を別途設けることなく、電子部品の位置決めを容易にし、且つ電子部品内蔵配線基板を冷却器へ取り付けた後の電子部品の位置ズレを抑制することができる電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第1の目的を達成する為に、請求項1に記載の発明は、
冷却器への電子部品内蔵配線基板の取付構造であって、
冷却器は、電子部品内蔵配線基板が取り付けられる部位として、内部に冷媒が流通され、一方向に並設された複数の取付部を有し、
電子部品内蔵配線基板は、
配線部と、
配線部に電気的に接続された複数の電子部品と、
主として樹脂を含み、配線部と複数の電子部品とを内蔵するものであり、電子部品を内蔵する複数の電子部品配置部、及び、可撓性を有し、電子部品配置部の間に構成された屈曲部を含む絶縁基材と、を備え、
屈曲部は、取付部における取付部の並設方向に対して垂直方向にある先端部位に対向して配置され、
電子部品配置部は、隣り合う取付部によって挟持され、電子部品配置部の両表面が取付部に密着していることを特徴とするものである。
【0010】
このようにすることによって、電子部品と冷却器との間に空気層が介在することなく、電子部品配置部を冷却器の取付部で挟み込み、取付部間に配置された電子部品を両面から冷却することができ、冷却効率を向上させることができる。また、電子部品内蔵配線基板は、冷却器の取付部によって挟持されるので、係合用の部位を別途設けることなく、電子部品内蔵配線基板を冷却器へ取り付けた後の電子部品の位置ズレを抑制することができる。
【0011】
なお、このように、電子部品内蔵配線基板は、冷却器の取付部によって挟持されることによって応力を受けることになる。しかしながら、請求項1においては、電子部品が絶縁基材に内蔵されているので、電子部品に応力が集中することを抑制することができる。
【0012】
さらに、電子部品内蔵配線基板は、電子部品及び配線部を絶縁基材に内蔵して一体的に構成されているので、沿面距離を考慮する必要もない。
【0013】
また、請求項2に示すように、屈曲部は複数設けられるものであり、隣り合う任意の2つの屈曲部は、隣り合う取付部であって、取付部の並設方向に垂直な方向において互いに異なる側の先端部位と対向して配置されるようにしてもよい。
【0014】
このようにすることによって、電子部品内蔵配線基板における3箇所以上の電子部品配置部を冷却器の取付部で挟み込み、取付部間に配置された電子部品を両面から冷却することができる。
【0015】
また、請求項3に示すように、屈曲部は、取付部における取付部の並列方向に垂直な方向の先端部位に、先端部位の形状に沿って密着するようにしてもよい。
【0016】
このようにすることによって、屈曲部と取付部の先端部位との間に隙間がある場合よりも、電子部品配置部と取付部との位置合わせをしやすくすることができる。
【0017】
また、請求項4に示すように、絶縁基材は、電子部品配置部における両表面層として金属部材からなる放熱部材が設けられるようにしてもよい。
【0018】
このようにすることによって、冷却効率をより一層向上させることができる。
【0019】
さらに、請求項5に示すように、電子部品内蔵配線基板は、金属からなり、電子部品と電気的に接続されることなく機械的に接続されるとともに、放熱部材と機械的に接続された放熱用接続部を備えるようにしてもよい。
【0020】
このようにすることによって、単に、放熱部材を設ける場合よりも、冷却効率を向上させることができる。
【0021】
なお、屈曲部以外の部位(例えば、電子部品配置部)は可撓性を有する必要はない。従って、請求項6に示すように、電子部品配置部における両表面に露出する放熱部材は、可撓性を有さないようにしてよもよい。
【0022】
このようにすることによって、放熱部材の材料候補が増えるので、より放熱性(熱伝達性)の良い材料を選択することができる。
【0023】
また、請求項7に示すように、放熱部材は、可撓性を有し、電子部品配置部から屈曲部まで連続的に設けられ、電子部品配置部及び屈曲部における両表面層として設けられるようにしてもよい。
【0024】
このようにすることによって、放熱部材と冷却器における取付部との接触面積を増やすことができるので、冷却効率をより一層向上することができる。
【0025】
また、請求項8に示すように、電子部品内蔵配線基板は、金属からなり、電子部品と電気的に接続されることなく機械的に接続されるとともに、一部が絶縁基材の表面に露出して取付部に密着した放熱用接続部を備えるようにしてもよい。
【0026】
このようにすることによって、単に、電子部品配置部を冷却器の取付部で挟み込む場合よりも、冷却効率を向上させることができる。
【0027】
また、請求項9に示すように、電子部品内蔵配線基板は、屈曲部における先端部位に対向している面の反対面に、配線部と電気的に接続された外部接続用の端子を備えるようにしてもよい。
【0028】
このようにすることによって、冷却器に取り付けられた電子部品内蔵配線基板に対して、外部接続用の端子を介して電気的に接続される外部装置を容易に接続することができる。また、この端子は、電子部品内蔵配線基板を冷却器の取付部に取り付ける際の位置決め用のマークとして用いることもできる。よって、電子部品を精度良く取付部間に配置することができる。
【0029】
また、請求項10に示すように、冷却器は、端子が設けられている屈曲部が対向して配置されている取付部における先端部位が、隣り合う取付部における先端部位よりも突出して設けられるようにしてもよい。
【0030】
このようにすることによって、外部接続用の端子に外部装置を接続する際に、端子が設けられている屈曲部が対向して配置されていない取付部が邪魔になることを抑制することができる。
【0031】
また、請求項11に示すように、取付部は、先端部位が曲面形状をなすようにしてもよい。
【0032】
このようにすることによって、電子部品配置部と屈曲部との界面に対する応力を低減することができる。
【0033】
また、請求項12に示すように、屈曲部は、絶縁基材におけるその他の部位よりも厚みを薄くしてもよい。
【0034】
このようにすることによって、屈曲部に可撓性を持たせ屈曲しやすくすることができる。なお、屈曲部以外の部位(例えば、電子部品配置部)は可撓性を有する必要はない。そこで、請求項12に示すようにすることで、屈曲部だけが可撓性を有するようにすることもできる。
【0035】
また、請求項13に示すように、絶縁基材は、全体が可撓性を有するようにしてもよい。
【0036】
このようにすることによって、絶縁基材の厚みを部分的に薄くすることなく屈曲部を構成することができる。
【0037】
また、電子部品内蔵配線基板は、請求項14に示すように、配線部と複数の電子部品によって、インバータ回路が構成されるようにしてもよい。
【0038】
また、請求項15に示すように、絶縁基材は、熱可塑性樹脂を含む基材フィルムを複数枚積層し、相互に接着してなるものを採用するようにしてもよい。このように、熱可塑性樹脂を含んだ基材フィルム(熱可塑性樹脂フィルム)を有する複数枚の樹脂フィルムを、熱可塑性樹脂フィルムが少なくとも1枚おきに位置するように積層し、真空熱プレス機により、積層方向上下から加圧・加熱する方法によって、一括で形成することができる。したがって、製造工程を簡素化することができる。このようにすることによって、電子部品内蔵配線基板は、例えば、加圧・加熱工程によって、一括で製造することができる。
【0039】
なお、この場合、請求項16に示すように、基材フィルムは、配線部として、導体パターンと、導体パターン間及び導体パターンと電子部品とを電気的に接続するものでありビアホール内に導電体が埋め込まれた層間接続部を有するようにしてもよい。
【0040】
上記第2の目的を達成する為に、請求項17に記載の発明は、配線部と、この配線部に電気的に接続された複数の電子部品と、主として樹脂を含み、配線部と複数の電子部品とを内蔵するものであり、電子部品を内蔵する複数の電子部品配置部、及び、少なくとも電子部品配置部の間に構成された可撓部を含む絶縁基材と、を備える電子部品内蔵配線基板を、電子部品内蔵配線基板が取り付けられる部位として、内部に冷媒が流通され、一方向に並設された複数の取付部を有する冷却器に取り付ける取付方法であって、
可撓部を屈曲させて、この可撓部を取付部における取付部の並設方向に対して垂直方向にある先端部位に対向して配置するとともに、電子部品配置部を隣り合う取付部間に配置する配置工程と、
配置工程後に、取付部間と絶縁基材に対して取付部の並設方向の両側から加圧して、電子部品配置部の両表面を前記取付部に密着させ、電子部品配置部を隣り合う取付部で挟持する加圧工程と、を備えることを特徴とするものである。
【0041】
このようにすることによって、電子部品と冷却器との間に空気層が介在することなく、電子部品を冷却器の取付部で挟み込み、取付部間に配置された電子部品を両面から冷却することが可能な取付構造とすることができる。よって、冷却効率が向上した取付構造とすることができる。
【0042】
また、加圧工程によって、取付部間に配置される電子部品配置部を取付部に密着させることによって、電子部品内蔵配線基板を冷却器の取付部によって挟持させることができる。よって、係合用の部位を別途設けることなく、電子部品内蔵配線基板を冷却器へ取り付けた後の電子部品の位置ズレを抑制することが可能な取付構造とすることができる。
【0043】
なお、このように、電子部品内蔵配線基板は、冷却器の取付部によって挟持することによって応力を受けることになる。しかしながら、請求項17においては、電子部品が絶縁基材に内蔵されているので、電子部品に応力が集中することを抑制することができる。
【0044】
さらに、電子部品内蔵配線基板は、電子部品及び配線部を絶縁基材に内蔵して一体的に構成されているので、沿面距離を考慮する必要もない。
【0045】
また、請求項18に示すように、配置工程では、電子部品内蔵配線基板を両端部から取付部の並設方向に垂直な方向に引っ張ることで、可撓部を対向する取付部の先端部位の形状に沿って密着させつつ、電子部品配置部を隣り合う取付部間に配置するようにしてもよい。
【0046】
このように、電子部品内蔵配線基板を引っ張って、可撓部を取付部の先端部位の形状に沿って密着させつつ、電子部品配置部を隣り合う取付部間に配置することで、係合用の部位を別途設けることなく、電子部品配置部が取付部間に配置されるように位置合わせすることができる。つまり、電子部品の位置決めを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態における冷却器への電子部品内蔵配線基板の取付構造の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における電子部品内蔵配線基板の制御基板を実装した状態の概略構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における電子部品内蔵配線基板の概略構成を示す平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿う断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における電子部品内蔵配線基板の等価回路を示す回路図である。
【図7】本発明の実施の形態における電子部品内蔵配線基板を構成する樹脂フィルム毎の断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における電子部品内蔵配線基板のパッド部分の概略構成を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における電子部品内蔵配線基板の端子部分の概略構成を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態における冷却器の概略構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態における冷却器の概略構成を示す側面図である。
【図12】本発明の実施の形態における冷却器に電子部品内蔵配線基板を配置した状態の概略構成を示す断面図である。
【図13】変形例1における電子部品内蔵配線基板の放熱用導体パターン、放熱用層間接続部部分の断面図である。
【図14】変形例2における電子部品内蔵配線基板の概略構成を示す断面図である。
【図15】変形例3における電子部品内蔵配線基板の概略構成を示す断面図である。
【図16】変形例4における電子部品内蔵配線基板の概略構成を示す断面図である。
【図17】変形例5における電子部品内蔵配線基板の概略構成を示す断面図である。
【図18】変形例6における電子部品内蔵配線基板の概略構成を示す平面図である。
【図19】変形例6における冷却器への電子部品内蔵配線基板の取付構造の概略構成を示す斜視図である。
【図20】変形例7における冷却器に対して電子部品内蔵配線基板が取り付けられた状態の概略構成を示す断面図である。
【図21】変形例8における冷却器に対して電子部品内蔵配線基板が取り付けられた状態の概略構成を示す断面図である。
【図22】変形例9における電子部品内蔵配線基板の概略構成を示す平面図である。
【図23】変形例9における冷却器への電子部品内蔵配線基板の取付構造の概略構成を示す斜視図である。
【図24】図23のXXIV−XXIV線に沿う断面図である。
【図25】変形例10における配線基板ベースの概略構成を示す平面図である。
【図26】変形例10における電子部品内蔵配線基板の概略構成を示す平面図である。
【図27】変形例11における配線基板ベースの概略構成を示す平面図である。
【図28】変形例11における電子部品内蔵配線基板の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0049】
図1などに示すように、本実施の形態においては、冷却器200に対して電子部品内蔵配線基板100(以下、単に配線基板100と称する)が巻きつけるようにして取り付けられた取付構造をなすものである。
【0050】
まず、配線基板100に関して説明する。図4,5に示すように、配線基板100は、電子部品を内蔵する配線基板の基本的な構成要素として、絶縁基材10、絶縁基材10の内部に埋設(すなわち内蔵)された配線部としての導体パターン20及び層間接続部30、絶縁基材10の内部に埋設(すなわち内蔵)され、配線部に電気的に接続された複数の電子部品としてのIGBT41a〜41f及びダイオード42a〜42f、一部が絶縁基材10の外部に露出した端子61〜65、絶縁基材10の表面に設けられるパッド66を備えている。なお、本実施の形態においては、電子部品として、IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42fの半導体チップを採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
また、配線基板100は、導体パターン20、層間接続部30、IGBT41a〜41f、及びダイオード42a〜42fによって、図6の等価回路に示すようにモータージェネレータ500に接続されるインバータ回路400が構成されている。また、図5に示すように、配線基板100(絶縁基材10)は、U相アーム51を構成するIGBT41a,41b、ダイオード42a,42bと、V相アーム52を構成するIGBT41c,41d、ダイオード42c,42dと、W相アーム53を構成するIGBT41e,41f、ダイオード42e,42fが一体に構成されている。つまり、配線基板100は、6in1Packageとして構成されている。また、後ほど説明するが、絶縁基材10は可撓性を有するものであり、配線基板100は、フィルム状のインバータ(電力変換装置)、又はパワーモジュールと換言することができる。なお、ここでは、6in1Packageを採用して説明するが、特にこれに限定するものではなく、3in1Packageや4in1Packageなど複数の電子部品(半導体チップ)を1つ配線基板100に内蔵するものであれば採用することができる。また、本実施の形態においては、配線基板100をインバータ回路400として用いる例を採用するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0052】
よって、配線基板100は、後ほど説明する制御基板(外部装置)300からの駆動信号に基づいて、蓄電装置(図示省略)からの直流電圧を交流電圧に変換してモータージェネレータ500へ出力する。また、配線基板100は、制御基板(外部装置)300からの駆動信号に基づいて、モータージェネレータ500により回生発電された交流電圧を直流電圧に変換して蓄電装置へ出力する。
【0053】
絶縁基材10は、電気絶縁材料からなり、この絶縁基材10以外の構成要素、図4,5,8,9に示す例では導体パターン20、層間接続部30、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)、及び端子61〜65,パッド66を所定位置に保持する基材としての機能を果たすとともに、導体パターン20、層間接続部30、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)をその内部に保持して保護する機能を果たすものである。換言すると、導体パターン20、層間接続部30、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)は、絶縁基材10によって封止されている。
【0054】
また、本実施の形態における絶縁基材10は、全体が可撓性を有するものである。換言すると、絶縁基材10は、全体が柔軟性を有している。つまり、配線基板100は、可撓性(柔軟性)を有するフィルム状の配線基板である。このようにすることによって、絶縁基材10の厚みを部分的に薄くしたりすることなく、後ほど説明する屈曲部70を構成することができる。
【0055】
この絶縁基材10は、主として樹脂を含むとともに、この樹脂として熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂フィルム(基材フィルム)が複数枚積層され、加圧・加熱により接着・一体化されてなる。つまり、熱可塑性樹脂フィルム(基材フィルム)が複数枚積層され、相互に接着してなるものである。この熱可塑性樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂とともに、ガラス繊維、アラミド繊維などの無機材料を含むフィルム、及び、無機材料を含まない熱可塑性樹脂からなるフィルムの少なくとも一方を採用することができる。本実施形態に係る絶縁基材10は、図7に示すように、絶縁基材10の厚み方向において、7枚の熱可塑性樹脂フィルム11〜17が積層されてなる。
【0056】
また、絶縁基材10は、可撓性を有するようにするために、熱可塑性樹脂フィルムの材料、及び熱可塑性樹脂フィルム11〜17の枚数、つまり、絶縁基材10の厚みが設定されている。なお、可撓性を有する熱可塑性樹脂材料としてはポリアミド樹脂などがある。例えば、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)として、素子厚が0.2mm程度の電子部品を採用した場合、配線基板100は0.3mm程度の厚さとすることができる。この場合、例えば、絶縁基材10としてポリアミド樹脂を採用すると、日本工業規格であるJIS K7171:1994(厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの試験片に対する曲げ試験)で、最低でも約8MPa以上の曲げ強度はある。これに対して、後ほど説明する本実施の形態における冷却器200の積層荷重は約1MPa程度である。よって、配線基板100が冷却器200と密着性を保つために、後ほど説明する、引っ張りながら固定したときの屈曲部70にかかる荷重に対しては充分強度は確保出来る。なお、積層荷重とは、冷却器200を加圧して配線基板100を挟持するとき(後述の加圧工程時)に配線基板100の両面にかかる荷重のことである。
【0057】
また、熱可塑性樹脂フィルム11〜17として、ガラス繊維などの無機材料や線膨張係数などを調整するための無機フィラーを含まない、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)30重量%とポリエーテルイミド(PEI)70重量%からなる樹脂フィルムなどを採用することができる。なお、熱可塑性樹脂フィルムの構成材料は、上記例に限定されない。例えば、PEEK/PEIからなるものであっても、上記例とは比率の異なるものを採用しても良い。また、PEEK/PEI以外の構成材料、例えば液晶ポリマー(LCP)などを採用しても良い。
【0058】
これらの熱可塑性樹脂フィルム11〜17を用いて可撓性を有するフィルム状の配線基板100を製造(成型)する際には、PALAPとして知られる一括熱プレスにて製造することができる。従って、配線基板100の基本的な構成や製造方法は、特に断りのない限り、本出願人がこれまで出願してきたPALAPに関する構成を適宜採用することができる。よって、配線基板100を一括で製造(成型)できるため、工数の低減にもつながり、なおかつ絶縁基材10が可撓性を有するという条件も満たすことが可能となる。なお、PALAPは株式会社デンソーの登録商標である。
【0059】
ここで、図7に基づいて、上記した配線基板100の製造方法について説明する。なお、図7においては、符号30は、層間接続部30を構成する導電性ペーストであるが、便宜上、層間接続部30と同じ符号を付与している。
【0060】
先ず、積層体を加圧・加熱して配線基板100を形成すべく、積層体を構成する要素を準備する。この準備工程では、上記PALAPとして知られる一括積層法で周知のごとく、一括積層する前に、絶縁基材10を構成する熱可塑性樹脂フィルム11〜17に対して、導体パターン20(例えば、Cu箔)を形成したり、焼結により層間接続部30となる導電性ペースト30(例えば、Ag−Sn合金)をビアホールに充填したりしておく。また、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)の厚みに応じた枚数(ここでは1枚)の熱可塑性樹脂フィルム(ここでは、熱可塑性樹脂フィルム14)は、電子部品の外形に応じた貫通孔を形成しておく。つまり、電子部品の外形に応じて型抜きしておく。換言すると、電子部品の外形に応じて切断(除去)しておく。
【0061】
また、図示は省略するが、絶縁基材10を構成する熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一枚は、積層方向に対して垂直な方向の端部に、端子61〜65(例えば、Fe−Ni合金やNiメッキされた金属材料)における配線基板100の内部に配置されている部分の外形に応じた切取部を有する。つまり、端子61〜65における配線基板100の内部に配置されている部分の外形に応じて型抜きしておく。換言すると、端子61〜65における配線基板100の内部に配置されている部分の外形に応じて切断(除去)しておく。
【0062】
また、導体パターン20は、熱可塑性樹脂フィルムの表面に貼り付けた導体箔をパターニングすることで形成することができる。絶縁基材10を構成する複数枚の熱可塑性樹脂フィルムとしては、導体パターン20を有する熱可塑性樹脂フィルムを含めばよく、例えば全ての熱可塑性樹脂フィルムが導体パターン20を有する構成や、一部の熱可塑性樹脂フィルムが導体パターン20を有さない構成も採用することができる。なお、図7においては、熱可塑性樹脂フィルム12〜16にのみ導体パターン20が形成されているが、熱可塑性樹脂フィルム11にも導体パターン20が形成されている。この導体パターン20は、図8に示すように、絶縁基材10の表面に配置されるパッド66として設けられる。また、熱可塑性樹脂フィルム17にも導体パターン20が形成されていてもよい。
【0063】
また、導体パターン20を有する熱可塑性樹脂フィルムとしては、片面のみに導体パターン20を有する熱可塑性樹脂フィルム、積層方向における両面に導体パターン20を有する熱可塑性樹脂フィルムのいずれも採用することができる。
【0064】
一方、層間接続部30を構成する導電性ペーストは、導電性粒子にエチルセルロース樹脂やアクリル樹脂などを保形性付与のため添加し、テルピネオールなどの有機溶剤を加えた状態で混練することで得ることができる。そして、炭酸ガスレーザなどにより、樹脂フィルムを貫通するビアホールを形成し、スクリーン印刷などによって、導電性ペーストをビアホール内に充填する。ビアホールは、上記導体パターン20を底面として形成しても良いし、導体パターン20の無い位置に、ビアホールを形成しても良い。
【0065】
導体パターン20上にビアホールを形成する場合、導体パターン20が底となるため、ビアホール内に導電性ペースト30を留めることができる。一方、導体パターン20を有さない樹脂フィルム、又は、導体パターン20を有しながらも、導体パターン20の形成位置とは異なる位置にビアホールを形成する場合には、底のないビアホール内に導電性ペースト30を留めるために、本出願人による特願2008-296074号に記載の導電性ペースト30を用いる。また、この導電性ペースト30を充填する装置(方法)としては、本出願人による特願2009−75034号に記載の装置(方法)を採用すると良い。
【0066】
この導電性ペースト30は、導電性粒子に対し、導電性粒子の焼結温度よりも低い温度で分解または揮発するとともに、該温度よりも低く、室温よりも高い温度で溶融状態となり、室温で固体状態となる低融点室温固体樹脂が添加されている。低融点室温固体樹脂としては、例えばパラフィンがある。これによれば、充填時には加温することで、低融点室温固体樹脂が溶融してペースト状となり、充填後の冷却において、低融点室温固体樹脂が固化することで導電性ペースト30も固まって、ビアホール内に保持することができる。なお、充填する際には、ビアホールの一端を平坦な部材にて塞いでおけば良い。
【0067】
次に、積層体を形成する積層工程を実施する。この工程では、図7に示すように、貫通孔内に電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)を配置した状態で、上述のように準備した熱可塑性樹脂フィルム11〜17を積層方向における一端側からこの順番で積層して積層体とする。このとき、貫通孔内に配置された電子部品の電極と、導電性ペースト30とが対向する。なお、図示は省略するが、この積層工程においては、熱可塑性樹脂フィルムの積層方向に対して垂直な方向の端部に設けた切取部に、端子61〜65を配置しておく。また、端子61〜65における切取部に配置された部位と、導電性ペースト30とが対向する。
【0068】
次いで、真空熱プレス機を用いて積層体を加熱しつつ、積層方向上下から加圧する加圧・加熱工程を実施する。つまり、積層体における熱可塑性樹脂フィルム11〜17を加熱しつつ、積層方向上下から加圧する加圧・加熱工程を実施する。この工程では、熱可塑性樹脂を軟化させて複数枚の熱可塑性樹脂フィルム11〜17を一括で一体化しつつ、導電性ペースト30中の導電性粒子を焼結体として、該焼結体と導体パターン20を有した配線部を形成するとともに導電性ペースト30と電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)の電極とを電気的に接続する。また、端子61〜65における切取部に配置された部位と、導電性ペースト30とを電気的に接続する。
【0069】
なお、この加圧・加熱工程では、樹脂フィルムを一括で一体化して絶縁基材10とするとともに、導電性ペースト30中の導電性粒子を焼結体とするために、樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上融点以下の温度、数MPaの圧力を所定時間保持する。本実施形態では、280℃〜330℃のプレス温度、4〜5MPaの圧力を5分以上(例えば10分)保持する。
【0070】
ここで、加圧・加熱工程における、熱可塑性樹脂フィルム部分の接続について説明する。積層された熱可塑性樹脂フィルム11〜17は、上記加熱により軟化する。このとき、圧力を受けているため、軟化した熱可塑性樹脂フィルム11〜17は、隣接する熱可塑性樹脂フィルム11〜17に密着する。これにより、複数の熱可塑性樹脂フィルムが一括で一体化し、絶縁基材10が形成される。
【0071】
また、端子61〜65における切取部に配置された部位に隣接する熱可塑性樹脂フィルムは、加熱により軟化するとともに圧力を受けて流動し、端子61〜65における切取部に配置された部位であって、層間接続部30が接続されている部位を除く表面全体に密着する。
【0072】
つまり、加圧・加熱工程前においては、端子61〜65における切取部に配置された部位と熱可塑性樹脂フィルムとの間は隙間がある。しかしながら、この隙間は、加圧・加熱工程後には熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂)によって埋められる。このようにして、端子61〜65と層間接続部30(配線部)との接続部など、端子61〜65における貫通孔内に配置された部位を熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂)にて封止することができ、接続信頼性を向上させることができる。
【0073】
電子部品に関しても同様である。つまり、貫通孔内に配置された電子部品に隣接する熱可塑性樹脂フィルムは、加熱により軟化するとともに圧力を受けて流動し、電子部品における層間接続部30が接続されている部位を除く表面全体に密着する。
【0074】
つまり、加圧・加熱工程前においては、電子部品と熱可塑性樹脂フィルムとの間は隙間がある。しかしながら、この隙間は、加圧・加熱工程後には熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂)によって埋められる。このようにして、電子部品を熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂)にて封止することができる。
【0075】
次に、加圧・加熱工程において、端子61〜65、導体パターン20、層間接続部30の接続について説明する。上記加熱により、導電性ペースト30中のSn(融点232℃)が溶融し、同じく導電性ペースト30中のAg粒子に拡散して、Ag−Sn合金(融点480℃)を形成する。また、導電性ペースト30に圧力が加えられているため、焼結により一体化した合金からなる層間接続部30がビアホール内に形成される。
【0076】
さらに、溶融したSnは、導体パターン20を構成するCuとも相互拡散する。これにより、層間接続部30と導体パターン20の界面に金属拡散層(Cu−Sn合金層)が形成される。また、溶融したSnは、端子61〜65を構成するNi、又は表面処理(Niメッキ)によって端子61〜65に形成されたNiとも相互拡散する。これにより、層間接続部30と端子61〜65との界面に金属拡散層(Ni−Sn合金層)が形成される。
【0077】
このようにして、図5に示す配線基板100を一括で製造することができる。なお、端子65部分は、図9に示すように、一部が絶縁基材10の内部に配置されて、導電性ペースト30と電気的に接続されつつ、その他の部位が絶縁基材10から突出して設けられる。なお、ここでは、端子65部分のみを図示しているが、端子61〜64に関しても同様である。
【0078】
このようにして製造された絶縁基材10(配線基板100)は、図4に示すように、電子部品を内蔵する複数の電子部品配置部40と、可撓性を有し、二つの電子部品配置部40の間に構成された複数の屈曲部70(可撓部)を備える。ただし、屈曲部70は、二つの電子部品配置部40の間以外にも設けられてもよい。換言すると、絶縁基材10は、電子部品配置部40と屈曲部70とが交互に形成されている。
【0079】
後ほど説明するが、この屈曲部70は、図12に示すように、冷却器200に取り付ける際に、屈曲させる部位である。また、屈曲部70は、図1,2などに示すように、冷却器200に取り付けられた状態で、電子部品配置部40から屈曲された部位である。
【0080】
各電子部品配置部40には、一つの電子部品だけでなく、複数の電子部品を配置することができる。例えば、端子61,62側から一つ目の電子部品配置部40には、IGBT41a,41bが配置されている。次の電子部品配置部40には、ダイオード42a,42bが配置されている。次の電子部品配置部40には、IGBT41c,41dが配置されている。次の電子部品配置部40には、ダイオード42c,42dが配置されている。次の電子部品配置部40には、IGBT41e,41fが配置されている。次の電子部品配置部40には、ダイオード42e,42fが配置されている。
【0081】
このように、本実施の形態においては、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)が絶縁基材10に内蔵されているので、各電子部品配置部40は、複数の電子部品が内蔵されていても両表面を平坦とすることができる。よって、電子部品配置部40は、複数の電子部品が内蔵されていても、後ほど説明する冷却器200におけるチューブ202の側壁205に面接触して密着しやすくすることができる。
【0082】
また、図4,9に示すように、冷却器200に取り付けられる前の状態における絶縁基材10(配線基板100)の側壁(絶縁基材10の厚み方向に垂直な方向であり、絶縁基材10の長手方向に直交する側壁)からは、配線部と電気的に接続された端子61〜65が突出している。具体的には、一方の側壁から端子61,62が突出し、反対側の側壁から端子63〜65が突出している。
【0083】
また、図4,8に示すように、絶縁基材10(配線基板100)は、一部の屈曲部70における表面に導体箔をパターニングして形成した端子であるパッド66(本発明の外部接続用の端子に相当)が設けられている。ここでは、複数の矩形形状の導体箔が一つのパッド66として構成されている。つまり、屈曲部70には、配線基板100が冷却器200に取り付けられた状態で冷却器200(チューブ202)の先端部位204に対向する面の反対面に、配線部と電気的に接続されたパッド66が設けられている。
【0084】
また、図4に示す、パッド66は、一つおきの屈曲部70に設けられる。つまり、パッド66は、配線基板100が冷却器200に取り付けられた状態で、冷却器200の同じ方向(冷却器200のチューブ202の並設方向に垂直な方向(Z方向)における同じ方向)に配置される屈曲部70に設けられる。
【0085】
このようにすることによって、ピン状の端子とする場合よりも、冷却器200に取り付けられた配線基板100に対して、パッド66を介して電気的に接続される制御基板(外部装置)300を容易に接続することができる。つまり、ピン状の端子とする場合よりも、パッド66と制御基板300のパッド301との位置合わせを容易にすることができる。
【0086】
また、このパッド66は、配線基板100を冷却器200の取付部に取り付ける際の位置決め用のマークとして用いることもできる。よって、電子部品を精度良く冷却器200の取付部間に配置することができる。
【0087】
なお、本実施の形態においては、端子61は電源端子、端子62はグランド端子(接地端子)である。また、端子63はU相端子、端子64はV相端子、端子65はW相端子である。パッド66は制御信号用パッドである。
【0088】
次に、冷却器200に関して説明する。冷却器200は、図10,11に示すように、入口パイプ201aと、出口パイプ201bと、複数のチューブ202と、各チューブ202間を連結する連結部材203を備える。この冷却器200としては、本出願人による特許第4140549号に記載の冷却器を採用することができる。
【0089】
複数のチューブ202は、本発明における取付部に相当するものであり、アルミニウムよりなり、冷媒が流れる冷媒通路202aが内部に形成されるとともに、一方向に等間隔に並設されている(以下、複数のチューブ202が並設される方向を並設方向Yとも称する)。また、各チューブ202の冷媒通路202aにおける冷媒の流れる方向は、並設方向Yに対して直行する方向X(以下、流れ方向Xとも称する)である。なお、符号204は、各チューブ202における流れ方向Xに対して垂直方向、かつ、並設方向Yに対して垂直方向(以下、流れ方向Xに対して垂直方向、かつ、並設方向Yに対して垂直方向をZ方向とも称する)にある先端部位である。また、符号205は、各チューブ202における並設方向Yに対して直行する側壁である。
【0090】
連結部材203は、図11に示すように、アルミニウムよりなり、冷媒が流れる冷媒通路が内部に形成された蛇腹状の管であり、隣り合うチューブ202間に配置されて、隣り合うチューブ202同士を連結する。また、連結部材203は、並設方向Yに容易に伸縮可能に構成されている。この連結部材203は、隣接する2つのチューブ202の挿入穴に両端部が挿入して接合されている。なお、後ほど説明するが、この連結部材203の伸縮を利用して、電子部品配置部40をチューブ202で挟持する、すなわち、電子部品配置部40をチューブ202で挟み込む。
【0091】
また、冷媒が流入する入口パイプ201a及び冷媒が流出する出口パイプ201bは、アルミニウムよりなり、冷媒が流れる冷媒流路201が設けられ、並設方向Yの一端側に位置するチューブ202にろう付け接合されている。この入口パイプ201a及び出口パイプ201bは、冷媒を循環させる図示しないポンプ、および冷媒を冷却する図示しない熱交換器に接続されている。なお、冷媒としては、本実施形態ではエチレングリコール系の不凍液が混入した水を用いている。
【0092】
この冷却器200は、入口パイプ201aから流入した冷媒が各チューブ202の冷媒流路202a内及び各連結部材203内の冷媒流路を流れて出口パイプ201bから流出する。
【0093】
ここで、図1,2に戻って、上記した冷却器200に対する上記した配線基板100の取付構造に関して説明する。図1,2に示すように、配線基板100は、冷却器200のチューブ202に巻きつけるように取り付ける。
【0094】
具体的には、配線基板100は、屈曲部70がチューブ202の先端部位204に対向して配置される。また、隣り合う任意の2つの屈曲部70は、隣り合うチューブ202であって、並設方向Yに垂直な方向(Z方向)において互いに異なる側の先端部位204と対向して配置される。このようにすることによって、配線基板100における3箇所以上の電子部品配置部40を冷却器200の隣り合うチューブ202間に配置することができる。なお、屈曲部70は、チューブ202の先端部位204に、先端部位204の形状に沿って密着させると好ましい。このようにすることによって、屈曲部70とチューブ202の先端部位204との間に隙間がある場合よりも、電子部品配置部40とチューブ202との位置合わせをしやすくすることができる。
【0095】
また、配線基板100は、電子部品配置部40が隣り合うチューブ202によって挟持され、電子部品配置部40の両表面がチューブ202に密着して配置される。つまり、配線基板100は、電子部品配置部40がチューブ202における対向する側壁205間に配置され、電子部品配置部40の両表面が対向する側壁205に密着している。このように、電子部品配置部40は、両表面の全体が対向するチューブ202の側壁205と面接触してチューブ202から応力受けて側壁205に密着している。このとき、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)の両表面は、絶縁基材10を介してチューブ202の側壁205と対向して配置されることになる。
【0096】
よって、電子部品配置部40は、電子部品を内蔵して冷却器200における隣り合うチューブ202(取付部)に挟持され、両表面が該チューブ202の側壁に密着している部位と換言することができる。また、屈曲部70は、この電子部品配置部40と一体的に設けられ、電子部品配置部40間にあるチューブ202の先端部位204に対向して配置される部位と換言することができる。
【0097】
なお、配線基板100は、配線基板100の端部(端子61〜65が形成された側壁)と、端に設けられた屈曲部70との間の電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)が配置されていない部位に関しても、隣り合うチューブ202によって挟持され、両表面がチューブ202に密着して配置されるようにしてもよい。
【0098】
なお、端子61〜65は、チューブ202の先端部位204よりもZ方向における外側、つまり、チューブ202の先端部位204よりもZ方向に突出した位置に配置される。このように、端子61〜65は、冷却器200に配線基板100を取り付けた状態で、絶縁基材10の側壁からZ方向に突出するように設けられている。なお、図2においては、端子62,65のみを図示しているが、実際は、端子62の奥に端子61があり,端子65の奥に端子63,64がある。
【0099】
また、屈曲部70の表面に設けられたパッド66は、一つおきの屈曲部70に設けているため、チューブ202のZ方向における同一方向側に配置される。よって、図3に示すように、配線基板100が取り付けられた冷却器200の一方側に制御基板300を配置して、配線基板100のパッド66と制御基板300のパッド301とを電気的に接続することができる。つまり、冷却器200に取り付けられた配線基板100に対して、制御基板300を容易に接続することができる。
【0100】
このような冷却器200に対する配線基板100の取付構造とすることによって、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)と冷却器200(チューブ202)との間に空気層が介在することなく、電子部品配置部40を冷却器200のチューブ202で挟み込み、チューブ202間に配置された電子部品を両面から冷却することができ、冷却効率を向上させることができる。
【0101】
また、配線基板100は、冷却器200のチューブ202によって挟持されるので、係合用の部位を別途設けることなく、配線基板100を冷却器200へ取り付けた後の電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)の位置ズレを抑制することができる。
【0102】
また、電子部品配置部40に対してチューブ202から応力を与えて、冷却器200に配線基板100を取り付けているため、電子部品配置部40とチューブ202との密着性を向上させることができる。
【0103】
なお、このように、配線基板100は、冷却器200のチューブ202によって挟持されることによって応力を受けることになる。しかしながら、本実施の形態においては、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)が絶縁基材10に内蔵されているので、電子部品に応力が集中することを抑制することができる。
【0104】
さらに、配線基板100は、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)及び配線部(導体パターン20、層間接続部30)を絶縁基材に内蔵して一体的に構成されているので、配線部が外部に露出しているような構成に比べて配線間の沿面距離を考慮する必要がない。従って、冷却器200に配線基板100と取り付けた構造体の体格を小型化することができる。また、各アーム間同士をバスバー等で接続する必要が無いため、寄生インダクタンスを低減することができる。
【0105】
なお、本実施の形態においては、冷却器200のチューブ202に挟持される部分のみに電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)が配置される例を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。屈曲部70に電子部品を配置するようにしてもよい。この場合、チューブ202の先端部位204の形状は、屈曲部70に配置された電子部品が変形しても特性が変化しないような形状とする必要がある。例えば、先端部位204を曲面とする場合、電子部品が曲面に沿って変形しても、電子部品の特性が変化しない程度の曲率とする必要がある。また、冷却器200に配線基板100を取り付ける際にも、電子部品が変形しない、又は、変形しても特性が変化しない位置に電子部品が配置されるようにする必要がある。例えば、電子部品が先端部位204における平坦な位置に対向するように、冷却器200に配線基板100を取り付ける必要がある。
【0106】
ここで、上記した冷却器200に対する上記した配線基板100の取付方法に関して説明する。まず、図12に示すように、配線基板100の可撓部を屈曲させて、この可撓部をチューブ202の先端部位204に対向して配置するとともに、電子部品配置部40を隣り合うチューブ202間に配置する(配置工程)。また、この配置工程において、配線基板100を両端部からZ方向に引っ張ることで、可撓部を対向するチューブ202の先端部位204の形状に沿って密着させつつ、電子部品配置部40を隣り合うチューブ202間に配置する。なお、本実施の形態においては、配線基板100の両端部を引っ張って、可撓部を対向するチューブ202の先端部位204の形状に沿って密着させる工程を行う例を採用するが、本発明はこれに限定されるものではない。可撓部を対向するチューブ202の先端部位204の形状に沿って密着させなくても本発明の目的は達成できるものである。
【0107】
この配置工程後に、チューブ202間と絶縁基材10に対して並設方向Yの両側から加圧して連結部材203を潰すことで(収縮することで)、電子部品配置部40の両表面にチューブ202(側壁205)を密着させ、電子部品配置部40を隣り合うチューブ202で挟持する(加圧工程)。なお、上述のような冷却器200を採用することによって、このように電子部品配置部40を隣り合うチューブ202で挟持することができる。
【0108】
このようにすることによって、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)と冷却器200との間に空気層が介在することなく、電子部品を冷却器200のチューブ202で挟み込み、チューブ202間に配置された電子部品を両面から冷却することが可能な取付構造とすることができる。よって、冷却効率が向上した取付構造とすることができる。
【0109】
また、加圧工程によって、チューブ202間に配置される電子部品配置部40を取付部に密着させることによって、配線基板100を冷却器200のチューブ202によって挟持することができる。つまり、チューブ202と電子部品配置部40との密着性が高い組み付けが可能となる。よって、係合用の部位を別途設けることなく、配線基板100を冷却器200へ取り付けた後の電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)の位置ズレを抑制することが可能な取付構造とすることができる。
【0110】
また、このように、配線基板100を引っ張って、可撓部をチューブ202の先端部位204の形状に沿って密着させつつ、電子部品配置部40を隣り合うチューブ202間に配置することで、係合用の部位を別途設けることなく、電子部品配置部40がチューブ202間に配置されるように位置合わせすることができる。つまり、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)の位置決めを容易にすることができる。
【0111】
また、このように冷却器200に対して配線基板100を取り付ける場合、パッド66は、配線基板100を冷却器200の取付部に取り付ける際の位置決め用のマークとして用いることもできる。よって、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)を精度良くチューブ202間に配置することができる。
【0112】
(変形例1)
また、変形例1として、図13に示すように、配線基板100(絶縁基材10)は、金属からなり、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)と電気的に接続されることなく機械的に接続されるとともに、一部が絶縁基材10の表面に露出してチューブ202に密着した放熱用導体パターン(放熱用接続部)21、放熱用層間接続部(放熱用接続部)31を備えるようにしてよもよい。このようにすることによって、単に、電子部品配置部40を冷却器200のチューブ202で挟み込む場合よりも、冷却効率を向上させることができる。
【0113】
なお、この放熱用導体パターン21及び放熱用層間接続部31は、上述の導体パターン20及び層間接続部30と同様の材料、製法で形成することができる。また、図13においては、代表例としてIGBT41aとチューブ202を接続する放熱用導体パターン21、放熱用層間接続部31を示している。その他の電子部品(IGBT41b〜41f、ダイオード42a〜42f)に関しても同様であるため、図示及び説明は省略する。
【0114】
(変形例2)
また、変形例2として、図14に示すように、屈曲部71は、絶縁基材10におけるその他の部位よりも厚みを薄くしてもよい。つまり、配線基板101(絶縁基材10)は、屈曲部71として、絶縁基材10におけるその他の部位よりも厚みを薄くした薄肉部を備えるようにしてもよい。換言すると、配線基板101(絶縁基材10)の両表面は、屈曲部71が屈曲部71に隣接する部位(電子部品配置部40など)の表面よりも凹んだ(窪んだ)形状を有している。なお、図14においては、配線基板101の両面を凹ませて屈曲部71とする例を採用しているが、配線基板101の片面のみを凹ませて屈曲部71としてもよい。
【0115】
このような屈曲部71を形成する場合、絶縁基材10を構成する表層、又は表層から数層の熱可塑性樹脂フィルムにおける屈曲部71の形成予定部位に貫通孔を形成しておき、屈曲部71の部分だけ熱可塑性樹脂フィルムの層数を減らすことによって、形成することができる。また、絶縁基材10を構成する表層、又は表層から数層の熱可塑性樹脂フィルムは、屈曲部71の形成予定部位を除く位置のみに配置しておくことによって、形成することができる。
【0116】
このようにすることによって、屈曲部71に可撓性を持たせ屈曲しやすくすることができる。なお、屈曲部71以外の部位(例えば、電子部品配置部40)は可撓性を有する必要はない。そこで、このようにすることで、屈曲部71だけが可撓性を有するようにすることもできる。
【0117】
また、このように、屈曲部71とするために凹みを設けることによって、冷却器200に配線基板101を取り付ける際に、この凹みにチューブ202の先端部位204を配置して位置合わせすることができる。ことのき、凹みの形状は、チューブ202の先端部位204の外形に対応した形状とすると好ましい。
【0118】
(変形例3)
また、変形例3として、図15に示すように、屈曲部72のみ可撓性を持たせ、それ以外は可撓性を有さないようにしてもよい。つまり、配線基板102(絶縁基材10)は、屈曲部72のみ可撓性を持たせ、それ以外は可撓性を有さないようにしてもよい。これにより、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)の両面に位置する樹脂材料候補が増えるため、より放熱性のよい樹脂を選ぶことが可能となる。
【0119】
なお、絶縁基材10における、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)と対向する部分のみを可撓性を有さないようにしてもよい。この場合、変形例2と同様にして、電子部品と対向する部分に凹みを形成し、この凹みに放熱性の良い材料を埋め込むことで形成することができる。
【0120】
(変形例4)
また、変形例4として、図16に示すように、配線基板103(絶縁基材10)は、電子部品配置部40における両表面層として金属部材からなり、可撓性を有する放熱部材(ヒートシンク)80(例えば、銅箔などからなる)が設けられるようにしてもよい。つまり、この放熱部材80は、電子部品配置部40における表面から屈曲部の表面まで連続的に設けられている。なお、放熱部材80は、パッド66に対応する部分は除去されており、パッド66が露出するように構成されている。
【0121】
このようにすることによって、放熱部材80と冷却器200におけるチューブ202との接触面積を増やすことができるので、冷却効率をより一層向上することができる。
【0122】
なお、このように放熱部材80を備える場合、配線基板103(絶縁基材10)は、金属からなり、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)と電気的に接続されることなく機械的に接続されるとともに、放熱部材80と機械的に接続された放熱用接続部を備えるようにしてもよい。この放熱用接続部としては、変形例1と同様に、放熱用導体パターン21、放熱用層間接続部31を採用することができる。
【0123】
このようにすることによって、単に、放熱部材80を設ける場合よりも、冷却効率を向上させることができる。
【0124】
(変形例5)
なお、屈曲部以外の部位(例えば、電子部品配置部40)は可撓性を有する必要はない。そこで、変形例5として、図17に示すように、配線基板104(絶縁基材10)は、電子部品配置部40の両表面層として可撓性を有さない放熱部材82(例えば、銅板などからなる)が設けられ、屈曲部の両表面層として可撓性を有する放熱部材81(例えば、銅箔などからなる)が設けられるようにしてもよい。
【0125】
このようにすることで、電子部品配置部40の両表面層として設けられる放熱部材82は、可撓性という条件に縛られることがないため、冷却性能の高い放熱部材82を選択することが可能となり、冷却性能を向上させることが可能となる。つまり、放熱部材82の材料候補が増えるので、より放熱性(熱伝達性)の良い材料を選択することができる。
【0126】
なお、変形例5においても、変形例4と同様に、配線基板104(絶縁基材10)は、金属からなり、電子部品(IGBT41a〜41f、ダイオード42a〜42f)と電気的に接続されることなく機械的に接続されるとともに、放熱部材81,82と機械的に接続された放熱用接続部を備えるようにしてもよい。
【0127】
また、この変形例5においては、屈曲部にも放熱部材82を設ける例を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。配線基板104(絶縁基材10)は、電子部品配置部40における両表面層として金属部材からなる放熱部材82のみが設けられていても目的は達成できるものである。
【0128】
(変形例6)
また、変形例6として、図18,19に示すように、端子61〜65は、冷却器200に取り付けられる前の状態における絶縁基材10(配線基板105)の厚み方向に垂直な方向であり、絶縁基材10の短手方向の側壁(短手方向に直交する側壁)から突出するように設けてもよい。具体的には、一方の側壁から端子61,62が突出し、反対側の側壁から端子63〜65が突出している。このように、端子61〜65は、冷却器200に配線基板105を取り付けた状態で、絶縁基材10の側壁から流れ方向Xに突出するように設けられている。なお、図19に示すように、冷却器200に配線基板105を取り付けた状態では、電子部品配置部40の側壁に対向する位置に連結部材203が配置されることになる。よって、端子61〜65は、屈曲部70の側壁に設けると好ましい。
【0129】
上述の実施の形態や変形例6に示すように、配線基板105は、四側面のいずれからも端子を突出するように設けることができる。よって、冷却器200に配線基板105が取り付けられた構造体は、搭載環境(例えば、車載環境)への組み付け自由度を向上させることができる。よって、搭載環境(例えば、車載環境)に対応した組み付けが可能となる。
【0130】
なお、パッド66に関しても、冷却器200のZ方向における、どちら側にでも設けることができる。
【0131】
(変形例7)
また、変形例7として、図20に示すように、冷却器200aのチューブ202は、先端部位204aが曲面形状をなすようにしてもよい。このようにすることによって、電子部品配置部40と屈曲部70との界面(屈曲部70とするために曲げた部位)に対する応力を低減することができる。よって、この部位の内部に配置されている導体パターン20や層間接続部30に対する応力を低減することができる。また、この部位に電子部品を配置する場合には、この電子部品に対する応力を低減することができる。
【0132】
(変形例8)
また、変形例8として、図21に示すように、冷却器200bは、パッド66が設けられている屈曲部70が対向して配置されているチューブ202における先端部位204が、隣り合うチューブ202における先端部位204よりも突出して設けられるようにしてもよい。このようにすることによって、パッド66に制御基板300を接続する際に、パッド66が設けられている屈曲部70が対向して配置されていないチューブ202(図21では、出口パイプ201b側から一つ目のチューブ202、三つめのチューブ202、五つ目のチューブ202、七つ目のチューブ202、九つ目のチューブ202)が邪魔になることを抑制することができる。
【0133】
(変形例9)
また、変形例9として、図22に示すように、配線基板106は、屈曲部70は一つのみ、電子部品配置部40は二つのみ設けられているものを採用することができる。つまり、上述の実施の形態における配線基板100は、U相アーム、V相アーム、W相アームが一体に設けられた6in1Packageとして構成していたのに対して、変形例9における配線基板106は、2in1Packageとして構成する。なお、図22に示す配線基板106は、U相アームを示すものである。また、V相アーム、W相アームは、U相アームと同様の構成であるため、図示、説明は省略する。
【0134】
そして、図23,24に示すように、それぞれの配線基板106が冷却器200に取り付けられる。つまり、冷却器200には、複数の配線基板106(ここでは、3つの配線基板106)が取り付けられる。この場合に関しても、各配線基板106は、屈曲部70がチューブ202の先端部位204に対向して配置される。そして、各配線基板106は、隣り合うチューブ202によって電子部品配置部40が挟持され、電子部品配置部40の両表面がチューブ202に密着して配置される。つまり、各配線基板106は、電子部品配置部40がチューブ202における対向する側壁205間に配置され、電子部品配置部40の両表面が対向する側壁205に密着している。このように、電子部品配置部40は、両表面の全体が対向するチューブ202の側壁205と面接触してチューブ202から応力受けて側壁205に密着している。
【0135】
なお、配線基板106の屈曲部70は、隣り合うチューブ202であって、並設方向Yに垂直な方向(Z方向)において同じ側の先端部位204と対向して配置される。このようにすることによって、冷却器200に取り付けられた配線基板106の一方側にパッド66を配置することができる。よって、複数の配線基板106のパッド66と制御基板300のパッド301とを電気的に接続しやすくすることができる。つまり、冷却器200に取り付けられた配線基板106に対して、制御基板300を容易に接続することができる。このような冷却器200に対する配線基板106の取付構造とすることによって、上述の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0136】
また、各配線基板106の端子61同士、及び端子62同士をバスバー60で接続する。なお、図24においては、3つの端子62がバスバー60で接続されている図のみを図示しているが、実際は、端子62の奥に端子61同士が、端子62に接続されているものとは別のバスバーで接続されている。
【0137】
(変形例10)
また、変形例10として、図25,26に示すように、配線基板1071,1072となりうる部位、つまり、電子部品配置部40と屈曲部70とが構成された部位が複数形成されたベース配線基板107を製造し、そのベース配線基板107を必要に応じてカットして配線基板1071,1072としてもよい。ここでは、配線基板1071,1072となりうる各部位は、2in1Packageを構成可能となっている。このように、ベース配線基板107を任意の切取線600で切断することで、2in1Packageから6in1Package又はそれ以上の配線基板を製造することができる。
【0138】
また、図25に示すように、ベース配線基板107の表面には、端子接続用のパッド67を設けておく。そして、図26に示すように、ベース配線基板107から切り取られた各配線基板1071,1072のパッド67に対して、端子61〜63を接続するようにしてもよい。なお、上述の実施の形態、変形例1〜9においても、このように、パッド67に端子61〜65を接続するようにしてもよい。
【0139】
また、パッド67は、端子61〜63が接続されない場合もありうる。このような端子61〜63が接続されないパッド67は、絶縁膜(例えば、ポリイミド樹脂など)で覆って外部に露出しないようにすると好ましい。
【0140】
(変形例11)
また、変形例11として、図27,28に示すように、配線基板1081,1082となりうる部位、つまり、電子部品配置部40と屈曲部70とが構成された部位が複数形成されたベース配線基板108を製造し、そのベース配線基板107を必要に応じてカットして配線基板1081,1082としてもよい。ここでは、配線基板1081,1082となりうる各部位は、1in1Packageを構成可能となっている。このように、ベース配線基板108を任意の切取線600で切断することで、1in1Packageから6in1Package又はそれ以上の配線基板を製造することができる。
【0141】
また、図27に示すように、ベース配線基板108の表面には、端子接続用のパッド67を設けておく。そして、図28に示すように、ベース配線基板108から切り取られた各配線基板1081,1082のパッド67に対して、端子61,62を接続するようにしてもよい。なお、パッド67は、端子61,62が接続されない場合もありうる。このような端子61,62が接続されないパッド67は、絶縁膜(例えば、ポリイミド樹脂など)で覆って外部に露出しないようにすると好ましい。
【0142】
なお、ここまで説明した変形例1〜11は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。
【0143】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0144】
10 絶縁基材、11〜17 熱可塑性樹脂フィルム、20 導体パターン、21 放熱用導体パターン(放熱用接続部)、30 層間接続部、31 放熱用層間接続部(放熱用接続部)、41a〜41f IGBT(電子部品)、40 電子部品配置部、42a〜42f ダイオード(電子部品)、51 U相アーム、52 V相アーム、53 W相アーム、60 バスバー、61〜65 端子、66 パッド(外部接続用の端子)、67 パッド(端子用パッド)、70〜72 屈曲部、80〜82 ヒートシンク(放熱部材)、100〜106,1071,1081 配線基板(電子部品内蔵配線基板)、107,108 ベース配線基板、200,200a,200b 冷却器、201 冷媒流路、201a 入口パイプ、201b 出口パイプ、202 チューブ、202a 冷媒流路、203 連結部材、204,204a 先端部位、205 側壁、300 制御基板(外部装置)、301 パッド、500 モータージェネレータ、600 切取線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却器への電子部品内蔵配線基板の取付構造であって、
前記冷却器は、前記電子部品内蔵配線基板が取り付けられる部位として、内部に冷媒が流通され、一方向に並設された複数の取付部を有し、
前記電子部品内蔵配線基板は、
配線部と、
前記配線部に電気的に接続された複数の電子部品と、
主として樹脂を含み、前記配線部と複数の前記電子部品とを内蔵するものであり、前記電子部品を内蔵する複数の電子部品配置部、及び、可撓性を有し、前記電子部品配置部の間に構成された屈曲部を含む絶縁基材と、を備え、
前記屈曲部は、前記取付部における当該取付部の並設方向に対して垂直方向にある先端部位に対向して配置され、
前記電子部品配置部は、隣り合う前記取付部によって挟持され、当該電子部品配置部の両表面が当該取付部に密着していることを特徴とする電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項2】
前記屈曲部は複数設けられるものであり、隣り合う任意の2つの屈曲部は、隣り合う前記取付部であって、当該取付部の並設方向に垂直な方向において互いに異なる側の前記先端部位と対向して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項3】
前記屈曲部は、前記取付部における当該取付部の並列方向に垂直な方向の先端部位に、当該先端部位の形状に沿って密着していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項4】
前記絶縁基材は、前記電子部品配置部における両表面層として金属部材からなる放熱部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項5】
前記電子部品内蔵配線基板は、金属からなり、前記電子部品と電気的に接続されることなく機械的に接続されるとともに、前記放熱部材と機械的に接続された放熱用接続部を備えることを特徴とする請求項4に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項6】
前記放熱部材は、可撓性を有さないことを特徴とする請求項4又は5に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項7】
前記放熱部材は、可撓性を有し、前記電子部品配置部から前記屈曲部まで連続的に設けられ、当該電子部品配置部及び当該屈曲部における両表面層として設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項8】
前記電子部品内蔵配線基板は、金属からなり、前記電子部品と電気的に接続されることなく機械的に接続されるとともに、一部が前記絶縁基材の表面に露出して前記取付部に密着した放熱用接続部を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項9】
前記電子部品内蔵配線基板は、前記屈曲部における前記先端部位に対向している面の反対面に、前記配線部と電気的に接続された外部接続用の端子を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項10】
前記冷却器は、前記端子が設けられている前記屈曲部が対向して配置されている前記取付部における前記先端部位が、隣り合う前記取付部における前記先端部位よりも突出して設けられていることを特徴とする請求項9に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項11】
前記取付部は、前記先端部位が曲面形状をなすことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項12】
前記屈曲部は、前記絶縁基材におけるその他の部位よりも厚みが薄いことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項13】
前記絶縁基材は、全体が可撓性を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項14】
前記電子部品内蔵配線基板は、前記配線部と複数の前記電子部品によって、インバータ回路が構成されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項15】
前記絶縁基材は、熱可塑性樹脂を含む基材フィルムを複数枚積層し、相互に接着してなることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項16】
前記基材フィルムは、前記配線部として、導体パターンと、前記導体パターン間及び前記導体パターンと前記電子部品とを電気的に接続するものでありビアホール内に導電体が埋め込まれた層間接続部を有することを特徴とする請求項15に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付構造。
【請求項17】
配線部と、該配線部に電気的に接続された複数の電子部品と、主として樹脂を含み、前記配線部と複数の前記電子部品とを内蔵するものであり、前記電子部品を内蔵する複数の電子部品配置部、及び、少なくとも前記電子部品配置部の間に構成された可撓部を含む絶縁基材と、を備える電子部品内蔵配線基板を、該電子部品内蔵配線基板が取り付けられる部位として、内部に冷媒が流通され、一方向に並設された複数の取付部を有する冷却器に取り付ける取付方法であって、
前記可撓部を屈曲させて、当該可撓部を前記取付部における当該取付部の並設方向に対して垂直方向にある先端部位に対向して配置するとともに、前記電子部品配置部を隣り合う前記取付部間に配置する配置工程と、
前記配置工程後に、前記取付部間と前記絶縁基材に対して当該取付部の並設方向の両側から加圧して、前記電子部品配置部の両表面を前記取付部に密着させ、当該電子部品配置部を隣り合う当該取付部で挟持する加圧工程と、
を備えることを特徴とする電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付方法。
【請求項18】
前記配置工程では、前記電子部品内蔵配線基板を両端部から前記取付部の並設方向に垂直な方向に引っ張ることで、前記可撓部を対向する前記取付部の先端部位の形状に沿って密着させつつ、前記電子部品配置部を隣り合う前記取付部間に配置することを特徴とする請求項17に記載の電子部品内蔵配線基板の冷却器への取付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2012−15186(P2012−15186A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147870(P2010−147870)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】