半導体レーザ光源、半導体レーザ光源の制御方法、ホログラム記録再生装置およびホログラム記録媒体
【課題】所定の2次元パターンを正確に再生することなく、直接記録媒体からの反射光を用いて容易に光源の波長を設定可能な半導体レーザ光源を提供する。
【解決手段】波長可変レーザの出射光62の一部の光を直接、情報記録媒体20の反射構造パターン領域22に入射させる。反射構造パターンは特定の波長の光のみを反射する反射膜が形成されているので、回折格子52を回転させながら発振波長を調整した場合、設定波長になれば、反射光が発生し、同じ光路を通過して再び半導体レーザ光源50に帰還する。ノイズが発生している場合には、結果的に発振状態がマルチモードに近い状態になり、波長及び光パワーが不安定化する。この状態を光検出器55の出力により検出することで、ホログラム記録媒体20の反射構造パターン領域22に設定された特定の波長に一致したことを検出する。
【解決手段】波長可変レーザの出射光62の一部の光を直接、情報記録媒体20の反射構造パターン領域22に入射させる。反射構造パターンは特定の波長の光のみを反射する反射膜が形成されているので、回折格子52を回転させながら発振波長を調整した場合、設定波長になれば、反射光が発生し、同じ光路を通過して再び半導体レーザ光源50に帰還する。ノイズが発生している場合には、結果的に発振状態がマルチモードに近い状態になり、波長及び光パワーが不安定化する。この状態を光検出器55の出力により検出することで、ホログラム記録媒体20の反射構造パターン領域22に設定された特定の波長に一致したことを検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報記録再生装置および情報記録媒体に関し、より特定的には、ホログラフィにより情報を記録あるいは再生するための半導体レーザ光源、それを制御する半導体レーザ光源の制御方法およびそれを備えたホログラム記録再生装置ならびにホログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラムを利用して情報記録媒体に情報を記録するホログラム記録は、一般的に、イメージ情報を含む物体光と記録用の参照光とを情報記録媒体の内部で重ね合わせ、その時にできる干渉パターンを情報記録媒体に書き込むことによって行なわれる。
【0003】
情報記録媒体に記録された情報の再生時には、その情報記録媒体に再生用の参照光を照射することで、干渉パターンによる回折によりイメージ情報が再生される。
【0004】
近年では、超高密度光記録のために、ボリュームホログラム、特に、デジタルボリュームホログラムが実用域で開発され、注目を集めている。ボリュームホログラムとは、情報記録媒体の厚み方向も積極的に活用して、情報記録媒体に対して3次元的に干渉パターンを書き込むホログラム記録方式である。
【0005】
ボリュームホログラムでは、情報記録媒体の厚みを増すことで回折効率を高められ、多重記録を用いて記録容量の増大を図ることができるという特徴がある。
【0006】
デジタルボリュームホログラムとは、ボリュームホログラムと同様の情報記憶媒体および記録方式を用いつつも、記録するイメージ情報は2値化されたデジタルパターンに限定されたコンピュータ指向のホログラム記録方式である。
【0007】
デジタルボリュームホログラムでは、たとえば、アナログ的な絵のような画像情報も一旦デジタイズして2次元デジタルパターン情報に展開し、これをイメージ情報として記録する。
【0008】
デジタルボリュームホログラムの再生時には、このデジタルパターン情報を読み出してデコードすることにより、元の画像情報に戻して表示する。これにより、再生時にSN比(信号対雑音比)が多少悪くても、微分検出を行なったり、2値化データをコード化しエラー訂正を行なったりすることで、極めて忠実に元の情報を再現することが可能となる。
【0009】
ホログラム記録の方式としては、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)等と同様に、ディスク状の情報記録媒体を採用して光ピックアップ装置を使用する方式が有力である。
【0010】
この光ピックアップ装置は、情報記録媒体に対する情報の記録と情報記録媒体からの情報の再生とを行なうための光学系を含む。
【0011】
一般的に、光ピックアップ装置では、ディスク状の情報記録媒体を回転させつつ光ピックアップ装置内の対物レンズを駆使してフォーカスサーボとトラッキングサーボとを行なうようになっている。
【0012】
上記のような光ピックアップ装置の構成では、ディスク状の情報記録媒体が撓んだり歪んだりした場合には、光ピックアップ装置から情報記録媒体に照射される光の入射角が変化したり、温度や電流によって半導体レーザ光源の発振波長が変化する場合がある。
【0013】
CD、DVD等は、ピットによる反射光の強弱を情報として読み取る構造であるから、情報記録媒体の歪みや波長の変化に対しては比較的マージンが大きく、フォーカシングサーボやトラッキングサーボについても実用上問題ないレベルの制御が実現できている。
【0014】
しかし、ホログラフィック記録の場合、記録時には物体光と記録用の参照光との干渉パターンを記録し、再生時には再生用の参照光と干渉パターンとの回折を再生する。このため、ホログラフィック記録の場合には、物体光および各参照光が記録時と再生時とにおいて同じ角度やフォーカシング状態で正確に入射しないと、記録時と再生時とで情報記録媒体に対する波面が異なり、SN比が極端に悪くなってしまうという現象が起きていた。
【0015】
また、光源の波長に関しても記録時と同じ波長で再生しなければ、回折効率が極端に低下して再生が困難となるという問題があった。
【0016】
それゆえ、ホログラフィック記録を実用化する際には、情報記録媒体と光ピックアップ装置との相対的な傾きや位置を補正したり、発振波長を正確に制御する手段が重要となってくる。
【0017】
例えば、特許文献1には、再生時に再生信号を用いてサーボ制御によるホログラム記録媒体のチルティング、フォーカシング及び光源の波長の少なくとも1つの微調整を行う微調整手段を備えたホログラム記録再生装置が示されている。
【0018】
図10は、従来のホログラム記録再生装置について説明する図である。
図10を参照して、ここで示される光学系は、波長を変更することのできるレーザ光源101、コリメータレンズ102、第1ビームスプリッタ103、空間光変調器104、反射プリズム105と、第2ビームスプリッタ106、第1対物レンズ107、反射ミラー108、プリズム109、第2対物レンズ110、第3ビームスプリッタ111、撮像素子112、凸レンズ113、シリンドリカルレンズ114及び受光素子115で構成されている。
【0019】
レーザ光源101から出た光は、第1ビームスプリッタ103を通過し、空間光変調器104で反射され、さらに反射プリズム105で反射されて、第1対物レンズ107によりホログラム記録媒体120に照射する。
【0020】
空間光変調器104は、多数の微小ミラーがその反射面を変更可能に格子状に配列されたDMD(Digital Mirror Device)からなり、デジタルデータを構成する各ビットに微小ミラーを対応させ、当該ビットの内容(「0」あるいは「1」)に応じて反射角を変化させることよりホログラム記録媒体120に照射すべき記録すべきデジタルデータに応じた光像を生成するものである。
【0021】
空間光変調器104の中央部は、反射ミラー104aが設けられているため、反射される光線のうち中央部の光線は変調されずに反射され、トラッキングなどのサーボ制御信号を生成するサーボ制御光となる。それ以外の光線はDMDの微小ミラーによってデジタルデータ情報(2次元光像)を含む記録光として、対物レンズ107によりホログラム記録層121に結像するように焦点が調節されている。
【0022】
また、第1ビームスプリッタ103で反射された光はさらに反射ミラー108で反射され、プリズム109によりその光軸が記録光の光軸側に変更された後、参照光として記録光の光軸に対して所定の入射角で第2対物レンズ110によりホログラム記録媒体120に入射するようになっている。
【0023】
ホログラム記録媒体120に入射された記録光と参照光は、互いに干渉してホログラムを発生し、このホログラムがホログラム記録媒体120に記録される。
【0024】
また、反射ミラー108は、反射角が微小変位可能にアクチュエータ108aに保持されている。アクチュエータ108aは、反射ミラー108の反射角を微小変位させることにより、ホログラム記録媒体120の回転時の面ブレに起因するホログラム記録媒体120に対する参照光の入射角の微小変位の調整(チルティングの微調整)を実行している。
【0025】
再生時は、参照光によって発生する回折光(再生光)が、第1対物レンズ107を通って第2ビームスプリッタ106により反射され、検出系の第3ビームスプリッタ111に導びかれる。
【0026】
第3ビームスプリッタ111は、その再生光を後方の撮像素子112に導く一方、記録・再生時に第2ビームスプリッタ106から出射されるサーボ制御光を分離する。そして、分離されたサーボ制御光は、凸レンズ113及びシリンドリカルレンズ114を通して受光素子115に導びかれる。
【0027】
撮像素子112は、複数の光電変換素子が空間光変調器104以上の解像度で格子状に配列されたエリアセンサからなり、例えばCCD(Charge-Coupled Device)エリアセンサで構成されている。
【0028】
受光素子115は、受光面が4分割されたフォトダイオードからなる。
受光素子115から出力されるサーボ制御光を受光した受光信号は検出回路に入力され、フォーカスエラー信号(FE)やトラッキングエラー信号(TE)が生成される。フォーカスエラー信号(FE)はフォーカシング制御回路に入力され、トラッキングエラー信号(TE)はトラッキング制御回路に入力される。
【0029】
従来例においては、記録データやこの記録データの管理データやディレクトリなどのデータとは別に特殊パターンを有するデータを所定のアドレス位置に記録しておき、ホログラム記録媒体120への記録や再生の際に、この特殊パターンのデータを読み取り、その読取信号を用いてフォーカシング、チルティングのサーボ制御の微調整やレーザ光源の波長の微調整を行う構成を特徴としている。すなわち、特殊データの有する特殊パターンを用いてレーザ光源の波長の微調整を行い、サーボ制御の引き込みをより安定かつ確実に行うようにしている。
【0030】
図11は、参照光の波長ずれ量と回折効率の関係を説明する図である。
図11に示されるように、ホログラム記録方式の場合、参照光の波長ずれ量が大きくなると回折効率が急激に低下する。
【0031】
再生光の光像についていえば、撮像素子112の各画素の受光信号について適用されるものであり、撮像素子112から後段の信号処理回路における各画素の受光信号のS/Nの観点から見れば、参照光の入射角θのずれや光源の波長λのずれによって受光信号のレベルが急激に低下することを意味する。
【0032】
図12は、フォーカシングやチルティングなどのサーボ制御や波長の微調整に適用される特殊パターンの一例を示す図である。
【0033】
レーザ光源101の波長の微調整については、レーザ光源101の波長を微小変位させながら、図示しない記録/再生信号処理回路から入力される特殊パターンを読み取ったデータの受光レベルを加算した加算値を監視し、それが最大となる波長にレーザ光源101の波長を微調整する。
【0034】
ホログラム記録媒体120を記録及び再生するときに特殊パターンを有するデータを読み取り、そのデータの各ビットに対する受光信号を用いてチルティング、フォーカシングだけでなくレーザ光源の波長を微調整するようにしているので、ホログラム記録媒体120をディスクタイプの交換可能な記録媒体で構成した場合にも参照光の入射角のずれや光源の波長のずれを補正することができ、安定してデータの記録及び再生をすることができる。
【0035】
すなわち、記録媒体のチルティングやフォーカシング、または光源の波長などを微調整するために、空間光変調手段により、予め設定された所定のパターンを有する情報光を記録する。そして、データの記録または再生時に、その所定パターンを有する情報光を再生し、その再生信号を用いてサーボ制御による記録媒体のチルティング、フォーカシング及び光源の波長の少なくとも1の微調整を行う微調整手段が設けられている。
【特許文献1】特開2006−155831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
しかしながら、外部共振器型半導体レーザなど波長を制御する光源を用いる場合、記録再生時に波長を微調整する必要がある。従来例の場合、最適波長を検出するために所定パターンを認識する必要があるが、2次元パターンを正確に再生するためには、レンズ系などのフォーカシング及びトラッキング制御を行うだけでなく、画像処理やパターン認識などの複雑な演算等に時間がかかることになる。
【0037】
また、初期波長が大きくずれていると、再生信号のノイズが大きくなり、パターン認識ができない可能性がある。
【0038】
また、ホログラム記録媒体に特有の所定パターンが記録されている場合、別の装置では情報が検出できない可能性がある。
【0039】
さらに、初期状態のブランクディスクに記録を開始する場合、基準となる波長が決まらないという問題もある。
【0040】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、所定の2次元パターンを正確に再生することなく、直接記録媒体からの反射光を用いて容易に光源の波長を設定可能な半導体レーザ光源、半導体レーザ光源の制御方法、およびそれを備えたホログラム記録再生装置およびホログラム記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明に係る半導体レーザ光源は、レーザを出射する半導体レーザと、配置角度に応じて入射される前記レーザの回折光を出射する回折格子と、回折格子の配置角度を調整して前記回折光の波長を調整する回転機構とを備える。回折光の一部を反射構造体に入射させ、その戻り光の波長に基づいて前記回転機構の配置角度が調整される。
【0042】
好ましくは、反射構造体は、特定波長の光のみを反射する特性を有しており、戻り光の波長によるレーザ発振の乱れを検知する光検出器をさらに備える。光検出器の検知結果に基づいて前記回転機構が制御される。
【0043】
本発明に係る半導体レーザ光源の制御方法は、レーザを出射する半導体レーザと、配置角度に応じて入射される前記レーザの回折光を出射する回折格子と、前記回折格子の配置角度を調整して前記回折光の波長を調整する回転機構とを備える半導体レーザ光源の制御方法であって、回折光の一部を反射構造体に入射させるステップと、その戻り光の波長に基づいて前記回転機構の配置角度を調整するステップとを備える。
【0044】
好ましくは、光検出器をさらに備え、反射構造体は、特定波長の光のみを反射する特性を有する。調整するステップは、光検出器により戻り光の波長によるレーザ発振の乱れを検知するステップと、検知結果に基づいて前記レーザ発振の波長が前記特定波長となるように前記回転機構の配置角度を調整するステップとを含む。
【0045】
本発明に係るホログラム記録媒体は、レーザ光源から出射されたコヒーレントなレーザを2つに分割し、1つを情報を担持した物体光、もう一方を情報を担持しない参照光として干渉させホログラムにより前記情報を記録するホログラム記録媒体であって、物体光と前記参照光との干渉によって情報が書き込まれる情報記録領域と、波長選択性の反射構造パターン領域とを備える。
【0046】
好ましくは、反射構造パターンは、多層膜構造の波長選択性透過膜及び反射膜とを含む。
【0047】
好ましくは、反射構造パターンは、両端面に反射膜が形成された平行平板(エタロン)構造である。
【0048】
好ましくは、反射構造パターンは、体積型ホログラムパターン構造である。
本発明に係るホログラム記録再生装置は、ホログラム記録媒体の情報を記録および再生するホログラム記録再生装置であって、ホログラム記録媒体に対してレーザを出射する半導体レーザ光源と、半導体レーザ光源から出射された前記レーザを前記ホログラム記録媒体に入射させるとともに、前記ホログラム記録媒体からの反射光を前記レーザ光源に帰還させるビームスプリッタとを備える。半導体レーザ光源は、ホログラム記録媒体からの反射光の波長に基づいて前記レーザの波長を調整する調整手段を含む。
【0049】
好ましくは、調整手段は、回折光を出射する回折格子と、回折格子の配置角度を調整して前記回折光の波長を調整する回転機構と、戻り光の波長によるレーザ発振の乱れを検知する光検出器とを含む。光検出器の検知結果に基づいて前記回転機構が制御される。
【発明の効果】
【0050】
本発明に係る半導体レーザ光源およびその制御方法は、反射構造体の戻り光を用いるため容易にレーザの波長を調整することができる。
【0051】
また、本発明に係るホログラム記録媒体は、記録媒体の製造時に、波長設定するための反射構造パターンを媒体自身に設けているため、ホログラム記録再生装置が変わっても、それを用いることにより、波長を正確に設定することができる。
【0052】
さらに、本発明に係るホログラム記録再生装置は、ホログラムパターンを正確に再生する必要はなく、直接ホログラム記録媒体からの反射光を用いて容易に半導体レーザ光源のレーザの波長を設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0054】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態に従うホログラム記録再生装置の概略構成図である。
【0055】
図1を参照して、本発明の実施の形態に従うホログラム記録再生装置は、記録再生用の波長可変レーザ光源1と、第1のビームスプリッタ2と、第1の反射ミラー3と、空間光変調器4と、第1のリレーレンズ5(5a,5b)と、第2の反射ミラー6と、第2のビームスプリッタ7と、第2のリレーレンズ8(8a,8b)と、対物レンズ9と、撮像素子10と、第3の反射ミラー11と、第1のガルバノミラー12と、レンズ系13(13a,13b)と、第2のガルバノミラー14と、第3のビームスプリッタ56とを備える。
【0056】
波長可変レーザ光源1から出た光は、第3のビームスプリッタ56を通過後、第1のビームスプリッタ2および第1の反射ミラー3で反射され、空間光変調器4で反射される。そして、第1のリレーレンズ5を通過した後、さらに第2の反射ミラー6で反射されて、第2のビームスプリッタ7および第2のリレーレンズ8を通過した後、第1対物レンズ9によりホログラム記録媒体20に照射される。
【0057】
空間光変調器4は、例えば、多数の微小ミラーがその反射面を変更可能に格子状に配列されたDMD(Digital Mirror Device)からなり、デジタルデータを構成する各ビットに微小ミラーを対応させ、当該ビットの内容(「0」か「1」)に応じて反射角を変化させることよりホログラム記録媒体20に照射すべき記録すべきデジタルデータに応じた光像を生成するものである。
【0058】
この光は記録光として、対物レンズ9によりホログラム記録媒体20の記録層に結像するように焦点が調節されている。
【0059】
また、第1ビームスプリッタ2を透過した光は、さらに第3の反射ミラー11で反射され、第1のガルバノミラー11によりその光軸が記録光の光軸側に変更される。そして、レンズ系13を通過した後、参照光として記録光の光軸に対して所定の入射角でホログラム記録媒体20に入射される。
【0060】
ホログラム記録媒体20に入射された記録光と参照光とは、互いに干渉してホログラムを発生し、このホログラムがホログラム記録媒体20に記録される。
【0061】
再生時は、記録時と同じく参照光を照射するが、記録媒体20を通過した後、第2のガルバノミラー14で往路と同じ角度で反射された光によって発生する回折光(再生光)を用いる。
【0062】
この回折光は第1の対物レンズ9、第2のリレーレンズ8を通って第2のビームスプリッタ7により、撮像素子10に入射される。
【0063】
撮像素子10は、複数の光電変換素子が空間光変調器4以上の解像度で格子状に配列されたエリアセンサからなり、例えばCCD(Charge-Coupled Device)エリアセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)を採用したCMOSセンサーなどが用いられる。
【0064】
そしてこの撮像素子10で検出された信号をもとに2次元パターン情報を再生し、ホログラム記録媒体に記録されていた記録データを読み取る。
【0065】
図2は、本発明の実施の形態に従う記録再生用の波長可変レーザ光源について説明する図である。
【0066】
図2を参照して、本実施の形態で示される波長可変レーザ光源1は、半導体レーザと外部共振器とを組み合わせたリトロー型と呼ばれる外部共振器型半導体レーザである。
【0067】
外部共振器構造を用いて発振スペクトルの狭窄化と、シングルモード発振が可能となる。
【0068】
波長可変レーザ光源1は、半導体レーザ50と、コリメータレンズ51と、回折格子52と、回転機構54と、反射ミラー53と、光検出器55とを備える。
【0069】
半導体レーザ50から出射されたマルチの縦モード(波長スペクトル)発振しているレーザ光60が、コリメータレンズ51によって平行にされ、反射型の回折格子52に入射する。
【0070】
回折格子52は、縦モードの各モードの1次回折光を発生し、その配置角度に応じて、特定の1次回折光61が、コリメータレンズ52を介して半導体レーザ50に帰還する。
【0071】
この結果、半導体レーザ50に帰還した1次回折光61に共振して単一モードの光を出射するようになり、その光の波長は回折格子52から戻った1次回折光61の波長と同じになる。
【0072】
さらに、回折格子52に入射したレーザ光の0次光(反射光)62は外部に出射され、さらに反射ミラー53で反射され、ホログラム記録再生装置の波長可変レーザ光源1の出射光となる。
【0073】
また、反射ミラー53は一部の光が透過するようになっており、光検出器55で光パワー、発振波長の変化や発振スペクトル(シングルモードかマルチモードか)などをモニターする。
【0074】
このリトロー型の外部共振器型レーザにおける波長可変の原理について説明する。
回折格子52は回転機構54によって格子溝方向に垂直な面内で回転可能な構造となっている。
【0075】
半導体レーザ50に帰還される光の波長は、回転可動な回折格子52の配置角度(回転角度)を変えることによって調整することができる。
【0076】
このような外部共振器型半導体レーザをホログラム記録再生装置に適用することで、記録または再生に最適な波長に微調整することができる。
【0077】
次に情報記録媒体の構造について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に従うホログラム記録媒体20の平面を説明する図である。
【0078】
図3を参照して、本発明の実施の形態に従うホログラム記録媒体20は、例えば円盤状の形状で、面内構造としては大きく情報記録領域21と、特定の波長の光のみを反射する反射構造パターン領域22とを有している。また、フォーカシングやトラッキングサーボに使用するために同心円状または螺旋状にトラック23が一部に設けられている場合が一例として示されている。
【0079】
図4は、本発明の実施の形態1に従うホログラム記録媒体20の断面を説明する図である。
【0080】
図4(a)を参照して、本発明の実施の形態1に従うホログラム記録媒体20の情報記録領域21は、透明基板層21aおよび21bに記録層21cが挟まれた構造を有している。
【0081】
図4(b)は、トラック23が設けられた部分の断面図で、記録層21cの下側に、保護層21dを介して反射層21eが凹凸溝形状に形成されている。
【0082】
また、本発明の実施の形態1に従うホログラム記録媒体20の特徴として、一例として情報記録領域21以外に、例えば内周領域に、特定の波長の光のみを反射する反射構造パターン領域22が設けられている。
【0083】
図4(c)は、反射構造パターン領域22を説明する断面図である。
図4(c)を参照して、基本構造としては、図4(a)で示した情報記録領域の断面構造に付加して、透明基板層22aの下に、特定の波長の光のみを反射する反射膜22dが形成されている。この反射膜は、誘電体膜を複数重ねた多層膜構造をしており、ホログラム記録媒体に最適な波長の光のみを反射する特性に設定されている。
【0084】
なお、本例においては、このような反射構造パターン領域22が、ディスク状記録媒体の内周部分に設けられる場合について説明するが、特にこれに限られず、外周部や中周領域の一部に設けることも可能である。なお、この反射構造パターン領域は、ホログラム記録媒体の製造時に作り込むことができる。
【0085】
次に、本発明の実施の形態に従う波長可変レーザ光源1の波長制御方法について説明する。
【0086】
外部共振器型半導体レーザなど波長を制御する光源を用いる場合、記録再生時に波長の微調整または発振波長の確認を行う必要がある。
【0087】
従来例の場合、最初に記録波長で所定パターンを情報記録領域に記録しておき、次に再生する場合にそのパターン信号を検出しながら、最適波長に調整していた。
【0088】
本実施の形態に従う方式の場合、所定パターンである2次元パターンを再生することなく、ホログラム記録媒体20からの反射戻り光を直接レーザ光源に帰還させることで、最適波長(基準波長)を見つける。
【0089】
図2に示す波長可変レーザの出射光62の一部の光、例えば図2に示すビームスプリッタ56でコリメート光の一部(ビーム63)を直接、情報記録媒体20の反射構造パターン領域22に入射させる。
【0090】
上述した反射構造パターンは特定の波長(設定波長)の光のみを反射する反射膜が形成されているので、回折格子52を回転させながら発振波長を調整した場合、設定波長になれば、反射光が発生し、同じ光路を通過して再び半導体レーザ50に帰還する。
【0091】
図5は、外部共振器型レーザとして安定したシングルモード発振をしている場合のスペクトル状態を説明する図である。
【0092】
図6は、戻り光が共振器に帰還した場合の、ノイズが発生している場合のスペクトル状態を説明する図である。
【0093】
図6に示されるようにノイズが発生している場合には、結果的に発振状態がマルチモードに近い状態になり、波長及び光パワーが不安定化する。
【0094】
この状態を光検出器55の出力により検出することで、ホログラム記録媒体20の反射構造パターン領域22に設定された特定の波長に一致したことを検出する。具体的には、図示しない制御部により光検出器55の検出結果が出力される。そして、検出結果として反射構造パターン領域22に設定された特定の波長に一致する検出結果すなわちシングルモード発振をしている場合のスペクトル状態が得られるように制御部により回転機構54が駆動されて回折格子52の配置角度が調整される。
【0095】
その状態での回折格子52の回転角度を記憶またはその状態で固定することで、波長可変レーザ光源1の発振波長を決定することができる。
【0096】
実際に、ホログラム記録媒体20にホログラムを記録または再生する場合は、光ビーム63は反射構造パターン領域には入射しないように設定するので、発振波長は乱れることはなく、安定したシングルモード発振状態を保持することができる。
【0097】
以上のように、本発明の実施の形態に従う方式によれば外部共振器型などの波長制御型半導体レーザ光源を用いたホログラム記録再生装置において、ホログラムパターンを正確に再生する必要なく、直接ホログラム記録媒体からの反射光を用いて容易に光源の波長を設定することができる。
【0098】
ホログラム記録媒体の製造時に、波長設定するための反射構造パターンを媒体自身に設けているため、ホログラム記録再生装置が変わっても、それを用いることにより、波長を正確に設定することができる。
【0099】
図7は、別の反射構造パターン領域を説明する断面図である。
図4においては、誘電体多層膜構造の波長選択性反射膜を示したが、図7に示されるように、特定の波長のみを透過させ、他の波長の光は減衰または吸収させる狭帯域の透過膜(ダイクロイックフィルタ)22fを表面に形成し、透過した光をその上面に広帯域の反射層22gを重ねて設けることで、反射構造パターンを形成することもできる。
【0100】
図8は、さらに別の反射構造パターン領域を説明する図である。
図8を参照して、反射層22hと保護層22iの下に反射ミラー層22jと22kで挟まれた非常に精度の高い平行平板層22lを設けることで、エタロン構造とすることができる。エタロンは平行平板層の厚さで透過波長を設定し、エタロン構造の端面の反射率を向上させることで透過スペクトル幅を狭帯域化することができる。
【0101】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に従う情報記録媒体20の反射構造パターン22を模式的に説明する断面図である。
【0102】
実施の形態1に従う情報記録媒体20においては、平板または多層膜構造による反射構造パターンを示したが、図9に示されるように本実施の形態2では、情報記録媒体の透明基板層22aおよび22bに挟まれた記録層22cに体積型の3次元ホログラム回折格子が(記録)形成されている。
【0103】
情報記録媒体の製造時に反射構造パターン領域の記録層に、面内方向に平行な干渉パターンを記録することで、屈折率分布が異なる回折格子構造が形成される。回折格子のピッチにより特定の波長のみを選択的に反射させることができる。
【0104】
ホログラム記録再生装置の構造およびレーザの発振波長設定方法は、実施の形態1で説明したのと同様であるが、記録層に反射構造パターンを形成するので、製造上は情報記録領域と同じ構造で新たな反射膜や透過膜構造を付加する必要がないので、製造コストを下げることができる。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等な意味および範囲内でのすべての変更点が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の実施の形態に従うホログラム記録再生装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う記録再生用の波長可変レーザ光源について説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態1に従うホログラム記録媒体20の平面を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態1に従うホログラム記録媒体20の断面を説明する図である。
【図5】外部共振器型レーザとして安定したシングルモード発振をしている場合のスペクトル状態を説明する図である。
【図6】戻り光が共振器に帰還した場合の、ノイズが発生している場合のスペクトル状態を説明する図である。
【図7】別の反射構造パターン領域を説明する断面図である。
【図8】さらに別の反射構造パターン領域を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態2に従う情報記録媒体20の反射構造パターン22を模式的に説明する断面図である。
【図10】従来のホログラム記録再生装置について説明する図である。
【図11】参照光の波長ずれ量と回折効率の関係を説明する図である。
【図12】フォーカシングやチルティングなどのサーボ制御や波長の微調整に適用される特殊パターンの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0107】
1 波長可変レーザ光源、2,7,103,106,111 ビームスプリッタ、3,6,11,108 反射ミラー、4,104 空間光変調器、5,8 リレーレンズ、9,107,110 対物レンズ、10 撮像素子、12,14 ガルバノミラー、13 レンズ系、101 レーザ光源、102 コリメータレンズ、105 反射プリズム、109 プリズム、112 撮像素子、113 凸レンズ、114 シリンドリカルレンズ、115 受光素子。
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報記録再生装置および情報記録媒体に関し、より特定的には、ホログラフィにより情報を記録あるいは再生するための半導体レーザ光源、それを制御する半導体レーザ光源の制御方法およびそれを備えたホログラム記録再生装置ならびにホログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラムを利用して情報記録媒体に情報を記録するホログラム記録は、一般的に、イメージ情報を含む物体光と記録用の参照光とを情報記録媒体の内部で重ね合わせ、その時にできる干渉パターンを情報記録媒体に書き込むことによって行なわれる。
【0003】
情報記録媒体に記録された情報の再生時には、その情報記録媒体に再生用の参照光を照射することで、干渉パターンによる回折によりイメージ情報が再生される。
【0004】
近年では、超高密度光記録のために、ボリュームホログラム、特に、デジタルボリュームホログラムが実用域で開発され、注目を集めている。ボリュームホログラムとは、情報記録媒体の厚み方向も積極的に活用して、情報記録媒体に対して3次元的に干渉パターンを書き込むホログラム記録方式である。
【0005】
ボリュームホログラムでは、情報記録媒体の厚みを増すことで回折効率を高められ、多重記録を用いて記録容量の増大を図ることができるという特徴がある。
【0006】
デジタルボリュームホログラムとは、ボリュームホログラムと同様の情報記憶媒体および記録方式を用いつつも、記録するイメージ情報は2値化されたデジタルパターンに限定されたコンピュータ指向のホログラム記録方式である。
【0007】
デジタルボリュームホログラムでは、たとえば、アナログ的な絵のような画像情報も一旦デジタイズして2次元デジタルパターン情報に展開し、これをイメージ情報として記録する。
【0008】
デジタルボリュームホログラムの再生時には、このデジタルパターン情報を読み出してデコードすることにより、元の画像情報に戻して表示する。これにより、再生時にSN比(信号対雑音比)が多少悪くても、微分検出を行なったり、2値化データをコード化しエラー訂正を行なったりすることで、極めて忠実に元の情報を再現することが可能となる。
【0009】
ホログラム記録の方式としては、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)等と同様に、ディスク状の情報記録媒体を採用して光ピックアップ装置を使用する方式が有力である。
【0010】
この光ピックアップ装置は、情報記録媒体に対する情報の記録と情報記録媒体からの情報の再生とを行なうための光学系を含む。
【0011】
一般的に、光ピックアップ装置では、ディスク状の情報記録媒体を回転させつつ光ピックアップ装置内の対物レンズを駆使してフォーカスサーボとトラッキングサーボとを行なうようになっている。
【0012】
上記のような光ピックアップ装置の構成では、ディスク状の情報記録媒体が撓んだり歪んだりした場合には、光ピックアップ装置から情報記録媒体に照射される光の入射角が変化したり、温度や電流によって半導体レーザ光源の発振波長が変化する場合がある。
【0013】
CD、DVD等は、ピットによる反射光の強弱を情報として読み取る構造であるから、情報記録媒体の歪みや波長の変化に対しては比較的マージンが大きく、フォーカシングサーボやトラッキングサーボについても実用上問題ないレベルの制御が実現できている。
【0014】
しかし、ホログラフィック記録の場合、記録時には物体光と記録用の参照光との干渉パターンを記録し、再生時には再生用の参照光と干渉パターンとの回折を再生する。このため、ホログラフィック記録の場合には、物体光および各参照光が記録時と再生時とにおいて同じ角度やフォーカシング状態で正確に入射しないと、記録時と再生時とで情報記録媒体に対する波面が異なり、SN比が極端に悪くなってしまうという現象が起きていた。
【0015】
また、光源の波長に関しても記録時と同じ波長で再生しなければ、回折効率が極端に低下して再生が困難となるという問題があった。
【0016】
それゆえ、ホログラフィック記録を実用化する際には、情報記録媒体と光ピックアップ装置との相対的な傾きや位置を補正したり、発振波長を正確に制御する手段が重要となってくる。
【0017】
例えば、特許文献1には、再生時に再生信号を用いてサーボ制御によるホログラム記録媒体のチルティング、フォーカシング及び光源の波長の少なくとも1つの微調整を行う微調整手段を備えたホログラム記録再生装置が示されている。
【0018】
図10は、従来のホログラム記録再生装置について説明する図である。
図10を参照して、ここで示される光学系は、波長を変更することのできるレーザ光源101、コリメータレンズ102、第1ビームスプリッタ103、空間光変調器104、反射プリズム105と、第2ビームスプリッタ106、第1対物レンズ107、反射ミラー108、プリズム109、第2対物レンズ110、第3ビームスプリッタ111、撮像素子112、凸レンズ113、シリンドリカルレンズ114及び受光素子115で構成されている。
【0019】
レーザ光源101から出た光は、第1ビームスプリッタ103を通過し、空間光変調器104で反射され、さらに反射プリズム105で反射されて、第1対物レンズ107によりホログラム記録媒体120に照射する。
【0020】
空間光変調器104は、多数の微小ミラーがその反射面を変更可能に格子状に配列されたDMD(Digital Mirror Device)からなり、デジタルデータを構成する各ビットに微小ミラーを対応させ、当該ビットの内容(「0」あるいは「1」)に応じて反射角を変化させることよりホログラム記録媒体120に照射すべき記録すべきデジタルデータに応じた光像を生成するものである。
【0021】
空間光変調器104の中央部は、反射ミラー104aが設けられているため、反射される光線のうち中央部の光線は変調されずに反射され、トラッキングなどのサーボ制御信号を生成するサーボ制御光となる。それ以外の光線はDMDの微小ミラーによってデジタルデータ情報(2次元光像)を含む記録光として、対物レンズ107によりホログラム記録層121に結像するように焦点が調節されている。
【0022】
また、第1ビームスプリッタ103で反射された光はさらに反射ミラー108で反射され、プリズム109によりその光軸が記録光の光軸側に変更された後、参照光として記録光の光軸に対して所定の入射角で第2対物レンズ110によりホログラム記録媒体120に入射するようになっている。
【0023】
ホログラム記録媒体120に入射された記録光と参照光は、互いに干渉してホログラムを発生し、このホログラムがホログラム記録媒体120に記録される。
【0024】
また、反射ミラー108は、反射角が微小変位可能にアクチュエータ108aに保持されている。アクチュエータ108aは、反射ミラー108の反射角を微小変位させることにより、ホログラム記録媒体120の回転時の面ブレに起因するホログラム記録媒体120に対する参照光の入射角の微小変位の調整(チルティングの微調整)を実行している。
【0025】
再生時は、参照光によって発生する回折光(再生光)が、第1対物レンズ107を通って第2ビームスプリッタ106により反射され、検出系の第3ビームスプリッタ111に導びかれる。
【0026】
第3ビームスプリッタ111は、その再生光を後方の撮像素子112に導く一方、記録・再生時に第2ビームスプリッタ106から出射されるサーボ制御光を分離する。そして、分離されたサーボ制御光は、凸レンズ113及びシリンドリカルレンズ114を通して受光素子115に導びかれる。
【0027】
撮像素子112は、複数の光電変換素子が空間光変調器104以上の解像度で格子状に配列されたエリアセンサからなり、例えばCCD(Charge-Coupled Device)エリアセンサで構成されている。
【0028】
受光素子115は、受光面が4分割されたフォトダイオードからなる。
受光素子115から出力されるサーボ制御光を受光した受光信号は検出回路に入力され、フォーカスエラー信号(FE)やトラッキングエラー信号(TE)が生成される。フォーカスエラー信号(FE)はフォーカシング制御回路に入力され、トラッキングエラー信号(TE)はトラッキング制御回路に入力される。
【0029】
従来例においては、記録データやこの記録データの管理データやディレクトリなどのデータとは別に特殊パターンを有するデータを所定のアドレス位置に記録しておき、ホログラム記録媒体120への記録や再生の際に、この特殊パターンのデータを読み取り、その読取信号を用いてフォーカシング、チルティングのサーボ制御の微調整やレーザ光源の波長の微調整を行う構成を特徴としている。すなわち、特殊データの有する特殊パターンを用いてレーザ光源の波長の微調整を行い、サーボ制御の引き込みをより安定かつ確実に行うようにしている。
【0030】
図11は、参照光の波長ずれ量と回折効率の関係を説明する図である。
図11に示されるように、ホログラム記録方式の場合、参照光の波長ずれ量が大きくなると回折効率が急激に低下する。
【0031】
再生光の光像についていえば、撮像素子112の各画素の受光信号について適用されるものであり、撮像素子112から後段の信号処理回路における各画素の受光信号のS/Nの観点から見れば、参照光の入射角θのずれや光源の波長λのずれによって受光信号のレベルが急激に低下することを意味する。
【0032】
図12は、フォーカシングやチルティングなどのサーボ制御や波長の微調整に適用される特殊パターンの一例を示す図である。
【0033】
レーザ光源101の波長の微調整については、レーザ光源101の波長を微小変位させながら、図示しない記録/再生信号処理回路から入力される特殊パターンを読み取ったデータの受光レベルを加算した加算値を監視し、それが最大となる波長にレーザ光源101の波長を微調整する。
【0034】
ホログラム記録媒体120を記録及び再生するときに特殊パターンを有するデータを読み取り、そのデータの各ビットに対する受光信号を用いてチルティング、フォーカシングだけでなくレーザ光源の波長を微調整するようにしているので、ホログラム記録媒体120をディスクタイプの交換可能な記録媒体で構成した場合にも参照光の入射角のずれや光源の波長のずれを補正することができ、安定してデータの記録及び再生をすることができる。
【0035】
すなわち、記録媒体のチルティングやフォーカシング、または光源の波長などを微調整するために、空間光変調手段により、予め設定された所定のパターンを有する情報光を記録する。そして、データの記録または再生時に、その所定パターンを有する情報光を再生し、その再生信号を用いてサーボ制御による記録媒体のチルティング、フォーカシング及び光源の波長の少なくとも1の微調整を行う微調整手段が設けられている。
【特許文献1】特開2006−155831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
しかしながら、外部共振器型半導体レーザなど波長を制御する光源を用いる場合、記録再生時に波長を微調整する必要がある。従来例の場合、最適波長を検出するために所定パターンを認識する必要があるが、2次元パターンを正確に再生するためには、レンズ系などのフォーカシング及びトラッキング制御を行うだけでなく、画像処理やパターン認識などの複雑な演算等に時間がかかることになる。
【0037】
また、初期波長が大きくずれていると、再生信号のノイズが大きくなり、パターン認識ができない可能性がある。
【0038】
また、ホログラム記録媒体に特有の所定パターンが記録されている場合、別の装置では情報が検出できない可能性がある。
【0039】
さらに、初期状態のブランクディスクに記録を開始する場合、基準となる波長が決まらないという問題もある。
【0040】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、所定の2次元パターンを正確に再生することなく、直接記録媒体からの反射光を用いて容易に光源の波長を設定可能な半導体レーザ光源、半導体レーザ光源の制御方法、およびそれを備えたホログラム記録再生装置およびホログラム記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明に係る半導体レーザ光源は、レーザを出射する半導体レーザと、配置角度に応じて入射される前記レーザの回折光を出射する回折格子と、回折格子の配置角度を調整して前記回折光の波長を調整する回転機構とを備える。回折光の一部を反射構造体に入射させ、その戻り光の波長に基づいて前記回転機構の配置角度が調整される。
【0042】
好ましくは、反射構造体は、特定波長の光のみを反射する特性を有しており、戻り光の波長によるレーザ発振の乱れを検知する光検出器をさらに備える。光検出器の検知結果に基づいて前記回転機構が制御される。
【0043】
本発明に係る半導体レーザ光源の制御方法は、レーザを出射する半導体レーザと、配置角度に応じて入射される前記レーザの回折光を出射する回折格子と、前記回折格子の配置角度を調整して前記回折光の波長を調整する回転機構とを備える半導体レーザ光源の制御方法であって、回折光の一部を反射構造体に入射させるステップと、その戻り光の波長に基づいて前記回転機構の配置角度を調整するステップとを備える。
【0044】
好ましくは、光検出器をさらに備え、反射構造体は、特定波長の光のみを反射する特性を有する。調整するステップは、光検出器により戻り光の波長によるレーザ発振の乱れを検知するステップと、検知結果に基づいて前記レーザ発振の波長が前記特定波長となるように前記回転機構の配置角度を調整するステップとを含む。
【0045】
本発明に係るホログラム記録媒体は、レーザ光源から出射されたコヒーレントなレーザを2つに分割し、1つを情報を担持した物体光、もう一方を情報を担持しない参照光として干渉させホログラムにより前記情報を記録するホログラム記録媒体であって、物体光と前記参照光との干渉によって情報が書き込まれる情報記録領域と、波長選択性の反射構造パターン領域とを備える。
【0046】
好ましくは、反射構造パターンは、多層膜構造の波長選択性透過膜及び反射膜とを含む。
【0047】
好ましくは、反射構造パターンは、両端面に反射膜が形成された平行平板(エタロン)構造である。
【0048】
好ましくは、反射構造パターンは、体積型ホログラムパターン構造である。
本発明に係るホログラム記録再生装置は、ホログラム記録媒体の情報を記録および再生するホログラム記録再生装置であって、ホログラム記録媒体に対してレーザを出射する半導体レーザ光源と、半導体レーザ光源から出射された前記レーザを前記ホログラム記録媒体に入射させるとともに、前記ホログラム記録媒体からの反射光を前記レーザ光源に帰還させるビームスプリッタとを備える。半導体レーザ光源は、ホログラム記録媒体からの反射光の波長に基づいて前記レーザの波長を調整する調整手段を含む。
【0049】
好ましくは、調整手段は、回折光を出射する回折格子と、回折格子の配置角度を調整して前記回折光の波長を調整する回転機構と、戻り光の波長によるレーザ発振の乱れを検知する光検出器とを含む。光検出器の検知結果に基づいて前記回転機構が制御される。
【発明の効果】
【0050】
本発明に係る半導体レーザ光源およびその制御方法は、反射構造体の戻り光を用いるため容易にレーザの波長を調整することができる。
【0051】
また、本発明に係るホログラム記録媒体は、記録媒体の製造時に、波長設定するための反射構造パターンを媒体自身に設けているため、ホログラム記録再生装置が変わっても、それを用いることにより、波長を正確に設定することができる。
【0052】
さらに、本発明に係るホログラム記録再生装置は、ホログラムパターンを正確に再生する必要はなく、直接ホログラム記録媒体からの反射光を用いて容易に半導体レーザ光源のレーザの波長を設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0054】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態に従うホログラム記録再生装置の概略構成図である。
【0055】
図1を参照して、本発明の実施の形態に従うホログラム記録再生装置は、記録再生用の波長可変レーザ光源1と、第1のビームスプリッタ2と、第1の反射ミラー3と、空間光変調器4と、第1のリレーレンズ5(5a,5b)と、第2の反射ミラー6と、第2のビームスプリッタ7と、第2のリレーレンズ8(8a,8b)と、対物レンズ9と、撮像素子10と、第3の反射ミラー11と、第1のガルバノミラー12と、レンズ系13(13a,13b)と、第2のガルバノミラー14と、第3のビームスプリッタ56とを備える。
【0056】
波長可変レーザ光源1から出た光は、第3のビームスプリッタ56を通過後、第1のビームスプリッタ2および第1の反射ミラー3で反射され、空間光変調器4で反射される。そして、第1のリレーレンズ5を通過した後、さらに第2の反射ミラー6で反射されて、第2のビームスプリッタ7および第2のリレーレンズ8を通過した後、第1対物レンズ9によりホログラム記録媒体20に照射される。
【0057】
空間光変調器4は、例えば、多数の微小ミラーがその反射面を変更可能に格子状に配列されたDMD(Digital Mirror Device)からなり、デジタルデータを構成する各ビットに微小ミラーを対応させ、当該ビットの内容(「0」か「1」)に応じて反射角を変化させることよりホログラム記録媒体20に照射すべき記録すべきデジタルデータに応じた光像を生成するものである。
【0058】
この光は記録光として、対物レンズ9によりホログラム記録媒体20の記録層に結像するように焦点が調節されている。
【0059】
また、第1ビームスプリッタ2を透過した光は、さらに第3の反射ミラー11で反射され、第1のガルバノミラー11によりその光軸が記録光の光軸側に変更される。そして、レンズ系13を通過した後、参照光として記録光の光軸に対して所定の入射角でホログラム記録媒体20に入射される。
【0060】
ホログラム記録媒体20に入射された記録光と参照光とは、互いに干渉してホログラムを発生し、このホログラムがホログラム記録媒体20に記録される。
【0061】
再生時は、記録時と同じく参照光を照射するが、記録媒体20を通過した後、第2のガルバノミラー14で往路と同じ角度で反射された光によって発生する回折光(再生光)を用いる。
【0062】
この回折光は第1の対物レンズ9、第2のリレーレンズ8を通って第2のビームスプリッタ7により、撮像素子10に入射される。
【0063】
撮像素子10は、複数の光電変換素子が空間光変調器4以上の解像度で格子状に配列されたエリアセンサからなり、例えばCCD(Charge-Coupled Device)エリアセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)を採用したCMOSセンサーなどが用いられる。
【0064】
そしてこの撮像素子10で検出された信号をもとに2次元パターン情報を再生し、ホログラム記録媒体に記録されていた記録データを読み取る。
【0065】
図2は、本発明の実施の形態に従う記録再生用の波長可変レーザ光源について説明する図である。
【0066】
図2を参照して、本実施の形態で示される波長可変レーザ光源1は、半導体レーザと外部共振器とを組み合わせたリトロー型と呼ばれる外部共振器型半導体レーザである。
【0067】
外部共振器構造を用いて発振スペクトルの狭窄化と、シングルモード発振が可能となる。
【0068】
波長可変レーザ光源1は、半導体レーザ50と、コリメータレンズ51と、回折格子52と、回転機構54と、反射ミラー53と、光検出器55とを備える。
【0069】
半導体レーザ50から出射されたマルチの縦モード(波長スペクトル)発振しているレーザ光60が、コリメータレンズ51によって平行にされ、反射型の回折格子52に入射する。
【0070】
回折格子52は、縦モードの各モードの1次回折光を発生し、その配置角度に応じて、特定の1次回折光61が、コリメータレンズ52を介して半導体レーザ50に帰還する。
【0071】
この結果、半導体レーザ50に帰還した1次回折光61に共振して単一モードの光を出射するようになり、その光の波長は回折格子52から戻った1次回折光61の波長と同じになる。
【0072】
さらに、回折格子52に入射したレーザ光の0次光(反射光)62は外部に出射され、さらに反射ミラー53で反射され、ホログラム記録再生装置の波長可変レーザ光源1の出射光となる。
【0073】
また、反射ミラー53は一部の光が透過するようになっており、光検出器55で光パワー、発振波長の変化や発振スペクトル(シングルモードかマルチモードか)などをモニターする。
【0074】
このリトロー型の外部共振器型レーザにおける波長可変の原理について説明する。
回折格子52は回転機構54によって格子溝方向に垂直な面内で回転可能な構造となっている。
【0075】
半導体レーザ50に帰還される光の波長は、回転可動な回折格子52の配置角度(回転角度)を変えることによって調整することができる。
【0076】
このような外部共振器型半導体レーザをホログラム記録再生装置に適用することで、記録または再生に最適な波長に微調整することができる。
【0077】
次に情報記録媒体の構造について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に従うホログラム記録媒体20の平面を説明する図である。
【0078】
図3を参照して、本発明の実施の形態に従うホログラム記録媒体20は、例えば円盤状の形状で、面内構造としては大きく情報記録領域21と、特定の波長の光のみを反射する反射構造パターン領域22とを有している。また、フォーカシングやトラッキングサーボに使用するために同心円状または螺旋状にトラック23が一部に設けられている場合が一例として示されている。
【0079】
図4は、本発明の実施の形態1に従うホログラム記録媒体20の断面を説明する図である。
【0080】
図4(a)を参照して、本発明の実施の形態1に従うホログラム記録媒体20の情報記録領域21は、透明基板層21aおよび21bに記録層21cが挟まれた構造を有している。
【0081】
図4(b)は、トラック23が設けられた部分の断面図で、記録層21cの下側に、保護層21dを介して反射層21eが凹凸溝形状に形成されている。
【0082】
また、本発明の実施の形態1に従うホログラム記録媒体20の特徴として、一例として情報記録領域21以外に、例えば内周領域に、特定の波長の光のみを反射する反射構造パターン領域22が設けられている。
【0083】
図4(c)は、反射構造パターン領域22を説明する断面図である。
図4(c)を参照して、基本構造としては、図4(a)で示した情報記録領域の断面構造に付加して、透明基板層22aの下に、特定の波長の光のみを反射する反射膜22dが形成されている。この反射膜は、誘電体膜を複数重ねた多層膜構造をしており、ホログラム記録媒体に最適な波長の光のみを反射する特性に設定されている。
【0084】
なお、本例においては、このような反射構造パターン領域22が、ディスク状記録媒体の内周部分に設けられる場合について説明するが、特にこれに限られず、外周部や中周領域の一部に設けることも可能である。なお、この反射構造パターン領域は、ホログラム記録媒体の製造時に作り込むことができる。
【0085】
次に、本発明の実施の形態に従う波長可変レーザ光源1の波長制御方法について説明する。
【0086】
外部共振器型半導体レーザなど波長を制御する光源を用いる場合、記録再生時に波長の微調整または発振波長の確認を行う必要がある。
【0087】
従来例の場合、最初に記録波長で所定パターンを情報記録領域に記録しておき、次に再生する場合にそのパターン信号を検出しながら、最適波長に調整していた。
【0088】
本実施の形態に従う方式の場合、所定パターンである2次元パターンを再生することなく、ホログラム記録媒体20からの反射戻り光を直接レーザ光源に帰還させることで、最適波長(基準波長)を見つける。
【0089】
図2に示す波長可変レーザの出射光62の一部の光、例えば図2に示すビームスプリッタ56でコリメート光の一部(ビーム63)を直接、情報記録媒体20の反射構造パターン領域22に入射させる。
【0090】
上述した反射構造パターンは特定の波長(設定波長)の光のみを反射する反射膜が形成されているので、回折格子52を回転させながら発振波長を調整した場合、設定波長になれば、反射光が発生し、同じ光路を通過して再び半導体レーザ50に帰還する。
【0091】
図5は、外部共振器型レーザとして安定したシングルモード発振をしている場合のスペクトル状態を説明する図である。
【0092】
図6は、戻り光が共振器に帰還した場合の、ノイズが発生している場合のスペクトル状態を説明する図である。
【0093】
図6に示されるようにノイズが発生している場合には、結果的に発振状態がマルチモードに近い状態になり、波長及び光パワーが不安定化する。
【0094】
この状態を光検出器55の出力により検出することで、ホログラム記録媒体20の反射構造パターン領域22に設定された特定の波長に一致したことを検出する。具体的には、図示しない制御部により光検出器55の検出結果が出力される。そして、検出結果として反射構造パターン領域22に設定された特定の波長に一致する検出結果すなわちシングルモード発振をしている場合のスペクトル状態が得られるように制御部により回転機構54が駆動されて回折格子52の配置角度が調整される。
【0095】
その状態での回折格子52の回転角度を記憶またはその状態で固定することで、波長可変レーザ光源1の発振波長を決定することができる。
【0096】
実際に、ホログラム記録媒体20にホログラムを記録または再生する場合は、光ビーム63は反射構造パターン領域には入射しないように設定するので、発振波長は乱れることはなく、安定したシングルモード発振状態を保持することができる。
【0097】
以上のように、本発明の実施の形態に従う方式によれば外部共振器型などの波長制御型半導体レーザ光源を用いたホログラム記録再生装置において、ホログラムパターンを正確に再生する必要なく、直接ホログラム記録媒体からの反射光を用いて容易に光源の波長を設定することができる。
【0098】
ホログラム記録媒体の製造時に、波長設定するための反射構造パターンを媒体自身に設けているため、ホログラム記録再生装置が変わっても、それを用いることにより、波長を正確に設定することができる。
【0099】
図7は、別の反射構造パターン領域を説明する断面図である。
図4においては、誘電体多層膜構造の波長選択性反射膜を示したが、図7に示されるように、特定の波長のみを透過させ、他の波長の光は減衰または吸収させる狭帯域の透過膜(ダイクロイックフィルタ)22fを表面に形成し、透過した光をその上面に広帯域の反射層22gを重ねて設けることで、反射構造パターンを形成することもできる。
【0100】
図8は、さらに別の反射構造パターン領域を説明する図である。
図8を参照して、反射層22hと保護層22iの下に反射ミラー層22jと22kで挟まれた非常に精度の高い平行平板層22lを設けることで、エタロン構造とすることができる。エタロンは平行平板層の厚さで透過波長を設定し、エタロン構造の端面の反射率を向上させることで透過スペクトル幅を狭帯域化することができる。
【0101】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に従う情報記録媒体20の反射構造パターン22を模式的に説明する断面図である。
【0102】
実施の形態1に従う情報記録媒体20においては、平板または多層膜構造による反射構造パターンを示したが、図9に示されるように本実施の形態2では、情報記録媒体の透明基板層22aおよび22bに挟まれた記録層22cに体積型の3次元ホログラム回折格子が(記録)形成されている。
【0103】
情報記録媒体の製造時に反射構造パターン領域の記録層に、面内方向に平行な干渉パターンを記録することで、屈折率分布が異なる回折格子構造が形成される。回折格子のピッチにより特定の波長のみを選択的に反射させることができる。
【0104】
ホログラム記録再生装置の構造およびレーザの発振波長設定方法は、実施の形態1で説明したのと同様であるが、記録層に反射構造パターンを形成するので、製造上は情報記録領域と同じ構造で新たな反射膜や透過膜構造を付加する必要がないので、製造コストを下げることができる。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等な意味および範囲内でのすべての変更点が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の実施の形態に従うホログラム記録再生装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う記録再生用の波長可変レーザ光源について説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態1に従うホログラム記録媒体20の平面を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態1に従うホログラム記録媒体20の断面を説明する図である。
【図5】外部共振器型レーザとして安定したシングルモード発振をしている場合のスペクトル状態を説明する図である。
【図6】戻り光が共振器に帰還した場合の、ノイズが発生している場合のスペクトル状態を説明する図である。
【図7】別の反射構造パターン領域を説明する断面図である。
【図8】さらに別の反射構造パターン領域を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態2に従う情報記録媒体20の反射構造パターン22を模式的に説明する断面図である。
【図10】従来のホログラム記録再生装置について説明する図である。
【図11】参照光の波長ずれ量と回折効率の関係を説明する図である。
【図12】フォーカシングやチルティングなどのサーボ制御や波長の微調整に適用される特殊パターンの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0107】
1 波長可変レーザ光源、2,7,103,106,111 ビームスプリッタ、3,6,11,108 反射ミラー、4,104 空間光変調器、5,8 リレーレンズ、9,107,110 対物レンズ、10 撮像素子、12,14 ガルバノミラー、13 レンズ系、101 レーザ光源、102 コリメータレンズ、105 反射プリズム、109 プリズム、112 撮像素子、113 凸レンズ、114 シリンドリカルレンズ、115 受光素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザを出射する半導体レーザと、
配置角度に応じて入射される前記レーザの回折光を出射する回折格子と、
前記回折格子の配置角度を調整して前記回折光の波長を調整する回転機構とを備え、
前記回折光の一部を反射構造体に入射させ、その戻り光の波長に基づいて前記回転機構の配置角度が調整される、半導体レーザ光源。
【請求項2】
前記反射構造体は、特定波長の光のみを反射する特性を有しており、
戻り光の波長によるレーザ発振の乱れを検知する光検出器をさらに備え、
前記光検出器の検知結果に基づいて前記回転機構が制御される、請求項1記載の半導体レーザ光源。
【請求項3】
レーザを出射する半導体レーザと、配置角度に応じて入射される前記レーザの回折光を出射する回折格子と、前記回折格子の配置角度を調整して前記回折光の波長を調整する回転機構とを備える半導体レーザ光源の制御方法であって、
回折光の一部を反射構造体に入射させるステップと、
その戻り光の波長に基づいて前記回転機構の配置角度を調整するステップとを備える、半導体レーザ光源の制御方法。
【請求項4】
光検出器をさらに備え、
前記反射構造体は、特定波長の光のみを反射する特性を有しており、
前記調整するステップは、
前記光検出器により戻り光の波長によるレーザ発振の乱れを検知するステップと、
検知結果に基づいて前記レーザ発振の波長が前記特定波長となるように前記回転機構の配置角度を調整するステップとを含む、請求項3記載の半導体レーザ光源の制御方法。
【請求項5】
レーザ光源から出射されたコヒーレントなレーザを2つに分割し、1つを情報を担持した物体光、もう一方を情報を担持しない参照光として干渉させホログラムにより前記情報を記録するホログラム記録媒体であって、
前記物体光と前記参照光との干渉によって情報が書き込まれる情報記録領域と、
波長選択性の反射構造パターン領域とを備える、ホログラム記録媒体。
【請求項6】
前記反射構造パターンは、多層膜構造の波長選択性透過膜及び反射膜とを含む、請求項5記載のホログラム記録媒体。
【請求項7】
前記反射構造パターンは、両端面に反射膜が形成された平行平板(エタロン)構造である、請求項5記載のホログラム記録媒体。
【請求項8】
前記反射構造パターンは、体積型ホログラムパターン構造である、請求項5記載のホログラム記録媒体。
【請求項9】
ホログラム記録媒体の情報を記録および再生するホログラム記録再生装置であって、
前記ホログラム記録媒体に対してレーザを出射する半導体レーザ光源と、
前記半導体レーザ光源から出射された前記レーザを前記ホログラム記録媒体に入射させるとともに、前記ホログラム記録媒体からの反射光を前記レーザ光源に帰還させるビームスプリッタとを備え、
前記半導体レーザ光源は、
前記ホログラム記録媒体からの反射光の波長に基づいて前記レーザの波長を調整する調整手段を含む、ホログラム記録再生装置。
【請求項10】
前記調整手段は、
回折光を出射する回折格子と、
前記回折格子の配置角度を調整して前記回折光の波長を調整する回転機構と、
戻り光の波長によるレーザ発振の乱れを検知する光検出器とを含み、
前記光検出器の検知結果に基づいて前記回転機構が制御される、請求項9記載のホログラム記録再生装置。
【請求項1】
レーザを出射する半導体レーザと、
配置角度に応じて入射される前記レーザの回折光を出射する回折格子と、
前記回折格子の配置角度を調整して前記回折光の波長を調整する回転機構とを備え、
前記回折光の一部を反射構造体に入射させ、その戻り光の波長に基づいて前記回転機構の配置角度が調整される、半導体レーザ光源。
【請求項2】
前記反射構造体は、特定波長の光のみを反射する特性を有しており、
戻り光の波長によるレーザ発振の乱れを検知する光検出器をさらに備え、
前記光検出器の検知結果に基づいて前記回転機構が制御される、請求項1記載の半導体レーザ光源。
【請求項3】
レーザを出射する半導体レーザと、配置角度に応じて入射される前記レーザの回折光を出射する回折格子と、前記回折格子の配置角度を調整して前記回折光の波長を調整する回転機構とを備える半導体レーザ光源の制御方法であって、
回折光の一部を反射構造体に入射させるステップと、
その戻り光の波長に基づいて前記回転機構の配置角度を調整するステップとを備える、半導体レーザ光源の制御方法。
【請求項4】
光検出器をさらに備え、
前記反射構造体は、特定波長の光のみを反射する特性を有しており、
前記調整するステップは、
前記光検出器により戻り光の波長によるレーザ発振の乱れを検知するステップと、
検知結果に基づいて前記レーザ発振の波長が前記特定波長となるように前記回転機構の配置角度を調整するステップとを含む、請求項3記載の半導体レーザ光源の制御方法。
【請求項5】
レーザ光源から出射されたコヒーレントなレーザを2つに分割し、1つを情報を担持した物体光、もう一方を情報を担持しない参照光として干渉させホログラムにより前記情報を記録するホログラム記録媒体であって、
前記物体光と前記参照光との干渉によって情報が書き込まれる情報記録領域と、
波長選択性の反射構造パターン領域とを備える、ホログラム記録媒体。
【請求項6】
前記反射構造パターンは、多層膜構造の波長選択性透過膜及び反射膜とを含む、請求項5記載のホログラム記録媒体。
【請求項7】
前記反射構造パターンは、両端面に反射膜が形成された平行平板(エタロン)構造である、請求項5記載のホログラム記録媒体。
【請求項8】
前記反射構造パターンは、体積型ホログラムパターン構造である、請求項5記載のホログラム記録媒体。
【請求項9】
ホログラム記録媒体の情報を記録および再生するホログラム記録再生装置であって、
前記ホログラム記録媒体に対してレーザを出射する半導体レーザ光源と、
前記半導体レーザ光源から出射された前記レーザを前記ホログラム記録媒体に入射させるとともに、前記ホログラム記録媒体からの反射光を前記レーザ光源に帰還させるビームスプリッタとを備え、
前記半導体レーザ光源は、
前記ホログラム記録媒体からの反射光の波長に基づいて前記レーザの波長を調整する調整手段を含む、ホログラム記録再生装置。
【請求項10】
前記調整手段は、
回折光を出射する回折格子と、
前記回折格子の配置角度を調整して前記回折光の波長を調整する回転機構と、
戻り光の波長によるレーザ発振の乱れを検知する光検出器とを含み、
前記光検出器の検知結果に基づいて前記回転機構が制御される、請求項9記載のホログラム記録再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−147387(P2008−147387A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332287(P2006−332287)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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