説明

加工装置

【課題】撮像手段によって撮像される画像にズレが生ずることがない加工装置を提供する。
【解決手段】被加工物を保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持された被加工物を撮像するための光学系と撮像素子を備えた撮像手段と、チャックテーブルに保持された被加工物を加工する加工手段と、チャックテーブルを該撮像手段の撮像領域を含む加工送り方向に移動せしめる移動手段と、撮像手段と該加工手段および該移動手段を制御する制御手段とを具備する加工装置であって、撮像素子に電力を供給する電源回路に開閉スイッチが配設されており、制御手段は撮像手段による撮像工程を実施する際に開閉スイッチを閉路し、撮像手段による撮像工程が終了したら開閉スイッチを開路する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を切削する切削装置等の加工装置、更に詳しくは被加工物の加工領域等を撮像する撮像手段を備えた加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に形成されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって区画された多数の領域にIC、LSI等のデバイスを形成し、該デバイスが形成された各領域をストリートに沿って分割することにより個々のデバイスを製造している。半導体ウエーハを分割する分割装置としては一般にダイシング装置としての切削装置が用いられている。この切削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物の切削すべき領域を検出する撮像手段と、チャックテーブルに保持され被加工物を切削する切削手段とを具備している。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−11641号公報
【0003】
上記撮像手段は、顕微鏡を構成する光学系と該光学系によって撮像された画像を電気信号に変換する撮像素子(CCD)を具備している。撮像手段の光学系にはヘアーラインと呼ばれる基準線が設けられており、この基準線と切削ブレードの位置とが一致するように予め調整されている。従って、撮像したストリートを基準線に合致させることにより、切削ブレードをストリートに正確に合致することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した切削装置においては、装置の電源が投入されると上記撮像手段を構成する撮像素子には所定の電圧が印加されるようになっている。従って、撮像素子には長時間電圧が印加されることになるため、熱が蓄積される。この結果、撮像素子を保持しているケースが僅かに熱膨張するため、撮像した画像にズレが生ずる。このため、撮像されたストリートを基準線に合致させても、切削ブレードがストリートに合致したことにはならず、ウエーハを高精度に分割することができなくなるという問題がある。
このような問題は切削装置に限らず、加工領域を撮像するための光学系と撮像素子(CCD)とからなる撮像手段を備えたレーザー加工装置等の他の加工装置においても発生する。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、撮像手段によって撮像される画像にズレが生ずることがない加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を撮像するための光学系と撮像素子を備えた撮像手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物を加工する加工手段と、該チャックテーブルを該撮像手段の撮像領域を含む加工送り方向に移動せしめる移動手段と、該撮像手段と該加工手段および該移動手段を制御する制御手段と、を具備する加工装置において、
該撮像素子に電力を供給する電源回路に開閉スイッチが配設されており、
該制御手段は、該撮像手段による撮像工程を実施する際に該開閉スイッチを閉路し、該撮像手段による撮像工程が終了したら該開閉スイッチを開路する、
ことを特徴とする加工装置が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、本発明によれば、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を撮像するための光学系と撮像素子を備えた撮像手段と、該撮像手段の該光学系の下方を遮蔽する遮蔽位置と該光学系の下方を開放する開放位置に作動する遮蔽部材を備えた遮蔽手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物を加工する加工手段と、を具備する加工装置において、
該撮像素子に電力を供給する電源回路に配設され該遮蔽手段の作動と連動して開閉する開閉スイッチが配設されており、
該開閉スイッチは、該遮蔽手段の該遮蔽板が該遮蔽位置に位置付けられると開路し、該遮蔽板が該開放位置に位置付けられると閉路せしめられるように構成されている、
ことを特徴とする加工装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明による加工装置においては、撮像手段を構成する撮像素子に電力を供給する電源回路に開閉スイッチが配設されており、制御手段が撮像手段による撮像工程を実施する際に開閉スイッチを閉路し、撮像手段による撮像工程が終了したら開閉スイッチを開路するので、撮像工程以外は撮像素子に電力が供給されない。従って、撮像素子に熱が蓄積されることがないため、撮像素子を保持しているケースが熱膨張することによる画像のズレの発生を防止することができる。
また、本発明によれば、撮像手段を構成する撮像素子に電力を供給する電源回路に撮像手段の光学系の下方を遮蔽する遮蔽手段の作動と連動して開閉する開閉スイッチを配設し、遮蔽手段が遮蔽位置に位置付けられると開閉スイッチを開路し、遮蔽手段が開放位置に位置付けられると開閉スイッチを閉路せしめるように構成したので、遮蔽手段を開放位置に位置付けて撮像手段による撮像を可能にする撮像工程以外は撮像素子に電力が供給されない。従って、撮像素子に熱が蓄積されることがないため、撮像素子を保持しているケースが熱膨張することによる画像のズレの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明によって構成された加工装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0010】
図1には、本発明によって構成された加工装置としての切削装置の斜視図が示されている。図示の実施形態における切削装置は、略直方体状の装置ハウジング2を具備している。この装置ハウジング2内には、被加工物を保持するチャックテーブル3が切削送り方向(加工送り方向)である矢印Xで示す方向に移動可能に配設されている。チャックテーブル3は、吸着チャック支持台31と、該吸着チャック支持台31上に配設された吸着チャック32を具備しており、該吸着チャック32の上面である保持面上に被加工物を図示しない吸引手段を作動することによって吸引保持するようになっている。また、チャックテーブル3は、図示しない回転機構によって回転可能に構成されている。なお、チャックテーブル支持台31には、被加工物として後述する半導体ウエーハを保護テープを介して支持する支持フレームを固定するためのクランプ33が配設されている。このように構成されたチャックテーブル3は、図示しない切削送り手段(移動手段)によって、矢印Xで示す切削送り方向(加工送り方向)に移動せしめられるようになっている。
【0011】
図示の実施形態における切削装置は、切削手段(加工手段)としてのスピンドルユニット4を具備している。スピンドルユニット4は、図示しない割り出し送り手段によって図1において矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるとともに、図示しない切り込み送り手段によって図1において矢印Zで示す切り込み送り方向に移動せしめられるようになっている。このスピンドルユニット4は、図示しない移動基台に装着され割り出し方向である矢印Yで示す方向および切り込み方向である矢印Zで示す方向に移動調整されるスピンドルハウジング41と、該スピンドルハウジング41に回転自在に支持された回転スピンドル42と、該回転スピンドル42の前端部に装着された切削ブレード43とを具備している。
【0012】
図示の実施形態における切削装置は、上記チャックテーブル3上に保持された被加工物の表面を撮像し、上記切削ブレード43によって切削すべき領域を検出するための撮像手段5を具備している。この撮像手段5は、後述する基準線が切削ブレード43と矢印X方向において一直線上に位置するように上記スピンドルハウジング41に取付けられている。また、図示の実施形態における切削装置は、撮像手段5によって撮像された画像等を表示する表示手段6を具備している。撮像手段5および表示手段6について、図2を参照して説明する。図2に示す撮像手段5は、ハウジング51に配設された顕微鏡からなる光学系52と、該光学系52によって撮像された画像を電気信号に変換する撮像素子(CCD)53を具備している。なお、撮像素子53は、ケース54に配設された状態でハウジング51に装着されている。このように構成された撮像素子53は、直流電源70を含む電源回路7によって電力が供給されるようになっている。また、撮像素子53は、光学系52によって撮像された画像を電気信号に変換し、画像データとして制御手段8に送る。そして、制御手段8は撮像素子53から送られた画像データを画像処理し、その画像を表示手段6に表示する。
【0013】
図示の実施形態においては、上記撮像素子53に電力を供給する電源回路7には、開閉スイッチ71が配設されている。この開閉スイッチ71は、上記制御手段8によって制御されるスイッチ作動手段9(Act)によって開閉されるようになっている。なお、制御手段8は、上述した各手段および後述する各手段を制御するように構成されている。
【0014】
図1に戻って説明を続けると、上記装置ハウジング2におけるカセット載置領域11aには、被加工物を収容するカセットを載置するカセット載置テーブル11が配設されている。このカセット載置テーブル11は、図示しない昇降手段によって上下方向に移動可能に構成されている。カセット載置テーブル11上には、被加工物としての半導体ウエーハ10を収容するカセット12が載置される。カセット12に収容される半導体ウエーハ10は、表面に格子状のストリートが形成されており、この格子状のストリートによって区画された複数の矩形領域にIC、LSI等のデバイスが形成されている。このように形成された半導体ウエーハ10は、環状のフレームFに装着された保護テープTの表面に裏面が貼着された状態でカセット12に収容される。
【0015】
また、図示の実施形態における切削装置は、カセット載置テーブル13上に載置されたカセット14に収容されている半導体ウエーハ10(環状のフレームFに保護テープTを介して支持されている状態)を仮置きテーブル13に搬出する搬出手段14と、仮置きテーブル13に搬出された半導体ウエーハ10を上記チャックテーブル3上に搬送する第1の搬送手段15と、チャックテーブル3上で切削加工された半導体ウエーハ10を洗浄する洗浄手段16と、チャックテーブル3上で切削加工された半導体ウエーハ10を洗浄手段16へ搬送する第2の搬送手段17を具備している。
【0016】
以上のように構成された切削装置を用いて半導体ウエーハ10をストリートに沿って切断する切削手順について、図3に示すフローチャートをも参照して説明する。
制御手段8は、切削作業開始スイッチ(図示せず)が投入され、切削作業開始信号が入力されると、ステップS1においてウエーハ搬出工程を実行する。即ち、制御手段8は、カセット載置テーブル11の図示しない昇降手段を作動し、カセット載置テーブル11上に載置されたカセット12の所定位置に収容されている半導体ウエーハ10(環状のフレームFに保護テープTを介して支持されている状態)を搬出位置に位置付ける。次に、搬出手段14を進退作動して搬出位置に位置付けられた半導体ウエーハ10を仮置きテーブル13上に搬出する。
【0017】
上記ステップS1においてウエーハ搬出工程を実行したならば、制御手段8はステップS2に進んでウエーハ保持工程を実行する。即ち、制御手段8は第1の搬送手段15を作動して仮置きテーブル13に搬出された半導体ウエーハ10を上記チャックテーブル3上に搬送する。次に、制御手段8は図示しない吸引手段を作動して、半導体ウエーハ10をチャックテーブル3上に吸引保持する。また、制御手段8は図示しないクランプ作動手段を作動して、半導体ウエーハ10が貼着された保護テープTが装着されている環状のフレームFを上記クランプ33によって固定する。
【0018】
上述したようにウエーハ保持工程を実行したならば、制御手段8はステップS3に進んでスイッチ作動手段9(Act)を附勢(ON)する。この結果、電源回路7に配設された開閉スイッチ71が閉路(ON)され、撮像手段5の撮像素子53に所定の電圧が印加される。このようにして撮像素子53に所定の電圧が印加され、撮像手段5による撮像準備が完了したならば、制御手段8はステップS4に進んで半導体ウエーハ10に形成されたストリートと切削ブレード43との位置合わせを行うアライメント工程を実施するための撮像工程を実行する。
【0019】
撮像工程においては、先ず制御手段8は図示しない移動手段を作動して、半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル3を撮像手段5の直下まで移動せしめる。次に、制御手段8は撮像手段5を作動して、半導体ウエーハ10に所定の方向に形成されているストリートを撮像する。そして、制御手段8は撮像手段5によって撮像されたストリートを図2に示すように表示手段6に表示する。なお、図2に示すように撮像されたストリートが基準線とズレている場合には、制御手段8はスピンドルユニット4を割り出し方向である矢印Y方向に移動調節して基準線をストリートの中心に位置付ける。この結果、切削ブレード43は、ストリートの中心と合致した位置に位置付けられたことになる。なお、上述したように撮像手段5によって撮像されたストリートが基準線と平行でない場合には、制御手段8は図示しない回転機構を作動して半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル3を回動して、ストリートと基準線が平行になるように調整する(アライメント工程)。この撮像工程は、所定の方向と直交する方向に形成されているストリートに対しても実施する。
【0020】
上述した撮像工程を実行したならば、制御手段8はステップS5に進んで、スイッチ作動手段9(Act)を除勢(OFF)する。この結果、電源回路7に配設された開閉スイッチ71が開路(OFF)され、撮像手段5の撮像素子53への電力の供給が遮断される。
【0021】
次に、制御手段8はステップS6に進み、半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル3を切削加工領域に移動して、切削工程(加工工程)を実行する。
即ち、制御手段8は図示しない切り込み送り手段を作動して、切削ブレード43を矢印Zで示す方向に所定量切り込み送りし所定の方向に回転させつつ、半導体ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル3を切削送り方向である矢印Xで示す方向(切削ブレード43の回転軸と直交する方向)に所定の切削送り速度で移動する。この切削工程においては、切削ブレード43および切削部に切削水が供給される。この結果、チャックテーブル3上に保持された半導体ウエーハ10は切削ブレード43により所定のストリートに沿って切断される。このようにして、半導体ウエーハ10を所定のストリートに沿って切断したら、制御手段8は図示しない割り出し送り手段を作動して、チャックテーブル3を矢印Yで示す方向にストリートの間隔だけ割り出し送りし、上記切削工程を実施する。そして、半導体ウエーハ10の所定方向に延在するストリートの全てに沿って切削工程を実施したならば、制御手段8は図示しない回転機構を作動してチャックテーブル3を90度回転させて、半導体ウエーハ10の所定方向と直交する方向に延在するストリートに沿って切削工程を実行することにより、半導体ウエーハ10に格子状に形成された全てのストリートが切削されて個々のチップに分割される。なお、分割されたチップは、保護テープTの作用によってバラバラにはならず、環状のフレームFに支持されたウエーハの状態が維持されている。
【0022】
上述したように半導体ウエーハ10のストリートに沿って切削工程が終了したら、制御手段8はステップS7に進んで、ウエーハ保持解除工程を実行する。即ち、制御手段8は図示しない移動手段を作動して、半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル3を最初に半導体ウエーハ10を吸引保持した位置に戻る。そして、制御手段8は、図示しない吸引手段の吸引を停止して、半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。
【0023】
次に、制御手段8はステップS8に進んで、洗浄工程を実行する。即ち、制御手段8は第2の搬送手段17を作動して、チャックテーブル3上の半導体ウエーハ10を洗浄手段16に搬送する。そして、制御手段8は、洗浄手段16を作動して上記切削工程において切削加工された半導体ウエーハ10を洗浄し乾燥する。
【0024】
上述した洗浄工程を実行したならば、制御手段8はステップS9に進んで、ウエーハ収納工程を実行する。即ち、制御手段8は第1の搬送手段15を作動して、洗浄手段16において洗浄および乾燥された半導体ウエーハ10を仮置きテーブル13に搬送する。そして、制御手段8は搬出手段14を作動して、仮置きテーブル13に搬送された切削加工後の半導体ウエーハ10をカセット12の所定位置に収納する。従って、搬出手段14は、加工後の半導体ウエーハ10をカセット12に搬入する搬入手段としての機能も備えている。
【0025】
以上のように、図示の実施形態における切削装置おいては、撮像手段5を構成する撮像素子53に電力を供給する電源回路7に開閉スイッチ71が配設され、この開閉スイッチ71が上述した撮像工程を実施している間だけ附勢(ON)されるので、撮像工程以外は撮像手段5を構成する撮像素子53に電力が供給されない。従って、撮像素子53に熱が蓄積されることがないため、撮像素子53を保持しているケース54が熱膨張することによる画像のズレの発生を防止することができる。
【0026】
なお、上記撮像手段5によって被加工物である半導体ウエーハ10を撮像する撮像工程は、上記切削工程が実施された後に切削溝の状態を検査するために実施する場合がある。例えば、被加工物である半導体ウエーハ10を所定の枚数に対して上記切削工程を実施したならば、制御手段8は上記スイッチ作動手段9(Act)を附勢(ON)して電源回路7に配設された開閉スイッチ71が閉路(ON)するとともに、半導体ウエーハ10をチャックテーブル3に戻す。そして、制御手段8は、撮像手段5を作動して半導体ウエーハ10に形成された切削溝を撮像し、切削溝の状態を検査する切削溝検査工程を実行する。
【0027】
次に、本発明の他の実施形態について、図4および図5を参照して説明する。
図4および図5に示す実施形態は、撮像手段5を構成する光学系52の下方を遮蔽する遮蔽手段20を備えるとともに、この遮蔽手段20の作動に連動して上記電源回路7に配設された開閉スイッチ71を開閉するように構成したものである。図示の実施形態における遮蔽手段20は、撮像素子(CCD)53の光学系52が配設されたハウジング51の下端に光学系52の光軸に対して直角に装着されたガイド部材21と、該ガイド部材21の下側に移動可能に配設された遮蔽部材22と、該遮蔽部材22をガイド部材21の下面に沿って移動する作動手段23とを具備している。
【0028】
ガイド部材21は、矩形状に形成された案内部211と、該案内板211を光学系62の下端部に装着する筒状の装着部212とからなっている。案内部211は、中央部に光学系52と対応する第1の穴211aを備えており、その下面には長手方向に沿って一対の案内溝211b、211cが対向して形成されている。筒状の装着部212は、第1の穴211aの周囲から立設して形成されている。このように構成されたガイド部材21は、筒状の装着部212をハウジング51の下端部に嵌合し、接着剤或いはビス等の固着手段によってハウジング51に装着する。
【0029】
遮蔽部材22は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の可撓性を有するシート材からなっており、所定位置に上記第1の穴211aと対応する第2の穴22aが設けられている。このように形成された遮蔽部材22は、両側部を上記ガイド部材21を構成する案内部211の下面に形成された一対の案内溝211b、211cに係合することにより、案内部211の下面に沿って移動可能に配設される。従って、遮蔽部材22に設けられた第2の穴22aを上記第1の穴211aと対向する開放位置に位置付けることにより、撮像手段5のよる光学系52を通しての撮像を可能とする。また、遮蔽部材22を上記開放位置から少なくとも第2の穴22aの直径に相当する量移動した遮蔽位置に位置付けることにより、上記第1の穴211aを遮蔽する。なお、遮蔽部材22の一端部には作動手段23と連結するための2個の穴22b、22bが設けられている。
【0030】
作動手段23は、図示の実施形態においてはエアーピストン機構によって構成されている。エアーピストン機構からなる作動手段23は、シリンダ231と、該シリンダ231内に摺動可能に配設されたピストン232と、該ピストン232の一端が連結されたピストンロッド233と、該ピストンロッド233の他端に取付けられた連結部材234とを具備している。このように構成された作動手段23は、シリンダ231におけるピストン232によって区画された第1の室231aと第2の室231bが図示しないエアー制御回路に連通されている。ピストンロッド233の他端に取付けられた連結部材234は、上記遮蔽部材22の幅に対応する長さを有しており、遮蔽部材22の一端部を挟持する挟持溝234aを備えている。また、連結部材234には、挟持溝234aと直交する方向に上記遮蔽部材22の一端部に設けられた2個の穴22b、22bと対応する2個の穴234b、234bが形成されている。このように構成された連結部材234の挟持溝234aに遮蔽部材22の一端部を挿入し、連結部材234に設けられた穴234b、234bおよび遮蔽部材22に設けられた穴22b、22bにボルト235を挿通し、該ボルト235にナット236を螺合することにより、遮蔽部材22が連結部材234に取付けられる。
【0031】
上述したように構成された作動手段23は、図4に示すようにシリンダ231が撮像手段5のハウジング51にピストン232の摺動方向が光学系52の光軸と平行になるように適宜の固定手段によって取付けられる。そして、連結部材234がガイド部材21を構成する案内部211の長手方向一端の上方に位置付けられる。このため、可撓性を有するシートからなる遮蔽部材22は、案内部211の長手方向一端縁から略直角に屈曲される。従って、作動手段23は、ピストンロッド233を図4において上下方向に作動することにより、遮蔽部材22をガイド部材21を構成する案内部211の下面に沿って移動することができる。即ち、作動手段23のピストンロッド233を実線で示す下方位置に作動すると遮蔽部材22は図4において実線で示す上記開放位置に位置付けられ、ピストンロッド233を上方位置に作動すると遮蔽部材22は図4において2点鎖線で示す上記遮蔽位置に位置付けられる。このように遮蔽部材22を可撓性を有するシートによって形成することにより、作動手段23の配置が容易となる。
【0032】
図4および図5に示す実施形態においては、図2に示す上記電源回路7に配設された開閉スイッチ71が上記作動手段23と隣接してハウジング51に取付けられている。この開閉スイッチ71は、スイッチ作動片711が上記作動手段23を構成する連結部材234の上面と対向して配設されている。このように構成された開閉スイッチ71は、作動手段23が図4において実線で示す上記開放位置に位置付けられている状態では連結部材234とスイッチ作動片111が離隔しており、閉路(ON)している。また、開閉スイッチ71は、作動手段23が図4において2点鎖線で示す上記遮蔽位置に位置付けられると、連結部材234によってスイッチ作動片711が作動され、開路(OFF)せしめられる。
【0033】
図4および図5に示す実施形態は以上のように構成され、上記電源回路7に配設された開閉スイッチ71が遮蔽手段20を構成する作動手段23と連動して開閉するようになっているので、上記図2に示す実施形態におけるスイッチ作動手段9は不要となる。そして、遮蔽手段20を構成する作動手段23が上記制御手段8の制御信号に基いて作動せしめられる。即ち、制御手段8は、上記撮像工程を実施する際には作動手段23を作動して図4において実線で示す上記開放位置に位置付ける。このとき、作動手段23の連結部材234と開閉スイッチ71のスイッチ作動片711が図4において実線で示すように離隔して、開閉スイッチ71は閉路(ON)する。この結果、遮蔽部材22に設けられた第2の穴22aが案内板211に設けられた第1の穴211aとが合致し、撮像手段5による撮像が可能となる。また、制御手段8は上記撮像工程が終了したならば、作動手段23を作動して図4において2点鎖線で示す上記遮蔽位置に位置付ける。このとき、作動手段23の連結部材234が図4において2点鎖線で示すように開閉スイッチ71のスイッチ作動片711を作動して、開閉スイッチ71は開路(OFF)せしめられる。従って、撮像手段5を構成する撮像素子53には、上述した撮像工程を実施している間だけ電力が供給されることになる。このため、撮像工程以外は撮像手段5を構成する撮像素子53に電力が供給されないので、撮像素子53に熱が蓄積されることがなく、撮像素子53を保持しているケース54が熱膨張することによる画像のズレの発生を防止することができる。
【0034】
一方、遮蔽手段20は上記撮像工程以外には図4において2点鎖線で示す上記遮蔽位置に位置付けられるので、撮像手段5を構成する光学系52は遮蔽部材22によって遮蔽される。従って、上記切削工程においては切削ブレード43および切削部に切削水を供給しつつ切削作業を実施するため、切削ブレード43の回転によって切削水およびコンタミが飛散するが、この飛散した飛沫は遮蔽手段20の遮蔽部材22によって遮蔽され撮像手段5の光学系52を汚染することはない。
【0035】
以上、本発明を切削装置に適用した例を示したが、本発明はレーザー加工装置等他の加工装置に適用しても同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に従って構成された加工手段としての切削装置の要部斜視図。
【図2】図1に示す切削装置に装備される撮像手段および制御手段を示すブロック構成図。
【図3】図2に示す制御手段の制御手順を示すフローチャート。
【図4】図1に示す切削装置に装備される撮像手段に遮蔽手段を装着した状態を示す斜視図。
【図5】図4に示す遮蔽手段を分解して示す斜視図。
【符号の説明】
【0037】
2:切削装置の装置ハウジング
3:チャックテーブル
31:チャックテーブル支持台
32:吸着チャック
33:クランプ
4:スピンドルユニット
41:スピンドルハウジング
42:回転スピンドル
43:切削ブレード
5:撮像手段
51:ハウジング
52:光学系
53:撮像素子
54:ケース
6:表示手段
7:電源回路
70:電源
71:開閉スイッチ
711:スイッチ作動片
8:制御手段
9:スイッチ作動手段(Act)
10:半導体ウエーハ
11:カセット載置テーブル
12:カセット
13:仮置きテーブル
14:搬出手段
15:第1の搬送手段
16:洗浄手段
17:第2の搬送手段
20:遮蔽手段
21:ガイド部材
22:遮蔽部材
23:作動部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を撮像するための光学系と撮像素子を備えた撮像手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物を加工する加工手段と、該チャックテーブルを該撮像手段の撮像領域を含む加工送り方向に移動せしめる移動手段と、該撮像手段と該加工手段および該移動手段を制御する制御手段と、を具備する加工装置において、
該撮像素子に電力を供給する電源回路に開閉スイッチが配設されており、
該制御手段は、該撮像手段による撮像工程を実施する際に該開閉スイッチを閉路し、該撮像手段による撮像工程が終了したら該開閉スイッチを開路する、
ことを特徴とする加工装置。
【請求項2】
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を撮像するための光学系と撮像素子を備えた撮像手段と、該撮像手段の該光学系の下方を遮蔽する遮蔽位置と該光学系の下方を開放する開放位置に作動する遮蔽部材を備えた遮蔽手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物を加工する加工手段と、を具備する加工装置において、
該撮像素子に電力を供給する電源回路に配設され該遮蔽手段の作動と連動して開閉する開閉スイッチが配設されており、
該開閉スイッチは、該遮蔽手段の該遮蔽板が該遮蔽位置に位置付けられると開路し、該遮蔽板が該開放位置に位置付けられると閉路せしめられるように構成されている、
ことを特徴とする加工装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−241444(P2008−241444A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81966(P2007−81966)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】