説明

半導体装置の製造方法及び半導体装置

【課題】SiOH、SiCOH、又は有機ポリマーを絶縁膜として使用した場合に、導電パターンの表層に酸化層が残ることを抑制でき、絶縁膜の表層の比誘電率が上昇することを抑制でき、かつ絶縁膜と拡散防止膜の密着性が低下することを抑制できる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】この半導体装置の製造方法は、SiOH、SiCOH、又は有機ポリマーからなる絶縁膜100に、導電パターン200を埋め込む工程と、絶縁膜100及び導電パターン200の表面を、炭化水素ガスを処理ガスに含むプラズマで処理する工程と、上記した処理ガスに、Si含有ガスを徐々に又は段階的に添加量を増大しながら添加してプラズマCVDを行うことにより、絶縁膜100上及び導電パターン200上に、SiCH膜、SiCHN膜、SiCHO膜、またはSiCHON膜からなる拡散防止膜302を形成する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁膜及び導電パターン上に拡散防止膜を形成する半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の配線材料として銅が用いられるようになっている。銅配線は絶縁膜中に埋め込まれる形で形成される。半導体装置の配線材料として銅を用いる場合、銅が銅配線の上層に拡散することを抑制するために、銅配線上に拡散防止膜を設ける必要がある。拡散防止膜を銅配線上に設ける場合、銅配線と拡散防止膜の密着性、及び銅配線が埋め込まれている絶縁膜と拡散防止膜の密着性を確保する必要がある。
【0003】
特許文献1には、銅の層上に無機バリア膜を形成する前に、銅の層を還元プラズマと炭素含有プラズマに暴露することが記載されている。これにより、無機バリア膜と銅の層との密着性が向上する、と記載されている。
【0004】
また、半導体装置の微細化に伴い、配線間容量を低減させる必要が出てきている。配線間容量を低減させるためには、配線が埋め込まれる絶縁膜の比誘電率を下げることが効果的である。比誘電率の低い絶縁膜としては、SiOH膜、SiCOH膜、及び有機ポリマー膜がある。
【特許文献1】特開2002−203899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
絶縁膜中に銅パターンなどの導電パターンを埋め込む工程には、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)工程が含まれる。CMP工程では導電パターンを酸化しつつ物理的に研磨するため、CMP後の導電パターンの表層には酸化層が残る。酸化層が残ると、導電パターンのエレクトロマイグレーション特性が劣化する。また、絶縁膜としてSiOH膜、SiCOH膜、及び有機ポリマー膜を用いた場合、絶縁膜の表層がCMP工程において酸化し、絶縁膜の表層の比誘電率が上昇してしまう。
【0006】
導電パターンの表層の酸化層を除去する方法としては、銅パターンの表層を還元雰囲気に曝露することが考えられる。しかし、本発明者らが検討した結果、この方法を採用すると、絶縁膜の表層も還元雰囲気に曝露されてしまい、絶縁膜の表層の比誘電率がさらに上昇することが判明した。
【0007】
また本発明者らが検討した結果、絶縁膜の表層の比誘電率が上昇した場合、絶縁膜の表層を炭素含有ガスのプラズマで処理すると、表層の比誘電率が低下することが判明した。しかし、絶縁膜の表層を炭素含有プラズマで処理すると、絶縁膜と拡散防止膜の密着性が低下することも判明した。
【0008】
このように、SiOH、SiCOH、又は有機ポリマーを絶縁膜として使用した場合に、導電パターンの表層に酸化層が残ることを抑制し、絶縁膜の表層の比誘電率が上昇することを抑制し、かつ絶縁膜と拡散防止膜の密着性が低下することを抑制することは難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、SiOH、SiCOH、又は有機ポリマーからなる絶縁膜に、導電パターンを埋め込む埋込工程と、
前記絶縁膜及び前記導電パターンの表面を、炭化水素ガスを処理ガスに含むプラズマで処理する第1表面処理工程と、
前記処理ガスに、Si含有ガスを徐々に又は段階的に添加量を増大しながら添加してプラズマCVDを行うことにより、前記絶縁膜上及び前記導電パターン上に、SiCH膜、SiCHN膜、SiCHO膜、またはSiCHON膜からなる拡散防止膜を形成する膜形成工程と、
を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0010】
この半導体装置の製造方法によれば、第1表面処理工程において、導電パターンの表層に活性化した水素を供給することができる。従って、埋込工程において導電パターンの表層に酸化層が形成されている場合においても、第1表面処理工程において酸化層を還元することができる。また、第1表面処理工程において、絶縁膜の表層に形成された劣化層を、活性化した炭素により改質することができる。従って、埋込工程において絶縁膜の表層の比誘電率が上昇していた場合でも、絶縁膜の表層の比誘電率を低下させることができる。なお、この第1表面処理工程において、絶縁膜上及び導電パターン上にCH膜又はCHN膜が形成されることがある。
【0011】
一方、膜形成工程において、炭化水素ガスを含む処理ガスに対してSi含有ガスを徐々に又は段階的に添加量を増大させる。このため、拡散防止膜は、上に行くに従って、徐々にまたは段階的にSiの濃度が高くなる。従って、第1表面処理工程において絶縁膜上及び導電パターン上にCH膜又はCHN膜が形成されている場合であっても、CH膜又はCHN膜と拡散防止膜の密着性が低下することを抑制できる。
【0012】
このように、本発明によれば、SiOH、SiCOH、又は有機ポリマーを絶縁膜として使用した場合に、導電パターンの表層に酸化層が残ることを抑制でき、絶縁膜の表層の比誘電率が上昇することを抑制でき、かつ絶縁膜と拡散防止膜の密着性が低下することを抑制できる。
【0013】
本発明によれば、SiOH、SiCOH、又は有機ポリマーからなる絶縁膜と、
前記絶縁膜に埋め込まれた導電パターンと、
前記絶縁膜上及び前記導電パターン上に位置し、SiCH膜、SiCHN膜、SiCHO膜、またはSiCHON膜からなる拡散防止膜と、
を備え、
前記拡散防止膜は、上に行くに従って、徐々にまたは段階的にSiの濃度が高くなる半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、SiOH、SiCOH、又は有機ポリマーを絶縁膜として使用した場合に、導電パターンの表層に酸化層が残ることを抑制でき、絶縁膜の表層の比誘電率が上昇することを抑制でき、かつ絶縁膜と拡散防止膜の密着性が低下することを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
図1及び図2の各図は、第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。この半導体装置の製造方法は、埋込工程、第1表面処理工程、及び膜形成工程を備える。埋込工程は、SiOH、SiCOH、又は有機ポリマーからなる絶縁膜100に、導電パターン200を埋め込む工程である。第1表面処理工程は、絶縁膜100及び導電パターン200の表面を、炭化水素ガスを処理ガスに含むプラズマで処理する工程である。膜形成工程は、上記した処理ガスに、Si含有ガスを徐々に又は段階的に添加量を増大しながら添加してプラズマCVDを行うことにより、絶縁膜100上及び導電パターン200上に、SiCH膜、SiCHN膜、SiCHO膜、またはSiCHON膜からなる拡散防止膜302を形成する工程である。以下、詳細に説明する。
【0017】
まず図1(a)に示すように、SiOH、SiCOH、又は有機ポリマーからなる絶縁膜100を形成する。絶縁膜100は、複数の空孔(直径は例えば10nm以下)を有するポーラス膜であってもよい。また絶縁膜の比誘電率は、2.7以下である。絶縁膜100を形成する有機ポリマーとしては、商品名「Silk」(ダウ・ケミカル社)を用いることができる。
【0018】
次いで、絶縁膜100上に酸化シリコン膜(図示せず)を形成し、酸化シリコン膜及び絶縁膜100を選択的にエッチングする。これにより、絶縁膜100には溝が形成される。
【0019】
次いで、この溝内及び絶縁膜100上の酸化シリコン膜上に、拡散防止膜204を例えばスパッタリング法により形成する。拡散防止膜204は、例えばタンタル膜である。次いで、拡散防止膜204上に導電膜を、例えばスパッタリング法によるシード膜(例えばCuシード膜)形成及び電界メッキをこの順に行うことにより形成し、さらに絶縁膜100上に位置する導電膜、拡散防止膜204、及び酸化シリコン膜をCMP法により除去する。これにより、絶縁膜100には拡散防止膜204及び導電パターン200が埋め込まれる。導電パターン200は、例えば銅配線である。導電パターン200が銅配線である場合、隣接する銅配線は、例えば相互間隔が75nm以下、中心間距離が150nm以下である。
【0020】
このCMP工程において、導電パターン200の表層には酸化層202(例えばCuO層)が形成される。また絶縁膜100の表層もCMP法により削られるため、絶縁膜100の表層にも、比誘電率が高い劣化層102が形成される。絶縁膜100がSiCOH膜である場合、劣化層102は、例えば表層のメチル基が破壊されてSi−OH結合又はSiのダングリングボンド結合が生成することにより生じる。また絶縁膜100がSiOH層である場合、劣化層102は、例えばSiのダングリングボンド結合が生成することにより生じる。また絶縁膜100が有機ポリマー層である場合、劣化層102はほとんど昇華してしまうが、表層にCのダングリングボンド結合が残る。
【0021】
次いで、図1(b)に示すように、絶縁膜100の表面及び導電パターン200の表面を、炭化水素ガスを処理ガスに含むプラズマで処理する。炭化水素ガスは、たとえばエテン(エチレン)であるが、他の炭化水素ガス(例えばCH又はCなど)であってもよい。また処理ガスは、炭化水素ガス100%であってもよいし、炭化水素ガスのほかに、キャリアガスとしてのHeを50体積%以上99体積%以下含んでいても良い。
【0022】
上記したプラズマには、活性化した水素(水素イオンや水素ラジカルなど)及び活性化した炭素(炭素イオンや炭素ラジカルなど)が含まれる。このため、導電パターン200の表層に形成された酸化層202は、活性化した水素によって還元され、また炭素が導入されるため、炭素含有Cu層206になる。また、絶縁膜100の表層に形成された劣化層102のSi−OH結合やSiダングリングボンド結合は、活性化した炭素及び水素によってSi−CH結合になり、劣化層102が改質される。
【0023】
またこの処理において、絶縁膜100の表面及び導電パターン200の表面には、CH膜300が形成されることがある。CH膜300の厚さは、例えば1nm以上10nm以下である。CH膜300において、例えばCはHに対して原子数で25%以下である。また導電パターン200の表層にはCが導入される。
【0024】
次いで図2(a)に示すように、上記した処理ガスにSi含有ガスを徐々に又は段階的に添加量を増大しながら添加してプラズマCVDを行う。Si含有ガスは、例えばトリメチルシランガスであるが、他のガス(例えばテトラメチルシラン、ジメチルシラン、モノメチルシラン、テトラビニルシラン、トリビニルモノメチルシラン、トリメチルシラン、ジビニルシラン、ジビニルジメチルシラン、モノビニルトリメチルシラン、モノビニルシラン、モノシラン、トリメチルフエニルシラン、ジメチルジフエニルシラン、フェニルシラン、ジフエノルジシランなど)であってもよい。またSi含有ガスの添加を開始するとき、プラズマを一度落としても良いが、プラズマを維持したままであってもよい。これにより、CH膜300上に、SiCH膜、SiCHN膜、SiCHO膜、またはSiCHON膜である拡散防止膜302が形成される。プラズマを維持したままSi含有ガスの添加を開始する場合、拡散防止膜302がCH膜300と連続するように形成される。拡散防止膜302の厚さは、例えば5nm以上50nm以下である。また拡散防止膜302は、上に行くに従って、徐々にまたは段階的にSiの濃度が高くなる。なお、拡散防止膜302におけるSiの濃度は、例えば平均で5atomic%以上30atomic%以下である。
【0025】
次いで図2(b)に示すように、拡散防止膜302の上に、絶縁膜104を形成する。絶縁膜104は、例えば層間絶縁膜であり、例えばSiOH、SiCOH、又は有機ポリマーからなる。絶縁膜104はポーラス膜であってもよく、また比誘電率が2.7以下であってもよい。
【0026】
このようにして形成される半導体装置は、絶縁膜100、導電パターン200、及び拡散防止膜302を有する。導電パターン200は絶縁膜100に埋め込まれており、拡散防止膜302は絶縁膜100上及び導電パターン200上に位置する。拡散防止膜302は、上に行くに従って、徐々にまたは段階的にSiの濃度が高くなる。また、絶縁膜100及び導電パターン200と、拡散防止膜302の間には、CH膜300が位置する。
【0027】
図3は、CH膜300と拡散防止膜302の積層膜(又は連続膜)におけるSi濃度の膜厚方向依存を模式的に示す図である。CH膜300にはSiは含まれていない。また拡散防止膜302は、CH膜300との界面においてはSiがほとんど含まれていない。そして拡散防止膜302は、CH膜300との界面から離れるに従って(膜厚方向の位置が正の方向に大きくなるに従って)、徐々にまたは段階的にSiの濃度が高くなる。
【0028】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態は、絶縁膜100及び導電パターン200の表面を、炭化水素ガスを処理ガスに含むプラズマで処理する工程を有する。このため、導電パターン200の表層に形成された酸化層202は、活性化した水素によって還元される。
【0029】
また絶縁膜100の表層に形成された劣化層102のSi−OH結合やSiダングリングボンド結合は、活性化した炭素及び水素によってSi−CH結合になる。これにより、劣化層102が改質される。従って、絶縁膜100の表層の比誘電率が上昇することを抑制できる。また、絶縁膜100に複数の導電パターン200が形成されている場合において、これら導電パターン200相互間におけるTDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)特性が劣化することを抑制できる。
【0030】
また、拡散防止膜302を形成する工程において、上記した炭化水素ガスを含む処理ガスに、Si含有ガスを徐々に又は段階的に添加量を増大しながら添加している。このため、拡散防止膜302は、上に行くに従って、徐々にまたは段階的にSiの濃度が高くなる。従って、絶縁膜100及び導電パターン200の表面にCH膜300が形成されていても、絶縁膜100と拡散防止膜302の密着性が低下することを抑制できる。
【0031】
このように、本実施形態によれば、SiOH、SiCOH、又は有機ポリマーを絶縁膜100として使用した場合に、導電パターン200の表層に酸化層が残ることを抑制でき、絶縁膜100の表層の比誘電率が上昇することを抑制でき、かつ絶縁膜100と拡散防止膜302の密着性が低下することを抑制できる。従って、半導体装置の信頼性が向上する。この効果は、拡散防止膜302をCH膜300と連続するように形成した場合、特に顕著になる。
【0032】
また絶縁膜100と拡散防止膜302の密着性が低下すると、絶縁膜100と拡散防止膜302の隙間から水分が浸入することがある。絶縁膜100がポーラス膜である場合、絶縁膜100がこの水分を吸着し、絶縁膜100の耐圧が下がり、かつ絶縁膜100と同層における配線間容量が増大してしまう。本実施形態によれば、上記したように、絶縁膜100と拡散防止膜302の密着性が低下することを抑制できるため、このような問題が生じることを抑制できる。
【0033】
また、導電パターン200の表層にCが導入されているため、導電パターン200の表面に酸素が拡散してきても、この酸素は優先的に炭素と反応するため、導電パターン200の表層に酸化層が形成されることを抑制できる。このため、導電パターン200のエレクトロマイグレーション特性が向上する。
【0034】
図4は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、絶縁膜100に、導電パターン200を埋め込む埋込工程と、絶縁膜100及び導電パターン200の表面を、炭化水素ガスを処理ガスに含むプラズマで処理する第1表面処理工程の間に、第2表面処理工程を備える点を除いて、第1の実施形態と同様である。第2表面処理工程は、絶縁膜100及び導電パターン200の表面を還元プラズマで処理する工程である。還元プラズマは、例えばアンモニアを処理ガスに含むプラズマであるが、水素を処理ガスに含むプラズマであってもよい。
【0035】
本実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2表面処理工程において、導電パターン200の表層に形成された酸化層202を短い時間で還元することができる、また第2表面処理工程において絶縁膜100の表層の劣化層102の比誘電率がさらに上昇しても、第1表面処理工程において劣化層102を改質して、絶縁膜100の表層の比誘電率が上昇することを抑制できる。
【0036】
図5は、第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。この半導体装置は、トランジスタ20が形成された基板10上に、層間絶縁膜30及び絶縁層110を形成し、さらに絶縁層120,130,140,150をこの順に積層させた構成である。
【0037】
絶縁層110は、例えば酸化シリコン膜であるが、第1の実施形態又は第2の実施形態における絶縁膜100と同様の構成であってもよい。絶縁層110には、導電パターン210が埋め込まれている。導電パターン210の構成は、第1の実施形態又は第2の実施形態における導電パターン200と同様の構成である。導電パターン210は、例えば層間絶縁膜30に埋め込まれたコンタクトを介して、トランジスタ20に接続している。
【0038】
絶縁層120,130,140は、第1の実施形態又は第2の実施形態における絶縁膜100と同様の構成であり、それぞれ導電パターン220,230,240が埋め込まれている。導電パターン220,230,240の構成は、第1の実施形態又は第2の実施形態における導電パターン200の構成と同様であり、導電パターン200と同様脳方法により形成される。なお導電パターン220,230,240と絶縁層120,130,140の間には、第1の実施形態における拡散防止膜204と同様の構成を有する拡散防止膜(図示せず)が設けられている。
【0039】
また絶縁層110と絶縁層120の間には、CH膜310と拡散防止膜312がこの順に積層している。同様に、絶縁層120と絶縁層130の間、絶縁層130と絶縁層140の間、及び絶縁層140と絶縁層150の間にも、それぞれCH膜320と拡散防止膜322、CH膜330と拡散防止膜332、CH膜340と拡散防止膜342が積層している。これらの積層膜の構成は、第1の実施形態におけるCH膜300と拡散防止膜302の積層膜の構成と同様であり、また形成方法も、CH膜300と拡散防止膜302の積層膜の形成方法と同様である。
【0040】
本実施形態によっても、第1の実施形態又は第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。例えば上記した各実施形態において、絶縁膜100及び導電パターン200と拡散防止膜302の間にCH膜300を形成したが、CH膜300を形成しなくても良い。
【0042】
また、図1(b)に示した工程において、処理ガスに窒素含有ガス(例えばNHやNなど)を添加しても良い。この場合、絶縁膜100の表面及び導電パターン200の表面には、CH膜300の代わりにCHN膜が形成される。この場合においても、上記した効果を得ることができる。また、CHN膜の耐圧はCH膜300より高いため、上下に位置する配線間の耐圧が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】CH膜と拡散防止膜の積層膜(又は連続膜)におけるSi濃度の膜厚方向依存を模式的に示す図である。
【図4】第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5】第3の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
10 基板
20 トランジスタ
30 層間絶縁膜
100 絶縁膜
102 劣化層
104 絶縁膜
110 絶縁層
120 絶縁層
130 絶縁層
140 絶縁層
150 絶縁層
200 導電パターン
202 酸化層
204 拡散防止膜
206 炭素含有Cu層
210 導電パターン
240 導電パターン
300 CH膜
302 拡散防止膜
310 CH膜
312 拡散防止膜
320 CH膜
322 拡散防止膜
330 CH膜
332 拡散防止膜
340 CH膜
342 拡散防止膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiOH、SiCOH、又は有機ポリマーからなる絶縁膜に、導電パターンを埋め込む埋込工程と、
前記絶縁膜及び前記導電パターンの表面を、炭化水素ガスを処理ガスに含むプラズマで処理する第1表面処理工程と、
前記処理ガスに、Si含有ガスを徐々に又は段階的に添加量を増大しながら添加してプラズマCVDを行うことにより、前記絶縁膜上及び前記導電パターン上に、SiCH膜、SiCHN膜、SiCHO膜、またはSiCHON膜からなる拡散防止膜を形成する膜形成工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記絶縁膜は複数の空孔を有するポーラス膜である半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記絶縁膜の比誘電率は2.7以下である半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1表面処理工程において、前記絶縁膜及び前記導電パターンの表面にCH膜又はCHN膜が形成される半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記膜形成工程において、前記拡散防止膜を前記CH膜又はCHN膜と連続するように形成する半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記膜形成工程は、前記第1表面処理工程における前記プラズマを維持したまま前記Si含有ガスの添加を開始することにより行われる半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記拡散防止膜は、上に行くに従って、徐々にまたは段階的にSiの濃度が高くなる半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記埋込工程と、前記第1表面処理工程の間に、前記絶縁膜及び前記導電パターンの表面を還元プラズマで処理する第2表面処理工程を備える半導体装置の製造方法。
【請求項9】
SiOH、SiCOH、又は有機ポリマーからなる絶縁膜と、
前記絶縁膜に埋め込まれた導電パターンと、
前記絶縁膜上及び前記導電パターン上に位置し、SiCH膜、SiCHN膜、SiCHO膜、またはSiCHON膜からなる拡散防止膜と、
を備え、
前記拡散防止膜は、上に行くに従って、徐々にまたは段階的にSiの濃度が高くなる半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記絶縁膜及び前記導電パターンと、前記拡散防止膜の間に、CH膜又はCHN膜を備える半導体装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の半導体装置において、
前記絶縁膜は複数の空孔を有するポーラス膜である半導体装置。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか一つに記載の半導体装置において、
前記絶縁膜は比誘電率が2.7以下である半導体装置。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか一つに記載の半導体装置において、
前記導電パターンは、表層にCを含有する半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−118513(P2010−118513A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290977(P2008−290977)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】