説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】金属酸化膜と下部電極との間に発生する剥がれを防止して、キャパシタのリーク電流を低減する。電気特性に優れ、信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】順に設けられた、下部電極と、密着層と、容量絶縁膜と、上部電極とを有するキャパシタを備えた半導体装置。容量絶縁膜は、第1の金属酸化膜が密着層に接するように、第1の金属酸化膜と第2の金属酸化膜を交互に積層した構造を備える。密着層は、膜厚が0.3nm以上で下部電極の構成元素の少なくとも一部を含有する酸化膜である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の微細化に伴い、例えばDRAM素子のようにキャパシタを搭載するデバイスでは、キャパシタの静電容量を低下させない手段が求められている。そのような手段の1つとして、高い誘電率の容量絶縁膜(誘電体膜)の開発が進められている。誘電率の高いキャパシタ用の容量絶縁膜として、酸化チタン(TiO2)や、酸化ジルコニウム(ZrO2)等の金属酸化物を挙げることができる(特許文献1)。
【0003】
このような膜をキャパシタに用いる場合には、誘電率の高さに加えて、リーク電流が小さいことも重要となる。そこで、リーク電流を低減するため、複数の材料からなる絶縁膜を積層して形成する方法が提案されている(特許文献2、3)。
また、絶縁膜の堆積開始前に下地層の最表面の酸化処理を行って、リーク特性を改善する方法も提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−318147号公報
【特許文献2】特開2009−059889号公報
【特許文献3】特表2008−526017号公報
【特許文献4】特開2007−201083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の金属酸化物からなる絶縁膜を薄膜状態で均一に積層してキャパシタを形成する際には、ALD(Atomic Layer Deposition;原子層堆積)法を用いることが好ましい。ALD法に用いる金属元素を含有した原料ガスは、その種類によって、堆積時に設定する反応室の温度が異なる。すなわち、熱に弱い原料ガスの場合には、温度を高く設定しすぎるとガス組成の自己分解が生じ、膜を堆積することができない。また、逆に温度を低く設定しすぎると、堆積後の膜中に原料に起因した不純物が残存して、電気特性が劣化してしまう。
【0006】
また、ALD法を用いた膜の堆積は、時間が長くかかるため、生産性を向上させるには成膜中の反応室の温度の変更は、最小限にすることが好ましい。そこで、積層する複数の金属酸化膜の堆積に適切な温度設定範囲が重なっている場合には、その共通する温度に設定すれば、成膜中の温度変更を行わなくて済む。このため、最上層の膜の形成が終わるまで装置温度を一定値に保つことが最も生産効率がよく、一般に行われている。
【0007】
しかしながら、関連するALD法による積層構造の容量絶縁膜の形成には、次のような問題点のあることを本発明者は見出した。具体的な例として、関連する方法で酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化アルミニウム(Al23)を2枚の電極間に挟んでキャパシタを形成した場合について、図11を参照して説明する。
【0008】
窒化チタン(TiN)で形成した下部電極51上に、ALD法を用いて積層構造の容量絶縁膜55を形成し、さらに窒化チタンで形成した上部電極52を設けた。容量絶縁膜55は、酸化アルミニウム膜(53a、53b)と酸化ジルコニウム膜(54a、54b)の積層構造となっている。
【0009】
容量絶縁膜の堆積に際しては、ALD用装置にて反応室の温度を、酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムの成膜に共通して好適な温度として、210℃の状態に保持した。酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムの原料ガスの酸化ガスとしてはオゾン(O3)を用いた。酸化ジルコニウムの原料ガスとしては、TEMAZ(テトラキス・エチル・メチル・ジルコニウム)を用いた。酸化アルミニウムの原料ガスとしては、TMA(トリメチル・アルミニウム)を用いた。
【0010】
作成したキャパシタの電極の一方を接地状態(GND電位)とし、他方の電極に−4〜+4Vの電圧を印加して、リーク電流を測定した。図12は、同一の条件で形成した複数のキャパシタのリーク電流の測定結果を重ねて表示したもので、縦軸はキャパシタをDRAMのメモリセルに用いた場合の1つのセルあたりのリーク電流値を示している。図12より、キャパシタによってリーク電流のばらつきが非常に大きいだけでなく、リーク電流の値も大きく、DRAM用のキャパシタとしては使用できない結果となった。
【0011】
この原因を調査するため、下部電極51と酸化アルミニウム膜53aとの界面の状態を透過型電子顕微鏡にて観察したところ、下部電極51と酸化アルミニウム膜53aの間に局所的な膜の剥がれが発生していた。一方、上部電極52と酸化ジルコニウム膜54bとの間には剥がれは確認されなかった。膜の剥がれが発生する詳細な原因は不明であるが、この剥がれによって酸化アルミニウム膜53aと下部電極51の界面部分に損傷が生じ、リーク電流が大きくばらついたものと考えられる。
【0012】
従って、関連する方法では、酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムの積層絶縁膜を用いた高性能のキャパシタを形成するのが困難であった。
【0013】
同様に、他の金属酸化物を用いる場合においても、複数の金属酸化物の原料ガスに共通した成膜温度として、従来から使用されている200〜230℃に設定し、ALD法による堆積を行うと、リーク電流のばらつきが観測された。
【0014】
このように、関連する方法で、金属酸化物からなる積層構造の容量絶縁膜を形成しようとすると、リーク電流値抑制が難しく、高性能のキャパシタ素子を形成するのが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一実施形態は、
キャパシタを備えた半導体装置であって、
前記キャパシタは、順に設けられた、下部電極と、密着層と、容量絶縁膜と、上部電極と、を備えており、
前記容量絶縁膜は、第1の金属酸化膜が前記密着層に接するように、第1の金属酸化膜と第2の金属酸化膜を交互に積層した構造を備え、
前記密着層は、膜厚が0.3nm以上で前記下部電極の構成元素の少なくとも一部を含有する酸化膜であることを特徴とする半導体装置に関する。
【0016】
他の一実施形態は、
下部電極と、密着層と、第1の金属酸化膜と第2の金属酸化膜が交互に積層された容量絶縁膜と、上部電極と、が順に設けられたキャパシタを有し、
前記密着層は、膜厚が0.3nm以上で前記下部電極の構成元素の少なくとも一部を含有する酸化膜であり、一方の面が前記第1の金属酸化膜に接することを特徴とする半導体装置に関する。
【0017】
他の一実施形態は、
(1)下部電極を形成する工程と、
(2)ALD法により、下部電極上に順に、膜厚が0.3nm以上で前記下部電極の構成元素の少なくとも一部を含有する酸化膜である密着層と、第1の金属酸化膜と、を形成する工程と、
(3)ALD法により、前記第1の金属酸化膜上に第2の金属酸化膜を形成する工程と、
(4)ALD法により、前記第2の金属酸化膜上に、第1の金属酸化膜と第2の金属酸化膜を交互に積層させて、第1及び第2の金属酸化膜の積層構造を有する容量絶縁膜を形成する工程と、
(5)前記容量絶縁膜上に、上部電極を形成する工程と、
を有するキャパシタを備えた半導体装置の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0018】
電極間に、複数の種類の金属酸化膜を積層した容量絶縁膜を挟んだキャパシタにおいて、金属酸化膜と下部電極との間に発生する剥がれを防止することができる。また、キャパシタのリーク電流を低減することが可能となる。このため、電気特性に優れ、信頼性の高い半導体装置を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施例の半導体装置を表す断面図である。
【図2】第1実施例の半導体装置の製造方法を表すフローチャートである。
【図3】密着層の膜厚と成膜温度との関係を表す図である。
【図4】第1実施例の半導体装置のリーク電流の測定結果を表す図である。
【図5】第2実施例の半導体装置を表す上面図である。
【図6】第2実施例の半導体装置を表す断面図である。
【図7】第2実施例の半導体装置の製造方法の一工程を表す断面図である。
【図8】第2実施例の半導体装置の製造方法の一工程を表す断面図である。
【図9】第2実施例の半導体装置の製造方法の一工程を表す断面図である。
【図10】第3実施例の半導体装置を表す模式図である。
【図11】関連する半導体装置を表す断面図である。
【図12】関連する半導体装置のリーク電流の測定結果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明に係る半導体装置を説明する。なお、これらの実施例は、本発明のより一層の深い理解のために示される具体例であって、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
【0021】
また、以下の実施例では、便宜上、その必要があるときは、複数のセクションまたは実施例に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0022】
(第1実施例)
本実施例では、酸化アルミニウム膜(第1の金属酸化膜)と酸化ジルコニウム膜(第2の金属酸化膜)の積層構造でキャパシタの容量絶縁膜を形成する場合の製造方法について説明する。
【0023】
図1は、本実施例で形成したキャパシタの構造を示す断面模式図である。窒化チタンを用いて形成した下部電極1と、窒化チタンを用いて形成した上部電極2との間に、容量絶縁膜3を挟むことでキャパシタが形成されている。
容量絶縁膜3は、酸化アルミニウム膜(4a、4b、4c)と酸化ジルコニウム膜(5a、5b、5c)を交互に堆積して形成されている。
【0024】
最下層の酸化アルミニウム膜4aと下部電極1との間には密着層6が形成されている。密着層6は絶縁膜であり、キャパシタの電極間に設けられた誘電体膜の一部として機能する。しかしながら、以下に説明するように、密着層6は酸化アルミニウム膜4aの堆積工程中において、主に下部電極1の表面が酸化されて形成される膜である。このため、以下の説明では、ALD(Atomic Layer Deposition)法で堆積した金属酸化膜のみを容量絶縁膜3として定義し、密着層6は容量絶縁膜には含めないものとする。
【0025】
容量絶縁膜3の形成方法について、図2に工程フローチャートを示す。
まず、半導体基板上に、窒化チタンを用いて下部電極1のパターンを形成したものを用意し、ALD用装置の反応室内に設置する。そして、ALD法を用いた以下の工程S1〜S8を実施する。ALD用装置はバッチ式、または枚葉式のいずれも使用可能である。原料ガス等の供給時間や流量は、使用するALD用装置に応じて最適となるように設定すればよい。
【0026】
工程S1:
反応室の温度を250℃に設定し、アルミニウム原料ガスとして、TMA(トリメチル・アルミニウム;第1の原料ガスに相当する)を反応室に供給する。供給されたTMAは、下部電極1を含む半導体基板の表面に化学的に吸着し、概略アルミニウム原子1層分の薄膜(第1の金属膜に相当する)が形成される。
【0027】
工程S2:
反応室にパージガスとして窒素(N2)を供給し、工程S1で吸着せずに残存しているTMAガスを反応室から排出する。
【0028】
工程S3:
反応室の温度を250℃に設定したまま、第1の酸化ガスとしてオゾン(O3)を反応室に供給する。供給されたオゾンによって、工程S1で下部電極表面に吸着しているTMAが酸化されて、酸化アルミニウム(Al23;第1の金属酸化膜に相当する)が形成される。この際に、下部電極と吸着したTMA膜との界面でも酸化反応が進行し、下部電極を構成している窒化チタンが酸化されて、下部電極の材料(チタン)を含有した酸化膜(密着層6)が形成される。本実施例においては、密着層6は主に酸化チタン(TiO2)から構成される。なお、下部電極を構成する窒化チタンに含有されている窒素(N)が密着層内に含まれていても良い。この密着層6の膜厚は、主に工程S3の設定温度によって調節することが可能であり、250℃に設定した場合には、最終的に約0.3nmの膜厚のチタンを含有した酸化膜が形成される。
【0029】
本実施例では、下部電極1の直上に設ける最下層の金属酸化膜の金属材料(この実施例ではTMA)の吸着後の酸化工程で、金属酸化膜と下部電極の界面部分に、密着層6として下部電極の構成材料を含有した酸化膜を形成する。これに対して、特許文献4(特開2007−201083号公報)では、あらかじめ下地層に酸化膜を形成する処理を行ってから、ALD法で金属材料の吸着と酸化を行う方法が示されている。特許文献4のように、予め下地に酸化膜を形成してから、その上に金属酸化膜をALD法で形成する場合に比べて、本発明の方法を適用することにより、強固な密着層6が形成され、下部電極と金属酸化膜の剥がれ抑制効果が向上する。
【0030】
工程S4:
反応室にパージガスとして窒素(N2)を供給し、工程S3で酸化反応に寄与せずに残存しているオゾンガスを反応室から排出する。
【0031】
工程S1〜S4を連続して1回実施することにより、0.1nm程度の膜厚を有する酸化アルミニウム膜4aが形成される。本実施例では、工程S1〜S4の実施は1回のみとする。
【0032】
なお、必要に応じて、工程S1〜S4を複数回繰り返すことにより、酸化アルミニウム膜4aの膜厚を厚く形成してもよい。すなわち、工程S1〜S4を1サイクルとして、そのサイクルをL回(Lは1以上の整数)実施することにより、所望の膜厚の酸化アルミニウム膜4aを形成することができる。このサイクルを2回以上繰り返して実施する場合には、各サイクルの工程S3を実施するたびに、熱付加により密着層の膜厚は厚くなっていく。このため、最終的に形成される密着層6の膜厚も考慮してサイクル数を決定する。
【0033】
工程S5:
反応室の温度を220℃に設定し、ジルコニウム原料ガスとして、TEMAZ(テトラキス・エチルメチル・ジルコニウム;第2の原料ガスに相当する)を反応室に供給する。工程S5において、酸化アルミニウム膜の形成の場合に比べて温度を低下させる理由は、TEMAZガスの高温による自己分解を防止するためである。供給されたTEMAZは、先に形成した酸化アルミニウム膜4aの表面を含む半導体基板の表面に化学的に吸着し、概略ジルコニウム原子1層分の薄膜(第2の金属膜に相当する)が形成される。
【0034】
工程S6:
反応室にパージガスとして窒素(N2)を供給し、工程S5で吸着せずに残存しているTEMAZガスを反応室から排出する。
【0035】
工程S7:
反応室の温度を220℃に設定したまま、第2の酸化ガスとしてオゾン(O3)を反応室に供給する。供給されたオゾンによって、工程S5で表面に吸着しているTEMAZが酸化されて、酸化ジルコニウム(ZrO2;第2の金属酸化膜に相当する)が形成される。
【0036】
工程S8:
反応室にパージガスとして窒素(N2)を供給し、工程S7で酸化反応に寄与せずに残存しているオゾンガスを反応室から排出する。
【0037】
本実施例では、工程S5〜S8を連続して5回、繰り返して実施することにより、0.7nm程度の膜厚を有する酸化ジルコニウム膜5aが形成される。工程S5〜S8を1サイクルとして、そのサイクルをM回(Mは1以上の整数)実施することにより、所望の膜厚の酸化ジルコニウム膜5aを形成することができる。
【0038】
引き続き、工程S1〜S4の酸化アルミニウム膜の形成および工程S5〜S8の酸化ジルコニウム膜の形成を繰り返すことにより、酸化アルミニウム膜と酸化ジルコニウム膜を交互に3層ずつ積層した容量絶縁膜3を形成した。
【0039】
酸化アルミニウム膜(4a、4b、4c)は各々、250℃の温度設定を用いて、工程S1〜S4の1サイクルで形成し、膜厚は概略0.1nmとした。酸化ジルコニウム膜(5a、5b、5c)は各々、220℃の温度設定を用いて、工程S5〜S8の5サイクルで形成し、膜厚は概略0.7nmとした。
【0040】
酸化アルミニウム膜と酸化ジルコニウム膜は、それぞれ3層以上または、3層未満の積層数であってもよい。また、上記工程S1〜S8では、酸化アルミニウム膜と酸化ジルコニウム膜の2種類の膜の積層膜としたが、3種類以上の膜の積層膜としても良い。
【0041】
工程S1〜S4のサイクルと、工程S5〜S8のサイクルのセットをN回(Nは1以上の整数)実施することにより、所望の積層数の容量絶縁膜を形成することができる。
【0042】
図2において、本実施例では、L=1、M=5、N=3として、容量絶縁膜3を形成した。容量絶縁膜3を形成した後に、窒化チタンを用いて上部電極2を形成すれば、キャパシタ素子が完成する。
【0043】
なお、工程S2、S4、S6、S8で使用するパージガスは、窒素以外の不活性ガス(Ar等)とすることも可能である。また、Nが2以上の場合、各第1の金属酸化膜を形成するごとに、工程S1〜S4のサイクル数(L)を変えてその膜厚を変化させても良い。同様にして、第2の金属酸化膜ごとに、工程S5〜S8のサイクル数(M)を変えてその膜厚を変化させても良い。サイクル数(L)、及び全体のサイクルのセット数(N)が増加すると、それだけ工程S3で、下部電極に熱が付加される時間が増加する。このため、L及びNが増加するにつれて、密着層の膜厚も厚くなる。
【0044】
本発明を実施する際の、さらに具体的な条件設定の一例について、次に示す。
ALD装置としては、縦型バッチ式処理装置を用いた。
窒化チタンを用いて下部電極を形成した複数の半導体基板を反応室内に設置した後に、窒素ガスを供給し、反応室内の圧力を80〜90Pa(0.6〜0.7Torr)程度に保持すると共に、温度を250℃で安定させる。窒素ガスの供給を停止すると共に、反応室の圧力を保持した状態でTMAガスを30秒間供給する(工程S1)。
【0045】
パージ用の窒素を供給してTMAガスを排出すると共に、反応室内の圧力を190〜200Pa(1.4〜1.5Torr)程度に設定し、温度は250℃を維持して安定させる(工程S2)。
【0046】
窒素ガスの供給を停止すると共に、反応室の圧力を保持した状態でオゾンを30秒間、供給する(工程S3)。
【0047】
パージ用の窒素を供給してオゾンガスを排出すると共に、反応室内の圧力を80〜90Pa(0.6〜0.7Torr)程度に設定し、温度設定は220℃に変更して安定させる(工程S4)。
【0048】
工程S5〜S8においても、工程S1〜S4と同様の圧力設定を行い、温度は220℃を維持した状態で、TEMAZガスの供給を30秒間(工程S5)、オゾンガスの供給を30秒間(工程S7)、それぞれ行う。工程S5〜S8を5回繰り返した後に、窒素ガスを供給し、反応室内の圧力を80〜90Pa(0.6〜0.7Torr)程度に保持すると共に、温度を250℃で安定させる。この後に、2回目の工程S1〜S4を実施する。
【0049】
このようにしてL=1、M=5、N=3の繰り返し回数の設定で積層膜の堆積を行った結果、最終的に約0.3nmの膜厚のチタンを含有した酸化膜(密着層)が下部電極の表面に形成された。
【0050】
なお、密着層6の膜厚は、反応室の温度以外にも、工程S3での酸化ガスの供給時間を変更することによっても、調節を行うことができる。すなわち、酸化ガスの供給時間を長くすることによって、密着層6の膜厚を厚くすることができる。このため、形成したい密着層の膜厚が得られるように、工程S3での温度および酸化ガスの供給時間を設定すればよい。
【0051】
更に、用いる原料ガスに応じて、膜の形成時における原料の熱分解防止の観点から、原料ガスの供給工程および引き続き行われる酸化工程での設定温度に上限値が存在する場合には、その上限値を超えないように、各工程での温度設定およびガス供給時間の設定を行えばよい。
【0052】
なお、原料ガスの供給工程(S1)とその後の酸化工程(S3)で、異なる温度設定とすることも可能であるが、温度変更の回数が増えることで、成膜に要するプロセス時間が長くなってしまう。このため、原料ガスの供給工程(S1)とその後の酸化工程(S3)は同じ温度条件に設定しておくことが好ましい。同様に、工程S5とS7に関しても、プロセス時間を短縮する観点から、同じ温度条件に設定しておくことが好ましい。
【0053】
図3に、L=1、M=5、N=3として酸化アルミニウム膜(4a、4b、4c)を含む容量絶縁膜を形成した時の、工程S3での反応室の温度と下部電極上に形成される密着層6の膜厚との関係を測定した結果を示す。この実施例では、250℃以上の温度に設定することで、密着層の膜厚を0.3nm以上とすることができることが分かる。密着層は、酸化ガスを供給する工程(S3)で形成されるので、少なくとも工程S3での温度設定が250℃以上であればよい。
【0054】
先に説明した関連する製造方法、すなわち210℃で酸化アルミニウム膜形成の酸化工程を行った場合には、密着層の膜厚は0.2nm程度であった。密着層の膜厚は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて確認した。密着層を0.3nmの膜厚で形成した場合の、複数のキャパシタのリーク電流特性を測定した結果を図4に示す(測定方法は図12と同じ)。
【0055】
図4から、下部電極と最下層の金属酸化膜との間に密着層を0.3nm設けることで、リーク電流の絶対値が低減し、また、ばらつきも大幅に小さくなっていることが分かる。
【0056】
同様に、窒化チタン以外の下部電極で使用する公知の材料においては、工程S3での温度およびオゾン等の酸化ガスの供給時間の設定等を適切に行うことで、密着層の膜厚を0.3nm以上に形成することができる。この膜厚が0.3nm以上の密着層を有するキャパシタ素子についてリーク電流の測定を行ったところ、図3と同様にリーク電流のばらつきのない良好な特性が得られた。
【0057】
すなわち、下部電極と最下層の金属酸化膜との界面部分に、下部電極の構成元素を含む密着層を0.3nm以上の膜厚で形成することにより、下部電極と金属酸化膜との間の剥がれを防止することが可能となり、キャパシタのリーク特性を改善することができる。
【0058】
なお、密着層として機能する絶縁膜は容量絶縁膜よりも誘電率の低いことが多いので、静電容量の低下を抑制する。このため、密着層の膜厚は0.3〜1.0nmの範囲とすることが好ましく、0.3〜0.6nmの範囲とすることが更に好ましい。
【0059】
本実施例では、下部電極が窒化チタン以外の場合にも適用可能である。具体的には、下部電極の表面が、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、窒化タンタル(TaN)、イリジウム(Ir)、タングステン(W)等の金属膜または多結晶シリコンであっても適用可能である。
【0060】
また、形成する金属酸化膜は、酸化アルミニウムと酸化ジルコニウム場合のみには限定されない。具体的には、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ランタン(La)の群の中から選択した金属を用いて、ALD法で金属酸化膜を形成する場合に適用が可能である。第1の原料ガスは、それぞれの金属材料を含有したものを選択すればよく、例えばチタン酸化膜の場合には、チタン原料ガスとしてTTIP(チタン・テトライソプロポキシド)を用い、オゾン等で酸化を行うことにより形成できる。ハフニウム酸化膜の場合には、ハフニウム原料ガスとしてTEMAH(テトラキス・エチルメチルアミノ・ハフニウム)を用い、オゾン等で酸化を行うことにより形成できる。また、3種類以上の異なる金属酸化膜を積層してもよい。
【0061】
第2の原料ガスとしては、Zr(O−tBu)4、Zr[N(CH324、Zr[N(C25)(CH3)]4、Zr[N(C2524、Zr(TMHD)4、Zr(OiC373(TMTD)及びZr(OtBu)4からなる群の中から選択されるいずれか1つを含むものを使用することができる。成膜性の観点から、Zr[N(C25)(CH3)]4(TEMAZ;テトラキス・エチルメチル・ジルコニウム)を使用することが好ましい。
【0062】
酸化ガスとしては、オゾン以外のガスも使用可能である。具体的には、酸素ガス(O2)、水蒸気(H2O)や、Ar等の不活性ガスで希釈したオゾン等も使用可能である。オゾン以外の酸化ガスを使用する場合には、下部電極に形成される密着層の膜厚が0.3nm以上となるように、温度や酸化時間の調節を行う。
【0063】
電極上に第1の金属酸化膜および第2の金属酸化膜を順次、堆積する場合に、選択した金属原料ガスの組合せによって、容量絶縁膜の積層中に温度設定を変更する必要が無く、かつ、オゾンを用いた250℃以上での酸化で0.3nm以上の膜厚の密着層の形成が可能な場合には、最も効率よく本発明を適用できる。
【0064】
また、第1実施例で説明したように、容量絶縁膜の積層中に温度設定を変更する必要がある場合には、下部電極と第1の金属酸化膜の間に、最終的に0.3nm以上の膜厚で、下部電極の構成元素を含む酸化膜(密着層)が形成され、温度設定の変更による生産性への影響(成膜に要するトータル時間が長くなること)を最小限に抑えるように、成膜サイクルおよび温度の組合せを設定すればよい。
【0065】
(第2実施例)
本発明を半導体デバイスに適用した具体例として、DRAM素子のメモリセルを構成するキャパシタ素子の容量絶縁膜に用いた場合について説明する。
【0066】
図5は、本発明を適用した半導体装置であるDRAM素子について、メモリセル部の平面レイアウトを示す概念図である。図5の右手側は、後述する、ワード配線Wとなるゲート電極105とサイドウォール105bとを切断する面を基準とした透過断面図として示している。また、簡略化のために、キャパシタ素子の記載は図5においては省略し、断面図(図6)にのみ記載した。
【0067】
図6は、メモリセル部(図5)のA−A’線に対応する断面模式図である。尚、これらの図は半導体装置の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや寸法等は、実際の半導体装置の寸法関係とは異なっている。
【0068】
メモリセル部は、図6に示すように、メモリセル用のMOSトランジスタTr1と、MOSトランジスタTr1に複数のコンタクトプラグを介して接続されたキャパシタ素子Capとから概略構成されている。
【0069】
図5、図6において、半導体基板101は、所定濃度のP型不純物を含有するシリコン(Si)によって形成されている。この半導体基板101には、素子分離領域103が形成されている。素子分離領域103は、半導体基板101の表面にSTI(Shallow Trench Isolation)法によりシリコン酸化膜(SiO2)等の絶縁膜を埋設することで、活性領域K以外の部分に形成され、隣接する活性領域Kとの間を絶縁分離している。本実施例では、1つの活性領域Kに2ビットのメモリセルが配置されるセル構造に本発明を適用した場合の例を示している。
【0070】
本実施例では、図5に示す平面構造のように、細長い短冊状の活性領域Kが複数、個々に所定間隔をあけて右斜め下向きに整列して配置されており、一般に6F2型メモリセルと呼ばれるレイアウトに沿って配列されている。
【0071】
各活性領域Kの両端部と中央部には個々に不純物拡散層が形成され、MOSトランジスタTr1のソース・ドレイン領域として機能する。ソース・ドレイン領域(不純物拡散層)の真上に配置されるように基板コンタクト部205a、205b、205cの位置が規定されている。
【0072】
図5の横(X)方向には、折れ線形状(湾曲形状)にビット配線106が延設され、このビット配線106が図1の縦(Y)方向に所定の間隔で複数配置されている。また、図5の縦(Y)方向に延在する直線形状のワード配線Wが配置されている。個々のワード配線Wは図5の横(X)方向に所定の間隔で複数配置され、ワード配線Wは各活性領域Kと交差する部分において、図6に示されるゲート電極105を含むように構成されている。本実施例では、MOSトランジスタTr1は、溝型のゲート電極を備えている。
【0073】
図6の断面構造に示すように、半導体基板101において素子分離領域103に区画された活性領域Kにソース・ドレイン領域として機能する不純物拡散層108が離間して形成され、個々の不純物拡散層108の間に、溝型のゲート電極105が形成されている。
【0074】
ゲート電極105は、多結晶シリコン膜と金属膜との多層膜により半導体基板101の上部に突出するように形成されており、多結晶シリコン膜はCVD法での成膜時にリン等の不純物を含有させて形成することができる。ゲート電極用の金属膜には、タングステン(W)や窒化タングステン(WN)、タングステンシリサイド(WSi)等の高融点金属を用いることができる。
【0075】
また、図6に示すように、ゲート電極105と半導体基板101との間にはゲート絶縁膜105aが形成されている。また、ゲート電極105の側壁には窒化シリコン(Si34)などの絶縁膜によるサイドウォール105bが形成されている。ゲート電極105上にも窒化シリコンなどの絶縁膜105cが形成されており、ゲート電極105の上面を保護している。
【0076】
不純物拡散層108は、半導体基板101にN型不純物として、例えばリンを導入することで形成されている。不純物拡散層108と接触するように基板コンタクトプラグ109が形成されている。この基板コンタクトプラグ109は、図5に示した基板コンタクト部205c、205a、205bの位置にそれぞれ配置され、例えば、リンを含有した多結晶シリコンから形成される。基板コンタクトプラグ109の横(X)方向の幅は、隣接するゲート配線Wに設けられたサイドウォール105bによって規定される、セルフアライン構造となっている。
【0077】
図6に示すように、ゲート電極上の絶縁膜105c及び基板コンタクトプラグ109を覆うように第1の層間絶縁膜104が形成され、第1の層間絶縁膜104を貫通するようにビット線コンタクトプラグ104Aが形成されている。ビット線コンタクトプラグ104Aは、基板コンタク部205aの位置に配置し、基板コンタクトプラグ109と導通している。ビット線コンタクトプラグ104Aは、チタン(Ti)及び窒化チタン(TiN)の積層膜からなるバリア膜(TiN/Ti)上にタングステン(W)等を積層して形成されている。
【0078】
ビット線コンタクトプラグ104Aに接続するようにビット配線106が形成されている。ビット配線106は窒化タングステン(WN)およびタングステン(W)からなる積層膜で構成されている。
【0079】
ビット配線106を覆うように、第2の層間絶縁膜107が形成されている。第1の層間絶縁膜104及び第2の層間絶縁膜107を貫通して、基板コンタクトプラグ109に接続するように容量コンタクトプラグ107Aが形成されている。容量コンタクトプラグ107Aは、基板コンタクト部205b、205cの位置に配置される。
【0080】
第2の層間絶縁膜107上には、窒化シリコンを用いた第3の層間絶縁膜111およびシリコン酸化膜を用いた第4の層間絶縁膜112が形成されている。第3の層間絶縁膜111および第4の層間絶縁膜112を貫通して、容量コンタクトプラグ107Aと接続するようにキャパシタ素子Capが形成されている。
【0081】
キャパシタ素子Capは下部電極113と上部電極115の間に、第1実施例で詳細に説明した方法を用いて形成する。すなわち、窒化チタン膜を用いて下部電極を113と上部電極115を形成し、酸化アルミニウム(第1の金属酸化膜)と酸化ジルコニウム(第2の金属酸化膜)の積層膜を容量絶縁膜114として挟んだ構造となっている。下部電極113と最下層の酸化アルミニウム膜との界面部分には、下部電極の構成元素であるチタンを含有した酸化膜(密着層)が形成されている。なお、図6では、容量絶縁膜114は簡略化して1層として示している。また、図6中に密着層は示していない。
【0082】
下部電極113は、容量コンタクトプラグ107Aと導通している。第3の層間絶縁膜111上には、酸化シリコン等で形成した第5の層間絶縁膜120、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等で形成した上層の配線層121、表面保護膜122が形成されている。
【0083】
キャパシタ素子の上部電極115には、所定の電位が与えられており、キャパシタ素子に保持された電荷の有無を判定することによって、情報の記憶動作を行うDRAM素子として機能する。
【0084】
次に、キャパシタ素子Capの具体的な形成方法について説明する。
図7〜9に、第3の層間絶縁膜111から上の部分のみを断面図として記載する。まず、図7に示したように、第3の層間絶縁膜111および第4の層間絶縁膜112を、所定の膜厚で堆積した後に、フォトリソグラフィ技術を用いて、キャパシタ素子を形成するための開孔112Aを形成する。
【0085】
ドライエッチング技術またはCMP(Chemical Mechanical Polishing)技術を用いて、下部電極113を開孔112Aの内壁部分にのみ残すように形成する。下部電極の材料としては、窒化チタンを用いたが、他の金属膜でもよい。
【0086】
次に、図8に示したようにALD法を用いて、約0.1nmの膜厚の酸化アルミニウム膜と約0.7nmの膜厚の酸化ジルコニウム膜を順次、堆積する工程を繰り返して行い、合計3層の酸化アルミニウム膜と合計3層の酸化ジルコニウム膜が交互に形成された容量絶縁膜114を形成する。酸化アルミニウム膜の形成時の装置温度を250℃に設定することで、最下層の酸化アルミニウム膜と下部電極113との間には約0.3nmの膜厚の密着層(図示せず)が形成される。
【0087】
次に、図9に示したように、容量絶縁膜114の表面を覆い、開孔(112A)内を充填するように、下部電極と同じ金属膜を堆積して、上部電極115を形成する。上部電極115の材料は下部電極113と異なっていてもよい。また、下部および上部電極は複数の金属の積層膜で形成してもよい。これにより、キャパシタ素子Capが完成する。
【0088】
本発明を適用することにより、下部電極の形状が図6に示したような3次元構造となっている場合でも、容量絶縁膜114と下部電極113の間に剥がれを生じることなく、リーク電流値が少なく、静電容量値の大きいキャパシタ素子を形成することが可能となる。
【0089】
本発明を用いてDRAM素子を形成することにより、高集積化(微細化)した場合でも、データの保持特性に優れた高性能の素子を容易に形成できる。上述のようにして製造したDRAM素子を用いることで、例えば、下記第3実施例に説明するデータ処理システムを形成することができる。
【0090】
(第3実施例)
図10は、本実施例のデータ処理システム500の概略構成図である。データ処理システム500には、演算処理デバイス520とDRAM素子530が含まれており、システムバス510を介して相互に接続されている。
【0091】
演算処理デバイス520は、MPU(Micro Processing Unit)や、DSP(Digital Signal Processor)等である。DRAM素子530は、第2実施例で説明した方法で形成したメモリセルを備えている。
【0092】
また、固定データの格納用に、ROM(Read Only Memory)540がシステムバス510に接続されていてもよい。システムバス510は簡便のため1本しか記載していないが、必要に応じてコネクタなどを介し、シリアルないしパラレルに接続される。また各デバイスは、システムバス510を介さずに、ローカルなバスによって相互に接続されてもよい。
【0093】
また、データ処理システム500では、必要に応じて、不揮発性記憶デバイス550、入出力装置560がシステムバス510に接続される。不揮発性記憶デバイスとしては、ハードディスクや光ドライブ、SSD(Solid State Drive)などを利用できる。
【0094】
入出力装置560には、例えば液晶ディスプレイなどの表示装置や、キーボード等のデータ入力装置が含まれる。データ処理システム500の各構成要素の個数は、図10では簡略化のため1つの記載にとどめているが、それに限定されず、全てまたはいずれかが複数個の場合も含まれる。データ処理システム500には、例えばコンピュータシステムを含むが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0095】
1 下部電極
2 上部電極
3 容量絶縁膜
4a、4b、4c 酸化アルミニウム膜
5a、5b、5c 酸化ジルコニウム膜
6 密着層
51 下部電極
52 上部電極
53a、53b 酸化アルミニウム膜
54a、54b 酸化ジルコニウム膜
55 容量絶縁膜
101 半導体基板
103 素子分離領域
104 第1の層間絶縁膜
104A ビット線コンタクトプラグ
105 ゲート電極
105a ゲート絶縁膜
105b サイドウォール
105c 絶縁膜
106 ビット線
107 第2の層間絶縁膜
107A 容量コンタクトプラグ
108 ソース・ドレイン領域
109 基板コンタクトプラグ
111 第3の層間絶縁膜
112 第4の層間絶縁膜
112A 開孔
113 下部電極
114 容量絶縁膜
115 上部電極
120 第5の層間絶縁膜
121 配線層
122 表面保護膜
205a、205b、205c 基板コンタクト部
500 データ処理システム
510 システムバス
520 演算処理デバイス
530 DRAM素子
540 ROM(Read Only Memory)
550 不揮発性記憶デバイス
560 入出力装置
Cap キャパシタ素子
K 活性領域
Tr1 MOSトランジスタ
W ワード配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャパシタを備えた半導体装置であって、
前記キャパシタは、順に設けられた、下部電極と、密着層と、容量絶縁膜と、上部電極と、を備えており、
前記容量絶縁膜は、第1の金属酸化膜が前記密着層に接するように、第1の金属酸化膜と第2の金属酸化膜を交互に積層した構造を備え、
前記密着層は、膜厚が0.3nm以上で前記下部電極の構成元素の少なくとも一部を含有する酸化膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
下部電極と、密着層と、第1の金属酸化膜と第2の金属酸化膜が交互に積層された容量絶縁膜と、上部電極と、が順に設けられたキャパシタを有し、
前記密着層は、膜厚が0.3nm以上で前記下部電極の構成元素の少なくとも一部を含有する酸化膜であり、一方の面が前記第1の金属酸化膜に接することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記密着層の厚さは、0.3〜1.0nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記密着層の厚さは、0.3〜0.6nmであることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の金属酸化膜は、酸化アルミニウム膜であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2の金属酸化膜は、酸化ジルコニウム膜であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
更に、ソース・ドレイン領域を有する電界効果型トランジスタと、ビット線と、を有し、
前記ソース・ドレイン領域の一方は、前記キャパシタに電気的に接続され、
前記ソース・ドレイン領域の他方は、前記ビット線に電気的に接続され、
前記電界効果型トランジスタ及びキャパシタは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のメモリセルを構成することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
(1)下部電極を形成する工程と、
(2)ALD法により、下部電極上に順に、膜厚が0.3nm以上で前記下部電極の構成元素の少なくとも一部を含有する酸化膜である密着層と、第1の金属酸化膜と、を形成する工程と、
(3)ALD法により、前記第1の金属酸化膜上に第2の金属酸化膜を形成する工程と、
(4)ALD法により、前記第2の金属酸化膜上に、第1の金属酸化膜と第2の金属酸化膜を交互に積層させて、第1及び第2の金属酸化膜の積層構造を有する容量絶縁膜を形成する工程と、
(5)前記容量絶縁膜上に、上部電極を形成する工程と、
を有するキャパシタを備えた半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記工程(2)は、下記工程(2a)〜(2d)を1回以上、行うことにより、前記密着層及び第1の金属酸化膜を形成する工程であることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
(2a)第1の原料ガスを供給することにより前記下部電極上に第1の金属膜を形成する工程、
(2b)前記第1の原料ガスをパージする工程、
(2c)第1の酸化ガスを供給して加熱することにより、前記第1の金属膜を前記第1の金属酸化膜とすると共に、前記第1の金属酸化膜と下部電極の間に前記密着層を形成する工程、
(2d)前記第1の酸化ガスをパージする工程。
【請求項10】
前記工程(2c)において、
前記第1の酸化ガスとしてオゾン(O3)ガスを用い、250℃以上に加熱することを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記工程(3)は、下記工程(3a)〜(3d)を1回以上、行うことにより、前記第2の金属酸化膜を形成する工程であることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(3a)第2の原料ガスを供給することにより前記第1の金属酸化膜上に第2の金属膜を形成する工程、
(3b)前記第2の原料ガスをパージする工程、
(3c)第2の酸化ガスを供給して加熱することにより、前記第2の金属膜を第2の金属酸化膜とする工程、
(3d)前記第2の酸化ガスをパージする工程。
【請求項12】
前記工程(4)は、下記工程(4a)〜(4h)を1回以上、行うことにより、前記容量絶縁膜を形成する工程であることを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(4a)第1の原料ガスを供給することにより第2の金属酸化膜上に第1の金属膜を形成する工程、
(4b)前記第1の原料ガスをパージする工程、
(4c)第1の酸化ガスを供給して加熱することにより、前記第1の金属膜を第1の金属酸化膜とする工程、
(4d)前記第1の酸化ガスをパージする工程、
(4e)第2の原料ガスを供給することにより前記第1の金属酸化膜上に第2の金属膜を形成する工程、
(4f)前記第2の原料ガスをパージする工程、
(4g)第2の酸化ガスを供給して加熱することにより、前記第2の金属膜を第2の金属酸化膜とする工程、
(4h)前記第2の酸化ガスをパージする工程。
【請求項13】
前記工程(4c)において、
前記第1の酸化ガスとしてオゾン(O3)ガスを用い、250℃以上に加熱することを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1の原料ガスは、TMA(トリメチル・アルミニウム)であり、
前記第1の金属酸化膜は、酸化アルミニウム膜であることを特徴とする請求項9、10、12、又は13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2の原料ガスは、TEMAZ(テトラキス・エチルメチル・ジルコニウム)であり、
前記第2の金属酸化膜は、酸化ジルコニウム膜であることを特徴とする請求項11〜13の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−60825(P2011−60825A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205862(P2009−205862)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】