説明

半導体装置の製造方法及び半導体装置

【課題】接続孔の内壁に絶縁膜を形成することにより、接続孔の径を小さくする場合において、接続孔内に導電膜を十分に埋め込むことができるようにする。
【解決手段】接続孔210,220の内壁上に絶縁性の第1膜300を形成し、接続孔210,220の径を細らせる。次いで、第1膜300が形成された接続孔210,220内に、第2膜50を埋め込む。次いで、絶縁膜200の表層を、CMP法を用いて除去する。次いで、接続孔210,220から第2膜50を除去する。次いで、接続孔210,220の第1膜300上および接続孔210,220の底面上にバリアメタル膜330を形成し、さらに接続孔210,220内に導電膜からなるコンタクト310,320を埋め込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビア又はコンタクトを有する半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の微細化が進んでおり、その結果、ビア又はコンタクトの径を、フォトリソグラフィーで解像できない程度に小さくする必要性が出てきている。これに対して特許文献1には、以下の技術が記載されている。
【0003】
まず、絶縁膜上にシリコン膜及びレジストパターンを形成する。次いで、レジストパターンをマスクとしてシリコン膜をエッチングする。これにより、シリコン膜には、接続孔を形成するための開口が形成される。次いで、シリコン膜上にシリコンを選択的に成長させる。これにより、開口の内壁にもシリコンが形成され、この結果、開口の径は小さくなる。次いで、シリコン膜をマスクとして絶縁膜をエッチングする。これにより、絶縁膜には接続孔が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−242273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法は、マスクパターンの開口を小さくすることにより、コンタクトの径を小さくしている。しかし、接続孔の内壁に絶縁膜を形成することにより、接続孔の径を小さくするほうが好ましい場合もある。本発明者が検討した結果、接続孔の内壁に絶縁膜を形成することにより、接続孔の径を小さくする場合、以下の問題が生じることが判明した。
【0006】
図5(a) に示すように、絶縁膜500の接続孔510の内壁に絶縁膜512を形成する場合、絶縁膜500の上及び接続孔510の内壁の双方に、絶縁膜512が形成される。このため、絶縁膜500上の絶縁膜512を除去する必要がある。しかしこの除去工程において、接続孔510の内壁上に位置する絶縁膜512の上端は丸まってしまう。
【0007】
一方、図5(b)に示すように、接続孔510に導電膜を埋め込んでビアやコンタクトを形成する場合、接続孔510の内壁及び底面にバリアメタル膜520を形成する必要がある。しかし図5(a)に示したように絶縁膜512の上端が丸まってしまっている場合、接続孔510の上端においてバリアメタル膜520が厚くなってしまい、接続孔510の上端の径が、それより下側に位置する部分よりも小さくなってしまう。この場合、接続孔510内に導電膜が十分に埋め込まれず、ボイドが発生してしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、絶縁膜に接続孔を形成する工程と、
前記接続孔の内壁上に絶縁性の第1膜を形成し、前記接続孔の径を細らせる工程と、
前記第1膜が形成された前記接続孔内に、第2膜を埋め込む工程と、
前記絶縁膜の表層を、CMP法を用いて除去する工程と、
前記接続孔から前記第2膜を除去する工程と、
前記接続孔の前記第1膜上および前記接続孔の底面上にバリアメタル膜を形成する工程と、
前記接続孔内に導電膜を埋め込む工程と、
を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0009】
本発明によれば、接続孔の内壁には第1膜が形成されているため、接続孔の径が小さくなっている。上記したように、接続孔の内壁に第1膜を形成する工程において、第1膜の上端が丸まってしまう可能性がある。しかし本発明では、接続孔の第1膜上にバリアメタル膜を形成する前に、絶縁膜の表層及び第1膜の上端を、CMP法を用いて除去している。このため、第1膜のうち丸まっている部分は除去される。またこの除去工程において、接続孔内には第2膜が埋め込まれているため、CMP処理において第1膜の上端が丸まることを抑制できる。従って、接続孔に導電膜を埋め込むときにボイドが発生することを抑制できる。
【0010】
本発明によれば、絶縁膜と、
前記絶縁膜に形成された接続孔と、
前記接続孔の内壁に形成され、前記接続孔の径を小さくしている絶縁性の第1膜と、
前記接続孔に埋め込まれた導電膜と、
を備える半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、接続孔の内壁に絶縁膜を形成することにより、接続孔の径を小さくする場合において、接続孔内に導電膜を十分に埋め込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図2】実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】課題を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
図1〜図4は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。この半導体装置の製造方法は、以下の工程を有する。まず、絶縁膜200に接続孔210,220を形成する。次いで、接続孔210,220の内壁上に絶縁性の第1膜300を形成し、接続孔210,220の径を細らせる。次いで、第1膜300が形成された接続孔210,220内に、第2膜50を埋め込む。次いで、絶縁膜200の表層を、CMP法を用いて除去する。次いで、接続孔210,220から第2膜50を除去する。次いで、接続孔210,220の第1膜300上および接続孔210,220の底面上にバリアメタル膜330を形成し、さらに接続孔210,220内に導電膜からなるコンタクト310,320を埋め込む。なお、各断面図において、左側の図はトランジスタを示しており、右側の図はトランジスタのゲート電極110が素子分離膜20上に延伸している部分を示している。以下、詳細に説明する。
【0015】
まず図1(a)に示すように、シリコン基板などの半導体基板10に、素子分離膜20及びトランジスタを形成する。このトランジスタは、ゲート絶縁膜130、ゲート電極110、並びにソース及びドレインとなる拡散領域120を有している。なおこのトランジスタは、図示していないが、サイドウォール、並びにソース及びドレインのエクステンション領域を有している。ゲート電極110は、トランジスタが形成されている領域から、その周囲に位置している素子分離膜20上まで延伸している。
【0016】
次いで、素子分離膜20上およびトランジスタ上に、エッチングストッパー膜202を形成する。エッチングストッパー膜202は、例えば窒化シリコン膜である。次いで、エッチングストッパー膜202上に絶縁膜200を形成する。絶縁膜200は、例えば酸化シリコン膜、またはSiCOHなど酸化シリコン膜より誘電率が低い膜である。次いで絶縁膜200上にマスクパターン(図示せず)を形成し、このマスクパターンをマスクとして絶縁膜200をドライエッチングする。マスクパターンは、例えばレジストパターンである。エッチングガスとしては、例えばCFとOの混合ガスを用いる。このとき、エッチングストッパー膜202はエッチングストッパーとして機能する。これにより、絶縁膜200には接続孔210,220が形成される。接続孔210は、素子分離膜20上に位置するゲート電極110上に位置しており、接続孔220は、拡散領域120上に位置している。ただし接続孔210,220は、いずれもエッチングストッパー膜202を貫通していない。
【0017】
次いで図1(b)に示すように、絶縁膜200上、接続孔210,220の内壁上、及び接続孔210,220の底面上に、第1膜300を形成する。第1膜300は、例えばNSGなどの酸化シリコン膜であり、例えばCVD法により形成される。第1膜300が形成されることにより、接続孔210,220の径は小さくなる。そして第1膜300の膜厚を調節することにより、接続孔210,220の径を調節することができる。
【0018】
次いで図2(a)に示すように、絶縁膜200上及び接続孔210,220の底面上に位置する第1膜300をエッチバックする。これにより、第1膜300は接続孔210,220の内壁にのみ形成される。なおこの工程において、第1膜300のうち接続孔210,220の内壁の上端に位置する部分も少しエッチングされ、丸くなる。
【0019】
次いで図2(b)に示すように、接続孔210,220内及び絶縁膜200上に、第2膜50を形成する。第2膜50は、例えばレジスト膜などの有機膜である。
【0020】
次いで図3(a)に示すように、絶縁膜200上に位置する第2膜50、及び絶縁膜200の表層をCMP法により除去する。この工程において、接続孔210,220内に位置する第1膜300のうち、丸まっている部分は除去される。またこのCMP工程において、接続孔210,220内には第2膜50が充填されている。このため、このCMP工程において第1膜300の上端は丸まりにくい。
【0021】
その後、図3(b)に示すように、第2膜50を除去する。第2膜50が有機膜である場合、第2膜50は、例えば酸素プラズマを用いて除去される。次いで、接続孔210,220の底面に位置するエッチングストッパー膜202を、ドライエッチングにより除去する。エッチングガスとしては、例えばCHFとOの混合ガスを用いる。
【0022】
次いで図4(a)に示すように、接続孔210,220の内壁及び底面上、並びに絶縁膜200上に、バリアメタル膜330をスパッタリング法により形成する。バリアメタル膜は、例えばTi/TiN膜である。
【0023】
次いで図4(b)に示すように、バリアメタル膜330上に導電膜、例えばタングステンなどの金属膜を形成し、接続孔210,220内を導電膜で充填する。次いで、絶縁膜200上に位置する導電膜及びバリアメタル膜330をCMP法により除去する。これにより、接続孔210,220内にはコンタクト310,320が埋め込まれる。
【0024】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態によれば、接続孔210,220の内壁には第1膜300が形成されているため、接続孔210,220の径を小さくすることができる。ここで、絶縁膜200上に位置する第1膜300を除去する工程において、第1膜300の上端が丸まってしまう可能性がある。しかし本実施形態では、接続孔210,220の内壁上の第1膜300上にバリアメタル膜330を形成する前に、絶縁膜200の表層及び第1膜300の上端を、CMP法を用いて除去している。このため、第1膜300のうち丸まっている部分は除去される。またこの除去工程において、接続孔210,220内には第2膜50が埋め込まれているため、CMP処理において第1膜300の上端が丸まることを抑制できる。
【0025】
従って、接続孔210,220の上端においてバリアメタル膜330が厚くなってしまい、接続孔210,220の上端の径が、それより下側に位置する部分よりも小さくなることを抑制できる。従って、接続孔210,220に導電膜を埋め込むときにボイドが発生することを抑制できる。
【0026】
また、第2膜50を有機膜で形成した場合、第2膜50を酸素プラズマで除去することができる。この場合、第2膜50を除去するときに、第1膜300がダメージを受けることを抑制できる。
【0027】
なお図1〜図4は、コンタクトを形成する方法を例示しているが、異なる配線層に属する配線同士を接続するビアを形成する場合についても、本実施形態に示した方法を適用することができる。
【0028】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0029】
10 半導体基板
20 素子分離膜
50 第2膜
110 ゲート電極
120 拡散領域
130 ゲート絶縁膜
200 絶縁膜
202 エッチングストッパー膜
210 接続孔
220 接続孔
300 第1膜
310 コンタクト
320 コンタクト
330 バリアメタル膜
500 絶縁膜
510 接続孔
512 絶縁膜
520 バリアメタル膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁膜に接続孔を形成する工程と、
前記接続孔の内壁上に絶縁性の第1膜を形成し、前記接続孔の径を細らせる工程と、
前記第1膜が形成された前記接続孔内に、第2膜を埋め込む工程と、
前記絶縁膜の表層を、CMP法を用いて除去する工程と、
前記接続孔から前記第2膜を除去する工程と、
前記接続孔の前記第1膜上および前記接続孔の底面上にバリアメタル膜を形成する工程と、
前記接続孔内に導電膜を埋め込む工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記絶縁膜はエッチングストッパー膜上に形成されており、
前記接続孔を形成する工程において、前記エッチングストッパー膜をストッパーとして前記絶縁膜をエッチングすることにより、前記接続孔を形成し、
前記接続孔から前記第2膜を除去する工程の後、前記バリアメタル膜を形成する工程の前に、前記接続孔の底部に位置する前記エッチングストッパー膜を除去する工程を備える半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1膜は酸化シリコン膜であり、前記第2膜は有機膜である半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置の製造方法において、
前記有機膜はレジスト膜である半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記絶縁膜は、トランジスタが形成されている基板上に形成されており、
前記導電膜は、前記トランジスタに接続するコンタクトである半導体装置の製造方法。
【請求項6】
絶縁膜と、
前記絶縁膜に形成された接続孔と、
前記接続孔の内壁に形成され、前記接続孔の径を小さくしている絶縁性の第1膜と、
前記接続孔に埋め込まれた導電膜と、
を備える半導体装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−33761(P2012−33761A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172719(P2010−172719)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】