説明

半導体装置の製造方法、半導体製造装置及び記憶媒体

【課題】スループットの低下を抑えつつ、レジスト膜のエッチング耐性を向上させることの可能な半導体装置の製造方法等を提供する。
【解決手段】
レジスト膜97からなるパターンマスク、反射防止膜96及び被エッチング膜902が上からこの順に積層された積層体901を備えた被処理基板Wを気密な第1の処理容器2内に搬入し、レジスト膜97のエッチング耐性を向上させるが反射防止膜96にはエッチング耐性を与えない程度のエネルギーで被処理基板の表面に対して真空雰囲気下で電子線を照射し、その後、前記被処理基板を気密な第2の処理容器3内に搬送し、パターンマスクを介して反射防止膜97及び被エッチング膜902をエッチングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被エッチング膜をエッチングする際のマスクとなるレジスト膜のエッチング耐性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に半導体デバイス(半導体装置)の製造工程においては、フォトリソグラフィ技術を利用して被処理基板である半導体ウエハ(以下、ウエハという。)上に多層化された微細な配線構造を形成している。フォトリソグラフィ技術においては、例えば絶縁膜等の被エッチング膜の上層側に開口部を備えたマスクを積層し、この開口部を介して被エッチング膜をエッチングした後、このマスクをアッシング工程にて灰化して除去することにより配線構造をパターニングしている。
【0003】
マスクは、被処理基板表面に感光性の樹脂からなるレジスト膜を塗布し、露光、現像工程を経てこのレジスト膜に前述の配線構造に対応した開口部をパターニングすることにより形成され、このレジスト膜として用いる樹脂には露光光源の波長に対する透過性やエッチング耐性等の様々な性能が要求される。このような要求に対し、近年の半導体デバイス配線構造の更なる微細化に伴って採用された、例えばメタクリルポリマー等をはじめとするArFエキシマレーザ(波長193nm)に対応したレジスト膜用の樹脂(以下、ArF用レジストという)は、従来のKrFエキシマレーザ(波長248nm)にて用いられていた芳香族系ポリマーと比較してエッチング耐性が低い。このため、エッチングの際にレジスト膜が削れてしまい、ストライエーションと呼ばれる開口内壁の縦縞の発生といったエッチング不良を引き起こすおそれがある。
【0004】
このような問題に対して特許文献1には、レジスト膜や反射防止膜に対して50keVの加速電圧で電子線を照射することによりこれらの膜を変性させてエッチング耐性を向上させた後、酸化膜のエッチングを行う技術が記載されている。また反射防止膜の上にレジストパターンを積層した場合には、反射防止膜をエッチングした上でレジストパターンに対して電子線を照射することも記載されている。これは、この状態で電子線照射を行うとレジストパターンの開口部に露出している反射防止膜もエッチング耐性を持ってしまうためと思われる。
【0005】
しかしながらこの方法によれば、反射防止膜とレジスト膜とを積層した場合には、反射防止膜をエッチングした後に電子線照射を行わなければならず、これらの処理は互いに異なったモジュールで行わなければならない。このためエッチングモジュールで反射防止膜をエッチングし、続いて電子線照射モジュールにて電子線照射を行い、更にエッチングモジュールにて被エッチング膜のエッチングを行うという工程が必要となるため、スループットの向上の観点からは更なる改善の余地があった。
【特許文献1】特開2000−221699号公報::第0003段落〜第0004段落、第0029段落〜第0032段落、図2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情に基づいて行われたものであり、その目的はスループットの低下を抑えつつ、レジスト膜のエッチング耐性を向上させることの可能な半導体装置の製造方法、半導体製造装置及び前記製造方法を記憶した記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係わる半導体装置の製造方法は、レジスト膜からなるパターンマスク、反射防止膜及び被エッチング膜が上からこの順に積層された積層体を備えた被処理基板を、気密な第1の処理容器内に搬入する工程と、
前記第1の処理容器内にて、真空雰囲気下で、前記レジスト膜のエッチング耐性を向上させるが前記反射防止膜にはエッチング耐性を与えない程度のエネルギーで被処理基板の表面に対して電子線を照射する工程と、
その後、前記被処理基板を前記第1の処理容器より、気密な第2の処理容器内に搬送し、この第2の処理容器内にて前記レジスト膜からなるパターンマスクを介して前記反射防止膜及び被エッチング膜をエッチングする工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
ここで前記電子線は電子銃または中和銃より照射され、前記レジスト膜はArF用レジスト膜、KrF用レジスト膜、EUV用レジスト膜及びEB用レジスト膜からなるレジスト膜群から選択されたものであり、当該電子線を加速する加速電圧が0.1keV以上、1.8keV以下の範囲内であることが好適である。
【0009】
次に、本発明に係る半導体製造装置は、パターンマスクを構成するレジスト膜、反射防止膜及び被エッチング膜が上からこの順に積層された被処理基板に対して処理を行う半導体製造装置において、
基板搬送手段が設けられ、真空雰囲気で被処理基板を搬送する真空搬送室と、
この真空搬送室に気密に接続され、被処理基板を載置する載置台が設けられた処理容器と、前記載置台に載置された被処理基板に対して、レジスト膜の耐エッチング性を向上させるが、前記反射防止膜には耐エッチング性を与えない程度のエネルギーで電子線を照射する電子線照射手段と、を含む電子線照射モジュールと、
前記真空搬送室に気密に接続され、被処理基板を載置する載置台が設けられた処理容器と、前記載置台に載置された被処理基板に対してプラズマによりエッチングを行うための手段と、を備えたエッチングモジュールと、
前記電子線照射モジュールにて電子線が照射された被処理基板を、前記基板搬送手段を介して前記エッチングモジュールに搬入し、当該エッチングモジュールにて、被処理基板上の前記反射防止膜及び被エッチング膜をプラズマによりエッチングするように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、この半導体製造装置において、大気雰囲気と前記真空搬送室との間で被処理基板を搬送するときに一旦被処理基板が搬入されるロードロック室と、このロードロック室内の雰囲気を大気雰囲気と真空雰囲気との間で切り替える手段と、を備えたロードロックモジュールが設けられ、前記電子線照射モジュールの処理容器は前記ロードロック室を兼用するように構成してもよい。
【0011】
ここで前記レジスト膜はArF用レジスト膜、KrF用レジスト膜、EUV用レジスト膜及びEB用レジスト膜からなるレジスト膜群から選択されたものであり、前記電子線照射手段により照射される電子線の加速電圧が0.1keV以上、1.8keV以下の範囲内であることが好適であり、また前記反射防止膜は、芳香族系ポリマーであることが好ましい。
【0012】
この他、本発明に係る記憶媒体は、半導体製造装置に用いられ、コンピュータ上で動作するプログラムを格納した記憶媒体であって、前記プログラムは既述したいずれかの半導体装置の製造方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レジスト膜のエッチング耐性を確保しつつ反射防止膜についてはエッチング耐性を与えない程度のエネルギーの電子線をレジスト膜に照射しているので、レジスト膜のエッチング耐性を向上させてエッチング不良を抑えることができる。また電子線照射の後、連続して反射防止膜及び被エッチング膜のエッチングをすることができ、電子線の照射という前工程が加わることによるスループットの低下を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の半導体装置の製造方法を実施するための半導体製造装置の実施の形態について説明する。図1はいわゆるマルチチャンバシステムと呼ばれる半導体製造装置1の全体構成であり、この半導体製造装置1は、被処理基板であるウエハWを所定枚数収納したキャリアCが搬入されるロードポート11と、大気雰囲気下でウエハWを搬送するローダモジュール12と、室内を常圧雰囲気と真空雰囲気とに切り替えてウエハWを待機させるためのロードロック室13と、真空雰囲気下でウエハWを搬送する真空搬送室であるトランスファモジュール14と、搬入されたウエハWにプロセス処理を施すための例えば4個の処理モジュール2、3a〜3cと、を備えている。ここで、処理モジュール2はウエハW表面に形成されたレジスト膜のエッチング耐性を向上させるための電子線照射モジュール2であり、処理モジュール3a〜3cはエッチングモジュール3a〜3cである。半導体製造装置1内の各機器は、ウエハWの搬入方向に対してロードポート11、ローダモジュール12、ロードロック室13、トランスファモジュール14、処理モジュール2、3a〜3cの順で並んでおり、隣り合う機器同士はドア111やゲートバルブG1〜G3を介して気密に接続されている。また前述のロードロック室13は、当該ロードロック室13内の雰囲気を大気雰囲気と真空雰囲気との間で切り替えるための、例えば図示しない真空ポンプや圧力調整バルブ等と共にロードロックモジュールを構成している。なお、以下の説明においてはロードポート11の設置されている方向を手前側として説明する。
【0015】
ロードポート11は、ローダモジュール12の前面に列設された3個の載置台から構成され、外部から搬送され、ロードポート11上に載置されたキャリアCを半導体製造装置1本体と接続する役割を果たす。半導体製造装置1の内部にはキャリアCからウエハWを1枚ずつ取り出して搬送するための、回転、伸縮、昇降及び左右への移動自在な第1の基板搬送手段121が設置されている。
【0016】
ロードロック室13は、手前側から見て左右に2台並んだ状態でローダモジュール12とトランスファモジュール14との間に介設されている。各ロードロック室13は、搬入されたウエハWの載置される載置台131を備え、各々のロードロック室13を常圧雰囲気と真空雰囲気とに切り替えるための図示しない真空ポンプ及びリーク弁と接続されている。トランスファモジュール14は、その平面形状が例えば細長い六角形状に形成され、手前側の2辺は既述のロードロック室13と接続されると共に、対向する2つの長辺に処理モジュール2、3a〜3cが接続されている。トランスファモジュール14には、ロードロック室13と各処理モジュール2、3a〜3cとの間で真空雰囲気にてウエハWを搬送するための、回転及び伸縮自在な第2の基板搬送手段141が設置されるとともに、その内部を真空雰囲気に保つための図示しない真空ポンプが接続されている。
【0017】
次に上記トランスファモジュール14と接続された処理モジュール2、3a〜3cのうち、レジスト膜のエッチング耐性を向上させるための電子線照射モジュール2の構成について図2、図3を参照しながら説明する。電子線照射モジュール2は例えば内部が密閉空間となる真空チャンバーとして構成された処理容器(第1の処理容器)21と、この処理容器21内の底板中央に固定された載置台22と、載置台22の上方に当該載置台22と対向するように設けられた単独または複数本、例えば19本の電子管23とを備えている。
【0018】
処理容器21は、第2の処理容器と同様にアルミニウム等で構成され、その底板に設けられた排気口211には排気管212を介して例えば真空ポンプからなる真空排気手段213が設けられていて処理容器21内を高真空状態に保つことができるようになっている。また、処理容器21側面の上部には吸気口216が設けられており、この吸気口216はメインバルブ218の介設された吸気管217と接続されていて不活性ガスを処理容器21内に導入することにより、処理容器21内の圧力をトランスファモジュール14と同程度にすることができる。また図中、214は処理容器21内にウエハWを搬入出するための搬送口であり、215はこの搬送口214を開閉するためのゲートバルブである。
【0019】
載置台22はアルミニウム等により構成され、ウエハW表面を既述の電子管23に対向させた状態でウエハWを保持する役割を果たす。載置台22は不図示の昇降ピンを備え、当該昇降ピンを介してトランスファモジュール14内の第2の基板搬送手段141と、当該載置台22との間でウエハWの受け渡しを行うことができる。
【0020】
電子管23は、例えば陰極と加速陽極とを備えた周知の熱電子放出型の電子銃として構成され、載置台22上に載置されたウエハWの表面に所定の加速度電圧が印加された電子線を照射する電子線照射手段としての役割を果たす。電子管23は、例えば図3に示すように載置台22に載置されたウエハW(図中、破線で表してある)の全面に電子線を照射することができるように、処理容器21天井部の円形の領域に均等に設置されている。なお電子線照射手段は、上記の熱電子放出型の電子銃からなる電子管23に限定されず、例えば電界放出型の電子銃でもよいし、ウエハW等の試料の帯電防止を目的としてこの試料表面に電子を照射するための中和銃であってもよい。
【0021】
これらの電子管23は、コントロールボックス231を介して高圧直流の加速電源232に接続されており、この加速電源232より各電子管23に高電圧が印加されて電子線が放射されるようになっている。
【0022】
次に、残る処理モジュール3a〜3cであるエッチングモジュール3a〜3cについて図4の縦断面図を参照しながら説明する。半導体製造装置1は後述する電子線照射モジュール2とエッチングモジュール3a〜3cとの間での処理時間の差を吸収するため、例えば同じ性能を備えた3台のエッチングモジュール3a〜3cを備えている。これら3台のエッチングモジュール3a〜3cは互いに共通の構造を備えているので、図4においてはこれらを総括的に示した符号「3」を付してある。図4に示したエッチングモジュール3は、周知の平行平板型のプラズマエッチングモジュールとして構成され、例えば内部が密閉空間となる真空チャンバーとして構成された処理容器(第2の処理容器)31と、この処理容器31内の底板中央に固定された載置台32と、載置台32の上方に当該載置台32と対向するように設けられた上部電極33と、を備えている。
【0023】
処理容器31はアルミニウム等で構成されると共に電気的に接地されており、処理容器31の底板に設けられた排気口311には排気管312を介して例えば真空ポンプ等からなる真空排気手段313が接続されている。処理容器31の側面にはウエハWの搬送口314が設けられており、この搬送口314はゲートバルブ315によって開閉可能となっている。
【0024】
載置台32は、下部電極321とこの下部電極321を下方から支持する支持体322とから構成され、支持体322は処理容器31の底面に絶縁部材323を介して配設されている。図中、324は高圧直流電圧の印加により載置台32上にウエハWを静電吸着するための静電チャックであり、325は処理容器31内に発生したプラズマを載置台32上に集束させるためのフォーカスリングである。また、326は載置台32を温度調整するための温調流路であり、327はHe(ヘリウム)ガス等の熱伝導性ガスをウエハWの裏面にバックサイドガスとして供給するガス供給路である。また、載置台32は不図示の昇降ピンを備え、当該昇降ピンを介してトランスファモジュール14内の第2の基板搬送手段141と、当該載置台32との間でウエハWの受け渡しを行うことができるようになっている。
【0025】
下部電極321は整合器302を介して周波数が例えば13.56MHzのバイアス印加用の高周波電源301と接続されていると共に、ハイパスフィルタ(HPF)303を介して接地されている。一方、上部電極33は中空状に形成され、多数の処理ガス供給孔331を備えたガスシャワーヘッドを構成している。また上部電極33の上面中央には処理ガス供給管332が設けられ、この処理ガス供給管332は絶縁部材333を介して処理容器31の上面中央を貫通している。そしてこの処理ガス供給管332の上流には処理ガス供給部334が接続されており、図示しないバルブや流量制御部によって、ウエハW上に積層された各種の膜をエッチングするための各種エッチングガス(CF、CO、CO)及びエッチングガスの濃度を調整するためのアルゴン(Ar)ガス、またアッシング用のOガスの供給量及びその給断の制御を行うことができるようになっている。
【0026】
また上部電極33は、整合器336を介して、下部電極321側の高周波電源301よりも周波数の高い例えば60MHzのプラズマ発生用の高周波電源335と接続されており、またローパスフィルタ(LPF)337を介して接地されている。
【0027】
図1〜図2、図4に示すように、半導体製造装置1本体及び各処理モジュール2、3a〜3cは制御部4と接続されている。制御部4は、例えば図示しないCPUとプログラムとを備えたコンピュータからなり、プログラムにはこれら半導体製造装置1及び処理モジュール2、3a〜3cの作用、つまりロードポート11と処理モジュール2、3a〜3cとの間でのウエハWを搬送するシーケンスや電子線照射モジュール2内におけるウエハWへの照射タイミングや照射時間の調節、またエッチングモジュール3a〜3c内でのエッチングシーケンスに係る制御等についてのステップ(命令)群が組まれており、各基板搬送手段121、141や処理モジュール2、3a〜3c等に対してこれらのこれらのステップに基づく制御信号を出力する役割を果たす。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0028】
次に、以上に説明した構成を備えた半導体製造装置1を用いてウエハWのエッチングを行う半導体装置の製造工程について図5を参照しながら説明する。図5は当該半導体装置の製造工程において半導体装置が段階的に製造されていく様子を示した断面図である。以下の説明においては、ウエハW本体であるシリコン基板91上に積層された被エッチング膜902としての下側絶縁膜92、ゲート電極膜93、上側絶縁膜94にゲートパターンを形成するためのエッチングを行う工程について説明する。
【0029】
まず図1に示すように、内部にウエハWを格納したキャリアCが半導体製造装置1正面のロードポート11上に載置されると、ウエハWは、第1の基板搬送手段121によってキャリアCより取り出され、ローダモジュール12内を搬送されて左右いずれかのロードロック室13に受け渡されて待機する。そしてロードロック室13内が真空雰囲気となったら、第2の基板搬送手段141によってロードロック室13より取り出され真空雰囲気のトランスファモジュール14内に搬入される。
【0030】
このとき、ウエハWには図5(a)に示すように、既述の被エッチング膜902の上層に、エッチング耐性を補強するためのボトムレジスト膜95、レジスト膜露光の際に入射光の反射を防止するための反射防止膜96及びゲートパターンに対応する開口部971の形成されたフォトレジスト膜97が下側からこの順に積層されている。ここで本実施の形態に係るウエハW表面に塗布されているフォトレジスト膜97は、ArFエキシマレーザを用いた露光に用いられるArF用レジスト膜であり、例えば(-CHC(CH)(COOR)-)(Rはアダマンチル基やラクトン基等の保護基)を構成単位とするメタクリルポリマーにより構成されている。これに対して反射防止膜96やボトムレジスト膜95は例えば(-CHCHCOH-)を構成単位とする芳香族系ポリマーにより構成されている。以下、被エッチング膜902、ボトムレジスト膜95、反射防止膜96及びフォトレジスト膜97の積層構造体を積層体901と呼ぶ。
【0031】
このような積層構造を備えたウエハWは、フォトレジスト膜97のエッチング耐性を向上させるため、まず電子線照射モジュール2に搬入される。図2に示す載置台22上にウエハWが載置されると、ゲートバルブ215、メインバルブ218を閉じて処理容器21内を例えば133.2×10−3Pa(1.0×10−3Torr)の高真空状態とした後、加速電圧が0.1〜1.8keVの範囲の条件、例えば1.5keVの条件にて各電子管23より例えばウエハWの全面に電子線を例えば単位面積あたり1.0×10−9秒間照射する。このとき、照射された電子線は、図5(b)に示すように例えばウエハW表面に塗布されたフォトレジスト膜97に照射されると共に、フォトレジスト膜97の開口部971を介して反射防止膜96にも照射される。また、このときのウエハWの温度は、キャリアCからの搬出時と同じ室温程度である。
【0032】
ここで発明者らは、既述のようにメタクリルポリマーにより構成されるArF用レジストを原料とするフォトレジスト膜97に電子線を照射すると、照射を行わない場合に比べてフォトレジスト膜97にプラズマエッチングを施したときのエッチングレート(膜厚の減少速度)が小さくなること、即ちフォトレジスト膜97のエッチング耐性が向上することを確認している。電子線の照射によりエッチング耐性が向上する理由について推定されるメカニズムについて簡単に説明すると、電子線の持つエネルギーがメタクリルポリマーに吸収されることにより、電子線の吸収された領域、特にフォトレジスト膜97の表面付近にてポリマー中の保護基(アダマンチル基やラクトン基等)がポリマーから脱離する。この結果、脱離した保護基と結合していた酸素原子等の原子がラジカル化し、このラジカル化した原子が周囲の他の原子と結合することによりポリマー内に新たな架橋構造が形成される。このようにしてポリマー内の架橋構造が増えることによりフォトレジスト膜97の表面付近の硬度が高くなり、その結果エッチング耐性が向上するものと考えられる。
【0033】
一方、フォトレジスト膜97と共に電子線を照射される反射防止膜96については、反射防止膜96を構成する芳香族系ポリマーはメタクリルポリマーと比較して剛直な構造を備えているため、電子線の照射による変性の程度も小さくエッチング耐性の更なる向上は殆ど確認できなかった。以上のことから、図5(b)に示したようにフォトレジスト膜97と反射防止膜96との双方に電子線を照射すると、フォトレジスト膜97のエッチング耐性を向上させエッチング時の剥がれ等を防止することができる一方で、反射防止膜96のエッチング耐性は殆ど変化しないため従来と変わらぬ条件でエッチングを行うことができることになる。
【0034】
こうして電子線照射モジュール2内における処理を終えたウエハWは、搬送口214より進入してきた第2の基板搬送手段141により搬送スケジュールに基づいて3台のうちのいずれか1つのエッチングモジュール3a〜3c内に搬入され、図4に示す載置台32上に載置される。そして搬送口314を閉じ、まず反射防止膜96のエッチングを行うため、処理容器31内に処理ガス供給部334よりArガスを供給すると共に、CFガスを例えば100〜300sccmの範囲の流量で供給しながら、処理容器31内の圧力を例えば6.7〜13.3Pa(50〜100mTorr)の範囲の例えば10Pa(75mTorr)の圧力に維持する。そして上部電極33、下部電極321に例えば500〜1000Wの範囲の高周波電力、例えば750Wの高周波電力を印加して、供給したガスをプラズマ化し、フォトレジスト膜97のパターンに対応させて反射防止膜96をエッチングする。
【0035】
このときフォトレジスト膜97と反射防止膜96とは同じ条件のプラズマ雰囲気に晒されることになるが、先行する電子線の照射工程にてフォトレジスト膜97のエッチング耐性を向上させてあるので、エッチングにより削り取られにくくなっている。一方で反射防止膜96は電子線が照射されてもエッチング耐性が殆ど変化していないことから、電子線を照射しない従来の場合とほぼ同じエッチングレートでフォトレジスト膜97の開口部971に対応する部分が削り取られる。
【0036】
このようにして反射防止膜96のエッチングを行い所定時間が経過した後、高周波電力の印加及びガスの供給を停止して処理容器31内を排気し、ボトムレジスト膜95についてはCOガス及びCOガス、上側絶縁膜94、ゲート電極膜93、下側絶縁膜92についてはCFガスと、処理容器31へ供給する処理ガスを順次切り替え、これらの処理ガスを夫々の92〜95に適した条件でプラズマ化し、これらの膜92〜94のエッチングを行う。この結果、図5(c)に示すように積層体901にホール903が形成される。
【0037】
以上に説明した工程を経てホール903を形成した後、引き続き当該エッチングモジュール3内にてアッシングを行う。このアッシング工程は、例えば処理ガス供給部334よりOガスを処理容器31内に供給すると共に上部電極33に高周波電力を印加してプラズマを発生させることにより行われる。そしてこのプラズマにより図5(c)に示したフォトレジスト膜97、反射防止膜96、ボトムレジスト膜95が灰化除去され、図5(d)に示すように被エッチング膜902にゲートパターンに対応したホール903が形成される。
【0038】
ゲートパターンの形成を終えたウエハWは第2の基板搬送手段141によりトランスファモジュール14を介して、搬入時とは逆の経路でロードロック室13、ローダモジュール12へと搬送され再びキャリアCAへと格納される。
【0039】
以上に説明した実施の形態によれば以下の効果がある。ウエハW表面に電子線を照射すると共に、その加速電圧を、反射防止膜96に対しては耐性を発揮しないように選定しているため、フォトレジスト膜97のエッチング耐性を選択的に向上させることができる。従って反射防止膜96及び被エッチング膜902を連続してエッチングすることができると共に、マスクとなるフォトレジスト膜97が削り取られることによるエッチング不良を防止できる。なお、電子線の照射によりエッチング耐性を向上させることの可能なArF用レジスト膜は、実施の形態中に例示したメタクリルポリマーに限定されるものではなく、例えばシクロオレフィンポリマーや種類の異なるArF用ポリマーを2層以上積層した構造を有するものであっても同様の効果を得ることができる。また電子線の照射は、例えばKrFエキシマレーザに対応したKrF用レジスト、EUV(Extreme Ultraviolet:波長13.5nm)に対応したEUV用レジスト若しくは、EB(Electron Beam)露光に対応したEB用レジストのエッチング耐性を向上させる場合にも適用することができる。EB用のレジストの場合は、例えばEB露光装置にてEB用レジストに照射される電子線の加速電圧が例えば数十keVである一方で、本発明に係る半導体製造装置の加速電圧が例えば0.1〜1.8keV程度ある等、露光時とエッチング耐性を向上させる処理時との間でレジストに照射されるエネルギー量が異なり、この差によりレジストのエッチング溶液に対する溶解性が変化する場合等に適用することができる。
【0040】
そしてまた、マルチチャンバシステムの処理モジュールの一つとして電子線照射モジュール2を組み込み、この電子線照射モジュール2にてレジスト膜97のエッチング耐性を向上させた後、真空雰囲気を破らずにエッチングモジュール3a〜3cに搬送してここで反射防止膜96及び被エッチング膜902を含む積層体901をいわば一気にエッチングしている。従って、エッチング時のストライエーション等の不良を抑えることができると共に、電子線の照射という前工程を追加しつつも高スループットでエッチング処理を実行することができる。更に、フォトレジスト膜97、反射防止膜96の下にボトムレジスト膜95と呼ばれる下層レジスト膜を配置した多層レジストを適用して被エッチング膜902をエッチングするにあたり、反射防止膜96をエッチングした後に電子線照射を行うと当該ボトムレジスト膜95のエッチング耐性が少なからず向上することから、反射防止膜96をエッチングする前に電子線を照射することは有効である。
【0041】
なお、本実施の形態においては被エッチング膜902にゲートパターンを形成する場合を例に挙げて説明を行ったが、当該半導体製造装置1で行うことのできる処理はゲートパターンの形成に限定されるものではない。例えば絶縁膜にコンタクトホールを形成するエッチングや配線用のトレンチを形成するエッチング等にも本発明の半導体製造装置1は適用することができる。
【0042】
またコントロールボックス231にウエハW上の特定の領域に照射される電子線の照射量を調節する機能を持たせ、この機能を利用してフォトレジスト膜97のエッチング耐性を向上させる度合いをウエハW面内で変化させてもよい。例えば、ウエハW面内の特定の領域だけフォトレジスト膜97が薄かったり、エッチングモジュール3a〜3c内の特定の領域だけプラズマ密度が高かったりする場合には、フォトレジスト膜97のエッチング耐性を一様に向上させても、その領域だけエッチング不良を生じてしまう場合もある。またこのような不良を生じさせないようにウエハW全体への電子線の照射量を増加させると、エッチング不良を生じない領域にて不要なエネルギーが消費されてしまう。
【0043】
そこで、本実施の形態に係る電子線照射モジュール2では、こうしたエッチング不良を生じる領域にて電子管23をOFFにするタイミングを遅くし、電子線の照射時間を長くすることで他の領域に比べて電子線の照射量を増やしてもよい。この結果、この領域におけるフォトレジスト膜97のエッチング耐性が他の領域に比べて向上し、フォトレジスト膜97が薄かったり、エッチングレートが速かったりすることによるエッチング不良の生じやすい状態が抑制される。
【0044】
照射量を変化させる領域やその照射量等の照射条件は、例えば電子線照射モジュール2内のウエハWがどの塗布装置でフォトレジスト膜97を塗布されたものであるか、また電子線照射モジュール2における処理を終えた後、いずれのエッチングモジュール3a〜3cでエッチングされるものであるか等の情報に基づき、これら塗布装置やエッチングモジュール3a〜3cの装置特性に基づき決定するとよい。装置特性とは例えば各塗布装置におけるフォトレジスト膜97の膜厚のウエハW面内分布やエッチングモジュール3a〜3c夫々のエッチングレートの面内分布等であり、フォトレジスト膜97の薄い領域やエッチングレートの速い領域にて電子線の照射量を増やすことによりエッチング不良の生じやすい状態を抑制するような設定とすることが好ましい。このような電子線の照射条件は、前段の塗布装置や後段のエッチングモジュール3a〜3cに対応させて、例えば制御部4内の記憶手段内に予め記憶しておくとよい。この結果、ウエハW面内全体への電子線照射量を増やす場合と比較してエネルギー消費量が少なくて済む。なお、電子線照射量を調節する手法としては、例えば各電子管23のON/OFFのタイミングを調節する機能をコントロールボックス231に持たせ、特定の電子管23のONとOFFとの間隔を長くしたり短くしたりすることにより、特定の領域に照射される電子線の量(照射量)を増減させる場合等が考えられる。
【0045】
またウエハWへの電子線照射の手法は、図3に示すように電子線照射モジュール2に多数の電子管23を設けてこれらによりウエハW表面全体を照射する場合に限定されない。例えば、横方向へと移動可能に構成された例えば1本の電子管23をウエハWと対向するように設置し、この電子管23を移動させながらW表面に電子線を照射してウエハW全体をスキャンするように構成してもよい。
【0046】
次に第2の実施の形態に係る半導体製造装置1aについて説明する。図6に示すように第2の実施の形態に係る半導体製造装置1aは、トランスファモジュール14に搬入されるウエハWを待機させるロードロック室13の一方側に電子線照射モジュール2aとしての機能を持たせた点、即ち電子線照射モジュール2aの処理容器21をロードロック室13として兼用した点が、処理モジュールの一つとして電子線照射モジュール2を構成した第1の実施の形態とは異なっている。
【0047】
第2の実施の形態に係る電子線照射モジュール2aは例えば図7に示すように第1の実施の形態に係る電子線照射モジュール2とほぼ同様の構成を備えているが、ロードロック室13としての機能を果たすためローダモジュール12、トランスファモジュール14夫々と連通する搬送口214を備え、これらの搬送口214が各々ゲートバルブG1、G2で開閉される点が第1の実施の形態に係る電子線照射モジュール2と異なっている。
【0048】
当該電子線照射モジュール2aによりウエハWへ電子線を照射する動作としては、例えばローダモジュール12よりウエハWがロードロック室13内に搬入されてきた後、電子線照射の実行可能な真空雰囲気に室内雰囲気を切り替えて各電子管23よりウエハWに電子線を照射し、然る後ロードロック室13内をトランスファモジュール14と同程度の真空雰囲気に再調整してからトランスファモジュール14へとウエハWが搬送され、各エッチングモジュール3a〜3dにてエッチングが行われる。なお、図6に示したように2つあるロードロック室13の一方側に電子線照射モジュール2aの機能を持たせた場合には、当該ロードロック室13をトランスファモジュール14へのウエハWの搬入用、もう一方の電子線照射機能を持たないロードロック室13をウエハWの搬出用として使用する運用法等が考えられる。
【0049】
以上に説明した第1、第2の実施の形態においては、マルチチャンバシステムを採用した半導体製造装置1、1aに電子線照射モジュール2、2aを組み込んだ例について説明したが、本発明に係る半導体照射モジュールを適用可能な半導体製造装置はマルチチャンバシステムに限定されるものではない。例えばスタンドアローンタイプのエッチング装置に直接電子線照射モジュールを接続したタイプの半導体製造装置も本発明に含まれる。
【実施例】
【0050】
[実験1]
電子線の照射がフォトレジスト膜97上のマスクパターンに与える影響を確認するため、マスクパターンの形成されたフォトレジスト膜97に電子線を照射する前後における当該マスクパターンの線幅を計測した。実験は熱酸化膜及びポリシリコン膜で覆われたシリコンウエハWの表面に反射防止膜96及びメタクリルポリマーからなるフォトレジスト膜97を積層し、このフォトレジスト膜97に線幅が65nmのトレンチを形成した後、加速電圧を変化させてウエハW表面に電子線を照射した。電子線を照射する前後のトレンチの幅は、加速電圧0.5keV、電流5pAのACD−SEM(Average Critical Dimension-Scanning Electron Microscope)により計測した。
(実施例)
加速電圧を0.2、0.25、0.3、0.5、0.8、1.0、1.2、1.5、1.8keVと変化させてウエハW表面に電子線を照射した。電子線の照射はスキャン方式により行い、スキャン回数は1回とした。
(参照例)
電子線の照射は行わなかった。
【0051】
図8に実験の結果を示す。図8の横軸は電子線の加速電圧[keV]を示し、縦軸は電子線照射後に計測したトレンチの線幅のオリジナルの線幅に対する変化率をパーセント表示した値(以下、正規化CDという)[%]を示している。また図8中、黒丸のプロットが実施例であり、白丸のプロットが参照例である。トレンチの線幅の計測は電子線の照射前後に合計2回行い、参照例(加速電圧0keV)の場合には電子線照射を行わず、線幅の計測を2回連続して行った。正規化CDは、2回目の計測結果に基づいて算出した。図中の破線は参照例の正規化CDを示し、一点鎖線は当該参照例の正規化CDからプラスマイナス1%の範囲を示している。
【0052】
図8に示した結果によれば、加速電圧が0.1〜1.8keVの電子線を照射した実施例においてはトレンチの線幅が1.0〜2.5%程度縮まっている。一方、電子線の照射を行わなかった参照例においても、トレンチの線幅は2%弱縮んでいる。これは、電子線の照射の有無にかかわらず、1回目のACD−SEMによる線幅の計測時に加速電圧0.5keVの電子線が照射された影響でトレンチの線幅が縮んだ後は、さらにその後、加速電圧0.1〜1.8keVの範囲で電子線を照射してもトレンチの線幅にはプラスマイナス1%程度の影響しか与えないことを意味している。すなわち、加速電圧が0.1〜1.8keVの範囲で電子線を照射することによりマスクパターンに与える影響は、従来ACD−SEMを用いて当該マスクパターンの線幅を計測していたことによる影響と殆ど変わりがないといえる。なお、0.8keVの電子線を照射した結果において、プラスマイナス1%を超えた線幅の縮みが観察されたが、これは測定誤差の影響によるものと考えられる。
【0053】
[実験2]
フォトレジスト膜97に電子線を照射することによるエッチング耐性向上の影響を確認するため、フォトレジスト膜97に電子線を照射した場合と照射しない場合とにおいて当該フォトレジスト膜97のエッチングレートを計測した。実験には反射防止膜96の上層にメタクリルポリマーからなるフォトレジスト膜97(マスクパターンなし)を積層したシリコンウエハWを用いた。フォトレジスト膜97のエッチングは、処理容器31内に200sccmのCFガスを供給し上部電極33、下部電極321に夫々750Wの高周波電圧を印加して行った。
(実施例)
ウエハWに加速電圧1.5keVの電子線をスキャン方式で照射し、16回のスキャンを行った。
(参照例)
電子線の照射は行わなかった。
【0054】
図9に実験の結果を示す。図9の横軸はエッチング深さ(nm)を示し、縦軸はそのエッチング深さにおけるエッチング速度(nm/min)を示している。また図9中、黒丸のプロットが実施例であり、白丸のプロットが参照例である。
【0055】
図9に示した結果によれば、電子線を照射した実施例においてはエッチング深さが30nmまでのフォトレジスト膜97表面の近傍領域において、電子線を照射しなかった参照例と比較してエッチングレートが低くなり、フォトレジスト膜97のエッチング耐性が向上している。これは、電子線の吸収されたフォトレジスト膜97の表面近傍の領域にてポリマー中の保護基がポリマーから脱離し、新たな架橋構造が形成されたことによる効果であると考えられる。このことは、実施例に係るフォトレジスト膜97のポリマー構造を深さ方向にTOF-SIMS(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)やFTIR(Fourier transform infrared spectroscopy)によって別途分析した結果、フォトレジスト膜97表面より30nmの深さ領域、即ちエッチングレートが小さくなった領域において保護基が少なくなっていた事実からも裏付けられている。なお反射防止膜96については、実施例、参照例いずれの場合もエッチングレートは殆ど同じであった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施の形態に係る基板処理装置の平面図である。
【図2】前記基板処理装置に搭載されている電子線照射モジュールの縦断面図である。
【図3】前記電子線照射モジュールに搭載されている電子管の配置状態を示す平面図である。
【図4】前記基板処理装置に搭載されているエッチングモジュール縦断面図である。
【図5】実施の形態に係る半導体装置の製造プロセスの説明図である。
【図6】第2の実施の形態に係る基板処理装置の平面図である。
【図7】上記第2の実施の形態に係る電子線照射モジュールの縦断面図である。
【図8】フォトレジスト膜への電子線の照射がマスクパターンの線幅に与える影響を示した特性図である。
【図9】フォトレジスト膜への電子線の照射が当該フォトレジスト膜のエッチングレートに与える影響を示した特性図である。
【符号の説明】
【0057】
W ウエハ
1、1a
半導体製造装置
11 ロードポート
12 ローダモジュール
13 ロードロック室
14 トランスファモジュール
141 第2の基板搬送手段
2、2a
電子線照射モジュール
21 処理容器
22 載置台
23 電子管
231 コントロールボックス
232 加速電源
3、3a〜3d
エッチングモジュール
31 処理容器
32 載置台
33 上部電極
321 下部電極
4 制御部
91 シリコン基板
92 下側絶縁膜
93 ゲート電極膜
94 上側絶縁膜
95 ボトムレジスト膜
96 反射防止膜
97 フォトレジスト膜
901 積層体
902 被エッチング膜
903 ホール
971 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジスト膜からなるパターンマスク、反射防止膜及び被エッチング膜が上からこの順に積層された積層体を備えた被処理基板を、気密な第1の処理容器内に搬入する工程と、
前記第1の処理容器内にて、真空雰囲気下で、前記レジスト膜のエッチング耐性を向上させるが前記反射防止膜にはエッチング耐性を与えない程度のエネルギーで被処理基板の表面に対して電子線を照射する工程と、
その後、前記被処理基板を前記第1の処理容器より、気密な第2の処理容器内に搬送し、この第2の処理容器内にて前記レジスト膜からなるパターンマスクを介して前記反射防止膜及び被エッチング膜をエッチングする工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記電子線は電子銃または中和銃より照射されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記レジスト膜は、ArF用レジスト膜、KrF用レジスト膜、EUV用レジスト膜及びEB用レジスト膜からなるレジスト膜群から選択されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記レジスト膜に照射される電子線を加速する加速電圧が0.1keV以上、1.8keV以下の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記反射防止膜は、芳香族系ポリマーであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
パターンマスクを構成するレジスト膜、反射防止膜及び被エッチング膜が上からこの順に積層された被処理基板に対して処理を行う半導体製造装置において、
基板搬送手段が設けられ、真空雰囲気で被処理基板を搬送する真空搬送室と、
この真空搬送室に気密に接続され、被処理基板を載置する載置台が設けられた処理容器と、前記載置台に載置された被処理基板に対して、レジスト膜の耐エッチング性を向上させるが、前記反射防止膜には耐エッチング性を与えない程度のエネルギーで電子線を照射する電子線照射手段と、を含む電子線照射モジュールと、
前記真空搬送室に気密に接続され、被処理基板を載置する載置台が設けられた処理容器と、前記載置台に載置された被処理基板に対してプラズマによりエッチングを行うための手段と、を備えたエッチングモジュールと、
前記電子線照射モジュールにて電子線が照射された被処理基板を、前記基板搬送手段を介して前記エッチングモジュールに搬入し、当該エッチングモジュールにて、被処理基板上の前記反射防止膜及び被エッチング膜をプラズマによりエッチングするように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項7】
大気雰囲気と前記真空搬送室との間で被処理基板を搬送するときに一旦被処理基板が搬入されるロードロック室と、このロードロック室内の雰囲気を大気雰囲気と真空雰囲気との間で切り替える手段と、を備えたロードロックモジュールが設けられ、
前記電子線照射モジュールの処理容器は前記ロードロック室を兼用していることを特徴とする請求項6に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
前記レジスト膜は、ArF用レジスト膜、KrF用レジスト膜、EUV用レジスト膜及びEB用レジスト膜からなるレジスト膜群から選択されたものであることを特徴とする請求項6または7に記載の半導体製造装置。
【請求項9】
前記電子線照射手段により、前記レジスト膜に照射される電子線の加速電圧が0.1keV以上、1.8keV以下の範囲内であることを特徴とする請求項8に記載の半導体製造装置。
【請求項10】
前記反射防止膜は、芳香族系ポリマーであることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか一つに記載の半導体製造装置。
【請求項11】
半導体製造装置に用いられ、コンピュータ上で動作するプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは請求項1ないし5のいずれか一つに記載された半導体装置の製造方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−88225(P2009−88225A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255711(P2007−255711)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】