説明

医療用観察システム

【課題】電子スコープ等の撮像手段から被検体までの撮影距離を測定するのに好適な構成の医療用観察システムを提供すること。
【解決手段】特定波長以外の照明光によって被検体を均一に照明すると同時に該特定波長の照明光によって該被検体を不均一に照明する複数の導光手段と、被検体からの反射光データを検出する手段と、特定波長以外の照明光に対応する反射光データを元に、該特定波長の照明光に対応する反射光データを推定する手段と、これらの反射光データに基づいて被検体の画像を生成する手段と、特定波長の照明光に対応する反射光データに基づいて被検体の輝度分布を検出する手段と、輝度分布に基づいて撮影手段から被検体までの撮影距離を計算する手段とを有する医療用観察システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子スコープから被検体までの撮影距離を測定する医療用観察システムに関連し、詳しくは、被検体の照明するための既存の構成要素を利用して輝度分布ムラを意図的に生成し、該生成された輝度分布ムラに基づいて撮影距離を測定する医療用観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医師が患者の体腔内を診断する際に使用する医療機器として、電子スコープが一般的に知られている。電子スコープを使用する医師は、電子スコープの挿入部を体腔内に挿入して、挿入部先端に備えられた先端部を被検体近傍に導く。医師は、先端部に搭載されたCCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子により体腔内を撮影するため、電子スコープやビデオプロセッサの操作部を必要に応じて操作する。医師は、各種操作を行った結果得られる体腔内の映像をモニタを通じて観察し診断や施術等を行う。
【0003】
近年の医療用観察システムには、医師による診断を補助すべく、電子スコープの先端から被検体までの撮影距離を測定する測距機能を実装したものがある。測距機能を有する医療用観察システムの具体的構成例は、例えば特許文献1〜3に記載されている。
【0004】
特許文献1に記載の医療用観察システムは、回動自在な一対の反射板の角度を制御しつつ、一対のレーザ光源から発振されたレーザ光を各反射板で反射させて被検体上で交差させる。当該医療用観察システムは、二つのレーザ光が交差したときの各反射板の角度に基づいてCCDの撮像面と被検体との撮影距離を測定する。
【0005】
特許文献2に記載の医療用観察システムは、所定の測定光が電子スコープの先端部から斜めに角度付けされて放射される。電子スコープの先端部から被検体までの撮影距離は、撮影範囲内における測定光のスポット形成位置に基づいて計算される。
【0006】
特許文献3に記載の医療用観察システムは、照明光の発光位置から被検体までの撮影距離が相違する別個独立した二系統の照明光学系を備えている。当該医療用観察システムにおいては、各照明光学系によって照明された被検体の画像が光源の発光の切替に同期して独立に撮影される。次いで、撮影された各照明光学系に対応する二枚の画像の輝度比に基づいて被検体までの撮影距離が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−278980号公報
【特許文献2】特許第3446272号明細書
【特許文献3】特開2002−65581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の医療用観察システムにおいては、反射板の角度調節を高精度に行う小型かつ精密な駆動機構が必要であり、先端部の構成が複雑化すると共に製造コスト面の負担が大きい問題が指摘される。
【0009】
特許文献2に記載の医療用観察システムにおいては、電子スコープの基端から先端に至るまで測定光を伝送させるための専用の導光路を照明光用の導光路以外に別途組み込む必要がある。そのため、電子スコープの挿入部が大径化する。挿入部が大径化するほど、挿入部を患者の体腔内の微少な隙間に円滑に挿入させ難くなり、患者にかかる負担が大きいため望ましくない。
【0010】
特許文献3に記載の医療用観察システムにおいては、照明用光源が複数灯必要とされるため、製造コスト面の負担が大きいことが問題視される。
【0011】
なお、医師が電子スコープの鉗子チャンネルにメジャーを挿入し通して被検体に直接当てて、被検体までの距離を測定する方法が存在する。しかし、この種の測定作業には熟練を要するため、正確な測定が難しい問題が指摘されている。
【0012】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電子スコープ等の撮像手段から被検体までの撮影距離を測定するのに好適な構成の医療用観察システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決する本発明の一形態に係る医療用観察システムは、所定の波長域の照明光を放射する光源と、該放射された照明光を導光する複数の導光手段であって、少なくとも一つの導光手段が特定波長の照明光のみを減光し又は遮蔽する波長選択手段を有し、該特定波長以外の照明光によって被検体を均一に照明すると同時に該特定波長の照明光によって該被検体を不均一に照明するように配された複数の導光手段と、該照明された被検体からの反射光データを検出する検出手段と、該検出された特定波長以外の照明光に対応する第一の検出反射光データを元に、該特定波長の照明光に対応する反射光データを推定する推定手段と、第一の検出反射データと推定された反射光データとを用いて、所定の波長域の照明光によって被検体を均一に照明した場合の反射光データを再現するデータ再現手段と、該再現された反射光データを用いて被検体の画像を生成する画像生成手段と、検出手段により検出された特定波長の照明光に対応する第二の検出反射光データに基づいて被検体の輝度分布を検出する輝度分布検出手段と、該検出された輝度分布に基づいて撮影手段から被検体までの撮影距離を計算する撮影距離計算手段とを有することを特徴としたシステムである。
【0014】
かかる構成によれば、例えば測距用の複雑な駆動機能や測定光用の専用の光路等を別途設けることなく、既存の構成要素である導光手段による配光を利用して撮影距離を測定することができる。そのため、測距機能の実装に伴う装置の大型化や製造コストの増加が好適に抑えられる。また、カラー画像の品質(例えば画質、フレームレート等)に実質的な影響を及ぼすことなく、撮影距離をリアルタイムで測定することができる。
【0015】
ここで、少なくとも一つの導光手段は、照明光を導光する光ファイバと、該光ファイバから射出された照明光を被検体に配光する配光レンズとを有する構成としてもよい。かかる場合、波長選択手段は、例えば光ファイバに形成されたファイバブラッググレーティング、又は配光レンズに施された所定のフィルタコーティングとして提供される。
【0016】
ここで、輝度分布検出手段は、検出手段により検出された一フレーム分の第二の検出反射光データを、該一フレームを細分化した複数の領域に対応するデータに分割し、該分割された各分割領域に対応する輝度値をサンプリングし、該サンプリングされた輝度値のなかからピーク値を検出する構成としてもよい。撮影距離計算手段は、該ピーク値と、所定の分割領域に対応する輝度値との比を計算し、該計算された比に基づいて撮影距離を計算する構成としてもよい。
【0017】
上記所定の分割領域は、例えばその領域中心が、ピーク値に対応する分割領域の中心と、検出手段による検出範囲の中心を通る仮想的な直線上であって、該検出範囲の中心を挟んで該ピーク値に対応する該分割領域と反対側の該検出範囲周辺に位置する領域としてもよい。
【0018】
ここで、撮影距離計算手段は、所定の関数を保持しており、計算された輝度比を用いて所定の関数を計算して撮影距離を求める構成としてもよい。
【0019】
別の形態において、撮影距離計算手段は、輝度比と撮影距離とを対応付けた変換テーブルを有しており、計算された輝度比を用いて変換テーブルを参照して撮影距離を求める構成としてもよい。
【0020】
本発明に係る医療用観察システムは、画像生成手段により生成される画像の輝度を設定する輝度設定手段を更に有する構成としてもよい。かかる場合、撮影距離計算手段は、設定される輝度毎に対応した所定の関数又は変換テーブルを保持しており、計算された輝度比を用いて所定の関数又は変換テーブルを参照して撮影距離を求める。
【0021】
本発明に係る医療用観察システムは、撮影距離計算手段により計算された撮影距離を表現する表示情報を生成する表示情報生成手段と、該生成された表示情報を所定の表示装置に出力する表示情報出力手段とを更に有する構成としてもよい。
【0022】
本発明に係る医療用観察システムは、撮影距離計算手段により計算された撮影距離と、撮影手段が有する対物光学系の焦点距離に基づいて、該撮影手段に撮影されている被検体のサイズを計算するサイズ計算手段と、該計算されたサイズを表現する情報を所定の表示装置に出力するサイズ情報出力手段とを更に有する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の医療用観察システムによれば、例えば測距用の複雑な駆動機能や測定光用の専用の光路等を別途設けることなく、既存の構成要素である導光手段による配光を利用して撮影距離を測定することができる。そのため、測距機能の実装に伴う装置の大型化や製造コストの増加が好適に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態の医療用観察システムの外観図である。
【図2】本発明の実施形態の医療用観察システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】一方の照明系のフィルタ及びランプが放射する照明光の分光特性を示す分光特性図である。
【図4】本発明の実施形態の電子スコープの挿入先端部の正面図である。
【図5】撮影範囲と照明光量分布との関係を視覚的に理解させるための補助的な説明図である。
【図6】本発明の実施形態の電子スコープに搭載された固体撮像素子のカラーチップの分光特性図である。
【図7】本発明の実施形態のプロセッサが有する信号処理回路の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態のプロセッサが有する信号処理回路において行われる処理のフローチャート図である。
【図9】図8のS2の色復元処理を示すサブルーチンである。
【図10】一方の配光窓から放射された照明光だけで照明された被検体のB成分の輝度分布と撮影距離との関係を説明するための図である。
【図11】一方の配光窓から放射された照明光だけで照明された被検体のB成分の輝度分布と撮影距離との関係を説明するための図である。
【図12】一方の配光窓から放射された照明光だけで照明された被検体のB成分の輝度分布と撮影距離との関係を説明するための図である。
【図13】図10〜図12の各図(a)の直線L上のB成分の輝度分布を示した輝度分布図である。
【図14】図8のS10の距離算出処理を示すサブルーチンである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付された各図面を参照しつつ、本発明の実施形態の医療用観察システムについて説明する。なお、電子スコープには、一般に、鉗子チャンネルや送気送水ノズル等が備えられているが、本明細書又は各図面においては、本発明の特徴に直接的には関係しないこの種の構成要素は、その説明又は図示を便宜上省略している。
【0026】
図1は、本実施形態の医療用観察システム1の外観図である。図1に示されるように、医療用観察システム1は、患者の体腔内を撮像する電子スコープ100を有している。電子スコープ100は、可撓管によって外装された挿入可撓部11を有している。挿入可撓部11の先端には、硬質性を有する樹脂製筐体によって外装された挿入先端部12が連結されている。挿入可撓部11と挿入先端部12との連結箇所は、挿入可撓部11の基端に連結された手元操作部13からの遠隔操作によって屈曲自在に構成されている。挿入先端部12の方向が上記遠隔操作による屈曲動作に応じて変わることにより、電子スコープ100による撮影領域が移動する。
【0027】
図1に示されるように、医療用観察システム1は、プロセッサ200を有している。プロセッサ200は、電子スコープ100からの信号を処理する信号処理装置と、自然光の届かない体腔内を電子スコープ100を介して照明する光源装置とを一体に備えた装置である。別の実施の形態では、信号処理装置と光源装置を別体で構成してもよい。
【0028】
プロセッサ200には、電子スコープ100の基端に設けられたコネクタ10に対応するコネクタ部20が設けられている。コネクタ部20は、コネクタ部10に対応する連結構造を有し、電子スコープ100とプロセッサ200とを電気的、光学的に接続するように構成されている。
【0029】
図2は、医療用観察システム1の構成を模式的に示すブロック図である。図2に示されるように、医療用観察システム1は、所定のケーブルを介してプロセッサ200に接続されたモニタ300を有している。なお、図1においては、図面を簡略化するため、本発明に係る特徴的構成を有さないモニタ300を図示省略している。
【0030】
図2に示されるように、プロセッサ200は、システムコントローラ202、タイミングコントローラ204を有している。システムコントローラ202は、医療用観察システム1を構成する各要素を制御する。タイミングコントローラ204は、信号の処理タイミングを調整するクロックパルスを医療用観察システム1内の各種回路に出力する。
【0031】
プロセッサ200の電源が投入されたとき、ランプ電源206からランプ208に電源が供給されてランプ208が点灯して、白色光を放射する。ランプ208には、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプなどの高輝度ランプが適している。ランプ208から放射された照明光は、集光レンズ210により集光されつつ絞り212を介して適正な光量に制限されて、電子スコープ100が有するLCB(light carrying bundle)102の入射端に入射される。
【0032】
絞り212には、図示省略されたアームやギヤなどの伝達機構を介してモータ214が機械的に連結されている。モータ214は例えばDCモータであり、ドライバ216のドライブ制御下で駆動する。絞り212は、モニタ300に表示される映像を適正な明るさにするため、モータ214によって動作されて開度が変化して、ランプ208から放射された照明光の光量を開度に応じて制限する。適正とされる映像の明るさの基準は、術者によるフロントパネル218の輝度調節操作に応じて変更される。なお、ドライバ216を制御して輝度調整を行う調光回路は周知の回路であり、本明細書においては省略することとする。
【0033】
LCB102の入射端に入射された照明光は、LCB102の内部を全反射を繰り返すことによって伝播される。LCB102は、入射端から射出端に向かう途中、二本のバンドル102A、102Bに分岐されている。照明光は、LCB102の分岐点において光量が分けられて、バンドル102A又は102Bを伝播される。各バンドル102A、102Bを伝播された照明光は、電子スコープ100の先端に配された各バンドル102A、102Bの射出端から射出される。
【0034】
バンドル102Aの射出端から射出された照明光は、配光レンズ104A、カバーガラス106Aを介して被検体を照明する。配光レンズ104A及びカバーガラス106Aには、何らフィルタコーティングが施されていない。そのため、配光レンズ104A及びカバーガラス106Aは、ランプ208から放射された照明光の全帯域を透過させる。
【0035】
バンドル102Bの射出端から射出された照明光は、配光レンズ104B、カバーガラス106Bを介して被検体を照明する。配光レンズ104B又はカバーガラス106Bの何れか一方には、所定のフィルタコーティングが施されている。図3に、当該フィルタ及びランプ208が放射する照明光の分光特性を示す。図3中縦軸がフィルタの透過率(単位:%)又は照明光の強度を、横軸が波長(単位:nm)を、それぞれ示している。なお、図3において照明光の強度は、便宜上、正規化して示されている。図3に示されるように、フィルタはハイパスフィルタであって、凡そ450nm以下の短波長の光(B光の大部分)をカットする。なお、別の実施形態においては、フィルタコーティングに代替して、所定のファイバブラッググレーティングをバンドル102B中に形成してもよい。バンドル102Bを伝播する照明光は、所定のファイバブラッググレーティングによって450nm以下の短波長の光についてだけ強い後方反射が引き起こされる。そのため、バンドル102Bの射出端からは、450nmより長い波長の光だけが射出される。
【0036】
図4は、挿入先端部12の正面図である。図4に示されるように、各バンドル102A、102Bに対応する二つの配光窓(図4中カバーガラス106A、106B)は、対物レンズ110及び固体撮像素子112を有する撮像系(図4では、外観に現れるカバーガラス108が示されている)の光軸を通る中心線Yを挟んで対称の位置に配置されている。説明を加えると、二つのカバーガラス106A、106Bは、挿入先端部12を正面から臨んだときの撮像系までの距離が等しくなるように配置されている。また、電子スコープ100が有する各種光学部品は、R、G、E(Eはエメラルドの略であって、例えば450nm〜550nm程度)の波長の光(以下、「RGE光」と記す。)に関しては、各カバーガラス106A、106Bを介して放射される照明光量が等しくなるように設計されている。そのため、被検体は、挿入先端部12と被検体とが所定距離以上離れていることを条件として(別の表現によれば、挿入先端部12が被検体に過度に接近しない限り)、撮影範囲内においてほぼ均一な光量分布のRGE光で照明される。B光に関しては、前述の通り、フィルタ等による減光(或いは遮蔽であってもよい。)がバンドル102B側の光路だけでなされている。そのため、被検体は、B光に関して、撮影範囲内において不均一な光量分布で照明される。なお、配光窓を複数配することによって配光ムラを無くす構成は、電子スコープの製品分野において一般的に知られた構成である。
【0037】
図5(a)〜図5(d)は、撮影範囲と照明光量分布との関係を視覚的に理解させるための補助的な説明図である。各図中縦軸が照明光量を、横軸が撮影範囲を、それぞれ示している。何れも正規化されているため、単位はない。各図において撮影範囲は、便宜上一次元で表現されているが、実際には二次元である。図5(a)の符号EA、EBは、カバーガラス106A、106Bを介して放射されたE光の照明光量分布(破線)を、符号ELは、照明光量分布EAとEBとを合わせた撮影範囲全体のE光の照明光量分布(実線)を、それぞれ示している。図5(b)の符号GA、GBは、カバーガラス106A、106Bを介して放射されたG光の照明光量分布(破線)を、符号GLは、照明光量分布GAとGBとを合わせた撮影範囲全体のG光の照明光量分布(実線)を、それぞれ示している。図5(c)の符号RA、RBは、カバーガラス106A、106Bを介して放射されたR光の照明光量分布(破線)を、符号RLは、照明光量分布RAとRBとを合わせた撮影範囲全体のR光の照明光量分布(実線)を、それぞれ示している。図5(d)の符号BA、BBは、カバーガラス106A、106Bを介して放射されたB光の照明光量分布(破線)を、符号BLは、照明光量分布BAとBBとを合わせた撮影範囲全体のB光の照明光量分布(実線)を、それぞれ示している。図5(a)〜図5(d)の各図から明らかなように、被検体は、ほぼ均一な光量分布のRGE光で照明されると同時に不均一な光量分布のB光で照明される。
【0038】
照明光によって照明された被検体からの反射光は、カバーガラス108を介して対物レンズ110に入射され、対物レンズ110のパワーにより固体撮像素子112の受光面上で光学像を結ぶ。
【0039】
固体撮像素子112は、例えばRGBEの4色カラーフィルタ搭載のCCD(例えばSONY(登録商標)社製 4 color Super HAD CCD)であり、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して、R、G、B、Eの各色に応じた画像信号に変換する。変換された画像信号は、プリアンプ114により増幅されてドライバ信号処理回路116に入力される。なお、固体撮像素子112の各画素は、RGBEの4つのサブピクセルで構成されている。4色カラーフィルタの分光特性は、図6に示される通りである。図6中縦軸がフィルタの透過率(単位:%)を、横軸が波長(単位:mm)を、それぞれ示している。
【0040】
ドライバ信号処理回路116は、タイミングコントローラ204のクロックパルスに基づき、固体撮像素子112をプロセッサ200側で処理される映像のフレームレートに同期したタイミングで駆動制御する。メモリ118には、電子スコープ100固有の情報(例えば固体撮像素子112の画素数や感度、対応可能なレート、或いは型番など)が格納されている。ドライバ信号処理回路116は、メモリ118にアクセスして電子スコープ100固有の情報を読み出す。
【0041】
ドライバ信号処理回路116は、読み出された固有情報をシステムコントローラ202に、画像信号を信号処理回路220に、それぞれ出力する。ドライバ信号処理回路116とシステムコントローラ202又は信号処理回路220との間には、フォトカップラなどを使用した絶縁回路(不図示)が配置されている。すなわち、電子スコープ100とプロセッサ200は、電気的に絶縁されている。
【0042】
システムコントローラ202は、ドライバ信号処理回路116からの上記固有情報に基づいて各種演算を行い、制御信号を生成する。システムコントローラ202は、生成された制御信号を用いて、プロセッサ200に接続中の電子スコープに適した処理がされるようにプロセッサ200内の各種回路の動作やタイミングを制御する。また、システムコントローラ202は、電子スコープの型番と、該型番の電子スコープに適した制御情報とを対応付けたテーブルを有した構成としてもよい。かかる場合、システムコントローラ202は、対応テーブルの制御情報を参照して、プロセッサ200に接続中の電子スコープに適した処理がされるようにプロセッサ200内の各種回路の動作やタイミングを制御する。
【0043】
図7は、信号処理回路220の構成を示すブロック図である。図7に示されるように、信号処理回路220のB成分推定回路222、Y/C分離回路224の各回路には、各画素に対応するR、G、Eの画像信号が入力する。B成分推定回路222は、R、G、Eの各成分に対応する三つの固有値ベクトルを保持している。B成分推定回路222は、三つの固有値ベクトルと各画素のR、G、Eの画像信号を用いて当該画素のBの画像信号を推定する。B成分推定回路222は、推定されたBの画像信号をY/C分離回路224に出力する。
【0044】
なお、B成分推定回路222によるB成分の推定処理技術は、例えば参考文献1(三宅洋一 編、「分光画像処理入門」、東京大学出版会、2006年2月下旬、171〜173頁、ISBN978−4−13−062141−0)や参考文献2(三宅洋一、神津輝雄、山高修一、「分光内視鏡の開発(FICE)」、画像ラボ、日本工業出版、2006年4月、70〜74頁)等に記載された周知の技術である。各参考文献には、胃粘膜や大腸粘膜の分光反射率が第三主成分までの固有値ベクトルを用いてほぼ99%推定可能であることが記載されている。
【0045】
Y/C分離回路224は、R、G、B、Eの画像信号を輝度信号と色信号に分離する。Y/C分離回路224は、分離された輝度信号を輝度信号処理回路226に、同じく分離された色信号を色マトリクス回路228に、それぞれ出力する。輝度信号処理回路226は、Y/C分離回路224からの輝度信号に対してコントラスト調整やブランキング調整等の各種信号処理を行う。色マトリクス回路228は、Y/C分離回路224からの色信号のゲイン調整等を行い、色差信号処理回路230に出力する。色差信号処理回路230は、主に、色マトリクス回路228での各種信号処理が施された色信号に基づいて色差信号を生成する。輝度信号処理回路226、色差信号処理回路230の各回路で処理された輝度信号、色差信号は共に、表示用フレームメモリ232に出力される。
【0046】
一方、ドライバ信号処理回路116から出力されたBの画像信号は、図7に示されるように、距離算出部250が有する測距用フレームメモリ252に入力される。測距用フレームメモリ252は、Bの画像信号をフレーム単位でバッファリングする。測距用フレームメモリ252は、バッファリングされたBの画像信号をタイミングコントローラ204によるタイミングで距離算出回路254に掃き出す。距離算出回路254は、Bの画像信号を用いて、電子スコープ100の挿入先端部12から被検体400までの撮影距離Dを算出する。なお、かかる距離算出処理についての詳細は後述する。
【0047】
距離算出回路254は、算出された撮影距離Dをスケール作成回路256に出力する。スケール作成回路256は、入力された撮影距離Dを表す情報(例えばキャラクタやスケール等)を生成する。スケール作成回路256は、生成されたキャラクタ情報等の信号を表示用フレームメモリ232に出力する。
【0048】
表示用フレームメモリ232は、輝度信号処理回路226、色差信号処理回路230、スケール作成回路256の各回路からの輝度信号、色差信号、キャラクタ情報等の信号をフレーム単位でバッファリングする。表示用フレームメモリ232は、バッファリングされた各信号をタイミングコントローラ204によるタイミングで掃き出す。掃き出された各信号は、図示省略された映像信号処理回路により、NTSC(National Television
System Committee)やPAL(Phase Alternating Line)等の所定の規格に準拠した映像信号に変換されてモニタ300に順次出力される。Bの画像信号は、光量分布がほぼ均一なRGE光で照明された被検体の画像信号を元に推定されており、光量分布がほぼ均一なB光で照明されたときの被検体の画像信号を正確に再現している。よって、モニタ300には、ほぼ均一な光量分布のRGBE光で照明されたときの被検体を正確に再現したカラー画像が表示される。それと同時に、画面の所定位置には、撮影距離Dを示すキャラクタ情報等が表示される。
【0049】
図8に、信号処理回路220において行われる処理をフローチャートで示す。当該処理は、例えば医療用観察システム1が起動中繰り返し行われる。処理ステップ1では、変数i、jが0にリセットされる。なお、以降の本明細書中の説明並びに図面において、処理ステップは「S」と省略して記す。
【0050】
S2の処理では、B成分推定回路222によるBの画像信号に対する色復元処理が行われる。図9は、図8のS2の色復元処理を示すサブルーチンである。図8に示されるように、B成分推定回路222は、ドライバ信号処理回路116からの画素(i、j)のR,G,Eの画像信号に基づいてR,G,Eの各輝度値R(i、j)、G(i、j)、E(i、j)を算出する(S21)。B成分推定回路222は、R、G、Eの各成分に対応する三つの固有値ベクトルα、α、αを保持しており、次のマトリクスを用いて画素(i、j)のBの輝度値B(i、j)を推定する(S22)。B成分推定回路222は、推定輝度値B(i、j)を持つBの画像信号をY/C分離回路224に出力する。処理は、図8のフローチャートの処理に復帰する。
【数1】

【0051】
S3の処理では、画素(i、j)のR,G,B,Eの画像信号は、Y/C分離回路224、輝度信号処理回路226、色マトリクス回路228、色差信号処理回路230の各種回路において処理されて、表示用フレームメモリ232中の対応領域Img(x、y)に格納される。S4の処理は、S2,S3の処理と並列に実行される。S4の処理においては、ドライバ信号処理回路116からの画素(i、j)のBの画像信号が測距用フレームメモリ252中の対応領域Dis(x、y)に格納される。
【0052】
S5の処理では、変数iが1インクリメントされる。S6の処理では、変数iが、水平方向の有効アドレスの最大値xと等しいか否かが判定される。水平方向一ラインの各画素に関してS2〜S6の処理が実行されると、変数iが最大値xになり(S6:YES)、処理はS7に進む。S7の処理では変数jが1インクリメントされて、以降の処理対象が次の水平ラインに移る。S8の処理では、変数jが、垂直方向の有効アドレスの最大値yと等しいか否かが判定される。未処理の水平ラインが残存する場合、引き続き、残存する水平ラインの各画素に関してS2〜S6の処理が実行される(S8:NO,S9)。有効領域中の全水平ラインに関してS2〜S6の処理が実行されると、変数jが最大値yになり(S8:YES)、処理はS10に進む。
【0053】
図10〜図12は、照明光量が不均一なBの照明光によって照明された被検体のB成分の輝度分布を説明するための図である。
【0054】
図10〜図12の各図の(a)は、被検体のB成分の輝度分布と撮影範囲との関係を模式的に示す図である。図10〜図12の各図(a)において、被検体のB成分の輝度分布は、等高線モデルを用いて示されている。曲率半径の小さい等高線ほどBの照明光の中心に近く、B成分に関して被検体が明るく照明されていることを示している。なお、図10〜図12の各図(a)中、符号Oは、撮影範囲の中心を、符号Lは、撮影範囲中最も輝度の高い点及び中心Oを通る直線を、それぞれ示している。
【0055】
図10〜図12及び後述の図13は、本発明の特徴を明瞭に説明する便宜上、バンドル102Bから射出されたBの照明光がフィルタによって完全に遮断されている状態を示している。しかし、前述した通り、バンドル102Bから射出されたBの照明光は、実際には、大部分が減光されているものの完全には遮断されておらず、カバーガラス106Bから放射される場合もあることを言い添えておく。
【0056】
図10〜図12の各図の(b)は、各図の(a)に対応する図であって、電子スコープ100の挿入先端部12から被検体400までの撮影距離Dを模式的に示す図である。なお、各図の(b)においては、図面を簡素化するため、電子スコープ100の構成要素のうち各バンドル102A、102B、対物レンズ110、固体撮像素子112以外の構成要素の図示を省略している。
【0057】
また、図10〜図12の各図の(b)においては、対物レンズ110の主点から被検体400までの距離を便宜上撮影距離Dとして示したに過ぎない。ここで、電子スコープ100の各種要素(例えば対物レンズ110の主点、挿入先端部12の前面、固体撮像素子112の受光面等)の相対位置は既知である。よって、撮影距離Dは、例えば挿入先端部12の前面から被検体400までの距離と定義してもよく、或いは固体撮像素子112の受光面から被検体400までの距離と定義してもよい。
【0058】
図13は、図10〜図12の各図の(a)の直線L上のB成分の輝度分布を示した輝度分布図である。図13中縦軸が輝度値を、横軸が直線L上の座標を、それぞれ示している。図13中、符号BD1は、撮影距離Dが図10の場合のB成分の輝度分布を、符号BD2は、撮影距離Dが図11場合のB成分の輝度分布を、符号BD3は、撮影距離Dが図12の場合のB成分の輝度分布を、それぞれ示している。
【0059】
図10〜図13を参照するところ、挿入先端部12と被検体400とが接近するほどB成分の輝度分布のピーク位置が撮影範囲の中心Oから離れていくことが分かる。本実施形態の距離算出処理においては、このような輝度分布の特性を利用して撮影距離Dを測定する。
【0060】
図14は、図8のS10の距離算出処理を示すサブルーチンである。図11(a)及び図13を用いて図14の距離算出処理を具体的に説明すると、距離算出回路254は、測距用フレームメモリ252にバッファリングされた一フレーム中の各画像領域を細分化する。距離算出回路254は、バッファリングされた画像信号から、細分化された各分割画像領域に対応するBの輝度値をサンプリングする(S101)。具体的には、距離算出回路254は、Bの輝度値をサンプリングするため、各分割画像領域に属する画素のBの輝度信号を用いてヒストグラム処理を行う。次いで、生成されたヒストグラムデータを用いて、分割画像領域毎にBの輝度の平均値を算出してサンプリングデータを得る。
【0061】
距離算出回路254は、サンプリングデータに基づいてピークとなるBの輝度値、及び該輝度値に対応する分割画像領域R1を計算する(S102)。距離算出回路254は、計算された分割画像領域R1の中心と撮影範囲の中心Oを通る仮想的な直線Lを定義する(S103)。距離算出回路254は、定義された直線L上の分割画像領域のなかから所定条件を満たす分割画像領域R2を特定する(S104)。分割画像領域R2は、例えばその領域中心が直線L上であって、中心Oを挟んで分割画像領域R1と反対側の撮影範囲周辺に位置する(撮影範囲の最周辺から所定画素分離れた位置の)分割画像領域として定義される。距離算出回路254は、サンプリングデータのなかから分割画像領域R2に対応するBの輝度値を取得する(S105)。距離算出回路254は、分割画像領域R1とR2の輝度値の比(以下、「輝度比」と記す。)を計算する(S106)。
【0062】
ここで、前述したように、B成分の輝度分布のピーク位置は、撮影距離Dに応じて撮影範囲の中心Oとの距離が変化する。してみると、撮影距離Dと輝度比との間には、所定の関係が成立するといえる。当該関係は、輝度比をBRと定義した場合、所定の関数D=f(BR)によって表現される。距離算出回路254は、所定の関数D=f(BR)を保持している。距離算出回路254は、S106の処理において計算された輝度比を用いて所定の関数D=f(BR)を計算し、撮影距離Dを求める(S107)。なお、別の実施形態において距離算出回路254は、輝度比と撮影距離Dとを対応付けた変換テーブルを有したものとしてもよい。かかる場合、距離算出回路254は、所定の関数D=f(BR)に代替して、変換テーブルを用いてS107の処理を行う。
【0063】
撮影距離Dと輝度比との関係は、フロントパネル218の輝度調節操作で設定された目標となる明るさに依存して変わる。そのため、距離算出部250は、設定輝度(或いは絞り212の開度)毎に対応する関数又は変換テーブルを保持した構成としてもよい。かかる場合、距離算出部250は、設定輝度(或いは絞り212の開度)に応じた関数又は変換テーブルを参照して、輝度調節操作時においても撮影距離Dを求めることができる。また、かかる構成によれば、各設定輝度(或いは絞り212の開度)に適した関数又は変換テーブルを用いて撮影距離Dが計算されるため、撮影距離Dの精度が向上する効果が得られる。
【0064】
輝度比は、被検体が色相の変化が大きいものである場合に、その影響を比較的受け難いパラメータである。よって、かかる場合には測定距離誤差が小さく好適である。
【0065】
スケール作成回路256は、距離算出回路254によって計算された撮影距離Dを表す情報(例えばキャラクタやスケール等)の信号を生成する(S108)。スケール作成回路256は、生成されたキャラクタ情報等の信号を表示用フレームメモリ232に出力して所定の画像領域に加算する(S109)。表示用フレームメモリ232にバッファリングされた画像信号は、フレームレートに応じたタイミングでモニタ300に出力される。これにより、モニタ300には、被検体のカラー画像と撮影距離Dを示すキャラクタ情報等とが同時に表示される。
【0066】
本実施形態の医療用観察システム1によれば、測距用の複雑な駆動機能や測定光用の専用の光路を別途設けることなく、既存のバンドルを利用して距離算出処理を行うことができる。距離算出処理を行うために挿入先端部12に追加される部品は特に無く、LCB102の分岐点からカバーガラス106Bに至る光路中の何れかの光学素子に特定波長の光のみを減光させ又は遮蔽する光学作用を付与するだけでよい。そのため、挿入先端部12の大型化や製造コストの増加が最小限に抑えられている。また、カラー画像の品質(例えば画質、フレームレート等)に実質的な影響を及ぼすことなく、撮影距離Dをリアルタイムで測定することができる。なお、ここでいう特定波長の光は、本実施形態ではB光であるが、別の実施形態では他の波長の光であってもよい。
【0067】
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば電子スコープ100は、LCB102を三本以上のバンドルに分岐した構成としてもよい。この場合、電子スコープ100は、特定波長以外の光については被検体を三以上の配光窓からの照明光によって均一に照明する。特定波長の光については、一以上の配光窓からの特定波長の照明光を減光又は遮蔽しつつ、少なくとも一つの配光窓からの特定波長の照明光によって被検体を照明して、輝度分布ムラを意図的に生成する。
【0068】
撮影された被検体の大きさは、撮影距離Dと対物レンズ110の特定波長に対する焦点距離を用いて計算することができる。かかる計算機能を距離算出回路254に付加してモニタ300上に表示させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 医療用システム
100 電子スコープ
102A,102B バンドル
112 固体撮像素子
200 プロセッサ
202 システムコントローラ
220 信号処理回路
250 距離算出部
300 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波長域の照明光を放射する光源と、
前記放射された照明光を導光する複数の導光手段であって、少なくとも一つの導光手段が特定波長の照明光のみを減光し又は遮蔽する波長選択手段を有し、該特定波長以外の照明光によって被検体を均一に照明すると同時に該特定波長の照明光によって該被検体を不均一に照明するように配された複数の導光手段と、
前記照明された被検体からの反射光データを検出する検出手段と、
前記検出された前記特定波長以外の照明光に対応する第一の検出反射光データを元に、該特定波長の照明光に対応する反射光データを推定する推定手段と、
前記第一の検出反射データと前記推定された反射光データとを用いて、前記所定の波長域の照明光によって前記被検体を均一に照明した場合の反射光データを再現するデータ再現手段と、
前記再現された反射光データを用いて前記被検体の画像を生成する画像生成手段と、
前記検出手段により検出された前記特定波長の照明光に対応する第二の検出反射光データに基づいて前記被検体の輝度分布を検出する輝度分布検出手段と、
前記検出された輝度分布に基づいて前記撮影手段から前記被検体までの撮影距離を計算する撮影距離計算手段と、
を有することを特徴とする医療用観察システム。
【請求項2】
前記少なくとも一つの導光手段は、
前記照明光を導光する光ファイバと、
前記前記光ファイバから射出された照明光を前記被検体に配光する配光レンズと、
を有し、
前記波長選択手段は、前記光ファイバに形成されたファイバブラッググレーティング、又は前記配光レンズに施された所定のフィルタコーティングであることを特徴とする、請求項1に記載の医療用観察システム。
【請求項3】
前記輝度分布検出手段は、
前記検出手段により検出された一フレーム分の第二の検出反射光データを、該一フレームを細分化した複数の領域に対応するデータに分割し、
前記分割された各分割領域に対応する輝度値をサンプリングし、
前記サンプリングされた輝度値のなかからピーク値を検出し、
前記撮影距離計算手段は、
前記ピーク値と、所定の前記分割領域に対応する輝度値との比を計算し、
前記計算された比に基づいて前記撮影距離を計算することを特徴とする、請求項1又は請求項2の何れか一項に記載の医療用観察システム。
【請求項4】
前記所定の分割領域は、その領域中心が、前記ピーク値に対応する前記分割領域の中心と、前記検出手段による検出範囲の中心を通る仮想的な直線上であって、該検出範囲の中心を挟んで該ピーク値に対応する該分割領域と反対側の該検出範囲周辺に位置する分割領域であることを特徴とする請求項3に記載の医療用観察システム。
【請求項5】
前記撮影距離計算手段は、
所定の関数を保持し、
前記比を用いて前記所定の関数を計算し、前記撮影距離を求めることを特徴とする、請求項3又は請求項4の何れか一項に記載の医療用観察システム。
【請求項6】
前記画像生成手段により生成される画像の輝度を設定する輝度設定手段を更に有し、
前記撮影距離計算手段は、前記設定される輝度毎に対応した前記所定の関数を保持していることを特徴とする、請求項5に記載の医療用観察システム。
【請求項7】
前記撮影距離計算手段は、
前記比と前記撮影距離とを対応付けた変換テーブルを有し、
前記比を用いて前記変換テーブルを参照し、前記撮影距離を求めることを特徴とする、請求項3又は請求項4の何れか一項に記載の医療用観察システム。
【請求項8】
前記画像生成手段により生成される画像の輝度を設定する輝度設定手段を更に有し、
前記撮影距離計算手段は、前記設定される輝度毎に対応した前記変換テーブルを有していることを特徴とする、請求項7に記載の医療用観察システム。
【請求項9】
前記撮影距離計算手段により計算された前記撮影距離を表現する表示情報を生成する表示情報生成手段と、
前記生成された表示情報を所定の表示装置に出力する表示情報出力手段と、
を更に有することを特徴とする、請求項1から請求項8の何れか一項に記載の医療用観察システム。
【請求項10】
前記撮影距離計算手段により計算された前記撮影距離と、前記撮影手段が有する対物光学系の焦点距離に基づいて、該撮影手段に撮影されている前記被検体のサイズを計算するサイズ計算手段と、
前記計算されたサイズを表現する情報を所定の表示装置に出力するサイズ情報出力手段と、
を更に有することを特徴とする、請求項1から請求項9の何れか一項に記載の医療用観察システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−19692(P2011−19692A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166704(P2009−166704)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】