説明

制御装置及び制御方法

【課題】燃料が劣化しない所定の燃料消費期間で消費可能な適正な燃料補給量を運転者に提示可能な制御装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】内燃機関100と電動機110,120を駆動源として車両を走行制御する制御装置であって、制御に関する情報を記憶する記憶部と、過去の所定期間毎の燃料消費量と車両の稼動情報を前記記憶部に記憶する履歴情報記憶処理と、前記記憶部に記憶された過去の所定期間毎の燃料消費量または車両の稼動情報に基づいて、所定の燃料消費期間で消費可能な適正燃料供給量を算出する適正燃料供給量算出処理と、前記適正燃料供給量算出処理により算出された燃料供給量に関する情報を外部へ出力する出力処理とを実行する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関と電動機を駆動源として車両を走行制御する制御装置を備えたハイブリッド車両が実用化されている。さらに、近年、石油価格高騰や地球温暖化等の対策のため、化石燃料の使用を抑制するプラグインハイブリッド車両が開発されている。
【0003】
このようなハイブリッド車は、内燃機関による動力を車両の走行トルクに使用するとともに、バッテリへの充電のために電動機を駆動する発電用の動力として使用すべく、内燃機関による動力を分割する分割動力分割機構を備えている。
【0004】
制御装置は、アクセル開度やシフト位置といった運転者の操作に基づく情報とバッテリの残存容量等に基づいて、走行のための要求パワーを算出し、要求パワーがバッテリのみで出力可能な場合に、内燃機関を始動させずにバッテリから給電される電動機の駆動力のみで車両を走行させることで、車両の燃費向上が図られている。
【0005】
また、近年では、石油価格高騰や地球温暖化等の対策のため、更なる燃費向上を目指したプラグインハイブリッド車両が提案されている。
【0006】
プラグインハイブリッド車両では、車両のバッテリを車両外部の商用電源からの電力で充電する充電部が設けられ、電力料金が安価な深夜時間帯に効率的に充電可能に構成されている。
【0007】
そのため、近郊の一般車道では、内燃機関を駆動することなくバッテリによって駆動される電動機の駆動力のみで走行可能となり、内燃機関の駆動機会が少なくなる。
【0008】
一般に、ガソリン等の化石燃料は、光、保管場所の温度、または水分や空気との接触等により品質に影響を受けやすく、燃料タンク内に長期保存されるとオクタン価が低下して劣化し、内燃機関に悪影響を及ぼす虞があるため、適切な期間で消費されるように配慮する必要がある。
【0009】
そのため、特許文献1には、燃料タンクで発生した蒸発燃料を内燃機関の吸気系に供給する蒸発燃料供給装置と、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、運転状態検出手段の出力を受け、蒸発燃料供給装置を内燃機関の運転状態に応じて制御する蒸発燃料制御手段と、燃料タンク内の燃料の劣化状態を検出する劣化情報検出手段と、劣化情報検出手段により検出された劣化情報に応じて蒸発燃料制御手段の制御量を補正する補正手段とを備え、加熱の繰り返しに起因する燃料の劣化による燃料蒸発量の変動を検出して、検出した燃料蒸発量の変動に基づいて補正手段により蒸発燃料の内燃機関の吸気系への供給量を補正することで空燃比がずれるのを阻止することのできる蒸発燃料制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−164004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、プラグインハイブリッド車両は、従来のハイブリッド車両に比べても内燃機関の駆動機会が制限される傾向が強く、燃料タンクに充填された燃料が長期間使用されずに保存され、劣化した燃料で内燃機関が駆動されると、ノッキングの発生等により内燃機関の故障を誘発する虞がある。
【0012】
そのため、車両の運転者は燃料を補給する際にどの程度の燃料量を補給すべきかを判断するために、過去の給油時期と給油量等を注意深く記憶しなければならないという煩わしい作業が要求される。
【0013】
本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、燃料が劣化しない所定の燃料消費期間で消費可能な適正な燃料補給量を運転者に提示可能な制御装置及び制御方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、本発明による制御装置の特徴構成は、内燃機関と電動機を駆動源として車両を走行制御する制御装置であって、制御に関する情報を記憶する記憶部と、過去の所定期間毎の燃料消費量と車両の稼動情報を前記記憶部に記憶する履歴情報記憶処理と、前記記憶部に記憶された過去の所定期間毎の燃料消費量または車両の稼動情報に基づいて、所定の燃料消費期間で消費可能な適正燃料供給量を算出する適正燃料供給量算出処理と、前記適正燃料供給量算出処理により算出された燃料供給量に関する情報を外部へ出力する出力処理と、を実行する制御部と、を備えている点にある。
【0015】
上述の構成によれば、履歴情報記憶処理により過去の所定期間毎の燃料消費量と車両の稼動情報が記憶部に記憶され、適正燃料供給量算出処理により過去の所定期間毎の燃料消費量または車両の稼動情報に基づいて、所定の燃料消費期間で消費可能な適正燃料供給量が算出され、出力処理により適正な燃料供給量が運転者等に報知されるので、運転者が過去の給油時期や給油量等を記憶していなくても、必要以上の燃料が燃料タンクに充填されることが回避できるようになる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明した通り、本発明によれば、燃料が劣化しない所定の燃料消費期間で消費可能な適正な燃料補給量を運転者に提示可能な制御装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による車両の一例として示されるプラグインハイブリッド車の全体構成図
【図2】本発明の実施形態による各ECUの関係を示すブロック構成図
【図3】燃料消費量、及び車両の稼動情報の履歴情報記憶処理の説明図
【図4】適正燃料供給量算出に伴う入出力の説明図
【図5】(a)季節(1月〜12月)によるエアコン稼動頻度[A]の特性図、(b)予想気温によるエアコン稼動頻度[B]の特性図、(c)ユーザ固有の外気温によるエアコン稼動頻度[C]の特性図、(d)バッテリ劣化度とバッテリの内部抵抗の特性図、(e)車両停止時の平均充電状態とバッテリ電圧の特性図、(f)平均プラグイン充電量とバッテリ電圧の特性図
【図6】(a)内燃機関走行積算距離による燃料供給量の特性図、(b)ガソリン使用量積算値による燃料供給量の特性図、(c)エアコン稼動頻度による燃料供給量の特性図、(d)バッテリ劣化度による燃料供給量の特性図、(e)EV走行距離積算値による燃料供給量の特性図、(f)充電実行回数による燃料供給量の特性図、(g)プラグイン充電量平均値と燃料供給量の特性図、(h)車両停止時のバッテリ充電状態平均値と燃料供給量の特性図
【図7】PIHV−ECUが実行する適正燃料供給量の算出処理、表示処理のフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による制御装置を、バッテリに商用電源から充電可能な充電部を備えたハイブリッド車両に搭載した実施形態について説明する。
【0019】
図1に示すように、車両外部の電源から車両に搭載された高圧のバッテリ3を直接充電することが可能なプラグイン車の一例であるハイブリッド車両1(以下、「プラグインハイブリッド車」と記す。)は、動源力として、内燃機関100と、電動機である第1MG(Motor Generator)110、第2MG(Motor Generator)120を備えている。
【0020】
以降、車両外部の電源から車両に搭載された高圧のバッテリ3を直接充電することを、「プラグイン充電」と記す。
【0021】
プラグインハイブリッド車1は、内燃機関100及び第2MG120の少なくとも一方からの駆動力によって走行可能なように、内燃機関100、第1MG110及び第2MG120が動力分割機構130に連結されている。
【0022】
第1MG110及び第2MG120は交流回転電機で構成され、例えば、U相コイル、V相コイル及びW相コイルを備える三相交流同期回転機が用いられる。
【0023】
動力分割機構130は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含み、ピニオンギヤがサンギヤ及びリングギヤと係合する遊星歯車機構で構成されている。
【0024】
ピニオンギヤを自転可能に支持するキャリアが内燃機関100のクランクシャフトに連結され、サンギヤが第1MG110の回転軸に連結され、リングギヤが第2MG120の回転軸及び減速機140に連結され、内燃機関100、第1MG110、及び第2MG120の回転数が共線図上に直線で結ばれるように関係付けられている。
【0025】
図1、及び図2に示すようにプラグインハイブリッド車1には、システム制御部として機能し、車両の動力を統括制御するプラグインハイブリッドビーグルECU(以下、「PIHV−ECU」と記す。)10、及び、PIHV−ECU10が制御する複数のECUが搭載されている。尚、ECUとは、電子制御装置Electric-Control-Unit;以下、「ECU」と記す。)のことをいう。
【0026】
複数のECUは、車両のパワートレーン系、ボディ系、安全系、情報系などを制御するために搭載され、例えば、パワートレーン系ECUには、内燃機関100を制御する内燃機関ECU(以下、「ENG−ECU」と記す。)11、第1MG110及び第2MG120(以下、この二つを総称した場合には「電動機」と記す。)を制御する電動機ECU(以下、「MG−ECU」と記す。)12、車両外部の電源から供給される電力によってバッテリ3を制御する充電ECU(以下、「CHG−ECU」と記す。)13などが搭載されている。
【0027】
また、ボディ系ECUには、車内空調システムを構成するエアコンECU(以下、「A/C−ECU」と記す。)14、盗難防止機能を実現する防盗ECU、スマートキーで車両のロックまたはロック解除を制御するスマートECU、情報を運転席全部のパネルに表示するメータECU16などが搭載され、情報系ECUには、タッチパネルを備えたカーナビゲーション装置を構成するディスプレイECU(以下、「DSP−ECU」と記す。)15などが搭載されている。
【0028】
各ECUにはCPUを備えた単一または複数のマイクロコンピュータ、CPUで実行される制御プログラムが格納されたROM及び/またはEEPROM並びにワーキングエリアとして使用されるRAMで構成される記憶部、及び入出力回路等が設けられており、以下で説明する各ECUの各処理(後述する制御部等の各機能ブロックの機能)は、CPUが制御プログラムを実行することで実現されている。
【0029】
ENG−ECU11及びMG−ECU12などの制御装置間では、各種の制御情報を授受するバス型ネットワークであるCAN(Controller Area Network)により相互に接続され、A/C−ECU14,DSP−ECU15、及びメータECU16などは、BEAN(Body-Electronics-Area-Network)により相互に接続され、CANとBEANとがゲートウェイECU(以下、「G/W−ECU」と記す。)17を介して接続され、以って、各ECUに必要な各種の制御情報が送受信可能に構成されている。
【0030】
各ECUには、図示しない低圧のバッテリから供給されるDC12Vの直流電圧から所定レベルの制御電圧(例えば、5V)を生成するDCレギュレータが搭載され、DCレギュレータの出力電圧がCPUなどの制御回路に供給されるように構成されている。
【0031】
PIHV−ECU10には、車両システムを統括して制御するマイクロコンピュータが搭載され、システムスイッチとして機能するスタータスイッチがオンされるとIG信号がオンになり、PIHV−ECU10は、IG信号がオンで入力されたことを検知すると、車両システムの制御を実行し、一方、IG信号がオフで入力されたことを検知すると、車両システムの制御を終了する。
【0032】
ENG−ECU11は、PIHV−ECU10からの制御指令に基づいて、目標回転数と目標トルクを満たすように内燃機関100を駆動制御する。
【0033】
MG−ECU12は、PIHV−ECU10からの制御指令に基づいて昇降圧用のDC−DCコンバータ、第1インバータ210及び第2インバータ220を制御して、第2MG120を駆動制御し、或いは第1MG110による発電電力をバッテリ3に供給する。
【0034】
CHG−ECU13は、PIHV−ECU10から指定された充電指令値に基づいてプラグイン充電を実行する。
【0035】
A/C−ECU14は、A/Cインバータ20に制御指令を出力することによって、A/Cコンプレッサ21を駆動し、図示しない温度センサによって検出された車両の内部、または外部の温度に基づいて、車両の空調装置であるエアコンディショナ(以下、「エアコン」と記す。)に設定される希望温度になるように制御する。
【0036】
DSP−ECU15は、地図情報、GPSで得られる車両位置情報などに基づいて、目的地までの走行経路を表示または設定操作するためのタッチパネルや、走行経路を音声通知するスピーカなどを備えた図示しない操作表示部を備え、更に操作表示部に表示される地図情報や操作表示部を介して得られた操作情報を記憶するためのハードディスクやメモリ等の記憶媒体や、Bluetooth(ブルートゥース:商標登録)回路などを備えて、通信機器と通信する通信制御部を備えている。
【0037】
メータECU16は、CANを介して入力されたPIHV−ECU10などから受信した制御情報または故障情報などを車両前部の表示部に表示する。
【0038】
PIHV−ECU10は、バッテリ3からローカル信号で出力される負荷電流と電圧、及びバッテリ3の温度をモニタして、バッテリ残存容量(以下、「SOC(State of Charge)」と記す。)を演算し、バッテリ3への充電状態を管理する。
【0039】
高圧のバッテリ3は、車両の後部に設置された充放電可能な直流電源であり、例えばニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池で構成され、商用電源からプラグ320を介して入力された交流電圧(例えば、AC100V)を所定の直流電圧(例えば、DC288V)に変換及び昇圧する充電部30を介してバッテリ3を充電するように構成されている。尚、バッテリ3が車両前部に設置されていてもよく、配置については限定しない。
【0040】
バッテリとして、大容量のキャパシタを採用することも可能であり、第1MG110及び第2MG120による発電電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力を第2MG120へ供給可能な電力バッファであればその構成が制限されるものではない。
【0041】
PIHV−ECU10は、高圧のバッテリ3のSOCが所定範囲内にある場合に、MG−ECU12を介してバッテリ3に備えられた電力または第1MG110により発電された電力の少なくとも一方を用いて第2MG120を駆動し、内燃機関100の動力をアシストするようにENG−ECU11及びMG−ECU12を制御する。尚、第2MG120の駆動力は、減速機140を介して駆動輪160に伝達される。
【0042】
PIHV−ECU10は、バッテリ3のSOCが予め定められた値よりも低いと判定すると、ENG−ECU11を介して内燃機関100を始動し、動力分割機構130を介して駆動される第1MG110の発電電力を高圧のバッテリ3に蓄えるように制御する。
【0043】
一方、PIHV−ECU10は、バッテリ3のSOCが予め定められた値よりも高いと判定すると、ENG−ECU11を介して内燃機関100を停止し、MG−ECU12を介し、バッテリ3に蓄えられた電力を用いて第2MG120を駆動する。
【0044】
また、車両の走行制動時等に、PIHV−ECU10は、減速機140を介して駆動輪160により駆動される第2MG120を発電機として制御し、第2MG120により発電された電力をバッテリ3に蓄えるようにMG−ECU12に制御指令を発する。つまり、第2MG120は、制動エネルギーを電力に変換する回生ブレーキとして用いられる。
【0045】
つまり、PIHV−ECU10は、バッテリ3から出力される負荷電流と電圧、及びバッテリ3の温度をモニタして、バッテリ3のSOCを管理し、車両の要求トルクとバッテリ3のSOC等に基づいて、内燃機関100、第1MG110及び第2MG120を制御する。
【0046】
また、PIHV−ECU10は、ENG−ECU11及びMG−ECU12にそれぞれ制御指令を出力して走行制御を行う際に、内燃機関の駆動力による車両の走行比率、モータの駆動力による車両の走行比率をそれぞれ記憶部に記憶している。尚、走行比率とは、車両の総走行距離に対する、各駆動力による走行距離の割合を意味している。
【0047】
内燃機関を停止させ電動機の駆動力による車両の走行制御を、EV走行制御、内燃機関の駆動力による車両の走行制御をエンジン走行制御という。
【0048】
プラグインハイブリッド車両1は、車両外部の電源からバッテリ3へ充電電力を供給するための充電ケーブル300を接続するための充電用インレット270を備えている。尚、図1では充電用インレット270が車体後部に設けられているが、車体前部に設けられるものであってもよい。
【0049】
充電インレット270から充電部30に交流電力が供給されるように構成され、充電部30は、CHG−ECU13と、充電ケーブル300を介して供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換部などを備える。
【0050】
電力変換部は、例えば、交流電圧を整流する整流回路と平滑化コンデンサを備え、平滑化された直流電圧を所定の直流電圧に変換するDC−DCコンバータを備えることで構成することが出来る。尚、電力変換部は、上述した構成に限られたものではなく、適宜公知の技術を利用した構成であってもよい。
【0051】
充電部30に組み込まれたCHG−ECU13は、電力変換部を制御して、バッテリ3への充電電力を調整する。CHG−ECU13は、PIHV−ECU10から出力される制御指令値に基づいて電力変換部から出力される充電電力を制御する。
【0052】
充電ケーブル300は、一端側に家屋に設けられた電源コンセントと接続するプラグ320を備え、他端側に充電インレット270と接続するコネクタ330を備えている。
【0053】
充電ケーブル300には、外部電源から車両に給電可能な定格電流に対応するパルス信号を生成する信号発信部が備えられ、PIHV−ECU10は、当該信号発信部からの信号が入力されることにより、充電の開始を認識し、また充電ケーブル300の挿抜状態を検知することができる。
【0054】
PIHV−ECU10は、充電起動信号であるパルス信号が入力されると、充電ケーブル300が接続されたと判定し、バッテリ3と充電部30間のシステムメインリレーSMRをオンにし、充電部30を介してバッテリ3への充電処理を実行し、バッテリ3のSOCが目標充電状態になると充電処理を終了する。
【0055】
また、PIHV−ECU10は、充電処理実行中に充電ケーブル300が引き抜かれた場合にも同様に、充電処理を終了する。
【0056】
内燃機関100には、内燃部と、冷却水の温度を検出する水温センサなどを備えている。
【0057】
燃料タンクには、内燃部に吸入される燃料と、燃料タンク内の燃料の量を検出する燃料ゲージセンサが備えられており、ゲージセンサの検出値は、メータECU16に出力されている。
【0058】
燃料ゲージセンサは、例えば、抵抗と、燃料の液面に浮くフロートと、抵抗の抵抗値を変化させる移動接点として働くアームを備えて構成される液位センサが用いられる。燃料ゲージセンサは、燃料タンク内の燃料の液位に応じて変化する抵抗値に基づいた電圧値を検出し、当該電圧値がメータECU16に出力される。
【0059】
メータECU16は、A/Dコンバータを備えており、燃料ゲージセンサ及び水温センサ等から入力されたアナログ信号を、燃料量及び水温を示すデジタル信号に変換して、インストゥルメンタルパネルに設けられた燃料メータ及び水温メータに出力するとともに、メータECU16に備えられた記憶部に記憶する。
【0060】
PIHV−ECU10は、メータECU16など他のECUを介して、過去の所定期間毎の燃料消費量と車両の稼動情報を記憶部(EEPROM;以降、「メモリ」と記す。)に記憶する履歴情報記憶処理を実行する。
【0061】
図3(a)に示すように、PIHV−ECU10は、例えば、2ヶ月間の燃料消費量(Fuel Consumption;FC)、及び車両の稼動情報(Operation Data;OP)を記憶し、2ヶ月毎に燃料消費量FC、及び車両の稼動情報OPを履歴情報として記憶する。履歴情報は、現在に至るまで燃料消費量FC、及び車両の稼動情報OPに変動があれば都度記憶されている。
【0062】
車両の稼働情報には、内燃機関による走行距離、電動機に給電するバッテリ3のプラグイン充電量、前記バッテリ3の劣化度、エアコンなどの補機の稼働頻度が含まれる。
【0063】
例えば、PIHV−ECU10は、メータECU16から入力された燃料量の情報から、例えば、所定期間毎(例えば、2ヶ月毎)に燃料消費量を積算してメモリに記憶し、所定期間毎の燃料消費量の履歴情報とする。
【0064】
PIHV−EUC10は、履歴情報記憶処理によってメモリに記憶された過去の所定期間毎の燃料消費量または車両の稼動情報に基づいて、所定の燃料消費期間で消費可能な適正燃料供給量を算出する適正燃料供給量算出処理を実行する。
【0065】
尚、所定の燃料消費期間とは、燃料を燃料タンクに蓄えたまま放置した場合であっても、燃料が劣化して車両走行に悪影響を与えることがない充分な期間を意味し、その期間内であれば任意に設定可能である。例えば、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月等に設定可能であり、月単位でなく日単位でも設定可能である。また、履歴情報記憶処理における所定期間(この期間も燃料が劣化して車両走行に悪影響を与えることがない期間より短い期間で適宜設定すればよい。)と同一である必要はない。
【0066】
例えば、過去の所定期間毎の燃料消費量によって、現在以降の所定の燃料消費期間(例えば、1ヶ月)における適正燃料供給量Aを算出するのであれば、FC4からFC0までの平均値を算出し、所定の燃料消費期間に換算する。
【0067】
尚、積算途中である直近の燃料消費量(FC0)のみから、適正燃料供給量Aを算出してもよい。例えば、20日間の燃料消費量(FC0)が記憶されていれば、所定の燃料消費期間(例えば、1ヶ月)における適正燃料供給量Aは、(燃料消費量FC0/20日)×30日(若しくは、31日)で推定算出できる。
【0068】
また、過去の所定期間毎の燃料消費量FC4〜FC1の平均燃料消費量を直近の燃料消費量FC0´として推定算出し、適正燃料供給量Aとしてもよい。
【0069】
さらに、過去の所定期間毎の燃料消費量FC4〜FC1の平均燃料消費量に基づいて推定算出した燃料消費量FC0´を、車両の稼動情報OP0に基づいて補正した直近の燃料消費量FC0´´を、適正燃料供給量Aとしてもよい。
【0070】
即ち、車両の稼動情報OP0についても、例えば、過去の所定期間毎の車両の稼動情報OP4〜OP1の平均値として推定算出し、推定算出した車両の稼動情報OP0´に基づいて燃料消費量FC0´を補正する。
【0071】
つまり、PIHV−ECU10は、記憶部に記憶された直近の燃料消費量を過去の所定期間毎の燃料消費量または車両の稼動情報基づいて補正した値を適正燃料供給量として算出する適正燃料供給量算出処理を実行するのである。
【0072】
PIHV−ECU10は、適正燃料供給量算出処理により算出された燃料供給量及び燃料供給量に関する情報を、CANを介してDSP−ECU15に報知する出力処理を実行することによって、ナビゲーション装置501(図4参照)の表示画面でユーザに適正燃料供給量を通知するように構成されている。
【0073】
以下、図4及び図5に基づいて、適正燃料供給量を算出に基づく各履歴情報記憶処理を説明すると、PIHV−ECU10は、所定期間毎に(例えば、1ヶ月)カーナビゲーション装置501が記憶している現在日時と、外気温度センサ502で検出される現在温度をメモリに記憶し、加えて、A/C−ECU14で記憶している、補機であるエアコンの外気温に伴う起動信号の入力回数(以降、「エアコンの起動回数」と記す。)を記憶する。
【0074】
尚、カーナビゲーション装置501、及びA/C−ECU14で記憶している情報は、稼動される度にPIHV−ECU10に情報送信され、PIHV−ECU10のメモリに記憶するものであってもよい。
【0075】
PIHV−ECU10は、メモリに記憶した現在日時、現在温度、エアコンの起動回数の3つのパラメータに基づいて、エアコン稼動頻度を算出する。
【0076】
例えば、PIHV−ECU10に記憶される履歴情報として、図5(a)に示すように季節(1月〜12月)におけるエアコンの稼動頻度は、冬季におけるエアコンの稼動頻度は高く、また図5(b)に示すように、予想気温気候情報において寒い気候である場合にもエアコン稼動頻度は高く、また、図5(c)に示すように、ユーザ固有データであるエアコンの起動回数では、外気温が低温である場合にも頻度は高くなる。
【0077】
上述した、季節情報、気候情報、外気温に基づくエアコン稼動頻度を平均化することで、所定期間のエアコン稼動頻度を算出するエアコン稼動頻度制御401を実行する。例えば、1月の平均気温5℃でのエアコン稼動頻度は非常に高くなることがわかる。
【0078】
エアコン稼動頻度は、車両のシステムが起動された回数に対するエアコンを起動した回数の割合として定義され、所定期間(例えば、1ヶ月)において車両のシステムが起動された回数を記憶して稼働率を算出し、所定の燃料消費期間における車両のシステム起動回数を予測することにより、エアコン稼動頻度を推定算出することができる。
【0079】
尚、エアコン稼動頻度制御401におけるパラメータとして、外気温に基づく標準的なエアコン稼動頻度を使用するものでもよい。その場合、PIHV−ECU10に備えられたROMに、予め標準的なエアコン稼動頻度の特性データを記憶しておけばよい。
【0080】
PIHV−ECU10は、バッテリ3からローカル信号で受信する出力電圧値503と、出力電流値503に基づいて算出される内部抵抗値からバッテリの劣化度を算出するバッテリ劣化度検出制御402を実行してメモリに記憶する。バッテリ3の劣化が進むと、蓄えられる充電電力量が低減するため、目標充電状態で走行制御に使用可能な電力量もそれに比例して低減する。
【0081】
尚、バッテリ3の劣化度は、以下の関係式で算出され、履歴情報記憶処理によって記憶されたバッテリ3の劣化度と内部抵抗は、例えば、図5(d)のような特性を示す。(k:比例定数)
【0082】
バッテリ劣化度=(電圧変化量/電流変化量)×k
【0083】
PIHV−ECU10は、スタータスイッチが操作され、IG信号504がオフで入力される毎に、バッテリ3のSOCを所定期間(例えば、1ヶ月)継続して平均化した所定期間内の車両停止時のバッテリ残存容量の平均値と、IG信号504のオフ入力回数をメモリに記憶するバッテリ残量検出制御403を実行する。
【0084】
上述した所定期間内の車両停止時のバッテリ残存容量の平均値は、以下の関係式で算出され、バッテリ電圧と所定期間内の車両停止時のバッテリ残存容量の平均値は、図5(e)のような特性を示す。(k:比例定数)
【0085】
所定期間内の車両停止時のバッテリ残存容量の平均値=(IG信号(オフ)入力時のバッテリ3のSOCの積算値×k)/IG信号(オフ)入力回数
【0086】
PIHV−ECU10は、所定期間の外部電源から充電ケーブル300を介してバッテリの充電起動信号505が入力された回数の積算値、即ちバッテリ充電回数をメモリに記憶する。尚、充電終了の回数を記憶するものでもよい。
【0087】
バッテリ充電回数は、バッテリ充電頻度であってもよい。即ち、システム起動回数に対するプラグイン充電回数の割合として記憶するものでもよい。
【0088】
PIHV−ECU10は、所定期間の外部電源から充電ケーブル300を介してバッテリの充電完了信号が入力される毎に、バッテリ3のセンサ値及び電圧値503から算出したSOCを積算してメモリに記憶し、充電完了時のバッテリ3のSOC、つまりプラグイン充電量の平均値を算出して記憶する充電制御404を実行する。尚、充電した電力量を記憶するものであってもよい。
【0089】
上述した所定期間内のプラグイン充電量の平均値は、以下の関係式で算出され、バッテリ電圧と所定期間のプラグイン充電量の平均値は、図5(f)のような特性を示す。(k:比例定数)
【0090】
所定期間のプラグイン充電量の平均値=(所定期間の充電完了時のバッテリ3のSOC積算値)×k)/所定期間内のバッテリ充電回数
【0091】
PIHV−ECU10は、電動機の駆動力による車両の所定期間の走行距離は、電動機の駆動力による車両の走行比率を記憶しておき、メータECU16に記憶された所定期間の走行距離が入力されると、電動機110,120の駆動力による車両の走行比率に基づいて電動機110,120の駆動力による車両の走行距離を算出し、所定期間継続して当該走行距離を積算することにより、電動機の駆動力による所定期間の走行距離を算出するEV走行制御405を実行する。
【0092】
また、PIHV−ECU10は、内燃機関100の駆動力による車両の走行比率を記憶しておき、メータECU16に記憶された所定期間の走行距離が入力されると、内燃機関100の駆動力による車両の走行比率に基づいて内燃機関100の駆動力による車両の走行距離を算出し、所定期間継続して当該走行距離を積算することにより、内燃機関100の駆動力による車両の所定期間の走行距離を算出するエンジン走行制御406を実行する。
【0093】
尚、各駆動力による車両の走行比率については、各駆動力による車両の走行距離を積算したものであってもよい。そうすれば、総走行距離と各走行距離の積算値から、各駆動力による車両の走行比率が算出できる。
【0094】
PIHV−ECU10は、メータECU16に記憶された、所定期間の開始、及び終了時の燃料タンクに備えられた燃料ゲージセンサで検出された燃料量の差分を燃料消費量として算出して記憶する。
【0095】
適正燃料供給量は、例えば、内燃機関の駆動力による車両の走行距離が増加すれば、燃料を使用して走行する機会が増加するため適正燃料供給量も比例して増加し、車両停止時のバッテリ充電状態平均値が増加すると、バッテリに蓄えられた電力を使用して走行する機会が増加するため適正燃料供給量は反比例して減少する。
【0096】
PIHV−ECU10は、燃料タンク内の燃料残量が所定量になったことを認識すると、適正燃料供給量算出処理を実行して、DSP−ECU15に適正燃料供給量及び燃料供給量に関する情報を出力する出力処理を実行し、運転者、つまり外部へ適正燃料供給量の供給を促すために表示部に表示する。
【0097】
尚、燃料供給量に関する情報の出力先としては、上述のように表示部であってもよいし、ナビ音声合成回路
【0098】
車両の稼動情報と、各稼動情報に応じて消費される燃料量は、以下の関係式によって示され、当該関係式は図6(a)〜(h)に示すような特性となる。以下、比例定数「K1〜K8」は、例えば、適正燃料供給量の算出において影響の大きいパラメータにおける値を大きくし、比較的影響が小さいパラメータの値を小さくするような任意の値を設定する。例えば、本実施形態での適正燃料供給量の算出において影響の大きいパラメータは、内燃機関の駆動力による車両の所定期間の走行距離の積算値となる。
【0099】
(a)エンジン走行積算距離に基づく燃料量=内燃機関の駆動力による車両の所定期間の走行距離×K1
(b)燃料消費量に基づく燃料量=燃料消費量の積算値×K2
(c)エアコン稼動頻度に基づく燃料量=所定期間のエアコンの稼動頻度×K3
(d)バッテリ劣化度に基づく燃料量=バッテリの劣化度×K4
(e)EV走行距離積算値に基づく燃料量=1/電動機の駆動力による車両の所定期間の走行距離の積算値×K5
(f)充電実行回数に基づく燃料量=1/所定期間のバッテリ充電回数×K6
(g)充電完了時のバッテリ充電状態平均値に基づく燃料量=1/充電完了時のバッテリ残存容量の平均値×K7
(h)車両停車時のバッテリ充電状態平均値に基づく燃料量=1/車両停止時のバッテリ残存容量の平均値×K8
【0100】
PIHV−ECU10は、上述した8つの関係式により算出された燃料量の何れかに基づいて、適正燃料供給量を算出する適正燃料供給量算出処理400を実行する。
【0101】
例えば、図6(a)及び(b)の燃料量に基づいて、適正燃料供給量を求めるのであれば、現在の燃料タンクの燃料残量と(a),(b)の平均した燃料量との差分が、負数であれば供給を必要とする燃料量、つまり所定の燃料消費期間で消費可能な適正燃料供給量となり、以下の式で求められる。
【0102】
適正燃料供給量
=現在の燃料タンクの燃料残量−((a)の燃料量+(b)の燃料量)/2
【0103】
上述した関係式で使用する燃料消費量、及び車両の稼動情報、つまりパラメータの個数は、全てのパラメータを使用してもよいし、任意に選択した複数のパラメータを使用するのでもよいし、適正燃料供給量の算出において影響の大きいパラメータである内燃機関の駆動力による車両の所定期間の走行距離の積算値のみを使用してもよい。
【0104】
例えば、タッチパネルでユーザにより適正燃料供給量算出処理に使用するパラメータを選択可能に構成されていれば、ユーザによって選択指定されたパラメータを使用して適正燃料供給量を算出するものであっても構わない。
【0105】
また、例えば、適正燃料供給量算出処理を実行する直近で、履歴情報記憶処理によって記憶されたバッテリ劣化度バッテリの劣化が進んでいることが認識される場合には、直近の燃料消費量をバッテリ劣化度に基づく燃料量で補正した値によって適正燃料供給量を算出するようにすればよい。
【0106】
つまり、PIHV−ECU10は、記憶部に記憶された直近の燃料消費量を、過去の車両の稼働情報から得られる変動に基づいて前記記憶部に記憶された直近の燃料消費量を補正した値を前記適正燃料供給量として算出する適正燃料供給量算出処理を実行するのである。
【0107】
また、季節に応じてエアコンの稼動頻度が異なれば、直近の燃料消費量のみに基づいて適正燃料供給量を算出すると誤差が生じる虞があるため、例えば、過去のエアコンの稼動頻度の履歴情報に基づいて直近の燃料消費量を補正した値によって適正燃料供給量を算出するようにすればよい。
【0108】
つまり、PIHV−ECU10は、記憶部に記憶された直近の燃料消費量を、過去の車両の稼働情報から得られる周期的変動に基づいて前記記憶部に記憶された直近の燃料消費量を補正した値を前記適正燃料供給量として算出する適正燃料供給量算出処理を実行するのである。
【0109】
尚、履歴情報が記憶されていない場合には、予め実験などにより決定した図6に示すような燃料量と、燃料消費量、及び車両の稼動情報の関係を表すデータテーブルをROMに記憶しておけばよい。
【0110】
上述では、適正燃料供給量算出処理は、所定期間を経過した場合に適正燃料供給量を算出するように説明したが、ナビゲーション装置のタッチパネル式の操作画面を介した操作や、携帯電話等の携帯端末を介した操作により、車両のユーザから適正燃料供給量の表示を要求された場合、または燃料タンク内の燃料残量が予め設定された所定値以下となった場合であってもよい。前者の場合、PIHV−ECU10に操作情報を入力するインタフェースを備えておけばよい。
【0111】
また、給油口の蓋の開閉を検知したときに適正燃料供給量を算出するように構成してもよい。
【0112】
このような場合、図3(b)に示すように、毎日または数日間の燃料消費量FC、及び車両の稼動情報OPを順次メモリに記憶し、適正燃料供給量を算出する時点から、2ヶ月毎に過去に遡って、2ヶ月毎の燃料消費量FC、及び車両の稼動情報OPを算出するように構成してもよい。
【0113】
PIHV−ECU10が実行する次回の所定期間の適正燃料供給量算出処理を、図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0114】
PIHV−ECU10は、スタータスイッチが操作され、IG信号の入力をチェックする(S1)。
【0115】
ステップS1で、IG信号がオンであれば、PIHV−ECU10は、車両の状態を走行状態に設定し(S2)、バッテリ3の残量容量をチェックする(S3)。ステップS3で、バッテリ3の残量が走行に足りうる残量であれば、バッテリ3を使用して走行制御を実行し(S4)、一方、バッテリ3の残量が足りなければ、内燃機関を駆動制御して走行制御を実行する(S5)。
【0116】
次に、PIHV−ECU10は、現在日時、及び現在温度などの情報に基づいてエアコンの稼動頻度制御を実行することにより、エアコンの稼動頻度に基づいた適正燃料供給量を推定算出し(S6)、バッテリ3の出力電圧、出力電流に基づいてバッテリの劣化度検出制御を実行する(S7)。
【0117】
ステップS1で走行要求が無かった場合には、PIHV−ECU10は、充電起動要求があるかチェックし(S8)、充電起動要求がある、つまり充電起動信号の入力がある場合は、車両の状態を充電状態に設定し(S9)、充電制御を開始する(S10)。
【0118】
ステップS8で、充電起動要求がなく、車両の状態が走行状態に設定されている場合に(S11)、PIHV−ECU10は、バッテリ残量検出制御を実行して、検出したバッテリ残存容量をメモリに記憶し(S12)、車両の状態を停車状態に設定する。(S13)。
【0119】
ステップS11で、車両の状態が走行状態でなく充電状態に設定されている場合は(S14)、充電完了時の容量の検出制御を実行して、PIHV−ECU10の記憶部に記憶し(S15)、車両の状態を停車状態に設定する(S13)。
【0120】
PIHV−ECU10は、ステップS15までの適正燃料供給量の算出が完了し、次回の所定の燃料消費期間の適正燃料供給量を通知するタイミングであれば(S16)、残存燃料量から適正燃料供給量を減算する適正燃料供給量算出処理を実行し(S17)、DSP−ECU15へ適正燃料供給量を通知して表示部に表示する(S18)。
【0121】
尚、適正燃料供給量を表示する手段として、DSP−ECU15を介してカーナビゲーション装置501のタッチパネルに表示するように説明したが、PIHV−ECU10はメータECU16に適正燃料供給量を出力して車両の前方のインストゥルメンタルパネルなどに表示するものでもよいし、Bluetooth(ブルートゥース:商標登録)を経由した携帯電話回線網や公衆回線網、インタネット等の通信ネットワークを介したデータ送受信などで通知するものであってもよい。
【0122】
以上に説明したように、PIHV−ECU10は、内燃機関100と電動機110,120を駆動源として車両を走行制御する制御装置であって、制御に関する情報を記憶する記憶部と、過去の所定期間毎の燃料消費量と車両の稼動情報を前記記憶部に記憶する履歴情報記憶処理と、前記記憶部に記憶された過去の所定期間毎の燃料消費量または車両の稼動情報に基づいて、所定の燃料消費期間で消費可能な適正燃料供給量を算出する適正燃料供給量算出処理と、前記適正燃料供給量算出処理により算出された燃料供給量を報知する出力処理とを実行するのである。
【0123】
上述の説明では、何れもPIHV−ECU10により、記憶部に記憶された過去の所定期間毎の燃料消費量または車両の稼動情報に基づいて適正燃料供給量算出処理により適正燃料供給量が算出されるが、例えば、普段は街中走行をする頻度が高いユーザが、直近に旅行などで遠地まで走行した場合に、直近の燃料消費量、及び車両の稼動情報に基づいて、普段の適正燃料供給量を算出すると適正燃料供給量に多大な誤差が発生する虞がある。
【0124】
その場合には、PIHV−ECU10に前記適正燃料供給量算出処理を実行するか否かを選択する選択信号が入力可能に構成され、前記適正燃料供給量算出処理の実行が選択されない場合に、PIHV−ECU10は、前記記憶部に記憶された直近の燃料消費量を除く過去の平均燃料消費量に基づいて、所定の燃料消費期間で消費可能な燃料供給量を算出する暫定燃料供給量算出処理を実行し、前記暫定燃料供給量算出処理により算出された燃料供給量を報知する出力処理を実行するように構成されていればよい。
【0125】
例えば、タッチパネルでユーザにより適正燃料供給量算出処理を実行するか否か選択可能に構成され、適正燃料供給量算出処理を実行しないようにユーザの選択操作により選択されると、PIHV−ECU10は、旅行などで遠地まで走行した直近の燃料消費量を除く、履歴情報記憶処理により記憶されている過去の燃料消費量を平均して、所定の燃料消費期間で消費可能な適正燃料供給量を算出し、出力処理を実行することにより算出した燃料消費量を表示する。
【0126】
また、突発的に燃料の使用量が増加する虞がある場合に具え、予め、走行予定距離がわかっている場合などには、上述したタッチパネルを介したユーザの入力操作によって走行予定距離が入力され、履歴情報記憶処理によって記憶された過去の燃料消費量または車両の稼動情報に、当該走行予定距離を含めて、適正燃料供給量算出処理を実行するような構成であってもよい。
【0127】
以上では、PIHV−ECU10は、燃料タンク内の燃料残量が所定量になったことを認識した場合、タッチパネルの表示画面からユーザによる操作によって適正燃料供給量の表示が要求された場合に、PIHV−ECU10は、適正燃料供給量算出処理、及び出力処理を実行するように説明したが、燃料タンクに燃料が給油されてから設定された所定期間(例えば、1ヶ月)が経過した場合に、適正燃料供給量算出処理、及び出力処理を実行するように構成されてもよい。
【0128】
つまり、PIHV−ECU10は、燃料タンクに充填された燃料の残量が所定量となった場合、燃料タンクに燃料が充填された時点から設定期間経過した場合、前記制御部に運転者からの要求信号が入力された場合の何れかの場合に適正燃料供給量算出処理を実行するのである。
【0129】
尚、ユーザ操作によって適正燃料供給量の表示が要求された場合などで、現在の燃料タンクの燃料残量が、燃料消費量の積算値に基づいて算出された燃料量よりも多い場合には燃料の供給が必要とされないため、今回はユーザに燃料を供給する必要がないことを通知する、燃料消費量を積算する所定期間を延長する、または延長した所定期間を学習結果として次回からの燃料消費量を積算する所定期間として設定するなどすればよい。
【0130】
上述した記憶部は、マイクロコンピュータ内部に備えられたメモリについて説明したが、マイクロコンピュータ外部に備えられたメモリを使用するものでもよい。また、不揮発性メモリや、常時電源が供給されているメモリであっても、データを記憶できる媒体であれば構わない。
【0131】
以上説明したように、本発明による制御方法は、内燃機関100と電動機110,120を駆動源として車両を走行制御する制御方法であって、過去の所定期間毎の燃料消費量と車両の稼動情報を前記記憶部に記憶する履歴情報記憶処理と、前記記憶部に記憶された過去の所定期間毎の燃料消費量または車両の稼動情報に基づいて、所定の燃料消費期間で消費可能な適正燃料供給量を算出する適正燃料供給量算出処理と、前記適正燃料供給量算出処理により算出された燃料供給量を報知する出力処理とを実行する制御方法なのである。
【0132】
また、上述した説明では、記憶部に記憶された直近の燃料消費量を補正して適正燃料供給量として算出するとしたが、記憶部に記憶された、若しくは記憶部に記憶される燃料消費量であれば、補正対象となる燃料消費量は何れの所定期間であってもよい。
【0133】
例えば、記憶部に記憶されている燃料消費量の履歴が表示部に表示され、ユーザによって適正燃料供給量算出処理で補正対象となる燃料消費量を選択できるようにしてもよいし、ユーザによる指定期間が操作部に入力されるように構成されていれば、当該指定期間の燃料消費量を補正対象としてもよい。
【0134】
上述した実施形態では、いずれもプラグインハイブリッド車について説明したが、本発明は、その他の形式のハイブリッド車にも適用可能である。
【0135】
例えば、第一MG110を駆動するためにのみ内燃機関100を用い、第二MG120のみで車両の駆動力を発生する、所謂シリーズ型のハイブリッド車や、内燃機関100で生成した運動エネルギーのうち回生エネルギーのみが電気エネルギーとして回収されるハイブリッド車や、内燃機関100を主動力として必要に応じて電動機がアシストするモータアシスト型のハイブリッド車等にも、本発明は適用可能である。
【0136】
さらに、内燃機関100を備えずに電力で走行する電動機のみを備えた電気自動車や、燃料電池を搭載した車両であっても、さらに蓄電装置を備えている燃料電池車であっても、プラグイン車両であれば本発明を適用することができる。
【0137】
また、上述した実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0138】
1:プラグインハイブリッド車
3:バッテリ
10:PIHV−ECU
30:充電部
100:内燃機関
110:第1MG(電動機)
130:動力分割機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と電動機を駆動源として車両を走行制御する制御装置であって、
制御に関する情報を記憶する記憶部と、
過去の所定期間毎の燃料消費量と車両の稼動情報を前記記憶部に記憶する履歴情報記憶処理と、
前記記憶部に記憶された過去の所定期間毎の燃料消費量または車両の稼動情報に基づいて、所定の燃料消費期間で消費可能な適正燃料供給量を算出する適正燃料供給量算出処理と、
前記適正燃料供給量算出処理により算出された燃料供給量に関する情報を外部へ出力する出力処理と、を実行する制御部と、
を備えている制御装置。
【請求項2】
前記適正燃料供給量算出処理は、前記記憶部に記憶される燃料消費量を、過去の所定期間毎の燃料消費量または車両の稼動情報に基づいて補正した値を前記適正燃料供給量として算出する処理である請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記適正燃料供給量算出処理は、前記記憶部に記憶される燃料消費量を、過去の車両の稼働情報から得られる変動に基づいて前記記憶部に記憶される燃料消費量を補正した値を前記適正燃料供給量として算出する処理である請求項1記載の制御装置。
【請求項4】
前記適正燃料供給量算出処理は、前記記憶部に記憶される燃料消費量を、過去の車両の稼働情報から得られる周期的変動に基づいて前記記憶部に記憶される燃料消費量を補正した値を前記適正燃料供給量として算出する処理である請求項1記載の制御装置。
【請求項5】
前記車両の稼働情報には、内燃機関による走行距離、電動機に給電するバッテリのプラグイン充電量、前記バッテリの劣化度、補機の稼働頻度が含まれる請求項1から4の何れかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記適正燃料供給量算出処理は、燃料タンクに充填された燃料の残量が所定量となった場合、燃料タンクに燃料が充填された時点から設定期間経過した場合、前記制御部に運転者からの要求信号が入力された場合の何れかの場合に実行される請求項1から6の何れかに記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部に前記適正燃料供給量算出処理を実行するか否かを選択する選択信号が入力可能に構成され、前記適正燃料供給量算出処理の実行が選択されない場合に、前記制御部は、前記記憶部に記憶される燃料消費量を除く過去の平均燃料消費量に基づいて、所定の燃料消費期間で消費可能な燃料供給量を算出する暫定燃料供給量算出処理を実行し、前記暫定燃料供給量算出処理により算出された燃料供給量を報知する出力処理を実行する請求項1から7の何れかに記載の制御装置。
【請求項8】
内燃機関と電動機を駆動源として車両を走行制御する制御方法であって、
過去の所定期間毎の燃料消費量と車両の稼動情報を前記記憶部に記憶する履歴情報記憶処理と、
前記記憶部に記憶された過去の所定期間毎の燃料消費量または車両の稼動情報に基づいて、所定の燃料消費期間で消費可能な適正燃料供給量を算出する適正燃料供給量算出処理と、
前記適正燃料供給量算出処理により算出された燃料供給量を報知する出力処理と、を実行する制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−242692(P2010−242692A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94511(P2009−94511)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】