説明

半導体装置の製造方法

【課題】低抵抗の導電部を備える、信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】ビアホール36a内及び配線溝36b内に、バリア層37を介して、CnMnを含有する第1導電層38、及びCuを主成分とする第2導電層39を形成し、清浄化後、低温酸化を行い、第1,第2導電層38,39表面にCu酸化物層40を形成する。その後、キャップ層の形成を行い、その状態で高温条件の熱処理を行うことで、第1,第2導電層38,39内のMnをCu酸化物層40に拡散させ、キャップ層との界面に、Cu酸化物層40にMnが含有された化合物層を形成する。これにより、第1,第2導電層38,39内のMnを減少させることが可能になり、さらに、キャップ層の密着性を向上させることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、配線層を備える半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の配線やビアの形成には、絶縁層に形成した配線溝やビアホールといった凹部内に、タンタル(Ta)やチタン(Ti)等の高融点金属を用いたバリア層を介して、銅(Cu)等で導電部を形成する手法が広く用いられている。
【0003】
近年では、絶縁層の凹部内に、マンガン(Mn)等を含有する導電部を形成し、その上面や絶縁層との界面、或いは導電部上に形成されるキャップ層との界面にMn等を拡散させて、Mn酸化物等のバリア層を自己整合的に形成する技術等も知られている(例えば、特許文献1〜3及び非特許文献1参照。)。また、凹部内に、高融点金属のバリア層を介して、Mn等を含有する導電部を形成し、導電部からそのMn等をバリア層に拡散させて、Mn酸化物等を含む複合バリア層を自己修復的に形成する技術等も知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2005−277390号公報
【特許文献2】特開2007−220738号公報
【特許文献3】特開2008−147467号公報
【非特許文献1】Koike et al., "Self-forming diffusion barrier layer in Cu-Mn alloy metallization", Appl. Phys. Lett., vol.87, 041911, 2005
【非特許文献2】Haneda et al., "Self-Restored Barrier using Cu-Mn alloy", Proc. of ADMETA, vol.124, pp.28-29, 2007
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導電部に含有させたMn等を用いてバリア層を形成する場合には、バリア層の形成に消費されなかった余剰のMn等が導電部内に残ると、導電部の抵抗が高くなってしまう。また、導電部とキャップ層との界面にMn酸化物等のバリア層が形成されない場合には、キャップ層との密着が弱く、導電部材料のエレクトロマイグレーションが発生する可能性が高まる等、半導体装置の信頼性を低下させるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、第1絶縁層に凹部を形成する工程と、形成された前記凹部内に、第1元素を主成分とし第2元素を含有する導電部を形成する工程と、形成された前記導電部の表面を清浄化する工程と、清浄化された前記導電部の表面に、前記第1元素を含有する酸化物層を形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
開示の半導体装置の製造方法によれば、配線層内に低抵抗の導電部を備える、信頼性の高い半導体装置を形成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して詳細に説明する。
まず、第1の実施の形態について説明する。
はじめに、配線及びビアを備えた半導体装置の一例について説明する。
【0008】
図1は半導体装置の一例の部分断面模式図である。
図1に例示する半導体装置1は、半導体基板2にSTI(Shallow Trench Isolation)法等により形成された素子分離絶縁膜3で画定された素子領域に、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ4が形成された構造を有している。
【0009】
MOSトランジスタ4は、ゲート絶縁膜4aを介して形成されたゲート電極4b、ゲート電極4bの側壁に形成された側壁絶縁膜4c、ゲート電極4bの両側の半導体基板2内に形成されたソース・ドレイン領域4d,4eを備えている。
【0010】
このようなMOSトランジスタ4が形成された半導体基板2上には、絶縁層5が形成されており、絶縁層5には、MOSトランジスタ4のソース・ドレイン領域4d,4eに達する導電プラグ6,7が形成されている。絶縁層5上には、キャップ層8及び絶縁層9が順に形成されており、キャップ層8及び絶縁層9には、導電プラグ6,7にそれぞれ電気的に接続された下層配線10及びバリア層11と、下層配線12及びバリア層13とが形成されている。
【0011】
さらに、絶縁層9上には、ここでは、キャップ層14及び絶縁層15,16が形成されており、それらには、下層配線12に電気的に接続された、ビア17a及び上層配線17bとして機能する導電部17、及びバリア層18が形成されている。また、導電部17の表面には、導電部17の形成に用いた材料に含有される所定元素を含んだ化合物層19が形成されている。化合物層19及び絶縁層16の上には、キャップ層20が形成されている。
【0012】
このような多層配線のさらに上層には、半導体装置1の種類に応じ、同様の構成の配線層が必要な層数だけ形成され、最上層には、外部接続用の電極パッド等が形成されるようになる。
【0013】
なお、ここでは、下層配線10,12が、シングルダマシン法を用いて形成され、それに電気的に接続されたビア17a及び上層配線17bが、デュアルダマシン法を用いて形成されている場合を例示している。
【0014】
続いて、上記のような半導体装置に適用可能なビア及び配線の形成方法について説明する。ここでは、一例として、デュアルダマシン法を用いたビア及び配線の形成方法について、図2〜図8を参照して説明する。
【0015】
図2は第1の実施の形態に係るバリア層及び第1導電層形成工程の要部断面模式図である。
まず、バリア層30及び下層配線31が形成された絶縁層32上に、キャップ層33及び絶縁層34,35を形成した後、デュアルダマシン法を用い、下層配線31に達するビアホール36a及び配線溝36bを形成する。なお、下層配線31は、半導体基板に形成されたMOSトランジスタ等の素子に、電気的に接続される。
【0016】
キャップ層33及び絶縁層35には、例えば、炭化シリコン(シリコンカーバイド,SiC)や酸化炭化シリコン(SiOC)等の材料を用いることができる。また、絶縁層32,34には、例えば、酸化シリコン(SiO)や、有機系又は無機系の低誘電率材料(Low−k材料)等を用いることができる。なお、絶縁層32,34は、そのようなLow−k材料を用いたポーラス構造のものであってもよい。
【0017】
ビアホール36a及び配線溝36bの形成後は、例えば、スパッタリング法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い、ビアホール36a及び配線溝36bの内面及び絶縁層35上に、バリア層37を形成する。バリア層37は、例えば、高融点金属であるTa、Ti、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)のうちの少なくとも1種を含む材料(単体金属、合金、窒化物等)を用い、膜厚3nm〜10nmで形成する。
【0018】
バリア層37としてTa層を形成する場合には、例えば、スパッタリング法を用い、放電用ガスをアルゴン又は窒素とし、ターゲット投入電力を160mW/mm2〜640mW/mm2として、その形成を行う。また、バリア層37としてCo層を形成する場合には、例えば、CVD法により、原料ガスにジコバルトヘキサカルボニルターシャリブチルアセチレン(Co2(CO)6C(CH3)3CCH)及び水素を用い、120℃〜200℃の温度で、その形成を行う。
【0019】
バリア層37の形成後は、その上に、第1導電層38として、所定量のCu及びMnを含有するCuMn層を形成する。このようなCuMnの第1導電層38は、例えば、スパッタリング法やCVD法を用い、膜厚4nm〜60nmで形成する。
【0020】
CuMnの第1導電層38をスパッタリング法により形成する場合には、例えば、Mnが0.5atom%〜10atom%含有されたCuターゲットを用いる。そして、放電用ガスにアルゴンを用い、ターゲット投入電力を15mW/mm2〜950mW/mm2、雰囲気圧力を10-5Pa〜10Paとして、CuMn層の形成を行う。なお、このCuMn層の形成時には、基板に5mW/mm2〜15mW/mm2のバイアスを印加するようにしてもよい。
【0021】
このようにしてバリア層37及び第1導電層38を形成した後は、ビアホール36a及び配線溝36bを配線材料で埋める工程へと進む。
図3は第1の実施の形態に係る第2導電層形成工程の要部断面模式図である。
【0022】
バリア層37及び第1導電層38の形成後は、ビアホール36a及び配線溝36bに、第2導電層39として、Cu層を形成する。なお、ここで形成するCu層は、純銅であっても、或いは、Cuを主成分とし1種又は複数種のCu以外の元素(金属、非金属)を一定量含有しているものであってもよい。
【0023】
このようなCuの第2導電層39は、例えば、硫酸銅溶液を用いた電解めっき法を用い、ビアホール36a及び配線溝36bを十分に埋めることができる膜厚、例えば、膜厚500nmで形成する。なお、電解めっき時には、先に形成した第1導電層38を電極として用いることができる。このほか、図示は省略するが、第1導電層38上に、例えば、スパッタリング法やCVD法を用いてCuシード層を形成し、そのCuシード層を電極に用いて電解めっきを行うようにすることもできる。
【0024】
CuMnの第1導電層38の上に、Cuの第2導電層39を形成した後は、熱処理を行い、形成した第2導電層39の結晶安定化を行う。この熱処理は、例えば、窒素と水素の混合ガス雰囲気で行う。このように非酸化性雰囲気で熱処理を行うと、第1,第2導電層38,39の酸化を抑えて結晶安定化を行うことができる。また、このように非酸化性雰囲気で熱処理を行うことで、この熱処理時点で第1,第2導電層38,39表面にMn酸化物が形成されるのを抑えることができる。
【0025】
熱処理温度は、第2導電層39の結晶安定化が可能な温度以上で、且つ、200℃未満とすることが望ましい。さらに、歩留まりの観点からは、この結晶安定化のための熱処理温度を、80℃〜150℃、好ましくは80℃〜120℃の低温条件とすることが望ましい。
【0026】
上記のようにして第2導電層39の結晶安定化を行った後、余剰の第1,第2導電層38,39及びバリア層37を除去する工程へと進む。
図4は第1の実施の形態に係る余剰導電層等除去工程の要部断面模式図である。
【0027】
第2導電層39の結晶安定化後は、絶縁層35の上面に形成されている余剰の第1,第2導電層38,39及びバリア層37を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により、絶縁層35が表出するように除去する。その結果、ビアホール36a内及び配線溝36b内に、バリア層37を介して第1導電層38が形成され、それらバリア層37及び第1導電層38を介して第2導電層39が形成された構造が得られる。これにより、ビアホール36a内及び配線溝36b内に、バリア層37を介して、導電部(第1,第2導電層38,39)が形成される。
【0028】
図5は第1の実施の形態に係る清浄化工程の要部断面模式図である。
CMPによる余剰の第1,第2導電層38,39及びバリア層37の除去後は、そのCMP後の基板表面の清浄化を行い、表面に付着している研磨残渣や薬液成分、或いは表面に形成されている自然酸化膜等を除去する。この清浄化は、例えば、CVD装置を使用し、還元性ガスを用いたプラズマ処理、或いはアルゴンプラズマを用いたエッチング処理によって行う。
【0029】
還元性ガスを用いたプラズマ処理の場合、還元性ガスには、酸素を含まない還元性のガスを用いることが好ましい。このような還元性ガスとしては、例えば、水素やアンモニア等を挙げることができ、そのようなガスが、必要に応じて窒素等の不活性ガスと一定割合で混合され、プラズマ処理に用いられる。
【0030】
例えば、CVD装置の処理室(チャンバ)内にCMP後の基板をセットし、そのチャンバ内を水素雰囲気とし、処理温度200℃〜300℃、圧力250Pa、処理時間30秒〜180秒の条件でプラズマ処理を行う。また、別例として、CVD装置のチャンバ内にCMP後の基板をセットし、そのチャンバ内を水素(3vol%)と窒素の混合ガス雰囲気とし、処理温度150℃〜300℃、常圧、処理時間30秒〜180秒の条件でプラズマ処理を行う。
【0031】
一方、アルゴンプラズマを用いたエッチング処理の場合には、例えば、CVD装置のチャンバ内にCMP後の基板をセットし、その基板に対し、常温でアルゴンプラズマによるエッチング処理を行う。
【0032】
なお、清浄化は、非酸化性雰囲気で行うため、導電部である第1,第2導電層38,39の酸化が抑えられるほか、この清浄化時点での第1,第2導電層38,39表面のMn酸化物形成が抑えられる。
【0033】
このようにして清浄化を行った後は、第1,第2導電層38,39の表面にCu酸化物層を形成する。
図6は第1の実施の形態に係るCu酸化物層形成工程の要部断面模式図である。
【0034】
清浄化後は、その清浄化後の基板に対し、酸化性ガス雰囲気での熱処理を行い、導電部である第1,第2導電層38,39の表面に、Cu酸化物層40を形成する。
このCu酸化物層40の形成は、例えば、先の清浄化の処理に連続して行う。即ち、清浄化を行ったチャンバから基板を搬出せず、大気に暴露させることなく、所定圧力で酸化性ガスを導入し、熱処理を行うことで、Cu酸化物層40を形成する。
【0035】
酸化性ガスとしては、例えば、酸素、一酸化窒素、一酸化二窒素、二酸化窒素、一酸化炭素等、酸素原子を含むガスを広く用いることができる。このような酸化性ガスを、必要に応じ、窒素やアルゴン等の不活性ガスと混合し、熱処理に用いる。熱処理は、200℃未満の温度、好ましくは80℃〜150℃の温度で行い、圧力は、用いる酸化性ガスの種類や熱処理温度等に基づき、減圧から常圧の範囲の適当な値に設定する。
【0036】
ここで、上記のようにCuMnの第1導電層38を形成している場合に行う熱処理に関して説明する。
例えば、酸化シリコン等の酸化膜上に直に、CuMnの導電膜を形成し、非酸化性雰囲気で熱処理を行うと、熱処理温度が200℃未満の場合には、導電膜は、その比抵抗が高く、下地酸化膜との密着が弱い。一方、熱処理温度を200℃以上とした場合には、導電膜は、その比抵抗が低くなり、下地酸化膜と密着も強くなる。即ち、熱処理温度が200℃以上になると、導電膜中のMnが下地酸化膜の酸素と反応し、導電膜と下地酸化膜との界面にMn酸化物層が形成されて、それらの密着が強まり、また、Mnが消費された導電膜は、その比抵抗が低下するようになる。
【0037】
このことから同様に、たとえ酸素存在下で行う熱処理であっても、温度200℃未満では、導電部である第1,第2導電層38,39の表面にMn酸化物は形成され難いと言うことができる。従って、上記のように、酸化性ガス雰囲気中、200℃未満の温度で熱処理を行った場合には、Mn酸化物層の形成が抑えられ、導電部表面にCu酸化物層40が形成されるようになる。このような点から、Cu酸化物層40の形成温度は、200℃未満、好ましくは80℃〜150℃の範囲とする。なお、Cu酸化物層40の形成時の熱処理温度が80℃未満になると、所望の膜厚のCu酸化物層40を、所望の時間で形成することが難しくなる。
【0038】
Cu酸化物層40の膜厚は、第1導電層38に含有されるMn量に基づいて設定する。例えば、Cu酸化物層40の膜厚を、第1導電層38に含有させたMnの全量が反応できるだけの量以上の酸素が含有されるような膜厚、即ち、第1導電層38のMn含有量相当又はそれ以上の酸素量を有する膜厚に設定する。
【0039】
但し、その膜厚は、以後に行われる熱処理において、第1導電層38内のMn、及び第1導電層38から第2導電層39内に拡散したMnが、Cu酸化物層40の表面(キャップ層形成面)まで拡散可能な膜厚を上限とすることが望ましい。これらの点を考慮し、Cu酸化物層40の膜厚は、例えば、0.5nm〜5nm程度、好ましくは0.5nm〜3nm程度とする。
【0040】
なお、MnのCu酸化物層40への拡散、及びMnとCu酸化物層40との反応の詳細については後述する。
Cu酸化物層40を形成した後は、キャップ層の形成を行う。
【0041】
図7は第1の実施の形態に係るキャップ層形成工程の要部断面模式図、図8は第1の実施の形態に係る第2キャップ層形成工程の要部断面模式図である。
Cu酸化物層40の形成後は、まず、図7に例示するように、キャップ層41を形成する。キャップ層41には、例えば、シリコンカーバイド,酸化炭化シリコン,酸化窒化シリコン(SiON),炭化窒化シリコン(SiCN),窒化シリコン(SiN)等の材料を用いることができる。なお、ここで形成するキャップ層41には、一定量の酸素が含有されていても、或いは含有されていなくても、いずれであっても構わない。
【0042】
キャップ層41の形成は、例えば、先のCu酸化物層40の形成に連続して行う。即ち、Cu酸化物層40の形成を行ったチャンバからその基板を搬出せずに、所定原料ガスを導入し、成膜処理を行うことで、キャップ層41を形成する。
【0043】
キャップ層41の形成は、Cu酸化物層40を昇華させず、且つ、この時点でMnをCu酸化物層40内の酸素と反応させない温度、例えば、200℃未満の低温条件で行う。形成するキャップ層41の膜厚は、例えば、5nm〜50nmとする。このようにしてキャップ層41を形成し、Cu酸化物層40の表面全体をキャップ層41で覆う。
【0044】
また、Cu酸化物層40をキャップ層41で覆った後に、図8に例示するように、キャップ層41上にさらにキャップ層(第2キャップ層)42を形成してもよい。第2キャップ層42は、キャップ層41と同じ材質であっても、また、異なる材質であってもよい。
【0045】
第2キャップ層42を形成する場合は、例えば、キャップ層41の形成に連続して行う。即ち、キャップ層41の形成を行ったチャンバからその基板を搬出せずに、所定原料ガスを導入し、成膜処理を行うことで、第2キャップ層42を形成する。
【0046】
第2キャップ層42の形成は、キャップ層41に比べてより高温の条件で行うこともできる。例えば、200℃〜450℃の温度で行う。第2キャップ層42の形成を、そのような高温条件で行ったとしても、Cu酸化物層40は、既にキャップ層41で覆われているため、昇華により消失してしまうことはない。また、キャップ層41よりも高温条件で形成することにより、第2キャップ層42をより緻密な膜質で形成することができ、導電部である第1,第2導電層38,39のCuの拡散防止に効果的となる。
【0047】
この第2キャップ層42の形成時のように、キャップ層41の形成後、200℃以上の高温条件で処理を行うと、第1導電層38のMn、及び第1導電層38から第2導電層39に拡散したMnが、Cu酸化物層40へ拡散し、Cu酸化物層40の酸素と反応する。それにより、図8に例示したように、キャップ層41と導電部である第1,第2導電層38,39との界面には、Cu酸化物層40にMnが含有された、化合物層40aが形成される。Mnは、Cu酸化物層40の酸素と反応することで、化合物層40aの内部にMn酸化物構造を形成する。さらに、Cu酸化物層40を、Mnがその表面まで拡散可能な膜厚としておくことで、化合物層40aの表面にもMn酸化物構造が形成されるようになる。
【0048】
また、このような化合物層40aの形成と共に、絶縁層34からバリア層37に酸素が拡散すると、第1導電層38のMnは、その酸素とも反応する。その場合は、図8に例示したように、絶縁層34等と第1導電層38との間に、バリア層37にMnが含有された、複合バリア層37aが形成される。図8には、このような複合バリア層37aが形成されている場合を図示している。
【0049】
このようにして形成される、Mnを含有する化合物層40a及び複合バリア層37aは、導電部である第1,第2導電層38,39のCuの拡散防止膜として機能する。そして、このような化合物層40a及び複合バリア層37aが形成されることにより、導電部内のMnが低減され、導電部の低抵抗化(配線抵抗及びコンタクト抵抗の低減)が図られる。さらに、このような化合物層40aを形成し、キャップ層41との界面にMn酸化物構造を形成すると、キャップ層41と化合物層40aとの密着が強まり、その界面からのCu拡散が効果的に抑えられるようになる。従って、このような導電部を備えた配線層の機械的、電気的な信頼性を向上させることが可能になる。
【0050】
以上説明したように、この第1の実施の形態では、まず、ビアホール36a内及び配線溝36b内に、バリア層37及び第1導電層38を介して第2導電層39を形成し、第1,第2導電層38,39の表面に、低温酸化でCu酸化物層40を形成する。そして、そのCu酸化物層40を、低温条件で形成するキャップ層41で覆った後、高温条件で処理することで、第1,第2導電層38,39内のMnを、Cu酸化物層40内の酸素と反応させ、バリア層37内に酸素が存在する場合にはその酸素と反応させる。その結果、第1,第2導電層38,39とキャップ層41との界面に、Mnを含有する化合物層40aが形成され、第1導電層38と絶縁層34等との界面に複合バリア層37aが形成されるようになる。
【0051】
ところで、ビアホール内及び配線溝内に形成した導電部内のMnの減少、及びその上に形成するキャップ層の密着性向上のためには、次のような手法も考えられる。即ち、ビアホール内及び配線溝内に形成した、Mnを含有する導電部上に、上記のようなCu酸化物層40を形成せず、その代わり、酸素を含有するキャップ層を形成し、その酸素と導電部内のMnとを反応させて、それらの界面にMn酸化物層を形成する手法である。
【0052】
これに対し、上記第1の実施の形態の手法では、Mnを含有する導電部(第1,第2導電層38,39)上に予めCu酸化物層40を形成し、その酸素と導電部内のMnとを反応させるため、必ずしもキャップ層41に酸素が含有されていることを要しない。従って、キャップ層41には、酸素を含有する、或いは酸素を含有しない、種々の絶縁材料を用いることができる。また、導電部上に選択的に、Zr,Co等を含む金属材料等を用いて金属キャップ層を形成することも可能である。金属キャップ層は、無電解めっき法等により形成することができる。
【0053】
なお、以上の説明では、図8に例示したように、高温条件の第2キャップ層42の形成時に、Mnを含有する化合物層40aを形成することで、導電部内のMn量を減少させている。但し、必ずしもこの時点で導電部が所望の低い抵抗値を示していることを要しない。例えば、形成条件によっては、キャップ層41、或いはキャップ層41と第2キャップ層42の形成直後に、化合物層40a等の形成に消費されず、導電部内にそれを高抵抗とするような量のMnが残っている場合もある。しかし、その場合も、化合物層40aの前駆体であるCu酸化物層40に十分な酸素量を確保しておくことで、キャップ層41の形成直後、或いは第2キャップ層42の形成直後の導電部内に残るMnを、加熱を伴う後の工程でさらに化合物層40a内に取り込むことができる。加熱を伴う後の工程は、より上層の層間絶縁膜形成工程やキャップ層形成工程等のほか、化合物層40aの形成を目的として別途設けた熱処理工程等であってもよい。
【0054】
一方、別法として、ビアホール内及び配線溝内に形成した、Mnを含有する導電部上に、上記のようなCu酸化物層40を形成せず、高温酸化によりMn酸化物層を形成する手法も考えられる。これにより、導電部内のMnの減少、及びその上に形成するキャップ層の密着性向上を図る。但し、この手法の場合、酸化条件によっては、最終的に得られる導電部内にもそれを高抵抗とするような量のMnが残ってしまう場合がある。
【0055】
これに対し、上記第1の実施の形態の手法では、Mnを含有する導電部とキャップ層41との界面に、十分な酸素を含有するCu酸化物層40を形成しておき、このCu酸化物層40にMnを取り込み、化合物層40aを形成する。それにより、形成する半導体装置の完成までの間、その導電部内のMnの減少を図ることができると共に、化合物層40aの存在によりキャップ層41の密着性向上を図ることができる。
【0056】
また、以上の説明では、CMP後の清浄化、Cu酸化物層40の形成、及びキャップ層41、第2キャップ層42の形成の各処理を、同一チャンバを使用し、連続して行う場合について例示した。このようにすると、それらの各処理を清浄な環境で、効率的に実施することができる。特に、Cu酸化物層40の膜厚を、自然酸化膜の影響を抑えて、導電部内のMn量に基づき、高精度に制御することが可能になる。なお、それらの各処理は、別々のチャンバを使用して行うこともできる。その場合は、各処理について、その直前の処理条件(雰囲気、圧力等)の制約を受けることなく、それぞれに最適な条件を設定し、各処理を実施することができる。
【0057】
また、以上の説明では、第2キャップ層42の形成時に複合バリア層37aが形成される場合を例示したが、複合バリア層37aは、第2キャップ層42の形成後に行われる加熱を伴う工程で形成されても構わない。このほか、複合バリア層37aは、第2キャップ層42の形成前に、既にその全部又は一部が形成される場合もある。即ち、結晶安定化や清浄化のための熱処理(図3,図5)等では、その処理温度によっては、絶縁層34からバリア層37に酸素が拡散し、その酸素と第1導電層38に含有されていたMnとが反応して、バリア層37にMnが含有された、複合バリア層が形成される場合もある。この場合、その複合バリア層形成に消費されなかったMnが、第2キャップ層42の形成時又はその後の工程において、最終的な複合バリア層37a及び化合物層40aの形成に消費されるようになる。
【0058】
なお、ここでは、ビアホール36a及び配線溝36bの内壁に複合バリア層37aが形成される場合を例示した。但し、ビアホール36a及び配線溝36bに、Ta等の材料を用いたバリア層37の未形成領域が部分的に存在し、その上にCuMnの第1導電層38が形成されて熱処理が行われたような場合には、その未形成領域にMn酸化物層が形成される場合もある。
【0059】
次に、第2の実施の形態について説明する。
ここでは、上記第1の実施の形態と同様、デュアルダマシン法を用いたビア及び配線の形成方法について、図9〜図15を参照して説明する。
【0060】
図9は第2の実施の形態に係る第1導電層形成工程の要部断面模式図である。
まず、上記第1の実施の形態と同様、キャップ層33及び絶縁層34,35に、デュアルダマシン法を用い、絶縁層32に形成された下層配線31に達するビアホール36a及び配線溝36bを形成する。そして、この第2の実施の形態では、ビアホール36a及び配線溝36bの内面及び絶縁層35上に、スパッタリング法等を用い、所定量のCu及びMnを含有するCuMnの第1導電層38を形成する。ここでは、上記第1の実施の形態で述べたような、Ta等の材料を用いたバリア層37は形成しない。
【0061】
図10は第2の実施の形態に係る第2導電層形成工程の要部断面模式図である。
ビアホール36a及び配線溝36bへの第1導電層38の形成後は、ビアホール36a及び配線溝36bを十分に埋める、Cuの第2導電層39を形成する。第2導電層39は、硫酸銅溶液を用いた電解めっき法等を用いて形成することができ、その場合、先に形成した第1導電層38を電極として用いることができるほか、第1導電層38上にCuシード層を形成し(図示せず)、それを電極として用いることもできる。
【0062】
第2導電層39の形成後は、熱処理を行い、その結晶安定化を行う。この結晶安定化のための熱処理は、例えば、窒素と水素の混合ガス雰囲気等の還元性雰囲気で、200℃未満の温度条件で行う。
【0063】
前述のように、酸化膜上に直に、CuMnの導電膜を形成し、非酸化性雰囲気で熱処理を行うと、熱処理温度が200℃以上で、導電膜と下地酸化膜との界面にMn酸化物層が形成される。
【0064】
従って、第2導電層38の結晶安定化のための熱処理を、還元性雰囲気、200℃未満の条件で行った場合には、絶縁層34等と第1導電層38との界面におけるMn酸化物層の形成は抑えられる。また、還元性雰囲気で熱処理を行うため、第1,第2導電層38,39の酸化が抑えられるほか、この熱処理時点での第1,第2導電層38,39表面のMn酸化物形成が抑えられる。
【0065】
図11は第2の実施の形態に係る余剰導電層除去工程の要部断面模式図である。
第2導電層39の結晶安定化後は、CMPにより、絶縁層35の上面に形成されている余剰の第1,第2導電層38,39を、絶縁層35が表出するように除去する。その結果、ビアホール36a内及び配線溝36b内に、第1導電層38を介して第2導電層39が形成された構造が得られる。これにより、ビアホール36a内及び配線溝36b内に、導電部(第1,第2導電層38,39)が形成される。
【0066】
図12は第2の実施の形態に係る清浄化工程の要部断面模式図である。
CMP後は、その基板表面の清浄化を行う。この清浄化は、例えば、還元性ガスを用いたプラズマ処理、或いはアルゴンプラズマを用いたエッチング処理によって行う。清浄化を非酸化性雰囲気で行うことにより、導電部である第1,第2導電層38,39の酸化が抑えられるほか、この清浄化時点での第1,第2導電層38,39表面のMn酸化物形成が抑えられる。なお、この清浄化の際の処理温度によっては、第1導電層38と絶縁層34等との界面にMn酸化物層が形成される場合もある。
【0067】
図13は第2の実施の形態に係るCu酸化物層形成工程の要部断面模式図である。
清浄化後は、その清浄化後の基板に対し、酸化性ガス雰囲気での熱処理を行い、導電部である第1,第2導電層38,39の表面にCu酸化物層40を形成する。ここでは、Cu酸化物層40の形成温度を、200℃未満とすることにより、第1導電層38と絶縁層34等との界面、及び第1,第2導電層38,39表面のMn酸化物形成を抑えて、Cu酸化物層40を形成することができる。
【0068】
図14は第2の実施の形態に係るキャップ層形成工程の要部断面模式図、図15は第2の実施の形態に係る第2キャップ層形成工程の要部断面模式図である。
Cu酸化物層40の形成後は、図14に例示するように、キャップ層41を形成する。このキャップ層41を、200℃未満の低温条件で形成することにより、Cu酸化物層40の昇華が抑えられる。そして、このようにCu酸化物層40をキャップ層41で覆う。その後、図15に例示するように、キャップ層41上に、第2キャップ層42を形成してもよい。第2キャップ層42を形成する場合は、より高温条件で成膜を行ってもよい。例えば、第2キャップ層42を200℃〜450℃で形成する。
【0069】
この第2キャップ層42の形成時のように、キャップ層41の形成後、200℃以上の高温条件で処理を行うと、第1導電層38のMn、及び第1導電層38から第2導電層39に拡散したMnが、Cu酸化物層40の酸素と反応する。それにより、図15に例示したように、キャップ層41と第1,第2導電層38,39との界面には、Cu酸化物層40にMnが含有された、化合物層40aが形成される。さらに、このような化合物層40aの形成と共に、第1導電層38と絶縁層34等との界面には、図15に例示したように、Mn酸化物のバリア層43が自己整合的に形成される。
【0070】
このように、Mnを含有する化合物層40a及びバリア層43を形成することにより、導電部である第1,第2導電層38,39のCuの拡散を効果的に抑えることができる。さらに、第1,第2導電層38,39の低抵抗化と、キャップ層41の密着性向上とを、共に効果的に実現することができる。
【0071】
なお、この第2の実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様、化合物層40aは、第2キャップ層42の形成時に限らず、加熱を伴う別の工程の実施時に形成することもできる。また、CMP後の清浄化、Cu酸化物層40の形成、及びキャップ層41、第2キャップ層42の形成の各処理は、同一チャンバを使用して連続して行うことができるほか、それらの各処理を、別々のチャンバを使用して行うこともできる。また、Mn酸化物のバリア層43は、化合物層40aと共に形成される場合のほか、結晶安定化や清浄化等のより前の工程において、既にその全部又は一部が形成される場合もある。
【0072】
次に、第3の実施の形態について説明する。
ここでは、上記第1の実施の形態と同様、デュアルダマシン法を用いたビア及び配線の形成方法について説明する。なお、この第3の実施の形態において、上記第2の実施の形態で述べた、第1導電層38の形成工程(図9)までは同じである。それ以後の工程について、図16〜図21を参照して説明する。
【0073】
図16は第3の実施の形態に係るバリア層形成工程の要部断面模式図である。
図9に例示したように、ビアホール36a及び配線溝36bの内面及び絶縁層35上に、CuMnの第1導電層38を形成した後、この第3の実施の形態では、200℃以上、好ましくは250℃の温度条件で熱処理を行う。これにより、形成した第1導電層38と絶縁層34等との界面に、Mn酸化物のバリア層43が形成される。
【0074】
以降は、上記第2の実施の形態と同様の流れで行うことができる。
図17は第3の実施の形態に係る第2導電層形成工程の要部断面模式図である。
Mn酸化物のバリア層43の形成後は、ビアホール36a及び配線溝36bに、電解めっき法等を用い、Cuの第2導電層39を形成する。第2導電層39の形成後は、還元性雰囲気、200℃未満の温度条件で熱処理を行い、その結晶安定化を行う。
【0075】
図18は第3の実施の形態に係る余剰導電層等除去工程の要部断面模式図である。
第2導電層39の結晶安定化後は、CMPにより、余剰の第1,第2導電層38,39及びバリア層43を、絶縁層35が表出するように除去する。その結果、ビアホール36a内及び配線溝36b内に、バリア層43を介して第1,第2導電層38,39が形成された構造が得られる。これにより、ビアホール36a内及び配線溝36b内に、バリア層43を介して、導電部(第1,第2導電層38,39)が形成される。
【0076】
図19は第3の実施の形態に係る清浄化工程の要部断面模式図である。
CMP後は、その基板表面の清浄化を、還元性ガスを用いたプラズマ処理、或いはアルゴンプラズマを用いたエッチング処理等によって行う。
【0077】
図20は第3の実施の形態に係るCu酸化物層形成工程の要部断面模式図である。
清浄化後は、酸化性ガス雰囲気、200℃未満の温度条件で熱処理を行い、導電部である第1,第2導電層38,39の表面にCu酸化物層40を形成する。
【0078】
図21は第3の実施の形態に係るキャップ層形成工程の要部断面模式図である。
Cu酸化物層40の形成後は、200℃未満の低温条件で、キャップ層41を形成する。また、キャップ層41の形成後に、その上に、より高温条件で第2キャップ層42を形成してもよい(図15)。
【0079】
第2キャップ層42の形成時、或いはその後の工程で、200℃以上の処理を行うと、バリア層43の形成に消費されなかった第1導電層38のMn、及びその第1導電層38から第2導電層39に拡散したMnが、Cu酸化物層40の酸素と反応する。それにより、キャップ層41と第1,第2導電層38,39との界面に、Cu酸化物層40にMnが含有された、化合物層40aが形成される。
【0080】
このように、Mnを含有する化合物層40a及びバリア層43を形成することにより、導電部である第1,第2導電層38,39のCuの拡散を効果的に抑えることができる。さらに、第1,第2導電層38,39の低抵抗化と、キャップ層41の密着性向上とを、共に効果的に実現することができる。
【0081】
なお、以上の説明では、Cuを主成分とし、Mnを含有する導電部を形成し、その表面にCu酸化物層を形成して、キャップ層の形成後、そのCu酸化物層内に導電部のMnを拡散・含有させる場合を例示した。このほか、Cu,Mn以外の元素を含有する導電部を形成し、その表面に主成分元素の酸化物層を形成して、キャップ層の形成後、その酸化物層に導電部の副成分元素を拡散・含有させるようにすることも可能である。例えば、導電部の副成分としては、Mnのほか、アルミニウム(Al),チタン(Ti),マグネシウム(Mg),ニオブ(Nb),ジルコニウム(Zr),クロム(Cr),バナジウム(V),イットリウム(Y),テクネチウム(Tc),レニウム(Re)等も用いることができる。また、導電部の副成分は、このような元素のうちの1種又は2種以上とすることもできる。
【0082】
また、以上の説明では、副成分元素を含有する導電層を、ビアホールや配線溝の内壁上或いは内壁に沿って形成するようにしたが、このような副成分元素を含有する導電層の形成位置は、これに限定されるものではない。例えば、配線溝内に形成される導電部の上面や中間の位置に形成するようにしてもよい。即ち、導電部の主成分元素の酸化物層を形成する前に、その導電部内のいずれかの位置に、酸化物層に拡散させる副成分元素が存在していればよい。
【0083】
また、以上の第1から第3の実施の形態においてはデュアルダマシン法を用いたビアおよび配線の形成方法について例示したが、シングルダマシン法による下層配線も上記の第1から第3の実施の形態と同様の形態で形成することができる。この場合の半導体装置の一例の部分断面模式図を図22に示す。なお、図1に示す半導体装置と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0084】
図22に例示する半導体装置1aは、図1同様に半導体基板2にSTI法等により形成された素子分離絶縁膜3で画定された素子領域に、MOSトランジスタ4が形成された構造を有している。
【0085】
MOSトランジスタ4が形成された半導体基板2上には、絶縁層5が形成されており、絶縁層5には、MOSトランジスタ4のソース・ドレイン領域4d,4eに達する導電プラグ6,7が形成されている。絶縁層5上には、キャップ層8及び絶縁層9が順に形成されており、キャップ層8及び絶縁層9には、導電プラグ6,7にそれぞれ電気的に接続された下層配線10及びバリア層11と、下層配線12及びバリア層13とが形成されている。下層配線10,12の表面には、下層配線10,12の形成に用いた材料に含有される所定元素を含んだ化合物層43が形成されている。
【0086】
化合物層43及び絶縁層9の上には、キャップ層14及び絶縁層15,16が形成されており、それらには、下層配線12に電気的に接続された、ビア17a及び上層配線17bとして機能する導電部17、及びバリア層18が形成されている。また、導電部17の表面には、導電部17の形成に用いた材料に含有される所定元素を含んだ化合物層19が形成されている。化合物層19及び絶縁層16の上には、キャップ層20が形成されている。
【0087】
このような多層配線のさらに上層には、半導体装置1aの種類に応じ、図面1で説明されたような同様な構成の配線層が必要な層数だけ形成され、最上層には、外部接続用の電極パッド等が形成されるようになる。
【0088】
以上説明した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 第1絶縁層に凹部を形成する工程と、
形成された前記凹部内に、第1元素を主成分とし第2元素を含有する導電部を形成する工程と、
形成された前記導電部の表面を清浄化する工程と、
清浄化された前記導電部の表面に、前記第1元素を含有する酸化物層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0089】
(付記2) 前記第1元素は、Cuであり、前記第2元素は、Mnであることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3) 前記酸化物層を、前記第2元素の量に基づいて設定される酸素量を含有する膜厚で、形成することを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【0090】
(付記4) 前記酸化物層を、酸化性雰囲気下、80℃以上200℃未満の温度で前記導電部の表面を酸化することによって形成することを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0091】
(付記5) 前記導電部の表面の清浄化と、前記酸化物層の形成とを、同一のチャンバを用いて連続して行うことを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0092】
(付記6) 形成された前記酸化物層を被覆する第2絶縁層を形成する工程と、
前記第2絶縁層で被覆された前記酸化物層に前記第2元素を含有させる工程と、
をさらに含むことを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0093】
(付記7) 前記第2絶縁層を、200℃未満の温度で形成することを特徴とする付記6に記載の半導体装置の製造方法。
(付記8) 前記酸化物層に前記第2元素を含有させる工程では、熱処理により前記導電部内の前記第2元素を拡散させて前記酸化物層に含有させることを特徴とする付記6又は7に記載の半導体装置の製造方法。
【0094】
(付記9) 前記凹部内に、バリア層を介して、前記導電部を形成することを特徴とする付記1乃至8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記10) 前記バリア層は、高融点金属材料を用いて形成されることを特徴とする付記9に記載の半導体装置の製造方法。
【0095】
(付記11) 前記バリア層は、前記第2元素の酸化物を含有することを特徴とする付記9又は10に記載の半導体装置の製造方法。
(付記12) 前記凹部内に、前記凹部の内壁と接して、前記導電部を形成することを特徴とする付記1乃至8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0096】
(付記13) 前記凹部内に前記導電部を形成する工程では、
前記凹部の内壁及び前記第1絶縁層の上方に、前記第1,第2元素を含有する第1導電層を形成し、
形成された前記第1導電層の上方に、前記凹部を埋める、前記第1元素を主成分とする第2導電層を形成し、
前記第1絶縁層の上方に形成された前記第1,第2導電層を除去し、前記第1絶縁層を表出させることを特徴とする付記1乃至12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】半導体装置の一例の部分断面模式図である。
【図2】第1の実施の形態に係るバリア層及び第1導電層形成工程の要部断面模式図である。
【図3】第1の実施の形態に係る第2導電層形成工程の要部断面模式図である。
【図4】第1の実施の形態に係る余剰導電層等除去工程の要部断面模式図である。
【図5】第1の実施の形態に係る清浄化工程の要部断面模式図である。
【図6】第1の実施の形態に係るCu酸化物層形成工程の要部断面模式図である。
【図7】第1の実施の形態に係るキャップ層形成工程の要部断面模式図である。
【図8】第1の実施の形態に係る第2キャップ層形成工程の要部断面模式図である。
【図9】第2の実施の形態に係る第1導電層形成工程の要部断面模式図である。
【図10】第2の実施の形態に係る第2導電層形成工程の要部断面模式図である。
【図11】第2の実施の形態に係る余剰導電層除去工程の要部断面模式図である。
【図12】第2の実施の形態に係る清浄化工程の要部断面模式図である。
【図13】第2の実施の形態に係るCu酸化物層形成工程の要部断面模式図である。
【図14】第2の実施の形態に係るキャップ層形成工程の要部断面模式図である。
【図15】第2の実施の形態に係る第2キャップ層形成工程の要部断面模式図である。
【図16】第3の実施の形態に係るバリア層形成工程の要部断面模式図である。
【図17】第3の実施の形態に係る第2導電層形成工程の要部断面模式図である。
【図18】第3の実施の形態に係る余剰導電層等除去工程の要部断面模式図である。
【図19】第3の実施の形態に係る清浄化工程の要部断面模式図である。
【図20】第3の実施の形態に係るCu酸化物層形成工程の要部断面模式図である。
【図21】第3の実施の形態に係るキャップ層形成工程の要部断面模式図である。
【図22】半導体装置の一例の部分断面模式図である。
【符号の説明】
【0098】
1 半導体装置
2 半導体基板
3 素子分離絶縁膜
4 MOSトランジスタ
4a ゲート絶縁膜
4b ゲート電極
4c 側壁絶縁膜
4d,4e ソース・ドレイン領域
5,9,15,16,32,34,35 絶縁層
6,7 導電プラグ
8,14,20,33,41 キャップ層
10,12,31 下層配線
11,13,18,30,37,43 バリア層
17 導電部
17a ビア
17b 上層配線
19,43 化合物層
36a ビアホール
36b 配線溝
37a 複合バリア層
38 第1導電層
39 第2導電層
40 Cu酸化物層
40a 化合物層
42 第2キャップ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層に凹部を形成する工程と、
形成された前記凹部内に、第1元素を主成分とし第2元素を含有する導電部を形成する工程と、
形成された前記導電部の表面を清浄化する工程と、
清浄化された前記導電部の表面に、前記第1元素を含有する酸化物層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1元素は、Cuであり、前記第2元素は、Mnであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記酸化物層を、酸化性雰囲気下、80℃以上200℃未満の温度で前記導電部の表面を酸化することによって形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
形成された前記酸化物層を被覆する第2絶縁層を形成する工程と、
前記第2絶縁層で被覆された前記酸化物層に前記第2元素を含有させる工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記凹部内に、バリア層を介して、前記導電部を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記凹部内に、前記凹部の内壁と接して、前記導電部を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−153582(P2010−153582A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330017(P2008−330017)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】