説明

医用画像診断装置及び医用画像処理装置

【課題】医用画像から注目部位の領域を簡便に抽出する医用画像診断装置を提供する。
【解決手段】医用画像取得部2は、造影剤が被検体に注入される前に撮影を行うことで初期ボリュームデータを取得し、注入後、複数回撮影することで、撮影された時間が異なる複数のボリュームデータを取得する。医用画像処理部3は、複数のボリュームデータのうち、予め設定された時間が経過した時点で取得されたボリュームデータから、初期ボリュームデータを減算することで第1減算ボリュームデータを生成し、任意の時点で取得されたボリュームデータから、第1減算ボリュームデータによって特定される部位のデータを抽出する。表示部81には、抽出されたデータに基づく医用画像が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置、又はX線診断装置などの医用画像診断装置及び医用画像処理装置に関し、特に、取得した医用画像から、肝臓や膵臓などの臓器や血管などの領域を抽出する医用画像診断装置及び医用画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置やMRI装置などの医用画像診断装置は、3次元画像を取得することが可能となっている。このような3次元画像から、臓器や血管や腫瘍などの注目部位の領域を抽出して、診断や手術計画、或いは術中ナビゲーションなどに用いている。
【0003】
しかしながら、3次元画像から注目部位の領域を抽出することは容易ではない。従来においては、操作者が手動で注目部位の領域を指定したり、3次元画像の一部を切削したりすることで、3次元画像の一部を表示させない作業を行って、注目部位の領域を抽出する必要があった。このように、操作者が手動で注目部位の領域を抽出する必要があったため、時間と労力が費やされ、簡便に注目部位の領域を抽出して観察することができなかった。
【0004】
これに対して、臓器ごとに用意されたテンプレートを用いることで、3次元画像から注目部位の領域を抽出する手法が提案されている。しかしながら、臓器の位置や形状は患者によって異なるため、その手法では患者の個人差を吸収して、3次元画像から適切に注目部位の領域を抽出することは困難であった。
【0005】
また、被検体に造影剤を注入して得られた3次元画像データであって、異なる時相で取得された3次元画像データを用いることで、肝臓領域の位置を推定し、その肝臓領域を自動的に抽出する手法が提案されている(例えば特許文献1)。しかしながら、この手法を適用して抽出できる臓器が限定されており、様々な注目部位に対して適用できるものではない。
【0006】
従来から、複数の注目部位の領域を簡便に抽出できる手法が望まれているが、上述したように、従来技術に係る手法では、複数の注目部位の領域を抽出することは困難である。
【0007】
また、腹部には臓器などの軟性組織が多く存在し、病状の進行状況によっては、注目部位の形状が変わってしまうおそれがある。そのため、特に腹部における臓器の領域を簡便に抽出できる手法が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−345807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は上記の問題点を解決するものであり、注目部位の領域を簡便に抽出することが可能な医用画像診断装置及び医用画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、造影剤が被検体に注入された後において、所定の撮影領域を撮影してボリュームデータを取得する手段と、前記取得されたボリュームデータから、初期ボリュームデータを減算する減算手段と、前記取得されたボリュームデータから、前記減算されたボリュームデータによって特定される部位のデータを抽出する領域抽出手段と、を有することを特徴とする医用画像診断装置である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、造影剤が被検体に注入される前に、前記被検体の所定の撮影領域を撮影することで初期ボリュームデータを取得し、さらに、前記造影剤が前記被検体に注入された後において、前記所定の撮影領域を複数回撮影することで、撮影された時間が異なる複数のボリュームデータを取得する医用画像取得手段と、前記複数のボリュームデータのうち、前記造影剤が被検体に注入された後、予め設定された所定時間が経過した時点で取得されたボリュームデータから、前記初期ボリュームデータを減算することで第1減算ボリュームデータを生成する減算手段と、前記医用画像取得手段によって任意の時点で取得されたボリュームデータから、前記第1減算ボリュームデータによって特定される部位のデータを抽出する領域抽出手段と、前記抽出したデータに基づく医用画像を表示する表示手段と、を有することを特徴とする医用画像診断装置である。
【0012】
請求項8に記載の発明は、造影剤が被検体に注入された後において、被検体の所定の撮影領域を複数回撮影することで、前記造影剤が注入された後、予め設定された所定時間が経過した時点で取得されたボリュームデータから、前記造影剤が前記被検体に注入される前に、前記所定の撮影領域を撮影することで取得された初期ボリュームデータを減算することで第1減算ボリュームデータを生成する減算手段と、任意の時点で取得されたボリュームデータから、前記第1減算ボリュームデータによって特定される部位のデータを抽出する領域抽出手段と、前記抽出したデータに基づく医用画像を表示する表示手段と、を有することを特徴とする医用画像処理装置である。
【発明の効果】
【0013】
この発明によると、造影剤が流入した部位を表すデータを抽出し、抽出した複数のデータを合成することで、複数の部位を表す医用画像を生成して表示することが可能となる。また、所定時間が経過した時点で取得されたボリュームデータから、初期ボリュームデータを減算することで、造影剤が流入した部位を特定する第1減算ボリュームデータを生成することができる。そして、任意の時間に取得されたボリュームデータから、第1減算ボリュームデータによって特定される部位のデータを抽出することで、所望の部位のデータを簡便に抽出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施形態に係る医用画像診断装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】3次元の撮影領域を説明するための3次元空間を示す図である。
【図3】撮影のタイミングと造影剤の濃度(輝度値)を示す図である。
【図4】ボリュームデータに対する減算処理を説明するための模式図である。
【図5】注目部位のデータの抽出処理を説明するための模式図である。
【図6】注目部位のデータの抽出処理を説明するための模式図である。
【図7】注目部位のデータの抽出処理を説明するための模式図である。
【図8】撮影条件を含む撮影プロトコルの設定画面を示す図である。
【図9】この発明の実施形態に係る医用画像診断装置による一連の動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施形態に係る医用画像診断装置による一連の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施形態に係る医用画像診断装置及び医用画像処理装置の構成について、図1を参照して説明する。図1は、この発明の実施形態に係る医用画像診断装置の概略構成を示すブロック図である。
【0016】
医用画像診断装置1は、医用画像取得部2、医用画像処理部3、制御部6、撮影プロトコル記憶部7、及びユーザインタフェース(UI)8を備えて構成されている。医用画像診断装置1は、例えば、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置、又はX線診断装置などが該当する。ここでは、1例として、医用画像診断装置1がX線CT装置の場合について説明する。
【0017】
医用画像取得部2は、被検体の2次元の断層像データや3次元画像データなどの医用画像データを取得する。医用画像処理部3は、医用画像取得部2にて取得された医用画像データから、注目部位を表す画像データを抽出する。制御部6は、医用画像診断装置1の全体の動作を制御する。ユーザインタフェース8は、医用画像取得部2にて取得された医用画像や医用画像処理部3にて抽出された注目部位の画像を表示したり、医用画像を取得するための撮影条件を含む撮影プロトコルを入力したりするために用いられる。以下、医用画像診断装置1の各部の構成及び動作について説明する。
【0018】
(医用画像取得部2)
まず、医用画像取得部2の構成及び動作について説明する。医用画像取得部2は、スキャン制御部21、撮影部22、画像再構成部23、及び画像記憶部24を備えて構成されている。医用画像取得部2は、被検体に対してX線ビームを照射し、被検体を透過したX線ビームを検出し、検出されたX線投影データに基づいて画像データを生成する。
【0019】
撮影プロトコル記憶部7には、予め設定された撮影条件を含む撮影プロトコルが記憶されている。撮影条件には、例えば、X線源の電圧値・電流値や、撮影領域の範囲などの条件が含まれる。スキャン制御部21は、撮影プロトコル記憶部7に記憶されている撮影プロトコルに従って、撮影部22による撮影、及び画像再構成部23による画像再構成を制御する。
【0020】
撮影部22は、被検体を載置する寝台、X線源、高電圧発生装置、X線検出器、データ収集部(DAS)、及びそれらを格納する架台(ガントリ)などを備えて構成され、被検体に対してX線ビームを照射し、被検体を透過したX線ビームを検出することで、X線投影データを取得する。X線源は、被検体に対してX線ビームを照射する。X線検出器は、X線源から照射され、被検体を透過したX線ビームを検出する。例えば、X線検出器は、互いに直交する2方向それぞれにアレイ状に複数個配列したX線検出素子を有し、これにより2次元のX線検出器をなしている。データ収集部(DAS)は、X線検出器の各X線検出素子と同様にアレイ状に配列されたデータ収集素子を有し、X線検出器によって検出されたX線ビームを、スキャン制御部21により出力されたデータ収集制御信号に対応させて収集する。この収集されたデータがX線投影データとなる。
【0021】
撮影部22は、スキャン制御部21の制御の下、被検体を載置した寝台を被検体の体軸方向に移動させながら、X線源を被検体の周りで回転させることで、X線源の被検体に対する相対的な軌跡が螺旋状となるような所謂ヘリカルスキャンによる撮影を実行する。
【0022】
画像再構成部23は、撮影部22から出力されるX線投影データを逆投影処理することにより、画像データを再構成する。この逆投影の方法は公知の方法と同じであり、例えばFeldkamp法と称される方法に代表される3次元画像再構成アルゴリズムによる再構成を行い、スライス方向に広い対象領域(ボリューム)内におけるX線吸収係数の3次元的分布データ(以下、「ボリュームデータ」と称する)を生成する。再構成処理により生成されたボリュームデータは、画像記憶部24に記憶される。このボリュームデータは、図示しないデータ処理装置にて、ボリュームレンダリング処理やMPR処理などの画像処理が施されることにより、3次元画像データや任意断面の断層像データ(MPR画像データ)などの医用画像データに変換される。変換された医用画像データは表示部81に出力され、表示部81に、その医用画像データに基づく医用画像(3次元画像やMPR画像など)が表示される。
【0023】
ここで、医用画像取得部2による撮影動作について図2及び図3を参照して説明する。図2は、3次元の撮影領域を説明するための3次元空間を示す図である。図3は、撮影のタイミングと造影剤の濃度(輝度値)を示す図である。この実施形態では、被検体に造影剤を注入した状態で、医用画像取得部2が撮影を行って画像データを取得する。
【0024】
いわゆる造影検査において、点滴又は血管注射によって被検体の血管内に注入された造影剤は血流に乗って体内を移動し、目的臓器に達する。造影剤が浸透する際の造影効果の有無もしくは程度の違いの観察、造影部分の形状の観察などにより、病変又は臓器の異常を発見することができる。
【0025】
X線CT装置の造影剤撮影では、造影剤を被検体に注入した後、造影剤が目的臓器に流入しているタイミングを計ってスキャン(以下、「本スキャン」と称する場合がある)を開始することで撮影し、画像データを取得する。
【0026】
そのタイミングを計るために、本スキャンの前に、造影剤が注入された被検体の関心領域の造影剤濃度の変化を観察するためのスキャン(以下、「プレップスキャン」と称する場合がある)を実行する。このプレップスキャンは、被検体のX線投影データを収集しながら同時に画像再構成を行い、スキャンを行ないながら画像を表示するスキャン方法である。そして、このプレップスキャンにより得られた画像に基づいて、関心領域の造影剤の濃度(CT値)を自動的に判断し、造影剤の濃度がある程度高くなった時点で、プレップスキャンを中止して本スキャン(例えばヘリカルスキャン)を開始する。例えば、造影剤の濃度(CT値)が閾値以上になると、自動的に本スキャンを開始する。
【0027】
また、被検体に造影剤を注入した直後においては、関心領域には造影剤は流入しないため、関心領域内における造影剤の濃度(CT値)は低い。さらに時間が経過すると、造影剤が関心領域に流入してCT値が増加する。この関心領域のCT値が所定の閾値を超えると、目的臓器にも造影剤が流入していると考えられ、この時点で本スキャン(ヘリカルスキャン)を開始するタイミング信号を発生するようにしている。これにより、自動的に本スキャンが開始され、造影剤が目的臓器に流入した時点で撮影を開始することが可能となる。
【0028】
なお、プレップスキャンに先だって、撮影スライスの位置決めや、プレップスキャン条件(管電圧、管電流、スキャン時間、ヘリカルピッチなど)、本スキャン条件(ヘリカルスキャン条件)、CT値の閾値の設定が行われる。これらの条件は、撮影条件として撮影プロトコル記憶部7に記憶される。これらの条件は、ユーザインタフェース8を用いて操作者によって入力される。本スキャン条件(ヘリカルスキャン条件)には、管電圧、管電流、スキャン時間、ヘリカルピッチ、撮影領域の範囲を示す情報などが含まれる。
【0029】
例えば図2に示すように、被検体内の3次元の撮影領域100を、本スキャン(ヘリカルスキャン)によって撮影を行う領域とし、プレップスキャン撮影位置101を、プレップスキャンを行なって、造影剤の濃度の変化を観察する位置とする。図2に示す例では、プレップスキャン撮影位置101は、撮影領域100から離れた位置に設定されているが、撮影領域100内に設定されていてもよい。撮影領域100の位置を表す情報(位置情報)と、プレップスキャン撮影位置101を表す情報(位置情報)は、撮影条件に含まれ、予め撮影プロトコル記憶部7に記憶されている。
【0030】
(プレップスキャン)
プレップスキャンを行なう場合、スキャン制御部21の制御の下、プレップスキャン条件に従ってプレップスキャンが行なわれる。つまり、撮影部22は、X線源及びX線検出器を被検体の周囲を連続的に回転させながら、プレップスキャン条件に従ってX線源からX線ビームを発生させて、被検体のプレップスキャン撮影位置101にX線ビームを照射する。そして、被検体を透過したX線ビームはX線検出器によって検出される。
【0031】
そして、造影剤を被検体に注入し、撮影部22がプレップスキャンを行なうことで、プレップスキャン撮影位置101におけるX線投影データを取得し、画像再構成部23にて再構成処理が施されて断層像画像データ(監視用画像データ)が生成される。そして、スキャン制御部21は、その監視用画像に設定された監視用ROI102内の造影剤の濃度(CT値)の変化を監視する。
【0032】
この監視用ROI102は、操作者によって任意の位置に設定することができるが、造影剤の濃度変化を検出しやすい場所に設定することが好ましい。例えば図2に示すように、造影剤が流入する血管103を含むように設定することで、造影剤の濃度変化を検出しやすくなる。そして、監視用ROI102内のCT値が閾値以上になると、本スキャン(ヘリカルスキャン)の開始を示すタイミング信号を発生するようになっている。
【0033】
スキャン制御部21は、プレップスキャンを実行することで得られた監視用画像データから、事前に設定された監視用ROI102内の複数画素のCT値を抽出する。例えば、スキャン制御部21は、監視用ROI102内の複数画素のCT値の和を求めたり、その平均値を求めたりする。スキャン制御部21は、この監視用ROI102内のCT値の変化に基づいて、本スキャン(ヘリカルスキャン)を開始するタイミングを求める。
【0034】
そして、スキャン制御部21は、プレップスキャンに先だって設定されたCT値の閾値と、監視用ROI102内のCT値とを比較し、監視用ROI102内のCT値が閾値以上になったか否かを判断する。
【0035】
監視用ROI102内のCT値が閾値以上になった場合、造影剤が目的臓器に流入してきたと考えられるため、スキャン制御部21は、撮影部22にプレップスキャンを中止させ、本スキャン条件に従って本スキャンを開始させる。
【0036】
一方、監視用ROI102内のCT値が閾値未満の場合、スキャン制御部21は、撮影部22にプレップスキャンを継続して実行させる。そして、監視用ROI102内のCT値が閾値以上になったと判断するまで、スキャン制御部21は、撮影部22にプレップスキャンを継続して実行させる。
【0037】
本スキャンを行なう場合、スキャン制御部21の制御の下、撮影部22は、X線源からX線ビームを照射させるとともに、寝台を移動させることで、ヘリカルスキャンを実行して撮影を行う。
【0038】
本スキャンでは、撮影プロトコルに従ってヘリカルスキャンを実行する。例えば、撮影部22は、図2に示す同一の撮影領域100を複数回撮影し、異なる部位が造影されるタイミングで撮影を行う。
【0039】
造影剤は流動性を有しており、血流に乗って迅速に移動して拡散するので、経過時間とともに目的臓器から流れ去ってしまう。また、部位によって造影剤が流入するタイミングが異なる。造影剤が流れ去ってしまうと、造影剤の濃度が減少し、造影効果が減少する。例えば、動脈に造影剤が流入し、その後、その動脈から造影剤が流れ去って、膵実質に造影剤が流入し、その後、膵実質から造影剤が流れ去って、肝実質に造影剤が流入する。このように、部位によって造影剤が流入してくるタイミングが異なる。
【0040】
ここで、撮影部22による撮影のタイミングについて図3を参照して説明する。まず、被検体に造影剤を注入する前に、撮影部22は、撮影領域100に対してヘリカルスキャンを実行することで、造影剤が注入されていない状態の撮影領域100のX線投影データを取得する。そして、画像再構成部23はそのX線投影データに基づいてボリュームデータ300を生成し、画像記憶部24に記憶する。造影剤を被検体に注入する前の状態で取得されたボリュームデータ300を、以降、「初期ボリュームデータ」と称することにする。
【0041】
そして、被検体に造影剤を注入し、撮影部22は、スキャン制御部21の制御の下、プレップスキャンを実行する。そして、プレップスキャンによって取得された監視用画像上に設定された監視用ROI102のCT値が閾値以上になると、スキャン制御部21は撮影部22に本スキャン(ヘリカルスキャン)を開始させる。図3に示すように、この本スキャン開始の時点を時相tとする。
【0042】
そして、撮影部22は撮影プロトコル記憶部7に記憶されている撮影プロトコルに従ってヘリカルスキャンを実行することで、撮影領域100のX線投影データを取得する。このとき、撮影部22は同一の撮影領域100に対してヘリカルスキャンを複数回実行する。
【0043】
画像再構成部23は、撮影部22によって取得されたX線投影データに基づいて、各時相における撮影領域100のボリュームデータを生成する。これら各時相におけるボリュームデータは、画像記憶部24に記憶される。
【0044】
以上のように撮影部22がヘリカルスキャンを実行している最中において、造影剤は動脈に流入し、その動脈から造影剤が流れ去って、膵実質に流入し、その後、膵実質から造影剤が流れ去って、肝実質に流入している。その間、撮影部22はヘリカルスキャンを実行しているため、造影剤が各部位に流入する様子が表されたボリュームデータを得ることができる。
【0045】
(医用画像処理部3)
次に、医用画像処理部3の構成及び動作について説明する。医用画像処理部3は、抽出領域決定部4と画像生成部5を備えて構成されている。抽出領域決定部4は、医用画像取得部2によって取得されたボリュームデータから、注目部位の形状と位置を求める。画像生成部5は、任意の時相で取得されたボリュームデータと、抽出領域決定部4によって求められた注目部位の形状と位置とに基づいて、任意の時相で取得されたボリュームデータから、注目部位のデータを抽出し、表示用の画像データを生成する。
【0046】
まず、抽出領域決定部4について図2から図4を参照して説明し、次に、画像生成部5について図2から図6を参照して説明する。図4は、ボリュームデータに対する減算処理を説明するための模式図である。図5及び図6は、注目部位のデータの抽出処理を説明するための模式図である。
【0047】
抽出領域決定部4は、基準画像取得部41、減算部42、及び型データ生成部43を備えて構成されている。
【0048】
基準画像取得部41は、本スキャン開始の時点(時相t)から、予め設定された時間が経過した後に取得されたボリュームデータを画像記憶部24から取得する。この予め設定された時間は、造影剤が注目部位に流入する時間を想定して設定される時間であり、撮影プロトコルに含まれて、予め撮影プロトコル記憶部7に記憶されている。
【0049】
ここで、造影剤が注目部位に流入するタイミングについて、図3のグラフを参照して説明する。図3に示すグラフは、横軸が時間を示し、縦軸が造影剤の濃度(輝度値)を示している。輝度曲線201は、動脈における輝度値(造影剤の濃度)の時間変化を表す曲線であり、輝度曲線202は、膵実質における輝度値(造影剤の濃度)の時間変化を表す曲線であり、輝度曲線203は、肝実質における輝度値(造影剤の濃度)の時間変化を表す曲線である。
【0050】
輝度曲線201〜203は、被検体に造影剤を注入した時点、又は、本スキャン開始の時点(時相t)を基準として、各部位の輝度値(造影剤の濃度)の時間変化を推定した曲線である。被検体に造影剤を注入してから、各部位に造影剤が流入するまでに要する時間は、統計的に推定することが可能であり、その推定に基づいて輝度曲線を予め作成しておく。また、部位によって、造影剤が流入してくる時間に差があるため、輝度曲線201〜203の間で、輝度値(造影剤の濃度)が最大になる時相には差がある。従って、造影剤を注入した時点、又は時相tを基準として、その基準から経過した時間に基づいて、造影剤が流入して濃度(輝度値)が高くなっている部位を推定することができる。輝度曲線201〜203には、例えば、統計的に得られる各部位の輝度曲線を用いたり、過去に取得された、各部位の輝度曲線の平均を用いたりすることができる。
【0051】
例えば、図3に示す輝度曲線201のように、被検体に造影剤を注入した後、動脈に造影剤が徐々に流入することで、動脈における造影剤の濃度が徐々に高くなり(徐々に輝度値が大きくなり)、本スキャン開始の時点(時相t)から時間Δtが経過した時相tで、動脈における造影剤の濃度が最大値(輝度値が最大)になると想定される。その後、動脈から造影剤が徐々に流れ去って、動脈における造影剤の濃度が徐々に低くなる(徐々に輝度値が小さくなる)。そこで、基準画像取得部41は、本スキャン開始の時点(時相t)を基準として、時相tから時間Δtが経過した時相tに取得されたボリュームデータ301を画像記憶部24から取得する。これにより、動脈の輝度値(CT値)が周囲の領域の輝度値よりも高いボリュームデータを取得することできる。図3に示すボリュームデータ301において、部位301Aが、造影剤が流入して造影剤の濃度が高くなっている部位である。つまり、部位301Aの輝度値(CT値)が、周囲の領域における輝度値よりも高くなっているため、この部位301Aが、動脈を表していると想定される。
【0052】
また、輝度曲線202が示すように、動脈に造影剤が流入した後、膵実質に造影剤が徐々に流入することで、膵実質における造影剤の濃度が徐々に高くなり(徐々に輝度値が大きくなり)、本スキャン開始の時点(時相t)から時間Δtが経過した時相tで、膵実質における造影剤の濃度が最大値(輝度値が最大)になると想定される。その後、膵実質から造影剤が徐々に流れ去って、膵実質における造影剤の濃度が徐々に低くなる(徐々に輝度値が小さくなる)。そこで、基準画像取得部41は、本スキャン開始の時点(時相t)を基準として、時相tから時間Δtが経過した時相tに取得されたボリュームデータ302を画像記憶部24から取得する。これにより、膵実質の輝度値(CT値)が周囲の領域における輝度値(CT値)よりも高いボリュームデータを取得することができる。図3に示すボリュームデータ302において、部位302Aが、造影剤が流入して造影剤の濃度が高くなっている部位である。つまり、部位302Aの輝度値(CT値)が、周囲の領域における輝度値よりも高くなっているため、この部位302Aが、膵実質を表していると想定される。
【0053】
また、輝度曲線203が示すように、膵実質に造影剤が流入した後、肝実質に造影剤が徐々に流入することで、肝実質における造影剤の濃度が徐々に高くなり(徐々に輝度値が大きくなり)、本スキャン開始の時点(時相t)から時間Δtが経過した時相tに、肝実質における造影剤の濃度が最大値(輝度値が最大)になると想定される。その後、肝実質から造影剤が徐々に流れ去って、肝実質における造影剤の濃度が徐々に低くなる(徐々に輝度値が小さくなる)。そこで、基準画像取得部41は、本スキャン開始の時点(時相t)を基準として、時相tから時間Δtが経過した時相tに取得されたボリュームデータ303を画像記憶部24から取得する。これにより、肝実質の輝度値(CT値)が周囲の領域における輝度値(CT値)よりも高いボリュームデータを取得することができる。図3に示すボリュームデータ303において、部位303Aが、造影剤が流入して造影剤の濃度が高くなっている部位である。つまり、部位303Aの輝度値(CT値)が、周囲の領域における輝度値よりも高くなっているため、この部位303Aが、肝実質を表していると想定される。
【0054】
つまり、基準画像取得部41は、本スキャン開始の時点(時相t)から時間Δt後に取得されたボリュームデータ301を画像記憶部24から取得し、時相tから時間Δt後に取得されたボリュームデータ302を画像記憶部24から取得し、時相tから時間Δt後に取得されたボリュームデータ303を画像記憶部24から取得する。これらのボリュームデータは、それぞれ異なる部位に造影剤が流入して、それぞれ異なる部位の輝度値(CT値)が高くなっているデータであるため、これらを各部位の代表的なボリュームデータ(基準ボリュームデータ)とする。以下、基準画像取得部41にて取得されたボリュームデータを「基準ボリュームデータ」と称することにする。
【0055】
なお、時間Δt(時相t)、時間Δt(時相t)、及び、時間Δt(時相t)は予め設定された時間であり、撮影プロトコルに含まれて、予め撮影プロトコル記憶部7に記憶されている。基準画像取得部41は、撮影プロトコル記憶部7に記憶されている撮影プロトコルに従って、時相t、時相t2、及び時相tに取得されたボリュームデータを画像記憶部24から取得する。
【0056】
減算部42は、被検体に造影剤を注入する前に取得されたボリュームデータ(初期ボリュームデータ)を画像記憶部24から取得し、基準画像取得部41によって取得された各部位の基準ボリュームデータから、その初期ボリュームデータを減算する。つまり、減算部42は、各部位の基準ボリュームデータのボクセル値から、初期ボリュームデータのボクセル値を減算する。各部位の基準ボリュームデータは、造影剤が特定の部位に流入してその部位の輝度値が高くなっているデータであり、初期ボリュームデータは、造影剤を被検体に注入する前に得られたデータである。従って、各部位の基準ボリュームデータから、初期ボリュームデータを減算することで、減算後のボリュームデータには、造影剤が流入している部位(以下、「注目部位」と称する場合がある)を表すデータが残されることになる。なお、基準ボリュームデータから初期ボリュームデータを減算する処理を便宜的に「第1減算処理」と称し、この減算処理によって生成されたボリュームデータを「第1減算ボリュームデータ」と称することにする。このように、第1減算ボリュームデータによって、造影剤が流入している部位を特定することができる。
【0057】
基準ボリュームデータは、注目部位の輝度値(CT値)が周囲の部位よりも相対的に高くなっていると想定されているため、その基準ボリュームデータから、造影剤を被検体に注入する前に取得された初期ボリュームデータを減算することで、減算後にボクセル値が相対的に高い部分がその注目部位を表していることになる。
【0058】
例えば、動脈の造影剤の濃度(CT値)が高いと想定される時相tで取得された基準ボリュームデータ301は、動脈の輝度値(CT値)が周囲の部位よりも相対的に高くなっていると想定される。そこで、図4に示すように、減算部42は、基準ボリュームデータ301から初期ボリュームデータ300を減算することで、減算後の第1減算ボリュームデータ310を生成する。この第1減算ボリュームデータ310において、ボクセル値が相対的に高い部分が動脈を表していることになる。図4に示す第1減算ボリュームデータ310において、部位301Aが、造影剤が流入して造影剤の濃度が高くなっている部位であり、この部位301Aが、動脈を表していることになる。このように、第1減算ボリュームデータ310によって、動脈を特定することができる。
【0059】
また、膵実質の造影剤の濃度(CT値)が高いと想定される時相tで取得された基準ボリュームデータ302は、膵実質の輝度値(CT値)が周囲の部位よりも相対的に高くなっていると想定される。そこで、図4に示すように、減算部42は、基準ボリュームデータ302から初期ボリュームデータ300を減算することで、減算後の第1減算ボリュームデータ311を生成する。この第1減算ボリュームデータ311において、ボクセル値が相対的に高い部分が膵実質を表していることになる。図4に示す第1減算ボリュームデータ311において、部位302Aが、造影剤が流入して造影剤の濃度が高くなっている部位であり、この部位302Aが、膵実質を表していることになる。このように、第1減算ボリュームデータ311によって、膵実質を特定することができる。
【0060】
また、肝実質の造影剤の濃度(CT値)が高いと想定される時相tで取得された基準ボリュームデータ303は、肝実質の輝度値(CT値)が周囲の部位よりも相対的に高くなっていると想定される。そこで、減算部42は、基準ボリュームデータ303から初期ボリュームデータ300を減算することで、減算後の第1減算ボリュームデータを生成する。この第1減算ボリュームデータにおいて、ボクセル値が相対的に高い部分が肝実質を表していることになる。
【0061】
減算部42によって生成された第1減算ボリュームデータは、医用画像処理部3に設置されている画像記憶部31に記憶される。
【0062】
また、ある部位に造影剤が流入すると、ある時相でその部位における造影剤の濃度が最大になり、その後、造影剤が流れ去っていくため、その部位における造影剤の濃度は減少するが、しばらくの間、造影剤がその部位に残存する。そのため、後の時相で取得されたボリュームデータにおいては、以前に造影された部分の輝度値が、その部位に残存する造影剤に応じた値になる。
【0063】
例えば、図3の輝度曲線201が示すように、時相tにおいて輝度値(造影剤の濃度)が最大になり、その後、動脈から造影剤が流れ去っていくため、輝度値(造影剤の濃度)は減少するが、時相tや時相tにおいても輝度値はある値を保っている。これは、時相tや時相tにおいても、動脈に造影剤が残存しているためである。また、輝度曲線202が示すように、時相tにおいて輝度値(造影剤の濃度)が最大になり、その後、膵実質から造影剤が流れ去っていくため、輝度値(造影剤の濃度)は減少するが、時相tにおいても輝度値はある値を保っている。これは、時相tにおいても、膵実質に造影剤が残存しているためである。
【0064】
例えば、時相tにおいては、時相t以前において造影された部位に造影剤が残留しているため、時相tに取得された基準ボリュームデータ302には、造影剤が残留している部分の輝度値が高くなる(CT値が大きくなる)。つまり、時相tにおいても、動脈に造影剤が残存しているため、時相tで取得された基準ボリュームデータ302においては、動脈に相当する部分の輝度値が、残存する造影剤に応じた値となっている。図3に示す基準ボリュームデータ302においては、膵実質に相当する部位302Aが、造影剤が流入して造影剤の濃度が高くなっている部位であるが、動脈に相当する部位302Bに造影剤が残存して、部位302Bの輝度値(CT値)が、残存する造影剤に応じた値になる。このように、時相tに取得された基準ボリュームデータ302には、時相t以前において造影された部位302Bに造影剤が残存してしまう。
【0065】
従って、時相tに取得された基準ボリュームデータ302から、初期ボリュームデータ300を減算した結果得られた第1減算ボリュームデータ311においては、膵実質に相当する部分のボクセル値が相対的に高くなる他、動脈に相当する部分のボクセル値も、動脈に残存する造影剤に応じた値になる。そのため、時相tに取得された基準ボリュームデータ302から、初期ボリュームデータ300を単純に減算するだけでは、膵実質の領域のみを抽出することはできず、第1減算ボリュームデータ311には、動脈に相当する領域も含まれることになる。図4に示す第1減算ボリュームデータ311においては、膵実質に相当する部位302Aが含まれるが、動脈に相当する部位302Bも含まれることになる。このように、時相tに取得された基準ボリュームデータ302から生成された第1減算ボリュームデータ311には、時相t以前において造影された部位302Bに造影剤が残存してしまう。
【0066】
そこで、時相tに取得された基準ボリュームデータ302から、時相t以前に造影された部分を除去するため、減算部42は、図4に示すように、第1減算ボリュームデータ311から、第1減算ボリュームデータ310を減算する。つまり、動脈が最初に造影されるため、第1減算ボリュームデータ310には、動脈の領域(部位301A)のみが含まれることになる。そして、動脈の領域(部位302B)と膵実質の領域(部位302A)を含む第1減算ボリュームデータ311から、動脈の領域が表されている第1減算ボリュームデータ310を減算することで、その減算処理の結果生成されたボリュームデータ320には、膵実質の領域(部位302A)のみが残されることになる。なお、この2回目の減算処理を便宜的に「第2減算処理」と称し、この第2減算処理によって生成されたボリュームデータを「第2減算ボリュームデータ」と称することにする。この第2減算ボリュームデータは、医用画像処理部3に設置されている画像記憶部31に記憶される。このように、第2減算ボリュームデータ320によって、膵実質を特定することができる。
【0067】
また、時相tにおいては、時相t以前において造影された部位に造影剤が残留しているため、時相tに取得された基準ボリュームデータ303には、造影剤が残留している部分の輝度値が高くなる(CT値が大きくなる)。つまり、時相tにおいても、動脈や膵実質に造影剤が残存しているため、時相tに取得される基準ボリュームデータ303においては、動脈と膵実質に相当する部分の輝度値が、残存する造影剤に応じた値となっている。図3に示す基準ボリュームデータ303においては、肝実質に相当する部位303Aが、造影剤が流入して造影剤の濃度が高くなっている部位であるが、動脈に相当する部位303Bや、膵実質に相当する部位303Cに造影剤が残存して、部位303B、303Cの輝度値(CT値)が、残存する造影剤に応じた値になる。このように、時相tに取得された基準ボリュームデータ303には、時相t以前において造影された部位303B、303Cに造影剤が残存してしまう。
【0068】
従って、時相tに取得された基準ボリュームデータ303から、初期ボリュームデータ300を減算した結果得られた第1減算ボリュームデータにおいては、肝実質に相当する部分のボクセル値が相対的に高くなる他、動脈や膵実質に相当する部分のボクセル値も、動脈や膵実質に残存する造影剤に応じた値になる。そのため、時相tに取得された基準ボリュームデータ303から、初期ボリュームデータ300を単純に減算するだけでは、肝実質の領域のみを抽出することはできず、第1減算ボリュームデータには、動脈や肝実質に相当する領域も含まれることになる。
【0069】
そこで、時相tに取得された基準ボリュームデータ303から、時相t以前に造影された部分を除去するため、減算部42は、時相tに取得された基準ボリュームデータ303から生成された第1減算ボリュームデータから、時相t以前に取得されたボリュームデータから生成された第1減算ボリュームデータを減算する。例えば、時相tに取得されたボリュームデータ303から生成された第1減算ボリュームデータから、第1減算ボリュームデータ311を減算する。つまり、第1減算ボリュームデータ311には、動脈の領域と膵実質の領域が含まれているため、時相tに取得された基準ボリュームデータ303から生成された第1減算ボリュームデータから、動脈の領域と膵実質の領域が表されている第1減算ボリュームデータ311を減算することで、その減算処理の結果生成された第2減算ボリュームデータには、肝実質の領域(部位303A)のみが残されることになる。このように、第2減算ボリュームデータによって、肝実質を特定することができる。
【0070】
以上のように、所定の時相に取得されたボリュームデータから、その所定の時相以前に造影された部分を除去するため、減算部42は、その所定の時相に取得された基準ボリュームデータから生成された第1減算ボリュームデータから、その所定の時相以前に取得されたボリュームデータから生成された第1減算ボリュームデータを減算することで、その所定の時相における第2減算ボリュームデータを生成する。その結果、その所定の時相における第2減算ボリュームデータには、その所定の時相に造影剤の濃度が相対的に高くなっている部位の領域のみが含まれることになるため、第2減算ボリュームデータによって、その所定の時相に造影剤の濃度が高くなっている部位を特定することができる。
【0071】
型データ生成部43は、減算部42で減算処理の結果生成されたボリュームデータ(第1減算ボリュームデータ、又は第2減算ボリュームデータ)を画像記憶部31から読み込み、そのボリュームデータに含まれる部位の形状と位置を表す型データを生成する。例えば、第1減算ボリュームデータ310には、動脈の領域が含まれており、その領域のボクセル値は周辺の領域よりも相対的に高くなっている。型データ生成部43は、例えば、2値化処理を行って、ボクセル値が閾値よりも高い領域の値を「1」に変換し、それ以外の領域の値を「0」に変換する。この閾値は、造影剤が流入している部位と、それ以外の部位とを区別するための値である。この2値化処理により、動脈の領域の値は「1」に変換され、動脈以外の領域の値は「0」に変換される。その結果、型データは、値「1」、「0」によって、動脈の形状と位置を表すことになる。
【0072】
第2減算ボリュームデータ320についても同様に、型データ生成部43は、2値化処理を行って、ボクセル値が閾値よりも高い領域の値を「1」に変換し、それ以外の領域の値を「0」に変換する。これにより、膵実質の領域の値が「1」に変換され、膵実質以外の領域の値は「0」に変換される。その結果、型データは、値「1」、「0」によって、膵実質の形状と位置を表すことになる。
【0073】
また、型データ生成部43は、第1減算ボリュームデータ311に対して2値化処理を行ってもよい。第1減算ボリュームデータ311には、膵実質の領域の他、動脈の領域も含まれるため、2値化処理によって、第1減算ボリュームデータ311からは、膵実質と動脈の形状と位置を表す型データが生成されることになる。そして、膵実質と動脈の形状と位置を表す型データから、動脈の領域を除去するため、減算部42は、膵実質と動脈の位置と形状を表す型データから、動脈の形状と位置を表す型データを減算する。この減算処理の結果、膵実質の位置と形状を表す型データが生成される。
【0074】
以上のように、抽出領域決定部4によって、各部位の形状と位置を表す型データが生成されることになる。この型データは、医用画像処理部3に設置されている画像記憶部31に記憶される。そして、この型データによって各部位を特定することができるため、医用画像取得部2にて任意の時相に取得されたボリュームデータから、所望の部位のデータを抽出する処理に用いられる。
【0075】
また、減算部42は、モロフォロジカル・フィルタを用いた処理を施すことで、不要なボクセルを削除してもよい。これより、さらに高精度に領域を抽出することができる。
【0076】
次に、画像生成部5について図5及び図6を参照して説明する。画像生成部5は、領域抽出部51、合成部52、及び画像処理部53を備えて構成されている。
【0077】
領域抽出部51は、操作者によって指定された部位を特定する型データを画像記憶部31から読み込み、操作者によって指定された時相に取得されたボリュームデータから、その部位のデータを抽出する。型データは、部位の形状と位置を表しているため、領域抽出部51は、ボリュームデータから、その型データが特定する部位のデータを抽出する。
【0078】
操作者による部位の指定が撮影前に予め行われている場合は、その部位を示す情報が撮影プロトコルに含まれて撮影プロトコル記憶部7に記憶されている。領域抽出部51は、その撮影プロトコルに含まれる部位を特定する型データを画像記憶部31から読み込み、操作者によって指定された時相に取得されたボリュームデータから、その部位のデータを抽出する。また、撮影開始後において、操作者がユーザインタフェース8によって部位の指定を行うと、領域抽出部51は、指定された部位を特定する型データを画像記憶部31から読み込み、操作者によって指定された時相に取得されたボリュームデータから、その部位のデータを抽出する。
【0079】
図5に領域抽出の1例を示す。例えば、任意の時相に取得されたボリュームデータ410から肝実質のデータを抽出する場合、型データ生成部43で生成された肝実質を特定する型データ400を用いる。型データ400は、肝実質の形状と位置を表している。領域抽出部51は、ボリュームデータ410から、その型データ400が特定する肝実質のデータを抽出する。この抽出処理によって得られたボリュームデータ420は、任意の時相における肝実質を表すことになる。
【0080】
また、任意の時相で取得されたボリュームデータ411から門脈を抽出する場合、型データ生成部43で生成された門脈を特定する型データ401を用いる。型データ401は、門脈の形状と位置を表している。領域抽出部51は、ボリュームデータ411から、その型データ401が特定する門脈のデータを抽出する。この抽出処理によって得られるボリュームデータ421は、任意の時相における門脈を表すことになる。
【0081】
合成部52は、領域抽出部51から出力された複数のボリュームデータを合成して、合成データを生成する。このとき、合成部52は、複数のボリュームデータの座標系を一致させて位置合わせを行って合成データを生成する。
【0082】
例えば、図5に示すように、領域抽出部51にて抽出されたボリュームデータ420とボリュームデータ421を合成することで、合成データ430を生成する。ボリュームデータ420は肝実質を表し、ボリュームデータ421は門脈を表しているため、合成データ430は、肝実質と門脈を表すことになる。
【0083】
画像処理部53は、合成部52から出力された合成データ(ボリュームデータ)を受け、その合成データに対してボリュームレンダリングやサーフェイスレンダリングなどの3次元表示法を施すことで、抽出された領域を観察するための3次元画像データや、外観を表す3次元画像データを生成する。また、画像処理部53は、合成データに対してMPR処理を施すことで、任意断面における断層像データ(MPR画像データ)を生成してもよい。画像処理部53で生成された3次元画像データなどの医用画像データは、表示部81に出力され、表示部81の画面上に医用画像データに基づく画像が表示される。
【0084】
例えば、画像処理部53は、合成部52にて生成された合成データ430に対して、ボリュームレンダリングを施すことで、肝実質と門脈が表された3次元画像データを生成する。この3次元画像データは表示部81に出力され、表示部81の画面上に、肝実質と門脈を表す3次元画像が表示される。
【0085】
また、画像処理部53は、領域抽出部51から出力されたボリュームデータを受け、そのボリュームデータに対してボリュームレンダリングやMPR処理などの画像処理を施すことで、3次元画像データやMPR画像データなどを生成してもよい。
【0086】
例えば、画像処理部53は、領域抽出部51にて抽出されたボリュームデータ420やボリュームデータ421を受けて、それらに対してボリュームレンダリングなどの画像処理を施すことで、3次元画像データなどの医用画像データを生成する。ボリュームデータ420に対してボリュームレンダリングを施すことで、肝実質の3次元画像データが生成され、ボリュームデータ421に対してボリュームレンダリングを施すことで、門脈の3次元画像データが生成される。
【0087】
また、画像処理部53によって、ボリュームデータに対して画像処理を行うことで、医用画像データを生成し、その後、複数の医用画像データを重畳させて表示部81に表示させてもよい。例えば、画像処理部53は、肝実質を表すボリュームデータ420に基づいてその3次元画像データを生成し、さらに、門脈を表すボリュームデータ421に基づいて3次元画像データを生成し、それらを、重ねて表示部81に表示させてもよい。
【0088】
以上のように、各部位に造影剤が流入する時間を用いることで、各部位の形状と位置を表す型データを生成し、その型データを用いることで、任意の時相に取得されたボリュームデータから各部位のデータを簡便に抽出することが可能となる。
【0089】
また、異なる部位のデータを合成することで、複数の部位を表す3次元画像データなどの医用画像データを生成して、表示することが可能となる。これにより、複数の部位間における位置関係を把握することが可能となる。
【0090】
また、操作者が、観察を希望する部位を指定するだけで、ボリュームデータからその部位に相当するデータを自動的に抽出し、その部位の医用画像データを生成することが可能となる。
【0091】
(画像生成部5の応用例1)
ここで、画像生成部5による処理の応用例1について、図6を参照して説明する。型データ生成部43にて生成された複数の型データを用いることで、任意の時相で取得されたボリュームデータから所望の部位のデータを抽出して、複数の領域を含むボリュームデータを合成することができる。
【0092】
ここでは、時相tと時相tに取得されたボリュームデータに基づいて、肝実質と門脈の医用画像データを生成する1例について説明する。
【0093】
まず、同じ時相に取得された異なる部位のデータを合成する場合について説明する。例えば、時相tに取得された肝実質と門脈のデータを合成して医用画像データを生成する場合について説明する。
【0094】
撮影前に、時相tと抽出する部位(肝実質と門脈)が、操作者によって指定されている場合、その時相tと抽出部位を示す情報が撮影プロトコルに含まれて撮影プロトコル記憶部7に記憶されている。領域抽出部51は、その撮影プロトコルに含まれる時相と部位を示す情報に従って、時相tに取得されたボリュームデータ412を画像記憶部24から取得し、さらに、肝実質を特定する型データ400と、門脈を特定する型データ401を画像記憶部31から取得する。また、撮影開始後において、操作者がユーザインタフェース8によって時相と部位を指定した場合、領域抽出部51は、指定された時相に取得されたボリュームデータ412を画像記憶部24から取得し、さらに、指定された部位を特定する型データ400、401を画像記憶部31から取得する。
【0095】
そして、領域抽出部51は、肝実質を特定する型データ400を用いることで、時相tに取得されたボリュームデータ412から、肝実質のデータを抽出する。この抽出処理によって得られたボリュームデータ422は、時相tにおける肝実質を表すことになる。また、領域抽出部51は、門脈の型データ401を用いることで、時相tに取得されたボリュームデータ412から、門脈のデータを抽出する。この抽出処理によって得られたボリュームデータ424は、時相tにおける門脈を表すことになる。
【0096】
そして、合成部52は、領域抽出部51によって抽出されたボリュームデータを合成することで、合成データを生成する。例えば、合成部52は、時相tにおける肝実質を表すボリュームデータ422と、同じ時相tにおける門脈を表すボリュームデータ424を合成することで、時相tにおける肝実質と門脈を表す合成データ431を生成する。
【0097】
そして、画像処理部53は、その合成データ431に対してボリュームレンダリングなどの画像処理を施すことにより、時相tにおける肝実質と門脈を表す3次元画像データなどの医用画像データを生成する。この医用画像データは表示部81に出力され、表示部81の画面には、時相tにおける肝実質と門脈を表す3次元画像などの医用画像が表示される。
【0098】
次に、異なる時相で取得された異なる部位のデータを合成する場合について説明する。例えば、時相tに取得された肝実質のデータと、時相tに取得された門脈のデータを合成して医用画像データを生成する場合について説明する。
【0099】
撮影前に、時相t、時相tのボリュームデータから抽出する部位(肝実質)を示す情報、時相t、及び、時相tのボリュームデータから抽出する部位(門脈)を示す情報が、操作者によって指定されている場合、その時相と部位を示す情報が撮影プロトコルに含まれて撮影プロトコル記憶部7に記憶されている。領域抽出部51は、その撮影プロトコルに含まれる時相と部位を示す情報に従って、時相tに取得されたボリュームデーア412と、時相tに取得されたボリュームデータ413を画像記憶部24から取得し、さらに、肝実質を特定する型データ400と、門脈を特定する型データ401を画像記憶部31から取得する。また、撮影開始後において、操作者がユーザインタフェース8によって時相と部位を指定した場合、領域抽出部51は、指定された時相に取得されたボリュームデータ412、413を画像記憶部24から取得し、さらに、指定された部位を特定する型データ400、401を画像記憶部31から取得する。
【0100】
そして、領域抽出部51は、肝実質を特定する型データ400を用いることで、時相tに取得されたボリュームデータ413から、肝実質のデータを抽出する。この抽出処理によって得られたボリュームデータ423は、時相tにおける肝実質を表すことになる。また、領域抽出部51は、門脈を特定する型データ401を用いることで、時相tに取得されたボリュームデータ412から、門脈のデータを抽出する。この抽出処理によって得られたボリュームデータ424は、時相tにおける肝実質を表すことになる。
【0101】
そして、合成部52は、領域抽出部51によって抽出されたボリュームデータを合成することで、合成データを生成する。例えば、合成部52は、時相tにおける肝実質を表すボリュームデータ423と、異なる時相tにおける門脈を表すボリュームデータ424を合成することで、時相tにおける肝実質と時相tにおける門脈を表す合成データ432を生成する。
【0102】
そして、画像処理部53は、その合成データ432に対してボリュームレンダリングなどの画像処理を施すことにより、時相tにおける肝実質と時相tにおける門脈を表す3次元画像データなどの医用画像データを生成する。この医用画像データは表示部81に出力され、表示部81の画面には時相tにおける肝実質と時相tにおける門脈を表す3次元画像などの医用画像が表示される。
【0103】
また、時相tにおける肝実質と門脈のデータを合成して医用画像データを生成してもよい。例えば、領域抽出部51は、門脈を特定する型データ401を用いることで、時相tに取得されたボリュームデータ413から、門脈のデータを抽出する。この抽出処理によって得られたボリュームデータ425は、時相tにおける門脈を表すことになる。
【0104】
合成部52は、時相tにおける肝実質を表すボリュームデータ423と、同じ時相tにおける門脈を表すボリュームデータ425を合成することで、時相tにおける肝実質と門脈を表す合成データを生成する。そして、画像処理部53は、その合成データに対してボリュームレンダリングなどの画像処理を施すことにより、時相tにおける肝実質と門脈を表す3次元画像データなどの医用画像データを生成する。この医用画像データは表示部81に出力され、表示部81の画面には時相tにおける肝実質と門脈を表す3次元画像などの医用画像が表示される。
【0105】
(画像生成部5の応用例2)
次に、画像生成部5による処理の別の応用例(応用例2)について、図7を参照して説明する。図7は、注目部位のデータの抽出処理を説明するための模式図である。
【0106】
ここでは、複数の時相における肝実質と動脈の医用画像データを生成する場合について説明する。例えば、撮影前に、複数の時相(時相t、時相t、時相t)と、抽出する部位(肝実質と動脈)が、操作者によって指定されている場合、その時相と部位を示す情報が撮影プロトコルに含まれて撮影プロトコル記憶部7に記憶されている。領域抽出部51は、その撮影プロトコルに含まれている時相と部位を示す情報に従って、画像記憶部31に記憶されている肝実質を特定する型データ400と動脈を特定する型データ402を合成して、新たな型データ403を生成する。この型データ403は、肝実質と動脈の形状と位置を表している。そして、領域抽出部51は、新たな型データ403を用いることで、各時相において取得されたボリュームデータから、肝実質と動脈のデータを抽出する。
【0107】
例えば、領域抽出部51は、画像記憶部24から時相tに取得されたボリュームデータ412を取得し、型データ403を用いることで、肝実質と動脈のデータを抽出する。この抽出処理によって得られたボリュームデータ426は、時相tにおける肝実質と動脈を表すことになる。同様に、領域抽出部51は、画像記憶部24から時相tに取得されたボリュームデータ413を取得し、型データ403を用いることで、肝実質と動脈のデータを抽出する。この抽出処理によって得られたボリュームデータ427は、時相tにおける肝実質と動脈を表すことになる。時相tに取得されたボリュームデータ414に対しても、型データ403を用いて抽出処理を行うことで、時相tにおける肝実質と動脈を表すボリュームデータ428を生成する。
【0108】
以上のように、各時相における注目部位の医用画像を生成して表示することで、注目部位における造影の経時的変化を観察することができる。例えば、制御部6は、画像処理部53にて生成された各時相における注目部位の医用画像を、時相に沿って順次、表示部81に表示させることで、操作者は動画として認識し、造影の経過を観察することができる。
【0109】
また、領域抽出部51は、画像記憶部24から時系列的なボリュームデータを取得し、注目部位に相当する型データを用いることで、注目部位の時系列的なデータを抽出してもよい。この抽出処理によって得られた注目部位の時系列的なボリュームデータは、表示部81に出力され、時系列的な医用画像が表示部81に表示される。これにより、注目部位の動画が表示部81に表示されることになる。
【0110】
なお、医用画像処理部3は、図示しないCPUと、ROM、RAM、HDDなどの記憶装置を備えて構成されている。記憶装置には、抽出領域決定部4による処理を実行するための抽出領域決定プログラムと、画像生成部5による処理を実行するための画像生成プログラムが記憶されている。
【0111】
抽出領域決定部4による処理を実行するための抽出領域決定プログラムには、基準画像取得部41の機能を実行するための基準画像取得プログラム、減算部42の機能を実行するための減算プログラム、及び、型データ生成部43の機能を実行するための型データ生成プログラムが含まれている。また、画像生成部5による処理を実行するための画像生成プログラムには、領域抽出部51の機能を実行するための領域抽出プログラム、合成部52の機能を実行するための合成プログラム、及び、画像処理部53の機能を実行するための画像処理プログラムが含まれている。
【0112】
そして、CPUが、記憶装置から抽出領域決定プログラムを読み込んで実行することにより、基準ボリュームデータの取得処理、ボリュームデータ間の減算処理、及び、型データの生成処理を実行することで、所望の部位の型データを生成する。さらに、CPUが、記憶装置から画像生成プログラムを読み込んで実行することにより、領域抽出処理、ボリュームデータの合成処理、及び、画像処理を実行することで、所望の部位の医用画像データを生成する。
【0113】
ユーザインタフェース(UI)8は、表示部81と入力部82を備えて構成されている。表示部81は、CRTや液晶ディスプレイなどのモニタからなり、画面上に3次元画像や断層像などが表示される。入力部82は、ジョイスティックやトラックボールなどのポインティングデバイス、スイッチ、各種ボタン、又はキーボードなどで構成されている。この入力部82を用いることで、撮影条件などの各種設定が入力されたり、予め医用画像診断装置1に登録されている撮影プロトコルを選択したり、観察を希望する領域が選択されたりする。入力部82で入力された撮影条件は、撮影プロトコルの一部として撮影プロトコル記憶部7に記憶される。そして、制御部6は、撮影プロトコル記憶部7に記憶されている撮影条件などに従って、医用画像診断装置1の各部を制御する。
【0114】
ここで、ユーザインタフェース(UI)を用いた、撮影条件を含む撮影プロトコルの指定方法の1例について、図8を参照して説明する。図8は、撮影条件を含む撮影プロトコルの設定画面を示す図である。
【0115】
一連の撮影を開始する前に、撮影条件を含む撮影プロトコルを設定する。例えば、図8(a)に示すように、制御部6は、表示部81に、領域抽出の対象となる臓器の一覧を示す一覧表500を表示させる。また、図8(b)に示すように、制御部6は、表示部81に、医用画像診断装置1に予め登録されて撮影プロトコル記憶部7に記憶されている撮影プロトコルの一覧を示す一覧表510を表示させる。一覧表500、510のデータは、例えば撮影プロトコル記憶部7にしておく。
【0116】
制御部6は、臓器を示す一覧表500の1例として、各臓器の代表的な画像(代表画像)をサムネイル表示させる。操作者は、表示部81に表示されている代表画像の一覧表500を参照し、入力部82を用いて観察を希望する臓器を指定する。例えば、腹部の肝実質を観察する場合、操作者は、一覧表500から肝実質の代表画像501を選択する。
【0117】
また、一覧表500に、複数の部位の画像が合成された代表画像を含ませておくことで、その代表画像を指定することで、撮影後、複数の部位の画像が合成された画像を観察することができる。例えば、肝実質と門脈の画像が合成された代表画像502を一覧表500に含ませておく。そして、肝実質と門脈を観察する場合、操作者は、一覧表500から肝実質と門脈の画像が合成された代表画像502を選択する。
【0118】
さらに、操作者は、この一覧表500において、撮影で得られ画像を表示部81に表示するときの表示条件も指定することができる。この表示条件には、画像の表示色などが含まれる。例えば、制御部6は、肝実質の代表画像503を赤色に着色し、同じ肝実質の代表画像504を青色に着色して、表示部81に一覧表500に表示させる。
【0119】
以上のように、各部位の代表画像や、複数の部位を合成した代表画像を一覧として表示部81に表示することで、操作者は、撮影を行う前に、撮影によって生成される画像を事前に把握することが可能となる。
【0120】
ユーザインタフェース8で選択された画像抽出の対象となる臓器を示す情報や、表示条件は、撮影プロトコルに含まれて、撮影プロトコル記憶部7に記憶される。
【0121】
また、型データの生成に用いる基準ボリュームデータを取得する時相も、ユーザインタフェース8にて入力することができ、入力された時相は撮影プロトコルに含まれて、撮影プロトコル記憶部7に記憶される。
【0122】
また、一覧表510には、標準の撮影プロトコルの一覧が表示されている。各撮影プロトコルには、標準の撮影条件(X線源の電流値や電圧値など)が含まれている。操作者は、表示部81に表示されている一覧表510から、所望の撮影プロトコルを選択し、その撮影プロトコルに含まれる撮影条件520を変更することができる。例えば、撮影条件520に含まれる撮影領域の範囲などを変更することができる。また、プレップスキャン条件や本スキャン条件(ヘリカルスキャン条件)も、この撮影条件に含まれている。この一覧表510で選択・編集された撮影プロトコルは、撮影プロトコル記憶部7に記憶される。医用画像取得部2は、その撮影プロトコルに含まれる撮影条件に従って撮影を行い、撮影領域のボリュームデータを取得する。
【0123】
制御部6は、医用画像診断装置1の各部に接続され、医用画像診断装置1の動作を制御する。制御部6は、図示しないCPUと、ROM、RAM、HDDなどの記憶装置を備えて構成されている。記憶装置には、医用画像診断装置1の各部を制御するための制御プログラムが記憶されている。CPUがその制御プログラムを実行することで、医用画像診断装置1の動作を制御する。
【0124】
なお、この実施形態では、医用画像診断装置1をX線CT装置として説明したが、X線CT装置の他、MRI装置、超音波診断装置、又はX線診断装置などであっても、同じ作用及び効果を奏することができる。図1に示す例では、医用画像取得部2の構成をX線CT装置の構成として説明したが、医用画像診断装置1をMRI装置とする場合は、医用画像取得部2の構成をMRI装置の構成とし、超音波診断装置とする場合は、医用画像取得部2の構成を超音波診断装置の構成とする。このように、医用画像取得部2の構成が変わった場合であっても、医用画像処理部3は、上述したように、医用画像取得部2で取得されたボリュームデータから所望の部位を表す型データを生成し、さらに、その型データを用いて、任意の時相に取得されたボリュームデータから所望の部位のデータを抽出し、その部位の医用画像データを生成する。
【0125】
また、図1に示す例では、医用画像診断装置1の内部に医用画像処理部3を設け、医用画像取得部2から送られるボリュームデータを処理しているが、医用画像診断装置1の外部に医用画像処理部3を設けてもよい。この場合、医用画像処理部3(医用画像診断装置)をワークステーションなどの情報処理装置で構成する。そして、医用画像処理部3を除いた医用画像診断装置と医用画像処理部3(医用画像処理装置)とをネットワークなどを介して接続し、医用画像診断装置にて取得されたボリュームデータを医用画像処理部3に送信する。外部に設置された医用画像処理部3は、上述したように、型データを生成し、所望の部位のデータを抽出し、その部位の医用画像データを生成する。
【0126】
(動作)
次に、この発明の実施形態に係る医用画像診断装置1による一連の動作について、図9及び図10を参照して説明する。図9及び図10は、この発明の実施形態に係る医用画像診断装置による一連の動作を示すフローチャートである。まず、図9を参照して、撮影を行ってボリュームデータを取得する動作について説明し、次に、図10を参照して、領域を抽出する動作について説明する。
【0127】
(ステップS01)
まず、撮影を開始する前に、領域抽出の対象となる部位や、撮影条件などを含む撮影プロトコルを設定する。その撮影プロトコルは撮影プロトコル記憶部7に記憶される。例えば、図8(a)、(b)に示すように、制御部6は、表示部81に、画像抽出の対象となる臓器の一覧を示す一覧表500と、撮影プロトコルの一覧を示す一覧表510を表示させる。操作者は、一覧表500から観察を希望する臓器を指定する。ここでは、肝実質と門脈の医用画像を観察する場合について説明する。この場合、操作者は、一覧表500に含まれる代表画像のうち、肝実質と門脈の画像が合成された代表画像502を指定する。さらに、操作者は、一覧表510に含まれる所望の撮影プロトコルを選択して、撮影条件を編集することもできる。
【0128】
(ステップS02)
そして、被検体に造影剤を注入する前に、撮影部22は、スキャン制御部21の制御の下、撮影を行う。例えば、撮影部22は、図2に示す撮影領域100を撮影することで、撮影領域100のX線投影データを取得し、画像再構成部23は、そのX線投影データに基づいて撮影領域100のボリュームデータを生成する。このボリュームデータは「初期ボリュームデータ」として、画像記憶部24に記憶される。
【0129】
(ステップS03)
そして、被検体に造影剤を注入し、撮影部22がスキャン制御部21の制御の下、プレップスキャンを実行することで、図2に示すプレップスキャン撮影位置101におけるX線投影データを取得し、画像再構成部23にて再構成処理が施されて断層像画像データ(監視用画像データ)が生成される。そして、スキャン制御部21は、その監視用画像に設定された監視用ROI102内の造影剤の濃度(CT値)の変化を監視する。そして、スキャン制御部21は、プレップスキャンに先だって設定されたCT値の閾値と、監視用ROI102内のCT値とを比較し、監視用ROI102内のCT値が閾値以上になったか否かを判断する。監視用ROI102内のCT値が閾値以上になった場合、スキャン制御部21は、撮影部22にプレップスキャンを中止させ、本スキャン条件に従って本スキャンを開始させる。
【0130】
(ステップS04)
本スキャンでは、撮影部22は、スキャン制御部21の制御の下、撮影プロトコルに従ってヘリカルスキャンを実行する。例えば、撮影部22は、図2に示す同一の撮影領域100を複数回撮影し、異なる部位が造影されるタイミングで撮影を行う。なお、本スキャン開始(撮影開始)の時点を、図3に示すように、時相tとする。
【0131】
(ステップS05)
画像再構成部23は、撮影部22によって取得されたX線投影データに基づいて、各時相における撮影領域100のボリュームデータを生成する。これら各時相におけるボリュームデータは、画像記憶部24に記憶される。
【0132】
以上のように撮影部22がヘリカルスキャンを実行している最中において、造影剤が各部位に流入しては流れ去って他の部位に流入しているため、造影剤が各部位に流入する様子が表されたボリュームデータを得ることができる。
【0133】
(ステップS10)
そして、基準画像取得部41は、撮影プロトコルに従って、本スキャン開始の時点(時相t)から、予め設定された時間が経過した時点に取得されたボリュームデータを、画像記憶部24から取得する。例えば、図3に示すように、基準画像取得部41は、動脈における造影剤の濃度(輝度値)が最大になる時点(時相t)に取得されたボリュームデータ301、膵実質における造影剤の濃度(輝度値)が最大になる時点(時相t)に取得されたボリュームデータ302、及び、肝実質における造影剤の濃度(輝度値)が最大になる時点(時相t)に取得されたボリュームデータ303を、画像記憶部24から取得する。これらのボリュームデータは、それぞれ異なる部位に造影剤が流入して、それぞれ異なる部位の輝度値(CT値)が高くなっているデータである。これらのボリュームデータを、それぞれ「基準ボリュームデータ」とする。
【0134】
(ステップS11)
次に、減算部42は、被検体に造影剤を注入する前に取得されたボリュームデータ(初期ボリュームデータ)を画像記憶部24から取得し、基準画像取得部41によって取得された各部位の基準ボリュームデータから、その初期ボリュームデータを減算する(第1減算処理)。この減算処理によって、減算後の第1減算ボリュームデータには、造影剤が流入している部位(注目部位)を表すデータが残されることになる。この第1減算ボリュームデータによって、造影剤が注入している部位を特定することができる。
【0135】
例えば、図4に示すように、減算部42は、基準ボリュームデータ301から初期ボリュームデータ300を減算することで、減算後の第1減算ボリュームデータ310を生成する。この第1減算ボリュームデータ310において、ボクセル値が相対的に高い部分が動脈を表していることになる。同様に、減算部42は、基準ボリュームデータ302から初期ボリュームデータ300を減算することで、減算後の第1減算ボリュームデータ311を生成し、基準ボリュームデータ303から初期ボリュームデータ300を減算することで、減算後の第1減算ボリュームデータを生成する。減算部42にて生成された第1減算ボリュームデータは、医用画像処理部3に設置されている画像記憶部31に記憶される。
【0136】
さらに、時相tで取得されたボリュームデータ302から、時相t以前に造影された部分を除去するため、減算部42は、図4に示すように、第1減算ボリュームデータ311から、第1減算ボリュームデータ310を減算する(第2減算処理)。動脈と膵実質を含む第1減算ボリュームデータ311から、動脈が表されている第1減算ボリュームデータ310を減算することで、その減算処理の結果生成された第2減算ボリュームデータには、膵実質のみが残されることになる。減算部42にて生成された第2減算ボリュームデータは、医用画像処理部3に設置されている画像記憶部31に記憶される。このように、所定の時相に取得されたボリュームデータから、その所定の時相以前に造影された部分を除去するため、減算部42は、その所定の時相に取得された基準ボリュームデータから生成された第1減算ボリュームデータから、その所定の時相以前に取得されたボリュームデータから生成された第1減算ボリュームデータを減算することで、その所定の時相における第2減算ボリュームデータを生成する。
【0137】
(ステップS12)
そして、型データ生成部43は、減算部42で減算処理の結果生成された第1減算ボリュームデータ又は第2減算ボリュームデータを画像記憶部31から読み込み、例えば、2値化処理を行うことで、第1減算ボリュームデータ又は第2減算ボリュームデータに含まれる部位の形状と位置を表す型データを生成する。この2値化処理によって、造影剤が流入してボクセル値(輝度値)が高くなっている領域の値は「1」に変換され、それ以外の領域の値は「0」に変換されることになる。この型データは、医用画像処理部3に設置されている画像記憶部31に記憶される。
【0138】
(ステップS13)
以上のように型データが生成されると、領域抽出部51は、操作者によって指定された時相に取得されたボリュームデータを画像記憶部24から取得する。例えば、領域抽出を行う時相として時相tが指定されている場合、領域抽出部51は、時相tに取得されたボリュームデータを画像記憶部24から取得する。
【0139】
(ステップS14)
そして、領域抽出部51は、予め設定された撮影プロトコルに含まれる部位を特定する型データを画像記憶部31から取得し、その型データを用いることで、操作者によって指定された時相に取得されたボリュームデータから、その型データが特定する領域のデータを抽出する。例えば、抽出領域として、肝実質と門脈が指定されている場合は、図6に示すように、領域抽出部51は、時相tに取得されたボリュームデータ412から、肝実質の形状と位置を表す型データ400を用いることで、肝実質を表すボリュームデータ422を生成する。さらに、領域抽出部51は、時相tに取得されたボリュームデータ412から、門脈の形状と位置を表す型データ401を用いることで、門脈を表すボリュームデータ424を生成する。
【0140】
(ステップS15)
合成部52は、領域抽出部51から出力された複数のボリュームデータを合成して、合成データを生成する。例えば、図6に示すように、合成部52は、肝実質を表すボリュームデータ422と、門脈を表すボリュームデータ424を合成することで、合成データ431を生成する。
【0141】
(ステップS16)
画像処理部53は、合成部52から出力された合成データを受け、その合成データに対してボリュームレンダリングやMPR処理等の画像処理を施すことにより、3次元画像データやMPR画像データなどの医用画像データを生成する。例えば、画像処理部53は、合成データ431に対してボリュームレンダリングを施すことにより、肝実質と門脈が表された3次元画像データを生成する。
【0142】
(ステップS17)
画像処理部53にて生成された3次元画像データなどの医用画像データは、表示部81に出力され、表示部81の画面上に医用画像データに基づく画像が表示される。例えば、肝実質を表すボリュームデータ422と、門脈を表すボリュームデータ424が合成された場合は、表示部81の画面上には、肝実質と門脈を表す3次元画像が表示される。
【0143】
また、この実施形態では、合成部52が複数のボリュームデータを合成し、画像処理部53はその合成によって生成された合成データに基づいて医用画像データを生成したが、画像処理部53は、領域抽出部51にて抽出された合成処理前のボリュームデータに対して画像処理を施すことにより医用画像データを生成してもよい。これにより、例えば、肝実質の3次元画像や門脈の3次元画像が表示部81に表示されることになる。
【0144】
以上のように、各部位に造影剤が流入する時間を用いることで、各部位の形状と位置を表す型データを生成し、その型データを用いることで、任意の時相に取得されたボリュームデータから各部位のデータを簡便に抽出することが可能となる。さらに、異なる部位のデータを合成することで、複数の部位を表す医用画像データを生成して、表示することが可能となる。
【0145】
また、撮影後において、観察を希望する部位の画像を自由に変更することができる。例えば撮影後において、制御部6は、表示部81に、領域抽出の対象となる臓器の一覧表500を表示させ、操作者は、その一覧表500から所望の部位を指定し、さらに、観察を希望する時相を指定する。操作者によって部位と時相が指定されると、画像抽出部51は、操作者によって指定された時相に取得されたボリュームデータを画像記憶部24から取得し、操作者によって指定された部位の形状と位置を表す型データを画像記憶部31から取得し、その型データを用いることで、ボリュームデータからその部位のデータを抽出する。そして、画像処理部53は、抽出されたボリュームデータに対して所定の画像処理を施すことで、抽出された部位を表す3次元画像データなどの医用画像データを生成する。また、操作者が、表示部81に表示されている一部の部位を指定して、その部位を非表示にすることもできる。
【0146】
さらに、制御部6は、医用画像取得部2によって取得された複数の医用画像データに基づいて、造影剤が流れる速度を求め、その速度に基づいて、血流速度を求めてもよい。
【符号の説明】
【0147】
1 医用画像診断装置
2 医用画像取得部
3 医用画像処理部
4 抽出領域決定部
5 画像生成部
6 制御部
7 撮影プロトコル記憶部
8 ユーザインタフェース
21 スキャン制御部
22 撮影部
23 画像再構成部
24、31 画像記憶部
41 基準画像取得部
42 減算部
43 型データ生成部
51 領域抽出部
52 合成部
53 画像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造影剤が被検体に注入された後において、所定の撮影領域を撮影してボリュームデータを取得する手段と、
前記取得されたボリュームデータから、初期ボリュームデータを減算する減算手段と、
前記取得されたボリュームデータから、前記減算されたボリュームデータによって特定される部位のデータを抽出する領域抽出手段と、
を有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
造影剤が被検体に注入される前に、前記被検体の所定の撮影領域を撮影することで初期ボリュームデータを取得し、さらに、前記造影剤が前記被検体に注入された後において、前記所定の撮影領域を複数回撮影することで、撮影された時間が異なる複数のボリュームデータを取得する医用画像取得手段と、
前記複数のボリュームデータのうち、前記造影剤が被検体に注入された後、予め設定された所定時間が経過した時点で取得されたボリュームデータから、前記初期ボリュームデータを減算することで第1減算ボリュームデータを生成する減算手段と、
前記医用画像取得手段によって任意の時点で取得されたボリュームデータから、前記第1減算ボリュームデータによって特定される部位のデータを抽出する領域抽出手段と、
前記抽出したデータに基づく医用画像を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項3】
前記造影剤を被検体に注入してから所定の部位に前記造影剤が流入して造影剤の濃度が略最大となる時間が、前記所定時間として設定されることを特徴とする請求項2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記減算手段は、前記造影剤が前記被検体に注入された後、第1の時間が経過した時点で取得されたボリュームデータから、前記初期ボリュームデータを減算することで、前記第1の時間における第1減算ボリュームデータを生成し、前記造影剤が被検体に注入された後、前記第1の時間よりも遅い第2の時間が経過した時点で取得されたボリュームデータから、前記初期ボリュームデータを減算することで、前記第2の時間における第1減算ボリュームデータを生成し、さらに、前記第2の時間における第1減算ボリュームデータから、前記第1の時間における第1減算ボリュームデータを減算することで、前記第2の時間における第2減算ボリュームデータを生成し、
前記領域抽出手段は、前記医用画像取得手段によって任意の時点で取得されたボリュームデータから、前記第2減算ボリュームデータによって特定される部位のデータを抽出することを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記第1減算ボリュームデータに対して2値化処理を施すことで、前記所定時間が経過した時点で造影剤が流入した部位の形状と位置を表す型データを生成する型データ生成手段を更に有し、
前記領域抽出手段は、前記医用画像取得手段によって任意の時点で取得されたボリュームデータから、前記型データによって特定される部位のデータを抽出することを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記領域抽出手段は、前記医用画像取得手段によって取得された時系列的なボリュームデータから、前記第1減算ボリュームデータによって特定される部位の時系列的なデータを抽出し、
前記表示手段は、前記抽出した時系列的なデータに基づく医用画像を表示することを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記領域抽出手段は、前記医用画像取得手段によって取得された時系列的なボリュームデータから、前記型データによって特定される部位の時系列的なデータを抽出し、
前記表示手段は、前記抽出した時系列的なデータに基づく医用画像を表示することを特徴とする請求項5に記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
造影剤が被検体に注入された後において、被検体の所定の撮影領域を複数回撮影することで、前記造影剤が注入された後、予め設定された所定時間が経過した時点で取得されたボリュームデータから、前記造影剤が前記被検体に注入される前に、前記所定の撮影領域を撮影することで取得された初期ボリュームデータを減算することで第1減算ボリュームデータを生成する減算手段と、
任意の時点で取得されたボリュームデータから、前記第1減算ボリュームデータによって特定される部位のデータを抽出する領域抽出手段と、
前記抽出したデータに基づく医用画像を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項9】
前記造影剤を被検体に注入してから所定の部位に前記造影剤が流入して造影剤の濃度が略最大となる時間が、前記所定時間として設定されることを特徴とする請求項8に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記減算手段は、前記造影剤が前記被検体に注入された後、第1の時間が経過した時点で取得されたボリュームデータから、前記初期ボリュームデータを減算することで、前記第1の時間における第1減算ボリュームデータを生成し、前記造影剤が被検体に注入された後、前記第1の時間よりも遅い第2の時間が経過した時点で取得されたボリュームデータから、前記初期ボリュームデータを減算することで、前記第2の時間における第1減算ボリュームデータを生成し、さらに、前記第2の時間における第1減算ボリュームデータから、前記第1の時間における第1減算ボリュームデータを減算することで、前記第2の時間における第2減算ボリュームデータを生成し、
前記領域抽出手段は、任意の時点で取得されたボリュームデータから、前記第2減算ボリュームデータによって特定される部位のデータを抽出することを特徴とする請求項8又は請求項9のいずれかに記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記第1減算ボリュームデータに対して2値化処理を施すことで、前記所定時間が経過した時点で造影剤が流入した部位の形状と位置を表す型データを生成する型データ生成手段を更に有し、
前記領域抽出手段は、任意の時点で取得されたボリュームデータから、前記型データによって特定される部位のデータを抽出することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
前記領域抽出手段は、時系列的なボリュームデータから、前記第1減算ボリュームデータによって特定される部位の時系列的なデータを抽出し、
前記表示手段は、前記抽出した時系列的なデータに基づく医用画像を表示することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の医用画像処理装置。
【請求項13】
前記領域抽出手段は、時系列的なボリュームデータから、前記型データによって特定される部位の時系列的なデータを抽出し、
前記表示手段は、前記抽出した時系列的なデータに基づく医用画像を表示することを特徴とする請求項11に記載の医用画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−20174(P2012−20174A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227743(P2011−227743)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【分割の表示】特願2006−257113(P2006−257113)の分割
【原出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】