説明

半導体装置の製造方法

【課題】犠牲層残渣の発生や配線細りなどの不具合を抑制する、エアギャップ構造を有する半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板1上に複数の配線を形成する半導体装置の製造方法であって、基板1上に、複数の配線と、複数の配線に対して選択してエッチングできる金属からなり、複数の配線の間隙に埋め込まれている犠牲層とを形成する工程と、犠牲層を複数の配線に対して選択比を有するエッチングにより除去して、複数の配線の間隙にエアギャップ構造を形成する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に関し、特に配線間にエアギャップ構造を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路において、集積回路の信号伝播速度の高速化、高集積化のために微細化が進み、それに伴い素子間を結ぶ配線の多層化も進んでいる。配線の高集積化に伴い、RC遅延(抵抗と容量による配線の遅延)がデバイスの動作スピードを律するようになってきている。
そこで、配線材料として比抵抗の低い材料を用いたり、配線層間膜の絶縁材料として配線間容量を低減させる材料を用いことにより、RC遅延を抑制している。
ここで、従来用いられてきた配線材料であるアルミニウム、配線層間膜の絶縁材料である酸化シリコンに代わり配線材料として銅を用い、配線層間膜の絶縁材料として低誘電率膜の組み合わせが用いられるようになってきた。
しかし、更なる低誘電率化が求められ、配線間容量を低減化させるための一つの手法として、配線層間を空隙化させる(エアギャップ構造を形成する)技術が開発されている。
【0003】
従来、配線層間にエアギャップ構造を形成する方法として、基板上に配線層を形成し、配線層を被覆するように無機化合物または有機化合物の絶縁物を犠牲層として形成する。
そして、酸などの薬液を用いて犠牲層を腐食させ除去させるウエットエッチング法や、反応性のある気体やプラズマによりイオン化させた気体により犠牲層を除去するドライエッチング法により配線層間にエアギャップ構造を形成する方法が知られている。
特許文献1には、犠牲層としてレジスト膜を用いウエットエッチング法により除去することによりエアキャップ構造を形成する半導体装置の製造方法が記載されている。
【0004】
しかし、上記方法により半導体装置を製造する場合、配線層が単層であれば犠牲層の除去をすることができるが、ウエットエッチングで除去する場合廃液の粘性が高くなり犠牲層が残り、ドライエッチングで除去する場合広範囲の犠牲層の除去が難しいという問題があるため、配線層が多層となると犠牲層の除去性が悪くなる。
【特許文献1】特許第2779528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、犠牲層残渣の発生や配線細りなどの不具合を抑制する、エアギャップ構造を有する半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における半導体装置の製造方法は、基板上に複数の配線が形成され、前記複数の配線の間隙にエアギャップ構造を有する半導体装置の製造方法であって、前記基板上に、前記複数の配線と、前記複数の配線に対して選択してエッチングできる金属からなり、前記複数の配線の間隙に埋め込まれている犠牲層とを形成する工程と、前記犠牲層を前記複数の配線に対して選択比を有するエッチングにより除去して、前記複数の配線の間隙にエアギャップ構造を形成する工程とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、犠牲層残渣の発生や配線細りなどの不具合を抑制する、エアギャップ構造を有する半導体装置の製造方法を提供するこができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明に係る半導体装置の製造方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の模式構成を示す断面図である。
例えば、不図示の電子回路などが形成された基板1上に、酸化シリコンからなる絶縁膜2が形成されている。
上記の絶縁膜2の上層に、強酸に対して不動態皮膜を形成する金属、例えば、Alなどからなる第1の配線3aが形成されている。
上記の第1の配線3aの上面を被覆して、例えば、窒化チタンなどからなるバリアメタル膜4が形成されている。
【0010】
上記のバリアメタル膜4の上層に第1の配線3aと第2の配線13aとを接続する、例えば、Alなどからなるコンタクト8aが形成されている。
上記のコンタクト8aの上面を被覆して、例えば、窒化チタンなどからなるバリアメタル膜9が形成されている。
上記のバリアメタル膜9の上層に、例えば、Alなどからなる第2の配線13aが形成されている。
上記の第2の配線13aの上面を被覆して、例えば、窒化チタンなどからなるバリアメタル膜14が形成されている。
【0011】
次に、上記の本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図2から図9は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【0012】
まず、図2(a)に示すように、不図示の電子回路などが形成された基板1上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより、500nmの膜厚で酸化シリコンを堆積させ、絶縁膜2を形成する。
次に、図2(b)に示すように、絶縁膜2の上層に例えば、スパッタリングなどの物理蒸着法により、150nmの膜厚でAlからなる第1の配線層3を形成する。そして、第1の配線層3の上層に例えば、スパッタリングなどの物理的蒸着法により、窒化チタンなどからなるバリアメタル膜4を形成する。
次に、図2(c)に示すように、バリアメタル膜4の上層に例えば、スピンコータなどのレジスト塗布装置によりレジスト膜5を形成し、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜5に第1の配線3aのパターン加工をする。
【0013】
次に、図3(a)に示すように、パターン加工したレジスト膜5をスピンデベロッパなどの現象装置により現像し、レジストマスク5aを形成する。
次に、図3(b)に示すように、得られたレジストマスク5aをマスクとしてプラズマエッチングなどのエッチングを行い、第1の配線3aを形成する。
次に、図3(c)に示すように、例えば、プラズマアッシングなどによりレジストマスク5aを除去する。
【0014】
次に、図4(a)に示すように、絶縁膜2、第1の配線3a及びバリアメタル膜4の表面に例えば、スパッタリングなどの物理的蒸着法により30nmの膜厚で第1のCu膜6を被覆する。
次に、図4(b)に示すように、第1のCu膜6の上に例えば、Cu膜6を電極としてメッキ法などにより1μmの膜厚でCuからなる第1の犠牲層7を形成する。
次に、図4(c)に示すように、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法などの研磨法によりバリアメタル膜4の上面が露出するように第1の犠牲層7の表面を研磨する。
【0015】
次に、図5(a)に示すように、バリアメタル膜4及び第1の犠牲層7上に、例えば、スパッタリングなどの物理蒸着法により、150nmの膜厚でAlからなるコンタクト層8を形成する。そして、コンタクト層8の上層に例えば、スパッタリングなどの物理的蒸着法により、窒化チタンなどからなるバリアメタル膜9を形成する。
次に、図5(b)に示すように、バリアメタル膜9の上層に例えば、スピンコータなどのレジスト塗布装置によりレジスト膜10を形成し、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜10にコンタクト8aのパターン加工をする。
【0016】
次に、図6(a)に示すように、パターン加工したレジスト膜10をスピンデベロッパなどの現像装置により現像し、レジストマスク10aを形成する。
次に、図6(b)に示すように、得られたレジストマスク10aをマスクとしてドライエッチングなどのエッチングを行い、マスクされていないバリアメタル膜9を除去し、その後プラズマエッチングなどのエッチングを行い、コンタクト8aを形成する。第1の配線の上にバリアメタル膜4が形成されているため、コンタクト層8をエッチングする際、レジストマスク10aで保護されていない第1の配線3aの喪失を防止することができる。
次に、図6(c)に示すように、例えば、プラズマアッシングなどによりレジストマスク10aを除去する。
【0017】
次に、図7(a)に示すように、第1の犠牲層7、コンタクト8a及びバリアメタル膜9の表面に、例えば、スパッタリングなどの物理的蒸着法により30nmの膜厚で第2のCu膜11を被覆する。
次に、図7(b)に示すように、第2のCu膜11の上に例えば、メッキ法などにより1μmの膜厚でCuからなる第2の犠牲層12を形成する。
次に、図7(c)に示すように、例えば、CMP法などの研磨法によりバリアメタル膜9の上面が露出するように第2の犠牲層12の表面を研磨する。
【0018】
次に、図8(a)に示すように、バリアメタル膜9及び第2の犠牲層12上に、例えば、スパッタリングなどの物理蒸着法により、150nmの膜厚でAlからなる第2の配線層13を形成する。そして、第2の配線層13の上層に例えば、スパッタリングなどの物理的蒸着法により、窒化チタンなどからなるバリアメタル膜14を形成する。
次に、図8(b)に示すように、バリアメタル膜14の上層に例えば、スピンコータなどのレジスト塗布装置によりレジスト膜15を形成し、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜15に第2の配線13aのパターン加工をする。
【0019】
次に、図9(a)に示すように、パターン加工したレジスト膜15をスピンデベロッパなどの現像装置により現像し、レジストマスク15aを形成する。
次に、図9(b)に示すように、得られたレジストマスク15aをマスクとしてプラズマエッチングなどのエッチングを行い、第2の配線13aを形成する。
次に、図9(c)に示すように、例えば、プラズマアッシングなどによりレジストマスク15aを除去する。
【0020】
次に、エッチング剤である発煙硝酸に5分間浸すことによりウエットエッチング処理を行い、第1のCu膜6、第1の犠牲層7、第2のCu膜11及び第2の犠牲層12であるCuを除去する。この際、第1の配線3a、コンタクト8a、第2の配線13aにおけるAlは不動態を形成しほとんど溶解せず、第1のCu膜6、第1の犠牲層7、第2のCu膜11及び第2の犠牲層12におけるCuのみが除去される。そのため、複数の配線及びコンタクトの間隙が空隙化し、図1に示すようにエアギャップ構造を形成することができる。
【0021】
なお、第1の実施形態において配線層及びコンタクト層としてAlを用いたが、強酸により不動態を形成する金属、例えば、Ti、Ta、W、Co、Ni、Feなどの金属またはこれらの合金を用いてもよい。また、犠牲層としてCuを用いたが、例えば、Agなどの強酸により不動態を形成しない金属を用いてもよい。また、エッチング剤として発煙硝酸を用いたが、例えば、熱濃硫酸などの酸化力の強い酸を用いてもよい。
【0022】
上記の本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、基板上に複数の配線と、複数の配線に対して選択してエッチングできる金属からなり、複数の配線の間隙に埋め込まれている犠牲層とを形成し、犠牲層を複数の配線に対して選択比を有するエッチングにより除去して、複数の配線の間隙にエアギャップ構造を形成することができる。したがって犠牲層に、複数の配線に対してエッチング選択比が高い金属を使用することにより、犠牲層残渣の発生や配線細りなどの不具合を抑制することができる。
【0023】
<第2の実施形態>
本実施形態においては、半導体装置の製造工程は第1の実施形態と同様であり、配線層及びコンタクト層、エッチング剤が、第1の実施形態と異なる。
【0024】
第1の実施形態において配線層及びコンタクト層としてAl、エッチング剤として発煙硝酸を用いたが、第2の実施形態においては、配線層及びコンタクト層としてAu、エッチング剤として硝酸を使用して、半導体装置を製造する。
【0025】
なお、第2の実施形態において配線層及びコンタクト層としてAuを用い、犠牲層として第1の実施形態と同様にCuを用いたが、配線層及びコンタクト層として犠牲層に対して相対的に貴な金属、例えば、Pt,Auの合金またはPtの合金を用い、犠牲層として例えば、Al,Feまたはこれらの合金を用いてもよい。また例えば、配線層及びコンタクト層を構成する金属としては、犠牲層を構成する金属のエッチング速度が、配線層及びコンタクト層を構成する金属のエッチング速度の10倍以上となるような金属を選択すればよい。また、エッチング剤として硝酸を用いたが、例えば、硫酸、塩酸などの酸を用いてもよい。
また、配線層及びコンタクト層としてAu、犠牲層としてCu、エッチング剤として硝酸を用いたが、配線層及びコンタクト層として、例えば、Au、Cuなどのアルカリ水溶液に溶解しない金属を用い、犠牲層として、例えば、Al、Zn、Sn、Pbなどのアルカリ水溶液に溶解する金属を用い、エッチング剤として例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液を用いてもよい。
【0026】
上記の本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、第1の実施形態と同様に、基板上に複数の配線と、複数の配線に対して選択してエッチングできる金属からなり、複数の配線の間隙に埋め込まれている犠牲層とを形成し、犠牲層を複数の配線に対して選択比を有するエッチングにより除去して、複数の配線の間隙にエアギャップ構造を形成している。したがって犠牲層に、複数の配線に対してエッチング選択比が高い金属を使用することにより、犠牲層残渣の発生や配線細りなどの不具合を抑制することができる。
【0027】
<第3の実施形態>
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、基板上に2層の配線が形成されているエアギャップ構造を有する半導体装置の製造方法であるが、本実施形態では、基板上に複数の配線の間隙にエアギャップ構造を有する3層以上の多層配線が形成されている半導体装置の製造方法について説明する。
【0028】
図10は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の模式構成を示す断面図である。
例えば、不図示の電子回路などが形成された基板16上に、例えば、酸化シリコンからなる第1の絶縁膜17が形成されている。
上記の第1の絶縁膜17の上層に、強酸に対して不動態皮膜を形成する金属、例えば、Alなどからなる第1の配線18a及び/またはダミーパターン18bが形成されている。
ダミーパターン18bは、複数の配線の間隙にエアギャップ構造を形成した際、その上層に位置する配線層の崩れを防止するために形成する。
上記の第1の配線18a及びダミーパターン18bの上面を被覆して、例えば、窒化チタンなどからなるバリアメタル膜19が形成されている。
【0029】
上記のバリアメタル膜19の上層に、第1の配線18aと第2の配線28aとを接続するための、例えば、Alなどからなる第1のコンタクト23aが形成されている。また、ダミーパターン18bの上面を被覆しているバリアメタル膜19の上層に、第2の配線28aを支えるためのAlからなるコンタクトダミーパターン23bが形成されている。
上記の第1のコンタクト23aまたはコンタクトダミーパターン23bの上面を被覆して、例えば、窒化チタンなどからなるバリアメタル膜24が形成されている。
上記の第1のコンタクト23aの上面を被覆しているバリアメタル膜24の上層に、例えば、Alなどからなる第2の配線28aが形成されている。また、コンタクトダミーパターン23bの上面を被覆しているバリアメタル膜24の上層にも、第2の配線28aが形成されている。コンタクトダミーパターン23bは、複数の配線の間隙にエアギャップ構造を形成した際、その上層に位置する配線層の崩れを防止するために形成する。
上記の第2の配線28aの上面を被覆して、例えば、窒化チタンなどからなるバリアメタル膜29が形成されている。
【0030】
上記のバリアメタル膜29の上層に、例えば、窒化シリコンなどからなる配線キャップ層33が形成されている。
上記の配線キャップ層33には、犠牲層をエッチング処理するためのエッチング剤、例えば、発煙硝酸を注入し、犠牲層をエッチングした廃液を除去するための犠牲層除去口34が開口している。
【0031】
上記の配線キャップ層33の上層に、例えば、酸化シリコンからなる第2の絶縁膜35が形成されている。第2の絶縁膜35には、底面に配線キャップ層33の上面が露出するコンタクトホールCHが開口しており、コンタクトホールCHと連通して、第3の配線溝TRが形成されている。
【0032】
連通して設けられた第3の配線溝TR及びコンタクトホールCHの内壁を被覆して、例えばTaなどからなるバリアメタル層36が形成されている。そしてその上層においてコンタクトホールCHには、第2のコンタクト37aが、第3の配線溝TRには、第3の配線37bが、一体的に形成されている。
【0033】
次に、上記の本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図11から図21は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【0034】
まず、図11(a)に示すように、不図示の電子回路などが形成された基板16上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより、500nmの膜厚で酸化シリコンを堆積させ、絶縁膜17を形成する。
次に、図11(b)に示すように、絶縁膜17の上層に例えば、スパッタリングなどの物理蒸着法により、150nmの膜厚でAlからなる第1の配線層18を形成する。そして、第1の配線層18の上層に例えば、スパッタリングなどの物理的蒸着法により、窒化チタンなどからなるバリアメタル膜19を形成する。
次に、図11(c)に示すように、バリアメタル膜19の上層に例えば、スピンコータなどのレジスト塗布装置によりレジスト膜20を形成し、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜20に第1の配線18a及びダミーパターン18bのパターン加工をする。
【0035】
次に、図12(a)に示すように、パターン加工したレジスト膜20をスピンデベロッパなどの現象装置により現像し、レジストマスク20aを形成する。
次に、図12(b)に示すように、得られたレジストマスク20aをマスクとしてプラズマエッチングなどのエッチングを行い、第1の配線18a及びダミーパターン18bを形成する。ここで、ダミーパターン18bは、複数の配線の間隙にエアギャップ構造を形成した際、配線層の崩れを防止するために形成する。
次に、図12(c)に示すように、例えば、プラズマアッシングなどによりレジストマスク20aを除去する。
【0036】
次に、図13(a)に示すように、絶縁膜17、第1の配線18a、ダミーパターン18b及びバリアメタル膜19の表面に例えば、スパッタリングなどの物理的蒸着法により30nmの膜厚で第1のCu膜21を被覆する。
次に、図13(b)に示すように、第1のCu膜21の上に例えば、メッキ法などにより1μmの膜厚でCuからなる第1の犠牲層22を形成する。
次に、図13(c)に示すように、例えば、CMP法などの研磨法によりバリアメタル膜19の上面が露出するように第1の犠牲層22の表面を研磨する。
【0037】
次に、図14(a)に示すように、第1の犠牲層22、バリアメタル膜19の上に例えば、スパッタリングなどの物理蒸着法により、150nmの膜厚でAlからなるコンタクト層23を形成する。そして、コンタクト層23の上層に例えば、スパッタリングなどの物理的蒸着法により、窒化チタンなどからなるバリアメタル膜24を形成する。
次に、図14(b)に示すように、バリアメタル膜24の上層に例えば、スピンコータなどのレジスト塗布装置によりレジスト膜25を形成し、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜25に第1のコンタクト23aまたはコンタクトダミーパターン23bのパターン加工をする。
【0038】
次に、図15(a)に示すように、パターン加工したレジスト膜25をスピンデベロッパなどの現像装置により現像し、レジストマスク25aを形成する。
次に、図15(b)に示すように、得られたレジストマスク25aをマスクとしてドライエッチングなどのエッチングを行い、マスクされていないバリアメタル膜24を除去し、その後プラズマエッチングなどのエッチングを行い、第1のコンタクト23aまたはコンタクトダミーパターン23bを形成する。ここでコンタクトダミーパターン23bは、複数の配線の間隙にエアギャップ構造を形成した際、配線の崩れを防止するために形成する。また、第1の配線18aの上にバリアメタル膜19が形成されているため、コンタクト層23をエッチングする際、レジストマスク25aで保護されていない第1の配線18aの喪失を防止することができる。
次に、図15(c)に示すように、例えば、プラズマアッシングなどによりレジストマスク25aを除去する。
【0039】
次に、図16(a)に示すように、第1の犠牲層22、第1のコンタクト23a、コンタクトダミーパターン23b及びバリアメタル膜24の表面に、例えば、スパッタリングなどの物理的蒸着法により30nmの膜厚で第2のCu膜26を被覆する。
次に、図16(b)に示すように、第2のCu膜26の上に例えば、メッキ法などにより1μmの膜厚でCuからなる第2の犠牲層27を形成する。
次に、図16(c)に示すように、例えば、CMP法などの研磨法によりバリアメタル膜24の上面が露出するように第2の犠牲層27の表面を研磨する。
【0040】
次に、図17(a)に示すように、第2の犠牲層27及びバリアメタル膜24の上に例えば、スパッタリングなどの物理蒸着法により、150nmの膜厚でAlからなる第2の配線層28を形成する。そして、第2の配線層28の上層に例えば、スパッタリングなどの物理的蒸着法により、窒化チタンなどからなるバリアメタル膜29を形成する。
次に、図17(b)に示すように、バリアメタル膜29の上層に例えば、スピンコータなどのレジスト塗布装置によりレジスト膜30を形成し、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜30に第2の配線28aのパターン加工をする。
【0041】
次に、図18(a)に示すように、パターン加工したレジスト膜30をスピンデベロッパなどの現像装置により現像し、レジストマスク30aを形成する。
次に、図18(b)に示すように、得られたレジストマスク30aをマスクとしてプラズマエッチングなどのエッチングを行い、第2の配線28aを形成する。
次に、図18(c)に示すように、例えば、プラズマアッシングなどによりレジストマスク30aを除去する。
【0042】
次に、図19(a)に示すように、第2の犠牲層27、第2の配線28a及びバリアメタル膜29の表面に、例えば、スパッタリングなどの物理的蒸着法により30nmの膜厚で第3のCu膜31を被覆する。
次に、図19(b)に示すように、第3のCu膜31の上に例えば、メッキ法などにより1μmの膜厚でCuからなる第3の犠牲層32を形成する。
次に、図19(c)に示すように、例えば、CMP法などの研磨法によりバリアメタル膜29の上面が露出するように第3の犠牲層32の表面を研磨する。
【0043】
次に、図20(a)に示すように、バリアメタル膜29及び第3の犠牲層32の上に50nmの膜厚で窒化シリコンの配線キャップ層33を形成する。
次に、図20(b)に示すように、配線キャップ層33に、例えば、フォトリソグラフィ法により犠牲層除去口34のパターン加工し、例えば、プラズマエッチング法により犠牲層除去口34を形成する。犠牲層除去口34は配線間の寄生容量の影響が少ない領域に形成する。
次に、図20(c)に示すように、エッチング剤である発煙硝酸に5分間浸すことによりウエットエッチング処理を行い、第1のCu膜21、第1の犠牲層22、第2のCu膜26、第2の犠牲層27、第3のCu膜31、第3の犠牲層32であるCuを除去する。犠牲層をエッチング処理する発煙硝酸は、犠牲層除去口34から注入される。そして、エッチングされた犠牲層を含む廃液は犠牲層除去口34から排出される。この際、第1の配線18a、ダミーパターン18b、第1のコンタクト23a、コンタクトダミーパターン23b、第2の配線28aにおけるAlは不動態を形成しほとんど溶解せず、第1のCu膜21、第1の犠牲層22、第2のCu膜26、第2の犠牲層27、第3のCu膜31、第3の犠牲層32におけるCuのみが除去される。そのため、複数の配線及びコンタクトの間隙が空隙化し、エアギャップ構造を形成することができる。
【0044】
次に、図21(a)に示すように、配線キャップ層33の上に、例えばプラズマCVD法などにより、酸化シリコンを堆積させ、第2の絶縁膜35を形成する。この際、犠牲層除去口34から下層部へ若干、酸化シリコンが落ちるが、寄生容量の影響が少ない領域であるため、デバイス特性に与える影響は無視できる。
次に、図21(b)に示すように、フォトリソグラフィ工程により、底面に配線キャップ層33の上面が露出するようにコンタクトホールCHと第3の配線溝TRを連通形成する。
次に、図21(c)に示すように、例えば、スパッタリングなどの物理蒸着方法により、コンタクトホールCH及び第3の配線溝TRの内壁面を被覆して、例えば、Taなどからなるバリアメタル層36を形成する。
【0045】
次に、図22(a)に示すように、バリアメタル層36の上に、例えば、メッキ法などによりCu層37を形成する。
次に、図22(b)に示すように、例えばCMP法などの研磨法により第3の配線溝TRの外部におけるCu層37を除去し、引き続いてCMP法などの研磨法により第3の配線溝TRの外部におけるバリアメタル層36を除去する。
これにより、Cuからなり、コンタクトホールCH内に埋め込まれた第2のコンタクト37aと、第3の配線溝TR内に埋め込まれた第3の配線37bとを一体に形成することができる。
【0046】
なお、第3の実施形態において配線層が3層である半導体装置の製造方法を示したが、本実施形態によれば、3層以上の配線層を有する半導体装置を製造することができる。また、第3の実施形態において配線キャップ層として窒化シリコンを用いたが、炭化シリコン、シリコン炭窒化を用いてもよい。また、第3の実施形態において配線としてAlを用いたが、強酸により不動態を形成する金属、例えば、Ti、Ta、W、Co、Ni、Feなどの不動態を形成する金属またはこれらの合金を用いてもよい。また、犠牲層としてCuを用いたが、例えば、Agなどの強酸により不動態を形成しない金属を用いてもよい。また、エッチング剤として発煙硝酸を用いたが、例えば、熱濃硫酸などの酸化力の強い酸を用いてもよい。
【0047】
上記の本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、基板上に複数の配線と、複数の配線に対して選択してエッチングできる金属からなり、複数の配線の間隙に埋め込まれている犠牲層とを形成し、犠牲層を複数の配線に対して選択比を有するエッチングにより除去し、配線エアキャップ層を設けることにより、複数の配線の間隙にエアギャップを有する多層配線構造を形成することができる。したがって、上層の配線の下に下層の配線が形成されていないような場合、上層の配線の下にダミーパターンを設けることにより、エアギャップ構造を有する多層配線構造にした場合でも、配線層の崩れを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の半導体装置の製造方法は、複数の配線の間隙にエアギャップ構造を有する半導体装置の製造方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の模式構成を示す断面図である。
【図2】図2(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図4】図4(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図5】図5(a)及び図5(b)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図8】図8(a)及び図8(b)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図9】図9(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の模式構成を示す断面図である。
【図11】図11(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図12】図12(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図13】図13(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図14】図14(a)及び図14(b)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図15】図15(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図16】図16(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図17】図17(a)及び図17(b)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図18】図18(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図19】図19(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図20】図20(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図21】図21(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図22】図22(a)及び図22(b)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1:基板 2:絶縁膜 3:第1の配線層 3a:第1の配線 4:バリアメタル膜 5:レジスト膜 5a:レジストマスク 6:第1のCu膜 7:第1の犠牲層 8コンタクト層 8a:コンタクト 9:バリアメタル膜 10:レジスト膜 10a:レジストマスク 11:第2のCu膜 12:第2の犠牲層 13:第2の配線層 13a:第2の配線 14:バリアメタル膜 15:レジスト膜 15a:レジストマスク 16:基板 17:第1の絶縁膜 18:第1の配線層 18a:第1の配線 18b:ダミーパターン 19:バリアメタル膜 20:レジスト膜 20a:レジストマスク 21:第1のCu膜 22:第1の犠牲層 23:コンタクト層 23a:第1のコンタクト 23b:コンタクトダミーパターン 24:バリアメタル膜 25:レジスト膜 25a:レジストマスク 26:第2のCu膜 27:第2の犠牲層 28:第2の配線層 28a:第2の配線 29:バリアメタル膜 30:レジスト膜 30a:レジストマスク 31:第3のCu膜 32:第3の犠牲層 33:配線キャップ層 34:犠牲層除去口 35:第2の絶縁膜 36:バリアメタル層 37:Cu層 37a:第2のコンタクト 37b:第3の配線 CH:コンタクトホール TR:第3の配線溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に複数の配線が形成され、前記複数の配線の間隙にエアギャップ構造を有する半導体装置の製造方法であって、
前記基板上に、前記複数の配線と、前記複数の配線に対して選択してエッチングできる金属からなり、前記複数の配線の間隙に埋め込まれている犠牲層とを形成する工程と、
前記犠牲層を前記複数の配線に対して選択比を有するエッチングにより除去して、前記複数の配線の間隙にエアギャップ構造を形成する工程と
を有する
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記複数の配線の間隙に犠牲層が埋め込まれている構造を形成する工程は、
前記基板上に第1の配線を形成する工程と、
前記第1の配線を犠牲層で埋め込む工程と、
前記第1の配線の上面が露出するように前記犠牲層を除去する工程と、
前記第1の配線上または前記犠牲層上に第2の配線を形成する工程と
を含む
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の配線の上面が露出するように前記犠牲層を除去する工程は、
化学的機械研磨により前記犠牲層を除去する工程
を含む
請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記複数の配線は、前記エッチングに対し不動態皮膜を形成する金属または前記不動態皮膜を形成する金属の合金からなり、
前記犠牲層は、前記エッチングに対し不動態皮膜を形成しない金属または不動態皮膜を形成しない金属の合金からなる
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記複数の配線は、Al,Ti,Ta,W,Co,Ni,Feまたはそれらの合金からなり、
前記犠牲層は、Cu,Agまたはそれらの合金からなる
請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記エッチングは、ウエットエッチングである
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記複数の配線は、前記犠牲層に対して相対的に貴な金属またはそれらの合金からなる
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記複数の配線は、Au,Ptまたはそれらの合金からなり、
前記犠牲層は、Cu,Al,Feまたはそれらの合金からなる
請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記犠牲層を構成する金属のエッチング速度は、前記複数の配線を構成する金属のエッチング速度の10倍以上である
請求項1に記載の半導体製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2008−16553(P2008−16553A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184584(P2006−184584)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】