説明

半導体ウエハの検査装置および検査方法

少なくとも1つのウエハ支持体が設けられているウエハ移送アーム(30)と、ウエハの対向する縁部をつかむように構成される2つのリモートリム(18、19)を有するウエハグリッパ(15)であって、前記グリッパ(15)はおおよそ水平方向位置とおおよそ垂直方向位置との間でウエハを回転させるために軸上で回転するように取付けられたグリッパと、前記ウエハの一方側および他方側に、おおよそ垂直方向位置で前記ウエハを通る平面に対して対称的に配置された少なくとも2つの検査システムとを備える半導体ウエハ検査装置(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造中または製造終了時、あるいは集積回路の製造中の半導体ウエハまたは基板の検査および確認の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハの口径が増加する傾向により半導体ウエハは、細心の注意を払って取扱わなければならず、また、ますます脆くなっている。さらに、半導体ウエハのますます微細になるエッチングのパターンにより、各ウエハの素子が製造欠陥の影響を非常に受けやすくなっている。
【0003】
従来の方法では、半導体ウエハは、オペレータが目視で検査している。人間の目は、素人目には鏡のような外観を有する半導体ウエハ上の比較的小さな欠陥であっても検出可能である。生産品質が高くなるほど、人間の目は、小さな欠陥をうまく見つけることが可能になる。しかしながら、エッチング法がますます微細になることは、特に、特定の種類の欠陥に対して、人間の目が限界に達しつつあることを意味する。
【0004】
さらに、半導体ウエハを目視で検査するという仕事は、時間がかかりかつ緻密なものである。半導体ウエハを製造するクリーンルーム内では、人間の存在を減らすことが望ましい。また、目視検査は、コストがかかることが分かっている。検査機は、一般に、時間が掛かってかさばり、これは、オペレータに対して特定の防護を必要とする電磁放射を用いている間でのクリーンルームにおける著しい欠点である。そして、目視検査は、方法の統計的モニタリングと欠陥または問題の原因に関しての研究とにとって必須である欠陥の位置、サイズまたは種類に関連する適切な統計的データを作り出さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この状況を改善しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
半導体ウエハ検査装置は、少なくとも1つのウエハ支持体が設けられているウエハ移送アームと、ウエハをつかむグリッパと、少なくとも1つの光源と、一方側に配置された少なくとも1つのカメラと、前記ウエハの一方側および他方側で、前記ウエハの実質的に垂直方向の位置に、前記ウエハを介して延びる平面に関して対称的に配置された少なくとも2つの検査システムとを備える。検査システムの各カメラは、前記カメラに対向するウエハの表面に反射する光を捉えるように位置決めすることができる。各光源は、その表面に向かって入射ビームを送るように位置決めすることができる。前記グリッパは、ウエハの対向する縁部を保持するように構成された2つのリモートリムを備えることができる。前記グリッパは、実質的に水平な位置と実質的に垂直な位置との間でウエハを回転できるように、軸に回転可能に取付けることができる。
【0007】
半導体ウエハを検査する方法は、以下のステップ、すなわち、
−検査される半導体ウエハが、移送アームに付随する少なくとも1つの支持体によって搬送されるステップと、
−グリッパの一部を形成するリモートリムが、前記ウエハの対向する縁部をつかむステップと、
−前記グリッパが、軸の周りに回転して、前記ウエハを実質的に水平な位置から実質的に垂直な位置へ動かすステップと、
−前記ウエハの一方側および他方側に、前記ウエハを介して延びる平面に関して対称的に前記ウエハの実質的に垂直方向の位置に配置されている少なくとも2つの検査システムが作動されるステップと、
を備える。
【0008】
本発明は、非限定的な実施例として提示され、および添付の図面を参照して例示されている実施形態の詳細な説明を読むことによって、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】半導体ウエハなどのような平坦なディスクを検査する機械の概略的な斜視図であり、検査システムは図面のより良い理解のために省略されている。
【図2】図1の機械の正面図であり、カバー要素およびシャーシ要素は図面のより良い理解のために省略されている。
【図3】図1の機械の平面図である。
【図4】第1の位置におけるグリッパの概略的な側面図である。
【図5】第2の位置におけるグリッパの概略側面図である。
【図6】グリッパのリムの断面図である。
【図7】方法の手順のフローチャートである。
【図8】方法の手順のフローチャートである。
【図9】平坦なディスク状の検査機の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一般に、現在の検査機は、プレート上に載る水平位置での半導体ウエハに対して設けられる。米国特許出願公開第2008/7726号(US 2008/7726)、特開平10−56046(JP 100 56 046)、および韓国特許公開第2004−0024795号(KR 2004 0024795)を参照。同じことは、複雑な反射屈折構造をさらに提案している欧州特許第1194803号(EP 1 194 803)に当てはまる。
【0011】
本出願人は、水平位置での半導体ウエハの検査が、様々な欠点を有していることに気付いた。一方、ウエハの表面平坦度は、重力により影響され、それによりウエハ自体の重量の作用の下での変形により影響され、このことは、ウエハの口径が増加するにつれてより重要になってくる。ウエハは、300mm、さらには450mmの口径を有する可能性がある。一般的に選択されている解決策は、測定可能な表面平坦度よりも大きな表面平坦度を有する基準面であって、測定動作中にウエハがその上に位置決めされまたは保持される基準面を用いることを含む。この基準面は、一般に固体支持体の基準面である。この面とウエハとの接触は、背面の汚染原因である。他方、この方法は、前面を測定中に、この背面をマスキングする。
【0012】
米国特許出願公開第2006/18548号の文献には、フォトマスクの一方の面およびその後に他方の面が検査機によって検査できるようになっているフォトマスク反転機構が記載されている。この反転機構は、実際の検査機の歩留まりを二等分する傾向があるという点で、大量生産には向いていない。さらに、フォトマスクは、検査中に水平位置で、その縁部のみによって搬送され、このことは、前記フォトマスクが半導体ウエハにとっては実情ではない大きな厚さ対長さ比を有していることを示している。
【0013】
米国特許出願公開第2007/188745号の文献には、半導体ウエハの2つの面を斜めの位置で検査する装置が記載されている。半導体ウエハは、その半導体ウエハを浮上させたまま支持することができる空気支持機構の上に配置される。半導体ウエハの下面は、軸に沿って並進移動することができる走査ヘッドによって検査され、その走査ヘッドは、半導体ウエハの口径よりもかなり小さい長さを有している。半導体ウエハは、その半導体ウエハの縁部が当接する支持ローラによって、回転可能に駆動される。ウエハの回転と、走査ヘッドの並進移動とを組み合わせることにより、ウエハの下面を徐々に検査することができ、傾斜位置は、ローラ上のウエハの縁部に対して、ある程度の支持を実現できる。しかし、その上面の検査は、ウエハの傾斜により、特別な手段を要する。下面の検査は、装置の実際の構造が原因でかなり時間がかかる。ウエハは、浮上位置に保持する空気の流れで、振動するおよび/または変形する危険性がある。
【0014】
本発明によって、検査中に、実質的に垂直方向の位置に固定されるように保持されるウエハでは、変形の危険性がかなり低減される。実質的に垂直方向という用語は、+/−5°以内であると理解されたい。装置の対称的な構造は、装置内での規則的な層流を可能にし、検査中に半導体ウエハが埃または他の有害な要素で汚染される危険性を低減する(これは、空気が一方的に偏向されるので、傾斜位置での検査中には当てはまらない)。
【0015】
さらに、半導体ウエハの機械的安定性に対する空気の流れの影響が低減される。機械的振動が低減される。半導体ウエハにおける垂直方向位置は、それ自体の重量による変形を防ぎ、これにより、高コストで重い整流プレートの使用を避ける。半導体ウエハの下面の汚染の危険性は、ウエハが、その外縁に接触するグリッパによって把持されている限りにおいて、かなり低減される。
【0016】
半導体ウエハの下面は、同じ垂直方向位置で行うことができる検査に利用可能であり、このことにより、上面の不具合と下面の不具合との間の相関を確証する可能性が増える。さらに、背面の検査が上面の検査と同じ位置で実施されるということは、かなりの時間の節約ができる。測定動作中の半導体ウエハの安定性は、汚染の危険性を低減し、機械的振動を大幅に低減し、および測定値の信頼性を高める。
【0017】
ウエハの対向面は、従来、ウエハが垂直方向位置での検査前後にフォークによって支持されたウエハの水平位置に対して垂直方向位置にある場合であっても、上面および下面として言及されている。
【0018】
グリッパの上流および下流でウエハを支持するために設けられた支持体は、フォークを形成してもよい。従って、支持体は、グリッパのリムから離れたままで、ウエハを水平位置に移動させることができる。フォークは、半導体ウエハの良好な機械的安定性と、移送中の容認可能な限界内での自重による変形とをもたらす。移送アームは、少なくとも2つの関節軸を備えることができる。移送アームは、タレットによって支持することができる。該タレットは、2つのウエハ移送アームを支持することができる。滑動部材上に並進のためにタレットを取付けることができる。2つの移送アームを備えたタレットは、ウエハの格納とグリッパによる把持との間でウエハの動作が最適化されるようにしている。
【0019】
グリッパの各リムは、別のリムと対向して配置されている面に設けられた溝を有することができる。溝は、ウエハの縁部の形状に従って構成することができる。溝は、通常、軸方向断面でV字状とすることができる。溝は、ウエハのセルフセンタリングを確実にすることができる。
【0020】
グリッパの少なくとも1つのリムは、リムの間に保持されたウエハの平面に対して実質的に垂直な軸に沿って、枢動可能に取付されている。好ましくは、2つのリムが、平行な軸に沿って、または共通の軸に沿って枢動可能に取付される。移送要素は、グリッパのリム間の開口よりも小さい横方向空間要件を有することができる。従って、移送要素とグリッパとの間の機械的干渉の危険性が限定される。
【0021】
各光源は、グリッパのリム間の最大開口よりも大きな対角線を有するモニタを備えることができる。これによって、半導体ウエハの対向面の優れた照射が確保される。光源は、LCDまたはプラズマスクリーンを備えることができる。カメラは、対応する光源の上に配置することができる。
【0022】
装置は、光源によって、平行するラインの表示を制御するように構成された制御ユニットを備えることができる。制御ユニットは、光源によって表示される垂直方向および水平方向のラインの交互の配置を制御するように構成することができる。
【0023】
制御ユニットは、カメラに接続されている少なくとも1つの出力と、カメラと光源とを同期させるために、対応する光源に接続されている少なくとも1つの出力とを備えることができる。有利には、制御ユニットが、2つのカメラと2つの対称的な光源とを各面の特性にとって固有の露光時間または照射モード等のパラメータで制御する。
【0024】
制御ユニットは、光源の照射された楕円ゾーンと暗い外縁部とを制御するように構成することができる。この結果、半導体ウエハの表面に到達する光が最適化されて、入射光の割合が増加する。同様に、カメラによって捉えられる入射光または拡散光の割合が低減される。彩度は低下する。それによって、コントラストが改善される。
【0025】
制御ユニットは、検出品質を最適化するために、光源によって同時に異なる色の表示を制御するように構成することができる。
【0026】
制御ユニットは、光源によって交互に行われる照射を制御するように構成することができる。この結果、カメラに到達する拡散光の割合が低減される。半導体ウエハが光源によって照射される場合、その入射光の一部は、半導体ウエハを通過し、回折現象の影響を受けて、反対側に配置されたカメラに到達することができる。この現象は、当然、半導体ウエハの反射率に依存する。特に反射型のウエハの場合、この現象は、比較的無害であり、照射は同時に行うことができる。それに対し、相対的に非反射型の半導体ウエハの場合には、交互の照射が、より良い分解能検出を可能にする。
【0027】
制御ユニットは、特に、交互または同時の照射と同期して、交互にまたは同時にカメラでの撮像を制御するように構成することができる。各画像は、約100〜3000ミリ秒の露光時間で撮像することができる。カメラによる転送時間は、ほぼ5〜600ミリ秒程度にすることができる。同時または交互の撮像は、一方の面の検査とその後の他方の面の検査とを比べて、検査の所要時間を最適化することを可能にする。
【0028】
さらに、カメラは、電子的または機械的シャッタを備えることができる。カメラによる撮像と、対応する光源による照射との間の同期は、良質の画像の撮像を確実にしながら、電子的または機械的シャッタに取って代わることができる。この場合には、照射の所要時間は100〜3000ミリ秒とすることができる。
【0029】
カメラは、旋回レンズと呼ばれる対物レンズを備えることができる。焦点面の旋回により、半導体ウエハの縁部を観測することが可能である。
【0030】
モニタのLCDまたはプラズマスクリーンは、スクリーンの画素の周期性とデッドゾーンの存在とに関係される高調波の生成に結び付く付随的な残留物の低減を可能にするつや消しパネルを備えることができる。つや消しは、酸を用いて、または、サンディングまたはポリシングタイプの機械的つや消しによって実行することができる。このようにして、観測面に対して垂直にほぼナノメートル程度の欠陥検査精度が得られる。
【0031】
図1〜図3において、検査機1は、カバーが開いた状態で図示されている。より正確には、図1においてフロントカバーと、側方カバーの一方とが開いている。図2において、フロントカバーが開いている。図3において、上部カバーが開いている。当然、作動状態において、検査機1には、閉じられたこれらのカバーが与えられている。カバーは、カメラに干渉する可能性のある寄生光の導入を防ぐために、遮光性になっている。さらに、図1では、2つのスクリーンのうちの一方と、対応するカメラと、グリッパの支持体とは、他の構成要素をより良く見せるために省略されている。同様に、図2において、グリッパおよびグリッパ支持体は省略されており、実質的に垂直方向である検査位置には、基板が与えられている。
【0032】
図1〜図5を見て分かるように、検査機1は、フレーム2、例えば、開口部6がそこを貫通して拡がるパーティション5によって隔離されている検査チャンバ3および供給チャンバ4を構成する機械溶接型のフレーム2を備える。フレーム2は、カバーによって覆われる。
【0033】
検査チャンバ3は、図2および図3の中央を通って拡がる垂直面に対して対称的な構造を有する。検査機1は、矢印7で示されるように、チャンバ3の上部から底部への方向に、空気の動きを生成できるようにする層流タイプのろ過空気の供給部8を備える。また、空気の供給部8は、チャンバ3の上方壁部を形成する。測定チャンバの床部は、2つのグリッドからなるスタックによって構成されており、2つのグリッドのうちの一方は、他方のグリッドとずらすことができ、このことは、この出力をそのままにする空気の流れを制御できるようにし、またそれによって、測定チャンバ内の過剰な圧力を制御できるようにする。
【0034】
検査機1は、特に、検査機1の中央を通って拡がる、または、垂直位置で保持される検査すべき基板11を経て拡がる垂直面に対して対称的に取付けられている2つのビデオスクリーン9、10を備える。図1および図2を参照。スクリーン9、10のそれぞれは、基板11の平面に対して実質的に平行な軸、例えば、実質的に水平な軸に沿ったスクリーン9、10の方向付けと、測定面に対するスクリーン9、10の位置の移動の調節とを可能にする関節式の支持体12に載っている。スクリーン9、10は、互いに対向して離れて取付けられており、わずかに上方向、例えば、10°〜30°の角度上方向に向けられている。スクリーン9、10は、LCDまたはプラズマ型とすることができる。スクリーン9、10は、検査すべき基板の口径の1.6倍以上の高さ、例えば、300mmの口径を有する基板の場合には高さ54cmを、および450mmの口径を有する基板の場合には高さ72cmを有する。
【0035】
照射スクリーンの側部は、従来、高さおよび幅として言及されている。この高さは、スクリーンが従来のビデオディスプレイ装置として使用される場合に、スクリーンの配置方向に関してスクリーンの表示ゾーンの最小寸法であると理解されるように意図されている。
【0036】
また、検査機は、検査チャンバ3内に配置される2つのカメラ13、14も備える。カメラ13、14は、支持体12で支持することができる。支持体12は、スクリーン9またはスクリーン10と、カメラ13またはカメラ14とに共通である。カメラ13は、図1では、フレーム2の柱に隠れている。また、カメラ13、14は、位置に関して、特に、高さ、幅および長さに関して調節することができ、その長さは基板11に対する水平方向距離に対応している。さらに、カメラ13、14は、角度方向に関して調節することができる。カメラは、CCD(Charge Coupled Device)型またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型とすることができる。スクリーン9とカメラ13は、第1の検査システムを構成する。スクリーン10とカメラ14は、第2の検査システムを構成する。第1および第2の検査システムは対称的である。検査チャンバ3の一方側におけるスクリーン9、基板11およびカメラ13の位置と、他方側におけるスクリーン10、基板11およびカメラ14の位置とは、スクリーン9、10のそれぞれがその対応する面11a、11bにおいて基板11に到達する入射ビームを送りカメラ13、14が面11a、11bによって反射されたビームを捉えるように選択される。面11a、11bは平行である。入射ビームは、基板11に完全には到達しない。カメラ13、14が表面11a、11bにおける欠陥を表す光信号を検出できるほど十分に表面11a、11bが照射されるように、相対位置は選択される。スクリーン9、10の光度およびコントラストは、カメラ13、14による欠陥の検出を促進するように高レベルに調節される。さらに、チャンバ3の使われない面は、使用される波長の最大吸収能を有する。要するに、検査チャンバ3の使われない面は黒色になっている。それによって、カメラ13、14の干渉は限定される。
【0037】
カメラ13、14は、表面11a、11bに対する法線に対して斜めになっているのでわずかな収差を有し、表面11aの上端部とカメラの対物レンズとの間の距離は、表面11aの下端部とカメラ13の対物レンズとの間の距離よりも小さくなっている。同じことが、カメラ14に対向する表面11bに対するカメラ14にも当てはまる。このため、カメラ13、14は、収差を低減でき良好な観察が表面11a、11bの周辺ゾーンに対して実現できるようになっている旋回対物レンズを備えることができる。
【0038】
検査機1は、基板11を保持するグリッパ15を備える。図1および図3で見ることのできるグリッパ15は、水平受容位置および垂直検査位置を基板11に提供する図4および図5にさらに詳細にそれぞれ図示されている。グリッパ15は、フレーム2に載っているベース16と、タレット17と、2つのリム18、19とを備える。ベース16は、一般に、平行六面体形状を有する。タレット17は、開口部6を通って伸びる実質的に水平方向の軸に沿って、ベース16に関節接合されることもある。タレットは、少なくとも90°の回転を確保できるようになっている。180°の回転は、基板11を反転させることが可能であり、このことは、いくつかの用途においては、有利になることが分かっている。タレット17の回転は、ベース16内に配置されている電気機械駆動装置、例えば、ステップモータによって、実行することができる。
【0039】
リム18、19は、基板11がリム18、19によって搬送される場合、基板11に対する垂直な面に関して対称的になっている。リム18、19のそれぞれは、タレット17の旋回軸に対してずれており、かつ基板11に対して垂直である自身の軸に沿って、タレット17に関節接合されている。一つの変形例において、リム18、19は、同軸とすることができる。別の変形例においては、これらのリムのうちの一方がタレット17に対して固定されており、および他方のリムが関節接合されている。タレット17は、リム18、19を作動させる部材、例えば、2つのステップモータの形態、または、1つステップモータと、リム18、19をそれらの角度位置に関係なく対称的なままにすることを可能にする歯車機構との形態の部材を備える。リム18、19は、2つの作動位置、すなわち、基板11を近づけたり遠ざけたりするのに用いられる開位置と、基板11の外縁部11cに係合する位置との間で旋回することができる。図4および図5は、係合している位置を示す。
【0040】
より具体的には、リム18、19のそれぞれは、タレット17の空間的要件が、基板11の口径よりも小さくなるような湾曲形状を有する。換言すれば、リム18、19は、曲折アクセントの付いた形状をしている。リム18、19の各々は、他方のリム19、18の内面と対向しており、かつ基板11の外縁部11cと接触するように設けられている内面18a、19aを有する。内面18a、19aは、タレット17の旋回軸と平行な細長い溝20を有する。図6で見ることのできる溝20は、基板11の外縁部11cと適切な方法で協働するために、および図4に図示されている基板11の水平位置と、図5に図示されている垂直位置との両方で保持を提供するため、そして、基板11の変形、特に検査位置での座屈を無視できる値に低減するわずかな締め付け動作を伴う中間位置で保持を提供するために、V字状の断面、あるいは半円またはオジーブ(ogive)の形状をした断面を有することができる。
【0041】
検査機1は、検査前に基板11をグリッパ15へ持って行き、検査後に基板をグリッパ15から外すように設けられている基板ハンドリング部材21を備える。ハンドリング部材21は、供給チャンバ4内に配置されている。ハンドリング部材21は、パーティション5に設けられた開口部6を通過することが可能な動作要素が備えてられているロボットの形状とすることができる。
【0042】
検査機1は、複数の基板11を格納するために取外すことができる2つのコンテナ22、23を備える。コンテナ22、23は、内部パーティション5とは反対側で、チャンバ4の壁部によって支持されている。コンテナ22、23は、検査機1に対して分離されている間は閉じられるように自閉型とすることができる。同様に、ハンドリングチャンバ4の壁部には、コンテナ22、23の領域に開口部が設けられており、好ましくは、コンテナ22、23が完全に取外される前に供給チャンバ4を閉鎖する自動シャッタが設けられている。これにより、埃による検査機1の基板11およびチャンバの汚染が制限される。
【0043】
検査機1は、基板11用のプリアライメント部材24を備える。プリアライメント部材24は、供給チャンバ4の長手方向端部に、パーティション5に沿って配置することができる。プリアライメント部材24および供給チャンバ4は、パーティション25によって隔離されており、ハンドリング部材21によって搬送される基板11の通過を可能にする開口25aがパーティションを介して延びている。さらに、検査機1は、電子スキャナの形状とすることができる制御処理ユニット26を備える。制御ユニット26は、分離パーティション27と一緒に、プリアライメント部材24の反対側の供給チャンバ4の端部に配置されている。また、処理ユニット26は、パーティション5と接触することも可能である。制御ユニット26は、スクリーン9、10と、カメラ13、14と、グリッパ15と、ハンドリング部材21とに接続されている。
【0044】
ハンドリング部材21は、パーティション5と平行な軸に沿って、フレーム2に対して並進移動することが可能なタレット28を備える。このようにして、ハンドリング部材21は、一つの位置においてプリアライメント部材24に向かう方向で開口25aに接近することができ、また、別の位置においてグリッパ15と対向して、または、コンテナ22と対向して、または、コンテナ23と対向して、開口部6の領域内で移動することができる。タレット28は、フレーム2に固定接合されている滑動部材29に沿って移動することができる。ハンドリング部材21は、タレット28によって支持された、2つの関節軸を有するアーム30と、タレット28の反対側のアーム30の端部によって支持されたフォーク31とを備える。アーム30の関節軸は、実質的に垂直とすることができる。換言すれば、アーム30には、フォーク31に載っている基板11の面に対して垂直な2つの互いに平行な関節軸が設けられている。
【0045】
フォーク31は、実質的に一定の厚みと、2つの歯が残ることを可能にする、一つの短辺から設けられている大きな切り欠きを有する概して矩形状の外形とを有するプレートの形状とすることができる。この切り欠きは、一般に、わずかに開いたU字形状を有することができる。フォーク31の歯は、基板移送要素を構成する。フォーク31の歯の間の間隔は、処理すべき基板の口径に適合させることができ、例えば、300mmの口径を有する基板の場合には150〜250mm、または、450mmの口径を有する基板の場合には225〜400mmとすることができる。フォーク31には、スライド29上のタレット28の動作により、および、アーム30の2つの関節軸によって可能となる2つの回転により、水平面内での移動が提供される。ハンドリング部材21は、垂直動作用の機構、特に、フォーク31の高さを調節し、その結果、フォーク31によって搬送される基板11を調節するために並進移動の機構を備える。
【0046】
図7を参照すると、動作中、制御ユニット26は、ハンドリング部材21、グリッパ15、スクリーン9、10、およびカメラ13、14を制御する。ハンドリング部材21は、検査すべき複数の基板を収容するコンテナ22に対向し示されている。フォーク31は、基板11の下を通り、それから、基板11を数ミリメートル上昇させて、基板11を支えるコンテナ22から引っ込む。次いで、ハンドリング部材21は、例えば、径方向運動を伴って動かされ、および基板11の外縁部11cに接触する3つのフィンガを用いて、基板11の適切な位置決めをもたらすプリアライメント部材24の所まで基板11を移動させる。次に、フォーク31は、基板11が捉えられていることを確認し、グリッパ15のリム18とリム19との間で基板を動かすために開口部6を通して移動させる。フォーク31はリム18、19のほんの僅か下に配置され、基板11はリム18、19の領域内に置かれるようにしている。リム18、19は、基板11の外縁部11cに対してクランプされる。フォーク31は、この時点でリム18とリム19との間に保持され、具体的には、溝20で保持されている基板11から離れるように下げられる。ハンドリング部材21は、例えば、ハンドリングチャンバ4内にフォーク31を引っ込める。
【0047】
グリッパ18、19間に実質的に水平な始動位置で保持される基板11は、図1に示す実質的に垂直な位置に基板を移動させるために、4分の1回転される。次に、制御ユニット26は、グリッパ15によって定位置に固定される基板11の面11aへのスクリーン9による照射を制御することにより、検査自体を進行させる。スクリーン9は、明と暗が交互になっている実質的に垂直なラインを表示し、その後に、明(白またはカラー)と暗が交互になっている実質的に水平なライン35をq回(qは1〜20)表示する。同時に、カメラ13は、例えば、100〜3000ミリ秒の間の所要時間、画像を撮像する。カメラ13は、各種類のラインに対して、一連の画像を撮る。次いで、スクリーン9がオフにされ、基板11の面11bを照射するために、スクリーン10が照射される。スクリーン10は、スクリーン9のラインと同様のライン、具体的には、垂直ライン34を表示する(図2)。カメラ14は、同時に1つ以上の画像を撮る。カメラ13、14によって撮られた画像は制御ユニット26へ転送され、その制御ユニットによって欠陥の存在、具体的には、基板の面11a、11bの表面平坦度または外観の欠陥を確認するための処理動作が行われる。この逐次的動作モードは、有利には、同時モードと置き換えることができ、その場合、上面を検査するスクリーン/カメラシステムと、下面を検査するスクリーン/カメラシステムシステムとは独立してかつ同時に作動する。
【0048】
一実施形態において、上記照射は、スクリーン9、10の全面によって提供される。本出願人は、スクリーン9、10上への基板11の面11a、11bの幾何学的投射に対応するようにスクリーン9、10の楕円形ゾーンに照射をそれぞれ制限することが有利であることに気付いている。この場合、垂直ライン34、そして水平ライン35は楕円形ゾーン32内に表示され、スクリーンの外縁部33は暗のままである。検査チャンバ3内で拡散する光量は低減され、カメラ13、14に対して干渉は低減され、これにより、品質が向上した信号を生成することができる。
【0049】
次いで、実質的に垂直な位置での基板11の静止段階は終了するため、制御ユニット26によって制御されるグリッパ15のタレット17は、実質的に4分の1回転して、実質的に水平な位置に基板11を置く。ハンドリング部材21のフォーク31は、安全距離、例えば、数ミリメートル程度の距離で基板11の下に移動した後、垂直方向に動いて、基板11の下面11bの領域まで低速で上昇する。その後、リム18、19は、係合位置から開位置へ動いて、基板11がフォーク31の上に載る。
【0050】
フォーク11は、検査チャンバ3を離れて、供給チャンバ4内に移動して、基板11をコンテナ22またはコンテナ23内に置く。それから、このサイクルを繰り返すことができる。当然、検査機の生産性を向上させるために、ハンドリング部材21は、既にグリッパ15へ搬送されている基板11がカメラ13、14によって検査されているステップの間に、基板11を受け取ってそれをプリアライメント部材24へ搬送するように制御することができる。
【0051】
図7のフローチャートを見て分かるように、スクリーン9、10による照射のステップ、およびカメラ13、14による観察のステップは、十分に的確なデータが得られるまで繰り返すことができる。サブステップの工程数pは1〜10とすることができる。
【0052】
図9の実施形態においては、ハンドリング部材21には、各々にフォーク31、32が設けられている2つのアーム30、33を支持するタレット28を設けることができる。上流フォークと呼ばれるフォークがカメラ13、14による検査より前にハンドリングステップの専用にすることができるのと同時に、下流フォークと呼ばれる追加的なフォークがカメラ13、14による検査の後に続くハンドリングステップの専用にして検査済みの基板11をグリッパ15からコンテナ22またはコンテナ23へ移動させることができる限りにおいて、検査機1の生産性は、図8のフローチャートに従うことにより、改善することができる。
【0053】
幾つかのステップは、各ステップのそれぞれの所要時間に依存して、特に、カメラ13、14による検査の所要時間に依存して、同時に実行することができる。より具体的には、上流フォークは、先行の基板がカメラ13、14によって検査され先行の基板が下流フォークによって取り除かれるのを待っている間に、プリアライメント部材24から基板を取外すことができる。下流フォークが先行の基板11を処理チャンバ3から取り除くとすぐに、上流フォークは次の基板を処理チャンバ3内へ導入することができる。換言すれば、カメラ13、14による2つの検査ステップの間の所要時間が低減されて、より高い歩留まりがもたらされる。
【0054】
さらに、該上流フォークは、基板11をプリアライメント部材24へ持って行くことと、基板11をグリッパ15へ持って行くことを実行するための2つの機能を有し、一方、下流フォークは、検査済みの基板11を下流のコンテナ23へ持って行くことを実行する1つのハンドリング機能を有する。制御ユニット26は、上流フォーク31に優先順位を与えることができるが、このこともまた、サイクル時間をわずかに低減することを可能にする。このようにして、下流フォークは格納を待っている検査済みの基板とともに残存することができ、一方、上流フォークは別の動作、例えば、基板をプリアライメント部材24へ持って行くためにコンテナ22から基板を取り出すこと、または、プリアライメント部材24から基板11を取り除くことが実行される。
【0055】
さらに、制御ユニット26は、スクリーン9、10によって形成される光源を同時に作動させるように構成することができる。
【0056】
コンテナ22、23は、一方を上流コンテナとして、および他方を下流コンテナとして用いることができる。コンテナ22、23は交互に用いることができ、コンテナ22から取出された基板11は、検査後にそこに、任意には同じ位置に戻すことができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのウエハ支持体が設けられているウエハ移送アーム(30)を備える半導体ウエハの検査装置(1)であって、
ウエハをつかむグリッパ(15)であって、グリッパ(15)が前記ウエハの対向する縁部を保持するように構成された2つのリモートリム(18、19)を備え、グリッパ(15)が、実質的に水平方向の位置と実質的に垂直方向の位置との間で、前記ウエハを回転できるように軸に回転可能に取付けられている前記グリッパ(15)と、
前記ウエハの実質的に垂直方向の位置で前記ウエハの一方側および他方側に、前記ウエハを介して延びる平面に関して対称的に配置されている少なくとも2つの検査システムとを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記検査システムは、前記ウエハが実質的に垂直方向の位置に固定されている場合に作動される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記各検査システムが、少なくとも1つの光源(9、10)と、少なくとも1つのカメラ(13、14)とを備え、各カメラ(13、14)は該カメラと対向する前記ウエハの表面で反射された光を捉えるように位置決めされ、各光源は入射光ビームを前記表面へ向けて送るために位置決めされる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記移送アーム(30)が、少なくとも2つの関節接合軸を備え、および少なくとも1つのウエハ移送アームを支持するタレット(28)によって支持され、前記タレット(28)は、滑動部材(29)に並進移動可能に取付けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記グリッパの各リム(18、19)が他方のリムと対向して配置された面に設けられた溝(20)を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記溝(20)が概してV字状である、請求項1〜5に記載の装置。
【請求項7】
前記リムの少なくとも1つが、前記リムの間に保持された前記ウエハの面に対して実質的に垂直である軸の周りに旋回するために取付けられている、請求項5〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記移送要素が、前記グリッパ(15)の前記リムの間の開きよりも小さな横方向空間要件を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
各光源は、最小寸法が前記グリッパの前記リムの間の最大開きの1.5倍以上大きいモニタ(9、10)を備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記モニタ(9、10)がLCDまたはプラズマスクリーンを備える、請求項1〜9に記載の装置。
【請求項11】
前記カメラ(13、14)が前記光源の上に配置される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記光源による平行ラインの表示を制御するように構成される制御ユニット(26)を備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記制御ユニット(26)が、カメラに接続される少なくとも1つの出力と、前記カメラと前記光源とを同期させるために、対応する前記光源に接続される少なくとも1つの出力とを備える、請求項1〜12に記載の装置。
【請求項14】
前記制御ユニット(26)が、前記光源の照射された楕円形ゾーン(32)と、暗い外縁部(33)とを制御するように構成される、請求項12〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記制御ユニット(26)が前記光源による異なる色の表示を同時に制御するように構成される、請求項12〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記制御ユニット(26)が前記光源による交互の照射を制御するように構成される、請求項12〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
半導体ウエハを検査する方法であって、
検査すべき半導体ウエハが、移送アーム(30)に付随する少なくとも1つの支持体によって搬送され、グリッパの一部であるリモートリム(18、19)が、前記ウエハの対向する縁部をつかみ、グリッパ(15)は、軸の周りに回転して前記ウエハを実質的に水平な位置から実質的に垂直な位置へ動かし、前記ウエハの実質的に垂直方向の位置で前記ウエハの一方側および他方側に、前記ウエハを介して延びる平面に関して対称的に配置される少なくとも2つの検査システムが作動される、方法。
【請求項18】
前記検査システムは、前記ウエハがその実質的に垂直方向位置に固定された場合に作動される、請求項16に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−522401(P2011−522401A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508970(P2011−508970)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000544
【国際公開番号】WO2009/141534
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(510299363)
【氏名又は名称原語表記】ALTATECHSEMICONDUCTOR
【住所又は居所原語表記】611 rue Aristide Berges, F−38330 Montbonnot−Saint−Martin, France
【Fターム(参考)】