説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】非シリサイド形成領域にシリサイド化防止膜を選択的に形成することによって、シリサイド形成領域に所望のシリサイド膜を確実に形成する。
【解決手段】半導体基板にゲート電極4a、4b、4c及びn型ソース・ドレイン領域9a、9bを形成した後、基板上の全面に炭素含有絶縁膜15及び保護絶縁膜10を順次形成する。その後、レジスト11をマスクにして、シリサイド形成領域AreaAの保護絶縁膜10を除去した後、レジスト11をO2アッシングによって除去する。このとき、シリサイド形成領域AreaAの炭素含有絶縁膜15を改質して改質絶縁膜15aを形成する。その後、改質絶縁膜15aを選択的に除去した後、非シリサイド形成領域AreaBの炭素含有絶縁膜15をシリサイド化防止膜にして、シリサイド形成領域AreaAにシリサイド膜12a、12bを選択的に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特にシリサイド形成領域と非シリサイド形成領域を有する半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高集積化、高速化に伴い、ゲート電極及びソース・ドレイン領域の低抵抗化が要求されている。そこで、サリサイド技術を用いて、ゲート電極及びソース・ドレイン領域上に選択的にシリサイド膜を形成して低抵抗化が図られている。実際の半導体装置では、入出力回路において静電破壊に対する耐性を向上させるため、ソース・ドレイン領域の一部にシリサイド膜の形成を行なわず、トランジスタに直列に接続された抵抗素子を形成することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、従来のシリサイド形成領域と非シリサイド形成領域を有する半導体装置の製造方法について図面を用いて説明する。
【0004】
図3(a)〜図3(e)は、従来の半導体装置の製造工程を示す断面図である。図中において、左半分にシリサイド形成領域AreaAを示し、右半分に非シリサイド形成領域AreaBを示している。
【0005】
まず、図3(a)に示す工程で、シリコンからなるp型の半導体基板101に、シリサイド形成領域AreaAと非シリサイド形成領域AreaBとを区画する、トレンチ内にシリコン酸化膜が埋め込まれている素子分離領域102を形成する。その後、シリサイド形成領域AreaAの素子分離領域102に囲まれる半導体基板101からなる素子形成領域上に、ゲート絶縁膜103a及びゲート電極104aからなる第1のゲート部と、ゲート絶縁膜103b及びゲート電極104bからなる第2のゲート部を形成するとともに、非シリサイド形成領域AreaBの素子分離領域102に囲まれる半導体基板101からなる素子形成領域上に、ゲート絶縁膜103c及びゲート電極104cからなる第3のゲート部を形成する。第1のゲート部と第2のゲート部は、同一の素子形成領域に離間して設けられている。ここで、ゲート絶縁膜103a、103b、103cはシリコン酸化膜からなり、ゲート電極104a、104b、104cはポリシリコン膜からなる。その後、ゲート電極104a、104b、104cをマスクに用いて、半導体基板101に、リンやヒ素等のn型不純物を比較的低濃度でイオン注入する。これにより、ゲート電極104a、104b、104cの両側方下の半導体基板101に、n型エクステンション領域105が形成される。
【0006】
次に、図3(b)に示す工程で、ゲート電極104a、104b、104cを含む半導体基板101上の全面に、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を順次形成する。その後、半導体基板101の深さ方向にエッチングレートが高い異方性ドライエッチング法によって、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を順次エッチングすることにより、ゲート電極104a、104b、104cの側面上にシリコン酸化膜106とシリコン窒化膜107からなる積層構造のサイドウォール108を形成する。このとき、ゲート電極104aの側面上に形成されたサイドウォール108表面と対向するゲート電極104bの側面上に形成されたサイドウォール108表面との距離(以下、ゲート間隔と称す)Xは、例えば100nmに設定されている。その後、ゲート電極104a、104b、104c及びサイドウォール108をマスクにして、半導体基板101に、リンやヒ素等のn型不純物を比較的高濃度でイオン注入する。これにより、各サイドウォール108の側方下の半導体基板101に、n型ソース・ドレイン領域109a、109bが形成される。
【0007】
次に、図3(c)に示す工程で、ゲート電極104a、104b、104c及びサイドウォール108を含む半導体基板101上に、NSG(non−doped silicate glass)膜からなる厚さ100nmの保護絶縁膜110を形成する。その後、保護絶縁膜110上に、シリサイド形成領域AreaAに開口を有し非シリサイド形成領域AreaBを覆うレジスト111を形成する。
【0008】
次に、図3(d)に示す工程で、レジスト111をマスクにして、保護絶縁膜110をフッ酸(HF)溶液でウェットエッチングする。これにより、シリサイド領域AreaAの保護絶縁膜110が除去され、ゲート電極104a、104b及びn型ソース・ドレイン領域109aの表面が露出する。
【0009】
次に、図3(e)に示す工程で、レジスト111を除去した後、半導体基板101上の全面に、例えばスパッタ法によりTi、Ni、Co等のシリサイド形成用金属膜を形成する。その後、例えばランプアニ−ル装置を用いて熱処理を行うことにより、金属と、それに接触しているシリコンとを反応させる。これにより、シリサイド領域AreaAの半導体基板101におけるソース・ドレイン領域109aの上面がシリサイド化されて、シリサイド膜112aが形成される。同時に、シリサイド領域AreaAのゲート電極104a、104bの上面がシリサイド化されて、シリサイド膜112bが形成される。その後、未反応のシリサイド形成用金属膜を除去する。このとき、非シリサイド形成領域AreaBは、保護絶縁膜110で覆われているため、非シリサイド形成領域AreaBのソース・ドレイン領域109bの上面、及び、ゲート電極104cの上面はシリサイド化されず、シリサイド膜は形成されない。
【0010】
このように、従来の半導体装置の製造方法では、非シリサイド形成領域AreaBに保護絶縁膜110を形成することにより、非シリサイド形成領域AreaBのゲート電極104c及びソース・ドレイン領域109bにシリサイド膜が形成されることを防止している。
【特許文献1】特開平10−125915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述のような従来の半導体装置の製造方法においては、下記のような不具合がある。
【0012】
従来の方法では、保護絶縁膜110として、フッ酸溶液で選択的に除去できる単層のNSG膜などのシリコン酸化膜が用いられている。そして、保護絶縁膜110の膜厚は、図3(c)の工程で保護絶縁膜110を形成してから図3(e)の工程でシリサイド形成用金属膜を形成するまでのバッファエッチや洗浄工程での膜減りを考慮して、例えば100nm程度形成する必要がある。このような厚さを有する保護絶縁膜110を形成した場合、図3(b)及び図3(c)に示すように、半導体装置の微細化に伴い、ゲート間隔Xが狭くなるにつれてゲート電極104aとゲート電極104bとの間に形成される保護絶縁膜110の膜厚ToxAが他の領域の膜厚ToxBに比べて厚く形成される。このため、図3(d)に示す工程で、保護絶縁膜110をウェットエッチングした際に、ゲート電極104aとゲート電極104bとの間に保護絶縁膜110aが残存するという課題がある。この結果、図3(e)に示すように、残存した保護絶縁膜110aによって、ゲート電極104aとゲート電極104bとの間のソース・ドレイン領域109a上にシリサイド膜が形成されないという問題がある。
【0013】
また、図3(d)に示す工程で、残存する保護絶縁膜110aを完全に除去するために、ウェットエッチングによって長時間のオーバーエッチングをすると、素子分離領域102の酸化膜がエッチングされ、リーク電流が増大する等により所望の回路特性が得られないという問題がある。
【0014】
そこで、特許文献1では、ドライエッチングにより保護絶縁膜をエッチングする方法が提案されている。しかしながら、保護絶縁膜をドライエッチングにより除去した場合、ゲート電極の側面上に保護絶縁膜がサイドウォール状に残存しないようにオーバーエッチングする必要がある。この場合、ドライエッチングのオーバーエッチングによって、ゲート電極の側面上に形成されていたサイドウォールが膜減りする。このため、シリサイド膜がゲート電極近傍まで形成されるため、リーク電流が増大する等により所望の回路特性が得られないという問題が生じる。
【0015】
そこで、本発明の目的は、非シリサイド形成領域にシリサイド化防止膜を選択的に形成することによって、シリサイド形成領域に所望のシリサイド膜を確実に形成することができる半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の半導体装置は、シリサイド形成領域に形成された第1のMISトランジスタと非シリサイド形成領域に形成された第2のMISトランジスタとを有する半導体装置において、第1のMISトランジスタは、半導体基板上に形成された第1のゲート絶縁膜と、第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、第1のゲート電極の側面上に形成された第1のサイドウォールと、半導体基板における第1のサイドウォールの側方下に形成された第1のソース・ドレイン領域と、第1のソース・ドレイン領域上に形成された第1のシリサイド膜とを備え、第2のMISトランジスタは、半導体基板上に形成された第2のゲート絶縁膜と、第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート電極と、第2のゲート電極の側面上に形成された第2のサイドウォールと、半導体基板における第2のサイドウォールの側方下に形成された第2のソース・ドレイン領域と、第2のゲート電極及び前記第2のソース・ドレイン領域の表面に接するように、非シリサイド形成領域に形成された炭素含有絶縁膜とを備えている。
【0017】
この構成によれば、非シリサイド形成領域に形成された炭素含有絶縁膜が第2のゲート電極及び第2のソース・ドレイン領域に対するシリサイド化防止膜となり、シリサイド形成領域の第1のソース・ドレイン領域上に第1のシリサイド膜を選択的に形成することができる。
【0018】
上記半導体装置において、第1のゲート電極上に形成された第2のシリサイド膜をさらに備えている。
【0019】
上記半導体装置において、炭素含有絶縁膜は、SiOC膜であることが望ましい。
【0020】
本発明の半導体装置の製造方法において、シリサイド形成領域に形成された第1のMISトランジスタと非シリサイド形成領域に形成された第2のMISトランジスタとを有する半導体装置の製造方法において、半導体基板におけるシリサイド形成領域に、第1のゲート電極と第1のソース・ドレイン領域を有する第1のMISトランジスタを形成し、半導体基板における非シリサイド形成領域に、第2のゲート電極と第2のソース・ドレイン領域を有する第2のMISトランジスタを形成する工程(a)と、工程(a)の後に、半導体基板上の全面に炭素含有絶縁膜を形成する工程(b)と、シリサイド形成領域の炭素含有絶縁膜にO2アッシングを行って、炭素含有絶縁膜から炭素を抜けさせた改質絶縁膜を形成する工程(c)と、シリサイド形成領域の改質絶縁膜を選択的にウェットエッチングして、非シリサイド形成領域に炭素含有絶縁膜を残存させる工程(d)と、工程(d)の後に、第1のソース・ドレイン領域の表面上に選択的に第1のシリサイド膜を形成する(e)とを備えている。
【0021】
この構成によれば、シリサイド形成領域の炭素含有絶縁膜にO2アッシングを行って、炭素含有絶縁膜から炭素を抜けさせた改質絶縁膜を形成することにより、非シリサイド形成領域に炭素含有絶縁膜を残存させたまま、選択的に改質絶縁膜を除去することができる。これにより、非シリサイド形成領域に残存する炭素含有絶縁膜をシリサイド化防止膜として、シリサイド形成領域の第1のソース・ドレイン領域上に第1のシリサイド膜を選択的に形成することができる。
【0022】
上記半導体装置の製造方法において、工程(e)は、第1のゲート電極の表面上に選択的に第2のシリサイド膜を形成する工程を有することが望ましい。
【0023】
上記半導体装置の製造方法において、工程(c)は、炭素含有絶縁膜上に保護絶縁膜を形成する工程(c1)と、保護絶縁膜上に、シリサイド形成領域に開口を有し非シリサイド形成領域を覆うレジストを形成する工程(c2)と、レジストをマスクにして、シリサイド形成領域の保護絶縁膜を除去する工程(c3)と、工程(c3)の後に、O2アッシングを行って、改質絶縁膜を形成するとともにレジストを除去する工程(c4)とを有している。
【0024】
上記半導体装置の製造方法において、炭素含有絶縁膜は、SiOC膜であることが望ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、シリサイド形成領域の炭素含有絶縁膜にO2アッシングを行って炭素を抜いた改質絶縁膜にすることによって、シリサイド形成領域の改質絶縁膜を選択的に除去することが可能となり、非シリサイド形成領域に残存する炭素含有絶縁膜をシリサイド化防止膜として用いることにより、所望の回路特性が得られるシリサイド形成領域と非シリサイド形成領域とを有する半導体装置を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法について図面を用いて説明する。
【0027】
図1(a)〜図1(d)及び図2(a)〜図2(d)は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。図中において、左半分にシリサイド形成領域AreaAを示し、右半分に非シリサイド形成領域AreaBを示している。
【0028】
まず、図1(a)に示す工程で、シリコンからなるp型の半導体基板1に、シリサイド形成領域AreaAと非シリサイド形成領域AreaBとを区画する、トレンチ内にシリコン酸化膜が埋め込まれている素子分離領域2を形成する。その後、シリサイド形成領域AreaAの素子分離領域2に囲まれる半導体基板1からなる素子形成領域上に、ゲート絶縁膜3a及びゲート電極4aからなる第1のゲート部と、ゲート絶縁膜3b及びゲート電極4bからなる第2のゲート部を形成するとともに、非シリサイド形成領域AreaBの素子分離領域2に囲まれる半導体基板1からなる素子形成領域上に、ゲート絶縁膜3c及びゲート電極4cからなる第3のゲート部を形成する。第1のゲート部と第2のゲート部は、同一の素子形成領域に離間して設けられている。ここで、ゲート絶縁膜3a、3b、3cはシリコン酸化膜又はシリコン酸窒化膜からなり、ゲート電極4a、4b、4cはポリシリコン膜又はアモルファスシリコン膜からなる。その後、ゲート電極4a、4b、4cをマスクにして、半導体基板1に、リンやヒ素等のn型不純物を比較的低濃度でイオン注入する。これにより、ゲート電極4a、4b、4cの両側方下の半導体基板1に、n型エクステンション領域5が形成される。
【0029】
次に、図1(b)に示す工程で、ゲート電極4a、4b、4cを含む半導体基板1上の全面に、TEOS膜からなるシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を順次形成する。その後、半導体基板1の深さ方向にエッチングレートが高い異方性ドライエッチング法によって、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を順次エッチングすることにより、ゲート電極4a、4b、4cの側面上にシリコン酸化膜6とシリコン窒化膜7からなる積層構造のサイドウォール8を形成する。このとき、ゲート電極4aの側面上に形成されたサイドウォール8表面と対向するゲート電極4bの側面上に形成されたサイドウォール8表面との距離(ゲート間隔)Xは、例えば100nmに設定されている。その後、ゲート電極4a、4b、4c及びサイドウォール8をマスクにして、半導体基板1に、リンやヒ素等のn型不純物を比較的高濃度でイオン注入する。これにより、シリサイド形成領域AreaAには、半導体基板1におけるサイドウォール8の側方下の領域にn型ソース・ドレイン領域9aが形成され、非シリサイド形成領域AreaBには、半導体基板1におけるサイドウォール8の側方下の領域にn型ソース・ドレイン領域9bが形成される。
【0030】
次に、図1(c)に示す工程で、ゲート電極4a、4b、4c及びサイドウォール8を含む半導体基板1上に、炭素(C)を含む厚さ25nmの炭素含有絶縁膜15を形成する。この炭素含有絶縁膜15には、例えばSiOC膜のような性質、すなわち1)フッ酸溶液におけるSiO2膜との選択比が高い(フッ酸溶液でエッチングされない)、2)O2アッシング処理により炭素が抜けて膜に改質が生じる、3)改質後の膜はフッ酸溶液で容易にエッチングされるという性質を持つ絶縁膜であることが望ましい。
【0031】
ここで、炭素含有絶縁膜15の膜厚は、ゲート間隔Xのバラツキを考慮して、バラツキによって最小幅となるゲート間隔Xの半分未満に設定することが望ましい。これによって、下地形状に対してコンフォーマルな炭素含有絶縁膜15を形成することができる。具体的には、シリサイド形成領域AreaAの素子形成領域上に形成されている2つのゲート電極において、互いに対面する、ゲート電極4aの側面とゲート電極4bの側面との距離が200±20nmで、サイドウォール8の厚みが50±5nmの場合、ゲート間隔Xは100nm±30nmとなる。このとき、炭素含有絶縁膜15の膜厚は、ゲート電極4aとゲート電極4bとの間隔のバラツキ及びサイドウォール8の厚みのバラツキを考慮して35nm未満に設定する(〔(200−20)−(50+5)×2〕/2=35)。そこで、本実施形態では、炭素含有絶縁膜15の膜厚を25nmに設定している。なお、炭素含有絶縁膜15の最小膜厚としては、後工程で形成する保護絶縁膜をウェットエッチングする際のエッチングストッパーとなる膜厚があればよい。
【0032】
次に、図1(d)に示す工程で、炭素含有絶縁膜15上の全面に、NSG膜からなる厚さ25nmの保護絶縁膜10を形成する。この保護絶縁膜10は炭素含有絶縁膜15に対してフッ酸溶液によるエッチングレートが速く高い選択比がある。
【0033】
次に、図2(a)に示す工程で、保護絶縁膜10上に、シリサイド形成領域AreaAに開口を有し非シリサイド形成領域AreaBを覆うレジスト11を形成する。その後、レジスト11をマスクにして、保護絶縁膜10をフッ酸(HF)溶液で選択的にウェットエッチングする。これにより、シリサイド領域AreaAの保護絶縁膜10が除去され、シリサイド領域AreaAの炭素含有絶縁膜15が露出する。このとき、炭素含有絶縁膜15がエッチングストッパーとして機能するため、シリサイド領域AreaAの保護絶縁膜10を完全に除去するために長時間のオーバーエッチングを行っても素子分離領域2の絶縁膜がエッチングされることはない。
【0034】
次に、図2(b)に示す工程で、O2アッシングを用いてレジスト11を除去する。このとき、O2アッシングによりシリサイド領域AreaAに露出している炭素含有絶縁膜15から炭素が抜けるという改質が生じ、改質絶縁膜15aとなる。この改質絶縁膜15aは、炭素が抜けたことによりフッ酸溶液によって容易にエッチングされる膜質になっている。
【0035】
次に、図2(c)に示す工程で、フッ酸溶液を用いたウェットエッチングにより、シリサイド領域AreaAの改質絶縁膜15a及び非シリサイド領域AreaBの保護絶縁膜10を除去して、シリサイド領域AreaAのゲート電極4a、4b及びn型ソース・ドレイン領域9aの表面を露出する。このとき、改質絶縁膜15a及び保護絶縁膜10は、非シリサイド領域AreaBの炭素含有絶縁膜15に比べてエッチングレートが速く、高い選択比を持っているので炭素含有絶縁膜15をエッチングすることなく除去することができる。なお、非シリサイド領域AreaBの保護絶縁膜10は、必ずしも完全に除去する必要はなく、一部が残存してもよい。
【0036】
次に、図2(d)に示す工程で、半導体基板1上の全面に、例えばスパッタ法によりTi、Ni、Co等のシリサイド形成用金属膜を形成する。その後、例えばランプアニ−ル装置を用いて熱処理を行うことにより、金属と、それに接触しているシリコンとを反応させる。これにより、シリサイド領域AreaAの半導体基板1におけるソース・ドレイン領域9aの上面がシリサイド化されて、シリサイド膜12aが形成される。同時に、シリサイド領域AreaAのゲート電極4a、4bの上面がシリサイド化されて、シリサイド膜12bが形成される。その後、未反応のシリサイド形成用金属膜を除去する。このとき、非シリサイド形成領域AreaBは、炭素含有絶縁膜15で覆われているため、非シリサイド形成領域AreaBのソース・ドレイン領域9bの上面、及び、ゲート電極4cの上面はシリサイド化されず、シリサイド膜は形成されない。
【0037】
その後、半導体基板1の上に、層間絶縁膜を形成した後、層間絶縁膜にソース・ドレイン領域に到達するコンタクトプラグを形成し、層間絶縁膜上に各コンタクトプラグに接続する金属配線を形成することにより、シリサイド形成領域と非シリサイド形成領域とを有する半導体装置を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上説明したように、本発明は、シリサイド形成領域と非シリサイド形成領域とを有する半導体装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図
【図2】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図
【図3】従来の半導体装置の製造工程を示す断面図
【符号の説明】
【0040】
1 半導体基板
2 素子分離領域
3a ゲート絶縁膜
3b ゲート絶縁膜
3c ゲート絶縁膜
4a ゲート電極
4b ゲート電極
4c ゲート電極
5 n型エクステンション領域
6 シリコン酸化膜
7 シリコン窒化膜
8 サイドウォール
9a n型ソース・ドレイン領域
9b n型ソース・ドレイン領域
10 保護絶縁膜
11 レジスト
12a シリサイド膜
12b シリサイド膜
15 炭素含有絶縁膜
15a 改質絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリサイド形成領域に形成された第1のMISトランジスタと非シリサイド形成領域にシリサイド化防止膜を選択的に形成することによって、シリサイド形成領域に所望のシリサイド膜を選択的に形成する。形成領域に形成された第2のMISトランジスタとを有する半導体装置において、
前記第1のMISトランジスタは、
半導体基板上に形成された第1のゲート絶縁膜と、
前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、
前記第1のゲート電極の側面上に形成された第1のサイドウォールと、
前記半導体基板における前記第1のサイドウォールの側方下に形成された第1のソース・ドレイン領域と、
前記第1のソース・ドレイン領域上に形成された第1のシリサイド膜とを備え、
前記第2のMISトランジスタは、
前記半導体基板上に形成された第2のゲート絶縁膜と、
前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート電極と、
前記第2のゲート電極の側面上に形成された第2のサイドウォールと、
前記半導体基板における前記第2のサイドウォールの側方下に形成された第2のソース・ドレイン領域と、
前記第2のゲート電極及び前記第2のソース・ドレイン領域の表面に接するように、前記非シリサイド形成領域に形成された炭素含有絶縁膜とを備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート電極上に形成された第2のシリサイド膜をさらに備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記炭素含有絶縁膜は、SiOC膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
シリサイド形成領域に形成された第1のMISトランジスタと非シリサイド形成領域に形成された第2のMISトランジスタとを有する半導体装置の製造方法において、
半導体基板における前記シリサイド形成領域に、第1のゲート電極と第1のソース・ドレイン領域を有する前記第1のMISトランジスタを形成し、前記半導体基板における前記非シリサイド形成領域に、第2のゲート電極と第2のソース・ドレイン領域を有する前記第2のMISトランジスタを形成する工程(a)と、
前記工程(a)の後に、前記半導体基板上の全面に炭素含有絶縁膜を形成する工程(b)と、
前記シリサイド形成領域の前記炭素含有絶縁膜にO2アッシングを行って、前記炭素含有絶縁膜から前記炭素を抜けさせた改質絶縁膜を形成する工程(c)と、
前記シリサイド形成領域の前記改質絶縁膜を選択的にウェットエッチングして、前記非シリサイド形成領域に前記炭素含有絶縁膜を残存させる工程(d)と、
前記工程(d)の後に、前記第1のソース・ドレイン領域の表面上に選択的に第1のシリサイド膜を形成する(e)と
を備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(e)は、前記第1のゲート電極の表面上に選択的に第2のシリサイド膜を形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(c)は、前記炭素含有絶縁膜上に保護絶縁膜を形成する工程(c1)と、前記保護絶縁膜上に、前記シリサイド形成領域に開口を有し前記非シリサイド形成領域を覆うレジストを形成する工程(c2)と、前記レジストをマスクにして、前記シリサイド形成領域の前記保護絶縁膜を除去する工程(c3)と、前記工程(c3)の後に、前記O2アッシングを行って、前記改質絶縁膜を形成するとともに前記レジストを除去する工程(c4)とを有していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記炭素含有絶縁膜は、SiOC膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−303058(P2006−303058A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120580(P2005−120580)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】