半導体装置及びその製造方法
【課題】配線の絶縁膜内へのCu溶出を抑制すると共に、配線間におけるショートの発生を抑止し、信頼性の高い半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】MCMの半導体装置において、ベアチップ1,2間を接続する配線4aをCu材料13を用いてダマシン法で形成する際に、上面が有機絶縁膜11の表面から上方に突出し、上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚い配線4aを形成し、配線4aのCu材料13上のみにメタルキャップ膜5を形成する。
【解決手段】MCMの半導体装置において、ベアチップ1,2間を接続する配線4aをCu材料13を用いてダマシン法で形成する際に、上面が有機絶縁膜11の表面から上方に突出し、上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚い配線4aを形成し、配線4aのCu材料13上のみにメタルキャップ膜5を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特にMCM(Malti Chip Module)に適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
近時では、機能の異なる異種のベアチップを基板に高密度で集積化して実装する技術として、MCMが注目されている。MCMは、上記のように複数のベアチップを実装してなる各半導体チップを、例えば樹脂基板の表面に再構築し、各半導体チップの上層で配線を形成して構成される。
【0003】
MCMの半導体装置を製造する際に、複数の半導体チップが実装された樹脂基板において、各半導体チップの上層の配線は、いわゆるセミアディテブ法により形成される。セミアディテブ法では、配線の形成部位を開口したレジストマスクを形成し、開口内に例えばスパッタ法によりCu膜を形成した後、開口内を埋め込むようにCuをメッキ形成し、表面平坦化して配線を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−210644号公報
【特許文献2】特開2006−49896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セミアディテブ法をMCMに適用する場合、配線幅及び配線間隔が5μm程度以上であれば、所望の配線を形成することができる。ところが近時では、半導体装置の更なる小型化・高集積化が進行しており、MCMでは配線幅及び配線間隔を2μm程度以下とすることが、将来、要請されてくる。MCMの配線形成において、セミアディテブ法では、リソグラフィーにおける露光及びドライエッチングが困難であり、上記の要請に十分に応えることはできない。
【0006】
MCMの半導体装置の製造において、上層の配線形成に、セミアディテブ法に代わって、いわゆるダマシン法を適用することが検討されている。ダマシン法では、樹脂基板上の絶縁膜に配線形状の溝を形成し、当該溝内にCu膜を形成した後、開口内を埋め込むようにCuをメッキ形成し、表面平坦化して配線を形成する。
【0007】
しかしながら、MCMの配線形成にダマシン法を適用する場合、以下のようなMCMに固有の問題が生じることが見出された。この問題は、高度加速寿命(Highly Accelerated Stress Test:HAST)試験により把握された。HAST試験は、高温(125℃)、多湿(湿度85%)の雰囲気で行った。その結果、HAST試験の所定基準を満たさず、絶縁膜におけるCu配線の十分な絶縁が確保できないことが確認された。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、配線の絶縁膜内へのCuの溶出を抑制すると共に、配線間におけるショートの発生を抑止し、信頼性の高い半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
半導体装置の一態様は、有機材料からなる第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜内に形成された、Cuを含有する導電材料からなる配線とを含み、前記配線は、その上面が前記第1の絶縁膜の表面から上方に突出しており、前記上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜が形成されている。
【0010】
半導体装置の一態様は、有機材料からなる第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜内に形成された、Cuを含有する導電材料からなる配線とを含み、前記配線間における前記第1の絶縁膜上に、無機材料からなる第2の絶縁膜が形成されており、前記配線の上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜が形成されている。
【0011】
半導体装置の製造方法の一態様は、有機材料からなる第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜内に、Cuを含有する導電材料からなり、上面が前記第1の絶縁膜の表面から上方に突出する形状に配線を形成する工程と、前記上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜を形成する工程とを含む。
【0012】
半導体装置の製造方法の一態様は、有機材料からなる第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に無機材料からなる第2の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜内に、Cuを含有する導電材料からなる配線を形成する工程と、前記配線の上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜を形成する工程とを含む。
【発明の効果】
【0013】
上記した各態様によれば、配線の絶縁膜内へのCuの溶出及び配線間ショートの発生を抑止する信頼性の高い半導体装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態によるMCMの半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図2】図1に引き続き、第1の実施形態によるMCMの半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図3】複数のベアチップが樹脂基板に再構築された様子を示す概略平面図である。
【図4】MCMの半導体装置の配線の形成状況を示す概略平面図である。
【図5】図1(b)における第1の配線層の形成工程を工程順に示すフロー図である。
【図6】図1(b)における第1の配線層の形成工程を工程順に示す概略断面図である。
【図7】実験例1において、第1の実施形態によるMCMの半導体装置の第1の配線層を、比較例1,2と共に示す概略断面図である。
【図8】HAST試験で用いる配線パターンを示す概略平面図である。
【図9】実験例1において、第1の実施形態によるMCMの半導体装置の第1の配線層を示す概略断面図である。
【図10】第2の実施形態によるMCMの半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である
【図11】図10(a)における第1の配線層の形成工程を工程順に示す概略断面図である。
【図12】第2の実施形態の変形例によるMCMの半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図13】実験例において、第2の実施形態の変形例によるMCMの半導体装置の第1の配線層を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、諸実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。これらの実施形態では、MCMの半導体装置に適用した場合について例示する。
【0016】
(第1の実施形態)
本実施形態では、MCMの半導体装置の構成について、その製造方法と共に説明する。
図1及び図2は、第1の実施形態によるMCMの半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。図3は、複数のベアチップが樹脂基板に再構築された様子を示す概略平面図である。図1及び図2は、図3の破線I−I'に沿った位置の断面に対応している。なお、図1及び図2では、後述するバリア下地膜12及びキャップメタル膜5の図示を省略する。
【0017】
先ず、図1(a)及び図3に示すように、機能の異なる複数のベアチップ、ここではベアチップ1,2を樹脂基板10の表面に再構築する。
詳細には、機能ごとのベアチップが形成された各半導体基板から、各ベアチップを切り出す。各種のベアチップとしては、例えば半導体メモリが集積されたメモリチップ、CMOSトランジスタ等が集積されたロジックチップ、ドライブ機能又はアンプ機能等が集積されたもの等がある。本実施形態では、メモリチップであるベアチップ1と、ロジックチップであるベアチップ2とを例示する。
【0018】
半導体基板から切り出されたベアチップを、ベアチップ1とベアチップ2とが隣り合って1セットとなるように、例えばエポキシ樹脂等からなる樹脂基板10の表面に配置する。
ベアチップ1,2は、樹脂基板10の表面に形成された有機絶縁物よりなる有機絶縁膜10aの表面から、上層配線層1a,2aの表面が露出するように、樹脂基板10に埋め込み配設される。上層配線層1a,2aには、外部と電気的に接続するための接続プラグ3が例えばダマシン法により形成されており、接続プラグ3の上面が上層配線層1a,2aの表面に露出する。接続プラグ3は、上層配線層1a,2aの溝内を不図示のバリア下地膜を介してCu又はCu合金で充填して形成される。
【0019】
続いて、ベアチップ1,2上に多層配線構造を形成する。多層配線構造は、複数の配線層を積層して形成する。各配線層は、ダマシン法、ここではシングルダマシン法により形成する。
先ず、図1(b)に示すように、第1の配線層6を形成する。なお図1(b)では、後述するバリア下地膜12及びキャップメタル膜5の図示を省略する。
第1の配線層6は、配線4a及び接続プラグ4bを有し、配線4a上にメタルキャップ膜5が形成されて構成される。配線4aは、隣り合うベアチップ1,2の接続プラグ3間を電気的に接続する。
【0020】
配線4aは、樹脂基板10上で例えば図4に示すように複数並んで形成される。
MCMの半導体装置において、配線4aは、その配線幅及び配線間距離が比較的小さく、例えば共に1μm程度とされる。ダマシン法は従前より微細な配線の形成に適用されている手法であるが、配線幅及び配線間距離が100nm以上、例えば1μm程度の比較的大きな値である場合には、これまで問題視されていなかった。ところが、配線層の絶縁膜に後述のように有機膜を用いる場合には、上述のように、HAST試験の所定基準を満たさない。
【0021】
配線幅及び配線間距離が1μm程度となるようにダマシン法で形成された配線について、顕微鏡等で調べたところ、配線上方に形成された有機絶縁膜内でCuの拡散が確認された。これは、配線の上面から有機絶縁膜内にCuが溶出していることを意味する。配線の側面及び底面には、Ti又はTiN等のバリア下地膜が形成されているため、側面及び底面からの有機絶縁膜内へのCu拡散は防止される。しかしながら、配線の上面部位にはバリア下地膜は形成されず、Cuの拡散が問題となる。このCu拡散を抑制する方策として、配線上に、有機絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるメタルキャップ膜を形成することが考えられる。
【0022】
ところが、配線幅及び配線間距離が1μm程度、或いは1μm程度以上の配線において、配線上にメタルキャップ膜を形成すると、並んで配置された配線間でショートが発生することが見出された。これは、隣り合う配線間でメタルキャップ膜に電気的に接触が生じることに起因する。この場合、MCMの半導体装置としての信頼性を確保することができない。
本実施形態では、この問題に対処すべく、以下のように第1の配線層6を形成する。
【0023】
図5は、図1(b)における第1の配線層6の形成工程を工程順に示すフロー図である。図6は、図1(b)における第1の配線層6の形成工程を工程順に示す概略断面図であり、図1(b)の配線4aの短手方向に沿った断面に相当する。なお、図6(b)〜図6(f)の右端部分に、ビア孔11b、接続プラグ4bの断面を付記する。図6では、第1の配線層6下には樹脂基板10のみを示し、ベアチップ1,2等の図示を省略する。
【0024】
先ず、図5のステップS1により、配線4a及び接続プラグ4bを形成する。
図6(a)に示すように、ベアチップ1,2の上層配線層1a,2a上を含む樹脂基板10の表面の全面を覆うように有機絶縁膜11を形成する。
有機絶縁膜11は、所定の有機絶縁物、例えばエポキシ樹脂を用いて、塗布法等により、1.5μm程度の膜厚に形成される。
【0025】
図6(b)に示すように、有機絶縁膜11に配線溝11a及びビア孔11bを形成する。
配線溝11a及びビア孔11bは、リソグラフィー及びドライエッチングにより有機絶縁膜11をパターニングして形成される。配線溝11a及びビア孔の底面には、図1(b)に示す上層配線層1a,2aの接続プラグ3の上面の一部が露出する。
【0026】
図6(c)に示すように、バリア下地膜12及びCu材料13を形成する。
配線溝11aの内壁面及びビア孔11bの内壁面を覆うように、有機絶縁膜11上に例えばTi、TiN等をスパッタ法等により成膜し、バリア下地膜12を形成する。バリア下地膜12上に不図示のメッキシード層をスパッタ法等により成膜する。メッキシード層を用いて、バリア下地膜12を介して配線溝11a内及びビア孔11b内を埋め込むように、バリア下地膜12上にCu又はCu合金であるCu材料13をメッキ法により形成する。バリア下地膜12を形成することにより、配線溝11a内及びビア孔11bのCu材料13から有機絶縁膜11へのCu拡散が防止される。
【0027】
図6(d)及び図6(e)に示すように、配線4a及び接続プラグ4bを形成する。
先ず図6(d)のように、有機絶縁膜11の表面が露出するまで、Cu材料13及びバリア下地膜12を化学機械研磨法(Chemical Mechanical Polishing:CMP)で除去する。
次に図6(e)のように、Cu材料13及びバリア下地膜12よりも有機絶縁膜11の方が研磨速度が大きくなる研磨剤を選択して用い、有機絶縁膜11の表面をCMPで除去する。このとき、上記の研磨速度の違いに起因して、Cu材料13及びバリア下地膜12は殆ど研磨されずに有機絶縁膜11が研磨される。これにより、配線溝11a内及びビア孔11bにおいて、Cu材料13の上面が有機絶縁膜11の表面から上方に突出し、当該上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚くなる(上に凸形状となる)ようにCu材料13が残存する。
【0028】
以上により、有機絶縁膜11の配線溝11a内をバリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる配線4aと、有機絶縁膜11のビア孔11b内をバリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる接続プラグ4bとが形成される。配線4aは、そのCu材料13の上面が有機絶縁膜11の表面から突出する、上に凸形状に形成される。接続プラグ4bも同様に、そのCu材料13の上面が有機絶縁膜11の表面から突出する、上に凸形状に形成される。
【0029】
図6(f)に示すように、メタルキャップ膜5を形成する。
先ず、図5のステップS2により、配線4aの露出した上面に触媒活性化処理を施す。
触媒活性化処理に用いる触媒活性液は、Pdイオン、Irイオン、及びMoイオン等のうちの少なくとも1種を含有する。本実施形態では、Pdイオンを含有する触媒活性液を用いる場合を例示する。具体的には、PdCl2(0.1g/L)、Na2HPO4(12g/L)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(1g/L)、NH4Cl(54g/L)を含む組成のもの、例えばワールドメタル社の商品名AT−907を使用する。
【0030】
上記の触媒活性液の液浴に樹脂基板10を浸漬する。ここで、配線4aのCu材料13のCuがイオン化する際に、触媒活性液中のPdコロイド粒子のPdイオンがメタル化する。接続プラグ4bのCu材料13についても同様である。そのため、Pdコロイド粒子は有機絶縁膜11の表面と、配線4a及び接続プラグ4bのバリア下地膜12の表面とには吸着せず、配線4a及び接続プラグ4bのCu材料13の上面のみにPdコロイド粒子が選択的に吸着し、当該上面にPdが析出する。本実施形態では、上記のように、配線4aが配線溝11a内でその上面が有機絶縁膜11の表面から突出するように形成されている。そのため、例えば配線4aの上面と有機絶縁膜11の表面とが平坦な場合、或いは配線4aの上面が有機絶縁膜11の表面から凹んでいる場合に比べて、触媒活性液が配線4aの上面全体に均一に行き渡り易い。配線4aの上面は上に凸形状に形成されているため、触媒活性液が更に確実に上面全体に均一に行き渡る。このように、触媒活性液の配線4aの上面全体への確実な均一供給が可能となる。接続プラグ4bの上面についても同様である。
【0031】
次に、図5のステップS3により、樹脂基板10を水洗浄する。
次に、図5のステップS4により、配線4aの上面に無電解メッキ処理を施す。
無電解メッキ処理に用いる無電解メッキ液は、有機絶縁膜11に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する。この金属としては、例えばNi,Ni−P,Ni−W,Ni−B,Ni−W−P,Ni−W−B,Co,Co−P,Co−W,Co−B,Co−W−P,Co−W−Bから選ばれた少なくとも1種を用いる。本実施形態では、Coを含有する無電解メッキ液、例えばワールドメタル社の商品名コンパスを使用する場合を例示する。
【0032】
上記の無電解メッキ液の液浴に樹脂基板10を浸漬して無電解メッキ処理する。ここで、ステップS2の触媒活性化処理により、配線4a及び接続プラグ4bのCu材料13の上面のみにPdが析出し、有機絶縁膜11の表面及びバリア下地膜12の表面にはPdは物理的に吸着しない。そのため、無電解メッキ処理により、Cu材料13の上面にPdに無電解メッキ液のCoイオンが引き寄せられ、当該上面のみにCoが析出する。本実施形態では、配線4aの上面が有機絶縁膜11の表面から突出する上に凸形状とされており、触媒活性液が上面全体に均一に行き渡っている。そのため、CoはCu材料13の上面全体に亘って均一に析出する。これにより、Cu材料13の上面のみに、当該上面全体を均一な厚み(例えば50nm〜100nm程度)で覆う、Coを含むメタルキャップ膜5が形成される。このようにメタルキャップ膜5を形成することにより、隣り合う配線4aのメタルキャップ膜5間における電気的接触が抑止される。配線4a間のショートが確実に防止された状態で、メタルキャップ膜5により配線4aから上層の有機絶縁膜(後述する有機絶縁膜14)内へのCu拡散が抑制される。接続プラグ4bについても同様である。
【0033】
キャップ膜5の表面の中央部位における有機絶縁膜11の表面からの高さである突出量(図6(f)において突出量hと記す。)は、25nm以上300nm以下とすることが望ましい。本実施形態では、突出量hを例えば30nm程度とする。突出量hが25nmよりも小さいと、Cu材料13の表面の触媒活性化処理時に、Cu材料13の上面への触媒活性液の十分な供給が得られない。突出量hを300nmよりも大きく形成することは、ダマシン法による配線形成として現実的でないと考えられる。従って、突出量hを25nm以上300nm以下に規定することにより、Cu材料13の表面全体に触媒活性液を十分に供給することができ、所期の多層配線構造が実現する。
【0034】
そして、図5のステップS5により、樹脂基板10を水洗浄及び薬液洗浄する。
以上により、有機絶縁膜11の配線溝11a内及びビア孔11b内を、バリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる配線4a及び接続プラグ4bを有し、Cu材料13の表面全体のみを覆うキャップ膜5が配されてなる第1の配線層6が形成される。配線4aは、ベアチップ1,2の上層配線層1a,2aの接続プラグ3間を接続している。
【0035】
続いて、図2(a)に示すように、第1の配線層6上に、第2の配線層7をシングルダマシン法により順次積層形成する。なお、第2の配線層は、シングルダマシン法の代わりに例えばセミアディテブ法で形成しても良い。
詳細には、有機絶縁膜11と同様の有機絶縁物を材料として、配線4a及び接続プラグ4bを覆うように有機絶縁膜11上に有機絶縁膜14を形成する。
リソグラフィー及びドライエッチングにより有機絶縁膜14をパターニングし、有機絶縁膜14にビア孔を形成する。ビア孔の底面には、第1の配線層6の接続プラグ4bの上面の一部が露出する。また、有機絶縁膜11として永久レジストを用いて、リソグラフィーでパターニングを行い、ビア孔を形成しても良い。
【0036】
ビア孔の内壁面を覆うように、有機絶縁膜14上に例えばTi、TiN等をスパッタ法等により成膜し、バリア下地膜を形成する。バリア下地膜上にメッキシード層をスパッタ法等により成膜する。メッキシード層を用いて、バリア下地膜を介してビア孔内を埋め込むように、バリア下地膜上にCu又はCu合金であるCu材料をメッキ法により形成する。
【0037】
有機絶縁膜11の表面が露出するまで、Cu材料及びバリア下地膜をCMPにより除去する。
以上により、有機絶縁膜14のビア孔内を、バリア下地膜を介してCu材料で充填してなる接続プラグ15を有する第2の配線層7が形成される。接続プラグ15は、第1の配線層6の接続プラグ4bと接続される。
【0038】
続いて、図2(b)に示すように、例えばセミアディテブ法により、第2の配線層7上にパッド電極8を形成する。
詳細には、第2の配線層7上で接続プラグ15上を露出する開口を有するレジストマスクを形成する。開口内に例えばスパッタ法によりCu膜を形成した後、開口内を埋め込むようにCuをメッキ法で形成する。この際、開口部において、メッキで埋め込まれる高さをレジストの厚み以下にする。そして、レジストマスクを灰化処理等により除去する。以上により、第2の配線層7の接続プラグ15と接続されたパッド電極9が形成される。
【0039】
しかる後、樹脂基板10のスクライブラインをダイシングして、一対のベアチップ1,2からなるMCMの半導体チップを切り出す。
以上により、一対のベアチップ1,2が第1の配線層6の配線4aにより接続されてなる、MCMの半導体装置が形成される。
【0040】
(実験例1)
第1の配線層6の配線4aの不良発生率について、その上面形状を変えた比較例との比較に基づいて行ったHAST試験の結果について説明する。
比較例1による配線101を図7(a)に、比較例2による配線103を図7(b)にそれぞれ示す。配線101では、その上面が有機絶縁膜11の表面と平坦に形成されており、当該上面上にメタルキャップ膜102が形成されている。配線103では、その上面が有機絶縁膜11の表面よりも低く、凹んだ形状に形成されており、当該上面上にメタルキャップ膜104が形成されている。本実施形態による配線4aを図7(c)に示す。
【0041】
HAST試験では、図8に示すような配線パターン111を用いる。配線パターン111では、複数(図示の例では5本)の配線112が、配線幅及び配線間隔が共に1μm、配線高さが1.5μm、配線長さが3mmで平行に並列する。図8中の破線I−I'に沿った断面が図7(a)〜(c)に相当している。配線112は、比較例1では配線101に、比較例2では配線103に、本実施形態では配線4aに、それぞれ対応している。
HAST試験の結果を以下の表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
このように、比較例1,2に比べて、本実施形態では不良発生率(%)が大幅に小さい。このように、本実施形態の配線4aによれば、比較例1,2の配線101,103に比べて配線間のショートの頻度が極めて少なく、配線として高い信頼性が認められることが判明した。
【0044】
(実験例2)
第1の配線層6の配線4aの不良発生率について、その上面の突出量を変えて行ったHAST試験の結果について説明する。
本実施形態による配線4aを図9に示す。ここで、有機絶縁膜11の表面からメタルキャップ膜5の中央部位(最も高い位置)までの高さを、配線4aの突出量hとして定義する。ここでは、突出量hを8nm、25nm、110nmとした場合について調べた。
HAST試験では、実験例1と同様に図8に示すような配線パターン111を用い、配線112が、突出量hが上記のように設定された配線4aにそれぞれ対応している。
HAST試験の結果を以下の表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
このように、突出量hが8nmの配線4aでも比較的良好な試験結果を示すが、突出量hが25nm、110nmの配線4aでは、格段に優れた試験結果となった。突出量hを300nmよりも大きく形成することは、ダマシン法による配線形成として現実的でないと考えられる、以上より、突出量hを25nm以上300nm以下に規定することにより、配線間のショートの頻度が極めて少なく、配線として高い信頼性が認められることが判明した。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、多層配線構造における配線4aの有機絶縁膜11,14内へのCu溶出及び配線間ショートの発生を抑止する信頼性の高いMCMの半導体装置が実現する。
【0048】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、MCMの半導体装置の構成について、その製造方法と共に説明するが、多層配線構造における配線層の構成が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図10は、第2の実施形態によるMCMの半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。図10では、バリア下地膜12及び後述するキャップメタル膜22の図示を省略する。
【0049】
初めに、第1の実施形態の図1(a)と同様の工程を実行し、ベアチップ1,2を樹脂基板10の表面に再構築する。
【0050】
続いて、ベアチップ1,2上に多層配線構造を形成する。多層配線構造は、複数の配線層を積層して形成する。各配線層は、ダマシン法、ここではシングルダマシン法により形成する。
先ず、図10(a)に示すように、第1の配線層21を形成する。
第1の配線層21は、配線21a及び接続プラグ21bを有し、配線21a上にメタルキャップ膜22が形成されて構成される。配線21aは、隣り合うベアチップ1,2の接続プラグ3間を電気的に接続する。
【0051】
第1の配線層21の形成について、図11の各図を用いて説明する。図11は、図10(a)の配線21aの短手方向に沿った断面に相当する。なお、図11(c)〜図11(f)の右端部分に、ビア孔24b、接続プラグ21bの断面を付記する。図11では、第1の配線層21下には樹脂基板10のみを示し、ベアチップ1,2等の図示を省略する。
【0052】
図11(a)に示すように、ベアチップ1,2の上層配線層1a,2a上を含む樹脂基板10の表面の全面を覆うように有機絶縁膜11を形成する。
有機絶縁膜11は、所定の有機絶縁物、例えばエポキシ樹脂を用いて、塗布法等により、1.5μm程度の膜厚に形成される。
【0053】
図11(b)に示すように、有機絶縁膜11上に無機絶縁膜23を形成する。
詳細には、有機絶縁膜11上に、例えばスパッタ法により、例えばシリコン酸化物(SiO2)を0.05μm〜0.5μm程度、ここでは0.2μm程度の厚みに堆積し、無機絶縁膜23を形成する。上記の厚みが薄いと、後述するCMPで無機絶縁膜が除去されてしまい、メタルキャップを形成する際にCu以外の領域にも形成されてしまう可能性を生じる。CMPの条件により研磨速度が異なるので一概には言えないが、0.05μm以下にすると局所的にCMPで無機絶縁膜が除去されてしまう可能性が高くなる。
【0054】
無機絶縁膜23の無機絶縁材料としては、SiO2の代わりに、シリコン窒化物(SiN),シリコン酸窒化物(SiON),アルミナ(Al2O3),シリコンカーバイド(SiC),カーボン含有SiO2(SiOC)から選ばれた少なくとも1種を用いても良い。また、スパッタ法の代わりに、有機絶縁膜11との密着性が良ければ、CVD法又は塗布法により無機絶縁膜23を形成しても好適である。
【0055】
図11(c)に示すように、無機絶縁膜23及び有機絶縁膜11に配線溝24a及びビア孔24bを形成する。
配線溝24a及びビア孔24bは、リソグラフィー及びドライエッチングにより無機絶縁膜23及び有機絶縁膜11をパターニングして形成される。配線溝24a及びビア孔24bの底面には、図10(a)に示す上層配線層1a,2aの接続プラグ3の上面の一部が露出する。
【0056】
図11(d)に示すように、バリア下地膜12及びCu材料13を形成する。
配線溝24a及びビア孔24bの内壁面を覆うように、有機絶縁膜11上に例えばTi、TiN等をスパッタ法等により成膜し、バリア下地膜12を形成する。バリア下地膜12上にメッキシード層をスパッタ法等により成膜する。メッキシード層を用いて、バリア下地膜12を介して配線溝24a内及びビア孔24b内を埋め込むように、バリア下地膜12上にCu又はCu合金であるCu材料13をメッキ法により形成する。バリア下地膜12により、配線溝24a内のCu材料13から有機絶縁膜11へのCu拡散が防止される。配線溝24a内のCu材料13についても同様である。
【0057】
図11(e)に示すように、配線21a及び接続プラグ21bを形成する。
有機絶縁膜11の表面が露出するまで、Cu材料13及びバリア下地膜12をCMPで除去する。これにより、配線溝24a内をバリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる配線21aと、ビア孔24b内をバリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる接続プラグ21bとが形成される。
【0058】
図11(f)に示すように、メタルキャップ膜22を形成する。
第1の実施形態と同様に、図5のステップS2を行い、Pdイオンを含有する触媒活性液の液浴に樹脂基板10を浸漬する。
触媒活性化処理では、PdがCu材料13の表面のみに析出することが理想である。しかしながら、有機絶縁膜11には、配線等形成のためにドライエッチング及びウェットエッチング等の表面に影響を与える処理がなされており、当該処理に起因して、有機絶縁膜11の表面にも若干量のPdが析出するものと考えられる。有機絶縁膜には各種の添加材が含まれているため、例えばシリコン酸化膜のような安定な構造とされておらず、局所的にPdが析出する可能性が高い。本実施形態では、有機絶縁膜11の表面を覆うようにシリコン酸化膜等の安定な構造の無機絶縁膜23を形成する。触媒活性化処理において、無機絶縁膜23の表面にはPdは析出せず、配線21a及び接続プラグ21bのCu材料13の上面のみにPdが析出することになる。
【0059】
第1の実施形態と同様に、図5のステップS3で樹脂基板10を水洗浄した後、ステップS4により、無電解メッキ液の液浴に樹脂基板10を浸漬して無電解メッキ処理する。
ステップS2の触媒活性化処理において、配線21a及び接続プラグ21bのCu材料13の上面のみにPdが析出し、有機絶縁膜11を覆う無機絶縁膜23の表面及びバリア下地膜12の表面にはPdは吸着しない。そのため、無電解メッキ処理により、Cu材料13の上面にPdに無電解メッキ液のCoイオンが引き寄せられ、当該上面のみにCoが析出する。これにより、Cu材料13の上面のみに、当該上面全体を均一な厚み(例えば50nm〜100nm程度)で覆う、Coを含むメタルキャップ膜22が形成される。このようにメタルキャップ膜22を形成することにより、隣り合う配線21aのメタルキャップ膜22間における電気的接触が抑止される。配線21a間のショートが確実に防止された状態で、メタルキャップ膜22により配線21aから上層の有機絶縁膜14内へのCu拡散が抑制される。接続プラグ21bについても同様である。
【0060】
そして、第1の実施形態と同様に、図5のステップS5により、樹脂基板10を水洗浄及び薬液洗浄する。
以上により、ベアチップ1,2の上層配線層1a,2a上に、第1の配線層21が形成される。第1の配線層21は、有機絶縁膜11及び無機絶縁膜23の配線溝24a内及びビア孔24b内を、バリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる配線21a及び接続プラグ21bを有し、Cu材料13の表面全体のみを覆うキャップ膜22が形成されている。配線21aにより、ベアチップ1,2の上層配線層1a,2aの接続プラグ3間が接続される。
【0061】
続いて、第1の実施形態と同様に、図2(a)〜図2(b)と同様の各工程を経て、図10(b)に示すように、第2の配線層7上にパッド電極8を形成する。
しかる後、樹脂基板10のスクライブラインをダイシングして、一対のベアチップ1,2からなるMCMの半導体チップを切り出し、一対のベアチップ1,2が第1の配線層21の配線21aにより接続されてなる、MCMの半導体装置が形成される。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、多層配線構造における配線21aの有機絶縁膜11,14内へのCu溶出及び配線間ショートの発生を抑止する信頼性の高いMCMの半導体装置が実現する。
【0063】
(変形例)
以下、第2の実施形態の変形例について説明する。
本例では、第2の実施形態と同様に、MCMの半導体装置の構成について、その製造方法と共に説明するが、多層配線構造における配線層の構成が異なる点で第2の実施形態と相違する。
図12は、第2の実施形態の変形例によるMCMの半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。図12(a)〜(c)では、後述する第1の配線層31下には樹脂基板10のみを示し、ベアチップ1,2等の図示を省略する。図12(a)〜(c)は、図12(d)の配線31aの短手方向に沿った断面に相当する。なお、図12(a)〜図12(c)の右端部分に、ビア孔24b、接続プラグ31bの断面を付記する。また、図12(d)では、バリア下地膜12及び後述するキャップメタル膜32の図示を省略する。
【0064】
初めに、第2の実施形態と同様に、第1の実施形態の図1(a)と同様の工程を実行し、ベアチップ1,2を樹脂基板10の表面に再構築する。
【0065】
続いて、ベアチップ1,2上に多層配線構造を形成する。多層配線構造は、複数の配線層を積層して形成する。各配線層は、ダマシン法、ここではシングルダマシン法により形成する。
先ず、第2の実施形態と同様に、図11(a)〜(d)の各工程を実行する。
【0066】
図12(a),(b)に示すように、配線31a及び接続プラグ31bを形成する。
先ず、図12(a)のように、無機絶縁膜23の表面が露出するまで、Cu材料13及びバリア下地膜12をCMPで除去する。
次に図12(b)のように、Cu材料13及びバリア下地膜12よりも無機絶縁膜23の方が研磨速度が大きくなる研磨剤を選択して用い、無機絶縁膜23の表面をCMPで除去する。このとき、上記の研磨速度の違いに起因して、Cu材料13及びバリア下地膜12は殆ど研磨されずに無機絶縁膜23が研磨される。これにより、配線溝24a内及びビア孔24b内において、Cu材料13の上面が無機絶縁膜23の表面から上方に突出し、当該上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚くなる(上に凸形状となる)ようにCu材料13が残存する。
【0067】
以上により、配線溝24a内をバリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる配線31aと、ビア孔24b内をバリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる接続プラグ31bとが形成される。配線31a及び接続プラグ31bは、そのCu材料13の上面が無機絶縁膜23の表面から突出する、上に凸形状に形成される。
【0068】
図12(c)に示すように、メタルキャップ膜32を形成する。
第2の実施形態と同様に、第1の実施形態の図5のステップS2を行い、Pdイオンを含有する触媒活性液の液浴に樹脂基板10を浸漬する。
本例では、有機絶縁膜11上を覆う無機絶縁膜23が形成され、且つ配線31a及び接続プラグ31bのCu材料13の上面が無機絶縁膜23の表面から突出する、上に凸形状に形成された状態で、ステップS2を行う。この場合、触媒活性液が配線31a及び接続プラグ31bの上面全体に均一に行き渡ると共に、無機絶縁膜23の存在により無機絶縁膜23上における触媒活性液のPdの析出が確実に抑止され、配線31a及び接続プラグ31bの上面上のみに当該上面全体に均一にPdが析出する。
【0069】
第2の実施形態と同様に、第1の実施形態の図5のステップS3で樹脂基板10を水洗浄した後、ステップS4により、無電解メッキ液の液浴に樹脂基板10を浸漬して無電解メッキ処理する。
ステップS2の触媒活性化処理において、配線31a及び接続プラグ31bのCu材料13の上面のみに当該上面全体に均一にPdが析出し、有機絶縁膜11を覆う無機絶縁膜23の表面及びバリア下地膜12の表面にはPdは物理的に吸着しない。そのため、無電解メッキ処理により、Cu材料13の上面にPdに無電解メッキ液のCoイオンが引き寄せられ、当該上面のみに均一にCoが析出する。これにより、Cu材料13の上面のみに、当該上面全体を均一な厚み(例えば50nm〜100nm程度)で覆う、Coを含むメタルキャップ膜32が形成される。このようにメタルキャップ膜32を形成することにより、隣り合う配線31aのメタルキャップ膜22間における電気的接触が確実に抑止される。配線31a間のショートが確実に防止された状態で、メタルキャップ膜32により配線31aから上層の有機絶縁膜14内へのCu拡散が抑制される。接続プラグ31bについても同様である。
【0070】
そして、第2の実施形態と同様に、第1の実施形態の図5のステップS5により、樹脂基板10を水洗浄及び薬液洗浄する。
以上により、ベアチップ1,2の上層配線層1a,2a上に、第1の配線層31が形成される。第1の配線層31は、有機絶縁膜11及び無機絶縁膜23の配線溝24a内及びビア孔24b内を、バリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる配線31a及び接続プラグ31bを有し、Cu材料13の表面全体のみを覆うキャップ膜32が形成されている。配線31aにより、ベアチップ1,2の上層配線層1a,2aの接続プラグ3間が接続される。
【0071】
続いて、第2の実施形態と同様に、第1の実施形態の図1(c)〜図2(b)と同様の各工程を経て、図12(d)に示すように、第2の配線層7上にパッド電極8を形成する。
しかる後、樹脂基板10のスクライブラインをダイシングして、一対のベアチップ1,2からなるMCMの半導体チップを切り出し、一対のベアチップ1,2が第1の配線層21の配線31aにより接続されてなる、MCMの半導体装置が形成される。
【0072】
(実験例)
第1の配線層31の配線31aの不良発生率について、その上面の突出量を変えて行ったHAST試験の結果について説明する。
本例による配線31aを図13に示す。ここで、無機絶縁膜23の表面からメタルキャップ膜32の中央部位(最も高い位置)までの高さを、配線31aの突出量hとして定義する。ここでは、突出量hを4nm、15nm、74nmとした場合について調べた。
【0073】
HAST試験では、第1の実施形態の実験例1,2と同様に図8に示すような配線パターン111を用い、配線112が、突出量hが上記のように設定された配線31aにそれぞれ対応している。
HAST試験の結果を以下の表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
このように、突出量hが4nmの配線31aでも比較的良好な試験結果を示すが、突出量hが15nm、74nmの配線31aでは、格段に優れた試験結果となった。突出量hを300nmよりも大きく形成することは、ダマシン法による配線形成として現実的でないと考えられる、以上より、突出量hを15nm以上300nm以下に規定することにより、配線間のショートの頻度が極めて少なく、配線として高い信頼性が認められることが判明した。
【0076】
以上説明したように、本例によれば、多層配線構造における配線31aの有機絶縁膜11,14内へのCu溶出及び配線間ショートの発生を抑止する信頼性の高いMCMの半導体装置が実現する。
【0077】
以下、諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0078】
(付記1)有機材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜内に形成された、Cuを含有する導電材料からなる配線と
を含み、
前記配線は、その上面が前記第1の絶縁膜の表面から上方に突出しており、
前記上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【0079】
(付記2)前記配線は、前記上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚く形成されていることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
【0080】
(付記3)前記キャップ膜の配線幅方向の中央部位における前記第1の絶縁膜の表面からの高さが25nm以上300nm以下とされていることを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置。
【0081】
(付記4)前記配線間における前記第1の絶縁膜上に形成された、無機材料からなる第2の絶縁膜を更に含み、
前記配線は、その上面が前記第2の絶縁膜の表面から突出していることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0082】
(付記5)前記キャップ膜の前記難拡散性の金属は、Ni,Ni−P,Ni−W,Ni−B,Ni−W−P,Ni−W−B,Co,Co−P,Co−W,Co−B,Co−W−P,Co−W−Bから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0083】
(付記6)有機材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜内に形成された、Cuを含有する導電材料からなる配線と
を含み、
前記配線間における前記第1の絶縁膜上に、無機材料からなる第2の絶縁膜が形成されており、
前記配線の上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【0084】
(付記7)前記配線は、その上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚く形成されると共に、前記上面が前記第1の絶縁膜の表面から上方に突出しており、
前記キャップ膜の配線幅方向の中央部位における前記第2の絶縁膜の表面からの高さが15nm以上300nm以下とされていることを特徴とする付記6に記載の半導体装置。
【0085】
(付記8)前記キャップ膜の前記難拡散性の金属は、Ni,Ni−P,Ni−W,Ni−B,Ni−W−P,Ni−W−B,Co,Co−P,Co−W,Co−B,Co−W−P,Co−W−Bから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記6又は7に記載の半導体装置。
【0086】
(付記9)前記第2の絶縁膜の前記無機材料は、SiO2,SiN,SiON,Al2O3,SiC,SiOCから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記6〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0087】
(付記10)有機材料からなる第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜内に、Cuを含有する導電材料からなり、上面が前記第1の絶縁膜の表面から上方に突出する形状に配線を形成する工程と、
前記上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0088】
(付記11)前記配線は、前記上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚く形成されることを特徴とする付記10に記載の半導体装置の製造方法。
【0089】
(付記12)前記キャップ膜を形成する工程は、
前記第1の絶縁膜の表面から露出する前記配線の前記上面を触媒活性化処理する工程と、
無電解メッキ法により前記上面上のみに前記キャップ膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする付記10又は11に記載の半導体装置の製造方法。
【0090】
(付記13)前記触媒活性化処理では、Pd,Pt,Ir,Moから選ばれた少なくとも1種の金属イオンを含有する触媒活性液を用いることを特徴とする付記12に記載の半導体装置の製造方法。
【0091】
(付記14)前記キャップ膜の前記難拡散性の金属は、Ni,Ni−P,Ni−W,Ni−B,Ni−W−P,Ni−W−B,Co,Co−P,Co−W,Co−B,Co−W−P,Co−W−Bから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記10〜13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0092】
(付記15)前記第1の絶縁膜を形成した後、前記配線を形成する前に、前記第1の絶縁膜上に無機材料からなる第2の絶縁膜を形成する工程を更に含むことを特徴とする付記9〜12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0093】
(付記16)有機材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に無機材料からなる第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜内に、Cuを含有する導電材料からなる配線を形成する工程と、
前記配線の上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0094】
(付記17)前記キャップ膜を形成する工程は、
前記第2の絶縁膜の表面から露出する前記配線の前記上面を触媒活性化処理する工程と、
無電解メッキ法により前記上面上のみに前記キャップ膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする付記16に記載の半導体装置の製造方法。
【0095】
(付記18)前記触媒活性化処理では、Pd,Pt,Ir,Moから選ばれた少なくとも1種の金属イオンを含有する触媒活性液を用いることを特徴とする付記17に記載の半導体装置の製造方法。
【0096】
(付記19)前記キャップ膜の前記難拡散性の金属は、Ni,Ni−P,Ni−W,Ni−B,Ni−W−P,Ni−W−B,Co,Co−P,Co−W,Co−B,Co−W−P,Co−W−Bから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記16〜18のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0097】
1,2 ベアチップ
1a,2a 上層配線層
3,15 接続プラグ
4a,21a,31a,101,103,112 配線
4b,21b,31b 接続プラグ
5,22,32,102 キャップメタル膜
6,21,31 第1の配線層
7 第2の配線層
8 パッド電極
10 樹脂基板
10a 有機絶縁膜
11,14 有機絶縁膜
11a,24a 配線溝
12 バリア下地膜
13 Cu材料
23 無機絶縁膜
24b ビア孔
111 配線パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特にMCM(Malti Chip Module)に適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
近時では、機能の異なる異種のベアチップを基板に高密度で集積化して実装する技術として、MCMが注目されている。MCMは、上記のように複数のベアチップを実装してなる各半導体チップを、例えば樹脂基板の表面に再構築し、各半導体チップの上層で配線を形成して構成される。
【0003】
MCMの半導体装置を製造する際に、複数の半導体チップが実装された樹脂基板において、各半導体チップの上層の配線は、いわゆるセミアディテブ法により形成される。セミアディテブ法では、配線の形成部位を開口したレジストマスクを形成し、開口内に例えばスパッタ法によりCu膜を形成した後、開口内を埋め込むようにCuをメッキ形成し、表面平坦化して配線を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−210644号公報
【特許文献2】特開2006−49896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セミアディテブ法をMCMに適用する場合、配線幅及び配線間隔が5μm程度以上であれば、所望の配線を形成することができる。ところが近時では、半導体装置の更なる小型化・高集積化が進行しており、MCMでは配線幅及び配線間隔を2μm程度以下とすることが、将来、要請されてくる。MCMの配線形成において、セミアディテブ法では、リソグラフィーにおける露光及びドライエッチングが困難であり、上記の要請に十分に応えることはできない。
【0006】
MCMの半導体装置の製造において、上層の配線形成に、セミアディテブ法に代わって、いわゆるダマシン法を適用することが検討されている。ダマシン法では、樹脂基板上の絶縁膜に配線形状の溝を形成し、当該溝内にCu膜を形成した後、開口内を埋め込むようにCuをメッキ形成し、表面平坦化して配線を形成する。
【0007】
しかしながら、MCMの配線形成にダマシン法を適用する場合、以下のようなMCMに固有の問題が生じることが見出された。この問題は、高度加速寿命(Highly Accelerated Stress Test:HAST)試験により把握された。HAST試験は、高温(125℃)、多湿(湿度85%)の雰囲気で行った。その結果、HAST試験の所定基準を満たさず、絶縁膜におけるCu配線の十分な絶縁が確保できないことが確認された。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、配線の絶縁膜内へのCuの溶出を抑制すると共に、配線間におけるショートの発生を抑止し、信頼性の高い半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
半導体装置の一態様は、有機材料からなる第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜内に形成された、Cuを含有する導電材料からなる配線とを含み、前記配線は、その上面が前記第1の絶縁膜の表面から上方に突出しており、前記上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜が形成されている。
【0010】
半導体装置の一態様は、有機材料からなる第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜内に形成された、Cuを含有する導電材料からなる配線とを含み、前記配線間における前記第1の絶縁膜上に、無機材料からなる第2の絶縁膜が形成されており、前記配線の上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜が形成されている。
【0011】
半導体装置の製造方法の一態様は、有機材料からなる第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜内に、Cuを含有する導電材料からなり、上面が前記第1の絶縁膜の表面から上方に突出する形状に配線を形成する工程と、前記上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜を形成する工程とを含む。
【0012】
半導体装置の製造方法の一態様は、有機材料からなる第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に無機材料からなる第2の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜内に、Cuを含有する導電材料からなる配線を形成する工程と、前記配線の上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜を形成する工程とを含む。
【発明の効果】
【0013】
上記した各態様によれば、配線の絶縁膜内へのCuの溶出及び配線間ショートの発生を抑止する信頼性の高い半導体装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態によるMCMの半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図2】図1に引き続き、第1の実施形態によるMCMの半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図3】複数のベアチップが樹脂基板に再構築された様子を示す概略平面図である。
【図4】MCMの半導体装置の配線の形成状況を示す概略平面図である。
【図5】図1(b)における第1の配線層の形成工程を工程順に示すフロー図である。
【図6】図1(b)における第1の配線層の形成工程を工程順に示す概略断面図である。
【図7】実験例1において、第1の実施形態によるMCMの半導体装置の第1の配線層を、比較例1,2と共に示す概略断面図である。
【図8】HAST試験で用いる配線パターンを示す概略平面図である。
【図9】実験例1において、第1の実施形態によるMCMの半導体装置の第1の配線層を示す概略断面図である。
【図10】第2の実施形態によるMCMの半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である
【図11】図10(a)における第1の配線層の形成工程を工程順に示す概略断面図である。
【図12】第2の実施形態の変形例によるMCMの半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図13】実験例において、第2の実施形態の変形例によるMCMの半導体装置の第1の配線層を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、諸実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。これらの実施形態では、MCMの半導体装置に適用した場合について例示する。
【0016】
(第1の実施形態)
本実施形態では、MCMの半導体装置の構成について、その製造方法と共に説明する。
図1及び図2は、第1の実施形態によるMCMの半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。図3は、複数のベアチップが樹脂基板に再構築された様子を示す概略平面図である。図1及び図2は、図3の破線I−I'に沿った位置の断面に対応している。なお、図1及び図2では、後述するバリア下地膜12及びキャップメタル膜5の図示を省略する。
【0017】
先ず、図1(a)及び図3に示すように、機能の異なる複数のベアチップ、ここではベアチップ1,2を樹脂基板10の表面に再構築する。
詳細には、機能ごとのベアチップが形成された各半導体基板から、各ベアチップを切り出す。各種のベアチップとしては、例えば半導体メモリが集積されたメモリチップ、CMOSトランジスタ等が集積されたロジックチップ、ドライブ機能又はアンプ機能等が集積されたもの等がある。本実施形態では、メモリチップであるベアチップ1と、ロジックチップであるベアチップ2とを例示する。
【0018】
半導体基板から切り出されたベアチップを、ベアチップ1とベアチップ2とが隣り合って1セットとなるように、例えばエポキシ樹脂等からなる樹脂基板10の表面に配置する。
ベアチップ1,2は、樹脂基板10の表面に形成された有機絶縁物よりなる有機絶縁膜10aの表面から、上層配線層1a,2aの表面が露出するように、樹脂基板10に埋め込み配設される。上層配線層1a,2aには、外部と電気的に接続するための接続プラグ3が例えばダマシン法により形成されており、接続プラグ3の上面が上層配線層1a,2aの表面に露出する。接続プラグ3は、上層配線層1a,2aの溝内を不図示のバリア下地膜を介してCu又はCu合金で充填して形成される。
【0019】
続いて、ベアチップ1,2上に多層配線構造を形成する。多層配線構造は、複数の配線層を積層して形成する。各配線層は、ダマシン法、ここではシングルダマシン法により形成する。
先ず、図1(b)に示すように、第1の配線層6を形成する。なお図1(b)では、後述するバリア下地膜12及びキャップメタル膜5の図示を省略する。
第1の配線層6は、配線4a及び接続プラグ4bを有し、配線4a上にメタルキャップ膜5が形成されて構成される。配線4aは、隣り合うベアチップ1,2の接続プラグ3間を電気的に接続する。
【0020】
配線4aは、樹脂基板10上で例えば図4に示すように複数並んで形成される。
MCMの半導体装置において、配線4aは、その配線幅及び配線間距離が比較的小さく、例えば共に1μm程度とされる。ダマシン法は従前より微細な配線の形成に適用されている手法であるが、配線幅及び配線間距離が100nm以上、例えば1μm程度の比較的大きな値である場合には、これまで問題視されていなかった。ところが、配線層の絶縁膜に後述のように有機膜を用いる場合には、上述のように、HAST試験の所定基準を満たさない。
【0021】
配線幅及び配線間距離が1μm程度となるようにダマシン法で形成された配線について、顕微鏡等で調べたところ、配線上方に形成された有機絶縁膜内でCuの拡散が確認された。これは、配線の上面から有機絶縁膜内にCuが溶出していることを意味する。配線の側面及び底面には、Ti又はTiN等のバリア下地膜が形成されているため、側面及び底面からの有機絶縁膜内へのCu拡散は防止される。しかしながら、配線の上面部位にはバリア下地膜は形成されず、Cuの拡散が問題となる。このCu拡散を抑制する方策として、配線上に、有機絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるメタルキャップ膜を形成することが考えられる。
【0022】
ところが、配線幅及び配線間距離が1μm程度、或いは1μm程度以上の配線において、配線上にメタルキャップ膜を形成すると、並んで配置された配線間でショートが発生することが見出された。これは、隣り合う配線間でメタルキャップ膜に電気的に接触が生じることに起因する。この場合、MCMの半導体装置としての信頼性を確保することができない。
本実施形態では、この問題に対処すべく、以下のように第1の配線層6を形成する。
【0023】
図5は、図1(b)における第1の配線層6の形成工程を工程順に示すフロー図である。図6は、図1(b)における第1の配線層6の形成工程を工程順に示す概略断面図であり、図1(b)の配線4aの短手方向に沿った断面に相当する。なお、図6(b)〜図6(f)の右端部分に、ビア孔11b、接続プラグ4bの断面を付記する。図6では、第1の配線層6下には樹脂基板10のみを示し、ベアチップ1,2等の図示を省略する。
【0024】
先ず、図5のステップS1により、配線4a及び接続プラグ4bを形成する。
図6(a)に示すように、ベアチップ1,2の上層配線層1a,2a上を含む樹脂基板10の表面の全面を覆うように有機絶縁膜11を形成する。
有機絶縁膜11は、所定の有機絶縁物、例えばエポキシ樹脂を用いて、塗布法等により、1.5μm程度の膜厚に形成される。
【0025】
図6(b)に示すように、有機絶縁膜11に配線溝11a及びビア孔11bを形成する。
配線溝11a及びビア孔11bは、リソグラフィー及びドライエッチングにより有機絶縁膜11をパターニングして形成される。配線溝11a及びビア孔の底面には、図1(b)に示す上層配線層1a,2aの接続プラグ3の上面の一部が露出する。
【0026】
図6(c)に示すように、バリア下地膜12及びCu材料13を形成する。
配線溝11aの内壁面及びビア孔11bの内壁面を覆うように、有機絶縁膜11上に例えばTi、TiN等をスパッタ法等により成膜し、バリア下地膜12を形成する。バリア下地膜12上に不図示のメッキシード層をスパッタ法等により成膜する。メッキシード層を用いて、バリア下地膜12を介して配線溝11a内及びビア孔11b内を埋め込むように、バリア下地膜12上にCu又はCu合金であるCu材料13をメッキ法により形成する。バリア下地膜12を形成することにより、配線溝11a内及びビア孔11bのCu材料13から有機絶縁膜11へのCu拡散が防止される。
【0027】
図6(d)及び図6(e)に示すように、配線4a及び接続プラグ4bを形成する。
先ず図6(d)のように、有機絶縁膜11の表面が露出するまで、Cu材料13及びバリア下地膜12を化学機械研磨法(Chemical Mechanical Polishing:CMP)で除去する。
次に図6(e)のように、Cu材料13及びバリア下地膜12よりも有機絶縁膜11の方が研磨速度が大きくなる研磨剤を選択して用い、有機絶縁膜11の表面をCMPで除去する。このとき、上記の研磨速度の違いに起因して、Cu材料13及びバリア下地膜12は殆ど研磨されずに有機絶縁膜11が研磨される。これにより、配線溝11a内及びビア孔11bにおいて、Cu材料13の上面が有機絶縁膜11の表面から上方に突出し、当該上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚くなる(上に凸形状となる)ようにCu材料13が残存する。
【0028】
以上により、有機絶縁膜11の配線溝11a内をバリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる配線4aと、有機絶縁膜11のビア孔11b内をバリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる接続プラグ4bとが形成される。配線4aは、そのCu材料13の上面が有機絶縁膜11の表面から突出する、上に凸形状に形成される。接続プラグ4bも同様に、そのCu材料13の上面が有機絶縁膜11の表面から突出する、上に凸形状に形成される。
【0029】
図6(f)に示すように、メタルキャップ膜5を形成する。
先ず、図5のステップS2により、配線4aの露出した上面に触媒活性化処理を施す。
触媒活性化処理に用いる触媒活性液は、Pdイオン、Irイオン、及びMoイオン等のうちの少なくとも1種を含有する。本実施形態では、Pdイオンを含有する触媒活性液を用いる場合を例示する。具体的には、PdCl2(0.1g/L)、Na2HPO4(12g/L)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(1g/L)、NH4Cl(54g/L)を含む組成のもの、例えばワールドメタル社の商品名AT−907を使用する。
【0030】
上記の触媒活性液の液浴に樹脂基板10を浸漬する。ここで、配線4aのCu材料13のCuがイオン化する際に、触媒活性液中のPdコロイド粒子のPdイオンがメタル化する。接続プラグ4bのCu材料13についても同様である。そのため、Pdコロイド粒子は有機絶縁膜11の表面と、配線4a及び接続プラグ4bのバリア下地膜12の表面とには吸着せず、配線4a及び接続プラグ4bのCu材料13の上面のみにPdコロイド粒子が選択的に吸着し、当該上面にPdが析出する。本実施形態では、上記のように、配線4aが配線溝11a内でその上面が有機絶縁膜11の表面から突出するように形成されている。そのため、例えば配線4aの上面と有機絶縁膜11の表面とが平坦な場合、或いは配線4aの上面が有機絶縁膜11の表面から凹んでいる場合に比べて、触媒活性液が配線4aの上面全体に均一に行き渡り易い。配線4aの上面は上に凸形状に形成されているため、触媒活性液が更に確実に上面全体に均一に行き渡る。このように、触媒活性液の配線4aの上面全体への確実な均一供給が可能となる。接続プラグ4bの上面についても同様である。
【0031】
次に、図5のステップS3により、樹脂基板10を水洗浄する。
次に、図5のステップS4により、配線4aの上面に無電解メッキ処理を施す。
無電解メッキ処理に用いる無電解メッキ液は、有機絶縁膜11に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する。この金属としては、例えばNi,Ni−P,Ni−W,Ni−B,Ni−W−P,Ni−W−B,Co,Co−P,Co−W,Co−B,Co−W−P,Co−W−Bから選ばれた少なくとも1種を用いる。本実施形態では、Coを含有する無電解メッキ液、例えばワールドメタル社の商品名コンパスを使用する場合を例示する。
【0032】
上記の無電解メッキ液の液浴に樹脂基板10を浸漬して無電解メッキ処理する。ここで、ステップS2の触媒活性化処理により、配線4a及び接続プラグ4bのCu材料13の上面のみにPdが析出し、有機絶縁膜11の表面及びバリア下地膜12の表面にはPdは物理的に吸着しない。そのため、無電解メッキ処理により、Cu材料13の上面にPdに無電解メッキ液のCoイオンが引き寄せられ、当該上面のみにCoが析出する。本実施形態では、配線4aの上面が有機絶縁膜11の表面から突出する上に凸形状とされており、触媒活性液が上面全体に均一に行き渡っている。そのため、CoはCu材料13の上面全体に亘って均一に析出する。これにより、Cu材料13の上面のみに、当該上面全体を均一な厚み(例えば50nm〜100nm程度)で覆う、Coを含むメタルキャップ膜5が形成される。このようにメタルキャップ膜5を形成することにより、隣り合う配線4aのメタルキャップ膜5間における電気的接触が抑止される。配線4a間のショートが確実に防止された状態で、メタルキャップ膜5により配線4aから上層の有機絶縁膜(後述する有機絶縁膜14)内へのCu拡散が抑制される。接続プラグ4bについても同様である。
【0033】
キャップ膜5の表面の中央部位における有機絶縁膜11の表面からの高さである突出量(図6(f)において突出量hと記す。)は、25nm以上300nm以下とすることが望ましい。本実施形態では、突出量hを例えば30nm程度とする。突出量hが25nmよりも小さいと、Cu材料13の表面の触媒活性化処理時に、Cu材料13の上面への触媒活性液の十分な供給が得られない。突出量hを300nmよりも大きく形成することは、ダマシン法による配線形成として現実的でないと考えられる。従って、突出量hを25nm以上300nm以下に規定することにより、Cu材料13の表面全体に触媒活性液を十分に供給することができ、所期の多層配線構造が実現する。
【0034】
そして、図5のステップS5により、樹脂基板10を水洗浄及び薬液洗浄する。
以上により、有機絶縁膜11の配線溝11a内及びビア孔11b内を、バリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる配線4a及び接続プラグ4bを有し、Cu材料13の表面全体のみを覆うキャップ膜5が配されてなる第1の配線層6が形成される。配線4aは、ベアチップ1,2の上層配線層1a,2aの接続プラグ3間を接続している。
【0035】
続いて、図2(a)に示すように、第1の配線層6上に、第2の配線層7をシングルダマシン法により順次積層形成する。なお、第2の配線層は、シングルダマシン法の代わりに例えばセミアディテブ法で形成しても良い。
詳細には、有機絶縁膜11と同様の有機絶縁物を材料として、配線4a及び接続プラグ4bを覆うように有機絶縁膜11上に有機絶縁膜14を形成する。
リソグラフィー及びドライエッチングにより有機絶縁膜14をパターニングし、有機絶縁膜14にビア孔を形成する。ビア孔の底面には、第1の配線層6の接続プラグ4bの上面の一部が露出する。また、有機絶縁膜11として永久レジストを用いて、リソグラフィーでパターニングを行い、ビア孔を形成しても良い。
【0036】
ビア孔の内壁面を覆うように、有機絶縁膜14上に例えばTi、TiN等をスパッタ法等により成膜し、バリア下地膜を形成する。バリア下地膜上にメッキシード層をスパッタ法等により成膜する。メッキシード層を用いて、バリア下地膜を介してビア孔内を埋め込むように、バリア下地膜上にCu又はCu合金であるCu材料をメッキ法により形成する。
【0037】
有機絶縁膜11の表面が露出するまで、Cu材料及びバリア下地膜をCMPにより除去する。
以上により、有機絶縁膜14のビア孔内を、バリア下地膜を介してCu材料で充填してなる接続プラグ15を有する第2の配線層7が形成される。接続プラグ15は、第1の配線層6の接続プラグ4bと接続される。
【0038】
続いて、図2(b)に示すように、例えばセミアディテブ法により、第2の配線層7上にパッド電極8を形成する。
詳細には、第2の配線層7上で接続プラグ15上を露出する開口を有するレジストマスクを形成する。開口内に例えばスパッタ法によりCu膜を形成した後、開口内を埋め込むようにCuをメッキ法で形成する。この際、開口部において、メッキで埋め込まれる高さをレジストの厚み以下にする。そして、レジストマスクを灰化処理等により除去する。以上により、第2の配線層7の接続プラグ15と接続されたパッド電極9が形成される。
【0039】
しかる後、樹脂基板10のスクライブラインをダイシングして、一対のベアチップ1,2からなるMCMの半導体チップを切り出す。
以上により、一対のベアチップ1,2が第1の配線層6の配線4aにより接続されてなる、MCMの半導体装置が形成される。
【0040】
(実験例1)
第1の配線層6の配線4aの不良発生率について、その上面形状を変えた比較例との比較に基づいて行ったHAST試験の結果について説明する。
比較例1による配線101を図7(a)に、比較例2による配線103を図7(b)にそれぞれ示す。配線101では、その上面が有機絶縁膜11の表面と平坦に形成されており、当該上面上にメタルキャップ膜102が形成されている。配線103では、その上面が有機絶縁膜11の表面よりも低く、凹んだ形状に形成されており、当該上面上にメタルキャップ膜104が形成されている。本実施形態による配線4aを図7(c)に示す。
【0041】
HAST試験では、図8に示すような配線パターン111を用いる。配線パターン111では、複数(図示の例では5本)の配線112が、配線幅及び配線間隔が共に1μm、配線高さが1.5μm、配線長さが3mmで平行に並列する。図8中の破線I−I'に沿った断面が図7(a)〜(c)に相当している。配線112は、比較例1では配線101に、比較例2では配線103に、本実施形態では配線4aに、それぞれ対応している。
HAST試験の結果を以下の表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
このように、比較例1,2に比べて、本実施形態では不良発生率(%)が大幅に小さい。このように、本実施形態の配線4aによれば、比較例1,2の配線101,103に比べて配線間のショートの頻度が極めて少なく、配線として高い信頼性が認められることが判明した。
【0044】
(実験例2)
第1の配線層6の配線4aの不良発生率について、その上面の突出量を変えて行ったHAST試験の結果について説明する。
本実施形態による配線4aを図9に示す。ここで、有機絶縁膜11の表面からメタルキャップ膜5の中央部位(最も高い位置)までの高さを、配線4aの突出量hとして定義する。ここでは、突出量hを8nm、25nm、110nmとした場合について調べた。
HAST試験では、実験例1と同様に図8に示すような配線パターン111を用い、配線112が、突出量hが上記のように設定された配線4aにそれぞれ対応している。
HAST試験の結果を以下の表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
このように、突出量hが8nmの配線4aでも比較的良好な試験結果を示すが、突出量hが25nm、110nmの配線4aでは、格段に優れた試験結果となった。突出量hを300nmよりも大きく形成することは、ダマシン法による配線形成として現実的でないと考えられる、以上より、突出量hを25nm以上300nm以下に規定することにより、配線間のショートの頻度が極めて少なく、配線として高い信頼性が認められることが判明した。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、多層配線構造における配線4aの有機絶縁膜11,14内へのCu溶出及び配線間ショートの発生を抑止する信頼性の高いMCMの半導体装置が実現する。
【0048】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、MCMの半導体装置の構成について、その製造方法と共に説明するが、多層配線構造における配線層の構成が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図10は、第2の実施形態によるMCMの半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。図10では、バリア下地膜12及び後述するキャップメタル膜22の図示を省略する。
【0049】
初めに、第1の実施形態の図1(a)と同様の工程を実行し、ベアチップ1,2を樹脂基板10の表面に再構築する。
【0050】
続いて、ベアチップ1,2上に多層配線構造を形成する。多層配線構造は、複数の配線層を積層して形成する。各配線層は、ダマシン法、ここではシングルダマシン法により形成する。
先ず、図10(a)に示すように、第1の配線層21を形成する。
第1の配線層21は、配線21a及び接続プラグ21bを有し、配線21a上にメタルキャップ膜22が形成されて構成される。配線21aは、隣り合うベアチップ1,2の接続プラグ3間を電気的に接続する。
【0051】
第1の配線層21の形成について、図11の各図を用いて説明する。図11は、図10(a)の配線21aの短手方向に沿った断面に相当する。なお、図11(c)〜図11(f)の右端部分に、ビア孔24b、接続プラグ21bの断面を付記する。図11では、第1の配線層21下には樹脂基板10のみを示し、ベアチップ1,2等の図示を省略する。
【0052】
図11(a)に示すように、ベアチップ1,2の上層配線層1a,2a上を含む樹脂基板10の表面の全面を覆うように有機絶縁膜11を形成する。
有機絶縁膜11は、所定の有機絶縁物、例えばエポキシ樹脂を用いて、塗布法等により、1.5μm程度の膜厚に形成される。
【0053】
図11(b)に示すように、有機絶縁膜11上に無機絶縁膜23を形成する。
詳細には、有機絶縁膜11上に、例えばスパッタ法により、例えばシリコン酸化物(SiO2)を0.05μm〜0.5μm程度、ここでは0.2μm程度の厚みに堆積し、無機絶縁膜23を形成する。上記の厚みが薄いと、後述するCMPで無機絶縁膜が除去されてしまい、メタルキャップを形成する際にCu以外の領域にも形成されてしまう可能性を生じる。CMPの条件により研磨速度が異なるので一概には言えないが、0.05μm以下にすると局所的にCMPで無機絶縁膜が除去されてしまう可能性が高くなる。
【0054】
無機絶縁膜23の無機絶縁材料としては、SiO2の代わりに、シリコン窒化物(SiN),シリコン酸窒化物(SiON),アルミナ(Al2O3),シリコンカーバイド(SiC),カーボン含有SiO2(SiOC)から選ばれた少なくとも1種を用いても良い。また、スパッタ法の代わりに、有機絶縁膜11との密着性が良ければ、CVD法又は塗布法により無機絶縁膜23を形成しても好適である。
【0055】
図11(c)に示すように、無機絶縁膜23及び有機絶縁膜11に配線溝24a及びビア孔24bを形成する。
配線溝24a及びビア孔24bは、リソグラフィー及びドライエッチングにより無機絶縁膜23及び有機絶縁膜11をパターニングして形成される。配線溝24a及びビア孔24bの底面には、図10(a)に示す上層配線層1a,2aの接続プラグ3の上面の一部が露出する。
【0056】
図11(d)に示すように、バリア下地膜12及びCu材料13を形成する。
配線溝24a及びビア孔24bの内壁面を覆うように、有機絶縁膜11上に例えばTi、TiN等をスパッタ法等により成膜し、バリア下地膜12を形成する。バリア下地膜12上にメッキシード層をスパッタ法等により成膜する。メッキシード層を用いて、バリア下地膜12を介して配線溝24a内及びビア孔24b内を埋め込むように、バリア下地膜12上にCu又はCu合金であるCu材料13をメッキ法により形成する。バリア下地膜12により、配線溝24a内のCu材料13から有機絶縁膜11へのCu拡散が防止される。配線溝24a内のCu材料13についても同様である。
【0057】
図11(e)に示すように、配線21a及び接続プラグ21bを形成する。
有機絶縁膜11の表面が露出するまで、Cu材料13及びバリア下地膜12をCMPで除去する。これにより、配線溝24a内をバリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる配線21aと、ビア孔24b内をバリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる接続プラグ21bとが形成される。
【0058】
図11(f)に示すように、メタルキャップ膜22を形成する。
第1の実施形態と同様に、図5のステップS2を行い、Pdイオンを含有する触媒活性液の液浴に樹脂基板10を浸漬する。
触媒活性化処理では、PdがCu材料13の表面のみに析出することが理想である。しかしながら、有機絶縁膜11には、配線等形成のためにドライエッチング及びウェットエッチング等の表面に影響を与える処理がなされており、当該処理に起因して、有機絶縁膜11の表面にも若干量のPdが析出するものと考えられる。有機絶縁膜には各種の添加材が含まれているため、例えばシリコン酸化膜のような安定な構造とされておらず、局所的にPdが析出する可能性が高い。本実施形態では、有機絶縁膜11の表面を覆うようにシリコン酸化膜等の安定な構造の無機絶縁膜23を形成する。触媒活性化処理において、無機絶縁膜23の表面にはPdは析出せず、配線21a及び接続プラグ21bのCu材料13の上面のみにPdが析出することになる。
【0059】
第1の実施形態と同様に、図5のステップS3で樹脂基板10を水洗浄した後、ステップS4により、無電解メッキ液の液浴に樹脂基板10を浸漬して無電解メッキ処理する。
ステップS2の触媒活性化処理において、配線21a及び接続プラグ21bのCu材料13の上面のみにPdが析出し、有機絶縁膜11を覆う無機絶縁膜23の表面及びバリア下地膜12の表面にはPdは吸着しない。そのため、無電解メッキ処理により、Cu材料13の上面にPdに無電解メッキ液のCoイオンが引き寄せられ、当該上面のみにCoが析出する。これにより、Cu材料13の上面のみに、当該上面全体を均一な厚み(例えば50nm〜100nm程度)で覆う、Coを含むメタルキャップ膜22が形成される。このようにメタルキャップ膜22を形成することにより、隣り合う配線21aのメタルキャップ膜22間における電気的接触が抑止される。配線21a間のショートが確実に防止された状態で、メタルキャップ膜22により配線21aから上層の有機絶縁膜14内へのCu拡散が抑制される。接続プラグ21bについても同様である。
【0060】
そして、第1の実施形態と同様に、図5のステップS5により、樹脂基板10を水洗浄及び薬液洗浄する。
以上により、ベアチップ1,2の上層配線層1a,2a上に、第1の配線層21が形成される。第1の配線層21は、有機絶縁膜11及び無機絶縁膜23の配線溝24a内及びビア孔24b内を、バリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる配線21a及び接続プラグ21bを有し、Cu材料13の表面全体のみを覆うキャップ膜22が形成されている。配線21aにより、ベアチップ1,2の上層配線層1a,2aの接続プラグ3間が接続される。
【0061】
続いて、第1の実施形態と同様に、図2(a)〜図2(b)と同様の各工程を経て、図10(b)に示すように、第2の配線層7上にパッド電極8を形成する。
しかる後、樹脂基板10のスクライブラインをダイシングして、一対のベアチップ1,2からなるMCMの半導体チップを切り出し、一対のベアチップ1,2が第1の配線層21の配線21aにより接続されてなる、MCMの半導体装置が形成される。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、多層配線構造における配線21aの有機絶縁膜11,14内へのCu溶出及び配線間ショートの発生を抑止する信頼性の高いMCMの半導体装置が実現する。
【0063】
(変形例)
以下、第2の実施形態の変形例について説明する。
本例では、第2の実施形態と同様に、MCMの半導体装置の構成について、その製造方法と共に説明するが、多層配線構造における配線層の構成が異なる点で第2の実施形態と相違する。
図12は、第2の実施形態の変形例によるMCMの半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。図12(a)〜(c)では、後述する第1の配線層31下には樹脂基板10のみを示し、ベアチップ1,2等の図示を省略する。図12(a)〜(c)は、図12(d)の配線31aの短手方向に沿った断面に相当する。なお、図12(a)〜図12(c)の右端部分に、ビア孔24b、接続プラグ31bの断面を付記する。また、図12(d)では、バリア下地膜12及び後述するキャップメタル膜32の図示を省略する。
【0064】
初めに、第2の実施形態と同様に、第1の実施形態の図1(a)と同様の工程を実行し、ベアチップ1,2を樹脂基板10の表面に再構築する。
【0065】
続いて、ベアチップ1,2上に多層配線構造を形成する。多層配線構造は、複数の配線層を積層して形成する。各配線層は、ダマシン法、ここではシングルダマシン法により形成する。
先ず、第2の実施形態と同様に、図11(a)〜(d)の各工程を実行する。
【0066】
図12(a),(b)に示すように、配線31a及び接続プラグ31bを形成する。
先ず、図12(a)のように、無機絶縁膜23の表面が露出するまで、Cu材料13及びバリア下地膜12をCMPで除去する。
次に図12(b)のように、Cu材料13及びバリア下地膜12よりも無機絶縁膜23の方が研磨速度が大きくなる研磨剤を選択して用い、無機絶縁膜23の表面をCMPで除去する。このとき、上記の研磨速度の違いに起因して、Cu材料13及びバリア下地膜12は殆ど研磨されずに無機絶縁膜23が研磨される。これにより、配線溝24a内及びビア孔24b内において、Cu材料13の上面が無機絶縁膜23の表面から上方に突出し、当該上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚くなる(上に凸形状となる)ようにCu材料13が残存する。
【0067】
以上により、配線溝24a内をバリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる配線31aと、ビア孔24b内をバリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる接続プラグ31bとが形成される。配線31a及び接続プラグ31bは、そのCu材料13の上面が無機絶縁膜23の表面から突出する、上に凸形状に形成される。
【0068】
図12(c)に示すように、メタルキャップ膜32を形成する。
第2の実施形態と同様に、第1の実施形態の図5のステップS2を行い、Pdイオンを含有する触媒活性液の液浴に樹脂基板10を浸漬する。
本例では、有機絶縁膜11上を覆う無機絶縁膜23が形成され、且つ配線31a及び接続プラグ31bのCu材料13の上面が無機絶縁膜23の表面から突出する、上に凸形状に形成された状態で、ステップS2を行う。この場合、触媒活性液が配線31a及び接続プラグ31bの上面全体に均一に行き渡ると共に、無機絶縁膜23の存在により無機絶縁膜23上における触媒活性液のPdの析出が確実に抑止され、配線31a及び接続プラグ31bの上面上のみに当該上面全体に均一にPdが析出する。
【0069】
第2の実施形態と同様に、第1の実施形態の図5のステップS3で樹脂基板10を水洗浄した後、ステップS4により、無電解メッキ液の液浴に樹脂基板10を浸漬して無電解メッキ処理する。
ステップS2の触媒活性化処理において、配線31a及び接続プラグ31bのCu材料13の上面のみに当該上面全体に均一にPdが析出し、有機絶縁膜11を覆う無機絶縁膜23の表面及びバリア下地膜12の表面にはPdは物理的に吸着しない。そのため、無電解メッキ処理により、Cu材料13の上面にPdに無電解メッキ液のCoイオンが引き寄せられ、当該上面のみに均一にCoが析出する。これにより、Cu材料13の上面のみに、当該上面全体を均一な厚み(例えば50nm〜100nm程度)で覆う、Coを含むメタルキャップ膜32が形成される。このようにメタルキャップ膜32を形成することにより、隣り合う配線31aのメタルキャップ膜22間における電気的接触が確実に抑止される。配線31a間のショートが確実に防止された状態で、メタルキャップ膜32により配線31aから上層の有機絶縁膜14内へのCu拡散が抑制される。接続プラグ31bについても同様である。
【0070】
そして、第2の実施形態と同様に、第1の実施形態の図5のステップS5により、樹脂基板10を水洗浄及び薬液洗浄する。
以上により、ベアチップ1,2の上層配線層1a,2a上に、第1の配線層31が形成される。第1の配線層31は、有機絶縁膜11及び無機絶縁膜23の配線溝24a内及びビア孔24b内を、バリア下地膜12を介してCu材料13で充填してなる配線31a及び接続プラグ31bを有し、Cu材料13の表面全体のみを覆うキャップ膜32が形成されている。配線31aにより、ベアチップ1,2の上層配線層1a,2aの接続プラグ3間が接続される。
【0071】
続いて、第2の実施形態と同様に、第1の実施形態の図1(c)〜図2(b)と同様の各工程を経て、図12(d)に示すように、第2の配線層7上にパッド電極8を形成する。
しかる後、樹脂基板10のスクライブラインをダイシングして、一対のベアチップ1,2からなるMCMの半導体チップを切り出し、一対のベアチップ1,2が第1の配線層21の配線31aにより接続されてなる、MCMの半導体装置が形成される。
【0072】
(実験例)
第1の配線層31の配線31aの不良発生率について、その上面の突出量を変えて行ったHAST試験の結果について説明する。
本例による配線31aを図13に示す。ここで、無機絶縁膜23の表面からメタルキャップ膜32の中央部位(最も高い位置)までの高さを、配線31aの突出量hとして定義する。ここでは、突出量hを4nm、15nm、74nmとした場合について調べた。
【0073】
HAST試験では、第1の実施形態の実験例1,2と同様に図8に示すような配線パターン111を用い、配線112が、突出量hが上記のように設定された配線31aにそれぞれ対応している。
HAST試験の結果を以下の表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
このように、突出量hが4nmの配線31aでも比較的良好な試験結果を示すが、突出量hが15nm、74nmの配線31aでは、格段に優れた試験結果となった。突出量hを300nmよりも大きく形成することは、ダマシン法による配線形成として現実的でないと考えられる、以上より、突出量hを15nm以上300nm以下に規定することにより、配線間のショートの頻度が極めて少なく、配線として高い信頼性が認められることが判明した。
【0076】
以上説明したように、本例によれば、多層配線構造における配線31aの有機絶縁膜11,14内へのCu溶出及び配線間ショートの発生を抑止する信頼性の高いMCMの半導体装置が実現する。
【0077】
以下、諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0078】
(付記1)有機材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜内に形成された、Cuを含有する導電材料からなる配線と
を含み、
前記配線は、その上面が前記第1の絶縁膜の表面から上方に突出しており、
前記上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【0079】
(付記2)前記配線は、前記上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚く形成されていることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
【0080】
(付記3)前記キャップ膜の配線幅方向の中央部位における前記第1の絶縁膜の表面からの高さが25nm以上300nm以下とされていることを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置。
【0081】
(付記4)前記配線間における前記第1の絶縁膜上に形成された、無機材料からなる第2の絶縁膜を更に含み、
前記配線は、その上面が前記第2の絶縁膜の表面から突出していることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0082】
(付記5)前記キャップ膜の前記難拡散性の金属は、Ni,Ni−P,Ni−W,Ni−B,Ni−W−P,Ni−W−B,Co,Co−P,Co−W,Co−B,Co−W−P,Co−W−Bから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0083】
(付記6)有機材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜内に形成された、Cuを含有する導電材料からなる配線と
を含み、
前記配線間における前記第1の絶縁膜上に、無機材料からなる第2の絶縁膜が形成されており、
前記配線の上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【0084】
(付記7)前記配線は、その上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚く形成されると共に、前記上面が前記第1の絶縁膜の表面から上方に突出しており、
前記キャップ膜の配線幅方向の中央部位における前記第2の絶縁膜の表面からの高さが15nm以上300nm以下とされていることを特徴とする付記6に記載の半導体装置。
【0085】
(付記8)前記キャップ膜の前記難拡散性の金属は、Ni,Ni−P,Ni−W,Ni−B,Ni−W−P,Ni−W−B,Co,Co−P,Co−W,Co−B,Co−W−P,Co−W−Bから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記6又は7に記載の半導体装置。
【0086】
(付記9)前記第2の絶縁膜の前記無機材料は、SiO2,SiN,SiON,Al2O3,SiC,SiOCから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記6〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0087】
(付記10)有機材料からなる第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜内に、Cuを含有する導電材料からなり、上面が前記第1の絶縁膜の表面から上方に突出する形状に配線を形成する工程と、
前記上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0088】
(付記11)前記配線は、前記上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚く形成されることを特徴とする付記10に記載の半導体装置の製造方法。
【0089】
(付記12)前記キャップ膜を形成する工程は、
前記第1の絶縁膜の表面から露出する前記配線の前記上面を触媒活性化処理する工程と、
無電解メッキ法により前記上面上のみに前記キャップ膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする付記10又は11に記載の半導体装置の製造方法。
【0090】
(付記13)前記触媒活性化処理では、Pd,Pt,Ir,Moから選ばれた少なくとも1種の金属イオンを含有する触媒活性液を用いることを特徴とする付記12に記載の半導体装置の製造方法。
【0091】
(付記14)前記キャップ膜の前記難拡散性の金属は、Ni,Ni−P,Ni−W,Ni−B,Ni−W−P,Ni−W−B,Co,Co−P,Co−W,Co−B,Co−W−P,Co−W−Bから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記10〜13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0092】
(付記15)前記第1の絶縁膜を形成した後、前記配線を形成する前に、前記第1の絶縁膜上に無機材料からなる第2の絶縁膜を形成する工程を更に含むことを特徴とする付記9〜12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0093】
(付記16)有機材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に無機材料からなる第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜内に、Cuを含有する導電材料からなる配線を形成する工程と、
前記配線の上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0094】
(付記17)前記キャップ膜を形成する工程は、
前記第2の絶縁膜の表面から露出する前記配線の前記上面を触媒活性化処理する工程と、
無電解メッキ法により前記上面上のみに前記キャップ膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする付記16に記載の半導体装置の製造方法。
【0095】
(付記18)前記触媒活性化処理では、Pd,Pt,Ir,Moから選ばれた少なくとも1種の金属イオンを含有する触媒活性液を用いることを特徴とする付記17に記載の半導体装置の製造方法。
【0096】
(付記19)前記キャップ膜の前記難拡散性の金属は、Ni,Ni−P,Ni−W,Ni−B,Ni−W−P,Ni−W−B,Co,Co−P,Co−W,Co−B,Co−W−P,Co−W−Bから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記16〜18のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0097】
1,2 ベアチップ
1a,2a 上層配線層
3,15 接続プラグ
4a,21a,31a,101,103,112 配線
4b,21b,31b 接続プラグ
5,22,32,102 キャップメタル膜
6,21,31 第1の配線層
7 第2の配線層
8 パッド電極
10 樹脂基板
10a 有機絶縁膜
11,14 有機絶縁膜
11a,24a 配線溝
12 バリア下地膜
13 Cu材料
23 無機絶縁膜
24b ビア孔
111 配線パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜内に形成された、Cuを含有する導電材料からなる配線と
を含み、
前記配線は、その上面が前記第1の絶縁膜の表面から上方に突出しており、
前記上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記配線は、前記上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記配線間における前記第1の絶縁膜上に形成された、無機材料からなる第2の絶縁膜を更に含み、
前記配線は、その上面が前記第2の絶縁膜の表面から突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
有機材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜内に形成された、Cuを含有する導電材料からなる配線と
を含み、
前記配線間における前記第1の絶縁膜上に、無機材料からなる第2の絶縁膜が形成されており、
前記配線の上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
有機材料からなる第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜内に、Cuを含有する導電材料からなり、上面が前記第1の絶縁膜の表面から上方に突出する形状に配線を形成する工程と、
前記上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記配線は、前記上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚く形成されることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記キャップ膜を形成する工程は、
前記第1の絶縁膜の表面から露出する前記配線の前記上面を触媒活性化処理する工程と、
無電解メッキ法により前記上面上のみに前記キャップ膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
有機材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に無機材料からなる第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜内に、Cuを含有する導電材料からなる配線を形成する工程と、
前記配線の上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
有機材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜内に形成された、Cuを含有する導電材料からなる配線と
を含み、
前記配線は、その上面が前記第1の絶縁膜の表面から上方に突出しており、
前記上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記配線は、前記上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記配線間における前記第1の絶縁膜上に形成された、無機材料からなる第2の絶縁膜を更に含み、
前記配線は、その上面が前記第2の絶縁膜の表面から突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
有機材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜内に形成された、Cuを含有する導電材料からなる配線と
を含み、
前記配線間における前記第1の絶縁膜上に、無機材料からなる第2の絶縁膜が形成されており、
前記配線の上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
有機材料からなる第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜内に、Cuを含有する導電材料からなり、上面が前記第1の絶縁膜の表面から上方に突出する形状に配線を形成する工程と、
前記上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記配線は、前記上面の配線幅方向の中央部位が端部位よりも厚く形成されることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記キャップ膜を形成する工程は、
前記第1の絶縁膜の表面から露出する前記配線の前記上面を触媒活性化処理する工程と、
無電解メッキ法により前記上面上のみに前記キャップ膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
有機材料からなる第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に無機材料からなる第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜内に、Cuを含有する導電材料からなる配線を形成する工程と、
前記配線の上面上に、前記第1の絶縁膜に対してCuよりも難拡散性の金属を含有する導電材料からなるキャップ膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−146752(P2012−146752A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2432(P2011−2432)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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