説明

半導体発光装置用パッケージ及び発光装置

【課題】耐熱性や耐光性が極めて高く、成形までの可使時間を十分に確保した材料を用いて作成した半導体発光装置用パッケージを提供する。
【解決手段】(A)ポリオルガノシロキサン樹脂、(B)フィラー、及び(C)硬化触媒を含有する樹脂成形体2、を少なくとも備える半導体発光装置用パッケージであって、前記フィラーを除いた前記樹脂成形体中における前記硬化触媒の金属成分含有量を0.4ppm以上、25ppm以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス、特に発光ダイオード等の発光素子を備えた半導体発光装置に用いられるパッケージ、及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子を備える半導体発光装置は図1に示す様に半導体発光素子1、樹脂成形体2、ボンディングワイヤー3、封止材4、リードフレーム5等から構成され、パッケージは主にリードフレーム5などの導電性金属配線及び絶縁性の樹脂成形体2からなる。
【0003】
従来、樹脂成形体に用いる絶縁性材料はポリアミド等の熱可塑性樹脂に白色顔料を配合したものが一般的に用いられてきた(例えば特許文献1参照)。発光に指向性が求められる半導体発光装置は、半導体発光素子より目的とする向きへ発せられた光だけでなく、それ以外の光を樹脂成形体やリードフレームなどの金属配線、及び反射材等で目的の向きに反射させ、発光効率を上げている。ポリアミドなどの熱可塑性樹脂が透光性であるために、樹脂成形体で反射させる際は樹脂に白色顔料を配合することで、樹脂と白色顔料の屈折率の差を利用し半導体発光素子からの光を反射し半導体発光装置としての発光効率を上げている。
【0004】
上記特許文献1では、白色顔料を使用した場合であっても、白色顔料の種類によってはその反射効率が十分でなく吸収や透過する光線も出てしまうため、結果として半導体発光素子からの光を目的の向きに集中できずに半導体発光装置としての効率が下がってしまう場合があった。
【0005】
また、ポリアミドを用いたパッケージは、ポリアミドが熱可塑性樹脂であり、環境問題より融点の高い鉛フリー半田が積極的に使用されリフロー温度が高くなる傾向にある現状ではその熱により軟化してしまうため耐熱性に問題がある。また、ポリアミドは紫外線、熱により、光劣化、熱劣化が起こるため、近年実用化が進んでいる青色〜近紫外線半導体発光素子のようなエネルギーの高い波長領域まで発光域を持つ発光素子を用いた場合、光による劣化が特に問題となる。また、より明るい発光素子が求められている現状においては、半導体発光素子から発せられる光束の大きな光、発熱により、熱劣化、光劣化の問題がより顕在化する。
【0006】
一方、耐熱性が求められる場合は焼結されたアルミナを配合したセラミックが絶縁材料として用いられる(例えば特許文献2参照)。セラミックを用いたパッケージは耐熱性が良いが、製造に際し成形後に高温での焼結工程が必要である。焼結工程では電気代などのコスト面での問題や、焼結により成形体の大きさ、形状が変化するために不良品が出やすく量産性に問題があった。
【0007】
これに対して近年、樹脂にポリオルガノシロキサンを用い、白色顔料として酸化チタンを用いたシリコーン樹脂組成物を成形したケースも提案されている(例えば特許文献3参照)。樹脂にポリオルガノシロキサンを用いる事により、ポリアミドを用いたものと比べ耐熱性の向上が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−283498号公報
【特許文献2】特開2004−288937号公報
【特許文献3】特開2009−155415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
半導体発光装置では半導体発光素子からの発熱があり、特に明るい発光素子が求められる場合にはその発熱も大きくなる。そのため、半導体発光素子からの発熱及び光により半導体発光装置のパッケージを構成する樹脂成形体が変色したり割れたりする現象が問題視されていた。この現象は、ポリアミド等の有機樹脂の場合に顕著であるが、シリコーン樹脂を用いた場合でもなお課題として残存していた。
また、LEDパッケージの成形加工プロセスにおいて樹脂そのものの可使時間が有る程度長いことも作業上の理由から求められる。本発明はこのような課題を解決し、耐熱性や耐光性が極めて高く、成形の際に成形までの可使時間を十分に確保できる半導体発光装置用パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、樹脂成形体中における硬化触媒の金属成分濃度が、特定の値であることで、上記課題を解決できることを見出した。
【0011】
即ち本発明は以下のとおりである。
(A)ポリオルガノシロキサン樹脂、(B)フィラー、及び(C)硬化触媒を含有する樹脂成形体を少なくとも備える半導体発光装置用パッケージであって、
前記フィラーを除いた前記樹脂成形体中における前記硬化触媒の金属成分含有量が0.4ppm以上、25ppm以下であることを特徴とする。
【0012】
また、前記(C)硬化触媒の金属成分は白金を含むことが好ましい。
【0013】
また、前記樹脂成形体は、ヒドロシリル化を介して硬化することが好ましい。
【0014】
また、前記(B)フィラーは、アルミナを含むことが好ましく、前記(B)フィラーは、表面処理されていることが好ましい。
【0015】
また、前記(B)フィラーは、その一次粒子のアスペクト比が1.0以上4.0以下であることが好ましい。
【0016】
また、前記樹脂成形体中に含まれる(A)ポリオルガノシロキサン樹脂を含むベース樹脂と(B)フィラーの重量比が15〜60:85〜40であることが好ましい。
【0017】
また、前記樹脂成形体は、0.3mm厚において、波長400nmの光反射率が50%以上であることが好ましい。
【0018】
また、前記樹脂成形体は、更に脂環式の炭化水素基を有する化合物を含むことが好ましく、前記樹脂成形体は、成形加工前の操作温度として一貫して45℃以下であり、かつ、成形加工時の成形温度が300℃以下であることが好ましい。
【0019】
本発明の別の態様は、半導体発光素子、上記記載のパッケージ、及び封止材を少なくとも備える半導体発光装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、耐熱性や耐光性が極めて高く、成形の際に成形までの可使時間を十分に確保できる半導体発光装置用パッケージを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の半導体発光装置の一態様を表す概念図である。
【図2】本発明の半導体発光装置の一態様を表す概念図である。
【図3】本発明のパッケージとPPAパッケージの点灯耐久試験結果を示すグラフである。
【図4】本発明のパッケージとPPAパッケージの接着性評価結果を示す写真である(図面代用写真)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<1.樹脂成形体>
本発明のパッケージは、(A)ポリオルガノシロキサン樹脂と、(B)フィラーと、(C)硬化触媒とを含有する樹脂成形体を少なくとも備える。フィラーを除いた樹脂成形体中における硬化触媒の金属成分濃度が0.4ppm以上25ppm以下であることを特徴とする。このような構成を有することで、可使時間を必要以上に短くせずに耐熱性、耐UV(光)性が高く、極めて信頼性に富むパッケージを得ることができるという新たな知見を発明者は得た。つまり、樹脂成形体中における触媒の金属成分含有量を特定の範囲とすることで、課題を解決した。
【0023】
<1−1.硬化触媒の金属成分>
本発明のパッケージは、可使時間を必要以上に短くせずに耐熱性、耐UV(光)性を高くする目的から、フィラーを除いた樹脂成形体中における硬化触媒の金属成分含有量が0.4ppm以上25ppm以下である。好ましくは0.5ppm以上であり、また、好ましくは20ppm以下、より好ましくは15ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。
【0024】
硬化触媒の金属成分含有量がこの範囲を越えて少なすぎる場合には硬化が不十分もしくは、硬化に非常に長い時間を要して経済的に好ましくない。
逆に、硬化触媒の金属成分含有量がこの範囲を越えて高すぎる場合には、硬化物そのものが着色したり、耐久性に劣ったり(長時間熱をかけると着色する、長時間紫外線を照射すると表面が割れるなど)、後に示す反射率の低下を招く他、硬化速度の制御が難しく、可使時間が十分確保できず、工業プロセス上好ましくない。特に光学部材用樹脂として使用する場合には、色が付くと大きな問題となり得る。
【0025】
例えば硬化触媒の金属成分として白金を含む場合、白金含有量が上記範囲を超えて高すぎると、そのような樹脂成形体を備えた半導体発光装置用パッケージにおいて以下のようなデメリットが生じる可能性がある。
付加型シリコーンを使用した樹脂成形体を備えた半導体発光装置用パッケージにおいて白金量が多い状態で数万時間の長時間点灯を行うと、上記パッケージ自体が着色したり割れたりする他、その表面に接触している封止材が着色したり不必要な硬度アップが促進されたりすることも危惧される。特に封止材の硬度が不必要に上がってしまった場合には、硬くなった封止材とパッケージの界面での応力緩和が不能となり、界面剥離が懸念される。
また、遊離の余分な残白金成分が封止層に移行して電場によって還元もしくは酸化されて白金微粒子ないしは酸化白金微粒子となると、その封止層部分を茶色に変色させることがある。さらに、遊離の残白金成分が移行してダイボンド材に接触すると、ダイボンド材の分解を促進して変色させることがある。特にエポキシ樹脂を含むダイボンド材の場合にはそれが顕著となる。また、白金がイオンの状態で封止層中や界面を移行すると、イオン化傾向のより大きな、電極表面の銀、またダイボンド材に使用されている銀をイオン化し、銀のマイグレーションによる電極表面および近傍の封止層の黒色化が発生し、半導体発光装置の輝度を大きく低下させる原因となる。
その他、パッケージ内に充填する封止材を固める際にも、白金量の多い材料で形成されたパッケージとの界面において余分な残白金が触媒となることにより不都合が生じる場合もある。具体的には、封止材として縮合型シリコーンなどの水酸基やアルコキシ基を有する化合物を使用する場合、水素やアルカンといった爆発性の危険性ガスが発生したり、泡(水蒸気)が生じたりする可能性がある。また、封止材として付加型シリコーンを使用する場合、パッケージとの界面付近の封止材のみ硬化が速くなり、パッケージ界面での応力緩和機能が損なわれたりすることも推測される。
【0026】
さらに、硬化触媒の白金の成分含有量が上記のごとく0.4ppm以上25ppm以下の範囲の場合、使用するフィラーの一次粒子のアスペクト比は、1.0以上4.0以下であることが特に好ましい。本アスペクト比は、後述するように材料の高反射率確保の観点や、金型の磨耗率低減といった白金濃度と関連性の低い製品物性や加工面の観点からもこの範囲であることが好ましいが、白金濃度との関連性からもこの範囲が好ましい。特に、硬化触媒の白金の成分含有量が0.4ppm以上25ppm以下であり、かつ、使用するフィラーの一次粒子のアスペクト比が1.0以上4.0以下であれば、成形加工性が容易であり、反応性の高い材料、つまり、成形性と経済性の双方を満足することができる材料を製造することが可能となる。
フィラーの一次粒子のアスペクト比がこの範囲を越えて小さい場合には、成形加工をしやすい液粘弾性を得るためにフィラーの充填量を上げることが好ましい。0.4ppm以上25ppm以下の白金濃度では、高いフィラー充填量のために、成形加工品に欠けが出ることがあったり、硬化触媒と反応基末端の衝突頻度が低下して硬化速度が遅くなり、成形加工時の経済性に欠けたりするデメリットが生じる場合がある。
逆に、フィラーの一次粒子のアスペクト比がこの範囲を越えて大きい場合には、成形加工をしやすい液粘弾性を得るためにはフィラーの充填量を下げることが好ましい。0.4ppm以上25ppm以下の白金濃度では、低いフィラー充填量と粘度のために、硬化触媒と反応基末端の衝突頻度が増大して硬化速度が速くなり、金型の隅々まで材料液が充填される前に硬化反応が進行して成形加工品に欠けが出ることがあったり、充填された材料液が金型の隙間にまで浸み込み、バリ発生のエラーが生じたりするデメリットが生じることがある。
このような白金濃度とフィラーの一次粒子のアスペクト比に好ましい範囲があるという事実については、これまで報告されていない。
【0027】
さらに、硬化触媒の白金の成分含有量が上記のごとく0.4ppm以上25ppm以下の間の場合、上記のとおり使用するフィラーの一次粒子のアスペクト比は1.0以上4.0以下が好ましく、さらに成形性と経済性(反応性)との双方を満足させるために、ポリオルガノシロキサン樹脂を含むベース樹脂と該フィラーの重量比が15〜60:85〜40であることが望ましい。後述するようにポリオルガノシロキサン樹脂を含むベース樹脂と該フィラーの重量比が上記範囲にあることにより、温度衝撃に強く、樹脂成形体からリードフレームや封止材が剥離しにくく、かつ物理的衝撃に強く割れや欠けが生じない樹脂成形体を得られるが、このような効果が得られる「硬化触媒の白金の成分含有量、フィラー粒子のアスペクト比、及びフィラー含有量」の良好な組合せ範囲は、当業者であっても容易には想到できなかったものである。
【0028】
硬化触媒中の金属成分としては、上記示した白金のほか、チタン、タンタル、ジルコニウム、アルミニウム、ハフニウム、亜鉛、錫、などが使用できるが、白金であることが好ましい。金属成分としては、硬化触媒中に1種類のみ含んでもよく、2種以上含むこともできる。2種以上含む場合には、少なくとも白金を含むことが好ましく、金属成分の通常70重量%以上、好ましくは90重量%以上が白金であることが好ましい。
白金としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの
反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセテートなどが挙げられる。
【0029】
<1−2.反射率>
本発明のパッケージを構成する樹脂成形体は、可視光について高反射率を維持することができることが好ましい。0.3mm厚において波長460nmの光の反射率が60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
また、0.3mm厚において波長400nmの光の反射率が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
樹脂成形体の反射率は、樹脂の種類やフィラーの種類、フィラーの粒径や含有量などにより制御することができる。
【0030】
<1−3.屈折率>
本発明のパッケージを構成する樹脂成形体は、フィラーを含まない、即ち(A)ポリオルガノシロキサン樹脂のみを硬化させた成形体の屈折率として1.41〜1.54であることが好ましい。ポリオルガノシロキサン樹脂成形体の屈折率がこのような範囲の場合には、封止材に用いる樹脂との兼ね合いにより、樹脂成形体と封止材の界面における光の反射ロスを抑えることができる。
樹脂成形体の屈折率は、樹脂の種類や樹脂に含まれる官能基、フィラーの種類や含有量により制御することができる。具体的には官能基としてはフェニル基を含有させることで屈折率を上げることが出来、フッ素を含有させることで低減させることが出来る。ちなみに、フェニル基を有しないジメチル系のポリオルガノシロキサン(屈折率1.40〜1.41)に、Siの個数(mol数)に対しフェニル基の含有数として0.8個(mol)程度添加することで屈折率がおよそ1.53〜1.54に到達することが知られている。
また、フィラーとしてアルミナ(屈折率:1.7)、酸化亜鉛(屈折率:2.0)、ジルコニア(屈折率:2.4)、チタニア(屈折率:2.7)等の粒子を加えることによって屈折率を高めることも可能である。
【0031】
<2.樹脂成形体材料>
本発明において、樹脂成形体の原料とする樹脂成形体材料は、(A)ポリオルガノシロキサン樹脂、(B)フィラー、及び(C)硬化触媒を含有する。樹脂成形体は、樹脂成形体材料を硬化させた成形体であり、リードフレームなどの金属配線と共に成形することにより、半導体発光装置用パッケージとなる。
【0032】
<2−1.(A)ポリオルガノシロキサン樹脂>
本発明のパッケージを構成する樹脂成形体のベース樹脂は、フィラーを除いた樹脂成形体重量中における硬化触媒の金属成分濃度が上記範囲であり、(A)ポリオルガノシロキサンを含有する樹脂であれば、そのベース樹脂は熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良く、その種類は特段限定されない。ポリオルガノシロキサンと併用(混合または共重合体として)される熱可塑性樹脂としては、芳香族ナイロン系樹脂、ポリフタルアミド樹脂(PPA)、サルホン系樹脂、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、ポリケトン樹脂(PK)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、PBT樹脂などが使用できる。また、併用される熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、各種変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂などが使用できる。
本発明のパッケージを構成する樹脂成形体のベース樹脂中、(A)ポリオルガノシロキサンの含有量は特段限定されず、所望のパッケージの性質により適宜選択できるが、(A)ポリオルガノシロキサンが主成分であることが好ましい。ここで主成分とは、ベース樹脂中においての含有量が50重量%以上であることをいう。具体的には、70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上が更に好ましい。
【0033】
フィラー添加前のベース樹脂の粘度としては、取り扱いの容易さから、常温で100,000cp以下が好ましい。より好ましくは20,000cp以下である。さらに好ましくは10,000cp以下である。下限は特には制限されないが、揮発度(沸点)との関係上一般的には15cp以上である。
【0034】
また、ベース樹脂のポリスチレンを標準物質として測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィーでの平均分子量測定値として、樹脂の平均分子量は500以上、100,000以下であることが好ましい。より好ましくは700以上50,000以下である。さらに、揮発成分を少なくする(他部材との接着性を維持するため)目的から900以上、また、成形前の材料の取扱いのし易さから10,000以下であることがより好ましい。最も好ましくは5,000以下である。
【0035】
本発明の樹脂成形体におけるベース樹脂として用いられるポリオルガノシロキサンとは、ケイ素原子が酸素を介して他のケイ素原子と結合した部分を持つ構造に有機基が付加している高分子物質を指す。通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば以下に示す一般組成式(1)で表される化合物や、その混合物が挙げられる。
(R123SiO1/2M(R45SiO2/2D(R6SiO3/2T(SiO4/2Q ・・・(1)
ここで、上記式(1)中、R1からR6は独立して、有機官能基、水酸基、水素原子から選択される。またM、D、TおよびQは0から1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。
【0036】
主なポリオルガノシロキサンを構成する単位は、1官能型[R3SiO0.5](トリオル
ガノシルヘミオキサン)、2官能型[R2SiO](ジオルガノシロキサン)、3官能型[RSiO1.5](オルガノシルセスキオキサン)、4官能型[SiO2](シリケート)であり、これら4種の単位の構成比率を変えることにより、ポリオルガノシロキサンの性状の違いが出てくるので、所望の特性が得られるように適宜選択し、ポリオルガノシロキサンの合成を行う。
上記構成単位が1〜3官能型のポリオルガノシロキサンは、オルガノクロロシラン(一般式RnSiCl4-n(n=1〜3))と呼ばれる一連の有機ケイ素化合物をもとにして合成することができる。例えば、メチルクロロシランは塩化メチルとケイ素SiとをCu触媒下高温で直接反応させて合成することができ、また、ビニル基などの有機基を持つシラン類は、一般の有機合成化学の手法によって合成することができる。
単離されたオルガノクロロシランを、単独で、あるいは任意の割合で混合し、水により加水分解を行うとシラノールが生成し、このシラノールが脱水縮合するとシリコーンの基本骨格であるポリオルガノシロキサンが合成される。
【0037】
ポリオルガノシロキサンは、硬化触媒の存在下で、熱エネルギーや光エネルギー等を与えることにより硬化させる事ができる。ここで硬化とは、流動性を示す状態から、流動性を示さない状態に変化することをいい、例えば、対象物を水平より45度傾けた状態で30分間静置しても流動性がある状態を未硬化状態といい、全く流動性がない状態を硬化状態として判断することができる。
ポリオルガノシロキサンは、硬化のメカニズムにより分類すると、通常、付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、紫外線硬化タイプ、パーオキサイド架硫タイプなどのポリオルガノシロキサンを挙げることができる。これらの中では、付加重合硬化タイプ(付加型ポリオルガノシロキサン)、および縮合硬化タイプ(縮合型ポリオルガノシロキサン)が好適である。中でも、副生成物の発生が無く、また、反応が可逆性でないヒドロシリル化(付加重合)によって硬化するポリオルガノシロキサンのタイプがより好適である。これ
は、成形加工時に副生成物が発生すると、成形容器内の圧を上昇させたり、硬化材料中に泡として残存したりする傾向にあるからである。
ポリオルガノシロキサンは、常温常圧下において液体であっても、常温常圧下で固体であってもよいが、より望ましくは液体である。上記常温とは20℃±15℃(5〜35℃)の範囲の温度をいい、常圧とは大気圧に等しい圧力をいい、ほぼ1気圧である。
【0038】
ポリオルガノシロキサンは、硬化のメカニズムにより分類すると、通常、付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、紫外線硬化タイプ、パーオキサイド架硫タイプなどのポリオルガノシロキサンを挙げることができる。これらの中では、付加重合硬化タイプ(付加型ポリオルガノシロキサン)、及び縮合硬化タイプ(縮合型ポリオルガノシロキサン)が好適である。中でも、成形加工時に副生成物(成形容器内の圧を上昇させたり、硬化材料中に泡として残存したりするため好ましくない)の発生が無く、また反応が可逆性でないヒドロシリル化(付加重合)によって硬化するポリオルガノシロキサンのタイプがより好適である。
【0039】
上記付加型ポリオルガノシロキサンとは、ポリオルガノシロキサン鎖が、有機付加結合により架橋されたものをいう。代表的なものとしては、例えばビニルシラン等の(C1)アルケニル基を有する珪素含有化合物と、例えばヒドロシラン等の(C2)ヒドロシリル基を含有する珪素化合物とを総ヒドロシリル基量が0.5倍以上、2.0倍以下となる量比で混合し、(C3)貴金属系錯体に代表される付加縮合触媒の存在下反応させて得られるSi−C−C−Si結合を架橋点に有する化合物等を挙げることができる。
【0040】
(C1)アルケニル基を有する珪素含有化合物としては、下記一般式(2)
nSiO[(4-n)/2] ・・・(2)
で示される、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するポリオルガノシロキサンが挙げられる。
但し、上記式(2)中、Rは同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基、アルコキシ基、又は水酸基で、nは1≦n<2を満たす正の数である。
上記(C1)アルケニル基を有するケイ素含有化合物においてアルケニル基とは、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基などの炭素数2〜8のアルケニル基であることが好ましい。Rが炭化水素基である場合はメチル基、エチル基などのアルキル基、ビニル基、フェニル基等の炭素数1〜20の1価の炭化水素基から選択される。好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基である。
【0041】
それぞれは異なっても良いが、耐UV性が要求される場合には上記式中Rのうちの65%程度はメチル基であることが好ましい。つまり、Siの個数(mol数)に対してメチル基以外の官能基の含有数として0.5個(mol)程度であることが好ましい。より好ましくは80%以上がメチル基である。Rが炭素数1〜8のアルコキシ基や水酸基であってもよいが、アルコキシ基や水酸基の含有率は(C1)アルケニル基を有する珪素含有化合物の重量の10%以下であることが好ましい。またnは1≦n<2を満たす正数であるが、この値が2以上であるとパッケージ用材料とリードフレーム等の導電体との接着に十分な強度が得られなくなり、1未満であるとこのポリオルガノシロキサンの合成が困難になる。
【0042】
上記(C1)アルケニル基を有する珪素含有化合物としては、例えばビニルシラン、ビニル基含有ポリオルガノシロキサンを挙げることができ、これらを1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。上記の中でも分子内に2個以上のビニル基を有するビニル基含有ポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0043】
分子内に2個以上のビニル基を有するビニル基含有ポリオルガノシロキサンとして具体
的には以下のものが挙げられる。
両末端ビニルポリジメチルシロキサン
DMS−V00、DMS−V03、DMS−V05、DMS−V21、DMS−V22、DMS−V25、DMS−V31、DMS−V33、DMS−V35、DMS−V41、DMS−V42、DMS−V46、DMS−V52(いずれもGelest社製)
両末端ビニルジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコポリマー
PDV−0325、PDV−0331、PDV−0341、PDV−0346、PDV−0525、PDV−0541、PDV−1625、PDV−1631、PDV−1635、PDV−1641、PDV−2331、PDV−2335(いずれもGelest社製)
両末端ビニルフェニルメチルシロキサン
PMV−9925(Gelest社製)
トリメチルシリル基封鎖ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー
VDT−123、VDT−127、VDT−131、VDT−153、VDT−431、VDT−731、VDT−954(いずれもGelest社製)
ビニルT−構造ポリマー
VTT−106、MTV−124(いずれもGelest社製)
【0044】
また、(C2)ヒドロシリル基を含有する珪素化合物としては、例えばヒドロシラン、ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンを挙げることができ、これらを1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。上記の中でも分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0045】
分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサンとして具体的には以下のものが挙げられる。
両末端ヒドロシリルポリジメチルシロキサン
DMS−H03、DMS−H11、DMS−H21、DMS−H25、DMS−H31、DMS−H41(いずれもGelest社製)
両末端トリメチルシリル封鎖メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマーHMS−013、HMS−031、HMS−064、HMS−071、HMS−082、HMS−151、HMS−301、HMS−501(いずれもGelest社製)
【0046】
本発明における上記(C1)アルケニル基を有する珪素含有化合物および(C2)ヒドロシリル基を含有する珪素化合物の使用量は、(C1)アルケニル基を有する珪素含有化合物1molに対して(C2)ヒドロシリル基を含有する珪素化合物が通常0.5mol以上であり、好ましくは0.7mol以上、より好ましくは0.8mol以上である。また通常2.0mol以下であり、好ましくは1.8mol以下、より好ましくは1.5mol以下である。このような割合で反応させることにより、硬化後の未反応末端基の残存量を低減し、点灯使用時の着色や剥離等の経時変化が少ない硬化物を得ることができる。
また、ヒドロシリル化を起こす反応点(架橋点)の個数は、アルケニル基およびヒドロシリル基ともにフィラーを含まない樹脂自体中において0.15mmol/g以上、20mmol/g以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.25mmol/g以上、10mmol/g以下である。
【0047】
また、上記縮合型ポリオルガノシロキサンとしては、例えば、アルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合で得られるSi−O−Si結合を架橋点に有する化合物を挙げることができる。具体的には、下記一般式(3)及び/若しくは(4)で表わされる化合物、並びに/又はそのオリゴマーを加水分解・重縮合して得られる重縮合物が挙げられる。
【0048】
m+n1m-1 ・・・(3)
式(3)中、Mはケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、Xは加水分解性基を表し、Y1は、1価の有機基を表し、mはMの価数を表す1以上の整数を表し、nはX基の数を表わす1以上の整数を表す。但し、m≧nである。
【0049】
(MS+t1s-t-1u2 ・・・(4)
式(4)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、Xは加水分解性基を表し、Y1は1価の有機基を表し、Y2はu価の有機基を表し、sはMの価数を表す1以上の整数を表し、tは1以上s−1以下の整数を表し、uは2以上の整数を表す。
【0050】
縮合型ポリオルガノシロキサンは公知のものを使用することができ、例えば、特開2006−77234号公報、特開2006−291018号公報、特開2006−316264号公報、特開2006−336010号公報、特開2006−348284号公報、および国際公開2006/090804号パンフレットに記載の半導体発光デバイス用部材が好適である。
【0051】
縮合型ポリオルガノシロキサンの中で、特に好ましい材料について、以下に説明する。
ポリオルガノシロキサンは、一般に半導体発光装置に用いた場合、半導体発光素子や半導体素子を配置する基板、樹脂成形体等との接着性が弱いことがあるが、これらと密着性が高いポリオルガノシロキサンとするため、特に、以下の[1]および[2]のうち1つ以上の特徴を有する縮合型ポリオルガノシロキサンが好ましい。
[1]ケイ素含有率が20重量%以上である。
[2]測定した固体Si−核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、下記(a)および/または(b)のSiに由来するピークを少なくとも1つ有する。
【0052】
(a)ピークトップの位置がシリコーンゴムを基準としてケミカルシフト−40ppm以上、0ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上、3.0ppm以下であるピーク。
(b)ピークトップの位置がシリコーンゴムを基準としてケミカルシフト−80ppm以上、−40ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上5.0ppm以下であるピーク。
【0053】
また、本発明のベース樹脂としてはフェニル基を含有していることも好ましい。フェニル基を有するポリオルガノシロキサンを用いた樹脂成形体とすることで材料の強度がアップする他、屈折率が上昇するため封止材に用いる樹脂との兼ね合いにより、樹脂成形体と封止材の界面における光の反射ロスを抑えることができる。特に上記(1)で表されるポリオルガノシロキサン1分子中に含まれるSiの個数(mol数)に対しフェニル基の含有数が平均0.8個(mol)以下である場合には、樹脂成形体の屈折率と白色フィラーの屈折率との差を大きくとって、なおかつ封止樹脂との屈折率差を小さくすることが出来、樹脂成形体と封止材の界面における光の反射ロスをより抑えることが出来るために更に好ましい。具体的な白色フィラーを含まない樹脂材料の屈折率としては1.41〜1.54の範囲が好ましい。
【0054】
また、上記の特徴を有するポリオルガノシロキサンの中でも、反応の進行に伴い脱離する成分の無い付加型ポリオルガノシロキサンが、閉じた金型内での硬化を想定した場合の成形加工性、硬化物の耐熱性(重量変化が少ないこと)等の観点からは好ましい。成形加工方法により、縮合反応の進行に伴い発生する成分の成形加工性への影響が大きくない場合には縮合型ポリオルガノシロキサンも用いることができ、その場合には、特にシラノー
ル含有率が0.01重量%以上、10重量%以下である縮合型ポリオルガノシロキサンが好ましい。より好ましくは、シラノール含有率として3重量%以下である。
【0055】
<2−2.(C)硬化触媒>
本発明における(C)硬化触媒とは(A)ポリオルガノシロキサン樹脂を硬化させる触媒である。ポリオルガノシロキサンは触媒を加えることにより重合反応が早まり硬化する。本発明の樹脂成形体は、ヒドロシリル化反応や縮合反応などにより硬化するが、ヒドロシリル化反応を介して硬化することが好ましい。すなわち、ヒドロシリル化反応で硬化すること、または、ヒドロシリル化反応と縮合反応とを併用して硬化することが好ましい。
【0056】
本発明の樹脂成形体がシリコーン樹脂主体の場合は、ポリオルガノシロキサンの硬化機構により付加重合用触媒、縮合重合用触媒がある。付加重合用触媒としては、上記(C1)成分中のアルケニル基と上記(C2)成分中のヒドロシリル基とのヒドロシリル化付加反応を促進するための触媒であり、この付加縮合触媒の例としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、白金成分とオレフィン類との錯体およびそれをシリコーンや炭化水素に溶解させたもの、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒などの貴金属系触媒が挙げられる。中でも白金系触媒が好ましく、さらには塩化白金酸が好ましい。付加重合用触媒の配合量は、通常白金族金属として上記(C1)及び(C2)成分の合計重量に対して通常0.4ppm以上、好ましくは0.5ppm以上、より好ましくは1ppm以上、さらに好ましくは3ppm以上であり、通常25ppm以下、好ましくは20ppm以下、より好ましくは15ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。これにより硬化反応速度を高く維持することができると同時に、大量に高価な金属触媒を使用することによる経済性の低さと活性な触媒種の残存による材料の耐久性低下(加熱保管時の着色や耐UV性等)、ならびに可使時間を十分に確保することが可能となる。特に白金成分を含有させることは、電極表面に汎用される銀のマイグレーションを防止する観点からも好ましい。
【0057】
縮合重合用触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、有機酸などの酸、アンモニア、アミン類などのアルカリ、金属キレート化合物などを用いることができ、好適なものとしてTi、Ta、Zr、Al、Hf、Zn、Sn、Ptのいずれか1以上を含む金属キレート化合物を用いることができる。なかでも、金属キレート化合物は、Ti、Al、Zn、Zrのいずれか1以上を含むものが好ましく、Zrを含むものがさらに好ましく用いられる。
これらの触媒は半導体発光装置パッケージ材料として配合した際の安定性、被膜の硬度、無黄変性、硬化性などを考慮して選択される。
【0058】
縮合重合用触媒の配合量は、上記式(3)および/または(4)で表される成分の合計重量に対して通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上である。上限値は、通常10重量%以下であり、6重量%以下であることが好ましい。
添加量が上記範囲であると半導体発光装置用樹脂成形体材料の硬化性、保存安定性、樹脂成形体の品質が良好である。添加量が上限値以上と成ると樹脂成形体材料の保存安定性に問題が生じ、下限値未満と成ると硬化時間が長くなり樹脂成形体の生産性の低下、未硬化成分により樹脂成形体の品質が低下する。
【0059】
<2−3.(B)フィラー>
本発明においてフィラーは、樹脂の硬化に対して阻害のない公知の無機又は有機フィラーを適宜選択する事が出来る。
本発明においては、上記フィラーは、上記樹脂成形体の断面観察において、樹脂成形体断面100μm2あたりに含まれる粒径0.2μm以上50μm以下のフィラーの個数が100個以上350個以下であることが好ましい。樹脂成形体の破断面に存在するフィラ
ーの数を上記範囲に制御することで、上記フィラーの露出により生じる輝度の低下を防止することができるため好ましい。
【0060】
より一層の長期信頼性を有する観点から、樹脂成形体の断面観察において、樹脂成形体断面100μm2あたりに含まれるフィラーの個数が120個以上であることが好ましく、150個以上であることがより好ましい。一方、300個以下であることがより好ましく、280個以下であることが更に好ましい。
【0061】
上記樹脂成形体中に含まれるフィラーの測定方法について、以下説明する。
断面観察の具体的方法としては、SEM、ESCA、TEM、SEM−EDXなどの手法が好適に用いられる。
【0062】
中でも0.2μm以上径の粒子をある面積に亘って観察するという意図から、SEMもしくはESCAが好適に用いられる。
さらにその中でも測定の簡便性から、SEM観察が好ましい。
【0063】
樹脂成形体の断面のSEM観察には以下の手法に基づいて観察を行なった。
1)はさみでサンプルを小さく切り出す。
2)2液混合型エポキシで包埋固定する。
3)ライカマイクロシステムズ(株)製のウルトラミクロトームUC6とFC6を用いて、設定温度−120℃でダイヤモンドナイフで切削する
4)切削面を自作装置でイオンエッチング処理を行う。
5)フィルジェン(株)製のオスミウムプラズマコーターで導電処理を行う。
6)HITACHI製のSEM S800で観察を行う。
7)0.2μm径以上50μm径以下の粒子を100μm2中にいくつあるかカウントする。
【0064】
上記樹脂成形体断面中のフィラーの個数は、樹脂成形体とフィラーとの接着性により制御できる。すなわち、樹脂成形体とフィラーの接着性が良い場合には、樹脂成形体の破断面のフィラーが樹脂成形体の被膜に覆われており、露出しにくい傾向にある。
本発明の樹脂成形体において、樹脂成形体の断面100μm2あたりに含まれるフィラーの個数は、ベース樹脂に含まれる吸着性官能基量の大小、フィラー表面の活性の高低を調節する表面処理、粘度調節剤の含有により、制御することができる。例えば、ベース樹脂及びフィラー表面にお互いが共有結合、水素結合もしくは配位結合などの化学結合を出来るような官能基を予め導入しておくことが一般的な制御手法として挙げられる。
【0065】
本発明に用いることができる無機フィラーとしては、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化珪素、酸化チタン(チタニア)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属塩;窒化硼素、アルミナホワイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、硼酸アルミニウム、クレー、タルク、カオリン、雲母、合成雲母などが挙げられる。
また、有機フィラーとしては、弗素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等の樹脂粒子などを挙げることができるが、いずれもこれらに限定されるものではない。
【0066】
このうち、反射材として高い機能を発揮する観点からは、白色を呈する白色顔料が好ましい。特に可視光の吸収が弱く、屈折率が高いことが好ましく、具体的にはチタニア、アルミナなどが特に好ましい。発光素子の発光波長が410nm以下である場合には、紫外乃至近紫外域の光吸収が少ない観点からアルミナ、酸化ジルコニウムなどが好ましい。ま
た、熱伝導率の観点からは、アルミナ、窒化硼素が好ましい。フィラーは単独もしくは2種以上混合して用いる事が出来る。
【0067】
上記アルミナは、アルミニウムの酸化物をいい、結晶形態は問わないが、化学的に安定、融点が高い、機械的強度が大きい、硬度が高い、電気絶縁抵抗が大きい等の特性を持つαアルミナが好適に使用できる。
また、アルミナ中にアルミニウム、酸素以外の元素を不純物として含む場合には可視光領域に吸収を持つために着色するため、好ましくない。好ましくは、クロム、鉄、チタンの含有量がそれぞれ0.02%以下、好ましくは0.01%以下のものを使用できる。また、材料の熱伝導率は高い方が好ましく、熱伝導率を高くするためには、純度98%以上、好ましくは純度99%以上のアルミナを用いることが好ましく、特に低ソーダアルミナが好ましい。
【0068】
チタニアとしては具体的には富士チタン工業社製のTA−100、TA−200、TA−300、TA−500、TR−840等が挙げられ、アルミナとしては具体的には日本軽金属社製A30シリーズ、ANシリーズ、A40シリーズ、MMシリーズ、LSシリーズ、AHPシリーズ、アドマテックス社製「Admafine Alumina」AO−5タイプ、AO−8タイプ、日本バイコウスキー社製CRシリーズ、大明化学工業社製タイミクロン、Aldrich社製10μm2径アルミナ粉末、昭和電工社製A−42シリーズ、A−43シリーズ、A−50シリーズ、ASシリーズ、AL−43シリーズ、AL−47シリーズ、AL−160SGシリーズ、A−170シリーズ、AL−170シリーズ、住友化学社製AMシリーズ、ALシリーズ、AMSシリーズ、AESシリーズ、AKPシリーズ、AAシリーズ等が挙げられ、ジルコニアとしては具体的には第一希元素化学工業社製UEP−100等が挙げられ、酸化亜鉛としては具体的にはハクスイテック社製酸化亜鉛2種等が挙げられる。
【0069】
上記フィラーは、その一次粒子のアスペクト比が1.0以上4.0以下であることが好ましく、1.0以上3.0以下であることがより好ましい。1.2以上3.0以下であることがさらに好ましく、なかでも1.3以上2.5以下であることがより好ましく、1.4以上2.2以下であることが特に好ましく、1.4以上1.8以下であることが最も好ましい。一次粒子のアスペクト比が上記範囲である場合には、散乱により高反射率を発現しやすく、特に近紫外領域の短波長の光の反射が大きい。さらに、白金の成分含有量が0.4ppm以上25ppm以下の間の場合には、上述したように、成形加工性と経済性の観点からもこの範囲が好ましい。
【0070】
また、上記フィラーとして白色顔料を用いる場合に、一次粒子径が0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。下限値については好ましくは0.15μm以上、更に好ましくは0.2μm以上であり、上限値については好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.8μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。
一次粒子径が小さすぎると白色顔料は、散乱光強度が小さいため反射率は低くなる傾向があり、一次粒子径が大きすぎると白色顔料は、散乱強度は大きくなるが、前方散乱傾向になるため反射率は小さくなる傾向にある。なお、樹脂組成物中の白色顔料の充填率を上げる等の目的で、一次粒子径が2μmよりも大きい白色顔料を併用することもできる。
【0071】
一方、上記白色顔料は、二次粒子のメディアン径(D50)が、0.2μm以上50μm以下であるものが好ましく、0.2μm以上5μm以下であるものがより好ましい。なお、樹脂組成物中の白色顔料の充填率を上げる等の目的で、二次粒子径が50μmよりも大きい白色顔料を併用することもできる。
【0072】
本発明における一次粒子とは粉体を構成している粒子のうち、粒子間の界面を明瞭に観
察することができる粒子のことであり、複数の一次粒子が凝集したバルク状粒子は除かれる。一次粒子径はSEMなどの電子顕微鏡観察により計測した一次粒子の粒子径をいい、観察する方向によって面積が異なる粒子の場合には、面積が最大となる方向から観察した際の長軸の長さを、一次粒子径とする。一方、一次粒子が凝集してできる凝集粒子を二次粒子といい、二次粒子径はSEMなどの電子顕微鏡観察以外にも、粉体を適当な分散媒(例えばアルミナの場合は水)に分散させて粒度分析計等で測定した粒径を言う。本明細書中において述べる粒径もしくは粒子径は特に記載しない場合において二次粒子径のことをさす。この粒子径はばらつきがある場合は、複数点(例えば10点)をSEM観察し、その平均値を粒子径としてもとめることができる。また、測定の際、個々の粒子径が球状でない場合はもっとも長い、即ち長軸の長さを粒子径とする。
【0073】
上記フィラーは、(A)ポリオルガノシロキサン樹脂との接着性を上げるため、表面処理することが好ましい。表面処理としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤で処理することが挙げられる。
このようなカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。
【0074】
なお、表面処理に用いるカップリング剤の表面処理方法については、通常の処理方法によって実施されればよく、その方法は特に限定されるものではない。例えばシランカップリング剤を適当な溶媒中に溶解し、この溶液中にフィラーを浸し、溶媒を留去および加熱乾燥する方法などが挙げられる。
【0075】
また、樹脂成形体におけるフィラーの含有量が、(A)ポリオルガノシロキサン樹脂を含むベース樹脂と(B)フィラーの重量比が15〜60:85〜40であると、温度衝撃に強く、樹脂成形体からリードフレームや封止材が剥離しにくく、かつ物理的衝撃に強く割れや欠けが生じない樹脂成形体を得やすくなる。上記範囲は30〜40:70〜60であることがより好ましい。
【0076】
さらにまた、成形体の強度アップを図る目的で、またフィラーの一部として、ガラス繊維やガラスファイバー、ガラスパウダー等を用いることもできる。
好ましいガラス繊維やガラスファイバー、ガラスパウダーとしては、具体的には、デンカ社製大粒径シリカFB−40S、セントラル硝子社製EFDE50−31、EGP200−10、EFH75−10、NSG Vetrotex社製REV1、REV7、REV8等が挙げられる。
【0077】
これらの材料の添加に際しても、各々の系に合った種類、適した範囲の含有量を選択することができる。
【0078】
<2−4.その他の成分>
本発明の樹脂組成物中には、本発明の要旨を損なわない限り、必要に応じて他の成分を1種、または2種以上、任意の比率及び組み合わせで含有させることができる。
例えば、樹脂組成物の流動性コントロールや白色顔料の沈降抑制の目的で、粒径0.2μm未満のシリカ微粒子を含有させることができる。このシリカ微粒子は本発明におけるフィラーとは定義しない。
上記シリカ微粒子の含有量は、通常、ベース樹脂がシリコーンである場合には、ポリオ
ルガノシロキサン100重量部に対し60重量部以下、好ましくは40重量部以下である。
【0079】
本発明に使用するシリカ微粒子は、特に限定されるものではないが、BET法による比表面積が、通常0.02m2/g以上、好ましくは10m2/g以上、さらに好ましくは50m2/g以上、よりさらに好ましくは100m2/g以上である。また、通常500m2/g以下、好ましくは200m2/g以下である。比表面積が小さすぎるとシリカ微粒子の添加効果が認められず、大きすぎると樹脂中への分散処理が困難になる。シリカ微粒子は、例えば親水性のシリカ微粒子の表面に存在するシラノール基と表面改質剤を反応させることにより表面を疎水化したものを使用してもよい。
【0080】
表面改質剤としては、アルキルシラン類の化合物が挙げられ、具体例としてジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクチルシラン、ジメチルシリコーンオイルなどが挙げられる。
【0081】
シリカ微粒子としては、例えばフュームドシリカを挙げることができ、フュームドシリカは、H2とO2との混合ガスを燃焼させた1100〜1400℃の炎でSiCl4ガスを酸化、加水分解させることにより作製される。フュームドシリカの一次粒子は、平均粒径が5〜50nm程度の非晶質の二酸化ケイ素(SiO2)を主成分とする球状の超微粒子であり、この一次粒子がそれぞれ凝集し、粒径が数百nmである二次粒子を形成する。フュームドシリカは、超微粒子であるとともに、急冷によって作製されるため、表面の構造が化学的に活性な状態となっている。
【0082】
具体的には、例えば日本アエロジル株式会社製「アエロジル」(登録商標)が挙げられ、親水性アエロジル(登録商標)の例としては、「90」、「130」、「150」、「200」、「300」、疎水性アエロジル(登録商標)の例としては、「R8200」、「R972」、「R972V」、「R972CF」、「R974」、「R202」、「R805」、「R812」、「R812S」、「RY200」、「RY200S」「RX200」が挙げられる。
【0083】
また、樹脂組成物を成形した成形体の物理特性を調整するため、架橋剤を加えることもできる。架橋剤としては、例えば、下記一般式(6)で表わされる化合物及び/又はその部分加水分解縮合物が好適に用いられる。
7aSiX4-a ・・・(6)
上記式(6)中、R7は非置換又は置換の一価炭化水素基であり、Xは加水分解性基であり、aは0又は1である。
【0084】
一般式(6)中、R7で表される非置換又は置換の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素原子数10以下、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6の低級アルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;(メタ)アクリロイル基;(メタ)アクリロイルオキシ基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリル基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;及び、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子等で置換された基、例えば、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の、炭素原子数1〜10、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6のものが挙げられる。このうち、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基及びフェニル基であり、特に好ましくはメチル基及びフェニル基である。
【0085】
一般式(6)中、Xで表される加水分解性基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メチルエチルケトオキシム基等のケトオキシム基、イソプロペノキシ基等のアルケニルオキシ基、アセトキシ基等のアシロキシ基、ジメチルアミノキシ基等のアミノキシ基等が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。
【0086】
一般式(6)で表される化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン等の3官能性アルコキシシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等の4官能性アルコキシシラン;メチルトリプロペノキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリ(ブタノキシム)シラン、ビニルトリ(ブタノキシム)シラン、フェニルトリ(ブタノキシム)シラン、プロピルトリ(ブタノキシム)シラン、テトラ(ブタノキシム)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリ(ブタノキシム)シラン、3−クロロプロピルトリ(ブタノキシム)シラン、メチルトリ(プロパノキシム)シラン、メチルトリ(ペンタノキシム)シラン、メチルトリ(イソペンタノキシム)シラン、ビニルトリ(シクロペンタノキシム)シラン、メチルトリ(シクロヘキサノキシム)シラン及びこれらの部分加水分解縮合物等が挙げられ、好ましくはアルコキシシラン類とその部分加水分解縮合物である。
【0087】
樹脂組成物中に含まれる架橋剤の配合量は、ベース樹脂の主成分がポリオルガノシロキサンである場合には、当該ポリオルガノシロキサン100質量部に対して通常、0質量部より大きく、30質量部以下である。好ましくは20質量部以下であり、特に好ましくは10質量部以下である。配合量が上記範囲であることで、樹脂に適切な硬度と柔軟性を付与することができる。
【0088】
また、樹脂成形体の弾性を高めて物理的特性を改善する目的において、粉状シリコーンゴムなどのゴム状弾性体を添加することも好ましい。
添加量としては、樹脂成形体100質量部に対して通常、0質量部より大きく、30質量部以下である。好ましくは20質量部以下であり、特に好ましくは5質量部以下である。配合量が上記範囲であることで、樹脂成形体の強度が良好となる。
【0089】
さらに、樹脂組成物を成形した成形体の物理特性を調整するためと、可使時間の最適化を目的として、硬化遅延剤(触媒制御剤)を加えることもできる。硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
【0090】
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマレート等のマレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
【0091】
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
【0092】
硬化遅延剤の添加量は種々設定できるが、使用する(C)硬化触媒1molに対する好ましい添加量の下限は10-1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は103モル、より好ましくは50モルである。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0093】
また、樹脂組成物を成形した成形体の物理特性を調整するため、脂環式の炭化水素基を有する化合物を加えることも好ましい。脂環式の炭化水素基を有する化合物としては、シクロヘキシル基やノルボルニル基を有するシランカップリング剤や、ビニル基を有するシクロヘキサン系有機化合物が挙げられ、特にトリビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルネンが好ましい。
上記脂環式の炭化水素基を有する化合物の含有量は適宜設定できるが、樹脂成形体100重量部当たり0重量部より多く、10重量部以下であることが好ましい。
【0094】
また、樹脂組成物の熱硬化後の強度、靭性を高める目的で、ガラス繊維などの無機物繊維を含有させてもよく、また、熱伝導性を高めたるため、熱伝導率の高い窒化ホウ素、窒化アルミ、繊維状アルミナ等を前述の白色顔料とは別に含有させることができる。その他、硬化物の線膨張係数を下げる目的で、石英ビーズ、ガラスビーズ等を含有させることができる。
これらの添加する場合の含有量は、少なすぎると目的の効果か得られず、多すぎると樹脂組成物の粘度が上がり、加工性に影響するので、十分な効果が発現し、材料の加工性を損なわない範囲で適宜選択できる。通常、ポリオルガノシロキサン100重量部に対し100重量部以下、好ましくは60重量部以下である。
【0095】
また上記樹脂組成物中には、その他、イオンマイグレーション(エレクトロケミカルマイグレーション)防止剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤などを本発明の目的および効果を損なわない範囲において含有させることができる。
【0096】
なお、これら以外にカップリング剤を添加することも成形体の物理特性をより一層制御する観点から好ましい。一部はフィラー表面修飾剤や架橋剤の箇所でも紹介したが、好ましいカップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
【0097】
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類;3−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
【0098】
<3.本発明の半導体発光装置用樹脂成形体の製造方法>
本発明の半導体発光装置用樹脂成形体の成形方法として圧縮成形法やトランスファー成形法や射出成形法が挙げられる。これらのうち、好ましい成形法としては、無駄な硬化物が発生せず二次加工が不要である点から、射出成形法、特に液状射出成形法(LIM成形)が好ましい。射出成形法によれば、樹脂成形体の成形工程の自動化、成形サイクルの短縮化、成形品のコスト削減が可能になる等大きなメリットがある。
【0099】
樹脂成形体は、成形加工前の操作温度として一貫して45℃以下であり、かつ成形加工時の成形温度が300℃以下であることが好ましい。
【0100】
圧縮成形法ではコンプレッション成形機を用いて行う事が出来る。成形温度は材料に応じて適宜選択すればよいが、通常80℃以上、300℃以下、好ましくは100℃以上、250℃以下、さらに好ましくは、130℃以上、200℃以下である。成形時間は材料の硬化速度に応じて適宜選択すればよいが、通常3秒以上、1200秒以下、好ましくは5秒以上、900秒以下、さらに好ましくは10秒以上、600秒以下である。
【0101】
トランスファー成形法ではトランスファー成形機を用いて行う事が出来る。成形温度は材料に応じて適宜選択すればよいが、通常80℃以上、300℃以下、好ましくは100℃以上、250℃以下、さらに好ましくは、130℃以上、200℃以下である。成形時間は材料のゲル化速度や硬化速度に応じて適宜選択すればよいが、通常3秒以上、1200秒以下、好ましくは5秒以上、900秒以下、さらに好ましくは10秒以上、600秒以下である。
【0102】
射出成形法では射出成形機を用いて行う事が出来る。シリンダー設定温度は材料に応じて適宜選択すればよいが、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、さらに好ましくは、60℃以下である。金型温度は80℃以上、300℃以下、好ましくは100℃以上、250℃以下、さらに好ましくは、130℃以上、200℃以下である。射出時間は材料によって変わるが、通常数秒あるいは1秒以下である。成形時間は材料のゲル化速度や硬化速度に応じて適宜選択すればよいが、通常3秒以上、1200秒以下、好ましくは5秒以上、900秒以下、さらに好ましくは10秒以上、600秒以下である。
【0103】
いずれの成形法でも必要に応じて後硬化を行う事ができ、後硬化温度は100℃以上、300℃以下、好ましくは150℃以上、250℃以下、さらに好ましくは、170℃以上、200℃以下である。後硬化時間は通常3分間以上、24時間以下、好ましくは5分間以上、10時間以下、さらに好ましくは10分間以上、5時間以下である。
【0104】
本発明の樹脂成形体は、成形の際に金属配線と共に成形することで、半導体発光装置用パッケージとすることができる。例えば、金属配線として配線を有する基板を作成し、基板上に金型を用いて樹脂成形体を射出成形する方法や、金属配線としてリードフレームを金型に配置して樹脂成形体を射出成形する方法などにより製造することができる。
【0105】
<4.半導体発光装置>
本発明の半体導体発光装置用パッケージは、通常半導体発光素子を搭載して半導体発光装置として用いられる。半導体発光装置の概要を、図を用いて説明するが、本発明は以下
の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
図1、図2には、半導体発光装置の一例が示され、半導体発光素子(LEDチップ)1、樹脂成形体2および金属リードフレーム5からなるパッケージ、ボンディングワイヤー3、封止材4等から構成される。
図1では封止材中に蛍光体粒子が分散しており、蛍光体層を兼ねている。一方、図2のように蛍光体層6を封止材とは別に、半導体発光素子と離れて配置することもできる。
【0106】
半導体発光素子1は、近紫外領域の波長を有する光を発する近紫外半導体発光素子、紫領域の波長の光を発する紫半導体発光素子、青領域の波長の光を発する青色半導体発光素子などを用いることが可能であり、350nm以上520nm以下の波長を有する光を発する。図1及び図2においては半導体発光素子が1つのみ記載されているが、複数個の半導体発光素子を線状、平面状に配置することも可能である。半導体発光素子1を平面状に配置することで、容易に面照明とすることができ、該実施形態は、より出力を強くしたい場合に好適である。
【0107】
パッケージを形成する樹脂成形体2は、リードフレーム5と共に成形される。パッケージの形状は特段限定されず平面型でもカップ型でもよいが、光に指向性を持たせる観点からカップ型とすることが好ましい。リードフレーム5は導電性の金属からなり、半導体発光装置外からの電源供給を行い、半導体発光素子1に通電する役割を果たす。
【0108】
ボンディングワイヤー3は、半導体発光素子1をパッケージに固定する。また、半図2のように、導体発光素子1が電極となるリードフレーム5と接触していない場合には、導電性のボンディングワイヤー3が半導体発光素子1への電極供給の役割を担う。ボンディングワイヤー3は、リードフレーム5に圧着し、熱及び超音波の振動を与えることで接着させるが、リードフレーム5の表面が銀または銀合金である場合には、当該接着性が向上し、好ましい。
【0109】
封止材4は、バインダー樹脂に蛍光体を混合させた混合物であり、封止材中に含まれる蛍光体が半導体発光素子1からの励起光を蛍光に変換する。本実施形態においては、封止材が蛍光体層の役割を兼ねている。封止材4に含まれる蛍光体は、半導体発光素子1の励起光の波長に応じて適宜選択される。白色光を発する発光装置において、青色励起光を発する半導体発光素子を励起光源とする場合であれば、緑色及び赤色の蛍光体を蛍光体層に含ませることで白色光を生成することができる。紫色励起光を発する半導体発光素子の場合であれば、青色及び黄色の蛍光体を蛍光体層に含ませる場合や、青色、緑色、及び赤色の蛍光体を蛍光体層に含ませる場合などが挙げられる。
封止材4に含まれるバインダー樹脂は、従来封止材に用いられている透光性のものを適宜選択することが可能であり、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが用いられるが、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。
【0110】
封止材4は、蛍光体を混合せず封止の役割のみを持たせ、蛍光体層を別に構成する態様も本発明の実施の態様である。例えば図2のように、樹脂成形体2を覆うように透明基板(図示せず)を用意し、その上に蛍光体層6を形成する態様も考えられる。このような態様の場合、半導体発光素子1と蛍光体層6とが距離をあけて配置されているため、蛍光体層6の劣化を防ぐことができ、また発光装置の出力も向上させることができる。半導体発光素子1と蛍光体層6との距離は、1〜500mmであることが好ましく、5〜500mmであることがより好ましい。
【0111】
図1においては、樹脂成形体2に半導体発光素子1が直接搭載されており、半導体発光素子1が搭載された箇所の樹脂成形体2の厚さは、通常100μm以上、好ましくは20
0μm以上である。また、通常3000μm以下であり好ましくは2000μm以下である。厚みが薄すぎると底面に光が透過して反射率が低下する傾向があり、パッケージの強度が不十分で取り扱い上変形する、などの問題が生じるおそれがあり、厚すぎるとパッケージ自体も厚く嵩高くなるため、半導体発光装置の適用用途が限られる可能性がある。
【実施例】
【0112】
以下、本発明について実施例を挙げより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0113】
[白金溶液A〜Dの調製]
10mLのスクリュー管に、フェニル基非含有シリコーンH(ビニル基:1.2mmol/g含有、白金:6.8ppm含有)2.5g、および0.1MのPlatinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetramethyldisiloxane complex in Vinyl terminated poly(dimethylsiloxane)0.13gを添加して室温下30分間回転子にて攪拌し、白金濃度1070ppmの白金溶液Aを得た。
【0114】
10mLのスクリュー管に、フェニル基非含有シリコーンK(ビニル基:0.04mmol/g含有)2.5g、および0.1MのPlatinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetramethyldisiloxane complex in Vinyl terminated poly(dimethylsiloxane)0.13gを添加して室温下30分間回転子にて攪拌し、白金濃度1064ppmの白金溶液Bを得た。
【0115】
10mLのスクリュー管に、フェニル基非含有シリコーンH(ビニル基:1.24mmol/g含有、白金:6.8ppm含有)2.5g、および塩化白金酸(IV)0.0073g(白金濃度:376675ppm)を添加して室温下30分間回転子にて攪拌し、白金濃度1094ppmの白金溶液Cを得た。
【0116】
10mLのスクリュー管に、フェニル基非含有シリコーンK(ビニル基:0.04mmol/g)6g、および塩化白金酸(IV)0.0016g(白金濃度:376675ppm)を添加して室温下30分間回転子にて攪拌し、白金濃度100.4ppmの白金溶液Dを得た。
【0117】
[樹脂組成物1の調製]
上記得られた白金溶液A 0.06gに、さらにフェニル基非含有シリコーンHを2.94g加えて、室温下回転子にて30分間攪拌を行なった。そこにフェニル基非含有シリコーンI(ビニル基:0.3mmol/g含有、ヒドロシリル基:1.8mmol/g含有)を3.0g添加し、室温下回転子にて15分間攪拌を行い、白金濃度が14.0ppmである樹脂組成物1を得た。樹脂組成物1は、攪拌後粘度が増加していることが認められた。さらに、樹脂組成物1を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱硬化させた硬化物について、着色度合いを測定した。測定結果は、YI値が1.8、APHA値が30であり、ほとんど着色は認められなかった。
ここで、着色度合いの指標としているYI(Yellowness Index)値は米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)により定められた黄色度の指標であり、ASTM E 313規格では理想上の白色(完全拡散反射面)を黄色度0とし、この白色からの距離がYI値と定義される。またAPHA値は、米国公共衛生協会(American Public Health Association)の色差標準値で、ハーゼン色数とも言われる黄色味の指標であり、ASTM D 1209規格では値が大きいほど黄色味が濃いことを示す。なお、YI値とAPHA値の測定に際しては、日本電色工業株式会社製 測色色差計(Color Meter) 型番ZE−2000を使用した。以降の実施例においても同様である。
【0118】
[樹脂組成物2の調製]
上記得られた白金溶液Aを0.03g、フェニル基非含有シリコーンHを2.97gとした以外は樹脂組成物1と同様にして混合液を調製し、白金濃度が8.7ppmである樹脂組成物2を得た。樹脂組成物2は、攪拌過程において特に目立った変化は認められなかった。さらに、樹脂組成物2を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱硬化させた硬化物について、着色度合いを測定した。測定結果は、YI値が1.5、APHA値が25であり、ほとんど着色は認められなかった。
【0119】
[樹脂組成物3の調製]
上記得られた白金溶液Aを0.015g、フェニル基非含有シリコーンHを2.985gとした以外は樹脂組成物1と同様にして混合液を調製し、白金濃度が6.1ppmである樹脂組成物3を得た。樹脂組成物3は、攪拌過程において特に目立った変化は認められなかった。さらに、樹脂組成物3を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱硬化させた硬化物について、着色度合いを測定した。測定結果は、YI値が0.5、APHA値が5であり、ほとんど着色は認められなかった。
【0120】
[樹脂組成物4の調製]
上記得られた白金溶液Aを使用せずに、フェニル基非含有シリコーンHを3.0gとした以外は樹脂組成物1と同様にして混合液を調製し、白金濃度が3.4ppmである樹脂組成物4を得た。樹脂組成物4は、攪拌過程において特に目立った変化は認められなかった。さらに、樹脂組成物4を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱硬化させた硬化物について、着色度合いを測定した。測定結果は、YI値が1.1、APHA値が18であり、ほとんど着色は認められなかった。
【0121】
[比較樹脂組成物1の調製]
上記得られた白金溶液A 0.3gに、さらにフェニル基非含有シリコーンHを2.7g加えて、室温下回転子にて30分間攪拌を行なった。そこにフェニル基非含有シリコーンI(ビニル基:0.3mmol/g含有、ヒドロシリル基:1.8mmol/g含有)を3.0g添加し、室温下回転子にて15分間攪拌を行い、白金濃度が56.6ppmである比較樹脂組成物1を得た。比較樹脂組成物1は、攪拌過程において全体がゲル化した。さらに、比較樹脂組成物1を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱硬化させた硬化物について、着色度合いを測定した。測定結果はYI値が13.3、APHA値が245であり、少し着色度合いが認められた。
【0122】
[比較樹脂組成物2の調製]
上記得られた白金溶液Aを0.15g、フェニル基非含有シリコーンHを2.85gとした以外は比較樹脂組成物1と同様にして混合液を調製し、白金濃度が30.0ppmである比較樹脂組成物2を得た。比較樹脂組成物2は、攪拌過程において発泡し、攪拌後、液の上部が一部ゲル化していることが認められた。さらに、比較樹脂組成物2を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱硬化させた硬化物について、着色度合いを測定した。測定結果はYI値が8.4、APHA値が153であり、わずかに着色度合いが認められた。
【0123】
[樹脂組成物5の調製]
上記得られた白金溶液B 0.0025gにさらに、フェニル基非含有シリコーンKを4.9975g加えて、室温下回転子にて30分間攪拌を行った。そこにヒドロシリル基をSiの個数(mol数)に対して0.07個(mol)含有する直鎖状シリコーンL(
平均分子量:2000、粘度30cp)を0.2160g添加し、室温下回転子にて15分間攪拌を行い、白金濃度が0.5ppmである樹脂組成物5を得た。樹脂組成物5は、攪拌過程において特に目立った変化は認められなかった。さらに、樹脂組成物5を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱すると無色透明のエラストマーが得られた。その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は0.2、APHA値は0であり、ほとんど着色は認められなかった。
【0124】
[樹脂組成物6の調製]
上記得られた白金溶液Bを0.0050g、フェニル基非含有シリコーンKを4.9950gとした以外は樹脂組成物5と同様にして混合液を調製し、白金濃度が1.0ppmである樹脂組成物6を得た。樹脂組成物6は、攪拌過程において特に目立った変化は認められなかった。さらに、樹脂組成物6を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱すると無色透明のエラストマーが得られた。その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は1.6、APHA値は7であり、ほとんど着色は認められなかった。
【0125】
[樹脂組成物7の調製]
上記得られた白金溶液Bを0.0250g、フェニル基非含有シリコーンKを4.9750gとした以外は樹脂組成物5と同様にして混合液を調製し、白金濃度が5.1ppmである樹脂組成物7を得た。樹脂組成物7は、攪拌過程において特に目立った変化は認められなかった。さらに、樹脂組成物7を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱すると無色透明のエラストマーが得られた。その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は1.4、APHA値は23であり、ほとんど着色は認められなかった。
【0126】
[樹脂組成物8の調製]
上記得られた白金溶液Bを0.0500g、フェニル基非含有シリコーンKを4.9500gとした以外は樹脂組成物5と同様にして混合液を調製し、白金濃度が10.2ppmである樹脂組成物8を得た。樹脂組成物8は、攪拌過程において特に目立った変化は認められなかった。さらに、樹脂組成物8を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱すると無色透明のエラストマーが得られた。その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は2.6、APHA値は45であり、ほとんど着色は認められなかった。
【0127】
[樹脂組成物9の調製]
上記得られた白金溶液Bを0.1000g、フェニル基非含有シリコーンKを4.9000gとした以外は樹脂組成物5と同様にして混合液を調製し、白金濃度が20.4ppmである樹脂組成物9を得た。樹脂組成物9は、攪拌後少しゲル化しかけていた。さらに、樹脂組成物9を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱すると極薄く茶色味を帯びた透明のエラストマーが得られた。その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は3.7、APHA値は64であり、ほとんど着色は認められなかった。
【0128】
[比較樹脂組成物3の調製]
上記得られた白金溶液B 0.0015gに、さらにフェニル基非含有シリコーンKを4.9985g加えて、室温下回転子にて30分間攪拌を行なった。そこにヒドロシリル基をSiの個数(mol数)に対して0.07個(mol)含有する直鎖状シリコーンL(平均分子量:2000、粘度30cp)を0.2160g添加し、室温下回転子にて15分間攪拌を行ない、白金濃度が0.3ppmである比較樹脂組成物3を得た。比較樹脂組成物3は、攪拌過程において特に目立った変化は認められなかった。さらに、比較樹脂組成物3を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱硬化させたが、硬化物は非常に柔らかく、未硬化気味であった。その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は0.1、APHA値は0で、ほとんど着色は認められなかった。
【0129】
[比較樹脂組成物4の調製]
上記得られた白金溶液Bを0.2500g、フェニル基非含有シリコーンKを4.7500gとした以外は比較樹脂組成物3と同様にして混合液を調製し、白金濃度が51.0ppmである比較樹脂組成物4を得た。比較樹脂組成物4は、攪拌過程で全体がゲル化した。さらに、比較樹脂組成物4を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱すると薄く茶色味を帯びた透明のエラストマーが得られた。その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は6.8、APHA値は125であり、わずかに着色度合いが認められた。
【0130】
[樹脂組成物10の調製]
上記得られた白金溶液C 0.0125gに、さらにフェニル基非含有シリコーンHを2.4875g加えて、室温下回転子にて30分間攪拌を行なった。そこにフェニル基非含有シリコーンI(ビニル基:0.3mmol/g含有、ヒドロシリル基:1.8mmol/g含有)を2.5g添加し、室温下回転子にて15分間攪拌を行ない、白金濃度が6.1ppmである樹脂組成物10を得た。樹脂組成物10は、攪拌過程において特に目立った変化は認められなかった。さらに、樹脂組成物10を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱すると無色透明のエラストマーが得られた。その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は1.8、APHA値は28であり、ほとんど着色は認められなかった。
【0131】
[樹脂組成物11の調製]
上記得られた白金溶液Cを0.025g、フェニル基非含有シリコーンHを2.475gとした以外は樹脂組成物10と同様にして混合液を調製し、白金濃度が8.8ppmである樹脂組成物11を得た。樹脂組成物11は、攪拌過程において特に目立った変化は認められなかった。さらに、樹脂組成物11を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱すると無色透明のエラストマーが得られた。その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は3.5、APHA値は61であり、ほとんど着色は認められなかった。
【0132】
[樹脂組成物12の調製]
上記得られた白金溶液Cを0.050g、フェニル基非含有シリコーンHを2.450gとした以外は樹脂組成物10と同様にして混合液を調製し、白金濃度が14.3ppmである樹脂組成物12を得た。樹脂組成物12は、攪拌過程において特に目立った変化は認められなかった。さらに、樹脂組成物12を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱すると無色透明のエラストマーが得られた。その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は4.5、APHA値は80であり、ほとんど着色は認められなかった。
【0133】
[比較樹脂組成物5の調製]
上記得られた白金溶液Cを0.125g、フェニル基非含有シリコーンHを2.375gとした以外は樹脂組成物10と同様にして混合液を調製し、白金濃度が30.6ppmである比較樹脂組成物5を得た。比較樹脂組成物5は、攪拌後かなり高粘度となって全体がゲル化しかけ、泡のかみ込みによって見た目にもわずかに濁りを生じた。さらに、比較樹脂組成物5を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱すると無色透明のエラストマーが得られた。その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は7.5、APHA値は137であり、わずかに黄色い着色が認められた。
【0134】
[比較樹脂組成物6の調製]
上記得られた白金溶液Cを0.25g、フェニル基非含有シリコーンHを2.25gとした以外は樹脂組成物10と同様にして混合液を調製し、白金濃度が57.8ppmである比較樹脂組成物6を得た。比較樹脂組成物6は、攪拌過程において全体がゲル化し、泡のかみ込みによって見た目にもわずかに濁りを生じた。さらに、比較樹脂組成物6を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱すると無色透明のエラストマーが得られた。その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は11.6、APHA値は214であり、黄色い着色が認められた。
【0135】
[樹脂組成物13の調製]
上記得られた白金溶液D 0.2500gに、さらにフェニル基非含有シリコーンKを4.7500g加えて、室温下回転子にて30分間攪拌を行った。そこにヒドロシリル基をSiの個数(mol数)に対して0.07個(mol)含有する直鎖状シリコーンL(平均分子量:2000、粘度30cp)を0.2160g添加し、室温下回転子にて15分間攪拌を行い、白金濃度が4.8ppmである樹脂組成物13を得た。樹脂組成物13は、攪拌過程において特に目立った変化は認められなかった。さらに、樹脂組成物13を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱すると無色透明のエラストマーが得られた。その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は0.5、APHA値は4であり、ほとんど着色は認められなかった。
【0136】
[樹脂組成物14の調製]
上記得られた白金溶液Dを0.5000g、フェニル基非含有シリコーンKを4.5000gとした以外は樹脂組成物13と同様にして混合液を調製し、白金濃度が9.6ppmである樹脂組成物14を得た。樹脂組成物14は、攪拌過程において特に目立った変化は認められなかった。さらに、樹脂組成物14を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱すると無色透明のエラストマーが得られた。その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は0.8、APHA値は11であり、ほとんど着色は認められなかった。
【0137】
[比較樹脂組成物7の調製]
上記得られた白金溶液D 0.0015gに、さらにフェニル基非含有シリコーンKを4.985g加えて、室温下回転子にて30分間攪拌を行なった。そこにヒドロシリル基をSiの個数(mol数)に対して0.07個(mol)含有する直鎖状シリコーンL(平均分子量:2000、粘度30cp)を0.2160g添加し、室温下回転子にて15分間攪拌を行ない、白金濃度が0.3ppmである比較樹脂組成物7を得た。比較樹脂組成物7は、攪拌過程において特に目立った変化は認められなかった。ただし、比較樹脂組成物7を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱硬化させたところ未硬化であった。
【0138】
[比較樹脂組成物8の調製]
上記得られた白金溶液Dを2.5000g、フェニル基非含有シリコーンKを2.5000gとした以外は比較樹脂組成物7と同様にして混合液を調製し、白金濃度が50.2ppmである比較樹脂組成物8を得た。比較樹脂組成物8は、攪拌後わずかに白濁していた。また、比較樹脂組成物8を室温にて6時間放置するとゲル化した。さらに、比較樹脂組成物8を1mm厚としてスライドガラス二枚にて挟み、150℃にて30分加熱すると無色透明のエラストマーが得られ、その硬化物の着色度合いを測定すると、YI値は1.1、APHA値は17であり、ほとんど着色は認められなかった。
【0139】
[実施例]
[樹脂成形体の作製、並びに、反射率及び硬度の測定]
58mLのポリエチレン製軟膏壺に、6.0gのアルミナ(かさ密度:0.8、平均粒子径:1.2μm、一次粒子の平均アスペクト比:1.48、純度:99.12%)、0.25gの表面処理(トリメチルシリル処理)済みフュームドシリカ、3.5gの樹脂組成物4を入れ、Thinky社製泡取練太郎ARV−200にて攪拌した。再度0.25gの表面処理(トリメチルシリル処理)済みフュームドシリカを添加し、ARV−200にて真空脱泡を実施することにより白色樹脂組成物1を得た。
【0140】
得られた白色樹脂組成物1を1.3cm径で0.3mm厚、1.0mm厚、3.0mm厚のステンレス製型に各々入れて、銀板上にて10kg/cm2の圧力下、空気中にて3分間150℃で加温加圧プレスし、さらに通風乾燥機内にて200℃で10分間後硬化することによって白色樹脂成形体1乃至3を得た。なお、白色樹脂成形体1乃至3のポリオルガノシロキサンを含むベース樹脂とフィラーの比は36.8:63.2である。
【0141】
0.3mm厚の白色樹脂成形体1の反射率は400nmの光に対しては94.6%であり、460nmの光に対しては94.6%であった。また、1.0mm厚の白色樹脂成形体2の反射率は400nmの光に対しては96.4%であり、460nmの光に対しては97.1%であった。さらに、3.0mm厚の白色樹脂成形体3の硬度はShore Aは90以上で、Shore Dは40であった。
なお、反射率は、コニカミノルタ社製SPECTROPHOTOMETER CM−2600dを用いて測定径6mmにて測定した。また、Shore A及びShore D硬度は、各硬化サンプルについて、古里精機製作所製ゴム硬度計 KR−24A及びKR−25Dを用いて1kgf荷重にて(重ね厚みが6.0mm以上となるようにして、つまり、例えば3.0mmのサンプルであれば2枚重ねて)測定した。以降の実施例においても同様である。
【0142】
銀板上にて0.3mm厚にて成形した白色樹脂成形体1は、金型から取り外す際にも剥離することも崩れることもなく、またその後、スパチュラで横から少々の力を加えても銀表面から剥離することも崩れることも無かった。
よって、白色樹脂成形体1は脆くなく、銀表面へも良好に接着する材料であることが判明した。
【0143】
また、58mLのポリエチレン製軟膏壺に、6.0gのアルミナ(かさ密度:0.8、平均粒子径:1.2μm、平均アスペクト比:1.48、純度:99.12%)、0.25gの表面処理(トリメチルシリル処理)済みフュームドシリカ、3.5gの比較樹脂組成物4を入れ、Thinky社製泡取練太郎ARV−200にて攪拌した。再度0.25gの表面処理(トリメチルシリル処理)済みフュームドシリカを添加し、ARV−200にて真空脱泡を実施することにより白色樹脂組成物2を得た。
【0144】
得られた白色樹脂組成物2を1.3cm径で0.3mm厚、1.0mm厚のステンレス製型に各々入れて、銀板上にて10kg/cm2の圧力下、空気中にて3分間150℃で加温加圧プレスし、さらに通風乾燥機内にて200℃で10分間後硬化することによって樹脂成形体4および5を得た。なお、樹脂成形体4乃至5のポリオルガノシロキサンを含むベース樹脂とフィラーの比は36.8:63.2である。
【0145】
0.3mm厚の白色樹脂成形体4の反射率は400nmの光に対しては95.1%であり、460nmの光に対しては95.9%であった。また、1.0mm厚の白色樹脂成形体5の反射率は400nmの光に対しては95.5%であり、460nmの光に対しては96.8%であった。さらに、1.0mm厚の樹脂成形体5を6枚重ねたものの硬度はShore Aは90以上で、Shore Dは48であった。
【0146】
[樹脂成形体の耐光(UV)性評価]
上記1.0mm厚の白色樹脂成形体2および5に、大気中室温にて松下電工マシンアンドビジョン社製紫外線硬化装置アイキュアANUP5204からの光(2100mW/cm2)を朝日分光社製の光学フィルターを用いて250nm以下の光をカットして20時間照射した。白色樹脂成形体2の場合には外観上の表面状態が照射前後で全く変化しなかったのに対して、白色樹脂成形体5の場合には、表面に微小クラックが入って荒れたようになった。
【0147】
[樹脂成形体の耐熱性評価]
1.0mm厚の白色樹脂成形体2および5を大気中にて200℃の通風乾燥機内にて保管したところ、400時間後に測定した白色樹脂成形体2の反射率は、400nmの光に対して96.1%(照射前96.4%)であり、460nmの光に対して97.0%(照射前97.1%)となったのに対して、白色樹脂成形体5の反射率が、400nmの光に対して94.8%(照射前95.5%)であり、460nmの光に対して96.1%(照射前96.8%)となった。よって、白色樹脂成形体5の光反射率は白色樹脂成形体2の光反射率に対して絶対値が低いだけでなく、耐熱試験後にはその低下率が大きくなってしまうことが判明した。
【0148】
[点灯耐久評価試験]
上記得られた白色樹脂組成物1を、全面銀メッキした銅リードフレームとともに加熱射出成形して作成した縦5mm×横5mm×高さ1.5mm、開口部の直径3.6mmの凹部を有するカップ状の表面実装型パッケージに成形し、パッケージ1を得た。また、これと同形のソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリフタルアミド(アモデルA4122)PPAを用いたLEDパッケージ(パッケージ2)を準備し、LEDの点灯耐久試験を実施した。
【0149】
半導体発光素子(406nmの発光波長、定格電流20mA)の装着は、パッケージの凹部に露出しているインナーリード上の所定位置にシリコーンダイボンド材(信越化学工業(株)製 KER−3000−M2)を介して設置した後、該シリコーンダイボンド材を100℃で1時間、さらに150℃で2時間硬化させることにより行なった。
【0150】
次に、封止材を製造した。
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を385g、メチルトリメトキシシランを10.28g、及び、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末0.791gを、攪拌翼と、分留管、ジムロートコンデンサ及びリービッヒコンデンサとを取り付けた500ml三つ口コルベン中に計量し、室温にて15分触媒の粗大粒子が溶解するまで攪拌した。この後、反応液を100℃まで昇温して触媒を完全溶解し、100℃全還流下で30分間、500rpmで攪拌しつつ初期加水分解を行った。
続いて、留出をリービッヒコンデンサ側に接続し、窒素をSV20で液中に吹き込み生成メタノール及び水分、副生物の低沸ケイ素成分を窒素に随伴させて留去しつつ100℃、500rpmにて1時間攪拌した。窒素をSV20で液中に吹き込みながらさらに130℃に昇温、保持しつつ5時間重合反応を継続し、粘度120mPa・sの反応液を得た。なお、ここで「SV」とは「Space Velocity」の略称であり、単位時間当たりの吹き込み体積量を指す。よって、SV20とは、1時間に反応液の20倍の体積のN2を吹き込むことをいう。
窒素の吹き込みを停止し反応液をいったん室温まで冷却した後、ナス型フラスコに反応液を移し、ロータリーエバポレーターを用いてオイルバス上120℃、1kPaで50分間微量に残留しているメタノール及び水分、低沸ケイ素成分を留去し、常温における粘度
230mPa・sの無溶剤の封止材液を得た。
【0151】
得られたシリコーン封止材液をパッケージ1及びパッケージ2のパッケージ凹部へ、開口部上縁と同じ高さになるように滴下した後、恒温器にて90℃2時間、次いで110℃1時間、150℃3時間の加熱硬化を行うことで半導体発光素子を封止した。
【0152】
点灯耐久試験は、点灯電源に上記の封止したパッケージ1および2を、熱伝導性絶縁シートを介した3mm厚の放熱アルミ板にセットして、温度60℃、相対湿度90%の環境試験機中において60mAの駆動電流を通電することで連続点灯試験を行った。所定時間ごとに半導体発光装置を取り出し、オフラインにて初期出力(mW)に対する経時の出力の百分率(出力維持率)を測定した(輝度測定は20mA通電)。測定結果を図3に示す。
図3に示すように、応用実施例1によるパッケージ1を用いた場合はパッケージ2を用いた場合に比べて明らかに出力の維持率が高くなることが判明した。
【0153】
また、パッケージ1とパッケージ2を温度85℃、85%RH(相対湿度)の雰囲気下にて24時間保管し、その雰囲気からの取り出し直後に260℃のホットプレート上に1分間静置することにより、封止材とパッケージ表面もしくはリードフレーム表面との間の接着性(剥離)の確認試験も実施した。その結果、図4に示すように、PPA(ポリフタルアミド)製パッケージ2の場合のみ剥離が認められた。
【0154】
[接着性評価試験]
耐久試験にて作成した、パッケージ1とPPAパッケージ2、および共立エレックス社製のセラミックスLEDパッケージ(M5050N(KA−6))について、以下の手法にてリードフレームと樹脂成形体との間の接着性(剥離)の確認実験を行なった。
まず、それぞれのパッケージをエタノールで洗浄し、乾燥させた。次に検査用の浸透液((株)タセトのカラーチェック浸透液FP−S(赤色))を乾燥させたパッケージにスプレーし5分放置した。放置後のパッケージについて、ワイパーで表面の液をぬぐい、エタノールでさらにきれいに洗浄し、室温で1時間乾燥させた。
【0155】
上記手順で処理したパッケージについて、次の剥離の観察を行った。
(i)金属と樹脂を引き剥がして樹脂についた着色を観察する。
(ii)さらに(株)タセトのカラーチェック現像液を薄くスプレーし10分間放置して浮き出てくる赤色を確認して剥離の有無を確認する。
上記(i)の観察時においても、上記(ii)の観察時においても、パッケージ1の場合にはリードフレームと樹脂成形体との間に全く赤色が確認されなかったのに対して、PPAパッケージ2とセラミックスパッケージの場合には、ともに赤色が確認され、リードフレームと樹脂成形体乃至セラミックス材との間に剥離が有ったことがわかった。
【0156】
【表1】

【0157】
【表2】

【符号の説明】
【0158】
1 半導体発光素子
2 樹脂成形体
3 ボンディングワイヤー
4 封止材
5 リードフレーム
6 蛍光体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリオルガノシロキサン樹脂、(B)フィラー、及び(C)硬化触媒を含有する樹脂成形体を少なくとも備える半導体発光装置用パッケージであって、
前記フィラーを除いた前記樹脂成形体中における前記硬化触媒の金属成分含有量が0.4ppm以上、25ppm以下であることを特徴とする半導体発光装置用パッケージ。
【請求項2】
前記(C)硬化触媒の金属成分は、白金を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置用パッケージ。
【請求項3】
前記樹脂成形体は、ヒドロシリル化を介して硬化することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光装置用パッケージ。
【請求項4】
前記(B)フィラーは、アルミナを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体発光装置用パッケージ。
【請求項5】
前記(B)フィラーは、表面処理されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体発光装置用パッケージ。
【請求項6】
前記(B)フィラーは、その一次粒子のアスペクト比が1.0以上4.0以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体発光装置用パッケージ。
【請求項7】
前記樹脂成形体は、樹脂成形体中に含まれる(A)ポリオルガノシロキサン樹脂を含むベース樹脂と(B)フィラーの重量比が15〜60:85〜40であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体発光装置用パッケージ。
【請求項8】
前記樹脂成形体は、0.3mm厚において波長400nmの光反射率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体発光装置用パッケージ。
【請求項9】
前記樹脂成形体は、更に脂環式の炭化水素基を有する化合物を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体発光装置用パッケージ。
【請求項10】
前記樹脂成形体は、成形加工前の操作温度として一貫して45℃以下であり、かつ、成形加工時の成形温度が300℃以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体発光装置用パッケージ。
【請求項11】
半導体発光素子、請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体発光装置用パッケージ、及び封止材を少なくとも備えることを特徴とする、半導体発光装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−49519(P2012−49519A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162286(P2011−162286)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】