説明

動力伝達装置及び画像形成装置

【課題】回転中心がずれることがある駆動軸と被駆動軸間の動力伝達を回転むらや振動を発生することなく行う動力伝達装置を提供する。
【解決手段】駆動軸の回転中心と被駆動軸の回転中心とがずれた場合に、回転中心が傾いて回転し、駆動軸又は被駆動軸の外周面に点接触して回転するカップリング部材と駆動軸又は被駆動軸に固定されて動力伝達回転体とで動力伝達装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等の小型機器に用いられる動力伝達技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスにより画像を形成する画像形成装置等には、感光体、中間転写体等の像担持体が、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されるものがある。
【0003】
また、インクリボンを用いた画像形成装置には、インクリボンユニットが画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられているものがある。
【0004】
このように装置本体に対して着脱されるユニットには、装置本体からユニットに動力を伝達する必要があるために、動力伝達系を係脱自在にした動力伝達装置が本体又はユニットに設けられる。
【0005】
そして画像形成装置においては、動力の伝達むらや振動が画質に影響することから、着脱が容易であるという条件と、動力伝達むらを生じないという条件を満たす必要があるために、画像形成装置の動力伝達装置には特別の工夫が必要である。
【0006】
特許文献1では、複数の凹凸が形成された雌カップリングと雄カップリングとで構成した動力伝達装置が提案されている。
【特許文献1】特開2001−200858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1で提案されている動力伝達装置は、直着脱が容易であるという条件と動力の伝達むらを生じないなど優れた性能を有する。
【0008】
しかるに、近年高画質に対するニーズが厳しくなるとともに、画像形成装置が高速化するに従って、特許文献1で開示されているような動力伝達装置を更に改良する必要がになってきている。
【0009】
即ち、特許文献1の動力伝達装置では、動力を伝達する凹凸が、軸の回転時に、不連続に接触と離脱とを繰り返すことにより、微少な速度むらが発生したり、振動が発生するという問題がある。
【0010】
本発明は、特許文献1におけることのような問題を解決し、着脱が容易であり、しかも、速度むらや振動が高度に抑制された動力伝達装置及びかかる動力伝達装置を備え、高画質の画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的は下記の発明により達成される。
1.
軸端部に連続した円形の第1稜が形成された円筒形の第1外周面及び第1動力伝達部材を有する駆動軸、
第4動力伝達部材を有する被駆動軸並びに、
前記第1外周面よりも大きな直径を有し、軸端部に連続した円形の第2稜が形成された第2内周面、前記第1動力伝達部材に係合する第2動力伝達部材及び前記第4動力伝達部材に係合する第3動力伝達部材を有するカップリング部材を、
有し、
前記第1〜4動力伝達部材により前記駆動軸の回転が前記カップリング部材を介して、前記被駆動軸に伝達され、
回転において、前記第1外周面の直径と前記第2内周面の直径との差により、前記カップリング部材の回転中心が前記駆動軸の回転中心に対して傾斜することが可能であり、前記カップリング部材が傾斜して回転するときに、第1稜が前記第2内周面に接触し、第2稜が前記第1外周面に接触することを特徴とする動力伝達装置。
2.
軸端部に連続した円形の第1稜が形成された円筒形の第1内周面及び第1動力伝達部材を有する駆動軸、
第4動力伝達部材を有する被駆動軸並びに、
前記第1内周面よりも小さな直径を有する円筒形の外周面であって、軸端部に連続した円形の第2稜が形成された第2外周面、前記第1動力伝達部材に係合する第2動力伝達部材及び前記第4動力伝達部材に係合する第3動力伝達部材を有するカップリング部材、
を有し、
前記第1〜4動力伝達部材により前記駆動軸の回転が前記カップリング部材を介して、前記被駆動軸に伝達され、
回転において、前記第1内周面の直径と前記第2外周面の直径との差により前記カップリング部材の回転中心が前記駆動軸の回転中心に対して傾斜することが可能であり、前記カップリング部材が傾斜して回転するときに、第1稜が前記第2外周面に接触し、第2稜が前記第1内周面に接触することを特徴とする動力伝達装置。
3.
第1動力伝達部材を有する駆動軸、
円筒形の外周面であって、軸端部に連続した円形の第4稜が形成された第3外周面及び第4動力伝達部材を有する被駆動軸並びに、
前記第3外周面よりも大きな直径を有する円筒形の内周面であって、軸端部に連続した円形の第3稜が形成された第2内周面、前記第1動力伝達部材に係合する第2動力伝達部材及び前記第4動力伝達部材に係合する第3動力伝達部材を有するカップリング部材、
を有し、
前記第1〜4動力伝達部材により前記駆動軸の回転が前記カップリング部材を介して、前記被駆動軸に伝達され、
回転において、前記第3外周面の直径と前記第2内周面の直径との差により前記カップリング部材の回転中心が前記被駆動軸の回転中心に対して傾斜することが可能であり、前記カップリング部材が傾斜して回転するときに、第4稜が前記第2内周面に接触し、第3稜するが前記第3外周面に接触することを特徴とする動力伝達装置。
4.
第1動力伝達部材を有する駆動軸、
円筒形の内周面であって、軸端部に連続した円形の第4稜が形成された第3内周面及び第4動力伝達部材を有する被駆動軸並びに、
前記第3内周面よりも小さな直径を有する円筒形の外周面であって、軸端部に連続した円形の第3稜が形成された第2外周面、前記第1動力伝達部材に係合する第2動力伝達部材及び前記第4動力伝達部材に係合する第3動力伝達部材を有するカップリング部材、
を有し、
前記第1〜4動力伝達部材により前記駆動軸の回転が前記カップリング部材を介して、前記被駆動軸に伝達され、
回転において、前記第2外周面の直径と前記第3内周面の直径との差により前記カップリング部材の回転中心が前記駆動軸の回転中心に対して傾斜することが可能であり、前記カップリング部材が傾斜して回転するときに、第4稜が前記第2外周面に接触するとともに、第3稜が前記第3内周面に接触することを特徴とする動力伝達装置。
5.
前記被駆動軸は、円筒形の外周面であって、軸端部に連続した円形の第4稜が形成された第3外周面を有するとともに、
前記カップリング部材の前記第2内周面は、前記第3外周面よりも大きな直径を有するとともに、前記第2内周面の他方の軸端部に、連続した円形の第3稜が形成され、
回転において、前記第3外周面の直径と前記2内周面の直径との差により前記カップリング部材の回転中心が前記被駆動軸の回転中心に対して傾斜することが可能であり、前記カップリング部材が傾斜して回転するときに、第4稜が前記第2内周面に接触し、第3稜が前記第3外周面に接触することを特徴とする前記1に記載の動力伝達装置。
6.
前記被駆動軸は、円筒形の内周面であって、軸端部に連続した円形の第4稜が形成された第3内周面を有するとともに、
前記カップリング部材の前記第2外周面は、前記第3内周面よりも小さな直径を有するとともに、前記第2外周面の他方の軸端部に、連続した円形の第3稜が形成され、
回転において、前記第3内周面の直径と前記2外周面の直径との差により前記カップリング部材の回転中心が前記被駆動軸の回転中心に対して傾斜することが可能であり、前記カップリング部材が傾斜して回転するときに、第4稜が前記第2外周面に接触し、第3稜が前記第3内周面に接触することを特徴とする前記2に記載の動力伝達装置。
7.
前記第1〜第4動力伝達部材はピンと溝との係合により動力を伝達することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
8.
前記ピンが係合する前記溝は前記ピンの上方を開放していることを特徴とする前記1に記載の動力伝達装置。
9.
前記被駆動軸は、軸基体及びが軸基体の端に連結され、前記第3外周面及び前記第4動力伝達部材を有する動力伝達回転体を有することを特徴とする前記3に記載の動力伝達装置。
10.
前記動力伝達回転体の回転軸方向の移動を制限する制限手段を有することを特徴とする前記10に記載の動力伝達装置。
11.
前記被駆動軸及び前記カップリング部材が一体に形成され、前記カップリング部材と前記駆動軸とが連結/離脱可能に形成されたことを特徴とする前記1〜10のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
12.
前記第2内周面の直径と前記第1外周面の直径との差は0.008mm以上、1.5mm以下であることを特徴とする前記1に記載の動力伝達装置。
13.
前記第1内周面の直径と前記第2外周面の直径との差は0.008mm以上、1.5mm以下であることを特徴とする前記2に記載の動力伝達装置。
14.
前記第2内周面の直径と前記第3外周面の直径との差は0.008mm以上、1.5mm以下であることを特徴とする前記3に記載の動力伝達装置。
15.
前記第3内周面の直径と前記第2外周面の直径との差は0.008mm以上、1.5mm以下であることを特徴とする前記4に記載の動力伝達装置。
16.
画像形成装置本体と該画像形成装置本体に着脱可能なユニットを有する画像形成装置において、前記1〜15に記載の動力伝達装置が、前記本体の動力を前記ユニットに伝達する手段として設けられたことを特徴とする画像形成装置。
17.
前記ユニットは、ドラム状の像担持体を有することを特徴とする前記16に記載の画像形成装置。
18.
前記ユニットは、ベルト状の像担持体を有することを特徴とする前記16または前記17に記載の画像形成装置。
19.
前記ベルト状の像担持体は、中間転写体からなることを特徴とする前記18に記載の画像形成装置。
20.
前記ユニットは紙搬送手段を有することを特徴とする前記16〜19のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、カップリング部材と動力伝達回転体との接触点が連続した周面上を移動するので、カップリング部材と動力伝達回転体との間に振動が発生せず、回転ぬらや、振動の発生が高度に抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1、2により本発明の実施の形態に係る動力伝達装置の構造を説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態に係る動力伝達装置の分解斜視図、図2は図1に示す動力伝達装置が駆動軸と被駆動軸と間に組み込まれた状態を示す断面図である。
【0015】
動力伝達装置は、カップリング部材100、動力伝達回転体120及び押さえリング140を有する。
【0016】
カップリング部材100は、円筒状の基体101、第2動力伝達部材としての一対の爪102、軸孔103、第3動力伝達部材としての一対の動力伝達溝104、一対の溝105及びねじ孔106を有する。軸孔103は円筒形の内周面(第2内周面)を形成する。
【0017】
爪102は基体101の延長部として180°間隔で形成され、駆動軸160に設けられた第1動力伝達部材としての一対のピン161に係合する。
【0018】
軸孔103は、動力伝達回転体120が入る孔である。
【0019】
動力伝達溝104は、180°間隔で一対設けられ、動力伝達回転体120のピン123に係合する。
【0020】
動力伝達回転体120は円筒状の基体121、軸孔122、第4動力伝達部材としての一対のピン123及びねじ孔124を有する。
【0021】
押さえリング140は軸孔141及び貫通孔143を有する。
【0022】
カップリング部材100の軸孔103に動力伝達回転体120が嵌入し、押さえリング140をカップリング部材101の軸方向端面に接合し、ねじ144を貫通孔143からねじ孔106に通し、締め付けることにより、動力伝達装置が形成される。
【0023】
被駆動軸は軸基体180及び動力伝達回転体120からなり、軸基体180は動力伝達回転体120の軸孔122に挿入され、ねじ孔124にねじ125を通し締め付けることにより、動力伝達回転体120が軸基体180に固定される。動力伝達溝105は動力伝達回転体120を固定するねじを差し込むためのものである。
【0024】
動力伝達装置の作用について、図1〜図4を参照して説明する。
【0025】
カップリング部材100の軸孔103はその直径が、動力伝達回転体120の基体121の外周の直径より大きく形成される。
【0026】
軸孔103の直径と基体121の外周の直径との差は、0.08mm以上、1.5mm以下が好ましく、例えば、0.5mmに設定される。
【0027】
従って、カップリング部材100と動力伝達回転体120との間には遊びが形成され、カップリング部材100の回転軸と動力伝達回転体120の回転軸とは相対的に平行関係から外れることが可能なように、カップリング100と動力伝達回転体120とは緩く連結されている。
【0028】
また、カップリング部材100は駆動軸160に固定されておらず、駆動軸160からカップリング部材100に回転が伝達されるが、駆動軸160の回転中心とカップリング部材100の回転中心とは相対的に平行関係から外れることが可能なように、カップリング部材100は駆動軸160に緩く連結されている。
【0029】
図3は駆動軸160から軸基体180に回転が伝達される際の動力伝達装置の作用を示す。
【0030】
駆動軸160の回転中心と軸基体180の回転中心とはX0で示すように一致することが理想的であるが、部品誤差や取り付け誤差により図示のようにずれることがあり、図示のように駆動軸160の回転中心X1(第1回転軸)と軸基体180の回転中心X2(第1回転軸)とがずれた場合にも、駆動軸160の回転が軸基体180に円滑に伝達され、軸基体180の回転むらや駆動系の振動が発生することは許されない。
【0031】
図3に示すように、カップリング部材100の軸孔103と動力伝達回転体120の外周との間には、遊びがある。
【0032】
また、カップリング部材100は駆動軸160に対しても遊びがあるように構成されている。
【0033】
従って、図3に示すように、駆動軸160と軸基体180とがずれた場合には、カップリング部材120の回転中心X3(第2回転軸)が傾いて、両軸間の回転中心X1、X2間のずれを吸収する。
【0034】
なお、図3の状態で、ピン123は動力伝達溝104の側壁を押して、動力伝達が行われる。
【0035】
図3において、動力伝達回転体120の基体121の軸端面121Aと外周面との交点で形成される稜(第4稜)上の点P4はカップリング100の軸孔103の内周面に接触する点である。
【0036】
また、カップリング部材100の基体101の軸端面101Aと軸孔103の内周面との交点で形成される稜(第3稜)上のP3は動力伝達回転体120の基体121の外周面に接触する点である。
【0037】
点P3、P4は一定位置ではなく、回転により次々に変化する。しかしながら、接触する相手の面がそれぞれ連続した面軸孔103の内周面及び基体121の外周面であるので、点P3、P4は図4に示すように連続し切れ目がない円CR上を移動する。円CRは第1〜第4稜により形成される。
【0038】
従って、カップリング部材100から動力回転体120への動力伝達では、歯車のばあいのような速度変動がなく、また、これら部材が振動することもない。
【0039】
なお、動力伝達溝104は、図2、3に示す例のように上方が開放した溝でなく、図5に示すように、上方が閉じた溝でもよいが、図5の例では、ピン123がカップリング部材100の基体101の下面に接触しないように動力伝達部材123の高さHを設定することが好ましい。
【0040】
動力伝達部材123が高さHが低いと、ピン123の頭が動力伝達溝104の天井に接触、この接触の衝撃で、回転むらや振動が発生する場合がある。
【0041】
駆動軸160とカップリング部材100間のカップリングについて説明する。
【0042】
駆動軸160に設けられたピン161(第1動力伝達部材)はカップリング部材100に設けられた爪102(第2動力伝達部材)に係合して、駆動軸160からカップリング部材100に回転が伝達される。
【0043】
ピン161と爪102の係合を図6に示す。
【0044】
駆動軸160とカップリング部材100間のカップリングにおいても、駆動軸160の回転中心X1がずれた場合、図示のようにカップリング部材100が傾斜する。
【0045】
カップリング部材100の傾斜時に、駆動軸160の軸端部の外周面と軸端面160Aとで形成される陵(第1稜)と、基体101の軸孔103の内周面とが点P1で接触する。
【0046】
また、基体101の内周と軸端面10101Bとで形成される陵(第2稜)と駆動軸160の軸端部の外周面とが点P2で接触する。
【0047】
点P1、P2は駆動軸160とカップリング部材100の回転時に、点P3、P4と同様に連続した円軌道上を移動する。
【0048】
そして、点P1、P2の移動は、前記に説明したように、円上の連続した移動であるので、駆動軸160とカップリング部材100との接触による回転むらや振動が発生することはない。
【0049】
図7は、本発明の実施の形態の例を示した模式図である。
【0050】
図7(a)は図1〜3に示した実施の形態の模式図である。
【0051】
動力伝達装置は、駆動軸DX1、カップリング部材CP及び被駆動軸DX2を有する。
【0052】
駆動軸DX1は円筒形の外周面R1(第1外周面)を有し、ピン(第1動力伝達部材)Q1を備えている。
【0053】
カップリング部材CPは外周面R1よりも大きな直径の内周面R2(第2内周面)を有する管状の部材であり、ピンQ1に係合する突出部(第2動力伝達部材)Q2を備えている。
【0054】
被駆動軸DX2は円筒形の外周面R3(第3外周面)を有し、ピンQ4(第4動力伝達部材)を備えている。
【0055】
カップリング部材CPの内周面R2は被駆動軸DX2の外周面R3の直径よりも大きな直径を有し、ピンQ4に係合する突出部Q3(第3動力伝達部材)を備えている。
【0056】
ピンQ1、Q4及び突出部Q2、Q3の伝達作用により、駆動軸DX1の駆動力はカップリング部材CPを介して被駆動軸DX2に伝達される。
【0057】
動力伝達において、駆動軸DX1の外周面R1の軸端部に形成された稜P1(第1稜)がカップリング部材CPの内周面R2に接触し、カップリング部材CPの内周面R2の軸端部に形成された稜P2(第2稜)が駆動軸DX1の外周面R1に接触する。
【0058】
また、被駆動軸DX2の外周面R3の軸端部に形成された稜P4(第4稜)がカップリング部材CPの内周面R2に接触し、カップリング部材CPの内周面R2の他方の軸端部に形成された稜P3(第3稜)が被駆動軸DX2の外周面R3に接触する。
【0059】
図7(b)は他の実施の形態を示す。
【0060】
本実施の形態においては、カップリング部材CPが円筒形の外周面R2(第2外周面)を有し、駆動軸DX1が外周面R2よりも大きな直径の内周面R1(第1内周面)を有し、被駆動軸DX2が外周面R2よりも大きな直径の内周面R3(第3内周面)を有する。
【0061】
動力伝達において、駆動軸DX1の内周面R1の軸端部に形成された稜P1(第1稜)がカップリング部材CPの外周面R2に接触し、カップリング部材CPの外周面R2の軸端部に形成された稜P2(第2稜)が駆動軸DX1の内周面R1に接触する。
【0062】
また、被駆動軸DX2の内周面R3(第3内周面)の軸端部に形成された稜P4(第4稜)がカップリング部材CPの外周面R2に接触し、カップリング部材CPの外周面R2の他方の軸端部に形成された稜P3(第3稜)が被駆動軸DX2の内周面R3に接触する。
【0063】
図8は本発明に係る動力伝達装置を備えたからカラー画像形成装置を示す。
【0064】
画像形成装置本体GHは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、像担持体としての、ベルト状の中間転写体60と給紙搬送手段及び定着装置24とを有する。
【0065】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、像担持体としての感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、書込手段としての露光装置3Y、現像装置4Y及びクリーニング手段8Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、像担持体としての感光体1M、帯電手段2M、書込手段としての露光装置3M、現像装置4M及びクリーニング手段8Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、像担持体としての感光体1C、帯電手段2C、書込手段としての露光装置3C、現像装置4C及びクリーニング手段8Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Kは、像担持体としての感光体1K、帯電手段2K、書込手段としての露光装置3K、現像装置4K及びクリーニング手段8Kを有する。帯電手段2Yと露光装置3Y、帯電手段2Mと露光装置3M、帯電手段2Cと露光装置3C及び帯電手段2Kと露光装置3Kとは、潜像形成手段を構成する。露光装置3Y、3M、3C、3Kによる感光体1Y、1M、1C、1Kへの書き込みは書込位置Rに行われる。
【0066】
中間転写体60は、無端状のベルトであり、複数のローラにより張架され、回動可能に支持されている。
【0067】
画像形成部10Y、10M、10C及び10Kより形成された各色の画像は、回動する中間転写体60上に転写手段7Y、7M、7C、7Kにより逐次転写されて(1次転写)、合成されたカラー画像が形成される。給紙トレイ20内に収容された記録材Pは、給紙手段21により給紙され、給紙ローラ22A、22B、22C、及びレジストローラ23Aを経て、転写位置Tに配設された転写手段7Aに搬送され、記録材P上にカラー画像が転写される(2次転写)。
【0068】
カラー画像が転写された記録材Pは、定着装置24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0069】
一方、転写手段7Aにより記録材Pにカラー画像を転写した後、記録材Pを分離した中間転写体60は、クリーニング手段8Aにより残留トナーが除去される。
【0070】
5Y、5M、5C、5Kは、現像装置4Y、4M、4C、4Kにそれぞれ新規トナーを補給するトナー補給手段である。
【0071】
画像形成装置本体GHの上部には、自動原稿送り装置201と原稿画像走査露光装置202から成る画像読取装置YSが設置されている。画像形成装置の各部の動作を制御する制御手段30は、画像形成装置本体GHの内部に配設される。
【0072】
自動原稿送り装置201の原稿台上に載置された原稿dは搬送手段により搬送され、原稿画像走査露光装置202の光学系により原稿の片面又は両面の画像が走査露光され、ラインイメージセンサCCDに読み込まれる。
【0073】
ラインイメージセンサCCDにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、書込手段(露光装置)3Y、3M、3C、3Kに信号を送る。
【0074】
自動原稿送り装置201は自動両面原稿搬送手段を備えている。この自動原稿送り装置201は原稿載置台上から給送される多数枚の原稿dの内容を、連続して一挙に読み取り、記憶手段に蓄積する事が可能であるから(電子RDH機能)、複写機能により多数枚の原稿内容を複写する場合、或いはファクシミリ機能により多数枚の原稿dを送信する場合等に便利に使用される。
【0075】
定着処理された記録材Pを反転排紙する場合には記録材Pは定着装置24と排紙ローラ25の中間の分岐点に配置された分岐板27の図示右側の搬送路を通過し、下方の反転搬送路r1に搬送された後、逆転搬送されて分岐板27の図示左側の反転搬送路r2を通過し、排紙ローラ25により機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0076】
記録材Pの両面に複写する場合には、記録材Pの表面に形成した画像を定着処理した後、記録材Pを分岐板27により排紙搬送路から分岐させ、下方の反転搬送路r1、さらに反転搬送路r3に導入した後、逆転搬送し、反転搬送路r4に搬送する。反転搬送路r4に搬送された記録材Pは、回転を一時停止している反転搬送路r4内に配設された裏面用レジストローラ23Bに先端が当接して曲がりを矯正され、裏面用レジストローラ23Bの回転の再開により上方へ迂回し、給紙ローラ22Dによりレジストローラ23Aへ搬送される。
【0077】
6は複数のローラ61〜64に中間転写体60を張架して形成した中間転写体ユニットであり、画像形成装置本体GHに対して着脱可能である。即ち、中間転写体ユニット6は紙面の手前に引き出すことができる。
【0078】
中間転写体60はモータMにより駆動されて循環移動するが、モータMの駆動はクリーニング8Aの上方のローラ61に伝達される。
【0079】
図1、2に示した動力伝達装置はローラ61を駆動する動力伝達系に設けられる。
【0080】
なお、図1,2に示した動力伝達装置は、感光体1Y、1M、1C、1Kを駆動する動力伝達系、現像装置4Y、4M、4C、4Kを駆動する動力伝達系、或いは記録材を搬送する搬送系の動力伝達系に設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る動力伝達装置の分解斜視図である。
【図2】図2は図1に示す動力伝達装置が駆動軸と被駆動軸と間に組み込まれた状態を示す断面図である。
【図3】駆動軸160から軸基体180に回転が伝達される際の動力伝達装置の作用を示す図である。
【図4】接触点の移動軌跡を示す図である。
【図5】ピンと動力伝達溝との関係を示す図である。
【図6】動力伝達部材を動力伝達作用を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態の例を示した模式図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体図である。
【符号の説明】
【0082】
100 カップリング部材
101 基体
102 爪
103 軸孔
104 動力伝達溝
120 動力伝達回転体
121 基体
122 軸孔
123 ピン
140 押さえリング
160 駆動軸
161 ピン
180 軸基体
P1〜P4 点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸端部に連続した円形の第1稜が形成された円筒形の第1外周面及び第1動力伝達部材を有する駆動軸、
第4動力伝達部材を有する被駆動軸並びに、
前記第1外周面よりも大きな直径を有し、軸端部に連続した円形の第2稜が形成された第2内周面、前記第1動力伝達部材に係合する第2動力伝達部材及び前記第4動力伝達部材に係合する第3動力伝達部材を有するカップリング部材を、
有し、
前記第1〜4動力伝達部材により前記駆動軸の回転が前記カップリング部材を介して、前記被駆動軸に伝達され、
回転において、前記第1外周面の直径と前記第2内周面の直径との差により、前記カップリング部材の回転中心が前記駆動軸の回転中心に対して傾斜することが可能であり、前記カップリング部材が傾斜して回転するときに、第1稜が前記第2内周面に接触し、第2稜が前記第1外周面に接触することを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
軸端部に連続した円形の第1稜が形成された円筒形の第1内周面及び第1動力伝達部材を有する駆動軸、
第4動力伝達部材を有する被駆動軸並びに、
前記第1内周面よりも小さな直径を有する円筒形の外周面であって、軸端部に連続した円形の第2稜が形成された第2外周面、前記第1動力伝達部材に係合する第2動力伝達部材及び前記第4動力伝達部材に係合する第3動力伝達部材を有するカップリング部材、
を有し、
前記第1〜4動力伝達部材により前記駆動軸の回転が前記カップリング部材を介して、前記被駆動軸に伝達され、
回転において、前記第1内周面の直径と前記第2外周面の直径との差により前記カップリング部材の回転中心が前記駆動軸の回転中心に対して傾斜することが可能であり、前記カップリング部材が傾斜して回転するときに、第1稜が前記第2外周面に接触し、第2稜が前記第1内周面に接触することを特徴とする動力伝達装置。
【請求項3】
第1動力伝達部材を有する駆動軸、
円筒形の外周面であって、軸端部に連続した円形の第4稜が形成された第3外周面及び第4動力伝達部材を有する被駆動軸並びに、
前記第3外周面よりも大きな直径を有する円筒形の内周面であって、軸端部に連続した円形の第3稜が形成された第2内周面、前記第1動力伝達部材に係合する第2動力伝達部材及び前記第4動力伝達部材に係合する第3動力伝達部材を有するカップリング部材、
を有し、
前記第1〜4動力伝達部材により前記駆動軸の回転が前記カップリング部材を介して、前記被駆動軸に伝達され、
回転において、前記第3外周面の直径と前記第2内周面の直径との差により前記カップリング部材の回転中心が前記被駆動軸の回転中心に対して傾斜することが可能であり、前記カップリング部材が傾斜して回転するときに、第4稜が前記第2内周面に接触し、第3稜するが前記第3外周面に接触することを特徴とする動力伝達装置。
【請求項4】
第1動力伝達部材を有する駆動軸、
円筒形の内周面であって、軸端部に連続した円形の第4稜が形成された第3内周面及び第4動力伝達部材を有する被駆動軸並びに、
前記第3内周面よりも小さな直径を有する円筒形の外周面であって、軸端部に連続した円形の第3稜が形成された第2外周面、前記第1動力伝達部材に係合する第2動力伝達部材及び前記第4動力伝達部材に係合する第3動力伝達部材を有するカップリング部材、
を有し、
前記第1〜4動力伝達部材により前記駆動軸の回転が前記カップリング部材を介して、前記被駆動軸に伝達され、
回転において、前記第2外周面の直径と前記第3内周面の直径との差により前記カップリング部材の回転中心が前記駆動軸の回転中心に対して傾斜することが可能であり、前記カップリング部材が傾斜して回転するときに、第4稜が前記第2外周面に接触するとともに、第3稜が前記第3内周面に接触することを特徴とする動力伝達装置。
【請求項5】
前記被駆動軸は、円筒形の外周面であって、軸端部に連続した円形の第4稜が形成された第3外周面を有するとともに、
前記カップリング部材の前記第2内周面は、前記第3外周面よりも大きな直径を有するとともに、前記第2内周面の他方の軸端部に、連続した円形の第3稜が形成され、
回転において、前記第3外周面の直径と前記2内周面の直径との差により前記カップリング部材の回転中心が前記被駆動軸の回転中心に対して傾斜することが可能であり、前記カップリング部材が傾斜して回転するときに、第4稜が前記第2内周面に接触し、第3稜が前記第3外周面に接触することを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項6】
前記被駆動軸は、円筒形の内周面であって、軸端部に連続した円形の第4稜が形成された第3内周面を有するとともに、
前記カップリング部材の前記第2外周面は、前記第3内周面よりも小さな直径を有するとともに、前記第2外周面の他方の軸端部に、連続した円形の第3稜が形成され、
回転において、前記第3内周面の直径と前記2外周面の直径との差により前記カップリング部材の回転中心が前記被駆動軸の回転中心に対して傾斜することが可能であり、前記カップリング部材が傾斜して回転するときに、第4稜が前記第2外周面に接触し、第3稜が前記第3内周面に接触することを特徴とする請求項2に記載の動力伝達装置。
【請求項7】
前記第1〜第4動力伝達部材はピンと溝との係合により動力を伝達することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項8】
前記ピンが係合する前記溝は前記ピンの上方を開放していることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項9】
前記被駆動軸は、軸基体及びが軸基体の端に連結され、前記第3外周面及び前記第4動力伝達部材を有する動力伝達回転体を有することを特徴とする請求項3に記載の動力伝達装置。
【請求項10】
前記動力伝達回転体の回転軸方向の移動を制限する制限手段を有することを特徴とする請求項10に記載の動力伝達装置。
【請求項11】
前記被駆動軸及び前記カップリング部材が一体に形成され、前記カップリング部材と前記駆動軸とが連結/離脱可能に形成されたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項12】
前記第2内周面の直径と前記第1外周面の直径との差は0.008mm以上、1.5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項13】
前記第1内周面の直径と前記第2外周面の直径との差は0.008mm以上、1.5mm以下であることを特徴とする請求項2に記載の動力伝達装置。
【請求項14】
前記第2内周面の直径と前記第3外周面の直径との差は0.008mm以上、1.5mm以下であることを特徴とする請求項3に記載の動力伝達装置。
【請求項15】
前記第3内周面の直径と前記第2外周面の直径との差は0.008mm以上、1.5mm以下であることを特徴とする請求項4に記載の動力伝達装置。
【請求項16】
画像形成装置本体と該画像形成装置本体に着脱可能なユニットを有する画像形成装置において、請求項1〜15に記載の動力伝達装置が、前記本体の動力を前記ユニットに伝達する手段として設けられたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
前記ユニットは、ドラム状の像担持体を有することを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記ユニットは、ベルト状の像担持体を有することを特徴とする請求項16または請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記ベルト状の像担持体は、中間転写体からなることを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記ユニットは紙搬送手段を有することを特徴とする請求項16〜19のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−233329(P2008−233329A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70295(P2007−70295)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】