説明

半導体装置の製造方法

【課題】EUV光リソグラフィ用マスクの位相欠陥を簡便に救済する技術を提供する。
【解決手段】EUVリソグラフィ用マスクの製造に用いるマスクブランクの位相欠陥検査工程で位相欠陥が検出された場合、前記位相欠陥が凹欠陥か凸欠陥かを判定し、前記位相欠陥の凹凸に応じて、前記EUVリソグラフィ用マスクの前記位相欠陥を含む部位を局所的にデフォーカスさせて露光を行うことにより、EUVリソグラフィ用マスクの位相欠陥を修正することなく、半導体ウエハへの回路パターンの異常転写を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、露光光源として極端紫外線(Extreme Ultra-Violet:以下、EUVという)を用いる光リソグラフィ工程を有する半導体装置の製造に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LSI、ICなどの半導体デバイスは、回路パターンが描かれた原版であるマスクに露光光を照射し、前記回路パターンを、縮小光学系を介して半導体基板(以下、「ウエハ」と称する)上に転写する光リソグラフィ工程を繰り返し用いることによって、大量生産されている。
【0003】
近年、半導体デバイスの微細化が進み、光リソグラフィの露光波長をより短くして解像度を上げる方法が検討されている。すなわち、これまでは波長193nmのフッ化アルゴン(ArF)エキシマレーザ光を光源に用いるArFリソグラフィが開発されてきたが、最近では、それよりも遙かに波長の短いEUV光(波長=13.5nm)を用いるリソグラフィの開発が進められている。
【0004】
上記EUV光の波長域では、物質の光吸収の関係で、従来の光リソグラフィ用透過マスクが使用できない。そのため、EUVリソグラフィ用のマスクブランクとしては、例えばMo(モリブデン)膜とSi(シリコン)膜とを交互に積層した多層膜による反射を利用した多層膜反射基板が使用される。この多層膜反射は、一種の干渉を利用した反射である。
【0005】
EUVリソグラフィ用のマスクは、石英ガラスや低熱膨張ガラスからなる基板上に上記した多層膜が被着された多層膜ブランクと、この多層膜ブランク上に形成された吸収体パターンとで構成されている。EUVリソグラフィでは、露光波長が13.5nmと極めて短いため、マスク表面に露光波長の数分の1程度のごく僅かな高さの異常が発生した場合でも、その高さ異常に起因して反射率の局所的な差が生じ、転写の際に欠陥を生じさせる。このように、EUV光リソグラフィマスクは、従来の光リソグラフィ用透過マスクと比較した場合、欠陥転写に関して質的に大きな差があることから、位相欠陥の転写が実用上の大きな問題となっている。
【0006】
上記した位相欠陥の検査方法の代表的なものとして、レーザ光をマスクブランクに対して斜め方向から照射し、その乱反射光から異物を検出するレーザ検査法と、マスクパターン露光に用いる波長と同じ波長のEUV光を用いて欠陥検出する同波長(at wavelengthまたはActinic)欠陥検査法とが知られている。このうち、位相欠陥検査感度が高いものは、後者であり、ハーフピッチ22nm以降の微細パターンに対応した位相欠陥検査では、この同波長(at wavelength)欠陥検査法が不可欠と考えられている。
【0007】
また、同波長欠陥検査法には、暗視野像を用いる方法(例えば特許文献1、5参照)、明視野を用いるX線顕微鏡法(例えば特許文献2参照)、暗視野を用いて欠陥を検出し、フレネルゾーンプレートを用いた明視野系で欠陥同定を行う暗視野明視野併用法(例えば特許文献3参照)などがある。
【0008】
上記した同波長欠陥検査法のうち、明視野を用いるX線顕微鏡法は感度が高いが、ノイズに検査信号が埋もれ易くなることから、検査に用いるピクセルサイズを小さくする必要があり、フルフィールドの検査はスループットの観点から難しいと言う問題がある。これに対し、暗視野像を用いる方法は、検査感度が高く、かつノイズも少ないことから、検査に用いるピクセルサイズも比較的大きく取れ、フルフィールド検査に適している。
【0009】
また、上記した各種位相検査法に基づくEUV光リソグラフィマスクの欠陥修正法としては、吸収体パターンの輪郭を修正し、露光装置でパターンを転写したときの投影像を改善する手法(例えば特許文献4参照)が開示されている。EUV光リソグラフィマスクの欠陥修正にこのような手法を採用する理由は、40層以上にも及ぶ多層膜の内部あるいはそれよりも下層に生じた核による位相欠陥を直接修正することが難しいからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−114200号公報
【特許文献2】特開平6−349715号公報
【特許文献3】米国特許出願公開2004−0057107号明細書
【特許文献4】特表2002−532738号公報
【特許文献5】特開2007−219130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
EUV光リソグラフィ用のマスクに位相欠陥が見つかった場合には、特許文献4に示されるように、位相欠陥のある場所を特定し、その近傍の吸収体パターンの輪郭を補正する、あるいは欠陥場所が吸収体パターンの直下になるようなマスクを使用するなどの救済策が採られる。
【0012】
これらの救済策は、位相欠陥自体を直接修正するのではなく、位相欠陥に隣接する吸収体パターンを加工修正することによって投影像の光強度分布を調整し、所望の転写寸法やパターンが得られるようにするものである。
【0013】
しかしながら、これらの救済策を実際に行った場合には、吸収体パターンが障害となって位相欠陥の大きさやインパクトが単純には特定できないために、欠陥の修正に多数の工程が必要となり、修正効率が悪いと言う問題があった。
【0014】
すなわち、これらの救済策では、位相欠陥の全容が把握できないため、吸収体パターンの追加加工を行う度に吸収体パターンの影や直下に隠れていた位相欠陥が顕在化し、欠陥修正がなかなか完結しないという問題があった。また、こうした修正効率の問題に加え、トライ・アンド・エラーでの修正となるため、修正に必要な工数や時間が読みきれず、マスク製造の時間管理と言う観点からも問題があった。
【0015】
このように、EUV光リソグラフィ用マスクの位相欠陥修正は容易ではなく、効率、時間、コストの各面で多大な問題があることから、位相欠陥を露光法などで簡便に救済し、微細な位相欠陥がある場合でも高い歩留まりで半導体装置を製造する方法が強く望まれている。
【0016】
本発明の目的は、EUV光リソグラフィ用マスクの位相欠陥を簡便に救済する技術を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、EUV光リソグラフィ用マスクを用いた半導体装置の製造歩留まりを向上させる技術を提供することにある。
【0018】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一態様を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0020】
この一態様は、少なくとも基板と多層膜と吸収体パターンとを有するEUVリソグラフィ用マスクを使用して半導体ウエハに回路パターンを転写する露光工程を有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記EUVリソグラフィ用マスク、またはその製造に用いるマスクブランクの位相欠陥検査を行う工程と、
(b)前記工程(a)で位相欠陥が検出された場合、前記位相欠陥が凹欠陥か凸欠陥かを判定する工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記位相欠陥の凹凸に応じて、前記EUVリソグラフィ用マスクの前記位相欠陥を含む部位を局所的にデフォーカスさせて露光を行う工程と、
を含むものである。
【発明の効果】
【0021】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0022】
EUVリソグラフィ用マスクの位相欠陥を修正することなく、半導体ウエハへの回路パターンの異常転写を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態1で用いるEUVリソグラフィ用マスクの平面図、(b)は、(a)のA−A線断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1で用いるEUV投影露光装置の概略構成図である。
【図3】(a)は、EUV投影露光装置のウエハステージを示す平面図、(b)は、(a)のB−B線断面図である。
【図4】(a)は、EUVリソグラフィ用マスクのマスクブランクに凹形状の位相欠陥が生じた状態を示す製造工程中の要部断面図、(b)は、(a)に示すマスクブランクにバッファー層およびパターンを形成したEUVリソグラフィ用マスクの要部断面図、(c)は、凸形状の位相欠陥が生じたマスクブランクにバッファー層およびパターンを形成したEUVリソグラフィ用マスクの要部断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1で用いるマスクブランク検査装置の概略構成図である。
【図6】本発明の実施の形態1による半導体装置の露光工程を示すフロー図である。
【図7】露光時のウエハステージを上方から見た平面図である。
【図8】(a)は、位相欠陥が凹形状である場合の位相欠陥救済方法を示すウエハステージの要部断面図、(b)は、位相欠陥が凸形状である場合の位相欠陥救済方法を示すウエハステージの要部断面図である。
【図9】ウエハのデフォーカス量と、ウエハに転写されたパターンの設計値からの寸法誤差との関係を示すグラフである。
【図10】(a)、(b)は、本発明の実施の形態2である位相欠陥救済方法の一例を示すEUVリソグラフィ用マスクの要部断面図である。
【図11】(a)、(b)は、本発明の実施の形態2である位相欠陥救済方法の別例を示すEUVリソグラフィ用マスクの要部断面図である。
【図12】本発明の実施の形態2による半導体装置の露光工程の一例を示すフロー図である。
【図13】(a)は、本発明の実施の形態2で用いるマスクステージの要部断面図、(b)は、位相欠陥が凹形状である場合の位相欠陥救済方法を示すマスクステージの要部断面図、(c)は、位相欠陥が凸形状である場合の位相欠陥救済方法を示すマスクステージの要部断面図である。
【図14】本発明の実施の形態2による半導体装置の露光工程の別例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、実施の形態では、特に必要なときを除き、同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。さらに、実施の形態を説明する図面においては、構成を分かり易くするために、平面図であってもハッチングを付す場合や、断面図であってもハッチングを省略する場合がある。
【0025】
(実施の形態1)
まず最初に、本実施の形態1で用いるEUVリソグラフィ用マスクの構成について説明する。図1(a)は、EUVリソグラフィ用マスクの吸収体パターンが形成された面を示す平面図、図1(b)は、同図(a)のA−A線断面図である。
【0026】
図1(a)に示すように、EUVリソグラフィ用マスク10の中央部には、デバイスパターンエリア11が配置されている。図示は省略するが、このデバイスパターンエリア11には、半導体装置の回路パターンが形成されている。また、デバイスパターンエリア11の外側には、EUVリソグラフィ用マスク10の位置合わせのためのマークやウエハアライメントマークなどが形成されたアライメントマークエリア12a、12b、12c、12dが配置されている。
【0027】
図1(b)に示すように、EUVリソグラフィ用マスク10のマスクブランクは、石英ガラスまたは低熱膨張ガラスからなる厚さ7〜8mm程度の基板13と、基板13の主面に形成され、Mo膜とSi膜とを交互に40層程度積層した厚さ300nm程度の多層膜14と、多層膜14の上部に形成されたキャッピング層15と、基板13の裏面に形成され、EUVリソグラフィ用マスク10を静電吸着方式でチャックするためのメタル膜16とによって構成されている。また、マスクブランクの最上層(キャッピング層15)の上部には、バッファ層17を介して厚さ50〜70nm程度の吸収体パターン18が形成されている。前述したデバイスパターンエリア11内の回路パターンおよびアライメントマークエリア12a、12b、12c、12d内のマークは、吸収体パターン18によって構成されている。
【0028】
次に、図2を用いて上記EUVリソグラフィ用マスク10を用いるEUV投影露光装置の構成について説明する。
【0029】
図2に示すように、EUV投影露光装置20の光源21から発する中心波長13.5nmのEUV光ELは、複数の多層膜反射鏡からなる照明光学系22を介してEUVリソグラフィ用マスク10のパターン面(図1に示した吸収体パターン18が形成されている面)に照射される。EUVリソグラフィ用マスク10は、静電吸着方式によってマスクステージ60の下面に吸着・保持されている。
【0030】
上記EUVリソグラフィ用マスク10のパターン面で反射したEUV光ELは、複数の多層膜反射鏡からなる縮小投影光学系23を通過してウエハ24の主面に照射され、EUVリソグラフィ用マスク10に形成された回路パターンをウエハ24に転写する。そして、ウエハ24が搭載されたウエハステージ25の移動と上記したパターン転写の繰り返しとにより、ウエハ24の複数の領域(後述するチップショット)に上記回路パターンが順次転写される。
【0031】
EUVリソグラフィ用マスク10のパターン面に対するEUV光ELの入射角度は、照明光学系22からEUVリソグラフィ用マスク10に入射する光と、EUVリソグラフィ用マスク10のパターン面で反射して縮小投影光学系23に入射する光とが互いに分離されるよう、約6度に設定されている。そのため、EUVリソグラフィ用マスク10に形成された多層膜14は、EUV光ELが6度の入射角で入射したとき、反射率がほぼ最大になるように、その周期長が定められている。
【0032】
次に、図2に示したEUV投影露光装置20のウエハステージ25の構成について、図3を参照しながら説明する。図3(a)は、ウエハ24が搭載されたウエハステージ25を上方から見た平面図、図3(b)は、図3(a)のB−B線断面図である。
【0033】
図3に示すように、ウエハステージ25は、ウエハステージ架台26と、ウエハステージ架台26の上面に垂直に立てられた複数本のチャックピン27とを備えており、ウエハ24は、静電チャック方式によってこれらのチャックピン27に吸着・保持されている。また、複数本のチャックピン27のそれぞれは、図示しない駆動機構によって、互いに独立して上下動できるようになっている。
【0034】
次に、図4を用いてEUVリソグラフィ用マスク10のマスクブランクに生じる位相欠陥について説明する。図4(a)は、EUVリソグラフィ用マスク10のマスクブランクに位相欠陥が生じた状態を示す製造工程中の要部断面図、図4(b)は、図4(a)に示すマスクブランクにバッファー層17および吸収体パターン18を形成したEUVリソグラフィ用マスク10の要部断面図である。
【0035】
図4(a)は、マスクブランクの基板13上に多層膜14を被着させる際、基板13の主面上に微細な窪みが生じた状態で多層膜14を被着させた結果、凹形状(ピット状)の位相欠陥19aが生じた一例を示している。図4(b)は、このような凹形状の位相欠陥19aが生じたマスクブランクにバッファー層17および吸収体パターン18を形成し、隣り合う吸収体パターン18の間の領域に位相欠陥19aが露出した状態を示している。
【0036】
一方、図4(c)は、多層膜14を被着させる際に凸形状(バンプ状)の位相欠陥19bが生じたマスクブランクにバッファー層17および吸収体パターン18を形成し、隣り合う吸収体パターン18の間の領域に位相欠陥19bが露出したEUVリソグラフィ用マスク10の要部断面図である。
【0037】
ここで、凹形状の位相欠陥19aの深さが2〜3nm程度である場合、または凸形状の位相欠陥19bの高さが2〜3nm程度である場合には、ウエハ24の主面に転写される回路パターンの投影像に乱れが生じるため、ウエハ24に形成される集積回路に欠陥が生じることになる。従って、EUVリソグラフィ用マスク10の製造工程では、バッファー層17および吸収体パターン18を形成する前のマスクブランクの段階で位相欠陥19a、19bを検出する必要がある。
【0038】
次に、図5を用いてマスクブランク検査装置の構成について説明する。なお、以後の説明では検査対象をマスクブランクと記載するが、吸収体パターン18が形成されたマスクも検査対象に含まれるものとする。すなわち、実際に検出しようとする欠陥は、多層膜14に発生した位相欠陥がメインであるから、吸収体パターン18が形成されたマスクであっても、マスクブランク部分の欠陥を検出することになるからである。
【0039】
図5に示すように、マスクブランク検査装置30は、EUV光を検査光として用い、暗視野検査像を収集する検査装置であり、検査用EUV光BMを発生する光源31、マスクブランク10Mを載置するためのマスクステージ32、照明光学系33、結像光学系34、2次元アレイセンサー(画像検出器)35、センサー回路36、パターンメモリ37、信号処理回路38、タイミング制御回路39、マスクステージ制御回路40、および装置全体の動作を制御するシステム制御コンピュータ41などで構成されている。また、このマスクブランク検査装置30には、マスクパターンに関する種々のデータを格納するデータファイル42が備えられている。
【0040】
検査用EUV光BMを発生する光源31には、必要に応じて波長選択フィルター、圧力隔壁手段、または飛散粒子抑制手段などが備えられている。結像光学系34は、凹面鏡L1と凸面鏡L2とで構成され、集光NA=0.25、中心遮蔽MA=0.1、倍率26倍の暗視野結像光学系を構成するシュバルツシルド光学系である。
【0041】
位相欠陥19の有無が検査されるマスクブランク10Mは、X−Y−Zの3軸方向に移動可能なマスクステージ32に載置される。光源31から発する中心波長13.5nmの検査用EUV光BMは、照明光学系33を通して収束ビームに変換された後、多層膜ミラー43で折り曲げられてマスクブランク10Mの所定の領域に入射する。マスクブランク10Mの位置は、マスクステージ32に固定されたミラー44の位置をレーザ測長器45で読み込むことにより、マスクステージ32の位置情報として得られる。この位置情報は、位置回路46に送られ、システム制御コンピュータ41によって認識される。
【0042】
上記多層膜ミラー43は、その位置や角度を制御するミラー姿勢制御手段47によって支持されている。また、異なるミラーとの交換も可能な構成となっている。さらに、ビームスプリッタや小領域ミラーでEUV光BMの一部を分岐してEUV光用センサー48で光量をモニタし、照明強度補正回路49において、信号処理のための閾値を設定することができる。このビームスプリッタを用いる場合、多層膜ミラー43は、例えばMo膜とSi膜とを交互に数対から10対程度積層した多層膜で構成することができる。
【0043】
マスクブランク10Mからの反射光のうち、マスクブランク10Mの欠陥部で散乱した光は、結像光学系34を介して収束ビームSLIを形成し、2次元アレイセンサー35に集光する。すなわち、2次元アレイセンサー35には、マスクブランク10Mの暗視野検査像が形成される結果、マスクブランク10Mに残存する位相欠陥は、検査画像の中で輝点として検出される。検出された位相欠陥については、その位置および欠陥信号の強度などの情報が記憶装置51に記憶されると共に、種々の情報をパターンモニタ52または画像出力部53を介して観察することができる。位相欠陥の形状が凹形状(ピット状)であるか凸形状(バンプ状)であるかは、マスクステージ32を上下方向に移動して欠陥部の信号強度を測定し、その強度ピークのフォーカス特性を調べることによって判別できる。なお、このような位相欠陥の種類の判別方法については、前述した特許文献5(特開2007−219130号公報)に詳細な記載がある。
【0044】
次に、本実施の形態1による半導体装置の露光工程について、図6(フロー図)を参照しながら説明する。
【0045】
まず、少なくとも多層膜14の被着が完了したマスクブランク10M(またはマスク)を用意し(S101)、この段階で図5に示したマスクブランク検査装置30を用いて位相欠陥検査を行う(S102)。
【0046】
そして、位相欠陥がない場合には、このマスクブランク10Mに吸収体パターン18などを形成してEUVリソグラフィ用マスク10を完成させた後、図2に示したEUV投影露光装置20を用いた露光により、EUVリソグラフィ用マスク10の回路パターンをウエハ24に転写する(S109)。
【0047】
他方、マスクブランク10Mに位相欠陥が見つかった場合には、その場所をマスクブランク検査装置30の記憶装置51(図5参照)に登録し(S103)、その場所での位相欠陥の信号強度Iを予め定めた信号レベルであるIおよびI(>I)と比較する。そして、信号強度IがI以下であった場合(I≦I)には、その位相欠陥が致命的な欠陥にならないと判定し、EUVリソグラフィ用マスク10を完成させた後、通常の方法で露光を行う(S109)。また、信号強度IがIを越えた場合(I>I)は、修正困難な異常欠陥と判定してマスクを再作製し(S105)、工程(S101)に戻って次の位相欠陥検査工程(S102)に進む。さらに、信号強度IがIを越え、かつI以下であった場合(I<I≦I)は、前述したように、マスクブランク検査装置30のマスクステージ32を上下方向に移動して信号強度Iのフォーカス特性を調べ、位相欠陥の形状が凹形状であるか凸形状であるかの判定を行う(S106)。
【0048】
次に、このマスクブランク10Mに吸収体パターン18などを形成してEUVリソグラフィ用マスク10を完成させた後、このEUVリソグラフィ用マスク10をEUV投影露光装置20に装着すると共に、ウエハ24をウエハステージ25に搭載する。
【0049】
そして、工程(S106)で得られた判定結果に従い、ウエハステージ25を以下のように操作しながら露光を行う。
【0050】
図7は、露光時のウエハステージ25を上方から見た平面図である。図7に示すように、ウエハステージ25に搭載されたウエハ24の主面は、複数のチップショット28に区画されている。各チップショット28は、1回の露光によってEUVリソグラフィ用マスク10の回路パターンが転写される領域であり、隣り合うチップショット28の境界に沿ってウエハ24をダイシングすることにより、半導体チップが得られる。
【0051】
位相欠陥があるEUVリソグラフィ用マスク10を使って通常の露光を行った場合は、ウエハ24に位相欠陥が転写されるため、ウエハ24の各チップショット28に転写欠陥29が発生する。
【0052】
EUVリソグラフィ用マスク10に存在する位相欠陥の場所は、前述した工程(103)でマスクブランク検査装置30の記憶装置51に登録されている。従って、ウエハ24のチップショット28内のどこに転写欠陥29が発生するかは、記憶装置51に登録された位相欠陥の場所を参照することによって、あらかじめ知ることができる。
【0053】
そこで、前述の工程(S106)で位相欠陥が凹形状であると判定された場合は、図8(a)に示すように、ウエハ24を吸着・保持している複数本のチャックピン27のうち、転写欠陥29が発生する領域(位相欠陥対応部)の下方に位置するチャックピン27を下方に後退させ(S107)、この領域のウエハ24の表面を凹ませる。すなわち、位相欠陥が凹形状である場合は、ウエハ24の位相欠陥対応部とEUV投影露光装置20の縮小投影光学系23(図2参照)との距離が長くなるように、ウエハ24を局所的にデフォーカスさせて露光を行う(S109)。
【0054】
一方、位相欠陥が凸形状であると判定された場合は、図8(b)に示すように、転写欠陥29が発生する領域の下方に位置するチャックピン27を上方に突出させ(S108)、この領域のウエハ24の表面を盛り上げる。すなわち、位相欠陥が凸形状である場合は、ウエハ24の位相欠陥対応部と縮小投影光学系23との距離が短くなるように、ウエハ24を局所的にデフォーカスさせて露光を行う(S109)。
【0055】
図9は、隣り合う2つの吸収体パターン18から等距離の位置に最大高さ=1.2nm、幅=40nmのガウシアン(Gaussian)形状を有する凸形状の位相欠陥19bが存在するEUVリソグラフィ用マスク10の転写特性を示すグラフである。
【0056】
ここで、グラフの横軸はウエハ24のデフォーカス量、縦軸はウエハ24に転写されたパターンの設計値からの寸法誤差を示している。また、グラフ中の曲線Aは、吸収体パターン18のライン(L)/スペース(S)がそれぞれ16nmである場合の転写特性を示し、曲線Bは、吸収体パターン18のライン(L)/スペース(S)がそれぞれ26nmである場合の転写特性を示している。なお、ウエハ24のデフォーカス量が正であるとは、ウエハ24の位相欠陥対応部を縮小投影光学系23との距離が短くなる方向にデフォーカスさせることを意味し、デフォーカス量が負であるとは、ウエハ24の位相欠陥対応部を縮小投影光学系23との距離が長くなる方向にデフォーカスさせることを意味している。
【0057】
図9に示すように、ウエハ24の位相欠陥対応部を正にデフォーカスさせることにより、凸形状の位相欠陥19bに起因する異常転写(設計値からの寸法誤差)を小さくすることができる。
【0058】
このように、本実施の形態1によれば、EUV投影露光装置20のウエハステージ25に搭載したウエハ24を局所的に正または負にデフォーカスさせて露光を行うことにより、EUVリソグラフィ用マスク10に存在する位相欠陥を修正することなく、ウエハ24への回路パターンの異常転写を抑制することができる。
【0059】
この場合、デフォーカスさせる領域はウエハ24の位相欠陥対応部のみであり、他の領域はデフォーカスさせないので、ウエハ24の他の領域で回路パターンの転写特性が低下する恐れはない。また、通常の露光方法に比べて露光時間が長くなるような問題も生じない。これにより、トライ・アンド・エラーで欠陥修正を行う従来方法とは異なり、マスク製造の時間管理や半導体製造のTAT(Turn Around Time)見込みも容易に立てられるという効果が得られる。
【0060】
従って、本実施の形態1によれば、半導体装置の製造歩留まり、製造コストおよびTATの面で高い効果が得られる。
【0061】
(実施の形態2)
前記実施の形態1の位相欠陥救済方法では、EUV投影露光装置20のウエハステージ25に搭載したウエハ24の一部(位相欠陥対応部)を変形させることによって、当該ウエハ24の一部をEUVリソグラフィ用マスク10に対してデフォーカスさせた。
【0062】
本実施の形態2では、EUVリソグラフィ用マスク10の一部を変形させる位相欠陥救済方法について説明する。EUVリソグラフィ用マスク10の一部を変形させるには、次の2つの方法があるが、両者を併用することも可能である。
【0063】
まず、第1の方法は、EUVリソグラフィ用マスク10の裏面の一部に凹部または凸部を設けることによって、EUVリソグラフィ用マスク10の厚さを局所的に変えるものである。すなわち、EUVリソグラフィ用マスク10に凹形状の位相欠陥19aが生じた場合は、図10(a)に示すように、位相欠陥19aに対応する基板13の裏面に凹部13aを設ける。一方、凸形状の位相欠陥19bが生じた場合は、図10(b)に示すように、位相欠陥19bに対応する基板13の裏面に凸部13bを設ける。このような凹部13aおよび凸部13bは、基板13の裏面の一部を研削することによって形成する。
【0064】
また、基板13の裏面に凹部13aを設ける手段に代えて、図11(a)に示すように、位相欠陥19aに対応するメタル膜16の膜厚を他の領域より薄くしてもよい。さらに、基板13の裏面に凸部13bを設ける手段に代えて、図11(b)に示すように、位相欠陥19bに対応するメタル膜16の膜厚を他の領域より厚くしてもよい。この場合は、基板13の裏面に厚いメタル膜16を堆積した後、その一部をエッチングして薄くすればよい。
【0065】
上記のような方法で厚さを局所的に変えたEUVリソグラフィ用マスク10をEUV投影露光装置20に装着すると、EUVリソグラフィ用マスク10に凹形状の位相欠陥19aが生じている場合は、EUVリソグラフィ用マスク10の位相欠陥部と光学系(縮小投影光学系22、縮小投影光学系23)との距離が長くなる方向のデフォーカスが生じる。また、凸形状の位相欠陥19bが生じている場合は、EUVリソグラフィ用マスク10の位相欠陥部と光学系との距離が短くなる方向のデフォーカスが生じる。
【0066】
上記のEUVリソグラフィ用マスク10を用いた半導体装置の露光工程について、図12(フロー図)を参照しながら説明する。
【0067】
まず、少なくとも多層膜14の被着が完了したマスクブランク10M(またはマスク)を用意し(S201)、この段階で図5に示したマスクブランク検査装置30を用いて位相欠陥検査を行う(S202)。
【0068】
そして、位相欠陥がない場合には、通常の方法でEUVリソグラフィ用マスク10を完成させた後、EUV投影露光装置20を用いた露光により、EUVリソグラフィ用マスク10の回路パターンをウエハ24に転写する(S209)。
【0069】
他方、マスクブランク10Mに位相欠陥が見つかった場合には、位相欠陥が生じた場所をマスクブランク検査装置30の記憶装置51(図5参照)に登録し(S203)、その場所での位相欠陥の信号強度Iを予め定めた信号レベルであるIおよびI(>I)と比較する。そして、信号強度IがI以下であった場合(I≦I)には、その位相欠陥が致命的な欠陥にならないと判定し、通常の方法でEUVリソグラフィ用マスク10を完成させた後、通常の方法で露光を行う(S209)。また、信号強度IがIを越えた場合(I>I)には、修正困難な異常欠陥と判定してマスクを再作製し(S205)、工程(S201)に戻って次の位相欠陥検査工程(S202)に進む。さらに、信号強度IがIを越え、かつI以下であった場合(I<I≦I)には、マスクブランク検査装置30のマスクステージ32を上下方向に移動して信号強度Iのフォーカス特性を調べ、位相欠陥の形状が凹形状であるか凸形状であるかの判定を行う(S206)。
【0070】
次に、上記の工程(S206)で位相欠陥が凹形状であると判定された場合は、図10(a)または図11(a)に示した方法で裏面の凹加工を行ったEUVリソグラフィ用マスク10を作製し(S207)、このEUVリソグラフィ用マスク10を用いて露光を行う(S209)。一方、位相欠陥が凸形状であると判定された場合は、図10(b)または図11(b)に示した方法で裏面の凸加工を行ったEUVリソグラフィ用マスク10を作製し(S208)、このEUVリソグラフィ用マスク10を用いて露光を行う(S209)。EUVリソグラフィ用マスク10に上記のような凹加工または凸加工を施す際は、マスクブランク検査装置30の記憶装置51に登録された位相欠陥の場所を参照し、加工を施す場所を決定する。
【0071】
EUVリソグラフィ用マスク10の一部を変形させる第2の方法は、EUV投影露光装置20のマスクステージに可動式のチャックピンを設けるものである。
【0072】
図13(a)に示すように、EUV投影露光装置20のマスクステージ60は、マスクステージ架台61と、マスクステージ架台61のマスク保持面に垂直に立てられた複数本のチャックピン62とを備えており、EUVリソグラフィ用マスク10は、静電チャック方式によってこれらのチャックピン62に吸着・保持される。また、複数本のチャックピン62のそれぞれは、図示しない駆動機構によって、互いに独立して上下動できるようになっている。
【0073】
図14は、上記のマスクステージ60を用いた半導体装置の露光工程を示すフロー図である。同図に示す工程(S301)〜工程(S306)は、図12に示した工程(S201)〜工程(S206)と同じであるため、説明を省略する。
【0074】
次に、工程(S306)で位相欠陥が凹形状であると判定された場合は、通常の方法でEUVリソグラフィ用マスク10を作製した後、このEUVリソグラフィ用マスク10を図13(a)に示したマスクステージ60のチャックピン62で吸着・保持する。
【0075】
次に、図13(b)に示すように、EUVリソグラフィ用マスク10を吸着・保持している複数本のチャックピン62のうち、位相欠陥19aの上方に位置するチャックピン62を上方に後退させ(S307)、この領域のEUVリソグラフィ用マスク10の表面を凹ませる。すなわち、位相欠陥が凹形状である場合は、EUVリソグラフィ用マスク10の位相欠陥部と光学系(縮小投影光学系22、縮小投影光学系23)との距離が長くなるように、EUVリソグラフィ用マスク10を局所的にデフォーカスさせて露光を行う(S309)。
【0076】
一方、位相欠陥が凸形状であると判定された場合は、図13(c)に示すように、位相欠陥19bの上方に位置するチャックピン62を下方に突出させ(S308)、この領域のEUVリソグラフィ用マスク10の表面を盛り上げる。すなわち、位相欠陥が凸形状である場合は、EUVリソグラフィ用マスク10の位相欠陥部と光学系との距離が短くなるように、EUVリソグラフィ用マスク10を局所的にデフォーカスさせて露光を行う(S309)。
【0077】
このように、本実施の形態2によれば、EUV投影露光装置20のマスクステージ60に吸着・保持されたEUVリソグラフィ用マスク10を局所的に正または負にデフォーカスさせて露光を行うことにより、EUVリソグラフィ用マスク10に存在する位相欠陥を修正することなく、ウエハ24への回路パターンの異常転写を抑制することができる。
【0078】
この場合、デフォーカスさせる領域はEUVリソグラフィ用マスク10の位相欠陥対応部のみであり、他の領域はデフォーカスさせないので、EUVリソグラフィ用マスク10の他の領域で回路パターンの異常転写が発生するする恐れはない。また、通常の露光方法に比べて露光時間が長くなるような問題も生じない。これにより、トライ・アンド・エラーで欠陥修正を行う従来方法とは異なり、マスク製造の時間管理や半導体製造のTAT(Turn Around Time)見込みも容易に立てられるという効果が得られる。
【0079】
従って、本実施の形態2によれば、半導体装置の製造歩留まり、製造コストおよびTATの面で高い効果が得られる。
【0080】
なお、上記した本実施の形態2の位相欠陥救済方法と前述した実施の形態1の位相欠陥救済方法とを併用することも可能である。すなわち、ウエハ24の位相欠陥対応部とEUVリソグラフィ用マスク10の位相欠陥対応部とをそれぞれ変形させた状態で露光を行ってもよい。このようにした場合は、ウエハ24およびEUVリソグラフィ用マスク10のいずれか一方のみを変形させる場合に比べ、より少ない変形量で同等のデフォーカス量が得られる。
【0081】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、露光光源としてEUVを用いるリソグラフィ技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
10 EUVリソグラフィ用マスク
10M マスクブランク
11 デバイスパターンエリア
12a、12b、12c、12d アライメントマークエリア
13 基板
13a 凹部
13b 凸部
14 多層膜
15 キャッピング層
16 メタル膜
17 バッファー層
18 吸収体パターン
19a 位相欠陥(凹形状の位相欠陥)
19b 位相欠陥(凸形状の位相欠陥)
20 EUV投影露光装置
21 光源
22 照明光学系
23 縮小投影光学系
24 ウエハ
25 ウエハステージ
26 ウエハステージ架台
27 チャックピン
28 チップショット
29 転写欠陥
30 マスクブランク検査装置
31 光源
32 マスクステージ
33 照明光学系
34 結像光学系
35 2次元アレイセンサー(画像検出器)
36 センサー回路
37 パターンメモリ
38 信号処理回路
39 タイミング制御回路
40 マスクステージ制御回路
41 システム制御コンピュータ
42 データファイル
43 多層膜ミラー
44 ミラー
45 レーザ測長器
46 位置回路
47 ミラー姿勢制御手段
48 EUV光用センサー
49 照明強度補正回路
51 記憶装置
52 パターンモニタ
53 画像出力部
60 マスクステージ
61 マスクステージ架台
62 チャックピン
BM 検査用EUV光
EL EUV光
L1 凹面鏡
L2 凸面鏡
SLI 収束ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基板と多層膜と吸収体パターンとを有するEUVリソグラフィ用マスクを使用して半導体ウエハに回路パターンを転写する露光工程を有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記EUVリソグラフィ用マスク、またはその製造に用いるマスクブランクの位相欠陥検査を行う工程と、
(b)前記工程(a)で位相欠陥が検出された場合、前記位相欠陥が凹欠陥か凸欠陥かを判定する工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記位相欠陥の凹凸に応じて、前記EUVリソグラフィ用マスクの前記位相欠陥を含む部位を局所的にデフォーカスさせて露光を行う工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記位相欠陥が凹欠陥である場合は、前記EUVリソグラフィ用マスクの前記位相欠陥を含む部位と、露光装置の光学系との距離が長くなる方向にデフォーカスさせ、
前記位相欠陥が凸欠陥である場合は、前記EUVリソグラフィ用マスクの前記位相欠陥を含む部位と、前記光学系との距離が短くなる方向にデフォーカスさせることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記露光工程で使用する露光装置は、前記EUVリソグラフィ用マスクを吸着・保持する複数のチャックピンを備えたマスクステージを有し、
前記複数のチャックピンのそれぞれは、前記マスクステージのマスク保持面に垂直な方向に沿って、互いに独立して移動可能に構成され、
前記位相欠陥の凹凸に応じて、前記複数のチャックピンのいずれかを前記マスク保持面に垂直な方向に移動させることにより、前記EUVリソグラフィ用マスクの前記位相欠陥を含む部位を前記露光装置の光学系に対して局所的にデフォーカスさせることを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記位相欠陥の凹凸に応じて、前記位相欠陥を含む部位に対応する前記EUVリソグラフィ用マスクの裏面に凹凸を形成することにより、前記EUVリソグラフィ用マスクの前記位相欠陥を含む部位を露光装置の光学系に対して局所的にデフォーカスさせることを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記位相欠陥が凹欠陥である場合は、前記半導体ウエハと、露光装置の光学系との距離が長くなる方向にデフォーカスさせ、
前記位相欠陥が凸欠陥である場合は、前記半導体ウエハと前記光学系との距離が短くなる方向にデフォーカスさせることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記露光工程で使用する露光装置は、前記半導体ウエハを吸着・保持する複数のチャックピンを備えたウエハステージを有し、
前記複数のチャックピンのそれぞれは、前記ウエハステージのウエハ保持面に垂直な方向に沿って、互いに独立して移動可能に構成され、
前記位相欠陥の凹凸に応じて、前記複数のチャックピンのいずれかを前記ウエハ保持面に垂直な方向に移動させることにより、前記半導体ウエハの一部を前記露光装置の光学系に対して局所的にデフォーカスさせることを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図5】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−26424(P2013−26424A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159492(P2011−159492)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】