説明

半導体パッケージ基板

【課題】放熱効果及び層間熱膨張係数の差から発生する反り現象を防止できるとともに、層間熱膨張係数の差による内部変形率の差から発生する内部クラックを防止できる半導体パッケージ基板を提供する。
【解決手段】ベース基板110と、ベース基板110の上部に実装される実装材120と、ベース基板110と実装材120との間に形成される接着層140と、を含み、接着層140は、熱伝導性接着剤141と、熱伝導性接着剤141の外周に形成される軟性接着剤143と、を含むものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどのような家庭用電子製品の普及が増加するに伴い、家庭用電子製品に含まれる様々な種類の半導体素子モジュールの需要も増加している。例えば、家庭用電子製品に含まれる半導体素子モジュールの中には、インバータボード(Inverter Board)がある。インバータボード内に使用される電力モジュールは、電力制御またはモータ駆動の核心部品であり、インバータボードにおいてモータの駆動を制御する機能を行うモータ電源を制御する。このような電力モジュールは、家庭用だけでなく産業用としても使用される広い市場性を有する高価値の電子部品である。電子製品の高信頼性のためには、電力モジュールの信頼性が非常に重要である。電力モジュールの高信頼性のためには、電力モジュールを構成するチップ及びチップが実装される半導体パッケージ基板の安定した構造が要求される。しかし、チップが実装される半導体パッケージ工程及び信頼性試験を行う際、高温に露出され、チップ及び半導体パッケージ基板を構成する複数層間の熱膨張係数の差により、層間クラック及び半導体パッケージ基板の反りが発生する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、本発明の一側面は、半導体パッケージ基板に、半導体チップまたはリードフレームが実装される際、放熱効果及び層間熱膨張係数の差から発生する反り現象を防止できる半導体パッケージ基板を提供することを目的とする。
【0004】
また、本発明の他の側面は、半導体パッケージ基板の層間熱膨張係数の差による内部変形率の差から発生する内部クラックを防止できる半導体パッケージ基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によると、ベース基板と、前記ベース基板の上部に実装される実装材と、前記ベース基板と前記実装材との間に形成される接着層と、を含み、前記接着層は、熱伝導性接着剤と、前記熱伝導性接着剤の外周に形成される軟性接着剤と、を含む半導体パッケージ基板が提供される。
【0006】
前記熱伝導性接着剤は、ソルダ(Solder)からなる接着剤であることが好ましい。
【0007】
前記軟性接着剤は、シリコン(Silicon)またはエポキシ(Epoxy)からなる接着剤であることが好ましい。
【0008】
前記ベース基板と前記接着層との間に形成される金属シード層をさらに含むことが好ましい。
【0009】
前記金属シード層は、前記接着層の下部全面に形成されることが好ましい。
【0010】
前記金属シード層は、前記接着層のうち熱伝導性接着剤の下部に形成されることが好ましい。
【0011】
前記金属シード層は、銅からなることが好ましい。
【0012】
前記接着層は、前記軟性接着剤の外周に形成された接着剤レジストをさらに含むことが好ましい。
【0013】
前記接着剤レジストは、耐熱性樹脂からなることが好ましい。
【0014】
前記接着剤レジストは、ソルダレジストであることが好ましい。
【0015】
前記ベース基板は、セラミック基板または金属基板からなることが好ましい。
【0016】
前記実装材は、半導体チップまたはリードフレームであることが好ましい。
【0017】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以下の詳細な説明によってさらに明らかになるであろう。
【0018】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の半導体パッケージ基板は、接着層が熱伝導性接着剤及び軟性接着剤からなることにより、放熱効果及び層間熱膨張係数の差から発生する反り現象を防止できる効果を同時に導き出すことができるという長所がある。
【0020】
また、本発明の半導体パッケージ基板は、接着層が軟性接着剤を含むことにより、層間熱膨張係数の差による内部変形率の差から発生する内部クラックを防止することができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例による半導体パッケージ基板の構造を図示した断面図である。
【図2】本発明の他の実施例による半導体パッケージ基板の構造を図示した断面図である。
【図3】本発明の更に他の実施例による半導体パッケージ基板の構造を図示した断面図である。
【図4】従来技術による半導体パッケージ基板の反り程度に対する熱変形構造の解釈を示す斜視図の写真である。
【図5】本発明の一実施例による半導体パッケージ基板の反り程度に対する熱変形構造の解釈を示す斜視図の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。
【0023】
また、本発明を説明するにあたり、係わる公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。本明細書において、第1、第2などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素が前記用語によって限定されるものではない。
【0024】
半導体パッケージ基板の反り現象が生じる原因の一つは、半導体パッケージ基板を構成する複数層の熱膨張係数の差にある。また、半導体パッケージに実装されるチップの種類によって放熱機能が重要視される場合もある。
【0025】
本発明では、半導体パッケージ基板において、実装材とベース基板とを接着する接着層に熱伝導性接着剤と軟性接着剤を全て使用する。これにより、チップから発生する熱に対する放熱効果を有するとともに、層間熱膨張係数の差による接着層のクラック及び反り現象を改善することを目的とする。
【0026】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施例による半導体パッケージ基板に関して詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施例による半導体パッケージ基板の構造を図示した断面図である。
【0028】
図1に図示したように、本発明の実施例による半導体パッケージ基板100は、ベース基板110と、実装材120と、金属シード層130と、接着層140と、を含む。
【0029】
ベース基板110は、実装材120が実装される基板である。ベース基板110は、実装される実装材120の放熱のために熱伝導性物質からなることが好ましい。例えば、ベース基板110は、セラミック基板または銅、金などからなる金属基板で構成することができる。ここで、ベース基板110の種類は、金属基板またはセラミック基板に限定されず、実装材120の放熱効果が導き出せる熱伝導性物質からなる基板であればいずれも使用できる。
【0030】
実装材120は、ベース基板110に実装されるものであって、例えば、半導体チップまたはリードフレームであることが好ましい。
【0031】
金属シード層130は、ベース基板110と接着層140との接着力を向上させるためのものであって、ベース基板110上に形成される。金属シード層130は、銅、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、亜鉛、スズ、シリコン、パラジウム、チタンなどを単独または組み合わせることにより形成することができる。本発明の実施例よると、金属シード層130は、銅からなることが好ましい。金属シード層130は、ベース基板110上に真空蒸着、スパッタリング(sputtering)のような物理蒸着または化学気相蒸着のいずれの方法を用いても蒸着することができる。
【0032】
接着層140は、ベース基板110に実装材120を接着するためのものであって、金属シード層130と実装材120との間に形成される。本発明の実施例によると、接着層140は、熱伝導性接着剤141及び軟性接着剤143からなる。
【0033】
熱伝導性接着剤141は、実装材120下部の中心部に形成される。例えば、実装材120が半導体チップである場合、熱伝導性接着剤141が形成される半導体チップの中心部には、メモリなどのような回路領域が集中されているため、高温の熱の発生する部分になる可能性がある。従って、実装材120の高温の熱が発生する部分に熱伝導性接着剤141を形成することにより、放熱特性を向上させることができる。本発明の実施例によると、熱伝導性接着剤141は、ソルダ(Solder)を含む接着剤であることが好ましい。しかし、熱伝導性接着剤141は、ソルダを含む接着剤に限定されず、熱伝導度の高い物質を含んでいる接着剤であればいずれも使用できる。
【0034】
軟性接着剤143は、熱伝導性接着剤141の外周に形成される。即ち、軟性接着剤143は、実装材120の下部で熱伝導性接着剤141を取り囲む形態で形成されることが好ましい。軟性接着剤143は、その後に行われる工程により温度変化が生じる際、層間熱膨張係数の差から熱伝導性接着剤141で発生するクラック及び半導体パッケージ基板100の反り現象を防止するためのものである。従って、軟性接着剤143は、熱伝導性接着剤141より軟性の高い物質からなることが好ましい。このような軟性接着剤143が熱伝導性接着剤141の外周に形成されることにより、接着層140の内部または金属シード層130と接着層140との間の外部から内部に成長するクラックなどの亀裂が生じることを防止することができる。本発明の実施例によると、軟性接着剤143は、シリコン(Silicon)からなる接着剤またはエポキシ(Epoxy)樹脂からなる接着剤であることが好ましい。
【0035】
このように、半導体パッケージ基板100は、熱伝導性接着剤141の熱伝導特性により放熱効果を有することができる。また、半導体パッケージ基板100は、軟性接着剤143の軟性特性により、層間熱膨張係数の差から発生する反り現象を防止することができる。また、軟性接着剤143により、半導体パッケージ基板100は、層間熱膨張係数の差による層間内部変形率の差から生じるクラックを防止することができる。従って、本発明の実施例による半導体パッケージ基板100は、その後に行われる高温工程及び高温信頼性試験において高い信頼性を有することができる。
【0036】
図2は、本発明の他の実施例による半導体パッケージ基板の構造を図示した断面図である。
【0037】
図2を参考すると、接着層140の熱伝導性接着剤141は、金属シード層130と実装材120との間に形成される。また、接着層140の軟性接着剤143は、ベース基板110と実装材120との間に形成される。
【0038】
ここで、金属シード層130を実装材120において高温が発生する中心部に位置するように形成することが好ましい。このように、実装材120の中心部に位置するように形成された金属シード層130上に熱伝導性接着層140が形成されることが好ましい。
【0039】
軟性接着剤143は、ベース基板110と実装材120との間に形成され、熱伝導性接着剤141と金属シード層130の外周を同時に取り囲む形態で形成されることが好ましい。このような構造で熱伝導性接着剤141及び軟性接着剤143を含む接着層140が形成されることにより、実装材120から発生する高温に対する放熱特性を向上させ、層間熱膨張係数の差により生じる反り現象及びクラックを防止することができる。
【0040】
図3は、本発明の更に他の実施例による半導体パッケージ基板の構造を図示した断面図である。
【0041】
図3を参考すると、接着層140は、接着剤レジスト145をさらに含むことができる。
【0042】
本発明の実施例による接着剤レジスト145は、軟性接着剤143の外周に形成されることが好ましい。接着剤レジスト145は、軟性接着剤143の外周に形成されることで、軟性接着剤143が実装材120に対するぬれ性(wettability)により、実装材120より外部に突出して流れることを防止することができる。本発明の特性による接着剤レジスト145には、耐熱性樹脂が使用されることが好ましい。例えば、接着剤レジスト145は、ソルダを含むソルダレジストからなることが好ましい。
【実施例】
【0043】
以下、下記実施例及び従来技術によって、本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は、本発明の範疇を限定するものではない。
【0044】
図4は、従来技術による半導体パッケージ基板の反り程度に対する熱変形構造の解釈を示す斜視図の写真である。
【0045】
図4を参考すると、従来技術による半導体パッケージ基板の場合(実装材とベース基板とを接着する接着層に熱伝導性接着剤及び軟性接着剤を使用しない場合)、高さの最大値と最小値との差が約77μmの反り程度を示すことが分かる。
【0046】
図5は、本発明の一実施例による半導体パッケージ基板の反り程度に対する熱変形構造の解釈を示す斜視図の写真である。
【0047】
図5を参考すると、本発明の一実施例による半導体パッケージ基板の場合、高さの最大値と最小値との差が約67μmの反り程度を示すことが分かる。
【0048】
即ち、表1に示すように、本発明の一実施例による半導体パッケージ基板の反り程度が、従来技術に比べ13%程度改善したことが分かる。
【0049】
【表1】

【0050】
以上、本発明を実施例に基づいて詳細に説明したが、これは、本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明による半導体パッケージ基板は、これに限定されず、該当技術分野において通常の知識を有する者であれば、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域を外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であることを理解するであろう。
【0051】
本発明の単純な変形乃至変更は、いずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は、添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、半導体チップまたはリードフレームを実装するための半導体パッケージ基板に適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
100 半導体パッケージ基板
110 ベース基板
120 実装材
130 金属シード層
140 接着層
141 熱伝導性接着剤
143 軟性接着剤
145 接着剤レジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
前記ベース基板の上部に実装される実装材と、
前記ベース基板と前記実装材との間に形成される接着層と、を含み、
前記接着層は、
熱伝導性接着剤と、前記熱伝導性接着剤の外周に形成される軟性接着剤と、を含む半導体パッケージ基板。
【請求項2】
前記熱伝導性接着剤は、ソルダ(Solder)からなる接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ基板。
【請求項3】
前記軟性接着剤は、シリコン(Silicon)またはエポキシ(Epoxy)からなる接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ基板。
【請求項4】
前記ベース基板と前記接着層との間に形成される金属シード層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ基板。
【請求項5】
前記金属シード層は、前記接着層の下部全面に形成されることを特徴とする請求項4に記載の半導体パッケージ基板。
【請求項6】
前記金属シード層は、前記接着層のうち熱伝導性接着剤の下部に形成されることを特徴とする請求項4に記載の半導体パッケージ基板。
【請求項7】
前記金属シード層は、銅からなることを特徴とする請求項4に記載の半導体パッケージ基板。
【請求項8】
前記接着層は、前記軟性接着剤の外周に形成された接着剤レジストをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ基板。
【請求項9】
前記接着剤レジストは、耐熱性樹脂からなることを特徴とする請求項8に記載の半導体パッケージ基板。
【請求項10】
前記接着剤レジストは、ソルダレジストであることを特徴とする請求項8に記載の半導体パッケージ基板。
【請求項11】
前記ベース基板は、セラミック基板または金属基板からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ基板。
【請求項12】
前記実装材は、半導体チップまたはリードフレームであることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−38375(P2013−38375A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247516(P2011−247516)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】