説明

半導体表面におけるパターンの作製方法

【課題】所望のパターンを有する第1のマスクと所望のパターンの開口部に拡散されるエッチング種の量を制御するための第2のマスクとを用いて、深さが変化する所望のパターンを半導体表面に作製するための方法において、エッチングに寄与するエッチング種を増大させること。
【解決手段】エッチングガスに塩素を用いてRIBEを行うと、図17(b)の構造が得られる。このエッチングにおいて、マスク厚の厚いSiNxマスク1411からの塩素プラズマの寄与が大きく、マスク厚の薄いSiO2マスク1410からの塩素プラズマの寄与は小さい。したがって、マスク幅の広い回折格子中央部ではマスク上で反応しない塩素プラズマが多量に開口部に拡散することにより開口部での塩素プラズマは高濃度になりエッチング速度が増加する。ここで用いるマスクは2段構造を有しており、1段構造に比べてより多くのエッチング種をエッチングに関与させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体表面に所望のパターンを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能・高機能デバイスの研究開発において、複雑なデバイス構造の集積化が重要となっている。そのためには、加工技術(エッチング等)、結晶再成長技術等のデバイス作製プロセス技術が必要であり、特に複数の構造を集積化する場合には、通常、複数回数のエッチングプロセスが必要となるが、複数回のマスク形成およびエッチングは、時間面およびコスト面での浪費につながり、問題となっていた。また、このような問題を考慮すると、深さが異なる微細かつ複雑な構造をエッチングにより形成することは実質的に困難であった。
【0003】
図1を参照して従来のエッチングプロセスを説明する。InP結晶等の試料1110に異なる深さのエッチングを施す場合には、まず、1回目のエッチングの際にエッチングしない部分を(誘電体等の)第1のマスク1120で覆い(図1(a))、その後にエッチングを行う(図1(b))。ついで、第1のマスク1120を除去した後(図1(c))、2回目のエッチングの際にエッチングしない部分を第2のマスク1140で覆う(図1(d))。そして、エッチングを行い(図1(e))、第2のマスク1140を除去する(図1(f))。このように、複数の構造、この場合では深さの異なる溝を集積化するためには、マスク形成プロセスとエッチングプロセスを繰り返さなくてはならない。
【0004】
上述の問題を解決するために、エッチング深さに対応して開口部の面積が異なるマスクを用いることにより、1回のエッチングで深さの異なる溝の形成を可能にする方法が発明された(特許文献1参照)。半導体のエッチングにプラズマ状態のガスを用いるドライエッチングの場合、図2(a)〜(c)に示すように、半導体表面で半導体411とエッチング種(エッチングガス)412が反応することによりエッチングが進行する。そこで、ドライエッチングをする際に半導体表面をエッチング種512と反応しない物質(例えば酸化シリコン、窒化シリコン等の誘電体等)をマスク513に用いて覆った場合、マスク上のエッチング種512は拡散してマスクで覆われていない半導体表面に到達する(図3(b))。この結果、マスク近傍の半導体表面ではエッチング種512の密度が増加し、このエッチング種512の増加は半導体のエッチング速度を増加させる。このように、マスク上に飛来したエッチング種が半導体表面に拡散して半導体のエッチングを促進するので、マスク面積の増加にともない半導体のエッチングが増加する。したがって、この方法によれば、深さが変化する単純な溝構造をマスクの設計に応じて容易に作製することができる。
【0005】
しかしながら、この方法を深さが変化する回折格子の作製の用いる場合には、依然として問題が残る。半導体表面に深さが変化する回折格子を作製するためには、まず、回折格子パターンを有する第1のマスク81を形成する。そして回折格子の深さを変化させるため、第1のマスク81の上に、回折格子パターンの開口部に拡散されるエッチング種の量を制御するための第2のマスク82を形成する。図2及び3を参照して上述したことから分かるように、回折格子パターンの各開口部の近傍における第2のマスク82の開口部とマスク部との面積比を変えることにより、深さの異なるエッチングが可能となる。問題となるのは、第2のマスク82上に飛来したエッチング種84だけでなく、第1のマスク81上に飛来したエッチング種83もエッチングに影響を与えるため、回折格子のエッチング形状の制御が困難になる点である。
【0006】
この問題を解決するために、上述の回折格子パターンを有する第1のマスク81よりも、第1のマスク81の上に設けられる第2のマスク82のマスク厚を厚くすることにより、深さが変化する回折格子の作製を1回のエッチングで可能にする方法が発明された(特許文献2参照)。図5は、マスクの膜厚がエッチングに与える影響を説明するための図である。膜厚の薄いマスクを用いる場合(図5(a))、エッチング種は半導体表面からマスク端を越えてマスク上に拡散できるので半導体表面上のエッチング種密度は高くならない。したがって、半導体のエッチング速度は増加しない。一方、膜厚の厚いマスクを用いる場合(図5(b))、エッチング種はマスク端が障壁となりマスク端を越えられないため、エッチング種が半導体表面に閉じ込められて半導体表面上におけるエッチング種密度が増加する。その結果、半導体のエッチング速度が増加する。そこで、上述の第2のマスク82の厚さを、回折格子パターンを有する第1のマスク81に比べて厚くすれば、マスク厚の厚い第2のマスク82から拡散するエッチング種の寄与が大きく、マスク厚の薄い第1のマスク81からのエッチング種の寄与を小さくできる。たとえば、マスク幅の広い領域では、第2のマスク82上で反応しないエッチング種が多量に回折格子パターンの開口部に拡散することにより、開口部でのエッチング種が高濃度になりエッチング速度が増加する。一方、マスク幅の狭い領域では、第2のマスク82上で反応せずに開口部に拡散するエッチング種はマスク幅の広い領域に比べて少量となり、エッチング速度は遅くなる。このように、第2のマスク82のマスク幅の広い領域ではエッチング深さは深く、マスク幅の狭い領域では浅くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−247710号公報
【特許文献2】特開2006−032573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、第2のマスク82上のエッチング種は全て第1のマスク81の回折格子パターンの開口部に拡散するわけではない。開口部に到達せずエッチングに寄与することなくマスク上から脱離するエッチング種もある。このようにエッチングに寄与しないエッチング種が存在するため、エッチング量やエッチングされる開口部領域は限られていた。そのため、エッチングにより形成される回折格子の寸法は限定されていた。したがって、エッチング量やエッチングされる開口部領域を拡大して回折格子の設計の自由度を増加させるためには、効率よく大量のエッチング種を第2のマスク82上から回折格子パターンの開口部に拡散させる必要があった。この問題は、回折格子パターンに関して説明してきたが、パターンが回折格子の場合に限らず、深さが変化する所望のパターンの作製においても同様に問題となっている。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、所望のパターンを有する第1のマスクと、所望のパターンの開口部に拡散されるエッチング種の量を制御するための第2のマスクとを用いて、深さが変化する所望のパターンを半導体表面に作製するための方法において、エッチングに寄与するエッチング種を増大させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、深さが変化する所望のパターンを半導体表面に作製するための方法であって、開口部に拡散されるエッチング種の量を制御するためのパターンを有するマスクを形成するステップと、前記マスクが形成された半導体表面に、前記エッチング種を供給して前記半導体表面をエッチングするステップとを有し、前記マスクは、第1の開口部を有する上層部と、前記第1の開口部よりも狭い第2の開口部を有する下層部とを備え、前記所望のパターンの開口部の近傍における前記第2の開口部の面積とマスク部の面積との比が変化していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第2の態様は、深さが変化する所望のパターンを半導体表面に作製するための方法であって、前記半導体表面に、前記所望のパターンを有する第1のマスクと前記所望のパターンの複数の開口部に拡散されるエッチング種の量を制御するための第2のマスクとを形成するステップと、前記第1及び第2のマスクが形成された前記半導体表面にエッチング種を供給して、前記半導体表面をエッチングするステップとを含み、前記第2のマスクは、第1の開口部を有する上層部と、前記第1の開口部よりも狭い第2の開口部を有し、前記第1のマスクと接する下層部とを備え、マスク厚が前記第1のマスクよりも厚く、前記所望のパターンの各開口部の近傍における前記第2の開口部の面積と前記第2のマスクのマスク部の面積との比が、前記所望のパターンの前記複数の開口部の配列方向に沿って変化していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記エッチングは、プラズマ状態のガスを用いるドライエッチングであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記ドライエッチングに用いる前記ガスは、炭化水素系ガス及び水素ガスであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記エッチングするステップは、前記炭化水素系ガス及び前記水素ガスを、前記炭化水素系ガス及び前記水素ガスから得られる炭化水素プラズマ及び水素プラズマが前記半導体表面上に第1のポリマーを生成する第1のプラズマ条件で供給して、前記第1のポリマーが生成されていない前記半導体表面をエッチングするステップと、酸素を含むプラズマを供給して、前記第1のポリマーを除去するステップと、前記炭化水素系ガス及び前記水素ガスを、前記第1のプラズマ条件と異なる第2のプラズマ条件で供給して、前記半導体表面をエッチングするステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記第2のプラズマ条件は、前記炭化水素系ガス及び前記水素ガスから得られる炭化水素プラズマ及び水素プラズマが前記半導体表面上にポリマーを生成しない条件であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第7の態様は、第5の態様において、前記第2のプラズマ条件は、前記第1のプラズマ条件よりも前記半導体表面上にポリマーが生成される領域が狭くなる条件であり、前記第2のプラズマ条件によるエッチングは、前記第2のプラズマ条件によりポリマーが生成されていない前記半導体表面をエッチングすることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第8の態様は、第2〜第7のいずれかの態様において、前記所望のパターンは、回折格子パターンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1のマスクが有する所望のパターンの開口部に拡散されるエッチング種の量を制御するための第2のマスクを、第1の開口部を有する上層部と第1の開口部よりも狭い第2の開口部を有する下層部とを備え、当該所望のパターンの各開口部の近傍における第2の開口部の面積と第2のマスクのマスク部の面積との比が、当該所望のパターンの複数の開口部の配列方向に沿って変化するように形成することにより、深さが変化する所望のパターンを半導体表面に作製するための方法において、エッチングに寄与するエッチング種を増大させることができる。
【0019】
また、本発明によれば、開口部に拡散されるエッチング種の量を制御するためのパターンを有するマスクを、第1の開口部を有する上層部と第1の開口部よりも狭い第2の開口部を有する下層部とを備え、当該所望のパターンの開口部の近傍における第2の開口部の面積とマスク部の面積との比が変化するように形成することにより、深さが変化する所望のパターンを半導体表面に作製するための方法において、エッチングに寄与するエッチング種を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来のエッチングプロセスを説明するための図である。
【図2】プラズマ状態のガスを用いるドライエッチングを説明するための図である。
【図3】プラズマ状態のガスを用いるドライエッチングを説明するための図である。
【図4】従来の深さが変化する回折格子の作製方法を説明するための図である。
【図5】マスクの膜厚がエッチングに与える影響を説明するための図である。
【図6】本発明の作製方法で形成するマスクの形成方法を説明するための図である。
【図7】エッチング種がマスク端から半導体基板の表面に拡散する場合の濃度分布を示す図である。
【図8】エッチング種の拡散と従来のマスクの形状との関係を示す図である。
【図9】エッチング種の拡散と従来のマスクの形状との関係を示す図である。
【図10】エッチング種の拡散と本発明のマスクの形状との関係を示す図である。
【図11】マスク端から拡散するエッチング種の総量Coに対する幅W1の開口部に供給されるエッチング種C1の割合を示す図である。
【図12】幅W1の開口部に供給されて半導体表面に達するエッチング種の濃度C2のW1依存性を示す図である。
【図13】エッチングに寄与するエッチング種濃度のマスク開口部幅W2依存性を示す図である。
【図14】本発明に係るマスクの形成方法の代替形態を示す図である。
【図15】本発明の作製方法の第1の実施形態について説明するための図である。
【図16】図15(b)の16−16線に沿った断面図である。
【図17】第1の実施形態を図15(b)の17−17線に沿った断面で説明するための図である。
【図18】第1の実施形態の作製方法により作製した回折格子を備えるDBR半導体レーザの構造を示す図である。
【図19】(a)は回折格子の有する結合係数を示す図であり、(b)は当該結合係数を有する回折格子を用いた場合の反射スペクトルを、示す図である(白丸)。結合係数が80cm-1で一定の場合の反射スペクトルも比較のために示している(黒丸)。
【図20】第2の実施形態において試料表面に形成するSiNx/SiO2マスクを示す図である。
【図21】ガスに炭化水素系ガスを用いる場合のドライエッチングを説明するための図である。
【図22】ガスに炭化水素系ガスを用いる場合のドライエッチングを説明するための図である。
【図23】第2の実施形態における回折格子の作製方法を説明するための図である。
【図24】第2の実施形態における回折格子の作製方法を説明するための図である。
【図25】第2の実施形態における回折格子の作製方法を説明するための図である。
【図26】第2の実施形態における回折格子の作製方法を説明するための図である。
【図27】第2の実施形態における回折格子の作製方法を説明するための図である。
【図28】第3の実施形態の実施例1において作製される同一面内で層厚が変化する導波路の断面図である。
【図29】図28の導波路の作製方法を説明するための図である。
【図30】図28の導波路の作製方法を説明するための図である。
【図31】図28の導波路の作製方法を説明するための図である。
【図32】図28の導波路の作製方法を説明するための図である。
【図33】図28の導波路の作製方法を説明するための図である。
【図34】第3の実施形態の実施例1の変形例として、図28より多段で層厚が変化する導波路を示す図である。
【図35】第3の実施形態の実施例1の変形例として、徐々に層厚が変化する導波路を示す図である。
【図36】第3の実施形態の実施例2にかかる、層厚が変化する導波路構造をスポットサイズ変換部に用いた半導体レーザ素子の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、本発明の作製方法で形成するマスクに関して説明し、次に、第1及び第2の実施形態に関して説明する。具体的な物質名や数値に言及しつつ説明を行うが、本発明をこれらに限定する意図はないことに留意されたい。
【0022】
(本発明の作製方法で形成するマスク)
図6(h)に、本発明の作製方法で形成するマスクの構造を示す。回折格子パターン(「所望のパターン」に対応)を有する第1のマスク1311の上に、回折格子パターンの開口部に拡散されるエッチング種の量を制御するための第2のマスク1321が設けられており、第2のマスク1321は、開口部幅W1の上層部1321A及び開口部幅W2の下層部1321Bを有する。ここで、開口部幅は、W2<W1の関係を満たす。第1のマスク1311及び第2のマスク1321を用いて半導体基板1310の表面に深さが変化する回折格子パターンが形成される。
【0023】
このマスクは以下のように形成することができる。まず、InPクラッド層を有するInP基板1310の表面(「半導体表面」に対応)に30nm厚の酸化シリコン(SiO2)膜を形成する。SiO2膜上にレジストを塗布した後に、電子ビーム露光法により回折格子作製マスク用のレジストパターンを作製する。レジストパターンをマスクとしてフッ化炭素系ガス(CF4、C28等)を用いた反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching、RIE)によってSiO2膜を加工することにより、レジストパターンをSiO2膜に転写する。レジストパターンを除去することにより、InP基板1310上に回折格子パターンを有するSiO2マスク1311が形成される(図6(a)及び(b))。
【0024】
次に、SiO2マスク1311を有するInP基板1310の表面上に、1μm厚の窒化シリコン(SiNx)膜1321を形成する(図6(c))。
【0025】
SiNx膜1321上にレジストを塗布した後に、第2のマスク用のレジストパターン1331を作製する(図6(d))。このレジストパターン1331は、電子ビーム露光だけでなく通常のフォトリソグラフィによるレジスト露光により形成できる。
【0026】
レジストパターン1331をマスクとしてフッ化炭素系ガス(CF4、C28等)またはフッ化硫黄系ガス(SF8等)を用いた1回目のRIEによってSiNx膜1321を加工することにより、レジストパターン1331をSiNx膜1321に転写する(図6(e))。このとき、レジストパターン1331の開口部1331AのSiNx膜1321は全て除去(エッチング)せずに一部を残す。
【0027】
次に、SiNx膜1321上にレジストを塗布した後に、第2のマスク用のレジストパターン1332を作製する。ここで、レジストパターン1332の開口部の幅は、レジストパターン1331の開口部の幅よりも広いものとする(図6(f))。このレジストパターンは電子ビーム露光だけでなく通常のフォトリソグラフィによるレジスト露光により形成できる。
【0028】
レジストパターン1331をマスクとしてフッ化硫黄系ガス(SF8等)を用いた2回目のRIEによってSiNx膜1321を加工することにより、レジストパターン1331をSiNx膜1321に転写する(図6(g))。このときSiO2マスク1311は、フッ化硫黄系ガス(SF8等)に耐性を有するのでエッチングされずに残る。
【0029】
最後に、レジストパターン1331を除去することにより、InP基板1310上に、30nm厚のSiO2マスク1311と、SiO2マスク1311よりも厚く、かつ、2段構造を有する1μm厚のSiNxマスク1321が得られる(図6(h))。
【0030】
このようにして得られるマスクがエッチングに与える作用について説明する。まず、図7に、エッチング種が図5に示すようなマスクのマスク端から半導体基板の表面に拡散する場合の濃度分布を示す。縦軸は、マスク端での濃度Csにより規格化された濃度Cx=C(x)/Cs、横軸はマスク端からの距離xである。この分布は、エッチング種のマスク上での拡散距離Ldを5μmと仮定し、以下の拡散方程式を用いて計算した。
Cx=C(x)/Cs=erfc(x/Ld)
【0031】
このような分布をもって拡散するエッチング種と、マスク形状との関係を図8〜10に示す。図11は、マスク端から拡散するエッチング種の総量Coに対する幅W1の開口部(マスクが2段構造の場合には上層部の開口部)に供給されるエッチング種C1の割合(C1/Co)を示す。Coは、規格化された濃度Cxを距離0から無限大まで積分した値であり規格化された総量である。C1は、規格化された濃度Cxを距離0から開口部幅W1まで積分した値であり規格化された濃度である。さらに図12は、幅W1の開口部(2段構造の場合には上層部の開口部)に供給されて半導体表面に達するエッチング種の濃度C2のW1依存性を、1段構造と2段構造の場合において示している。C2は、C1/W2であり規格化された濃度である。一点鎖線はマスクが1段構造の場合、実線はマスクが2段構造の場合を示す。マスク2段構造の場合には半導体基板の表面と接する下層部の幅W2は1μmとする。この場合、上層部の開口部幅W1は下層部の開口部幅W2より広くなるので、1μm幅以下の開口部幅についてはプロットされていない。
【0032】
図8は、マスクの形状が従来のように1段であり開口部幅W1を1μmにした場合を示す。マスク端から拡散するエッチング種全体のうち一部分(図8(a)の着色部分)のみが当該マスクの開口部に供給され、エッチングに寄与する。図11に示すように、マスク端から拡散するエッチング種に対する開口部に供給されるエッチング種の割合は0.32である。
【0033】
開口部に供給されるエッチング種の割合を増加させるために開口部幅W1を5μmに増加させた場合を図9に示す。マスク端から拡散するエッチング種全体のうち多くの部分(図9(a)の着色部分)が当該マスクの開口部に供給されエッチングに寄与する。図11に示すように、マスク端から拡散するエッチング種に対する開口部に供給されるエッチング種の割合は0.91に増加する。しかし、開口部における半導体基板の表面も増加するので、図12に一点鎖線で示すように開口部幅を2μmから5μmに増加させると半導体基板表面でのエッチング種濃度C2は減少する。このことはマスク端から供給されるエッチング種がエッチングに与える効果は少ないことを示す。
【0034】
図10に、本発明の作製方法で用いるマスクの場合を示す。マスクの構造は2段でありマスク上層部の開口部幅W1を5μm、半導体基板表面と接する下層部の開口部幅W2を1μmとする。マスク端から拡散するエッチング種全体のうち多くの部分(図10(a)の着色部分)が開口部に供給され、エッチングに寄与する。図11に示すようにマスク端から拡散するエッチング種に対する開口部に供給されるエッチング種の割合は0.91に増加する。さらにマスク上層部の開口部に供給されたエッチング種が脱離せずにすべて半導体基板表面に供給されると仮定すれば、図12の実線に示すように上層部の開口部幅W1を2μmから5μmに増加させると半導体基板表面でのエッチング種濃度C2は増加する。上層部の開口部幅W1が5μmのとき、1段の構造に比べて5倍程度高い濃度になる。このように本マスクにおいては、効率的にエッチング種を開口部に拡散して半導体基板表面に供給することができるのでエッチングを効率的に制御することができる。
【0035】
ここで、図11及び12から読み取れることをいくつか指摘しておく。図11から分かるように、上層部の開口部幅W1が2μm以上でマスク端から拡散するエッチング種に対する当該マスクの開口部に供給されるエッチング種の割合は0.50以上に増加し、上層部の開口部幅W1が5μm以上で0.91以上に増加する。また、図12から分かるように、上層部の開口部幅W1が1μmを超えると、すなわち下層部の開口部幅W2の値を超えると、2段構造のマスクの方が1段構造のマスクよりも半導体基板表面に供給されるエッチング種濃度C2が高くなる。上層部の開口部W1の幅が2μm以上になると最大値(0.56)の半分以上の0.3以上に増加し、5μm以上になると0.5以上に増加する。8μm以上になるとほぼ最大値(0.56)に飽和する。
【0036】
図13に、エッチングに寄与するエッチング種濃度のマスク開口部幅W2依存性を示す。縦軸は、上層部の開口部幅W1を10μmとしたときの各W2におけるC2である。W2が1μmから10μmまで変化するとき、エッチング種は1段構造において0.2程度から0.1程度まで変化するのに対して、2段構造においては、開口部幅W2の変化により0.6程度から0.1まで変化する。このように本発明の2段構造を用いた場合、1段構造に比べて3倍程度高濃度のエッチング種がエッチングに関与することが分かる。エッチングに寄与するエッチング種が多ければエッチングが進行してエッチング深さが深くなり、エッチングに寄与するエッチング種が少なければエッチングの進行が少なくエッチング深さは浅くなるので、本発明の2段構造を用いた場合、1段構造に比べてエッチング深さを広範囲で変化させることができることを示す。
【0037】
なお、上述の説明では、第2のマスク1321として2段構造を用いたが、3段以上の多段構造でも同様の効果が得られる。
【0038】
また、第2のマスク1321の下層部1321Bの層厚は0.1μm未満になるとエッチング種を十分に閉じ込められなくなるので0.1μm以上の層厚が必要である。また、上層部1321Aにおいても同様にエッチング種を閉じ込めるため0.1μm以上の層厚が必要である。また、上層部1321Aと下層部1321Bを合わせた全体の厚さは2μmより厚くなると、第1のマスク1311、第2のマスク1321、半導体基板1310における歪みが増加して、第1のマスク1311、第2のマスク1321にクラック(ひび割れ)が生じる、半導体基板1310の結晶品質が劣化する等の問題が生じるので、上層部と下層部を合わせた全体の厚さは2μm以下にすることが望ましい。
【0039】
図14に、上述したマスクの形成方法の代替形態を示す。図6を参照して説明した作製方法と異なるのは、第2のマスク1321用のレジストパターン1332’である。ここでレジストパターン1332’の開口部の幅はレジストパターン1331の開口部の幅よりも狭い(図14(f))。このようにすると、SiNx膜1321の2回目のRIEを過剰に施しても、図6(g)におけるように上段のエッチングが進行して消失してしまうことがない。したがって、SiNx膜1321の2回目のRIEにおけるエッチング深さ(エッチング時間)に高い精度が要求されることがなく、エッチング条件が緩和されるという利点がある。結果として得られる構造(図14(h))は変わらない。
【0040】
(第1の実施形態)
本発明の作製方法の第1の実施形態について説明する。本実施形態では、第1のマスクが有する所望のパターンとして回折格子パターンを考え、半導体表面のエッチングに用いるドライエッチング法として反応性イオンビームエッチング(Reactive Ion Beam Etching、RIBE)を用いた場合について説明する。
【0041】
図15(a)及び(b)は、図6又は図14を参照して説明した方法で作製したSiO2マスク1410及びSiNxマスク1411(以下「SiNx/SiO2マスク」とも呼ぶ。)を示している。回折格子パターンを有するSiO2マスク1410のマスク厚が20nm、回折格子の長さ1412が500μm、幅1413が2μm、ピッチ(周期)1414が240nm(SiO2部:120nm、開口部(窓部):120nm)である。SiNxマスク1411は上層部1411Aの厚さが0.5μm、下層部1411Bの厚さが0.5μm、合計のマスク厚が1μmである。上層部1411A、下層部1411Bは、ともにマスクの幅1415A及び1415Bが素子両端で狭くなっており素子中央部で広くなっている。上層部1411Aのマスク幅1415Aは両端で5μm、素子中央部で20μmである。下層1411Bのマスク幅1415Bは両端で5μm、素子中央部で10μmである。下層部1411Bの開口部の幅W2は、回折格子パターンの幅1413と同じで、2μmである。以下、SiNxマスク1411の開口部とは、下層部1411Bの幅W2の開口部を指し、SiNxマスク1411のマスク部とは、上層部1411Aの幅1415Aのマスク部と下層部1411Bの幅1415Bのマスク部を合わせた部分を指す。図16は、図15(b)の16−16線に沿った断面図である。
【0042】
図17(a)〜(c)は、SiNx/SiO2マスクを用いた、深さが変化する回折格子パターンの作製プロセスを説明するための図である。簡単のため、SiNxマスク1411を省略し、SiO2マスク1410のみを示してある。エッチングガス(エッチング種)に塩素を用いて、ガス流量を4sccm、ガス圧力を10Torr、マイクロ波放電電力を300W、イオン引出し電圧を500V、基板温度を200℃としてRIBEを行うと、図17(b)の構造が得られる。最後に、SF6を用いたRIEによりSiNx/SiO2マスクを除去することにより中央部で深く両端部で浅い回折格子が形成される。
【0043】
このエッチングにおいて、マスク厚の厚いSiNxマスク1411からのエッチング種であるイオン化あるいはラジカル化した塩素原子(塩素プラズマ)の寄与が大きく、マスク厚の薄いSiO2マスク1410からの塩素プラズマの寄与は小さい。したがって、マスク幅の広い回折格子中央部ではマスク上で反応しない塩素プラズマが多量に開口部に拡散することにより開口部での塩素プラズマは高濃度になりエッチング速度が増加する。一方、マスク幅の狭い回折格子両端部ではマスク上で反応せずに開口部に拡散する塩素プラズマはマスク幅の広い領域に比べて少量となりエッチング速度は遅くなる。ここで、エッチング時の生成物は、回折格子パターンが有する複数の開口部の配列方向に沿って拡散するので、その生成物の滞留によりエッチング速度は抑制されない。したがって、回折格子において中央部ではエッチング深さは深く両端部では浅くなる。SiNxマスクの開口部の幅W2は本実施形態では一定であるので、回折格子パターンの各開口部の近傍におけるSiNxマスクの開口部の面積とSiNxマスクのマスク部の面積との比を、回折格子パターンの複数の開口部の配列方向に沿って変化させることにより、形成される回折格子の深さを変化させているということができる。開口部に対するマスク部の面積比が大きくなればエッチング速度が増加する。
【0044】
本実施形態の作製方法で用いるマスクは、2段構造を有しており、図13を参照して説明したように、1段構造に比べてより多くのエッチング種をエッチングに関与させ、1段構造に比べてエッチング深さを広範囲で変化させることができる。図13から分かるように、本実施形態では2段構造においてSiNxマスクの開口部の幅W2を2μmとしたので、1段構造に比べて2倍程度エッチング深さを変化させることができる。
【0045】
なお、本実施形態では、2段構造であるSiNxマスクにおいて、上層部/下層部それぞれの厚さが0.5μm/0.5μmとしたが、上層部/下層部それぞれの厚さがエッチング種を閉じ込められる0.1μm以上の厚さであれば他の厚さであっても同様の効果が得られる。また、上層部と下層部との合計の厚さを1μmとしたが、2μm以下の厚さであれば他の厚さであっても同様の効果が得られる。
【0046】
また、本実施形態では、回折格子等の半導体の加工のためのドライエッチングにおいて、エッチングガスとして塩素やメタンを用いたが、エタン等の他の炭化水素系ガスや臭素などのハロゲン系ガスなど他のガスを用いても構わない。また、エッチングガスとして混合ガスを用いる際の希釈ガスには水素ガスだけではなく窒素やアルゴンなどでも構わないし、希釈ガスは用いなくても構わない。また、ドライエッチング法にRiBE、RIE法を用いたが、イオンビームアシストエッチングなどを用いても加工できる。また、プラズマ状態のガスを用いたドライエッチング以外でも、プラズマ状態でないガスを用いたガスエッチング、酸溶液を用いたウエットエッチングにより加工することも可能である。レジストパターン作製には電子ビーム露光法以外にも干渉露光法を用いることができる。エッチングの際に半導体表面に形成するマスクには酸化シリコン(SiO2)を用いたが、窒化シリコン、酸化チタンなどの誘電体や、金やチタンなどの金属を用いることもできる。
【0047】
実施例
図18に、第1の実施形態の作製方法により作製した回折格子を備えるDBR半導体レーザの構造を示す。第1の実施形態の作製方法により作製された深さの異なる回折格子を有する試料表面のSiNx/SiO2マスクの除去後、この回折格子上に有機金属気相成長法(MOVPE)により積層することにより、図18に示す深さの変化する回折格子を用いたDBR半導体レーザ構造が作製される。
【0048】
n型InP基板150の上に、n型InPバッファ層151、回折格子152、InGaAsP(組成波長:1.1μm)ガイド層153、8層のInGaAsP歪量子井戸(歪量:1.0%)層と5層のInGaAsP(組成波長:1.3μm)障壁層の多重量子井戸層からなる活性層154(発光波長:1.55μm、活性層長:400μm)、DBR回折格子領域InGaAsP(組成波長:1.4μm)ガイド層155(回折格子長は活性層154の前後それぞれ400μm)、InGaAsP(組成波長:1.3μm)ガイド層156、p型InPクラッド層157、p型InGaAs(組成波長:1.85μm)コンタクト層158が順次形成されている。n型オーミック電極1591がn型InP基板150に、p型オーミック電極1592がp型InGaAs(組成波長:1.85μm)コンタクト層158に形成されている。素子の発振波長は1.55μmである。素子の長さは1500μmである。回折格子152のピッチ(周期)は240nm(凸部:120nm、凹部:120nm)であり、深さは素子両端面で浅くなっており5nm、素子中央部で深くなっており30nmである。
【0049】
図19(a)に、この回折格子の有する結合係数を示す。回折格子の深さが素子両端部で5nm、中央部で30nmとなるように変化させることにより、結合係数κは素子両端部で5cm-1、中央部で80cm-1と変化する。図19(b)に、この回折格子を用いた場合の反射スペクトルを示す(白丸)。比較のために、結合係数が80cm-1で一定の場合の反射スペクトルを示す(黒丸)。回折格子の深さ、すなわち、結合係数を変化させることにより反射スペクトルのサイドモードが抑制されることがわかる。このことは、この回折格子を用いたDBRレーザを動作させたときの発振スペクトルにおけるサイドモードが抑制されることを示唆する。
【0050】
なお、本実施例では、回折格子の深さを5−30nmに設定したが、この深さに限られることはない。この際、回折格子の深さが素子長方向に対称である必要もない。この深さに対応して変化する結合係数も5−80cm-1に設定したが、この値に限られることはない。
【0051】
また、本実施例では、素子用半導体結晶として化合物半導体InP結晶を用いたが、GaAs、SiGeなどの化合物半導体結晶やInGaAsP、AlGaInAs、InGaN、GaInNAs、AlGaSbなどの混晶結晶を用いても可能である。
【0052】
また、本発明による装置が対応するレーザ光の波長として1.55μmを用いたが、InGaAsP結晶の組成などの構造、回折格子のピッチ(周期)を変えることにより波長が1.0μmから1.7μmまでの長波長帯にも対応でき、活性層に他の材料(InGaAlN、AlGaInP、AlGaSb等)を用いることにより波長が1.0μm未満の短波長帯や1.7μm以上の長波長帯にも対応できる。また、活性層における多重量子井戸構造には、8層、5nm厚のInGaAsP歪量子井戸層(歪量:1.0%)、5層、10nm厚のInGaAsP障壁層(組成波長:1.1μm)を用いたが、歪量、層数、層厚、結晶組成などの構造因子は変化させてもかまわない。
【0053】
(第2の実施形態)
本発明の作製方法の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、炭化水素系ガスを用いたドライエッチングにおいて生じるポリマーを利用するものである。また、エッチングに用いるSiNx/SiO2マスクにおいてSiNxマスク1911の幅1915A及び1915Bは一定であるが、SiO2マスク1910の幅1913が変化する。これは、第1の実施形態では、SiNxマスク1411の幅1415A及び1415Bが変化し、SiO2マスク1410の幅1413が一定であったのと異なる。
【0054】
図20に、本実施形態において試料表面に形成するSiO2マスク1910及びSiNxマスク1911(以下「SiNx/SiO2マスク」とも呼ぶ。)を示す。回折格子パターンを有するSiO2マスク1910のマスク厚が20nm、回折格子の長さ1912が500μmであり、幅1913は、回折格子パターンが有する複数の開口部の配列方向に沿って変化しており、素子両端で広く(幅は3μm)素子中央部で狭くなっている(幅は1.5μm)。また、ピッチ(周期)1914は240nm(SiO2部:120nm、開口部(窓部):120nm)である。一方、SiNxマスク1911の上層部1911Aのマスク厚が0.3μm、下層部1911Bのマスク厚が0.7μmである。上層1911Aのマスクの幅1915Aは20μm、下層1911Bのマスクの幅1915Bは10μmで一定である。第1の実施形態と同様に、SiNxマスク1911の開口部とは、下層部1911Bの幅W2の開口部を指し、SiNxマスク1911のマスク部とは、上層部1911Aの幅1915Aのマスク部と下層部1911Bの幅1915Bのマスク部を合わせた部分を指す。
【0055】
半導体のエッチングにプラズマ状態のガスを用いるドライエッチングにおいて、このガスにメタンやエタンなどの炭化水素系ガスを用いる場合には、プラズマ状態においてガスが炭化水素基と水素に分解され、それぞれイオン化または化学的に活性化(ラジカル化)される。以下、イオン化またはラジカル化された炭化水素基を「炭化水素プラズマ」、イオン化またはラジカル化された水素原子を「水素プラズマ」と呼ぶ。この炭化水素プラズマと水素プラズマが半導体表面に接触すると、半導体をエッチングする過程と、半導体をエッチングすることなく半導体表面上に重合体(ポリマー)を形成して堆積する過程が起こる。一般に水素プラズマが十分にある場合にはエッチング過程が主となり、水素プラズマが不足するとポリマーが堆積する過程が主となる。誘電体(SiO2など)マスク表面においては、炭化水素プラズマと水素プラズマが誘電体と反応しないので重合物(ポリマー)となって堆積する。水素プラズマを増やすために、炭化水素系ガスと共に水素ガスを供給してもよい。
【0056】
図21及び22を参照して、上述のドライエッチングをSiNx/SiO2マスクのある試料に施した場合を説明する。SiNx/SiO2マスクのない領域では、プラズマ状態のメタンに対して水素プラズマは試料表面に均一に分布する(図21(a))。この均一に分布した水素プラズマの濃度が低い場合、エッチングするには水素プラズマが不足するので、試料表面にはポリマーが生成して試料表面を覆い、エッチングが進行しない(図21(b))。一方、SiNx/SiO2マスクのある領域では、まず、メタンプラズマに対して水素プラズマは、試料表面にSiNx/SiO2マスクの上にも開口部内にも均一に分布する(図22(a))。SiNx/SiO2マスク上ではマスク材料(SiO2等)はエッチングされないので、メタンプラズマはエッチングに寄与することなくポリマーが生成される。マスク上の水素プラズマは、メタンプラズマと反応することなく開口部に拡散する。その結果、開口部での水素プラズマの濃度は増加する(図22(b))。したがって、開口部では水素プラズマの濃度がエッチングを生じさせるのに十分な濃度に達するのでエッチングが進行する(図22(c))。このように、マスクのある領域ではポリマーが生成されエッチングが進行せず、マスクのない領域(開口部)ではエッチングが進行する。
【0057】
図23〜27は、本実施形態における回折格子の作製方法を説明するための図である。半導体表面に幅が変化するSiO2マスク2010と幅が一定のSiNxマスク2011を形成する(図23)。ここで、SiO2マスク2010の回折格子パターンが有する複数の開口部2001、2002、2003、2004の幅は、それぞれ1.5、2.0、2.5、3.0μmとする。以下に説明する一連のエッチング過程において、マスク厚の厚いSiNxマスク2011からのメタンプラズマ及び水素プラズマの寄与が大きく、マスク厚の薄いSiO2マスク2010からのメタンプラズマ及び水素プラズマの寄与は小さい。
【0058】
メタンと水素の混合ガスを用いたRIEをメタン流量40sccm、水素流量2sccm、ガス圧力が10Pa、放電電力が100Wで施すと(「第1のプラズマ条件」に対応)、幅が1.5μm以下の開口部2001においては、マスク上から水素プラズマの供給が十分あるのでポリマーが堆積することなくエッチングが進行する。一方、幅が1.5μmより広い開口部2002、2003、2004においては、マスク上から水素プラズマの供給が不足するので、ポリマー2201が堆積してエッチングが進行しない(図24)。
【0059】
引き続き、酸素プラズマを酸素流量10sccm、ガス圧力10Pa、放電電力400Wで1分間照射すると、堆積したポリマーが除去される(図25)。ここで、酸素プラズマ以外に、酸素を含むプラズマを用いてもよい。例えば、酸素と窒素、アルゴン等不活性ガスとの混合ガス、酸素と水素の混合ガス等でもよい。
【0060】
次に、水素流量を増加させた条件(メタン流量40sccm、水素流量5sccm、ガス圧力が10Pa、放電電力が100W)でRIEを施すと(「第2のプラズマ条件」に対応)、幅が2μm以下の開口部2001、2002においては、水素プラズマの供給が増加するのでポリマーが堆積することなくエッチングが進行する。一方、幅が2μmより広い開口部2003、2004においては、マスク上から水素プラズマの供給がまだ不足するので、ポリマー2041が堆積してエッチングが進行しない(図26)。したがって、幅が1.5μm以下の開口部2001においては、初めのRIEによるエッチングの後にさらに2度目のRIEによるエッチングが進行するので、その深さは、幅が1.5μmより広く2μm以下である開口部2002の深さよりも深くなる。
【0061】
引き続き酸素プラズマを照射によるポリマーの除去の後に、RIE、酸素プラズマ照射を交互に繰り返す。この際にRIEを施すごとに水素流量を増加させることにより、深さの異なる回折格子を形成することができる(図27)。このとき、水素流量は100sccmまで増加させることができる。
【0062】
その後、マスク除去、メサ構造加工後に、この回折格子上に有機金属気相成長法(MOVPE)により積層することにより図18に示す素子構造等を作製することが可能である。
【0063】
本実施形態の作製方法で用いるマスクは、2段構造を有しており、図13を参照して説明したように、1段構造に比べてより多くのエッチング種をエッチングに関与させ、1段構造に比べてエッチング深さを広範囲で変化させることができる。エッチング種として水素プラズマに注目して図13を見ると、例えば、1段構造において開口部の幅W2が1μmのときの水素の規格化濃度は0.18程度である。2段構造においては、この値を幅W2が3μmのときに得ることができる。このことは、1段構造においては幅W2を1μm以下にしないと実現できなかったエッチングを、幅W2が3μmでも実現できることを示し、回折格子の設計の自由度が高まっている。
【0064】
なお、本実施形態では、2段構造であるSiNxマスクにおいて、上層部/下層部それぞれの厚さが0.3μm/0.7μmとしたが、上層部/下層部それぞれの厚さがエッチング種を閉じ込められる0.1μm以上の厚さであれば他の厚さであっても同様の効果が得られる。また、上層部と下層部との合計の厚さを1μmとしたが、2μm以下の厚さであれば他の厚さであっても同様の効果が得られる。
【0065】
また、本実施形態において、回折格子の開口部の両端部にはマスク上で反応に寄与しなかった水素プラズマが流入する。この水素プラズマ分だけメタンが反応してエッチングが進行する。したがって、ポリマーが堆積する開口部においても両端の一部分のみでエッチングが進行する。このように、開口部全域のおいて深さが均一にならないという問題が生じる場合がある。しかしながら、実際のデバイスにおいてはメサ構造が採用されるため、開口部の両端部はメサ形成時に切り落とされるので、実際のデバイス作製上における問題とはならない。
【0066】
また、本実施形態ではRIE時に開口部においてエッチングに寄与する水素の量を水素流量により変化させたが、ガス圧(0.01Pa−50Pa)によるマスク上から水素の拡散距離の変化または放電電力(50−500W)によるイオン化される水素の量の変化によっても変化させることができ、同様の効果が得られる。
【0067】
また、本実施形態では、半導体表面上にポリマーが生成される領域が第1のプラズマ条件よりも狭くなるものとして第2のプラズマ条件に言及したが、第2のプラズマ条件として、まったくポリマーが生成されない条件を用いてもよい。この場合でも、第1のプラズマ条件下でのみエッチングされる領域と、第2の条件下でエッチングされる領域とが異なるため、深さの変化する所望のパターンを作製することができる。
【0068】
(第3の実施形態)
以上では、所望のパターンを有する第1のマスクの上に、当該所望のパターンの開口部に拡散されるエッチング種の量を制御するための第2のマスクが設けられる構成について説明してきたが、所望のパターンによっては、第1のマスクは必ずしも必要ではなく第2のマスクのみでパターン形成を行うことができる。以下、そのような実施例を説明する。
【0069】
実施例1
実施例1として、同一面内で層厚が変化する導波路の作製方法を示す。本実施例は、炭化水素系のガスを用いたドライエッチングにおいて生じるポリマーを利用するものである。
【0070】
図28は、本実施例において作製される同一面内で層厚が変化する導波路の断面図である。n型InP2800の上に、組成波長1.2μmのInGaAsP導波路層2801、InPクラッド層2802が形成されている。
【0071】
図29〜33は、本実施例における導波路の作製方法を説明するための図である。図を簡潔にするため、図29〜33の断面図(b)においてはSiNxマスク2915を示していない。n型InP2800上のInGaAsP導波路層2801の表面に、開口部2900の幅2910Aが変化するSiNxマスク2915を形成する(図29)。SiNxマスク2915の上層部2915Aの膜厚は0.3μm、下層部2915Bの膜厚は0.7μmである。上層部2915Aの幅2920Aは20μm、下層部2915Bの幅2920Bは10μmで一定である。導波路長2910Bは500μmである。メタンやエタンなどの炭化水素系のガスを用いてドライエッチングをマスクのある試料に施した場合のエッチング過程は、第2の実施形態と同様である。
【0072】
この試料について、初めにメタンと水素の混合ガスを用いたRIEをメタン流量40sccm、水素流量2sccm、ガス圧力が10Pa、放電電力が100Wで施すと、幅が1.5μm以下の開口部2900Aにおいては、SiNxマスク2915上から水素の供給が十分あるのでポリマーが堆積することなくエッチングが進行する。一方、幅が1.5μmより広い開口部2900B及び2900Cでは、SiNxマスク2915上から水素の供給が不足するので、ポリマー3001が堆積してエッチングが進行しない(図30)。開口部2900のうち、ポリマー3001で覆われていない部分がエッチングの進行する領域である。開口部2900B及び2900Cにおいては、ほとんどの領域にポリマー3001が堆積するが、SiNxマスク2915との境界部分でのみエッチングが進行する。
【0073】
引き続き、酸素プラズマを酸素流量10sccm、ガス圧力10Pa、放電電力400Wで1分間照射すると、堆積したポリマーが除去される(図31)。
【0074】
次に、水素流量を増加させた条件(メタン流量40sccm、水素流量5sccm、ガス圧力が10Pa、放電電力が100W)でRIEを施すと、幅が2μm以下の開口部2900A及び2900Bにおいては、水素の供給が増加するのでポリマーが堆積することなくエッチングが進行する。一方、幅が2μmより広い開口部2900Cにおいては、SiNxマスク2915上から水素の供給がまだ不足するので、ポリマー3002が堆積してエッチングが進行しない(図32)。したがって、幅が1.5μm以下の開口部2900Aにおいては初めのRIEによるエッチングの後にさらに2度目のRIEによるエッチングが進行するので、その深さは幅が1.5μmから2μmまでの開口部2900Bの深さよりも深くなる。
【0075】
引き続き酸素プラズマを照射によるポリマーの除去の後に、RIE、酸素プラズマ照射を交互に繰り返す。この際にRIEを施すごとに水素流量を増加させることにより、深さの異なる回折格子を形成することができる(図33)。このとき、水素流量は100sccmまで増加させることができる。その後、マスク除去後に、有機金属気相成長法(MOVPE)によりInPクラッド層2802を積層することにより図28に示す素子構造が作製される。
【0076】
ここで、本実施例の効果を図13を参照して説明する。上層部2915Aの開口部幅W1は10μmとする。下層部2915Bの開口部幅W2が1μmから10μmまで変化するとき、水素は1段構造において0.2程度から0.1程度まで変化するのに対して、本実施例の2段構造において開口部幅W2の変化により0.6程度から0.1まで変化する。このように本実施例の2段構造を用いた場合、1段構造に比べて3倍程度高濃度の水素がエッチングに関与する。このことは本実施例の2段構造を用いた場合1段構造に比べてエッチング深さを広範囲で変化させることができることを示す。例えば、1段構造において開口部幅W2が1μmのときの水素の規格化濃度は0.18程度である。この値を2段構造においては開口部幅W2が3μmを得ることができる。このことは、1段構造において開口部幅W2が1μm以下でしか実現できなかったエッチングを開口部幅W2が3μmまで実現できることを示す。
【0077】
本実施例において、3つの開口部幅を用いた深さが3段階変化するエッチングについて説明したが、より多数の開口部幅を有するマスクを用いて、より多段で層厚が変化する導波路層を作製することができる。図34にその例を示すが、断面図34(b)においては、クラッド層形成後の構造を示してある。また、開口部幅が徐々に変化するマスクを用いて徐々に層厚が変化する導波路層を作製することができる。図35にその例を示すが、断面図35(b)においては、クラッド層形成後の構造を示してある。
【0078】
また、実施例においては炭化水素系のガスを用いたドライエッチングにおいて生じるポリマーを利用したが、第1の実施形態と同様に塩素ガスを用いたドライエッチングを用いて導波路を作製することができる。
【0079】
実施例2
図36に、層厚が変化する導波路構造をスポットサイズ変換部に用いた半導体レーザ素子の構造を示す。このレーザ素子は、出射光部分にスポットサイズ変換部を有することを特徴とする。スポットサイズ変換部とは素子からの出射光の光ファイバに入射する効率(結合効率)を向上させるために発光ビーム径を広げるものである。このスポットサイズ変換部では、導波層の厚みを徐々に薄くすることにより光分布をクラッド層に染み出させてスポットサイズを大きくする。1800はn型InP基板、1801はn型InPバッファ層、1802は活性層、1803はスポットサイズ変換用InGaAsP(組成波長:1.2μm)ガイド層、1804はInGaAsP(組成波長:1.1μm)ガイド層、1805はp型InP埋込み層、1806はn型InP埋込み層、1807はp型InPクラッド層、1808はp型InGaAs(組成波長:1.65μm)コンタクト層、1809はSiO2層、1810はn型オーミック電極、1811はp型オーミック電極である。活性層1802はInGaAsP(組成波長:1.1μm)ガイド層と、6層のInGaAsP歪量子井戸(歪量:0.8%)層および5層のInGaAsP(組成波長:1.1μm)障壁層の多重量子井戸層からなる活性層(発光波長:1.3μm)と、InGaAsP(組成波長:1.1μm)ガイド層とからなる。
【0080】
このレーザ構造におけるスポットサイズ変換部の作製方法を説明する。活性層に隣接するスポットサイズ変換用InGaAsP(組成波長:1.2μm)ガイド層1803の表面に実施例1と同様のSiNxマスクを形成する。このマスクにおいては、活性層との境界側のマスク幅が広く出射端側のマスク幅が狭い形状を有する。同時に活性層表面は全面マスクで覆われている。この試料について実施例1で示すドライエッチングを施すと、エッチング深さは活性層の境界側で浅く出射端側で深くなる。次に、InPクラッド層を積層した後に、メサ形成用ストライプマスクを形成してメサ構造に加工することによりスポットサイズ変換部が形成される。この構造について、pn構造埋め込み層の成長、クラッド層とコンタクト層の成長後に、電極形成することにより本実施例の半導体レーザ素子の構造が作製される。
【0081】
このように、本実施例を用いれば、簡易に層厚が変化する導波路層(スポットサイズ変換部)を作製することができる。作製された素子は導波路層(スポットサイズ変換部)での光損失が低減され、室温におけるしきい値電流が6.7mA、効率が0.42W/Aである良好な特性を示す。
【符号の説明】
【0082】
1310 半導体基板
1311 SiO2マスク(「第1のマスク」に対応)
1321 SiNxマスク(「第2のマスク」に対応)
1321A 上層部
1321B 下層部
1331 第2のマスク用のレジストパターン
1332 第2のマスク用のレジストパターン
1332’ 第2のマスク用のレジストパターン
1410 SiO2マスク(「第1のマスク」に対応)
1411 SiNxマスク(「第2のマスク」に対応)
1411A 上層部
1411B 下層部
1412 回折格子パターンの長さ
1413 回折格子パターンの幅
1414 回折格子パターンのピッチ
1415A 上層部の幅
1415B 下層部の幅
1910 SiO2マスク(「第1のマスク」に対応)
1911 SiNxマスク(「第2のマスク」に対応)
1911A 上層部
1911B 下層部
1912 回折格子パターンの長さ
1913 回折格子パターンの幅
1914 回折格子パターンのピッチ
1915A 上層部の幅
1915B 下層部の幅
2001、2002、2003、2004 回折格子パターンの開口部
2010 SiO2マスク(「第1のマスク」に対応)
2011 SiNxマスク(「第2のマスク」に対応)
1911A 上層部
1911B 下層部
2800 n型InP
2801 InGaAsP導波路層
2802 InPクラッド層
2900、2900A、2900B、2900C 開口部
2910A 開口部2900の幅
2910B 導波路長
2915 SiNxマスク
2915A 上層部
2915B 下層部
2920A 上層部2915Aの幅
2920B 下層部2915Bの幅
3001、3002 ポリマー
W1 第2のマスクの上層部の開口部の幅
W2 第2のマスクの下層部の開口部の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
深さが変化する所望のパターンを半導体表面に作製するための方法であって、
開口部に拡散されるエッチング種の量を制御するためのパターンを有するマスクを形成するステップと、
前記マスクが形成された半導体表面に、前記エッチング種を供給して前記半導体表面をエッチングするステップと
を有し、
前記マスクは、第1の開口部を有する上層部と、前記第1の開口部よりも狭い第2の開口部を有する下層部とを備え、
前記所望のパターンの開口部の近傍における前記第2の開口部の面積とマスク部の面積との比が変化していることを特徴とする方法。
【請求項2】
深さが変化する所望のパターンを半導体表面に作製するための方法であって、
前記半導体表面に、前記所望のパターンを有する第1のマスクと前記所望のパターンの複数の開口部に拡散されるエッチング種の量を制御するための第2のマスクとを形成するステップと、
前記第1及び第2のマスクが形成された前記半導体表面にエッチング種を供給して、前記半導体表面をエッチングするステップと
を含み、
前記第2のマスクは、第1の開口部を有する上層部と、前記第1の開口部よりも狭い第2の開口部を有し、前記第1のマスクと接する下層部とを備え、マスク厚が前記第1のマスクよりも厚く、
前記所望のパターンの各開口部の近傍における前記第2の開口部の面積と前記第2のマスクのマスク部の面積との比が、前記所望のパターンの前記複数の開口部の配列方向に沿って変化していることを特徴とする方法。
【請求項3】
前記エッチングは、プラズマ状態のガスを用いるドライエッチングであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ドライエッチングに用いる前記ガスは、炭化水素系ガス及び水素ガスであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記エッチングするステップは、
前記炭化水素系ガス及び前記水素ガスを、前記炭化水素系ガス及び前記水素ガスから得られる炭化水素プラズマ及び水素プラズマが前記半導体表面上に第1のポリマーを生成する第1のプラズマ条件で供給して、前記第1のポリマーが生成されていない前記半導体表面をエッチングするステップと、
酸素を含むプラズマを供給して、前記第1のポリマーを除去するステップと、
前記炭化水素系ガス及び前記水素ガスを、前記第1のプラズマ条件と異なる第2のプラズマ条件で供給して、前記半導体表面をエッチングするステップと
を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のプラズマ条件は、前記炭化水素系ガス及び前記水素ガスから得られる炭化水素プラズマ及び水素プラズマが前記半導体表面上にポリマーを生成しない条件であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のプラズマ条件は、前記第1のプラズマ条件よりも前記半導体表面上にポリマーが生成される領域が狭くなる条件であり、
前記第2のプラズマ条件によるエッチングは、前記第2のプラズマ条件によりポリマーが生成されていない前記半導体表面をエッチングすることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記所望のパターンは、回折格子パターンであることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2011−18870(P2011−18870A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−242446(P2009−242446)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】