説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】クラックが半導体装置の内部に進行することを抑制する。
【解決手段】本発明に係る半導体装置は、半導体基板1の表層に形成され、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域7と、半導体基板1の縁の表層に形成された第2の不純物領域8と、半導体基板1上に形成された層間絶縁膜100と、層間絶縁膜100に形成され、半導体基板1の縁上に位置する層間絶縁膜100を上下に貫通する第1の溝150と、第1の溝150の下に位置する半導体基板1に形成され、底部が第2の不純物領域8の底部と略同じ位置又は深い位置にある第2の溝150とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する、特に本発明は、ダイシング時に半導体装置の端部に発生したクラックが半導体装置の内部に進行することを抑制できる半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の半導体装置の構成を説明する為の断面図である。この半導体装置において、シリコン基板400には、トランジスタ401のソース又はドレインとなる不純物領域407が形成されている。不純物領域407は、シリコン基板400に不純物イオンを注入することにより形成される。なお、同一工程において、シリコン基板400のうちダイシングライン340に隣接する部分に不純物領域408が形成される。
【0003】
このトランジスタ401上には層間絶縁膜300,310,320がこの順に積層され、層間絶縁膜300,310,320それぞれの上にはAl配線層(図示せず)が形成されている。最上層の層間絶縁膜320上及びAl配線層上には、窒化シリコン膜を含むパッシベーション膜330が形成されている。層間絶縁膜300,310,320の外周部には、金属からなるガードリング360が形成されている。なお、ガードリング360はAl配線層と同一工程で形成される。
【0004】
このような構造において、ダイシング時に半導体装置の端部にクラックが発生し、このクラックが半導体装置の内部まで進行することがある。そこでクラックが端部から半導体装置の内部への進行を防ぐために、ガードリングのさらに外側に溝350が形成されている。溝350はパッシベーション膜330、層間絶縁膜300,310,320を貫通して、シリコン基板400表面にまで達している。(例えば特許文献1及び2参照)
【特許文献1】特開平9−45766号公報(第51段落)
【特許文献2】特開平10−172927号公報(第30段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来の技術では、ガードリングの外側に位置する溝はパッシベーション膜、及び層間絶縁膜に設けられている。しかし、シリコン基板のうちダイシングラインに隣接する部分の表層には不純物領域が形成されているが、この不純物領域は、イオン注入時の入射イオン衝撃で結晶構造が壊れクラックが入りやすい状態となっている。そのため、ダイシング時にシリコン基板表層にある不純物領域にクラックが発生することがある。このような場合、上記の従来の技術では、シリコン基板に発生したクラックが半導体装置の内部へ進行することを阻止することができない。
【0006】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、シリコン基板にクラックが発生しても、クラックが半導体装置の内部に進行することを抑制できる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置は、半導体基板の表層に形成され、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域と、
前記半導体基板の縁の表層に形成された第2の不純物領域と、
前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜に形成され、前記半導体基板の縁上に位置する前記層間絶縁膜を上下に貫通する第1の溝と、
前記第1の溝の下に位置する前記半導体基板に形成され、底部が前記第2の不純物領域の底部と略同じ位置又は深い位置にある第2の溝とを具備する。
【0008】
本発明に係る他の半導体装置は、半導体基板の表層に形成され、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域と、
前記半導体基板の縁の表層に形成された第2の不純物領域と、
前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜に形成され、前記半導体基板の縁上に位置する前記層間絶縁膜を上下に貫通する第1の溝と、
前記第1の溝の下に位置する前記半導体基板に形成され、前記半導体基板の表面からの深さが0.5μm以上1.0μm以下である第2の溝とを具備する。
【0009】
これらの半導体装置において、前記第2の溝の底部は、前記半導体基板の縁の表層に形成された前記第2の不純物領域の底部と略同じ又は深い位置にある。従って、ダイシング時に前記第2の不純物領域にクラックが発生しても、クラックは前記第2の溝で止まるため、クラックが前記半導体装置の内部に進行することを抑制できる。
【0010】
前記層間絶縁膜は例えばクラックが発生し易いBPSG膜を含んでいてもよい。この場合、本発明の半導体装置は、前記第1の溝は前記層間絶縁膜に形成され、前記半導体基板の縁上に位置する前記層間絶縁膜を上下に貫通している。従って、前記層間絶縁膜でクラックが発生しても、クラックは前記第1の溝で止まるため、クラックが半導体装置の内部に進行することを抑制することができる。
【0011】
本発明に係る他の半導体装置は、半導体基板の表層に形成され、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域と、
前記半導体基板の縁の表層に形成された第2の不純物領域と、
前記半導体基板上に形成された複数層の層間絶縁膜と、
最上層の前記層間絶縁膜上に形成された保護膜と、
前記複数層の層間絶縁膜及び前記保護膜に形成され、前記半導体基板の縁上に位置する前記複数層の層間絶縁膜及び前記保護膜を上下に貫通する第1の溝と、
前記第1の溝の下に位置する前記半導体基板に形成され、底部が前記第2の不純物領域の底部と略同じ位置又は深い位置にある第2の溝とを具備する。
【0012】
この半導体装置において、前記第2の溝の底部は、前記半導体基板の縁の表層に形成された前記第2の不純物領域の底部と略同じ又は深い位置にある。従って、ダイシング時に前記第2の不純物領域にクラックが発生しても、クラックは前記第2の溝で止まるため、クラックが半導体装置の内部に進行することを抑制できる。また、前記第1の溝は、前記半導体基板の縁上に位置する前記複数の層間絶縁膜及び前記保護膜を上下に貫通している。従って、どの層の端部でクラックが発生しても、クラックは前記第1の溝で止まるため、クラックが半導体装置の内部に進行することを抑制できる。
【0013】
前記第1の不純物領域が設けられた能動領域と、前記能動領域を囲むガードリングとを更に備える場合、前記第1の溝及び第2の溝は前記ガードリングの外側に位置しており、かつ前記ガードリングを囲むものであるのが好ましい。この場合、前記ガードリングが形成されることにより、水分又は腐食性ガスが層間絶縁膜の界面に沿って能動領域に進入することを抑制できる。また、いずれの端面でクラックが発生しても、クラックは前記第1及び第2の溝で止まり、クラックが能動領域に進行することを抑制できる。
【0014】
本発明に係る他の半導体装置は、半導体基板に設けられた能動領域と、
前記能動領域に位置する前記半導体基板の表層に形成され、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域と、
を具備し、前記半導体基板は、縁の表層が除去されており、該縁が前記能動領域よりも低い。
【0015】
この半導体装置において、前記第1の不純物領域を形成する時に、前記半導体基板の縁に不純物領域が形成されることがある。前記半導体基板の縁に位置する不純物領域は、イオン注入時の入射イオン衝撃で結晶構造が壊れクラックが入りやすい状態となっている。しかし、前記半導体基板は、縁の不純物領域が除去されており前記能動領域よりも低い。これにより、半導体装置の内部にクラックが発生及び進行することを抑制できる。
【0016】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の表層に、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域を形成し、かつ前記半導体基板のうちダイシングラインに隣接する部分に第2の不純物領域を形成する工程と、
前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜を上下に貫通する第1の溝を前記第2の不純物領域上に形成し、前記第1の溝の下に位置する前記半導体基板に、底部が前記第2の不純物領域の底部と略同じ位置又は深い位置にある第2の溝を形成する工程と、
を具備する
【0017】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、半導体基板の表層に、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域を形成し、かつ前記半導体基板のうちダイシングラインに隣接する部分に第2の不純物領域を形成する工程と、
前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜を上下に貫通する第1の溝を前記第2の不純物領域上に形成し、前記第1の溝の下に位置する前記半導体基板に、前記半導体基板の表面から底部までの深さが0.5μm以上1.0μm以下である第2の溝を形成する工程とを具備する。
【0018】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、半導体基板の表層に、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域を形成し、かつ前記半導体基板のうちダイシングラインに隣接する部分に第2の不純物領域を形成する工程と、
前記半導体基板上に複数層の層間絶縁膜を形成する工程と、
最上層の前記層間絶縁膜上に、保護膜を形成する工程と、
前記複数層の層間絶縁膜及び前記保護膜を上下に貫通する第1の溝を前記第2の不純物領域上に形成し、前記第1の溝の下に位置する前記半導体基板に、底部が前記第2の不純物領域の底部と略同じ位置又は深い位置にある第2の溝を形成する工程とを具備する。
この場合、第1の溝及び第2の溝を形成する工程において、保護膜にパッド開口部を形成してもよい。
【0019】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、半導体基板の能動領域の表層に、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域を形成し、かつ前記半導体基板のうちダイシングラインに隣接する部分の表層に第2の不純物領域を形成する工程と、
前記第2の不純物領域を取り除く工程とを具備する。
この場合、前記第2の不純物領域を取り除くことにより、前記半導体基板のうちダイシングラインに隣接する部分の表面を前記能動領域よりも低く形成することが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1及び図2は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の断面図である。まず、図1(a)に示すように、シリコン基板1に素子分離膜2を形成し、トランジスタが形成される素子領域を、他の領域から分離する。素子分離膜2はLOCOS酸化法により形成されても良いが、トレンチアイソレーション法によりシリコン基板1に埋め込まれても良い。
【0021】
次いで、シリコン基板1を熱酸化する。これにより、素子領域に位置するシリコン基板1にはゲート酸化膜3が形成される。次いで、ゲート酸化膜3上を含む全面上にポリシリコン膜を形成し、このポリシリコン膜をパターニングする。これにより、ゲート酸化膜3上にはゲート電極4が形成される。次いで、ゲート電極4及び素子分離膜2をマスクとして、シリコン基板に不純物イオンを注入する。これにより、シリコン基板1には低濃度不純物領域6が形成される。次いで、ゲート電極4を含む全面上に、酸化シリコン膜を形成し、この酸化シリコン膜をエッチバックする。これにより、ゲート電極4の側壁はサイドウォール5で覆われる。
【0022】
次いで、ゲート電極4、サイドウォール5、及び素子分離膜2をマスクとして、シリコン基板1に不純物イオンを注入する。この時の不純物イオンは、N型トランジスタを形成する時はN型不純物イオンであり(例えばPイオン又はAsイオン)、P型トランジスタを形成する時はP型不純物イオンである(例えばBイオン又はBFイオン)。不純物イオンの注入エネルギーは例えば数10keVである。不純物イオンの打ち込み深さは例えば、0.2μm以上0.3μm以下であり、不純物領域のイオン濃度は例えば1019ヶ/cmである。これにより、シリコン基板1には、トランジスタのソース及びドレインとなる不純物領域7が形成される。なお、本工程において、シリコン基板1のうちダイシングライン140に隣接する部分にも不純物領域8が形成される。不純物領域8はイオン注入時の入射イオン衝撃で結晶構造が壊れダイシング時にクラックが入りやすい状態となっている。
このようにして、シリコン基板1の素子領域にはトランジスタが形成され、シリコン基板1のうちダイシングライン140に隣接する部分には不純物領域8が形成される。
【0023】
次いで、図1(b)に示すようにトランジスタを含む全面上に、第1の層間絶縁膜100を形成する。第1の層間絶縁膜100は例えば下層から窒化シリコン膜(厚さは例えば、50nm)、テトラエトキシラン(TEOS)とオゾン(O)とを用いたプラズマCVD法により形成した酸化シリコン膜(厚さは例えば、60nm)、BPSG膜(厚さは例えば、200nm)、及び酸化シリコン膜(厚さは例えば、950nm)を順に積層して形成する。BPSG膜は、例えばモノシラン又はTEOSなどのシラン化合物を含むガス、酸素又はオゾンを含むガス、リンを含むガス、ならびにホウ素を含むガスを互いに気相反応させることにより形成される。また、酸化シリコン膜は、例えばテトラエトキシラン(TEOS)を用いたCVD法により形成される。なお、BPSG膜は吸湿性が強いため、クラックが発生し易く、かつ進行しやすい。
【0024】
次いで、第1の層間絶縁膜100上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現象する。これにより、第1の層間絶縁膜100にはレジストパターン(図示せず)が形成される。次いで、このレジストパターンをマスクとして第1の層間絶縁膜100をエッチングする。これにより、第1の層間絶縁膜100には、接続孔100a及び溝100bが形成される。接続孔100aは不純物領域7上に位置している。また、溝100bは不純物領域8上に位置している。その後レジストパターンを除去する。
【0025】
次いで、接続孔100a及び溝100bそれぞれの中、並びに第1の層間絶縁膜100上に、タングステン膜をCVD法により形成する。この際、タングステン膜の下にTiN等からなるバリアメタル膜を形成してもよい。次いで、第1の層間絶縁膜100上に位置するタングステン膜を、CMP法により研磨除去する。これにより、接続孔100aの中にはタングステンプラグ102aが埋め込まれる。また、溝100bの中にはガードリングとなるタングステン壁102bが埋め込まれる。
【0026】
次いで、タングステンプラグ102a及びタングステン壁102b、並びに第1の層間絶縁膜100を含む全面上に、Al合金膜をスパッタリング法により形成する。次いで、Al合金膜上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現象する。これによりAl合金膜上にはレジストパターン(図示せず)が形成される。次いで、レジストパターンをマスクとして、Al合金膜をエッチングする。これにより、第1の層間絶縁膜100上には、Al合金配線105a及びガードリングとなるAl合金層105bが形成される。Al合金配線105aはタングステンプラグ102aを介して不純物領域7と電気的に接続している。また、Al合金層105bの外周側の端部はタングステン壁102bの上面と繋がっている。その後、レジストパターンを除去する。
【0027】
次いで、図1(c)に示すように、Al合金配線105a及びAl合金層105b、並びに第1の層間絶縁膜100上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現象する。これにより、第1の層間絶縁膜100にはレジストパターン(図示せず)が形成される。次いで、このレジストパターンをマスクとして第1の層間絶縁膜100及びシリコン基板1をエッチングする。これにより、溝150が形成される。溝150は、第1の層間絶縁膜100に形成された第1の溝と、シリコン基板1に形成された第2の溝により構成されている。第1の溝は第1の層間絶縁膜を上下に貫通しており、第2の溝は、底部が不純物領域8の底部よりも深く位置しており、例えば、シリコン基板1の表面から0.5μm以上1.0μm以下の場所に位置している。その後、レジストパターンを除去する。
【0028】
次いで、図1(d)に示すようにAl合金配線105a、Al合金層105b、溝150、及び第1の層間絶縁膜100を含む全面上に、酸化シリコンからなる第2の層間絶縁膜110を、シラン系のガスを用いたCVD法により形成する。この時、溝150は、第2の層間絶縁膜110によって埋まらず、空洞の状態が維持される。
【0029】
そして、図2(a)に示すように第2の層間絶縁膜110上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現象する。これにより、第2の層間絶縁膜110上にはレジストパターン(図示せず)が形成される。そしてこのレジストパターンをマスクとして第2の層間絶縁膜110をエッチングする。これにより、第2の層間絶縁膜110には、接続孔110a及び溝110bが形成される。接続孔110aはAl合金配線105a上に位置している。また、溝110bはAl合金層105b上の内周側の端部に位置している。その後、レジストパターンを除去する。
【0030】
次いで、接続孔110a及び溝110bそれぞれの中、並びに第2の層間絶縁膜110上に、Al合金膜をスパッタリング法により形成する。この際、Al合金膜の下にTiN等からなるバリアメタル膜を形成してもよい。次いで、このAl合金膜の上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、露光及び現象することによりレジストパターン(図示せず)を形成する。そして、このレジストパターンをマスクとしてAl合金膜をエッチングする。これにより、Al合金配線115aが、第2の層間絶縁膜110上に形成される。Al合金配線115aは、一部が接続孔110a内に埋め込まれることにより、Al合金配線105aと電気的に接続される。また、ガードリングとなるAl合金壁112bが溝110b内に埋め込まれ、ガードリングとなるAl合金層115bが、第2の層間絶縁膜110上に形成される。Al合金層115bの内周側の端部はAl合金壁112bの上面に繋がっている。その後レジストパターンを除去する。
【0031】
次いで、Al合金配線115a及びAl合金層115b、並びに第2の層間絶縁膜110を含む全面上に、酸化シリコンからなる第3の層間絶縁膜120を、シラン系のガスを用いたCVD法により形成する。そして、Al合金配線105a上に位置する接続孔120a、及びAl合金層115bの外周側の端部に位置する溝120bを形成する。これら接続孔120a、及び溝120bの形成方法は、接続孔110a及び溝110bの形成方法と同一である。
【0032】
次いで、Al合金配線125a及びAl合金パッド126を、第3の層間絶縁膜上に形成する。Al合金配線125aは、一部が接続孔120a内に埋め込まれることにより、Al合金配線115aと電気的に接続される。また、Al合金パッド126はAl合金配線125aの端部に形成されている。また、ガードリングとなるAl合金壁122bを溝120b内に埋め込み、ガードリングとなるAl合金層125bを第3の層間絶縁膜120上に形成する。また、Al合金層125bの外周側の端部はAl合金壁122bの上面と繋がっている。これらAl合金壁122b、Al合金配線125a、Al合金パッド126、及びAl合金層125bの形成方法は、Al合金壁112b、Al合金配線115a、及びAl合金層115bの形成方法と同一である。
また、タングステン壁102b、Al合金壁112b,122b,及びAl合金層105b,115b,125bによりガードリング203が形成される。
【0033】
次いで、Al合金配線125a、Al合金パッド126、Al合金層125b、及び第3の層間絶縁膜120を含む全面上に、酸化シリコン膜132をCVD法により形成する。これにより、Al合金配線125a、Al合金パッド126及びAl合金層125bは酸化シリコン膜で被覆される。さらに酸化シリコン膜132上に窒化シリコン膜135をCVD法により形成する。このようにして、酸化シリコン膜132及び窒化シリコン膜135からなるパッシベーション膜130が形成される。また、タングステン壁102b、Al合金壁112b,122b,及びAl合金層105b,115b,125bによりガードリング203が形成される。
【0034】
次いで、パッシベーション膜130上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現象する。これにより、パッシベーション膜130上にはレジストパターン(図示せず)が形成される。そしてこのレジストパターンをマスクとしてパッシベーション膜130をエッチングする。これにより、Al合金パッド126の上に位置するパッド開口部130aが形成される。その後、レジストパターンを除去する。
次いで、図2(b)に示すようにダイシングライン140に沿ってダイシングを行い、各半導体装置を分離させる。
【0035】
上記したようにシリコン基板1のうちダイシングライン140に隣接する部分ある不純物領域8はイオン注入時の入射イオン衝撃で結晶構造が壊れクラックが入りやすい状態になっている。これに対し、本実施形態では、溝150すなわち第2の溝の底面は不純物領域8の底部よりも深く位置している。このため、ダイシング時に不純物領域8にクラックが発生しても、クラックは溝150で止まるため、クラックが半導体装置の内部に進行することを抑制できる。
【0036】
また、シリコン基板表面上の第1の層間絶縁膜100の一部に特にクラックが入り易いBPSG膜を使用している。しかし、溝150すなわち第1の溝は、シリコン基板1及び第1の層間絶縁膜100に形成されている。また、溝150は、第2の層間絶縁膜110によって埋まらず、空洞の状態が維持されている。これにより、第1の層間絶縁膜100でクラックが発生しても、クラックは溝150で止まるため、クラックが半導体装置の内部に進行することを抑制することができる。
【0037】
図3は、上記した方法により製造された半導体装置の平面図である。図1及び図2の断面図は、図3のT−T断面を示している。半導体装置200の中央部には能動領域201が形成されている。能動領域201には、上記したトランジスタ及びこのトランジスタを外部に接続するためのAl合金パッド126が複数形成されている。Al合金パッド126は能動領域201の周縁に沿って複数配置されている。
【0038】
そして、半導体装置200の周縁部には、ガードリング203が能動領域201を囲むように全周にわたって形成されている。ガードリング203が形成されることにより、水分又は腐食性ガスが層間絶縁膜100,110,120(図1に図示)の界面に沿って能動領域201に進入することを抑制できる。また、ガードリング203の外側には、溝150がガードリング203を囲むように全周にわたって形成されている。これにより、いずれの端面でクラックが発生しても、クラックは溝150で止まり、クラックが能動領域201に進行することを抑制できる。
【0039】
以上、第1の実施形態によれば、シリコン基板1及び第1の層間絶縁膜100には、ガードリング203の外側に位置する溝150が形成されている。このため、シリコン基板1のうちダイシングライン140に隣接する部分にある不純物領域8や、BPSG膜を含む第1の層間絶縁膜100からクラックが発生しても、クラックは溝150で止まるため、クラックが半導体装置の内部に進行することを抑制できる。
【0040】
次に、図4を参照して、本発明に係る第2の実施形態を説明する。図4の各図は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。第2の実施形態ではガードリングの外側に位置する溝160が、パッシベーション膜130、層間絶縁膜100,110,120及びシリコン基板1に形成されている。本実施形態において、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0041】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は次の通りである。まず、図4(a)に示すように、シリコン基板1に素子分離膜2を形成し、ゲート酸化膜3、ゲート電極4、サイドウォール5、低濃度不純物領域6及び不純物領域7を形成することにより、トランジスタを形成する。また、不純物領域7の形成時には、不純物領域8が形成される。次いで、第1の層間絶縁膜100、接続孔100a、溝100b、タングステンプラグ102a、タングステン壁102b、Al合金配線105a、及びAl合金層105bを形成する。これらの形成方法は、第1の実施形態と同一である。
【0042】
次いで、第2の層間絶縁膜110、接続孔110a、溝110b、Al合金壁112b、Al合金配線115a、及びAl合金層115bを形成する。次いで、第3の層間絶縁膜120、接続孔120a、溝120b、Al合金壁122b、Al合金配線125a、Al合金パッド126、Al合金層125b、及びパッシベーション膜130を形成する。これらの形成方法は、第1の実施形態と同一である。
【0043】
そして、図4(b)に示すように、パッシベーション膜130上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現象する。これにより、パッシベーション膜130にはレジストパターン(図示せず)が形成される。そしてこのレジストパターンをマスクとしてパッシベーション膜130、層間絶縁膜100,110,120及びシリコン基板1をエッチングする。これにより、Al合金パッド126の上に位置するパッド開口部130a及び溝160が形成される。溝160はパッシベーション膜130、層間絶縁膜100,110,120を貫通している第1の溝と、シリコン基板1に形成されている第2の溝により構成される。第2の溝の底面は不純物領域8の底部よりも深く位置し、例えば、シリコン基板1の表面から0.5μm以上1.0μm以下の場所に位置している。なお、パッド開口部130aのエッチングは、Al合金パッド126がストッパーとなる。その後、レジストパターンを除去する。
次いで、図4(c)に示すようにダイシングライン140に沿ってダイシングを行い、各半導体装置を分離させる。
【0044】
以上、本実施形態によれば、溝160の底部は、不純物領域8の底部よりも深く位置している。このため、第1の実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。また、溝160はパッシベーション膜130、層間絶縁膜100,110,120の全ての層を貫通している。これにより、どの層の端部でクラックが発生しても、クラックは溝160で止まるため、クラックが半導体装置の内部に進行することを抑制できる。
また、パッド開口部130aと溝160を同一の工程で形成することができるため、工程数を少なくすることができる。
【0045】
次に、図5及び図6を参照して、本発明に係る第3の実施形態を説明する。図5及び図6の各図は、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。第3の実施形態は、トランジスタの形成時にシリコン基板1のうちダイシングライン140に隣接する部分に形成される不純物領域8を、トランジスタを形成した後、かつ第1の層間絶縁膜100を形成する前に取り除くものである。本実施形態において、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0046】
まず、図5(a)に示すように、シリコン基板1に素子分離膜2を形成し、ゲート酸化膜3、ゲート電極4、サイドウォール5、低濃度不純物領域6及び不純物領域7を形成することにより、トランジスタ形成する。また、不純物領域7の形成時には、不純物領域8が形成される。これらの形成方法は、第1の実施形態と同一である。
【0047】
次いで、図5(b)に示すように、シリコン基板1、トランジスタ、素子分離膜2上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現象する。これにより、シリコン基板1、トランジスタ、素子分離膜2上にはレジストパターン190が形成される。次いで、このレジストパターンをマスクとして不純物領域8をエッチングする。このときのエッチング深さは例えば、シリコン基板1の表面から0.5μm以上1.0μm以下である。これにより、不純物領域8が取り除かれ、シリコン基板1の表面は、ダイシングライン140に隣接する部分が他の部分(例えば能動領域)よりも低くなる。
【0048】
その後、図5(c)に示すように、レジストパターン190を除去する。そして、第1の層間絶縁膜100、接続孔100a、溝100b、タングステンプラグ102a、タングステン壁102b、Al合金配線105a、及びAl合金層105bを形成し、第2の層間絶縁膜110、接続孔110a、溝110b、Al合金壁112b、Al合金配線115a、及びAl合金層115bを形成する。次いで、第3の層間絶縁膜120、接続孔120a、溝120b、Al合金壁122b、Al合金配線125a、Al合金パッド126、Al合金層125b、及びパッシベーション膜130を形成する。これらの形成方法は、第1の実施形態と同一である。
【0049】
次いで、図6(a)に示すように、パッシベーション膜130上にフォトレジスト層(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現象する。これにより、パッシベーション膜130にはレジストパターンが形成される。そしてこのレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜100,110,120及びパッシベーション膜130をエッチングする。これにより、Al合金パッド126の上に位置するパッド開口部130a及び溝170が形成される。溝170はパッシベーション膜130から層間絶縁膜100,110,120を貫通している。また、シリコン基板1のうちダイシングライン140に隣接する部分の表面が溝170の底面となっている。
次いで、図6(b)に示すようにダイシングライン140に沿ってダイシングを行い、各半導体装置を分離させる。
【0050】
このように、本実施形態では、クラックが発生し易く、かつ、クラックが半導体装置の内部に進行しやすい不純物領域8を取り除いている。これにより、半導体装置の内部にクラックが発生及び進行することを抑制できる。また、溝170がパッシベーション膜130、層間絶縁膜100,110,120の全ての層を貫通している。このため、どの層の端部でクラックが発生しても、クラックは溝170で止まるため、クラックが半導体装置の内部に進行することを抑制できる。
【0051】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、第2,3の実施形態において、パッド開口部130aと溝160,170を同一工程で形成したが、パッド開口部130aと溝160,170を別工程により形成してもよい。また、第3の実施形態において、溝170の形成をAl合金配線105a及びAl合金層105bを形成した後に行ってもよい。この場合、溝170は第1の層間絶縁膜のみに形成される。また、第3の実施形態において、溝170の底面がシリコン基板1の表面より深く位置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(a)は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の断面図、(b)は(a)の次の工程を説明する為の断面図、(c)は(b)の次の工程を説明する為の断面図、(d)は(c)の次の工程を示す為の断面図。
【図2】(a)は図1(d)の次の工程を説明する為の断面図、(b)は(a)の次の工程を示す為の断面図。
【図3】第1の実施形態に係る半導体装置の平面図。
【図4】(a)は第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の断面図、(b)は(a)の次の工程を説明する為の断面図、(c)は(b)の次の工程を説明する為の断面図。
【図5】(a)は第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の断面図、(b)は(a)の次の工程を説明する為の断面図、(c)は(b)の次の工程を説明する為の断面図。
【図6】(a)は図5(c)の次の工程を説明する為の断面図、(b)は(a)の次の工程を示す為の断面図。
【図7】従来の半導体装置の構成を説明する為の断面図。
【符号の説明】
【0053】
1,400・・・シリコン基板、2,402・・・素子分離膜、3・・・ゲート酸化膜、4・・・ゲート電極、5・・・サイドウォール、6・・・低濃度不純物領域、7,8,407,408・・・不純物領域、100,110,120,300,310,320・・・層間絶縁膜、100a,110a,120a・・・接続孔、100b,110b,120b・・・溝、102a・・・タングステンプラグ、102b・・・タングステン壁、105a,115a,125a・・・Al合金配線、105b,115b,125b・・・Al合金層、112b,122b・・・Al合金壁、126・・・Al合金パッド、130,330・・・パッシベーション膜、130a・・・パッド開口部、132・・・酸化シリコン膜、135・・・窒化シリコン膜,203,360・・・ガードリング、140,340・・・ダイシングライン、150,160,170,350・・・溝、190・・・レジストパターン、200・・・半導体装置、201・・・能動領域、401・・・トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の表層に形成され、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域と、
前記半導体基板の縁の表層に形成された第2の不純物領域と、
前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜に形成され、前記半導体基板の縁上に位置する前記層間絶縁膜を上下に貫通する第1の溝と、
前記第1の溝の下に位置する前記半導体基板に形成され、底部が前記第2の不純物領域の底部と略同じ位置又は深い位置にある第2の溝と、
を具備する半導体装置。
【請求項2】
半導体基板の表層に形成され、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域と、
前記半導体基板の縁の表層に形成された第2の不純物領域と、
前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜に形成され、前記半導体基板の縁上に位置する前記層間絶縁膜を上下に貫通する第1の溝と、
前記第1の溝の下に位置する前記半導体基板に形成され、前記半導体基板の表面からの深さが0.5μm以上1.0μm以下である第2の溝と、
を具備する半導体装置。
【請求項3】
前記層間絶縁膜はBPSG膜を含む請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体基板の表層に形成され、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域と、
前記半導体基板の縁の表層に形成された第2の不純物領域と、
前記半導体基板上に形成された複数層の層間絶縁膜と、
最上層の前記層間絶縁膜上に形成された保護膜と、
前記複数層の層間絶縁膜及び前記保護膜に形成され、前記半導体基板の縁上に位置する前記複数層の層間絶縁膜及び前記保護膜を上下に貫通する第1の溝と、
前記第1の溝の下に位置する前記半導体基板に形成され、底部が前記第2の不純物領域の底部と略同じ位置又は深い位置にある第2の溝と、
を具備する半導体装置。
【請求項5】
前記第1の不純物領域を有する能動領域と、
前記能動領域を囲むガードリングと、
を具備し、
前記第1の溝及び第2の溝は前記ガードリングの外側に位置しており、かつ前記ガードリングを囲んでいる請求項1から4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体基板に設けられた能動領域と、
前記能動領域に位置する前記半導体基板の表層に形成され、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域と、
を具備し、
前記半導体基板は、縁の表層が除去されており、該縁が前記能動領域よりも低い半導体装置。
【請求項7】
前記半導体基板は、前記能動領域の表面が、前記縁の表面に対して0.5μm以上1.0μm以下ほど高い請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体基板の表層に、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域を形成し、かつ前記半導体基板のうちダイシングラインに隣接する部分に第2の不純物領域を形成する工程と、
前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜を上下に貫通する第1の溝を前記第2の不純物領域上に形成し、前記第1の溝の下に位置する前記半導体基板に、底部が前記第2の不純物領域の底部と略同じ位置又は深い位置にある第2の溝を形成する工程と、
を具備する半導体装置の製造方法。
【請求項9】
半導体基板の表層に、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域を形成し、かつ前記半導体基板のうちダイシングラインに隣接する部分に第2の不純物領域を形成する工程と、
前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜を上下に貫通する第1の溝を前記第2の不純物領域上に形成し、前記第1の溝の下に位置する前記半導体基板に、前記半導体基板の表面から底部までの深さが0.5μm以上1.0μm以下である第2の溝を形成する工程と、
を具備する半導体装置の製造方法。
【請求項10】
半導体基板の表層に、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域を形成し、かつ前記半導体基板のうちダイシングラインに隣接する部分に第2の不純物領域を形成する工程と、
前記半導体基板上に複数層の層間絶縁膜を形成する工程と、
最上層の前記層間絶縁膜上に、保護膜を形成する工程と、
前記複数層の層間絶縁膜及び前記保護膜を上下に貫通する第1の溝を前記第2の不純物領域上に形成し、前記第1の溝の下に位置する前記半導体基板に、底部が前記第2の不純物領域の底部と略同じ位置又は深い位置にある第2の溝を形成する工程と、
を具備する半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1の溝及び前記第2の溝を形成する工程において、前記保護膜にパッド開口部を形成する請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
半導体基板の能動領域の表層に、トランジスタのソース又はドレインとなる第1の不純物領域を形成し、かつ前記半導体基板のうちダイシングラインに隣接する部分の表層に第2の不純物領域を形成する工程と、
前記第2の不純物領域を取り除く工程と、
を具備する半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−201182(P2007−201182A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18064(P2006−18064)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】