説明

半導体装置の製造方法

【課題】基板上における所定の形成層のパターニング可能領域を最大限確保することができ、かつ精度の良い装置が製造可能な半導体装置の製造方法を得る。
【解決手段】TFT基板のゲート配線形成工程は以下のステップ(a) ,(b) を実行することによって行う。ステップ(a) :2つのレチクルを順次用いて、所定のレジスト上の露光領域RA1及びRA2を露光した後、現像することによりゲート配線用レジストパターン11を得る。この際、露光領域RA1及びRA2の重複領域DA1にゲート配線用レジストパターン11の一部に凹部7a〜7cからなる位置補正用パターン7を併せて形成する。ステップ(b) :ステップ(a) で得たゲート配線用レジストパターン11を用いて下地の配線用材料をパターニングしてゲート配線及び容量配線を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に液晶表示装置などに用いられる薄膜トランジスタ基板(TFT基板)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のショットにより一つの形成層を露光する方法として、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示された技術がある。
【0003】
特許文献1には、複数のショットから一つのレイヤ(形成層)を露光する場合に、隣接するショット間でパターンの寸法を合わせるために露光量を決定する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、レイヤを形成する各レチクルに付随してアライメントマークを配置することによる、複数のレチクルで形成された素子部パターンおよび分割パターン領域のズレ量を改善する方法が開示されている。
【0005】
特許文献3には、隣接するショット領域(露光領域)間で繋ぎ合せ箇所を有するレジストパターンの内部に、レジストパターンを貫通するネガパターンによる位置補正用マークを形成して補正量を導出する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4014694号公報
【特許文献2】特開2006−310446号公報
【特許文献3】特開2002−270483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2のように位置ズレ補正を行う場合、形成層を形成する領域とは別領域にアライメントマークを形成する必要があるため、アライメントマークの存在により本来の形成層を設けるための領域面積が狭めるという問題点があった。
【0008】
すなわち、Boxマーク等のアライメントマークを位置補正用に適用することにより、比較的容易に重ね合せ精度の向上を図ることができるが、実際に製品として利用するパターンとは別にアライメントマークを配置することになる。この場合、画素として使用する領域にこのアライメントマークを余分に配置することになり、その分、画素サイズが小さくなるという問題点があった。
【0009】
さらに、アライメントマークの存在が製造される本来の半導体装置に悪影響を与えることにより、製造される装置性能を劣化させてします懸念もあった。例えば、画素を構成するパターン部分において、アライメントマークの箇所は表示されないように遮光することで黒点状になるため、表示性能の均一性を確保することが困難となる問題点があった。
【0010】
また、特許文献3のように繋ぎ合せ箇所があるレジストパターンを貫通するネガパターンによる位置補正用マークを形成した場合、当該ネガパターンによってレジストパターンによる本来のパターニング形状を変形してしまうことになるため、パターニング精度を劣化させてしまう問題点があった。
【0011】
さらに、特許文献3では、ネガパターン(貫通孔)を実際に装置で用いるパターン(以下、「実パターン」と略記する)中に形成しているため、ネガパターンを設けるおとにより隣接する露光領域間に跨る実パターンが部分的に切断され、部分的に細くなることによって電気抵抗が高くなる等の問題点も生じてしまう。
【0012】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、基板上に所定の形成層を有する半導体装置を製造する際、基板上における所定の形成層のパターニング領域を最大限確保することができ、かつ精度の良い装置が製造可能な半導体装置の製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係る請求項1記載の半導体装置の製造方法は、基板上における所定の形成層をパターニングする工程を含む半導体装置の製造方法であって、(a) 第1及び第2のレチクルを用いて、前記所定の形成層上に塗布された所定のレジスト上の第1及び第2の部分露光領域を露光した後、現像することにより所定のレジストパターンを得るステップと、(b) 前記所定のレジストパターンを用いて前記所定の形成層をパターニングするステップとを含み、前記第1及び第2の部分露光領域は互いに共通する重複領域を含み、前記所定のレジストパターンは、互いに異なる第1及び第2の方向に関する前記第1及び第2の部分露光領域間の位置ズレが検出可能な位置補正用パターンを前記重複領域内に有し、前記位置補正用パターンは内部に貫通部分を有することなく形成される。
【発明の効果】
【0014】
この発明における半導体装置の製造方法において、レジストパターンは、互いに異なる第1及び第2の方向に関する前記第1及び第2の領域間の位置ズレが検出可能な位置補正用パターンを有している。
【0015】
このため、位置ズレ検出用の位置補正用マークを基板上の所定の形成層をパターニングする領域以外の領域に別途設ける必要はなくなる分、基板上における所定の形成層のパターニング可能領域を最大限確保することができる。
【0016】
さらに、請求項1記載の本願発明は、位置補正用マークを所定のレジストパターンの一部として形成しているため、位置補正用マークを別途設けることに伴う半導体装置に関する不具合を確実に回避することができ、その結果、より精度の良い半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1の製造方法によって製造されるTFT基板におけるゲート配線用のレジストパターンを模式的に示す説明図である。
【図2】図1で示したレジストパターンを得るために用いたレチクルにおける位置補正用パターン形成用領域及びその周辺を模式的に示す説明図である。
【図3】実施の形態2の製造方法によって製造されるTFT基板におけるゲート配線用のレジストパターンを模式的に示す説明図である。
【図4】図3で示したレジストパターンを得るために用いたレチクルにおける位置補正用パターン形成用領域及びその周辺を模式的に示す説明図である。
【図5】隣接する露光領域間の接続部分の位置ズレ状況を示す説明図である。
【図6】ボックスマークの一例を示す説明図である。
【図7】複数の実露光領域に対するボックスマークの配置可能位置を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<発明の原理>
図5は隣接するショット領域(部分露光領域)間の接続部分の位置ズレ状況を示す説明図である。同図(b) に示すように、理想的には、配線パターン用のレチクル部分31a,31bを有する(パターニングされた)レチクル31と、配線パターン用のレチクル部分32a,32bを有するレチクル32とを用いて、境界線33を挟んでレチクル部分31a,32a及びレチクル部分31b,32bがそれぞれ連続的に繋がる状態で露光処理を行う必要がある。すなわち、レチクル31を用いた第1の部分露光領域を得るための第1の露光処理とレチクル32を用いた第2の部分露光領域を得るための第2の露光処理との組合せによって配線用パターンの露光処理を行っている。
【0019】
しかし、レチクル31,レチクル32間でY方向(図中縦方向)に位置ズレが生じると、同図(a) に示すように、レチクル部分31a,32a間、レチクル部分31b,32b間にそれぞれY方向のズレが生じるため、最終的に形成される配線パターンにズレが生じてしまう。
【0020】
図5の例では。2本の配線パターン用のレチクル部分を含むレチクル31,32を例に示したが、実際には(第1及び第2の)部分露光領域の接続部分となる箇所の一辺の長さの分だけ、このようなズレた部分が連続することになり、製品として出来上がったときに、ショットに対応したムラとして視認されやすい。例えば、レチクル31,32間にY方向の位置ズレが生じた場合、レチクル31,32内のすべてのレチクル部分間にY方向の長さ分のズレが生じる。
【0021】
このため、図5(b)に示したように、2つのレチクル31,32間のズレ量を少なくすることが非常に重要となる。
【0022】
図6は、互いに隣接露光される2つのレチクル31,32間の位置ズレ量を測定する際に、使用している重ね合せ専用マーク(以下「ボックスマーク」と称する)例を示す説明図である。
【0023】
図6では、2つのレチクル31,32を用いた第1及び第2の露光処理によって得られる1つのボックスマーク30の例を示している。同図に示すように、ポジパターンであるレチクル部分31mの中心領域にネガパターンであるレチクル部分32mを重ね合わせることで、所定の厚みを有する四辺によって囲まれる矩形状のボックスパターンからなるボックスマーク30を得ることができる。
【0024】
レチクル部分31mはレチクル31の一部として、レチクル31による本来のパターン形成領域外となる重複領域(第1及び第2の部分露光領域間で互いに共通する領域)に形成されるように設けられ、同様に、レチクル部分32mはレチクル32の一部として、レチクル32による本来のパターン形成領域外の上記重複領域に形成されるように設けられる。そして、レチクル31及びレチクル32による第1及び第2の露光処理によって、本体の配線用のレジストパターンを得ると共に、理想的にはレチクル部分31mの中央部分にレチクル部分32mが位置するようにボックスマーク30を併せて形成する。
【0025】
図6に示すように、ボックスマーク30を構成する各辺の厚みによって位置ズレ情報を得ることができる。すなわち、ボックスマーク30の上辺におけるレチクル部分31m,32m間の距離であるY方向寸法Y11、同下辺における距離であるY方向寸法Y12、同左辺における距離であるX方向寸法X11、及び同右辺における距離であるX方向寸法X12から、レチクル31,32間の第1及び第2の露光処理時における位置ズレ情報を得ることができる。
【0026】
具体的には、ボックスマーク30はY方向(縦方向)のズレ量に関しては{|Y11−Y12|/2}、X方向(横方向)のズレ量に関しては、{|X11−X12|/2}という演算式を用いて算出することが可能となり、算出したY方向及びX方向のズレからレチクル31,32間の位置ズレを認識することができる。
【0027】
図7は、複数の実露光領域41A〜41F及び実露光領域42A〜42Fに対するボックスマークの配置可能位置を模式的に示す説明図である。なお、「実露光領域」とは、製造される半導体装置に必要な形成層を実際にパターニングするための露光領域を意味する。
【0028】
図7に示すように、実露光領域41A〜41F及び42A〜42F外に予備露光領域48が設けられている。したがって、実露光領域41A〜41F及び42A〜42Fのうち、互いに隣接する1つの実露光領域間の近傍位置における予備露光領域48内がボックスマーク30を形成可能なボックスマーク形成可能領域45となる。一方、実露光領域41A〜41F及び42A〜42Fのうち、互いに隣接する実露光領域の近傍であっても、実露光領域内にある領域はボックスマーク30が形成不可能なボックスマーク形成不能領域46となる。
【0029】
このように、従来、複数の露光処理の組合せによって一のボックスパターン等の位置補正用マークを形成する場合、必ず実露光領域以外の予備露光領域に設ける必要があった。
【0030】
本発明は、ボックスマーク等の位置補正用のマークを実露光領域内に形成し、かつ、パターニング精度良く形成層をパターニングして半導体装置を得ることが可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【0031】
<実施の形態(概要)>
以下、液晶表示装置のTFT基板を製造対象の半導体装置として場合の製造プロセスの一例として、ゲート配線、半導体層、ソース配線、コンタクト、及び画素電極をそれぞれパターニングして順次形成する場合、所謂5枚マスクプロセスを用いて行うことになる。
【0032】
以下で述べる本実施の形態で説明する内容は一例であり、本発明の趣旨は5枚マスクプロセスに限定するものではない。
【0033】
また、以下で述べる実施の形態ではTFT基板におけるゲート配線及び容量配線をパターニング対象の形成層とした工程を具体的に実施した場合を例として説明しているが、その他の工程であっても同様に適用できる。TFT基板は大量に製造されるため、同一工程を実行する際、後工程の写真製版において、前工程で形成された位置補正用パターンから得られる位置ズレ情報を考慮し、重ね合せを調整することが一般的であり、液晶表示装置のTFT基板の製造に当っては、ゲート配線の形成時に隣接するショット(部分露光領域)間の重ね合せ精度を向上させておくことにより、後工程の重ね合せ精度も向上できる。
【0034】
<実施の形態1>
図1は実施の形態1のTFT基板におけるゲート配線(形成層)のパターニング用のレジストパターンを模式的に示す説明図である。図2は図1で示したレジストパターンを得るために用いたレチクルにおける位置補正用パターン形成用領域及びその周辺を模式的に示す説明図である。
【0035】
図1(a)は、5枚マスクプロセスを用いた場合のゲート工程(ゲート配線及び容量配線等をパターニングして得る工程)における1画素分のレジストパターンを示している。同図(a) 示すように、画素領域1内にゲート配線用レジストパターン11、及び容量配線用レジストパターン12が形成される。
【0036】
図2で示したレチクル21Lによる第1の露光処理による露光領域RA1(図1(a) 参照)とレチクル21Rによる第2の露光処理による露光領域RA2(図1(a) 参照)とは互いに重複領域DA1(図1(a) 参照)で重複するように露光される。したがって、同図(a) の着目領域5を拡大して示した同図(b) に示すように、ゲート配線用レジストパターン11には、凹部7a〜7cからなる位置補正用パターン7(段差パターン)を形成することができる。
【0037】
図1(b) のA−A断面である同図(c) に示すように、基板10(表面に形成される図示しない配線材料等を含む)上に設けられるゲート配線用レジストパターン11が形成されており、ゲート配線用レジストパターン11の上部領域に形成される凹部11a〜11cは他の領域より低い段差を有することにより認識可能となっている。ただし、凹部11a〜11cは貫通していないため、ゲート配線用レジストパターン11によるゲート配線のパターニング精度に影響を与えることはない。
【0038】
図1で示した位置補正用パターン7は図2で示したレチクル21L及び21Rによって形成することはできる。レチクル21Lは図1(a) で示す露光領域RA1に対応して設けられ、レチクル21Rは図1(a) で示す露光領域RA2に対応して設けられる。そして、レチクル21Lにおいて、他の領域とは異なる透過率を有する透過率変更領域21a,21bが重複領域DA1に対応する領域に設けられる。同様に、レチクル21Rにおいて、透過率変更領域21cが重複領域DA1に対応する領域に設けられる。
【0039】
なお、透過率変更領域21a〜21cの透過率はレチクル31、32の他の領域より高く、開口部に比べると低くなるように設定される。このような透過率を有する透過率変更領域21a〜21cは、例えば、グレイトーンやハーフトーン露光などに使う技術を使って形成することができる。
【0040】
その結果、レチクル21L,21Rによる2ショット露光により、図1に示す位置補正用パターン7をゲート配線用レジストパターン11内の一部として形成することができる。
【0041】
その結果、凹部7a,7c間におけるX方向の距離であるX方向寸法X1、凹部7b,7c間におけるX方向の距離であるX方向寸法X2、凹部7bとゲート配線用レジストパターン11の上部エッジとのY方の距離であるY方向寸法Y1、及び、凹部7bとゲート配線用レジストパターン11の下部エッジとのY方の距離であるY方向寸法Y2からなる位置ズレ検出用の寸法特性を有する位置補正用パターン7が得られる。
【0042】
すなわち、X方向寸法X1,X2によってレチクル21L,21R間のX方向の位置ズレを検出することができ、Y方向寸法Y1,Y2によってレチクル21L,21R間のY方向の位置ズレを検出することができる。
【0043】
具体的には、位置補正用パターン7はY方向(縦方向)のズレ量に関しては{|Y1−Y2|/2}、X方向(横方向)のズレ量に関しては、{|X1−X2|/2}という演算式を用いて算出することが可能となり、算出したY方向及びX方向のズレからレチクル21L,21R間の位置ズレを補正する補正量を認識することができる。
【0044】
この測定で得られたズレ量から計算される補正量を、写真製版装置に補正用パラメータとして入力することにより、次回以降に行われる同じゲート工程における重ね合せ精度の向上を図ることができる。
【0045】
実施の形態1におけるTFT基板のゲート配線形成工程は以下のステップ(a) ,(b) を実行することによって行われる。なお、ステップ(a) ,(b) が行われる前提として、基板10上に形成された配線用材料(所定の形成層)上に所定のレジストが塗布されている。
【0046】
ステップ(a) :レチクル21L及び21R(第1及び第2のレチクル)を用いて、所定のレジスト上の露光領域RA1及びRA2(第1及び第2の部分露光領域)を順次露光した後、現像することによりゲート配線用レジストパターン11(所定のレジストパターン)を得る。この際、露光領域RA1及びRA2の重複領域DA1にゲート配線用レジストパターン11の一部に凹部7a〜7cからなる位置補正用パターン7を併せて形成する。
【0047】
ステップ(b) :ステップ(a) で得たゲート配線用レジストパターン11を用いて下地の配線用材料(前記所定の形成層)をパターニングしてゲート配線及び容量配線を得る。
【0048】
実施の形態1のゲート配線等の形成方法において、ステップ(a) の形成時に、ゲート配線用レジストパターン11は、X方向及びY方向(互いに異なる第1及び第2の方向)に関する露光領域RA1及びRA2(第1及び第2の部分露光領域)間の位置ズレが検出可能な位置補正用パターン7を重複領域DA1内に形成している。
【0049】
このため、ボックスマーク等の位置ズレ検出用の位置補正用マークを基板10上のゲート配線等のパターニング領域以外の領域に別途設ける必要はなくなる分、基板上におけるゲート配線及び容量配線のパターニング可能領域を最大限確保することができる。
【0050】
さらに、実施の形態1では、位置補正用パターン7をゲート配線用レジストパターン11の一部として形成しているため、位置補正用パターン7を別途設けることに伴うTFT基板に関する不具合を確実に回避することができ、その結果、より精度の良いTFT基板を得ることができる。
【0051】
加えて、実施の形態1の位置補正用パターン7は、ゲート配線用レジストパターン11の他の領域に対し低い段差を有する凹部7a〜7cとして、内部に貫通部分を有することなく形成されているため、位置補正用パターン7を設けることによってゲート配線用レジストパターン11によるゲート配線用材料に対するパターニング精度を劣化させることはない。
【0052】
さらに、ゲート配線用レジストパターン11はゲート配線のパターニング後には除去されるため、位置補正用パターン7を含むゲート配線用レジストパターン11は装置としては残らないという利点がある。
【0053】
<実施の形態2>
図3は実施の形態2のTFT基板におけるゲート配線(形成層)のパターニング用のレジストパターンを模式的に示す説明図である。図4は図3で示したレジストパターンを得るために用いたレチクルにおける位置補正用パターン形成用領域及びその周辺を模式的に示す説明図である。
【0054】
図3(a)は、5枚マスクプロセスを用いた場合のゲート工程における1画素分のレジストパターンを示している。同図(a) 示すように、画素領域1内にゲート配線用レジストパターン13及び容量配線用レジストパターン14が形成される。
【0055】
図4で示したレチクル23Uを用いた第1の露光処理による露光領域RA3とレチクル23Dを用いた第2の露光処理による露光領域RA4とは互いに重複領域DA2で重複するように露光される。したがって、同図(a) の着目領域6を拡大して示した同図(b) に示すように、容量配線用レジストパターン14には、その一部に部分パターン8a〜8dからなる位置補正用パターン8が併せて形成されている。
【0056】
図3(b)に示すように、部分パターン8a,8dはゲート配線用レジストパターン13においてX方向に延びるX方向パターン部分でありそれぞれY方向にY方向寸法Y3及びY4の形成幅を有している。部分パターン8b,8cはゲート配線用レジストパターン13においてY方向に延びるY方向パターン部分でありそれぞれX方向にX方向寸法X3及びX4の形成幅を有している。
【0057】
このように、位置補正用パターン8はゲート配線用レジストパターン13の一部のパターンを規定する部分であるため、位置補正用パターン8自体がゲート配線のパターニングに必須な部分として機能する。
【0058】
図3で示した位置補正用パターン8は図4で示したレチクル23U及び21Rによって形成することはできる。ポジパターンであるレチクル23Uは図3(a) で示す露光領域RA3に対応して設けられ、ネガパターンであるレチクル23Dは図3(a) で示す露光領域RA4に対応して設けられる。
【0059】
そして、レチクル23Uによる露光領域RA3への第1の露光処理、レチクル23Dによる露光領域RA4への第2の露光処理の後、レチクル23Uによってパターニングされたポジ領域のうち、レチクル23Dによってパターニングされたネガ領域と重複しない部分のみが、ゲート配線用レジストパターン13あるいは容量配線用レジストパターン14として残存する。
【0060】
その結果、レチクル23U,21Rによる第1及び第2の露光処理による2ショット露光により、図3に示す位置補正用パターン8をゲート配線用レジストパターン13内の一部パターンとして形成することができる。
【0061】
その結果、部分パターン8bの形成幅であるX方向寸法X3、部分パターン8cの形成幅であるX方向寸法X4、部分パターン8aの形成幅であるY方向寸法Y3、及び、部分パターン8dの形成幅であるY方向寸法Y4からなる位置ズレ検出用の寸法特性を有する位置補正用パターン8が得られる。
【0062】
位置補正用パターン8において、部分パターン8aのY方向寸法Y3はレチクル23Uよってのみ規定される寸法であり、部分パターン8bのX方向寸法X3はレチクル23U,レチクル23D間のX方向の位置合わせ(ズレ)状態で規定される寸法である。また、部分パターン8cのX方向寸法X4はレチクル23Dよってのみ規定される寸法であり、部分パターン8dのY方向寸法Y4はレチクル23U,レチクル23D間のY方向の位置合わせ(ズレ)状態で規定される寸法である。
【0063】
すなわち、X方向寸法X3,X4によってレチクル23U,21R間のX方向の位置ズレを検出することができ、Y方向寸法Y3,Y4によってレチクル23U,21R間のY方向の位置ズレを検出することができる。
【0064】
具体的には、位置補正用パターン8はY方向(縦方向)のズレ量に関しては{|Y3−Y4|/2}、X方向(横方向)のズレ量に関しては、{|X3−X4|/2}という演算式を用いて算出することが可能となり、算出したY方向及びX方向のズレからレチクル23U,23D間の位置ズレを補正する補正量を認識することができる。
【0065】
この測定で得られたズレ量から計算される補正量を、写真製版装置に補正用パラメータ入力することにより、次回以降に行われる同じゲート工程における重ね合せ精度の向上を図ることができる。
【0066】
実施の形態2におけるTFT基板のゲート配線形成工程は以下のステップ(a) ,(b) を実行することによって行われる。なお、ステップ(a) ,(b) が行われる前提として、基板10上に形成された配線用材料(所定の形成層)上に所定のレジストが塗布されている。
【0067】
ステップ(a) :レチクル23U及び23D(第1及び第2のレチクル)を用いて第1及び第2の露光処理を順次実行して、所定のレジスト上の露光領域RA3及びRA4(第1及び第2の部分露光領域)露光した後、現像することによりゲート配線用レジストパターン13及び容量配線用レジストパターン14(所定のレジストパターン)を得る。この際、露光領域RA3及びRA4の重複領域DA2に部分パターン8a〜8dからなる位置補正用パターン8を容量配線用レジストパターン14の一部として得る。
【0068】
ステップ(b) :ステップ(a) で得たゲート配線用レジストパターン13及び容量配線用レジストパターン14を用いて配線用材料(前記所定の形成層)をパターニングしてゲート配線及び容量配線を得る。
【0069】
実施の形態2のゲート配線形成方法において、ステップ(a) の形成時に、ゲート配線用レジストパターン13は、X方向及びY方向(互いに異なる第1及び第2の方向)に関する露光領域RA3及びRA4(第1及び第2の部分露光領域)間の位置ズレが検出可能な輪郭形状パターンで位置補正用パターン8を重複領域DA2内に形成している。
【0070】
このため、ボックスマーク等の位置ズレ検出用の位置補正用マークを基板上のゲート配線等のパターニング領域以外の領域に別途設ける必要はなくなる分、基板上におけるゲート配線のパターニング可能領域を最大限確保することができる。
【0071】
さらに、実施の形態2では、位置補正用パターン8をゲート配線用レジストパターン13の一部として機能する輪郭形状パターンとして形成しているため、位置補正用パターン8を別途設けることに伴うTFT基板に関する不具合を確実に回避することができ、その結果、より精度の良いTFT基板を得ることができる。
【0072】
加えて、実施の形態2の位置補正用パターン8は、ポジパターンとして用いるレチクル23U及びネガパターンとして用いるレチクル23D双方の露光・現像処理によってはじめて得られる組合せパターン部分として得ている。実施の形態2では、元々、縦横にエッジのあるパターンを有するという容量配線の特性に着目し、該エッジ部分に対応するレジストパターンを位置補正用パターン8として活用している。
【0073】
したがって、輪郭形状パターンである位置補正用パターン8は内部に貫通部分を有することなく形成されているため、位置補正用パターン8を設けることによってゲート配線用レジストパターン13及び容量配線用レジストパターン14による配線用材料に対するパターニング精度を劣化させることはない。
【0074】
さらに、ゲート配線用レジストパターン13及び容量配線用レジストパターン14はゲート配線のパターニング後には除去されるため、位置補正用パターン8を含むゲート配線用レジストパターン13及び容量配線用レジストパターン14は装置としては残らないという利点がある。
【符号の説明】
【0075】
1,2 画素領域、7,8 位置補正用パターン、7a〜7c 凹部、8a〜8d 部分パターン、11,13 ゲート配線用レジストパターン、12,14 容量配線用レジストパターン、21a〜21c 透過率変更領域、21L,21R,23U,23D レチクル、DA1,DA2 重複領域、RA1〜RA4 露光領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上における所定の形成層をパターニングする工程を含む半導体装置の製造方法であって、
(a) 第1及び第2のレチクルを用いて、前記所定の形成層上に塗布された所定のレジスト上の第1及び第2の部分露光領域を露光した後、現像することにより所定のレジストパターンを得るステップと、
(b) 前記所定のレジストパターンを用いて前記所定の形成層をパターニングするステップとを含み、
前記第1及び第2の部分露光領域は互いに共通する重複領域を含み、
前記所定のレジストパターンは、互いに異なる第1及び第2の方向に関する前記第1及び第2の部分露光領域間の位置ズレが検出可能な位置補正用パターンを前記重複領域内に有し、
前記位置補正用パターンは内部に貫通部分を有することなく形成される、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記位置補正用パターンは、前記重複領域内に形成され、他の領域に対し異なる段差を有する段差パターンを含み、
前記第1及び第2のレチクルは前記段差パターンに対応する領域に、他の領域と異なる透過率を有する透過率変更領域を有する、
半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記位置補正用パターンは前記第1及び第2の方向に延びて形成される輪郭形状パターンを含み、
前記第1及び第2のレチクルのうち、一方は前記輪郭形状パターンをポジパターンとして規定し、他方は前記輪郭形状パターンをネガパターンとして規定する、
半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−24970(P2013−24970A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157759(P2011−157759)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】